JP2014522813A - 膵β細胞バイオマーカーに特異的に結合する分子 - Google Patents

膵β細胞バイオマーカーに特異的に結合する分子 Download PDF

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Abstract

本発明は、膵β細胞のFXYD2−γアイソフォームに特異的に結合する合成ペプチド分子であって、25アミノ酸を有する、合成ペプチド分子を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は医療分野、特に膵β細胞塊の画像化及び定量化、糖尿病性障害の病理学及び/又は診断のための膵β細胞の標的化又は可視化、並びに膵島移植の追跡調査に関する。
世界中の成人人口の6.4%に相当する2億8500万人の人々が真性糖尿病に冒されていると推定されている。この数は2030年までに、世界中の成人人口の7.8%に相当する4億3800万人にまで世界的に増加すると予想されている。欧州においては5000万人を上回る人がこの疾患に冒されている。患者の大半(約85%)は2型真性糖尿病(T2D)を有しているのに対し、約10%〜15%の患者が1型真性糖尿病(T1D)に罹患している。これは、世界的に若年性の病気及び死亡の主な原因の1つである。糖尿病は重篤な長期合併症及び心理社会的問題を引き起こし、罹患率及び若年死の大きな負担を課している。糖尿病は失明及び視覚障害、手足の切断、末期腎不全、並びに神経障害の主な原因である。これは脳卒中、心筋梗塞、及び心不全を含む心血管疾患の発生率の著しい増加と関連する。心血管疾患は欧州では糖尿病性患者の死者総数の50%超を占める。T2Dはますます蔓延しており、より若年期に発症するようになり、罹病期間が数十年増加しているので、更に多くの人々が重篤な糖尿病性合併症を発症し、苦痛によって人々の生活の質及び余命(expectancy)が低下している。
糖尿病は多くのコストを発生させるが、生涯にわたり、重大な医学的問題を引き起こすため特に費用がかかる。これらのコストには、医師の業務及び看護業務、病院業務、研究室業務、医薬品、患者の教育及び訓練による直接コスト、並びに研究時間のロス、長期看護及び全般的な社会経済援助、早期退職、長期化する病的状態及び若年死による間接コストが含まれる。直接コスト及び間接コストの両方を含む真性糖尿病の全コストは各国で計算されており、莫大である。例えば、1人の患者を25年の期間にわたって治療するコストは100000ユーロ〜200000ユーロ程度である。
手のひらほどの大きさの臓器である膵臓は、胃の下部の裏側に位置する。膵臓は形態的にも生理的にも異なる2つの構造、すなわち消化に関与する酵素(アミラーゼ、リパーゼ等)及び重炭酸ナトリウムを産生する膵外分泌部、並びに血糖値の調節に関与するホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチド)を産生する膵内分泌部からなる。膵内分泌部の細胞は、膵臓中に分散する島状の微小器官(ランゲルハンス島又は膵島)として組織化される。各々の膵島は4つの細胞型、すなわちα細胞、β細胞、δ細胞、及びPP細胞で構成されている。ラットではα細胞は膵島(islet)の周辺部に位置し、グルカゴンを分泌する。β細胞は膵島の中央部に見られ、グルコースに反応してインスリンを分泌可能な唯一の細胞である。δ細胞は周辺部にあり、ソマトスタチンを分泌する。ヒトではこれらの細胞はランゲルハンス島内に散在する。PP細胞の機能については、更に議論の余地がある(膵臓ポリペプチドの合成)。
インスリンは、体がグルコースをエネルギーとして使用するのを助けるホルモンである。体が十分なインスリンを作らないか、インスリンを適切に用いることができないか、又はその両方の場合、グルコースが血液中に蓄積され、糖尿病が発症する。自己免疫疾患である1型真性糖尿病(T1D)では、膵臓のβ細胞は、体の免疫系によって攻撃され、破壊されているため、もはやインスリンを作ることはない。T1D患者は、生きるためにはインスリンを毎日摂取しなければならない。2型真性糖尿病(T2D)は通常、体がインスリンを効率的に用いるのが困難となるインスリン抵抗性と呼ばれる状態から始まる。時間とともにインスリン産生が同様に減少し、多くのT2D患者は最終的にはインスリンを摂取することが必要となる。また、健常被験体と比較してβ細胞集団が増加している患者においては、高インスリン血症と呼ばれる状態が起こる。高インスリン血症の患者は発作、精神遅滞、及び永久的脳障害を発症する危険性が高い。グルコースはCNSによって使用される主要な基質であるため、未確認又は管理不良の低血糖症は、永続的で重篤な神経障害につながる可能性がある。一過性高インスリン血症は新生児に比較的よく見られる。糖尿病の母親から生まれた乳児、在胎週数に比べて小さいか若しくは大きい乳児、又は強いストレスを経験した乳児のインスリン濃度は高くなり得る。
インスリンの定期的な投与以外の糖尿病に対する治療のうち、糖尿病患者における血糖の生理的制御及び血糖の正常化のための1つのアプローチは、in vivoにおける細胞からのインスリン分泌を回復させることである。動物からのインスリン産生細胞の異種移植、単離幹細胞のインスリン分泌細胞へのin vitro分化及び患者におけるその再移植、又は別の被験体から単離した膵島の同種移植といった幾つかの戦略が提案されている。
β細胞の研究のための細胞モデルの不足に加えて、このタイプの細胞に適した信頼性のある効果的な細胞選別手段の不足は、β細胞の機能の研究、したがって1型糖尿病及び2型糖尿病の新規の治療方法の開発の妨げとなる。
膵β細胞塊の画像化の現在の試みは、MRI(核磁気共鳴画像法)を用いるか、又はPET(ポジトロン放出断層撮影法)及びSPECT(単光子放出コンピュータ断層撮影法)を用いることによって行なわれている。β細胞塊のin vivoでの画像化は、非常に高い感受性及び高い空間分解能の組合せを必要とする。MRIは最も優れた空間分解能を有するが、磁性プローブ、及び膵島移植において最近使用されるex vivo標識化手順により達成される低い感受性が主な課題となっている。MRIは、ex vivoでのSPIO(酸化鉄の小粒子)によるヒト膵島の標識化、及びその後の膵島移植によって首尾よく使用されてきた(非特許文献1)。このアプローチを用いると、移植β細胞塊を移植後6ヶ月まで追跡調査することが可能であった。しかしながら、この技法は、ex vivoでの膵島細胞によるマーカーの取込みに依存するため、移植にしか使用可能でなく、膵臓におけるβ細胞のin vivo画像化に使用することはできない。MRIは膵臓への糖尿病誘発性CD8+T細胞の動員を追跡調査するため(非特許文献2)、Cy5.5標識アネキシン5プローブを用いてT1D進行時のアポトーシスを検出するため(非特許文献3)、又はT1D進行時の微小血管変性を検出するため(非特許文献4)にも使用されているが、検出される変化は半定量的である。
PET及びSPECTは感度が非常に高く、ex vivoでの標識化を必要としない。一方で、これらの技法の空間分解能はMRIを下回る。PET又はSPECT画像化は、膵島特異的な受容体に結合する化合物を用いて、又は放射性トレーサーで標識した、膵島において輸送体によって特異的に取り込まれる化合物を用いて達成される。β細胞PET/SPECT画像化に使用される現在の基質の大半は、非β細胞、場合によっては膵臓中の外分泌細胞に結合するか又は取り込まれる。これはトレーサーの希釈及び高いバックグラウンドをもたらすため、全膵臓量の1%〜2%にしかならない小さな膵島(直径100μm〜300μm)において膵臓全体に散在するβ細胞を定量化するのは現在は不可能である。
これまで特定された幾つかのβ細胞特異的膜タンパク質の1つに、SLC30A8遺伝子によってコードされる亜鉛輸送体ZnT8タンパク質がある(非特許文献5、非特許文献6)。ZnT8は膵β細胞においてインスリンと共局在化する(非特許文献7)。Avalon(特許文献1及び特許文献2)及びCEA(特許文献3、特許文献4、及び特許文献5)は、このタンパク質がβ細胞特異的であるという事実、並びにがんの療法及び抗体試験での使用のためにZnT8に対する抗体を利用することを特許に採用している。近年では、ZnT8が自己抗原であり、1型糖尿病における自己抗体の標的であるとして特定された(非特許文献8)。したがって、ZnT8はβ細胞の検出に有用ではない。
Biogen-IDEC社は、膵島細胞のβ細胞において(非特許文献9)及び腎臓(非特許文献10)において特異的に発現される免疫グロブリンスーパーファミリー遺伝子であるKirrel 2(フィルトリン(filtrin)又はNEPH3)を特定した。この候補は発現レベルが非常に低いため、β細胞の検出に有用ではない。近年、デンシン(densin)及びフィルトリンが自己抗原として働くことができ、これらに対する自己抗体がT1D患者において検出されることが示されている(非特許文献10)。しかしながら、この候補の発現は低過ぎるため、β細胞検出に有用ではない。
β細胞増殖を刺激し(非特許文献11)、原形質膜から切断され、脱落するβ細胞タンパク質としてTmem27(又はコレクトリン)が特定された。しかしながら、コレクトリンは、β細胞よりも膵島非β細胞において高度に発現される。
遊離脂肪酸受容体GPR40(FFAR1とも呼ばれる)は、膵島特異的であり、T2Dの治療に対する有力な標的であるとして近年特定されたGタンパク質共役(G-coupled)受容体である(非特許文献12)。しかしながら、この受容体は膵島β細胞及びα細胞の両方で発現されるため(非特許文献13)、良好なβ細胞バイオマーカーとしての可能性が妨げられる。
膵臓を研究するPET画像化チームはβ細胞を画像化することも試みている。このために、チームは選択的に結合するか、又は膵島特異的輸送体及び受容体により取り込まれると想定される化合物を使用している。これらの化合物の例としては、グリベンクラミド、トルブタミド、セロトニン、L−DOPA、ドーパミン、ニコチンアミド、フッ化デオキシグルコース、及びフルオロジチゾン(fluorodithizone)が挙げられる。グリベンクラミド及びフルオロジチゾンは、PET画像化によるβ細胞塊の定量化に必要とされる、バックグラウンド比に対して強いシグナルを得るには十分に特異的ではない。F−デオキシグルコース(FDG)は、β細胞塊を首尾よく定量化するために使用することはできなかったが(非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16)、局所性インスリン過剰症と、びまん性インスリン過剰症とを区別するために使用することができた(非特許文献17及び非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22)。
膵β細胞を画像化するためにこれまで使用されてきた中で最も有望な化合物は、F18−DOPA及びジヒドロテトラベナジン(DTBZ)(どちらもVMAT2輸送体によって取り込まれる基質である)(非特許文献23、非特許文献24)、並びにグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)又はエキセンディン(どちらもGLP−1受容体に結合するリガンドである)である(非特許文献25、非特許文献26)。残念なことに、上記の化合物は全て、過度に高いバックグラウンドレベルをもたらし、他の様々な腹腔内組織、例えば腎臓及び肝臓に非特異的に結合する。
上記のように、Paul Harrisのチームは、β細胞画像化の潜在的ツールとして小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)及びそのリガンドであるDTBZを特定した。DTBZをC−11及びF−18で標識すると、齧歯類及び霊長類において膵臓による高度の取り込みが得られた(非特許文献27)。残念なことに、β細胞を完全に根絶しても、膵臓によるDTBZの取り込みは30%〜40%しか低下せず、該化合物がβ細胞塊を評価するために使用することが可能なほどに十分なβ細胞に対する特異性を欠くことが示された(非特許文献28)。
インスリン(K14D10)、スルファチド(IC2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、又はタンパク質チロシンホスファターゼ(IA2)に指向性を有する幾つかの自己抗体が特定されている。Ian Sweetのチームは、β細胞の画像化/標的化のためにβ細胞特異抗体(K14D10)及びそのFab断片を使用したが、血中クリアランスが最良の抗体断片でも膵臓において優先的に蓄積しなかった。核画像化のために放射性同位体キレート剤で修飾したモノクロナール抗体IC2(非特許文献29、非特許文献30)は、極めて特異的な結合及びβ細胞への蓄積を示し、膵外分泌部又は間質組織には実質的に結合しなかった(非特許文献31)。しかしながら、スルファチドは膵島細胞を支配するシュワン細胞及び他の神経組織においても発現されるため、β細胞画像化における使用が妨げられ得る。
特許文献6は、膵β細胞の原形質膜中に位置するバイオマーカーを開示している。これらのバイオマーカーはFXYD2γアイソフォームa、b及びcである。FXYD2は、Na、K−ATPアーゼの調節サブユニットである。バイオマーカーは、それらの1)周辺組織(全膵臓/外分泌組織、肝臓、小腸、脾臓、胃)と比較して膵島における優先的発現、2)膵α細胞又はその他の膵島非β細胞よりも膵β細胞におけるより高い発現、3)膵β細胞において特異的に発現される酵素であるグルコキナーゼのより高い又は同等の発現レベル、4)原形質膜における位置、及びそれ自身が画像化、標的化及び免疫組織化学を可能とする抗体、ペプチド又は小分子により標的化可能であること、並びに5)発現はβ細胞塊の炎症プロセスの間に誘導されず、上記タンパク質はT細胞及び星状細胞又は炎症プロセスに加わるその他の細胞において濃縮されないことを特徴とする。特許文献6は、β細胞塊の減少の早期同定、及びβ細胞再生等を試みる膵島移植を含む糖尿病の治療の追跡調査を可能とするため、これらのバイオマーカーの検出のための抗体の使用を記載している。我々の実験は、特許文献6に記載される抗体はβ細胞FXYD2バイオマーカーに対し特異性が高いとは言えないことを示した。抗体の使用には幾つかの欠点がある。実際に、それらの製造プロセスが長いということに加え、特にポリクローナル抗体については、標的に対する特異性及び親和性が低い可能性がある。重抗体(heavy chain antibodies)に対する標的の利用可能性が低減される。動物(ウサギ、ラット)において合成される抗体は、ヒトに対して試験される場合に免疫反応を引き起こす可能性がある。さらに、抗体は分解に供される。
欧州特許第1513951号 国際公開第03097802号 米国特許出願公開第2006246442号 欧州特許第1563071号 国際公開第2004046355号 国際公開第2009/101181号
Evgenov et al 2006 Moore A et al, 2004 Medarova Z. et al, 2006 Medarova Z. et al 2007 Chimienti F et al 2004 Seve et al 2004 Chimienti et al 2006 Wenzlau JM et al., 2007 Sun C. et al, 2003 Rinta-Valkama J et al 2007 Fukui K et al, 2005 Bartoov-Shifman R et al 2007 Flodgren E et al 2007 Malaisse WJ et al. 2000 Ruf J et al. 2006 Nakajo M. et al., 2007 de Lonlay P et al 2005 de Lonlay P et al 2006 Otonkoski T et al 2006 Kauhanen S et al 2007 Ribeiro MJ et al, 2007 Hardy OT., et al 2007 Souza F. et al 2006 Simpson NR. et al. 2006 Gotthardt M. et al, 2002 Wild M. et al. 2006 Souza et al, 2006 Kung et al 2007 Brogren CH et al 1986 Buschard K et al 1988 Moore A et al, 2001
本発明は、膵β細胞マーカー、より正確にはFXYD2−γ−aサブユニットに特異的に結合するペプチドを提供すること、及び抗体の使用に関連する上述の全ての不利益を回避することを目的とする。また、本発明は、後に詳述される幾つかの用途におけるペプチドの使用を提供する。
本発明は、膵β細胞のFXYD2−γアイソフォームに特異的に結合するペプチド分子に関する。上記ペプチド分子は3〜35アミノ酸、好ましくは5〜30アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸を含む。
FXYD2−γアイソフォームβ細胞バイオマーカーに対して配向される上記ペプチド分子は、β細胞特異的な質量定量化(mass quantification)を可能とし、糖尿病/膵臓がんの進行を評価して膵臓疾患の状態のより早期の予測を導き、より早期の介入を可能とし、よって糖尿病を停止できる可能性が高く、膵島移植後のβ細胞塊の追跡調査を可能とする。
本発明のペプチド分子を使用する画像化/標的化戦略は、β細胞特異的な質量定量化を可能とし、糖尿病/膵臓がんの進行の評価を可能として膵臓疾患の状態のより早期の予測を導き、より早期の介入を可能とし、糖尿病を停止できる可能性が高く、膵島移植後のβ細胞塊の追跡調査を可能とする。
本発明のペプチド分子のその他の用途として、1型糖尿病及び2型糖尿病の患者、並びに膵島移植後の患者のβ細胞塊の追跡調査が挙げられる。また、β細胞の画像化は、糖尿病におけるβ細胞塊の減少を予防すること、又は再生によるβ細胞塊を回復することを目的とする新たな治療の臨床試験における代理マーカーとしても有用である。
好ましい実施の形態では、本発明は膵β細胞のFXYD2−γ−aアイソフォームに特異的に結合するペプチド分子を提供する。
本発明の好ましい実施の形態において、ペプチド分子は合成ペプチド分子を含む。これは、合成ペプチドの製造過程が抗体の製造と比較して容易かつ安価であることから、有利である。また、合成ペプチドは、抗体よりも安定的である。標的に対する合成ペプチドの利便性、特異性及び親和性は、ポリクローナル抗体と比較してより高く、より確実である。さらに、抗体のように動物においてペプチドが合成されていないことから、免疫反応を誘導するリスクがない。
本発明の更に好ましい実施の形態では、ペプチド分子は下記式X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25(式中、X1がロイシン又はイソロイシンであり、X2がプロリンであり、X3がロイシン又はイソロイシンであり、X4がセリン又はスレオニンであり、X5がアルギニン、リシン又はヒスチジンであり、X6がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X7がチロシンであり、X8、X9及びX10がグリシンであり、X11がセリン又はスレオニンであり、X12がバリン、ロイシン又はイソロイシンであり、X13がプロリンであり、X14がフェニルアラニン又はロイシンであり、X15がチロシンであり、X16がセリン又はスレオニンであり、X17がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X18がセリン又はスレオニンであり、X19がアスパラギン又はグルタミンであり、X20がスレオニン又はセリンであり、X21及びX22がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X23がスレオニン又はセリンであり、X24がセリン又はスレオニンであり、X25がメチオニン又はシステインである)のペプチド及びその機能的等価物から選択され、好ましくはペプチド式がLPLSRHYGGGSVPFYSHSNTHHTSM及びその機能的等価物である。
本発明の更に好ましい実施の形態では、ペプチド分子は下記式X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−G−G−G−S−V−P−F−Y−S−H−S−X33−X34−X35−X36−X37−X38−X39(式中、X26がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X27がアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、X28がアルギニン、リシン又はヒスチジンであり、X29がロイシン又はイソロイシンであり、X30がリシン、アルギニン、又はヒスチジンであり、X31がセリン又はスレオニンであり、X32がヒスチジン、リシン又はアルギニンであり、X33がイソロイシン又はロイシンであり、X34がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X35がアラニンであり、X36がヒスチジン、リシン又はアルギニンであり、X37がロイシン又はイソロイシンであり、X38がプロリンであり、X39がグルタミン又はアスパラギンである)のペプチド及びその機能的等価物から選択され、好ましくはペプチド式がHDRLKSHGGGSVPFYSHSIHAHLPQ及びその機能的等価物である。
別の実施の形態では、本発明は、膵β細胞塊を特異的に測定するペプチド分子の使用を提供する。
別の実施の形態では、本発明は、膵β細胞標識化へのペプチド分子の使用であって、少なくとも1種のペプチド分子が酸化鉄造影剤に連結されている、使用を提供する。
更なる実施の形態では、本発明は、上記酸化鉄造影剤が少なくとも1種のポリシロキサンシェル、及び少なくとも1種のカルボン酸基を含むコーティングを有する、ペプチド分子の使用を提供する。
別の実施の形態では、本発明は、膵β細胞塊を測定する方法であって、a)ペプチド分子を使用して試料中のβ細胞を可視化する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)標識化β細胞の量を定量化する工程を含む、方法を提供する。
その他の実施の形態において、本発明は、膵β細胞関連障害のin vivo及びin vitroでの診断のための診断用組成物の調製におけるペプチド分子の使用を提供する。
別の実施の形態において、本発明は、in vivoにおいてβ細胞関連障害を診断する方法であって、a)ペプチド分子を被験体に導入する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)in vivoにおいてPET、PET−CT若しくはSPECT、又はMRIを使用して膵臓におけるβ細胞集団に対して特異的に位置する上記ペプチド分子を可視化する工程、c)上記被験体におけるβ細胞塊を定量化する工程、d)工程c)で得られたβ細胞塊のデータと、健康な被験体のβ細胞塊、又は同一被験体における以前の解析によるβ細胞塊のデータとを比較する工程、e)工程c)で得られたβ細胞塊のレベルが健康な被験体のそれと比べて減少している場合に、その被験体が糖尿病である、又は糖尿病を有するリスクが高いと診断し、工程c)で得られたβ細胞塊のレベルが健康な被験体のβ細胞塊又は同一被験体における以前の解析によるβ細胞塊のレベルと比較して増加している場合に、その被験体が高インスリン血症である、又は高インスリン血症を有するリスクが高いと診断する工程を含む、方法を提供する。
その他の好ましい実施の形態において、本発明は、上記β細胞関連障害が1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、高インスリン血症又は膵臓がんである、上記使用又は方法を提供する。
別の実施の形態において、本発明は、膵臓にその他の分子を輸送する、ペプチド分子の使用を提供する。
別の実施の形態において、本発明は、膵臓に対して分子を標的化する方法であって、a)ペプチド分子に対して上記分子を結合する工程、b)ペプチド分子に結合された上記分子を被験体に導入する工程を含む、方法を提供する。
その他の実施の形態において、本発明は、バイオマーカーFXYD2−γ−aに特異的に結合する標識化されたペプチド分子を少なくとも含む、特異的にβ細胞塊を測定するキット、及び/又はβ細胞関連障害の診断用キット、及び/又は被験体においてβ細胞を精製するキットを提供する。
別の実施の形態において、本発明は、被験体におけるβ細胞移植の成功を追跡調査する方法であって、a)被験体へのβ細胞移植の後一定期間に亘り被験体における膵β細胞塊を測定する工程、b)一定の時間経過において、上記β細胞塊を比較することによって移植の成功を決定する工程を含む、方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、他の膵臓非β細胞からβ細胞を精製又は単離する方法であって、a)ペプチド分子でβ細胞をタグ付する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)上記β細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それにより実質的に純粋なβ細胞製剤を得る工程を含む、方法を提供する。
その他の実施の形態において、本発明は、β細胞の再生を同定する方法であって、a)ペプチド分子によってβ細胞にタグ付する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)β細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それによって実質的に純粋な再生されたβ細胞製剤を得る工程、c)新たに再生されたβ細胞の数を同定し、新たなβ細胞塊を明らかにするために免疫組織化学を実施する工程、d)治療戦略を追跡調査するとともに、β細胞塊の回復を検出する工程を含む、方法を提供する。
その他の実施の形態において、本発明は、機能的なインスリン発現細胞を得るために幹細胞集団を同定する方法であって、a)ペプチド分子でβ幹細胞を標識化する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)有望なβ幹細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それによって実質的に純粋なβ幹細胞製剤を得る工程を含む、方法を提供する。
好ましい実施の形態において、本発明は、幹細胞集団を同定する方法であって、c)β幹細胞の数を同定して新たなβ細胞塊を明らかにするために免疫組織化学を行う工程、d)治療戦略を追跡調査するとともに、新たに形成されたβ細胞塊を検出する工程を更に含む、方法を提供する。
FXYD2−γ−aタンパク質のN末端配列に対するポリクローナル抗体を使用して、CAPAN2細胞(左パネル)及びPANC1細胞(右パネル)に対して行われた免疫細胞化学試験を示す図である。 ペプチドP88、P89及びP90を使用して、CAPAN2細胞(左パネル)及びPANC1細胞(右パネル)に対して行われた免疫細胞化学試験を示す図である。一番下の列は、ネガティブコントロール試料を示す。 CAPAN2細胞(黒カラム)及びPANC1細胞(白カラム)の免疫蛍光標識より得られた顕微鏡画像のImageJ半定量的解析を示す図である。Aは免疫蛍光標識の相対比率(RRFL)を示す。Bは、抗FXYD2−γ−aポリクローナル抗体が使用された場合に得られたRRFLに対する比較において決定された2つの異なる濃度(5μM及び10μM)でP88が使用された場合に得られたRRFLのパーセンテージを示す。Cは、CAPAN2細胞において測定されたRRFLとPANC1細胞において測定されたRRFL間の比率を示す。A、B及びCについて、1:10μMのP88を使用した、2:5μMのP88を使用した、3:5μgの抗FXYD2−γ−a抗体を使用した、また**=P<0.01であった。 P88(左パネル)及び抗インスリン抗体(右パネル)を使用したヒト膵臓ランゲルハンス島の免疫組織化学試験を示す図である。 P88(左パネル)及びFXYD2−γ−aのN末端配列に対するポリクローナル抗体(右パネル)を使用したヒト膵臓ランゲルハンス島の免疫組織化学試験を示す図である。下側の画像中の矢印は、P88の場合と異なり、抗FXYD2−γ−aポリクローナル抗体がβ細胞以外の膵臓の構造と相互作用していることを示す。 USPIO−P88(黒カラム)又はUSPIO−PEG(白カラム)のいずれかで標識化されたCAPAN2細胞の横緩和速度(y軸)を示す図である。A CAPAN2細胞の濃度は2×l0細胞/100μlである。B CAPAN2細胞の濃度は1×l0細胞/100μlである。C CAPAN2細胞の濃度は0.5×l0細胞/100μlである。D CAPAN2細胞の濃度は0.1×l0細胞/100μlである。 種々の濃度(x軸)のUSPIO−P88(黒カラム)及びUSPIO−PEG(白カラム)で標識化されたCAPAN2細胞の鉄濃度(y軸)を示す図である。**=p<0.01 USPIO−P88又はUSPIO−PEGのいずれかで標識化されたヒトランゲルハンス島のMRI可視化を示す図である。A 1250ランゲルハンス島/100μlを使用する(2.5×l0細胞/100μl)。B 625ランゲルハンス島/100μlを使用する(1.25×l0細胞/100μl)。C 312ランゲルハンス島/100μlを使用する(0.625×l0細胞/100μl)。D 156ランゲルハンス島/100μlを使用する(0.312×l0細胞/100μl)。左パネル及び右パネルは、2つの異なる一連の試料である。1 USPIO−P88で標識化された純粋な膵島。2 USPIO−P88で標識化されたより純度の低い膵島。3 USPIO−PEGで標識化された純粋な膵島。4 USPIO−PEGで標識化されたより純度の低い膵島。5 ゼラチン。 USPIO−P88又はUSPIO−PEGのいずれかで標識化されたヒトランゲルハンス島の横緩和速度(y軸)を示す図である。A 1250ランゲルハンス島/100μlを使用する(2.5×l0細胞/100μl)。B 625ランゲルハンス島/100μlを使用する(1.25×l0細胞/100μl)。C 312ランゲルハンス島/100μlを使用する(0.625×l0細胞/100μl)。D 156ランゲルハンス島/100μlを使用する(0.312×l0細胞/100μl)。1 USPIO−P88で標識化された純粋な膵島。2 USPIO−P88で標識化されたより純度の低い膵島。3 USPIO−PEGで標識化された純粋な膵島。4 USPIO−PEGで標識化されたより純度の低い膵島。 ヒト膵臓組織学切片に対して行われた免疫蛍光共局在試験(Immunofluorescence co-localization tests)を示す図である。A P88を使用した。B 抗インスリン抗体を使用した。C A及びBを併合した後に得られた画像。 ヒト膵臓組織学切片に対して行われた免疫蛍光共局在試験を示す図である。A P88を使用した。B 抗グルカゴン抗体を使用した。C A及びBを併合した後に得られた画像。 ヒト膵臓組織学切片に対して行われた免疫蛍光共局在試験を示す図である。A FXYD−γ−aタンパク質のN末端配列に対するポリクローナル抗体を使用した。B 抗インスリン抗体を使用した。C A及びBを併合した後に得られた画像。
別途定義されない限り、本発明の開示において使用される技術用語及び科学用語を包含する全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって通常理解される意味を有する。更なる指標により、本発明の教示をよりよく理解するための用語の定義が包含される。
本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
本明細書で使用される数量を特定していない単数形("A","an", and "the")は、別途文脈により明確に指示されない限り、単数及び複数の両方の指示物を意味する。例えば、「区画(a compartment)」は1又は2以上の区画を意味する。
本明細書においてパラメーター、量、期間等の計測可能な値に対する言及で使用される「約(About)」は、規定値より±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、更に好ましくは±1%以下、そして更に好ましくは±0.1%以下の変動を包含することを意味し、そのような変動であれば開示される本発明を実施するのに適切である。しかしながら、修飾語句「約」が言及する値そのものは具体的に開示されることも理解される。
本明細書で使用される「含む、備える("Comprise," "comprising," and"comprises" and "comprised of")」は、「包含する、含有する("include", "including", "includes" or"contain", "containing", "contains")」と同義であり、例えば成分等のその後に続く語の存在を明示する総称又は無制限の用語であって、当該技術分野において既知又は本明細書に開示される追加の特定されていない成分、機能、因子、部材、工程の存在を排除又は除外するものではない。
端点による数値範囲の記述は、その範囲内に含まれる全ての数及び分数を包含し、同様に記述された端点も包含される。
「重量%」(重量パーセント)の表現は、別途定義されない限りここ及び本明細書全体において、配合の全重量に基づく各成分の相対的重量を意味する。
本明細書において使用される標識化(labeling)及びマーキング(marking)の用語は同義語である。
本発明は、3〜35アミノ酸、好ましくは5〜30アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸を含む、膵β細胞のFXYD2−γアイソフォームに特異的に結合するペプチド分子に関する。より好ましい実施形態において、ペプチド分子はFXYD2−γ−aアイソフォームに特異的に結合する。更に好ましい実施形態において、ペプチド分子は、ヒト膵β細胞のFXYD2−γ−aアイソフォームに特異的に結合する。
ペプチド分子の同定方法には、ツーハイブリッド解析、ファージディスプレー法、免疫沈降法等が含まれる。
本発明の結合ペプチド分子の同定を、FXYD2−γマーカーを発現する又は発現しない細胞又は細胞株を使用して行うことができる。FXYD2−γ−a陽性細胞及び/又は細胞株は、げっ歯類膵島、ラットINS−1E、AR42J細胞、又はヒトCAPAN−2細胞であってもよく、FXYD2−γ−a陰性細胞株はヒト膵α細胞又はヒトPANC−1細胞であってもよい。これらの細胞又は細胞株は、PET、PET−CT又はSPECT解析においてβ細胞塊の可視化のための新たなトレーサーペプチド分子を同定するために、FXYD2−γ−a陽性細胞に特異的に結合するが、FXYD2−γ−a陰性細胞には結合しないペプチド分子をスクリーニングするために使用され得る。
そのような1つの態様において、本発明は、FXYD2−γ−a陽性細胞に特異的に結合する新たなペプチド分子を同定する方法であって、a)FXYD2−γ−a陽性細胞種又は細胞株と候補ペプチド分子を接触させ、該候補ペプチド分子及び細胞間の相互作用を測定する工程;b)FXYD2−γ−a陰性細胞種又は細胞株と上記候補ペプチド分子を接触させ、該候補トレーサー分子及び細胞間の相互作用を測定する工程;c)工程a)の細胞には結合するが、工程b)の細胞には結合しないこれらの候補ペプチド分子が、β細胞塊トレーサー分子として保持される工程を含む、方法を提供する。上記方法の好ましい実施形態において、FXYD2−γ−a陽性細胞種又は細胞株が、げっ歯類膵島、ラットINS−1E、AR42J細胞及びヒトCAPAN−2細胞からなる群より選択され、FXYD2−γ陰性細胞種又は細胞株がヒト膵α細胞又はヒトPANC−1細胞であってもよい。
更に好ましい実施形態において、本発明のペプチド分子は、当該分野において非常によく知られているファージディスプレーを使用する商業的に入手可能なペプチドライブラリーから選択されてもよい。ファージディスプレー法は、タンパク質の相互作用を研究するために使用される技術である。この技術は、目的の結合タンパク質をファージ表面に発現させ、上記結合タンパク質を、その結合パートナーとの複合体形成能力により選択することに基づくものである。この方法の原理は、ファージゲノムの遺伝子組換えによるものであり、即ち、目的の結合タンパク質をコードする配列が上記ファージゲノム中へと挿入される。配列挿入は、ファージの外被タンパク質複合体を形成するタンパク質をコードする遺伝子の隣に位置する。外来配列は、一般的には、シグナルペプチド及び成熟タンパク質をコードする領域の間で、上記遺伝子内においてスプライシングされる。上記外被は、例えば、最も一般的に使用されるpIIIタンパク質及びpVIIIタンパク質等の種々のタンパク質により構成されている。これらのタンパク質をコードする遺伝子の隣に目的配列を挿入することにより、目的の結合タンパク質をファージの外被タンパク質に融合することができる。その後、組換えファージを細菌に感染させ、そのゲノムを複製する。組換えファージゲノムの発現により、それらの表面にスクリーニングされる結合タンパク質を発現しているファージが産生される。スクリーニング工程の間、結合パートナーと呼ばれる種々のタンパク質又は分子を、上記目的のタンパク質と接触させる。ファージ表面の結合タンパク質又はペプチドと、結合パートナーとの間に複合体が形成される場合、この複合体を精製し、その後、目的の結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(nucleotidic sequence)を組換えファージゲノムから決定する。
本発明の更に好ましい実施形態では、ペプチド分子は下記式X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25(式中、X1がロイシン又はイソロイシンであり、X2がプロリンであり、X3がロイシン又はイソロイシンであり、X4がセリン又はスレオニンであり、X5がアルギニン、リシン又はヒスチジンであり、X6がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X7がチロシンであり、X8、X9及びX10がグリシンであり、X11がセリン又はスレオニンであり、X12がバリン、ロイシン又はイソロイシンであり、X13がプロリンであり、X14がフェニルアラニン又はロイシンであり、X15がチロシンであり、X16がセリン又はスレオニンであり、X17がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X18がセリン又はスレオニンであり、X19がアスパラギン又はグルタミンであり、X20がスレオニン又はセリンであり、X21及びX22がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X23がスレオニン又はセリンであり、X24がセリン又はスレオニンであり、X25がメチオニン又はシステインである)のペプチド及びその機能的等価物から選択され、好ましくはペプチド式がLPLSRHYGGGSVPFYSHSNTHHTSM及びその機能的等価物である。
本発明の更に好ましい実施形態では、ペプチド分子は下記式X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−G−G−G−S−V−P−F−Y−S−H−S−X33−X34−X35−X36−X37−X38−X39(式中、X26がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X27がアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、X28がアルギニン、リシン又はヒスチジンであり、X29がロイシン又はイソロイシンであり、X30がリシン、アルギニン、又はヒスチジンであり、X31がセリン又はスレオニンであり、X32がヒスチジン、リシン又はアルギニンであり、X33がイソロイシン又はロイシンであり、X34がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X35がアラニンであり、X36がヒスチジン、リシン又はアルギニンであり、X37がロイシン又はイソロイシンであり、X38がプロリンであり、X39がグルタミン又はアスパラギンである)のペプチド及びその機能的等価物から選択され、好ましくはペプチド式がHDRLKSHGGGSVPFYSHSIHAHLPQ及びその機能的等価物である。
その他の実施形態において、本発明のペプチド分子は、健康状態及び疾患状態(糖尿病又はその後の膵島移植)における膵β細胞塊の推定及び可視化において使用される。本発明は、糖尿病状態の予測及び追跡調査、膵島移植の追跡調査、及び糖尿病予防及び/又はβ細胞塊の再生を目的とする治療的アッセイのための代理手段としてのツールの開発を可能とする。
更なる実施形態において、本発明は、β細胞関連障害をin vivoにおいて診断する方法であって、少なくとも1種のペプチド分子が造影剤に結合されており、よって画像化プローブを形成している、方法を提供する。1型糖尿病(新しく開発された治療戦略に加え、インスリンによる古典的治療)又は2型糖尿病(新しく開発された治療戦略に加え、インスリン抵抗性の減少、インスリン産生の刺激、糖質消化の予防)と共に、膵臓腺癌(放射線治療、化学療法、外科手術)における様々な治療戦略の成功がモニターされる。造影剤は、SPIO、USPIO若しくはその他の任意の被覆ナノ粒子、又はMRI用の常磁性造影剤、又はPET、PET−CT、SPECT用の放射性プローブ等の当該分野において既知の任意の微粒子又はナノ粒子である。好ましくは、本発明のペプチド分子は、本発明者らによって開発され、以下に記載されるナノ粒子に連結される。
本発明者らによって開発されたナノ粒子は、カルボン酸基を提示する薄いポリシロキサンシェルにより被覆された小さい酸化鉄コアに基づき、MRI T造影剤として使用される。コーティングの厚みは、0.1nm〜1.2nm、好ましくは0.2nm〜1nm、より好ましくは0.3nm〜0.8nmに含まれ、更に好ましくは約0.5nmである。これらの静電的に安定化されたナノ粒子の水溶液を70重量%まで濃縮することができる。産生されたナノ粒子は、19nm〜40nm、好ましくは20nm〜25nmに含まれ、より好ましくは約21nmの流体力学直径を有する。これらのナノ粒子は、細胞培養培地中での低いコロイド安定性、及び生理食塩水中での高い安定性を特徴とし、したがって、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に容易に再分散されて適切に標識化された細胞が得られる。
これらの被覆酸化鉄ナノ粒子は、カルボキシシランに基づき安定化シェルによりグラム単位で単純な方法によって産生される。高沸点のアルコール中の金属酸化物の沈殿中に存在する酸化鉄コアを、ポリオール法により得る。固体NaOHをジエチレングリコール(DEG)に溶解された塩化鉄塩に添加し、洗浄することができ、酸性溶媒中に懸濁することができる、凝集した酸化鉄ナノ粒子の黒色沈殿を導く。酸化鉄ナノ粒子を安定化するため、トリエトキシシラン(silyl)プロピルコハク酸(TESPSA)を使用する。シラノール基は酸化鉄表面でヒドロキシル基と反応し、Si−O−Fe架橋を形成する。このように、低圧及び加熱下での単純な水の排除によって、酸化鉄ナノ粒子をジメチルホルムアミド(DMF)中に移す。この工程は、反応溶媒中の既知量の水の添加によってシランのアルコキシ基の加水分解の制御を可能とする。
別の好ましい実施形態では、本発明のペプチド分子は、膵β細胞塊を特異的に測定するのに使用される。
別の好ましい実施形態では、本発明は、膵β細胞塊を測定する方法であって、a)ペプチド分子を使用して試料中のβ細胞を可視化する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)標識化β細胞の量を定量化する工程を含む、方法を提供する。画像化プローブは、多様式(MRI/蛍光撮像、PET/CT、MRI/PET/SPECT)分子画像化のために着想され、これは、「感度の良い」画像化法(PET、SPECT、蛍光撮像等)のナノモル検出限界を伴う「解剖学的」画像化法(MRI及びCT等)の高い空間分解能を達成するハイブリッド分子(即ち、蛍光色素に連結された酸化鉄ナノ粒子、又は常磁性及び蛍光デンドリマー、又は常磁性及び放射性デンドリマー、又は常磁性及び放射性キレート等の2種の画像化プローブを含有する)を合成することを意味する。これは、β細胞塊の定量化、及び膵臓腺癌の早期診断を可能とする。
本発明による画像化プローブ(造影剤に結合されている少なくとも1つのペプチド分子)を、FXYD−γ−aの存在下でのNa/K−ATPアーゼ活性の調節を調べる目的でin vitro動態アッセイを行うために使用する。画像化プローブは、FXYD2−γ−aとの相互作用の後、単独でNa/K−ATPアーゼの調節因子として作用する。細胞膜における画像化プローブの位置を、それらの化学組成に応じて電子顕微鏡又は蛍光顕微鏡によって可視化する。これは、β細胞又はその他の関連細胞の細胞膜におけるNa/K−ATPアーゼの位置の調査を可能とする。
薬物動態パラメーター(排出半減期、クリアランス、分布容積)及び体内分布プロファイルを、動物モデルにおいて調査する。古典的な方法に加え、様々な臓器における画像化プローブの体内分布を、組織学的技術、蛍光発光により検出される細胞膜に結合する化合物、又はPEG残基若しくは抗PEG抗体により調査する。これに関し、様々な臓器におけるFXYD2−γ−aの発現又は発現がないことを明確にするために画像化プローブを使用する。
したがって、本発明は、被験体のβ細胞塊を検出及び/又は測定し、それを健康な被験体のβ細胞塊の参照量と比較することによって、1型真性糖尿病若しくは2型真性糖尿病(T1D又はT2D)又は高インスリン血症等の糖尿病性障害の診断又は予測のための非侵襲的な方法を提供する。調査中の被験体におけるβ細胞塊の増加は抗インスリン血症の状態を指し、調査中の被験体におけるβ細胞塊の減少は、1型真性糖尿病又は2型真性糖尿病の状態を指す。
糖尿病性障害の診断又は予測のための非侵襲的な方法には、β細胞特異的バイオマーカーFXYD2−γ−aの検出を介するβ細胞の高特異的な検出及び/又は可視化が包含される。放射性同位体による標識化等であるがこれに限定されない標識化された高特異性を有する上記バイオマーカーに結合するペプチド分子を使用することにより、特異的マーカーの検出を行う。これらのペプチド分子は、本発明により提供される。
別の実施形態において、本発明は、in vivoにおいてβ細胞関連障害を診断する方法であって、a)本発明のペプチド分子を被験体に導入する工程であって、上記ペプチド分子が同位体で標識化されている工程、b)in vivoにおいてPET、PET−CT若しくはSPECT、又はMRIを使用して膵臓におけるβ細胞集団に対して特異的に結合する上記ペプチド分子を可視化する工程、c)上記被験体におけるβ細胞塊を定量化する工程、d)工程c)で得られたβ細胞塊のデータと、健康な被験体のβ細胞塊、又は同一被験体における以前の解析によるβ細胞塊のデータとを比較する工程、e)工程c)で得られたβ細胞塊のレベルが健康な被験体のそれと比べて減少している場合に、その被験体が糖尿病である、又は糖尿病を有するリスクが高いと診断する、及び工程c)で得られたβ細胞塊のレベルが健康な被験体のβ細胞塊又は同一被験体における以前の解析によるβ細胞塊のレベルと比較して増加している場合に、その被験体が高インスリン血症である、又は高インスリン血症を有するリスクが高いと診断する工程を含む、方法を提供する。
1つの実施形態において、本発明の診断又は予測方法は、三次元画像又は体内の機能的プロセスマップ(map of functional processes)を生み出す核医学医療画像技術である、陽電子放出断層撮影法(PET)を使用する。このシステムは、放射線同位体により標識化された本発明のペプチド分子を介して体内に導入される、陽電子を放出する放射性同位体によって、非直接的に放出されるγ線対を検出する。体内の標識化ペプチド分子は、その後、コンピューター解析によって再構築される。最新のスキャナにおいては、PETスキャンはCT X線スキャン(PET−CT)と組み合わされて同時に、同一の機械において患者に対して行われ、臓器等の構造的参照を提供する。代替的な実施形態において、単一光子放出型コンピューター断層撮影(SPECT)画像処理を、本発明の診断又は予測方法において使用することができる。SPECTは、複数の角度からの複数の2D投影を取得するためにガンマカメラを使用する。その後、コンピューターを使用して複数の投影図に対して断層撮影再構築アルゴリズムを適用し、3Dデータセットを生じる。このデータセットを、その後、身体の任意に選択された軸に沿った薄切片を示すために操作してもよい。同じ解析技術を、MRI画像に適用することもできる。
PET又はPET−CTにおいて使用される標識は、炭素−11(約20分)、窒素−13(約10分)、酸素−15(約2分)、及びフッ素−18(約110分)等の短寿命放射性同位体、又は適切な場合にはヨウ素−124(約4日)等の中寿命放射性同位体である。
その他の実施形態において、本発明のペプチド分子は、膵β細胞関連障害のin vivo及びin vitroでの診断のための診断用組成物の調製に使用される。
in vivoにおける診断方法又は予測方法を、1型真性糖尿病又は2型真性糖尿病、高インスリン血症及びβ細胞由来の膵臓がん等のインスリン関連障害の診断に使用することができる。
その他の実施形態において、本発明のペプチド分子は、多様な、反応及び検出のin vitro免疫化学システムにおいて使用される。それらは、表面に固定化されてFXYD2−γ−a又は目的の細胞を捕捉するために使用されるか、又は分光光度測定、蛍光発光、放射性同位体測定イメージング(phosphorimaging)、表面プラズモン共鳴法、又はMALDI−TOF(matrixassociated laser desorption ionization time-of-flight:マトリクス支援レーザー脱離イオン化法−飛行時間型)質量分析により検出され得るレポータータグにより標識化され得る。in vitro診断用途について、それらは、膵臓腺癌の患者からの腫瘍生検においてがん細胞を同定するために使用される。
その他の実施形態において、本発明のペプチド分子は、膵臓、より正確には膵β細胞に対する他の分子の標的化において使用される。
その他の実施形態において、本発明は、膵臓、より正確には膵β細胞に対して分子を標的化する方法であって、a) 上記分子を本発明のペプチド分子に結合する工程、b)ペプチド分子に結合された上記分子を被験体に導入する工程を含む、方法を提供する。β細胞又はがん細胞に対して標的化された分子は治療分子であってもよいが、これに限定されない。このようにして、本来の二次的な全身作用は制限される。
その他の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される標識化されたペプチド分子を少なくとも含む、特異的にβ細胞塊を測定するキット、及び/又はβ細胞関連障害を診断するためのキット、及び/又は被験体においてβ細胞を精製するためのキットを提供する。
インスリン関連障害の治療に関し、膵島移植が選択肢として挙げられる。典型的には、エドモントンプロトコルが適用され、ここでは死亡したドナーの膵臓から膵島を摘出するために特殊化された酵素が使用される。膵島はもろいため、摘出の後すぐに移植が行われる。典型的には、患者は、2名のドナーの膵臓から抽出された、少なくとも体重1キログラム当たり10000膵島「等量」を受ける。患者の多くは、インスリン非依存性を達成するために2度の移植を必要とする。一部の移植では、単一の提供された膵臓から得られたより少ない膵島等量を使用している。移植は、上腹部から肝門脈へのカテーテルの設置を先導するために、X線及び超音波を使用する放射線医によって行われることが多い。その後、膵島は、徐々にカテーテルを通して肝臓へと注入される。患者は局所麻酔及び鎮静剤を受ける。場合によっては、外科医により、全身麻酔を使用して、小切開を通して移植が行われてもよい。
そのようなβ細胞移植治療の成功の鍵は、もちろん、移植に使用されるβ細胞製剤の純度である。本発明は、膵島移植において使用するためにβ細胞を特異的に単離する方法及び移植されたβ細胞の追跡調査のためのツールを提供する。
更なる実施形態において、本発明は、FXYD2−γ−aバイオマーカーに特異的に結合するペプチド分子を使用して、特異的な方式でβ細胞を可視化又は標識化することによって、膵臓組織由来の膵β細胞を単離及び/又は精製する方法を提供する。
更なる実施形態において、本発明は、被験体におけるβ細胞移植の成功を追跡調査する方法であって、a)被験体へのβ細胞移植の後一定期間に亘り被験体における膵β細胞塊を測定する工程、b)一定の時間経過において、上記β細胞塊を比較することによって移植の成功を決定する工程を含む、方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、他の膵臓非β細胞からβ細胞を精製又は単離する方法であって、a)ペプチド分子でβ細胞をタグ付する工程であって、上記ペプチド分子が標識化されている、工程、b)上記β細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それにより実質的に純粋なβ細胞製剤を得る工程を含む、方法を提供する。
その他の実施形態において、本発明は、β細胞の再生を同定する方法であって、a)ペプチド分子によってβ細胞にタグ付する工程であって、上記ペプチドが標識化されている、工程、b)β細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それによって実質的に純粋な再生されたβ細胞製剤を得る工程、c)新たに再生されたβ細胞の数を同定し、新たなβ細胞塊を明らかにするために免疫組織化学を実施する工程、d)治療戦略を追跡調査するとともに、β細胞塊の回復を検出する工程を含む、方法を提供する。
ヒトへの移植において使用される前に、膵島以外の起源、即ち、胚性幹細胞、導管上皮中の膵臓前駆細胞、α細胞、肝細胞、膵腺房中の外分泌細胞に由来するβ細胞を特定するために本発明のペプチド分子が使用される。これは、上記ペプチドが特異的バイオマーカーとして関与する、免疫細胞化学法により達成され得る。
その他の実施形態において、本発明は、機能的インスリン発現細胞を得るための幹細胞集団を同定する方法であって、a)本発明の標識化ペプチド分子により、処理された幹細胞にタグ付する工程、b)有望なβ幹細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それにより実質的に純粋なβ幹細胞製剤を得る工程を含む、方法を提供する。本発明の方法は、或る特定の実施形態において、c)β幹細胞の数を同定するため、及び新たなβ細胞塊を明らかにするために免疫組織化学を行う工程、並びにd)治療戦略を追跡調査するとともに、新たに形成されたβ細胞塊を検出する工程を更に含むことができる。
上記分離方法を、例えば、FXYD2−γ−aサブユニットに特異的に結合する本発明の標識化ペプチド分子の保持に基づく標準的な分離技術を使用して、非標識化細胞から標識化細胞を分離することによって行うことができる。
1つの選択肢として、微小磁性粒子又は磁性ビーズと共に本発明のペプチド分子を使用することが挙げられる。ビーズ結合分子接合体は、その後、膵臓細胞製剤中のβ細胞に対して配向され、例えば電磁場を使用することによって全膵臓細胞製剤からβ細胞を特異的に精製することができる。一部のシステムにおいては、分離機器内に置かれた場合に磁場を生じるカラムを通して試料を処理し、標識化細胞のみを保持する。
他のシステムは、磁性分離の簡略版を提案する。カラム及び分離機器に代えて、これらのシステムは、上清を排水しながらチューブ内に標識化細胞を直接的に保持するために単純な磁石を使用する。これらのシステムの一部は、ポジティブ選択方式又はネガティブ選択方式において使用され得る。ネガティブ選択又は濃縮選択とは、不要な細胞を標識化(捕捉)することができ、目的の細胞を標識なしで残すことを意味する。磁性粒子は、Hammondsによれば、フローサイトメトリーを妨げることも、細胞増殖を妨げることもないため、そのようなシステムを使用して単離された細胞は、更に培養することが可能である。
磁気分離は、細胞の生存性を保ちながら、時に、70%の標的細胞の回収率で、98%にまで及ぶ純度を導き、独特で強力かつ幅広く適用可能であることが証明された。
「標識」の用語は、当該分野において既知の、PET、PET−CT又はSPECT解析において使用される全ての適当な同位体標識、磁性ビーズ又は常磁性ビーズ等の特異的抽出に適した標識、蛍光色素又はその他の蛍光標識等のin vitroでの診断に適した標識を含む。
本発明の方法又は使用又はキットにおいて記載される「β細胞関連障害」の用語は、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、高インスリン血症、肥満、神経内分泌腫瘍、又はインスリノーマの発生等のβ細胞に関連する全ての障害を包含する。
さらに、生検又は細胞株由来培養物のいずれかから得られた細胞培養におけるβ細胞の量又は特徴の解析のためのin vitro法においても本発明のペプチド分子を使用することができる。さらに、in vitroにおいてβ細胞として分化した、修飾された幹細胞等の細胞の分化状態を特徴づけるために、本発明のペプチド分子を使用することができる。
本発明を以下の非限定的な実施例により解説する。
実施例1:FXYD2−γ−aサブユニットに結合するペプチドのスクリーニング
商業的に入手可能なペプチドライブラリーをスクリーニングし、FXYD2−γ−aサブユニットに結合するペプチドを更なる解析のために保持した。FXYD2−γ−aは、66アミノ酸を含み、うち11アミノ酸がヒトβ細胞に特異的である、Na−K−ATPアーゼの調節サブユニットである(Flamez D et al DOI 10.1007/s00125-010-1714-z)。商業的に入手可能な直鎖ヘプタペプチドライブラリーを、M13ファージディスプレー法によりスクリーニングした。4回のスクリーニングの後、42クローンを更なる特徴づけ、即ち配列決定及び解離定数(K)決定のため選択した。選択されたクローンは、Kが9.3×l0−9Mであり、2個のペプチドを有していた。ペプチドは別々に合成されるか(P89及びP90と呼ばれる)、又はpIIIタンパク質の短い配列により融合した(P88と呼ばれる)。全ての3種の合成ペプチドを更に試験した。P88及びP89は、Kがそれぞれ1.89×l0−6M及び1.09×l0−4Mであったのに対し、P90のKは測定されなかった。これらのペプチドの配列は以下の通りである:
P88:LPLSRHYGGGSVPFYSHSNTHHTSM
P89:LPLSRHY
P90:NTHHTSM
PIII:GGGSVPFYSHS
BLAST検索により、P88の14アミノ酸がナトリウムチャネルタンパク質タイプ10サブユニットα(Q9Y5Y9)に相同性を有することが明らかとなった。表1に要約されるP88のその他の生化学的パラメーターは、プロテオミクスサーバーExPASy及びMarvinSketch 5.2.0ソフトウェアを使用して理論上決定された。
表1:理論上決定されたP88生化学的パラメーター
実施例2:PANC1細胞と比較したP88とCAPAN2細胞との高い相互作用
CAPAN−2細胞によって発現されたFXYD2−γ−a調節サブユニットに対する、P88、P89、P90及びFXYD2−γ−aタンパク質のN末端配列に対するポリクローナル抗体の特異性を、免疫細胞化学試験及び免疫蛍光試験によって確認した。
ビオチン化ペプチドを使用して、免疫細胞化学試験を行った。抗ビオチン抗体を使用し、ペルオキシダーゼに連結された二次抗体によって認識した。FXYD2−γ−aに対する、FXYD2−γ−aタンパク質のN末端配列に対するポリクローナル抗体を、ストレプトアビジン、ビオチン及びペルオキシダーゼを含む複合体を固定化するビオチン化二次抗体を使用して検出した。ペルオキシダーゼは、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)の存在下で褐色を呈する。
この試験により、P88と膵β細胞との相互作用が、FXYD2−γ−aのN末端配列に対するポリクローナル抗体と比較して、より特異性が高いことが再現性良く(3回)示された。実際、ポリクローナル抗体を使用した場合にはCAPAN2細胞及びPANC1細胞の両方により褐色が得られたが、P88を使用した場合にはCAPAN2細胞において褐色の着色がより局在していた(図1及び図2)。P89及びP90のCAPAN2細胞との相互作用は、P88と比較するとより特異性が低かった(図2)。
これらの結果は、免疫蛍光測定法により確認された。上述の各二次抗体を、或る特定の波長において緑色を与えるフルオレセイン等の蛍光色素分子に連結した。また、細胞核を青色に染色するためにDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)を使用した。これにより、青及び緑の着色の局在を比較することが可能となった。結果より、CAPAN2細胞において、P88を使用して得られた緑色の蛍光発光パターンは、DAPIの青色蛍光パターンに対応することが示された。PANC1細胞においては、僅かな緑色蛍光スポットが得られた(結果は示していない)。したがって、P88はCAPAN2細胞と特異的に相互作用し、よって、FXYD2−γ−aバイオマーカーに特異的である。FXYD2−γ−aのN末端配列に対するポリクローナル抗体を使用した場合、PANC1細胞において得られた緑色蛍光発光はCAPAN2細胞において得られたものよりも減弱していたが、PANC1細胞におけるP88の使用と比較するとより豊富であった(結果は示していない)。これは、P88が、抗FXYD2−γ−aポリクローナル抗体よりも膵β細胞に対してより特異的であることを示している。
蛍光標識を半定量的に評価するために、免疫蛍光試験によって得られた画像を、ImageJソフトウェアを使用して解析した。下記方程式を使用して蛍光標識の相対比率(RRFL)を算出した:
RRFL=(SI試料/N細胞)/(SIブランク/N細胞
式中、SIはシグナル強度、Nは細胞数、ブランクはネガティブコントロール試料である。結果を図3Aに示す。
P88を2種の異なる濃度(5μM及び10μM)で使用した場合に得られたRRFLパーセントを、FXYD2−γ−aのN末端配列に対するポリクローナル抗体を使用した場合に得られたRRFLと比較して決定した(図3B)。また、CAPAN2細胞において測定されたRRFLとPANC1細胞において測定されたRRFLとの比を決定した(図3C)。CAPAN2細胞においてP88(10μMで使用)により産生されたRRFLは、抗FXYD2−γ−aポリクローナル抗体により産生されたRRFLよりも945%高く、P88の濃度が5μMの場合よりも791%高かった。CAPAN2/PANC1比より、使用されたポリクローナル抗体と比較したP88の標識化特異性が裏付けられた。
実施例3:P88はヒト膵β細胞と特異的に相互作用する
免疫組織化学試験及び免疫蛍光試験を使用し、ヒト膵臓組織切片に対して、ペプチドP88、インスリン及びグルカゴンの共局在を行った。インスリンは、ランゲルハンス島のβ細胞により産生されるホルモンであり、一方、グルカゴンは同膵島のα細胞により産生される。
免疫組織化学試験により、P88を使用した場合に膵臓ランゲルハンス島の高特異的マーキングが得られることが明確に示された。このマーキングは、抗インスリン抗体を使用した場合に得られたものと同一である(図4)。
その他の免疫組織化学試験において、抗FXYD2−γ−aポリクローナル抗体を使用した。結果より、使用されたポリクローナル抗体は、P88ペプチドの場合とは異なり、膵臓のβ細胞以外の構造と相互作用することが示された(図5)。したがって、P88は膵β細胞FXYD2−γ−aバイオマーカーに対して高特異性である。
P88等がインスリン又はグルカゴンと共に検出されるようなヒト膵臓組織切片に対し、免疫蛍光試験を行った。その他の試験において、インスリンが、FXYD2−γ−aのN末端配列に対するポリクローナル抗体と共に検出された。インスリン(β細胞に特異的)を、テキサスレッドに連結された二次抗体を使用して検出される抗インスリン一次抗体によって検出した。グルカゴンを、これもまたテキサスレッドに連結された二次抗体を使用して検出される抗グルカゴン一次抗体によって検出した。テキサスレッドは、抗原部位に対して赤色を与える。抗ビオチン一次抗体及びフルオレセインに連結された二次抗体を使用してビオチン化P88を検出した。また、FXYD2−γ−aのN末端配列に対するポリクローナル抗体も、フルオレセインに連結された二次抗体を使用して検出した。フルオレセインによってマーキングされた抗原部位は、緑色で可視化される。また、細胞核を青色に染色するためDAPIを使用した。各染色(赤、緑及び青)により得られた写真を重ね合わせた。図10(図中、AにおいてはP88を使用し、Bにおいては抗インスリン抗体を使用し、CはA及びBの併合後に得られた画像である)において示されるように、P88及び抗インスリン抗体の完全な共局在が得られた(得られた黄色により説明される)。図11に示されるように(AにおいてはP88を使用し、Bにおいては抗グルカゴン抗体を使用し、CはA及びBを併合した後に得られた画像を示す)、P88及びグルカゴンは共局在しなかった。
また、結果より、FXYD2−γ−aのN末端配列に指向性を有する抗体がβ細胞と相互作用することも示された。しかしながら、インスリン及び使用された抗体間の共局在は、P88及びインスリンについて示されたものと比較するとより特異性が低かった。これは図12において示され、図中、AにおいてはFXYD2−γ−aタンパク質のN末端配列に対するポリクローナル抗体を使用し、Bにおいては抗インスリン抗体を使用し、CはA及びBを併合した後に得られた画像を示す。これらの結果は、FXYD2−γ−aポリクローナル抗体の場合と同様、P88が膵β細胞に特異的であり、α細胞又は膵臓のその他の構造と相互作用しないことを示す免疫組織化学試験により得られた結果を裏付けるものである。
実施例4:USPIOナノ粒子又はカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子のいずれかにより連結されたP88はCAPAN2細胞と相互作用する
CAPAN2細胞を、P88に連結されたUSPIOナノ粒子、又はP88に連結されたカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子により標識化した。USPIOポリエチレングリコール(PEG)をネガティブ造影剤として使用した。標識化された細胞を、MRIにより可視化し、細胞に結合した造影剤の濃度を鉄用量(iron dosage)により決定した。
CAPAN2細胞を、それぞれ、健康な膵臓及び糖尿病の膵臓におけるβ細胞濃度に相当する100μl当たり2×10細胞から100μl当たり0.1×10細胞の範囲の種々の濃度で使用した。MRIにより、USPIO−P88及びシラン被覆酸化鉄ナノ粒子−P88を使用した場合にCAPAN2細胞の明確な標識化が示された。また、この標識化は、最も低いCAPAN2細胞濃度でも明確に観察された。
同一の細胞試料のMRI測定により、USPIO−P88(図6)又はシラン被覆酸化鉄ナノ粒子−P88(結果は示していない)のいずれかにより標識化されたCAPAN2細胞の横緩和速度が、USPIO−PEGにより標識化されたCAPAN2細胞の横緩速度よりも高いことが示された。この結果は、CAPAN2細胞の濃度に非依存的であった。
種々の濃度の造影剤USPIO−P88又はシラン被覆酸化鉄ナノ粒子−P88(1mM、2mM及び3mM)で標識化されたCAPAN2細胞の鉄用量より、CAPAN2細胞によって捕捉される鉄の量は、これらの造影剤を用いた場合、常に、USPIO−PEG造影剤と比較して高いことが明らかとなった(図7)。これにより、膵β細胞バイオマーカーFXYD2−γ−aに対するP88の特異性、及びMRIにおいて造影剤に連結されたP88を使用する有効性が裏付けられた。
実施例5:USPIO又はカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子のいずれかにより連結されたP88はヒト膵臓ランゲルハンス島と相互作用する
ペプチドP88に連結された造影剤USPIO及びカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子を、それらのヒトランゲルハンス島との相互作用について試験し、USPIO−PEG造影剤の使用と比較した。図8は、USPIO−P88の使用及びUSPIO−PEGの使用による膵島標識化の明らかな相違を示し、低濃度(図8、C及びD)及び純粋でない膵島試料(図8、試料3及び4と比較した試料1及び2)でさえUSPIO−P88の特異性が高いことを指している。
同一の細胞試料のMRI測定により、USPIO−P88(図9)又はシラン被覆酸化鉄ナノ粒子−P88(結果は示していない)のいずれかにより標識化されたヒトランゲルハンス島の横緩和速度は、USPIO−PEGにより標識化されたヒトランゲルハンス島の横緩和速度よりも高いことが示された。この結果は、使用されたヒトランゲルハンス島の濃度及び純度に非依存的であった。
実施例6:USPIOナノ粒子又はカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子のいずれかにより連結されたP88はランゲルハンス島のβ細胞に特異的である
USPIO−P88ナノ粒子により標識化されたランゲルハンス島、ペプチドP88に連結されたカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子により標識化されたランゲルハンス島、及びUSPIO−PEGにより標識化されたランゲルハンス島に抗PEG抗体を添加し、共局在試験を行った。また、抗PEG抗体を認識するフルオレセインに連結された二次抗体を使用し、これは緑色蛍光発光を生じた。
インスリンを、抗インスリン一次抗体、及び赤色蛍光発光を生じるテキサスレッドに連結された二次抗体により標識化した。種々の得られた画像を重ね合わせた後、インスリンの赤色蛍光発光領域は、USPIO−P88及びP88に連結されたカルボキシシラン被覆酸化鉄ナノ粒子により標識化されたランゲルハンス島の緑色蛍光発光領域と完全に共局在した(黄色着色により観察される。結果は示していない)。これは、インスリンの赤色蛍光発光との完全な一致が観察されない、USPIO−PEGにより標識化されたランゲルハンス島の場合とは異なる。これは、膵β細胞に対するP88の特異性及びMRI用造影剤とこのペプチド分子の併用の利便性を更に示している。

Claims (14)

  1. 膵β細胞のFXYD2−γアイソフォームに特異的に結合する合成ペプチド分子であって、25アミノ酸を有する、合成ペプチド分子。
  2. 膵β細胞のFXYD2−γ−aアイソフォームに特異的に結合する、請求項1に記載のペプチド分子。
  3. 下記式:
    X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25
    (式中、X1がロイシン又はイソロイシンであり、X2がプロリンであり、X3がロイシン又はイソロイシンであり、X4がセリン又はスレオニンであり、X5がアルギニン、リシン又はヒスチジンであり、X6がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X7がチロシンであり、X8、X9及びX10がグリシンであり、X11がセリン又はスレオニンであり、X12がバリン、ロイシン又はイソロイシンであり、X13がプロリンであり、X14がフェニルアラニン又はロイシンであり、X15がチロシンであり、X16がセリン又はスレオニンであり、X17がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X18がセリン又はスレオニンであり、X19がアスパラギン又はグルタミンであり、X20がスレオニン又はセリンであり、X21及びX22がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X23がスレオニン又はセリンであり、X24がセリン又はスレオニンであり、X25がメチオニン又はシステインである)のペプチド及びその機能的等価物から選択され、
    又はペプチド式がLPLSRHYGGGSVPFYSHSNTHHTSM及びその機能的等価物から選択される、
    請求項1又は2に記載のペプチド分子。
  4. 下記式:
    X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−G−G−G−S−V−P−F−Y−S−H−S−X33−X34−X35−X36−X37−X38−X39
    (式中、X26がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X27がアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、X28がアルギニン、リシン又はヒスチジンであり、X29がロイシン又はイソロイシンであり、X30がリシン、アルギニン、又はヒスチジンであり、X31がセリン又はスレオニンであり、X32がヒスチジン、リシン又はアルギニンであり、X33がイソロイシン又はロイシンであり、X34がヒスチジン、アルギニン又はリシンであり、X35がアラニンであり、X36がヒスチジン、リシン又はアルギニンであり、X37がロイシン又はイソロイシンであり、X38がプロリンであり、X39がグルタミン又はアスパラギンである)
    のペプチド及びその機能的等価物から選択され、
    又はペプチド式がHDRLKSHGGGSVPFYSHSIHAHLPQ及びその機能的等価物から選択される、
    請求項1又は2に記載のペプチド分子。
  5. 膵β細胞標識化への請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子の使用であって、少なくとも1種のペプチド分子が酸化鉄造影剤に連結されている、使用。
  6. 前記酸化鉄造影剤が少なくとも1種のポリシロキサンシェル、及び少なくとも1種のカルボン酸基を含むコーティングを有する、請求項5に記載のペプチド分子の使用。
  7. 膵β細胞塊を特異的に測定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子の使用。
  8. 膵β細胞塊を測定する方法であって、
    a)請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子を使用して試料中のβ細胞を可視化する工程であって、前記ペプチド分子が標識化されている、工程、
    b)標識化β細胞の量を定量化する工程、
    を含む、方法。
  9. in vivoにおいてβ細胞関連障害を診断する方法であって、
    a)請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子を被験体に導入する工程であって、前記ペプチド分子が標識化されている、工程、
    b)in vivoにおいてPET、PET−CT若しくはSPECT、又はMRIを使用して膵臓におけるβ細胞集団に対して特異的に位置する前記ペプチド分子を可視化する工程、
    c)前記被験体におけるβ細胞塊を定量化する工程、
    d)工程c)で得られたβ細胞塊のデータと、健康な被験体のβ細胞塊、又は同一被験体における以前の解析によるβ細胞塊のデータとを比較する工程、
    e)工程c)で得られたβ細胞塊のレベルが健康な被験体のそれと比べて減少している場合に、その被験体が糖尿病である、又は糖尿病を有するリスクが高いと診断し、工程c)で得られたβ細胞塊のレベルが健康な被験体のβ細胞塊又は同一被験体における以前の解析によるβ細胞塊のレベルと比較して増加している場合に、その被験体が高インスリン血症である、又は高インスリン血症を有するリスクが高いと診断する工程、
    を含む、方法。
  10. 膵臓にその他の分子を輸送する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子の使用。
  11. 膵臓に対して分子を標的化する方法であって、
    a)請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子に対して前記分子を結合する工程、
    b)ペプチド分子に結合された前記分子を被験体に導入する工程、
    を含む、方法。
  12. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1種の標識化ペプチド分子を含む、特異的にβ細胞塊を測定する、及び/又はβ細胞関連障害を診断する、及び/又は被験体においてβ細胞を精製するキット。
  13. 被験体におけるβ細胞移植の成功を追跡調査するための方法であって、
    a)請求項7に記載されるように、被験体へのβ細胞移植の後一定期間に亘り被験体における膵β細胞塊を測定する工程、
    b)一定の時間経過において、前記β細胞塊を比較することによって移植の成功を決定する工程、
    を含む、方法。
  14. 他の膵臓非β細胞からβ細胞を精製又は単離する方法であって、
    a)請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド分子でβ細胞をタグ付する工程であって、前記ペプチド分子が標識化されている、工程、
    b)前記β細胞上のタグを介して非標識化細胞から標識化細胞を単離し、それにより実質的に純粋なβ細胞製剤を得る工程、
    を含む、方法。
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