JP7404768B2 - 静電荷像現像用トナーとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナーとその製造方法に関する。より詳しくは、低温定着性と耐熱保管性を両立させ、かつより平滑性が高く耐久時の帯電特性をより安定化させた、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーに関する。
従来、低温定着性と耐熱保管性の両立という観点からコア・シェル構造のトナー粒子のシェルにポリエステル樹脂を用いた静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)が開発されている。
ポリエステル樹脂は、スチレン-アクリル系樹脂と比較して高いガラス転移点(以下「Tg」と表記する。)を維持したまま低軟化点設計が容易に行えるという利点があり、シェル層にポリエステル樹脂を用いることで、低温定着性と耐熱保管性の良好なトナーを得ることができる。
しかし、スチレン-アクリル系樹脂とポリエステル樹脂は親和性が乏しいため、コアにスチレン-アクリル系樹脂を用い、シェルにポリエステル樹脂を用いた場合は、薄層で均一なシェルの形成が困難であるためトナー粒子表面は凸凹形状になり、表面平滑が高いトナー粒子を作ることは難しい。
コア・シェル構造のトナー粒子では、Tgが低いコアに対してTgが高いシェルを巻くことで低温定着性と耐熱保管性の両立を図れるようになるが、コア樹脂を綺麗に被覆できないとTgが低いコア樹脂部分がトナー表面に露出してしまうことで耐熱保管性を確保することができなくなる。
また、トナー粒子表面の平滑性が低い場合、連続プリント時に現像機内で現像剤が撹拌され続けていった場合、トナー粒子表面に存在している外添剤がトナー母体粒子表面の凹部に移動してくることで摩擦帯電による帯電特性が変化してしまうという問題もあった。
特許文献1に開示されたトナーにおいては、コア樹脂に対して溶解パラメーター(Solubility Parameter:SP値)の異なる樹脂から成る内層シェルと外層シェルを被覆するコア・シェル構造が提案されている。
しかし、このような樹脂を用いたトナーでは、ある程度均一なシェルを形成することができても、コア樹脂とシェル樹脂の相溶性の制御バランスが困難であり、耐熱保管性の確保とトナー表面の平滑性を同時に満足させることはできない。
また、特許文献2では、スチレン-アクリルで変性されたポリエステル樹脂を用いることが提案されている。
スチレン-アクリル系樹脂を含む結着樹脂を含有するコア粒子の表面に、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなるシェルを形成することによりスチレン-アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の親和性が高まるので、薄層でありながら、より表面が平滑なシェルを形成することができるようになった。
しかし、このような方法では、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂のうち全ての分子中のポリエステル分子がスチレン-アクリル樹脂で変性されているわけではないため、変性されていないポリエステル分子とスチレン-アクリル樹脂が接する部分は親和性が低い状態のまま維持され、トナー粒子表面の平滑性改善においては未だ不十分であった。
このトナー粒子表面の平滑性の問題を改善するため、シェルの被覆率を上げることが考えられるが、変性ポリエステルシェルを用いてシェルの被覆率を上げていくほど、軟化点が高いシェルの比率が高まり低温定着性が悪化してしまう。
また、これに対して軟化点の上昇を抑制するためにあらかじめポリエステル部分(PES部)の熱物性を下げておくといったことが考えられるが、最表面に配向するポリエステル部分の熱物性が低下し、耐熱保管性が悪化してしまう。
よって、これらの観点ではトナー表面の平滑性と低温定着性、又は低温定着性と耐熱保管性の両立が未だ十分とは言えないのが現状である。
特開2014-102446号公報 特開2012-230371号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、これまでには両立しきれなったレベルで低温定着性と耐熱保管性を両立させ、かつより平滑性が高く耐久時の帯電特性をより安定化させた、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子のシェルを二層化し、かつ内側シェルと外側シェルを異なる特定の樹脂で構成することにより課題を解決することができることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、コア粒子にシェルを被覆してなるコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母体粒子が、少なくとも、結着樹脂として、非晶性ビニル系結着樹脂を含有し、
前記シェルが、内側シェルと外側シェルの2種の層からなり、
前記内側シェルが、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、かつ
前記外側シェルが、スチレン及びアクリル化合物で変性されていないポリエステル樹脂を含有し、
前記スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、ポリエステルセグメントの末端にスチレン-アクリル系重合体セグメントが結合され、当該スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル系重合体セグメントによる変性率が5~10質量%の範囲内であり、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの含有量が、前記トナー母体粒子中の総樹脂量に対して、0.5~1.5質量%の範囲内であり、
前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して25.0~37.5質量%の範囲内であり、
前記トナー母体粒子における前記内側シェルの含有量に対する前記外側シェルの含有量の質量比率が、1.1~5.0倍の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
.第1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
シェルを形成する工程において、外側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径が、内側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径より小さいことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
.前記外側シェルを形成するための前記樹脂粒子分散液中の樹脂粒子と前記内側シェルを形成するための前記樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の前記体積基準のメジアン径が、50~500nmの範囲内であることを特徴とする第項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の上記手段により、これまでには両立しきれなったレベルで低温定着性と耐熱保管性を両立させ、かつより平滑性が高く耐久時の帯電特性をより安定化させた、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
なお、本発明の技術的範囲は、下記メカニズムによって何ら制限されることはない。
本発明ではスチレン-アクリル樹脂のコアに対して、スチレン-アクリル変性した非晶性ポリエステル樹脂をシェルの内側に、未変性のポリエステル樹脂をシェルの外側に被覆させることで、低温定着性と耐熱保管性を両立させ、より平滑性が高いトナー表面を得ることが可能となる。
一般的に、スチレン-アクリル系樹脂で構成される樹脂の極性に対して、ポリエステル樹脂はその官能基の多さが影響して、スチレン-アクリル樹脂よりも親水的であり、極性は大きく異なる。
スチレン-アクリル系樹脂からなるコア樹脂に対してシェルの内側にスチレン-アクリル変性したポリエステル樹脂を添加すると、水中で製造する場合、極性が低いスチレン-アクリル変性部がコアのスチレン-アクリル樹脂側に配向し、水相側には極性が高いポリエステル部分が配向することになる。
コアと内側シェルとの界面では、極性が近しいスチレン-アクリル樹脂同士が接しながら融着するため、ある程度平滑なトナー表面を得ることができる。
また、水相側にはポリエステル樹脂が配向していることから、外側用のシェルとして未変性のポリエステルを添加していくことで、ポリエステル同士極性が近いため、綺麗に被覆することが可能となり均一なシェル膜の形成が可能となると考えられる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、コア粒子にシェルを被覆してなるコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー母体粒子が、少なくとも、結着樹脂として、非晶性ビニル系結着樹脂を含有し、前記シェルが、内側シェルと外側シェルの2種の層からなり、前記内側シェルが、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、かつ前記外側シェルが、スチレン及びアクリル化合物で変性されていないポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態は、前記スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、ポリエステルセグメントの末端にスチレン-アクリル系重合体セグメントが結合されたものであって、当該スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル系重合体セグメントによる変性率が5~0質量%の範囲内であり、低温定着性と耐熱保管性のバランスがよい。
また、前記スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂内に含有するスチレン-アクリル重合体セグメントの含有量が、前記トナー母体粒子中の総結着樹脂量に対して、0.質量%の範囲内であり、異種樹脂の相溶性、軟化点、及び低温定着性等に優れる
さらに、前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して2537.5質量%の範囲内であり、シェルの被覆率と耐熱保管性及び低温定着性との関係に優れる
また、前記トナー母体粒子における前記内側シェルの含有量に対する前記外側シェルの含有量の質量比率が、1.1~5.0倍の範囲内であること内側シェル表面を綺麗に覆うことができる
上記静電荷像現像用トナーの製造方法としては、前記シェルを形成する工程において、前記外側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径が、前記内側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径より小さいことが、内側シェルに形成された凹凸に対して綺麗に嵌っていき、うまく凹凸を埋めていける観点から好ましい。
また、前記外側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子と前記内側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径が、50~500nmの範囲内であることがシェル粒子の製造安定性と凝集性の観点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の静電荷像現像用トナーの概要)
本発明の静電荷像現像用トナー(以下において、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、コア粒子にシェルを被覆してなるコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー母体粒子が、少なくとも、結着樹脂として、非晶性ビニル系結着樹脂を含有し、前記シェルが、内側シェルと外側シェルの2種の層からなり、前記内側シェルが、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、かつ前記外側シェルが、スチレン及びアクリル化合物で変性されていないポリエステル樹脂を含有し、前記スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、ポリエステルセグメントの末端にスチレン-アクリル系重合体セグメントが結合され、当該スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル系重合体セグメントによる変性率が5~10質量%の範囲内であり、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの含有量が、前記トナー母体粒子中の総樹脂量に対して、0.5~1.5質量%の範囲内であり、前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して25.0~37.5質量%の範囲内であり、前記トナー母体粒子における前記内側シェルの含有量に対する前記外側シェルの含有量の質量比率が、1.1~5.0倍の範囲内であることを特徴とする。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいい、トナー粒子とは、上記トナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。また、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」ともいう。
以下、構成要素について詳細な説明をする。
1.結着樹脂
(1-1)非晶性ビニル樹脂
本発明において用いられる非晶性ビニル樹脂は、芳香族系ビニルモノマー、及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等のラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するモノマーを構成成分として重合・合成された樹脂である。
芳香族系ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、3,4-ジクロロスチレン等、及びその誘導体が挙げられる。これらの芳香族系ビニルモノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔スチレン-アクリル樹脂〕
本発明においては2種以上のスチレン-アクリル樹脂を使用してもよく、スチレン-アクリル樹脂の芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、優れた帯電性、画質特性等を得る観点から、スチレン又はその誘導体を多く用いることが好ましい。
具体的には、スチレン又はその誘導体の使用量が、スチレン-アクリル樹脂を形成するために用いられる全モノマー(芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー)中の50質量%以上であることが好ましい。
スチレン-アクリル樹脂の重合においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの重合を形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを混合した後で添加することが好ましい。
〔重合開始剤〕
重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤が好適に用いられる。
具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチル等の過酸化物類が挙げられる。
また、2,2′-アゾビス(2-アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′-アゾビス-(2-アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、4,4′-アゾビス-4-シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール-2,2′-アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物が挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
また、スチレン-アクリル樹脂の重合においては、スチレン-アクリル樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等を挙げることができる。
連鎖移動剤は、当該スチレン-アクリル樹脂の重合を形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの混合工程において、樹脂材料と共に混合させておくことが好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、所望するスチレン-アクリル樹脂の分子量や分子量分布によって異なる。具体的には、モノマーに対して0.1~5質量%の範囲で添加することが好ましい。
〔重合温度〕
スチレン-アクリル樹脂の重合における重合温度は、特に限定されず、適宜選択することができる。
重合温度としては、例えば、85~125℃の範囲内であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましく、95~115℃の範囲内であることがさらに好ましい。
(1-2)結晶性ポリエステル樹脂
トナーの低温定着性及び耐熱保管性を両立させる観点から、結晶性ポリエステル樹脂を用いても良い。
「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)及びその誘導体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)及びその誘導体との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)において階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
明確な吸熱ピークとは、具体的には、後述する実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
〔2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)及びその誘導体〕
2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)及びその誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物が例示できる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。
このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸等を挙げることができる。
また、多価カルボン酸の誘導体として、これらカルボン酸化合物の無水物、あるいは炭素数1~3のアルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記多価カルボン酸は、価数の選択等によって一部枝分かれや架橋等を有していてもよい。
〔2価以上のアルコール(多価アルコール)及びその誘導体〕
多価アルコールとは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中にヒドロキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール等の脂肪族ジオールを挙げることができる。
また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多価アルコール誘導体としては、例えば、多価アルコールのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
上記多価アルコールは、価数の選択等によって一部枝分かれや架橋等を有していてもよい。また、上記多価カルボン酸の価数、上記多価アルコールの価数の選択等によって一部枝分かれや架橋等を有していてもよい。
〔結晶性ポリエステル樹脂の形成方法〕
上記モノマーを用いた結晶性ポリエステル樹脂の形成方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を形成することができる。
用いられうるエステル化触媒としては、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、ヘキサン酸チタン、オクタン酸チタン等の脂肪族モノカルボン酸チタン、シュウ酸チタン、コハク酸チタン、マレイン酸チタン、アジピン酸チタン、セバシン酸チタン等の脂肪族ジカルボン酸チタン、ヘキサントリカルボン酸チタン、イソオクタントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸チタン、オクタンテトラカルボン酸チタン、デカンテトラカルボン酸チタン等の脂肪族ポリカルボン酸チタン等の脂肪族カルボン酸チタン類、安息香酸チタン等の芳香族モノカルボン酸チタン、フタル酸チタン、テレフタル酸チタン、イソフタル酸チタン、ナフタレンジカルボン酸チタン、ビフェニルジカルボン酸チタン、アントラセンジカルボン酸チタン等の芳香族ジカルボン酸チタン;トリメリット酸チタン、ナフタレントリカルボン酸チタン等の芳香族トリカルボン酸チタン;ベンゼンテトラカルボン酸チタン、ナフタレンテトラカルボン酸チタン等の芳香族テトラカルボン酸チタン等の芳香族カルボン酸チタン類、脂肪族カルボン酸チタン類や芳香族カルボン酸チタン類のチタニル化合物類及びそのアルカリ金属塩類、ジクロロチタン、トリクロロチタン、テトラクロロチタン、テトラブロモチタン等のハロゲン化チタン類、テトラブトキシチタン(チタンテトラブトキサイド)、テトラオクトキシチタン、テトラステアリロキシチタン等のテトラアルコキシチタン類、チタンアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナート、チタントリエタノールアミネート等のチタン含有触媒等が挙げられる。
2.コア・シェル構造を有するトナー母体粒子
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、コア粒子にシェルを被覆してなるコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー母体粒子が、少なくとも、結着樹脂として、非晶性ビニル系結着樹脂を含有し、前記シェルが、内側シェルと外側シェルの2種の層からなり、前記内側シェルが、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、かつ前記外側シェルが、スチレン及びアクリル化合物で変性されていないポリエステル樹脂を含有し、前記スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、ポリエステルセグメントの末端にスチレン-アクリル系重合体セグメントが結合され、当該スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル系重合体セグメントによる変性率が5~10質量%の範囲内であり、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの含有量が、前記トナー母体粒子中の総樹脂量に対して、0.5~1.5質量%の範囲内であり、前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して25.0~37.5質量%の範囲内であり、前記トナー母体粒子における前記内側シェルの含有量に対する前記外側シェルの含有量の質量比率が、1.1~5.0倍の範囲内であることを特徴とする。
以下、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の構成要素について説明する。
(2-1)シェル
本発明に係るシェルは、内側シェルと外側シェル2種の層からなり、前記内側シェルが、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、かつ前記外側シェルが、スチレン及びアクリル化合物で変性されていないポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
シェルに含有される樹脂(「シェル樹脂」ともいう。)において、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂と共に含有させることのできる樹脂としては、例えば、スチレン-アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
トナー母体粒子を構成する内側シェルに含有される結着樹脂としてスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を用いることにより、以下の効果が得られる。
すなわち、一般に、トナー粒子の設計においてポリエステル樹脂を結着樹脂として用いることの利点は、ポリエステル樹脂がスチレン-アクリル系樹脂に比べて高いガラス転移点(Tg)を維持したまま低軟化点化の設計が容易に行えることにある。
つまり、ポリエステル樹脂は低温定着性と耐熱保管性との両方を満足するために好適な樹脂である。
そして、内側シェルに用いられるポリエステル樹脂にスチレン-アクリル系重合体セグメントを導入することによって、ポリエステル樹脂の高いガラス転移点と低い軟化点を維持したままコア粒子のスチレン-アクリル系樹脂との親和性が高められ、これにより、薄層でありながらより均一な厚さでかつその表面が平滑なシェル層を形成することができる。
従って、本発明のトナーによれば、低温定着性と耐熱保管性との両方を満足すると共に
優れた帯電性が得られる。
さらに、シェルが剥がれ難くなったことにより、現像器内において撹拌されてストレスを受けても破砕されることのない耐破砕性が十分に得られ、その結果、例えば、高速機等の高機能機においても画像ノイズのない高い画質の画像が得られる。
そして、本発明においては、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル系重合体セグメントの含有割合(以下、「スチレン-アクリル変性率」ともいう。)が、5~0質量%の範囲内でる。
スチレン-アクリル変性量は、具体的には、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量をいう。
すなわち、ポリエステルセグメントとなる未変性のポリエステル樹脂と、スチレン-アクリル系重合体セグメントとなる芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、これらを結合させるための両反応性モノマーを合計した全質量に対する芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの質量の割合をいう。
スチレン-アクリル変性量が上記の範囲にあることにより、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子との親和性が適正に制御され、薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェルを形成することができる。
スチレン-アクリル変性率を上記範囲内にすると、均一な厚さの内側シェルを形成することができ、部分的にコア粒子が露出することがなく、その結果、十分な耐熱保管性及び帯電性が得られる。また、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が軟化点の適切なものとなるため、トナー粒子全体として十分な低温定着性が得られる。
また、本発明のトナーにおいては、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するために、多価カルボン酸モノマーとして脂肪族不飽和ジカルボン酸が用いられる。
なお、このポリエステルセグメントに当該脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されることが好ましい。
ここで、脂肪族不飽和ジカルボン酸とは、分子内にビニレン基を有する鎖状のジカルボン酸をいう。
脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂によれば、薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェルを確実に形成することができる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位としては、下記一般式(A)で表されるものに由来の構造単位であることが好ましい。
一般式(A):HOOC-(CR=CR-COOH
(式中、R、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2の整数である。)
このような脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されていることにより、
薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェルを一層確実に形成することができる。
これは、ビニレン基を有する脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を用いることにより、例えば、後述する乳化重合凝集法によってトナー粒子を製造する場合に、エマルション化したときの当該スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂による微粒子の乳化安定性が向上するために、コア粒子の表面への凝集が均一に進むためと推察される。
また、ビニレン基を有する脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂は、極性が高いものであるために、これを用いてトナー粒子を、例えば、後述する乳化重合凝集法によって製造する場合に、シェルを形成すべきスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂による微粒子のポリエステルセグメント部分が、凝集粒子における表面側に配向し易くなったためとも推察される。
シェルに含まれる樹脂は、低温定着性及び定着分離性等の定着性、並びに、耐熱保管性及び耐ブロッキング性等の耐熱性を確実に得る観点から、ガラス転移点が50~70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50~65℃の範囲内であり、かつ、軟化点が80~110℃の範囲内であることが好ましい。
シェルに含まれる樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418-82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
〔シェルに含まれる樹脂の軟化点の測定〕
また、シェルに含まれる樹脂の軟化点は、以下のように測定されるものである。
まず、20±1℃、50±5%RHの環境下において、シェルに含まれる樹脂1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP-10A」(島津製作所製)によって3820kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製する。
次いで、この成型サンプルを、24±5℃、50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、シェルに含まれる樹脂の軟化点とされる。
〔トナーを構成する総結着樹脂量に対するシェル樹脂の含有割合〕
前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して5~37.5質量%の範囲内である。
また、好ましくは25~30質量%の範囲内である。このような範囲内にすることにより、十分な耐熱保管性及び十分な低温定着性を得ることができる。
〔スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂の作製方法〕
以上のようなシェル樹脂に含有されるスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができ、代表的な方法としては、以下の3つが挙げられる。
(A-1)
ポリエステルセグメントをあらかじめ重合しておき、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、これにスチレン-アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、スチレン-アクリル系重合体セグメントを形成する方法。
なお、本明細書において、両反応性モノマーとは、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマー及び/又は多価アルコールモノマーと反応し得る基と、重合性不飽和基とを有するモノマーをいう。
(A-2)
スチレン-アクリル系重合体セグメントをあらかじめ重合しておき、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントに両反応性モノマーを反応させ、これにポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマーを反応させることにより、ポリエステルセグメントを形成する方法。
(B)
ポリエステルセグメント及びスチレン-アクリル系重合体セグメントをそれぞれあらかじめ重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
(A-2)の方法について下記工程(1)~(4)に分けて具体的に説明する。
(1)スチレン-アクリル系重合体セグメントと両反応性モノマーとを混合する第1の混合工程。
(2)両反応性モノマーを重合させる第1の重合工程。
(3)第1の重合工程によって得られた生成物と、多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマーとを混合する第2の混合工程。
(4)多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマーを重合させる第2の重合工程を経ることにより、ポリエステルセグメントの末端にスチレン-アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を形成する工程。
〔その他〕
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及び両反応性モノマーのうち、芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち上記工程(1)~(4)のいずれかの工程で形成されたものの全質量を100質量%としたときの、芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの合計の割合が5~0質量%の範囲内である
用いられる樹脂材料の全質量に対する芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの合計の割合が上記の範囲にあることにより、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子との親和性が適正に制御され、薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェルを形成することができる。
一方、上記割合の範囲内にすることにより、得られるスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が均一な厚さのシェルを形成することができ、部分的にコア粒子が露出してしまうことがなく、十分な耐熱保管性、十分な低温定着性及び帯電性を有するトナーが得られる。
また、芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの相対的な割合は、下記式(ア)で表されるFOX式で算出されるガラス転移点(Tg)が35~80℃の範囲内、好ましくは40~60℃の範囲内となるような割合とされることが好ましい。
式(ア):1/Tg=Σ(Wx/Tgx)
(式(ア)において、Wxはモノマーxの質量分率、Tgxはモノマーxの単独重合体のガラス転移点である。)
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー及び両反応性モノマーのうち、両反応性モノマーの使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち前記(1)~(4)のいずれかの工程で形成されたものの全質量を100質量%としたときの両反応性モノマーの割合が0.1~5.0質量%の範囲内とされ、特に、0.5~3.0質量%の範囲内とされることが好ましい。
〔芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー〕
スチレン-アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
芳香族系ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、3,4-ジクロロスチレン等、及びその誘導体が挙げられる。
これらの芳香族系ビニルモノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン-アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、優れた帯電性、画質特性等を得る観点から、スチレン、又はその誘導体を多く用いることが好ましい。
具体的には、スチレン又はその誘導体の使用量が、スチレン-アクリル系重合体セグメントを形成するために用いられる全モノマー(芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー)中の50質量%以上であることが好ましい。
〔両反応性モノマー〕
スチレン-アクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマー及び/又は多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよい。
具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等を用いることができる。
〔ポリエステル樹脂〕
本発明に係るスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いる未変性のポリエステル樹脂、及び外側シェルに使用する未変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)及び多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、メサコン酸、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン-3,5-ジエン-1,2-ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、m-フェニレンジグリコール酸、p-フェニレンジグリコール酸、o-フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p′-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等の2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等の2価以上のカルボン酸等を挙げることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に、下記一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましい。
一般式(A):HOOC-(CR=CR-COOH
(式中、R、Rは水素原子、メチル基又はエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2の整数である。)
脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、得られたスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、確実に薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェルを形成することができる。
特に、上記一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、得られたスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、より一層確実に、薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェル層を形成することができる。
用いる全多価カルボン酸モノマーにおける脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合は、25~75モル%の範囲内とされることが好ましく、特に30~60モル%の範囲内であることがより好ましい。
用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が上記の範囲にあることにより、得られたスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、より一層確実に、薄層でありながらより均一な厚さで、かつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。
一方、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が過小である場合は、得られるトナーに十分な耐熱保管性及び帯電性が得られないことがある。
また、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が過大である場合は、得られるトナーに十分な帯電性が得られないことがある。
多価アルコールモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等の3価以上のポリオール等を挙げることができる。
上記の多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーの比率は、多価アルコールモノマーの水酸基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1/1.5~1.5/1、さらに好ましくは1/1.2~1.2/1である。
未変性のポリエステル樹脂を合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。
スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を得るための未変性のポリエステル樹脂は、ガラス転移点が40~70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50~65℃の範囲内である。
未変性のポリエステル樹脂のガラス転移点が40℃以上であることにより、当該ポリエステル樹脂について高温領域における凝集力が適切なものとなり、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。
また、未変性のポリエステル樹脂のガラス転移点が70℃以下であることにより、定着の際に十分な溶融状態にすることができて十分な最低定着温度を確保することができる。
また、当該未変性のポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,500~60,000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3,000~40,000の範囲内である。
重量平均分子量が1,500以上であることにより、結着樹脂全体として好適な凝集力が得られ、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。
また、重量平均分子量が60,000以下であることにより、十分な溶融状態を得ることができて十分な最低定着温度を確保することができながら、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。
当該未変性のポリエステル樹脂は、用いる多価カルボン酸モノマー及び/又は多価アルコールモノマーとして、カルボン酸価数又はアルコール価数を選択すること等によって、一部枝分かれ構造や架橋構造等が形成されていてもよい。
〔重合開始剤〕
スチレン-アクリル系重合体セグメントの重合においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの重合を形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを混合した後で添加することが好ましい。
重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤が好適に用いられる。
具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチル等の過酸化物類;2,2′-アゾビス(2-アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′-アゾビス-(2-アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、4,4′-アゾビス-4-シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール-2,2′-アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等が挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
また、スチレン-アクリル系重合体セグメントの重合においては、スチレン-アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等を挙げることができる。
連鎖移動剤は、当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの重合を形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの混合工程において、樹脂材料と共に混合させておくことが好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、所望するスチレン-アクリル系重合体セグメントの分子量や分子量分布によって異なる。
具体的には、芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、並びに両反応性モノマーの合計量に対して、0.1~5質量%の範囲内で添加することが好ましい。
当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの重合における重合温度は、特に限定されず、芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー間の重合、及び未変性のポリエステル樹脂への結合が進行する範囲において適宜選択することができる。
重合温度としては、例えば、85~125℃の範囲内であることが好ましく、90~120℃の範囲内であることがより好ましく、95~115℃の範囲内であることがさらに好ましい。
スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂の作製においては、重合後の残留モノマー量等、乳化物からの揮発性有機物質が1,000ppm以下に抑制されることが実用上好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。
(2-2)コア粒子
本発明に係るコア粒子は、少なくともスチレン-アクリル系樹脂を含む結着樹脂を含有するものであって、着色剤を含有したものであっても、着色剤を含有しないものであってもよい。
コア粒子を構成する結着樹脂はスチレン-アクリル系樹脂の他に、従来から電子写真用トナーの結着樹脂として用いられる樹脂を含んでもよく、このようなその他の樹脂としては、公知の種々の樹脂を用いることができる。
スチレン-アクリル系樹脂を形成するために用いられる重合性モノマーとしては、上記に挙げた芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを挙げることができる。
上記の芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、それぞれ1種単独で、又はそれぞれ2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性モノマーとして、上記の芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共に、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル等や、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン塩化ビニル、N-ビニルピロリドン、ブタジエン等を用いることもできる。
また、重合性モノマーとして、上記の芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共に、多官能ビニル系モノマーを用いることもできる。
多官能ビニル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジアクリレート;ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジメタクリレート及びトリメタクリレート等が挙げられる。
多官能ビニル系モノマーの結着樹脂に係る重合性モノマー全体に対する共重合比は、通常0.001~5質量%の範囲内とされ、好ましくは0.003~2質量%の範囲内、より好ましくは0.01~1質量%の範囲内とされる。
多官能ビニル系モノマーの使用により、テトラヒドロフランに不溶のゲル成分が生成されるが、ゲル成分は、結着樹脂全体の40質量%以下とされることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
〔着色剤〕
コア粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等を用いることができる。
磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物等を用いることができる。
また、顔料としてはC.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、中心金属が亜鉛、チタン、マグネシウム等であるフタロシアニン顔料等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
着色剤の数平均一次粒子径は種類により異なるが、おおむね10~200nm程度であることが好ましい。
コア粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の、トナーにおける着色剤の含有割合は、結着樹脂に対して1~30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2~20質量%の範囲内である。
以上の結着樹脂は、ガラス転移点が30~60℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは30~50℃の範囲内である。
また、軟化点が80~110℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは90~100℃の範囲内である。
結着樹脂のガラス転移点及び軟化点は、測定試料として結着樹脂を用いて上述と同様に測定されるものである。
(その他の添加剤)
本実施形態におけるトナーには、上記したような成分以外にも更に必要に応じて、離型剤、外添加剤として無機微粒子(無機粉体)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
〈離型剤〉
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
トナー粒子中における離型剤の含有割合としては、トナー全質量に対して2~30質量%の範囲内が好ましく、5~20質量%の範囲内がより好ましい。
〔外添剤〕
無機微粒子は、種々の目的のために添加できるが、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機微粒子を単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、シリカ微粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
3.静電荷像現像用トナーの製造方法
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、シェルを形成する工程において、外側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径が、内側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径より小さいことが、内側シェルにおいて形成された凹凸に対して綺麗に嵌っていき、うまく凹凸を埋めていけることから好ましい。
また、前記外側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子と前記内側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の平均粒径が、50~500nmの範囲内であることが好ましい。
本発明のトナーは、公知の種々の方法によって製造することができるが、コア粒子の表面に均一にシェルを形成させることができることから、水系媒体に分散されたコア樹脂微粒子(「結着樹脂微粒子」ともいう。)と着色剤微粒子等を凝集、融着させてコア粒子を形成し、当該コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させることによりトナー粒子が得られる乳化重合凝集法によって製造することが好ましい。
本発明のトナーを乳化重合凝集法によって製造する場合の、着色剤を含有するトナーの製造工程の例を具体的に(1-1)、(1-2)、(1-3)、及び(2)~(7)に示すと、
(1-1)水系媒体中において、シェル樹脂によるシェル樹脂微粒子を形成して当該シェル樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製するシェル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1-2)水系媒体中において、結着樹脂によるコア樹脂微粒子を重合により形成して当該コア樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する結着樹脂重合工程、
(1-3)水系媒体中に、着色剤による着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中でコア樹脂微粒子及び着色剤微粒子を凝集させてコア粒子を形成するコア粒子形成工程、
(3)コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、シェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を形成するシェル化工程、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する熟成工程、
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤等を除去する洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程、
(7)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程、
から構成され、必要に応じて、乾燥処理されたトナー粒子母体に外添剤を添加する外添剤添加工程、を加えることができる。
以下において、各工程について説明する。
(1-1)シェル樹脂微粒子分散液調製工程
このシェル樹脂微粒子分散液調製工程において、シェル樹脂微粒子の分散液は、例えば、超音波分散法、ビーズミル分散法等により、界面活性剤を添加した水系直接分散法により得ることができる。
このシェル樹脂微粒子分散液調製工程において得られるシェル樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で、例えば、50~500nmの範囲内にあることが好ましい。
なお、体積基準のメジアン径は、「UPA-150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
本発明において、「水系媒体」とは、水50~100質量%と、水溶性の有機溶媒0~50質量%とからなる媒体をいう。
水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
〔界面活性剤〕
水系媒体中には、分散させた液滴の凝集を防ぐために、分散安定剤が添加されていることが好ましい。
分散安定剤としては、公知の種々のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を使用することができる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデイシルトリメチルアンオニウムブロマイド等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリキオシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪族石鹸や、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(1-2)ワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程
このワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程においては、ワックス及びコア樹脂が含有された樹脂微粒子が形成されて、これがコア粒子形成工程に供される。
具体的には、ワックス含有コア樹脂微粒子は臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中にコア樹脂を形成するための重合性モノマーに、ワックス及び必要に応じて荷電制御剤等のその他のトナー構成成分を溶解あるいは分散させたモノマー溶液を添加する。ワックスの融点以上の温度において機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して、液滴中において重合反応を進行させる。
なお、前記液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。
このようなワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。
かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリン等の強い撹拌、又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
また、場合によっては、酢酸エチル等の有機溶媒に樹脂とワックスを溶解した後、界面活性剤水溶液に該溶解液を加え、機械的手段により微分散した後、溶媒を除去する方法を用いることができる。
このワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程において形成させるワックス含有コア樹脂微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成のものとすることもできる。
この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性モノマーとを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
この場合、ワックスはいずれの層に含有されていてもよいが、特に、3層構成のものである場合は中間層に含有されることが好ましい。
ワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば、上述のシェル樹脂微粒子分散液調製工程において使用することのできる界面活性剤として挙げたものと同じものを使用することができる。
このワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程において得られるコア樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で、例えば、50~500nmの範囲内にあることが好ましい。
なお、体積基準のメジアン径は、「UPA-150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
(1-3)着色剤微粒子分散液調製工程
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。
着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。
着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
使用される界面活性剤としては、例えば、上述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
この着色剤微粒子分散液調製工程において調製される着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で10~300nmの範囲内とされることが好ましい。
この着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS-800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
この着色剤微粒子分散液調製工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば、上述のシェル樹脂微粒子分散液調製工程において使用することのできる界面活性剤として挙げたものと同じものを使用することができる。
着色剤は、例えば、ワックス含有コア樹脂微粒子分散液調製工程において、あらかじめコア樹脂を形成するためのモノマー溶液に溶解又は分散させておくことによって、トナー粒子中に導入してもよい。
〔着色剤〕
本発明に用いられる着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。
磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物等を用いることができる。
染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、また、これらの混合物も用いることができる。
顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
数平均一次粒子径は、種類により多様であるが、おおむね10~200nmの範囲内が好ましい。
(2)コア粒子形成工程
コア粒子形成工程においては、必要に応じて、コア樹脂微粒子及び着色剤微粒子、荷電制御剤等のその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
コア樹脂微粒子及び着色剤微粒子を凝集、融着する具体的な方法としては、まず、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加する。
次いで、コア樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつこれら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することによって、コア樹脂微粒子及び着色剤微粒子等の微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進める。
所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させる。
さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う。
〔凝集剤〕
このコア粒子形成工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。
金属塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩等の一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の二価の金属塩;鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。また、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コア粒子形成工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば、上述のシェル樹脂微粒子分散液調製工程において使用することのできる界面活性剤として挙げたものと同じものを使用することができる。
このコア粒子形成工程において得られるコア粒子の粒径は、例えば、体積基準のメジアン径(D50)が2~9μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは4~7μmの範囲内である。
コア粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)によって測定されるものである。
(3)シェル化工程
このシェル化工程においては、コア粒子の分散液中にシェル樹脂微粒子を添加して、コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェルを被覆させてトナー母体粒子を形成する。
具体的には、コア粒子の分散液はコア粒子形成工程における温度を維持した状態でシェル樹脂微粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル樹脂微粒子をコア粒子の表面に凝集、融着させることによってコア粒子の表面に厚さ100~300nmのシェルを被覆させてトナー母体粒子を形成する。
加熱撹拌時間は、1~7時間が好ましく、3~5時間が特に好ましい。
本発明の場合、内側シェルと外側シェルは、異なるシェル樹脂微粒子の分散液を用いて上記と同様の操作を行ってそれぞれのシェルを被覆する。内側シェルと外側シェルの厚さは、それぞれ50~1000μmの範囲内であることが好ましい。
また、前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して25.0~37.5質量%の範囲内である。これによりシェルの被覆率と耐熱保管性及び低温定着性との関係が良好となる
さらに、前記トナー母体粒子における前記内側シェルの含有量に対する前記外側シェルの含有量の質量比率が、1.1~5.0倍の範囲内であること内側シェル表面を綺麗に覆うことができる
(4)熟成工程
上記のコア粒子形成工程及びシェル化工程における加熱温度の制御により、ある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために熟成工程を経る。この熟成工程は、加熱温度と時間の制御を行うことにより、粒径が一定で分布が狭く、形成したトナー母体粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものとなるよう制御する。
具体的には、コア粒子形成工程及びシェル化工程において加熱温度を低めにして樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均―化を促進させ、この熟成工程においても加熱温度を低めに、かつ時間を長くして、トナー母体粒子を所望の平均円形度となる、すなわち表面が均一な形状のものとなるよう制御する。
(5)洗浄工程~(6)乾燥工程
洗浄工程及び乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(7)外添剤添加工程
この外添剤添加工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加・混合する工程である。
乾燥工程までの工程を経て作製されたトナー母体粒子は、そのままトナー粒子として使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、あるいはクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子等の粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
これらの外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05~5質量部、好ましくは0.1~3質量部とされる。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられる。
混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
〈トナー母体粒子の平均粒径〉
本発明のトナー母体粒子の平均粒径は、例えば、体積基準のメジアン径で3~9μmであることが好ましく、更に好ましくは3~8μmとされる。
この粒径は、例えば、後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成等によって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、トナー0.02gを界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製する。
このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1~30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
〈トナー母体粒子の平均円形度〉
本発明トナーは、このトナーを構成する個々のトナー母体粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930~1.000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.940~0.995の範囲内である。
本発明において、トナー母体粒子の平均円形度は、「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、試料(トナー母体粒子又は外添剤を付着させたトナー母体粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA-2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000~10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー母体粒子の円形度を加算し、全トナー母体粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
4.現像剤製造方法
本発明の現像剤は、前記トナーを含有することを特徴とするが、前記静電荷像現像用トナーをそのまま一成分を含む一成分現像剤としても、あるいは二成分現像剤としても用いることができる。
二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用されることが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができ、例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これらを芯材として用いて該芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。
またマトリックス樹脂に導電材料等が分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される前記被覆樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、キャリアの芯材としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10~200μmの範囲内にあり、好ましくは25~100μmの範囲内にある。
また、キャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
前記二成分現像剤における本発明の前記トナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては特に限定されないが、帯電性、保存性の観点から、トナー:キャリア=1:100~30:100の範囲内であることが好ましく、3:100~20:100の範囲内であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〔実施例1/トナー〔1〕の製造〕
(1)コア樹脂微粒子分散液の調製工程
(1-1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、あらかじめアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
このアニオン性界面活性剤溶液に、重合開始剤「過硫酸カリウム(KPS)」9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
スチレン 540質量部
n-ブチルアクリレート 154質量部
メタクリル酸 77質量部
n-オクチルメルカプタン 17質量部
からなるモノマー溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。
滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、樹脂微粒子〔a1〕の分散液を調製した。
(1-2)第2段重合:中間層の形成
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
スチレン 94質量部
n-ブチルアクリレート 27質量部
メタクリル酸 6質量部
n-オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、オフセット防止剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させてモノマー溶液〔2〕を調製した。
一方、アニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に上記の樹脂微粒子〔a1〕の分散液を、樹脂微粒子〔a1〕の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により前記モノマー溶液〔2〕を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製し、この分散液に重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子〔a11〕」の分散液を調製した。
(1-3)第3段重合:外層の形成
上記の「樹脂微粒子〔a11〕」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
スチレン 230質量部
n-ブチルアクリレート 78質量部
メタクリル酸 16質量部
n-オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなるモノマー溶液〔3〕を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。
その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア樹脂微粒子〔A〕が分散された「コア樹脂微粒子〔A〕の分散液」を作製した。
コア樹脂微粒子〔A〕のガラス転移点は45℃、軟化点は100℃であった。
(2)シェル樹脂微粒子の調製工程
(2-1)シェル樹脂〔1〕(スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した、容量10リットルの四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 694質量部
テレフタル酸 117質量部
フマル酸 82質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 30質量部
ブチルアクリレート 7質量部
重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド) 10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下する。
滴下後、160℃に保持したまま1時間付加重合反応を継続させた後200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。
このスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は60℃、軟化点は105℃であった。
(2-2)シェル樹脂微粒子分散液の調製
得られたスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し撹拌しながら、超音波ホモジナイザー「US-150T」(日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が250nmであるスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕が分散された「シェル樹脂微粒子〔1〕の分散液」を作製した。
(2-2-1)シェル樹脂(未変性ポリエステル樹脂〔1〕)の合成
上記シェル樹脂〔1〕(スチレン-アクリル変性樹脂〔1〕)の合成と同様に、窒素導入管、脱水管、撹拌器、及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 694質量部
テレフタル酸 117質量部
フマル酸 82質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させることで未変性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。
得られた未変性ポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は60℃、軟化点は100℃であった。
(2-2-2)シェル樹脂微粒子分散液の調製
上記で得られた未変性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し撹拌しながら、超音波ホモジナイザー「US-150T」(日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が250nmである未変性ポリエステル樹脂〔1〕が分散された「シェル樹脂微粒子〔7〕の分散液」を作製した。
(3)着色剤微粒子分散液の調製工程
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子〔1〕が分散されてなる「着色剤微粒子〔1〕の分散液」を調製した。
この分散液における着色剤微粒子〔1〕の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA-150」(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(4)凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「コア樹脂微粒子〔A〕の分散液」を、固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10(測定温度25℃)に調整した。
その後、「着色剤微粒子〔1〕の分散液」を固形分換算で40質量部投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
この状態で「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)にてコア粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.0μmになった時点で、「シェル樹脂微粒子〔1〕の分散液」を固形分換算で60質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、「シェル樹脂微粒子〔7〕の分散液」を固形分換算で90質量部を30分間かけて投入する。
反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、「トナー母体粒子〔1〕の分散液」を得た。
この「トナー母体粒子〔1〕の分散液」を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、これを遠心分離機を用いて濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥した。
乾燥させたトナー母体粒子〔1〕に、外添剤として、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー粒子〔1〕からなるトナー〔1〕を作製した。
〔実施例2、参考例3~5、及び実施例6~10〕
<スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔2〕の調整>
スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕の合成において、使用する多価カルボン酸モノマー並びに多価アルコールの種類及び量を、表Iに記載された通りに変更したことの他は同様にして、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔2〕を作製した。
このスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔2〕のガラス転移点は60.0℃、軟化点は106℃であった。
<スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔3〕の調整>
スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕の合成において、使用する多価カルボン酸モノマー並びに多価アルコールの種類及び量を、表Iに記載された通りに変更したことの他は同様にして、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔3〕を作製した。
このスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔3〕のガラス転移点は60.3℃、軟化点は107℃であった。
<スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔4〕の調整>
スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕の合成において、使用する多価カルボン酸モノマー並びに多価アルコールの種類及び量を、表Iに記載された通りに変更したことの他は、同様にしてスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔4〕を作製した。
このスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔4〕のガラス転移点は60.5℃、軟化点は107.5℃であった。
(シェル樹脂微粒子分散液〔2〕の調製)
シェル樹脂微粒子分散液〔1〕の工程における、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕をスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔2〕に変更すること以外は、同様にして「シェル樹脂微粒子〔2〕の分散液」を作製した。
メジアン径(D50)は250nmであった。
(シェル樹脂微粒子分散液〔3〕の調製)
シェル樹脂微粒子分散液〔1〕の工程における、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕をスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔3〕に変更すること以外は、同様にして「シェル樹脂微粒子〔3〕の分散液」を作製した。
メジアン径(D50)は250nmであった。
(シェル樹脂微粒子分散液〔4〕の調製)
シェル樹脂微粒子分散液〔1〕の工程における、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕をスチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂〔4〕に変更すること以外は、同様にして「シェル樹脂微粒子〔4〕の分散液」を作製した。
メジアン径(D50)は250nmであった。
(シェル樹脂微粒子分散液〔5〕の調製)
シェル樹脂微粒子分散液〔1〕の工程における、超音波ホモジナイザー「US-150T」(日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散していたところを120分に変更すること以外は、同様にして「シェル樹脂微粒子〔5〕の分散液」を作製した。
メジアン径(D50)は70nmであった。
(シェル樹脂微粒子分散液〔6〕の調製)
シェル樹脂微粒子分散液〔1〕の工程における、超音波ホモジナイザー「US-150T」(日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散していたところを15分に変更すること以外は、同様にして「シェル樹脂微粒子〔6〕の分散液」を作製した。
メジアン径(D50)は480nmであった。
〔実施例2/トナー〔2〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕を「シェル樹脂微粒子〔2〕に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔2〕を作製した。
参考例3/トナー〔3〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕をシェル樹脂微粒子〔3〕に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔3〕を作製した。
参考例4/トナー〔4〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕をシェル樹脂微粒子〔4〕に変更し、かつ添加量を固形分換算で60質量部から48質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から102質量部に変更したこと以外は、同様にして、トナー〔4〕を作製した。
参考例5/トナー〔5〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、コア樹脂微粒子〔A〕の分散液の添加量を固形分換算で450質量部から525質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から90質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から135質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔5〕を作製した。
〔実施例6/トナー〔6〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、コア樹脂微粒子〔A〕の分散液」の添加量を固形分換算で450質量部から375質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から30質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から45質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔6〕を作製した。
〔実施例7/トナー〔7〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から90質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から60質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔7〕を作製した。
〔実施例8/トナー〔8〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から30質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から120質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔8〕を作製した。
〔実施例9/トナー〔9〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕をシェル樹脂微粒子〔5〕に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔9〕を作製した。
〔実施例10/トナー〔10〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕をシェル樹脂微粒子〔6〕に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔10〕を作製した。
〔比較例1/トナー〔11〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から0質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から150質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔11〕を作製した。
〔比較例2/トナー〔12〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から150質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から0質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔12〕を作製した。
〔比較例3/トナー〔13〕の製造〕
トナーの作製例1の凝集、融着-熟成-洗浄-乾燥-外添剤添加工程において、コア樹脂微粒子〔A〕の分散液」の添加量を固形分換算で450質量部から375質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔1〕の添加量を固形分換算で60質量部から225質量部に変更し、シェル樹脂微粒子〔7〕の添加量を固形分換算で90質量部から0質量部に変更したこと以外は、同様にしてトナー〔13〕を作製した。
上記実施例1、2、参考例3~5、及び実施例6~10及び比較例1~3の内容をまとめて表I~IIIに示す。
Figure 0007404768000001
Figure 0007404768000002
Figure 0007404768000003
<トナー〔1〕~〔13〕の評価>
上記実施例、参考例、及び比較例において作製したトナー〔1〕~〔13〕について下記性能について評価を行った。
(1)低温定着性(アンダーオフセット性)
アンダーオフセットとは、定着機を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために、記録紙等の転写材からトナーが剥離してしまう画像欠陥をいう。
〔低温定着性の評価方法〕
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。
なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。
評価紙としてNPI128g/m(日本製紙製)を用い、トナー付着量11.3g/mのベタ画像を、定着速度300mm/secで定着上ベルトの温度を110~200℃、定着下ローラの温度を100℃に設定し、5℃毎の水準で定着させた時にアンダーオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を評価し、低温定着性の指標とした。
この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、150℃未満を合格とした。
下記基準により定着性の評価を行い、低温定着性の指標とした。
◎:定着下限温度が、145℃未満
○:定着下限温度が、145℃以上150℃未満
△:定着下限温度が、150℃以上155℃未満
×:定着下限温度が、155℃以上
(2)耐熱保管性
トナー0.5gを、内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めてタップデンサーKYT-2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で57.5℃、35%RHの環境下に2時間放置した。
次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行い、保存性の指標とした。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が15質量%以上35質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:トナー凝集率が35質量%以上50質量%未満(トナーの耐熱保管性やや劣るが許
容レベル)
×:トナー凝集率が50質量%以上(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
(3)耐久時の帯電性(帯電量変化)
プリント開始時の現像剤中のトナーの帯電量と、150万枚プリント後の現像剤中のトナーの帯電量の変化幅を測定した。
測定方法としては、キャリア19gとトナー1gとを20mlガラス製容器に入れ、NN環境にて毎分200回、振り角度45度、アーム50cmで20分間振った後、ブローオフ法で帯電量を測定し、下記基準により評価した。なお、帯電量の変化幅(△)は、小さいほど好ましい。
◎:Δ5以上11未満(μC/g以内)
○:Δ11以上16未満(μC/g以内)
△:Δ16以上21未満(μC/g以内)
×:Δ21以上25未満(μC/g以内)
××:Δ25以上(μC/g)
以上の評価結果を表IVに示す。
Figure 0007404768000004
表IVに示されている結果から明らかなように、本発明に係る実施例は比較例において、
総合的に優れていることが分かる。

Claims (3)

  1. 少なくとも、コア粒子にシェルを被覆してなるコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記トナー母体粒子が、少なくとも、結着樹脂として、非晶性ビニル系結着樹脂を含有し、
    前記シェルが、内側シェルと外側シェルの2種の層からなり、
    前記内側シェルが、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂を含有し、かつ
    前記外側シェルが、スチレン及びアクリル化合物で変性されていないポリエステル樹脂を含有し、
    前記スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂が、ポリエステルセグメントの末端にスチレン-アクリル系重合体セグメントが結合され、当該スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン-アクリル系重合体セグメントによる変性率が5~10質量%の範囲内であり、
    当該スチレン-アクリル系重合体セグメントの含有量が、前記トナー母体粒子中の総樹脂量に対して、0.5~1.5質量%の範囲内であり、
    前記内側シェル及び前記外側シェルに含有される樹脂を合わせた総含有量が、前記静電荷像現像用トナー中の総結着樹脂量に対して25.0~37.5質量%の範囲内であり、
    前記トナー母体粒子における前記内側シェルの含有量に対する前記外側シェルの含有量の質量比率が、1.1~5.0倍の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    シェルを形成する工程において、外側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径が、内側シェルを形成するための樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径より小さいことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記外側シェルを形成するための前記樹脂粒子分散液中の樹脂粒子と前記内側シェルを形成するための前記樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の前記体積基準のメジアン径が、50~500nmの範囲内であることを特徴とする請求項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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