JP5006002B2 - 樹脂乳化液の製造方法 - Google Patents
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Description
このような触媒に関する技術として、例えば、特許文献1には、高画質、高精細、高品位を目的として、着色剤、離型剤、及び極性樹脂を含有するトナー粒子と無機微粉体とを含み、水系媒体中で造粒して得られるトナーにおいて、極性樹脂が、触媒として炭素数5〜15のアルキルカルボン酸のスズ化合物を使用して重合したポリエステル樹脂を含有するトナーが開示されている。また、特許文献2には、帯電の立ち上がり性やカブリの発生に着目して、Sn−O結合を有する無機錫(II)化合物からなるトナー用ポリエステル製造用触媒が開示されている。
しかしながら、前記の特許文献1の技術では、樹脂の分散性が十分でなく、粒度分布のシャープなトナーを得ることが困難であり、トナー製造時における樹脂の耐加水分解性も満足し得るものではなかった。また、特許文献2は、水系媒体中で造粒を行う技術に関するものではない。
(1)非有機溶剤系の塩基性水性媒体中で、ポリエステルを含む結着樹脂を乳化して得られる樹脂乳化液であって、該ポリエステルが、Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むものであるトナー用樹脂乳化液、
(2)(a)Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むポリエステルを含有する結着樹脂を、非有機溶剤系の塩基性水性媒体中において分散させる工程、(b)前記(a)工程で得られた分散液を中和する工程、及び(c)前記(b)工程で中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で該樹脂を乳化する工程、を有する、トナー用樹脂乳化液の製造方法、
(3)上記(1)に記載の樹脂乳化液中の乳化粒子を、凝集・合一して得られる電子写真用トナー、及び
(4)(イ)上記(2)記載の方法により樹脂乳化液を製造する方法、及び(b)奥邸(ロ)で得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を、非有機溶剤系の水性媒体中で凝集・合一する工程、を有する電子写真用トナーの製造方法
に関する。
本発明の樹脂乳化液は、非有機溶剤系の塩基性水性媒体中で、ポリエステルを含む結着樹脂を乳化して得られる樹脂乳化液であって、該ポリエステルが、Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むものである。
上記樹脂乳化液は、(a)Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むポリエステルを含有する結着樹脂を、非有機溶剤系の塩基性水性媒体中において分散させる工程、(b)前記(a)工程で得られた分散液を中和する工程、及び(c)前記(b)工程で中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で該樹脂を乳化する工程、を有する製造方法により得ることができる。以下、各工程について説明する。
この工程は、Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むポリエステルを含有する結着樹脂を、非有機溶剤系の塩基性水性媒体中において分散させる工程である。
Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むポリエステルを含有する結着樹脂としては、ポリエステルとともに、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が使用できる。なかでも、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステル以外にスチレン−アクリル共重合体が好ましく、ポリエステルを主成分とするものがより好ましい。結着樹脂中におけるポリエステルの含有量は60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。本発明においては、結着樹脂としてポリエステルとともに上記他の樹脂を1種組み合わせて用いても良いが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらのアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
これらのカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられるポリエステル中には、Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で上記アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合反応させることにより得られるポリエステルを80重量%以上含有する。
本発明は、ポリエステル製造用触媒として機能する上記錫化合物が、樹脂の分散性、トナーの粒度分布、トナーの製造時の耐加水分解性等の向上に有効であるという新たな知見からなされたものである。
このような錫化合物により、上記効果が発揮される機構は明確ではないが、錫化合物が有するSn(錫)とO(酸素)、ハロゲン原子等との結合間の電子密度の偏りが大きく影響し、さらにポリエステルとの相溶性の向上効果による錫化合物の均一分散が、上記効果のより一層の向上をもたらしているものと推定される。
Sn−O結合を有する化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、2−エチルヘキサン酸錫(II),ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫;ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫;酸化錫(II);硫酸錫(II)等が挙げられる。また、Sn−X結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫等が挙げられる。本発明においては、Sn−O結合を有する化合物がより好ましい。
これらの錫化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
R1R2CH COO−Sn−OOC CHR1R2 (1)
(式中、R1は炭素数4〜11の直鎖アルキル基を示し、R2はアリール基又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
一般式(1)において、R1で表わされる炭素数4〜11の直鎖アルキル基としては、ポリエステル製造時における安定性の点から、好ましくは、炭素数4〜8の直鎖アルキル基である。R2で表わされるアリール基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基などが挙げられるが、ケミカルトナー製造時における耐加水分解性の点から、好ましくは、トリル基である。また、R2で表わされる炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、エチル基、イソプロピル基、プロピル基などが挙げられるが、ケミカルトナー製造時における耐加水分解性の点から、好ましくは、炭素数2〜4のアルキル基である。
本発明においては、上記の錫化合物は、ポリエステル製造用触媒として用いられるが、上記錫化合物とともに、酸化ジブチル錫等の従来公知の有機錫化合物等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜併用することもできる。
本発明においては、Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルは、ポリエステル中80重量%以上含有されるが、耐加水分解性及び画像特性の観点から、90重量%以上含有されることが好ましく、100重量%含有されることがより好ましい。
本発明において、上記Sn-C結合を有しない錫化合物の反応時における存在量は、反応性、触媒活性の観点から、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量%に対し、0.01〜1.0重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.6重量%である。
本発明においては、上記Sn-C結合を有しない錫化合物の存在下、前記アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合反応させることによりポリエステルを製造することができるが、その反応条件については特に制限はなく、例えば不活性ガス雰囲気中にて180〜250℃の温度で、必要に応じ減圧下で縮重合することにより反応を行うことができる。
結着樹脂の重量平均分子量は、耐久性及び定着性等の観点から、10,000〜600,000が好ましく、10,000〜300,000がより好ましい。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000が更に好ましい。
上記非晶質ポリエステルは、トナーの耐久性及び帯電性の点から、結着樹脂中好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上の割合で含有される。
塩基性水性媒体における塩基性化合物の含有量は、用いる塩基性化合物の種類により左右されるが、結着樹脂の加水分解の抑制の点から、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
具体的には、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において、例えばポリエステルなどの樹脂粒子を着色剤などと共に、該樹脂粒子の軟化点未満、例えば10〜50℃程度の温度で攪拌して分散処理するなどの通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
この工程は、前記(a)工程で得られた樹脂分散液を、攪拌して中和させる工程である。樹脂及び着色剤を均一に中和する観点から、該攪拌時間は好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上である。
中和は、前記結着樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度で行うことが好ましい。前記範囲の温度で行うことにより、中和が十分に行われ、次工程の乳化処理で大きな乳化粒子の生成が抑制され、また、加熱に特別な装置を必要としない。この点で、中和温度は、該樹脂のガラス転移温度+10℃以上の温度であることが好ましく、また軟化点−5℃以下の温度であることがより好ましい。
この工程は、前記工程(b)で中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程であるが、該工程は、微細な樹脂乳化液を調製する観点から、工程(b)で中和された樹脂分散液を、該樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度に保持し、攪拌しながら、これに水性液を添加し、水性媒体中で乳化を行うことが好ましい。
乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、又加熱に特別の装置を必要としない。このことから、乳化を行う際の温度は、ガラス転移温度+10℃以上の温度であることが好ましく、また、軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
乳化開始時点は、用いる樹脂の酸価や中和度などにより任意に調整することができる。例えば、樹脂の酸価を高くしたり、中和度を高くすると樹脂の親水性が高くなり、少量の水性媒体と接触させることで乳化を開始させることができる。
また、O/W型の乳化液を形成した後の乳化粒子の体積中位粒径(D50)は、凝集工程での均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明の樹脂乳化液に含まれる固形分中の錫化合物の含有量は、触媒活性観点から、0.1〜0.6重量%であることが好ましく、0.15〜0.5重量%であることがより好ましく、0.2〜0.5重量%であることが更に好ましい。
次に、このようにして得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を、非有機溶剤系の水性媒体中で凝集させ(以下、凝集工程という)、さらに合一させる(以下、合一工程という)ことにより、本発明の電子写真用トナーが得られる。着色剤を含有させる場合は、着色剤は樹脂乳化液に含有されていてもよいし、着色剤の分散液を樹脂乳化液と混合して凝集、合一させてもよい。
この工程で使用しうる非有機溶剤系の水性媒体については、前記乳化工程で用いたものと同様のものが使用できる。本発明においては、このような水性媒体を使用することにより、トナーの保存性向上などの効果が得られる。凝集工程においては、混合液の分散安定性と、結着樹脂等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、系内のpH値は2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−50℃以上(軟化点より50℃低い温度以上の意味、以下同様)、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−40℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。粒度分布は、同様の観点から、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)は25以下が好ましく、22以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。
本発明においては、トナーを形成する結着樹脂の重量平均分子量としては、樹脂の耐加水分解性の観点から、10,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜500,000であり、更に好ましくは10,000〜100,000である。また、トナー印字による画像特性、すなわち、光沢性の観点から、トナーの重量平均分子量と数平均分子量の割合(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜50であることが好ましく、4〜20であることがより好ましい。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070に規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差のときには該ピーク温度を融点とし、軟化点より20℃以上低いときには該ピークはガラス転移に起因するピークとする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂又はトナーをクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量及び分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×107、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、水に対する相対屈折率1.2として、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。
[乳化液の固形濃度]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。得られた粒径分布から変動係数CV値(単位なし)を下記の式に従って算出する。
CV値=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて7時間反応させ、さらに8.0kPaにて1時間反応させた。その後、210℃まで冷却して表1に示す無水トリメリット酸を添加し、1時間常圧で反応させた後、8.0kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂A及びBをそれぞれ得た。
表1に示すフマル酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて5時間反応させ、さらに8.0kPaにて1時間反応させた。その後、185℃まで冷却し、表1に示すフマル酸、ハイドロキノンを添加し、210℃まで4時間かけて昇温し、210℃で1時間反応させた後、13.3kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂C及びDをそれぞれ得た。
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂C 390g、ポリエステル樹脂A210g、銅フタロシアニン顔料(ECB−301:大日精化工業製)30g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6g、陰イオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム40g及び、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)を252g加え、カイ型の攪拌機で250r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃の達した後2時間攪拌された後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1118gを滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液1を得た。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.166μm、固形濃度は32.1重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
ポリエステル樹脂D 390gとポリエステル樹脂B 210gに変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂乳化液を得た。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.211μm、固形濃度は33.9重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
得られた樹脂乳化液1 400gを2リットル容の容器で室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、この混合物に凝集剤として硫酸アンモニウム(分子量:132.14)6.30gを104gの脱イオン水に溶かし水溶液(pH:6.1、0.25 m mol/L)にしたものを室温で15分かけて滴下した。その後、混合分散液を1℃/5minで昇熱し凝集粒子を形成させ、85℃になった時点で85℃に固定して1.5時間攪拌したのち加熱をとめた。この1.5時間で、トナー形状が凝集粒子から合一粒子へ変化した。
室温まで徐冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は5.1μm、CV値は19.1であった。
この着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー製、TS530、1次個数平均粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーは、市販のフルカラープリンタにより良好な画像が得られた。なお、ガラス転移点は58℃であった。
得られた樹脂分散液2 400gを用いた以外、実施例1と同様の方法で着色樹脂微粒子粉末を得た。着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は5.4μm、CV値は31.9であった。
この着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー製、TS530、1次個数平均粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーは、市販のフルカラープリンタにより良好な画像が得られた。なお、ガラス転移点は57℃であった。
◎…90%以上で殆ど加水分解が見られない。
○…80〜89%で若干の加水分解は見られるものの実使用上問題ない。
×…50%以下で加水分解が顕著であり、実使用上問題がある。
なお、表2には、得られたトナーの体積中位粒径(D50)及びCV値も示した。
Claims (6)
- (イ)樹脂乳化液を製造する工程、及び(ロ)工程(イ)で得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を、非有機溶剤系の水性媒体中で凝集・合一する工程、を有する電子写真用トナーの製造方法であって、
工程(イ)において、(a)2−エチルヘキサン酸錫(II)の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルを80重量%以上含むポリエステルを80重量%以上含有する結着樹脂を、非有機溶剤系の塩基性水性媒体中において分散させる工程、(b)前記(a)工程で得られた分散液を中和する工程、及び(c)前記(b)工程で中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で該樹脂を乳化する工程、を有する、電子写真用トナーの製造方法。 - 2−エチルヘキサン酸錫(II)の存在下で縮重合反応により得られたポリエステルの含有量が、前記結着樹脂に含まれる全ポリエステル中、100重量%である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 工程(a)で用いる前記結着樹脂が、ポリエステルを100重量%含有してなる樹脂である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記樹脂乳化液に含まれる固形分中の2−エチルヘキサン酸錫(II)の含有量が0.1〜0.6重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- トナー中のトナー粒子のCV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D 50 )×100)が20以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- トナーを形成する結着樹脂の重量平均分子量の原料結着樹脂の重量平均分子量に対する割合[(トナーを形成する結着樹脂の重量平均分子量/原料結着樹脂の重量平均分子量)×100]が、85〜100%である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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