JP2020008631A - トナー - Google Patents

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貴裕 ▲濱▼田
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Abstract

【課題】画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を抑制できるトナーを提供する。【解決手段】トナーは、トナー粒子10を含む。トナー粒子10は、トナー母粒子11と、トナー母粒子11に付着した外添剤とを備える。外添剤は、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子12と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子13とを含む。第1樹脂粒子12及び第2樹脂粒子13は、埋没部分と突出部分とを含む。埋没部分の最大長さをLAとし、突出部分の最大長さをLBとしたとき、0.30≦LA/(LA+LB)≦0.60の関係を満たす。第1樹脂粒子12及び第2樹脂粒子13の合計質量は、100質量部のトナー母粒子11に対して0.5質量部以上1.5質量部以下である。第1樹脂粒子12の質量に対する第2樹脂粒子13の質量の比は、1.0以上4.0以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、トナーに関する。
特許文献1には、トナー粒子の外添剤として樹脂微粒子を使用したトナーが開示されている。
特開2007−79486号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を抑制できるトナーを得ることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を抑制できるトナーを提供することである。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を含む。前記トナー粒子は、結着樹脂を含むトナー母粒子と、前記トナー母粒子に付着した外添剤とを備える。前記外添剤は、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子とを含む。前記第1樹脂粒子及び前記第2樹脂粒子は、何れも、前記トナー母粒子の表面に埋め込まれている埋没部分と、前記トナー母粒子の径方向外側に突出する突出部分とを含む。前記第1樹脂粒子の断面及び前記第2樹脂粒子の断面において、前記トナー母粒子の径方向における前記埋没部分の最大長さをLAとし、前記トナー母粒子の径方向における前記突出部分の最大長さをLBとしたとき、0.30≦LA/(LA+LB)≦0.60の関係を満たす。前記第1樹脂粒子及び前記第2樹脂粒子の合計質量は、前記トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上1.5質量部以下である。前記第1樹脂粒子の質量に対する前記第2樹脂粒子の質量の比は、1.0以上4.0以下である。
本発明によれば、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を抑制できるトナーを提供できる。
本発明に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。 図1に示されるトナー粒子の断面における表層の部分拡大図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて測定されたメディアン径である。粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した、100個の一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。なお、粒子の個数平均一次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均一次粒子径を指す。
帯電性の強さは、何ら規定していなければ、摩擦帯電のし易さである。例えば、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電性トナー用標準キャリア:N−01、正帯電性トナー用標準キャリア:P−01)と測定対象(例えばトナー)とを混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えばQ/mメーター(トレック社製「MODEL 212HS」)で測定対象の帯電量を測定する。摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従い測定した値である。
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。「架橋樹脂」とは、架橋構造を有する樹脂を指す。
「置換基で置換されていてもよい」とは、有機基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。「フェニル基で置換されていてもよい」とは、有機基の水素原子の一部又は全部がフェニル基で置換されていてもよいことを意味する。
「炭素原子数1以上6以下のアルキル基」は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びヘキシル基が挙げられる。
<トナー>
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態に係るトナーは、トナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含有する集合体(例えば粉体)である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤として使用してもよい。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、結着樹脂を含むトナー母粒子と、トナー母粒子に付着した外添剤とを備える。外添剤は、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子とを含む。第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子は、何れも、トナー母粒子の表面に埋め込まれている埋没部分と、トナー母粒子の径方向外側に突出する突出部分とを含む。第1樹脂粒子の断面及び第2樹脂粒子の断面において、トナー母粒子の径方向における埋没部分の最大長さをLAとし、トナー母粒子の径方向における突出部分の最大長さをLBとしたとき、0.30≦LA/(LA+LB)≦0.60の関係を満たす。以下、LA/(LA+LB)を埋没比と記載することがある。埋没比の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
また、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の合計質量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上1.5質量部以下である。以下、トナー母粒子100質量部に対する第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の合計質量を、MT(単位:質量部)と記載することがある。
また、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子の質量に対する第2樹脂粒子の質量の比は、1.0以上4.0以下である。つまり、第1樹脂粒子の質量をMAとし、第2樹脂粒子の質量をMBとしたときに、MB/MAの値が1.0以上4.0以下である。以下、第1樹脂粒子の質量に対する第2樹脂粒子の質量の比を、質量比(MB/MA)と記載することがある。
本実施形態に係るトナーは、上述の構成(以下、基本構成と記載することがある。)を備えることにより、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を抑制できる。その理由は、以下のように推測される。
本実施形態に係るトナーでは、外添剤が、粒子径の比較的小さい第1樹脂粒子と、粒子径の比較的大きい第2樹脂粒子とを含む。そのため、現像装置内において、第2樹脂粒子の方が、第1樹脂粒子よりも物理的ストレスを受けやすい傾向がある。よって、本実施形態に係るトナーでは、現像装置内において、第2樹脂粒子の埋没(トナー母粒子の表面への第2樹脂粒子の埋没)が、第1樹脂粒子の埋没(トナー母粒子の表面への第1樹脂粒子の埋没)よりも早く進行すると考えられる。また、本実施形態に係るトナーでは、第2樹脂粒子の埋没が進行し、第2樹脂粒子の突出部分の最大長さが第1樹脂粒子の突出部分の最大長さと同程度になった後、第1樹脂粒子の埋没が進行すると考えられる。つまり、本実施形態に係るトナーでは、第2樹脂粒子の埋没のみが進行する際、第2樹脂粒子のみが、トナー母粒子同士の間のスペーサーになると考えられる。また、本実施形態に係るトナーでは、第2樹脂粒子の突出部分の最大長さが第1樹脂粒子の突出部分の最大長さと同程度になった後、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の双方が、トナー母粒子同士の間のスペーサーになると考えられる。なお、通常、樹脂粒子がトナー母粒子同士の間のスペーサーとして機能する場合、トナーの帯電量の変動が抑制される傾向がある。
また、本実施形態に係るトナーでは、個数平均一次粒子径30nm以上の第1樹脂粒子と、個数平均一次粒子径80nm以上の第2樹脂粒子とを併用する。加えて、本実施形態に係るトナーでは、MTが0.5質量部以上であり、質量比(MB/MA)が1.0以上4.0以下であり、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の埋没比が何れも0.30以上0.60以下である。これにより、本実施形態に係るトナーでは、現像装置内において、第2樹脂粒子の突出部分の最大長さが第1樹脂粒子の突出部分の最大長さと同程度になるまでの早さが、適度に調整されるため、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子のそれぞれのスペーサーとしての機能が効果的に発揮されると考えられる。よって、本実施形態に係るトナーによれば、帯電量の変動を抑制できると考えられる。
また、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子の個数平均一次粒子径が50nm以下であり、第2樹脂粒子の個数平均一次粒子径が135nm以下である。そのため、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子の大きさ及び第2樹脂粒子の大きさが、トナー粒子の帯電(例えば、トナー粒子とキャリア粒子との接触によるトナー粒子の帯電)を阻害しない程度に調整されている。更に、本実施形態に係るトナーでは、MTが1.5質量部以下である。そのため、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の合計質量が、トナー粒子の帯電を阻害しない程度に調整されている。よって、本実施形態に係るトナーによれば、画像形成に適した帯電量を確保することができる。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、シェル層を備えないトナー粒子であってもよいし、シェル層を備えるトナー粒子(以下、カプセルトナー粒子と記載することがある。)であってもよい。カプセルトナー粒子では、トナー母粒子が、結着樹脂を含むトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。シェル層は、樹脂を含む。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散されていてもよい。シェル層は、トナーコアの表面全体を覆っていてもよいし、トナーコアの表面を部分的に覆っていてもよい。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子がカプセルトナー粒子である場合、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動をより抑制するためには、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子がシェル層を貫通し、かつ第1樹脂粒子の一部及び第2樹脂粒子の一部がトナーコアの表面に埋め込まれていることが好ましい。この場合、「トナー母粒子の表面に埋め込まれている埋没部分」は、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子のうち、シェル層を貫通する部分及びトナーコアの表面に埋め込まれている部分を指す。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
帯電量の変動をより抑制するためには、第1樹脂粒子の個数平均一次粒子径が35nm以上であることが好ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂以外に、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有してもよい。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。
[トナー粒子の構成]
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。図2は、図1に示されるトナー粒子の断面における表層の部分拡大図である。なお、図1において、理解を容易にするため、構成の一部の寸法を誇張して描いている。
図1に示すように、トナー粒子10は、結着樹脂を含むトナー母粒子11と、トナー母粒子11に付着した外添剤とを備える。外添剤は、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子12と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子13とを含む。第1樹脂粒子12及び第2樹脂粒子13は、何れも、トナー母粒子11の表面に埋め込まれている埋没部分と、トナー母粒子11の径方向外側に突出する突出部分とを含む。
第1樹脂粒子12の断面において、埋没比は、0.30以上0.60以下の範囲である。また、第2樹脂粒子13の断面において、埋没比は、0.30以上0.60以下の範囲である。以下、埋没比について、図2を参照しながら詳細に説明する。
図2に示すように、第1樹脂粒子12は、トナー母粒子11の表面に埋め込まれている埋没部分12Aと、トナー母粒子11の径方向Drの外側に突出する突出部分12Bとを含む。突出部分12Bは、トナー母粒子11の表面のうち、第1樹脂粒子12及び第2樹脂粒子13が付着していない面(例えば、図2に示す面11A)よりもトナー母粒子11の径方向Drの外側に突出する部分である。そして、第1樹脂粒子12の断面において、トナー母粒子11の径方向Drにおける埋没部分12Aの最大長さをLAとし、トナー母粒子11の径方向Drにおける突出部分12Bの最大長さをLBとしたとき、埋没比であるLA/(LA+LB)が0.30以上0.60以下の範囲となる。なお、LAは、トナー母粒子11の径方向Drにおける、埋没部分12Aと突出部分12Bとの境界12Cからの埋没部分12Aの最大長さに相当する。また、LBは、トナー母粒子11の径方向Drにおける、埋没部分12Aと突出部分12Bとの境界12Cからの突出部分12Bの最大長さに相当する。なお、図2では、面11Aを直線で記載しているが、実際のトナー粒子では、トナー母粒子の表面は球面形状を有する。
なお、図2では、第1樹脂粒子12を例に埋没比を説明したが、第2樹脂粒子13の埋没比についても第1樹脂粒子12と同様である。
また、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子12及び第2樹脂粒子13の合計質量が、100質量部のトナー母粒子11に対して0.5質量部以上1.5質量部以下である。
また、本実施形態に係るトナーでは、第1樹脂粒子12の質量に対する第2樹脂粒子13の質量の比が、1.0以上4.0以下である。
以上、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成の一例について説明した。
[トナー粒子の要素]
次に、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
(結着樹脂)
低温定着性に優れるトナーを得るためには、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等)も、結着樹脂として使用できる。
熱可塑性樹脂は、一種以上の熱可塑性単量体を、付加重合、共重合、又は縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性単量体は、単独重合により熱可塑性樹脂になる単量体(より具体的には、アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体等)、又は縮重合により熱可塑性樹脂になる単量体(例えば、縮重合によりポリエステル樹脂になる多価アルコール及び多価カルボン酸の組合せ)である。
低温定着性に優れるトナーを得るためには、トナー母粒子が、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の80質量%以上100質量%以下の割合でポリエステル樹脂を含有することがより好ましい。後述する繰返し単位(1−1)中のオキサゾリン基との反応性を高めるためには、結着樹脂として含有されるポリエステル樹脂の酸価が、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、一種以上の多価アルコールと一種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、脂肪族ジオール、ビスフェノール等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、多価カルボン酸の無水物、多価カルボン酸ハライド等の縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体を使用してもよい。
脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、α,ω−アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオール等)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノールの好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、1,10−デカンジカルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、耐オフセット性に優れるトナーを得るために使用される。耐オフセット性に優れるトナーを得るためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、エステルワックス、ポリオレフィンワックス(より具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、マイクロクリスタリンワックス、フッ素樹脂ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、及びカスターワックスが挙げられる。エステルワックスとしては、天然エステルワックス(より具体的には、カルナバワックス、ライスワックス等)、及び合成エステルワックスが挙げられる。本実施形態では、一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性に優れるトナーを得るために使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性(正帯電性)を強めることができる。また、トナー母粒子に負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のアニオン性(負帯電性)を強めることができる。
正帯電性の電荷制御剤の例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩;4級アンモニウムカチオン基を含む樹脂が挙げられる。これらの電荷制御剤の一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
負帯電性の電荷制御剤の例としては、キレート化合物である有機金属錯体が挙げられる。有機金属錯体としては、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、及びこれらの塩が好ましい。
帯電安定性に優れるトナーを得るためには、電荷制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)が挙げられる。本実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
(シェル層)
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、カプセルトナー粒子であってもよい。カプセルトナー粒子では、トナー母粒子が、結着樹脂を含むトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。トナーコアは、シェル層を備えないトナー粒子に含まれるトナー母粒子と同様である。
耐熱保存性に優れるトナーを得るためには、トナーコアの表面におけるシェル層で覆われた領域の面積割合(以下、被覆率と記載することがある。)は、90%以上100%以下であることが好ましく、95%以上100%以下であることがより好ましい。
シェル層の被覆率は、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子の断面のTEM(透過電子顕微鏡)撮影像を解析することによって測定できる。例えば、シェル層の被覆率は、染色したトナー粒子の断面のTEM撮影像において、トナーコアの表面領域(外縁を示す輪郭線)のうちシェル層で覆われた領域の割合を測定することにより得られる。
耐熱保存性に優れ、かつ低温定着性に優れるトナーを得るためには、シェル層の厚さが1nm以上20nm以下であることが好ましい。シェル層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、染色したトナー粒子の断面のTEM(透過電子顕微鏡)撮影像を解析することによって計測できる。なお、1つのトナー粒子においてシェル層の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、トナー粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がシェル層と交差する4箇所)の各々でシェル層の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、そのトナー粒子の評価値(シェル層の厚さ)とする。
トナーコアが結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む場合、シェル層をトナーコアの表面に均一に形成するためには、シェル層が下記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある。)を少なくとも含む単量体の重合物を含有することが好ましい。
Figure 2020008631
式(1)中、R1は、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表す。R1の好適な例としては、水素原子、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基が挙げられる。
シェル層が化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物を含有すると、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子がシェル層によってトナー母粒子に強固に固定されるため、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子のトナー母粒子からの脱離を抑制できる。また、シェル層が化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物を含有すると、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子がトナー母粒子に過剰に埋没することを抑制できる。
化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物は、化合物(1)と、他のビニル化合物とを共重合させた重合物であってもよい。なお、ビニル化合物は、ビニル基(CH2=CH−)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物(より具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等)である。ビニル化合物は、上記ビニル基等に含まれる炭素−炭素二重結合(C=C)により付加重合して、高分子(樹脂)になり得る。
他のビニル化合物としては、アクリル酸アルキルエステル系単量体、及びスチレン系単量体からなる群より選択される一種以上のビニル化合物が好ましい。
アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば下記式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と記載することがある。)、及び下記式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)と記載することがある。)が挙げられる。
Figure 2020008631
式(2)中、R2は、置換基で置換されていてもよいアルキル基を表す。R2が表わすアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。R2が置換基で置換されたアルキル基を表す場合、このような置換基の例としては、ヒドロキシル基が挙げられる。R2の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基(例えば2−ヒドロキシエチル基)、ヒドロキシプロピル基、及びヒドロキシブチル基が挙げられる。
Figure 2020008631
式(3)中、R3は、置換基で置換されていてもよいアルキル基を表す。R3が表わすアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。R3が置換基で置換されたアルキル基を表す場合、このような置換基の例としては、ヒドロキシル基が挙げられる。R3の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基(例えば2−ヒドロキシエチル基)、ヒドロキシプロピル基、及びヒドロキシブチル基が挙げられる。
化合物(1)は、付加重合により下記式(1−1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−1)と記載する。)を形成する。下記式(1−1)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。
Figure 2020008631
繰返し単位(1−1)は、未開環のオキサゾリン基を有する。未開環のオキサゾリン基は、環状構造を有し、強い正帯電性を示す。未開環のオキサゾリン基は、カルボキシル基、芳香族性スルファニル基、及び芳香族性ヒドロキシル基と反応し易い。例えば、シェル層の形成中に繰返し単位(1−1)がトナーコア中のポリエステル樹脂のカルボキシル基と反応すると、オキサゾリン基が開環し、下記式(1−2)に示すようにアミド結合及びエステル結合が形成される。こうした結合が形成されることで、トナーコアとシェル層との結合が強固になり、トナーコアからのシェル層の脱離が抑制されることになる。なお、下記式(1−2)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。下記式(1−2)中の*は、トナーコアに含まれるポリエステル樹脂中の原子に結合する部位を表す。
Figure 2020008631
トナーの正帯電性を高めつつ、トナーコアからのシェル層の脱離を抑制するためには、シェル層を構成する樹脂が、繰返し単位(1−1)と、式(1−2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−2)と記載する。)とを有するビニル樹脂であることが好ましい。以下、繰返し単位(1−1)と繰返し単位(1−2)とを有するビニル樹脂を、特定ビニル樹脂と記載することがある。特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1−1)の割合(モル比)が高くなるほど、特定ビニル樹脂の正帯電性(ひいてはトナーの正帯電性)が高くなる傾向がある。一方、特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1−2)の割合(モル比)が高くなるほど、トナーコアとシェル層との結合が強固になる傾向がある。正帯電性を高めつつ、トナーコアからのシェル層の脱離をより抑制するためには、シェル層が、特定ビニル樹脂を、シェル層全体に対して90質量%以上の割合で含むことが好ましく、シェル層全体に対して100質量%の割合で含むことがより好ましい。特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1−1)と繰返し単位(1−2)とのモル比は、例えば、結着樹脂の酸価を変更することにより調整できる。
シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1−2)が形成されたことを確認する方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。詳しくは、所定量のトナー粒子(試料)を溶剤に溶解させる。得られた溶液をNMR(核磁気共鳴)測定用試験管に入れ、NMR装置を用いて1H−NMRスペクトルを測定する。1H−NMRスペクトルでは、化学シフトδ6.5付近に、第2級アミドに由来する三重線(トリプレット)のシグナルが出現する。よって、得られた1H−NMRスペクトルにおいて、化学シフトδ6.5付近に三重線のシグナルが確認されれば、シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1−2)が形成されたと推定される。1H−NMRスペクトルの測定条件の一例としては、以下に示す条件が挙げられる。
1H−NMRスペクトルの測定条件の一例〕
NMR装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(日本電子株式会社製「JNM−AL400」)
NMR測定用試験管:5mm試験管
溶剤:重水素化クロロホルム(1mL)
試料温度:20℃
試料質量:20mg
積算回数:128回
化学シフトの内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
特定ビニル樹脂は、繰返し単位(1−1)及び繰返し単位(1−2)以外に、例えば化合物(2)に由来する繰返し単位及び化合物(3)に由来する繰返し単位の少なくとも一方(以下、これらをまとめて特定アクリル単位と記載することがある。)を更に含んでいてもよい。均一なシェル層を形成するためには、特定ビニル樹脂は、繰返し単位(1−1)、繰返し単位(1−2)、及び特定アクリル単位のみを繰返し単位として含むことが好ましい。
特定ビニル樹脂を含むシェル層を形成するための原料としては、例えばオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」)を使用できる。このうち、「エポクロスWS−300」は、2−ビニル−2−オキサゾリン(化合物(1)の一種)と、メタクリル酸メチル(化合物(3)の一種)との共重合体を含む。また、「エポクロスWS−700」は、2−ビニル−2−オキサゾリンと、メタクリル酸メチルと、アクリル酸ブチル(化合物(2)の一種)との共重合体を含む。
(外添剤)
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、トナー母粒子に付着した外添剤を備える。外添剤は、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子とを含む。第1樹脂粒子を構成する樹脂、及び第2樹脂粒子を構成する樹脂は、何れも埋没比を0.30以上0.60以下の範囲に調整することができる限り、特に限定されない。また、第1樹脂粒子を構成する樹脂、及び第2樹脂粒子を構成する樹脂は、同じ樹脂であっても相違する樹脂であってもよい。
埋没比を0.30以上0.60以下の範囲に容易に調整するためには、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子は、何れも架橋樹脂を含むことが好ましく、粒子全体の90質量%以上の割合で架橋樹脂を含むことがより好ましく、粒子全体の100質量%の割合で架橋樹脂を含むことが特に好ましい。
帯電量の変動をより抑制するためには、架橋樹脂としては、スチレン系単量体と、アクリル酸系単量体と、2個以上の不飽和結合を有する架橋剤との重合物(以下、特定架橋重合物と記載することがある。)が好ましい。
特定架橋重合物を合成するためのスチレン系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、及びp−n−ドデシルスチレンが挙げられる。
特定架橋重合物を合成するためのアクリル酸系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、及び(メタ)アクリル酸フェニルが挙げられる。
特定架橋重合物を合成するための2個以上の不飽和結合を有する架橋剤としては、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートが挙げられる。
帯電量の変動を更に抑制するためには、2個以上の不飽和結合を有する架橋剤としては、ジビニルベンゼンが好ましい。
第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の形成方法は、特に限定されない。第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の形成方法の一例としては、乳化重合法、シード重合法、及び分散重合法が挙げられる。また、本実施形態では、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子として市販品を使用してもよい。
外添剤は、外添剤粒子として第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子のみを含んでいてもよく、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子以外に他の外添剤粒子を含んでいてもよい。トナーの流動性を良好に維持するためには、他の外添剤粒子としては、無機粒子が好ましい。無機粒子としては、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、チタニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等)の粒子が挙げられる。
他の外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、他の外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(より具体的には、鎖状シラザン化合物、環状シラザン化合物等)、及びシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)が挙げられる。表面処理剤としては、シランカップリング剤及びシラザン化合物が特に好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン等)が挙げられる。シラザン化合物の好適な例としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)が挙げられる。シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数のヒドロキシル基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、ヒドロキシル基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
トナー母粒子からの外添剤の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(他の外添剤粒子を使用する場合には、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子及び他の外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
(材料の好ましい組合せ)
画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を更に抑制するためには、トナー母粒子が、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備え、シェル層が特定ビニル樹脂を含み、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子が、何れもスチレン系単量体とアクリル酸系単量体と2個以上の不飽和結合を有する架橋剤との重合物から構成されていることが好ましい。
以上、本発明に係るトナーの好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば、本発明に係るトナーは、上述した基本構成を有するトナー粒子とは異なるトナー粒子を含んでいてもよい。ただし、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動をより抑制するためには、本発明に係るトナーは、上述した基本構成を有するトナー粒子を、80個数%以上の割合で含むことが好ましく、90個数%以上の割合で含むことがより好ましく、100個数%の割合で含むことが特に好ましい。
<トナーの製造方法>
次に、上述した実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明する。以下、上述した実施形態に係るトナーと重複する構成要素については説明を省略する。
[トナー母粒子の調製工程]
まず、凝集法又は粉砕法によりトナー母粒子を調製する。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、トナー母粒子を構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナー母粒子を形成する。
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易にトナー母粒子を調製できる上、製造コストの低減が可能である。粉砕法でトナー母粒子を調製する場合、トナー母粒子の調製工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。トナー母粒子の調製工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、トナー母粒子の調製工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
混合工程では、結着樹脂と、必要に応じて添加する内添剤とを混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、トナー材料を溶融し混練して、溶融混練物を得る。トナー材料としては、例えば混合工程で得られる混合物が用いられる。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物であるトナー母粒子が得られる。
[外添工程]
その後、混合機を用いて、得られたトナー母粒子と、外添剤とを混合して、トナー母粒子に外添剤を付着させる。外添剤は、第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子を少なくとも含む。混合機としては、例えば多目的小型混合粉砕機(日本コークス工業株式会社製「マルチパーパスミキサ」)が挙げられる。埋没比は、例えば、第1樹脂粒子の個数平均一次粒子径、第2樹脂粒子の個数平均一次粒子径、MT、質量比(MB/MA)、及び混合機の混合条件(より具体的には、回転速度、混合時間等)のうち、少なくとも1つを変更することにより調整できる。こうして、トナー粒子を含むトナーが製造される。
以上、上述した実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明したが、本発明に係るトナーは、上述した製造方法以外の方法で製造してもよい。例えば、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを調製した後、トナーコアの表面を覆うシェル層を形成することにより、トナー母粒子を調製してもよい。シェル層の形成方法の好適な一例は、実施例において説明する。
以下、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
<樹脂粒子の調製>
[樹脂粒子P1の調製]
攪拌装置、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えたガラス製の容器を、温度80℃のウォーターバスにセットした。続けて、容器内に、イオン交換水100質量部と、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.30質量部とを入れた。続けて、容器内容物を攪拌しながら、窒素雰囲気かつ温度80℃の条件で、過硫酸アンモニウム0.2質量部と、単量体混合物(詳しくは、モル比1:1:1のジビニルベンゼンとスチレンとメタクリル酸メチルとの混合物)150質量部とを、それぞれ一定速度で1時間かけて容器内に滴下した。続けて、容器内容物を攪拌しながら、窒素雰囲気で容器内容物の温度を100℃に上昇させて、窒素雰囲気かつ温度100℃の条件で容器内容物を1時間反応させた。その結果、樹脂粒子を含むエマルションが得られた。続けて、得られたエマルションを、冷却した後、温度80℃で18時間乾燥させて、個数平均一次粒子径35nmの樹脂粒子P1の粉体を得た。樹脂粒子P1は、ジビニルベンゼンを架橋剤として架橋された構造を有する樹脂(架橋樹脂)から構成されていた。なお、樹脂粒子P1の個数平均一次粒子径は、後述する方法でトナーを作製した後、トナー粒子から分離させた樹脂粒子P1の粉体を測定対象として測定した場合も同じ結果が得られた。以下で説明する樹脂粒子P2〜P5のそれぞれの個数平均一次粒子径についても同様であった。
[樹脂粒子P2の調製]
界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の使用量(イオン交換水100質量部に対する添加量)を、0.20質量部に変更したこと以外は、樹脂粒子P1の調製と同様の方法で、個数平均一次粒子径50nmの樹脂粒子P2を得た。樹脂粒子P2は、ジビニルベンゼンを架橋剤として架橋された構造を有する樹脂(架橋樹脂)から構成されていた。
[樹脂粒子P3の調製]
界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の使用量(イオン交換水100質量部に対する添加量)を、0.15質量部に変更したこと以外は、樹脂粒子P1の調製と同様の方法で、個数平均一次粒子径80nmの樹脂粒子P3を得た。樹脂粒子P3は、ジビニルベンゼンを架橋剤として架橋された構造を有する樹脂(架橋樹脂)から構成されていた。
[樹脂粒子P4の調製]
界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の使用量(イオン交換水100質量部に対する添加量)を、0.10質量部に変更したこと以外は、樹脂粒子P1の調製と同様の方法で、個数平均一次粒子径135nmの樹脂粒子P4を得た。樹脂粒子P4は、ジビニルベンゼンを架橋剤として架橋された構造を有する樹脂(架橋樹脂)から構成されていた。
[樹脂粒子P5の調製]
界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の使用量(イオン交換水100質量部に対する添加量)を、0.05質量部に変更したこと以外は、樹脂粒子P1の調製と同様の方法で、個数平均一次粒子径160nmの樹脂粒子P5を得た。樹脂粒子P5は、ジビニルベンゼンを架橋剤として架橋された構造を有する樹脂(架橋樹脂)から構成されていた。
<トナーの作製>
以下、トナーTA−1〜TA−8及びTB−1〜TB−12の作製方法について説明する。なお、各トナーの作製で使用された樹脂粒子のうち、個数平均一次粒子径が比較的小さい樹脂粒子を第1樹脂粒子とし、個数平均一次粒子径が比較的大きい樹脂粒子を第2樹脂粒子として説明する。
[トナーTA−1の作製]
(トナー母粒子の調製工程)
トナー母粒子を調製するためのトナーコアとして、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa5550ci」用シアントナー未外添品(結着樹脂:ポリエステル樹脂、体積中位径(D50):6.8μm)を準備した。温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを温調槽に載置し、フラスコ内に、オキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−300」、固形分濃度:10質量%)10gと、イオン交換水100mLとを入れて、フラスコ内温が30℃になるように調整した。次いで、フラスコ内に、準備したトナーコア100gを入れて、フラスコ内容物を200rpmの回転速度で1時間攪拌した。
次いで、フラスコ内に、イオン交換水100mLと、アンモニア水溶液(濃度1質量%)4mLとを入れた後、フラスコ内容物を200rpmの回転速度で攪拌しながら、フラスコ内温を60℃まで0.5℃/分の昇温速度で昇温させた。フラスコ内温が60℃に到達した後、フラスコ内容物を200rpmの回転速度で攪拌しながらフラスコ内温を60℃に1時間保持した。フラスコ内温を60℃に保っている間に、トナーコアの表面を覆うシェル層が形成された。シェル層は、上述した特定ビニル樹脂から構成されていた。次いで、フラスコ内にアンモニア水溶液(濃度1質量%)を入れて、フラスコ内容物をpH7に調整した後、フラスコ内を25℃まで冷却し、トナー母粒子の分散液を得た。
次いで、得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。次いで、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた後、ブフナー漏斗を用いてろ過した。更に、再分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。次いで、洗浄したトナー母粒子を、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で乾燥させ、トナー母粒子の粉体を得た。
(外添工程)
100質量部のトナー母粒子(上述した手順で得られたトナー母粒子)と、0.25質量部の樹脂粒子P1(第1樹脂粒子)と、0.25質量部の樹脂粒子P3(第2樹脂粒子)と、1.50質量部の正帯電性シリカ粒子とを、多目的小型混合粉砕機(日本コークス工業株式会社製「マルチパーパスミキサ」)を用いて、回転速度6000rpmかつジャケット温度16℃の条件で3分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(樹脂粒子P1、樹脂粒子P3及び正帯電性シリカ粒子)を付着させた。続けて、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、正帯電性のトナーTA−1が得られた。なお、正帯電性シリカ粒子としては、フュームドシリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)90G」)の表面をシリコーンオイル及びアミノシランで処理したものを用いた。
[トナーTA−2〜TA−8及びTB−1〜TB−12の作製]
第1樹脂粒子の種類、第1樹脂粒子のトナー母粒子100質量部に対する添加量(MA)、第2樹脂粒子の種類、第2樹脂粒子のトナー母粒子100質量部に対する添加量(MB)、及び外添工程の混合時間を、表1に示すとおりとしたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の方法で、トナーTA−2〜TA−8及びTB−1〜TB−12をそれぞれ作製した。トナーTA−2〜TA−8及びTB−1〜TB−12は、何れも正帯電性のトナーであった。なお、表1において、「粒子径」は、個数平均一次粒子径である。
Figure 2020008631
<埋没比の測定>
トナーTA−1〜TA−8、TB−1〜TB−10及びTB−12について、第1樹脂粒子の埋没比を測定した。また、トナーTA−1〜TA−8及びTB−1〜TB−11について、第2樹脂粒子の埋没比を測定した。埋没比の測定方法を以下に示す。
試料(トナーTA−1〜TA−8及びTB−1〜TB−12の何れか)を可視光硬化性樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)D−800」)中に分散させた後、可視光照射により樹脂を硬化させて、硬化物を得た。その後、超薄切片作製用ナイフ(住友電気工業株式会社製「スミナイフ(登録商標)」:刃幅2mm、刃先角度45°のダイヤモンドナイフ)及びウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて、切削速度0.3mm/秒で硬化物を切削することで、厚さ150nmの薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液の蒸気中に10分間暴露して、Ru染色した。続けて、染色された薄片試料の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いて撮影した。
上記のようにして得たTEM撮影像(トナー粒子の断面撮影像)を、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析した。詳しくは、得られたTEM撮影像において、無作為に10個のトナー粒子を選択した。そして、選択したトナー粒子の各々において、無作為に1個の第1樹脂粒子を選択し、選択した第1樹脂粒子について、画像解析ソフトウェアの計測ツールを用いて、トナー母粒子の径方向における埋没部分の最大長さLAと、トナー母粒子の径方向における突出部分の最大長さLBとを計測した。次いで、選択したトナー粒子の各々について、第1樹脂粒子の埋没比、即ちLA/(LA+LB)を算出した。そして、得られた10個の埋没比の算術平均を、試料(トナー)の評価値(後述する表2に示す第1樹脂粒子の埋没比)とした。なお、トナーTA−1〜TA−8、TB−1〜TB−10及びTB−12では、第1樹脂粒子がシェル層を貫通し、かつ第1樹脂粒子の一部がトナーコアの表面に埋め込まれていた。
また、上記選択したトナー粒子の各々において、無作為に1個の第2樹脂粒子を選択し、選択した第2樹脂粒子について、画像解析ソフトウェアの計測ツールを用いて、トナー母粒子の径方向における埋没部分の最大長さLAと、トナー母粒子の径方向における突出部分の最大長さLBとを計測した。次いで、選択したトナー粒子の各々について、第2樹脂粒子の埋没比、即ちLA/(LA+LB)を算出した。そして、得られた10個の埋没比の算術平均を、試料(トナー)の評価値(後述する表2に示す第2樹脂粒子の埋没比)とした。なお、トナーTA−1〜TA−8及びTB−1〜TB−11では、第2樹脂粒子がシェル層を貫通し、かつ第2樹脂粒子の一部がトナーコアの表面に埋め込まれていた。
<評価方法>
[2成分現像剤の調製]
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製カラープリンター「ECOSYS(登録商標)LS−C8650DN」用キャリア)100質量部と、試料(評価に用いるトナー)8質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
[初期帯電量]
前述の方法で2成分現像剤を調製した後、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、24時間にわたって2成分現像剤を静置した。次いで、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用い、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、回転速度60rpmの条件で、20分間にわたって、10gの2成分現像剤を攪拌した。次いで、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、2成分現像剤に含まれるトナーの帯電量(単位:μC/g)を、吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)を用いて測定した。以下、ここで測定された帯電量を、「初期帯電量E1」(又は、単に「E1」)と記載する。
初期帯電量E1が25μC/g以上であれば、画像形成に適した帯電量を確保できていると評価した。一方、初期帯電量E1が25μC/g未満の場合、画像形成に適した帯電量を確保できていないと評価した。
[帯電量の変動]
評価機としてカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)LS−C8650DN」)を用いた。前述の方法で調製した2成分現像剤を評価機のシアン用現像装置に投入した。次いで、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて白紙画像を印刷用紙(A4サイズ)に1000枚連続で出力することにより、評価機のシアン用現像装置を駆動させた。次いで、評価機のシアン用現像装置から2成分現像剤を取り出した後、温度25℃かつ湿度50%RHの環境下、取り出された2成分現像剤に含まれるトナーの帯電量(単位:μC/g)を、吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)を用いて測定した。以下、ここで測定された帯電量を、「駆動後の帯電量E2」(又は、単に「E2」)と記載する。
前述の方法で得られた初期帯電量E1と、駆動後の帯電量E2とから、次の式に基づいて、帯電量比を求めた。
帯電量比=E1/E2
帯電量比が0.80以上であれば帯電量の変動を抑制できていると評価した。一方、帯電量比が0.80未満の場合、帯電量の変動を抑制できていないと評価した。
トナーTA−1〜TA−8及びTB−1〜TB−12のそれぞれについて、第1樹脂粒子の埋没比、第2樹脂粒子の埋没比、初期帯電量E1及び帯電量比を表2に示す。なお、表2において、「−」は、トナー中に測定対象が含まれていなかったため、測定できなかったことを意味する。
Figure 2020008631
トナーTA−1〜TA−8は、上述した基本構成を備えていた。詳しくは、トナーTA−1〜TA−8では、トナー粒子が、結着樹脂を含むトナー母粒子と、トナー母粒子に付着した外添剤とを備えていた。表1に示すように、トナーTA−1〜TA−8では、外添剤が、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子とを含んでいた。トナーTA−1〜TA−8では、MTが0.5質量部以上1.5質量部以下であった。トナーTA−1〜TA−8では、質量比(MB/MA)が1.0以上4.0以下であった。表2に示すように、トナーTA−1〜TA−8では、第1樹脂粒子の埋没比が0.30以上0.60以下であった。トナーTA−1〜TA−8では、第2樹脂粒子の埋没比が0.30以上0.60以下であった。
表2に示すように、トナーTA−1〜TA−8では、初期帯電量E1が25μC/g以上であった。よって、トナーTA−1〜TA−8は、画像形成に適した帯電量を確保できていた。トナーTA−1〜TA−8では、帯電量比が0.80以上であった。よって、トナーTA−1〜TA−8は、帯電量の変動を抑制できていた。
表1に示すように、トナーTB−1では、第1樹脂粒子の個数平均一次粒子径が50nmを超えていた。トナーTB−2では、第2樹脂粒子の個数平均一次粒子径が80nm未満であった。トナーTB−3では、第2樹脂粒子の個数平均一次粒子径が135nmを超えていた。トナーTB−4では、MTが0.5質量部未満であった。トナーTB−5では、MTが1.5質量部を超えていた。トナーTB−6では、質量比(MB/MA)が1.0未満であった。トナーTB−7では、質量比(MB/MA)が4.0を超えていた。トナーTB−11では、外添剤が個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子を含んでいなかった。トナーTB−12では、外添剤が個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子を含んでいなかった。
表2に示すように、トナーTB−8では、第1樹脂粒子の埋没比が0.30未満であった。トナーTB−9では、第1樹脂粒子の埋没比及び第2樹脂粒子の埋没比が、何れも0.60を超えていた。トナーTB−10では、第2樹脂粒子の埋没比が0.30未満であった。
表2に示すように、トナーTB−1、TB−3及びTB−5では、初期帯電量E1が25μC/g未満であった。よって、トナーTB−1、TB−3及びTB−5は、画像形成に適した帯電量を確保できていなかった。トナーTB−2及びTB−4〜TB−12では、帯電量比が0.80未満であった。よって、トナーTB−2及びTB−4〜TB−12は、帯電量の変動を抑制できていなかった。
以上の結果から、本発明によれば、画像形成に適した帯電量を確保しつつ、帯電量の変動を抑制できるトナーを提供できることが示された。
本発明に係るトナーは、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために利用することができる。
10 トナー粒子
11 トナー母粒子
12 第1樹脂粒子
12A 埋没部分
12B 突出部分
13 第2樹脂粒子

Claims (5)

  1. トナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、結着樹脂を含むトナー母粒子と、前記トナー母粒子に付着した外添剤とを備え、
    前記外添剤は、個数平均一次粒子径30nm以上50nm以下の第1樹脂粒子と、個数平均一次粒子径80nm以上135nm以下の第2樹脂粒子とを含み、
    前記第1樹脂粒子及び前記第2樹脂粒子は、何れも、前記トナー母粒子の表面に埋め込まれている埋没部分と、前記トナー母粒子の径方向外側に突出する突出部分とを含み、
    前記第1樹脂粒子の断面及び前記第2樹脂粒子の断面において、前記トナー母粒子の径方向における前記埋没部分の最大長さをLAとし、前記トナー母粒子の径方向における前記突出部分の最大長さをLBとしたとき、0.30≦LA/(LA+LB)≦0.60の関係を満たし、
    前記第1樹脂粒子及び前記第2樹脂粒子の合計質量は、前記トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上1.5質量部以下であり、
    前記第1樹脂粒子の質量に対する前記第2樹脂粒子の質量の比は、1.0以上4.0以下である、トナー。
  2. 前記トナー母粒子は、前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを備え、
    前記シェル層は、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を含有する、請求項1に記載のトナー。
    Figure 2020008631
    (前記式(1)中、R1は、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表す。)
  3. 前記第1樹脂粒子及び前記第2樹脂粒子は、何れも架橋樹脂を含む、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記架橋樹脂は、スチレン系単量体と、アクリル酸系単量体と、2個以上の不飽和結合を有する架橋剤との重合物である、請求項3に記載のトナー。
  5. 前記2個以上の不飽和結合を有する架橋剤は、ジビニルベンゼンである、請求項4に記載のトナー。
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