JP5145178B2 - 着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法 - Google Patents

着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる電子写真用トナーの製造に用いられる着色剤含有樹脂粒子分散液及びその製造方法、該着色剤含有樹脂分散液を用いて得られる電子写真用トナー及びその製造方法に関する。
近年、高画質化にともない、小粒径で粒度分布がシャープで、かつカラー画像を実現する電子写真用トナーの要望が高まっている。
カラー画像では、イエロー、マゼンタ、シアンの3原色により色を発色させるが、マゼンタ発色においては、着色剤として例えばキナクリドン系顔料が使用されることが多く、色目の観点からは、赤みを帯びたカーミン系顔料等の着色剤を使用する例も知られている。
一方、トナーの製造においては、小粒径で粒度分布がシャープなトナーを実現するために、いわゆるケミカル法が使用されている。しかし、ケミカル法においては、機械的分散方法をとることが困難であり、溶液中に樹脂や着色剤を分散させる必要があるため、特に着色剤の分散性には限界があった。
このようなマゼンタ発色の着色剤を使用したカラー画像用のトナーの製造方法として、例えば、特許文献1には、樹脂と着色剤を混合し、中和して乳化する製造方法が開示され、また、特許文献2及び3には樹脂粒子分散液と着色剤分散液とを混合する方法が開示されている。更に、特許文献4には、樹脂と着色剤を混合し中和して乳化する方法とともに、マスターバッチを用いて乳化する方法も開示されている
特開2006-145859号公報 特開2002-31918号公報 特開2006-251074号公報 特開2007-224120号公報
しかし、カーミン系顔料の場合、上記特許文献1の方法ではアルカリ等に弱く、中和剤により着色剤が影響を受けてしまい、また、上記特許文献2及び3の方法では、アルカリによる影響は回避できるものの、着色剤と樹脂の分散が不均一で十分な画像濃度を得ることができない。また、特許文献4の方法も同様にアルカリによる影響を受ける恐れがある。
本発明は、アルカリ存在下における着色剤の変性を防止し、高い画像濃度及び帯電性を有する電子写真用トナーに用いられる着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法及び着色剤含有樹脂粒子分散液に関する。
本発明は、
[1](a)酸基を有する樹脂を、塩基性水性媒体中において中和し、樹脂分散液を得る工程、
(b)工程(a)で得られた樹脂分散液を、[酸基を有する樹脂のフローテスター法による軟化温度(Ts)−20℃]以上かつ[酸基を有する樹脂のフローテスター法による軟化点(Tm)]以下の温度で、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:1、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:2、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3、及びカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:4から選ばれる少なくとも1種の着色剤と混合して着色剤と樹脂の混合分散液を得る工程、及び
(c)工程(b)で得られた着色剤と樹脂の混合分散液に水性液を添加して、着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程、
を有する着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法、
[2]上記[1]記載の製造方法により得られる着色剤含有樹脂粒子分散液、
[3]上記[2]記載の着色剤含有樹脂粒子分散液中の着色剤含有樹脂粒子を凝集及び合一して得られる電子写真用トナー、及び
[4](1)上記[1]に記載の製造方法により着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程、及び(2)工程(1)で得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の着色剤含有樹脂粒子を凝集及び合一する工程、を有する、電子写真用トナーの製造方法、
を提供する。
本発明の製造方法によれば、塩基性水性媒体存在下における着色剤の変性を防止し、高い画像濃度及び帯電性を有する電子写真用トナーに用いられる着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法、該製造方法により得られる着色剤含有樹脂粒子分散液、該樹脂粒子分散液を用いて得られる電子写真用トナーを提供することができる。
<着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法及び着色剤含有樹脂粒子分散液>
本発明の着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法は、(a)酸基を有する樹脂を、塩基性水性媒体中において中和し、樹脂分散液を得る工程、(b)工程(a)で得られた樹脂分散液を、[酸基を有する樹脂のフローテスター法による軟化温度(Ts)−20℃]以上かつ[酸基を有する樹脂のフローテスター法による軟化点(Tm)]以下の温度で、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:1、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:2、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3、及びカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:4から選ばれる少なくとも1種の着色剤と混合して着色剤と樹脂の混合分散液を得る工程、及び(c)工程(b)で得られた着色剤と樹脂の混合分散液に水性液を添加して、着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程、を有するものである。
本発明では、酸基を有する樹脂を中和した後、かつ好ましくは乳化する前に、これと特定温度下で、前記特定顔料を添加混合することにより、画像濃度の高い電子写真用トナー用いられる着色剤含有樹脂粒子分散液、及び該樹脂分散液を用いて得られる電子写真用トナーを得ることができる。
[工程(a)]
工程(a)は、)酸基を有する樹脂を、塩基性水性媒体中において中和し、樹脂分散液を得る工程である。
(酸基を有する樹脂)
酸基を有する樹脂としてはポリエステル、スチレンアクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等の公知の樹脂がいずれも挙げられ、通常トナーに用いられるものが好ましく使用できる。本発明においては、着色剤の分散性、ならびに該分散液を用いて得られるトナーの画像濃度、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルが好ましい。また、樹脂分散液を構成する樹脂(以下、「結着樹脂」ということがある)中の酸基を有する樹脂の含有量は、トナーの画像濃度、定着性及び耐久性の観点から、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上が更に好ましく、実質100重量%であることがより更に好ましい。酸基を有する樹脂がポリエステルの場合、ポリエステルは、結着樹脂中に上記量含有されることが好ましい。
ポリエステルの原料モノマーとしては、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
上記アルコール成分及びカルボン酸成分は、それぞれ2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本発明において、ポリエステルには、変性されていないポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれるが、本発明においては、変性されていないポリエステルであることが好ましい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
上記のポリエステルは、結晶性のもの、非結晶性のもののいずれも使用することができ、トナーの保存性の観点から、ポリエステルの軟化点(Tm)は80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。酸価は、樹脂分散粒子の乳化性の観点から、10〜35mgKOH/gが好ましく、15〜35mgKOH/gがさらに好ましい。軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間等を調節することにより所望のものを得ることができる。
ポリエステルの数平均分子量は、トナーの画像濃度、定着性及び耐久性等の観点から、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましい。
ポリエステル以外の酸基を有する樹脂の軟化点、ガラス転移点、酸価及び数平均分子量も、上記ポリエステルの値と同様の範囲内にあることが好ましい。
なお、本発明において、酸基を有する樹脂が、2種類以上の酸基を有する樹脂の混合樹脂又は酸基を有する樹脂と、酸基を有する樹脂以外の樹脂の混合樹脂の場合、混合樹脂の物性は、軟化点、ガラス転移点、酸価及びフローテスター法による軟化点は、混合樹脂を構成する各樹脂の軟化点、ガラス転移点、酸価及びフローテスター法による軟化点に含有量を乗じて得られる加重平均値として、他の物性は混合樹脂としての値である。
さらに、結着樹脂がポリエステルを含有する場合、トナーの画像濃度、定着性及び耐久性の観点から、軟化点(Tm)が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点(Tm)は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点(Tm)は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
(塩基性水性媒体)
塩基性水性媒体は、水を主成分とするものである。環境保全の観点から、水の含有量は、塩基性物質以外の水性媒体中80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。本発明では、実質的に有機溶媒を用いることなく水のみを用いても樹脂を分散させることができる。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
本発明においては、塩基性水性媒体としては1〜20重量%の濃度のアルカリ水溶液が好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。用いるアルカリについては、酸基を有する樹脂が塩になったときその自己分散能を高めるようなアルカリを用いることが好ましい。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
(中和)
工程(a)においては、前記酸基を有する樹脂を上記塩基性水性媒体中において中和して樹脂分散液を得るが、この場合の中和度としては、次工程で樹脂粒子を作製するのに必要な親水性を樹脂に付与できる程度でよく、必ずしも100%中和する必要はない。例えば、極性基を多く有する親水性の高い樹脂を用いる場合は、中和度は低くてもよく、逆に親水性の低い樹脂を用いる場合は、中和度は高くするほうが好ましい。本発明においては、上記中和度は、50%以上であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることが更に好ましい。中和度は、一般に中和前後の酸基のモル数の比(中和後の酸基のモル数/中和前の酸基のモル数)を用いて表わすことができる。
(樹脂分散液)
工程(a)においては、前記酸基を有する樹脂を、上記塩基性水性媒体中において中和し、樹脂分散液を得るが、樹脂分散液を得る際に、結着樹脂の軟化点(Tm)未満の温度で樹脂と塩基性水性媒体を混合することが好ましい。該結着樹脂の軟化点(Tm)未満の温度で樹脂と塩基性水性媒体を混合することにより、樹脂粒子同士の融着を抑制し、均一な樹脂分散液を調製することができる。上記温度は、中和が十分に行われ、次工程の乳化処理で大きな乳化粒子の生成が抑制される点で、結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点(Tm)未満の温度であることが好ましく、(結着樹脂のガラス転移点+10℃)(「結着樹脂のガラス転移点より10℃高い温度」を指す。以下同様の表記は同様の意味である)以上の温度であることがより好ましく、また[軟化点(Tm)−5℃]以下の温度であることが更に好ましい。軟化点(Tm)については後述する。
また、樹脂の分散安定性向上などの観点から、樹脂分散液中には、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.1〜3.5重量部、更に好ましくは、0.1〜3重量部の界面活性剤を存在させる。
本発明において使用しうる界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン界面活性剤;ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン界面活性剤が挙げられる。これらの中で、樹脂分散液の安定性などの観点から、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[工程(b)]
工程(b)は、工程(a)で得られた樹脂分散液を、[酸基を有する樹脂の軟化温度(Ts)−20℃]以上かつ[酸基を有する樹脂の軟化点(Tm)]以下の温度で、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:1、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:2、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3、及びカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:4から選ばれる少なくとも1種の着色剤と混合して着色剤と樹脂の混合分散液を得る工程である。
(着色剤)
本発明においては、工程(a)で得られた樹脂分散液と混合される着色剤としては、例えば、得られるトナーの画像濃度及び帯電性の観点から、下記に示す、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:1(Ba塩)、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:2(Ca塩)、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3(Sr塩)、及びカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:4(Mn塩)から選ばれる少なくとも1種の着色剤(以下、「本発明における着色剤」ということがある)が挙げられる。
カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:1
Figure 0005145178
カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:2
Figure 0005145178
カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3
Figure 0005145178
カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:4
Figure 0005145178
塩基性媒体中での着色剤の安定性の観点から、これらの中ではカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3を用いることが好ましい。
本発明の着色剤含有樹脂粒子分散液に使用する着色剤中の本発明に係る顔料の含有量は、例えば得られるトナーの画像濃度び帯電性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上が更に好ましい。本発明に係る顔料以外の使用しうる着色剤としては、得られるトナーの色相調整の観点から、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15, 16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,49,50,51,52,53,54,55,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,144,146,149,150,163,166,169,170,177,184,185,187,202,206,207,209,220,251,254,および269などが挙げられる。この中でも、着色力、色相の観点からカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)122,269等が挙げられる好ましい。本発明に係る顔料以外の着色剤は、工程(a)において前記酸基を有する樹脂とともに添加してもよいが、本工程(b)において本発明における顔料とともに添加してもよい。
着本発明に係る色剤は、乾燥した粉末状顔料の形態(生顔料ともいう。通常、含水率が1%未満のものをいう)、湿潤したペースト状等顔料の形態、予め樹脂中に分散させたマスターバッチ顔料の形態等のいずれの形態でも使用できるが、着色剤の水への濡れ性及び、樹脂中の分散性の観点から、湿潤したペースト状等の顔料として用いることが好ましい。
湿潤したペースト状等の顔料とは、顔料の水分散液を濾過等の方法により一部脱水した状態の顔料をいい、ペースト状又はスラリー状であるものをいう。顔料の水分散液としては、公知のものを用いることができ、含水率を適宜調整して得ることができる。水分散液の脱水方法は、含水顔料中の顔料が所望の含有量となれば、特に制限はなく、例えば濾過、遠心分離等によって脱水し、その含水量を調整することができる。ペースト状等顔料中の固形分濃度は、顔料の分散性及び濡れ性、ならびにトナーの画像濃度、粒径分布及び生産性の観点から、10〜50重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましく、20〜35重量%が更に好ましい。
一般に顔料の表面は疎水性である一方で、本発明の製造方法は水性媒体中で着色剤含有樹脂粒子分散液を得るものであることから、予め着色剤として水分を含むことが濡れ性の観点から好ましい。着色剤と水性媒体との相溶性、すなわち着色剤の濡れ性を向上させることで、粒径が均一で、生産性が高く、また分散性に優れた着色剤含有樹脂粒子分散液を得ることができる。得られるトナーの画像濃度の観点から、着色剤の配合量は、結着樹脂100重量部に対して、3〜25重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
着色剤の平均粒径は、着色力及び色再現領域の観点から、更に、得られるトナーの透明性の観点から、1〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜60nmがさらに好ましい。着色剤の平均粒径は、着色剤調製時の水分散体の透過型電子顕微鏡(TEM)による写真像から求めることができ、少なくとも200個以上の複数の着色剤粒子から算出される個数平均粒子径をさす。
[樹脂分散液と本発明の着色剤との混合分散液]
工程(b)においては、樹脂分散液と本発明に係る着色剤を混合して、これらの混合分散液を得る。
上記混合分散液には、更に必要に応じて前記界面活性剤とともに、離型剤、荷電制御剤等の添加剤を含有することができる。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックスフィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。
離型剤は、分散性及び樹脂粒子との凝集性の観点から、水系媒体中に分散させて使用することが好ましい。
離型剤の含有量は、添加効果及びトナーの帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
これらの添加剤は、工程(a)においても添加することができ、更には後述のトナー製造時に添加することもできる。
工程(b)においては、中和された樹脂中に着色剤を含有させる観点から、[酸基を有する樹脂の軟化温度(Ts)−20℃]以上かつ[酸基を有する樹脂の軟化点(Tm)]以下の温度で、工程(a)で得られた樹脂分散液と本発明に係る着色剤とを混合して着色剤と樹脂の混合分散液を得る。[上記軟化温度(Ts)−20℃]未満で混合を行う場合、樹脂中に着色剤が含有されにくくなり、この結果、得られた混合分散液は樹脂粒子と着色剤粒子を別個に含有することとなる。一方、[上記樹脂の軟化点(Tm)]より高い温度で混合を行うと、樹脂の溶融粘度が大幅に下がり、顔料の分散性が著しく低下する。しかし、本発明においては、上記特定温度下で、中和された酸基を有する樹脂の分散液と特定の着色剤剤を混合しているために、酸基を有する樹脂が適度に溶融し前記着色剤が含有されることになる。このため、続く工程(c)により、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子を得ることができるため、顔料の分散性に優れるものとなる。
本発明においては、フローテスターを用い、樹脂を所定の昇温速度で加熱しながら、プランジャーにより荷重を与えた際の、サンプルが圧縮されてシリンダー内の空隙が消失し、外観上、1個の均一な透明体又は相となる温度を軟化温度(Ts)とし、試料の半量が流出した温度を軟化点(Tm)とする。これらはいずれも、具体的には、後述の方法で測定することができる。
また、樹脂分散液中の樹脂粒子の軟化点、ガラス転移点等は、樹脂分散液を乾燥させて得られた樹脂粒子について測定を行うことで求められる。
上記混合温度は、着色剤の樹脂中への含有及び分散の観点から、[酸基を有する樹脂の軟化温度(Ts)−15℃]以上かつ[酸基を有する樹脂の軟化点(Tm)]以下がより好ましく、軟化温度(Ts)以上かつ軟化点(Tm)以下が更に好ましい。上記混合温度は、樹脂分散液と着色剤を混合する際に上記範囲内にあればよいが、上記樹脂分散液に着色剤を添加する前あるいはその際に上記範囲内にあってもよいし、また、添加後に上記範囲内の温度として混合しても良い。
混合時間は使用する分散装置によって異なるが、樹脂と顔料が均一な状態になるまで行う必要があり、攪拌翼による攪拌及び混合においては樹脂と顔料の均一化及び顔料の分散性の観点から15分以上2時間以下であることが好ましく、30分以上2時間以下がより好ましく、1時間以上2時間以下が更に好ましい。
[工程(c)]
工程(c)は、工程(b)で得られた着色剤と樹脂の混合分散液に、水性液を添加して、着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程である。
前記着色剤と樹脂の混合分散液への水性液の添加は、前記結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点(Tm)以下の温度で行うことが好ましい。前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、また加熱に特別の装置を必要としない。この点から、上記温度は、(結着樹脂のガラス転移点+10℃)以上であることが好ましく、また、[結着樹脂の軟化点(Tm)−5℃]以下であることが好ましい。前記温度範囲で水性液を添加して乳化させることにより、本発明における着色剤含有樹脂粒子分散液を製造することができる。
この乳化工程においては、乳化開始直前では、乳化が容易である等の点から、分散液中の樹脂含有量が好ましくは50〜90重量%程度、より好ましくは50〜80重量%である。ここで乳化開始直前とは、系内の粘度が乳化工程中で最も高くなる時点をいい、攪拌機に例えばトルクメーターなどを取り付けておくことで、その時点を容易に知ることができる。
乳化に用いられる水性液としては、水を主成分とするものが好ましい。環境性の観点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。乳化の容易性の観点から、脱イオン水又は蒸留水が好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。
上記水性液の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、結着樹脂100g当たり好ましくは0.5〜50g/分、より好ましくは0.5〜40g/分、さらに好ましくは0.5〜30g/分である。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持すればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水性液の添加速度に特に制限はない。
このようにして得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の固形分濃度は、分散液の安定性及び後で実施される凝集工程での樹脂粒子分散液の取扱い性、均一な凝集を起こさせる観点から、5〜50重量%が好ましく、5〜45重量%がより好ましく、10〜40重量%がさらに好ましい。
着色剤含有樹脂粒子分散液中の着色剤含有樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一な凝集を行う等の観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
得られた着色剤含有樹脂粒子分散液は、トナーを製造するため、次いで凝集工程、合一工程に供することが好ましい。
<電子写真用トナ−及びその製造方法>
本発明の電子写真用トナーは、上記着色剤含有樹脂粒子分散液中の着色剤含有樹脂粒子を凝集及び合一して得られるものであり、本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(1)上記製造方法により着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程、及び(2)工程(1)で得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の着色剤含有樹脂粒子を凝集及び合一する工程、を有するものである。
[凝集工程]
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加する。本発明においては、凝集剤として、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等無機系凝集剤が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が好ましく挙げられる。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性、特に高温高湿環境の帯電特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。また、凝集性の観点から、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましく、5重量部以上が更に好ましい。
前記凝集剤の添加は、系内のpHを調整した後で、好ましくは、(結着樹脂のガラス転移点+20℃)以下の温度、より好ましくは(結着樹脂のガラス転移点+10℃)以下の温度、更に好ましくは(ガラス転移点+5℃)未満の温度で行う。上記温度で行うことにより、粒度分布が狭く、均一な凝集を行うことができる。また、上記添加は、[結着樹脂の軟化点(Tm)−100℃]以上の温度で行うことが好ましく、[結着樹脂の軟化点(Tm)−90℃]以上の温度で行うことがより好ましい。その際の系内のpHは、混合分散液の分散安定性と樹脂粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜7がさらに好ましい。
このようにして、樹脂分散液中の樹脂粒子を凝集させることにより、凝集粒子を調製する。
この凝集粒子は、トナーの画像特性の観点から、その体積中位粒径(D50)が1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは2〜6μmの範囲にあることが好ましい。また粒度分布の変動係数(CV値)が45%以下であることが好ましく、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは25%以下である。
なお、粒度分布の変動係数(CV値)は、式
CV値(%)=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
で表される値である。
本発明においては、樹脂粒子を凝集させた後に、凝集粒子の粒径制御の観点から、界面活性剤を添加することが好ましく、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することがより好ましい。
本発明においては、離型剤等の流出を防止し、あるいはカラートナーにおいて、各色間の帯電量を同レベルにする等の観点から、凝集時に、着色剤含有樹脂粒子分散液に含有される着色剤含有樹脂粒子(本発明における着色剤含有樹脂粒子)に、他の樹脂微粒子を一時に又は複数回分割して添加することができる。
本発明の樹脂粒子に添加される他の樹脂微粒子は、特に制限はなく、例えば本発明における着色剤含有樹脂粒子と同様にして調製することができる。上記樹脂微粒子には、着色剤を含有することもできるが、含有しないものであってもよい。
本発明における着色剤含有樹脂粒子と他の樹脂微粒子の配合比(本発明における着色剤含有樹脂粒子/他の樹脂微粒子)は、トナーの低温定着性と保存性の両立の観点から、重量比で0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5であり、更に好ましくは0.3〜1.0である。なお、凝集粒子に樹脂微粒子を添加して付着させる場合、凝集粒子をコア粒子、樹脂微粒子が付着した凝集粒子を樹脂微粒子付コア粒子ともいう。
得られた凝集粒子は、次の凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
[合一工程]
本発明においては、前記凝集工程で得られた凝集粒子を加熱して合一させる。合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂のガラス転移点以上が好ましく、[結着樹脂の軟化点(Tm)+20℃]以下がより好ましく、(ガラス転移点+5℃)以上で[軟化点(Tm)+15℃]以下がより好ましく、(ガラス転移点+10℃)以上で[軟化点(Tm)+10℃]以下が更に好ましい。
本発明において、合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
トナーの画像特性の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
得られた合一粒子を、必要に応じ、適宣、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナー粒子を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
上記洗浄されたトナー粒子は乾燥工程に供される。乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明においては、使用される酸基を有する樹脂のカルボキシル基等の酸基と反応可能な官能基を有する化合物を、好ましくは上記工程(c)より後に添加して、使用することができ、このような化合物としては、オキサゾリン基、グリシジル基、アジリジン基又はカルボジイミド基を有する化合物が挙げられる。
[電子写真用トナー]
本発明の電子写真用トナーの軟化点(Tm)は、定着温度幅拡大の観点から、95〜200℃であることが好ましく、より好ましくは95〜180℃、さらに好ましくは95〜160℃である。また、ガラス転移点は、トナーの低温定着性と保存性の向上の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、トナーの軟化点(Tm)及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
トナーの画像濃度の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、9μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましく、6μm以下がさらにより好ましい。
また、トナーの転写性が良好となる点、定着温度幅拡大の観点から、トナーの円形度は0.93〜1.00が好ましく、0.94〜0.99がより好ましく、0.95〜0.99がさらに好ましい。円形度はフロー式粒子像分析装置により測定することができ、具体的にはFPIA−3000(シスメックス社製)により測定できる。粒子の円形度は投影面積と等しい円の周囲長/投影像の周囲長の比で求められる値である。
また、トナー粒子のCV値は、いずれも45%以下が好ましく、より好ましくは35%以下、更に好ましくは25%以下である。
トナー粒子の粒径及び粒度分布は、後述の方法で測定することができる。
以上のようにして得られたトナー粒子は、そのまま本発明の電子写真用トナーとして、あるいは外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加処理して本発明の電子写真用トナーとすることができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[樹脂及びトナーの軟化点(Tm)、軟化温度(Ts)及びガラス転移点]
(試料の調製)
凍結乾燥機(東京理化器械:FDU−2100およびDRC−1000)を用いて、分散液30gを−25℃にて1時間、−10℃にて10時間、25℃にて4時間真空乾燥を行い、水分量が1重量%以下となるまで乾燥させた。
水分量は赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて乾燥後の試料5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて水分量(重量%)を測定した。
乾燥させた分散液中の粒子の軟化点(Tm)、軟化温度(Ts)およびガラス転移点を前述の方法により測定する。
(1)軟化温度(Ts)及び軟化点(Tm)
フローテスター(島津製作所社製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。試料が圧縮されてシリンダー内の空隙が消失し、外観上、1個の均一な透明体又は相となる温度を軟化温度(Ts)とする。また、温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点(Tm)とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で−10℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点(Tm)より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点(Tm)より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
[樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[(着色剤含有)樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子の粒径]
(1)測定装置:レーザー散乱型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)測定した。
[分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[凝集粒子、合一粒子及びトナーの粒径]
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプバージョン1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%濃度となるように前記電解液に溶解させて分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
粒度分布は、CV値[(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100](%)で示す。
樹脂製造例1(ポリエステルAの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8,320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1,592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下230℃で5時間反応させ、更に減圧下(8.3kPa)で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステルAを得た。ポリエステルAの軟化点(Tm)は110℃、軟化温度(Ts)は80℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3,760であった。
樹脂製造例2(ポリエステルBの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g及び2−エチルヘキサン酸スズ26gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点(Tm)が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルBを得た。ポリエステルBの軟化点(Tm)は121℃、軟化温度(Ts)は82℃、ガラス転移点は65℃、酸価は21mgKOH/g、数平均分子量は3,390であった。
樹脂製造例3(ポリエステルCの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン34090g、フマル酸5800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステルCを得た。ポリエステルCの軟化点(Tm)は98℃、軟化温度(Ts)は78℃、ガラス転移点は56℃、酸価は22mgKOH/g、数平均分子量は2930であった。
着色剤含有結着樹脂製造例 着色剤含有結着樹脂Aの製造
ポリエステルA 3120g、ポリエステルB 1680g、ワックスとしてカルナバワックス 48g(加藤洋行社製)、及び着色剤として、生顔料の着色剤(Pigment Red 48:3 、含水率0.5% 大日精化社製)450gとの混合物をヘンシェルミキサー(容量20リットル)を用いて、羽根回転数を1500回/分に設定し1分間予備混合した。
得られた混合物を、テーブルフィーダーにて、10kg/hの供給速度で、連続式2本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)に供給し、混練物(着色剤含有結着樹脂A)を得た。なお、混練機の運転条件は、高回転ロール(前ロール)の回転数を75r/min、低回転ロール(後ロール)の回転数を50r/min、ロールの間隙を0.1mmに調整した。また、ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、高回転ロールの原料投入側を130℃、混練物排出側を100℃、低回転ロールの原料投入側を30℃、混練物排出側を30℃に、それぞれ設定した。得られた着色剤含有結着樹脂Aを冷却ベルトにて冷却後、2mmφのスクリーンを有するミルにて粗粉砕した。
マスターバッチ製造例 マスターバッチAの製造
ポリエステルC70重量部、ペースト状の顔料(Pigment Red 48:3)「大日精化社製 固形分濃度31.4重量%」を顔料分30重量部になる様にヘンシルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーにより、100℃の混練温度で20分混練を行ない、水分を蒸発させるために、120℃の混練温度で10分間混練を行った。得られた混練物を冷却後、加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチA)を得た。
実施例1(着色剤含有樹脂粒子分散液Aの製造)
5リットル容のステンレス釜に、ポリエステルA 780g、ポリエステルB420g(ポリエステルA及びポリエステルBを上記の量で混合したときの混合樹脂の軟化点(Tm)は114℃、軟化温度(Ts)は81℃、ガラス転移点は66℃、酸価は23mgKOH/g)、及びアニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(固形分:15重量%)80g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製):ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB 16.2)」12g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液557gを添加し、冷却管、攪拌器を装備した三つ口フラスコ蓋をし、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。内容物を95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、攪拌を止め、ペースト状の顔料(Pigment Red 48:3)「大日精化社製 固形分濃度31.4重量%」287gを加えた後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で、0.5〜2℃/minの範囲で、20分間で105℃になるように温度調整し、更に105℃で30分間混合を行った。その後、内容物を95℃で安定化し、脱イオン水を12g/minで2006gを添加した。また、脱イオン水を滴下する間、系内の温度は95℃に保持した。その後、25℃に冷却して着色剤含有樹脂粒子を分散させた着色剤含有樹脂粒子分散液Aを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液A中の着色剤含有樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.271μm、固形分濃度は32.4%であった。
実施例2(着色剤含有樹脂粒子分散液Bの製造)
実施例1において、ペースト状の顔料を加えた後、0.5〜2℃/minの範囲で、20分間で70℃になるように温度調整し、更に70℃で30分間混合を行った以外は実施例1と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Bを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。
実施例3(着色剤含有樹脂粒子分散液Cの製造)
実施例1において、顔料を生顔料(Pigment Red 48:3、含水率1%未満、大日精化社製)に変更した以外は実施例1と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Cを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。
比較例1(着色剤含有樹脂粒子分散液Dの製造)
実施例1において、内容物を95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した後、0.5〜2℃/minの範囲で、30分間で50℃になるように温度調整し、続いて攪拌を止め、ペースト状の顔料を加えた後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で、50℃で更に30分間混合を行った以外は実施例1と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Dを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。
比較例2(着色剤含有樹脂粒子分散液Eの製造)
5リットル容のステンレス釜に、ポリエステルA 780g、ポリエステルB420g(ポリエステルA及びポリエステルBを前記割合で混合したときの混合樹脂の軟化点(Tm)は、114℃、ガラス転移点は66℃、酸価は23mgKOH/g)、ペースト状の顔料(Pigment Red 48:3)「大日精化社製 固形分濃度31.4重量%」287g、及びアニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(固形分:15重量%)80g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製):ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB 16.2)」12g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液557gを添加し、冷却管、攪拌器を装備した三つ口フラスコ蓋をし、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。次に内容物を95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。その後、内容物を95℃で安定化し、脱イオン水を12g/minで2006gを添加した。また、脱イオン水を滴下する間、系内の温度は95℃に保持した。その後、25℃に冷却して着色剤含有樹脂粒子を分散させた着色剤含有樹脂粒子分散液Eを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液E中の着色剤含有樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.285μm、固形分濃度は31.8%であった。
比較例3(着色剤含有樹脂粒子分散液Fの製造)
比較例2において、顔料を着色剤含有結着樹脂Aに変更した以外は比較例2と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Fを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。
比較例4(着色剤含有樹脂粒子分散液Gの製造)
実施例1において、顔料を生顔料(Pigment Red57:1、大日精化社製)に変更した以外は実施例1と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Gを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。
比較例5(着色剤含有樹脂粒子分散液Hの製造)
比較例2において、顔料を生顔料(Pigment Red122、大日精化社製)に変更した以外は比較例2と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Hを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。
比較例6(着色剤含有樹脂粒子分散液Iの製造)
比較例2において、ポリエステルAを570g、ポリエステルBを420g(ポリエステルA及びポリエステルBを前記割合で混合したときの混合樹脂の軟化点(Tm)は、114.6℃、ガラス転移点は65.6℃、酸価は22.9mgKOH/g)とし、顔料をマスターバッチAに変更した以外は比較例2と同様にして、着色剤含有樹脂粒子分散液Iを得た。得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の物性を表1に示す。

以上のように得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の各々について、下記のようにその色相を測定し、塩基性水性媒体存在下における着色剤の変性を評価した。結果を表1に示す。
[着色剤含有樹脂粒子分散液の色相測定]
着色剤含有樹脂粒子分散液を遠心分離機(日立工機製 himac CP56G、スウィングローター:P50AT2を使用)付属のSUS製チューブにチューブに入れた全体の重量が揃うように10±3ml入れる。スウィングローターをセットし、20℃で25000回/分の回転数で1時間回転させ、上澄み液のみを採取する。
無色透明のアクリル板(幅100mm×長さ300mm×厚さ15mm、幅100mmの中央部分で、末端から25mmの部分に直径9mmで深さ10mmの穴のあいたもの)、その穴に採取した樹脂分散液の上澄み液を入れる。
測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、絶対白基準)を用いて着色剤含有樹脂粒子分散液の色相CIE L***を測色する。
上澄み液は無色透明なほど、着色剤がアルカリや水により溶解していないことを示し、分散液として良好であることを示す。上澄み液の色相のL*及びa*を下記基準で評価した。
上澄み液の色相のL *
A: 40以上100以下
B: 30以上40未満
C: 0以上30未満
上澄み液の色相のa *
A: 0以上5未満
B: 5以上10未満
C: 10以上
Figure 0005145178
Figure 0005145178
製造例1(着色剤を含有しない樹脂分散液Jの製造)
比較例2で顔料を添加しない以外は比較例2と同様にして、着色剤を含有しない樹脂分散液Jを得た。得られた着色剤を含有しない樹脂分散液の物性を表1に示す。
製造例2(着色剤分散液Aの製造)
2リットル容のビーカーに、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(固形分:15重量%)400gを脱イオン水1010gで溶解し、粉末状の顔料(Pigment Red 48:3)「大日精化社製 固形分濃度100重量%」450gを少量ずつ添加し25℃で混合した。全量添加した後、ホモミキサー(プライミクス社製)を用い、25℃下で気泡が噛み込まないように8000回転/分で10分間攪拌を行った。その後、150メッシュの金網で濾過を行い、着色剤分散液Aを得た。得られた着色剤分散液Aの着色剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.570μm、固形分濃度は24.7%であった。
離型剤分散液製造例1(離型剤分散液Aの製造)
1リットル容のビーカーで、脱イオン水400gにアルケニルコハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王社製)、有効濃度28%」3.57gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃)100gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、Ultrasonic Homogenizer 600W (日本精機社製)で30分間分散処理を行い、離型剤分散液Aを得た。得られた離型剤分散液A中の離型剤の体積中位粒径(D50)は0.47μm、CV値は26%、固形分濃度は21重量%であった。
実施例4(マゼンタトナーAの製造)
[工程1]
着色剤含有樹脂粒子分散液A 250gに脱イオン水71.4g加え、離型剤分散液A20.2gに脱イオン水0.8gを加え、両者を脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)17gを171.4gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10mL/分の速度で滴下した。その後、混合分散液を50℃まで昇温し、コア(凝集)粒子を形成させ、コア(凝集)粒子の体積中位粒径(D50)が4.2μmになるまで50℃の温度下で保持して、コア(凝集)粒子を含有するコア(凝集)粒子分散液を得た。
[工程2]
工程(1)で得たコア(凝集)粒子分散液の温度を50℃に保持し、コア(凝集)粒子分散液に、着色剤含有樹脂粒子分散液A 25gと脱イオン水7.1gを混合したものを0.8g/min(コア(凝集)粒子を構成する樹脂成分100重量部に対する樹脂粒子を構成する樹脂成分の添加速度 0.32重量部/分)で滴下し、滴下終了後50℃で20分間保持した。この操作をさらに2回繰り返した後、着色剤含有樹脂粒子分散液A 25gと脱イオン水7.1gを混合したもの、及び、硫酸1.7gを脱イオン水22.7gに溶解させた水溶液を別々に0.8g/minで滴下し、その後20分間保持した。この操作をさらに1回繰り返した後、水溶性のオキサゾリン基を含有する重合体「WS700(日本触媒社製)」5.3gを添加し10分間攪拌を行った後、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分:28重量%)17.0gを脱イオン水323gで希釈した水溶液を添加して樹脂粒子付着コア粒子を形成した。この時、樹脂粒子付着コア粒子の体積中位粒径(D50)は5.1μmであった。
工程(2)で得た樹脂粒子付着コア粒子分散液を、80℃まで3時間かけて昇温した。その後、80℃で1時間保持した後、室温まで冷却した。この間で、トナー形状が樹脂粒子付着コア粒子から合一粒子へ変化した。合一粒子の体積中位粒径(D50)は 5.0μmであった。
合一粒子を含有した分散液を、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂粒子粉末を得た。洗浄工程では、合一粒子を含有した分散液を遠心脱水機(KOKUSAN社製 遠心分離機H−122)に添加し、周速47m/s(回転数3000rpm、直径30cm)で遠心させながら、脱イオン水を合一粒子中の樹脂100gに対し6±0.5Lの割合で混合し洗浄を行った。その後、更に1時間回転させ着色樹脂粒子粉末の含水量を減らした後、40℃に保持した真空乾燥機に放置し着色樹脂粒子粉末を乾燥させトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ1(日本アエロジル社製;RY50)2.5重量部、疎水性シリカ2(キャボット社製;キャボシールTS720)1.0重量部、及び有機微粒子(日本ペイント社製 ファインスフェアP2000)0.8重量部をヘンシェルミキサーを用いて外添し、マゼンタトナーAとした。マゼンタトナーAの体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
実施例5及び6(マゼンタトナーB及びCの製造)
着色剤含有樹脂粒子分散液Aを着色剤含有樹脂粒子分散液BまたはCに変えた以外は実施例4と同様にしてマゼンタトナーB及びCを調製した。マゼンタトナーB及びCの物性を表2に示す。
比較例4、5、6及び7(マゼンタトナーD、E、F及びGの製造)
着色剤含有樹脂粒子分散液Aを着色剤含有樹脂粒子分散液D、E、F及びHに変えた以外は実施例4と同様にしてマゼンタトナーD、E、F及びGを調製した。マゼンタトナーD、E、F及びGの物性を表2に示す。
比較例8(マゼンタトナーHの製造)
[工程1]
樹脂分散液J 250gに脱イオン水43g加え、離型剤分散液A 19.7gに脱イオン水0.8g、着色剤分散液A 26.3gを加え、両者を脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)16.1gを161gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10mL/分の速度で滴下した。その後、混合分散液を50℃まで昇温し、コア(凝集)粒子を形成させ、コア(凝集)粒子の体積中位粒径(D50)が4.2μmになるまで50℃の温度下で保持して、コア(凝集)粒子を
含有するコア(凝集)粒子分散液を得た。
[工程2]
工程(1)で得たコア(凝集)粒子分散液の温度を50℃に保持し、コア(凝集)粒子分散液に、樹脂分散液J 25gと着色剤分散液A 2.6gに脱イオン水3.2gを混合したものを0.8g/min(コア(凝集)粒子を構成する樹脂成分100重量部に対する樹脂粒子を構成する樹脂成分の添加速度0.32重量部/分)で滴下し、滴下終了後50℃で20分間保持した。この操作をさらに2回繰り返した後、樹脂分散液J 25gと着色剤分散液A2.6gに脱イオン水3.2gを混合したもの、及び、硫酸アンモニウム1.6gを脱イオン水21.5gに溶解させた水溶液を別々に0.8g/minで滴下し、その後20分間保持した。この操作をさらに1回繰り返した後、水溶性のオキサゾリン基を含有する重合体「WS700(日本触媒社製)」5.3gを添加し10分間攪拌を行った後、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分:28重量%)17.0gを脱イオン水323gで希釈した水溶液を添加して樹脂粒子付着コア粒子を形成した。この時、樹脂粒子付着コア粒子の体積中位粒径(D50)は5.1μmであった。
[工程3]
工程(2)で得た樹脂粒子付着コア粒子分散液を、80℃まで3時間かけて昇温した。その後、80℃で1時間保持した後、室温まで冷却した。この間で、トナー形状が樹脂粒子付着コア粒子から合一粒子へ変化した。合一粒子の体積中位粒径(D50)は 5.0μmであった。
合一粒子を含有した分散液を、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂粒子粉末を得た。洗浄工程では、合一粒子を含有した分散液を遠心脱水機(KOKUSAN社製 遠心分離機H−122)に添加し、周速47m/s(回転数3000rpm、直径30cm)で遠心させながら、脱イオン水を合一粒子中の樹脂100gに対し6±0.5Lの割合で混合し洗浄を行った。その後、更に1時間回転させ着色樹脂粒子粉末の含水量を減らした後、40℃に保持した真空乾燥機に放置し着色樹脂粒子粉末を乾燥させトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ1(日本アエロジル社製;RY50)2.5重量部、疎水性シリカ2(キャボット社製;キャボシールTS720)1.0重量部、及び有機微粒子(日本ペイント社製 ファインスフェアP2000)0.8重量部をヘンシェルミキサーを用いて外添し、マゼンタトナーHとした。マゼンタトナーHの体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
以上のように得られたマゼンタトナーA〜Hの各々について、下記のように評価を行った。結果を表2に示す。
[印字画像の画像濃度測定]
市販のプリンタ(沖データ社製、「ML5400」)を用いてA4サイズのエクセレントホワイト紙(沖データ社製 80g/m2紙)に印字し、べた画像を出力し、該画像を測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し、画像濃度を測定した。
[現像ローラ上のトナーの帯電量の測定]
べた画像を上記プリンタを用いて、現像ローラ上のトナー量が0.3から0.36mg/cm2になるようにして印字し、A4の半分まで転写した時点でマシンを停止させ、現像ローラ上の両端から3cmの部分に1cm×2cmの冶具をそれぞれ取り付け、Q/mメーター(Trek社製:210HS)を用いてトナーを採取した。その時の帯電量の値を採取したトナー重量で除することでQ/mを算出した。帯電量の値が高いほど、帯電性が高いことを示す。
Figure 0005145178
本発明の製造方法によれば、塩基性水性媒体存在下で着色剤が変性するのを防止し、高い画像濃度及び帯電性を有する電子写真用トナーに用いる着色剤含有樹脂粒子分散液を得ることができることから、本発明の着色剤含有樹脂粒子分散液及びその製造方法は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに使用される電子写真用トナーの製造に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. (a)酸基を有する樹脂を、塩基性水性媒体中において中和し、樹脂分散液を得る工程、
    (b)工程(a)で得られた樹脂分散液を、[酸基を有する樹脂のフローテスター法による軟化温度(Ts)−20℃]以上かつ[酸基を有する樹脂のフローテスター法による軟化点(Tm)]以下の温度で、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:1、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:2、カラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:3、及びカラーインデックス・ピグメントレッド(Color Index Pigment Red)48:4から選ばれる少なくとも1種の着色剤と混合して着色剤と樹脂の混合分散液を得る工程、及び
    (c)工程(b)で得られた着色剤と樹脂の混合分散液に水性液を添加して、着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程、
    を有する着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法。
  2. 酸基を有する樹脂が、酸価が10〜35mgKOH/gのポリエステルを含有する、請求項1記載の着色剤含有樹脂粒子分散液の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により得られる着色剤含有樹脂粒子分散液。
  4. 請求項3記載の着色剤含有樹脂粒子分散液中の着色剤含有樹脂粒子を凝集及び合一して得られる電子写真用トナー。
  5. (1)請求項1又は2に記載の製造方法により着色剤含有樹脂粒子分散液を得る工程、及び(2)工程(1)で得られた着色剤含有樹脂粒子分散液の着色剤含有樹脂粒子を凝集及び合一する工程、
    を有する、電子写真用トナーの製造方法。
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