JP4499649B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真法などによる画像形成過程において静電荷像などの現像に用いられるトナーの製造方法に関する。
電子写真法によって画像を形成する画像形成装置では、電子写真感光体(以後、単に「感光体」とも称する)などの像担持体の表面部に静電荷像を形成した後、トナーを供給して静電荷像を現像し、形成されたトナー像を紙などの記録媒体(以後、「転写材」とも称する)に転写して定着させることによって画像が形成される。静電荷像の現像に用いられるトナー(以後、「静電荷像現像用トナー」と称する)は、結着樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂に着色剤、帯電制御剤などの添加剤が分散されて成る。トナーは、摩擦帯電によって帯電され、現像ローラなどに担持されて感光体の表面部に供給される。
トナーの製造方法としては、媒体を用いずに造粒を行なう乾式法と、媒体中においてトナー粒子を生成させる湿式法とが知られている。乾式法では、結着樹脂、着色剤などを溶融混練した後、得られた混練物を粉砕機などによって粉砕することによってトナーを得る。乾式法には、トナーの粒子径が不均一になり、トナーの帯電性能が不均一になりやすいという問題がある。
帯電性能が不均一なトナーを用いてトナー像を形成すると、トナー像を転写材に転写させるときに、帯電量が不足して転写材に転写されないトナーが発生し、画像濃度が所望の値よりも低くなるという問題が生じる。別の問題として、トナーが飛散し、白地かぶりが発生するという問題もある。乾式法においてトナーの帯電性能の均一性を向上させるためには、混練物の粉砕後に分級を行ない、トナーの粒度分布の幅を狭くする必要があるけれども、分級によってトナーの収率が低下し、製造原価が高くなるという別の問題が生じる。ここで、白地かぶりとは、本来トナーが付着せずに白地となるべき部分の転写材にトナーが付着する現象のことである。
湿式法としては、たとえば、
(イ)懸濁安定剤によって水中に分散させた結着樹脂のモノマーを着色剤の存在下に重合させ、生成する結着樹脂粒子中に着色剤を包含させてトナーを得る懸濁重合法、
(ロ)結着樹脂のモノマーを乳化重合させて得た樹脂粒子の水分散液と、着色剤の水分散液などとを混合して凝集粒子を形成し、この凝集粒子を加熱融合してトナーを得る乳化重合凝集法、
(ハ)解離基を有する水分散性樹脂および着色剤を有機溶剤に溶解または分散させ、これに撹拌下に該水分散性樹脂の解離基を中和する中和剤および水を加え、着色剤などを内包する樹脂滴を生成させ、これを転相乳化させてトナーを得る転相乳化法、
(ニ)結着樹脂および着色剤を含むトナー材料を結着樹脂が溶解可能な有機溶剤中に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液と、無機分散剤たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの難水溶性アルカリ土類金属塩などの水分散液とを混合して造粒を行った後、有機溶剤を除去してトナーを得る溶解懸濁法、
(ホ)結着樹脂および着色剤などを結着樹脂が溶解可能な非水溶性有機溶剤に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を水性分散液中に乳化分散させた後、有機溶剤を除去してトナーを得る乳化分散法などが挙げられる。
(イ)〜(ホ)の方法には以下のような問題がある。たとえば(イ)の懸濁重合法および(ロ)の乳化重合凝集法などの重合法では、水中で重合反応を行なうので、結着樹脂として使用可能な樹脂がラジカル重合によって生成することのできるビニル重合体に限定されるという問題がある。また重合法には、トナー粒子の内部に結着樹脂のモノマー、重合開始剤、懸濁安定剤などが残留し、トナーの帯電性能にばらつきを引起すという問題もある。帯電性能のばらつきを抑えるためには、これらの残留物を除去することが必要であるけれども、トナー粒子の内部に入り込んだモノマー、重合開始剤、懸濁安定剤などを除去することは非常に困難である。また(ロ)の乳化重合凝集法では、結着樹脂と着色剤などとを凝集させて加熱融合させることによってトナーを製造するので、均一な組成のトナー粒子を安定して形成することができないという問題もある。
(ハ)の転相乳化法、(ニ)の溶解懸濁法および(ホ)の乳化分散法では、結着樹脂を溶解または分散させるために有機溶剤を用いるので、環境問題への対応から溶剤回収装置が必要となり、製造設備が大掛かりなものになるという問題がある。(ハ)〜(ホ)の方法では、結着樹脂として使用可能な樹脂が、解離基を有する水分散性樹脂または有機溶剤に可溶な樹脂に限定されるという問題もある。
これらの問題を解決するための技術として、本件出願人は、結着樹脂および着色剤などを溶融混練した後、得られた混練物と分散剤として水溶性高分子を含有する水性媒体とを混合して加熱するとともに撹拌し、混練物を溶融させて水性媒体中に分散させることによって、トナー粒子を得るトナーの製造方法(以後、「溶融乳化法」とも称する)を先に出願した(たとえば、特許文献1参照)。
特開2005−165039号公報(第4,7−8頁)
特許文献1などに開示の溶融乳化法では、水性媒体中において混練物を溶融させて解砕するので、混練物を固化した状態で解砕する乾式法に比べ、粒度分布が狭く、均一な粒子径のトナーを容易に得ることができるけれども、分散剤として用いられる水溶性高分子の種類によっては、得られるトナーの粒子径が均一にならないことがある。均一な粒子径のトナーをより確実に得るためには、特許文献1に開示の技術にも改良の余地がある。
本発明の目的は、均一な粒子径を有するトナーをより確実に得ることができるトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶融混練することによって、混練物を調製する混練工程と、
調製された混練物と、水に可溶なイオン系水溶性高分子からなるイオン系水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液とを混合し、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、前記混合物中に混練物を分散させて着色粒子を生成させる造粒工程と、
生成された前記着色粒子を含有する前記混合物を冷却する冷却工程と、
冷却された前記混合物から前記着色粒子を分離する分離工程とを含み、
前記イオン系水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が、1000以上20000以下であり、
前記イオン系水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が、4.0以下であり、
前記分散剤水溶液中の前記イオン系水溶性高分子分散剤の濃度が、5重量%以上40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、前記造粒工程が、0.1MPa以上1MPa以下の加圧状態で行われ、
前記冷却工程が、加圧を継続した状態で行われ、前記混合物にかかる圧力を、前記混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すことを特徴とする。
また本発明は、前記イオン系水溶性高分子分散剤が、ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩のうちの少なくともいずれか1種であることを特徴とする。
また本発明は、前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶融混練して混練物を調製し、調製された混練物とイオン系水溶性高分子からなるイオン系水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液とを混合し、得られた混合物を加熱するとともに撹拌して前記混合物中に混練物を分散させて着色粒子を生成させ、生成された前記着色粒子を含有する前記混合物を冷却し、冷却された前記混合物から前記着色粒子を分離することによって着色粒子であるトナー粒子が得られる。また、前記イオン系水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は1000以上20000以下である。これによって、分散剤水溶液の粘度の上昇を抑えることができるので、混合物中に効率良く混練物を分散させることができる。したがって、たとえば体積平均粒子径が10μm以下と小さい着色粒子を容易に生成させることができる。また着色粒子の粒度分布の広がりを抑え、均一な粒子径を有するトナーを得ることができる。また、イオン系水溶性高分子からなる前記イオン系水溶性高分子分散剤は、個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が4.0以下であり、前記分散剤水溶液中の前記イオン系水溶性高分子分散剤の濃度が、5重量%以上40重量%であるので、混合物中に混練物を均一な大きさで分散させることができる。これによって、均一な粒子径を有し、帯電性能の均一なトナーを得ることができる。したがって、本発明のトナーの製造方法によって得られるトナーを用いることによって、トナーの帯電量を均一にし、画像濃度の低下および白地かぶりの発生を抑えることができる。
本発明において、「高分子」とは、重量平均分子量(Mw)が1000以上である重合体のことである。
また本発明によれば、前記造粒工程が、0.1MPa以上1MPa以下の加圧状態で行われ、前記冷却工程が、加圧を継続した状態で行われ、前記混合物にかかる圧力を、前記混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すので、混合物を沸騰させることなく、100℃以上に加熱することができ、気泡の発生による剪断力の低下を防ぎ、混練物の造粒をより効率的に行なうことができる。
また本発明によれば、前記イオン系水溶性高分子分散剤は、ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩のうちの少なくともいずれか1種であるので、水に容易に溶解させることができる。これによって、イオン系水溶性高分子分散剤を含有する混合物中に混練物をより均一に分散させることができるので、均一な粒子径を有するトナーをより確実に得ることができる。またこれらのイオン系水溶性高分子分散剤は、着色粒子表面から容易に除去することができるので、これらのイオン系水溶性高分子分散剤を用いることによって、トナーへのイオン系水溶性高分子分散剤の残留を防ぐことができる。
また本発明によれば、前記結着樹脂はポリエステル樹脂である。本発明のトナーの製造方法では、結着樹脂を含む混練物を分散剤水溶液中で溶融させて分散させることによって着色粒子を生成させるので、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む着色粒子を生成させることができる。これによって、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含み、粉体流動性および定着性に優れるトナーを得ることができる。またポリエステル樹脂は透光性に優れるので、カラートナーとして好適なトナーを得ることができる。
図1は、本発明の実施の一態様であるトナーの製造方法の手順を示すフローチャートである。本発明のトナーの製造方法は、少なくとも混練工程と造粒工程と冷却工程と分離工程とを含む。本実施態様では、さらに分散剤水溶液調製工程と洗浄工程と乾燥工程とが含まれる。すなわち、本実施態様によるトナーの製造方法は、混練工程(ステップs1)と、分散剤水溶液調製工程(ステップs2)と、造粒工程(ステップs3)と、冷却工程(ステップs4)と、洗浄工程(ステップs5)と、分離工程(ステップs6)と、乾燥工程(ステップs7)とを含む。本実施態様によるトナーの製造は、ステップs0で開始され、ステップs1またはステップs2に移行する。ステップs1の混練工程およびステップs2の分散剤水溶液調製工程は、いずれが先に行なわれてもよい。また、ステップs5の洗浄工程は、ステップs6の分離工程の後であってステップs7の乾燥工程の前に行なわれてもよい。
[混練工程]
ステップs1の混練工程では、少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶融混練し、混練物を調製する。混練物は、帯電制御剤、離型剤などの添加剤を含んでもよい。これらの添加剤は、結着樹脂および着色剤とともに混練されて、結着樹脂中に分散される。
(a)結着樹脂
結着樹脂としては、加熱によって溶融可能な樹脂であれば特に制限されず用いることができる。
結着樹脂の軟化点は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上150℃以下である。結着樹脂の軟化点が150℃を超えると、着色剤および添加剤などとの混練が困難になり、着色剤および添加剤などの分散性が低下するおそれがある。またトナーの転写材への定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。結着樹脂の軟化点が60℃未満であると、結着樹脂のガラス転移点(Tg)が常温に近いものになりやすいので、トナーが画像形成装置の内部で熱凝集を起こし、印刷不良、装置の故障などを誘発する可能性がある。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、得られるトナーの定着性および保存安定性などを考慮すると、30℃以上80℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移点(Tg)が30℃未満であると、保存安定性が不充分になり、画像形成装置内部におけるトナーの熱凝集が起こりやすくなり、印刷不良が発生するおそれがある。結着樹脂のガラス転移点(Tg)が80℃を超えると、定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
結着樹脂の分子量は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、重量平均分子量で5000以上500000以下であることが好ましい。結着樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、結着樹脂の機械的強度がトナー用の結着樹脂に必要な機械的強度よりも低くなり、得られるトナー粒子が現像装置内部での撹拌などによって粉砕されて変形し、帯電性能にばらつきが生じるおそれがある。結着樹脂の重量平均分子量が500000を超えると、着色剤および添加剤などとの混練が困難になり、着色剤および添加剤の分散性が低下するおそれがある。また結着樹脂のガラス転移点(Tg)が80℃を超えやすいので、定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。ここで、結着樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
結着樹脂の具体例としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。また同一種の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれか1つまたは複数が異なる樹脂を複数種併用することができる。
前述の樹脂の中でも、得られるトナー粒子の粉体流動性、低温定着性などを考慮すると、ポリエステル樹脂が好ましい。また、ポリエステル樹脂は、透光性にも優れ、二次色再現性に優れるカラートナーを実現することができるので、カラートナー用の結着樹脂として好適である。
ポリエステル樹脂としては、特に制限されず公知のものを使用でき、たとえば、多塩基酸類と多価アルコール類との縮重合物が挙げられる。ここで、多塩基酸類とは、多塩基酸およびその誘導体、たとえば多塩基酸の酸無水物またはエステル化物などのことである。また、多価アルコール類とは、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物のことであり、アルコール類およびフェノール類のいずれをも含む。
多塩基酸類としては、ポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類などが挙げられる。多塩基酸類は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
多価アルコール類としてもポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。ここで、ビスフェノールAとは、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンのことであり、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物としては、たとえば、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物としては、たとえば、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。多価アルコール類は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
ポリエステル樹脂は、通常の縮重合反応によって合成することができる。たとえば、有機溶媒中または無溶媒下で、触媒の存在下に多塩基酸類と多価アルコール類とを重縮合反応、具体的には脱水縮合反応させることによって合成することができる。このとき、多塩基酸類の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用い、脱メタノール重縮合反応を行なってもよい。多塩基酸類と多価アルコール類との重縮合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価および軟化点が所定の値となったところで終了させればよい。この重縮合反応において、多塩基酸類と多価アルコール類との配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、得られるポリエステル樹脂の末端に結合するカルボキシル基の含有量、ひいては得られるポリエステル樹脂の酸価を調整することができ、また軟化点などの他の物性値を調整することもできる。
(b)着色剤
結着樹脂と混合される着色剤としては、トナー用着色剤として用いられる公知の有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などをいずれも使用できる。着色剤の具体例としては、以下の各色の着色剤が挙げられる。なお以下において、C.I.とは、カラーインデックス(Color Index)のことである。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド184などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
これらの着色剤は、1種が単独で使用されてもよく、また色の異なる2種以上が併用されてもよい。また、同色系の複数の着色剤を併用することもできる。結着樹脂に対する着色剤の使用割合は特に制限されず、結着樹脂および着色剤の種類、得ようとするトナー粒子に要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、結着樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5重量部以上15重量部以下である。着色剤の使用割合が0.1重量部未満であると、充分な着色力が得られず、所望の画像濃度を有する画像を形成するのに要するトナー量が増加し、トナーの消費量が増大する可能性がある。着色剤の使用割合が20重量部を超えると、混練物中における着色剤の分散性が低下し、均一なトナーが得られない可能性がある。
(c)添加剤
添加剤としては、帯電制御剤、離型剤などの一般的なトナー用添加剤を用いることができる。帯電制御剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カリックスアレン類、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、有機金属錯体、キレート化合物、サリチル酸亜鉛などのサリチル酸の金属塩、スルホン酸基、アミノ基などのイオン性基を有するモノマーを単独重合または共重合させた高分子化合物などが挙げられる。帯電制御剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。帯電制御剤の配合量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上5重量部以下である。
離型剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえばワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、パラフィンワックスなどの石油系ワックス、アルコール系ワックス、エステル系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。離型剤の配合量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下である。離型剤の配合量が5重量部未満であると、低温定着性および耐ホットオフセット性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤の配合量が10重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、均一な特性を有するトナーが得られない可能性がある。また、トナーが感光体などの静電荷像を担持する像担持体の表面に皮膜状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生しやすくなるおそれがある。
混練物は、たとえば、前述の結着樹脂および着色剤の適量、ならびに必要に応じて前述の帯電制御剤などの各種添加剤の適量を、混合機で乾式混合した後、結着樹脂の軟化点以上、熱分解温度未満の温度、具体的には80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度に加熱して溶融混練することによって得ることができる。なお結着樹脂、着色剤などのトナー組成物は、乾式混合することなく、そのまま溶融混練されてもよい。しかしながら、本実施態様のように乾式混合した後に溶融混練を行なう方が、結着樹脂への着色剤などの各成分の分散性を向上させ、得られるトナーの帯電性能などの特性を一層均一にすることができるので好ましい。
乾式混合に用いられる混合機としては、公知の混合機を使用することができ、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。溶融混練には、ニーダー、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を用いることができ、このような混練機としては、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーディックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機などが挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行なっても構わない。
このようにして得られる混練物の軟化点は、たとえば80℃以上150℃以下であり、好ましくは100℃以上130℃以下である。また混練物は、後述するステップs3の造粒工程において混練物と分散剤水溶液との混合物が加熱される温度(以後、「造粒温度」とも称する)における溶融粘度が、10Pa・s以下であることが好ましい。これによって、混練物の造粒をより容易に行なうことができる。混練物の軟化点および造粒温度における溶融粘度は、たとえば、混練物に含まれる各成分の種類および混合割合などを適宜選択することによって調整することができる。
[分散剤水溶液調製工程]
ステップs2の分散剤水溶液調製工程では、水に可溶な水溶性高分子からなる水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液を調製する。水に溶解しない物質を分散剤として用いる場合、混練物と分散剤水溶液との混合物中に分散剤が固体として存在することになるので、造粒工程において分散剤が沸騰石と同様に働き、分散剤表面に微小な気泡が発生する。この気泡が活性点になって発泡が起こり、撹拌装置による撹拌、ひいては混練物の解砕が阻害され、混練物を造粒できなくなるおそれがある。本実施態様のように分散剤として水溶性高分子からなる水溶性高分子分散剤を用いることによって、造粒工程において分散剤から気泡が発生することを防ぐことができるので、混練物の造粒を効率的に行なうことができる。
本実施態様において、水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)は4.0以下である。個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)は、分子量分布指数と呼ばれ、分子量分布の幅の大きさの指標となる。分子量分布指数(Mw/Mn)が小さいほど、分子量分布の幅が小さく、分子量が均一であることを意味する。
水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率である分子量分布指数(Mw/Mn)を4.0以下にすることによって、水溶性高分子分散剤に含まれる各水溶性高分子の分子量を均一にすることができる。また各水溶性高分子の主鎖の長さを均一にすることができる。また各水溶性高分子の有する官能基数を均一にすることができる。これによって、後述する造粒工程において、水溶性高分子分散剤を含有する分散剤水溶液と混練物との混合物中に、混練物を均一な大きさで分散させることができるので、粒子径の均一な着色粒子を生成させることができる。
水溶性高分子分散剤の分子量分布指数(Mw/Mn)が4.0を超えると、水溶性高分子分散剤に含まれる各水溶性高分子の分子量および主鎖の長さ、ならびに各水溶性高分子の有する官能基数のうちの少なくともいずれか1つが不均一になるので、混合物中に混練物を均一な大きさで分散させることができない。よって、生成される着色粒子の粒度分布が広がり、着色粒子の粒子径が不均一になるので、そのままトナーとして使用すると、帯電量が不均一になり、画像濃度の低下、白地かぶりおよび転写性の低下などが生じる。帯電量を均一にするためには、分級工程を設け、粒度分布を狭めることが必要であり、製造工程が繁雑になる。また水溶性高分子分散剤の分子量分布の幅が広くなり、水に対して溶解しやすいものと溶解しにくいものとが共存することになるので、所望の固形分濃度を有する分散剤水溶液を調製することが困難になる。
水溶性高分子分散剤に含まれる各水溶性高分子の分子量が等しく単一である場合、分子量分布指数(Mw/Mn)は1.0となる。したがって、水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率である分子量分布指数(Mw/Mn)は、1.0以上4.0以下であり、1.0に近いほど好ましい。
水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)は、たとえば、水溶性高分子分散剤の原料であるモノマーの種類、重合度などを調整することによって4.0以下にすることができる。また水溶性高分子分散剤が共重合体からなる場合には、共重合比などを調整することによっても個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)を4.0以下にすることができる。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は、1000以上20000以下であることが好ましい。水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)を1000以上20000以下にすることによって、水溶性高分子分散剤水溶液の粘度の上昇を抑えることができるので、混合物中に効率良く混練物を分散させることができる。したがって、たとえば体積平均粒子径が10μm以下と小さい着色粒子を容易に生成させることができる。また着色粒子の粒度分布の広がりを抑え、均一な粒子径を有するトナーを得ることができるので、トナーの帯電量が不均一になることを防ぐことができる。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が20000を超えると、分散剤水溶液の粘度が上昇し、後述する造粒工程における混練物との混合が困難になる。また混合物を撹拌することによって生じる剪断力が分散剤水溶液に加わり、混練物に加わりにくくなるので、混練物の造粒が阻害され、混合物中に混練物を分散させることが困難になる。よって、着色粒子の粒子径が大きくなりやすく、体積平均粒子径が10μm以下という小さい着色粒子を生成させることが困難になるおそれがある。また所望の粒子径を有する着色粒子を生成させることができたとしても、着色粒子の粒度分布が広くなりやすく、粒子径が不均一になるおそれがある。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が1000未満であると、水溶性高分子分散剤中にオリゴマーまたは未反応のモノマーが含まれている可能性が高くなり、水溶性高分子分散剤がオリゴマーまたはモノマーに近い性質を示すようになるので、造粒工程において分散剤としての機能を発揮することができず、混練物を混合物中に分散させることができなくなるおそれがある。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)および個数平均分子量(Mn)は、たとえば、水溶性高分子分散剤の原料であるモノマーの種類、重合度などによって調整することができる。また水溶性高分子分散剤が共重合体からなる場合には、共重合比などによっても調整することができる。ここで、水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)および個数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation
chromatography;略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。以下では、重量平均分子量を単に「Mw」と表記することがある。また個数平均分子量を単に「Mn]と表記することがある。
水溶性高分子分散剤は、イオン性基を有するイオン系水溶性高分子分散剤であることが好ましい。水溶性高分子分散剤の中でも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの、イオン性基を有しない非イオン系高分子分散剤は、イオン系水溶性高分子分散剤に比べて水に対する溶解性に劣り、水に溶解しにくいので、後述する冷却工程で着色粒子表面に析出する可能性がある。着色粒子表面に非イオン系水溶性高分子分散剤が一度析出すると、後述する洗浄工程における洗浄によっても非イオン系水溶性高分子分散剤を除去することは困難であるので、着色粒子であるトナー粒子表面に非イオン系水溶性高分子分散剤が残留するおそれがある。また非イオン系水溶性高分子分散剤を用いると、分散剤水溶液中の分散剤の固形分濃度を調整しにくく、特に固形分濃度が10重量%を超えるような高濃度の分散剤水溶液を調整することができないので、混合物中に混練物を均一に分散させることが困難になる。イオン系水溶性高分子分散剤を用いることによって、水溶性高分子分散剤の水に対する溶解性を向上させることができるので、濃度調整が容易になる。またイオン系水溶性高分子分散剤は、洗浄によって容易に除去することができるので、イオン系水溶性高分子分散剤を用いることによって、着色粒子であるトナー粒子表面への水溶性高分子分散剤の残留をより確実に防ぐことができる。
イオン系水溶性高分子分散剤としては、アニオン性基を有するアニオン系水溶性高分子分散剤と、カチオン性基を有するカチオン系水溶性高分子分散剤とが挙げられるけれども、アニオン系水溶性高分子分散剤の方が好ましい。アニオン系水溶性高分子分散剤を用いることによって、造粒工程における混練物の混合物中への分散性を向上させ、着色粒子の粒子径をより均一にすることができる。ここで「アニオン性基」とは、水中で解離してカチオンを放出する基のことである。また「カチオン性基」とは、水中で解離してアニオンを放出する基のことである。
アニオン系水溶性高分子分散剤としては、ビニルカルボン酸の単独重合体および共重合体、ならびにこれらの塩などが挙げられる。ここで、「ビニルカルボン酸」とは、ビニル基とカルボキシル基とを有する化合物のことである。ビニルカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類、マレイン酸などが挙げられる。
ビニルカルボン酸の単独重合体(以後、「ポリビニルカルボン酸」とも称する)としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのポリアクリル酸類などが挙げられる。ポリビニルカルボン酸の塩としては、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸アンモニウムなどのポリビニルカルボン酸のアンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムなどのポリビニルカルボン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
ビニルカルボン酸の共重合体(以後、ビニルカルボン酸系共重合体とも称する)としては、ビニルカルボン酸とビニル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。ビニルカルボン酸としては、前述のアクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類、マレイン酸などが挙げられる。ビニルカルボン酸は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。ビニルカルボン酸と共重合されるビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのα−アルキルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。ビニル系モノマーは、1種が単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ビニルカルボン酸とビニル系モノマーとの共重合体の具体例としては、スチレンとアクリル酸との共重合体であるスチレン−アクリル酸共重合体、スチレンとα−メチルスチレンとアクリル酸との共重合体であるスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体などのスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体などのスチレン−ビニルカルボン酸系共重合体などが挙げられる。
ビニルカルボン酸系共重合体の塩としては、スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩などのスチレン−アクリル酸系共重合体アンモニウム塩などの、ビニルカルボン酸系共重合体のアンモニウム塩、スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体ナトリウムなどのスチレン−アクリル酸系共重合体ナトリウム塩などの、ビニルカルボン酸系共重合体のアルカリ金属塩などが挙げられる。
ポリビニルカルボン酸は、たとえば、ビニルカルボン酸を、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などで重合させることによって製造することができる。ビニルカルボン酸系共重合体は、たとえば、ビニルカルボン酸の1種または2種以上と、ビニル系モノマーの1種または2種以上とを、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などで重合させることによって製造することができる。アニオン系水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)は、原料のモノマーの種類および重合度など、ならびに共重合体の場合には共重合比などを調整することによって、4.0以下にすることができる。
アニオン系水溶性高分子分散剤としては、市販されているものを使用することもできる。市販のアニオン系水溶性高分子分散剤としては、ジョンソンポリマー株式会社製の
ジョンクリル61J(スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=13000、Mn=3700、Mw/Mn=3.5)、
ジョンクリル52(スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=1700、Mn=900、Mw/Mn=1.9)、
ジョンクリル57(スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=4200、Mn=1800、Mw/Mn=2.3)および
ジョンクリル60(スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、Mw=9000、Mn=3700、Mw/Mn=2.4)など、ならびに東亞合成株式会社製の
A−30SL(ポリアクリル酸のアンモニウム塩、Mw=6000、Mn=3000、Mw/Mn=2.0)などが挙げられる。
ポリビニルカルボン酸およびビニルカルボン酸系共重合体では、ビニルカルボン酸に由来するカルボキシル基が、アニオン性基となる。ポリビニルカルボン酸塩およびビニルカルボン酸系共重合体塩では、ビニルカルボン酸に由来するカルボキシル基に含まれる水素イオンを金属イオン、アンモニウムイオンなどのカチオンで置換した基が、アニオン性基となる。
前述のアニオン系水溶性高分子分散剤の中でも、ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩が好ましく、ポリアクリル酸類のアンモニウム塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体のアンモニウム塩がさらに好ましい。ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩のうちの少なくともいずれか1種を用いることによって、混合物中に混練物を一層均一に分散させることができるので、均一な粒子径を有するトナーをさらに確実に得ることができる。水溶性高分子分散剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
分散剤水溶液中における水溶性高分子分散剤の濃度は、特に制限されず、混練物に含まれる結着樹脂、着色剤および添加剤の種類および含有量などに応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、混練物と分散剤水溶液との混合操作の容易性、生成された着色粒子の分散安定性などを考慮すると、温度25℃の分散剤水溶液中において、5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。水溶性高分子分散剤の濃度が5重量%未満であると、後述する造粒工程において混練物に対する水溶性高分子分散剤の好適な使用割合を実現するために多量の分散剤水溶液が必要になるので、混練物と分散剤水溶液との混合操作が煩雑になる。水溶性高分子分散剤の濃度が40重量%を超えると、分散剤水溶液の粘度が高くなるので、造粒工程における混練物との混合が困難になるおそれがある。また混練物の造粒が阻害され、混合物中に混練物を均一に分散させることができず、生成される着色粒子の粒子径が不均一になるおそれがある。
分散剤水溶液は、たとえば、前述の水溶性高分子分散剤の適量を、水に溶解させることによって調製することができる。水としては、導電率が20μS/cm以下である水を用いることが好ましい。導電率が前記範囲内にある水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製することができる。またこれらの方法のうち、2種以上を組合せて導電率が前記範囲内にある水を調製してもよい。また市販の純水製造装置、たとえば野村マイクロ・サイエンス株式会社製のミニピュアTW−300RU(商品名)などを用いて調製することもできる。
[造粒工程]
ステップs3の造粒工程では、ステップs1の溶融混練によって得た混練物と、ステップs2で調製した分散剤水溶液とを混合した後、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、混合物中に混練物を粒子状に分散させ、混練物粒子である着色粒子を生成させる。生成された着色粒子がトナーを構成するトナー粒子となる。ここで、トナー粒子とは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含む混練物を造粒して得られる粒子のことであり、トナーとは、トナー粒子に表面改質剤などの外添剤が外添されない場合にはトナー粒子そのもののことであり、トナー粒子に表面改質剤などの外添剤が外添される場合にはトナー粒子と外添剤とを含む組成物のことである。
本実施態様では、分散剤水溶液に含まれる水溶性高分子分散剤として、個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が4.0以下である水溶性高分子分散剤が用いられるので、混合物中に混練物を均一な大きさで分散させることができる。これによって、生成される着色粒子の粒度分布の広がりを抑え、粒子径の均一な着色粒子を生成させることができる。
造粒工程における混合物の加熱温度は、特に制限されず、混練物に含まれる結着樹脂の種類およびその特性、たとえば重量平均分子量および軟化点など、最終的に得ようとするトナー粒子の粒子径などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、混練物に含まれる結着樹脂の軟化点以上、熱分解温度以下の温度であることが好ましい。
混練物と分散剤水溶液との混合物の撹拌速度は、特に制限されず、混練物中の結着樹脂、着色剤および添加剤の種類および含有量などに応じて、撹拌操作を容易に実施でき、所望の粒子径、粒度分布および形状を有する着色粒子が得られる値を適宜選択すればよい。また、混練物と分散剤水溶液との混合物の撹拌時間は、特に制限されず、混練物中の結着樹脂、着色剤および添加剤の種類および含有量、分散剤水溶液中の水溶性高分子分散剤の種類および濃度、混合物の加熱温度などの各種条件に応じて、広い範囲から適宜選択することができ、たとえば10分間以上20分間以下である。
本実施態様では、混合物の加熱および撹拌は、混練物と分散剤水溶液との混合物が収容される混合容器内を加圧状態にして行なわれる。混合容器内は必ずしも加圧状態にする必要はないけれども、混合容器内を加圧状態にして混合物の加熱および撹拌を行なうことによって、混合物中に含まれる水の沸点を下げることができるので、混合物を沸騰させることなく、100℃以上に加熱することができる。したがって、気泡の発生による剪断力の低下を防ぎ、混練物の造粒をより効率的に行なうことができる。
混合容器内の気体の圧力(以後、説明の便宜上、「混合容器内の圧力」と称する)は、特に制限されず、混練物中の結着樹脂、着色剤および添加剤の種類および含有量、分散剤水溶液中の水溶性高分子分散剤の種類および濃度、混合物の加熱温度などに応じて、混合操作を容易に実施でき、所望の粒子径および形状を有するトナー粒子が得られる圧力を適宜選択すればよい。混合容器内の圧力は、たとえば0.1MPa(約1atm)以上1MPa(約10atm)以下である。ここで、「加圧状態」とは、大気圧(1atm)よりも圧力が高い状態のことである。
ただし、混合容器内の圧力が高くなりすぎると、混合物中で発生した気泡が消失せずに圧力で微細化されて系内に封じ込められ、混練物の造粒が阻害されるおそれがあるので、混合容器内の圧力は、所望の加熱温度において混合物の沸騰を抑えることのできる最小限の圧力であることが好ましい。よって、混合容器内の圧力は、特に混合物の加熱温度を考慮して適宜選択される。たとえば、混合物の加熱温度が150℃である場合、混合容器内の圧力は0.5MPa(約5atm)程度である。
混練物としては、結着樹脂、着色剤、添加剤などを溶融混練したものをそのまま用いてもよく、溶融混練後に冷却して得た固化物をそのまま、または再度加熱して溶融状態に戻したものを用いてもよい。
混練物と分散剤水溶液との混合割合は特に制限されず、混練物中の結着樹脂の含有量、分散剤水溶液中の分散剤の種類および含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、混合操作、それに引続いて行なわれる着色粒子の洗浄操作、トナー粒子の単離操作などを効率良く実施するという観点からは、混練物100重量部に対して、分散剤水溶液100重量部以上500重量部以下を用いることが好ましい。
混練物と分散剤水溶液との混合は、より具体的には、たとえば、乳化機、分散機などを用いて行われる。乳化機および分散機としては、混練物と分散剤水溶液とをバッチ式または連続式で受け入れることができ、かつ加熱手段または加熱手段および加圧手段を有し、混練物と分散剤水溶液とを加熱下または加熱加圧下に混合し、着色粒子を生成させ、該着色粒子をバッチ式または連続式で排出することのできる装置が好ましい。また乳化機および分散機は、撹拌手段を有し、混練物と分散剤水溶液とを撹拌下に混合できるものであることが必要である。また乳化機および分散機は、混練物と分散剤水溶液とを混合するための混合容器が温度調整手段を有するものであることが好ましい。該混合容器は、好ましくは耐圧性を有し、さらに好ましくは耐圧性を有しかつ圧力調整弁などを備える。このような混合容器を用いれば、容器内の混合物の温度はほぼ一定に保持され、容器内の圧力も結着樹脂の軟化点と分散剤水溶液の蒸気圧との兼ね合いで一定圧力に制御される。また混練物と分散剤水溶液との混合を100℃以上の加熱温度で行なう場合には、加圧状態での使用になるので、乳化機および分散機にはメカニカルシールが備えられ、混合容器は密閉可能なものであることが望ましい。
このような乳化機および分散機は市販されている。その具体例としては、たとえば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン株式会社製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ(KINEMATICA)社製)、T.K.オートホモミクサー(商品名、特殊機化工業株式会社製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、株式会社荏原製作所製)、T.K.パイプラインホモミクサー、T.K.ホモミックラインフロー、T.K.フィルミックス(以上いずれも商品名、特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(以上いずれも商品名、三井三池化工機株式会社製)、キャビトロン(商品名、株式会社ユーロテック製)、ファインフローミル(太平洋機工株式会社製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック株式会社製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業株式会社製)などが挙げられる。
以上のようにして混練物と分散剤水溶液との混合物を加熱するとともに撹拌することによって、混練物と分散剤水溶液との混合物中に、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する着色粒子が生成する。
[冷却工程]
ステップs4の冷却工程では、造粒された着色粒子を含有する混合物(以後、水性スラリーとも称する)を冷却する。水性スラリーの冷却は、ステップs3の造粒工程において着色粒子を生成させた後に、加熱を停止して、冷媒を用いて強制的に冷却する強制冷却またはそのまま放冷する自然冷却によって行なわれることが好ましい。
造粒工程では、混練物と分散剤水溶液との混合物を加熱し、混練物を溶融させて分散させることによって造粒するので、生成された直後の着色粒子は、溶融状態にあり、粘着性を有する。この状態では、着色粒子同士が付着し合って粗大化しやすいけれども、本実施態様では、混合物中に着色粒子とともに分子量分布指数が4.0以下である水溶性高分子分散剤が含まれているので、着色粒子は水溶性高分子分散剤によって安定化されており、混合物中に均一に分散されている。よって、冷却工程では、着色粒子の粗大化は発生せず、着色粒子は、混合物中に均一に分散された状態で、形状および大きさを保持したまま冷却することができる。したがって、体積平均粒子径が10μm以下、好ましく5μm以上10μm以下と小さく、かつ粒度分布が狭く、均一な粒子径を有するトナー粒子を得ることができる。
混合物(水性スラリー)の冷却は、撹拌下に行なうことが好ましい。混合物を撹拌せずに冷却すると、混合物の温度が着色粒子に含まれる結着樹脂の軟化点以上の温度である場合に、水溶性高分子分散剤による分散安定効果が充分に発揮されず、着色粒子同士が互いに融着するおそれがある。よって、冷却工程においても、混合物(水性スラリー)の撹拌を継続することが好ましい。
また混合物の加熱温度を100℃以上として加圧下で混練物の造粒を行なった場合には、冷却工程においても加圧を継続することが好ましい。混合物の温度が100℃以上である場合に、加圧を停止して混合容器内の圧力を大気圧に戻すと、水性スラリーが沸騰し、気泡が多数発生するので、その後の処理が困難になる。混合容器内の圧力は、混合容器内の混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すことが好ましく、混合容器内の混合物が室温(25℃程度)まで冷却された後に大気圧に戻すことがさらに好ましい。
[洗浄工程]
ステップs5の洗浄工程では、冷却後の混合液中に含まれる着色粒子を洗浄する。着色粒子の洗浄は、水溶性高分子分散剤および水溶性高分子分散剤などに由来する不純物類を除去するために実施される。分散剤および前記不純物類がトナー粒子に残留すると、得られるトナー粒子の帯電性能が不安定になるおそれがある。また空気中の水分の影響によって帯電性が低下するおそれもある。
着色粒子の洗浄は、たとえば、混合物に水を加えて撹拌して水洗することによって行なうことができる。着色粒子の水洗は、導電率計などを用い、混合物から遠心分離などによって分離される上澄み液の導電率が100μS/cm以下、好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行なうことが好ましい。これによって、分散剤および不純物類の残留をより確実に防ぎ、トナー粒子の帯電量をさらに均一にすることができる。
水洗に用いる水は、導電率20μS/cm以下の水であることが好ましい。このような水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製することができる。また、これらの方法のうち、2種以上を組合せて水を調製してもよい。着色粒子の水洗は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。また洗浄水の温度は特に制限されないけれども、10〜80℃の範囲が好ましい。
[分離工程]
ステップs6の分離工程では、洗浄後の着色粒子を含有する混合物から、着色粒子を分離し、回収する。混合物中からの着色粒子の分離は公知の方法に従って実施でき、たとえば、濾過、吸引濾過、遠心分離などによって行なうことができる。
ステップs6の分離工程の後に、ステップs5の洗浄工程を行なう場合には、たとえば、分取された着色粒子を水洗することによって着色粒子の洗浄を行なうことができる。着色粒子の水洗は、導電率計などを用い、着色粒子を洗浄した後の洗浄水の導電率が100μS/cm以下、好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行なうことが好ましい。これによって、分散剤および不純物類の残留をより確実に防ぎ、トナー粒子の帯電量をさらに均一にすることができる。
[乾燥工程]
ステップs7の乾燥工程では、洗浄後の着色粒子を乾燥させる。トナー粒子である着色粒子の乾燥は、凍結乾燥法、気流式乾燥法などの公知の方法に従って実施できる。
このようにして得られるトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができる。また、このトナー粒子に表面改質剤などの外添剤を外添して、トナー粒子の表面改質を行なうこともできる。表面改質剤としては、シリカ、酸化チタンなどの金属酸化物粒子などが挙げられる。またシリカ、酸化チタンなどの金属酸化物粒子などに、シランカップリング剤などによって疎水化処理などの表面改質処理を施したものを用いることもできる。トナー粒子に対する外添剤の使用割合は特に制限されないけれども、トナー粒子100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、1重量部以上5重量部以下であることがさらに好ましい。
以上のようにして、トナー粒子またはトナー粒子と外添剤とを含む組成物からなるトナーが得られる。このようにしてトナーが作製されると、ステップs7からステップs8に移行し、本実施態様によるトナーの製造が終了する。本実施態様では、前述のように水溶性高分子分散剤として、個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が4.0以下である水溶性高分子分散剤が用いられるので、造粒工程において、混合物中に混練物を均一な大きさで分散させることができ、粒子径の均一な着色粒子を生成させることができる。これによって、分級を行なわなくても、粒度分布が狭く、粒子径の均一なトナーを得ることができるので、トナーの帯電量が不均一になることを防ぎ、画像濃度の低下、白地かぶりの発生および転写性の低下などを防止することができる。また体積平均粒子径が10μm以下と小さい着色粒子を容易に生成させることができるので、高精細な画像を実現することのできるトナーを得ることができる。
また本実施態様では、造粒工程において混練物と分散剤水溶液との混合物を加熱するとともに撹拌することによって混練物を溶融状態として混合物中に分散させるので、結着樹脂として、ラジカル重合によって合成可能な樹脂以外の樹脂、たとえばポリエステル樹脂を用いてトナーを製造することができる。また結着樹脂のモノマーがトナー中に残留することを防ぐことができる。また有機溶媒を用いることなく、トナー粒子である着色粒子を生成させることができるので、トナー中に有機溶媒が残留することを防ぐことができる。このように結着樹脂のモノマーおよび有機溶媒がトナー中に残留することを防ぐことができるので、帯電性能のばらつきを一層確実に抑えることができる。また有機溶媒を含む廃液を排出しない、または廃液の量を低減することができるので、廃液の処理に要する費用を低減することができる。
本実施態様によるトナーの製造方法によって得られるトナーは、電子写真法、静電記録法などによる画像形成における静電荷像の現像、磁気記録法などによる画像形成における磁気潜像の現像などに使用することができる。本発明によるトナーは、粒度分布が狭く、帯電性能にばらつきがないので、静電荷像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーとして好適に用いることができる。本発明によるトナーを静電荷像現像用トナーとして用いることによって、トナーの帯電量のばらつきを抑えることができるので、画像濃度の低下、白地かぶりの発生および転写性の低下などを抑え、画像欠陥のない高品質の画像を形成することができる。本発明によるトナーは、一成分系現像剤または二成分系現像剤として使用することができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するけれども、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
〔水の調製〕
以下の実施例および比較例において、水溶性高分子分散剤水溶液の調製および着色粒子(トナー粒子)の洗浄には、導電率が0.5μS/cmである水を用いた。この水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス株式会社製)を用いて水道水から調製した。水の導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、株式会社井内盛栄堂製)を用いて測定した。
〔体積平均粒子径および変動係数〕
着色粒子(トナー粒子)の体積平均粒子径および変動係数は、コールターマルチサイザーII(商品名、コールター株式会社製)を用いて測定した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。変動係数は、その値が小さいほど、粒度分布が狭いことを意味する。
〔樹脂および分散剤の重量平均分子量および個数平均分子量〕
以下の実施例および比較例で使用した樹脂および水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)および個数平均分子量(Mn)は、以下のようにして測定した。GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)にて、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液の注入量を100mLとして測定した。試料溶液としては、樹脂または水溶性高分子分散剤を乾燥して得た試料の0.25重量%(固形分濃度)テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。
〔樹脂の軟化点〕
以下の実施例および比較例で使用した樹脂の軟化点は以下のようにして測定した。流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gを、ダイ(ノズル)から押出されるように荷重10kg/cmを与えながら、昇温速度毎分6℃(6℃/min)で加熱し、ダイから試料の半分が流出したときの温度を軟化点として求めた。なお、ダイには、口径1mm、長さ1mmのものを用いた。
〔樹脂のガラス転移点(Tg)〕
以下の実施例および比較例で使用した樹脂のガラス転移点(Tg)は以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)として求めた。
〔ワックスの融点〕
以下の実施例および比較例で使用したワックスの融点は、以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を求めた。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度をワックスの融点として求めた。
(実施例1)
[混練工程]
ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 400部、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 380部およびテレフタル酸330部を原料モノマーとして用い、触媒としてジブチルチンオキサイド3部を用いて合成したポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃、重量平均分子量10,000)に、着色剤として銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)を加え、温度140℃に設定されたニーダにて40分間溶融混練し、着色剤濃度40重量%のマスターバッチを作製した。ここで、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.0モルに対して、プロピレンオキサイドが平均2.0モル付加した化合物のことである。またポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.0モルに対して、エチレンオキサイドが平均2.0モル付加した化合物のことである。
次いで、マスターバッチの作製に用いたものと同じポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)82.5部、前述のようにして作製したマスターバッチ(着色剤濃度40重量%)12.5部、ワックスとしてカルナバワックス(商品名:TOWAX161、東亜化成株式会社製、融点82℃)5部、帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社製)2部を混合機(商品名:ヘンシェルミキサー、三井鉱山株式会社製)にて3分間混合分散し、原料混合物を得た。得られた原料混合物を、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて溶融混練分散し、混練物を調製した。二軸押出機の運転条件は、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分300回転(300rpm)、原料混合物供給速度20kg/時間とした。
[分散剤水溶液調製工程]
水溶性高分子分散剤として、分子量分布指数(Mw/Mn)が1.9であるスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(商品名:ジョンクリル52、ジョンソンポリマー株式会社製、Mw=1700、Mn=900)100部(固形分量)を用い、これに水溶性高分子分散剤の濃度が10重量%になるように水を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の濃度が10重量%である分散剤水溶液を調製した。
[造粒工程]
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製の混合容器に、以上のようにして調製した混練物100部と分散剤水溶液(水溶性高分子分散剤濃度10重量%)550部とを投入し、5気圧(5atm)の加圧下で混合容器内の混合物の温度が150℃になるように加熱しながら、ロータステータ式撹拌手段で10分間撹拌混合し、着色粒子を生成させた。このときのロータステータ式撹拌手段のロータの回転速度は毎分15,000回転(15,000rpm)とした。
[冷却工程]
前述のようにして着色粒子を生成させた後、加熱を停止し、生成した着色粒子を含む混合物(以後、水性スラリーと称する)を撹拌しながら混合物の温度が20℃以下になるまで冷却した。このときのロータステータ式撹拌手段のロータの回転速度は毎分15,000回転(15,000rpm)とした。
[洗浄工程]
次いで、導電率0.5μS/cmの水(温度20℃)を混合物に加えて着色粒子の洗浄を行なった。着色粒子の洗浄は、混合物に水(導電率0.5μS/cm)を加え、水の添加量によって固形分量が10%になるように調整した後、タービン型撹拌翼を用いて該撹拌翼の回転速度を毎分300回転(300rpm)として30分間撹拌することによって行なった。この洗浄操作を、撹拌後の混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで繰返し行なった。
[分離工程]
洗浄後の混合物から遠心分離によって着色粒子を含む固形分を分取した。
[乾燥工程]
分取した固形分を凍結乾燥させ、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は5.6μmであり、変動係数は29であった。また走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;略称SEM)を用い、観察倍率を2000倍として、得られたトナー粒子を観察したところ、図2に示すように、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
[外添処理工程]
得られたトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒子径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
(実施例2)
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が3.5であるスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(商品名:ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、Mw=13000、Mn=3700)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は6.5μmであり、変動係数は32であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図2に示す実施例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
得られたトナー粒子100部に、実施例1で用いたものと同じシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
(実施例3)
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が2.3であるスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(商品名:ジョンクリル57、ジョンソンポリマー株式会社製、Mw=4200、Mn=1800)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は6.3μmであり、変動係数は29であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図2に示す実施例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
得られたトナー粒子100部に、実施例1で用いたものと同じシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
(実施例4)
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が2.0であるポリアクリル酸アンモニウム塩(商品名:A−30SL、東亞合成株式会社製、Mw=6000、Mn=3000)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は6.8μmであり、変動係数は29であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図2に示す実施例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、ほぼ均一な粒子径を有することが判った。
得られたトナー粒子100部に、実施例1で用いたものと同じシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
(比較例1)
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が5.3であるスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩(アクリル酸およびスチレンを、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)を用いてイソプロパノール中で反応させて得たもののアンモニウム塩、Mw=11,000、Mn=2,070)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は8.5μmであり、変動係数は54であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図3に示すように、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、粒子径のばらつきが大きいことが判った。
得られたトナー粒子100部に、実施例1で用いたものと同じシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
(比較例2)
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が4.6であるポリアクリル酸アンモニウム塩(アクリル酸を、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を用いて2−プロパノール中で反応させて得たもののアンモニウム塩、Mw=7,800、Mn=1,700)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は9.2μmであり、変動係数は64であった。また得られたトナー粒子を実施例1と同様にしてSEMで観察したところ、図3に示す比較例1で得られたトナー粒子と同様に、観察範囲に含まれる複数のトナー粒子は、粒子径のばらつきが大きいことが判った。
得られたトナー粒子100部に、実施例1で用いたものと同じシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、トナーを得た。
(参考例1)
分散剤水溶液調製工程における分散剤水溶液の調製に際し、水溶性高分子分散剤として、ジョンクリル52に代えて、分子量分布指数(Mw/Mn)が2.2であるポリアクリル酸アンモニウム塩(アクリル酸を、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を用いて2−プロパノール中で反応させて得たもののアンモニウム塩、Mw=22,000、Mn=10,000)を用いる以外は実施例1と同様にして、着色粒子であるトナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、体積平均粒子径が50μmで、変動係数が90であり、粒子径のばらつきが大きく、以下の特性評価を行なうことはできなかった。
(特性評価)
実施例1〜4および比較例1,2で得られた各トナーにそれぞれ、キャリアとして、フェライト粒子をシリコーン樹脂で被覆して得た体積平均粒子径60μmのフェライトコアキャリアをトナーの濃度が4重量%になるように調整して混合し、トナー濃度4重量%の二成分現像剤を作製した。得られた二成分現像剤を用いて以下のようにして評価用画像を形成し、以下の評価を実施した。
〔画像濃度〕
得られた二成分現像剤を、市販の複写機(商品名:AR−C150、シャープ株式会社製)から定着装置を取除いて得た試験用複写機の現像装置に投入し、日本工業規格(JIS)P0138に規定されるA4判の記録用紙上に、トナー付着量が0.6mg/cmになるように調整して、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像(以後、「べた画像部」と称する)を未定着の状態で形成した。外部定着機を用い、記録用紙の通紙速度を毎秒120mm(120mm/sec)として、形成された未定着トナー像の定着を行ない、評価用画像を形成した。外部定着機には、市販のフルカラー複写機(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ株式会社製)から取出したオイルレス方式の定着装置を、定着用ヒートローラの表面温度を任意の値に設定できるように改造したものを用いた。ここで、オイルレス方式の定着装置とは、定着用ヒートローラにシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することなく定着を行なう定着装置のことである。
定着用ヒートローラの表面温度が170℃のときに形成された評価用画像について、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、べた画像部の光学反射濃度を測定し、これを画像濃度とした。画像濃度が1.45以上である場合を良好(○)と評価し、画像濃度が1.40以上1.45未満である場合を実使用上問題なし(△)と評価し、画像濃度が1.40未満である場合を不良(×)と評価した。
〔白地かぶり〕
画像濃度の評価と同様にして、評価用画像を形成した。定着用ヒートローラの表面温度が170℃のときに形成された評価用画像について、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、べた画像部の周囲の白地部分(以後、「白地部」と称する)の光学反射濃度を測定し、これを白地部の画像濃度とした。また、前記反射濃度計を用いて、未使用の記録用紙の画像濃度を測定した。評価用画像の白地部の画像濃度を、未使用の記録用紙の画像濃度を基準(0.000)とした画像濃度に換算し、この値を未使用の記録用紙の画像濃度と評価用画像の白地部の画像濃度との差(以後、かぶり値と称する)として求めた。かぶり値が0.005以下である場合を良好(○)と評価し、かぶり値が0.005を超える場合を不良(×)と評価した。
〔転写率〕
前述のようにして得た二成分現像剤を試験用複写機の現像装置に投入し、べた画像のチャートの複写動作を行なわせ、感光体表面にトナー像を形成させた。試験用複写機には、市販の複写機(商品名:AR−C150、シャープ株式会社製)から定着装置を取除き、さらに記録用紙への転写動作のタイミングを制御できるように改造したものを用いた。
粘着テープを用いて、感光体表面に形成されたトナー像の一部を採取して重量を測定し、感光体表面の単位面積あたりに付着したトナーの重量(以後、「感光体付着トナー量」と称する)Mdを求めた。次いで、記録用紙への転写動作を行なわせ、記録用紙に転写されたトナーの重量を測定し、記録用紙の単位面積あたりに転写されたトナーの重量(以後、「転写トナー量」と称する)Mpを求めた。求めた感光体付着トナー量Mdおよび転写トナー量Mpから、次式によって転写率(%)を求めた。転写率が90%を超える場合を良好(○)と評価し、転写率が85%を超えて90%以下である場合を実使用上問題なし(△)と評価し、転写率が85%以下である場合を不良(×)と評価した。
転写率(%)=(Mp/Md)×100
なお、トナーの重量は、温度20℃、相対湿度50%RHの環境下にて測定した。
〔総合評価〕
以上の評価結果を合わせて、総合評価を行なった。総合評価では、△と評価された項目および×と評価された項目が1つもない場合を良好(○)と評価し、×と評価された項目が1つもない場合を実用上問題なし(△)と評価し、×と評価された項目が1つ以上ある場合を不良(×)と評価した。
以上の評価結果を表1に示す。表1では、体積平均粒子径を「D50」と表記し、重量平均分子量を「Mw]と表記し、個数平均分子量を「Mn」と表記する。
表1から、水溶性高分子分散剤として、個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が4.0以下であるものを用いて本発明の製造方法によって製造された実施例1〜4のトナーは、変動係数が32以下と小さく、粒度分布が狭く、均一な粒子径を有することが判る。また実施例1〜4のトナーは、体積平均粒子径(D50)が6.8μm以下と小さいことが判る。また実施例1〜4のトナーは、記録媒体への転写性に優れ、記録媒体に光学反射濃度で1.45以上という高い画像濃度を有する画像を形成できることが判る。また実施例1〜4のトナーを用いることによって、白地かぶりの発生を抑えることができることが判る。このことから、実施例1〜4のトナーは帯電性能が均一であり、実施例1〜4のトナーを用いることによってトナーの帯電量のばらつきを抑えることができることが判る。
これに対し、水溶性高分子分散剤として、個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が4.0を超えるものを用いて製造された比較例1および2のトナーは、実施例1〜4のトナーに比べ、変動係数が大きく、前述の図3に示すように粒子径のばらつきが大きいことが判る。また比較例1および2のトナーは、実施例1〜4のトナーに比べ、体積平均粒子径(D50)も大きいことが判る。また比較例1および2のトナーを用いて形成された画像では、白地かぶりが発生することが判る。
以上のように、水溶性高分子分散剤として、個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が4.0以下のものを用いることによって、均一な粒子径を有し、帯電性能のばらつきのないトナーを得ることができた。
本発明の実施の一態様であるトナーの製造方法の手順を示すフローチャートである。 実施例1で得られたトナー粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例1で得られたトナー粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶融混練することによって、混練物を調製する混練工程と、
    調製された混練物と、水に可溶なイオン系水溶性高分子からなるイオン系水溶性高分子分散剤および水を含有する分散剤水溶液とを混合し、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、前記混合物中に混練物を分散させて着色粒子を生成させる造粒工程と、
    生成された前記着色粒子を含有する前記混合物を冷却する冷却工程と、
    冷却された前記混合物から前記着色粒子を分離する分離工程とを含み、
    前記イオン系水溶性高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)が、1000以上20000以下であり、
    前記イオン系水溶性高分子分散剤の個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が、4.0以下であり、
    前記分散剤水溶液中の前記イオン系水溶性高分子分散剤の濃度が、5重量%以上40重量%であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記造粒工程が、0.1MPa以上1MPa以下の加圧状態で行われ、
    前記冷却工程が、加圧を継続した状態で行われ、前記混合物にかかる圧力を、前記混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記イオン系水溶性高分子分散剤が、ポリアクリル酸類の塩およびスチレン−アクリル酸系共重合体の塩のうちの少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーの製造方法。
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