JP2019219522A - トナー - Google Patents
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Description
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態に係るトナーは、トナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含有する集合体(例えば粉体)である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤として使用してもよい。
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。図2は、図1に示されるトナー粒子の断面における表層の部分拡大図である。なお、図1において、理解を容易にするため、構成の一部の寸法を誇張して描いている。
次に、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
低温定着性に優れるトナーを得るためには、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等)も、結着樹脂として使用できる。
トナー母粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、耐オフセット性に優れるトナーを得るために使用される。耐オフセット性に優れるトナーを得るためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性に優れるトナーを得るために使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
トナー母粒子は、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)が挙げられる。本実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、トナー母粒子に付着した外添剤を備える。外添剤は、樹脂から構成される樹脂粒子を含む。樹脂粒子としては、埋没比を0.50以上0.80以下の範囲(以下、第1範囲と記載することがある。)に調整することができ、かつΔSP値を0.3(cal/cm3)1/2以上0.5(cal/cm3)1/2以下の範囲(以下、第2範囲と記載することがある。)に調整することができる限り、特に限定されない。なお、樹脂粒子は、表面処理されていてもよい。この場合の表面処理としては、例えば疎水化処理、正帯電化処理及び導電化処理が挙げられる。
次に、上述した実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明する。以下、上述した実施形態に係るトナーと重複する構成要素については説明を省略する。
まず、凝集法又は粉砕法によりトナー母粒子を調製する。
その後、混合機を用いて、得られたトナー母粒子と、外添剤とを混合して、トナー母粒子に外添剤を付着させる。外添剤は、樹脂粒子を少なくとも含む。混合機としては、例えばFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)が挙げられる。以下、外添剤として樹脂粒子及び無機粒子を使用する場合の外添工程の一例を説明する。
まず、混合機を用いて、トナー母粒子と樹脂粒子とを混合して、トナー母粒子の表面に樹脂粒子が付着した粒子(以下、樹脂外添粒子と記載することがある。)を得る。埋没比は、例えば、トナー母粒子に対する樹脂粒子の質量、樹脂粒子の個数平均一次粒子径、及びトナー母粒子と樹脂粒子とを混合する際の時間(混合時間)のうち、少なくとも1つを変更することにより調整できる。
次いで、混合機を用いて、樹脂外添粒子と無機粒子とを混合する。これにより、樹脂外添粒子におけるトナー母粒子の表面に無機粒子が付着する。こうして、トナー粒子を含むトナーが製造される。
[樹脂粒子P1の調製]
攪拌装置、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた容量1Lの4つ口フラスコ内に、600gのイオン交換水と、159gのスチレンと、51gのメタクリル酸メチルと、10gのエチレングリコールジメタクリレートと、14gの乳化剤(塩化セチルトリメチルアンモニウム)と、15gの重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド)とを、フラスコ内容物を攪拌しながら投入した。投入したスチレン(St)、メタクリル酸メチル(MMA)及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)のモル比(St:MMA:EGDMA)は、30:10:1であった。
スチレン(St)、メタクリル酸メチル(MMA)及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)のフラスコ内への投入量を、表1に示すとおりとしたこと以外は、樹脂粒子P1の調製と同様の方法で、樹脂粒子P2〜P8をそれぞれ得た。樹脂粒子P2〜P8は、何れもエチレングリコールジメタクリレートを架橋剤として架橋された構造を有する樹脂(架橋樹脂)から構成されていた。なお、表1に示すSP値の単位は「(cal/cm3)1/2」である。
[トナー母粒子M1の調製]
1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させることにより、結着樹脂としてSP値9.5(cal/cm3)1/2のポリエステル樹脂を得た。反応に用いた1,6−ヘキサンジオール及びセバシン酸のモル比(1,6−ヘキサンジオール:セバシン酸)は、5:2であった。得られたポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、成分:銅フタロシアニン顔料)5質量部と、エステルワックス(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」、融点:73℃)5質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10C/I」)を用いて混合した。
結着樹脂としてSP値9.7(cal/cm3)1/2のポリエステル樹脂を用いたこと以外は、トナー母粒子M1の調製と同様の方法で、体積中位径(D50)6.0μm、円形度0.931、ガラス転移点(Tg)48℃、軟化点(Tm)101℃のトナー母粒子M2を得た。SP値9.7(cal/cm3)1/2のポリエステル樹脂は、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを、モル比(1,6−ヘキサンジオール:セバシン酸)5:3で反応させて得た。
[第1混合工程]
容量5LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で、100質量部のトナー母粒子M1と、0.4質量部の樹脂粒子P1とを20分間混合し、トナー母粒子M1の表面に樹脂粒子P1が付着した樹脂外添粒子を得た。
容量5LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で、第1混合工程により得られた樹脂外添粒子100質量部と、個数平均一次粒子径20nmの正帯電性シリカ粒子0.4質量部とを30秒間混合し、樹脂外添粒子におけるトナー母粒子M1の表面に正帯電性シリカ粒子を付着させた。なお、正帯電性シリカ粒子としては、フュームドシリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)90G」)の表面をシリコーンオイル及びアミノシランで処理したものを用いた。
トナー母粒子の種類、樹脂粒子の種類、及び第1混合工程の混合時間を、表2に示すとおりとしたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の方法で、トナーTA−2〜TA−9及びTB−1〜TB−10をそれぞれ作製した。トナーTA−2〜TA−9及びTB−1〜TB−10は、何れも正帯電性のトナーであった。なお、表2に示すΔSP値の単位は「(cal/cm3)1/2」である。また、表2の埋没比は、以下に示す方法で測定した。
試料(トナーTA−1〜TA−9及びTB−1〜TB−10の何れか)を可視光硬化性樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)D−800」)中に分散させた後、可視光照射により樹脂を硬化させて、硬化物を得た。その後、超薄切片作製用ナイフ(住友電気工業株式会社製「スミナイフ(登録商標)」:刃幅2mm、刃先角度45°のダイヤモンドナイフ)及びウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて、切削速度0.3mm/秒で硬化物を切削することで、厚さ150nmの薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液の蒸気中に10分間暴露して、Ru染色した。続けて、染色された薄片試料の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いて撮影した。
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe2O3換算で49.6mol%、SrO換算で0.8mol%になるように各原料(MnO、MgO、Fe2O3、及びSrOの各原料)を適量配合し、配合した原料に水を加えた。続けて、湿式ボールミルを用いて配合した原料を10時間かけて粉砕しながら混合した。続けて、得られた混合物を乾燥させた。続けて、乾燥させた混合物を温度950℃で4時間熱処理した。
評価機としてカラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)を用いた。前述の方法で調製した2成分現像剤を評価機のシアン用現像装置に投入した。次いで、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて30分間にわたって白紙画像を印刷用紙(A4サイズ)に出力し続けることにより、評価機のシアン用現像装置を駆動させた。次いで、評価機のシアン用現像装置から2成分現像剤を取り出した後、795メッシュ(目開き16μm)の篩を用いて2成分現像剤からキャリアを分離して、汚染性評価用キャリアを得た。得られた汚染性評価用キャリアについてGC/MS分析を行い、GC/MS法マススペクトルを得た。そして、シアン用現像装置の駆動中にトナーからキャリアに移行してキャリアに付着した樹脂粒子の量(樹脂粒子のキャリア移行量)を求めた。GC/MS分析の条件と、樹脂粒子のキャリア移行量の求め方とは、以下のとおりであった。
測定装置としては、ガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製「GCMS−QP2010 Ultra」)及びマルチショット・パイロライザー(フロンティア・ラボ株式会社製「PY−3030D」)を用いた。カラムとしては、GCカラム(アジレント・テクノロジー社製「Agilent(登録商標)J&W ウルトライナートキャピラリGCカラム DB−5ms」、相:シロキサン重合体にアリレンを入れて重合体の主鎖を強化したアリレン相、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、長さ:30m)を用いた。測定対象(汚染性評価用キャリア)100μgについて、以下の分析条件でGC/MS分析を行い、樹脂粒子に由来するピークを含むマススペクトル(横軸:イオンの質量/イオンの電荷数、縦軸:検出強度)を得た。
・熱分解温度:加熱炉「600℃」、インターフェイス部「320℃」
・昇温条件:40℃から速度28℃/分で320℃まで昇温し、320℃で5分間保持した。
・キャリアガス:ヘリウム(He)ガス(線速度36.1cm/分)
・カラムヘッド圧力:49.7kPa
・注入モード:スプリット注入(スプリット比1:200)
・キャリア流量:全流量「204mL/分」、カラム流量「1mL/分」、パージ流量「3mL/分」
上記GC/MS分析により汚染性評価用キャリアについて得たマススペクトル(GC/MS法マススペクトル)に基づいて、汚染性評価用キャリア1gあたりの樹脂粒子の付着量(樹脂粒子のキャリア移行量)を求めた。詳しくは、予め作成した検量線(GC/MS法マススペクトルのピーク面積と樹脂粒子の付着量との関係を示す検量線)を用いて、測定された樹脂粒子由来のピーク面積から、汚染性評価用キャリアに付着した樹脂粒子の量YA(単位:g)を求めた。そして、測定に用いた汚染性評価用キャリアの量YB(単位:g)と、得られた樹脂粒子の量YAとから、式「YT=100×YA/YB」に従って樹脂粒子のキャリア移行量YT(単位:質量%)を算出した。キャリア移行量YTが、0.040質量%以下であれば「良い」と評価し、0.040質量%を超えれば「良くない」と評価した。
[初期帯電量の測定]
前述の方法で2成分現像剤を調製した後、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、24時間にわたって2成分現像剤を静置した。その後、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、2成分現像剤に含まれるトナーの帯電量(単位:μC/g)を、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて測定した。以下、ここで測定された帯電量を、「初期帯電量E1」(又は、単に「E1」)と記載する。
評価機としてカラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)を用いた。前述の方法で調製した2成分現像剤を評価機のシアン用現像装置に投入した。次いで、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて30分間にわたって白紙画像を印刷用紙(A4サイズ)に出力し続けることにより、評価機のシアン用現像装置を駆動させた。次いで、評価機のシアン用現像装置から2成分現像剤を取り出した後、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、取り出された2成分現像剤に含まれるトナーの帯電量(単位:μC/g)を、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて測定した。以下、ここで測定された帯電量を、「駆動後の帯電量E2」(又は、単に「E2」)と記載する。
得られた初期帯電量E1と駆動後の帯電量E2とから、次の式に基づいて、帯電量変化(単位:μC/g)を求めた。帯電量変化は、E1とE2との差(絶対値)であった。
帯電量変化=|E1−E2|
ポリエチレン製容器(容量20mL)に3gのトナー(評価に用いるトナー)を入れて、ポリエチレン製容器を密閉した。密閉された容器に対してタッピング処理を5分間行った後、容器を60℃に設定された恒温槽内に8時間静置した。その後、容器から取り出したトナーを室温(25℃)まで冷却して、評価対象を得た。
凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
11 トナー母粒子
12 樹脂粒子
12A 埋没部分
12B 突出部分
Claims (6)
- トナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、結着樹脂を含むトナー母粒子と、前記トナー母粒子に付着した外添剤とを備え、
前記外添剤は、樹脂から構成される樹脂粒子を含み、
前記樹脂粒子は、前記トナー母粒子の表面に埋め込まれている埋没部分と、前記トナー母粒子の径方向外側に突出する突出部分とを含み、
前記樹脂粒子の断面において、前記トナー母粒子の径方向における前記埋没部分の最大長さをLAとし、前記トナー母粒子の径方向における前記突出部分の最大長さをLBとしたとき、0.50≦LA/(LA+LB)≦0.80の関係を満たし、
前記トナー母粒子に含まれる前記結着樹脂のSP値をSPTとし、前記樹脂粒子を構成する前記樹脂のSP値をSPEとしたとき、0.3(cal/cm3)1/2≦|SPT−SPE|≦0.5(cal/cm3)1/2の関係を満たす、トナー。 - 前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、80nm以上120nm以下である、請求項1に記載のトナー。
- 前記樹脂粒子の質量は、前記トナー母粒子100質量部に対して0.3質量部以上2.0質量部以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記トナー母粒子は、前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含み、
前記樹脂粒子を構成する前記樹脂は、架橋樹脂である、請求項1〜3の何れか一項に記載のトナー。 - 前記架橋樹脂は、スチレン系モノマーと、アクリル酸系モノマーと、2個以上の不飽和結合を有する架橋剤との重合物である、請求項4に記載のトナー。
- 前記2個以上の不飽和結合を有する架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレートである、請求項5に記載のトナー。
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