JP4764756B2 - 樹脂乳化液 - Google Patents

樹脂乳化液 Download PDF

Info

Publication number
JP4764756B2
JP4764756B2 JP2006093368A JP2006093368A JP4764756B2 JP 4764756 B2 JP4764756 B2 JP 4764756B2 JP 2006093368 A JP2006093368 A JP 2006093368A JP 2006093368 A JP2006093368 A JP 2006093368A JP 4764756 B2 JP4764756 B2 JP 4764756B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
resin emulsion
weight
particles
emulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006093368A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007264577A (ja
Inventor
学 鈴木
敬 向井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2006093368A priority Critical patent/JP4764756B2/ja
Publication of JP2007264577A publication Critical patent/JP2007264577A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4764756B2 publication Critical patent/JP4764756B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる電子写真用トナーの製造などに用いられる樹脂乳化液、及び該樹脂乳化液を用いて得られる電子写真用トナーに関する。
ケミカルトナーの製造方法として、重合法や乳化分散法が知られている。乳化分散法によるトナーの製造方法は、例えばポリエステルなどの結着樹脂を水系媒体と混合し乳化させてトナー粒子を得る方法である。結着樹脂としてポリエステルを使用する場合、ポリエステルの原料カルボン酸成分として芳香族カルボン酸を用いると、エステル濃度が低く親水性が低くなる為、水系での乳化が難しくまた保存安定性が充分でないなどの問題があった。
ポリエステルを結着樹脂としてトナーを製造する方法としては、例えば、着色樹脂加熱熔融体と合成樹脂の軟化点以上の温度に加熱した水性媒体とを混合し、該混合物の温度を該合成樹脂の軟化点以上の温度に維持しながら、着色樹脂加熱熔融体を水性媒体中に機械的手段により微分散させて着色樹脂微粒子の水分散液を製造する静電荷像現像用トナーの製造方法(特許文献1)、酸基を有する結晶性ポリエステルを含有する結着樹脂を溶融状態で中和する中和工程、中和された結着樹脂を溶融状態で水性媒体と接触させて分散液を調製する乳化工程、及び凝集工程の少なくとも一つの工程で、着色剤を添加する電子写真用トナーの製造方法(特許文献2)等が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示される、機械的手段により分散させてミクロンレベルの粒子を作製する方法では、機械的せん断をかけるには固形分濃度が10%程度が限界であり、それ以上その濃度を高めると高粘度となり、乳化不良を引き起こすとされている。また、特許文献2に開示の方法は、実際には、中和に水酸化カリウムなどのアルカリを使用して脂肪族ポリエステル樹脂を乳化することにより、優れた低温定着性等を実現するものであり、上記芳香族カルボン酸を用いた系における課題に関するものではない。
特開平9−311502号公報 特開2006−18227号公報
本発明の課題は、長期に渡り安定であり、また、高い固形分含有量を有し、生産性に優れた樹脂乳化液、及び該樹脂乳化液から得られる電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、
(1)少なくとも芳香族カルボン酸由来の構成単位を有し、酸価が10〜50mg/KOHであるポリエステルを含有する結着樹脂を、アルカノールアミンで中和して得られる樹脂乳化液であって、該乳化液中の樹脂乳化粒子の体積中位粒径が0.05〜1μmであり、前記アルカノールアミンが、アルキル基とアルコール性水酸基を有するアルキル基とにより置換された3級アミンである、樹脂乳化液、及び
(2)上記(1)に記載の樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子を凝集・合一して得られる電子写真用トナー、
に関する。
本発明によれば、長期に渡り安定であり、また、高い固形分含有量を有し、生産性に優れた樹脂乳化液、及び該樹脂乳化液から得られる電子写真用トナーを提供することができる。
[結着樹脂]
本発明においては、結着樹脂として、トナーの定着性及び耐久性ならびに着色剤の分散性の観点からポリエステルを含有するものを用いる。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、トナーの定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。ポリエステル樹脂には、ポリエステル−スチレン−アクリルのハイブリッド樹脂及びウレタン等による変性ポリエステル樹脂を含み、ポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
ポリエステルの原料モノマーとしては、芳香族カルボン酸を使用すること以外は特に限定されず、公知のアルコール成分と、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸エステル等の公知の芳香族カルボン酸を含むカルボン酸成分が用いられる。
上記芳香族カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(好ましくは、炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。このうち、帯電性や保存安定性の観点からフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(好ましくは、炭素数1〜3)エステルが好ましく、テレフタル酸が樹脂の環境安定性やトナー化した際の耐久性の観点から更に好ましい。上記芳香族カルボン酸は、各々一種を単独で用いることもできるが、二種以上組み合わせて使用することもできる。
ポリエステルを構成するカルボン酸由来の構成単位中の芳香族カルボン酸由来の構成単位の割合は、帯電性などの観点から、30モル%以上が好ましく、40モル%がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。上記原料カルボン酸成分としては、芳香族カルボン酸由来の構成単位の割合がこの値になるように芳香族カルボン酸を使用することが好ましい。
ポリエステルを構成するカルボン酸由来の構成単位には、芳香族カルボン酸由来の構成単位と共に脂肪族カルボン酸由来の構成単位を含有することができる。脂肪族カルボン酸の例としては、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(好ましくは、炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(好ましくは炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(好ましくは炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。上記アルコール成分は、各々一種を単独で用いることもできるが、二種以上組み合わせて使用することもできる。
ポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、例えば180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
上記ポリエステルとしては、結晶性ポリエステル、非結晶性ポリエステルをいずれも使用することができる。樹脂乳化粒子の乳化性の観点から、ポリエステルの酸価は10〜50mgKOH/gであり、好ましくは10〜35mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜35mgKOH/gである。また、トナーの保存性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜170℃であることが好ましく、90〜160℃がより好ましく、100〜150℃が更に好ましい。同様の観点から、ガラス転移点は50〜85℃が好ましく、55〜80℃がより好ましく、60〜75℃が更に好ましい。上記軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
[アミン]
上記ポリエステルを含有する結着樹脂は、樹脂の水に対する濡れ性及び生産性の観点から、中和を行うことが好ましく、本発明においては、上記観点から、アミンを用いて中和を行う。アミンとしては、アルキルアミン、アルカノールアミン等が好ましく用いられるが、本発明においては、アルカノールアミンが好ましい。
アルカノールアミンとしては、アルキル基とアルコール性水酸基を有するアルキル基とにより置換された3級アミンが好ましく用いられ、取扱性や環境保全の点からアルキル基二つとアルコール性水酸基を有するアルキル基一つとにより置換されてなるものが更に好ましい。具体的には、ジメチルエタノールアミンやジエチルエタノールアミン等が好ましく用いられる。上記アミンは、各々一種を単独で用いることもできるが、二種以上組み合わせて使用することもできる。
アミンは、樹脂への濡れ性が他の無機アルカリより良好である点から、優れた乳化性能を有する。窒素原子を有するアミンは、他の無機アルカリに比べてポリエステルに吸着しやすく、更にアルコール性水酸基を有するアルカノールアミンは、ポリエステルアルカノールアミン塩を形成した際に無機アルカリ金属塩より高い水和性を有しており、安定なW/Oエマルジョンを形成し易い。そのため、水を添加した際に転相乳化が起こり易く乳化性能が飛躍的に向上すると推定される。
[樹脂乳化液]
本発明の樹脂乳化液は、下記(a)〜(c)の各々の工程を有する方法により得ることができる。
(a)ポリエステル樹脂を含有する結着樹脂を、アミンを含有する水性媒体中において、前記樹脂の軟化点未満の温度で分散させる工程
(b)前記(a)工程で得られた樹脂分散液を、前記樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度で中和する工程
(c)前記(b)工程で中和された樹脂分散液に、前記樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度で水性液を添加して水性媒体中で該樹脂を乳化させ樹脂乳化液を得る工程
以下、上記各工程について説明する。
(a)工程
この工程は、ポリエステル樹脂を含有する結着樹脂を、アミンを含有する水性媒体中において、前記樹脂の軟化点未満の温度で分散させる工程である。
アミンとしては、前述のものが使用できる。一方、水性媒体は、水を主成分とするものであり、環境保全の観点から、水の含有量は、水性媒体中80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。本発明では、実質的に有機溶媒を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を分散させることができる。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
アミンを含有する水性媒体におけるアミンの含有量は、用いるアミンの種類に依存するが、結着樹脂の加水分解の抑制の点から、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%である。該アミンは、使用するポリエステル100重量部に対し、5〜800重量部使用することが好ましく、より好ましくは10〜400重量部であり、更に好ましくは20〜100重量部である。
(a)工程においては、前記のアミンを含有する水性媒体の使用量は、均一な樹脂乳化液を効果的に調製し得る点から、結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、20〜80重量部がさらに好ましい。
また、本発明においては、界面活性剤を(a)工程において加えることができる。その添加量は、(a)工程での発泡抑制の観点及び最終的に得られる樹脂乳化液の乳化安定性の向上などを目的として、結着樹脂に対して好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜3重量%である。この界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン界面活性剤が挙げられる。これらの中で、乳化安定性などの観点から、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該(a)工程においては、樹脂粒子あるいは樹脂粒子と必要に応じて用いられる着色剤を含む各種添加剤との混合物を、均一に分散させる観点から、該樹脂粒子の軟化点未満の温度で分散処理する。該樹脂粒子の軟化点未満、好ましくは軟化点より50℃低い温度(以下、「軟化点−50℃」と記す)以下の温度で分散させることにより、樹脂粒子同士の融着を抑制し、均一な樹脂分散液を調製することができる。また、分散処理の下限温度は、媒体の流動性及び樹脂乳化液の製造エネルギーの観点から0℃より高い温度が好ましく、10℃以上がより好ましい。混合樹脂を用いる場合は、その混合比率で混合し溶融した混合樹脂の軟化点を結着樹脂の軟化点とする。また、マスターバッチを使用する場合は、それに用いた樹脂をも含めた混合樹脂の軟化点を結着樹脂の軟化点とする。
具体的には、必要に応じ界面活性剤等を含む塩基性水性媒体中において、例えばポリエステルなどの樹脂粒子を、必要に応じ着色剤などと共に、該樹脂粒子の軟化点未満、例えば10〜50℃程度の温度で攪拌して分散させるなどの通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
(b)工程
この工程は、前記(a)工程で得られた樹脂分散液を、該樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度で一定時間攪拌して実質的に中和する工程である。樹脂を均一に中和する観点から、該攪拌時間は好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上である。
中和を前記範囲の温度で行うことにより、中和が十分に行われ、次工程の乳化処理で大きな乳化粒子の生成が抑制され、また、加熱に特別な装置を必要としない。この点で、中和温度は、該樹脂のガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
(c)工程
この工程は、前記(b)工程で中和された樹脂分散液に、該樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度で水性液を添加して水性媒体中で該樹脂を乳化する工程である。
この乳化工程においては、微細な樹脂乳化液を調製する観点から、(b)工程で中和された樹脂分散液を、該樹脂のガラス転移温度以上かつ軟化点以下の温度に保持し、攪拌しながら、これに水性液を添加し、水性媒体中で乳化を行う。
また、乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、又加熱に特別の装置を必要としない。このことから、乳化を行う際の温度は、ガラス転移温度+10℃以上の温度であることが好ましく、また、軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
この乳化工程においては、乳化開始直前では、転相が容易である等の点から、分散液中の樹脂含有量が好ましくは50〜90重量%程度、より好ましくは50〜80重量%である。ここで乳化開始直前とは、系内の粘度が乳化工程中で最も高くなる時点をいい、したがって、攪拌機に例えばトルクメーターなどを取り付けておくことで、その時点を容易に知ることができる。
乳化に用いられる水性液としては、前記(a)工程における水性媒体の説明において示したもので、アミンを除いたものと同じものを挙げることができる。該水性液の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、結着樹脂100g当たり、好ましくは0.5〜50g/分、より好ましくは0.5〜30g/分、さらに好ましくは1〜20g/分である。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持されていればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水性液の添加速度に特に制限はない。
前記のようにして得られた樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子の粒子径は、凝集工程で均一な凝集を行う観点から、乳化粒子の体積中位粒径(D50)として、0.05〜1μmであり、好ましくは0.05〜0.6μm、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
また、樹脂乳化液の固形分含有量は、乳化液の安定性及び凝集工程での取り扱い性の観点から、好ましくは15〜50重量%であり、より好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜40重量%、更に好ましくは27〜40重量%である。ここで、固形分とは、ポリエステル等の結着樹脂、必要に応じて加える着色剤、界面活性剤、離型剤、荷電制御剤等を含む。
更に、樹脂乳化液のpHは、乳化液中のポリエステルの安定性、及び凝集工程時における乳化中の粒子の分散安定性と凝集性を両立させる観点から、4〜9であることが好ましく、より好ましくは4.5〜8.5であり、更に好ましくは5〜8である。
前記(a)〜(c)の各工程を有する樹脂乳化液の製造工程においては、ポリエステルを含む結着樹脂の他、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤などの添加剤を加えることができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記着色剤として顔料を使用する場合の顔料の形態としては、生顔料、ウェットケーキ顔料、及びマスターバッチ顔料などをいずれも用いることができるが、顔料分散性の観点からウェットケーキ顔料あるいはマスターバッチ顔料を用いることが好ましい。
結着樹脂と着色剤との使用割合は、トナーの帯電性、耐久性、印字濃度などの観点から、重量比で70:30〜97:3が好ましく、80:20〜97:3がより好ましい。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン;加熱により軟化点を有するシリコーン;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
[電子写真用トナー]
次に、このようにして得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を、凝集させ(以下、凝集工程という)、さらに合一させる(以下、合一工程という)ことにより、本発明の電子写真用トナーを得ることができる。本発明においては、着色剤を用いる場合は、着色剤は樹脂乳化液に含有させておいてもよいが、着色剤の分散液を樹脂乳化液と混合して凝集、合一させてもよい。
凝集工程においては、分散安定性と、結着樹脂や必要に応じ用いられる着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、系内のpH値は2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、界面活性剤の他、無機金属塩、2価以上の金属錯体、アンモニウム塩等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられ、アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等が挙げられる。その中でも、アルミニウム塩及びその重合体、並びにアンモニウム塩が好ましく用いられる。アンモニウム塩はトナー粒子形状の制御の点から好ましく、アルミニウム塩及びその重合体は少ない添加量で凝集能力が高く、簡便に製造できるため好ましい。帯電特性制御の観点からは、金属錯体、4級塩のカチオン性界面活性剤が好ましい。
凝集剤の使用量は、凝集能力及びトナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、0.01〜20重量部がより好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−40℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
得られた合一粒子を、必要に応じ、適宣、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナー母粒子を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、上述のようにして得られた合一粒子(トナー母粒子)を含むものであるが、該合一粒子のトナー中における含有量は、トナーの帯電性及び定着性の点から、95〜100重量%であることが好ましく、96.5〜99重量%であることが更に好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。粒度分布は、同様の観点から、CV値(粒度分布の標準偏差/体積平均粒径(D50)×100)は25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、18%以下がさらに好ましい。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃あることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。
本発明のトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー母粒子に添加することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の配合量は、トナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、トナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明の電子写真用トナーが適用される被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンターなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。これらの被転写体表面に転写されたトナー画像は、例えば、加熱型定着器により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される。加熱型定着器としては加熱ロール等を用いる接触加熱型定着方式や、オーブン加熱よる非接触加熱型定着方式が挙げられるが、信頼性や安全性、また熱効率の観点から接触型定着装置を用いることが好ましい。
以下の実施例等においては、各物性値は以下の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。
[樹脂及びトナーの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
[乳化粒子及び凝集粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
[樹脂乳化液の生産性の評価]
結着樹脂の総重量が600gとなる仕込み量に対して、固形分含有量が30重量%となるように水を添加して得られた乳化液を製造終了後に200メッシュ(目開き105μm)の金網を通した際に、メッシュ上に残存した残留物を未反応物として秤量し、下記基準により樹脂乳化液の生産性の評価とする。
20g未満: 良好
20g以上50g未満: やや良好
50g以上: 不良
[トナーの粒径]
(1)分散液の調製:分散液[「エマルゲン 109P」(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液]5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解質[「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)]25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:「コールターマルチサイザーII」(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19」(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと前記分散液を加え、約3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、約3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
[乳化液の安定性]
着色剤としてpigment red 122(大日精化製,レッド No.36)を結着樹脂100重量部に対し7.5重量部含有する乳化液を日立工機製の分離用超遠心機CB−56Gを用いて20℃で回転数20000rpmで3時間処理した後の上澄み液と下層液とを分離し、測色計(Gretag−Macbeth社製 SpectroEye)用いて上澄み液と下層液との色差ΔEを測定し、下記基準で乳化液の安定性の評価とする。
ΔEが10未満: 極めて良好
ΔEが10以上20未満: 良好
ΔEが20以上: 不良
[印字画像の濃度測定]
市販のプリンタ(OKI製、「ML5400」)を用いてJ紙(富士ゼロックス社製)に画像を印字し、該印字済J紙をJ紙30枚を重ねた上に置き、該画像を測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し、画像濃度を測定する。
製造例1 ポリエステル樹脂Aの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に8.3kPaにて反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が110℃に達するまで更に8.3kPaにて反応させて、酸価が22mg/KOH、ガラス転移点が64℃、軟化点が108℃であるポリエステル樹脂Aを得た。
製造例2 ポリエステル樹脂Bの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、酸価が20mg/KOH、ガラス転移点が65℃、軟化点が121℃であるポリエステル樹脂Bを得た。
製造例3 ポリエステル樹脂Cの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン34090g、フマル酸5800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、酸価が20mg/KOH、ガラス転移点が61℃、軟化点が102℃であるポリエステル樹脂Cを得た。
製造例4 ポリエステル樹脂Dの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3308g、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン341g、フマル酸792g、ハイドロキノン5g、およびジブチル錫オキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで5時間かけて昇温して反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、無水トリメリット酸480gを投入し、1時間常圧で反応させた後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が155℃に達するまで、8.3kPaにて反応を行い、ポリエステル樹脂Dを得た。得られた樹脂の軟化点は156℃、ガラス転移点は65℃、酸価は33mg/KOHであった。
製造例5 ポリエステル樹脂Eの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g、およびジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が112℃に達するまで、8.3kPaにて反応を行い、ポリエステル樹脂Eを得た。得られた樹脂の軟化点は111℃、ガラス転移点は69℃、酸価は4mg/KOHであった。
製造例6 マスターバッチAの製造
製造例3で得られたポリエステル樹脂Cの微粉末70重量部及びpigment red 122のスラリー顔料(大日精化製、レッド No.36:固形分25.8重量%)を顔料有効分として30重量部ヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗粉砕して赤色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗粉砕品(マスターバッチA)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
実施例1
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 285g、ポリエステル樹脂B 210g、マスターバッチA 150g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、陰イオン性界面活性剤「ネオペレックスG−25(花王製)」ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム23.08g及び、中和剤としてジメチルエタノールアミン(日本乳化剤製アルカノールアミン2Mabs)水溶液(濃度:5重量%)を425g加え、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌した後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1310gを滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液を得た。ここで、結着樹脂全体としてのガラス転移点は63℃、軟化点は112℃、酸価は21mg/KOHであった。得られた樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は0.39μmであり、乳化液のpHは7.4であった。固形分含有量は28.8重量%、金網上には17gの未反応物が残った。また、乳化液の安定性を調べたところΔEは4で良好であった。
実施例2
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂D 600g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、陰イオン性界面活性剤「ネオペレックスG−25(花王製)」ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム23.08g及び、中和剤としてジメチルエタノールアミン(日本乳化剤製アルカノールアミン2Mabs)水溶液(濃度:5重量%)を327g加え、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌した後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1184gを滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液を得た。得られた乳化液中の樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は0.42μmであり、乳化液のpHは7.4であった。固形分含有量は30.4重量%、金網上には33gの未反応物が残った。
参考例1
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 285g、ポリエステル樹脂B 210g、マスターバッチA 150g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、陰イオン性界面活性剤「ネオペレックスG−25(花王製)」ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム23.08g及び、中和剤としてトリエチルアミン(和光純薬製 試薬特級)水溶液(濃度:5重量%)を485g加え、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌した後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1222gを滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液を得た。得られた乳化液中の樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は0.48μmであり、乳化液のpHは7.0であった。固形分含有量は25.6重量%、金網上には29gの未反応物が残った。また、乳化液の安定性を調べたところΔEは10で良好であった。
比較例1
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 285g、ポリエステル樹脂B 210g、マスターバッチA 150g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、陰イオン性界面活性剤「ネオペレックスG−25(花王製)」ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム23.08g及び、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)を269g加え、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃の達した後2時間攪拌された後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1458.5gを滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液を得た。得られた乳化液中の樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は0.27μmであり、乳化液のpHは6.3であった。固形分含有量は29.2重量%であり、金網上には24gの未反応物が残った。また、乳化液の安定性を調べたところ、ΔEは21で分散状態は不良であった。
比較例2
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂E 600g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、陰イオン性界面活性剤「ネオペレックスG−25(花王製)」ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム23.08g及び、中和剤としてジメチルエタノールアミン(日本乳化剤製アルカノールアミン2Mabs)水溶液(濃度:5重量%)を40.5g加え、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌した後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1460gを滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した。樹脂は乳化できず、得られた樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は40μmであった。金網上には 200 g以上の未反応物が残った。
実施例4 電子写真用トナーの製造
2リットル容の容器において、実施例1で調製した着色剤含有樹脂乳化液の400gを室温下にて、カイ型の攪拌機で100r/minで攪拌しながら、この乳化液に凝集剤として硫酸ナトリウム7.1gを118gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で15分かけて滴下した。その後、該混合液を60分かけて80℃まで昇温し、さらに60分かけて90℃まで昇温した。90℃で4時間保持した後、さらに95℃に昇温し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製造、「LA−920」)で測定する体積中位粒径(D50)が4.4μmになるまで保持した。この間に凝集粒子が合一粒子へと変化することを確認した。次いで、室温まで徐冷し、吸引ろ過、洗浄、及び乾燥を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。得られた着色樹脂微粒子の粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー製、「TS530」、1次個数平均粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーで外添し、電子写真用トナーを得た。トナーの軟化点は102℃で、ガラス転移点は53℃、体積中位粒径(D50)は3.6μmであった。得られたトナーの画像評価を行ったところ、ベタ画像の印字が可能で、画像濃度は1.08であった。トナーとして使用できることを確認できた。
本発明の樹脂乳化液は、長期に渡り安定であり、また、高い固形分量で生産性に優れたものであることから、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて用いられる電子写真用トナーの製造に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも芳香族カルボン酸由来の構成単位を有し、酸価が10〜50mg/KOHであるポリエステルを含有する結着樹脂を、アルカノールアミンで中和して得られる樹脂乳化液であって、該乳化液中の樹脂乳化粒子の体積中位粒径が0.05〜1μmであり、前記アルカノールアミンが、アルキル基とアルコール性水酸基を有するアルキル基とにより置換された3級アミンである、樹脂乳化液。
  2. 芳香族カルボン酸がテレフタル酸である請求項1記載の樹脂乳化液。
  3. 前記アルカノールアミンが、アルキル基二つとアルコール性水酸基を有するアルキル基一つとにより置換された3級アミンである、請求項1又は2に記載の樹脂乳化液。
  4. 前記アルカノールアミンが、ジメチルエタノールアミン及び/又はジエチルエタノールアミンである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂乳化液。
  5. 固形分含有量が15〜50重量%である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂乳化液。
  6. pHが4〜9である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂乳化液。
  7. さらに、界面活性剤を含有する請求項1〜のいずれかに記載の樹脂乳化液。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子を凝集・合一する、電子写真用トナーの製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の樹脂乳化液中の樹脂乳化粒子を凝集・合一して得られる電子写真用トナー。
JP2006093368A 2006-03-30 2006-03-30 樹脂乳化液 Expired - Fee Related JP4764756B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006093368A JP4764756B2 (ja) 2006-03-30 2006-03-30 樹脂乳化液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006093368A JP4764756B2 (ja) 2006-03-30 2006-03-30 樹脂乳化液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007264577A JP2007264577A (ja) 2007-10-11
JP4764756B2 true JP4764756B2 (ja) 2011-09-07

Family

ID=38637583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006093368A Expired - Fee Related JP4764756B2 (ja) 2006-03-30 2006-03-30 樹脂乳化液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4764756B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5192158B2 (ja) * 2007-02-13 2013-05-08 花王株式会社 樹脂乳化液
CN101932977A (zh) * 2007-11-29 2010-12-29 陶氏环球技术公司 配混物和形成可用作调色剂的配混物的方法
US8211604B2 (en) * 2009-06-16 2012-07-03 Xerox Corporation Self emulsifying granules and solvent free process for the preparation of emulsions therefrom

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4027841B2 (ja) * 2003-05-26 2007-12-26 花王株式会社 トナーの製造方法
JP2004354706A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Dainippon Ink & Chem Inc 電子写真用トナーの製造法
JP4424610B2 (ja) * 2004-06-04 2010-03-03 花王株式会社 電子写真用トナーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007264577A (ja) 2007-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4634273B2 (ja) 樹脂乳化液の製造方法
JP5507628B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP4599272B2 (ja) トナーの製造方法
JP5192158B2 (ja) 樹脂乳化液
JP2009079207A (ja) 架橋樹脂粒子分散液
JP4668828B2 (ja) トナー
JP4963582B2 (ja) 電子写真用トナー
JP5006682B2 (ja) 電子写真用トナー
JP5189787B2 (ja) 樹脂乳化液の製造方法
JP5180459B2 (ja) 樹脂乳化液
JP5552493B2 (ja) トナーの製造方法
JP5111956B2 (ja) 樹脂乳化液
JP4832228B2 (ja) トナー用樹脂乳化液の製造方法
JP4764756B2 (ja) 樹脂乳化液
JP4963578B2 (ja) 電子写真用トナー
JP5072410B2 (ja) 樹脂乳化液の製造方法
JP5134207B2 (ja) 着色剤含有樹脂乳化粒子の製造方法
JP4689477B2 (ja) 樹脂乳化粒子の製造方法
JP4751229B2 (ja) トナー用離型剤
JP5006002B2 (ja) 樹脂乳化液の製造方法
JP5552297B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP4629569B2 (ja) 黄色トナーの製造方法
JP4832274B2 (ja) トナー用樹脂乳化液
JP4942542B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP5080341B2 (ja) 樹脂粒子分散液の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110607

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110613

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4764756

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees