JP4313366B2 - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法などによる画像形成過程において静電荷像などの潜像の現像に使用されるトナーおよびその製造方法に関する。
電子写真法によって画像を形成する画像形成装置では、たとえば電子写真感光体(以後、単に「感光体」とも称する)などの像担持体の表面に種々の手段によって静電荷像を形成した後、トナーを供給して静電荷像を現像し、形成されたトナー像を紙などの記録媒体に転写して定着させることによって画像が形成される。静電荷像の現像に用いられるトナー(以後、「静電荷像現像用トナー」と称する)は、結着樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂に着色剤、帯電制御剤などの添加剤が分散されて成る。トナーは、摩擦帯電によって帯電され、現像ローラなどに担持されて感光体表面に供給される。
近年、画質の向上を目的として、トナーの小粒径化が進められており、体積平均粒径がたとえば3〜8μm程度と小さいトナーが用いられるようになっている。トナーの製造には、結着樹脂、着色剤などを溶融混練した後、得られた混練物を粉砕することによってトナーを得る、いわゆる粉砕法が広く用いられている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、粉砕法では、得られるトナーの粒径が小さくなるほど、粒子形状が不定形になり、粉体流動性が極端に悪化するという問題がある。トナーの粉体流動性が悪いと、現像時にトナーを感光体表面に安定して供給することができず、濃度むらなどの画像欠陥が生じるという問題がある。
また、粉砕法では、トナーの粒径を均一にすることは困難であり、得られるトナーの帯電性能が不均一になるという問題がある。帯電性能が不均一なトナーを用いて画像を形成すると、転写材への転写時に、帯電量が不足して転写材に転写されないトナーが発生し、画像濃度の低下などが生じる。粉砕法においてトナーの帯電性能の均一性を向上させるためには、混練物の粉砕後に分級を行ない、トナーの粒度分布の幅を狭くする必要があるけれども、分級によってトナーの収率が低下し、製造原価が高くなるという別の問題が生じる。
粉砕法における上記問題を解決する方法として、湿式法が検討されている。湿式法としては、前述の特許文献1にも記載されているように、たとえば、
(イ)懸濁安定剤によって水中に分散させた結着樹脂のモノマーを着色剤の存在下に重合させ、生成する結着樹脂粒子中に着色剤を包含させてトナーを得る懸濁重合法、
(ロ)結着樹脂のモノマーを乳化重合させて得た樹脂粒子の水分散液と、着色剤の水分散液などとを混合して凝集粒子を形成し、この凝集粒子を加熱融合してトナーを得る乳化重合凝集法、
(ハ)水分散性樹脂および着色剤を有機溶媒に溶解または分散させ、これに撹拌下に該水分散性樹脂の解離基を中和する中和剤および水を加え、着色剤などを内包する樹脂滴を生成させ、これを転相乳化させてトナーを得る転相乳化法、
(ニ)結着樹脂および着色剤を含むトナー材料を結着樹脂が溶解可能な有機溶剤中に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液と、無機分散剤たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの難水溶性アルカリ土類金属塩などの水分散液とを混合して造粒を行った後、有機溶媒を除去してトナーを得る溶解懸濁法、
(ホ)結着樹脂および着色剤などを結着樹脂が溶解可能な非水溶性有機溶剤に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を水性分散液中に乳化分散させた後、有機溶剤を除去してトナーを得る乳化分散法などが提案されている。
しかしながら、(イ)〜(ホ)の方法には以下のような問題がある。たとえば、(イ)の懸濁重合法および(ロ)の乳化重合凝集法などの重合法では、水中で重合反応を行なうので、結着樹脂として使用可能な樹脂がラジカル重合によって生成することのできるビニル重合体に限定されるという問題がある。トナーの定着性およびカラートナーとして用いる場合の透明性を考慮すると、結着樹脂としてはビニル重合体よりもポリエステル樹脂を用いることが好ましい。このように、結着樹脂はトナーに求められる特性に応じて適宜選択されることが好ましい。このため、ビニル重合体に限定されず、種々の樹脂を用いてトナーを製造することのできる方法が求められる。
また、重合法には、トナー粒子の内部に結着樹脂のモノマー、重合開始剤、懸濁安定剤などが残留し、トナーの帯電性能にばらつきを引起すという問題もある。帯電性能のばらつきを抑えるためには、これらの残留物を除去することが必要であるけれども、トナー粒子の内部に入り込んだモノマー、重合開始剤、懸濁安定剤などを除去することは非常に困難である。また、(ロ)の乳化重合凝集法では、結着樹脂と着色剤などとを凝集させて加熱融合させることによってトナーを製造するので、均一な組成のトナー粒子を安定して形成することができないという問題もある。
また、(ハ)の転相乳化法、(ニ)の溶解懸濁法および(ホ)の乳化分散法では、結着樹脂を溶解または分散させるために有機溶剤を用いるので、環境問題への対応から溶剤回収装置が必要となり、製造設備が大掛かりなものになるという問題がある。(ハ)〜(ホ)の方法では、結着樹脂として使用可能な樹脂が、解離基を有する水分散性樹脂または有機溶剤に可溶な樹脂に限定されるという問題もある。
これらの問題を解決するための技術として、本件出願人は、結着樹脂および着色剤などのトナー原料を溶融混練した後、得られた混練物を、分散剤および水を含む水性媒体に混合し、混練物が混合された水性媒体を加熱するとともに撹拌することによって水性媒体中に混練物を分散させて混練物粒子を生成させ、混練物粒子を水性媒体から分離してトナーを得る方法(以後、「溶融乳化法」とも称する)を先に提案した(たとえば、特許文献2参照)。
特開2004−361817号公報(第6−7頁) 特開2005−165039号公報(第4,8−9頁)
前述の特許文献2などに開示の溶融乳化法によれば、種々の樹脂を結着樹脂として用いることができるので、所望の特性を有するトナーを比較的容易に製造することができる。しかしながら、所望の特性を有するトナーをより確実に得るという観点からは、特許文献2に開示の技術にも改良の余地がある。
画像形成過程において、トナー像の記録媒体への定着には、トナー像が転写された記録媒体を所定の温度に加熱された加熱ローラで加熱および加圧することによってトナー像を定着させる、いわゆる熱ローラ定着法が多用されている。熱ローラ定着法ではオフセット現象が発生しやすく、このオフセット現象の発生を防ぐために、トナーにワックスなどの離型剤が添加される。ここで、オフセット現象とは、定着時に被転写材からトナーの一部が加熱ローラに転写され、この転写されたトナーが後続の被転写材に再転写される現象のことである。オフセット現象には、低温オフセット現象と高温オフセット現象とがある。低温オフセット現象は、加熱ローラによる加熱によってトナーが充分に溶融されず、トナー像の分断が生じることによって引起されるオフセット現象である。高温オフセット現象は、加熱ローラによる加熱によってトナーが過熱されてトナー同士の凝集力が低下し、トナー像の記録媒体への定着性が低下することによって引起されるオフセット現象である。
近年、画像形成速度の高速化に伴い、定着時の加熱ローラによるトナーの加熱時間は短縮される傾向にある。また、画像形成装置の省エネルギ化に対する要求の高まりに対応し、加熱ローラの加熱温度を低下させることが求められている。このため、定着時には低温オフセット現象が発生しやすくなっており、低温オフセット現象を防止することが求められている。
低温オフセット現象を防止するための離型剤としては、結着樹脂の軟化温度よりも低い温度で融解してトナーの溶融粘度を低下させることができるもの、たとえば結着樹脂の軟化温度よりも低い融点を有するワックスが用いられる。溶融乳化法では、加熱によって軟化した混練物を撹拌による剪断力で解砕することによって水性媒体中に分散させるので、混練物が混合された水性媒体は、混練物に含まれる結着樹脂の軟化温度以上に加熱することが好ましい。しかしながら、水性媒体の温度が混練物中に含まれるワックスの融点以上になる、特にワックスの融点よりも20℃以上高くなると、混練物中からワックスが脱離する恐れがある。またワックスと結着樹脂とは相溶性に乏しいので、混練物を造粒するときに剪断力などの力がワックスと結着樹脂との界面に加わることによってワックスが脱離する恐れもある。
混練物から脱離して水性媒体中に遊離したワックス(以後、「遊離ワックス」とも称する)がトナー中に残留すると、現像時に感光体などの像担持体の表面に遊離ワックスが付着してフィルム状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生しやすくなる。遊離ワックスの残留を防ぐためには、造粒後の洗浄工程においてトナー粒子を何回にもわたって洗浄することが必要であり、生産性の低下を招く。また、洗浄によって多量の排水が生じ、環境負荷が増大するという問題もある。
また、混練物を所望の粒径に造粒するためには、混練物を含む水性媒体を繰返し撹拌して剪断力を与える必要があるので、造粒工程で遊離したワックスが造粒されたトナー粒子の表面に付着するという問題もある。遊離ワックスがトナー粒子表面に多量に付着すると、溶融粘度が低下しすぎてトナー粒子同士の凝集力が低下するので、高温オフセット現象が生じやすくなる。また、トナー中に含まれるワックスの量は、造粒時に遊離したワックスの分だけ少なくなるので、低温オフセット現象を防止できるようにトナーの粘弾性を考慮して適当な量のワックスを添加していても、ワックスの脱離によってトナーの粘弾性が設計からずれ、低温オフセット現象が生じる恐れがある。よって、トナーを定着可能な加熱ローラの温度範囲(以後、「定着可能温度範囲」と称する。)が狭くなり、場合によっては、いずれの温度においてもオフセット現象が発生するという状態になる。
このように、混練物を造粒する際にワックスなどの離型剤が脱離すると種々の問題が生じることから、混練物からのワックスの脱離を防ぐことのできる方法が希求されている。
本発明の目的は、混練物を含む分散媒を加熱して造粒を行なう場合であっても混練物中から脱離することがなく、耐オフセット性および耐フィルミング性に優れるトナーを実現することのできる離型剤、ならびに該離型剤を用いたトナーおよびその製造方法を提供することである。
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を溶融混練することによって、混練物を調製する溶融混練工程と、
得られた混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって、分散媒中に混練物を分散させて混練物粒子を生成させる造粒工程と、
生成された混練物粒子を分散媒から分離する分離工程とを含み、
溶融混練工程では、
ポリエステル樹脂を含む結着樹脂が用いられ、
結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む離型剤であって
主鎖と側鎖とを有する分岐状樹脂から成り、
主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含み、
離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量、500以上、5000以下であ
相溶部分が、ポリエステル樹脂で形成され、
離型性部分が、エステル結合を有するエステル化合物で形成されている離型剤が用いられることを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、離型性部分を含む側鎖の分子量が、前記トナーに含まれる結着樹脂の分子量より小さいことを特徴とする。
また本発明は、相溶部分を含む主鎖の分子量が、前記トナーに含まれる結着樹脂の分子量より小さいことを特徴とする。
また本発明は、主鎖が相溶部分を含み、側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と、反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有し、かつ離型性を有する離型性化合物とを、反応性樹脂の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させて得られることを特徴とする。
また本発明は、主鎖の重量平均分子量は、2500以上、50000以下であることを特徴とする。
また本発明は、相溶部分は、結着樹脂を構成する構成単位の化学構造と同種の構成単位の化学構造を含む樹脂で形成されることを特徴とする。
また本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させ、混練物粒子を分散媒から分離することによって得られるトナーであって、
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む離型剤であって、
主鎖と側鎖とを有する分岐状樹脂から成り、
主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含み、
離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量が、500以上、5000以下であり、
相溶部分が、ポリエステル樹脂で形成され、
離型性部分が、エステル結合を有するエステル化合物で形成されている離型剤を含むことを特徴とするトナーである。
また本発明は、離型性部分を含む側鎖の分子量が、前記主鎖の分子量より小さいことを特徴とする。
また本発明は、相溶部分を含む主鎖の分子量が、前記トナーに含まれる結着樹脂の分子量より小さいことを特徴とする。
また本発明は、主鎖が相溶部分を含み、側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と、反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有し、かつ離型性を有する離型性化合物とを、反応性樹脂の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させて得られることを特徴とする。
また本発明は、主鎖の重量平均分子量は、2500以上、50000以下であることを特徴とする。
また本発明は、相溶部分は、結着樹脂を構成する構成単位の化学構造と同種の構成単位の化学構造を含む樹脂で形成されることを特徴とする。
本発明によれば、トナーは、溶融混練工程と造粒工程と分離工程とを経て製造される。溶融混練工程では、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を溶融混練して混練物を調製する。造粒工程では、溶融混練工程で得られた混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって、分散媒中に混練物を分散させて、トナー粒子である混練物粒子を生成させる。分離工程では、造粒工程で生成された混練物粒子、すなわちトナー粒子を分散媒から分離する。この分散媒から分離されたトナー粒子は、そのまま、または表面改質剤などの外添剤が外添されてトナーとなる。
離型剤は、結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む。このような離型剤は、離型剤を含むトナーが加熱されて定着されるときに、離型性部分が軟化または融解することによって、結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物粒子で構成されるトナーの溶融粘度を低下させることができるので、低温オフセット現象が発生し始める温度(以後、「低温オフセット開始温度」と称する)を低下させ、耐低温オフセット性を向上させることができる。また、前記離型剤は、相溶部分によって結着樹脂と相溶することができるので、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させるときに、混練物から分散媒中に脱離することはない。よって、前記離型剤は、遊離した離型剤の混練物粒子への付着による高温オフセット現象および感光体のフィルミングを引起すことがない。したがって、前記離型剤を用いることによって、製造時の離型剤の脱離を防ぐことができるので、所望の粘弾性を有し、前記離型剤を用いない場合に比べて定着可能温度範囲が広く、また感光体へのフィルミングを引起すことのないトナーを容易に、かつ安定して提供することができる。
また、前記離型剤は、相溶部分を含む主鎖と、離型性部分を含む側鎖とを有する分岐状樹脂から成る。このことによって、主鎖が相溶部分を含み、その相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基が結合した樹脂から成る離型剤に比べて、離型剤中における離型性部分の割合を高めることができるので、低温オフセット開始温度をより確実に低下させることのできる離型剤を実現することができる。また、混練物中において離型剤の離型性部分を凝集させ、相溶部分を含む主鎖を結着樹脂側に向け、離型性部分を含む側鎖を主鎖よりも内側に向けてミセル状に分散させることができるので、離型剤と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎることを防ぐことができる。これによって、離型性部分を、離型性を発現できる程度の分散粒径、たとえば0.1μm以上0.8μm以下の分散粒径で結着樹脂中にドメインとして分散させることができるので、相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基が結合した樹脂から成る離型剤を用いる場合に比べて、低温オフセット開始温度をより確実に低下させることができる。また高温オフセット現象が発生し始める温度(以後、「高温オフセット開始温度」と称する)を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。したがって、定着可能温度範囲を広げることができる。
また、離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量は、500以上、5000以下である。このことによって、離型性部分同士の凝集力を好適なものとし、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、離型性を発現するのに好適な範囲にすることができるので、耐オフセット性をより確実に向上させることのできる離型剤を実現することができる。また、離型剤の離型性部分が軟化または融解したときの粘度を、トナーの溶融粘度を低下させるのに好適な範囲にすることができるので、低温オフセット開始温度を一層確実に低下させることができる。
また、前記離型剤は、相溶部分がポリエステル樹脂で形成され、離型性部分がエステル結合を有するエステル化合物で形成されるので、ポリエステル樹脂との相溶性に優れる。よって、離型剤を、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーの原料として用いることによって、結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物が混合された分散媒を加熱するときの混練物からの離型剤の脱離を一層確実に防止することができる。
溶融混練工程で前記前記離型剤が用いられるので、造粒工程において混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させるときに、混練物から離型剤が脱離することを防ぐことができる。よって、遊離した離型剤の混練物粒子への付着による高温オフセット現象および感光体へのフィルミングの発生を防止することができる。したがって、所望の粘弾性を有し、離型剤を用いない場合に比べて定着可能温度範囲が広く、また感光体へのフィルミングを生じることのないトナーを安定して提供することができる。
ここで、トナー粒子とは、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物を造粒して得られる粒子のことであり、トナーとは、トナー粒子に表面改質剤などの外添剤が外添されない場合にはトナー粒子そのもののことであり、トナー粒子に表面改質剤などの外添剤が外添される場合にはトナー粒子と外添剤とを含む組成物のことである。
また本発明によれば、離型剤は、主鎖が相溶部分を含み、側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と、反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有し、かつ離型性を有する離型性化合物とを、反応性樹脂の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させて得られる。このように反応性樹脂と離型性化合物とを反応性樹脂の側鎖の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させることによって、主鎖に相溶部分を有し、側鎖に離型性部分として離型性化合物が結合した分岐状樹脂から成る離型剤をより確実に得ることができる。このような離型剤を用いることによって、より確実に、混練物中において離型性部分を凝集させ、相溶部分を含む主鎖を結着樹脂側に向け、離型性部分を含む側鎖を主鎖よりも内側に向けてミセル状に分散させることができる。これによって、離型剤と結着樹脂との相溶性を向上させることができるので、混練物からの離型剤の脱離をより確実に防ぐことができ、遊離した離型剤の混練物粒子への付着による高温オフセット現象および感光体へのフィルミングの発生を一層確実に防止することができる。また、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、より確実に、離型性を発現できる程度の範囲にすることができるので、トナーの耐低温オフセット性および耐高温オフセット性(以後、「耐オフセット性」と総称することがある)を向上させることができる。
また本発明によれば、主鎖の重量平均分子量は、2500以上、50000以下である。このことによって、主鎖と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎることを防ぎ、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、より確実に、離型性部分が離型性を発現できる範囲にすることができるので、耐オフセット性を一層確実に向上させることのできる離型剤を実現することができる。
ここで、主鎖の重量平均分子量とは、側鎖を導入する前の主鎖となる樹脂の重量平均分子量のことである。また、側鎖の重量平均分子量とは、主鎖となる樹脂に側鎖を導入して得られた樹脂の重量平均分子量から、主鎖の重量平均分子量を減算した後、さらに分岐度で除算した値のことである。
また本発明によれば、離型剤の相溶部分は、結着樹脂を構成する構成単位の化学構造と同種の構成単位の化学構造を含む樹脂で形成される。このことによって、離型剤の相溶部分と結着樹脂との相溶性を向上させることができるので、結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物が混合された分散媒を加熱するときの離型剤の混練物からの脱離をより確実に防止することができる。
また本発明によれば、トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させ、混練物粒子を分散媒から分離することによって得られる。
前記離型剤は、結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む。このような離型剤は、離型剤を含むトナーが加熱されて定着されるときに、離型性部分が軟化または融解することによって、結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物粒子で構成されるトナーの溶融粘度を低下させることができるので、低温オフセット開始温度を低下させ、耐低温オフセット性を向上させることができる。また、離型剤は、相溶部分によって結着樹脂と相溶することができるので、少なくとも結着樹脂、着色剤および前記離型剤を含む混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させるときに、混練物から分散媒中に脱離することはない。よって、離型剤は、遊離した離型剤の混練物粒子への付着による高温オフセット現象および感光体のフィルミングを引起すことがない。したがって、前記離型剤を用いることによって、製造時の離型剤の脱離を防ぐことができるので、所望の粘弾性を有し、離型剤を用いない場合に比べて定着可能温度範囲が広く、また感光体へのフィルミングを引起すことのないトナーを容易に、かつ安定して提供することができる。
また、前記離型剤は、相溶部分を含む主鎖と、離型性部分を含む側鎖とを有する分岐状樹脂から成る。このことによって、主鎖が相溶部分を含み、その相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基が結合した樹脂から成る離型剤に比べて、離型剤中における離型性部分の割合を高めることができるので、低温オフセット開始温度をより確実に低下させることのできる離型剤を実現することができる。また、混練物中において離型剤の離型性部分を凝集させ、相溶部分を含む主鎖を結着樹脂側に向け、離型性部分を含む側鎖を主鎖よりも内側に向けてミセル状に分散させることができるので、離型剤と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎることを防ぐことができる。これによって、離型性部分を、離型性を発現できる程度の分散粒径、たとえば0.1μm以上0.8μm以下の分散粒径で結着樹脂中にドメインとして分散させることができるので、相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基が結合した樹脂から成る離型剤を用いる場合に比べて、低温オフセット開始温度をより確実に低下させることができる。また高温オフセット開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。したがって、定着可能温度範囲を広げることができる。
また、離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量は、500以上、5000以下である。このことによって、離型性部分同士の凝集力を好適なものとし、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、離型性を発現するのに好適な範囲にすることができるので、耐オフセット性をより確実に向上させることのできる離型剤を実現することができる。また、離型剤の離型性部分が軟化または融解したときの粘度を、トナーの溶融粘度を低下させるのに好適な範囲にすることができるので、低温オフセット開始温度を一層確実に低下させることができる。
また、前記離型剤は、相溶部分がポリエステル樹脂で形成され、離型性部分がエステル結合を有するエステル化合物で形成されるので、ポリエステル樹脂との相溶性に優れる。よって、離型剤を、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーの原料として用いることによって、結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物が混合された分散媒を加熱するときの混練物からの離型剤の脱離を一層確実に防止することができる。
このような離型剤を用いるので、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させるときに、混練物から脱離することはない。したがって、離型剤を用いることによって、所望の粘弾性を有し、離型剤を用いない場合に比べて定着可能温度範囲が広く、また感光体へのフィルミングを生じることのないトナーを得ることができる。
型剤は、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させ、混練物粒子を分散媒から分離することによって得られるトナーに好適に用いられる離型剤であり、結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む。
型剤は、離型性を有する離型性部分を有するので、トナーに含有させることによって、熱ローラ定着法によってトナーを定着させるときに、離型性部分が軟化または融解してトナーの溶融粘度を低下させて低温オフセット開始温度を低下させ、耐低温オフセット性を向上させることができる。またトナーに離型性を付与し、高温オフセット開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。また、離型剤は、結着樹脂と相溶可能な相溶部分を有するので、相溶部分によって結着樹脂と相溶することができる。この相溶部分は、離型性部分と化学的に結合しているので、結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物を造粒するときに、混練物の混合された分散媒が離型剤の離型性部分の軟化する温度または融解する温度以上に加熱された場合であっても、離型剤が混練物中から脱離することを防ぐことができる。これによって、遊離した離型剤が、造粒された混練物粒子であるトナー粒子に付着することを防ぐことができるので、トナー粒子表面に付着した離型剤の離型性部分の軟化または融解によるトナー粒子同士の凝集力の低下を防ぎ、高温オフセット開始温度の低下を防止し、耐高温オフセット性を向上させることができる。また、遊離した離型剤がトナーに残留することを防ぐことができるので、感光体のフィルミングを防ぐことができる。
したがって、離型剤を用いることによって、製造時の離型剤の脱離を防ぐことができるので、所望の粘弾性を有し、離型剤を用いない場合に比べて定着可能温度範囲が広く、また感光体へのフィルミングを引起すことのないトナーを容易に、かつ安定して提供することができる。
型剤は、離型性部分の融点が40℃以上120℃以下であることが好ましい。離型性部分の融点が40℃未満であると、離型剤を用いて製造されるトナーの保存安定性が低下する傾向になり、離型性部分の融点が40℃以上である場合に比べて、収容容器中におけるトナー粒子同士の熱凝集が起こりやすくなる。離型性部分の融点が120℃を超えると、離型性部分の融点が120℃以下である場合に比べて、離型性部分が融解しにくくなるので、離型剤を用いて製造されるトナーの定着可能温度範囲が狭くなるおそれがある。ここで、「離型性部分の融点」とは、離型性部分の示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:略称DSC)における融解ピークの頂点の
温度のことである。離型剤が後述するように結着樹脂と相溶可能な樹脂に離型性化合物を結合させて得られる樹脂である場合、「離型性部分の融点」とは、離型剤の原料である離型性化合物の融点のことを意味する。
た離型剤は、離型性部分の軟化温度(Tm)が60℃以上100℃以下であることが好ましい。離型性部分の軟化温度(Tm)が60℃未満であると、離型性部分の軟化温度(Tm)が60℃以上である場合に比べて、離型性部分が軟化または融解しやすくなり、離型剤を用いて製造されたトナーが収容容器内で熱凝集を起こすおそれがある。離型性部分の軟化温度(Tm)が100℃を超えると、離型性部分の軟化温度(Tm)が100℃未満である場合に比べて、離型剤を用いて製造されたトナーを定着するときに、離型性部分が充分に軟化または融解せず、耐オフセット性を向上させるという本発明の効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤が後述するように結着樹脂と相溶可能な樹脂に離型性化合物を結合させて得られる樹脂である場合、「離型性部分の軟化温度(Tm)」とは、離型剤の原料である離型性化合物の軟化温度(Tm)のことを意味する。
た離型剤は、離型性部分のガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下であることが好ましい。離型性部分のガラス転移温度(Tg)が30℃未満であると、離型性部分のガラス転移温度(Tg)が30℃以上である場合に比べて、離型剤を用いて製造されるトナーの保存安定性が低下し、トナー収容容器中でのトナー粒子同士の熱凝集が起こりやすくなり、印刷不良が発生するおそれがある。離型性部分のガラス転移温度(Tg)が80℃を超えると、離型性部分のガラス転移温度(Tg)が80℃以下である場合に比べて、離型性部分が軟化または融解しにくくなり、トナーに充分な離型性を付与することができず、高温オフセット開始温度を高めるという離型剤の効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤が後述するように結着樹脂と相溶可能な樹脂に離型性化合物を結合させて得られる樹脂である場合、「離型性部分のガラス転移温度(Tg)」とは、離型剤の原料である離型性化合物のガラス転移温度(Tg)のことを意味する。
型剤としては、たとえば、結着樹脂と相溶可能な樹脂の末端に、離型性を有する化合物(以後、「離型性化合物」と称する)を結合させて得られる樹脂、結着樹脂と相溶可能な樹脂に側鎖として離型性化合物を結合させて得られる樹脂などが挙げられる。この中でも、結着樹脂と相溶可能な樹脂に側鎖として離型性化合物を結合させて得られる樹脂、すなわち主鎖と側鎖とを有し、主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含む分岐状樹脂が好ましい。
このように、主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含む分岐状樹脂から成る離型剤は、結着樹脂と相溶可能な樹脂の末端に離型性化合物を結合させて得られる樹脂、すなわち相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基が結合した樹脂から成る離型剤に比べて、離型剤中における離型性部分の割合を高めることができる。たとえば、主鎖に結合させる離型性部分を含む側鎖の数を増加させることによって、離型剤中における離型性部分の割合を高めることができる。したがって、主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含む分岐状樹脂とすることによって、低温オフセット開始温度をより確実に低下させることのできる離型剤を得ることができる。
また、離型剤を分岐状樹脂とし、離型性部分を分岐状樹脂の側鎖に含ませることによって、離型性部分同士を凝集させ、混練物中において、相溶部分を含む主鎖を結着樹脂側に向け、離型性部分を含む側鎖(以後、「離型性側鎖」とも称する)を主鎖よりも内側に向けたミセル状に分散させることができる。これによって、相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基を結合させる場合に比べて、離型剤と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎることを防ぐことができる。
これに対し、相溶部分を含む主鎖の末端に末端基として離型性部分を含む基を結合してなる樹脂からなる離型剤の場合、分岐状樹脂から成る離型剤に比べて、離型性部分同士の凝集性が低下して混練物中において離型剤がミセル状にならず、離型性部分が結着樹脂と直接接触する状態になり、離型剤と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎる恐れがある。離型剤と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎると、離型剤の離型性部分が離型性部分本来の融点または軟化温度を示さなくなり、離型性を発現できなくなる恐れがある。離型性部分が本来の融点または軟化温度を維持し、離型性を発現するためには、離型性部分が結着樹脂中に適度な分散粒径で分散されている必要がある。
前述のように離型剤を分岐状樹脂とし、離型性部分を分岐状樹脂の側鎖に含ませることによって、離型剤と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎることを防ぎ、離型性部分を離型性が発現される程度の分散粒径、具体的には0.1μm以上0.8μm以下、好ましくは0.1μm以上0.7μm以下の分散粒径で結着樹脂中にドメインとして分散させることができる。よって、熱ローラ定着法によってトナーを定着させるときに、離型剤としての機能を発現させ、トナーに加熱ローラに対する離型性を付与することができるので、高温オフセット開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。また低温オフセット開始温度を一層確実に低下させることができる。したがって、離型剤を用いない場合に比べて、トナーの定着可能温度範囲を広げることができる。
このように主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含む分岐状樹脂から成る分岐状樹脂から成る場合、離型剤は、前述の結着樹脂と相溶可能な樹脂として、主鎖が相溶部分を含み、側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂を用い、この反応性樹脂と反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有する離型性化合物とを、反応性樹脂の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させて得られる離型剤であることが好ましい。このように反応性樹脂と離型性化合物とを反応性樹脂の側鎖の反応性官能基の反応率(以後、「側鎖反応率」とも称する)が90%以上になるように反応させることによって、主鎖に相溶部分を有し、側鎖に離型性部分として離型性化合物が結合した分岐状樹脂から成る離型剤をより確実に得ることができる。このようにして得られる離型剤を用いることによって、より確実に、混練物中において離型性部分同士を凝集させ、相溶部分を含む主鎖を結着樹脂側に向け、離型性側鎖を主鎖よりも内側に向けたミセル状に分散させることができる。これによって、離型剤と結着樹脂との相溶性を向上させることができるので、混練物を含む分散媒を加熱するときの混練物からの離型剤の脱離をより確実に防ぐことができる。よって、離型剤の脱離による高温オフセット現象および感光体へのフィルミングの発生を一層確実に防止することができる。また、離型剤を混練物中にミセル状に分散させることができることによって、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、より確実に、離型性を発現できる程度の範囲にすることができる。よって、高温オフセット開始温度をより確実に高めることができるので、トナーの耐高温オフセット性を向上させることができる。また低温オフセット開始温度を一層確実に低下させることができるので、耐低温オフセット性を向上させることができる。したがって、反応性樹脂と離型性化合物とを側鎖反応率が90%未満になる条件下で反応させて得られる離型剤を用いる場合に比べて、トナーの定着可能温度範囲をより確実に広げることができる。
側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と離型性化合物とを反応させて離型剤を製造するときの反応性樹脂の側鎖反応率が90%未満であると、得られる離型剤中に、反応性樹脂に結合していない離型性化合物が多量に含まれ、造粒工程において混練物から脱離するおそれがある。また側鎖に結合している離型性化合物の割合の低下によって、離型性化合物で形成される離型性部分同士の凝集性が低下し、混練物中において離型剤がミセル状にならず、離型性部分が結着樹脂と直接接触する状態になるおそれがある。これによって、離型剤と結着樹脂との相溶性が不充分になり、混練物からの離型剤の脱離が生じる恐れがある。また、離型剤の離型性部分の分散粒径が、離型性を発現するのに好適な範囲を小さい方に外れ、離型性が充分に発揮されず、トナーの耐高温オフセット性が低下する恐れがある。また造粒工程における離型剤および離型性化合物の脱離によってトナーの耐低温オフセット性が低下する恐れがある。
分岐状樹脂から成る離型剤の離型性部分を含む側鎖、すなわち離型性側鎖の重量平均分子量は、500以上、5000以下である。離型性側鎖の重量平均分子量を500以上、5000以下にすることによって、離型性部分同士の凝集力を好適なものとし、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、離型剤としての機能を発現するのに好適な範囲にすることができるので、高温オフセット開始温度をより確実に高めることができる。また離型剤の離型性部分が軟化または融解したときの粘度を、トナーの溶融粘度を低下させるのに好適な範囲にすることができるので、低温オフセット開始温度をより確実に低下させることができる。
分岐状樹脂から成る離型剤における離型性側鎖の重量平均分子量が500未満であると、離型性部分の凝集力が低下して、離型性部分の分散粒径が、離型剤としての機能を発現するのに好適な範囲を小さい方に外れ、耐高温オフセット性が低下する可能性がある。離型性側鎖の重量平均分子量が5000を超えると、離型性部分が融解したときの離型剤の粘度が高くなりすぎ、トナーの溶融粘度を低下させる効果が充分に発揮されず、耐低温オフセット性が低下し、低温オフセット開始温度が上昇する恐れがある。
分岐状樹脂から成る離型剤における主鎖の重量平均分子量は、2500以上、50000以下であることが好ましい。主鎖の重量平均分子量を2500以上、50000以下にすることによって、主鎖と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎることを防ぎ、混練物中における離型剤の離型性部分の分散粒径を、より確実に、離型性部分が離型性を発現できる範囲にすることができる。よって、耐オフセット性を一層確実に向上させることのできる離型剤を実現することができる。
主鎖の重量平均分子量が50000を超えると、主鎖と結着樹脂との相溶性が高くなりすぎ、離型剤を混練物中にミセル状に分散させることができず、離型剤の離型性部分の分散粒径が、離型性を発現できる範囲を小さい方に外れ、高温オフセット現象を防止できなくなる恐れがある。主鎖の重量平均分子量が2500未満であると、主鎖に含まれる相溶部分と結着樹脂との相溶性が不充分になり、混練物が混合された分散媒を加熱するときに混練物からの離型剤の脱離が生じる恐れがある。
分岐状樹脂から成る離型剤において、主鎖の重量平均分子量Maに対する離型性側鎖の重量平均分子量Mbの比率(Mb/Ma;以後、単に「Mb/Ma」と表記することがある。)は、0.01以上、0.90以下であることが好ましく、0.01以上、0.50以下であることがさらに好ましい。前記比率Mb/Maが0.01未満であると、離型性部分の凝集力が低下して、離型性部分の分散粒径が、離型剤としての機能を発現するのに好適な範囲を小さい方に外れ、耐高温オフセット性が低下する可能性がある。前記比率Mb/Maが0.90を超えると、離型性部分が軟化または融解したときの離型剤の粘度が高くなりすぎ、トナーの溶融粘度を低下させる効果が充分に発揮されず、耐低温オフセット性が低下し、低温オフセット開始温度が上昇する恐れがある。
型剤が、結着樹脂と相溶可能な樹脂の末端に離型性化合物を結合させて得られる樹脂から成る場合、末端基となる離型性化合物の重量平均分子量は、分岐状樹脂における離型性側鎖の重量平均分子量と同様の理由から、500以上、5000以下であることが好ましい。また離型性化合物が結合する樹脂の重量平均分子量は、分岐状樹脂における主鎖の重量平均分子量と同様の理由から、2500以上、50000以下であることが好ましい。また前記樹脂の重量平均分子量Ma’に対する離型性化合物の重量平均分子量Mb’の比率(Mb’/Ma’)は、0.01以上、0.90以下であることが好ましい。
型剤の相溶部分は、混練物に含まれる結着樹脂を構成する構成単位と同種の構成単位を含む樹脂で形成されることが好ましい。たとえば、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーの場合には、相溶部分はポリエステル樹脂で形成されることが好ましい。このように、離型剤の相溶部分を、混練物に含まれる結着樹脂を構成する構成単位と同種の構成単位を含む樹脂で形成することによって、離型剤の相溶部分と結着樹脂との相溶性を向上させることができるので、混練物が混合された分散媒を加熱するときの混練物からの離型剤の脱離をより確実に防止することができる。
型剤は、たとえば、反応性官能基を有する反応性樹脂に、反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有する離型性化合物を反応させることによって製造することができる。反応性樹脂と離型性化合物とは、たとえばエステル結合、ウレア結合またはウレタン結合を介して結合させることができる。
離型性化合物としては、ワックスなどを用いることができる。離型性化合物として使用されるワックスとしては、トナーの離型剤として使用される公知のワックスを挙げることができ、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、アルコールワックスおよびエステルワックスなどの合成ワックス、ならびにモンタンワックスなどの石炭系ワックス、パラフィンワックスなどの石油系ワックス、およびカルナバワックス、ライスワックスなどの植物性ワックスなどの天然ワックスなどが挙げられる。カルナバワックスは、エステル基を有する天然ワックスである。
これらのワックスの中でも、エステルワックスが好ましい。ここで、エステルワックスとは、脂肪酸とアルコールとのエステル化合物である。
エステルワックスは、脂肪酸とアルコールとを縮重合反応させることによって合成することができる。たとえば、後述するポリエステル樹脂を合成する場合と同様に、有機溶媒中または無溶媒下で、触媒の存在下に脂肪酸とアルコールとを重縮合反応、具体的には脱水縮合反応させることによってエステルワックスを合成することができる。この重縮合反応は、生成するエステルワックスの酸価および水酸基価、ならびに融点が所定の値となったところで終了させればよい。この重縮合反応において、エステルワックスの原料である脂肪酸およびアルコールの種類および配合比、ならびに反応率を適宜選択することによって、得られるエステルワックスの分子鎖末端などに結合するカルボキシル基および水酸基の量、すなわち得られるエステルワックスの酸価および水酸基価を調整することができる。また融点および溶融粘度などの他の物性値を調整することもできる。
このようにエステルワックスの場合、エステルワックスの原料である脂肪酸およびアルコールの種類および配合比、ならびに反応率などを適宜選択することによって、反応性官能基の種類および量、ならびに得られるエステルワックスの融点および溶融粘度などの物性値を容易に調整することができる。したがって、離型性化合物としては、エステルワックスが特に好ましい。
エステルワックスの中でも、直鎖飽和モノカルボン酸と直鎖飽和一価アルコールまたは多価アルコールとのエステルが好ましく、炭素数14以上30以下の直鎖飽和モノカルボン酸と、炭素数14以上30以下の直鎖飽和一価アルコールまたは炭素数2以上30以下の多価アルコールとのエステルがさらに好ましい。
直鎖飽和モノカルボン酸としては、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキン酸(エイコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、リグノセリン酸(テトラコサン酸)、セロチン酸(ヘキサコサン酸)、モンタン酸(オクタコサン酸)、メリシン酸(トリアコンタン酸)などが挙げられる。
直鎖飽和一価アルコールとしては、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノールなどが挙げられる。
多価アルコールとしては、価数2以上6以下の多価アルコールなどが挙げられる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−へキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、1,30−トリアコンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別称ビスフェノールA)、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。3価アルコールとしては、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの炭素数2以上30以下の3価アルコールなどが挙げられる。4価アルコールとしては、1,2,3,6−へキサンテトラオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。5価アルコールとしては、グルコースなどが挙げられる。6価アルコールとしては、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
エステルワックスは、たとえば、前述のアルコールに対して脂肪酸を過剰に用いてエステル化反応を行なった後、得られたエステル化粗生成物中の過剰の脂肪酸を、アルカリ水溶液を用いた脱酸で除去することによって製造することができる。また、このようなエステルワックスは市販されており、市販品としては、たとえば、日本油脂株式会社製のWEP−5、WEP−8(以上、商品名)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。またエステルワックスとしては、ポリエステル樹脂として市販されているエステル樹脂を用いてもよい。エステルワックスとして用いることのできるポリエステル樹脂としては、ワックス状の性質を有するポリエステル樹脂が挙げられ、より詳細には、数平均分子量が500以上、5000以下であるポリエステル樹脂が挙げられる。ここで、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィ(略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値のことである。
エステルワックスなどの離型性化合物は、反応性官能基を有する場合はそのまま、反応性官能基を有しない場合は反応性官能基を導入されて、反応性樹脂との反応に供される(以後、特に断らない限り、反応性官能基が導入された離型性化合物を含めて「離型性化合物」と称する)。またエステルワックスなどのように元々反応性官能基を有する離型性化合物は、元々有する反応性官能基とは異なる反応性官能基を導入されて用いられてもよい。離型性化合物に合成段階でまたは合成後に導入される反応性官能基としては、たとえば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ウレア基などが挙げられる。
エステルワックスなどの元々反応性官能基を有する離型性化合物の場合、反応性官能基は、たとえば、その官能基を有するモノマーを重合時に反応させることによって導入することができる。またオレフィンワックス、パラフィンワックスなどの反応性官能基を有しない離型性化合物の場合、たとえば酸化処理によって水酸基(OH基)などの反応性官能基を導入することができる。たとえばオレフィンワックスの場合、オレフィンワックスを熱分解し、その熱分解時の酸化条件を調整することによって水酸基などを導入することができる。
離型性化合物の有する反応性官能基の量は、たとえば酸価または水酸基価によって計ることができる。反応性官能基としてカルボキシル基を有する離型性化合物の酸価は、30mgKOH/g以上、70mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が30mgKOH/g以上である場合に比べて、反応性官能基であるカルボキシル基の量が少なくなり、反応性樹脂との反応が進行しにくくなるおそれがある。酸価が70mgKOH/gを超えると、酸価が70mgKOH/g以下である場合に比べて、反応性官能基であるカルボキシル基の量が多くなりすぎ、反応性樹脂との反応率を制御することが困難になるおそれがある。酸価が30mgKOH/g以上、70mgKOH/g以下である離型性化合物を用いることによって、反応性樹脂との反応をより確実に進行させることができる。また反応性樹脂との反応率を容易に制御することができるので、離型剤の物性値を容易に調整することができる。
反応性官能基として水酸基を有する離型性化合物の水酸基価は、30mgKOH/g以上、70mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が30mgKOH/g未満であると、水酸基価が30mgKOH/g以上である場合に比べて、反応性官能基である水酸基の量が少なくなり、反応性樹脂との反応が進行しにくくなるおそれがある。水酸基価が70mgKOH/gを超えると、水酸基価が70mgKOH/g以下である場合に比べて、反応性官能基である水酸基の量が多くなりすぎ、反応性樹脂との反応率を制御することが困難になるおそれがある。水酸基価が30mgKOH/g以上、70mgKOH/g以下である離型性化合物を用いることによって、反応性樹脂との反応をより確実に進行させることができる。また反応性樹脂との反応率を容易に制御することができるので、離型剤の物性値をより容易に調整することができる。
ここで、離型性化合物の酸価とは、離型性化合物1gに含まれる酸性基を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいい、中和滴定法によって求められる。また離型性化合物の水酸基価とは、離型性化合物1gから得られるアセチル化物を加水分解して得られる遊離酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいい、逆滴定法によって求められる。
反応性官能基を有する反応性樹脂としては、トナーの結着樹脂として使用される樹脂またはこれらの樹脂をプレポリマーとして、そのプレポリマーに反応性官能基を導入したものを用いることができる。反応性樹脂が有する反応性官能基としては、たとえば、アルコキシカルボニル基(−COOR(Rはアルキル基を示す))、カルボキシル基、アミノ基、アルコール性水酸基、イソシアネート基(−N−C=O)、エポキシ基などが挙げられる。反応性樹脂または反応性樹脂のプレポリマーとして用いられる樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、特に制限されず公知のものを使用でき、たとえば、多塩基酸類と多価アルコール類との縮重合物が挙げられる。ここで、多塩基酸類とは、多塩基酸およびその誘導体、たとえば多塩基酸の酸無水物またはエステル化物などのことである。また、多価アルコール類とは、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物のことであり、アルコール類およびフェノール類のいずれをも含む。
多塩基酸類としては、ポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類などが挙げられる。多塩基酸類は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
多価アルコール類としてもポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。ビスフェノールAのエチレンオキサイド(Ethylene Oxide;略称EO)付加物としては、たとえば、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(Propylene Oxide;略称PO)付加物としては、たとえば、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。多価アルコール類は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
ポリエステル樹脂は、通常の縮重合反応によって合成することができる。たとえば、有機溶媒中または無溶媒下で、触媒の存在下に多塩基酸類と多価アルコール類とを重縮合反応、具体的には脱水縮合反応させることによって合成することができる。この重縮合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価、水酸基価および軟化温度が所定の値となったところで終了させればよい。この重縮合反応において、多塩基酸類と多価アルコール類との配合比、反応率、ならびに使用する多塩基酸類および多価アルコール類の種類などを適宜変更することによって、得られるポリエステル樹脂の末端または側鎖に結合するカルボキシル基および水酸基の含有量、すなわち得られるポリエステル樹脂の酸価および水酸基価を調整することができ、また軟化温度などの他の物性値を調整することもできる。
アクリル樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、アクリル系モノマーの単独重合体またはアクリル系モノマーとビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。その中でも、酸性基を有するアクリル樹脂が好ましい。アクリル系モノマーとしては、アクリル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。これらのアクリル系モノマーは、置換基を有してもよく、置換基を有するアクリル系モノマーとしては、たとえば、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。アクリル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの脂肪族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体などが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
アクリル系樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーの1種もしくは2種以上、またはアクリル系モノマーの1種もしくは2種以上とビニル系モノマーの1種もしくは2種以上とを、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などで重合させることによって製造することができる。酸性基を有するアクリル樹脂は、たとえば、アクリル系モノマー同士またはアクリル系モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル系モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。
スチレンアクリル樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合体が挙げられる。その中でも、酸性基を有するスチレンアクリル樹脂が好ましい。アクリル系モノマーとしては、前述のアクリル樹脂のモノマーとして例示したモノマーなどが挙げられる。アクリル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。スチレン系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体などが挙げられる。スチレン系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
スチレンアクリル系樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーの1種または2種以上と、スチレン系モノマーの1種または2種以上とを、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などで重合させることによって製造することができる。酸性基を有するスチレンアクリル樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル系モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するスチレン系モノマーを併用することによって製造できる。
ポリウレタン樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ポリオールとポリイソシアネートとの付加重合物が挙げられる。その中でも、酸性基または塩基性基を有するポリウレタン樹脂が好ましい。酸性基または塩基性基を有するポリウレタン樹脂は、たとえば、酸性基または塩基性基を有するポリオールと、ポリイソシアネートとを付加重合反応させることによって合成することができる。酸性基または塩基性基を有するポリオールとしては、たとえば、ジメチロールプロピオン酸、N−メチルジエタノールアミンなどのジオール類、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオールなどの3価以上のポリオール類などが挙げられる。ポリオールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
エポキシ樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとから合成されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるフェノールノボラックとエピクロルヒドリンとから合成されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるクレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。その中でも、酸性基または塩基性基を有するエポキシ樹脂が好ましい。酸性基または塩基性基を有するエポキシ樹脂は、たとえば、前述のエポキシ樹脂をベースとし、このベースのエポキシ樹脂にアジピン酸、無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
反応性樹脂の反応性官能基は、たとえば、その反応性官能基を有するモノマーを重合時に反応させることによって導入することができる。また反応性樹脂を製造するためのプレポリマーへの反応性官能基の導入は、たとえば、プレポリマーを多価カルボン酸類、多価アルコール類、多価アミン類などと共に解重合させた後、縮重合させる方法、または縮重合と解重合とを同時に行なう方法などによって行なうことができる。反応性樹脂を合成するときの縮重合および解重合反応は、たとえば乳化重合法によって行なうことができる。
型剤は、たとえば、水酸基を有する反応性樹脂と、カルボキシル基を有する離型性化合物との脱水縮合反応によって合成することができる。これによって、反応性樹脂と離型性化合物とがエステル結合を介して結合された離型剤を得ることができる。またアルコキシカルボニル基を有する反応性樹脂と、カルボキシル基を有する離型性化合物とのエステル交換反応によっても、反応性樹脂と離型性化合物とがエステル結合を介して結合された離型剤を得ることができる。
また、アミノ基を有する反応性樹脂と、アルコール性水酸基を有する離型性化合物とを反応させることによって、反応性樹脂と離型性化合物とがウレア結合を介して結合された離型剤を合成することができる。
また、イソシアネート基を有する反応性樹脂と、アルコール性水酸基またはフェノール性水酸基を有する離型性化合物とを反応させることによって、反応性樹脂と離型性化合物とがウレタン結合を介して結合された離型剤を合成することができる。
反応性樹脂と離型性化合物との反応に際し、反応性樹脂として、主鎖に反応性官能基が含まれる樹脂または側鎖としてもしくは側鎖に反応性官能基を有する樹脂を用いることによって、主鎖と側鎖とを有し、主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性を有する離型性部分を含む分岐状樹脂から成る離型剤を得ることができる。反応性を考慮すると、反応性樹脂としては側鎖に反応性官能基を有する樹脂を用いることが好ましい。
反応性樹脂と離型性化合物との反応において、反応性樹脂の反応性官能基の反応率を調整することによって、反応性樹脂への離型性化合物の導入率を調整することができる。たとえば側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と離型性化合物とを反応させる場合に、側鎖の反応性官能基の反応率である側鎖反応率を調整することによって、反応性樹脂への離型剤化合物の導入率を調整し、側鎖に結合している離型性化合物の割合を調整することができる。反応性官能基の反応率は、たとえば反応性樹脂および離型性化合物の配合処方および処理条件(反応条件)などによって調整することができる。たとえば、反応性樹脂の有する反応性官能基の合計モル数よりも離型性化合物の有する反応性官能基の合計モル数が過剰になるように反応性樹脂と離型性化合物とを配合して離型剤を合成した後、余剰の離型性化合物の反応性官能基を不活性化し、不活性化された離型性化合物を除去する。これによって、反応性官能基の反応率を90%以上とし、反応性樹脂への離型性化合物の導入率を90%以上とすることができる。また反応性樹脂として側鎖に反応性官能基を有する樹脂を用いる場合に、前述のようにして反応性官能基の反応率である側鎖反応率が90%以上になるように反応性樹脂と離型性化合物とを反応させることによって、反応性樹脂の側鎖への離型性化合物の導入率を90%以上とし、主鎖に相溶部分を有し、側鎖に離型性部分として離型性化合物が結合した分岐状樹脂から成る離型剤をより確実に得ることができる。
分岐状樹脂から成る離型剤の離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量は、原料として用いられる反応性官能基を有する離型性化合物の分子量などによって調整することができる。また、主鎖の重量平均分子量は、側鎖を導入する前の主鎖となる樹脂の重量平均分子量、すなわち離型剤の原料として用いられる反応性樹脂の重量平均分子量のことである。
反応性樹脂は、トナーの結着樹脂に応じて適宜選択することができるけれども、反応性官能基の導入の容易性、反応性官能基を有するワックスとの反応性などを考慮すると、前述の反応性樹脂の中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。反応性樹脂としてポリエステル樹脂を用いることによって、相溶部分がポリエステル樹脂で形成される離型剤を得ることができる。
相溶部分がポリエステル樹脂で形成される離型剤は、ポリエステル樹脂との相溶性に優れ、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いるトナーに好適に用いることができる。相溶部分がポリエステル樹脂で形成される離型剤を、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーに用いることによって、混練物が混合された分散媒を加熱するときの混練物からの離型剤の脱離を一層確実に防止することができる。
ポリエステル樹脂との相溶性をさらに向上させるためには、離型剤の離型性部分は、エステル結合を有するエステル化合物で形成されることが好ましい。これによって、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いるトナーにさらに好適な離型剤を得ることができる。相溶部分がポリエステル樹脂で形成され、離型性部分がエステル化合物で形成される場合、離型剤は、たとえば、ポリエステル樹脂に、離型性を有するエステル化合物を反応させることによって製造することができる。このようなエステル化合物としては、前述のエステルワックスを用いることができる。
以上に述べた離型剤は、本発明の実施の一態様であるトナーの製造方法に好適に用いられる。図1は、本発明の実施の一態様であるトナーの製造方法の手順を示すフローチャートである。本実施態様によるトナーの製造方法は、少なくとも溶融混練工程と造粒工程と分離工程とを含む。本実施態様では、さらに、水性媒体調製工程と冷却工程と洗浄工程と乾燥工程とが含まれる。すなわち、本実施態様によるトナーの製造方法は、溶融混練工程(ステップs1)と、水性媒体調製工程(ステップs2)と、造粒工程(ステップs3)と、冷却工程(ステップs4)と、分離工程(ステップs5)と、洗浄工程(ステップs6)と、乾燥工程(ステップs8)とを含む。本実施態様によるトナーの製造は、ステップs0で開始され、ステップs1またはステップs2に移行する。ステップs1の溶融混練工程およびステップs2の水性媒体調製工程は、いずれが先に行なわれてもよい。また、ステップs6の洗浄工程は、ステップs4の冷却工程の後であってステップs5の分離工程の前に行なわれてもよい。
[溶融混練工程]
ステップs1の溶融混練工程では、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー組成物を溶融混練し、混練物を得る。トナー組成物は、帯電制御剤などの、離型剤以外の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤は、結着樹脂および着色剤とともに混練されて、混練物中に分散される。
(a)結着樹脂
結着樹脂としては、加熱によって溶融可能な樹脂であれば特に制限されず用いることができる。
結着樹脂の軟化温度は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上150℃以下である。結着樹脂の軟化温度が150℃を超えると、着色剤、離型剤および添加剤などとの混練が困難になり、着色剤および添加剤などの分散性が低下する恐れがある。また、得られるトナーの転写材への定着性が低下し、定着不良が発生する恐れがある。結着樹脂の軟化温度が60℃未満であると、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が常温に近いものになりやすく、トナーが画像形成装置の内部で熱凝集を起こし、印刷不良、装置の故障などを誘発する可能性がある。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、得られるトナーの定着性および保存安定性などを考慮すると、30℃以上80℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が30℃未満であると、保存安定性が不充分になり、画像形成装置内部でのトナーの熱凝集が起こりやすくなり、印刷不良が発生する恐れがある。また、高温オフセット開始温度が低下する可能性もある。結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃を超えると、定着性が低下し、定着不良が発生する恐れがある。
結着樹脂の分子量は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、重量平均分子量で5000以上500000以下であることが好ましい。結着樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、その機械的強度がトナー用の結着樹脂に必要な機械的強度よりも低くなり、得られるトナー粒子が現像装置内部での撹拌などによって粉砕され、その形状が変化し、帯電性能にばらつきが生じる恐れがある。結着樹脂の重量平均分子量が500000を超えると、着色剤および添加剤などとの混練が困難になり、着色剤および添加剤の分散性が低下する恐れがある。また、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃を超えやすく、定着性が低下し、定着不良が発生する恐れがある。ここで、結着樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
結着樹脂の具体例としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。また同一種の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれか1つまたは複数が異なる樹脂を複数種併用することができる。
前述の樹脂の中でも、得られるトナー粒子の粉体流動性、低温定着性などを考慮すると、ポリエステル樹脂が好ましい。また、ポリエステル樹脂は、透光性にも優れ、二次色再現性に優れるカラートナーを実現することができるので、カラートナー用の結着樹脂として好適である。
(b)着色剤
結着樹脂と混合される着色剤としては、トナー用着色剤として用いられる公知の染料、有機系顔料、無機系顔料などをいずれも使用できる。着色剤の具体例としては、以下の各色の着色剤が挙げられる。なお以下において、C.I.とは、カラーインデックス(
Color Index)のことである。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド184などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
これらの着色剤は、1種が単独で使用されてもよく、また色の異なる2種以上が併用されてもよい。また、同色系の複数の着色剤を併用することもできる。結着樹脂に対する着色剤の使用割合は特に制限されず、結着樹脂および着色剤の種類、得ようとするトナー粒子に要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、結着樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5重量部以上15重量部以下である。着色剤の使用割合が0.1重量部未満であると、充分な着色力が得られず、所望の画像濃度を有する画像を形成するのに要するトナー量が増加し、トナーの消費量が増大する可能性がある。着色剤の使用割合が20重量部を超えると、混練物中における着色剤の分散性が低下し、均一なトナーが得られない可能性がある。
(c)離型剤
離型剤としては、前述の離型剤が用いられる。離型剤は、結着樹脂として使用される樹脂の種類および軟化温度などに応じて適宜選択されて使用される。たとえば、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、相溶部分がポリエステル樹脂で形成される離型剤を用いることが好ましい。
型剤の使用量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、結着樹脂100重量部に対して、1重量部以上、40重量部以下の重量比であることが好ましい。離型剤の使用量が結着樹脂100重量部に対して1重量部未満であると、低温オフセット開始温度を低下させる効果および高温オフセット開始温度を高める効果が充分に発揮されない恐れがある。離型剤の使用量が結着樹脂100重量部に対して40重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、離型剤の離型性部分の分散粒径を所望の値に調整することが困難になる可能性がある。また、離型剤がトナー表面に露出しやすくなり、感光体へのフィルミングが発生しやすくなる恐れがある。
また、離型剤としては、離型剤とともに、離型剤以外の離型剤を併用してもよい。その中でも離型剤よりも重量平均分子量の小さい離型剤(以後、「低分子量離型剤」と称する)を併用することが好ましい。離型剤とともに低分子量離型剤を用いることによって、熱ローラ定着法でトナーを定着させるときに、低分子量離型剤を定着ローラに移行させることができるので、高温オフセット開始温度をより確実に高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。低分子量離型剤は、結着樹脂と相溶可能な相溶部分を有しないので、後述する造粒工程において、混練物が混合された分散媒を加熱するときに混練物から脱離する恐れがある。しかしながら、本実施態様では、混練物には離型剤が含まれるので、低分子量離型剤と離型剤の離型性部分とを相溶させ、造粒工程における混練物からの低分子量離型剤の脱離を防止することができる。
型剤とともに使用される低分子量離型剤としては、トナーの離型剤として一般に使用される離型剤を使用することができ、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、パラフィンワックスなどの石油系ワックス、アルコールワックス、エステルワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は、離型剤の原料としても使用される離型性化合物である。低分子量離型剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、3重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、8重量部以上、20重量部以下であることがさらに好ましい。低分子量離型剤の使用量が、結着樹脂100重量部に対して3重量部未満であると、耐高温オフセット性の向上効果が充分に発揮されない恐れがある。また、低分子量離型剤の使用量が、結着樹脂100重量部に対して20重量部を超えると、造粒工程において低分子量離型剤の混練物からの脱離が生じ、離型剤を用いることによる効果が充分に発揮されない恐れがある。
(d)その他の添加剤
離型剤以外の添加剤としては、帯電制御剤などの一般的なトナー用添加剤を用いることができる。帯電制御剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カリックスアレン類、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、有機金属錯体、キレート化合物、サリチル酸亜鉛などのサリチル酸の金属塩、スルホン酸基、アミノ基などのイオン性基を有するモノマーを単独重合または共重合させた高分子化合物などが挙げられる。帯電制御剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。帯電制御剤の配合量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上5重量部以下である。
混練物は、たとえば、前述の結着樹脂、着色剤および離型剤の適量、ならびに前述の帯電制御剤などの各種添加剤を添加する場合にはその添加剤の適量を、混合機で乾式混合した後、結着樹脂の軟化温度以上、熱分解温度未満の温度、具体的には80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度に加熱して溶融混練することによって得ることができる。なお結着樹脂、着色剤および離型剤などのトナー組成物は、乾式混合することなく、そのまま溶融混練されてもよい。しかしながら、本実施態様のように乾式混合した後に溶融混練を行なう方が、結着樹脂への着色剤などの各成分の分散性を向上させ、得られるトナーの帯電性能などの特性を一層均一にすることができるので好ましい。
乾式混合に用いられる混合機としては、公知の混合機を使用することができ、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。溶融混練には、ニーダー、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を用いることができ、このような混練機としては、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーディックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機などが挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行なっても構わない。
[水性媒体調製工程]
本実施態様では、造粒工程において混練物を分散させる分散媒として、分散剤および水を含む水性媒体が用いられる。ステップs2の水性媒体調製工程では、この分散剤および水を含有する水性媒体(以後、「分散剤含有水性媒体」と称する)を調製する。分散剤含有水性媒体中において、分散剤は、水に溶解した状態であってもよく、分散された状態であってもよいけれども、後述するステップs3の造粒工程における混練物の造粒を効率的に行なうためには、水に溶解した状態であることが好ましい。すなわち、分散剤としては、水に溶解する物質を用いることが好ましい。水に溶解しない物質を分散剤として用いた場合、混練物と分散剤含有水性媒体との混合物中に分散剤が固体として存在するので、造粒工程において分散剤が沸騰石と同様に働き、分散剤表面に微小な気泡が発生し、この気泡が活性点になって発泡が起こり、撹拌装置による撹拌、ひいては混練物の解砕が阻害され、造粒できなくなる恐れがある。分散剤として水に溶解する物質を用いることによって、造粒工程において分散剤から気泡が発生することを防ぐことができるので、混練物の造粒を効率的に行なうことができる。また、水に溶解する物質は、後述するステップs6の洗浄工程において容易に除去することができるので、得られたトナーへの分散剤の残留を防ぐことができるという利点も有する。
水に溶解可能な分散剤としては、たとえば、水溶性高分子化合物、界面活性剤などが挙げられる。水溶性高分子化合物としては、たとえば、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体などのスチレン−ビニルカルボン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシセルロースなどが挙げられる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤のいずれを用いてもよく、具体例としては、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。分散剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
前述の水に溶解可能な分散剤の中でも、水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、その中でもスチレン−ビニルカルボン酸系共重合体が好適に用いられる。界面活性剤を用いる場合、ステップs3の造粒工程において混合物の泡立ちが生じ、混練物の造粒が阻害される恐れがある。分散剤として水溶性高分子化合物を用いることによって、界面活性剤を用いた場合のような泡立ちを防ぎ、ステップs3の造粒工程における混練物の造粒をより効率的に行なうことができる。
水溶性高分子化合物は、重量平均分子量が5000以上50000以下であることが好ましく、5000以上20000以下であることがさらに好ましい。水溶性高分子化合物の重量平均分子量が5000未満であると、水溶性高分子化合物中に未反応のモノマーが残存する場合があり、分散剤として充分に機能しない恐れがある。水溶性高分子化合物の重量平均分子量が50000を超えると、水溶性が悪くなり、混練物の造粒が阻害される恐れがある。ここで、水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
分散剤含有水性媒体中における分散剤の含有量、すなわち分散剤の濃度は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択することができるけれども、混練物と分散剤含有水性媒体との混合の際の操作性、造粒された混練物粒子の分散安定性などを考慮すると、室温(25℃程度)の分散剤含有水性媒体中において、分散剤含有水性媒体全量の5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。分散剤の濃度が5重量%未満であると、後述するステップs3の造粒工程において混練物に対する分散剤の好適な使用割合を実現するために多量の分散剤含有水性媒体が必要になるので、混練物と分散剤含有水性媒体との混合操作が繁雑になる。分散剤の濃度が40重量%を超えると、分散剤含有水性媒体の粘度が高くなり、気泡が発生しやすくなるので、生成された混練物粒子を混合物中に安定に分散させることが困難になる。
分散剤含有水性媒体は、たとえば、前述の分散剤の適量を、水に溶解または分散させることによって調製することができる。水としては、導電率が20μS/cm以下である水を用いることが好ましい。導電率が前記範囲内にある水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製することができる。また、これらの方法のうち、2種以上を組合せて導電率が前記範囲内にある水を調製してもよい。また、市販の純水製造装置、たとえば野村マイクロ・サイエンス株式会社製のミニピュアTW−300RU(商品名)などを用いて調製することもできる。
[造粒工程]
ステップs3の造粒工程では、ステップs1の溶融混練によって得た混練物と、ステップs2で調製した分散剤含有水性媒体とを混合した後、得られた混合物を加熱するとともに撹拌することによって、混練物を造粒し、混合物中にトナー粒子である混練物粒子を生成させる。
このときの加熱温度は、特に制限されず、混練物に含まれる結着樹脂の種類およびその特性(たとえば重量平均分子量および軟化温度など)、最終的に得ようとするトナー粒子の粒子径などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、混練物に含まれる結着樹脂の軟化温度以上、結着樹脂の熱分解温度以下の温度であることが好ましい。圧力も特に制限されず、混練物に含まれる結着樹脂の種類などに応じて、混合操作を容易に実施でき、所望の粒子径および形状を有するトナー粒子が得られる圧力を適宜選択すればよい。ただし、加熱温度を100℃以上にする場合には、分散剤含有水性媒体の沸騰を防ぐために、加圧状態で、すなわち1気圧を超える圧力下で、混合操作を行なうことが好ましい。
本実施態様では、離型剤として、離型性を有する離型性部分が、結着樹脂と相溶可能な相溶部分と化学的に結合している離型剤が用いられる。よって、分散媒である水性媒体が加熱されるときに、たとえば離型剤の離型性部分の融点または軟化温度以上に加熱される場合であっても、離型剤が混練物から脱離することを防ぐことができる。また、前述の低分子量離型剤などの離型剤以外の離型剤を用いる場合であっても、離型剤とともに用いることによって、低分子量離型剤などの離型剤の混練物からの脱離を抑えることができる。したがって、遊離した離型剤が混練物粒子に付着することを防ぐことができる。
また、このように離型剤および低分子量離型剤などの離型剤の混練物からの脱離を防止できることによって、離型剤の混練物からの脱離を生じさせることなく、分散媒である水性媒体の加熱温度を高めることができるので、混練物の造粒をより容易に行なうことができる。
混練物と分散剤含有水性媒体との混合物の撹拌速度は、特に制限されず、混練物に含まれる結着樹脂、着色剤、離型剤およびその他の各種添加剤の種類などに応じて、撹拌操作を容易に実施でき、所望の粒子径、粒度分布および形状を有する混練物粒子が得られる値を適宜選択すればよい。また、混練物と分散剤含有水性媒体との混合物の撹拌時間は、特に制限されず、混練物中の結着樹脂の種類および使用量、分散剤含有水性媒体中の分散剤の種類および濃度、加熱温度などの各種条件に応じて、広い範囲から適宜選択することができ、たとえば10〜20分間程度である。
混練物としては、結着樹脂、着色剤、離型剤などを溶融混練したものをそのまま用いてもよいし、溶融混練後に冷却して得た固化物をそのまま、または再度加熱して溶融状態に戻したものを用いてもよい。
混練物と分散剤含有水性媒体との混合割合は特に制限されず、混練物中の結着樹脂の含有量、分散剤含有水性媒体中の分散剤の種類および含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、混合操作、それに続く混練物粒子の洗浄操作、トナー粒子の単離操作などを効率良く実施するという観点からは、混練物100重量部に対して分散剤含有水性媒体100〜500重量部を用いることが好ましい。
混練物と分散剤含有水性媒体との混合は、より具体的には、たとえば、乳化機、分散機などを用いて行われる。乳化機および分散機としては、混練物と分散剤含有水性媒体とをバッチ式または連続式で受け入れることができ、かつ加熱手段または加熱手段および加圧手段を有し、混練物と分散剤含有水性媒体とを加熱下または加熱加圧下に混合し、混練物粒子を生成させ、該混練物粒子をバッチ式または連続式で排出することのできる装置が好ましい。また乳化機および分散機は、撹拌手段を有し、混練物と分散剤含有水性媒体とを撹拌下に混合できるものであることが好ましい。また乳化機および分散機は、混練物と分散剤含有水性媒体とを混合するための混合容器が温度調整手段を有するものであることが好ましい。該混合容器は、好ましくは耐圧性を有し、さらに好ましくは耐圧性を有しかつ圧力調整弁などを備える。このような混合容器を用いれば、容器内の混合物の温度はほぼ一定に保持され、圧力も結着樹脂の溶融温度と分散剤含有水性媒体の蒸気圧との兼ね合いで一定圧力に制御される。なお、混練物と分散剤含有水性媒体との混合を100℃以上の加熱温度で行なう場合には、加圧状態での使用になるので、乳化機および分散機にはメカニカルシールが備えられ、混合容器は密閉可能なものであることが望ましい。
このような乳化機および分散機は市販されている。その具体例としては、たとえば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン株式会社製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ(KINEMATICA)社製)、T.K.オートホモミクサー(商品名、特殊機化工業株式会社製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、株式会社荏原製作所製)、T.K.パイプラインホモミクサー、T.K.ホモミックラインフロー、T.K.フィルミックス(以上いずれも商品名、特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(以上いずれも商品名、三井三池化工機株式会社製)、キャビトロン(商品名、株式会社ユーロテック製)、ファインフローミル(太平洋機工株式会社製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック株式会社製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業株式会社製)などが挙げられる。
以上のようにして混練物と分散剤含有水性媒体との混合物を加熱するとともに撹拌することによって、混練物と分散剤含有水性媒体との混合物中に、少なくとも着色剤および離型剤を含有する混練物粒子(以下、トナー原体とも称する)が生成する。
[冷却工程]
ステップs4の冷却工程では、造粒された混練物粒子を含有する混合物(以後、水性スラリーとも称する)を冷却する。水性スラリーの冷却は、ステップs3の造粒工程において混練物粒子を生成させた後に、加熱を停止して、冷媒を用いて強制的に冷却する強制冷却またはそのまま放冷する自然冷却によって行なわれることが好ましい。
造粒工程では、混練物と分散剤含有水性媒体との混合物を加熱して、混練物を溶融状態にすることによって造粒するので、生成された直後の混練物粒子は、溶融状態にあり、粘着性を有する。この状態では、混練物粒子同士が付着し合って粗大化しやすいけれども、本実施態様では、前記混合物中には、混練物粒子とともに分散剤が含まれているので、混練物粒子は分散剤によって安定化されており、混合物中に均一に分散されている。よって、冷却工程では、混練物粒子の粗大化は発生せず、混練物粒子は、混合物中に均一に分散された状態で、形状および大きさを保持したまま冷却させることができる。したがって、体積平均粒子径がたとえば3〜8μm程度と小さく、かつ粒度分布が狭く、均一な形状および大きさを有するトナー粒子を得ることができる。
混合物(水性スラリー)の冷却は、撹拌下に行なうことが好ましい。混合物を撹拌せずに冷却すると、混合物の温度が混練物粒子に含まれる結着樹脂の軟化温度以上の温度であるときに、分散剤による分散安定効果が充分に発揮されず、混練物粒子同士が互いに融着する恐れがある。よって、冷却工程においても、混合物(水性スラリー)の撹拌を継続することが好ましい。
また、混合物の加熱温度を100℃以上として加圧下で混練物の造粒を行なった場合には、冷却工程においても加圧を継続することが好ましい。混合物の温度が100℃以上であるときに、加圧を停止して混合容器内の圧力を大気圧に戻すと、水性スラリーが沸騰し、気泡が多数発生するので、その後の処理が困難になる。混合容器内の圧力は、混合容器内の混合物の温度が50℃以下になったときに大気圧に戻すことが好ましく、混合容器内の混合物が室温(25℃程度)まで冷却された後に大気圧に戻すことがさらに好ましい。
[分離工程]
ステップs5の分離工程では、冷却後の混合物中から、混練物粒子を分離し、回収する。混合物中からの混練物粒子の分離は公知の方法に従って実施でき、たとえば、濾過、吸引濾過、遠心分離などによって行なうことができる。
[洗浄工程]
ステップs6の洗浄工程では、混合物中から分離された混練物粒子の洗浄を行なう。混練物粒子の洗浄は、分散剤および分散剤などに由来する不純物類を除去するために実施される。分散剤および前記不純物類がトナー粒子に残留すると、得られるトナー粒子の帯電性能が不安定になり、また空気中の水分の影響によって帯電性が低下する恐れもある。
混練物粒子の洗浄は、たとえば水洗などによって行なうことができる。水洗に用いる水は、導電率20μS/cm以下の水であることが好ましい。このような水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製することができる。また、これらの方法のうち、2種以上を組合せて水を調製してもよい。混練物粒子の水洗は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。また洗浄水の温度は特に制限されないけれども、10〜80℃の範囲が好ましい。
混練物粒子の水洗は、導電率計などを用い、混練物粒子を洗浄した後の洗浄水の導電率が100μS/cm以下、好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行なうことが好ましい。これによって、分散剤および不純物類の残留をより確実に防ぎ、トナー粒子の帯電量をさらに均一にすることができる。本実施形態では、ステップs7において、混練物粒子を洗浄した後の洗浄水の導電率を測定し、洗浄水の導電率が所定の値以下、具体的には100μS/cm以下である場合には、ステップs8の乾燥工程に進み、洗浄水の導電率が前記所定値を超える場合には、ステップs5の分離工程に戻り、分離工程および洗浄工程を繰返し行なう。
なお、ステップs6の洗浄工程は、ステップs5の分離工程の前に行なわれてもよい。この場合には、たとえば、冷却後の混合物中に含まれる混練物粒子を水洗することによって混練物粒子の洗浄を行なうことができる。混練物粒子の水洗は、導電率計などを用い、混合物から遠心分離などによって分離される上澄み液の導電率が100μS/cm以下、好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行なうことが好ましい。これによって、分散剤および不純物類の残留をより確実に防ぎ、トナー粒子の帯電量をさらに均一にすることができる。
[乾燥工程]
ステップs8の乾燥工程では、洗浄後の混練物粒子を乾燥させる。トナー粒子である混練物粒子の乾燥は、凍結乾燥法、気流式乾燥法などの公知の方法に従って実施できる。
このようにして得られるトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができる。また、このトナー粒子に表面改質剤などの外添剤を外添して、トナー粒子の表面改質を行なうこともできる。表面改質剤としては、シリカ、酸化チタンなどの金属酸化物粒子などが挙げられる。また、これらの表面改質剤に、たとえばシランカップリング剤などによって疎水化などの表面改質処理を施したものを用いることもできる。トナー粒子に対する外添剤の使用割合は特に制限されないけれども、トナー粒子100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、1重量部以上5重量部以下であることがさらに好ましい。
以上のようにして、トナー粒子またはトナー粒子と外添剤とを含む組成物からなる本発明のトナーが得られる。このようにして本発明のトナーが作製されると、ステップs8からステップs9に移行し、本実施態様によるトナーの製造が終了する。本実施態様では、前述のように造粒工程における混練物からの離型剤の脱離を防ぐことができるので、設計通りの所望の粘弾性を有するトナーを容易に製造することができる。また、本実施態様では、遊離した離型剤の混練物粒子への付着を防ぐことができるので、離型剤の付着による高温オフセット現象および感光体へのフィルミングの発生を防止することができる。したがって、所望の粘弾性を有し、離型剤を用いない場合に比べて定着可能温度範囲が広く、また感光体へのフィルミングを生じることのないトナーを安定して提供することができる。また、本実施態様では、分散剤の存在下に水性媒体中で混練物を造粒するので、分級を行なわなくても、体積平均粒子径がたとえば3〜8μm程度と小さく、かつ粒度分布の狭いトナーを得ることができる。
本実施態様によるトナーの製造方法によって得られる本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法などによる画像形成における静電荷像の現像、磁気記録法などによる画像形成における磁気潜像の現像などに使用することができる。本発明のトナーは、離型剤として少なくとも離型剤を含有し、遊離した離型剤の混入およびトナー粒子表面への付着がないので、本発明のトナーを用いることによって、低温オフセット現象および高温オフセット現象が発生しない温度範囲である定着可能温度範囲を広げるとともに、感光体へのフィルミングの発生を抑えることができる。また、本発明のトナーは、粒度分布が狭く、帯電性能にばらつきがないので、静電荷像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーとして好適に用いることができる。すなわち、本発明のトナーを用いることによって、トナーの帯電量のばらつきを抑え、画像濃度の低下、白地かぶりなどの発生を抑え、これらの画像欠陥のない高品質の画像を形成することができる。本発明によるトナーは、一成分系現像剤または二成分系現像剤として使用することができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するけれども、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
〔離型性化合物および樹脂の軟化温度〕
以下の製造例、実施例および比較例で使用した離型性化合物および樹脂の軟化温度は以下のようにして測定した。流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gをシリンダに挿入し、ダイから押出されるように荷重10kgf/cmを与えながら、昇温速度毎分6℃(6℃/min)で加熱し、ダイから試料の半分が流出したときの温度を軟化温度として求めた。なお、ダイには、口径1mm、長さ1mmのものを用いた。
〔離型性化合物および樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
以下の製造例、実施例および比較例で使用した離型化合物および樹脂のガラス転移温度(Tg)は以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
〔ワックスの融点〕
以下の製造例で離型性化合物として使用したワックスの融点は、以下のようにして測定した。示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を求めた。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度をワックスの融点として求めた。
〔離型性化合物および樹脂の酸価〕
以下の製造例、実施例および比較例で使用した離型性化合物および樹脂の酸価は、以下のようにして中和滴定法によって測定した。キシレンとジメチルホルムアミドとの混合溶剤(重量比1:1)50mLに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
〔離型性化合物および樹脂の水酸基価〕
以下の製造例、実施例および比較例で使用した離型性化合物および樹脂の水酸基価は、以下のようにして逆滴定法によって測定した。試料2gに、別途調製したアセチル化試薬5mLを加えて溶解させた後、得られた試料溶液を、液温を100℃に保って1時間静置させた。アセチル化試薬は、ピリジン500mL、フタル酸70gおよびイミダゾール10gを混合して調製した。次いで、試料溶液に水1mL、テトラヒドロフラン70mLおよび、フェノールフタレインのエタノール溶液数滴を加え、0.4モル/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化ナトリウム水溶液の量と滴定に供した試料の量とから、水酸基価(mgKOH/g)を算出した。
〔離型性化合物、樹脂および分散剤の重量平均分子量および数平均分子量〕
以下の製造例、実施例および比較例で使用した離型性化合物、樹脂および分散剤、ならびに製造例で作製した離型剤の重量平均分子量および数平均分子量は、以下のようにして測定した。GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液を試料溶液とし、注入量100mLで測定した。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
〔分岐状樹脂から成る離型剤の側鎖の重量平均分子量〕
以下の製造例で作製した分岐状樹脂から成る離型剤(以後、ワックス変性樹脂とも称する)の側鎖の重量平均分子量は、以下のようにして測定した。
まず、ゲルパーミネーションクロマトグラフィ−低角度光散乱(略称GPC−LALLS)測定装置を用い、ワックス変性樹脂の分岐度λを求めた。得られた分岐度λの値、ワックス変性樹脂の原料として用いた反応性樹脂の重量平均分子量M1およびワックス変性樹脂の重量平均分子量M2から、下記式(1)に基づいて、側鎖の重量平均分子量Mgを求めた。
Mg=(M2−M1)/λ …(1)
〔体積平均粒子径および変動係数〕
以下の実施例および比較例で作製した混練物粒子(トナー粒子)の体積平均粒子径(D50)および変動係数(CV)は、粒度分布測定装置(商品名オ:コールターマルチサイザーII、コールター株式会社製)を用いて測定した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。変動係数は、その値が小さいほど、粒度分布が狭いことを意味する。
〔離型剤の離型性部分の分散粒径〕
以下の実施例および比較例で作製した混練物粒子(トナー粒子)中における離型剤の離型性部分の分散粒径は、以下のようにして測定した。
まず、混練物粒子を着色酸化処理して離型性部分であるワックス部分だけを着色し、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;略称TEM)を用いて断面を観察し、得られた断面TEM画像を画像解析装置で解析し、混練物粒子に含まれる離型剤粒子50個についてワックス部分の長軸の長さを測定し、これらの平均値を求め、これをワックス部分の分散粒径とした。
[製造例]
(製造例1)
[ワックス変性ポリエステル樹脂A1の製造]
反応性樹脂として、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびアジピン酸を原料とする重量平均分子量5000、酸価0mgKOH/g、水酸基価55mgKOH/gのポリエステル樹脂100部に、離型性化合物であるワックスとして、末端カルボキシル基タイプポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、商品名:ER−8101(数平均分子量2000、軟化温度83℃、ガラス転移温度(Tg)64℃、酸価62mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g))85部を反応させてワックス変性ポリエステル樹脂A1(酸価0mgKOH/g、水酸基価3mgKOH/g、重量平均分子量9500、側鎖反応率90%以上、側鎖の重量平均分子量4100、Mb/Ma=0.82)を得た。ここで、側鎖反応率は、反応に使用する原材料の投入量に対して、反応結果を基に計算により求められる。
(製造例2)
[ワックス変性ポリエステル樹脂A2の製造]
反応性樹脂として、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびアジピン酸を原料とする重量平均分子量35000、酸価0mgKOH/g、水酸基価59mgKOH/gのポリエステル樹脂100部に、離型性化合物であるワックスとして、末端カルボキシル基タイプポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、商品名:ER−8155(数平均分子量3300、軟化温度87℃、ガラス転移温度(Tg)64℃、酸価37mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g))170部を反応させてワックス変性ポリエステル樹脂A2(酸価5mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量43000、側鎖反応率90%以上、側鎖の重量平均分子量6100、Mb/Ma=0.17)を得た。
(製造例3)
[ワックス変性ポリエステル樹脂A3の製造]
反応性樹脂として、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびアジピン酸を原料とする重量平均分子量35000、酸価0mgKOH/g、水酸基価59mgKOH/gのポリエステル樹脂100部に、離型性化合物であるワックスとして、末端カルボキシル基タイプポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、商品名:ER−8101(数平均分子量2000、軟化温度83℃、ガラス転移温度(Tg)64℃、酸価62mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g))100部を反応させてワックス変性ポリエステル樹脂A3(酸価4mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量36000、側鎖反応率90%以上、側鎖の重量平均分子量2850、Mb/Ma=0.08)を得た。
[実施例]
〔水の調製〕
以下の実施例および比較例において、分散剤含有水性媒体の調製および混練物粒子(トナー粒子)の洗浄に用いた水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス株式会社製)を用いて水道水から調製した。水の導電率は、ラコムテスター EC−PHCON10(商品名、株式会社井内盛栄堂製)を用いて測定した。
(実施例1)
[溶融混練工程]
製造例1で作製したワックス変性ポリエステル樹脂A1の20部と、結着樹脂として、ビスフェノールA(PO付加物)、トリメチロールプロパンおよびイソフタル酸を原料とするポリエステル樹脂(花王株式会社製)80部と、着色剤としてカーボンブラック(商品名:NIPX60、デグザ社製)8部と、帯電制御剤(商品名:TRH、保土谷化学工業株式会社製)2部と、低分子量離型剤としてエステルワックス(商品名:WEP−5、日本油脂社製)5部とを混合機(商品名:ヘンシェルミキサー、三井鉱山株式会社製)にて3分間混合分散した後、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて温度130℃に加熱して溶融混練し、混練物を調製した。
[水性媒体調製工程]
イオン交換水(導電率8μS/cm)に、分散剤としてジョンクリル61/ジョンクリル52混合分散剤(ジョンソンポリマー株式会社製)を固形分濃度が20重量%になるように混合して溶解させ、分散剤含有水性媒体として分散剤水溶液(分散剤濃度20重量%)を調製した。
[造粒工程]
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段を備える金属製の混合容器に、以上のようにして調製した混練物100部と分散剤水溶液(分散剤濃度20重量%)400部とを投入し、混合容器内の混合物を温度150℃に加熱しながら10分間撹拌し、混練物粒子を生成させた。このときのロータステータ式撹拌手段のロータ(外径30mm)の回転速度は、毎分10,000回転(10,000rpm)とした。
[冷却工程]
前述のようにして混練物粒子を生成させた後、加熱を停止し、生成した混練物粒子を含む混合物を撹拌しながら温度20℃になるまで冷却した。冷却工程におけるロータステータ式撹拌手段のロータの回転速度は、毎分10,000回転(10,000rpm)とした。
[分離工程、洗浄工程および乾燥工程]
冷却後、混練物粒子を含む混合物を濾過し、混練物粒子を分取した。次いで、温度20℃のイオン交換水(導電率0.5μS/cm)を用いて、混練物粒子の洗浄を行った。洗浄は、混練物粒子を洗浄した後の洗浄水の導電率が10μS/cm以下になるまで繰返し行なった。洗浄後の混練物粒子を凍結乾燥し、体積平均粒子径(D50)5.0μm、変動係数(CV)26のトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部に、シリカ粒子(商品名:アエロジルR976S、アエロジル社製)0.6部を混合して、本発明のトナーを得た。
(実施例2)
ワックス変性ポリエステル樹脂A1の配合量を10部に変更し、結着樹脂であるポリエステル樹脂の配合量を90部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部にシリカ粒子(商品名:アエロジルR976S、アエロジル社製)0.6部を混合して、本発明のトナーを得た。
(実施例3)
低分子量離型剤であるエステルワックスの配合量を15部に変更する以外は実施例1と同様にして、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部にシリカ粒子(商品名:アエロジルR976S、アエロジル社製)0.6部を混合して、本発明のトナーを得た。
(実施例4)
ワックス変性ポリエステル樹脂A1に代えてワックス変性ポリエステル樹脂A2を用いる以外は実施例1と同様にして、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部にシリカ粒子(商品名:アエロジルR976S、アエロジル社製)0.6部を混合して、本発明のトナーを得た。
(実施例5)
ワックス変性ポリエステル樹脂A1に代えてワックス変性ポリエステル樹脂A3を用いる以外は実施例1と同様にして、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部にシリカ粒子(商品名:アエロジルR976S、アエロジル社製)0.6部を混合して、本発明のトナーを得た。
(比較例1)
ワックス変性ポリエステル樹脂A1を用いない以外は実施例1と同様にして、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部にシリカ粒子(商品名:アエロジルR976S、アエロジル社製)0.6部を混合して、トナーを得た。
<特性評価>
実施例1〜5および比較例1で得られた各トナーについて、以下のようにして耐オフセット性および耐フィルミング性を評価した。
〔耐オフセット性〕
得られたトナーを、非磁性一成分現像方式の現像装置を備える市販の画像形成装置(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ株式会社製)から定着装置を取除いて得た試験用画像形成装置の現像装置に投入し、未定着の状態でのトナー付着量が0.5mg/cmになるように調整して、日本工業規格(JIS)P0138に規定されるA4判の記録用紙の通紙方向先端側に、通紙先端部から5mmの余白を設けて縦20mm、横10mmの長方形状のべた画像を未定着の状態で形成した。外部定着装置を用い、記録用紙の通紙速度を毎秒120mm(120mm/sec)として、形成された未定着トナー画像の定着を行ない、評価用画像を形成した。外部定着機には、前述の画像形成装置(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ株式会社製)に搭載されていたオイルレス方式の定着装置を外部駆動できるように、また加熱ローラの表面温度を任意の値に設定できるように改造したものを用いた。なお、この定着装置の加熱ローラの外径は40mmである。ここで、オイルレス方式の定着装置とは、加熱ローラにシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することなく定着を行なう定着装置のことである。
形成された評価用画像を目視によって観察し、加熱ローラが2回転目以降に接触する部分の記録用紙にトナーが付着しているか否か、すなわちオフセット現象が発生しているか否かを判断した。
この操作を、加熱ローラの表面温度を100℃から210℃まで5℃ずつ順次上昇させて繰返し行ない、オフセット現象が発生しない加熱ローラの表面温度範囲を求め、この幅を、オフセット現象を発生させずにトナーを定着できる温度範囲である定着可能温度範囲の幅(以後、定着温度幅と称する)(℃)とした。耐オフセット性は、定着温度幅が40℃以上である場合を良好(○)と評価し、定着温度幅が40℃未満である場合を不良(×)と評価した。
〔耐フィルミング性〕
得られた二成分現像剤を、市販の画像形成装置(商品名:LIBRE AR−S505、シャープ株式会社製)の現像装置に投入し、未定着の状態でのトナー付着量が0.5mg/cmになるように調整して、べた部および文字部を含むサンプル画像を記録用紙10,000枚に形成する連続実写テストを行なった。連続実写テスト後、画像形成装置から感光体を取出し、感光体表面を光学顕微鏡によって観察し、フィルミングが発生しているか否かを判断した。耐フィルミング性は、フィルミングが発生していない場合を良好(○)と評価し、フィルミングが発生している場合を不良(×)と評価した。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0004313366
表1から、離型剤として離型剤であるワックス変性ポリエステル樹脂を用いた実施例1〜5のトナーは、離型剤を用いていない比較例1のトナーに比べ、耐オフセット性および耐フィルミング性に優れることが判る。これは、実施例1〜5では、離型剤として、結着樹脂であるポリエステル樹脂と相溶可能な樹脂であるポリエステル樹脂に離型性化合物であるワックスが結合したワックス変性ポリエステル樹脂を用いているので、離型剤を用いていない比較例1に比べて、造粒工程における混練物からの離型剤の脱離量を低減できたためであると考えられる。
以上のように、離型剤として、結着樹脂と相溶可能な相溶部分と相溶部分に化学的に結合している離型性部分とを含む離型剤を用いることによって、耐オフセット性および耐フィルミング性に優れるトナーを得ることができた。
本発明の実施の一態様であるトナーの製造方法の手順を示すフローチャートである。

Claims (12)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を溶融混練することによって、混練物を調製する溶融混練工程と、
    得られた混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって、分散媒中に混練物を分散させて混練物粒子を生成させる造粒工程と、
    生成された混練物粒子を分散媒から分離する分離工程とを含み、
    溶融混練工程では、
    ポリエステル樹脂を含む結着樹脂が用いられ、
    結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む離型剤であって
    主鎖と側鎖とを有する分岐状樹脂から成り、
    主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含み、
    離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量、500以上、5000以下であり、
    相溶部分が、ポリエステル樹脂で形成され、
    離型性部分が、エステル結合を有するエステル化合物で形成されている離型剤が用いられることを特徴とするトナーの製造方法
  2. 離型性部分を含む側鎖の分子量が、前記主鎖の分子量より小さいことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法
  3. 相溶部分を含む主鎖の分子量が、前記トナーに含まれる結着樹脂の分子量より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法
  4. 主鎖が相溶部分を含み、側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と、反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有し、かつ離型性を有する離型性化合物とを、反応性樹脂の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させて得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーの製造方法
  5. 主鎖の重量平均分子量は、2500以上、50000以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーの製造方法
  6. 相溶部分は、結着樹脂を構成する構成単位の化学構造と同種の構成単位の化学構造を含む樹脂で形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のトナーの製造方法
  7. 少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む混練物を分散媒に混合し、混練物が混合された分散媒を加熱するとともに撹拌することによって混練物粒子を生成させ、混練物粒子を分散媒から分離することによって得られるトナーであって、
    結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
    結着樹脂と相溶可能な相溶部分と、相溶部分に化学的に結合し、離型性を有する離型性部分とを含む離型剤であって、
    主鎖と側鎖とを有する分岐状樹脂から成り、
    主鎖が相溶部分を含み、側鎖が離型性部分を含み、
    離型性部分を含む側鎖の重量平均分子量が、500以上、5000以下であり、
    相溶部分が、ポリエステル樹脂で形成され、
    離型性部分が、エステル結合を有するエステル化合物で形成されている離型剤を含むことを特徴とするトナー。
  8. 離型性部分を含む側鎖の分子量が、前記主鎖の分子量より小さいことを特徴とする請求項7に記載のトナー。
  9. 相溶部分を含む主鎖の分子量が、前記トナーに含まれる結着樹脂の分子量より小さいことを特徴とする請求項7または8に記載のトナー。
  10. 主鎖が相溶部分を含み、側鎖に反応性官能基を有する反応性樹脂と、反応性樹脂の反応性官能基と反応可能な反応性官能基を有し、かつ離型性を有する離型性化合物とを、反応性樹脂の反応性官能基の反応率が90%以上になるように反応させて得られることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載のトナー。
  11. 主鎖の重量平均分子量は、2500以上、50000以下であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載のトナー。
  12. 相溶部分は、結着樹脂を構成する構成単位の化学構造と同種の構成単位の化学構造を含む樹脂で形成されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載のトナー。
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