JP5010338B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる電子写真用トナーの製造方法、及び該方法により得られる電子写真用トナーに関する。
電子写真用トナーの分野においては、重合法や乳化分散法などのケミカル法により得られる、いわゆるケミカルトナーが提案されている。このような方法においては、トナーの原材料をサブミクロンレベルに分散した後、それらの粒子をトナー粒径まで凝集・合一するといった工程を経るが、一般に、合一後、更に洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程等を経て、トナー粒子となる。
従来、上記乾燥工程において用いる乾燥方法としては、真空乾燥法(例えば、特許文献1参照)、スプレードライ法、気流乾燥法、流動乾燥法等が検討されていた。
特開平10−207122号公報
スプレードライ法、気流乾燥法の場合は、乾燥時間が短く生産性に優れるが、熱風のみで水分を蒸発させるため乾燥温度を高く設定する必要があり、トナー粒子の融着、離型剤成分の滲出等により保存性、現像性が悪化するなどの問題がある。また、熱による影響が少ない乾燥方法として真空乾燥や流動乾燥が検討されているが、何れも乾燥時間が長く生産性が十分でなく、また乾燥室内の含水トナーケーキの攪拌を、スクリュー等の攪拌羽根で行うため、攪拌に伴う剪断や衝撃力により含水ケーキが押し固められ、熱伝導が悪く乾燥時間が長くかかっていた。またトナー粒子の破壊や合一を引き起こしやすく、トナーの耐熱保存性や現像性に悪影響を及ぼしていた。
本発明は、トナー粒子の破壊や変形がなく、トナーの耐熱保存性及び現像性が良好で、乾燥時間の大幅な短縮を可能にする電子写真用トナーの製造方法に関する。
本発明は、(A)水系媒体中で結着樹脂を含有するトナー粒子の分散液を得た後、該分散液からトナー粒子の含水ケーキを得る工程、及び(B)工程(A)で得られたトナー粒子の含水ケーキを容器に収容した後、該容器を回転させるとともに揺動させて真空乾燥を行う工程、を有する電子写真用トナーの製造方法、及び該製造方法により得られる電子写真用トナーに関する。
本発明によれば、トナー粒子の破壊や変形がなく、トナーの耐熱保存性及び現像性が良好で、乾燥時間の大幅な短縮を可能にする電子写真用トナーの製造方法、及び該製造方法により得られる電子写真用トナーを提供することができる。
[電子写真用トナーの製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、(A)水系媒体中で結着樹脂を含有するトナー粒子の分散液を得た後、該分散液からトナー粒子の含水ケーキを得る工程、及び(B)工程(A)で得られたトナー粒子の含水ケーキを容器に収容した後、該容器を回転させるとともに揺動させて真空乾燥を行う工程、を有する。
(工程(A))
<水系媒体>
工程(A)に用いられる水系媒体は、水を主成分とするものであり、環境保全の観点から、水の含有量は、水系媒体中80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。
本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いて結着樹脂を分散させることが好ましい。
尚、水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、結着樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。
<結着樹脂>
本発明において用いられる結着樹脂には、トナーの定着性及び耐久性の観点から、酸基を有するポリエステルが含有されていることが好ましい。酸基を有するポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることが更に好ましい。酸基を有するポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよい。
酸基をポリエステルの結晶化の度合いは、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)で定義される結晶性指数によって表すことができ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満のときは結晶性が低く非晶質部分が多い。従って、本発明における結晶性ポリエステルとしては、この結晶性指数が0.6〜1.5のものが好ましく用いられ、低温定着性の観点からは、0.8〜1.3がより好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.1である。
この結晶化の度合いは、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。ここで、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。吸熱の最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば、このピーク温度を融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合は、このピークをガラス転移に起因するピークとする。
酸基を有するポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
酸基を有するポリエステルの原料モノマーは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
このカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸基を有するポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃程度の温度で縮重合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
トナーの保存性の観点から、酸基を有するポリエステルの軟化点は70〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。酸価は、乳化する際の製造性の観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gがさらに好ましい。軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間を調節することにより所望のものを得ることができる。
トナーの耐久性の観点から、酸基を有するポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
尚、結着樹脂が複数の結着樹脂を含有する場合には、前記結着樹脂の軟化点、ガラス転移点、酸価、及び数平均分子量は、いずれも各結着樹脂の混合物としての値を意味する。
尚、本発明において、酸基を有するポリエステルには、前記ポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
さらに、本発明のトナー用結着樹脂は、定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類の酸基を有するポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(a)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(b)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。
ポリエステル(a)とポリエステル(b)の重量比(a/b)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
<工程(A)>
上記水系媒体中で上記結着樹脂を含有するトナー粒子の分散液を得る工程には、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法、乳化凝集法など公知の各方法がいずれも使用可能である。ここで、乳化重合法は、水にほとんど不溶の重合性単量体(モノマー)を、水溶性重合開始剤を含む水相中に乳化剤を用いて分散させ、重合を行う方法である。分散重合法は、重合性単量体は可溶であるが得られる重合体は不溶である有機溶剤を用い、重合の進行に伴い重合体微粒子を析出させる方法である。懸濁重合法は、機械的攪拌手段を用いて重合性単量体を水性媒体中に分散させながら重合を行って重合トナー粒子を得る方法である。シード重合法は、一旦得られた重合体微粒子に更に重合性単量体を吸収させた後、重合開始剤を用いて重合させる方法である。また、乳化凝集法は、乳化粒子を凝集させる工程を含むトナー粒子を製造する方法である。これらの方法の中では、小粒径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子が得られる観点から、乳化凝集法が好ましい。本発明の乾燥工程を有する乳化凝集法により得られるトナーは、定着性に優れるものとなる。
本発明において、工程(A)は、水系媒体中で結着樹脂を含有するトナー粒子の分散液を得た後、該分散液からトナー粒子の含水ケーキを得る工程であるが、生産性及び得られるトナーの定着性の観点から、樹脂乳化液中の樹脂粒子を、凝集、合一する工程を含むことが好ましく、該樹脂乳化液としては、(1)酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂を塩基性水系媒体中において分散する工程、(2)得られた分散液を攪拌して中和させる工程、及び(3)中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程、を有する方法により得られるものを用いることが好ましい。以下、この態様について説明する。
工程(1)
工程(1)は、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂を塩基性水系媒体中において分散させ樹脂分散液を得る工程である。
工程(1)で用いられる塩基性水系媒体とは、塩基性化合物を含む水系媒体を指し、水系媒体としては、前述のものが挙げられる。塩基性化合物としては、無機塩基性化合物及び有機塩基性化合物のいずれであってもよい。無機塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、それらの炭酸塩や酢酸塩などの弱酸の塩あるいは部分中和塩、及びアンモニアなどが挙げられる。有機塩基性化合物としては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩等が挙げられる。これらの塩基性化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性水性媒体における塩基性化合物の含有量は、用いる塩基性化合物の種類により左右されるが、結着樹脂の加水分解の抑制の点から、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
また、工程(1)においては、界面活性剤を加えることができる。その添加量は、分散工程での発泡抑制の観点及び得られる樹脂乳化液の乳化安定性の向上などを考慮して、樹脂に対して好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、更に好ましくは1〜3重量%である。この界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの中で、乳化安定性などの観点から、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(1)においては、結着樹脂に、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤などの添加剤を加え、これらの混合物を分散処理することができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂と着色剤との使用割合は、トナーの帯電性、耐久性、印字濃度などの観点から、重量比で70:30〜97:3が好ましく、80:20〜97:3がより好ましい。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂と100重量部に対して、通常1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
工程(1)においては、結着樹脂と必要に応じて用いられる各種添加剤との混合物を均一に分散させる観点から、該結着樹脂のガラス転移点以下の温度で分散処理を行うことが好ましい。該結着樹脂のガラス転移点以下、好ましくはガラス転移点より10℃低い温度(以下、「ガラス転移点以下−10℃」と記す)以下の温度で分散処理することにより、樹脂粒子同士の融着を抑制し、均一な樹脂分散液を調製することができる。また、分散処理の下限温度は、媒体の流動性及び樹脂乳化液の製造エネルギーの観点から0℃より高い温度が好ましく、10℃以上がより好ましい。混合樹脂を用いる場合は、その混合比率で混合し溶融した混合樹脂のガラス転移点を結着樹脂のガラス転移点とする。また、マスターバッチを使用する場合は、それに用いた樹脂をも含めた混合樹脂のガラス転移点とする。
具体的な分散処理方法としては、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において、例えば酸基を有するポリエステルを含む結着樹脂を必要に応じ着色剤などと共に、該結着樹脂のガラス転移点以下、例えば10〜50℃程度の温度で攪拌するなどの通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
工程(2)
工程(2)は、前記工程(1)で得られた樹脂分散液を、攪拌して中和させる工程である。樹脂分散液が着色剤を含有している場合にはさらに着色剤を均一に中和する観点から、該攪拌時間は好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上である。
中和は、前記結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度で行うことが好ましい。前記範囲の温度で行うことにより、中和が十分に行われ、次工程の乳化処理で大きな乳化粒子の生成が抑制され、また、加熱に特別な装置を必要としない。この点で、中和温度は、該樹脂のガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また軟化点−5℃以下の温度であることがより好ましい。
この中和工程における中和の度合いは、次工程で樹脂粒子を作製するのに必要な親水性を樹脂に付与できる程度でよく、必ずしも100%中和する必要はない。例えば、極性基を多く有する親水性の高い樹脂を用いる場合は、中和度は低くてもよく、逆に親水性の低い樹脂を用いる場合は、中和度は高くするほうが好ましい。本発明においては、上記中和度は、50%以上であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることが更に好ましい。中和度は、一般に中和前後の酸基のモル数の比(中和後の酸基のモル数/中和前の酸基のモル数)で表わすことができる。
具体的には、前記工程(1)で得られた樹脂分散液を、攪拌しながら結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度、例えばガラス転移点が60〜70℃程度で軟化点が110〜120℃程度のカルボキシル基をもつポリエステルを用いた場合には、90〜100℃程度の温度に昇温し、所定の中和度に達するまで、その温度で適当な時間保持することにより中和を行う。
工程(3)
工程(3)は、前記工程(2)で中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程であるが、該工程は、微細な樹脂乳化液を調製する観点から、工程(2)で中和された樹脂分散液を、該結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度に保持し、攪拌しながら、これに水性液を添加し、水性媒体中で乳化を行うことが好ましい。
乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、又加熱に特別の装置を必要としない。このことから、乳化を行う際の温度は、ガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また、軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
この乳化工程においては、乳化開始直前では、転相が容易である等の点から、分散液中の樹脂含有量が好ましくは50〜90重量%程度、より好ましくは50〜80重量%である。ここで乳化開始直前とは、系内の粘度が全工程中で最も高くなる時点をいう。
乳化開始時点は、用いる樹脂の酸価や中和度などにより任意に調整することができる。例えば、樹脂の酸価を高くしたり、中和度を高くすると樹脂の親水性が高くなり、少量の水性媒体と接触させることで乳化を開始させることができる。
乳化に用いられる水性液としては、脱イオン水を挙げることができる。該水性液の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、樹脂100g当たり、好ましくは0.5〜50g/分、より好ましくは0.5〜30g/分、さらに好ましくは1〜20g/分である。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持されていればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水性液の添加速度に特に制限はない。
このようにして得られた樹脂乳化液の固形分濃度は、乳化液の安定性及び後で実施される凝集工程での樹脂乳化液の取り扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、7〜45重量%がより好ましく、10〜40重量%がさらに好ましい。
また、O/W型の乳化液を形成した後の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、凝集工程での均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
樹脂乳化液を得る他の方法としては、例えば、目的とする樹脂粒子原料として重縮合性単量体を水系媒体中に例えば機械的シェアや超音波などにより乳化分散させる方法が挙げられる。この際、必要に応じて、重縮合触媒、界面活性剤などの添加剤も水溶性媒体に添加する。そして、この溶液に対して例えば加熱などを施すことで、重縮合を進行させる。例えば、樹脂がポリエステルである場合は、前述のポリエステルの重縮合性単量体、重縮合触媒が使用でき、界面活性剤としては前述のものが同様に使用できる。
通常、重縮合樹脂は重合時に脱水を伴うために原理的に水系媒体中では進行しない。しかしながら、例えば、水系媒体中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水系媒体中に乳化せしめた場合、単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水系媒体中に排出せしめ重合を進行させることができる。このようにして、低エネルギーで、水系媒体中で重縮合樹脂の樹脂粒子が乳化分散した分散液が得られる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法における工程(A)では、前記得られたトナー粒子の分散液からトナー粒子の含水ケーキを得るが、例えば、前記工程(1)〜(3)を有する方法により得られた樹脂分散液中の樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び合一させることが好ましい。
凝集工程
凝集工程においては、樹脂乳化液中の固形分濃度は、均一な凝集を起こさせるため前述の値とすることが好ましい。混合液の分散安定性と、結着樹脂及び着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、系内のpH値は2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤としては、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。本発明においては、凝集剤として、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
分子量350以下の水溶性含窒素化合物は、樹脂粒子を速やかに凝集させる観点から、酸性を示す化合物であることが好ましく、その10重量%水溶液の25℃でのpH値が4〜6であるものが好ましく、4.2〜6のものがより好ましい。また、高温高湿における帯電性等の観点から、その分子量が350以下のものが好ましく、300以下のものがより好ましい。このような水溶性含窒素化合物としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられるが、生産性の点から、硫酸アンモニウム(10重量%水溶液の25℃でのpH値、以下「pH値」という:5.4)、塩化アンモニウム(pH値:4.6)、臭化テトラエチルアンモニウム(pH値:5.6)、臭化テトラブチルアンモニウム(pH値:5.8)が好ましく挙げられる。
凝集剤の使用量は、使用する凝集剤の電荷の価数により異なるが、1価の凝集剤を用いた場合、凝集性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、2〜50重量部が好ましく、3.5〜40重量部がより好ましく、3.5〜30重量部がさらに好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
凝集剤の添加は、均一な凝集を行うために、系内のpHを調整した後で、かつ樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移点以下の温度、好ましくはガラス転移点―10℃以下の温度で行うのが望ましい。凝集剤は、一時に添加しても良いし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。さらに、凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
本発明においては、離型剤等の流出を防止したり、カラートナーにおいて、各色間の帯電量を同レベルにする等の観点から、凝集時に、得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子(以下、「本発明の樹脂粒子」ということがある)に、他の樹脂微粒子を添加することができる(樹脂粒子をコア材、添加する他の樹脂微粒子をシェル材ともいう)。
添加される樹脂微粒子としては、特に制限はなく、本発明の樹脂乳化液に含有される樹脂粒子と同様にして調製されたものを使用することができる。
上記他の樹脂微粒子は、結着樹脂以外に、必要に応じて着色剤、荷電制御剤、さらには界面活性剤、定着性向上剤などの添加剤を適宜含有することができる。
上記他の樹脂微粒子は、本発明の樹脂粒子と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。更にこの工程においては、上記他の樹脂微粒子を、本発明の樹脂乳化液に前述のように凝集剤を添加して得られた凝集粒子と混合させてもよい。
本発明においては、上記他の樹脂微粒子の添加時期は、特に制限はないが、生産性の観点から凝集剤の添加終了後、合一工程までの間であることが好ましい。
上記他の樹脂微粒子の凝集粒子に対する添加量は、凝集粒子に対する樹脂粒子による均一な被覆を行う観点から、凝集粒子中の樹脂100重量部に対して、添加する樹脂微粒子を構成する樹脂が、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、更に好ましくは20〜80重量部となるような量である。
当該工程においては、上記他の樹脂微粒子を1回又は複数回に分割して添加することができる。本発明においては、得られるトナー粒子の狭い粒度分布の達成の観点から、複数回に分割して添加することが好ましい。
他の樹脂微粒子を1回又は複数回に分割して添加する場合、形成される凝集粒子の粒度分布の制御などの観点から、凝集粒子中の樹脂100重量部に対して、添加する樹脂微粒子を構成する樹脂が30重量部未満添加される場合は、凝集剤の添加は任意である。30重量部以上添加する場合は、凝集性及び形成する凝集粒子の粒度分布の観点から、凝集剤を添加することが好ましく、凝集剤としては、前述のものを同様に用いることができる。この場合、樹脂微粒子と凝集剤とを独立して同時に添加するか、又は交互に添加することがより好ましく、独立して同時に添加することがさらに好ましい。
当該工程において、他の樹脂微粒子を複数回に分割して添加する場合、各々の樹脂微粒子の量は同量であることが好ましく、また、凝集剤を分割して添加する場合には、各々の凝集剤は同量であることが好ましい。
前記のように他の樹脂微粒子を複数回分割して添加する場合、その回数については特に制限はないが、形成される凝集粒子の粒度分布及び生産性などの観点から、2〜10回が好ましく、2〜8回がより好ましい。
また、凝集性及び形成される凝集粒子の粒度分布などの観点から、複数回の樹脂微粒子の添加においては、添加の後5〜15分間、更には5〜30分間、特に5分〜2時間熟成させることが好ましく、複数回添加の各添加において、上記熟成時間を設けることがより好ましい。
本発明においては、樹脂粒子を凝集させた後に、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤を添加することが好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(1)で表わされるものが好ましい。
1−O−(CH2CH2O)pSO31 (1)
式中、R1はアルキル基を示し、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜15のアルキル基が挙げられる。pは0〜15の平均付加モル数を示し、粒径制御の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の数である。M1は1価のカチオンを示し、粒径制御の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、アンモニウムである。
また、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、特に制限はないが、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、式(2)で表わされるものが好ましい。
2−Ph−SO32 (2)
式中、R2は直鎖のアルキル基を示し、式(1)のR1のうち直鎖のものと同じである。Phはフェニル基、M2は1価のカチオンである。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、硫酸ナトリウム塩が好適に用いられる。
上記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留性の観点から、凝集粒子を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
本発明においては、高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜9μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程
この工程は、前記凝集工程で得られた凝集粒子を合一させる工程である。
本発明においては、前記凝集工程で得られた凝集粒子を加熱して合一させる。合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂のガラス転移点以上が好ましく、軟化点+20℃以下がより好ましく、ガラス転移点+5℃以上、軟化点+15℃以下がより好ましく、ガラス転移点+10℃以上、軟化点+10℃以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜9μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
<含水ケーキ>
本発明においては、得られた合一粒子は、ろ過、遠心分離などの固液分離工程、洗浄工程を経て、含水ケーキとなる。すなわち、本発明において、トナー粒子の含水ケーキとは、トナー粒子を含む分散液を適宜濾過等により固液分離したものをいい、トナー粒子を含む分散液を洗浄後に、前記トナー粒子を固液分離してトナー粒子の含水ケーキにすることが好ましい。ここで、洗浄工程は、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的で行われ、トナー表面の金属イオンを除去することを含む。洗浄は複数回行うことが好ましい。
上記含水ケーキはその後乾燥工程としての工程C)に供される。
(工程(B))
本発明においては、工程(B)は、工程(A)で得られたトナー粒子の含水ケーキを容器に収容した後、該容器を回転させるとともに揺動させて真空乾燥を行う工程である。工程(B)においては、上記工程(A)で得られたトナー粒子の含水ケーキを容器に収容した後、該容器を回転させるとともに揺動させて真空乾燥を行う回転揺動式真空乾燥方法が用いられる。ここで、回転揺動式真空乾燥方法とは、真空乾燥装置において、容器を回転させながら、容器の中心軸に沿って揺動させて乾燥を行う方法である。この乾燥方法によれば、容器の伝熱面を有効に活用できることから、従来の方法より乾燥時間が大幅に短縮され、トナーの生産性を向上できる。また、スクリュー等の攪拌による剪断や衝撃を伴わないため、トナー粒子の破壊や合一がなく耐熱保存性、現像性に優れたトナーが得られる。
トナー粒子の含水ケーキは上記回転揺動式真空乾燥装置に収容される。そして、乾燥等のため容器がその中心軸の周りに回転しながら、回転軸の中心線の上下方向に揺動することで、トナー粒子の含水ケーキは容器内全体に亘って対流することが可能となり、これにより容器外部のヒーターからの伝熱を有効に活用できる。ここで「揺動」とは、上記容器が、その回転軸の中心線の上下方向、それとは垂直方向などの方向に変動するものであればいかなるものでもよいが、好ましくは、上記中心線上のいずれかの点、好ましくは容器の長手方向の中心付近の点を中心として、容器が中心線の上下方向あるいはそれとは垂直方向に一定角度で回転及び往復を繰り返す態様のものが好ましい。また、中心軸は、容器が円筒状の場合においては容器の長手方向の軸に沿った軸である。
乾燥時においては、トナー粒子の含水ケーキは、乾燥性などの点から、容器の全容量に対して10〜60容量%収容されることが好ましく、より好ましくは20〜50容量%である。
本発明に使用される回転揺動式真空乾燥装置としては、例えば、特公昭57−3415号公報に記載の撹拌装置、特公平5−42295号公報に記載の加熱装置付混合機、特開平10−192675号公報に記載の混合装置等が挙げられる。
具体的には、図1に、本発明において使用することができる回転揺動式真空乾燥装置の一例の概略説明図を示す。
図1によれば、回転揺動式真空乾燥装置1は、容器2を回転および揺動させるものである。容器2は概略円筒状の密閉容器であり、その一端に回転可能な接続部3を有し、該接続部3で容器2の排気を行い容器2内を減圧(真空)にすることができる。また、容器2を装着する載置部4には、容器2を回転駆動する駆動ローラを有する。載置部4は、支持台部5に支持されており、容器2の中心軸Cに対して一定の角度範囲で上下に往復する動作を繰り返すように取り付けられている。容器2は、載置部4とともに同様の往復運動を行う。
この回転揺動式真空乾燥装置1において、容器2を回転および揺動させると、容器2の内部でトナー粒子を含む含水ケーキは、回転に伴う周方向と、揺動に伴う軸方向の落下滑り、転がり運動などが組み合わされた三次元的な複合運動を行う。その結果、トナー粒子を含む含水ケーキ全体が均等に撹拌される。
工程(B)においては、乾燥前のトナー粒子を含む含水ケーキ中の水分含有率、乾燥性の観点から、50重量%未満であることが好ましく、より好ましくは45重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以下である。
本発明においては、乾燥容器の回転数は、造粒抑制の観点から、5〜50r/minであることが好ましく、5〜30r/minであることがより好ましい。
また、前記回転とともに行う揺動は、高い混合効率を保持し、伝熱面を効率よく活用して乾燥容器内のトナー粒子含水ケーキへの熱伝導を高める観点から、乾燥容器の回転軸の中心線が上下方向に傾く角度θ(以下、揺動角という)で、中心線を基準として+/−5〜+/−45°で行うことが好ましく、+/−5〜+/−30°の角度であることがより好ましく、+/−10〜+/−30°の角度であることが更に好ましい。また、その揺動速度は、同様の観点から、揺動動作1往復を1回の揺動とし、1分当りの揺動繰返し数で、1〜30回/分であることが好ましく、より好ましくは2〜15回/分である。乾燥の間、回転数及び揺動速度は一定であってもよいし、乾燥の途中で各々変化させてもよい。
本発明においては、より好ましい形態として、回転数および揺動速度をそれぞれ上記範囲内にし、かつ、揺動速度と回転数との比(揺動速度(回/分)/回転数(r/min))が0.05〜1.0、好ましくは0.1〜0.5になるように設定することが乾燥を効率的に実施できる点で好ましい。
上記乾燥においては、乾燥効率の点から、容器内を真空にする。本発明で真空とは、その真空度がゲージ圧で定義され、そのゲージ圧が―0.05MPa以下であることを指すが、乾燥効率及び生産性の観点から、―0.06〜―0.1MPaであることが好ましく、―0.08〜―0.1MPaであることがより好ましい。真空にするためには減圧して行う。また、同時に加熱を行い、トナー粒子に含まれる水などを除去することもできる。乾燥の際の温度は、乾燥性、及びトナーの凝集や合一を抑制する観点から、結着樹脂のガラス転移点以下の温度であることが好ましく、より好ましくは、結着樹脂のガラス転移点−3℃以下の温度であり、更に好ましくは、結着樹脂のガラス転移点−5℃以下の温度である。
トナー粒子を含む含水ケーキの乾燥後の水分含有率(すなわち、トナーの含水率)は、トナーの帯電性、定着性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下に調整することが好ましい。
上記乾燥方法により、本発明においては生産性が高く、耐熱保存性,現像性に優れるトナーが得られる。
本発明においては、工程(B)の乾燥工程において、上記回転揺動式真空乾燥とともに、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じ、真空乾燥法、スプレードライ法、気流乾燥法、流動乾燥法等の方法を併用することができる。
本発明の製造法で得られるトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤を合一粒子表面に添加処理(表面処理工程)することができる(外添剤による表面処理前のトナーをトナー母粒子ともいう)。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の配合量は、トナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、トナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
トナー母粒子と外添剤を混合する際に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、メカノフュージュンシステム(ホソカワミクロン社製)等の攪拌装置が挙げられるが、これらの中では攪拌力の点でヘンシェルミキサーが好ましい。本発明の製造工程の後に上記表面処理工程を行う製造方法は、トナーの凝集物を解砕効果が得られる点でも有効な製造方法である。
[電子写真用トナー]
以下、前記電子写真用トナーの製造方法により得られる電子写真用トナーについて説明する。
本発明の電子写真用トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、耐久性の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
高画質化の観点から、トナーの体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜9μmがより好ましく、3〜8μmがより好ましい。また、前述の凝集粒子、合一粒子及びトナーの粒度分布の変動係数(CV値)は、下記式で求めることができ、いずれも30以下が好ましく、27以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。
変動係数(CV値)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
ここで、トナーの粒径及び粒度分布は、後述の方法で測定することができる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[結着樹脂及びトナーの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
[結着樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[樹脂粒子及び離型剤粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、水に対する相対屈折率を1.2として、吸光度が適正範囲になる濃度で得られた粒径分布からメジアン径(すなわち、体積中位粒径(D50))、及び、体積平均粒径(D4)及び標準偏差を測定、算出する。また、樹脂粒子、及び離型剤粒子の体積基準の変動係数(CV値)は下記の式に従って算出する。
体積基準の変動係数(CV値)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
[乳化液の固形分濃度]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[凝集粒子、合一粒子、及びトナーの粒径]
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加する。さらに、トナーの測定においては超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
粒度分布の変動係数(CV値)は、以下の式で算出できる。
変動係数(CV値)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
[乾燥前及び乾燥後の水分含有率]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、トナー分散粒子の含水ケーキまたは乾燥後のトナー5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。水分含有率は下記の式に従って算出した。
水分含有率(M)(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
なお、水分含有率が0.5重量%以上の場合、含水ケーキをバットに移し、温度40℃、圧力−0.08MPaにて15時間棚乾燥を行った。
製造例1 ポリエステルAの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、
窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に上記減圧下で反応させて、ポリエステルAを得た。ポリエステルAの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
製造例2 ポリエステルBの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に準拠して測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルBを得た。ポリエステルBの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3394であった。
製造例3 マスターバッチ1の製造
製造例1で得たポリエステルAの微粉末70重量部及び大日精化製銅フタロシアニンのスラリー顔料(ECB−301:固形分46.2重量%)を顔料分30重量部になる様にヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して青色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ1)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
製造例4 離型剤分散液の製造
2リットル容のビーカーで、脱イオン水800gにアルケニルコハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王(株)社製)、有効濃度28%」7.14gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃)200gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、Ultrasonic Homogenizer 600W (日本精機社製)で30分間分散処理を行い、体積中位粒径(D50):0.51μm、CV値:32、固形分濃度:22%の離型剤分散液を得た。
実施例1〜3
(工程A) トナー粒子の製造
樹脂乳化液(1)の製造
ポリエステルA 640g、ポリエステルB 420g、マスターバッチ1 200g(ポリエステルA、ポリエステルB及びマスターバッチ1に用いた樹脂を前記配合割合で混合溶融した混合樹脂の軟化点は114℃、ガラス転移点は64℃であった)、及び、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)80g、および、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製)」ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2)12g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液551gを、2軸の攪拌羽根が遊星運動を行う、プラネタリーミキサー(PRIMIX社製:5L容T.K.ハイビスミックス)にて、攪拌羽根が自転方向と逆向きに捻転した形状のブレード状の羽根を用い、攪拌周速1.2m/sec(自転周速:0.7m/sec、公転周速:0.5m/sec)の攪拌下、25℃で分散させた後、95℃まで昇温して2時間中和を行った。続いて、脱イオン水を12g/min(樹脂100gあたり1g/分)で2276g滴下し、乳化を行った。得られた乳化液を室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液(1)を得た。樹脂乳化液(1)の固形分濃度は31.2重量%であり、得られた樹脂乳化液(1)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.13μm、体積基準における変動係数は25であり、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。
凝集粒子の製造
(a)コア材の作成
樹脂乳化液(1) 500g、製造例4で得た離型剤分散液38g、脱イオン水137gを脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)34gを279gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10分かけて滴下した。その後、混合分散液を55℃まで昇温し凝集粒子を形成させ、55℃で3時間保持した。
(b)シェル材の添加
シェル材として、樹脂乳化液(1)50gと脱イオン水13gを混合したものを2mL/minで滴下し、その後55℃で20分間保持した。この操作を更に2回繰り返した。さらに、樹脂乳化液(1)50gと脱イオン水11gを混合したもの、及び、硫酸アンモニウム3.4gを脱イオン水46gに溶解させた水溶液を別々に同時に2mL/minで滴下し、その後55℃で20分間保持した。この操作を更に1回繰り返した。
その後、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分:28重量%)42gを脱イオン水375gで希釈した水溶液を添加した。この時、凝集粒子の体積中位粒径(D50)は4.7μm、CV値は24であった。
合一粒子の作成
ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を添加後、80℃まで昇温した。80℃で1時間保持した後、室温まで冷却した。その後、内容物を、吸引ろ過、洗浄を行い、トナー粒子の含水ケーキを得た。トナー粒子の体積中位粒径(D50)は4.9μm、CV値は21であった。
(工程(B)) 乾燥工程
得られたトナー粒子の含水ケーキ3kgを、各々表1に示す各条件にて回転揺動式真空乾燥装置(愛知電機社製:RMHV−10、容量10L)(D=φ200mm、L=350mm、D/L=1.9、回転数:8r/min、揺動速度:2.5回/分、揺動速度/回転数=0.3、揺動角:+/−20°)を用いて、減圧下(ゲージ圧;−0.09MPa)で含水率0.5重量%以下になるまで乾燥し、トナー母粒子を得た。乾燥に要した時間を表1に示す。
得られたトナー母粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添しトナーとした。得られた各トナーについて、乾燥後の水分含有率、及び下記方法により耐熱保存性と現像性を測定した結果を表1に示す。
比較例1(真空乾燥)
実施例1と同様に調製したトナー粒子の含水ケーキ50kgを、自・公転する攪拌機構を有した真空乾燥機(ホソカワミクロン社製:ナウタミキサNXV−1型 100L)を用いて、真空度−0.09kPaで、表1に示す条件にて乾燥を行った。しかし、13時間経過しても含水率20.7重量%までしか乾燥せず、更にスクリューと壁面の間に含水ケーキが圧密され凝集体を形成していたため、含水ケーキをバットに移し、温度40℃,減圧下(ゲージ圧;−0.08MPa)にて15時間棚乾燥を行った。実施例1と同様にして乾燥後の水分率、耐熱保存性及び現像性を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005010338
[耐熱保存性]
20ml容のポリビンにトナー10gをいれ、温度50℃、相対湿度40%RHの環境下に開放状態で48時間放置した。放置後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)で、凝集度を測定し、以下の基準に従って耐熱保存性を下記基準で評価した。結果を表1に示す。なお、具体的にパウダーテスターを使用した凝集度は次のように求めた。
パウダーテスターの振動台に、3つの異なる目開きのフルイを上段250μm、中段149μm、下段74μmの順でセットし、その上にトナー2gを乗せ振動を行い、各フルイ上に残ったトナー重量を測定する。
測定したトナー重量を次式に当てはめて計算し、凝集度[%]を求め、下記基準で評価した。凝集度の数値が小さいほど、凝集度が低く、耐熱保存性に優れていることを示す。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100
b=(中段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(1/5)
評価基準
3:凝集度が10未満
2:凝集度が10以上20未満
1:凝集度が20以上
[現像性]
上質紙(富士ゼロックス社製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ(OKI製、「ML5400」)を用いて画像を出力し、J紙を30枚敷いた上に該画像を置き、測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」)を用いて、光射条件が標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NB、及び絶対白基準とした際の反射画像濃度を測定した。画像濃度の数値が高いほど、現像性に優れることを示す。
評価基準
3:画像濃度が1.40以上
2:画像濃度が1.20以上1.40未満
1:画像濃度が1.20未満
本発明のトナーの製造方法は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて使用される電子写真用トナーの製造に好適に用いることができる。
本発明において使用する回転揺動式真空乾燥装置の一例の概略説明図を示した図。
符号の説明
1・・・回転揺動式真空乾燥装置
2・・・容器
3・・・接続部
4・・・載置部
5・・・支持台部
C・・・乾燥容器の中心軸
θ・・・揺動角

Claims (4)

  1. (A)水系媒体中で結着樹脂を含有するトナー粒子の分散液を得た後、該分散液からトナー粒子の含水ケーキを得る工程、及び(B)工程(A)で得られたトナー粒子の含水ケーキを容器に収容した後、該容器を回転させるとともに揺動させて真空乾燥を行う工程、を有する電子写真用トナーの製造方法。
  2. 工程(B)における、乾燥に供するトナー粒子の含水ケーキの水分含有率が50重量%未満である、請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 工程(B)における真空乾燥を、結着樹脂のガラス転移点以下の温度で行う、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 工程(A)が、樹脂粒子を、水系媒体中で、凝集、合一する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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