JP4080418B2 - トナーの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、トナーの製造法に関する。
最近のOA機器の目覚しい発達に伴い、電子写真方式により印刷を行うコピー機、プリンタ、ファクシミリなどが広く普及している。電子写真方式においては、一般に、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体の表面に静電荷像を形成し、この静電荷像をトナーで現像し、このトナー像を紙などの転写材に転写および定着させることによって、転写材上に画像が形成される。
従来、静電荷像を現像するためのトナー(以後「静電荷像現像トナー」と称す)の製造法としては、合成樹脂(結着樹脂)、着色剤、ワックスなどの成分を溶融混練して、得られる混練物を粉砕機によって微粉砕する粉砕法が一般的である。粉砕法によって製造されるトナーは、工業的に広く用いられるものの、トナーの粒子径を一層細かくすることによって、電子写真方式による画像の高画質化を実現化しようとする動きが強まるとともに、粉砕法以外のトナー製造法についての検討が種々進められている。なぜならば、粉砕法でトナーの小粒径化に対応しようとすると、粉砕に要するエネルギーおよび時間が増大し、製造工程が煩雑になり、製造コストが顕著に高騰するためである。
粉砕法以外のトナーの製造法には、たとえば、着色剤を含む水性媒体中でビニル単量体などの合成樹脂モノマーを懸濁重合してトナー粒子を得る懸濁重合法、合成樹脂粒子の水分散液と着色剤の有機溶媒への分散液とを混合して合成樹脂粒子と着色剤との凝集粒子を形成し、この凝集粒子を加熱溶融してトナー粒子を得る乳化重合法などがあり、湿式にて合成樹脂粒子を形成する方法が応用されている。
さらに、水分散性樹脂および着色剤を有機溶媒に溶解または分散させ、これに撹拌下に該水分散性樹脂の解離基を中和する中和剤および水を加えて着色剤を内包する樹脂溶媒滴を生成させ、これを転相乳化してトナー粒子を製造する方法(たとえば、特許文献1参照)、合成樹脂および着色剤を該合成樹脂が溶解可能な有機溶媒に溶解または分散させ、これと、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機分散剤の水分散液とを混合して造粒を行い、有機溶媒を除去し、乾燥してトナー粒子を製造する方法(たとえば、特許文献2〜8参照)などが提案されている。
このような湿式法によるトナーの製造法においては、有機溶媒中でモノマーを重合させて着色剤を内包するトナー粒子を製造するか、または合成樹脂および着色剤を溶解または分散させるために有機溶媒を使用するので、得られるトナー粒子中に有機溶媒、合成樹脂のモノマーなどが残留する。このような残留成分は、トナー粒子を静電荷像の現像に実使用する場合に、トナー粒子の外部に滲出し、現像ローラその他の部材を損傷させる。また、トナー粒子の帯電性能をばらつかせることもある。したがって、トナー粒子から有機溶媒、モノマーなどを完全に除去することが必要である。しかしながら、これらを除去する際の減圧力、温度、時間などの諸条件の微妙な変動によって、得られるトナー粒子の形状、ひいてはその帯電性能にばらつきを生じ易い。しかも、前記の諸条件を、形状の均一なトナー粒子を得るための最適条件に微調整することは非常に困難である。また、環境に大きな負荷を与える有機溶媒、モノマーなどを多量に使用するので、これらを処理する設備が必要になり、トナー粒子の製造コストが高騰する。
また、前述のような従来の湿式法によって得られるトナーは、それを用いて転写材上に形成される画像の画質(特に画像濃度、白地かぶりなど)、転写材上での分散性、転写材への転写率などの特性を、高い水準で併せ持つものではない。
特開平5−66600号公報 特開平7−152202号公報 特開平7−168395号公報 特開平7−168396号公報 特開平7−219267号公報 特開平8−179555号公報 特開平8−179556号公報 特開平9−230624号公報
本発明の目的は、湿式法によって電子写真方式などに用いられる静電荷像現像トナーを製造するにあたり、加熱により溶融可能な合成樹脂であれば種類を問わず使用でき、トナー粒子の帯電性能、形状などに悪影響を及ぼす有機溶媒、合成樹脂のモノマーなどを使用することなく、水系で、粒子形状および大きさが均一で、静電荷像現像トナーとしての諸性能に優れるトナー粒子を容易にかつ効率良く製造するための、トナーの製造法を提供することである。
本発明は、加熱により溶融可能な合成樹脂および着色剤を含む溶融混練物と、難水溶性かつ酸分解性の無機分散剤および非イオン性界面活性剤を含む水性媒体とを加熱下に混合し、この混合物中にて該溶融混練物を造粒し、着色剤を含みかつその表面に前記無機分散剤が付着した合成樹脂粒子を生成させる行程と、
合成樹脂粒子を含む混合物のpHを酸性に調整し、該合成樹脂粒子の表面に付着する前記無機分散剤を分解除去し、該合成樹脂粒子を単離して乾燥する行程とを含み、かつ
非イオン性界面活性剤がアセチレン構造を有する化合物であることを特徴とするトナーの製造法である。
また本発明のトナーの製造法は、前述の溶融混練物と水性媒体との混合が、溶融混練物に含まれる合成樹脂の軟化点以上の加熱下に行われることを特徴とする。
さらに本発明のトナーの製造法は、前述の溶融混練物と水性媒体との混合が、剪断力を加えながら行われることを特徴とする。
さらに本発明のトナーの製造法は、前述の合成樹脂が、ポリエステル樹脂およびビニル共重合体系樹脂から選ばれる1種または2種以上であり、かつその軟化点が70〜150℃(70℃以上、150℃以下)であることを特徴とする。
さらに本発明のトナーの製造法は、前述のアセチレン構造を有する化合物が、アセチレン構造および水酸基を有する炭化水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる1種または2種であることを特徴とする。
さらに本発明のトナーの製造法は、前述のアセチレン構造を有する化合物が、一般式
Figure 0004080418
で表わされるアセチレングリコール化合物および一般式
Figure 0004080418
〔式中、mおよびnはそれぞれ1≦m+n≦30の関係を満たす0〜30の整数を示す。〕
で表わされるアセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物から得らばれる1種
または2種以上であることを特徴とする。
本発明によれば、加熱により溶融可能な合成樹脂および着色剤を含む溶融混練物と、難水溶性かつ酸分解性の無機分散剤(以後特に断らない限り単に「難水溶性無機分散剤」と称す)の水分散液とを混合することによって、溶融混練物が微粒化し、トナー粒子の原体である、着色剤を含有する合成樹脂粒子が生成する。このとき、溶融混練物と無機分散剤の水分散液との混合物は、加熱下、さらに場合によっては加熱加圧下にあるので、通常は水が突沸状態になり、泡立ちが多く発生する。その結果、生成する合成樹脂粒子の形状および/または大きさが不均一になる。また、合成樹脂粒子表面に保護膜を形成し、該粒子同士が付着しあって粗大化するのを防止する難水溶性無機分散剤が、泡立ちの影響で、該粒子表面を均一に被覆せず、粗大化防止効果が不充分になる。ところが、本発明では、難水溶性無機分散剤の水分散液中に、特定の非イオン性界面活性剤であるアセチレン構造を有する化合物を存在させることによって、泡立ちが著しく抑制され、かつ難水溶性無機分散剤が合成樹脂粒子表面をむらなく被覆するので、形状、大きさなどが均一で、粗大粒子を含まない、トナー原体である合成樹脂粒子が得られる。そして、次の行程で、該合成樹脂粒子を含む混合物のpHを酸性に調整すると、難水溶性無機分散剤が合成樹脂粒子の表面から容易に分解除去される。難水溶性無機分散剤が除去された合成樹脂粒子を、必要に応じて洗浄した後に単離し、または単離した後に必要に応じて洗浄し、さらに乾燥することにより、最終的にトナー粒子が得られる。
このように、本発明では、形状および大きさが均一なトナー粒子を製造することができる。また、有機溶媒、合成樹脂のモノマーなどを使用しないので、これらがトナー粒子中に残存しすることがない。したがって、現像ローラその他の部材の損傷、得られるトナー粒子の形状、帯電性能などのばらつきといった不都合が発生することがない。さらに、有機溶媒、合成樹脂のモノマーなどを処理する設備も必要ないので、生産性が高まり、トナー粒子の製造コストを低減化できる。また、加熱により溶融状態になる合成樹脂であれば種類を問わず使用でき、有機溶媒に対する溶解性が低い合成樹脂であっても、溶融状態になるものであれば使用できる。したがって、有機溶媒を用いる従来の湿式法とは異なり、使用可能な合成樹脂の範囲が拡がり、異なる複数の合成樹脂を組み合わせて用いることもでき、得られるトナー粒子の低温定着性、耐久性などを容易に調整することができる。
本発明の製造法によって得られるトナー粒子は、静電荷像現像トナーとして好適に用いることができる3〜15μm程度の体積平均粒子径を有し、粒度分布の幅が狭く、形状のばらつきが非常に少なく、帯電性能が均一で、たとえば、電子写真方式などの静電荷像現像トナー(現像剤)として極めて有用である。そして、該トナー粒子をたとえば電子写真方式に使用すると、転写材上での分散性が良好で、転写材への転写率が大きく、高画像濃度で白地かぶりのない高画質品位の画像を形成することができる。
また本発明によれば、溶融混練物と水性媒体とを混合するに際し、溶融混練物に含まれる合成樹脂の軟化点以上に加熱することによって、および/または、剪断力を加えながら混合を行うことによって、形状および大きさが均一で、さらに微細化した合成樹脂粒子を得ることができる。
また本発明によれば、加熱により溶融可能な合成樹脂として、ポリエステル樹脂およびビニル共重合体樹脂から選ばれる1種または2種以上であって、さらにその軟化点が70〜150℃の温度範囲にある合成樹脂を用いることによって、得られるトナー粒子を用いて電子写真方式などにより画像を形成する際の、転写材への定着性、転写材上でのトナー粒子の熱凝集防止性などがさらに向上し、定着ロールへの転写材の巻き付き、オフセット現象の発生などをさらに少なくすることができる。
また本発明によれば、前述の非イオン性界面活性剤であるアセチレン構造を有する化合物として、アセチレン構造および水酸基を有する炭化水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物を用いるのが好ましく、一般式(1)で表されるアセチレングリコール化合物および一般式(2)で表わされるアセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物を用いるのが特に好ましい。このようなアセチレン系化合物を用いることによって、溶融混練物と水性媒体との混合物における泡立ちがさらに抑制され、得られる合成樹脂粒子の形状および大きさの一層の均一化、一層の微細化などを図ることができる。
本発明の製造法は、つぎの(1)および(2)の行程を含む。
(1)加熱により溶融可能な合成樹脂および着色剤を含む溶融混練物と、難水溶性かつ酸分解性無機分散剤および非イオン性界面活性剤を含む水性媒体とを加熱下に混合し、この混合物を造粒し、着色剤を含みかつその表面が難水溶性かつ酸分解性無機分散剤で被覆された合成樹脂粒子を生成させる行程。
(2)上記(1)の行程で得られる、合成樹脂粒子を含む混合物のpHを酸性に調整し、該合成樹脂粒子の表面の難水溶性かつ酸分解性無機分散剤を分解除去し、次いで該合成樹脂粒子を単離して乾燥する行程。
上記(1)の行程における溶融混練物は、合成樹脂と着色剤とを溶融混練したものである。
ここで合成樹脂としては、加熱により溶融状態になるものであれば特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、得られるトナー粒子の粉体流動性、低温定着性、二次色再現性などを向上させることを考慮すると、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂などが好ましく、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
ポリエステル樹脂としては公知のものを使用でき、たとえば、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物が挙げられる。ここで、多塩基酸としてはポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしてもポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ポリエステル樹脂は、たとえば、有機溶媒中または無溶媒下および触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合反応させることによって合成できる。このとき、多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用い、脱メタノール重縮合反応を行ってもよい。この重縮合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価および軟化点が所定の値になったところで終了させればよい。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、得られるポリエステル樹脂の末端に結合するカルボキシル基の含有量を調整することができ、ひいては得られるポリエステル樹脂の物性を調整することができる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステル樹脂の主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することができ、それによっても得られるポリエステル樹脂を変性することができる。
ビニル系共重合体樹脂とは、重合性の炭素炭素二重結合を含有する重合性単量体を含む合成樹脂である。このような重合性単量体としては公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体(芳香族ビニル単量体)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基(水酸基)含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体、3官能ビニル系単量体などが挙げられる。重合性単量体は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系共重合体樹脂は、たとえば、重合性単量体の1種または2種以上を、ラジカル開始剤の存在下に重合させることによって製造できる。このようなビニル系共重合体樹脂の中でも、2種以上の重合性単量体を含み、かつその中の1つが3官能ビニル系単量体であるものが好ましい。
このような合成樹脂の中でも、軟化点が70〜150℃のものが好ましく、70〜130℃のものがさらに好ましく、90〜120℃のものが特に好ましい。合成樹脂の軟化点が70℃を著しく下回ると、そのガラス転移温度(Tg)が50℃未満になり、トナー粒子がコピー機、プリンタなどの内部で熱凝集を起こし、印刷不良、装置の故障などを誘発する可能性がある。さらに、転写材の定着ロールへの巻き付き、オフセット現象などが起こり易くなる。一方、合成樹脂の軟化点が150℃を大幅に超えると、トナー粒子の転写材への定着不良が発生するおそれがある。
このような合成樹脂の中でも、ポリエステル樹脂およびビニル系共重合体樹脂から選ばれる1種または2種以上であって、軟化点が前述の範囲にあるものが好ましい。
合成樹脂の分子量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、得られるトナー粒子をカラートナーとして使用すること、OHPシートなどへの定着性を向上させること、オフセット領域が高温側にシフトして、トナー粒子の転写材への定着不良が起こるのを防止することなどを考慮すると、通常は2000〜200000、好ましくは5000〜20000である。
合成樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。たとえば、先に例示したポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などを単独で用いてもよい。さらに同一種の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれかまたは複数が異なる樹脂を複数種併用することができる。また、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などの例示樹脂の少なくとも1種を全量の50重量%以上含有し、残部が、これらの例示樹脂以外の、加熱により溶融可能な合成樹脂(好ましくは例示樹脂に相溶性を有しかつ加熱により溶融可能な合成樹脂)の1種または2種以上である樹脂組成物を用いてもよい。
加熱により溶融可能な合成樹脂と混合する着色剤としては、公知の顔料をいずれも使用でき、たとえば、ハンザイエロー10G、ハンザイエローG、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、パーマネントオレンジ、リソールファーストオレンジ3GR、パーマネントオレンジGTR、バルカンファストオレンジGG、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、p−クロル−oーニトロアニリンレッド、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントスカーレットG、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ローダミンレーキ(ファナルカラー)、アリザリンレーキ、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2R、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、チオインジゴマルーン、ペリレンレッド、パーマネントレッドBL、キナクリドン系顔料であるパーマネントピンクE(FH)、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーRS、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、フタロシアニングリーン、ナフトールイエローSレーキ、キノリンイエローレーキ、ペルシアンオレンジ、ピーコックブルーレーキ、アシッドグリーンレーキ、パラレッド、ボルドー5B、アルカリブルートーナーアニリンブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。同色系の複数の着色剤を併用することもできる。合成樹脂に対する着色剤の使用割合は特に制限されず、合成樹脂および着色剤の種類、得ようとするトナー粒子に要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は合成樹脂100重量部に対して、0.2〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部である。
溶融混練物は、合成樹脂および着色剤のほかに、必要に応じて、ワックスを含むことができる。ワックスとしてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、アルコール系ワックス、エステル系ワックスなどが挙げられる。ワックスは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
さらに溶融混練物は、合成樹脂および着色剤のほかに、必要に応じて、たとえば、帯電制御剤、離形剤などの一般的なトナー用添加剤を含むことができる。
溶融混練物は、たとえば、合成樹脂、着色剤および必要に応じて上記各種の添加剤の1種または2種以上を、混合機で乾式混合した後、合成樹脂の軟化点から熱分解温度までの温度(通常80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら、溶融混練して、各成分を均一に微分散させることによって製造できる。ここで混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山(株)製)、スーパーミキサー(商品名、(株)カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工(株)製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、(株)奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業(株)製)などが挙げられる。溶融混練には、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を用いることができ、さらに具体的には、TEM−100B(商品名、東芝機械(株)製)、PCM−65/87(商品名、(株)池貝製)などの1軸もしくは2軸のエクストルーダー、ニーディックス(商品名、三井鉱山(株)製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。
溶融混練物と混合する水性媒体は、難水溶性無機分散剤および特定の非イオン性界面活性剤を水に加え、混合することによって得ることができる。
ここで無機分散剤としては、難水溶性かつ酸分解性であり、さらに水分散性である無機化合物を使用できる。このような無機化合物としては公知のものを使用できるけれども、得られるトナー粒子の粒度分布の幅をできるだけ狭くし、形状を均一化するという点を考慮すると、リン酸カルシウムが好ましい。リン酸カルシウムには、たとえば、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロオキシアパタイトなどが含まれる。これらの中でも、水に対する溶解度(溶解度が低い方が好ましい)、酸分解性、結晶の大きさなどを考慮すると、ハイドロオキシアパタイトが好ましい。リン酸カルシウムは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
難水溶性かつ酸分解性無機分散剤の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は水性媒体と混合する溶融混練物中の合成樹脂100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。
非イオン性界面活性剤としては、アセチレン構造を有する化合物を使用する。アセチレン構造を有する化合物は、主に、溶融混練物と水性媒体とを混合する際の泡立ちを防止し、ひいては難水溶性無機分散剤の分散安定剤として作用する。アセチレン構造を有する化合物には、たとえば、アセチレン構造および水酸基を有する炭化水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物が含まれる。その中でも、水中の泡立ちを防止する効果を考慮すると、上記一般式(1)で表わされるアセチレングリコール化合物、上記一般式(2)で表わされるアセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物などが好ましい。アセチレン構造を有する化合物は市販されており、その具体例としては、たとえば、サーフィノール104、サーフィノール420、サーフィノールDF370、サーフィノールDF1100、サーフィノールDF58(いずれも商品名、エアープロダクツ社製)などが挙げられる。このうち、サーフィノール104が一般式(1)のアセチレングリコール化合物であり、サーフィノール420が一般式(2)のアセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物である。他のものは、一般式(1)または一般式(2)の化合物とともに、界面活性剤などを含むものである。これらの中でも、曇点を有しないサーフィノール104が好ましい。アセチレン構造を有する化合物は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
アセチレン構造を有する化合物の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は水性媒体と混合する溶融混練物中の合成樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部である。0.01重量部未満では、添加効果が充分に発揮されない可能性がある。10重量部を大幅に超えると、得られるトナー粒子の表面状態を悪化させ、トナー粒子の帯電性能などに悪影響を及ぼすおそれがある。
溶融混練物と混合する水性媒体には、難水溶性かつ酸分解性無機分散剤および特定の非イオン性界面活性剤のほかに、分散安定剤を含むことができる。分散安定剤としては合成樹脂粒子、無機化合物などを水中で分散させるために用いられるものを使用でき、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースガムなどの水溶性高分子化合物が挙げられる。分散安定剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
溶融混練物と水性媒体との混合は、加熱下、好ましくは溶融混練物に含まれる合成樹脂の軟化点以上の加熱下に行われる。加熱温度の上限は、溶融混練物に含まれる合成樹脂の分解温度までとすればよい。加熱温度が100℃を超える場合、この混合操作は通常は加圧下に行われることになる。その際の圧力値も特に制限されず、溶融混練物に含まれる合成樹脂の種類などに応じて、混合操作を容易に実施でき、所望の粒径、粒度分布および形状を有する合成樹脂粒子が得られる圧力値を適宜選択すればよい。
溶融混練物と水性媒体との混合は、さらに好ましくは、加熱下に、剪断力を加えながら行われる。これによって、トナー原体である合成樹脂粒子の形状および大きさの一層の均一化、一層の小径化などを図ることができる。その際の剪断力の大きさも特に制限されず、溶融混練物に含まれる合成樹脂の種類などに応じて、混合操作を容易に実施でき、所望の粒径、粒度分布および形状を有する合成樹脂粒子が得られる剪断力値を適宜選択すればよい。
ここで溶融混練物は、合成樹脂、着色剤などを溶融混練した状態のものをそのまま用いてもよい。溶融混練後、冷却して固化させた固化物を用いてもよいし、該固化物を加熱して溶融状態に戻したものを用いてもよい。
溶融混練物と水性媒体との混合割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、混合操作、合成樹脂粒子が生成した後の無機分散剤除去、洗浄、単離、乾燥操作などを効率良く実施することなどを考慮すると、通常溶融混練物100重量部に対して水性媒体100〜1000重量部を用いればよい。このとき、水性媒体中には適量の難水溶性かつ酸分解性無機分散剤およびアセチレン構造を有する化合物が含まれるように適宜調整すればよい。
溶融混練物と水性媒体との混合は、さらに具体的には、たとえば、乳化機、分散機などを用いて行われる。
乳化機および分散機としては、溶融混練物と水性媒体とをバッチ式または連続式で受け入れることができ、加熱手段または加熱加圧手段を有し、溶融混練物と水性媒体とを加熱下または加熱加圧下に混合し、着色剤を含む合成樹脂粒子を生成させ、該合成樹脂粒子をバッチ式または連続式で排出することのできる装置が好ましい。乳化機および分散機は、溶融混練物と水性媒体との混合物に剪断力を付与できるものであることが好ましい。また乳化機および分散機は、撹拌手段および/または回転手段を有し、溶融混練物と水性媒体とを撹拌下および/または回転下に混合できるものであることが好ましい。また乳化機および分散機は、溶融混練物と水性媒体とを混合するための混合容器が保温手段を有するものであることが好ましい。該混合容器は、好ましくは耐圧性を有し、さらに好ましくは耐圧性を有しかつ圧力制御弁などを備える。このような混合容器を用いれば、容器内の温度はほぼ一定に保持され、圧力も合成樹脂の溶融温度と水性媒体の蒸気圧との兼ね合いで一定圧力に制御される。高圧になる場合でも、圧力制御弁などによってほぼ一定圧力に制御することができる。なお、100℃以上で使用する場合は、加圧状態での使用になるので、乳化機および分散機にはメカニカルシールが備えられ、混合容器は密閉可能なものであることが望ましい。
このような乳化機および分散機は市販されている。その具体例としては、たとえば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン(株)製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(商品名、特殊機化工業(株)製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、(株)荏原製作所製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(いずれも商品名、特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック(株)製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(いずれも商品名、三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(商品名、(株)ユーロテック製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック(株)製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業(株)製)などが挙げられる。
溶融混練物と水性媒体との混合によって、混合物である水分散液中に、着色剤を含みかつその表面が難水溶性かつ酸分解性無機分散剤によって被覆された合成樹脂粒子(トナー原体)が生成する。
本発明における(2)の行程では、上記(1)の行程で得られる合成樹脂粒子を含む水分散液のpHを酸性、好ましくは1.0〜3.0に調整し、必要に応じて所定時間放置して、該合成樹脂粒子表面に付着した難水溶性かつ酸分解性無機分散剤を分解除去し、該水分散液中から合成樹脂粒子を分離して乾燥し、トナー粒子を得る。
ここでpH調整には、無機酸が用いられる。無機酸としては公知のものを使用でき、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸などの水溶性無機酸が挙げられる。これによって、合成樹脂粒子表面の無機分散剤が除去される。
pH調整後の放置時間は、難水溶性かつ酸分解性無機分散剤の種類、無機酸の種類と使用量などに応じて、適宜決定することができる。
次いで、合成樹脂粒子を水分散液から分離し、回収する。合成樹脂粒子の分離は公知の方法に従って実施でき、たとえば、濾過、吸引濾過、遠心分離などが挙げられる。
本行程では、合成樹脂粒子を分離する前に、合成樹脂粒子の水洗を行ってもよい。または、合成樹脂粒子を分離した後に水洗を行ってもよい。合成樹脂粒子の水洗は、無機分散剤、pH調整で用いられる酸などに由来し、得られるトナー粒子の帯電量に影響を及ぼす不純物類を除去するために実施する行程であり、導電率計などを用い、合成樹脂粒子を洗浄した後の洗浄水(上澄み水)の導電率が50μS/cm以下になるまで繰返し水洗を行うのが好ましい。これによって、トナー粒子の帯電量をさらに均一にすることができる。水洗に用いる水は、導電率20μS/cm以下の水であることが好ましい。このような水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって得ることができる。もちろん、これらの方法の2種以上を組合せて水の導電率を調整してもよい。合成樹脂粒子の水洗は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。また洗浄水の温度は特に制限されないけれども、10〜80℃の範囲が好ましい。
次いで、必要に応じて分級を行った後、乾燥することによって、トナー粒子を得ることができる。トナー粒子を乾燥させる際には、不純物類の有無を導電率計などでチェックした後に、乾燥させるのが好ましい。乾燥には公知の方法を採用でき、たとえば、凍結乾燥法、気流式乾燥法などが挙げられる。さらに、乾燥後に分級を実施することもできる。分級は、たとえば、湿式サイクロンなどの公知の湿式分級法に従って実施される。
このようにして得られるトナー粒子は、そのまま静電荷現像用トナーとして用いることができる。また、このトナー粒子に、たとえば、シリカ、酸化チタンなどの種々の添加剤を用いて表面改質を施すことができる。さらに、これらの添加剤にも、たとえば、シランカップリング剤などによって表面改質を行うことも可能である。トナー粒子と添加剤との使用割合は特に制限されないけれども、通常はトナー粒子100重量部に対して、添加剤1〜10重量部を用いればよい。
本発明の製造法により得られるトナーは、一成分系現像剤および二成分系現像剤として使用できる。一成分系現像剤として使用し、たとえば、非磁性トナーを用いる場合には、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることで搬送する方法が挙げられる。
また、二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。本発明のトナーと共に使用されるキャリアとしては特に制限されないけれども、主として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素などからなる単独および複合フェライト、キャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが用いられる。被覆物質としては、トナーに含まれる成分に応じて適宜選択されるけれども、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料およびそのレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。被覆物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。キャリアの平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmである。
以下に実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
〔合成樹脂粒子の洗浄用水〕
以下の実施例および比較例において、トナー原体である合成樹脂粒子の洗浄には、導電率0.5μS/cmの水を用いた。この洗浄用水は、超純水製造装置(商品名:Ultra
Pure Water System CPW−102、アドバンテック(ADVANTEC)社製)を用いて水道水から調製した。水のpHおよび導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、井内盛栄堂製)を用いて測定した。
〔粒子径および粒度分布〕
得られる合成樹脂粒子(トナー原体)およびトナー粒子の粒子径(体積平均粒子径、個数平均粒子径)、粒度分布(粒子径分布)およびその変動係数(CV値)は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。CV値が40以下を○(合格)、それ以上を×(不合格)として評価した。
〔平均円形度〕
得られる合成樹脂粒子(トナー原体)およびトナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(商品名:FPIA−2000、東亜医用電子(株)製)を用いて測定した。平均円形度は該測定装置において検出される粒子像において、(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)で定義され、1以下の値をとる。1に近いほど、粒子形状が真球に近いことを意味する。
(実施例1)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とテレフタル酸誘導体とからなるポリエステル樹脂(軟化点110℃)100部、着色剤(カーボンブラック)5部、ワックス(ポリプロピレン)2部および帯電制御剤(サリチル酸の亜鉛化合物、商品名:ボントロンE−84、オリエント化学(株)製)1部をヘンシェルミキサーにて30分間混合分散したのち、押出機(商品名:ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散し、溶融状態の溶融混練物を調製した。
この溶融混練物10部と、アセチレン構造を有する化合物(非イオン性界面活性剤、一般式(2)のアセチレングリコール付加物、商品名:サーフィノールDF1100、エアープロダクツ社製)0.1%およびハイドロオキシアパタイト5%を含む水分散液400部と、圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に投入し、撹拌下(7000rpm)、150℃、5atomで10分間加熱加圧した。その後、加熱を止め、20℃まで冷却した。
生成したスラリーに希塩酸を加え、該スラリーのpHを1に調整してハイドロオキシアパタイトを完全に分解した後、洗浄を行った。洗浄は、ポリ塩化ビニル製容器中で、該スラリーと導電率0.5μS/cmの純水とを固形分量が10%になるように混合し、タービン型撹拌翼によって300rpmで30分間撹拌を行った後、この混合物を遠心分離し、得られる上澄み液の導電率が10μS/cmになるまで、同じ洗浄操作を繰り返し行った。その後、遠心分離によって固形分を回収して乾燥し、トナー原体である合成樹脂粒子を得た。
得られた合成樹脂粒子は球状であり、粒子同士が付着しあって粗大化した粒子を含まないものであった。この合成樹脂粒子から、分級装置によって、体積換算粒径2μm以下の微粉を除去し、体積平均粒径8.0μm、円形度0.98のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して本発明のトナーを製造した。
(実施例2)
アセチレン構造を有する化合物である非イオン性界面活性剤として、サーフィノールDF1100(商品名)に代えてサーフィノールDF370(商品名、エアープロダクツ社製)に変更する以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径7.0μm、円形度0.98のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して本発明のトナーを製造した。
(実施例3)
ハイドロオキシアパタイトに代えてリン酸カルシウムを使用する以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径8.1μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して本発明のトナーを製造した。
(実施例4)
ポリエステル樹脂(軟化点110℃)に代えてポリエステル樹脂(軟化点145℃)を使用する以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径8.5μm、円形度0.98のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して本発明のトナーを製造した。
(実施例5)
ポリエステル樹脂(軟化点110℃)に代えてポリエステル樹脂(軟化点80℃)を使用する以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径5.4μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して本発明のトナーを製造した。
(比較例1)
サーフィノールDF1100(商品名)に代えてドデシルベンゼンスルホン酸(界面活性剤)を用いる以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径8.5μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して比較例1のトナーを製造した。
(比較例2)
サーフィノールDF1100(商品名)に代えてラウリル酸ナトリウム(界面活性剤)を用い、かつその水分散液中での含有量を0.1%から0.2%に変更する以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径7.0μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理をしたシリカ粒子0.7部を混合して比較例2のトナーを製造した。
(比較例3)
ハイドロオキシアパタイトを使用しない以外は実施例1と同様に操作したけれども、トナー粒子を得ることはできなかった。
(試験例1)
実施例1〜5および比較例1〜3で得られたトナー(現像剤)を、レーザプリンタ(商品名:AR−C150、シャープ(株)製)において現像装置を非磁性一成分現像用に改造したプリンタに充填し、フルカラー専用紙(品番:PP106A4C、A4サイズ、シャープ(株)製)上にトナー付着量が0.6mg/cmになるように調整して印字を行い、外部定着機によって定着させ、画像サンプルを作成し、下記の評価に供した。結果を表1に示す。
なお、表1において、体積平均粒径(μm)、CV値(%)および平均円形度は、各実施例および比較例で得られるトナー粒子、すなわちシリカ粒子を混合する前のトナー粒子に関する値である。
〔画像濃度〕
分光測色濃度計(商品名:X−Rite938、日本平版印刷機材(株)製)により測定し、画像濃度が1.4以上あれば、良好と判断した。
〔白地カブリ〕
黒色トナーの場合、フルカラー専用紙(PP106A4C)の白度を予め白度計(日本電色工業(株)製)にて測定し、その値を第1測定値とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を3枚複写し、得られた複写物の白部を前記白度計にて測定し、この値を第2測定値とする。第1測定値から第2測定値を差し引いた値をカブリ濃度(%)とし、その値が2.0%以下であれば、良好と判断し、「○」と標記した。
〔転写率〕
所定チャートにて複写したサンプルの紙面上のトナー重量Mpと感光体上に残存したトナー重量Mdから計算し、85%以上の場合を合格と判断した。転写率(%)は、次式により求める。
転写率(%)=〔Mp/(Md+Mp)〕×100
Figure 0004080418
表1から、本発明の製造法によって得られるトナー粒子が、トナー粒子として好ましい粒径および形状を有し、転写紙上での分散性および転写紙への転写性に優れ、転写紙上に画像濃度が高くかつ白地カブリのない画像を形成できることが明らかである。

Claims (6)

  1. 加熱により溶融可能な合成樹脂および着色剤を含む溶融混練物と、難水溶性かつ酸分解性の無機分散剤および非イオン性界面活性剤を含む水性媒体とを加熱下に混合し、この混合物中にて該溶融混練物を造粒し、着色剤を含みかつその表面に前記無機分散剤が付着した合成樹脂粒子を生成させる行程と、
    合成樹脂粒子を含む混合物のpHを酸性に調整し、該合成樹脂粒子の表面に付着する前記無機分散剤を分解除去し、該合成樹脂粒子を単離して乾燥する行程とを含み、かつ
    非イオン性界面活性剤がアセチレン構造を有する化合物であることを特徴とするトナーの製造法。
  2. 溶融混練物と水性媒体との混合が、溶融混練物に含まれる合成樹脂の軟化点以上の加熱下に行われることを特徴とする請求項1記載のトナーの製造法。
  3. 溶融混練物と水性媒体との混合が、剪断力を加えながら行われることを特徴とする請求項1または2記載のトナーの製造法。
  4. 合成樹脂が、ポリエステル樹脂およびビニル共重合体系樹脂から選ばれる1種または2種以上であり、かつその軟化点が70〜150℃であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のトナーの製造法。
  5. アセチレン構造を有する化合物が、アセチレン構造および水酸基を有する炭化水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる1種または2種であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のトナーの製造法。
  6. アセチレン構造を有する化合物が、一般式
    Figure 0004080418
    で表わされるアセチレングリコール化合物および一般式
    Figure 0004080418
    〔式中、mおよびnはそれぞれ1≦m+n≦30の関係を満たす0〜30の整数を示す。〕
    で表わされるアセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のトナーの製造法。
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