JP4499649B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
(イ)懸濁安定剤によって水中に分散させた結着樹脂のモノマーを着色剤の存在下に重合させ、生成する結着樹脂粒子中に着色剤を包含させてトナーを得る懸濁重合法、
(ロ)結着樹脂のモノマーを乳化重合させて得た樹脂粒子の水分散液と、着色剤の水分散液などとを混合して凝集粒子を形成し、この凝集粒子を加熱融合してトナーを得る乳化重合凝集法、
(ハ)解離基を有する水分散性樹脂および着色剤を有機溶剤に溶解または分散させ、これに撹拌下に該水分散性樹脂の解離基を中和する中和剤および水を加え、着色剤などを内包する樹脂滴を生成させ、これを転相乳化させてトナーを得る転相乳化法、
(ニ)結着樹脂および着色剤を含むトナー材料を結着樹脂が溶解可能な有機溶剤中に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液と、無機分散剤たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの難水溶性アルカリ土類金属塩などの水分散液とを混合して造粒を行った後、有機溶剤を除去してトナーを得る溶解懸濁法、
(ホ)結着樹脂および着色剤などを結着樹脂が溶解可能な非水溶性有機溶剤に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を水性分散液中に乳化分散させた後、有機溶剤を除去してトナーを得る乳化分散法などが挙げられる。
調製された混練物と、水に可溶なイオン系水溶性高分子からなるイオン系水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液とを混合し、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、前記混合物中に混練物を分散させて着色粒子を生成させる造粒工程と、
生成された前記着色粒子を含有する前記混合物を冷却する冷却工程と、
冷却された前記混合物から前記着色粒子を分離する分離工程とを含み、
前記イオン系水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が、1000以上20000以下であり、
前記イオン系水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が、4.0以下であり、
前記分散剤水溶液中の前記イオン系水溶性高分子分散剤の濃度が、5重量%以上40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法である。
前記冷却工程が、加圧を継続した状態で行われ、前記混合物にかかる圧力を、前記混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すことを特徴とする。
また本発明は、前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
ステップs1の混練工程では、少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶融混練し、混練物を調製する。混練物は、帯電制御剤、離型剤などの添加剤を含んでもよい。これらの添加剤は、結着樹脂および着色剤とともに混練されて、結着樹脂中に分散される。
結着樹脂としては、加熱によって溶融可能な樹脂であれば特に制限されず用いることができる。
結着樹脂と混合される着色剤としては、トナー用着色剤として用いられる公知の有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などをいずれも使用できる。着色剤の具体例としては、以下の各色の着色剤が挙げられる。なお以下において、C.I.とは、カラーインデックス(Color Index)のことである。
添加剤としては、帯電制御剤、離型剤などの一般的なトナー用添加剤を用いることができる。帯電制御剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カリックスアレン類、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、有機金属錯体、キレート化合物、サリチル酸亜鉛などのサリチル酸の金属塩、スルホン酸基、アミノ基などのイオン性基を有するモノマーを単独重合または共重合させた高分子化合物などが挙げられる。帯電制御剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。帯電制御剤の配合量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上5重量部以下である。
ステップs2の分散剤水溶液調製工程では、水に可溶な水溶性高分子からなる水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液を調製する。水に溶解しない物質を分散剤として用いる場合、混練物と分散剤水溶液との混合物中に分散剤が固体として存在することになるので、造粒工程において分散剤が沸騰石と同様に働き、分散剤表面に微小な気泡が発生する。この気泡が活性点になって発泡が起こり、撹拌装置による撹拌、ひいては混練物の解砕が阻害され、混練物を造粒できなくなるおそれがある。本実施態様のように分散剤として水溶性高分子からなる水溶性高分子分散剤を用いることによって、造粒工程において分散剤から気泡が発生することを防ぐことができるので、混練物の造粒を効率的に行なうことができる。
chromatography;略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。以下では、重量平均分子量を単に「Mw」と表記することがある。また個数平均分子量を単に「Mn]と表記することがある。
ジョンクリル61J(スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=13000、Mn=3700、Mw/Mn=3.5)、
ジョンクリル52(スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=1700、Mn=900、Mw/Mn=1.9)、
ジョンクリル57(スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=4200、Mn=1800、Mw/Mn=2.3)および
ジョンクリル60(スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=9000、Mn=3700、Mw/Mn=2.4)など、ならびに東亞合成株式会社製の
A−30SL(ポリアクリル酸のアンモニウム塩、Mw=6000、Mn=3000、Mw/Mn=2.0)などが挙げられる。
ステップs3の造粒工程では、ステップs1の溶融混練によって得た混練物と、ステップs2で調製した分散剤水溶液とを混合した後、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、混合物中に混練物を粒子状に分散させ、混練物粒子である着色粒子を生成させる。生成された着色粒子がトナーを構成するトナー粒子となる。ここで、トナー粒子とは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含む混練物を造粒して得られる粒子のことであり、トナーとは、トナー粒子に表面改質剤などの外添剤が外添されない場合にはトナー粒子そのもののことであり、トナー粒子に表面改質剤などの外添剤が外添される場合にはトナー粒子と外添剤とを含む組成物のことである。
ステップs4の冷却工程では、造粒された着色粒子を含有する混合物(以後、水性スラリーとも称する)を冷却する。水性スラリーの冷却は、ステップs3の造粒工程において着色粒子を生成させた後に、加熱を停止して、冷媒を用いて強制的に冷却する強制冷却またはそのまま放冷する自然冷却によって行なわれることが好ましい。
ステップs5の洗浄工程では、冷却後の混合液中に含まれる着色粒子を洗浄する。着色粒子の洗浄は、水溶性高分子分散剤および水溶性高分子分散剤などに由来する不純物類を除去するために実施される。分散剤および前記不純物類がトナー粒子に残留すると、得られるトナー粒子の帯電性能が不安定になるおそれがある。また空気中の水分の影響によって帯電性が低下するおそれもある。
ステップs6の分離工程では、洗浄後の着色粒子を含有する混合物から、着色粒子を分離し、回収する。混合物中からの着色粒子の分離は公知の方法に従って実施でき、たとえば、濾過、吸引濾過、遠心分離などによって行なうことができる。
ステップs7の乾燥工程では、洗浄後の着色粒子を乾燥させる。トナー粒子である着色粒子の乾燥は、凍結乾燥法、気流式乾燥法などの公知の方法に従って実施できる。
以下の実施例および比較例において、水溶性高分子分散剤水溶液の調製および着色粒子(トナー粒子)の洗浄には、導電率が0.5μS/cmである水を用いた。この水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス株式会社製)を用いて水道水から調製した。水の導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、株式会社井内盛栄堂製)を用いて測定した。
着色粒子(トナー粒子)の体積平均粒子径および変動係数は、コールターマルチサイザーII(商品名、コールター株式会社製)を用いて測定した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。変動係数は、その値が小さいほど、粒度分布が狭いことを意味する。
以下の実施例および比較例で使用した樹脂および水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)および個数平均分子量(Mn)は、以下のようにして測定した。GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)にて、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液の注入量を100mLとして測定した。試料溶液としては、樹脂または水溶性高分子分散剤を乾燥して得た試料の0.25重量%(固形分濃度)テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。
以下の実施例および比較例で使用した樹脂の軟化点は以下のようにして測定した。流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gを、ダイ(ノズル)から押出されるように荷重10kg/cm2を与えながら、昇温速度毎分6℃(6℃/min)で加熱し、ダイから試料の半分が流出したときの温度を軟化点として求めた。なお、ダイには、口径1mm、長さ1mmのものを用いた。
以下の実施例および比較例で使用した樹脂のガラス転移点(Tg)は以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)として求めた。
以下の実施例および比較例で使用したワックスの融点は、以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を求めた。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度をワックスの融点として求めた。
[混練工程]
ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 400部、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 380部およびテレフタル酸330部を原料モノマーとして用い、触媒としてジブチルチンオキサイド3部を用いて合成したポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃、重量平均分子量10,000)に、着色剤として銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)を加え、温度140℃に設定されたニーダにて40分間溶融混練し、着色剤濃度40重量%のマスターバッチを作製した。ここで、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.0モルに対して、プロピレンオキサイドが平均2.0モル付加した化合物のことである。またポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.0モルに対して、エチレンオキサイドが平均2.0モル付加した化合物のことである。
水溶性高分子分散剤として、分子量分布指数(Mw/Mn)が1.9であるスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(商品名:ジョンクリル52、ジョンソンポリマー株式会社製、Mw=1700、Mn=900)100部(固形分量)を用い、これに水溶性高分子分散剤の濃度が10重量%になるように水を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の濃度が10重量%である分散剤水溶液を調製した。
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製の混合容器に、以上のようにして調製した混練物100部と分散剤水溶液(水溶性高分子分散剤濃度10重量%)550部とを投入し、5気圧(5atm)の加圧下で混合容器内の混合物の温度が150℃になるように加熱しながら、ロータステータ式撹拌手段で10分間撹拌混合し、着色粒子を生成させた。このときのロータステータ式撹拌手段のロータの回転速度は毎分15,000回転(15,000rpm)とした。
前述のようにして着色粒子を生成させた後、加熱を停止し、生成した着色粒子を含む混合物(以後、水性スラリーと称する)を撹拌しながら混合物の温度が20℃以下になるまで冷却した。このときのロータステータ式撹拌手段のロータの回転速度は毎分15,000回転(15,000rpm)とした。
次いで、導電率0.5μS/cmの水(温度20℃)を混合物に加えて着色粒子の洗浄を行なった。着色粒子の洗浄は、混合物に水(導電率0.5μS/cm)を加え、水の添加量によって固形分量が10%になるように調整した後、タービン型撹拌翼を用いて該撹拌翼の回転速度を毎分300回転(300rpm)として30分間撹拌することによって行なった。この洗浄操作を、撹拌後の混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで繰返し行なった。
洗浄後の混合物から遠心分離によって着色粒子を含む固形分を分取した。
分取した固形分を凍結乾燥させ、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は5.6μmであり、変動係数は29であった。また走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;略称SEM)を用い、観察倍率を2000倍として、得られたトナー粒子を観察したところ、図2に示すように、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
得られたトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒子径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が3.5であるスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(商品名:ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、Mw=13000、Mn=3700)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は6.5μmであり、変動係数は32であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図2に示す実施例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が2.3であるスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(商品名:ジョンクリル57、ジョンソンポリマー株式会社製、Mw=4200、Mn=1800)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は6.3μmであり、変動係数は29であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図2に示す実施例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が2.0であるポリアクリル酸アンモニウム塩(商品名:A−30SL、東亞合成株式会社製、Mw=6000、Mn=3000)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は6.8μmであり、変動係数は29であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図2に示す実施例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が5.3であるスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(アクリル酸およびスチレンを、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)を用いてイソプロパノール中で反応させて得たもののアンモニウム塩、Mw=11,000、Mn=2,070)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は8.5μmであり、変動係数は54であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図3に示すように、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、粒子径のばらつきが大きいことが判った。
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が4.6であるポリアクリル酸アンモニウム塩(アクリル酸を、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を用いて2−プロパノール中で反応させて得たもののアンモニウム塩、Mw=7,800、Mn=1,700)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は9.2μmであり、変動係数は64であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図3に示す比較例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、粒子径のばらつきが大きいことが判った。
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が2.2であるポリアクリル酸アンモニウム塩(アクリル酸を、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を用いて2−プロパノール中で反応させて得たもののアンモニウム塩、Mw=22,000、Mn=10,000)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、体積平均粒子径が50μmで、変動係数が90であり、粒子径のばらつきが大きく、以下の特性評価を行なうことはできなかった。
実施例1〜4および比較例1,2で得られた各トナーにそれぞれ、キャリアとして、フェライト粒子をシリコーン樹脂で被覆して得た体積平均粒子径60μmのフェライトコアキャリアをトナーの濃度が4重量%になるように調整して混合し、トナー濃度4重量%の二成分現像剤を作製した。得られた二成分現像剤を用いて以下のようにして評価用画像を形成し、以下の評価を実施した。
得られた二成分現像剤を、市販の複写機(商品名:AR−C150、シャープ株式会社製)から定着装置を取除いて得た試験用複写機の現像装置に投入し、日本工業規格(JIS)P0138に規定されるA4判の記録用紙上に、トナー付着量が0.6mg/cm2になるように調整して、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像(以後、「べた画像部」と称する)を未定着の状態で形成した。外部定着機を用い、記録用紙の通紙速度を毎秒120mm(120mm/sec)として、形成された未定着トナー像の定着を行ない、評価用画像を形成した。外部定着機には、市販のフルカラー複写機(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ株式会社製)から取出したオイルレス方式の定着装置を、定着用ヒートローラの表面温度を任意の値に設定できるように改造したものを用いた。ここで、オイルレス方式の定着装置とは、定着用ヒートローラにシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することなく定着を行なう定着装置のことである。
画像濃度の評価と同様にして、評価用画像を形成した。定着用ヒートローラの表面温度が170℃のときに形成された評価用画像について、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、べた画像部の周囲の白地部分(以後、「白地部」と称する)の光学反射濃度を測定し、これを白地部の画像濃度とした。また、前記反射濃度計を用いて、未使用の記録用紙の画像濃度を測定した。評価用画像の白地部の画像濃度を、未使用の記録用紙の画像濃度を基準(0.000)とした画像濃度に換算し、この値を未使用の記録用紙の画像濃度と評価用画像の白地部の画像濃度との差(以後、かぶり値と称する)として求めた。かぶり値が0.005以下である場合を良好(○)と評価し、かぶり値が0.005を超える場合を不良(×)と評価した。
前述のようにして得た二成分現像剤を試験用複写機の現像装置に投入し、べた画像のチャートの複写動作を行なわせ、感光体表面にトナー像を形成させた。試験用複写機には、市販の複写機(商品名:AR−C150、シャープ株式会社製)から定着装置を取除き、さらに記録用紙への転写動作のタイミングを制御できるように改造したものを用いた。
転写率(%)=(Mp/Md)×100
なお、トナーの重量は、温度20℃、相対湿度50%RHの環境下にて測定した。
以上の評価結果を合わせて、総合評価を行なった。総合評価では、△と評価された項目および×と評価された項目が1つもない場合を良好(○)と評価し、×と評価された項目が1つもない場合を実用上問題なし(△)と評価し、×と評価された項目が1つ以上ある場合を不良(×)と評価した。
Claims (4)
- 少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶融混練することによって、混練物を調製する混練工程と、
調製された混練物と、水に可溶なイオン系水溶性高分子からなるイオン系水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液とを混合し、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、前記混合物中に混練物を分散させて着色粒子を生成させる造粒工程と、
生成された前記着色粒子を含有する前記混合物を冷却する冷却工程と、
冷却された前記混合物から前記着色粒子を分離する分離工程とを含み、
前記イオン系水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が、1000以上20000以下であり、
前記イオン系水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が、4.0以下であり、
前記分散剤水溶液中の前記イオン系水溶性高分子分散剤の濃度が、5重量%以上40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記造粒工程が、0.1MPa以上1MPa以下の加圧状態で行われ、
前記冷却工程が、加圧を継続した状態で行われ、前記混合物にかかる圧力を、前記混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。 - 前記イオン系水溶性高分子分散剤が、ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩のうちの少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
- 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーの製造方法。
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