JP5438336B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる電子写真用トナーの製造方法、及び電子写真用トナーに関する。
電子写真用トナーの分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応したトナーの開発が要求されている。高画質化の観点からは、トナーを小粒径化する必要があり、従来の溶融混練法に代わり、重合法や乳化分散法などのケミカル法により得られる、いわゆるケミカルトナーが開示されている。さらに、高速化の観点からは低温定着性改善のため、トナーに離型剤を内添することが提案されている。
このような離型剤を用いたトナーとして、例えば、酸化オレフィン系重合体と化学結合する官能基を有するビニル系共重合体とからなるトナー用樹脂組成物において樹脂のモノマー成分としてグリシジルメタアクリレートを含有するトナーの製造法(特許文献1)、トナー製造中に、架橋剤として2官能のエチレングリコールジグリシジルエーテルを添加するトナーの製造法(特許文献2)が開示されている。また、トナーの定着性能を高める方法として、水中で重縮合した乳化粒子にカルボジイミド化合物を添加し、粒子表面に化学結合を形成させる方法が開示されている(特許文献3)。
特開平10−26844号公報 特開2006−106291号公報 特開2006−317715号公報
しかしながら、前記特許文献に記載された方法では、トナーの製造の際、離型剤がトナー組成物から遊離してしまうために、得られるトナーには所望の離型剤量が含有されておらず、トナーの定着性が十分ではなく、また遊離した離型剤がトナーの保存安定性に悪影響を及ぼすことがある。
本発明は、トナーを製造する際に、トナー組成物から離型剤が遊離するのを抑制し、低温定着性及び保存安定性に優れた電子写真用トナーを製造する方法および電子写真用トナーに関する。ここで、トナー組成物とは、後述の凝集粒子、合一粒子及びトナー粒子のいずれか一つを含むものを意味する。
本発明は、
[1](1)3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含む、酸価が10〜40mgKOH/gである樹脂の分散液(A)と、酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤の分散液(B)とを混合して、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る工程、及び(2)工程(1)で得られた凝集粒子を合一させて合一粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法であって、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の終了までに、(3)4つ以上のエポキシ基を有する化合物を存在させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法、及び
[2]前記[1]記載の製造方法により得られる電子写真トナー,
に関する。
本発明によれば、トナー製造時のトナー組成物からの離型剤粒子の遊離を防ぐことができ、低温定着性及び保存安定性に優れる電子写真用トナー及びその製造方法を提供することができる。
前述のように、ケミカル法、特に、乳化凝集法によるトナーの製造では、離型剤の分散や内包化が容易でない。このため、従来、架橋剤を添加することが試みられているが未だ十分でなく、目的達成のためには、更に架橋度を高める必要があるが、その場合、得られるトナーの低温定着性が阻害されるという問題がある。
本発明では、特定のポリエステルを含む樹脂粒子と特定の離型剤粒子とを凝集させる際に、エポキシ基を4つ以上有する化合物を存在させることで、トナー組成物から離型剤の遊離がなく、設計どおりに所望の離型剤を含有させることができ、トナーの保存安定性に優れ、かつ低温定着性を維持できるという優れた効果を奏する。その詳細なる理由は不明であるが、特定のポリエステルを含有する樹脂と、特定の架橋性化合物を反応させることで、適度な架橋状態を得ることにより、所望の量の離型剤をその内部に内包しうるトナーを得ることができると考察される。
<電子写真用トナーの製造方法>
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(1)3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含む、酸価が10〜40mgKOH/gである樹脂の分散液(A)と、酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤の分散液(B)とを混合して、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る工程、及び(2)工程(1)で得られた凝集粒子を合一させて合一粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法であって、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の終了までに、(3)4つ以上のエポキシ基を有する化合物を存在させる工程、を有するものである。
[工程(1)]
工程(1)は、3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含む、酸価が10〜40mgKOH/gである樹脂の分散液(A)と、酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤の分散液(B)とを混合して、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る工程である。
(分散液(A))
分散液(A)は、3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含む、酸価が10〜40mgKOH/gである樹脂(以下、前記要件を全て具備するものを「ポリエステル含有樹脂」ということがある)の分散液である。
ポリエステル含有樹脂
ポリエステル含有樹脂の酸価は、乳化する際の乳化の容易性およびポリエステル含有樹脂とエポキシ基との反応性の観点から、10〜40mgKOH/gであり、12〜35mgKOH/gが好ましく、15〜30mgKOH/gがより好ましい。
ポリエステル含有樹脂に含有されるポリエステルは、トナーの低温定着性及び保存安定性の観点から、3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコールとを縮重合して得られるものであり、分岐構造を有する分岐ポリエステルを含有するものであることが好ましい。ポリエステル含有樹脂中におけるポリエステルの含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることが更に好ましい。ポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよい。
ポリエステル含有樹脂に含まれるポリエステル以外の樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
ポリエステルの原料モノマーとしては、公知のアルコール成分と、3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸成分がいずれも用いられる。
カルボン酸成分として用いられる3価以上の多価カルボン酸としては、優れたトナーの低温定着性及び保存安定性の観点から、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、トリメリット酸が好ましい。
また、架橋構造を形成し、トナー組成物からの離型剤の遊離を抑制する観点から、原料モノマーとしてのカルボン酸成分中に3価以上のカルボン酸を1重量%以上含有することが好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましい。また、前記含有量は80重量%以下であることが好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。従って、ポリエステル中の3価以上のカルボン酸に由来する構成単位の割合も、前記カルボン酸成分中の3価以上のカルボン酸の割合に相当するものであることが好ましい。
本発明においては、前記3価以上の多価カルボン酸とともに、他のカルボン酸成分を使用することができ、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸等、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の2価のカルボン酸、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、トナーの帯電性や低温定着性及び保存安定性の観点から、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。前記カルボン酸は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルコール成分としては、具体的には、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、水素添加ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の3価以上のアルコール成分が挙げられる。前記アルコールは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、エポキシ基を有する化合物による反応性、すなわち架橋反応性の観点から、アルコール成分として、下記式(I)
Figure 0005438336
(式中、R1O及びR2Oは各々オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を表し、x及びyはそれぞれR1O及びR2Oの付加モル数を示す正の数であり、かつxとyの和の平均値は2〜7である。但し、x個のR1Oは各々同一でも異なっていてもよく、またy個のR2Oは各々同一でも異なっていてもよい。)
で表されるビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)のアルキレンオキサイド付加物を含有することが好ましい。
前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が好ましく挙げられる。前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、トナーの帯電性の観点から、原料アルコール成分中に50モル%以上含有されることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有され、更に好ましくは実質100モル%である。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃程度の温度で縮重合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルには、変性されていないポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。本発明においては、変性されていないポリエステルであることが好ましい。
トナーの低温定着性、保存安定性の観点から、ポリエステルの軟化点は70〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。また、ポリエステルの酸価は、乳化する際の乳化容易性の観点から、10〜40mgKOH/gが好ましく、12〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜30mgKOH/gがさらに好ましい。軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間等を調節することにより所望のものを得ることができる。
トナーの耐久性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜50,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
これらのポリエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ポリエステル含有樹脂の好ましい軟化点、ガラス転移点、分子量は前記ポリエステルにおける値と同じ値であり、その測定方法もポリエステルの場合に準ずる。ポリエステル含有樹脂が複数の樹脂を含有する場合には、樹脂の軟化点、ガラス転移点、酸価及び数平均分子量は、各樹脂の混合物としての各値を意味する。
さらに、前記ポリエステル含有樹脂は、トナーの低温定着性、保存安定性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、同様の観点から、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましく、60/40〜90/10がさらに好ましい。
ポリエステル含有樹脂の分散液(A)
ポリエステル含有樹脂の分散は、水系媒体中でポリエステル含有樹脂を分散させることにより行うことができる。
樹脂を分散させる水系媒体は水を主成分とするものである。ポリエステル含有樹脂の乳化性、及び環境への影響を低減する観点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、実質100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、前記アルコール系有機溶媒が好ましい。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて樹脂を微粒化させることが好ましい。
本発明においては、まず、水系媒体中でポリエステル含有樹脂の樹脂粒子を含む分散液(A)を調製するが、該樹脂粒子を含む樹脂分散液(A)の調製は、樹脂粒子の小粒径化及び得られるトナーの均一な粒径分布化の観点から、ポリエステル含有樹脂を乳化させて行うことが好ましい。
前記水系媒体中で樹脂を分散させて得られる樹脂分散液中における樹脂粒子には、前記ポリエステル含有樹脂とともに、必要に応じて、更に、前記ポリエステル含有樹脂以外の樹脂、着色剤、荷電制御剤、後述の離型剤の分散液(B)に含有される離型剤以外の離型剤等の添加剤を含有させることができる。
ポリエステル含有樹脂以外の樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられるが、得られるトナーの低温定着性及び保存安定性の観点から、ポリエステル含有樹脂の含有量は、トナーの結着樹脂中80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%がよりさらに好ましい。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用できる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の種々の顔料やアクリジン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アントラキノン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有量は、トナーの結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属(クロム、鉄、アルミニウム等)ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの結着樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
本発明においては、ポリエステル含有樹脂を分散させるに際して、ポリエステル含有樹脂の乳化安定性の向上などの観点から、トナーの結着樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部の界面活性剤を存在させることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中でもドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
また、前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリチレングリコ−ルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
前記分散に際しては、ポリエステル含有樹脂にアルカリ水溶液を加え、ポリエステル含有樹脂及び必要に応じて用いられる添加剤を分散させることが好ましい。
前記アルカリ水溶液は1〜20重量%の濃度のものが好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましい。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
分散後、ポリエステル含有樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水系媒体を添加することによって、乳化させることにより、ポリエステル含有樹脂の分散液(A)を製造することができる。
前記水系媒体の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、ポリエステル含有樹脂100g当たり好ましくは0.1〜50g/min、より好ましくは0.5〜40g/min、さらに好ましくは1〜30g/minである。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持すればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水の添加速度に特に制限はない。
当該ポリエステル含有樹脂の分散液(A)の製造に用いる水系媒体としては、前述の水系媒体と同じものを挙げることができ、好ましくは、脱イオン水又は蒸留水である。
水系媒体の量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して100〜2,000重量部が好ましく、150〜1,500重量部がより好ましい。得られる分散液の安定性と取扱い性などの観点から、ポリエステル含有樹脂の分散液(A)の固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%になるように水系媒体の量を選定する。なお、固形分には樹脂、非イオン性界面活性剤などの不揮発性成分が含まれる。
また、このときの温度は、微細な樹脂粒子の分散液を調製する観点から、ポリエステル含有樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の範囲が好ましい。乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、また加熱に特別の装置を必要としない。この点から、前記温度は、ポリエステル含有樹脂の(ガラス転移点+10℃)(「ガラス転移点より10℃高い温度」を意味する、以下同様の表記は同様に解する)以上であることが好ましく、また、(軟化点−5℃)以下であることが好ましい。
このようにして得られたポリエステル含有樹脂の分散液(A)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程での均一な粒径を有する凝集粒子を得るために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
水系媒体中で、ポリエステル含有樹脂樹脂を分散してポリエステル含有樹脂の分散液を得る他の方としては、例えば、まず、目的とする樹脂粒子の原料として重縮合性単量体を水系媒体中に例えば機械的シェアや超音波などにより乳化分散させる方法が挙げられる。この際、必要に応じて、重縮合触媒、界面活性剤などの添加剤も水溶性媒体に添加する。そして、この溶液に対して例えば加熱などを施すことで、重縮合を進行させる。例えば、ポリエステル含有樹脂がポリエステルのみである場合は、前述のポリエステルの重縮合性単量体、重縮合触媒が使用でき、界面活性剤としては前述のものが同様に使用できる。
通常、重縮合樹脂は重合時に脱水を伴うために原理的に水系媒体中では進行しない。しかしながら、例えば、水系媒体中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水系媒体中に乳化せしめた場合、単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水系媒体中に排出せしめ重合を進行させることができる。このようにして、低エネルギーで、水系媒体に重縮合樹脂粒子が乳化分散した分散液が得られる。
(分散液(B))
分散液(B)は、酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤の分散液である。
分散液(B)に用いられる離型剤としては、その酸価が0.5〜20mgKOH/gであり、エポキシ基を有する化合物との反応性の観点から、好ましくは0.5〜17mgKOH/g、より好ましくは1.0〜15mgKOH/gである。具体的には、エステル系ワックス、酸変性ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンをカルボン酸変性して得られる酸変性ポリオレフィンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなど植物系ワックスが挙げられ、その中でも、トナーの低温定着性、保存安定性の観点から、カルナウバワックスが好ましい。本発明においては、2種類以上の上記離型剤を組み合わせて使用してもよい。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性、保存安定性、帯電性、耐久性などの観点から、50〜100℃が好ましく、70〜95℃がより好ましい。融点は、示差走査熱量計を用いて測定することができ、具体的には後述の方法で測定することができる。
分散液(B)は、前記酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤を、水系媒体などの媒体中に分散することにより得られる。具体的には、前記離型剤を、例えば水系媒体中に、界面活性剤の存在下で分散し、該離型剤の融点以上に加熱しながら、強いせん断力を有するホモジナイザ−、圧力吐出型ホモジナイザ−、超音波分散機等で微粒子に分散し、好ましくは体積中位粒径(D50)が1μm以下の離型剤粒子の分散液とすることができる。
前記離型剤の分散に用いられる水系媒体としては、前述のポリエステル含有樹脂の分散の際に用いられる水系媒体と同様のものを用いることができるが、トナー作製時の添加の容易性及び環境への影響を低減する観点から、脱イオン水や蒸留水が好ましい。
離型剤の分散液(B)の調製の際に用いる界面活性剤は、公知のアニオン性、カチオン性、非イオン性の各種界面活性剤をいずれも使用することができる。分散安定性の向上などの観点から、アニオン性、カチオン性などのイオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤の添加量は、離型剤粒子の分散液の分散安定性の向上などの観点から、離型剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜7重量部、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
離型剤の分散液(B)の分散時における離型剤の固形分濃度は、分散性及び離型剤の分散液の分散容易性の観点から5〜40重量%が好ましく、10〜35重量%がより好ましく、15〜35重量%がさらに好ましい。
離型剤の分散液(B)中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は、トナー中での分散性の観点から、1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.9μm、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
前述のポリエステル含有樹脂の分散液(A)と、離型剤の分散液(B)は、混合された後、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る工程(凝集工程)に供される。
(凝集工程)
本発明の工程(1)においては、前記ポリエステル含有樹脂の分散液(A)と、離型剤の分散液(B)とを混合して、凝集剤を添加することで、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る。
ポリエステル含有樹脂の分散液(A)と離型剤の分散液(B)との添加割合は、添加効果及びトナーの帯電性への悪影響を考慮して、前記ポリエステル含有樹脂100重量部に対して、離型剤の分散液(B)中の離型剤粒子が通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部となるような割合であることが好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。本発明においては、凝集剤として、有機系の凝集剤では、ポリエチレンイミン等、無機系の凝集剤では、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。有機塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウムが、無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記凝集剤のうち、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
分子量350以下の水溶性含窒素化合物は、一次粒子を速やかに凝集させる観点から、酸性を示す化合物であることが好ましく、その10重量%水溶液の25℃でのpH値が4〜6であるものが好ましく、4.2〜6のものがより好ましい。このような水溶性含窒素化合物としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられるが、生産性の点から、硫酸アンモニウム(10重量%水溶液の25℃でのpH値、以下pH値という:5.4)、塩化アンモニウム(pH値:4.6)、臭化テトラエチルアンモニウム(pH値:5.6)、臭化テトラブチルアンモニウム(pH値:5.8)が好ましく挙げられる。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性、特に高温高湿環境の帯電特性の観点から、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。また、凝集性の観点から、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましく、5重量部以上が更に好ましい。以上の点を考慮して、1価の塩の使用量は、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、3〜40重量部がより好ましく、5〜30重量部が更に好ましい。
前記凝集剤の添加は、系内のpHを調整した後で、ポリエステル含有樹脂の(ガラス転移点+20℃)以下の温度、好ましくは(ガラス転移点+10℃)以下、より好ましくは(ガラス転移点+5℃)未満の温度で行う。前記温度で行うことにより、粒度分布が狭く、均一な凝集を行うことができる。また、前記添加は、ポリエステル含有樹脂の(軟化点−100℃)以上で行うことが好ましく、(軟化点−90℃)以上で行うことがより好ましい。その際の系内のpHは、混合分散液の分散安定性と樹脂粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜7がさらに好ましい。
凝集剤は水系媒体溶液にして添加することができる。凝集剤は一時に添加しても良いし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。さらに、1価の塩の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
このようにして、ポリエステル含有樹脂の分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子を凝集させることにより、凝集粒子を調製する。
この凝集粒子は、小粒径化の観点から、その体積中位粒径(D50)が1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは2〜6μmの範囲にあることが好ましい。
本発明においては、前記凝集粒子の調製後に、界面活性剤を添加することが好ましく、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することがさらに好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留性の観点から、凝集粒子を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で得られた凝集粒子を合一させて合一粒子を得る工程である。
本発明においては、前記凝集工程で得られた凝集粒子を加熱して合一させる。合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、ポリエステル含有樹脂のガラス転移点以上が好ましく、(軟化点+20℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+5℃)以上で(軟化点+15℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+10℃)以上で(軟化点+10℃)以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
本発明において、合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
得られた合一粒子は、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程を経て、トナー粒子となる。ここで、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、洗浄工程においてトナー表面の金属イオンを除去するため酸で洗浄を行うことが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明においては、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の終了までの間に、以下の工程(3)を行う。
[工程(3)]
工程(3)は、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の終了までに行われる工程であり、4つ以上のエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基を有する化合物」ということがある)を存在させる工程である。
(エポキシ基を有する化合物)
本発明に係るエポキシ基を有する化合物は、ポリエステル含有樹脂との反応性、すなわち架橋反応性の観点から、エポキシ基を4つ以上有する。すなわち、エポキシ基が1〜2個有する化合物の場合、ポリエステル含有樹脂と十分に反応せず、また反応してもポリエステル含有樹脂の粒子同士を結合させることが困難である。また、エポキシ基が10以下であれば、エポキシ基を有する化合物との反応によるポリエステル含有樹脂の粒子の大凝集による粗大粒子の発生を抑制でき好ましい。前記観点から、エポキシ基を有する化合物は、その有するエポキシ基の数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましく、4〜6であることが更に好ましい。
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ基が4つ以上存在するものであれば特に制限はないが、例えば、グリセリン−ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン−ポリグリシジルエーテル、ソルビトール−ポリグリシジルエーテル、ポリグリセリン−ポリグリシジルエーテル等が挙げられ、ポリエステル含有樹脂との適度な反応性を得る観点から、ポリグリセリン−ポリグリシジルエーテルが好ましい。市販品としては、ナガセケムテックス社製デナコールシリーズや、日油社製エピオールシリーズ等が使用可能である。
本発明に係るエポキシ基を有する化合物は、水系にて、分散液(A)、分散液(B)、あるいはこれらの混合分散液、凝集粒子分散液、合一粒子分散液などの分散液に添加して使用するため、反応性の観点から、水溶性であることが好ましい。ここで「水溶性」とは、水に濁りや沈殿が生成することなく溶解できることを示す。より具体的には25℃における、水100gに対する溶解量が15g以上、好ましくは、25g以上であることを示す。
本発明に係るエポキシ基を有する化合物の分子量は、ポリエステル含有樹脂との反応性および水溶性の観点から、数平均分子量で、100〜1,500の範囲にあることが好ましく、より好ましくは200〜1300、さらに好ましくは400〜1100の範囲にある。
本発明に係るエポキシ基を有する化合物の添加量は、ポリエステル含有樹脂の酸価や離型剤の種類などに応じて適宜選択できる。離型剤の遊離を防止する観点およびトナーの低温定着性の観点から、エポキシ基を有する化合物の添加量は、エポキシ基を有する化合物中のエポキシ基のモル数が、ポリエステル含有樹脂中のカルボキシル基のモル数に対して、0.1〜1.0倍となるような量であることが好ましく、0.2〜0.9倍となるような量であることがより好ましく、0.3〜0.8倍となるような量であることが更に好ましい。
本発明においては、エポキシ基を有する化合物は、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の終了までに存在させる。本発明では、特定のポリエステル含有樹脂の粒子と特定の離型剤の粒子とを凝集させる際あるいは凝集後に、前述のエポキシ基を有する化合物を存在させ、反応させることで、トナー組成物から離型剤の遊離がなく、設計どおりに所望の離型剤を含有させることができ、トナーの保存安定性に優れ、かつ低温定着性を維持できるという優れた効果を奏する。
前記エポキシ基を有する化合物を存在させる方法としては、例えば、工程(1)の際に、分散液(A)及び/又は分散液(B)に予め前記エポキシ基を有する化合物を添加する方法、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)との混合の際、混合後であって工程(2)の前、工程(2)の間に前記エポキシ基を有する化合物を添加する方法等を挙げることができる。すなわち、本発明に係るエポキシ基を有する化合物は、各工程において存する各分散液に添加され、例えば、工程(1)においては、前記分散液(A)、分散液(B)あるいはこれらの混合分散液、または凝集粒子分散液に、工程(2)においては合一粒子分散液などに添加される。
すなわち、水系媒体中にて、ポリエステル含有樹脂の分散液(A)と離型剤の分散液(B)とを凝集、合一させることでトナーを製造する際に、離型剤がトナーから遊離する問題を解決するために、従来トナーのカプセル化が行われていたが、その場合、得られるトナーの性能に悪影響を及ぼすことがあった。本発明においては、前記凝集の際に4つ以上のエポキシ基を有する化合物を使用することで、カプセル化を行うことなく、トナーからの離型剤の遊離を防止することができる。
[電子写真用トナー]
本発明の電子写真用トナーは、上記電子写真用トナーの製造方法、すなわち、(1)3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含む、酸価が10〜40mgKOH/gである樹脂の分散液(A)と、酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤の分散液(B)とを混合して、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る工程、及び(2)工程(1)で得られた凝集粒子を合一させて合一粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法であって、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の終了までに、(3)4つ以上のエポキシ基を有する化合物を存在させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法、により得られるものである。
本発明の電子写真用トナーの軟化点は、定着温度幅を拡大させる観点から、105〜200℃であることが好ましく、より好ましくは105〜180℃、さらに好ましくは105〜160℃である。また、ガラス転移点は、低温定着性と保存安定性の向上の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、トナーの軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
高画質化の観点から、トナーの体積中位粒径(D50)は1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、9μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましく、6μm以下が更により好ましい。トナー粒子の粒径は後述の方法で測定することができる。
本発明の電子写真用トナーは、前記製造方法により、トナーからの離型剤の遊離を抑制することができるが、この結果、本発明の電子写真用トナーは、離型剤をポリエステル含有樹脂100重量部に対し、1〜20重量部含有することが好ましく、より好ましくは、2〜15重量部含有し、更に好ましくは3〜10重量部含有する。
また、前述の凝集粒子、合一粒子及びトナー粒子のCV値は、いずれも45%以下が好ましく、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下である。体積基準の粒度分布の変動係数(CV値)は、式
CV値(%)=[体積基準の粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
で表される値であり、粒度分布のシャープさを示す指標であり、値が小さいほど粒度分布がシャープになり、画像特性に優れる結果となる。
以上のようにして得られたトナー粒子は電子写真用トナーとして、あるいは外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加処理して本発明の電子写真用トナーとすることができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。外添剤の個数平均粒子径は好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[樹脂の軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所社製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Parkin Elmer社製、「Pyris6 DSC」)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移点として読み取る。
[離型剤の酸価]
離型剤1gにトルエンとエタノールの混合溶液(トルエン:エタノール=2:1(容量比))を加え、指示薬として1%フェノールフタレイン溶液を極少量添加した試料を、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定する。終点は、フェノールフタレインの薄い紅色が30秒間続いたところとする。得られた滴定の結果から、下記式より酸価を求めた。
(酸価)=(5.611×A×f)/(離型剤重量[g])
A:滴定した水酸化カリウムエタノール溶液の使用量(mL)
f:水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
[樹脂粒子、離型剤粒子の粒径]
(1)測定装置:レーザー散乱型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)(%)で示す。
[樹脂の分散液、離型剤の分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[エポキシ基を有する化合物の分子量]
溶解液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに0.5wt%の試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出する。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:TSK GEL G2000H8×2(東ソー社製)
[トナーの粒径]
・測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%濃度となるように前記電解液に溶解させて分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
・粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)(%)で示す。
[合一工程での離型剤の遊離の評価]
合一工程後かつろ過工程前のトナー粒子分散液をサンプリングし、光学顕微鏡により観察した。更に、サンプリングしたトナー粒子分散液を静置し、上澄み液の濁りを確認した。離型剤の遊離がない場合、上澄み液は無色透明であるが、離型剤の遊離がある場合には上澄み液が白濁することから、離型剤の遊離の有無を確認できる。
[トナー中の離型剤含有率(トナー製造中に遊離した離型剤量の評価)]
実施例、比較例で製造したトナーと同じ組成の混合物、および該混合物の離型剤量を変えた混合物を作成する。これらの混合物を示差走査熱量計で測定し、混合物中の離型剤由来、すなわちトナー中の離型剤由来の吸熱ピークと、離型剤の含有量との検量線をトナーの種類ごとに作成する。
トナーを示差走査熱量計で測定して得られる離型剤由来の吸熱ピークの吸熱量から、対応する検量線を用いてトナー中に含まれる離型剤の含有割合を算出する。得られた数値が高いほどトナー中の離型剤含有率が高いことを、即ち、トナー製造中に遊離した離型剤が少ないことを示す。
〔トナーの定着性評価(トナーの最低定着温度)〕
上質紙(富士ゼロックス社製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ(沖データ社製、「ML5400」)を用いて画像を出力し、トナーの紙上の付着量が0.45±0.03mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで未定着画像のまま出力した。同プリンタに搭載されている定着器を温度可変に改造し、温度定着速度34枚/分(A4縦方向)で定着した。得られた定着画像の定着性は以下のテープ剥離法によって評価した。
メンディングテープ(3M社製Scotchメンディングテープ810 幅18mm)を長さ50mmに切り、定着した画像上の上端の余白部分に軽く貼り付けた後、500gのおもりをのせ、速さ10mm/秒で1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/秒で剥がし、テープ貼付前後の反射画像濃度を前記測定方法に従い測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率=(テープ剥離後の画像濃度/テープ貼付前の画像濃度)×100
テープ剥離後の画像濃度がテープ貼付前の画像濃度と同じ値になった時を定着率100とし、値が小さくなるにつれ定着性が低いことを示す。
5℃刻みの定着温度の各々で前記試験を行い、コールドオフセットが発生する温度まで実施する。なお、コールドオフセットとは定着温度が低い場合に、未定着画像上のトナーが充分に溶融せずに、定着ローラにトナーが付着する現象を指す。コールドオフセットの発生は定着ローラが一周した際に、再度、紙上にトナーが付着するか否かで判断することができ、本試験ではべた画像上端から87mmの部分にトナー付着があるか否かで判断した。ここで、最低定着温度とは、定着率90以上でコールドオフセットが発生しない温度のうち、その最も低い温度をいう。
〔トナーの保存安定性評価〕
20ml容のポリビンにトナー10gをいれ、温度50℃、相対湿度40Rh%の環境下に開放状態で48時間放置した。放置後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)で、凝集度を測定し、下記の基準に従って保存安定性を評価した。結果を表3に示す。なお、具体的にパウダーテスターを使用した凝集度は次のように求めた。
パウダーテスターの振動台に、3つの異なる目開きのフルイを上段250μm、中段150μm、下段75μmの順でセットし、その上にトナー2gを乗せ60秒間振動を行い、各フルイ上に残ったトナー重量を測定する。
測定したトナー重量を次式に当てはめて計算し、凝集度[%]を求める。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100
b=(中段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(1/5)
凝集度が小さいほど保存安定性に優れることを現す。
A:凝集度が10%未満。
B:凝集度が10%以上20%未満
C:凝集度が20%以上
製造例1(ポリエステルAの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8,320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1,592g及び酸化ジブチル錫(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1,672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステルAを得た。ポリエステルAの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/gであった。
製造例2(ポリエステルBの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン4,176g、ポリオキシエチレン(2.0)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3,881g、テレフタル酸2,253g、ドデセニルコハク酸無水物322g、トリメリット酸無水物945g及び酸化ジブチル錫15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルBを得た。ポリエステルBの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は21.0mgKOH/gであった
製造例3(ポリエステルCの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6,160g、フマル酸2,125g及び酸化ジブチル錫5gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に準拠して測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステルCを得た。ポリエステルCの軟化点は101℃、ガラス転移点は57℃、酸価は22.4mgKOH/gであった。
製造例4(ポリエステル含有樹脂の分散液Aの製造)
2リットル容のステンレス釜で、ポリエステルA 390.0g、ポリエステルB 210.0g(ポリエステルAとポリエステルBの混合樹脂の酸価は23.2mgKOH/g)、銅フタロシアニン顔料(ECB−301:大日精化工業社製)30g、及び、アニオン性界面活性剤(花王社製「ネオペレックスG−15」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15重量%水溶液)20.0g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製)」ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液292.8gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/分で滴下した。また、系の温度は95℃に保持した。冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化したポリエステル含有樹脂の分散液Aを得た。得られた樹脂分散液A中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は237nm、CV値は24%、固形分濃度は31重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
製造例5(ポリエステル含有樹脂の分散液Bの製造)
製造例4においてポリエステルAをポリエステルCに変えた(ポリエステルCとポリエステルBの混合樹脂の酸価は21.9mgKOH/g)以外は同様にして、ポリエステル含有樹脂の分散液Bを得た。得られたポリエステル含有樹脂の分散液B中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は154nm、CV値は26%、固形分濃度は30重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
製造例6(離型剤の分散液aの製造)
1リットル容のビーカーで、脱イオン水480gにアルケニル(ヘキサデセニル基、オクタデセニル基の混合物)コハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王社製)、有効分濃度28重量%」4.29gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃、酸価5mgKOH/g)120gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、「Ultrasonic Homogenizer 600W」(日本精機社製)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.435μm、粒度分布の変動係数(CV値)は31.9であった。ここにイオン交換水を加え、離型剤固形分20重量%に調整し、離型剤の分散液aを得た。
実施例1
ポリエステル含有樹脂の分散液A 300g、離型剤の分散液a 18.9gを2リットル容の容器で室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、凝集剤として10.9重量%硫酸アンモニウム水溶液145.8gを添加し、さらに室温で60分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から55℃まで昇温し(昇温速度0.25℃/min)、55℃で3時間保持することで、凝集粒子を作製した(工程1)。
次に、100rpmの攪拌の下、下記式(II)のエポキシ基を有する化合物「デナコールEX-521」(ナガセケムテックス社製、エポキシ基数6、エポキシ等量 183g/等量、数平均分子量:990)3.5gをイオン交換水10.4gに溶解させた溶液を添加し、55℃で30分間攪拌を行った(工程3)。
次に、0.63重量%アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」)水溶液141.2gを添加し、80℃まで昇温(昇温速度1℃/min)した後、1時間保持して合一粒子を得た(工程2)。
得られた合一粒子を室温まで冷却後、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製;RY50、個数平均粒子径;0.04μm)2.5部、疎水性シリカ(キャボット社製;キャボシールTS720、個数平均粒子径;0.012μm)1.0部をヘンシェルミキサーで外添し、150メッシュの篩いを通過した微粒子をシアントナーとした。トナーの体積中位粒径は5.2μmであった。
Figure 0005438336
ただし、n=4
実施例2
エポキシ基を有する化合物「デナコールEX-521」(ナガセケムテックス社製)を「デナコールEX−512」(ナガセケムテックス社製、エポキシ基数4、エポキシ等量 168g/等量、数平均分子量:630)3.2gをイオン交換水9.5gに溶解させた溶液に代えた以外は実施例1と同様にして、シアントナーを得た。
実施例3
ポリエステル含有樹脂の分散液Aをポリエステル含有樹脂の分散液Bに代えた以外は実施例1と同様にして、シアントナーを得た。
比較例1
エポキシ基を有する化合物を、「デナコールEX-521」(ナガセケムテックス社製)から、「デナコールEX-810」(ナガセケムテックス社製、エポキシ基数2、エポキシ等量130g/等量、数平均分子量:174)2.5gをイオン交換水7.4gに溶解させた溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、シアントナーを得た。
比較例2
エポキシ基を有する化合物を、「デナコールEX-521」(ナガセケムテックス社製)から、「エピオールE−1000」(日油社製、エポキシ基数2、エポキシ等量 525g/等量、数平均分子量:1140)9.9gをイオン交換水29.9gに溶解させた溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、シアントナーを得た。
比較例3
実施例1において、エポキシ基を有する化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、シアントナーを得た。

以上の実施例及び比較例で調製したシアントナーについて、その性状、性能を表1にまとめて示す。
Figure 0005438336
本発明によれば、トナーからの離型剤の遊離を防ぐことができ、低温定着性及び保存安定性に優れるトナーが得られることから、本発明の製造方法により得られるトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに使用される電子写真用トナーに好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. (1)3価以上の多価カルボン酸を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含む、酸価が10〜40mgKOH/gである樹脂の分散液(A)と、酸価が0.5〜20mgKOH/gである離型剤の分散液(B)とを混合して、分散液(A)中の樹脂粒子と分散液(B)中の離型剤粒子とを凝集させて凝集粒子を得る工程、及び
    (2)工程(1)で得られた凝集粒子を合一させて合一粒子を得る工程、
    を有するトナーの製造方法であって、工程(1)における分散液(A)と分散液(B)の混合の際、あるいは混合後であって工程(2)の前に、
    (3)4つ以上のエポキシ基を有する化合物を添加する工程、
    を有する電子写真用トナーの製造方法。
  2. 4つ以上のエポキシ基を有する化合物の数平均分子量が100〜1,500である、請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 4つ以上のエポキシ基を有する化合物中のエポキシ基の数が4〜10である、請求項1または2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. アルコール成分が、下記式(1)
    Figure 0005438336
    (式中、R1O及びR2Oは各々オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を表し、x及びyはそれぞれR1O及びR2Oの付加モル数を示す正の数であり、かつxとyの和の平均値は2〜7である。但し、x個のR1Oは各々同一でも異なっていてもよく、またy個のR2Oは各々同一でも異なっていてもよい。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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