JP5189922B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
このような洗浄に関する技術として、例えば特許文献1〜3の各々には、主にスチレンアクリル系樹脂を原料とするトナーの製造において、有機溶媒を用いてトナーを洗浄することが開示されている。また、特許文献4には、界面活性剤、ポリエステルを使用するトナーの製造において、脱イオン水でトナーを洗浄する方法が開示されている。このように、従来、スチレンアクリル系樹脂を含有するトナーの洗浄に対しては通常有機溶媒が使用され、ポリエステルを含有するトナーの洗浄に対しては脱イオン水が使用されていた。
本発明は、保存安定性に優れ、かつ現像性に優れた電子写真用トナーの製造方法、及び該方法により得られる電子写真用トナーに関する。また、生産性に優れた電子写真用トナーの製造方法に関する。
[1](1)水系媒体中で、界面活性剤存在下、ポリエステルを含むトナー粒子の分散液を得る工程、及び(2)工程(1)で得られたトナー粒子を、炭素数1〜5のアルコールを0.1重量%以上5重量%未満含有するアルコール水溶液で洗浄する工程、を有する電子写真用トナーの製造方法、
[2]上記[1]記載の製造方法により得られる電子写真用トナー、及び
[3]前記[1]記載の工程(1)で得られたトナー粒子分散液を固液分離してトナー粒子を得る工程、及び前記工程で得られたトナー粒子に炭素数1〜5のアルコールを0.1重量%以上5重量%未満含有するアルコール水溶液を添加して洗浄する工程を有する、電子写真用トナーの洗浄方法、
を提供する。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(1)水系媒体中で、界面活性剤存在下、ポリエステルを含むトナー粒子の分散液を得る工程、及び(2)工程(1)で得られたトナー粒子を、炭素数1〜5のアルコールを0.1重量%以上5重量%未満含有するアルコール水溶液で洗浄する工程、を有するものである。
工程(1)は、水系媒体中で、界面活性剤存在下、ポリエステルを含むトナー粒子の分散液を得る工程である。
(水系媒体)
トナー粒子を形成する水系媒体は水を主成分とするものである。環境性の観点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
トナー粒子の分散液を形成するに際し、結着樹脂の分散安定性の向上などの観点から、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部の界面活性剤を存在させることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
本発明においては、トナー粒子に、トナーの定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルが含有される。ポリエステルの含有量は、定着性及び耐久性の観点から、トナーの結着樹脂中、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることが更に好ましい。ポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよい。
トナー粒子中には、ポリエステル以外の結着樹脂を含有することもできるが、このような樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
カルボン酸成分として、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等の2価のカルボン酸、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等の3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。上記カルボン酸は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
トナーの耐久性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜50,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
尚、結着樹脂が複数の樹脂を含有する場合には、前記結着樹脂の軟化点、ガラス転移点、酸価及び数平均分子量は、各結着樹脂の混合物としての各値を意味し、各々の値は上記ポリエステルの値と同様の値であることが好ましい。
さらに、上記結着樹脂としては、トナーの定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
本発明の電子写真用トナーにおけるポリエステルを含むトナー粒子の分散液は、
例えば、溶剤に溶解したポリエステルを含む結着樹脂を水中で懸濁し、その後溶剤を留去する方法、乳化重合により得られたポリエステルを含む結着樹脂粒子に着色剤などの他の材料を添加し、前記樹脂粒子を凝集、会合させることによりトナー粒子を得る乳化重合凝集法、界面活性剤等の存在下、ポリエステルを含む結着樹脂を乳化して得られた樹脂粒子に着色剤などの他の材料を添加し、樹脂粒子を凝集、会合させることにより得る方法が採用できる。本発明においては、トナーの小粒径化の観点から、乳化凝集法が好ましい。具体的には、(イ)水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を分散させる工程、(ロ)前記工程(イ)で得られた分散液中の樹脂粒子を凝集させる工程、及び(ハ)工程(ロ)で得られた凝集粒子を合一させる工程、を有する方法により製造することが好ましい。
工程(イ)においては、水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を分散させる。
本発明においては、まず、水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を含む樹脂粒子を調製する。該樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製は、樹脂粒子の小粒径化及び均一な粒径分布を有するトナーを得る観点から、結着樹脂を乳化させて行うことが好ましい。
上記水系媒体中で結着樹脂を乳化させて得られる樹脂乳化液中における樹脂粒子には、前記結着樹脂とともに、必要に応じてフタロシアニン等の顔料などの着色剤、ワックス等の離型剤、荷電制御剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等などの添加剤を含有させることができる。
工程(イ)においては、結着樹脂に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物等のアルカリの水溶液を加え、結着樹脂及び必要に応じて用いられる添加剤を分散させることが好ましい。
分散後、好ましくは、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で脱イオン水又は蒸留水等の水系媒体を添加することによって、乳化させる事により、樹脂分散液を製造することができる。
水系媒体の量は、後の凝集処理で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2,000重量部が好ましく、また、得られる樹脂分散液の安定性と取扱い性などの観点から、樹脂分散液の固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%になるように水系媒体の量を選定する。
このようにして得られた樹脂分散液における樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集処理での均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
工程(ロ)は、前記工程(イ)で得られた分散液中の樹脂粒子を凝集させる工程である。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加する。本発明においては、凝集剤として、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等無機系凝集剤が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が好ましく挙げられる。
この凝集粒子は、トナーの高画質化の観点から、その体積中位粒径(D50)が1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは2〜5μmの範囲にあることが好ましい。また粒度分布の変動係数(CV値)が45%以下であることが好ましく、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは25%以下である。
なお、粒度分布の変動係数(CV値)は、式
CV値=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
で表される値である。
本発明の樹脂粒子に添加される他の樹脂微粒子は、特に制限はなく、例えば本発明の樹脂粒子と同様にして調製することができる。
本発明の樹脂粒子と他の樹脂微粒子の配合比(本発明の樹脂粒子/他の樹脂微粒子)は、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立の観点から、重量比で0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5であり、更に好ましくは0.3〜1.0である。
得られた凝集粒子は、次の工程(ハ)の凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
工程(ハ)は、工程(ロ)で得られた凝集粒子を合一させる工程である。
本発明においては、前記凝集工程で得られた凝集粒子を加熱して合一させる。合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂のガラス転移点以上が好ましく、(軟化点+20℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+5℃)以上で(軟化点+15℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+10℃)以上で(軟化点+10℃)以下が更に好ましい。
トナーの高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
工程(1)では、例えば上述の方法でポリエステルを含むトナー粒子の分散液を得るが、本発明においてトナー粒子とは、好ましくは上記合一粒子を包含し、また、水系媒体中で、界面活性剤存在下で得られた樹脂粒子をいずれも包含する。
工程(2)は、工程(1)で得られたトナー粒子を、炭素数1〜5のアルコールを0.1重量%以上5重量%未満含有する水溶液で洗浄する工程である。
前記工程(2)においては、トナー粒子にアルコール水溶液を添加して洗浄を行うことで、トナー粒子表面に残留する界面活性剤を効率よく除去することができ、これにより保存安定性、現像性に優れたトナーが得られる。
従来、トナー粒子の洗浄は、酸洗浄やアルカリ洗浄によるものが殆どである。また、溶剤を用いた洗浄に関しては、トナー粒子表面の樹脂の低分子量成分除去を目的としたものであり、トナー粒子表面に残留する界面活性剤の除去に関するものは見当たらない。
上記アルコールの水溶液中における含有量は、洗浄性とトナー表面への影響を少なくする観点から、0.1重量%以上5重量%未満であり、0.1〜4重量%が好ましく、0.5〜3重量%がより好ましい。
洗浄時間は、洗浄性の観点から、5分以上であることが好ましく、10分以上がより好ましい。
洗浄性の観点から、アルコール水溶液の添加量は、重量基準でトナーに対して合計で20倍以上であることが好ましく、40倍以上であることがより好ましく、100倍以上であることがさらに好ましく、200倍以上であることがさらにより好ましい。
また、トナー粒子は、上記洗浄後、更に脱イオン水で潅ぐことが好ましい。潅ぎは、前記洗浄と同様にして行うことが好ましく、例えば、潅ぎの際の脱イオン水の量は、トナー粒子の分散性の観点から、固形分で30重量%以下となる量であることが好ましく、10重量%以下となる量であることがより好ましい。
い。
本発明の電子写真用トナーは、上記製造方法により得られるものである。
本発明の電子写真用トナーの軟化点は、定着温度幅拡大の観点から、95〜200℃であることが好ましく、より好ましくは95〜180℃、さらに好ましくは95〜160℃である。また、ガラス転移点は、トナーの低温定着性と保存安定性の向上の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、トナーの軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
トナーの高画質化の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、9μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましく、6μm以下が特に好ましい。
また、トナー粒子のCV値は、いずれも45%以下が好ましく、より好ましくは35%以下、更に好ましくは25%以下である。
トナー粒子の粒径及び粒度分布は、後述の方法で測定することができる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
本発明の電子写真用トナーの洗浄方法は、前記本発明の電子写真用トナーの製造方法における工程(1)で得られたトナー粒子分散液を固液分離してトナー粒子を得る工程、及び前記工程で得られたトナー粒子に炭素数1〜5のアルコールを0.1重量%以上5重量%未満含有するアルコール水溶液を添加して洗浄する工程を有するものである。各々の要件の詳細については、前述した通りである。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、「DSC210」)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移点として読み取る。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
溶解液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
(1)測定装置:レーザー散乱型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)で示す。
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
・測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%濃度となるように前記電解液に溶解させて分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
・粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)で示す。
20ml容のポリビンにトナー10gをいれ、温度50℃、相対湿度40Rh%の環境下に開放状態で48時間放置した。放置後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)で、凝集度を測定し、以下の基準に従って耐ブロッキング性を下記基準で評価した。結果を1に示す。なお、具体的にパウダーテスターを使用した凝集度は次のように求めた。
測定したトナー重量を次式に当てはめて計算し、凝集度[%]を求める。数値が低いほど保存安定性に優れることを示す。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100
b=(中段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(1/5)
A:凝集度が10未満
B:凝集度が10以上20未満
C:凝集度が20以上
上質紙(富士ゼロックス社製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ(OKI製、「ML5400」)を用いて画像を出力し、J紙を30枚敷いた上に該画像を置き、測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」)を用いて、光射条件が標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NB、及び絶対白基準とした際の反射画像濃度を測定し、以下の基準にて現像性を評価した。画像濃度が高いほど現像性に優れることを示す。
A:画像濃度が1.40以上
B:画像濃度が1.20以上1.40未満
C:画像濃度が1.20未満
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8,320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1,592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1,672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3,760であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1,750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1,625g、テレフタル酸1,145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g及びジブチル錫オキサイド1.5gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3,394であった。
製造例1で得たポリエステル樹脂Aの微粉末70重量部及び大日精化製銅フタロシアニンのスラリー顔料(ECB−301:固形分46.2重量%)を顔料分30重量部になる様にヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して青色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ1)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
5リットル容のステンレス釜に、ポリエステル樹脂A 640g、ポリエステル樹脂B 420g、マスターバッチ1 200g(ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B及びマスターバッチ1に用いた樹脂を前記配合割合で混合溶融した混合樹脂の軟化点は114℃、ガラス転移点は64℃であった)、及び、アニオン性界面活性剤(花王社製「ネオペレックスG−15」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15重量%水溶液)80g、非イオン性界面活性剤(花王社製「エマルゲン430」ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2))12g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液551gを仕込み、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた後、95℃まで昇温して2時間中和を行った。続いて、脱イオン水を12g/min(樹脂100gあたり1g/分)で2276g滴下し、乳化を行った。得られた乳化液を室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂分散液1を得た。得られた樹脂分散液1中の固形分は31重量%、樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.15μm、体積基準における変動係数(CV)は25%であり、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。
樹脂分散液1 500gを、2リットル容の容器に入れ室温下攪拌した。次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、凝集剤として硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)25gを1,179gの脱イオン水に溶かし水溶液にしたものを室温下10分かけて滴下し、更に室温で20分間攪拌した。その後、室温から80℃まで1時間で昇温し、凝集粒子が5μmに成長するまで80℃で保持した。次に攪拌しながら室温まで冷却し、固形分が10重量%のトナー粒子分散液を得た。トナー粒子の体積中位粒径(D50)は4.8μm、変動係数は19%、軟化点は99.8℃、ガラス転移点は53.7℃であった。
製造例5で得られたトナー粒子分散液を、吸引ろ過を行い、トナー粒子100gに対し、脱イオン水(電気伝導度:0.1mS/m)にエタノールを1重量%の割合で加えた洗浄液2Lを加えて、T.K.ホモミキサー(PRIMIX社製)を用いて、5,000r/minの回転数で10分間洗浄攪拌を行い、吸引濾過する工程を、2回繰り返し最後に脱イオン水2Lで濯ぎを行い、吸引濾過、乾燥してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添しトナーとした。
エタノール1重量部の洗浄剤を用いて、洗浄攪拌、吸引濾過する工程を、10回繰り返した以外は実施例と同様にしてトナー粒子を得た。
洗浄剤のエタノール濃度を、3重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
実施例4
洗浄剤のエタノール濃度を、0.3重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
洗浄液を用いず、脱イオン水で洗浄した以外は実施例1及び2の各々と同様にしてトナー粒子を得た。
洗浄剤のエタノール濃度を、5重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
Claims (9)
- (1)水系媒体中で、界面活性剤存在下、ポリエステルを含むトナー粒子の分散液を得る工程、
(A)前記工程(1)で得られたトナー粒子分散液を固液分離してトナー粒子を得る工程、及び
(2)前記工程(A)で得られたトナー粒子にエタノールを0.1重量%以上3重量%以下含有するアルコール水溶液を添加して洗浄する工程を有する、電子写真用トナーの洗浄方法。 - 工程(1)が、(イ)界面活性剤の存在下で、水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を分散させる工程、(ロ)前記工程(イ)で得られた分散液中の樹脂粒子を凝集させる工程、及び(ハ)工程(ロ)で得られた凝集粒子を合一させる工程、を有する、請求項1記載の電子写真用トナーの洗浄方法。
- 界面活性剤が非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の併用である、請求項1又は2記載の電子写真用トナーの洗浄方法。
- 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類であり、アニオン性界面活性剤がスルホン酸塩系のアニオン性界面活性剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの洗浄方法。
- 工程(2)が、アルコール水溶液中にトナー粒子を分散し、固液分離操作を行うものである、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの洗浄方法。
- 工程(2)で用いるアルコール水溶液中のトナー粒子の固形分が30重量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの洗浄方法。
- 工程(2)のアルコール水溶液中にトナー粒子を分散する方法が、高速せん断タイプの撹拌機を用いて行うものである、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナーの洗浄方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の洗浄方法により得られる電子写真用トナー。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の洗浄方法を含む電子写真用トナーの製造方法。
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