JP2019020621A - 磁性トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電安定性に優れる磁性トナーを提供する。
【解決手段】磁性トナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、各々、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。トナーコアは、ポリエステル樹脂と、磁性粉とを含有する。磁性粉は、特定の磁性粉粒子を複数含む。シェル層は、特定のビニル樹脂を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁性トナーに関する。
磁性トナーでは、トナー粒子が磁性粉を含む。例えば下記特許文献1では、酸化鉄粒子の表面が表面改質剤で処理されて構成された粒子を複数含む磁性粉が提案されている。
特開平10−239897号公報
一般的に、磁性粉を構成する粒子(磁性粉粒子)は、比較的大きな表面自由エネルギーを有し易いのに対し、結着樹脂からなるドメイン(樹脂ドメイン)は、比較的小さな表面自由エネルギーを有し易い。そのため、磁性粉粒子を樹脂ドメインに均一に分散させることは難しい。仮に磁性粉粒子を樹脂ドメインに均一に分散させることができても、磁性粉粒子と結着樹脂との間に大きな接着エネルギーを作用させることが難しいため、磁性粉粒子が露出又は脱離することがある。これにより、トナーの帯電安定性が低下することがあるため、画質に優れる画像の形成が困難となることがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、帯電安定性に優れる磁性トナーを提供することである。
本発明に係る磁性トナーは、トナー粒子を複数含む。前記トナー粒子は、各々、トナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。前記トナーコアは、ポリエステル樹脂と、磁性粉とを含有する。前記磁性粉は、表面にエポキシ基を有する磁性粉粒子を複数含む。前記シェル層は、少なくとも下記式(1−1)で表される化合物を含む2種以上のビニル化合物の共重合体を含有する。
Figure 2019020621
式(1−1)において、R11は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
本発明によれば、帯電安定性に優れる磁性トナーを提供できる。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。粉体としては、例えば、トナー母粒子、外添剤、又は磁性トナーが、挙げられる。トナー母粒子は、外添剤が付着する前のトナー粒子を意味する。
帯電安定性に優れる磁性トナーとは、第1〜第3の特性を有する磁性トナーを意味する。第1の特性は、磁性トナーの帯電量分布がシャープであるという特性である。第2の特性は、磁性トナーを用いて画像を形成し始める際に磁性トナーの帯電量を所望の帯電量に維持できるという特性である。第3の特性は、磁性トナーを用いて画像を連続して形成した場合に磁性トナーの帯電量を所望の帯電量に維持できるという特性である。
粉体の個数平均1次粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、軟化点(Tm)に相当する。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
本実施形態に係る磁性トナーは、静電潜像の現像に好適に用いることが可能な静電潜像現像用磁性トナーであり、例えば正帯電性を有する磁性トナー(以下、単に「正帯電性トナー」と記載することがある)である。本実施形態に係る磁性トナーは、1成分現像剤として使用できる。1成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、現像装置内における現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により、正に帯電する。
本実施形態に係る磁性トナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて、感光体に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、磁性トナーを用いて現像する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部)上の磁性トナーを静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。続く転写工程では、感光体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。
[磁性トナーの基本構成]
本実施形態に係る磁性トナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する。詳しくは、本実施形態に係る磁性トナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、各々、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。トナーコアは、ポリエステル樹脂と、磁性粉とを含有する。磁性粉は、表面にエポキシ基を有する磁性粉粒子を複数含む。シェル層は、少なくとも下記式(1−1)で表される化合物を含む2種以上のビニル化合物の共重合体を含有する。以下では、表面にエポキシ基を有する磁性粉粒子を「特定の磁性粉粒子」と記載する。また、下記式(1−1)で表される化合物を「化合物(1−1)」と記載する。また、化合物(1−1)を含む2種以上のビニル化合物の共重合体を「特定のビニル樹脂」と記載する。
Figure 2019020621
式(1−1)において、R11は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。置換基を有してもよいアルキル基に含まれる置換基の一例としては、フェニル基が挙げられる。好ましくは、R11は、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。
このように、本実施形態では、トナーコアがポリエステル樹脂と磁性粉とを含有する。また、磁性粉が特定の磁性粉粒子を複数含む。特定の磁性粉粒子は、表面にエポキシ基を有することで、比較的小さな表面自由エネルギーを有し易い、と考えられる。これにより、樹脂ドメイン(より具体的には、ポリエステル樹脂からなるドメイン)に対する特定の磁性粉粒子の親和性を高めることができるため、トナーコアにおいて特定の磁性粉粒子を樹脂ドメインに均一に分散させることができる。よって、特定の磁性粉粒子がトナーコアの表面に露出することを防止できる。また、特定の磁性粉粒子がトナーコアから脱離することを防止できる。
磁性粉粒子の露出及び脱離を防止できれば、帯電安定性に優れる磁性トナーを提供できる。したがって、本実施形態に係る磁性トナーを用いれば、画質に優れる画像を形成できる。それだけでなく、磁性粉粒子の露出及び脱離を防止できれば、露出又は脱離した磁性粉粒子が感光体に接触して感光体を損傷することを防止できる。このことによっても、画質に優れる画像を形成できる。
また、本実施形態では、トナーコアがポリエステル樹脂を含有する。また、シェル層が特定のビニル樹脂を含有する。一般的に、ポリエステル樹脂は、未反応カルボキシル基を有する。また、オキサゾリン基は、カルボキシル基と反応し易い。さらに、本実施形態では、磁性粉粒子の露出を防止できるため、トナーコアの表面領域において未反応カルボキシル基とオキサゾリン基との反応部位を確保し易い。これらのことから、シェル層がトナーコアの表面領域全体にわたって形成され易い。より具体的には、シェル層の被覆率(トナーコアの表面領域のうち、シェル層が覆うトナーコアの面積の割合)が高くなり易い。よって、磁性トナーの低温定着性及び耐熱保存性を高めることができる。
本実施形態では、トナーコアがポリエステル樹脂を含有し、且つシェル層が特定のビニル樹脂を含有することで、シェル層の被覆率を高めることができる。そのため、本発明者は、当初、特定の磁性粉粒子を使用しなくても、露出又は脱離した磁性粉粒子をシェル層で覆うことで磁性トナーの帯電安定性の低下を防止できる、と考えた。しかし、本発明者が鋭意検討したところ、樹脂ドメインに対する磁性粉粒子の親和性を高めなければ、帯電安定性に優れる磁性トナーの提供が難しいことが分かった。以下、本発明者が検討した事項を説明する。
前述したように、特定の磁性粉粒子を使用しなければ、磁性粉粒子が露出又は脱離することがある。例えば、磁性トナーの製造中に磁性粉粒子がトナーコアの表面に露出すると、トナーコアの表面領域のうち磁性粉粒子が露出した部位(磁性粉粒子の露出領域)では未反応カルボキシル基とオキサゾリン基との反応部位を確保し難い。そのため、磁性粉粒子の露出領域にシェル層を形成することは難しい。よって、トナーコアの表面に露出した磁性粉粒子をシェル層で覆うことは難しい。仮に磁性粉粒子の露出領域にシェル層を形成できても、磁性トナーの使用中に磁性粉粒子がシェル層の表面に露出することがある。このことは、シェル層の厚さが小さい場合に、顕著となる。なお、オキサゾリン基と反応し易い官能基(例えば、カルボキシル基)が磁性粉粒子の表面に存在していれば、磁性粉粒子の露出領域にシェル層を形成し易い。しかし、そのような磁性粉粒子(オキサゾリン基と反応し易い官能基を表面に有する磁性粉粒子)の提供は難しい。
また、磁性トナーの使用中に磁性粉粒子がトナーコアから脱離すると、脱離した磁性粉粒子がシェル層を貫通することがある。このことは、シェル層の厚さが小さい場合に、顕著となる。シェル層を貫通した磁性粉粒子は、トナー粒子の表面に露出し易く、トナー粒子から脱離し易い。
しかし、本実施形態では、特定の磁性粉粒子を使用するため、樹脂ドメインに対する特定の磁性粉粒子の親和性を高めることができる。そのため、磁性トナーの製造中に特定の磁性粉粒子がトナーコアの表面に露出することを防止できる。よって、シェル層の厚さが小さくても、磁性トナーの使用中に特定の磁性粉粒子がシェル層の表面に露出することを防止できる。また、樹脂ドメインに対する特定の磁性粉粒子の親和性を高めることができれば、磁性トナーの使用中に特定の磁性粉粒子がトナーコアから脱離することを防止できる。よって、シェル層の厚さが小さくても、特定の磁性粉粒子がトナー粒子の表面に露出することを防止できるとともに、特定の磁性粉粒子がトナー粒子から脱離することを防止できる。このように、本実施形態では、特定の磁性粉粒子を使用するため、シェル層の厚さが小さくても磁性トナーの帯電安定性を高めることができる。例えばシェル層の厚さが20nm以下であっても、磁性トナーの帯電安定性を高めることができる。
磁性トナーをさらに説明する。磁性トナー1gに含まれる未開環のオキサゾリン基の量が、ガスクロマトグラフィー質量分析法による測定で、0.10μmol以上100μmol以下であることが好ましい。未開環のオキサゾリン基は、環状構造を有し、強い正帯電性を示す。また、オキサゾリン基は、カルボキシル基と反応すると、開環してアミド結合を形成する。これらのことから、特定のビニル樹脂においてオキサゾリン基の開環割合を制御することで、磁性トナーの耐熱保存性、電荷減衰特性、及び帯電立ち上がり特性を高めることができる。詳しくは、特定のビニル樹脂においてオキサゾリン基をある程度開環させることで、磁性トナーの耐熱保存性を高めることができる。また、特定のビニル樹脂において未開環のオキサゾリン基を残し過ぎないことで、磁性トナーの電荷減衰特性を高めることができる。また、特定のビニル樹脂において未開環のオキサゾリン基をある程度残すことで、磁性トナーの帯電立ち上がり特性を高めることができる。磁性トナー1gに含まれる未開環のオキサゾリン基の量は、後述の実施例に記載の方法又はそれに準ずる方法で、求めることができる。
一般的に、正帯電性の電荷制御剤としては、アミン化合物とアンモニウム化合物とが知られている。しかし、アミン化合物とアンモニウム化合物とは、水中において、正のゼータ電位を有する。一方、ポリエステル樹脂は、水中において、負のゼータ電位を有する。そのため、アミン化合物又はアンモニウム化合物とポリエステル樹脂との間には、静電的に引き合う相互作用が働き易い。よって、アミン化合物又はアンモニウム化合物とポリエステル樹脂とを含有するトナーコアの製造は容易ではない。また、シェル層の材料(シェル材料)として使用が検討されているポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリル酸系樹脂は、何れも、現像スリーブ又はブレードとの摩擦により負に帯電し易い。以上のことから、正帯電性トナーの提供は容易ではない。しかし、本実施形態では、シェル材料として特定のビニル樹脂を使用し、且つ特定のビニル樹脂においてオキサゾリン基の開環割合を制御することで、正帯電性トナーを容易に提供できる。
[磁性トナーを構成する材料の例示]
<トナーコア>
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。
トナーコアは、結着樹脂だけでなく、磁性粉を含有する。トナーコアは、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のうちの少なくとも1つをさらに含有してもよい。以下、順に説明する。
(結着樹脂)
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分として含む。結着樹脂は、ポリエステル樹脂のみで構成されてもよいし、ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を使用できる。アクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体を使用できる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用できる。ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂を使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち前述の樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂も、結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。以下、ポリエステル樹脂について具体的に説明する。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸との共重合体である。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示す2価アルコール又は3価以上のアルコールを使用できる。2価アルコールとしては、例えば、ジオール類又はビスフェノール類を使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示す2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を使用できる。
ジオール類の好適な例としては、脂肪族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、α,ω−アルカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。α,ω−アルカンジオールは、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、又は1,12−ドデカンジオールであることが好ましい。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、芳香族ジカルボン酸、α,ω−アルカンジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、又はシクロアルカンジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、又はイソフタル酸であることが好ましい。α,ω−アルカンジカルボン酸は、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,10−デカンジカルボン酸であることが好ましい。不飽和ジカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、又はグルタコン酸であることが好ましい。シクロアルカンジカルボン酸は、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸であることが好ましい。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
(磁性粉)
磁性粉は、特定の磁性粉粒子で構成されていることが好ましいが、特定の磁性粉粒子ではない磁性粉粒子(以下、「他の磁性粉粒子」と記載する)をさらに含んでも良い。より具体的には、磁性粉は、特定の磁性粉粒子を90質量%以上含むことが好ましい。
(特定の磁性粉粒子)
特定の磁性粉粒子は、各々、強磁性金属酸化物粒子の表面が特定のシランカップリング剤で処理されて構成されていることが好ましい。一般的に、強磁性金属酸化物粒子の表面には、水酸基(−OH基)が存在する。また、シランカップリング剤は、珪素原子に結合されたアルコキシ基(−OR基)を有する。そのため、極性媒体中で強磁性金属酸化物粒子の表面を特定のシランカップリング剤で処理すると、アルコキシ基が加水分解されて水酸基となり、得られた水酸基が強磁性金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基と脱水縮合反応を起こす。このようにして、特定の磁性粉粒子が得られる。なお、極性媒体としては、水又はアルコールを使用できる。極性媒体は、酸性又は塩基性を示してもよい。
強磁性金属酸化物粒子は、強磁性金属酸化物で構成される粒子を意味する。強磁性金属酸化物は、例えば、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロムであることが好ましい。強磁性金属酸化物粒子は、2種以上の強磁性金属酸化物で構成されてもよい。強磁性金属酸化物粒子の個数平均1次粒子径は、100nm以上200nm以下であることが好ましい。
特定のシランカップリング剤は、下記式(2−1)で表されるシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤(2−1)」と記載する)であることが好ましい。
Figure 2019020621
式(2−1)において、R21、R22、及びR23は、各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表す。好ましくは、R21、R22、及びR23は、各々独立に、アルキル基を表す。X24は、有機基を表す。好ましくは、X24は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。
シランカップリング剤(2−1)としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを使用できる。なお、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、下記式(2−2)で表される化合物(以下、「化合物(2−2)」と記載する)である。
Figure 2019020621
(他の磁性粉粒子)
他の磁性粉粒子は、例えば、強磁性金属、強磁性金属の合金、又は強磁性化処理が施された材料で構成されていることが好ましい。強磁性金属としては、例えば、鉄、コバルト、又はニッケルを使用できる。強磁性化処理としては、例えば、熱処理が挙げられる。他の磁性粉粒子には、磁性粉粒子からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制することを目的として、表面処理が施されていてもよい。
(着色剤)
正帯電性トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。着色剤としては、黒色着色剤を使用できる。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。
(離型剤)
離型剤は、例えば、正帯電性トナーの定着性又は耐高温オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのカチオン性を強めるためには、カチオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。
離型剤は、例えば、脂肪族炭化水素ワックス、植物性ワックス、動物性ワックス、鉱物ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、又は脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスであることが好ましい。脂肪族炭化水素ワックスは、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスであることが好ましい。脂肪族炭化水素ワックスには、これらの酸化物も含まれる。植物性ワックスは、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスであることが好ましい。動物性ワックスは、例えば、みつろう、ラノリン、又は鯨ろうであることが好ましい。鉱物ワックスは、例えば、オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムであることが好ましい。脂肪酸エステルを主成分とするワックス類は、例えば、モンタン酸エステルワックス、又はカスターワックスであることが好ましい。1種類のワックスを単独で使用してもよいし、複数種のワックスを併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、例えば、正帯電性トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。正帯電性トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルに正帯電性トナーを帯電可能か否かの指標になる。トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。
<シェル層>
シェル層の厚さは、1nm以上20nm以下であることが好ましい。シェル層の厚さが1nm以上であれば、磁性トナーの耐熱保存性が向上し易い。シェル層の厚さが20nm以下であれば、磁性トナーの低温定着性が向上し易い。本実施形態では、特定の磁性粉粒子を使用するため、シェル層の厚さが20nm以下と小さくても磁性トナーの帯電安定性を効果的に高めることができる。より好ましくは、シェル層の厚さが5nm以上10nm以下である。
シェル層は、特定のビニル樹脂を含有する。シェル層は、特定のビニル樹脂で構成されることが好ましいが、特定のビニル樹脂ではない樹脂をさらに含有してもよい。なお、ビニル樹脂は、ビニル化合物の単重合体又は共重合体である。ビニル化合物は、ビニル基(CH2=CH−)とビニリデン基(CH2=C<)とビニレン基(−CH=CH−)とのうちの少なくとも1つの官能基を分子内に有する。ビニル基などの官能基に含まれる炭素二重結合(C=C)が開裂して付加重合反応が起こると、ビニル化合物が高分子(ビニル樹脂)となる。
(特定のビニル樹脂)
特定のビニル樹脂は、化合物(1−1)と他のビニル化合物とを含む2種以上のビニル化合物の共重合体を含有する。他のビニル化合物は、化合物(1−1)ではないビニル化合物を意味し、好ましくはスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーからなる群より選択される1種以上のビニル化合物である。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン、ヒドロキシスチレン、又はハロゲン化スチレンが挙げられる。アルキルスチレンは、例えば、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレンであることが好ましい。ヒドロキシスチレンは、例えば、p−ヒドロキシスチレン、又はm−ヒドロキシスチレンであることが好ましい。ハロゲン化スチレンは、例えば、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンであることが好ましい。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
より具体的には、特定のビニル樹脂は、下記式(1−2)で表される構成単位(以下、「構成単位(1−2)」と記載する)と、下記式(1−3)で表される構成単位(以下、「構成単位(1−3)」と記載する)とを含むことが好ましい。構成単位(1−2)は、未反応カルボキシル基とオキサゾリン基とが反応して形成されたアミド結合を含む。構成単位(1−3)は、未開環のオキサゾリン基を含む。
Figure 2019020621
式(1−2)において、R12は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。置換基を有してもよいアルキル基に含まれる置換基の一例としては、フェニル基が挙げられる。好ましくは、R12は、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。また、式(1−2)において、2つの酸素原子と結合している炭素原子の未結合手は、ポリエステル樹脂を構成する原子に接続される。
Figure 2019020621
式(1−3)において、R13は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。置換基を有してもよいアルキル基に含まれる置換基の一例としては、フェニル基が挙げられる。好ましくは、R13は、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。
[磁性トナーの製造方法の例示]
本実施形態に係る磁性トナーの製造方法は、好ましくはトナー母粒子の製造工程を含み、より好ましくは外添工程をさらに含む。なお、効率的に磁性トナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に製造することが好ましい。また、同時に製造されたトナー粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。
<トナー母粒子の製造工程>
トナー母粒子の好ましい製造工程は、磁性粉の調製工程と、トナーコアの製造工程と、シェル層形成用液の調製工程と、シェル層の形成工程とを含む。
(磁性粉の調製工程)
磁性粉の調製工程では、特定の磁性粉粒子を作製することが好ましい。より具体的には、極性媒体中で強磁性金属酸化物粒子の表面をシランカップリング剤(2−1)で処理することが好ましい。極性媒体中で強磁性金属酸化物粒子とシランカップリング剤(2−1)とを混合してもよいし、強磁性金属酸化物粒子の分散液にシランカップリング剤(2−1)を加えてもよい。極性媒体としては、例えば、酸性を示すイオン交換水を使用できる。シランカップリング剤(2−1)としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製「Z−6040」を使用できる。東レ・ダウコーニング株式会社製「Z−6040」は、化合物(2−2)を含む。
(トナーコアの製造工程)
トナーコアの製造工程では、公知の粉砕法でトナーコアを製造することが好ましい。より具体的には、まず、前述の方法で得られた磁性粉と、ポリエステル樹脂とを混合する。このとき、着色剤と離型剤と電荷制御剤とのうちの少なくとも1つをさらに混合してもよい。得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて、溶融混練する。得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。このようにして、トナーコアが得られる。
(シェル層形成用液の調製工程)
シェル層形成用液の調製工程では、ビニル樹脂の溶液を調製することが好ましい。ビニル樹脂の溶液としては、例えば、株式会社日本触媒製の「エポクロス(登録商標)WS−300」を使用できる。エポクロスWS−300は、2−ビニル−2−オキサゾリンとメタクリル酸メチルとの共重合体(水溶性架橋剤)を含む。共重合体を構成するモノマーの質量比は、(2−ビニル−2−オキサゾリン):(メタクリル酸メチル)=9:1である。ここで、2−ビニル−2−オキサゾリンは、上記式(1−1)においてR11が水素原子である場合のビニル化合物に相当する。
(シェル層の形成工程)
シェル層の形成工程では、トナーコアの表面を覆うシェル層を形成する。より具体的には、所定の温度で、トナーコアと、シェル層形成用液とを混合する。ここで、所定の温度は、未反応カルボキシル基(ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基)とオキサゾリン基とが反応してアミド結合が形成される温度以上である。これにより、シェル層が形成され、よって、トナー母粒子の分散液が得られる。得られたトナー母粒子の分散液に対して固液分離と洗浄と乾燥とを行えば、複数のトナー母粒子が得られる。
詳しくは、まず、トナーコアとシェル層形成用液とを混合して、分散液を得る。ここで、シェル材料は、分散液中において、トナーコアの表面に付着する。トナーコアの表面に均一にシェル材料を付着させるためには、分散液中においてトナーコアを高度に分散させることが好ましい。分散液中においてトナーコアを高度に分散させるために、分散液に界面活性剤を含ませてもよいし、強力な攪拌装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスディスパーミックス」)を用いて分散液を攪拌してもよい。
次に、分散液を攪拌しながら、分散液の温度を、所定の昇温速度で所定の温度にまで上昇させる。その後、分散液を攪拌しながら、所定の時間にわたって分散液の温度を所定の温度に保つ。前述したように、所定の温度は、未反応カルボキシル基とオキサゾリン基とが反応してアミド結合が形成される温度以上である。そのため、分散液の温度を所定の温度に保っている間に、未反応カルボキシル基とオキサゾリン基との反応が進行すると考えられる。化合物(1−1)に含まれる複数のオキサゾリン基のうち、一部のオキサゾリン基が、未反応カルボキシル基と反応して開環する。これにより、構成単位(1−2)が形成される。複数のオキサゾリン基のうち、未反応カルボキシル基と反応しなかったオキサゾリン基は、開環しない(構成単位(1−3))。このようにして、シェル層が形成される。
所定の温度は、50℃以上100℃以下から選ばれる温度であることが好ましい。所定の温度が50℃以上であれば、未反応カルボキシル基とオキサゾリン基との反応が進行し易い。所定の温度が100℃以下であれば、シェル層の形成に起因して樹脂成分が溶融することを防止できる。樹脂成分には、結着樹脂と、ビニル樹脂(シェル層形成用液が含むビニル樹脂)又は特定のビニル樹脂とが含まれる。
所定の昇温速度は、例えば、0.1℃/分以上3℃/分以下から選ばれる速度であることが好ましい。所定の時間は、例えば、30分間以上4時間以下から選ばれる時間であることが好ましい。回転速度が50rpm以上500rpm以下という条件で、分散液を攪拌することが好ましい。これにより、未反応カルボキシル基とオキサゾリン基との反応が進行し易い。
トナーコアとシェル層とがアミド結合により互いに結合されていることを確認する方法としては、例えば、以下に示す方法が考えられる。
詳しくは、試料(トナー粒子又はトナー母粒子)を溶剤に溶解させる。得られた溶液をNMR(核磁気共鳴)測定用試験管に入れ、NMR装置を用いて1H−NMRスペクトルを測定する。一般的に、1H−NMRスペクトルでは、化学シフトδが6.5付近に、第2級アミドに由来する三重線(トリプレット)のシグナルが出現する。そのため、得られた1H−NMRスペクトルにおいて、化学シフトδが6.5付近に三重線のシグナルが確認されれば、トナーコアとシェル層とがアミド結合により互いに結合されていると推定される。1H−NMRスペクトルの測定条件の一例としては、以下に示す条件が挙げられる。
1H−NMRスペクトルの測定条件の一例>
NMR装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(日本電子株式会社製「JNM−AL400」)
NMR測定用試験管:5mm試験管
溶剤:重水素化クロロホルム(1mL)
試料温度:20℃
試料質量:20mg
積算回数:128回
化学シフトの内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
<外添工程>
混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する。これにより、トナー母粒子の表面には、外添剤粒子の各々が付着する。このようにして、トナー母粒子と外添剤とを備えるトナー粒子を複数含むトナーが得られる。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーの構成を示す。表1において、オキサゾリン基含有高分子の配合量(単位:質量%)には、下記式(M−1)を用いて算出された数値を示す。本実施例では、式(M−1)におけるトナーコアの配合量は、300gである。また、下記式(M−1)における「オキサゾリン基含有高分子水溶液の固形分量」は、下記式(M−2)を用いて算出される。
オキサゾリン基含有高分子の配合量(単位:質量%)=100×オキサゾリン基含有高分子水溶液の固形分量(単位:g)/トナーコアの配合量(単位:g)・・・(M−1)
オキサゾリン基含有高分子水溶液の固形分量(単位:g)=オキサゾリン基含有高分子水溶液の質量(単位:g)×オキサゾリン基含有高分子水溶液の固形分濃度(単位:質量%)/100・・・(M−2)
Figure 2019020621
以下、実施例又は比較例に係るトナーTA−1〜TA−4、TB−1、及びTB−2(それぞれ磁性トナー)の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[トナーTA−1の製造方法]
<ポリエステル樹脂の合成>
温度計(より具体的には熱電対)、窒素導入管、脱水管、精留塔、及び攪拌羽根を備えるフラスコ(容量:5L)を油浴にセットした。フラスコに、1200gのプロパンジオールと、1700gのテレフタル酸と、3gのエステル化触媒ジオクタン酸スズ(II)とを入れた。油浴を用いて、フラスコ内の温度を230℃まで上昇させた。フラスコ内の温度を230℃に保った状態で、窒素雰囲気下において15時間にわたってフラスコの内容物を反応(縮合反応)させた。フラスコ内の温度を230℃に保った状態で、フラスコの内圧を8.0kPaに下げた。温度220℃且つ圧力8.0kPa下で、反応生成物(ポリエステル樹脂)の軟化点(Tm)が所望の温度になるまでフラスコの内容物を反応(縮合反応)させた。このようにして、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点(Tm)は90℃であった。
<磁性粉粒子の調製>
20Lの硫酸第一鉄水溶液(鉄イオン(Fe2+)の濃度:1.5mol/L)と、10Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度:20mol/L)とを混合した。得られた混合液の温度を90℃まで上昇させた。このようにして、水酸化鉄(Fe(OH)2)を含む第一鉄塩水溶液(pH:9)を得た。水溶液の温度を90℃に保った状態で、120分間にわたって空気を100L/分の速度で水溶液に通気させた。これにより、水酸化鉄が酸化して、マグネタイトを得た。水溶液に硫酸水溶液を加えることで水溶液のpHを8に調整して、マグネタイトを含む第一鉄塩水溶液を得た。得られた水溶液に水酸化ナトリウム水溶液(濃度:20mol/L)を加えることで、水溶液のpHを9に調整した。得られた水溶液の温度を90℃に保った状態で、60分間にわたって空気を100L/分の速度で水溶液に通気させた。得られた固形物を水で洗浄した後、固液分離を行った。得られた固形物を、乾燥させた後、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製「ハンマーミルHM−5」)を用いて粉砕した。このようにして、マグネタイト粒子を得た。得られたマグネタイト粒子は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、マグネタイト粒子は、約100nmの粒子径を有するマグネタイト粒子のみを実質的に含んでいた。なお、得られたマグネタイト粒子は、後述の磁性粉粒子C−2に相当する。
分散機(プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARK II 2.5型」)を用いて、100質量部のマグネタイト粒子と300質量部のイオン交換水とを混合した。得られた分散液に塩酸を加えることで、分散液のpHを4に調整した。分散液にシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製「Z−6040」)を加えた後、分散液を攪拌した。このようにして、磁性粉粒子C−1を得た。分散液に含まれるマグネタイト粒子100質量部に対して、カップリング剤に含まれる化合物(2−2)の配合量が2質量部となるように、シランカップリング剤を分散液に加えた。
<トナーコアの作製>
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、50質量部のポリエステル樹脂Aと、45質量部の磁性粉粒子C−1と、4質量部の離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」、成分:エステルワックス)と、1質量部の電荷制御剤(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)とを混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度6kg/時、軸回転速度160rpm、且つ設定温度(シリンダー温度)120℃の条件で、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却した。冷却された溶融混練物を、粉砕機(旧東亞機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて、粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル RS型」)を用いて、微粉砕した。得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて、分級した。その結果、体積中位径(D50)8.0μmのトナーコアを得た。
<シェル層の形成>
温度計と攪拌羽根とを備えたフラスコ(容量:1L)に300mLのイオン交換水を入れた後、フラスコを水浴にセットした。水浴を用いて、フラスコ内の温度を30℃に保った。フラスコに30gのオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロスWS−300」、固形分濃度:10質量%、Tg:90℃)を加え、フラスコの内容物を攪拌した。フラスコに300gのトナーコアを加えた後、フラスコの内容物を回転速度200rpmで1時間にわたって攪拌した。フラスコに、300mLのイオン交換水と6mLのアンモニア水(濃度:1質量%)とを順に加えた。フラスコの内容物を回転速度150rpmで攪拌しながら、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内の温度を60℃まで上昇させた。フラスコ内の温度を60℃に保った状態で、1時間にわたってフラスコの内容物を回転速度100rpmで攪拌した。フラスコにアンモニア水(濃度:1質量%)を加えることで、フラスコの内容物のpHを7に調整した。その後、フラスコ内の温度を室温まで冷却した。このようにして、トナー母粒子を含む分散液を得た。
<洗浄>
得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いて、吸引濾過した。得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再度分散させた。得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いて、吸引濾過した。このような固液分離処理を5回にわたって繰返し行った。
<乾燥>
得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃且つブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。このようにして、トナー母粒子を得た。
<外添>
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、5分間にわたって、100.0質量部のトナー母粒子と0.5質量部の疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」)とを混合した。得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて、篩別した。このようにして、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーTA−1)を得た。
[トナーTA−2〜TA−4、TB−1、及びTB−2の製造]
トナーTA−2〜TA−4では、各々、シェル層の形成時において、オキサゾリン基含有高分子の配合量を表1に示す値に変更し、アンモニア水溶液の配合量を表1に示す値に変更した。このことを除いてはトナーTA−1の製造方法に従い、トナーTA−2〜TA−4を製造した。
トナーTB−1では、シェル層を形成しなかった。このことを除いてはトナーTA−1の製造方法に従い、トナーTB−1を製造した。
トナーTB−2では、シェル層の形成時において、オキサゾリン基含有高分子の配合量を表1に示す値に変更し、アンモニア水溶液の配合量を表1に示す値に変更した。また、磁性粉粒子C−2を用いた。これらを除いてはトナーTA−1の製造方法に従い、トナーTB−2を製造した。
[未開環のオキサゾリン基の量の測定方法]
磁性トナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−4、TB−1、及びTB−2の各々)に関して、磁性トナー中に含まれる未開環のオキサゾリン基の量を測定した。詳しくは、検量線(標準物質に基づく検量線)を用いて下記条件でGC/MS法による定量分析を行った。その測定結果は、表1に示すとおりであった。例えば、トナーTA−1に関しては、未開環のオキサゾリン基の量が磁性トナー1gに対して0.1μmolであった。
<GC/MS法>
測定装置としては、ガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製「GCMS−QP2010 Ultra」)及びマルチショット・パイロライザー(フロンティア・ラボ株式会社製「FRONTIER LAB Multi−functional Pyrolyzer(登録商標)PY−3030D」)を用いた。カラムとしては、GCカラム(アジレント・テクノロジー社製「Agilent(登録商標)J&W ウルトライナートキャピラリGCカラム DB−5ms」、相:シロキサンポリマーにアリレンを入れてポリマーの主鎖を強化したアリレン相、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、長さ:30m)を用いた。
(ガスクロマトグラフ)
・キャリアガス:ヘリウム(He)ガス
・キャリア流量:1mL/分
・気化室温度:210℃
・熱分解温度:加熱炉「600℃」、インターフェイス部「320℃」
・昇温条件:40℃で3分間保持した後、40℃から速度10℃/分で300℃まで昇温し、300℃で15分間保持した。
(質量分析)
・イオン化法:EI(Electron Impact)法
・イオン源温度:200℃
・インターフェイス部の温度:320℃
・検出モード:スキャン(測定範囲:45m/z〜500m/z)
[評価方法]
<電荷減衰特性の評価>
試料(より具体的には、トナーTA−1〜TA−4、TB−1、及びTB−2の各々)の電荷減衰定数αは、静電気拡散率測定装置(株式会社ナノシーズ製「NS−D100」)を用いて、JIS(日本工業規格)C 61340−2−1−2006に準拠した方法で測定した。以下、磁性トナーの電荷減衰定数αの測定方法について詳述する。
測定セルに試料を入れた。測定セルは、内径10mm、深さ1mmの凹部が形成された金属製のセルであった。スライドガラスを用いて試料を上から押し込み、セルの凹部に試料を充填した。セルの表面においてスライドガラスを往復移動させることによって、セルから溢れた試料を除去した。試料の充填量は0.04g以上0.06g以下であった。
続けて、試料が充填された測定セルを、温度32℃且つ湿度80%RHの環境下で12時間静置した。続けて、接地させた測定セルを静電気拡散率測定装置内に置き、コロナ放電によって試料にイオンを供給して、試料を帯電させた。プローブギャップは1mmであり、帯電時間は0.5秒間であった。そして、コロナ放電終了後0.7秒経過した後から、サンプリング周波数1Hzの条件で、試料の表面電位を連続的に測定した。測定された表面電位と、式「V=V0exp(−α√t)」とに基づいて、電荷減衰定数(電荷減衰速度)αを算出した。式中、Vは表面電位[V]、V0は初期表面電位[V]、tは減衰時間[秒]をそれぞれ示す。
評価基準は、以下に示す通りである。評価結果を表2に示す。
○(良い):電荷減衰定数αが、0.030未満であった。
×(良くない):電荷減衰定数αが、0.030以上であった。
<帯電安定性の評価>
温度20℃且つ湿度65%RHの環境下で、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C4020N」)を用いて、印字率4%の画像を印刷用紙(A4サイズ)に1万枚連続で印刷した。現像装置から現像剤(磁性トナー)を取り出して、トナーの帯電量(1万枚耐刷後の帯電量)を測定した。取り出した現像剤を再び現像装置へ戻し、印字率4%の画像を印刷用紙(A4サイズ)に9万枚連続で印刷した。現像装置から現像剤(磁性トナー)を取り出して、トナーの帯電量(10万枚耐刷後の帯電量)を測定した。
次に示す方法で、1万枚耐刷後の帯電量と10万枚耐刷後の帯電量とを求めた。詳しくは、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−1」)の測定セルに、測定対象(より具体的には、トナーTA−1〜TA−4、TB−1、及びTB−2の各々)0.10gを入れた。磁性トナーを、篩(金網)を介して、10秒間吸引した。そして、式「吸引されたトナーの総電気量(単位:μC)/吸引されたトナーの質量(単位:g)」に基づいて、1万枚耐刷後の帯電量(単位:μC/g)と10万枚耐刷後の帯電量(単位:μC/g)とを算出した。
評価基準は、以下に示す通りである。評価結果を表2に示す。
(1万枚耐刷後の帯電量について)
○(良い):1万枚耐刷後の帯電量が、8μC/g以上12μC/g以下であった。
×(良くない):1万枚耐刷後の帯電量が、8μC/g未満、又は12μC/g超であった。
(10万枚耐刷後の帯電量について)
○(良い):10万枚耐刷後の帯電量が、8μC/g以上12μC/g以下であった。
×(良くない):10万枚耐刷後の帯電量が、8μC/g未満、又は12μC/g超であった。
(帯電量差の絶対値について)
○(良い):帯電量差の絶対値が、1μC/g以下であった。
×(良くない):帯電量差の絶対値が、1μC/g超であった。
なお、帯電量差の絶対値とは、1万枚耐刷後の帯電量と10万枚耐刷後の帯電量との差の絶対値を意味する。
<耐熱保存性の評価>
試料(より具体的には、トナーTA−1〜TA−4、TB−1、及びTB−2の各々)3gをポリエチレン製容器(容量:20mL)に入れた。容器を、蓋をせずに、温度23℃且つ湿度50%RHの環境下で12時間静置した。容器に蓋をした後、容器をオーブン(設定温度:55℃)内に3時間静置した。その後、容器をオーブンから取り出して室温(約25℃)まで冷却させた後、容器から磁性トナーを取り出した。このようにして、評価用トナーを得た。
評価用トナーを質量既知の200メッシュ(目開き75μm)の篩に載せた。そして、評価用トナーを含む篩の質量を測定し、篩別前のトナーの質量を求めた。続けて、パウダーテスター(登録商標、ホソカワミクロン株式会社製)に上記篩をセットし、パウダーテスターのマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5の条件で30秒間、篩を振動させ、評価用トナーを篩別した。そして、篩別後に、トナーを含む篩の質量を測定することで、篩上に残留したトナー(篩を通過しなかったトナー)の質量を求めた。篩別前のトナーの質量と、篩別後のトナーの質量(篩別後に篩上に残留したトナーの質量)とから、次の式に基づいて凝集度(単位:質量%)を求めた。
凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
評価基準は、以下に示す通りである。評価結果を表3に示す。
○(良い):凝集度が、20%未満であった。
×(良くない):凝集度が、20%以上であった。
<低温定着性の評価>
評価機としては、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C4020N」)を改造して定着温度を変更可能にした評価機を用いた。磁性トナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−4、TB−1、及びTB−2の各々)を評価機の現像装置に入れた。評価機を、電源をOFFにした状態で、温度20℃且つ湿度65%RHの環境下で10分間にわたって静置した。その後、評価機の電源をONにした。この評価機を用いて、以下に示す評価を行った。
詳しくは、記録用紙へのトナーの載せ量が1.0mg/cm2となるように、評価機のバイアスを調整した。線速200mm/秒で印刷用紙(A4サイズの普通紙、坪量:90g/m2)を搬送しながら、温度20℃且つ湿度65%RHの環境下で印刷用紙に未定着のソリッド画像(大きさ:25mm×25mm)を形成した。
未定着のソリッド画像が形成された印刷用紙を評価機の定着装置に通した。このとき、評価機の定着装置の温度(具体的には、評価機の定着装置に含まれる定着ローラーの温度)を100℃から5℃ずつ上昇させることにより、定着温度を100℃以上200℃以下の温度範囲で5℃ずつ上昇させた。このようにして、各定着温度で定着されたソリッド画像(21種類)を得た。
得られたソリッド画像の各々を用いて折擦り試験を行うことにより、低温オフセットが発生しているか否かを判断した。詳しくは、ソリッド画像が定着された記録用紙を、ソリッド画像を定着した面が内側となるように、半分に折り曲げた。布帛で被覆した1kgの分銅を用いて、記録用紙の折り目の上を5往復摩擦した。その後、記録用紙を広げ、記録用紙の折り曲げ部のうちソリッド画像が定着された部分におけるトナーの剥がれの長さ(以下、「剥がれ幅」と記載する)を測定した。剥がれ幅が1.0mm未満であった場合には低温オフセットが発生しなかったと判断し、剥がれ幅が1.0mm以上であった場合には低温オフセットが発生したと判断した。そして、低温オフセットが発生しなかったと判断された場合の定着温度のうちの最低温度(最低定着温度)を求めた。
評価基準は、以下に示す通りである。評価結果を表3に示す。
○(良い):最低定着温度が、150℃以下であった。
×(良くない):最低定着温度が、150℃超であった。
[評価結果]
表2には、磁性トナーの帯電特性に関する評価結果を示す。表2において、定数αは、電荷減衰定数αを意味する。表3には、磁性トナーの耐熱保存特性及び低温定着特性に関する評価結果を示す。表2及び表3の各々において、括弧内には評価結果を記す。
Figure 2019020621
Figure 2019020621
トナーTA−1〜TA−4(より具体的には、実施例1〜4に係る磁性トナー)は、各々、前述の基本構成を有していた。詳しくは、トナーTA−1〜TA−4は、各々、トナー粒子を複数含んでいた。トナー粒子は、各々、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備えていた。トナーコアは、ポリエステル樹脂と、磁性粉とを含有していた。磁性粉は、特定の磁性粉粒子を複数含んでいた。シェル層は、特定のビニル樹脂を含有していた。このようなトナーTA−1〜TA−4では、表2に示すように、電荷減衰定数αが低く、1万枚耐刷後の帯電量が所定の範囲内であり、10万枚耐刷後の帯電量が所定の範囲内であり、帯電量差の絶対値が所定の範囲内であった。また、表3に示すように、凝集度が低く、最低定着温度が低かった。
トナーTB−1及びTB−2(より具体的には、比較例1及び2に係る磁性トナー)は、各々、前述の基本構成を有していなかった。詳しくは、トナーTB−1では、シェル層が形成されていなかった。そして、トナーTB−1では、1万枚耐刷後の帯電量が小さく、10万枚耐刷後の帯電量が小さく、凝集度が高かった。
トナーTB−2では、磁性粉が特定の磁性粉粒子を含んでいなかった。そして、トナーTB−2では、1万枚耐刷後の帯電量が小さく、10万枚耐刷後の帯電量が小さく、帯電量差の絶対値が大きかった。この結果に対し、本発明者は以下のように考察している。トナーTB−2では、複数のマグネタイト粒子で構成された磁性粉を使用している。そのため、長期にわたってトナーTB−2を使用すると、磁性粉(マグネタイト粒子)の表面抵抗が低下し易い。よって、1万枚耐刷後の帯電量が小さくなり、また10万枚耐刷後の帯電量が小さくなった。
なお、本発明者は、トナーTA−1〜TA−4及びTB−2の各々について、1H−NMRスペクトルを測定することで、トナーコアとシェル層とがアミド結合により互いに結合されていることを確認している。
本発明に係る磁性トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (5)

  1. トナー粒子を複数含む磁性トナーであって、
    前記トナー粒子は、各々、トナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを備え、
    前記トナーコアは、ポリエステル樹脂と、磁性粉とを含有し、
    前記磁性粉は、表面にエポキシ基を有する磁性粉粒子を複数含み、
    前記シェル層は、少なくとも下記式(1−1)で表される化合物を含む2種以上のビニル化合物の共重合体を含有する、磁性トナー。
    Figure 2019020621
    式(1−1)において、R11は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
  2. 前記磁性トナーに含まれる未開環のオキサゾリン基の量が、ガスクロマトグラフィー質量分析法による測定で、0.1μmol/g以上100.0μmol/g以下である、請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 前記2種以上のビニル化合物には、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーからなる群より選択される1種以上のビニル化合物が含まれる、請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 前記2種以上のビニル化合物の共重合体は、下記式(1−2)で表される構成単位と、下記式(1−3)で表される構成単位とを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁性トナー。
    Figure 2019020621
    式(1−2)において、R12は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。式(1−2)において、2つの酸素原子と結合している炭素原子の未結合手は、前記ポリエステル樹脂を構成する原子に接続される。
    Figure 2019020621
    式(1−3)において、R13は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
  5. 前記磁性粉粒子は、各々、強磁性金属酸化物粒子の表面が下記式(2−1)で表される化合物で処理されて構成されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の磁性トナー。
    Figure 2019020621
    式(2−1)において、R21、R22、及びR23は、各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表す。X24は、有機基を表す。
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