JP2022024530A - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温定着性及び離型性を確保しつつ、耐熱保存性に優れるトナー及びその製造方法を提供する。【解決手段】トナーは、トナー粒子を含む。トナー粒子は、トナー母粒子10を含む。トナー母粒子10は、結着樹脂及び離型剤を含むトナーコア11と、トナーコア11の表面に存在するシェル層12とを備える。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。シェル層12は、特定重合物を含有する。シェル層12には、複数個の貫通孔12Aが形成されている。複数個の貫通孔12Aの平均開口径は、50nm以上98nm以下である。走査型電子顕微鏡で撮影されたトナー母粒子10の表面撮影像において、複数個の貫通孔12Aが占める面積割合は、2.0%以上10.0%以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、トナー及びその製造方法に関する。
カプセルトナー粒子を含むトナーが知られている(例えば、特許文献1参照)。カプセルトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。トナーコアをシェル層で覆うことで、耐熱保存性に優れるトナーを得ることができる。
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、低温定着性及び離型性を確保しつつ、耐熱保存性に優れるトナーを得ることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温定着性及び離型性を確保しつつ、耐熱保存性に優れるトナー及びその製造方法を提供することである。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を含む。前記トナー粒子は、トナー母粒子を含む。前記トナー母粒子は、結着樹脂及び離型剤を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面に存在するシェル層とを備える。前記シェル層には、複数個の貫通孔が形成されている。前記複数個の貫通孔の平均開口径は、50nm以上98nm以下である。走査型電子顕微鏡で撮影された前記トナー母粒子の表面撮影像において、前記複数個の貫通孔が占める面積割合は、2.0%以上10.0%以下である。前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。前記シェル層は、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を含有する。
前記式(1)中、R1は、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表す。
本発明に係るトナーの製造方法は、樹脂層形成工程と、貫通孔形成工程とを備える。前記樹脂層形成工程では、トナーコアの表面全域に、前記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物とポリアクリル酸とを含有する樹脂層を形成する。前記貫通孔形成工程では、前記樹脂層が形成された粒子を含む粒子分散液のpHを、8以上9以下に調整することにより、複数個の貫通孔を形成する。
本発明によれば、低温定着性及び離型性を確保しつつ、耐熱保存性に優れるトナー及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。まず、本明細書中で使用される用語について説明する。トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粒子(より詳しくは、粒子の粉体)の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いて測定した、体積基準のメディアン径である。粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM-7401F」)及び画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて測定した、100個の一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。なお、粒子の個数平均一次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均一次粒子径(粉体の個数平均一次粒子径)を指す。
帯電性の強さは、何ら規定していなければ、摩擦帯電のし易さである。例えば、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電極性トナー用標準キャリア:N-01、正帯電極性トナー用標準キャリア:P-01)と測定対象(例えばトナー)とを混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)で測定対象の帯電量を測定する。摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
軟化点(Tm)の測定値は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT-500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。ガラス転移点(Tg)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC-6220」)を用いて「JIS(日本産業規格)K7121-2012」に従って測定した値である。示差走査熱量計で測定された吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)において、ガラス転移に起因する変曲点の温度(詳しくは、ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点の温度)が、Tg(ガラス転移点)に相当する。
酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本産業規格)K0070-1992」で規定された中和滴定法に従い測定した値である。
「有機基(より具体的には、アルキル基等)がフェニル基で置換されていてもよい」とは、有機基の水素原子の一部又は全部がフェニル基で置換されていてもよいことを意味する。
「炭素原子数1以上6以下のアルキル基」は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びn-ヘキシル基が挙げられる。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
<第1実施形態:トナー>
本発明の第1実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して、2成分現像剤を調製してもよい。
本発明の第1実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して、2成分現像剤を調製してもよい。
第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、トナー母粒子を含む。トナー母粒子は、結着樹脂及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面に存在するシェル層とを備える。シェル層には、複数個の貫通孔が形成されている。複数個の貫通孔の平均開口径は、50nm以上98nm以下である。走査型電子顕微鏡で撮影されたトナー母粒子の表面撮影像において、複数個の貫通孔が占める面積割合は、2.0%以上10.0%以下である。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。シェル層は、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を含有する。
式(1)中、R1は、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表す。
以下、複数個の貫通孔の平均開口径(単位:nm)を、「平均貫通孔径」と記載することがある。また、走査型電子顕微鏡で撮影されたトナー母粒子の表面撮影像において、複数個の貫通孔が占める面積割合(単位:%)を、「貫通孔面積割合」と記載することがある。平均貫通孔径の測定方法、及び貫通孔面積割合の測定方法は、各々、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。また、式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を、「特定重合物」と記載することがある。
第1実施形態に係るトナーは、低温定着性及び離型性を確保しつつ、耐熱保存性に優れる。その理由は、以下のように推測される。
第1実施形態に係るトナーでは、シェル層に、平均貫通孔径50nm以上の貫通孔が複数個形成されている。更に、第1実施形態に係るトナーでは、貫通孔面積割合が2.0%以上である。これらのことから、第1実施形態に係るトナーでは、トナーの定着時において、シェル層に形成された複数個の貫通孔を起点としてシェル層が比較的容易に破壊されるため、比較的低温で溶融するポリエステル樹脂と離型剤とを含むトナーコアの表面(シェル層で覆われていた表面)が露出し易くなる。従って、第1実施形態に係るトナーは、低温定着性及び離型性を確保できる。
また、第1実施形態に係るトナーでは、平均貫通孔径の上限が98nmであり、かつ貫通孔面積割合の上限が10.0%である。このため、高温環境下でトナーを保管しても、シェル層に形成された複数個の貫通孔からのポリエステル樹脂及び離型剤の染み出しを抑制できる。更に、第1実施形態に係るトナーでは、トナーコアの表面に存在するシェル層が、比較的耐熱性に優れる特定重合物を含有する。これらのことから、第1実施形態に係るトナーは、高温環境下におけるトナー粒子の凝集が抑制されるため、耐熱保存性に優れる。
第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、外添剤を備えていてもよい。トナー粒子が外添剤を備える場合には、トナー粒子は、トナーコア及びシェル層を有するトナー母粒子と、外添剤とを備える。外添剤はトナー母粒子の表面に付着する。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
トナーコアは、結着樹脂及び離型剤に加え、必要に応じて、離型剤以外の内添剤(例えば、着色剤、電荷制御剤及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有してもよい。
第1実施形態において、低温定着性及び離型性をより容易に確保しつつ、耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、平均貫通孔径は、51nm以上97nm以下であることが好ましい。
第1実施形態において、低温定着性及び離型性をより容易に確保しつつ、耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、貫通孔面積割合は、2.2%以上9.2%以下であることが好ましい。
第1実施形態において、低温定着性をより容易に確保するためには、トナーの軟化点(Tm)が90℃以下であることが好ましい。また、第1実施形態において、耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、トナーの軟化点(Tm)が80℃以上であることが好ましい。トナーのTmは、例えば、結着樹脂のTm、及びシェル層の構成材料のうち、少なくとも1つを変更することにより調整できる。
第1実施形態において、低温定着性及び離型性をより容易に確保しつつ、耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、シェル層の厚さは、1nm以上20nm以下であることが好ましく、3nm以上10nm以下であることがより好ましい。シェル層の厚さの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
以下、第1実施形態に係るトナーの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
[トナー粒子の構成]
以下、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(より具体的には、トナー母粒子)の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー母粒子の断面構造の一例を示す断面図である。図2は、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー母粒子の表面構造の一例を示す部分平面図である。
以下、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(より具体的には、トナー母粒子)の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー母粒子の断面構造の一例を示す断面図である。図2は、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー母粒子の表面構造の一例を示す部分平面図である。
図1に示すトナー母粒子10は、結着樹脂及び離型剤を含むトナーコア11と、トナーコア11の表面に存在するシェル層12とを備える。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。シェル層12は、特定重合物を含有する。また、シェル層12には、複数個の貫通孔12Aが形成されている。なお、貫通孔12Aがシェル層12を貫通していることは、例えば、シェル層12の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより確認できる。
複数個の貫通孔12Aの平均開口径(平均貫通孔径)は、50nm以上98nm以下である。平均貫通孔径は、図2に示す貫通孔12Aの開口縁12Bにより形成される開口面の円相当径(開口面と同じ面積を有する円の直径)の平均値である。なお、貫通孔12Aの開口面の形状は限定されない。貫通孔12Aの開口面の形状としては、例えば、真円状、楕円状、多角形状、及び異形状が挙げられる。
また、走査型電子顕微鏡で撮影されたトナー母粒子10の表面撮影像において、複数個の貫通孔12Aが占める面積割合(貫通孔面積割合)は、2.0%以上10.0%以下である。
図1及び図2に示されるトナー母粒子10では、トナーコア11の表面領域のうちシェル層12が覆っている領域の面積割合が、90.0%以上98.0%以下である。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナーコア11の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
以上、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(より具体的には、トナー母粒子)の構成の一例について説明した。
[トナー粒子の要素]
次に、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
次に、第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
(結着樹脂)
トナーコアは、例えば全成分の80質量%以上を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、Tg等)を調整することができる。
トナーコアは、例えば全成分の80質量%以上を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、Tg等)を調整することができる。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。結着樹脂は、ポリエステル樹脂以外の樹脂(他の樹脂)を含んでもよい。他の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N-ビニル樹脂等)、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン-アクリル酸エステル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂等)も、他の樹脂として使用できる。
低温定着性をより容易に確保するためには、ポリエステル樹脂の量は、結着樹脂の全量に対して、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
後述する繰返し単位(1-1)中のオキサゾリン基との反応性を高めるためには、ポリエステル樹脂の酸価は、13.0mgKOH/g以上21.0mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、一種以上の多価アルコールと一種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するための多価アルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、脂肪族ジオール、ビスフェノール等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するための多価カルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体(より具体的には、多価カルボン酸の無水物、多価カルボン酸ハライド等)を使用してもよい。
脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、α,ω-アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,12-ドデカンジオール等)、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノールの好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、1,10-デカンジカルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、トナーコア中の着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、トナーコア中の着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、例えばイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有する。離型性をより容易に確保するためには、トナーコア中の離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、離型剤を含有する。離型性をより容易に確保するためには、トナーコア中の離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、エステルワックス、ポリオレフィンワックス(より具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、マイクロクリスタリンワックス、フッ素樹脂ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、及びカスターワックスが挙げられる。エステルワックスとしては、天然エステルワックス(より具体的には、カルナバワックス、ライスワックス等)、及び合成エステルワックスが挙げられる。第1実施形態では、一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。離型性をより容易に確保するためには、離型剤としては、パラフィンワックスが好ましい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性に優れるトナーを得るために使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性に優れるトナーを得るために使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性(正帯電性)を強めることができる。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性(負帯電性)を強めることができる。
正帯電性の電荷制御剤の例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2-オキサジン、1,3-オキサジン、1,4-オキサジン、1,2-チアジン、1,3-チアジン、1,4-チアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-オキサジアジン、1,3,4-オキサジアジン、1,2,6-オキサジアジン、1,3,4-チアジアジン、1,3,5-チアジアジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、1,2,4,6-オキサトリアジン、1,3,4,5-オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ-ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩;4級アンモニウムカチオン基を含む樹脂が挙げられる。これらの電荷制御剤の一種のみを使用してもよく、二種以上の電荷制御剤を組み合わせて使用してもよい。
負帯電性の電荷制御剤の例としては、キレート化合物である有機金属錯体が挙げられる。有機金属錯体としては、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、及びこれらの塩からなる群より選択される一種以上が好ましい。
帯電安定性に優れるトナーを得るためには、トナーコア中の電荷制御剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)が挙げられる。第1実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)が挙げられる。第1実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
(シェル層)
次に、シェル層について説明する。シェル層は、特定重合物を含有する。特定重合物は、上述した式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)である。
次に、シェル層について説明する。シェル層は、特定重合物を含有する。特定重合物は、上述した式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)である。
化合物(1)を表す式(1)中のR1の好適な例としては、水素原子、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基が挙げられる。耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、R1としては、水素原子が好ましい。
特定重合物は、化合物(1)と、他のビニル化合物とを共重合させた重合物であってもよい。なお、ビニル化合物は、ビニル基(CH2=CH-)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物(より具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等)である。ビニル化合物は、上記ビニル基等に含まれる炭素-炭素二重結合(C=C)により付加重合して、高分子(ビニル樹脂)になり得る。
耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、他のビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(より具体的には、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル)、及びスチレン系単量体(より具体的には、スチレン)からなる群より選択される一種以上のビニル化合物が好ましい。
他のビニル化合物として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いる場合、シェル層を容易に形成するためには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(より具体的には、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等)、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される一種以上が好ましい。
化合物(1)は、付加重合により下記式(1-1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1-1)と記載することがある)を形成する。下記式(1-1)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。
繰返し単位(1-1)は、未開環のオキサゾリン基を有する。未開環のオキサゾリン基は、環状構造を有し、強い正帯電性を示す。未開環のオキサゾリン基は、カルボキシ基、芳香族性スルファニル基、及び芳香族性ヒドロキシ基と反応し易い。例えば、シェル層の形成中に繰返し単位(1-1)がトナーコア中のポリエステル樹脂のカルボキシ基と反応すると、オキサゾリン基が開環し、下記式(1-2)に示すようにアミド結合及びエステル結合が形成される。こうした結合が形成されることで、トナーコアとシェル層との結合が強固になり、トナーコアからのシェル層の脱離が抑制されることになる。なお、下記式(1-2)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。また、下記式(1-2)中の*は、トナーコア中の原子、又はシェル層中の特定重合物以外の構成材料(より具体的には、後述するポリアクリル酸等)の原子に結合する部位を表す。
第1実施形態に係るトナーが正帯電性トナーである場合、トナーの正帯電性を安定して維持しつつ、トナーコアからのシェル層の脱離を抑制するためには、特定重合物は、繰返し単位(1-1)と、式(1-2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1-2)と記載することがある)とを有するビニル樹脂であることが好ましい。以下、繰返し単位(1-1)と繰返し単位(1-2)とを少なくとも含む樹脂を、特定ビニル樹脂と記載することがある。
特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-1)の割合(モル比)が高くなるほど、特定ビニル樹脂の正帯電性(ひいてはトナーの正帯電性)が高くなる傾向がある。一方、特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-2)の割合(モル比)が高くなるほど、トナーコアとシェル層との結合が強固になる傾向がある。特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-1)と繰返し単位(1-2)とのモル比は、例えば、トナーコア中のポリエステル樹脂の酸価を変更することにより調整できる。
シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1-2)が形成されたことを確認する方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。詳しくは、所定量のトナー粒子(試料)を溶剤に溶解させる。得られた溶液をNMR(核磁気共鳴)測定用試験管に入れ、NMR装置を用いて1H-NMRスペクトルを測定する。トナー粒子が繰返し単位(1-2)を有する場合、1H-NMRスペクトルでは、化学シフトδ6.5付近に、第2級アミドに由来する三重線(トリプレット)のシグナルが出現する。よって、得られた1H-NMRスペクトルにおいて、化学シフトδ6.5付近に三重線のシグナルが確認されれば、シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1-2)が形成されたと推定される。1H-NMRスペクトルの測定条件の一例としては、以下に示す条件が挙げられる。
(1H-NMRスペクトルの測定条件の一例)
NMR装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT-NMR)(日本電子株式会社製「JNM-AL400」)
NMR測定用試験管:5mm試験管
溶剤:重水素化クロロホルム(1mL)
試料温度:20℃
試料質量:20mg
積算回数:128回
化学シフトの内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
NMR装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT-NMR)(日本電子株式会社製「JNM-AL400」)
NMR測定用試験管:5mm試験管
溶剤:重水素化クロロホルム(1mL)
試料温度:20℃
試料質量:20mg
積算回数:128回
化学シフトの内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、特定ビニル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位を更に含むことが好ましい。耐熱保存性に更に優れるトナーを得るためには、特定ビニル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位の一種以上、繰返し単位(1-1)及び繰返し単位(1-2)のみを繰返し単位として含むことが好ましい。
シェル層に特定ビニル樹脂を含有させるための原料としては、例えばオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」)を使用できる。このうち、「エポクロスWS-300」は、2-ビニル-2-オキサゾリン(化合物(1)の一種)と、メタクリル酸メチルとの共重合体(共重合体を形成する単量体の質量比:メタクリル酸メチル/2-ビニル-2-オキサゾリン=1/9)を含む。また、「エポクロスWS-700」は、2-ビニル-2-オキサゾリンと、メタクリル酸メチルと、アクリル酸ブチルとの共重合体(共重合体を形成する単量体の質量比:メタクリル酸メチル/2-ビニル-2-オキサゾリン/アクリル酸ブチル=4/5/1)を含む。
貫通孔を容易に形成するためには、シェル層が、特定重合物以外の構成材料として、ポリアクリル酸を含有することが好ましい。シェル層の構成材料として特定重合物及びポリアクリル酸を用いた場合の貫通孔の形成方法は、後述する。
低温定着性及び離型性をより容易に確保しつつ、耐熱保存性により優れるトナーを得るためには、ポリアクリル酸の量は、特定重合物100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、90質量部以上190質量部以下であることがより好ましい。以下、特定重合物100質量部に対するポリアクリル酸の量(単位:質量部)を、「ポリアクリル酸量」と記載することがある。なお、複数種の特定重合物を使用する場合、ポリアクリル酸量は、複数種の特定重合物の合計100質量部に対するポリアクリル酸の量(単位:質量部)である。
(外添剤)
トナー粒子は、外添剤を更に備えてもよい。外添剤の外添方法としては、例えば、上述した図1に示すトナー母粒子10(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子10の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
トナー粒子は、外添剤を更に備えてもよい。外添剤の外添方法としては、例えば、上述した図1に示すトナー母粒子10(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子10の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。流動性に優れるトナーを得るためには、外添剤粒子として、個数平均一次粒子径5nm以上50nm以下の無機粒子(粉体)を使用することが好ましい。第1実施形態では、一種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(より具体的には、鎖状シラザン化合物、環状シラザン化合物等)、及びシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)が挙げられる。表面処理剤としては、シランカップリング剤及びシラザン化合物からなる群より選ばれる一種以上が特に好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン等)が挙げられる。シラザン化合物の好適な例としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)が挙げられる。シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数のヒドロキシ基(-OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、ヒドロキシ基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
(材料の好適な組合せ)
低温定着性及び離型性を更に容易に確保しつつ、耐熱保存性に更に優れるトナーを得るためには、トナーの構成材料が、下記条件1を満たすことが好ましく、下記条件2を満たすことがより好ましく、下記条件3を満たすことが更に好ましい。
条件1:シェル層が、特定ビニル樹脂とポリアクリル酸とから構成されている(特定ビニル樹脂及びポリアクリル酸のみで構成されている)。
条件2:上記条件1を満たし、かつ特定ビニル樹脂が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位の一種以上、繰返し単位(1-1)及び繰返し単位(1-2)のみを繰返し単位として含む。
条件3:上記条件2を満たし、かつ離型剤がパラフィンワックスである。
低温定着性及び離型性を更に容易に確保しつつ、耐熱保存性に更に優れるトナーを得るためには、トナーの構成材料が、下記条件1を満たすことが好ましく、下記条件2を満たすことがより好ましく、下記条件3を満たすことが更に好ましい。
条件1:シェル層が、特定ビニル樹脂とポリアクリル酸とから構成されている(特定ビニル樹脂及びポリアクリル酸のみで構成されている)。
条件2:上記条件1を満たし、かつ特定ビニル樹脂が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位の一種以上、繰返し単位(1-1)及び繰返し単位(1-2)のみを繰返し単位として含む。
条件3:上記条件2を満たし、かつ離型剤がパラフィンワックスである。
<第2実施形態:トナーの製造方法>
次に、図3(a)及び(b)を参照して、本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。図3(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法の一例を工程ごとに示す断面図である。本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法は、上述した第1実施形態に係るトナーの好適な製造方法である。以下、上述した第1実施形態に係るトナーと重複する構成要素については説明を省略する。なお、参照する図3(a)及び(b)は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、図3(a)及び(b)において、図1に示される構成要素と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
次に、図3(a)及び(b)を参照して、本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。図3(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法の一例を工程ごとに示す断面図である。本発明の第2実施形態に係るトナーの製造方法は、上述した第1実施形態に係るトナーの好適な製造方法である。以下、上述した第1実施形態に係るトナーと重複する構成要素については説明を省略する。なお、参照する図3(a)及び(b)は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、図3(a)及び(b)において、図1に示される構成要素と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
[トナーコア11の調製工程]
まず、トナーコア11の調製工程について説明する。トナーコア11の調製工程では、凝集法又は粉砕法によりトナーコア11を調製する。
まず、トナーコア11の調製工程について説明する。トナーコア11の調製工程では、凝集法又は粉砕法によりトナーコア11を調製する。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、トナーコア11を構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナーコア11を形成する。
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易にトナーコア11を調製できる上、製造コストの低減が可能である。粉砕法でトナーコア11を調製する場合、トナーコア11の調製工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。トナーコア11の調製工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、トナーコア11の調製工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
混合工程では、結着樹脂と、離型剤と、必要に応じて添加する他の内添剤とを混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、トナー材料を溶融し混練して、溶融混練物を得る。トナー材料としては、例えば混合工程で得られる混合物が用いられる。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒子径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物であるトナーコア11が得られる。
[トナー母粒子10の調製工程]
次に、トナー母粒子10の調製工程について、シェル層12の構成材料として特定重合物及びポリアクリル酸を用いる場合を例に説明する。以下に説明するトナー母粒子10の調製工程は、樹脂層形成工程と、貫通孔形成工程とを備える。
次に、トナー母粒子10の調製工程について、シェル層12の構成材料として特定重合物及びポリアクリル酸を用いる場合を例に説明する。以下に説明するトナー母粒子10の調製工程は、樹脂層形成工程と、貫通孔形成工程とを備える。
(樹脂層形成工程)
樹脂層形成工程では、図3(a)に示すように、トナーコア11の表面全域に、特定重合物とポリアクリル酸とを含む樹脂層21を形成する。以下、樹脂層21の形成方法の一例を説明する。まず、反応容器に、水(例えばイオン交換水)と、オキサゾリン基含有高分子水溶液と、ポリアクリル酸水溶液と、トナーコア11とを入れる。次いで、容器内容物を攪拌しながら、容器内温を、設定温度(例えば50℃以上70℃以下の温度)になるまで昇温させる。この際の昇温速度は、例えば0.4℃/分以上0.6℃/分以下である。容器内温を昇温させる際、容器内容物のpHを調整するために、容器にアンモニア水溶液を入れてもよい。
樹脂層形成工程では、図3(a)に示すように、トナーコア11の表面全域に、特定重合物とポリアクリル酸とを含む樹脂層21を形成する。以下、樹脂層21の形成方法の一例を説明する。まず、反応容器に、水(例えばイオン交換水)と、オキサゾリン基含有高分子水溶液と、ポリアクリル酸水溶液と、トナーコア11とを入れる。次いで、容器内容物を攪拌しながら、容器内温を、設定温度(例えば50℃以上70℃以下の温度)になるまで昇温させる。この際の昇温速度は、例えば0.4℃/分以上0.6℃/分以下である。容器内温を昇温させる際、容器内容物のpHを調整するために、容器にアンモニア水溶液を入れてもよい。
容器内温を昇温させる間に、トナーコア11の表面全域を覆う樹脂層21が形成され、トナーコア11と樹脂層21とを備える樹脂層被覆粒子20(図3(a)参照)が得られる。詳しくは、容器内温が設定温度に到達するまでの間に、オキサゾリン基含有高分子のオキサゾリン基の一部が、例えばトナーコア11の表面に存在するカルボキシ基の一部及びポリアクリル酸中のカルボキシ基の一部と反応することで開環する。このオキサゾリン基の開環と共に、トナーコア11と樹脂層21との間、及びオキサゾリン基含有高分子とポリアクリル酸との間の各々に、アミド結合及びエステル結合が形成される。
(貫通孔形成工程)
貫通孔形成工程では、樹脂層被覆粒子20を含む粒子分散液のpHを、8以上9以下に調整することにより、複数個の貫通孔12Aを形成する。例えば、樹脂層形成工程において、容器内温が設定温度に到達した後の容器内容物(樹脂層被覆粒子20を含む粒子分散液)に、アルカリ性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を加えて、容器内容物のpHを、8以上9以下に調整する。容器内容物のpHを8以上9以下に調整することにより、オキサゾリン基含有高分子とポリアクリル酸との間の結合の一部が開裂し、開裂した箇所を起点として、樹脂層21の一部が除去される。その結果、複数個の貫通孔12Aが形成され、トナーコア11とシェル層12(図3(b)参照)とを備えるトナー母粒子10の分散液が得られる。平均貫通孔径を50nm以上98nm以下の範囲に容易に調整し、かつ貫通孔面積割合を2.0%以上10.0%以下の範囲に容易に調整するためには、容器内温を設定温度に保ちつつ、所定時間(例えば30分以上120分以下の時間)、容器内容物(粒子分散液)を攪拌することが好ましい。
貫通孔形成工程では、樹脂層被覆粒子20を含む粒子分散液のpHを、8以上9以下に調整することにより、複数個の貫通孔12Aを形成する。例えば、樹脂層形成工程において、容器内温が設定温度に到達した後の容器内容物(樹脂層被覆粒子20を含む粒子分散液)に、アルカリ性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を加えて、容器内容物のpHを、8以上9以下に調整する。容器内容物のpHを8以上9以下に調整することにより、オキサゾリン基含有高分子とポリアクリル酸との間の結合の一部が開裂し、開裂した箇所を起点として、樹脂層21の一部が除去される。その結果、複数個の貫通孔12Aが形成され、トナーコア11とシェル層12(図3(b)参照)とを備えるトナー母粒子10の分散液が得られる。平均貫通孔径を50nm以上98nm以下の範囲に容易に調整し、かつ貫通孔面積割合を2.0%以上10.0%以下の範囲に容易に調整するためには、容器内温を設定温度に保ちつつ、所定時間(例えば30分以上120分以下の時間)、容器内容物(粒子分散液)を攪拌することが好ましい。
平均貫通孔径及び貫通孔面積割合は、各々、例えば、ポリエステル樹脂(結着樹脂)の種類、特定重合物の種類、ポリアクリル酸量、貫通孔形成工程における粒子分散液のpH、貫通孔形成工程における粒子分散液の攪拌時間、及び貫通孔形成工程における設定温度のうち、少なくとも1つを変更することにより調整できる。
[洗浄工程及び乾燥工程]
続いて、得られた分散液中のトナー母粒子10をイオン交換水で洗浄した後、例えば連続式表面改質装置を用いてトナー母粒子10を乾燥させる。これにより、トナー母粒子10の粉体が得られる。
続いて、得られた分散液中のトナー母粒子10をイオン交換水で洗浄した後、例えば連続式表面改質装置を用いてトナー母粒子10を乾燥させる。これにより、トナー母粒子10の粉体が得られる。
[外添工程]
その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、得られたトナー母粒子10と外添剤(図示せず)とを混合して、トナー母粒子10の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、トナー母粒子10に外添剤を付着させずに、トナー母粒子10をトナー粒子として使用してもよい。こうして、上述した第1実施形態に係るトナー(トナー粒子の粉体)が得られる。
その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、得られたトナー母粒子10と外添剤(図示せず)とを混合して、トナー母粒子10の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、トナー母粒子10に外添剤を付着させずに、トナー母粒子10をトナー粒子として使用してもよい。こうして、上述した第1実施形態に係るトナー(トナー粒子の粉体)が得られる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。また、Tg(ガラス転移点)、及びTm(軟化点)の測定方法は、各々、次に示すとおりである。
<Tgの測定方法>
測定装置として、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC-6220」)を用いた。試料(ポリエステル樹脂)55mgをアルミ皿(アルミニウム製の容器)に入れて、そのアルミ皿を測定装置の測定部にセットした。また、リファレンスとして空のアルミ皿を使用した。次いで、測定部の温度を、測定開始温度である-20℃から170℃まで10℃/分の速度で昇温させた(第1回目の昇温:RUN1)。その後、測定部の温度を170℃から-20℃まで10℃/分の速度で降温させた。続けて、測定部の温度を再び-20℃から170℃まで10℃/分の速度で昇温させた(第2回目の昇温:RUN2)。RUN2により、試料の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)を得た。得られた吸熱曲線から、試料のTgを読み取った。吸熱曲線中、ガラス転移に起因する変曲点(詳しくは、ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
測定装置として、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC-6220」)を用いた。試料(ポリエステル樹脂)55mgをアルミ皿(アルミニウム製の容器)に入れて、そのアルミ皿を測定装置の測定部にセットした。また、リファレンスとして空のアルミ皿を使用した。次いで、測定部の温度を、測定開始温度である-20℃から170℃まで10℃/分の速度で昇温させた(第1回目の昇温:RUN1)。その後、測定部の温度を170℃から-20℃まで10℃/分の速度で降温させた。続けて、測定部の温度を再び-20℃から170℃まで10℃/分の速度で昇温させた(第2回目の昇温:RUN2)。RUN2により、試料の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)を得た。得られた吸熱曲線から、試料のTgを読み取った。吸熱曲線中、ガラス転移に起因する変曲点(詳しくは、ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT-500D」)に、試料(ポリエステル樹脂及びトナーのいずれか)を充填した。続いて、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を得た。得られたS字カーブから試料の軟化点を読み取った。S字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2としたときに、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料の軟化点(Tm)に相当する。
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT-500D」)に、試料(ポリエステル樹脂及びトナーのいずれか)を充填した。続いて、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を得た。得られたS字カーブから試料の軟化点を読み取った。S字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2としたときに、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料の軟化点(Tm)に相当する。
<結着樹脂の合成>
以下、結着樹脂として使用するポリエステル樹脂P1~P4の合成方法について、それぞれ説明する。
以下、結着樹脂として使用するポリエステル樹脂P1~P4の合成方法について、それぞれ説明する。
[ポリエステル樹脂P1の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、エチレングリコール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸10.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P1を得た。ポリエステル樹脂P1は、酸価が16.5mgKOH/gであり、Tgが44℃であり、Tmが84℃であった。
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、エチレングリコール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸10.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P1を得た。ポリエステル樹脂P1は、酸価が16.5mgKOH/gであり、Tgが44℃であり、Tmが84℃であった。
[ポリエステル樹脂P2の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、エチレングリコール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸5.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P2を得た。ポリエステル樹脂P2は、酸価が20.8mgKOH/gであり、Tgが43℃であり、Tmが80℃であった。
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、エチレングリコール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸5.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P2を得た。ポリエステル樹脂P2は、酸価が20.8mgKOH/gであり、Tgが43℃であり、Tmが80℃であった。
[ポリエステル樹脂P3の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、1,2-プロパンジオール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸10.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P3を得た。ポリエステル樹脂P3は、酸価が15.1mgKOH/gであり、Tgが43℃であり、Tmが89℃であった。
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、1,2-プロパンジオール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸10.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P3を得た。ポリエステル樹脂P3は、酸価が15.1mgKOH/gであり、Tgが43℃であり、Tmが89℃であった。
[ポリエステル樹脂P4の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、1,2-プロパンジオール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸20.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P4を得た。ポリエステル樹脂P4は、酸価が13.8mgKOH/gであり、Tgが43℃であり、Tmが93℃であった。
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、テレフタル酸1500gと、イソフタル酸1500gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)1200gと、1,2-プロパンジオール800gとを投入した。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコ内温が250℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、温度250℃の条件で、フラスコ内容物を4時間反応させた。次いで、フラスコ内に、三酸化アンチモン0.8gと、トリフェニルホスフェート0.5gと、テトラ-n-ブチルチタネート0.1gとを投入した。次いで、フラスコ内部の圧力を8kPaに減圧し、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた後、温度280℃の条件で、フラスコ内容物を6時間反応させた。次いで、フラスコ内部の圧力を常圧(101kPa)に戻し、フラスコ内温を230℃まで降下させた後、フラスコ内に、トリメリット酸20.0gを投入した。次いで、温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内容物を冷却し、ポリエステル樹脂P4を得た。ポリエステル樹脂P4は、酸価が13.8mgKOH/gであり、Tgが43℃であり、Tmが93℃であった。
<トナーTA-1の作製>
[トナーコアの調製工程]
90質量部のポリエステル樹脂P1と、5質量部の着色剤(三菱ケミカル株式会社製「MA100」、成分:カーボンブラック)と、5質量部の離型剤(日本精蝋株式会社製「HNP-9」、成分:パラフィンワックス)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に投入し、上記FMミキサーを用いて、投入された材料を回転速度2400rpmで3分間混合した。
[トナーコアの調製工程]
90質量部のポリエステル樹脂P1と、5質量部の着色剤(三菱ケミカル株式会社製「MA100」、成分:カーボンブラック)と、5質量部の離型剤(日本精蝋株式会社製「HNP-9」、成分:パラフィンワックス)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に投入し、上記FMミキサーを用いて、投入された材料を回転速度2400rpmで3分間混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度150rpm、シリンダー温度150℃の条件で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を冷却した。続けて、冷却された溶融混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)7.0μmのトナーコアが得られた。
[トナー母粒子の調製工程]
(樹脂層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水100mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いでフラスコ内に、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)4gと、第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)4gと、ポリアクリル酸水溶液(株式会社日本触媒製「アクアリック(登録商標)HL-415」、固形分濃度:45質量%)4gとを投入し、フラスコ内容物を攪拌した。次いで、フラスコ内に、上述の方法で得たトナーコア100gを投入し、フラスコ内温30℃かつ回転速度200rpmの条件で、フラスコ内容物を1時間攪拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水100mLを添加し、更にアンモニア水溶液(濃度:1質量%)4mLを添加した後、フラスコ内容物を回転速度150rpmで攪拌しながら、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を60℃まで上げた。フラスコ内温を60℃まで昇温させる間に、トナーコアの表面全域を覆う樹脂層(特定ビニル樹脂とポリアクリル酸とから構成された樹脂層)が形成され、樹脂層被覆粒子を含む粒子分散液が得られた。
(樹脂層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水100mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いでフラスコ内に、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)4gと、第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)4gと、ポリアクリル酸水溶液(株式会社日本触媒製「アクアリック(登録商標)HL-415」、固形分濃度:45質量%)4gとを投入し、フラスコ内容物を攪拌した。次いで、フラスコ内に、上述の方法で得たトナーコア100gを投入し、フラスコ内温30℃かつ回転速度200rpmの条件で、フラスコ内容物を1時間攪拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水100mLを添加し、更にアンモニア水溶液(濃度:1質量%)4mLを添加した後、フラスコ内容物を回転速度150rpmで攪拌しながら、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を60℃まで上げた。フラスコ内温を60℃まで昇温させる間に、トナーコアの表面全域を覆う樹脂層(特定ビニル樹脂とポリアクリル酸とから構成された樹脂層)が形成され、樹脂層被覆粒子を含む粒子分散液が得られた。
(貫通孔形成工程)
次いで、フラスコ内の粒子分散液を、回転速度100rpmの条件で攪拌しながら、フラスコ内に水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1モル/L)を加えて、フラスコ内容物(粒子分散液)のpHを9に調整した。次いで、フラスコ内温を60℃に保ちつつ、フラスコ内容物を60分間攪拌した。これにより、樹脂層の一部が除去されて、複数個の貫通孔が形成された。
次いで、フラスコ内の粒子分散液を、回転速度100rpmの条件で攪拌しながら、フラスコ内に水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1モル/L)を加えて、フラスコ内容物(粒子分散液)のpHを9に調整した。次いで、フラスコ内温を60℃に保ちつつ、フラスコ内容物を60分間攪拌した。これにより、樹脂層の一部が除去されて、複数個の貫通孔が形成された。
次いで、フラスコ内容物を、その温度が25℃になるまで冷却して、トナーコアと、トナーコアの表面に存在するシェル層(特定ビニル樹脂とポリアクリル酸とから構成されたシェル層)とを備えるトナー母粒子の分散液を得た。
[洗浄工程]
次いで、得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いて濾過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。次いで、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた後、ブフナー漏斗を用いて濾過した。更に、再分散と濾過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
次いで、得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いて濾過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。次いで、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた後、ブフナー漏斗を用いて濾過した。更に、再分散と濾過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
[乾燥工程]
次いで、洗浄したトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子を含むスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
次いで、洗浄したトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子を含むスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
[外添工程]
得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、表面処理剤により正帯電性が付与されたシリカ粒子)0.5質量部と、酸化チタン粒子(テイカ株式会社製「MT-100TV」)0.1質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)に投入した。続けて、上記FMミキサーを用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で投入された材料を5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に、外添剤(シリカ粒子の粉体、及び酸化チタン粒子の粉体)の全量を付着させた。
得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、表面処理剤により正帯電性が付与されたシリカ粒子)0.5質量部と、酸化チタン粒子(テイカ株式会社製「MT-100TV」)0.1質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)に投入した。続けて、上記FMミキサーを用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で投入された材料を5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に、外添剤(シリカ粒子の粉体、及び酸化チタン粒子の粉体)の全量を付着させた。
続けて、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、正帯電性のトナーであるトナーTA-1(Tm:86℃)が得られた。なお、篩別の前後で、トナーを構成する成分の組成比は変化しなかった。
<トナーTA-2の作製>
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、30分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-2(Tm:87℃)を得た。
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、30分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-2(Tm:87℃)を得た。
<トナーTA-3の作製>
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、120分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-3(Tm:85℃)を得た。
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、120分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-3(Tm:85℃)を得た。
<トナーTA-4の作製>
貫通孔形成工程において、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1モル/L)を加えてフラスコ内容物のpHを調整する際、フラスコ内容物のpHを8に調整したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-4(Tm:86℃)を得た。
貫通孔形成工程において、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1モル/L)を加えてフラスコ内容物のpHを調整する際、フラスコ内容物のpHを8に調整したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-4(Tm:86℃)を得た。
<トナーTA-5の作製>
樹脂層形成工程において、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を上げる際にフラスコ内温を62℃まで上げたこと、及び貫通孔形成工程におけるフラスコ内温(フラスコ内容物の攪拌が終了するまでのフラスコ内温)を62℃に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-5(Tm:85℃)を得た。
樹脂層形成工程において、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を上げる際にフラスコ内温を62℃まで上げたこと、及び貫通孔形成工程におけるフラスコ内温(フラスコ内容物の攪拌が終了するまでのフラスコ内温)を62℃に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-5(Tm:85℃)を得た。
<トナーTA-6の作製>
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を2gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を6gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-6(Tm:85℃)を得た。
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を2gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を6gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-6(Tm:85℃)を得た。
<トナーTA-7の作製>
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を6gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を2gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-7(Tm:86℃)を得た。
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を6gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を2gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-7(Tm:86℃)を得た。
<トナーTA-8の作製>
トナーコアの調製工程において、90質量部のポリエステル樹脂P1の代わりに90質量部のポリエステル樹脂P2を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-8(Tm:81℃)を得た。
トナーコアの調製工程において、90質量部のポリエステル樹脂P1の代わりに90質量部のポリエステル樹脂P2を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-8(Tm:81℃)を得た。
<トナーTA-9の作製>
トナーコアの調製工程において、90質量部のポリエステル樹脂P1の代わりに90質量部のポリエステル樹脂P3を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-9(Tm:90℃)を得た。
トナーコアの調製工程において、90質量部のポリエステル樹脂P1の代わりに90質量部のポリエステル樹脂P3を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-9(Tm:90℃)を得た。
<トナーTA-10の作製>
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を1gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を7gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-10(Tm:85℃)を得た。
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を1gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を7gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-10(Tm:85℃)を得た。
<トナーTA-11の作製>
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を7gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を1gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-11(Tm:88℃)を得た。
樹脂層形成工程において、第1のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)の量(投入量)を7gに変更したこと、及び第2のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)の量(投入量)を1gに変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-11(Tm:88℃)を得た。
<トナーTA-12の作製>
トナーコアの調製工程において、90質量部のポリエステル樹脂P1の代わりに90質量部のポリエステル樹脂P4を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-12(Tm:90℃)を得た。
トナーコアの調製工程において、90質量部のポリエステル樹脂P1の代わりに90質量部のポリエステル樹脂P4を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-12(Tm:90℃)を得た。
<トナーTB-1の作製>
樹脂層形成工程において、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を上げる際にフラスコ内温を58℃まで上げたこと、及び貫通孔形成工程におけるフラスコ内温(フラスコ内容物の攪拌が終了するまでのフラスコ内温)を58℃に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-1(Tm:86℃)を得た。
樹脂層形成工程において、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を上げる際にフラスコ内温を58℃まで上げたこと、及び貫通孔形成工程におけるフラスコ内温(フラスコ内容物の攪拌が終了するまでのフラスコ内温)を58℃に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-1(Tm:86℃)を得た。
<トナーTB-2の作製>
以下に示す変更点以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-2(Tm:85℃)を得た。
以下に示す変更点以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-2(Tm:85℃)を得た。
[変更点]
トナーTB-2の作製では、樹脂層形成工程において、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を上げる際にフラスコ内温を62℃まで上げた。トナーTB-2の作製では、貫通孔形成工程において、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1モル/L)を加えてフラスコ内容物のpHを調整する際、フラスコ内容物のpHを10に調整した。トナーTB-2の作製では、貫通孔形成工程におけるフラスコ内温(フラスコ内容物の攪拌が終了するまでのフラスコ内温)を62℃に変更した。
トナーTB-2の作製では、樹脂層形成工程において、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を上げる際にフラスコ内温を62℃まで上げた。トナーTB-2の作製では、貫通孔形成工程において、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1モル/L)を加えてフラスコ内容物のpHを調整する際、フラスコ内容物のpHを10に調整した。トナーTB-2の作製では、貫通孔形成工程におけるフラスコ内温(フラスコ内容物の攪拌が終了するまでのフラスコ内温)を62℃に変更した。
<トナーTB-3の作製>
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、150分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-3(Tm:85℃)を得た。
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、150分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-3(Tm:85℃)を得た。
<トナーTB-4の作製>
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、10分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-4(Tm:87℃)を得た。
貫通孔形成工程において、フラスコ内容物のpHを9に調整した後のフラスコ内容物の攪拌時間(フラスコ内温を60℃に保持した時間)を、10分に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-4(Tm:87℃)を得た。
<トナーTB-5の作製>
樹脂層形成工程後に貫通孔形成工程を実施せず、樹脂層形成工程で得られた粒子分散液を、その温度が25℃になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得たこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-5(Tm:87℃)を得た。なお、トナーTB-5では、トナー母粒子が樹脂層被覆粒子であった。
樹脂層形成工程後に貫通孔形成工程を実施せず、樹脂層形成工程で得られた粒子分散液を、その温度が25℃になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得たこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-5(Tm:87℃)を得た。なお、トナーTB-5では、トナー母粒子が樹脂層被覆粒子であった。
<透過電子顕微鏡(TEM)による観察>
トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4の断面を、TEMを用いて以下に示す方法で観察した。
トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4の断面を、TEMを用いて以下に示す方法で観察した。
トナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4のいずれか)を光硬化性のエポキシ樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D-800」)中に十分に分散させた後、得られた分散体を、温度40℃の雰囲気下、紫外線照射しながら2日間硬化させた。硬化後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトームを用いて、得られた硬化物を切削することで、薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に5分間暴露して、ルテニウム染色した。続けて、染色された薄片試料の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテク製「H-7100FA」)を用いて観察した。TEMにより観察した結果、トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4のいずれについても、トナー母粒子が、トナーコアと、トナーコアの表面に存在するシェル層とを有し、かつシェル層に複数個の貫通孔が形成されていることが分かった。
<シェル層の厚さの測定>
上記<透過電子顕微鏡(TEM)による観察>に記載の方法と同じ方法で、トナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテク製「H-7100FA」)を用いて観察し、断面撮影像を得た。そして、得られた断面撮影像内において、測定対象(トナー)に含まれる10個のトナー粒子を無作為に選択した。
上記<透過電子顕微鏡(TEM)による観察>に記載の方法と同じ方法で、トナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテク製「H-7100FA」)を用いて観察し、断面撮影像を得た。そして、得られた断面撮影像内において、測定対象(トナー)に含まれる10個のトナー粒子を無作為に選択した。
次いで、選択した10個のトナー粒子について、それぞれシェル層の厚さを測定し、測定対象のトナーの評価値(シェル層の厚さ)を求めた。より詳しくは、1つのトナー粒子(断面)について、断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がシェル層と交差する4箇所の各々で、シェル層の厚さを測定した。測定された4箇所の厚さの算術平均値を、そのトナー粒子のシェル層の厚さとした。選択した10個のトナー粒子について、それぞれシェル層の厚さを測定し、得られた10個の測定値の個数平均値を測定対象のトナーの評価値(シェル層の厚さ)とした。トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5は、いずれもシェル層の厚さ(評価値)が3nm以上10nm以下であった。
<平均貫通孔径の測定>
まず、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の濃度2質量%水溶液100g中に、測定対象のトナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4のいずれか)2.0gを分散させて、トナー分散液を得た。得られたトナー分散液に対して、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ウルトラソニックミニウェルダーP128」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて超音波処理を5分間施した。続けて、超音波処理されたトナー分散液を、定性ろ紙(アドバンテック社製「FILTER PAPER 1号」)を用いて吸引濾別した。その後、濾物にイオン交換水50mLを加えるリスラリーと、吸引濾別とを、3回繰り返して、外添剤が除去されたトナー(トナー母粒子)を得た。
まず、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の濃度2質量%水溶液100g中に、測定対象のトナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4のいずれか)2.0gを分散させて、トナー分散液を得た。得られたトナー分散液に対して、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ウルトラソニックミニウェルダーP128」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて超音波処理を5分間施した。続けて、超音波処理されたトナー分散液を、定性ろ紙(アドバンテック社製「FILTER PAPER 1号」)を用いて吸引濾別した。その後、濾物にイオン交換水50mLを加えるリスラリーと、吸引濾別とを、3回繰り返して、外添剤が除去されたトナー(トナー母粒子)を得た。
次いで、得られたトナー母粒子を、乾燥させた後、温度25℃の雰囲気下、四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に10分間暴露して、ルテニウム染色した。次いで、染色されたトナー母粒子を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM-7401F」)を用いて倍率30000倍で撮影し、トナー母粒子の二次電子像を得た。
次いで、得られた二次電子像において、10個のトナー母粒子を無作為に選択した。そして、選択した10個のトナー母粒子の各々の二次電子像において、5個の貫通孔を無作為に選択した。次いで、選択した合計50個の貫通孔の各々について、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、開口面の円相当径(開口面と同じ面積を有する円の直径)を測定した。そして、得られた50個の測定値の算術平均を、測定対象のトナーの評価値(平均貫通孔径)とした。
<貫通孔面積割合の測定>
上記<平均貫通孔径の測定>に記載の方法と同じ方法で、トナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4のいずれか)に含まれるトナー母粒子の二次電子像を得た。
上記<平均貫通孔径の測定>に記載の方法と同じ方法で、トナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-4のいずれか)に含まれるトナー母粒子の二次電子像を得た。
次いで、得られた二次電子像において、10個のトナー母粒子を無作為に選択した。次いで、選択した10個のトナー母粒子の各々について、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、貫通孔面積割合を測定した。貫通孔面積割合は、式「貫通孔面積割合=100×貫通孔の開口面の合計面積/トナー母粒子の外縁を示す輪郭線で囲まれた領域の面積」に基づいて算出した。そして、得られた10個の測定値の個数平均値を、測定対象のトナーの評価値(貫通孔面積割合)とした。
トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のそれぞれについて、ポリアクリル酸量、平均貫通孔径及び貫通孔面積割合を、表1に示す。なお、表1において、「-」は、貫通孔を形成しなかったため、測定しなかったことを意味する。
<評価方法>
[2成分現像剤の調製]
京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa 3510i」用キャリア100質量部と、トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、評価用の2成分現像剤を調製した。
[2成分現像剤の調製]
京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa 3510i」用キャリア100質量部と、トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、評価用の2成分現像剤を調製した。
[低温定着性]
評価機としては、モノクロ複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3510i」)を改造して定着温度を変更可能にした画像形成装置を使用した。
評価機としては、モノクロ複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3510i」)を改造して定着温度を変更可能にした画像形成装置を使用した。
評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機の現像装置に投入し、補給用トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)を評価機のトナーコンテナに投入した。続けて、線速200mm/秒かつトナー載り量1.0mg/cm2の印刷条件となるように、評価機の現像バイアスを調整した。
続けて、温度23℃かつ湿度55%RHの環境下、印刷用紙(A4サイズの普通紙)に、大きさ50mm×50mmのソリッド画像(詳しくは、定着装置に通す前の未定着のトナー像)を形成した。続けて、上記ソリッド画像が形成された印刷用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を100℃から1℃ずつ上げながら各定着温度について定着の可否を判定し、ソリッド画像(トナー像)を印刷用紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。
トナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、定着装置に通した印刷用紙を、画像を形成した面が内側となり、且つ画像の中央が折り目となるように半分に折り曲げ、布帛で被覆した1kgの真鍮製の分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、印刷用紙を広げ、印刷用紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。最低定着温度が115℃以下であれば、「低温定着性を確保できている」と評価し、最低定着温度が115℃を超える場合、「低温定着性を確保できていない」と評価した。
[離型性]
評価機としては、モノクロ複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3510i」)を使用した。
評価機としては、モノクロ複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3510i」)を使用した。
評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機の現像装置に投入し、補給用トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)を評価機のトナーコンテナに投入した。続けて、線速200mm/秒かつトナー載り量1.0mg/cm2の印刷条件となるように、評価機の現像バイアスを調整した。
続けて、温度23℃かつ湿度55%RHの環境下、トナー載り量1.0mg/cm2以上1.8mg/cm2以下の範囲で、印刷用紙(A4サイズの普通紙)に、大きさ50mm×50mmのソリッド画像(定着後のトナー像)を形成し、トナーの離型性を評価した。詳しくは、評価機の現像バイアスを調整することにより、トナー載り量を1.0mg/cm2から0.1mg/cm2ずつ大きくして、定着後の印刷用紙が定着ローラーに巻き付かなかった場合におけるトナー載り量の最大値(最大トナー載り量)を測定した。なお、ソリッド画像を形成する際、線速については、トナー載り量によらず、一定(200mm/秒)の値に調整した。最大トナー載り量が1.2mg/cm2以上であれば、「離型性を確保できている」と評価し、最大トナー載り量が1.2mg/cm2未満であれば、「離型性を確保できていない」と評価した。
[耐熱保存性]
ガラス製の瓶(内径:21mm、容量:10mL)に1gのトナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)を入れて、瓶の蓋を閉めた。次いで、温度23℃かつ湿度55%RHの環境下、蓋が閉められた瓶を、振とう機(株式会社セイシン企業製「タップデンサー KYT-2000」)を用いて、600回振とうした後、瓶の蓋を開けた。次いで、蓋が開けられた瓶を、温度55℃かつ湿度30%RHの環境下に2時間静置した。その後、瓶から取り出したトナーを室温(25℃)まで冷却して、評価対象を得た。
ガラス製の瓶(内径:21mm、容量:10mL)に1gのトナー(トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のいずれか)を入れて、瓶の蓋を閉めた。次いで、温度23℃かつ湿度55%RHの環境下、蓋が閉められた瓶を、振とう機(株式会社セイシン企業製「タップデンサー KYT-2000」)を用いて、600回振とうした後、瓶の蓋を開けた。次いで、蓋が開けられた瓶を、温度55℃かつ湿度30%RHの環境下に2時間静置した。その後、瓶から取り出したトナーを室温(25℃)まで冷却して、評価対象を得た。
得られた評価対象を、質量既知の48メッシュ(目開き300μm)の篩に載せた。そして、評価対象を含む篩の質量を測定し、篩別前のトナーの質量を求めた。続けて、粉体特性評価装置(ホソカワミクロン株式会社製「パウダテスタ(登録商標)PT-X」)に上記篩をセットし、上記粉体特性評価装置のマニュアルに従い、振幅1.0mmの条件で10秒間、篩を振動させ、評価対象を篩別した。篩別後、篩を通過しなかったトナーの質量を測定した。そして、篩別前のトナーの質量と、篩別後のトナーの質量とに基づいて、下記式に従って凝集度(単位:質量%)を求めた。凝集度が30質量%未満であれば、「耐熱保存性に優れている」と評価し、凝集度が30質量%以上であれば、「耐熱保存性に優れていない」と評価した。なお、下記式における「篩別後のトナーの質量」は、篩を通過しなかったトナーの質量であり、篩別後に篩上に残留したトナーの質量である。
凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
<評価結果>
トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のそれぞれについて、最低定着温度、最大トナー載り量、及び凝集度を、表2に示す。
トナーTA-1~TA-12及びTB-1~TB-5のそれぞれについて、最低定着温度、最大トナー載り量、及び凝集度を、表2に示す。
トナーTA-1~TA-12では、トナー母粒子が、結着樹脂(ポリエステル樹脂)及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面に存在するシェル層(特定ビニル樹脂とポリアクリル酸とから構成されたシェル層)とを備えていた。トナーTA-1~TA-12では、シェル層に複数個の貫通孔が形成されていた。表1に示すように、トナーTA-1~TA-12では、平均貫通孔径が50nm以上98nm以下であった。トナーTA-1~TA-12では、貫通孔面積割合が2.0%以上10.0%以下であった。
表2に示すように、トナーTA-1~TA-12では、最低定着温度が115℃以下であった。よって、トナーTA-1~TA-12は、低温定着性を確保できていた。トナーTA-1~TA-12では、最大トナー載り量が1.2mg/cm2以上であった。よって、トナーTA-1~TA-12は、離型性を確保できていた。トナーTA-1~TA-12では、凝集度が30質量%未満であった。よって、トナーTA-1~TA-12は、耐熱保存性に優れていた。
表1に示すように、トナーTB-1では、平均貫通孔径が50nm未満であった。トナーTB-2では、平均貫通孔径が98nmを超えていた。トナーTB-3では、貫通孔面積割合が10.0%を超えていた。トナーTB-4では、貫通孔面積割合が2.0%未満であった。トナーTB-5では、シェル層に貫通孔が形成されていなかった。
表2に示すように、トナーTB-1、TB-4及びTB-5では、最低定着温度が115℃を超えていた。よって、トナーTB-1、TB-4及びTB-5は、低温定着性を確保できていなかった。トナーTB-4及びTB-5では、最大トナー載り量が1.2mg/cm2未満であった。よって、トナーTB-4及びTB-5は、離型性を確保できていなかった。トナーTB-2及びTB-3では、凝集度が30質量%以上であった。よって、トナーTB-2及びTB-3は、耐熱保存性に優れていなかった。
以上の結果から、本発明によれば、低温定着性及び離型性を確保しつつ、耐熱保存性に優れるトナーを提供できることが示された。
本発明に係るトナーは、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために利用することができる。
10 :トナー母粒子
11 :トナーコア
12 :シェル層
12A :貫通孔
21 :樹脂層
11 :トナーコア
12 :シェル層
12A :貫通孔
21 :樹脂層
Claims (5)
- トナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、トナー母粒子を含み、
前記トナー母粒子は、結着樹脂及び離型剤を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面に存在するシェル層とを備え、
前記シェル層には、複数個の貫通孔が形成されており、
前記複数個の貫通孔の平均開口径は、50nm以上98nm以下であり、
走査型電子顕微鏡で撮影された前記トナー母粒子の表面撮影像において、前記複数個の貫通孔が占める面積割合は、2.0%以上10.0%以下であり、
前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
前記シェル層は、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を含有する、トナー。
- 軟化点が90℃以下である、請求項1に記載のトナー。
- 前記シェル層は、ポリアクリル酸を更に含有する、請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記ポリアクリル酸の量は、前記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下である、請求項3に記載のトナー。
- 請求項3又は4に記載のトナーの製造方法であって、
前記トナーコアの表面全域に、前記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物と前記ポリアクリル酸とを含有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層が形成された粒子を含む粒子分散液のpHを、8以上9以下に調整することにより、前記複数個の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と
を備える、トナーの製造方法。
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