JP2016131933A - 中空粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、簡略な製法で多様な組成や構造の中空粒子を実現できる中空粒子の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の中空粒子の製造方法は、粒子の内部に空孔を有する中空粒子を液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
(A)第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程と、
(B)工程(A)で気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
(C)工程(B)で作製された液滴粒子を、固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空粒子の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、簡略な製法で多様な組成や構造の中空粒子を実現できる中空粒子の製造方法に関する。
断熱性や軽量性、光散乱性などを付与する機能部材として、中空粒子が開発、販売されている。しかしながら、シード粒子を作製して更に重合を重ねたり、油中水(W/O)型エマルジョンを調製し、これを水中油中水(W/O/W)型複合エマルジョンとしたり、熱可塑性高分子の壁膜内に低沸点液体を含有する熱膨張性マイクロカプセルを作製したのち加熱膨張させたりと、一般的に用いられている中空粒子の製造方法は、複雑であるという問題がある。
これに対して、気体を鋳型にすることによって中空粒子を簡略に製造することを目指した発明がなされている。このような発明として、例えば、特許文献1に記載の技術では重合性単量体を気化して気液界面で重合させる、特許文献2に記載の技術では気泡表面で液中物質の重合を行う、特許文献3に記載の技術では液相中の物質の重合を気相の触媒で促進するものなどが挙げられる。
しかしながら、これらの技術では、基本的に不安定な構造である気泡の形成後に中空粒子の前駆体形成が行われるために、安定的に中空粒子を製造することが難しい。加えて、特許文献1に記載の技術では気化できる重合性単量体が、特許文献2に記載の技術では気泡表面に選択的に吸着する重合性物質が、特許文献3に記載の技術では気化できる触媒が、それぞれ必須であり、中空粒子の製造に用いることが可能な物質が強く限定される、という問題がある。
特開2011−245452号公報 特開2007−21315号公報 特開2007−196223号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、簡略な製法で多様な組成や構造の中空粒子を実現できる中空粒子の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程(A)と、工程(A)で気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程(B)と、を有せば、気体を内包した樹脂液滴の分散液を作製できることを見いだした。
また、本発明者は、工程(B)で作製された液滴粒子を固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程(C)を経ることで、簡略な製法で多様な組成や構造を実現した中空粒子を製造できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.粒子の内部に空孔を有する中空粒子を液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
(A)第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程と、
(B)前記工程(A)で前記気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
(C)前記工程(B)で作製された液滴粒子を、固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
を有することを特徴とする中空粒子の製造方法。
2.前記第1の分散媒が、有機溶媒又は重合性単量体であることを特徴とする第1項に記載の中空粒子の製造方法。
3.前記樹脂液が、油溶性界面活性剤を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の中空粒子の製造方法。
4.前記第2の分散媒が、水溶性溶媒であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
5.前記液滴粒子の分散液が、水溶性界面活性剤を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
6.前記樹脂液の25℃における粘度が、10mPa・s以上であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
7.前記固体化が、前記第1の分散媒を除去することで行われることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
8.前記固体化が、前記液滴粒子を重合することで行われることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
9.前記工程(B)と、前記工程(C)との間に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程を更に有することを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
本発明の上記手段により、簡略な製法で多様な組成や構造の中空粒子を実現できる中空粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者は、気体を内包した液滴を中空粒子の前駆体として直接形成すれば、上記問題を回避できると考えて検討を行った。
本発明者は、上記工程(A)により、樹脂液に気体を注入して気泡を含む樹脂液を作製し、これを第2の分散媒に注入した場合、中空粒子の前駆体となる、気体を内包した樹脂液滴(液滴粒子)を形成しつつ、当該樹脂液滴の分散液を作製できる(上記工程(B))ことを見いだした。
そして、本発明者は、当該分散液中の、気体を内包した液滴粒子を固体化し、さらに、第2の分散媒から単離すれば(上記工程(C))、一般的に用いられている中空粒子の製造方法のような複雑な方法ではなく、簡略な製法で多様な組成や構造を実現した中空粒子を製造できることを見いだし本発明に至った。
本発明の製造方法によって製造される中空粒子の一例を示す概略図 本発明の製造方法によって製造された中空粒子のSEM写真の一例
本発明の中空粒子の製造方法は、粒子の内部に空孔を有する中空粒子を液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、(A)第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程と、(B)前記工程(A)で前記気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、(C)前記工程(B)で作製された液滴粒子を、固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程とを有することを特徴とする。この特徴は請求項1から請求項9までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記第1の分散媒は、有機溶媒又は重合性単量体であることが、高温や高圧にする必要なく容易に樹脂液を調製できるため、低コストかつ安全であることから好ましい。
本発明においては、前記樹脂液は、油溶性界面活性剤を含有することが、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
本発明においては、前記第2の分散媒は、水溶性溶媒であることが中空粒子の収率が向上することから好ましい。
本発明においては、前記液滴粒子の分散液が、水溶性界面活性剤を含有することが中空粒子の収率が向上することから好ましい。
本発明においては、前記樹脂液の25℃における粘度が、10mPa・s以上であることが中空粒子の収率が向上することから好ましい。
本発明においては、前記固体化が、前記第1の分散媒を除去することで行われることが本発明の効果発現の観点から好ましい。
本発明においては、前記固体化が、前記液滴粒子を重合することで行われることが本発明の効果発現の観点から好ましい。
本発明においては、前記工程(B)と、前記工程(C)との間に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程を更に有することが微細な中空粒子を形成できることから好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪中空粒子の製造方法の概要≫
本発明の中空粒子の製造方法は、粒子の内部に空孔を有する中空粒子を液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
(A)第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程と、
(B)前記工程(A)で前記気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
(C)前記工程(B)で作製された液滴粒子を、固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
を有することを特徴とする。
なお、図1は、本発明の製造方法によって製造される中空粒子の一例を示す概略図である。
ここで、図1に示す例において、中空粒子1は、粒子の内部に空孔3を有する。空孔とは、空気等のガス、真空空間等が存在している部分をいう。中空粒子1における空孔の外側部分は外郭(シェル2ともいう)とも呼ばれる。
以下、本発明の中空粒子の製造方法が有する上記工程(A)〜(C)について、詳細に説明する。
[工程(A)]
工程(A)は、第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程である。
<気体の注入方法>
気体を注入させる方法は、気体を内包した液滴(樹脂液の泡)を作製できるものであれば、特に限定されず、具体的には、例えば、バブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して空気を注入する方法が挙げられる。また、このほか、樹脂液を撹拌して泡立てることで、気体を内包した液滴(樹脂液の泡)を作製するなどしてもよい。
<樹脂液>
樹脂液とは、樹脂を溶融や溶解によって液状化したものである。中でも、第1の分散媒を含有する樹脂液が、高温や高圧にする必要なく容易に樹脂液を調製できるので望ましい。なお、樹脂としては、当該第1の分散媒に溶解されるものであれば、高温や高圧にする必要なく容易に樹脂液を調製でき、低コストかつ安全であるため好ましい。
樹脂液は、さらに、油溶性界面活性剤を含有することが、樹脂液に気体を内包させた状態を維持しやすくなり、この結果、気体を内包しない液滴から生じる中実粒子が減少し、中空粒子の収率が上がるため好ましい。
また、樹脂液の25℃における粘度は、10mPa・s以上であることが、樹脂液に気体を内包させた状態を維持しやすくなり、この結果、中空粒子の収率が向上することから好ましく、更に好ましくは、100mPa・s以上である。
また、樹脂液の25℃における粘度の上限は、気体を内包させる装置の取り扱い粘度上限によって既定される。一般的な攪拌機を用いる場合には50万mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは75000mPa・s以下である。
(粘度の測定)
粘度の測定方法は、特に限定されず、既知の方法であればよいが、共軸二重円筒型、単一円筒型回転式粘度計(B型)、コーンプレート型(E型)等の回転式粘度計が望ましく、後述の本願の実施例ではコーンプレート型粘度計を用いて測定した。
(樹脂)
本発明に係る樹脂液に含有される樹脂としては、有機溶媒や重合性単量体などの第1の分散媒に溶解させる等で液化することが可能な樹脂であればよく、市販、又は別途作製された高分子を用いることができ、具体的には、例えば、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
また、樹脂液に含有される樹脂としては、樹脂の原料である重合性単量体の一部を気体の注入前に重合することによって作製した高分子を用いることもできる。
(油溶性界面活性剤)
界面活性剤は親水基と親油基の組合せによって構成されているが、親水基及び親油基の種類は極めて多数にのぼり、その組合せによってできる界面活性剤の種類も極めて多い。本発明に係る油溶性界面活性剤としては、有機溶媒又は重合性単量体に溶解し、気体の分散安定性を発揮するものであれば、特に限定されず、好適に用いることができる。
なお、このような油溶性界面活性剤を樹脂液が含有することで、上述のように、有機溶媒又は重合性単量体中において、気体の分散安定性が向上し、好適に気体を内包した液滴粒子を作製することができ、この結果、気体を内包しない液滴から生じる中実粒子が減少し、中空粒子の収率が上がるため好ましい。
油溶性界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩や、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩や、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドなどの組合せ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどを挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記界面活性剤の代わりに、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独若しくは共重合体からなる、ビニル系ポリマーなどの分散安定化力を有する物質を用いることができる。
さらに、市販品も使用でき、具体的には、例えば、花王株式会社製レオドールSP−L10や、日油株式会社製モディパーF606などが挙げられる。
<第1の分散媒>
第1の分散媒は、上記樹脂を、溶解する等により液化できるものであれば特に限定されないが、有機溶媒又は重合性単量体であることが好ましい。
(有機溶媒)
本発明に好適に使用できる有機溶媒は、上記樹脂を溶解した状態で水に分散可能なものであればよく、特に限定されず、例えば、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、塩化メチレン等が挙げられる。
(重合性単量体)
重合性単量体としては、上記樹脂を溶解した状態で水に分散可能なものであれば、特に限定されず、具体的には、例えば、以下の(1)〜(8)に示すものが挙げられる。
(1)スチレン系単量体
スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなどが挙げられる。
(2)(メタ)アクリル酸エステル系単量体
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートフェニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
(3)オレフィン類
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどが挙げられる。
(4)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどが挙げられる。
(5)ビニルエーテル類
ビニルエーテル類としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。
(6)ビニルケトン類
ビニルケトン類としては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
(7)N−ビニル化合物類
N−ビニル化合物類としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
(8)多官能ビニル単量体
多官能ビニル単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキシレングリコールジメタクリレート、ヘキシレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどの3級以上のアルコールのジメタクリレート及びトリメタクリレートなどが挙げられる。
(9)その他
上述のもの以外にも、例えば、ブタジエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、無水マレイン酸などが挙げられる。
<注入可能な気体>
注入可能な気体としては、工程(A)〜工程(C)の間で気体であればよいが、安定性や安全性から、例えば、空気や不活性気体(ヘリウム、アルゴン、窒素、二酸化炭素など)が望ましい。
[工程(B)]
工程(B)は、工程(A)で気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程である。
この液滴粒子の分散液は、水溶性界面活性剤を含有することが、液滴粒子の凝集を防ぐことによって、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
(液滴粒子)
本発明に係る液滴粒子とは、第2の分散媒中に形成される、本発明に係る樹脂液の粒子である。当該液滴粒子は、上記樹脂液をシェルとして、気体を内包した状態(中空を有する状態)で、第2の分散媒中に分散できる。
(水溶性界面活性剤)
上述のように、界面活性剤は、親水基と親油基の組合せによって構成されているが、親水基及び親油基の種類は極めて多数にのぼり、その組合せによってできる界面活性剤の種類も極めて多い。本発明に係る水溶性界面活性剤としては、水溶性溶媒に溶解し、液滴粒子の分散安定性を発揮するものであれば、特に限定されず、好適に用いることができる。
なお、液滴粒子の分散液が、このような水溶性界面活性剤を含有すれば、液滴粒子の分散安定性が向上し、この結果、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
水溶性界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩や、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩や、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドなどの組合せ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどを挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記界面活性剤の代わりに、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独若しくは共重合体からなるビニル系ポリマーなどの分散安定化力を有する物質を水溶性界面活性剤として用いることができる。
<第2の分散媒>
第2の分散媒は、気体を内包させた液滴粒子を分散させることができるものであれば特に限定されないが、水溶性溶媒であることが、第1の分散媒が有機溶媒又は重合性単量体である場合に、樹脂液が過度に溶解するなどせず、ひいては、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
(水溶性溶媒)
水溶性溶媒としては、水に無限に溶ける溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。この中でも、特に、水であることが環境への負荷が小さい、安全性が高い、有機溶媒や重合性単量体の溶解性が低い、などのため好ましい。なお、水は、特に限定されず、例えば、イオン交換水や、蒸留水が好適に用いられる。
[工程(C)]
工程(C)は、工程(B)で作製された液滴粒子を、固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程である。
<固体化の方法>
前記固体化の方法は特に限定されないが、樹脂液として、重合性単量体に樹脂を溶解させた液体を用いる場合は、熱や光などと開始剤による重合を用いることができる。また、樹脂液として、非重合性の有機溶媒(第1の分散媒)に樹脂を溶解させた液体を用いる場合は、減圧留去や水蒸気蒸留などによる、第1の分散媒を除去する方法を用いることができる。
(液滴粒子を重合する方法)
既知の方法であればよく、具体的には、重合開始剤存在下で適当な温度に保ったり、光を照射したりする方法が代表的であるが、ガンマ線や電子線を照射する等も挙げられる。
重合開始剤は、使用する溶媒(第1の分散媒又は第2の分散媒)によって分類すれば、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤の2種類に大別される。
水溶性重合開始剤としては、用いる第2の分散媒や重合性単量体の沸点よりも低い温度で重合開始能を発揮することができるものであればよく、過硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などを用いることができる。
これらの水溶性重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
油溶性重合開始剤としては、用いる溶媒や重合性単量体の沸点よりも低い温度で重合開始能を発揮することができるものであればよく、例えば、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを用いることができる。
これらの油溶性重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<単離の方法>
固体化した液滴粒子を単離する方法は特に限定されず、公知のものを使用でき、具体的には、例えば、上記固体化された液滴粒子を含有する液体を吸引濾過した後、イオン交換水を用いた洗浄を行い、バット等に広げて乾燥させることで単離してもよい。他には、遠心分離とイオン交換水の追加を繰り返す、イオン交換水を加えながらの限外濾過を行った後の凍結乾燥などが挙げられる。
なお、前記工程(B)と、前記工程(C)との間に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程を更に有していてもよい。このような工程を有すれば、微細な中空粒子を形成できることから好ましい。
(分割する方法)
分割する方法としては、特に限定されないが、例えば、細孔を有する膜などに気体を内包した液滴粒子の分散液を通すことで、気体を内包した液滴粒子を更に分割し、より細かい気体を内包した液滴粒子を得ることができる。
さらに、その細孔が均一な場合、気体を内包した液滴粒子を分割する際に、分割後の粒径をそろえることができる。具体的な方法例としては、SPG膜(SPGテクノ株式会社製)を用いることを挙げることができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[実施例(1)]
ポリスチレン(樹脂、DIC株式会社製HP−555)3質量部を、トルエン(第1の分散媒)12質量部に溶解させた。更に油溶性界面活性剤(花王株式会社製レオドールSP−L10)0.35質量部を加えて溶解させ、樹脂液を調製した。当該樹脂液の25℃における粘度は、1056mPa・sであった。
この樹脂液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して空気を注入して、気泡を含んだ樹脂液を調製した(工程(A))。
なお、粘度の測定は、25℃にて東京計器(株)製VISCONIC ELD−Rで行った。
次に、ポリビニルアルコール(水溶性界面活性剤、関東化学株式会社製ポリビニルアルコール500、表1では「PVA」と記載。)22.5質量部をイオン交換水(第2の分散媒)450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ樹脂液を注入し、気体を内包した液滴粒子の分散液(白色液〔1〕)を調製した(工程(B))。
この白色液〔1〕に、加温しながら水蒸気を吹き込むことで、トルエンを除去(水蒸気蒸留)し、液滴粒子を固体化した。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔1〕を得た(工程(C))。
(中空粒子の観測)
この白色粉体〔1〕を光硬化性の包埋樹脂D−800(日本電子(株)製)中に包埋した。この包埋片を液体窒素に浸漬して割った断面を作製し、これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒径が5〜100μm程度の、内部に空間を有し緻密な表面を有する球状の中空粒子であることが観察された(図2参照。)。
[実施例(2)]
シクロオレフィンポリマー(樹脂、日本ゼオン製Zeonex 330R)3質量部を、トルエン12質量部に溶解させた。さらに、油溶性界面活性剤(日油株式会社製モディパーF606)0.35質量部を加えて溶解させ、樹脂液を調製した。当該樹脂液の25℃における粘度は、960mPa・sであった。
この樹脂液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して空気を注入して気泡を含んだ樹脂液を調製した(工程(A))。
ラウリル硫酸ナトリウム(水溶性界面活性剤、花王株式会社製エマール2FG)22.5質量部をイオン交換水450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ液体を注入し、気体を内包した液滴粒子の分散液(白色液〔2〕)を調製した(工程(B))。
この白色液〔2〕を減圧留去して、トルエンを除去し、液滴粒子を固体化した。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔2〕を得た(工程(C))。
この白色粉体〔2〕を実施例(1)と同様に観察したところ、粒径が5〜100μm程度の、内部に空間を有し緻密な表面を有する球状の中空粒子であることが観察された。
[実施例(3)]
ポリスチレン(樹脂、DIC株式会社製HP−555)3質量部を、重合性単量体であるスチレンモノマー(第1の分散媒、日本オキシラン株式会社製)12質量部に溶解させた。更に油溶性界面活性剤(花王ケミカル製レオドールSP−L10)0.35質量部と油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)0.183質量部を加えて溶解させ、樹脂液を調製した。当該樹脂液の25℃における粘度は、936mPa・sであった。
この樹脂液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して窒素ガスを注入して気泡を含んだ樹脂液を調製した(工程(A))。
ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製ポリビニルアルコール500)22.5質量部をイオン交換水450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ樹脂液を注入し、気体を内包した液滴粒子の分散液(白色液〔3〕)を調製した(工程(B))。
この白色液〔3〕を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、一夜放置した(重合による固体化)。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔3〕を得た(工程(C))。
この白色粉体〔3〕を実施例(1)と同様に観察したところ、粒径が5〜100μm程度の、内部に空間を有し緻密な表面を有する球状の中空粒子であることが観察された。
[実施例(4)]
ポリスチレン(樹脂、DIC株式会社製HP−555)3質量部を、スチレンモノマー(日本オキシラン株式会社製)11.3質量部とネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)0.7質量部との混合溶液(第1の分散媒)に溶解させた。更に油溶性界面活性剤(花王ケミカル製レオドールSP−L10)0.35質量部と油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)0.183質量部を加えて溶解させ、樹脂液を調製した。当該樹脂液の25℃における粘度は、948mPa・sであった。
この溶液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して窒素ガスを注入して気泡を含んだ樹脂液を調製した(工程(A))。
ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製ポリビニルアルコール500)22.5質量部をイオン交換水450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ液体を注入し、気体を内包した液滴粒子の分散液(白色液〔4−1〕)を調製した(工程(B))
この白色液〔4−1〕を、細孔径4.9μmのSPG膜(SPGテクノ株式会社製)に送液圧350kPaで通して、液滴粒子を分割し、白色液〔4−2〕を得た(液滴粒子を分割する工程)。
この白色液〔4−2〕を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、一夜放置した。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔4〕を得た。この白色粉体〔4〕を実施例(1)と同様に観察したところ、粒径が1〜2μm程度の、内部に空間を有する球状の中空粒子であることが観察された。
[実施例(5)]
重合性単量体であるスチレンモノマー(日本オキシラン株式会社製)15質量部に油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)0.183質量部を加えて溶解させた。
この溶液を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち55℃まで昇温し、55℃で2時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、上記スチレンモノマーの一部を重合させ、高分子を作製した。
この溶液に油溶性界面活性剤(花王ケミカル製レオドールSP−L10)0.35質量部を加えて溶解させ、樹脂液を調製した。当該樹脂液の25℃における粘度は、920mPa・sであった。
この樹脂液に、バブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して窒素ガスを注入して気泡を含んだ樹脂液を調製した(工程(A))。
ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製ポリビニルアルコール500)22.5質量部をイオン交換水450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ液体を注入し、気体を内包した液滴粒子の分散液(白色液〔5〕を調製した(工程(B))。
この白色液〔5〕を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、一夜放置した。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔5〕を得た(工程(C))。
この白色粉体〔5〕を実施例(1)と同様に観察したところ、粒径が5〜100μm程度の、内部に空間を有する球状の中空粒子であることが観察された。
[比較例(1)]
スチレンモノマー(日本オキシラン株式会社製)15質量部に、界面活性剤(花王ケミカル製レオドールSP−L10)0.35質量部と油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)0.183質量部を加えて溶解させた。この液体の25℃における粘度は、1mPa・sであった。
この溶液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して窒素ガスを注入して気泡を含んだ液体を調製した。
ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製ポリビニルアルコール500)22.5質量部をイオン交換水450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ液体を注入すると、白色液〔6−1〕が得られた。
この白色液〔6−1〕を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、一夜放置した。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔6〕を得た。この白色粉体〔6〕を実施例(1)と同様に観察したところ、粒径が5〜100μm程度の、内部に空間を有さない球状の粒子であることが観察された。
[比較例(2)]
スチレンモノマー(日本オキシラン株式会社製)14.3質量部とネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)0.7質量部の混合溶液を調製し、更に界面活性剤(花王ケミカル製レオドールSP−L10)0.35質量部と油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)0.183質量部を加えて溶解させた。この液体の25℃における粘度は、1mPa・sであった。
この溶液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して窒素ガスを注入して気泡を含んだ液体を調製した。
ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製ポリビニルアルコール500)22.5質量部をイオン交換水450質量部に溶解させ、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ液体を注入すると、白色液〔7〕が得られた。
この白色液〔7〕を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、一夜放置した。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔7〕を得た。この白色粉体〔7〕を実施例(1)と同様に観察したところ、粒径が5〜100μm程度の、内部に空間を有さない球状の粒子であることが観察された。
表1に、実施例(1)〜実施例(5)並びに比較例(1)及び比較例(2)の構成をまとめた。
1 中空粒子
2 シェル
3 空孔

Claims (9)

  1. 粒子の内部に空孔を有する中空粒子を液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
    (A)第1の分散媒を含有する樹脂液に気体を注入する工程と、
    (B)前記工程(A)で前記気体が注入された樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した液滴粒子を作製し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
    (C)前記工程(B)で作製された液滴粒子を、固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
    を有することを特徴とする中空粒子の製造方法。
  2. 前記第1の分散媒が、有機溶媒又は重合性単量体であることを特徴とする請求項1に記載の中空粒子の製造方法。
  3. 前記樹脂液が、油溶性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空粒子の製造方法。
  4. 前記第2の分散媒が、水溶性溶媒であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
  5. 前記液滴粒子の分散液が、水溶性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
  6. 前記樹脂液の25℃における粘度が、10mPa・s以上であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
  7. 前記固体化が、前記第1の分散媒を除去することで行われることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
  8. 前記固体化が、前記液滴粒子を重合することで行われることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
  9. 前記工程(B)と、前記工程(C)との間に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程を更に有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の中空粒子の製造方法。
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