JP2008164808A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(イ)水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させる工程、(ロ)前記工程(イ)で得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させる工程、(ハ)式(1)
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を結着樹脂に対して1.0重量%以上添加して凝集を停止させる工程、及び、(ニ)凝集した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる工程を有する、電子写真用トナーの製造方法、及び該方法により得られる電子写真用トナーである。
【選択図】なし
Description
トナー形状が不定形である場合、流動性助剤の添加によっても流動性が不十分となり、機械的せん弾力によるトナー表面の微粒子のトナー凹部への移動により経時的に流動性が低下したり、流動性助剤のトナー内部への埋没が生じることにより、現像性、転写性、クリーニング性が悪化することがある。また、このようなトナーをクリーニングにより回収して再び現像機に戻して使用した場合、更に画質の低下を生じやすい。また、これらの問題を防止するために更に流動性助剤を増加すると、感光体上への黒点の発生や助剤粒子の飛散が生じるという状態に陥ることがある。
一方、乳化凝集法によりトナーを製造する場合、トナー粒子を球形化するためには、一般に構成樹脂のガラス転移点以上の高温で長時間加熱する必要がある。しかしながら、高温、長時間の加熱には粒子内の顔料分散性の悪化や、離型剤のブリードアウトが伴うという問題があった。
トナー粒子の形状を低温で制御する技術としては、水に無限溶解する有機溶媒を添加し、樹脂微粒子のガラス転移温度を実質的に下げることで融着及び融合を効果的に行う手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、結着樹脂の実質的なガラス転移点の低下は、トナーの保存性悪化を招くという問題もある。
また、乳化重合凝集法において、その粒子成長過程でアルキルベンゼンスルホン酸等の界面活性剤を添加することで狭い寸法分布の粒子を得る例が知られている(例えば、特許文献2参照)が、粒子の形状を制御する例は知られていなかった。
更に、特許文献3には、スチレン−アクリル系トナー粒子において、塩析、凝集、融着を特定の界面活性剤の共存下で行う方法が開示されているが、その形状の制御においては十分ではなかった。
(1)(イ)水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させる工程、
(ロ)前記工程(イ)で得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させる工程、
(ハ)式(1)
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を結着樹脂に対して1.0重量%以上添加して凝集を停止させる工程、及び、
(ニ)凝集した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる工程、
を有する、電子写真用トナーの製造方法、及び
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られる電子写真用トナー、
を提供する。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(イ)水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させる工程(乳化工程)、(ロ)前記工程(イ)で得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させる工程(凝集工程)、(ハ)下記式(1)で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を結着樹脂に対して1.0重量%以上添加して凝集を停止させる工程(停止工程)、及び、(ニ)凝集した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる工程(合一工程)、を有するものである。
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
本発明の電子写真用トナーの製造方法においては、先ず、(イ)乳化工程において、水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させる。
結着樹脂
結着樹脂には、トナーの定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルが含有される。ポリエステルの含有量は、定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることが更に好ましい。ポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよい。
ポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
2価のアルコール成分としては、式(I):
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらのアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
これらのカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
トナーの耐久性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。ポリエステルの数平均分子量は、ポリスチレンを標準試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる。
さらに、本発明のトナー用結着樹脂は、定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
結着樹脂を乳化させる水系媒体は水を主成分とするものである。環境性の観点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
本発明においては、まず、水系媒体中で結着樹脂を含有する樹脂粒子を調製するが、該樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製は、樹脂粒子の小粒径化及び得られるトナーの均一な粒径分布化の観点から、結着樹脂を乳化させて行うことが好ましい。
上記水系媒体中で結着樹脂を乳化させて得られる樹脂乳化液中における樹脂粒子には、前記結着樹脂とともに、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等などの添加剤を含有させることができる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましい。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂100重量部に対して、又は着色剤を用いる場合は、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
また、前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
前記アルカリ水溶液は1〜20重量%の濃度のものが好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましい。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
分散後、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水系媒体を添加することによって、転相乳化させる事により、樹脂分散液を製造することができる。
当該樹脂乳化液の製造に用いる水系媒体としては、前述の水系媒体と同じものを挙げることができ、好ましくは、脱イオン水又は蒸留水である。
水系媒体の量は、後の凝集処理で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2,000重量部が好ましく、150〜1,500重量部がより好ましい。得られる乳化粒子液の安定性と取扱い性などの観点から、樹脂乳化液の固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%になるように水系媒体の量を選定する。なお、固形分には樹脂、非イオン性界面活性剤などの不揮発性成分が含まれる。
このようにして得られた樹脂乳化液における樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集処理での均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。その測定方法は後述の通りである。
通常、重縮合樹脂は重合時に脱水を伴うために原理的に水系媒体中では進行しない。しかしながら、例えば、水系媒体中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水系媒体中に乳化せしめた場合、単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水系媒体中に排出せしめ重合を進行させることができる。このようにして、低エネルギーで、水系媒体に重縮合樹脂粒子が乳化分散した分散液が得られる。
(ロ)凝集工程は、上記のようにして得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させる工程である。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加する。本発明においては、凝集剤として、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等、無機系では、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記凝集剤のうち、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
凝集剤は水系媒体溶液にして添加することができる。凝集剤は一時に添加しても良いし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。さらに、1価の塩の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
この凝集粒子は、小粒径化の観点から、その体積中位粒径(D50)が1〜4μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜3.5μm、さらに好ましくは1〜3μmであり、また粒度分布の変動係数(CV値)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下、さらに好ましくは23以下である。
なお、粒度分布の変動係数(CV値)は、式
CV値=[微粒子径の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
で表される値である。すなわち、該CV値が小さいほど、粒度分布が狭くなる。
凝集粒子分散液に添加される結着樹脂含有微粒子分散液は、前述の樹脂乳化液と同様にして調製することができ、凝集粒子作成時に用いた樹脂乳化液と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
この結着樹脂含有微粒子分散液は、分散液としての安定性と取扱い性などの観点から、固形分濃度が、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%の範囲にあるのがよい。また、この分散液中の微粒子の体積中位粒径(D50)は、均一に凝集させる観点から、0.05〜2μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.5μmがさらに好ましい。
工程(ハ)は、下記式(1)で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を添加して凝集を停止させる工程である。
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
本発明に用いられるアルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、C12H25(OCH2CH2)2OSO3Na、C12H25(OCH2CH2)3OSO3Na等が挙げられる。
RO−SO3M (2)
(式中、RおよびMは前記式(1)と同じである。)
で表わされるものが好ましく、オクチル硫酸ナトリウム塩、デシル硫酸ナトリウム塩、ドデシル硫酸ナトリウム塩、テトラデシル硫酸ナトリウム塩等がより好ましく用いられ、ドデシル硫酸ナトリウム塩がさらに好ましい。
上記式(1)で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩は、1種で用いてもよいが、2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらは、上記添加量であれば、いかなる形態で添加してもよいが、生産性の観点から、水溶液で添加することが好ましい。上記各塩は、一時に添加しても良いし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。また、界面活性剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
工程(ニ)は、工程(ロ)で凝集し、工程(ハ)で凝集を停止した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる工程である。
上記加熱温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性などの観点から、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ軟化点−20℃以下が好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
上記加熱時間は、当該工程内における前記加熱温度範囲内での温度での加熱であれば、その時間を全て算入するものとし、例えば昇温中に、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ軟化点−20℃以下の範囲内の温度に達し、その範囲内で維持されあるいは変動する場合は、その時間も包含するものとする、
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、工程(イ)〜工程(ニ)を有する上記製造方法により得られるものであり、高精細、高画質に適した球状かつ小粒径で、高精度の粒径、形状制御が可能であり、かつ粒度分布が狭いものである。
トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、耐久性の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。
本発明において、トナーの粒径は、レーザー回折型粒径測定機により測定することができ、具体的には「LA−920」(堀場製作所製)により測定できる。平均円形度はフロー式粒子像分析装置により測定することができ、具体的にはFPIA−3000(シスメックス株式会社)により測定できる。本発明において、粒子の円形度は投影面積と等しい円の周囲長/投影像の周囲長の比で求められる値であり、粒子が球形であるほど円形度が1に近い値となる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
本発明は、更に、 水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させて得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させ、式(1)
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を結着樹脂に対して1.0重量%以上添加して凝集を停止させた後、凝集した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる、トナー形状の制御方法に関する。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[樹脂の軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、「DSC210」)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移点として読み取る。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
溶解液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
(1)測定装置:レーザー散乱型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)で示す。
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプバージョン1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%濃度となるように前記電解液に溶解させて分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、「FPIA‐
3000」)
測定条件:トナー粒子分散液から1mlを抜き出し、蒸留水で20倍に希釈することで、測定試料溶液を作製する。カウント方式はトータルカウント測定(有効解析数1000個)、測定モードはHPF、対物レンズは10倍に設定し、測定試料溶液の平均円形度を測定する。粒子の円形度は投影面積と等しい円の周囲長/投影像の周囲長の比で求められる値で、粒子が球形であるほど円形度が1に近い値となる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8,320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1,592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3,760であった。得られたポリエステル樹脂Aを開口径5.6mmの篩いで1kgふるったところ、篩の上には何も残らなかった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17,500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16,250g、テレフタル酸11,454g、ドデセニルコハク酸無水物1,608g、トリメリット酸無水物4,800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3,394であった。得られたポリエステル樹脂Bを開口径5.6mmの篩いで1kgふるったところ、篩い上には何も残らなかった。
製造例1で得たポリエステル樹脂Aの微粉末70重量部及び大日精化製銅フタロシアニンのスラリー顔料(ECB−301:固形分46.2重量%)を顔料分30重量部になるようにヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して青色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ1)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。得られたマスターバッチ1を開口径5.6mmの篩いで1kgふるったところ、篩い上には何も残らなかった。
5リットル容のステンレス釜に、ポリエステル樹脂Aを1866g、ポリエステル樹脂Bを1225g、マスターバッチ1を584.5g、非イオン性界面活性剤(花王社製「エマルゲン430」)を35.00g、アニオン性界面活性剤(花王社製「ネオペレックスG−15」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15重量%水溶液)を233.3g、水酸化カリウム水溶液(中和剤、濃度:5重量%)1608gを仕込み、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、98℃で2時間溶融させ、結着樹脂混合物を得た。次に、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、計6639gの脱イオン水を35g/minの速度で滴下し、樹脂乳化液を作製した。最後に、室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂分29重量%を含有する微粒化した樹脂微粒子の乳化液(樹脂乳化液1)を得た。一次粒子の体積中位粒径(D50)は0.151μm、粒度分布の変動係数(CV値)は24.7であり、金網上には何も残らなかった。ここで、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bを65/35(wt/wt)で混合したものの軟化点は114℃、ガラス転移点は66℃だった。
樹脂乳化液1(樹脂分29重量%)を600g採取し、2Lの3ツ口セパラブルフラスコに室温下投入した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、この分散液に凝集剤として5.5重量%硫酸アンモニウム水溶液 734gを添加し室温で20分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から60℃まで昇温し(昇温速度0.3℃/min)、60℃で10分間保持することで、体積中位粒径7.6μmの凝集粒子の分散液を作製した。
次に、5.8重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」:C12H25O(C2H5O)2SO3Na)水溶液418g(対樹脂15重量%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。なお、本実施例においては、上記83℃迄の昇温時間中、結着樹脂のガラス転移点+10℃(74℃)以上の温度に達した後、83℃に達する迄の時間は45分であり、加熱時間は各保持時間+45分であった。以下の実施例等においても同様である。
実施例1と同様にして、体積中位粒径7.6μmの凝集粒子の分散液を作製した。
次に、2.7重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE‐27C」:C12H25O(C2H5O)2SO3Na)水溶液418g(対樹脂7wt%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径7.8μmの凝集粒子の分散液を作製した。
次に、1.2重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE‐27C」:C12H25O(C2H5O)2SO3Na)水溶液418g(対樹脂3wt%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径7.5μmの凝集粒子の分散液を作製した。
次に、0.58重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」:C12H25O(C2H5O)2SO3Na)水溶液418g(対樹脂1.5wt%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径8.3μmの凝集粒子の分散液を作製した。
次に、2.7重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマール20C」:C12H25O(C2H5O)3SO3Na)水溶液418g(対樹脂7重量%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径6.7μmの凝集粒子分散液を作製した。
次に、2.7重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマール0」:C12H25OSO3Na)水溶液418g(対樹脂7重量%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径6.8μmの凝集粒子の分散液を作製した。
次に、0.19重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」:C12H25O(C2H5O)2SO3Na)水溶液418g(対樹脂0.5wt%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径7.6μmの凝集粒子分散液を作製した。
次に、2.7重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「ネオペレックスG15」:C12H25C6H4SO3Na)水溶液418g(対樹脂7重量%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、体積中位粒径8.0μmの集粒子の散液を作製した。
次に、2.7重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「ラテムルASK」アルケニルコハク酸ジカリウム)水溶液418g(対樹脂7重量%)を添加後、83℃まで昇温(昇温速度0.2℃/min)し、その温度を保持した。その際、83℃での各保持時間における粒径と円形度を測定した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- (イ)水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させる工程、
(ロ)前記工程(イ)で得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させる工程、
(ハ)式(1)
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を結着樹脂に対して1.0重量%以上添加して凝集を停止させる工程、及び、
(ニ)凝集した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる工程、
を有する、電子写真用トナーの製造方法。 - 工程(ロ)において、凝集剤として、1価の塩を用いる、請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により製造される、平均円形度0.94以上のトナー粒子を含有する、電子写真用トナー。
- トナー粒子の粒径が、体積中位粒径で1〜8μmである、請求項3記載の電子写真用トナー。
- 水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させて得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させ、式(1)
RO−(CH2CH2O)nSO3M (1)
(Rはアルキル基を、Mは1価のカチオンを示し、nは平均付加モル数を示し、0<n≦15である。)
で表わされるアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキル硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種を結着樹脂に対して1.0重量%以上添加して凝集を停止させた後、凝集した粒子を、結着樹脂のガラス転移点+10℃以上、且つ結着樹脂の軟化点−10℃以下の温度で2時間以上加熱して合一させる、トナー形状の制御方法。
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