JP2007147699A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】離型剤を含有する電子写真用トナーの製造において、高温で離型剤を分散する際に、離型剤の凝集発生が著しく少なく、優れた分散性と良好な定着性が得られる電子写真用トナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】(1)水系媒体中で結着樹脂を乳化して樹脂乳化粒子を製造する工程、(2)ノニオン性の高分子分散剤の存在下、離型剤を分散させて離型剤粒子を製造する工程、及び(3)前記樹脂乳化粒子と離型剤粒子とを凝集及び合一させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて使用される電子写真用トナーの製造方法に関する。
従来、電子写真用トナーの製造方法として乳化分散法による方法が知られており、例えば結着樹脂とその他の添加剤の混合物を水性媒体と混合し、乳化させてトナー粒子を得る。このような方法として、例えば、現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性に優れる静電荷像現像用トナーを効率よく製造し得るものとして、樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する第1工程、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程、及び、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程からなる静電荷像現像用トナーの製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載の方法などのトナー製造方法においては、例えば、微粒子分散液の微粒子として離型剤粒子を用いた場合、高温で分散処理を行う際、離型剤への分散剤の吸着力が低下し、微粒子同士の凝集が発生することがある。その結果トナー中の微粒子の分散不良や分散粒子径が大きくなるなどの問題が生じ、また定着性の悪化などが問題となっていた。
特開平10−26842号公報
本発明は、離型剤を含有する電子写真用トナーの製造において、高温で離型剤を分散する際に、離型剤の凝集発生が著しく少なく、優れた分散性と良好な定着性が得られる電子写真用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)水系媒体中で結着樹脂を乳化して樹脂乳化粒子を製造する工程、
(2)ノニオン性の高分子分散剤の存在下、離型剤を分散させて離型剤粒子を製造する工程、及び
(3)前記樹脂乳化粒子と離型剤粒子とを凝集及び合一させる工程
を有する電子写真用トナーの製造方法、
に関する。
本発明の製造方法によれば、離型剤を含有する電子写真用トナーの製造において、高温で離型剤を分散する際にも、離型剤への分散剤の吸着力に優れ、離型剤の凝集の発生が著しく少なく、優れた分散性と良好な定着性が得られる電子写真用トナーを得ることができる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、上記工程(1)、工程(2)、及び工程(3)を有する。以下、これらの工程について説明する。
工程(1)
工程(1)は「水系媒体中で結着樹脂を乳化して樹脂乳化粒子を製造する工程」である。
上記工程(1)で用いられる水系媒体は水を主成分とするものである。環境性の点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
工程(1)において用いられる結着樹脂としては、通常、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が使用できる。なかでも、ポリエステルまたはスチレン−アクリル系樹脂が好ましく、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルがより好ましい。結着樹脂中におけるポリエステルの含有量は60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。本発明においては、上記樹脂は、結着樹脂として単独で用いても良いが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
結着樹脂がポリエステルを含む場合、該ポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよい。
ポリエステルの結晶化の度合いは、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)で定義される結晶性指数によって表すことができ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満のときは結晶性が低く非晶質部分が多い。従って、本発明における結晶性ポリエステルとしては、この結晶性指数が0.6〜1.5のものが好ましく用いられ、低温定着性の観点からは、0.8〜1.3がより好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.1である。
この結晶化の度合いは、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。ここで、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。吸熱の最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば、このピーク温度を融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合は、このピークをガラス転移に起因するピークとする。結晶性指数を規定する軟化点及び吸熱の最高ピーク温度の測定方法については後で説明する。
ポリエステルの原料モノマーとしては、公知の2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
具体的には、アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール;式(1):
Figure 2007147699
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは各々正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール等が挙げられる。結晶性ポリエステルを用いる場合、ポリエステルの結晶化を促進する観点から、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを用いることが好ましく、中でもα,ω−直鎖アルカンジオール、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールまたはこれらの混合物が好ましい。これらのアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素数2〜8の脂肪族ジオールの全アルコール成分中の含有量は、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。なかでも、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、又はこれらの混合物が、全アルコール成分中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されていることが望ましい。
カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸;ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、酸無水物、及び酸のアルキルエステルを本明細書では、以下総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
本発明における結着樹脂は、酸基を有するものが好ましく、特に分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられ、樹脂の乳化性とそれを用いたトナーの耐環境特性との両立の観点からカルボキシル基が好ましい。上記酸基を有する樹脂の分子鎖末端の酸基の量は、乳化粒子の安定性並びにトナーの粒度分布及び粒径を決定する重要な因子の一つである。乳化粒子を安定にし、かつ小粒径のトナーをシャープな粒度分布で得るため、結着樹脂の酸価は、10〜50mgKOH/gが好ましく、12〜45mgKOH/gがより好ましく、15〜40mgKOH/gが更に好ましく、15〜30mgKOH/gが更に好ましい。
また、樹脂粒子を迅速かつ均一に分散させる観点から、結着樹脂として、開口径5.6mmの篩いを95重量%以上、更に98重量%以上通過する粒度を有する樹脂粒子を用いることが好ましい。このような粒度を有する樹脂粒子を用いることにより、均一に分散することができ、次の中和工程において、均一な中和が可能となり、均質な乳化粒子を作製することができる。
非晶質ポリエステルを用いる場合、該非晶質ポリエステルのアルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含有されていることが好ましい。
非晶質ポリエステルとしては、その軟化点が95〜160℃、ガラス転移点が50〜75℃、酸価は1〜40mgKOH/g、及び水酸基価は3〜60mgKOH/gの少なくとも一つの性状を有するものが好ましく用いられる。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000が更に好ましい。
上記非晶質ポリエステルは、トナーの耐久性及び帯電性の点から、結着樹脂中好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上の割合で含有される。
低温定着性の観点から、結晶性ポリエステルを用いる場合は、結晶性ポリエステルの数平均分子量は、乳化性、定着性、耐オフセット性等の観点から、2,000〜100,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、2,000〜10,000がさらに好ましく、2,000〜8,000がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの軟化点及び融点は、低温定着性の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは60〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。
本発明の製造方法の工程(1)において、樹脂乳化粒子は、少なくとも上記結着樹脂、さらに必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤等の添加剤を含有することができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用できる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料等を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記着色剤は、トナーの印字濃度の点から上記乳化粒子中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは3〜30重量部、更に好ましくは3〜20重量部含有される。
本発明においては、前記水系媒体中、上記樹脂粒子の軟化点未満、例えば10〜50℃程度の温度で、前記結着樹脂と添加剤の混合物を攪拌して乳化処理するなどの通常の方法により、均一な樹脂乳化液を製造することができる。
水系媒体の量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましい。
また、本発明においては、樹脂乳化粒子の製造に界面活性剤を用いることができる。その添加量は、発泡抑制及び得られる樹脂乳化液の乳化安定性の向上を目的として、樹脂100重量部に対して好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.5〜4重量部、より好ましくは1〜3重量部である。この界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン界面活性剤が挙げられる。これらの中で、乳化安定性の観点から、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一な凝集ができる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.6μmがさらに好ましい。
工程(2)
工程(2)は、「ノニオン性の高分子分散剤の存在下、離型剤を分散させて離型剤粒子を製造する工程」である。
上記工程(2)におけるノニオン性の高分子分散剤は、離型剤への分散剤の吸着力に優れ、離型剤に強固に吸着でき、良好な定着性が得られる観点から用いられる。
本発明に用いられるノニオン性の高分子分散剤としては、40℃における2重量%水溶液の粘度が1〜10mPa・sであるものが好ましく、より好ましくは1〜5mPa・s、更に好ましくは2〜4mPa・sである分散剤が望ましい。具体的には、ポリビニルアルコールなどのビニル系高分子分散剤、ポリオキシエチレン/プロピレンブロックポリマーなどの非ビニル系高分子分散剤等が挙げられる。これらのうち、離型剤への吸着性を高める観点から、ビニル系高分子分散剤が好ましく、主鎖の疎水性が比較的高いビニル系高分子が更に好ましく、このようなものとして、例えば、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
上記ノニオン性の高分子分散剤は、得られるトナーに良好な定着性等を付与する観点から、離型剤粒子の分散時に、離型剤100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜10重量部存在させる。
本発明においては、凝集制御等の観点から、離型剤粒子の分散時に、上記ノニオン性の高分子分散剤と共にカチオン性又はアニオン性の高分子分散剤を共存させて使用することが好ましい。
使用しうるカチオン性高分子分散剤としては、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化デンプン、カチオン化セルロース、ポリジメチルエチルメタクリレート4級塩、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。アニオン性高分子分散剤としては、ポリアクリル酸塩、マレイン酸α-オレフィン共重合体塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等が挙げられる。
上記カチオン性高分子分散剤のうち、離型剤の乳化性能および樹脂乳化粒子との凝集性の観点から、カチオン化ポリビニルアルコールが好ましい。また、上記アニオン性高分子分散剤の中では、樹脂乳化粒子との凝集性および帯電性の観点から、ポリアクリル酸塩又はマレイン酸α-オレフィン共重合体塩が好ましい。
上記カチオン性又はアニオン性の高分子分散剤の使用量は、離型剤100重量部に対し、1〜15重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることが更に好ましい。
本発明においては、離型剤の乳化性および樹脂乳化粒子との凝集性の観点から、アルキル変性ポリビニルアルコールとカチオン化ポリビニルアルコールを併用することが好ましい。
本発明において、離型剤粒子を構成する離型剤としては、具体的には、カルナバロウワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、サゾールワックス等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス等が挙げられる。これらの中では、耐オフセット性の観点から、ポリエチレンワックス、カルナバロウワックスが好ましい。離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点は、離型効果、帯電性、耐久性の観点から50〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。また、離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは1.5〜15重量部である。
上記離型剤は、例えば水系媒体等の媒体中にノニオン性高分子分散剤の存在下で分散し、その融点以上に加熱するとともに、強いせん断力を有するホモジナイザー、圧力吐出型ホモジナイザー、超音波分散機等で微粒子状に分散させ、体積中位粒径が1μm以下の離型剤粒子の分散液とすることができる。なお、分散媒体としては、前述の樹脂乳化剤粒子の製造の際に用いたものと同様の水系媒体を使用することができる。
分散時の離型剤の固形分濃度は、乳化性および生産性の観点から5〜40重量%が好ましく、10〜35重量%がより好ましく、15〜35重量%がさらに好ましい。
分散時に使用する高分子分散剤の量は、乳化性およびトナーの帯電性の観点から離型剤100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。
また、分散温度は、離型剤の乳化性の点から、60〜120℃であることが好ましく、80〜110℃であることがより好ましく、80〜100℃であることが更に好ましい。
定着性および耐久性の観点から、離型剤粒子の体積中位粒径は1μm以下であることが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.10〜0.85μmが更に好ましい。
工程(3)
工程(3)においては、前記工程(1)で製造した樹脂乳化粒子と工程(2)で製造した離型剤粒子とを凝集及び合一させる。以下、凝集工程と合一工程の各々について説明する。
(凝集工程)
凝集工程においては、前記樹脂乳化粒子および上記離型剤粒子の各々を主成分とする各分散液に、必要に応じて着色剤やその他の添加剤を混合し、少なくとも樹脂乳化粒子と離型剤粒子を構成成分とする凝集粒子を生成させる。
樹脂乳化粒子と離型剤粒子は、樹脂乳化粒子に対して離型剤粒子を、重量比で好ましくは0.008〜0.23、より好ましくは0.012〜0.18、更に好ましくは0.024〜0.18で混合する。
凝集工程における系内の固形分濃度は、均一な凝集を起こさせるためには、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
また、系内のpHは、混合液の分散安定性と、微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、より好ましくは3〜9、さらに好ましくは4〜8である。同様な観点から凝集工程系内の温度は、結着樹脂の融点―20℃以上融点以下が好ましく、より好ましくは融点―10℃以上融点以下である。なお、結着樹脂の融点が観測されない場合には、軟化点―90℃以上、軟化点―30℃以下が好ましく、軟化点―80℃以上、軟化点―30℃以下がより好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、界面活性剤の他、無機金属塩、2価以上の金属錯体、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられ、アンモニウム塩としては、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等が、4級アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウムハライド等が挙げられる。その中でも、アルミニウム塩およびその重合体、硫酸ナトリウムなどの金属塩、アンモニウム塩が好ましく用いられる。シャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数は高い方が好ましく、同じ価数の場合でも重合タイプの無機金属重合体の方がより好ましい。また、帯電特性制御の観点からは金属錯体が好ましい。
前記凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して30重量部以下が好ましく、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
前記凝集剤の添加は、均一な凝集を行うために、凝集工程系内のpHを調整した後で、かつ樹脂の融点以下の温度、好ましくは融点―10℃以下の温度で行うのが望ましい。なお、結着樹脂の融点が観測されない場合には、軟化点―30℃以下の温度、好ましくは軟化点―40℃以下の温度で行うのが望ましい。また、添加は凝集剤を水性媒体溶液にして行うことができる。さらに、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
(合一工程)
本発明においては、前記凝集工程で得られた少なくとも樹脂乳化粒子と離型剤粒子とを構成成分とする凝集粒子を、中和した結着樹脂の融点以上に加熱して、合一させる。このときの加熱温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び凝集粒子の融着性の観点から、結着樹脂の融点以上、融点+20℃以下が好ましく、より好ましくは融点以上、融点+15℃以下であり、さらに好ましくは融点以上、融点+10℃以下である。なお、結着樹脂の融点が観測されない場合には、軟化点―60℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、より好ましくは軟化点―60℃以上、軟化点以下が好ましく、さらに好ましくは軟化点―60℃以上、軟化点―10℃以下である。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
得られた合一粒子は、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程を経て、トナー粒子となる。ここで、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、洗浄工程においてトナー表面の金属イオンを除去するため酸で洗浄を行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される電子写真用トナーについて以下に説明する。
電子写真用トナー
本発明の製造方法により、高精細、高画質に適した球形で小粒径かつ粒度分布が狭い、定着性に優れた電子写真用トナーが得られる。
トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度は、同様の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。
本発明における電子写真用トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としてはクロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が使用できる。
本発明におけるトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
高画質化の観点から、トナー粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
本発明の製造方法は種々のトナーの製造にも適用できるが、中でも非磁性の一成分および二成分トナーに好適である。
本発明の製造方法により得られた電子写真用トナーが適用される被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンターなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。これらの被転写体表面に転写されたトナー画像は、例えば、過熱型定着器により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される。加熱型定着器としては加熱ロール等を用いる接触加熱型定着方式や、オーブン加熱よる非接触加熱型定着方式が挙げられるが、信頼性や安全性、また熱効率の観点から接触型定着装置を用いることが好ましい。
以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
1.分散剤の粘度
90℃で分散剤を水に溶解して2重量%の水溶液を調製後、冷却して40℃にてB型粘度計(東京計器社製、B形粘度計、型式BM、No1ローター)で粘度を測定した。
2.樹脂の酸価
JIS K0070に従って測定した。
3.樹脂及びトナーの軟化点、吸熱の最高ピーク温度、融点、及びガラス転移点
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)吸熱の最高ピーク温度と融点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定した。結晶性ポリエステルを含む樹脂では吸熱の最高ピークが観測され、その温度を本発明では融点とみなす。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定した。結着樹脂が結晶性ポリエステルの他に非晶質樹脂を含む場合は、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度として読み取る。
4.樹脂の数平均分子量
以下の方法に従い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布から数平均分子量を求めた。
(1)試料溶液の調製:濃度が0.5g/100mlになるように試料樹脂をクロロホルム中に溶解後、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定:溶解液としてクロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに前記試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー製)
分析カラム:GMHLX +G3000HXL(東ソー製)
5.分散粒子の体積中位粒径
(1)分散液の調製:分散媒(花王製、エマールE−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)2重量%水溶液)30mlに測定試料0.1mlを添加し、超音波分散機にて1分間分散させて分散液を得た。
(2)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(島津製作所製 SALD−2000J)
測定粒径範囲:0.03〜700μm
解析ソフト:Wing−SALD−2000J
(3)測定条件:測定用セルに蒸留水10mlと分散液を加え、吸光度=0.08〜0.10の範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。
6.トナーの粒径及び粒度分布
(1)分散液の調製:分散液(エマルゲン109P (花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテルHLB13.6)5重量%水溶液)5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液(アイソトンII(ベックマンコールター製))25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1 分間分散させ分散液を得た。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII (ベックマンコールター製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜40μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)と粒度分布を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径)×100
7.樹脂乳化液の固形分濃度
赤外線水分計(ケット科学研究所製、FD−230)により測定した。
8.TEM観察
エポキシ系樹脂、または水溶性樹脂でトナーのガラス転移温度以下で包埋処理したトナーを、クライオウルトラミクロトームを用い、凍結状態で約100nmの厚さの薄切片にし、透過電子顕微鏡(日立製H−8100)を用いて加速電圧100kV、写真倍率2万倍及び5万倍にて、トナー中に分散する離型剤を観察した。
<ポリエステル樹脂の製造>
ポリエステルの製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
ポリエステルの製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に準拠して測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3394であった。
<マスターバッチ1の製造>
製造例1で製造したポリエステル樹脂Aの微粉末70部及び大日精化製銅フタロシアニンのスラリー顔料(ECB−301:固形分46.2%)を顔料分30部になる様にヘンシルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が熔融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して青色顔料を30%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ1)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
<トナー混練物1の製造>
ポリエステル樹脂A 65重量部とポリエステル樹脂B 35重量部、カーボンブラック「モーガルL(CABOT社製)」5重量部との混合物を20リットル容ヘンシェルミキサーを用いて、羽根回転数を1500回/分に設定し5分間予備混合した。
得られた混合物を、テーブルフィーダーにて、10kg/hの供給速度で、連続式2本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山(株)製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)に供給し、混練物を得た。なお、混練機の運転条件は、高回転ロール(前ロール)の回転数を75r/min、低回転ロール(後ロール)の回転数を50r/min、ロールの間隙を0.15mmに調整した。また、ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、高回転ロールの原料投入側を120℃、混練物排出側を100℃、低回転ロールの原料投入側を30℃、混練物排出側を30℃に、それぞれ設定した。
得られた混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmφのスクリーンを有するミルにて粗粉砕し、トナー混練物の粗砕品(トナー混練物1)を得た。
<樹脂乳化粒子の製造>
樹脂乳化粒子Aの製造
2リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A319.9g、ポリエステル樹脂B210.0g、マスターバッチ1 100.2g及び、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−65(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:65%)9.23g、および非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g及び、5重量%水酸化カリウム水溶液278.5gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。内容物を96℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を6mL/minで滴下し、計1735.4gを添加した。この間、系の温度は96℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化粒子Aを得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.56μm、固形濃度は24.7重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
樹脂乳化粒子Bの製造
2リットル容のステンレス釜で、トナー混練物1 630g及び、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−65(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:65%)9.23g、および非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g及び、5重量%水酸化カリウム水溶液278.5gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。内容物を96℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を6mL/minで滴下し、計1265gを添加した。この間、系の温度は96℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化粒子Bを得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.43μm、固形分濃度は30.1重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
<離型剤分散液の製造>
離型剤粒子分散液Aの製造
1リットル容のビーカーで、90℃で脱イオン水400gにノニオン性高分子分散剤「X−150F(日本酢ビ・ポバール社製)」(40℃、2重量%水溶液での粘度:3.4mPa・s)アルキル変性ポリビニルアルコール10gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃)100gを分散させた。この分散液を85〜90℃に温度を保持しながら、Ultrasonic Homogenizer 600W (日本精機社製)で30分間分散処理を行い、体積中位粒径0.48μmの離型剤分散液を得た。
離型剤粒子分散液B〜Gの製造
分散剤及びその添加量を表1に示すようにした以外は、離型剤粒子分散液Aと同様にして離型剤粒子分散液B〜Gを調製した。なお、各分散液に使用した分散剤は、下記の通りであり、表1中において、離型剤粒子分散液の調製に用いた各分散剤の量は、離型剤100重量部に対する添加量で示した。
・カチオン性高分子分散剤「ゴーセファイマーK210(40℃、2重量%水溶液での粘度:3.4mPa・s、日本合成化学工業社製)」カチオン性ポリビニルアルコール
・ノニオン性活性剤「エマルゲン109P(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:13.6)
・ノニオン性活性剤「エマルゲン123P(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:16.9)
・ノニオン性活性剤「エマルゲン320P(花王製)」ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB:13.9)
Figure 2007147699
実施例1
凝集粒子の作製
樹脂乳化粒子A 500gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、22℃で離型剤粒子分散液C 65.68gを添加しよく混合した。次に、硫酸アンモニウム12.0gを脱イオン水508gに溶かした溶液を4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、60℃まで昇温速度1.27℃/minで加熱し、60℃で90分間保持した。体積中位粒径4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
合一粒子の作製
アニオン性界面活性剤「エマールE−27C(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム5.42gを添加して、昇温速度1℃/minで加熱し、分散液の温度が87℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作製)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は4.4μmであった。
トナーの作製
この着色樹脂微粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は4.0μm、CV値は23%、軟化点は100℃、ガラス転移温度は51.8℃であった。
得られたシアントナーをMICROLINE5400(沖データ社製)で現像し、オイルレス定着が可能であることを確認した。また、TEM観察からも1μm以下の分散径で離型剤が分散されていることを確認した。
実施例2
凝集粒子の作製
得られた樹脂乳化粒子B 340gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、25℃で離型剤粒子分散液B 100gを添加しよく混合した。次に、10重量%硫酸ナトリウム100gを4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、75℃まで昇温速度0.33℃/minで加熱した(凝集粒子の作製)。
合一粒子の作製
分散液の温度が75℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作製)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は8.0μmであった。
トナーの作製
この着色樹脂微粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、黒トナーとした。得られた黒トナーの体積中位粒径(D50)は7.6μm、CV値は25%、軟化点は98.5℃、ガラス転移温度は52.2℃であった。
得られた黒トナーを沖データ社製MICROLINE5400で現像し、オイルレス定着が可能であることを確認した。また、TEM観察からも1μm以下の分散径で離型剤が分散されていることを確認した。
実施例3
凝集粒子の作製
得られた樹脂乳化粒子B 340gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、25℃で離型剤分散液A 100gを添加しよく混合した。次に、10重量%硫酸ナトリウム70gを4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、75℃まで昇温速度0.33℃/minで加熱した(凝集粒子の作製)。
合一粒子の作製
分散液の温度が95℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作成)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は5.5μmであった。
トナーの作製
この着色樹脂微粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、黒トナーとした。得られた黒トナーの体積中位粒径(D50)は5.2μm、CV値は22%、軟化点は101℃、ガラス転移温度は51.6℃であった。
得られた黒トナーを沖データ社製MICROLINE5400で現像し、オイルレス定着が可能であることを確認した。また、TEM観察からも1μm以下の分散径で離型剤が分散されていることを確認した。
比較例1
凝集粒子の作製
樹脂乳化粒子A 500gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、22℃で離型剤粒子分散液D 65.68gを添加しよく混合した。次に、硫酸アンモニウム12.0gを脱イオン水508gに溶かした溶液を4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、60℃まで昇温速度1.27℃/minで加熱し、60℃で90分間保持した。体積中位粒径4.6μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
合一粒子の作製
アニオン性界面活性剤「エマールE−27C(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム5.42gを添加して、昇温速度1℃/minで加熱し、分散液の温度が87℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作製)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は4.5μmであった。しかし、白いワックスの凝集物が多数見られ、ワックスが内包できていないことわかった。
比較例2
凝集粒子の作製
樹脂乳化粒子A 500gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、22℃で離型剤粒子分散液E 65.68gを添加しよく混合した。次に、硫酸アンモニウム12.0gを脱イオン水508gに溶かした溶液を4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、60℃まで昇温速度1.27℃/minで加熱し、60℃で90分間保持した。体積中位粒径4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
合一粒子の作製
アニオン性界面活性剤「エマールE−27C(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム5.42gを添加して、昇温速度1℃/minで加熱し、分散液の温度が87℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作製)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は4.4μmであった。しかし、白いワックスの凝集物が多数見られ、ワックスが内包できていないことわかった。
比較例3
凝集粒子の作製
樹脂乳化粒子A 500gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、22℃で離型剤粒子分散液F 65.68gを添加しよく混合した。次に、硫酸アンモニウム12.0gを脱イオン水508gに溶かした溶液を4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、60℃まで昇温速度1.27℃/minで加熱し、60℃で90分間保持した。体積中位粒径4.7μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
合一粒子の作製
アニオン性界面活性剤「エマールE−27C(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム5.42gを添加して、昇温速度1℃/minで加熱し、分散液の温度が87℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作製)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は4.7μmであった。しかし、白いワックスの凝集物が多数見られ、ワックスが内包できていないことわかった。
比較例4
凝集粒子の作製
樹脂乳化粒子A 500gを2リットル容の容器に入れ、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、22℃で離型剤粒子分散液G 65.68gを添加しよく混合した。次に、硫酸アンモニウム6.0gを脱イオン水254gに溶かした溶液を4mL/minで滴下した。その後、攪拌しながら、60℃まで昇温速度1.27℃/minで加熱し、60℃で90分間保持した。体積中位粒径8.1μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
合一粒子の作製
アニオン性界面活性剤「エマールE−27C(花王製)」ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム5.42gを添加して、昇温速度1℃/minで加熱し、分散液の温度が80℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷した(合一粒子の作製)。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は7.9μmであった。しかし、ワックスの凝集物が見られた。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて使用される電子写真用トナーの製造に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. (1)水系媒体中で結着樹脂を乳化して樹脂乳化粒子を製造する工程、
    (2)ノニオン性の高分子分散剤の存在下、離型剤を分散させて離型剤粒子を製造する工程、及び
    (3)前記樹脂乳化粒子と離型剤粒子とを凝集及び合一させる工程、
    を有する電子写真用トナーの製造方法。
  2. 離型剤粒子の分散が、ノニオン性の高分子分散剤と、カチオン性又はアニオン性の高分子分散剤との共存下で行われる請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. ノニオン性の高分子分散剤がビニル系高分子分散剤である請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 離型剤粒子の分散を60〜120℃の温度で行う請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. 結着樹脂がポリエステルを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. 離型剤分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径が1μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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