JP7234772B2 - 磁性トナー - Google Patents
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Description
本実施形態に係る正帯電性の磁性トナー(以下、単にトナーと記載することがある)は、例えば静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態に係るトナーは、1成分現像剤として使用できる。本実施形態に係るトナーは、例えば現像装置内における現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により正に帯電する。
以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。なお、説明の容易化のため、図1に示すトナー粒子10が外添剤を備えないトナー粒子である場合について説明する。
次に、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
複合コアは、トナーコアと、トナーコアの表面に配置された磁性粉層との複合体である。以下、トナーコアに含まれる成分について説明する。
トナーコアは、例えば全成分の60質量%以上を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、酸価等)を調整することができる。
トナーコアは、第1磁性粉を含有する。第1磁性粉は、磁性粒子としてマグネタイト粒子を含む。第1磁性粉に含まれるマグネタイト粒子は、マグネタイト基体であってもよく、マグネタイト基体に表面処理(例えば、疎水化処理)を施して得たマグネタイト粒子であってもよい。トナーの磁気特性を容易に調整するためには、第1磁性粉に含まれるマグネタイト粒子の個数平均一次粒子径は、100nm以上500nm以下であることが好ましく、200nm以上350nm以下であることがより好ましい。
トナーコアは、マグネタイト粒子以外に、着色剤として黒色着色剤を含有していてもよい。マグネタイト粒子以外の黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。なお、本実施形態に係るトナーは、磁性粉層がトナーコアの外側に配置されているため、トナーコアがマグネタイト粒子以外の黒色着色剤を含有していなくても、黒の発色性に優れる。
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、耐オフセット性に優れるトナーを得る目的で使用される。耐オフセット性に優れるトナーを得るためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性に優れるトナーを得るために使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
次に、磁性粉層について説明する。磁性粉層は、例えば、第2磁性粉を主成分として含む。第2磁性粉は、磁性粒子としてマグネタイト粒子を含む。黒の発色性により優れるトナーを得るためには、磁性粉層中のマグネタイト粒子の含有量は、磁性粉層の全質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。トナーの磁気特性を容易に調整するためには、第2磁性粉に含まれるマグネタイト粒子の個数平均一次粒子径は、100nm以上500nm以下であることが好ましく、200nm以上350nm以下であることがより好ましい。なお、磁性粉層に第2磁性粉以外の成分(他の成分)が含まれる場合、他の成分としては、例えば樹脂が挙げられる。
次に、シェル層について説明する。シェル層は、未開環のオキサゾリン基を有する繰返し単位を含む。このような繰返し単位としては、例えば下記式(1-1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1-1)と記載する)が挙げられる。
NMR装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT-NMR)(日本電子株式会社製「JNM-AL400」)
NMR測定用試験管:5mm試験管
溶剤:重水素化クロロホルム(1mL)
試料温度:20℃
試料質量:20mg
積算回数:128回
化学シフトの内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
正帯電性を更に安定して維持しつつ、黒の発色性に更に優れるトナーを得るためには、トナー粒子が、厚さ200nm以上350nm以下の磁性粉層、及び未開環オキサゾリン基含有量200μmol以上800μmol以下のシェル層を備えることが好ましい。
トナー粒子は、外添剤を更に備えてもよい。外添剤の外添方法としては、例えば、上述した図1に示すトナー粒子10をトナー母粒子として用い、このトナー母粒子(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
次に、上述した実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明する。以下、上述した実施形態に係るトナーと重複する構成要素については説明を省略する。
(トナーコアの調製工程)
まず、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを調製する。
続いて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、得られたトナーコアと、第2磁性粉(マグネタイト粒子を含む磁性粉)とを混合して、トナーコアの表面に第2磁性粉を付着させる。これにより、トナーコアと、トナーコアの表面に配置された磁性粉層(マグネタイト粒子を含む層)とを備える複合コアが得られる。複合コアの全質量に対する、第2磁性粉中のマグネタイト粒子の量は、例えば、トナーコアの量に対するマグネタイト粒子の添加量(混合機に投入するマグネタイト粒子の量)を変更することにより調整できる。
次いで、容器に、得られた複合コアと、シェル原料としてのオキサゾリン基含有高分子水溶液と、水(例えばイオン交換水)とを入れる。次いで、容器内容物を攪拌しながら、容器内温が設定温度(例えば50℃以上70℃以下の温度)になるまで昇温させる。この際の昇温速度は、例えば0.2℃/分以上0.4℃/分以下である。容器内温を昇温させる際、容器内容物のpHを5以上7以下に維持するために、容器にアンモニア水溶液を随時入れてもよい。また、昇温中に、シェル原料のオキサゾリン基を開環させる開環剤(例えば、酢酸水溶液)及び/又はシェル原料(例えば、オキサゾリン基含有高分子水溶液)を添加してもよい。
その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、得られたトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、トナー母粒子に外添剤を付着させずに、トナー母粒子をトナー粒子として使用してもよい。こうして、上述した実施形態に係るトナー(トナー粒子の粉体)が得られる。
濃度1.8mol/LでFe2+を含む硫酸第1鉄水溶液と、濃度3.6mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とを反応容器に加えて混合した。反応容器に加える水酸化ナトリウム水溶液の量は、反応容器に加える硫酸第1鉄水溶液中のFe2+に対して0.85当量に相当する量であった。続けて、容器内容物を温度80℃まで昇温させることにより、水酸化第1鉄(Fe(OH)2)コロイドを含む懸濁液を調製した。
以下、マグネタイト粒子MA-1~MA-6及びMB-1~MB-5の調製方法について説明する。
(酸無水物基付与処理)
900質量部の塩酸(温度:70℃、pH:6)と、100質量部のマグネタイト基体MAとを反応容器に加えた後、分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて、回転速度4000rpmで容器内容物を5分間攪拌した。次いで、反応容器に、10質量部の3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越化学工業株式会社製「X-12-967C」、以下、X-12-967Cと記載することがある)を加えた後、容器内容物を温度70℃に保ちながら、分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて、回転速度4000rpmで容器内容物を1時間攪拌した。その結果、マグネタイト基体MAと、マグネタイト基体MAの表面に付与された酸無水物基(詳しくは、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する酸無水物基)とを有するマグネタイト粒子MA-1の懸濁液が得られた。
(疎水化処理)
900質量部のイオン交換水(温度:80℃)と、100質量部のマグネタイト基体MAとを反応容器に加えた後、分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて、回転速度5000rpmで容器内容物を5分間攪拌した。次いで、反応容器に、2質量部のエチルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製「LS-2410」、以下、LS-2410と記載することがある)を加えた後、容器内容物を温度80℃に保ちながら、分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて、回転速度5000rpmで容器内容物を1時間攪拌した。その結果、マグネタイト基体MAと、マグネタイト基体MAの表面に付与された疎水性基(詳しくは、エチルトリエトキシシランに由来する疎水性基)とを有するマグネタイト粒子の懸濁液が得られた。
次いで、900質量部の塩酸(温度:70℃、pH:6)と、100質量部の疎水化マグネタイト粒子(上述の手順で得られた疎水化マグネタイト粒子)とを反応容器に加えた後、分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて、回転速度4000rpmで容器内容物を5分間攪拌した。次いで、反応容器に、10質量部のX-12-967Cを加えた後、容器内容物を温度70℃に保ちながら、分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて、回転速度4000rpmで容器内容物を1時間攪拌した。その結果、疎水化マグネタイト粒子と、疎水化マグネタイト粒子の表面に付与された酸無水物基(詳しくは、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する酸無水物基)とを有するマグネタイト粒子MA-2の懸濁液が得られた。
疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のチタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)(マツモトファインケミカル株式会社製「オルガチックス(登録商標)TC-100」、以下、TC-100と記載することがある)を用いたこと以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MA-3の粉体を得た。
疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のチタニウムジ-2-エチルヘキソキシビス(2-エチル-3-ヒドロキシヘキソキシド)(マツモトファインケミカル株式会社製「オルガチックス(登録商標)TC-201」、以下、TC-201と記載することがある)を用いたこと以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MA-4の粉体を得た。
疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のTC-100及び2質量部のLS-2410を用いたこと以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MA-5の粉体を得た。
疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のTC-201及び2質量部のLS-2410を用いたこと以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MA-6の粉体を得た。
酸無水物基付与処理、並びにその後の濾別、水洗及び乾燥を行わなかったこと以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MB-1(マグネタイト粒子MA-2を調製する際の疎水化処理で得られた疎水化マグネタイト粒子と同じ粒子)の粉体を得た。
以下に示す変更点以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MB-2の粉体を得た。
マグネタイト粒子MB-2の調製では、疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のTC-100を用いた。マグネタイト粒子MB-2の調製では、酸無水物基付与処理、並びにその後の濾別、水洗及び乾燥を行わなかった。
以下に示す変更点以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MB-3の粉体を得た。
マグネタイト粒子MB-3の調製では、疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のTC-201を用いた。マグネタイト粒子MB-3の調製では、酸無水物基付与処理、並びにその後の濾別、水洗及び乾燥を行わなかった。
以下に示す変更点以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MB-4の粉体を得た。
マグネタイト粒子MB-4の調製では、疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のTC-100及び2質量部のLS-2410を用いた。マグネタイト粒子MB-4の調製では、酸無水物基付与処理、並びにその後の濾別、水洗及び乾燥を行わなかった。
以下に示す変更点以外は、マグネタイト粒子MA-2の調製と同じ方法で、マグネタイト粒子MB-5の粉体を得た。
マグネタイト粒子MB-5の調製では、疎水化処理の際、2質量部のLS-2410の代わりに、2質量部のTC-201及び2質量部のLS-2410を用いた。マグネタイト粒子MB-5の調製では、酸無水物基付与処理、並びにその後の濾別、水洗及び乾燥を行わなかった。
[結着樹脂の合成工程]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、精留塔及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコを温調槽に載置し、このフラスコ内に、1,2-プロパンジオール1220gと、テレフタル酸1720gと、ジオクタン酸錫(II)3.3gとを投入した。続けて、窒素雰囲気下、温度210℃の条件でフラスコ内容物を12時間反応(詳しくは、縮合反応)させた。続けて、フラスコ内を減圧し、減圧雰囲気(圧力8.0kPa)かつ温度200℃の条件で、反応生成物(ポリエステル樹脂)のTmが所定の温度(90℃)になるまで、フラスコ内容物を反応させた。その結果、結着樹脂としてのポリエステル樹脂が得られた。得られたポリエステル樹脂は、Tgが43℃であり、Tmが90℃であり、酸価が5mgKOH/gであった。
(トナーコアの調製工程)
上記のようにして得られたポリエステル樹脂70質量部と、離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP-3」、成分:エステルワックス)9質量部と、正帯電性の電荷制御剤(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-21」)1質量部と、20質量部のマグネタイト基体MAとを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)を用いて回転速度1200rpmで3分間混合した。
上記のようにして得られたトナーコア100質量部と、10質量部のマグネタイト粒子MA-1とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に投入し、上記FMミキサーを用いて回転速度700rpmで3分間混合し、複合コアを得た。得られた複合コアは、トナーコアと、トナーコアの表面に配置された磁性粉層とを含んでいた。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量2Lの3つ口フラスコに、上記のようにして得られた複合コア200gと、オキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-300」、固形分濃度:10質量%)10gと、イオン交換水800mLとを入れた。次いで、フラスコを温調槽に載置し、フラスコ内容物を150rpmの回転速度で攪拌しながら、フラスコ内温を25℃から60℃まで0.3℃/分の昇温速度で昇温させた。この際、フラスコ内容物のpHを7に維持するために、フラスコにアンモニア水溶液(濃度1質量%)を随時入れた。フラスコ内温が60℃に到達した直後、2℃/分の降温速度でフラスコ内を25℃まで冷却した。冷却後、フラスコ内容物をフィルタープレス(日立造船株式会社製「TFP310-3MKII」)により濾過(固液分離)した。この際、濾液の導電率が6μS/cmになるまで濾物をイオン交換水で洗浄した。得られた濾物を、真空乾燥機により圧力0.09MPa、温度40℃の条件で乾燥させた。乾燥は、濾物の水分量が1.0質量%になるまで行った。その結果、複合コアがシェル層(未開環のオキサゾリン基を有する繰返し単位を含むシェル層)で覆われたトナー母粒子の粉体を得た。
得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、表面処理剤により正帯電性が付与されたシリカ粒子)1.5質量部と、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC-100」)1.5質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で2分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子の粉体及び導電性酸化チタン粒子の粉体)の全量を付着させた。
磁性粉層の形成工程において、マグネタイト粒子MA-1の代わりに、表1に示す種類のマグネタイト粒子(FMミキサーへの投入量:いずれも10質量部)を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、トナーTA-2~TA-6及びTB-1~TB-5を得た。トナーTA-2~TA-6及びTB-1~TB-5は、いずれも正帯電性の磁性トナーであった。なお、トナーTA-2~TA-6では、磁性粉層を構成する磁性粉(第2磁性粉)に含まれるマグネタイト粒子の量は、いずれも複合コアの全質量に対して9質量%であった。また、トナーTA-2~TA-6では、トナーコア中の磁性粉(第1磁性粉)に含まれるマグネタイト粒子と、第2磁性粉に含まれるマグネタイト粒子との合計量は、いずれも複合コアの全質量に対して27質量%であった。
磁性粉層の形成工程において、10質量部のマグネタイト粒子MA-1の代わりに、10質量部のマグネタイト粒子MA-5を用いたこと、及びシェル層を形成せずに、複合コアをトナー母粒子として用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性の磁性トナーであるトナーTB-6を得た。
トナーコアの調製工程において、マグネタイト基体MAの使用量を30質量部に変更したことと、磁性粉層を形成せずに、トナーコアの表面にシェル層を形成したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性の磁性トナーであるトナーTB-7を得た。
測定対象のトナー(トナーTA-1~TA-6及びTB-1~TB-7のいずれか)を可視光硬化性樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D-800」)中に分散させた後、可視光照射により樹脂を硬化させて、硬化物を得た。続けて、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて、硬化物を切り出し、厚さ150nmの薄片試料を得た。続けて、得られた薄片試料の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H-7100FA」)を用いて、倍率10万倍で撮影した。そして、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてTEM撮影像を解析することで、磁性粉層の厚さを測定した。
トナーTA-1~TA-6及びTB-1~TB-7の各々の未開環オキサゾリン基含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS法)により測定した。GC/MS法では、測定装置として、ガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製「GCMS-QP2010 Ultra」)及びマルチショット・パイロライザー(フロンティア・ラボ株式会社製「FRONTIER LAB Multi-functional Pyrolyzer(登録商標)PY-3030D」)を用いた。カラムとしては、GCカラム(アジレント・テクノロジー社製「Agilent(登録商標)J&W ウルトライナートキャピラリGCカラム DB-5ms」、相:シロキサンポリマーにアリレンを入れてポリマーの主鎖を強化したアリレン相、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、長さ:30m)を用いた。ガスクロマトグラフ測定条件及び質量分析測定条件を、それぞれ以下に示す。
キャリアガス:ヘリウム(He)ガス
キャリア流量:1mL/分
気化室温度:210℃
熱分解温度:加熱炉「600℃」、インターフェイス部「320℃」
昇温条件:40℃で3分間保持した後、40℃から速度10℃/分で300℃まで昇温し、300℃で15分間保持した。
イオン化法:EI(Electron Impact)法
イオン源温度:200℃
インターフェイス部の温度:320℃
検出モード:スキャン(測定範囲:45m/z~500m/z)
[低温定着性(最低定着温度)]
評価機としては、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)LS-4020DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-6及びTB-1~TB-7のいずれか)を、評価機の現像装置及びトナーコンテナに投入した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、坪量90g/m2)に、トナー載り量0.5mg/cm2の条件で、大きさ20mm×30mmのソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を100℃から1℃ずつ上げながら各定着温度について定着の可否を判定し、ソリッド画像(トナー像)を評価用紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。トナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、定着装置に通した評価用紙を、画像を形成した面が内側となり、且つ画像の中央が折り目となるように半分に折り曲げ、布帛で被覆した1kgの真鍮製の分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、評価用紙を広げ、評価用紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。最低定着温度が120℃以下であれば「低温定着性に優れている」と評価した。一方、最低定着温度が120℃を超える場合、「低温定着性に優れていない」と評価した。
評価機としては、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)LS-4020DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-6及びTB-1~TB-7のいずれか)を、評価機の現像装置及びトナーコンテナに投入した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、坪量90g/m2)に、下記の印刷条件で、評価パターンを印刷した。これにより、評価に使用する画像を得た。
トナー載り量:0.5mg/cm2
加熱ローラーの表面温度(定着温度):150℃
加圧ローラーの表面温度:130℃
定着装置のニップ幅:6.2mm
定着圧力(ニップ圧):150N
評価パターン:大きさ20mm×30mmのソリッド画像
測定装置:反射濃度計(X-Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)
観測光源:D50(色温度:5000K)
観測視野角:2°
濃度基準:DIN16536(1995)
白色基準:絶対白色基準(Abs)
フィルター:偏光フィルター(POL)
評価機としては、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)LS-4020DN」)を用いた。トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-6及びTB-1~TB-7のいずれか)を、評価機の現像装置に投入した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、30分間にわたって白紙画像を印刷用紙(A4サイズ)に出力し続けることにより、評価機の現像装置を駆動させた。次いで、評価機の現像装置からトナーを取り出した後、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、取り出されたトナーの帯電量(単位:μC/g)を、吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)を用いて測定した。以下、ここで測定された帯電量を、「駆動後の帯電量」と記載する。
トナーTA-1~TA-6及びTB-1~TB-7について、最低定着温度、L*値、及び駆動後の帯電量の各々の結果を、表2に示す。
11 :複合コア
12 :シェル層
13 :トナーコア
14 :磁性粉層
Claims (7)
- トナー粒子を含む、正帯電性の磁性トナーであって、
前記トナー粒子は、複合コアと、前記複合コアの表面を覆うシェル層とを備え、
前記複合コアは、トナーコアと、前記トナーコアの表面に配置された磁性粉層との複合体であり、
前記シェル層は、未開環のオキサゾリン基を有する繰返し単位を含み、
前記トナーコアは、結着樹脂と第1磁性粉とを含み、
前記磁性粉層は、第2磁性粉を含み、
前記第1磁性粉及び前記第2磁性粉は、いずれもマグネタイト粒子を含み、
前記第2磁性粉に含まれる前記マグネタイト粒子の表面は、カルボキシ基及び酸無水物基の少なくとも一方を有する、磁性トナー。 - 前記第2磁性粉に含まれる前記マグネタイト粒子の表面は、酸無水物基を有するシランカップリング剤で処理されている、請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 前記第2磁性粉に含まれる前記マグネタイト粒子の表面は、アルキルアルコキシシラン及びチタネートカップリング剤からなる群より選ばれる一種以上の疎水化剤で疎水化処理されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- ガスクロマトグラフィー質量分析法により測定される、前記磁性トナー1gに含まれる前記未開環のオキサゾリン基の量は、200μmol以上800μmol以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記第2磁性粉に含まれる前記マグネタイト粒子の量は、前記複合コアの全質量に対して5質量%以上15質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記第1磁性粉に含まれる前記マグネタイト粒子と前記第2磁性粉に含まれる前記マグネタイト粒子との合計量は、前記複合コアの全質量に対して25質量%以上35質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁性トナー。
Priority Applications (1)
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