JP2008058950A - 樹脂乳化液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水系媒体中で、酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和して得られる樹脂乳化液であって、前記酸基を有する結着樹脂が、3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有する樹脂乳化液、その製造方法、上記樹脂乳化液を用いた電子写真用トナー。
【選択図】なし
Description
従来、結着樹脂として用いられる架橋されたポリエステルを調製する場合に使用される架橋成分としては、トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸が用いられることがあり、このようなものとして、例えば特許文献1には、イソフタル酸、テレフタル酸、及びその誘導体より選ばれた芳香族ジカルボン酸成分、トリメリット酸、及びその誘導体より選ばれた芳香族トリカルボン酸成分、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸、及びその無水物より選ばれたジカルボン酸成分、及び、プロポキシ化及び/又はエトキシ化したエーテル化ジフェノール成分からなる単量体組成物から生成されるポリエステルを使用するトナーが記載されている。
本発明は、架橋ポリエステルを用いた場合でも乳化が容易であり、樹脂の加水分解がほとんど発生せず、また、耐熱保存性に優れるトナーを得ることができる樹脂乳化液、その製造方法、該樹脂乳化液を用いて得られる耐熱保存性に優れた電子写真用トナー及びその製造方法に関する。
(1)水系媒体中で、酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和して得られる樹脂乳化液であって、前記酸基を有する結着樹脂が、3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有する樹脂乳化液、
(2)水系媒体中で、酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和する工程を含む樹脂乳化液の製造方法であって、前記結着樹脂が3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有する、樹脂乳化液の製造方法、
(4)(イ)水系媒体中で、3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有し、かつ酸基を有する結着樹脂を、塩基性化合物により中和して樹脂乳化液を得る工程、及び(ロ)得られた樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子を凝集・合一する工程、を有する、電子写真用トナーの製造方法、
に関する。
[酸基を有する結着樹脂]
酸基を有する結着樹脂(以下、単に「結着樹脂」ということがある)は、トナーにおける結着樹脂として用いられる樹脂であって、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が使用できる。なかでも、ポリエステルまたはスチレン−アクリル共重合体が好ましく、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルがより好ましい。結着樹脂中におけるポリエステルの含有量は60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。本発明においては、上記樹脂は、結着樹脂として単独で用いても良いが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
酸基を有する樹脂がポリエステルを含む場合、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよい。
具体的には、アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール:式(1):
上記ポリエステルは、結着樹脂として1種を単独で使用することもできるが2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、ポリエステルの重量平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、5,000〜150,000であることが好ましく、10,000〜120,000であることがより好ましく、数平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000が更に好ましい。
本発明の樹脂乳化液は、水系媒体中で、前記酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和して得られるものである。
水系媒体は、水を主成分とするものであり、環境保全の観点から、水の含有量は、水性媒体中80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。本発明では、実質的に有機溶媒を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を分散させることができる。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
前記塩基性水性媒体の使用量は、均一な樹脂乳化液を効果的に調製し得る点から、酸基を有する結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、20〜80重量部がさらに好ましい。
本発明においては、上記分散処理時に界面活性剤を添加することができる。その添加量は、分散工程での発泡抑制の観点及び最終的に得られる樹脂乳化液の乳化安定性の向上などを目的として、樹脂に対して好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、更に好ましくは1〜3重量%である。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
具体的には、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において、例えばポリエステルなどの酸基を有する樹脂粒子を着色剤などと共に、該樹脂粒子の軟化点未満、例えば10〜50℃程度の温度で攪拌して分散処理するなどの通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
中和を前記範囲の温度で行うことにより、中和が十分に行われ、次工程の乳化処理で大きな乳化粒子の生成が抑制され、また、加熱に特別な装置を必要としない。この点で、中和温度は、該樹脂のガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
さらに、加水分解抑制の観点から、中和は、常圧近傍で行うことがより好ましく、具体的には、80〜300kPaが好ましく、100〜200kPaがより好ましい。
この乳化工程においては、微細な樹脂乳化液を調製する観点から、中和された樹脂分散液を、該樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度に保持し、攪拌しながら、これに水性液を添加し、水性媒体中で乳化を行うことが好ましい。
また、乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、又加熱に特別の装置を必要としない。このことから、乳化を行う際の温度は、ガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また、軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
乳化開始時点は、用いる樹脂の酸価や中和度などにより任意に調整することができる。例えば、樹脂の酸価を高くしたり、中和度を高くすると樹脂の親水性が高くなり、少量の水性媒体と接触させることで乳化を開始させることができる。
このようにして得られた樹脂乳化液の固形分濃度は、乳化液の安定性及び後で実施される凝集工程での樹脂乳化液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、7〜45重量%がより好ましく、10〜40重量%がさらに好ましい。
樹脂乳化粒子中の樹脂の重量平均分子量は、耐加水分解性、耐久性及び定着性の観点から、5,000〜150,000であることが好ましく、10,000〜120,000であることがより好ましい。
[電子写真用トナー及びその製造方法]
次に、このようにして得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集させ(以下、凝集工程という)、さらに合一させる(以下、合一工程という)ことにより、本発明の電子写真用トナーが得られる。上記凝集及び合一は着色剤の存在下で行うことができ、着色剤は樹脂乳化液に含有されていてもよいし、着色剤の分散液を樹脂乳化液と混合して凝集、合一させてもよい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。凝集剤としては、界面活性剤の他、無機金属塩、2価以上の金属錯体、アンモニウム塩等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられ、アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等が挙げられる。その中でも、アルミニウム塩及びその重合体、アンモニウム塩が好ましく用いられる。特に、トナー粒子形状の制御の点からアンモニウム塩が好ましく、また、3価のアルミニウム塩及びその重合体は少ない添加量で凝集能力が高く、簡便に製造できるため好ましい。これらの凝集剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
アルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(1)で表わされるものが好ましい。
R1−O−(CH2CH2O)pSO3M1 (1)
式中、R1はアルキル基を示し、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜15のアルキル基が挙げられる。pは0〜15の平均付加モル数を示し、粒径制御の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の数である。M1は1価のカチオンを示し、粒径制御の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、アンモニウムである。
R2−Ph−SO3M2 (2)
式中、R2は直鎖のアルキル基を示し、式(1)のR1のうち直鎖のものと同じである。
Phはフェニル基、M2は1価のカチオンである。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、硫酸ナトリウム塩が好適に用いられる。
本発明においては、高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜10μmがより好ましく、2〜9μmが更に好ましい。
他の樹脂粒子には、特に制限はなく、例えば本発明の樹脂粒子と同様にして調製することができる。
上記他の樹脂粒子は、結着樹脂以外に、必要に応じて前記着色剤、離型剤、荷電制御剤、さらには界面活性剤、定着性向上剤などの添加剤を適宜含有することができる。
本発明においては、上記本発明の樹脂粒子の添加時期は、特に制限はないが、生産性の観点から、他の樹脂粒子への凝集剤の添加終了後、合一工程までの間であることが好ましい。
本発明の樹脂粒子と他の樹脂粒子の配合比(本発明の樹脂粒子/他の樹脂粒子)は、低温定着性と耐熱保存性を両立の観点から、重量比で0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5であり、更に好ましくは0.3〜1.0である。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。粒度分布は、同様の観点から、CV値は25以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下がさらに好ましい。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に代えて行った。
[樹脂及びトナーの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、重量平均分子量Mwを算出する。尚、樹脂乳化粒子の重量平均分子量は、樹脂乳化粒子を凍結乾燥により乾燥後測定をした。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂又は樹脂乳化液をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×107、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010,CCPE,AS−800(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン32g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2896g、テレフタル酸1524g、グリセリン83g及びオクチル酸スズ(エステル化触媒)20gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下235℃で3.5時間反応させて、ポリエステルAを得た。
ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2437g、テレフタル酸1552g、グリセリン138g及びオクチル酸スズ(エステル化触媒)21gを使用した以外は製造例1と同様にしてポリエステルBを得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン578g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2145g、テレフタル酸1826g、グリセリン253g及びオクチル酸スズ(エステル化触媒)20gを使用した以外は製造例1と同様にしてポリエステルCを得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン473g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1755g、テレフタル酸1419g、ソルビトール164g及びオクチル酸スズ(エステル化触媒)19gを使用し、反応時間を5.5時間とした以外は、製造例1と同様にしてポリエステルDを得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8kPa)下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステルEを得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルFを得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2205g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン878g、テレフタル酸762g、ドデセニルコハク酸無水物941g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)25gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下235℃で6時間反応させた後、減圧下で3時間反応させた。その後、無水トリメリット酸173gを加え、215℃で常圧下で1時間反応させた後、減圧下で反応を行い、ASTM D36−86に準拠して測定した軟化点が112℃に達するまで反応させ、ポリエステルGを得た。
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステルA 600g、銅フタロシアニン顔料(ECB−301:大日精化工業社製)30g、及び、非イオン性界面活性剤[「エマルゲン430(花王社製)」、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)]6g、陰イオン性界面活性剤[「ネオペレックスG−15(花王社製)」、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(濃度:15重量%)]20g及び、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)を252g加え、カイ型の攪拌機で250r/minの攪拌下、95℃、常圧(101.3kPa)下で分散させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌されたのち、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1118gを6g/分で滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液1を得た。
ポリエステルAを表2に示すポリエステルに代えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4及び比較例1、2を行い、樹脂乳化液2〜6を得た。なお、比較例1では、脱イオン水を滴下したが転相が起こらず、乳化できなかった。
5リットル容のステンレス釜でポリエステルF 105g、ポリエステルE 195g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王社製)」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=30モル付加)、曇点:100℃以上、HLB:16.2)3g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王社製)」(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分15重量%、水分85重量%))40g、銅フタロシアニン顔料(ECB−301、大日精化工業社製)15g、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)138g(ポリエステルAを100%中和するのに必要な量)をカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌する。その後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水568gを3g/分で滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して樹脂乳化液7を得た。金網上には樹脂成分は何も残らなかった。樹脂乳化液7の粒径は0.15μm、CV26であった。
また、樹脂乳化液の各々について、以下のように加水分解性評価を行った。結果を表2に示す。
樹脂及び樹脂乳化粒子の重量平均分子量を測定し、樹脂乳化液作製時のアルカリによる加水分解性を確認した。すなわち、使用した樹脂及び樹脂乳化粒子の重量平均分子量Mw1及びMw2をそれぞれ前述の方法により測定し、重量平均分子の変化率を加水分解変化率として、下記の式より算出した。樹脂乳化粒子中の固形分は90重量%以上結着樹脂により構成されていることから、樹脂乳化粒子の重量平均分子量Mw2は、実質、樹脂乳化粒子中の結着樹脂の重量平均分子量とみなしうる。結果を表2に以下の基準で示す。
加水分解変化率(%)=(樹脂乳化粒子の重量平均分子量Mw2/使用した樹脂の重量平均分子量Mw1)×100
A:加水分解変化率が90%以上ではほとんど加水分解が見られない
B:加水分解変化率が80%以上90%未満で若干の加水分解は見られるものの、実用上問題ない。
C:加水分解変化率が70%以上80%未満で、加水分解が見られる。
D:加水分解変化率が70%未満加水分解が顕著であり、実用上問題がある。
樹脂乳化液1 400gを2リットル容の容器で室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、この混合物に凝集剤として硫酸アンモニウム(分子量:132.14)6.30gを104gの脱イオン水に溶かして水溶液(pH:6.1、0.25mmol/L)にしたものを室温で15分かけて滴下した。その後、混合分散液を1℃/5minで昇熱し凝集粒子を形成させ、85℃になった時点で85℃に固定して1.5時間攪拌したのち加熱をとめた。
室温まで除冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末(トナー母粒子)を得た。トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は4.5μmであった。
このトナー母粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー社製、「TS530」、1次個数平均粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーでは、市販のフルカラープリンタにより良好な画像が得られた。なお、得られたトナーの軟化点は102.5℃、ガラス転移点は57.1℃であった。
樹脂乳化液1を表3に示すように代えた以外は、実施例5と同様にして実施例6〜8及び比較例3を行い、トナーを得た。
以上の得られたトナーの性状(トナー母粒子の体積中位粒径(D50)、トナーの軟化点、ガラス転移点)を表3に示す。
樹脂乳化液7 200g、脱イオン水52gを2リットル容の容器に入れ、次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、室温で0.45mol/L硫酸アンモニウム水溶液253gを30分かけて滴下した。その後、攪拌しながら、0.16℃/minの昇温速度で昇熱し、凝集粒子を形成させ、57℃になった時点で57℃に固定し、3時間保持した。これにより凝集粒子を得た。
得られた凝集粒子を57℃で保持しつつ、樹脂乳化液1 208gと脱イオン水54gの混合液を1g/minの速度で滴下した。滴下終了し30分後、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分28重量%)4.2gを脱イオン水37gで希釈した希釈液を添加した。
希釈液添加30分後に80℃まで0.16℃/minで昇温し、80℃になった時点から1時間80℃を保持したのち、加熱を終了した。
室温まで徐冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー母粒子を得た。
このトナー母粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー社製、「TS530」、1次個数平均粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたトナーの体積中位粒径D50は、5.0μmであった。
[トナー保存性試験]
20ml容の開封系のポリビンにトナー10gをいれ、温度50℃の環境下に48時間放置した。放置後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)で、凝集度を測定し、トナー保存性を下記基準で評価した。結果を表3に示す。なお、具体的にパウダーテスターを使用した凝集度は次のように求めた。
パウダーテスターの振動台に、3つの異なる目開きのフルイを上段250μm、中段149μm、下段74μmの順でセットし、その上にトナー2gを乗せ振動を行い、各フルイ上に残ったトナー重量を測定する。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー重量)/2[g]×100
b=(中段フルイ残トナー重量)/2[g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー重量)/2[g]×100×(1/5)
評価基準
A:凝集度が10未満で保存性が極めて良好であった。
B:凝集度が10以上20未満で保存性が良好であった。
C:凝集度が20以上で保存性が悪かった。
Claims (8)
- 水系媒体中で、酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和して得られる樹脂乳化液であって、前記酸基を有する結着樹脂が、3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有する樹脂乳化液。
- 3価以上の多価アルコールが3〜6価の脂肪族多価アルコールである、請求項1記載の樹脂乳化液。
- 3価以上の多価アルコールがグリセリンである、請求項1又は2に記載の樹脂乳化液。
- 酸基を有する結着樹脂の酸価が6〜30mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂乳化液。
- 水系媒体中で、酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和する工程を含む樹脂乳化液の製造方法であって、前記結着樹脂が3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有する、樹脂乳化液の製造方法。
- 中和を前記結着樹脂のガラス転移点以上、軟化点以下の温度で行い、次いで中和された樹脂乳化液に前記結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度で水性媒体を添加する、請求項5記載の樹脂乳化液の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子を凝集・合一して得られる電子写真用トナー。
- (イ)水系媒体中で、3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含む原料モノマーから得られるポリエステルを含有し、かつ酸基を有する結着樹脂を塩基性化合物により中和して樹脂乳化液を得る工程、及び(ロ)得られた樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子を凝集・合一する工程、を有する、電子写真用トナーの製造方法。
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