JPH1184732A - トナー、その製造法及び現像剤 - Google Patents

トナー、その製造法及び現像剤

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JPH1184732A
JPH1184732A JP24681297A JP24681297A JPH1184732A JP H1184732 A JPH1184732 A JP H1184732A JP 24681297 A JP24681297 A JP 24681297A JP 24681297 A JP24681297 A JP 24681297A JP H1184732 A JPH1184732 A JP H1184732A
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JP
Japan
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toner
acid
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dispersed
washing
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JP24681297A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Fujii
徹也 藤井
Yugo Kumagai
雄五 熊谷
Osamu Higashida
修 東田
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色調再現性に優れ、帯電性、耐環境性に優
れ、清掃不良から起きる画像品質の低下の起きないトナ
ー、トナーの製造法及び現像剤を提供する。 【解決手段】 結着樹脂及び着色剤を含む材料を前記結
着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させた液を、
水性媒体中に分散し、分散油滴中の溶媒を除去した後、
形成された粒子をアルコール水溶液中で洗浄し、分離し
てなるトナー、結着樹脂及び着色剤を含む材料を前記結
着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させ、ついで
これを、無機分散剤を含有する水性媒体中に分散し、分
散油滴中の溶媒を除去した後、形成された粒子をアルコ
ール水溶液中で洗浄し、分離することを特徴とするトナ
ーの製造法並びに前記トナーとキャリアよりなる現像
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真や静電記
録などにおいて、感光体表面に形成された静電荷像を顕
像化する静電荷像現像用のトナー、その製造法及び該ト
ナーを用いた現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式は、米国特許第2,29
7,691号明細書、英国特許第1,165,406号
明細書及び同第1,165,405号明細書に記載され
ているように、光導電性物質を利用した感光体上へ一様
な静電荷を与える帯電工程、光を照射して静電潜像を形
成させる露光工程、潜像部分にトナーを付着させる現像
工程、トナー像支持体に転写させる転写工程、該トナー
像を熱、圧力、フラッシュ光等で像支持体に固着させる
定着工程、感光体上に残存したトナーを除去する清掃工
程及び感光体上の静電荷を除き、初期状態に戻す除電工
程からなり、これらの工程が繰り返されて幾枚もの印刷
物が得られる。
【0003】電子写真の分野に使用される静電荷像現像
用トナーとしては、ビスフェノール骨格を有するグリコ
ールと多塩基酸とを縮合反応させて得られるポリエステ
ル樹脂を用いたトナー(特公昭52−25420号公
報)、ポリスチレン樹脂を用いたトナー(特公昭44−
16118号公報)、スチレン・メタクリル酸ブチル共
重合樹脂を用いたトナー(特公昭56−11143号公
報)、ビスフェノールとエピクロルヒドリンを反応させ
て得られるビスフェノール型エポキシ樹脂を用いたトナ
ー(特開昭57−96354号公報)等が知られてい
る。
【0004】ところで、近年、情報の多様化に伴って情
報の表現方法も、これまでのモノクロトナーによる作像
にかわって、カラートナーによる作像が要求されるよう
になってきた。このようなカラー処理に対しては色調再
現性に優れるポリエステル樹脂を用いたトナーが賞用さ
れる場合が多い。また、情報の高密度化の動きに対応し
て解像度の高い、すなわち微細な表現が可能な小粒子径
のトナーが要求されるようになってきた。しかし、こう
いった市場の動向に対して、従来の、ポリエステル樹
脂、着色剤及びその他の添加剤を溶融混練した後に粉砕
する、いわゆる粉砕法トナーでは以下に述べる種々の問
題点があった。 (1)色調再現性に優れるトナーを得るためには定着時
にシャープメルトする低分子量のポリエステル樹脂が必
要であるが、低分子量であるが故に溶融混練時に着色剤
及びその他の添加剤の分散が不十分で定着した画像の色
調が劣ったり、また、トナーの組成が不均質で画像品質
が劣る。 (2)低分子量のポリエステル樹脂であるため、溶融混
練物が過粉砕されやすく歩留まりが低い。また、微粉砕
粒子が印刷時に飛散して画像品質を低下したり、または
環境を汚染したりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】請求項1記載の発明
は、色調再現性に優れ、帯電性、耐環境性に優れ、清掃
不良から起きる画像品質の低下の起きないトナーを提供
するものである。請求項2〜5記載の発明は、色調再現
性に優れ、粒径分布が狭く小粒径化が可能で、帯電性、
耐環境性に優れ、清掃不良から起きる画像品質の低下の
起きないトナーの製造法を提供するものである。請求項
6記載の発明は、色調再現性に優れ、帯電性、耐環境性
に優れ、清掃不良から起きる画像品質の低下の起きない
現像剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、結着樹脂及び
着色剤を含む材料を前記結着樹脂が溶解可能な溶媒中に
溶解又は分散させた液を、水性媒体中に分散し、分散油
滴中の溶媒を除去した後、形成された粒子をアルコール
水溶液中で洗浄し、分離してなるトナーに関する。
【0007】また本発明は、結着樹脂及び着色剤を含む
材料を前記結着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散
させ、ついでこれを、無機分散剤を含有する水性媒体中
に分散し、分散油滴中の溶媒を除去した後、形成された
粒子をアルコール水溶液で洗浄し、分離することを特徴
とするトナーの製造法に関する。また本発明は、洗浄で
用いるアルコール水溶液のアルコール濃度が5〜50重
量%である前記トナーの製造法に関する。また本発明
は、洗浄前の水と洗浄後の水との電気伝導度の差が10
0μS/cm以下まで洗浄する前記トナーの製造法に関す
る。また本発明は、無機分散剤が、リン酸三カルシウ
ム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン及びシリカ粉末から選択されたものである前記トナー
の製造法に関する。さらに本発明は、前記トナーとキャ
リアよりなる現像剤に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係るトナーの結着樹脂と
してはポリエステル樹脂が、ビニル系重合体等が好まし
いものとして用いられる。ポリエステル樹脂は、アルコ
ール成分と酸成分を原材料とし、公知の合成法で製造す
ることができる。
【0009】アルコール成分としては、例えば、一般式
(I)
【化1】 (式中、R1及びR2はエチレン基又はプロピレン基であ
り、x及びyは各々1以上の整数であり、xとyの和は
2〜7である)で表されるジオール〔ポリオキシプロピ
レン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,
0)−ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等〕、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコー
ル、水添ビスフェノールA、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、キ
シリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールなどのジアルコール、グリセリン、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、
トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
2,2,4−トリメチロールペンタン−1,3−ジオー
ルなどの3価以上のアルコールが挙げられる。
【0010】これらのアルコール成分の中では、定着強
度、耐オフセット性などの安定性の点から、ジアルコー
ルとともに3価以上のアルコールを併用するのが好まし
いが、その場合、3価以上のアルコールの配合量は全ア
ルコール成分の40モル%以下とすることが好ましい。
上記アルコール成分は単独で又は2種類以上を組み合わ
せて使用される。
【0011】酸成分としては、例えば、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、ダイマー酸、アジピン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジメチ
ルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタ
ル酸モノメチルエステル、テトラヒドロフタル酸、メチ
ルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ジメ
チルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンヘキサヒド
ロフタル酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ジフェノー
ル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン
酸、シクロペンタンジカルボン酸、3,3′,4,4′
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,3,4−
ブタンテトラカルボン酸、2,2−ビス−(4−カルボ
キシフェニル)プロパン、これらの酸の無水物(無水マ
レイン酸、無水トリメリット酸等)、無水トリメリット
酸と4,4−ジアミノフェニルメタンから得られるジイ
ミドカルボン酸、トリス−(β−カルボキシエチル)イ
ソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミドカ
ルボン酸、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの三量化
反応物と無水トリメリット酸から得られるイソシアネー
ト環含有ポリイミドカルボン酸などのジカルボン酸及び
そのエステル並びに3価以上のカルボン酸及びそのエス
テルが挙げられる。
【0012】これらの酸成分の中では、定着強度、耐オ
フセット性などの安定性の点から、ジカルボン酸又はそ
のエステルとともに3価以上のカルボン酸又はそのエス
テルを用いることが好ましいが、その場合3価以上のカ
ルボン酸及びそのエステルの配合量は全酸成分の40モ
ル%以下とするのが好ましい。上記酸成分は単独で又は
2種類以上を組み合わせて使用される。
【0013】上記アルコール成分と酸成分の他にヒドロ
キシカルボン酸成分(p−オキシ安息香酸、バニリン
酸、ジメチロールプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、5
−ヒドロキシイソフタル酸等)を添加することもでき、
ヒドロキシカルボン酸成分を添加する場合、その配合量
は全単量体成分の0.5〜20モル%とすることが好ま
しい。ポリエステル樹脂は上記アルコール成分と酸成分
(場合により、さらに上記ヒドロキシカルボン酸成分)
を常法に従って縮合反応させることによって製造するこ
とができる。例えば、上記アルコール成分と酸成分を温
度計、ステンレス製撹拌器、流下式コンデンサを備えた
反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在
下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物
を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点
で反応を停止させ、冷却し、淡黄色の反応物を取得する
ことによって製造することができる。アルコール成分と
酸成分は、常法で用いられている範囲で配合することが
できるが、通常、水酸基/カルボキシル基がモル比で1
/2〜2/1となる割合で配合する。得られるポリエス
テル樹脂の酸価は、特に制限されるものではないが、1
〜20mgKOH/gとすることが好ましい。
【0014】ポリエステル樹脂を製造する際には、触媒
を添加してもよい。使用するカルボン酸成分がエステル
基を含まない遊離のカルボン酸である場合は、触媒とし
ては、例えば、エステル化触媒(ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチル
チタネート等の金属アルコキシドなど)を使用すること
ができ、その配合量は、原材料の配合量の総量に対して
0.1〜1重量%とすることが好ましい。また、カルボ
ン酸成分が低級アルキルエステルである場合は、触媒と
しては、例えば、エステル交換触媒(酢酸亜鉛、酢酸
鉛、酢酸マグネシウム等の金属酢酸塩、酸化亜鉛、酸化
アンチモン等の金属酸化物、テトラブチルチタネート等
の金属アルコキシドなど)を使用することができ、その
配合量は、原材料の配合量の総量に対して0.005〜
0.05重量%とすることが好ましい。
【0015】ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、3
5〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナ
ーの定着性のバランスの点から、50〜90℃であるこ
とがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満である
と、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナ
ーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向
にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、
トナーの定着に多くの熱エネルギーが必要となる傾向に
ある。上記ポリエステル樹脂は、単独で又は2種類以上
を組み合わせて使用される。
【0016】結着樹脂の他の例であるビニル系重合体
は、重合性ビニル系単量体を重合して得られるが、前記
単量体としては、スチレン、スチレン誘導体(α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン
等)、アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチ
ル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、
アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等)、メタ
クリル酸アルキルエステル(メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチ
ル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メ
タクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル
酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデ
シル等)が好ましいものとして挙げられる。これらは、
単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0017】重合性ビニル系単量体としては、上記例示
以外のビニル系単量体を用いてもよいが、この場合、上
記重合性ビニル系単量体と共に併用することが好まし
く、この場合の上記重合性ビニル系単量体の使用量は、
全単量体に対して50重量%以上とすることが好まし
く、70重量%以上とすることがより好ましい。
【0018】上記例示以外のビニル系単量体としては、
1分子中に1個のビニル基を有するビニル系単量体、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル
エステル以外のアクリル酸誘導体(アクリル酸グリシジ
ル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸プロポキシ
エチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸メトキ
シジエチレングリコール、アクリル酸エトキシジエチレ
ングリコール、アクリル酸メトキシエチレングリコー
ル、アクリル酸ブトキシトリエチレングリコール、アク
リル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸フ
ェノキシエチル、アクリル酸フェノキシジエチレングリ
コール、アクリル酸フェノキシテトラエチレングリコー
ル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジシク
ロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエ
チル、アクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、アクリ
ル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒド
ロキシ−3−フェニルオキシプロピル、アクリル酸グリ
シジル、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチ
ロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド
等)、メタクリル酸アルキルエステル以外のメタクリル
酸誘導体(メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メト
キシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリ
ル酸ブトキシエチル、メタクリル酸メトキシジエチレン
グリコール、メタクリル酸エトキシジエチレングリコー
ル、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタク
リル酸ブトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸
メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸フェノ
キシエチル、メタクリル酸フェノキシジエチレングリコ
ール、メタクリル酸フェノキシテトラエチレングリコー
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル
酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジシクロペンテニ
ルオキシエチル、メタクリル酸N−ビニル−2−ピロリ
ドン、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メ
チロールメタクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリ
ル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−
3−フェニルオキシプロピル、ビニルピリジンなどが挙
げられる。上記他のビニル系単量体は、単独で又は2種
類以上を組み合わせて使用される。
【0019】さらに、架橋剤として、1分子中に2個以
上のビニル基を有する単量体を併用してもよい。1分子
中に2個以上のビニル基を有する単量体としては、定着
強度、耐オフセット性などの安定性の点から、1分子中
に2個のビニル基を有する単量体が好ましい。このよう
な単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、グリコ
ールとメタクリル酸又はアクリル酸との反応生成物(エ
チレングリコールジアクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアク
リレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−
ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジ
オールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメ
タクリレート等)が挙げられる。これらの単量体の使用
量は、全単量体に対して20重量%以下とすることが好
ましい。
【0020】ビニル系重合体としては、各種特性のバラ
ンスの点から、スチレンを全単量体に対して50重量%
以上用い、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸
アルキルエステルのいずれか又はこれらの混合物を、そ
れらの総量で、残りの単量体に対して50重量%以上用
いて得られるものが特に好ましい。
【0021】上記ビニル系単量体の重合方法としては、
例えば、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の
公知の重合法を用いることができる。溶液重合では、例
えば、冷却管、撹拌機、窒素ガス導入管及び温度計を取
り付けた反応装置にキシレン等の有機溶媒を入れ、これ
にビニル系単量体及び重合開始剤を含む溶液を滴下し、
加熱して単量体を重合させ、その後溶剤を除去すること
によりビニル系重合体を得ることができる。懸濁重合で
は、例えば、冷却管、撹拌機、窒素ガス導入管及び温度
計を取り付けた反応装置を用い、ビニル系単量体及び重
合開始剤の混合物を、分散剤を配合した溶媒中に添加し
て分散状態とし、加熱して単量体を重合させればよい。
重合時の加熱温度は、重合開始剤の10時間半減温度よ
り10〜20℃高い温度とすることが好ましい。また、
重合開始剤は、加熱途中にその一部を加えても良い。重
合体が形成された後、通常の脱水、乾燥を行うことによ
りビニル系重合体を得ることができる。
【0022】ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)
は、2,500〜150,000とすることが好まし
く、3,000〜45,000とすることがより好まし
い。重量平均分子量が2,500未満であると、トナー
が印刷時に破砕されやすい傾向にあり、150,000
を超えると、定着性が低下する傾向にあり、また、色調
再現性も劣る傾向にある。なお、この重量平均分子量
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定
し、標準ポリスチレン換算で表された値である。
【0023】また、ビニル系重合体のガラス転移温度
は、35〜100℃であることが好ましく、50〜90
℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃
未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキ
ング(トナー粒子が凝集して塊になる現象)を起こしや
すい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超
えると、トナーの定着に多くの熱エネルギーが必要とな
る傾向にある。上記ビニル系重合体は、単独で又は2種
類以上を組み合わせて使用される。
【0024】結着樹脂としては、樹脂自体の着色が抑制
され、着色剤による着色を効率よく行う点から、ポリエ
ステル樹脂やビニル系重合体が好ましいが、ポリエステ
ル樹脂やビニル系重合体以外の樹脂でも良く、また、こ
れらの混合物であってもよい。他の樹脂としては、アミ
ド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、シリ
コーン樹脂、キシレン樹脂、ジエン系樹脂、フェノール
樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹
脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビ
ニル樹脂等が挙げられる。
【0025】アミド樹脂は、例えば、カプロラクタムを
重合させたり、二塩基性酸類(テレフタル酸、イソフタ
ル酸、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、セバチン
酸、チオグリコール酸等)とジアミン類(エチレンジア
ミン、ジアミノエチルエーテル、1,4−ジアミノベン
ゼン、1,4−ジアミノブタン等)を縮重合させて得る
ことができる。ウレタン樹脂は、例えば、ジイソシアネ
ート類(p−フェニレンジイソシアネート、p−キシレ
ンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシ
アネート等)とグリコール類(エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール等)を付加反応させて得ることができ
る。
【0026】尿素樹脂は、例えば、ジイソシアネート類
(p−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイ
ソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネー
ト等)とジアミン類(エチレンジアミン、ジアミノエチ
ルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジア
ミノブタン等)から常法に従って得ることができる。ま
た、エポキシ樹脂は、例えば、アミン類(エチルアミ
ン、ブチルアミン等)、アクリル酸もしくはメタクリル
酸誘導体(アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミド等)、ビニルエーテル類(ビニルメチルエ
ーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエー
テル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニ
ルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等)、
N−ビニル化合物(N−ビニルピロール、N−ビニルカ
ルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリ
ドン等)、ビニルナフタリン類などから常法に従って得
ることができる。
【0027】上記、他の樹脂を用いる場合は、ポリエス
テル樹脂またはビニル系重合体と併用することが好まし
く、この場合の、他の樹脂の配合量は、結着樹脂の全量
に対して、50重量%以下とすることが好ましく、トナ
ー母液を得るために有機溶媒に添加する全ての成分(以
下、トナー成分という)に対しては30重量%以下とす
ることが好ましい。
【0028】結着樹脂の配合量は、トナー像の支持体に
対する結着力とトナー像の隠蔽力のバランスの点から、
トナー成分に対して60〜95重量%とすることが好ま
しく、80〜95重量%とすることがより好ましく、8
5〜90重量%とすることが特に好ましい。この配合量
が60重量%未満であると、トナー像の支持体に対する
結着力が弱くなって、トナー像の支持体を折り曲げたり
こすったりした際にトナー像の欠落が起こって情報が失
われやすくなる傾向にある。一方、95重量%を超える
と、トナー像の隠蔽力が不足して貧印字品質になる傾向
にある。
【0029】着色剤は、得ようとするトナーが黒色トナ
ーであるか、カラートナーであるかによって種々選択さ
れ、種々の有機顔料、無機顔料及び染料を使用すること
ができる。黒色トナーを得る場合に使用する着色剤とし
ては、カーボンブラック、アセチレンブラック、鉄黒、
アニリンブラック、シアニンブラック等が挙げられ、そ
の中ではカーボンブラックが好ましい。カラートナーを
得る場合に使用する着色剤としては、黄色着色剤、赤色
着色剤、青色着色剤、橙色着色剤、紫色着色剤、緑色着
色剤等が挙げられる。
【0030】黄色着色剤としては、ナフトールエローS
(C.I.10316)、ハンザエロー10G(C.I.117
10)、ハンザエロー5G(C.I.11660)、ハンザ
エローG(C.I.11680)、ハンザエローR(C.I.1
2710)、ピグメントエローL(C.I.12720)、
ベンジジンエローG(C.I.21095)、パーマネント
エローNCG(C.I.20040)、バルカンファースト
エロー5G(C.I.21220)、キノリンエロー(C.I.
47005)、パーマネントエローFGL(C.I.117
67)、パーマネントエローHR(C.I.21108)等
が挙げられる。
【0031】赤色着色剤としては、パーマネントレッド
4R(C.I.12070)、パラレッド(C.I.1212
0)、ブリリアントファストスカーレット(C.I.123
15)、ブリリアントカーミンBS(C.I.1235
1)、パーマネントレッドF4R(C.I.12335)、
バルカンファーストルビンB(C.I.12320)、ライ
トファーストレッドトーナーB(C.I.12450)、レ
ーキレッドC(C.I.15585:1)、ブリリアントカ
ーミン6B(C.I.15850:1)、ローダミンレーキ
B(C.I.45170:2)等が挙げられる。
【0032】青色着色剤としては、コバルトブルー(C.
I.77346)、アルカリブルーレーキ(C.I.4275
0:1)、ビクトリアブルーレーキ(C.I.44045:
2)、無金属フタロシアニンブルー(C.I.7410
0)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ファ
ーストスカイブルー(C.I.74180:1)等が挙げら
れる。橙色着色剤としては、パーマネントオレンジ(C.
I.12075)、バルカンファーストオレンジGG(C.
I.21165)、インダンスレンブリリアンオレンジR
G(C.I.59300)等が挙げられる。紫色着色剤とし
ては、ファーストバイオレットB(C.I.12321)、
メチルバイオレットレーキ(C.I.42535)等が挙げ
られる。緑色着色剤としては、例えば、ピグメントグリ
ーンB(C.I.10006)、アシッドグリーンレーキ、
フタロシアニングリーン(C.I.74260)等が挙げら
れる。
【0033】上記着色剤は、単独でまたは2種類以上を
組み合わせて使用される。上記着色剤の配合量は、トナ
ーの隠蔽力と定着力のバランスの点から、トナー成分に
対して0.1〜15重量%とすることが好ましく、1〜
10重量%とすることがより好ましく、3〜5重量%と
することがさらに好ましい。着色剤の配合量が0.1重
量%未満であると、隠蔽力が不足して貧印字品質になる
傾向にあり、15重量%を超えると、定着力が低下する
傾向にある。
【0034】トナー母液に用いられる有機溶媒として
は、結着樹脂を溶解することができるものであれば特に
限定されず、例えば、炭化水素(トルエン、キシレン、
ヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、ク
ロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン等)、
アルコール又はエーテル(エタノール、ブタノール、ベ
ンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコール
イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒ
ドロピラン等)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等)、ケトン又はアセタ
ール(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケ
トン、ジメチルオキシド、ジアセトンアルコール、シク
ロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)などが挙げ
られる。有機溶媒の使用量は、トナー母液が水溶液中で
造粒可能となる範囲であれば特に制限されないが、トナ
ーの造粒し易さ及びトナーの収率の点から、トナー母液
に対して50〜90重量%とすることが好ましく、60
〜80重量%とすることがより好ましく、70〜75重
量%とすることがさらに好ましい。
【0035】有機溶媒には、得ようとするトナーの用途
に応じて、上記結着樹脂及び着色剤の他に種々の添加剤
を加えることもできる。添加剤としては、例えば、磁性
又は磁化性材料、オフセット防止剤、正電荷性又は負電
荷性の荷電制御剤、シリカ粉末等が挙げられる。磁性又
は磁化性材料は、磁性を有する静電荷像現像用トナーを
得るために添加され、このような材料としては、例え
ば、鉄、コバルト、ニッケルなどの酸化物(ヘマタイ
ト、マグネタイト等)が挙げられる。磁性又は磁化性材
料は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用され
る。
【0036】上記磁性又は磁化性材料の配合量は、得よ
うとするトナーを磁性トナーとするか、非磁性トナーと
するかによって適宜選択されるが、非磁性トナーの場
合、トナーの飛散を抑制する点から、トナー成分に対し
て0.5〜5重量%とすることが好ましく、1〜4重量
%とすることがより好ましく、2〜3重量%とすること
が特に好ましい。この配合量が0.5重量%未満である
と、トナーの飛散を抑制する効果がほとんど得られない
傾向にあり、5重量%を超えると、定着性が低下する傾
向にある。
【0037】オフセット防止剤としては、例えば、脂肪
酸の低級アルコールエステル(ステアリン酸ブチル、ス
テアリン酸プロピル等)、脂肪酸の高級アルコールエス
テル(カスタワックス、ダイヤモンドワックス等)、高
級アルコールエステル(パームアセチ、ヘキストワック
スE、ヘキストワックスOP、カルナウバワックス
等)、アルキレンビス脂肪酸アミド化合物(ビスアマイ
ドブラストフロー、アマイド6L、7S、6H、ヘキス
トワックスC等)、オレフィン単量体(エチレン、プロ
ピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネ
ン、デセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−2
−ペンテン、3−プロピル−5−メチル−2−ヘキセン
等)の重合体又はこれらのオレフィン単量体とアクリル
酸、メタクリル酸、酢酸ブチル等との共重合体などが挙
げられる。これらのオフセット防止剤の中では、電子写
真の様々な条件に対応できる点から、ポリプロピレンが
好ましい。上記オフセット防止剤は、単独でまたは2種
類以上を組み合わせて使用される。
【0038】上記オフセット防止剤の配合量は、オフセ
ット防止効果とトナーの粉体流動性のバランスの点か
ら、トナー成分に対して0.1〜10重量%とすること
が好ましく、0.1〜5重量%とすることがより好まし
い。この配合量が0.1重量%未満であると、充分なオ
フセット防止効果が発揮されにくい傾向にあり、10重
量%を超えると、トナーの粉体流動性が低下して現像性
が劣ったり、トナーの透明性が低下して目的の色調が得
られにくくなる傾向にある。
【0039】正荷電性の荷電制御剤としては、例えば、
アジン化合物のニグロシン系染料(ボントロン03(オ
リエント化学工業(株)商品名)等)、第四級アンモニウ
ム塩(ボントロンP−51(オリエント化学工業(株)商
品名)等)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体(T
P−302(保土谷化学工業(株)商品名)、TP−41
5(保土谷化学工業(株)商品名)等)、第四級アンモニ
ウム塩(コピーチャージ(Copy Charge)PSY VP
2038(ヘキスト(Hoechst)社商品名)等)、トリ
フェニルメタン誘導体(コピーブルー(Copy Blue)P
R(ヘキスト(Hoechst)社商品名)、LRA−901
(日本カーリット(株)商品名)等)などが挙げられる。
これらの正荷電性の荷電制御剤の中では、帯電安定性に
優れる点から、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体が
好ましい。
【0040】負荷電性の荷電制御剤としては、例えば、
含金属アゾ染料(ボントロンS−34(オリエント化学
工業(株)商品名)等)、オキシナフトエ酸系金属錯体
(E−82(オリエント化学工業(株)商品名)等)、サ
リチル酸系金属錯体(E−84(オリエント化学工業
(株)商品名)等)、フェノール系縮合物(E−89(オ
リエント化学工業(株)商品名)等)、第四級アンモニウ
ム塩(コピーチャージ(Copy Charge)NEG VP2
036、コピーチャージ NX VP434(いずれも
ヘキスト社商品名)等)、ホウ素錯体(LR−147
(日本カーリット(株)商品名)等)などが挙げられる。
これらの負荷電性の荷電制御剤の中では、帯電安定性に
優れる点から、ホウ素錯体が好ましい。これらの正荷電
性又は負荷電性の荷電制御剤は、単独でまたは2種類以
上を組み合わせて使用され、2種類以上を組み合わせる
場合、正荷電性荷電制御剤同士の組合せ、負荷電性荷電
制御剤同士の組合せ及び正荷電性荷電制御剤と負荷電性
荷電制御剤の組合せのいずれの組合せであってもよい。
【0041】これらの荷電制御剤は、定着されるトナー
像の色調を阻害しない範囲で使用されるが、その配合量
は、トナー成分に対して、0.5〜5重量%とすること
が好ましく、0.5〜3重量%とすることがより好まし
く、1〜3重量%とすることがさらに好ましい。この配
合量が0.5重量%未満であると、帯電効果が得られに
くくなる傾向にあり、一方、この配合量が5重量%を超
えると、初期から帯電量が高くなり、それゆえ、印字濃
度が低い、感光体からトナー支持体への転写性が劣る、
感光体に付着している転写残りのトナーの清掃性が劣る
等の問題が生じる傾向にある。
【0042】シリカ粉末としては、公知のものを使用す
ることができる。このようなシリカ粉末としては、例え
ば、アエロジル(Aerosil)R972、R974、シリ
カ(Silica)D−17、T−805、R−812、RA
200、HRX−C(いずれも日本アエロジル(株)商品
名)、タラノックス500(タルコ社商品名)、Cab
−o−Sil M−5、MS−7、MS−75、HS−
5、EH−5、S−17、TS−72(いずれもキャボ
ット(Cabot)社商品名)等が挙げられる。これらのシ
リカ粉末の中では、流動性と帯電安定性に優れる点か
ら、RA200が好ましい。上記シリカ粉末は、単独で
または2種類以上を組み合わせて使用される。これらの
シリカ粉末を配合する場合、その配合量は、トナー成分
に対して0.5〜3重量%とすることが好ましく、0.
5〜1重量%とすることがより好ましい。この配合量が
0.5重量%未満であると、流動性を向上させる効果が
ほとんど得られない傾向にあり、3重量%を超えると、
トナーの定着性が低下する傾向にある。
【0043】本発明では、上記の結着樹脂及び着色剤、
並びに必要に応じて添加剤を含む材料を有機溶媒に添加
して溶解又は分散させた液を調製する(これをトナー母
液という)。
【0044】トナー母液は、好ましくは、無機分散剤及
び界面活性剤を含有する水性媒体に混合し、分散して分
散油滴とされる。無機分散剤としてはリン酸三カルシウ
ム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン及びシリカ粉末から選択されるものが好ましく、特に
リン酸三カルシウム及びヒドロキシアパタイトが好まし
い。この理由は、造粒性及びその安定性、更には得られ
るトナーの特性に対する悪影響が極めて少ないためであ
る。無機分散剤の使用量は造粒される粒子の粒子径に応
じて決定されるが、一般的にはトナー母液に対して0.
1〜15重量%の範囲で用いられるのが好ましい。0.
1重量%未満では造粒が良好に行われにくい傾向にあ
り、15重量%を超えて使用すると不必要な微細粒子が
発生して目的の粒子が高収率で得られにくい傾向にあ
る。
【0045】界面活性剤としては公知のものが使用で
き、例えば、陰イオンタイプ、陽イオンタイプ、非イオ
ンタイプ、両性イオンタイプの界面活性剤が挙げられ
る。陰イオンタイプの界面活性剤としては、アルキルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン
酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキ
ルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が挙げ
られる。陽イオンタイプの界面活性剤としては、アルキ
ルアミン塩(ステアリルアミン塩酸塩、ジオレイルアミ
ン硫酸塩等)、四級アルキルアンモニウム塩(ステアリ
ルトリメチルアンモニウムクロライド等)、アミンオキ
サイド(ラウリルジメチルアミンオキサイド等)などが
挙げられる。非イオンタイプの界面活性剤としては、例
えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキ
シエチレンラウリルエーテル等)、ポリオキシエチレン
アルキルアリールエーテル(ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル等)、ソルビタン脂肪酸エステル(ソ
ルビタンモノラウレート等)などが挙げられる。
【0046】これらの界面活性剤の中では、油滴の安定
性に優れる点から、陰イオンタイプのものが好ましく、
単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。分散
後に無機分散剤と組み合わせて使用する場合、トナーの
安定性の点から、特にラウリル硫酸ナトリウムが好まし
い。
【0047】トナー母液と水性媒体の混合比は、水性媒
体/母液=90/10〜50/50(重量比)が好まし
い。分散には、ホモジナイザーのような高速剪断機構を
備えた装置を用いることができる。なおここでいう、ホ
モジナイザーとは、互いに相溶しない物質をケーシング
(固定板)と高速回転するロータとの狭い間隙を通過さ
せ、それにより、ある液体中に、その液体とは相溶しな
い物質を微粒子状に分散させる装置をいう。本発明にお
いて、互いに相溶しない物質とは、界面活性剤を含有す
る水溶液とトナー母液が相当する。ホモジナイザーとし
ては、例えば、TKホモミキサー、ラインフローホモミ
キサー(いずれも特殊機化工業(株)商品名)、シルバー
ソンホモジナイザー(シルバーソン社商品名)、ポリト
ロンホモジナイザー(キネマチカ(KINEMATICA)AG社
商品名)などが挙げられる。
【0048】ホモジナイザーを用いた撹拌条件は、ロー
タの羽根の周速で2m/秒以上が好ましい。これ未満で
は微粒子化が不十分となる傾向にある。トナー母液は好
ましくは体積平均粒子径が10μm以下に造粒される。
特に4〜9μmが好ましい。分散造粒されたトナー母液
の粒子径が大きすぎる、つまり得られるトナーの粒子径
が大きすぎると高解像度化が困難となったり、フルカラ
ートナーの場合の三原色が混合して中間色を発現させる
際、溶融、混合性が不十分となり中間色がでにくくなっ
たりする。体積平均粒子径は、コールターカウンター
(例:TA−11、日科機(株)製)を用いて測定するこ
とができる。本発明では水性媒体中にトナー母液を分散
して分散油滴とした後に前記トナー母液に由来する、分
散油滴中の溶媒を取り除き、トナー粒子とする。溶媒の
除去は常温、常圧で行ってもよいが、除去までに長い時
間を要するため、溶媒の沸点より低く、かつ沸点との差
が80℃以下の範囲の温度条件で行うのが好ましい。圧
力は常圧でも減圧でもよいが、減圧する際は20〜15
0mmHgで行うのが好ましい。
【0049】溶媒除去後に得られる粒子は、分散液に塩
酸等を加えるか、粒子を分離した後、塩酸を含む水性媒
体中に分散して予備洗浄するのが好ましい。これにより
トナー表面に残存する無機分散剤を溶解除去して、トナ
ー本来の組成にして特性を向上させることができる。そ
の後に、更に水等で予備洗浄することが好ましい。ここ
での洗浄に用いる水とは実質的にトナー造粒後の水性媒
体に比べ解離イオン濃度が低いものが好ましく、価格
的、また性能面から市水道水、イオン交換水、蒸留水等
が好ましく用いられる。これによりトナー表面に残存す
る無機分散剤を溶解除去して、トナー本来の組成にして
特性を向上させることができる。
【0050】本発明のトナーは、前記予備洗浄の後又は
予備洗浄せずに、少なくとも1回以上アルコール水溶液
で洗浄される。洗浄する方法としては、トナー粒子を含
む分散液にアルコールを加えてアルコール水溶液とする
か、粒子を一旦分離した後アルコール水溶液に分散し、
分離する方法があるが、後者の方が効果が高く好まし
い。これにより本発明の優れた特性を示すトナーが得ら
れる。更に再度水等で洗浄するのが好ましい。最終的に
洗浄前の水と洗浄後の水の電気伝導度の差が100μS/
cm以下、特に60μS/cm以下になるまで洗浄を繰り返す
ことが好ましい。ここで電気伝導度の差が100μS/cm
を超える段階で洗浄を終了するとトナー表面に残った塩
等によってトナーの帯電量低下によるかぶり、トナー飛
散等の問題を引き起こし、さらにはキャリア汚染による
現像剤寿命の低下をおよぼす傾向にある。なお洗浄の具
体的方法には一般的な粉体の洗浄方法を用いることがで
きる。
【0051】また、洗浄に用いるアルコール水溶液のア
ルコール濃度は5〜50重量%が好ましい。50重量%
を越えるとトナー塊ができ、画像かぶりが生じやすい傾
向にある。一方、5重量%未満の場合、洗浄効果が薄く
電気伝導度がなかなか低下せず、残った塩等によってト
ナーの帯電量低下によるかぶり、トナー飛散等が生じや
すい傾向にある。
【0052】ここで用いるアルコールは、5〜50重量
%水溶液にした場合に可溶で、これらの水溶液にトナー
が10重量%以下の溶解性を示すものが好ましい。この
ようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、
1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール
等の1級アルコールの他、多価アルコールやその誘導体
等が挙げられるが、性能がよく、入手が容易なことか
ら、メタノール又はエタノールを用いるのが好ましい。
【0053】ついで、粒子を分離すれば脱水乾燥すれば
粉体のトナー粒子を得ることができる。分離は、吸引濾
過等で脱水し、乾燥すればよい。本発明のトナーには、
さらに流動性や帯電性等の物理特性を改良するために、
トナー粒子表面に、前述のシリカ微粉末、ビニル系
(共)重合体、ステアリン酸亜鉛、酸化アルミニウム、
酸化チタン等の微粒子をトナー外添剤としてさらに添加
混合できる。これらを添加する場合は、添加前のトナー
に対して0.05〜5重量%の量で混合するのが好まし
い。こうして得られるトナーは、キャリアと混合して現
像剤とすることができる。キャリアの種類は特に制限は
なく、酸化鉄粉、各種フェライト、マグネタイト等の周
知の材料を用いることができる。トナーとキャリアの混
合比も特に制限はなく、周知の混合比を用いることがで
きる。一般に、現像剤中にトナーは1〜10重量%使用
される。本発明のトナー及び現像剤は、種々の公知の現
像手段、定着手段に用いることができる。
【0054】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。 実施例及び比較例 (1)ポリエステル樹脂の製造 表1に示す酸成分とアルコール成分を反応容器に仕込
み、窒素ガスを吹き込みながら徐々に温度を上げて18
0℃で5時間縮合反応をすすめたのち、230℃で反応
を完結させた。表中に得られた樹脂のガラス転移温度を
合わせて示す。
【0055】
【表1】
【0056】(2)トナーの製造 表2に示す着色剤(顔料)、ポリエステル樹脂、溶媒及
びその他の添加剤をボールミルで、顔料粒子がサブミク
ロンになるまで分散してトナー母液を製造した。このト
ナー母液を表3に示す無機分散剤、界面活性剤を含有す
る分散媒体中にホモジナイザーのローターの周速を7m
/秒に調整してトナー母液分散液を製造した。次いで、
温度50〜70℃、減圧度30〜150mmHg下で脱溶し
た。冷却後、12N塩酸をpHが2になるまで加えて無機
分散剤を溶解し、吸引濾過で分離した後、下記(3)に
示す洗浄条件で水洗及びアルコール水溶液での洗浄を行
い、さらにもう一度水洗し、その後乾燥し、25μm以
上の粗大粒子を分級カットして固形のトナーを得た。つ
いで、トナー100重量部に対してトナー外添剤として
疎水性シリカ粉末(アエロジルR972、日本アエロジ
ル(株)製)を0.3重量部を加え、ヘンシェルミキサー
で撹拌混合した。なお、ヒドロキシアパタイト5重量%
水溶液は、リン酸三ナトリウム、塩化カルシウム及び水
酸化ナトリウム水溶液を当量から20%当量過剰な配合
で反応させて得た。
【0057】(3)トナーの水洗及びトナーのアルコー
ル水溶液による洗浄 (2)で用いるトナーの水洗及びトナーのアルコール水
溶液による洗浄は、トナー100重量部に対して表2に
示す条件で行った。更に、最後にトナーの水洗を濾過及
びトナー量の30倍重量の水(電気伝導度1〜5μS/c
m)で行い、最終的な濾液の電気伝導度を得た。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】(4)評価 トナー5重量%とメタクリル酸メチル樹脂を被覆した平
均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95
重量%からなる現像剤を、プリンタCOLORSPRI
CT LASER 1000(QMS製)を用いて、3
5℃、相対湿度75%の環境で連続印刷して下記の基準
で評価し、表4に示した。 (a)色調再現性 マイラー紙に印刷を行い、それをOHP(オーバーヘッ
ドプロジェクタ)でカラー画像の再現性を調べ、次の基
準で評価した。 良好…有彩色が発現し、かつ、中間色も発現している。 劣る…有彩色が発現しない。 (b)画像濃度、かぶり及び解像度 画像濃度とかぶりはマクベス反射濃度計RD514型
(A Division Kollmorgen Corp.製)を用いて測定し、
解像度については画像を10倍に拡大して1インチあた
り何本まで解像しているか目視で判定した。 (c)トナー飛散 目視によりトナー飛散の有無を判定した。 (d)清掃性 清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチ
テープ(住友スリーエム(株)製)で白紙に移し、評価し
た。
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】請求項1記載のトナーは、色調再現性に
優れ、帯電性、耐環境性に優れ、清掃不良から起きる画
像品質の低下の起きないものである。請求項2〜5記載
のトナーの製造法によれば、色調再現性に優れ、粒径分
布が狭く小粒径化が可能で、帯電性、耐環境性に優れ、
清掃不良から起きる画像品質の低下の起きないトナーが
得られる。請求項6記載の現像剤は、色調再現性に優
れ、帯電性、耐環境性に優れ、清掃不良から起きる画像
品質の低下の起きないものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂及び着色剤を含む材料を前記結
    着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させた液を、
    水性媒体中に分散し、分散油滴中の溶媒を除去した後、
    形成された粒子をアルコール水溶液中で洗浄し、分離し
    てなるトナー。
  2. 【請求項2】 結着樹脂及び着色剤を含む材料を前記結
    着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させ、ついで
    これを、無機分散剤を含有する水性媒体中に分散し、分
    散油滴中の溶媒を除去した後、形成された粒子をアルコ
    ール水溶液中で洗浄し、分離することを特徴とするトナ
    ーの製造法。
  3. 【請求項3】 洗浄で用いるアルコール水溶液のアルコ
    ール濃度が5〜50重量%である請求項2記載のトナー
    の製造法。
  4. 【請求項4】 洗浄前の水と洗浄後の水との電気伝導度
    の差が100μS/cm以下まで洗浄する請求項2または3
    記載のトナーの製造法。
  5. 【請求項5】 無機分散剤が、リン酸三カルシウム、ヒ
    ドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン及び
    シリカ粉末から選択されたものである請求項2、3また
    は4記載のトナーの製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のトナーとキャリアよりな
    る現像剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007025655A (ja) * 2005-06-17 2007-02-01 Brother Ind Ltd トナーの製造方法、およびトナー
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