JP2006293057A - 静電荷現像用トナー及び該トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芯粒子である樹脂粒子の調製工程S1と、水溶性高分子分散剤の水溶液の調製工程S2と、帯電制御樹脂成分で被覆された合成樹脂粒子の調製工程S3と、水溶性高分子分散剤の除去工程S4と、合成樹脂粒子の分離・洗浄・乾燥工程S5とを含む水系での静電荷像現像用トナーの製造法ならびに該製造方法によって製造される静電荷現像用トナーを提供する。
【選択図】 図1
Description
工程(A): 芯粒子となる、少なくとも合成樹脂および着色剤を含みかつ有機溶媒を含
まない樹脂粒子と、軟化点が該芯粒子の主樹脂の軟化点より低い帯電制御樹
脂成分とに、水溶性の高分子分散剤の水溶液を添加して、加熱下または加熱
加圧下で混合して、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹
脂粒子を生成する工程
工程(B): 上記工程(A)で得られた該合成樹脂粒子を含んだ混合物を冷却し、着色
剤を含有する合成樹脂粒子のみを該混合物中から分離して乾燥する工程
を含むことを特徴とする。
(1)本発明の製造法により得られるトナー粒子は、3〜15μm程度の体積平均粒子径を有し、粒子形状および大きさが均一である。該トナー粒子は、帯電制御樹脂成分で覆われているため、帯電性能にばらつきが無く、さらに帯電制御剤の水への溶出が無く、例えば、電子写真方式などの静電荷現像用トナーとして好適に使用できる。水溶性の高分子分散剤の除去も、簡易な水による洗浄操作で容易に行えるので工業的に有利である。
本発明のトナーを電子写真方式において使用すると、転写材へ高い転写率で転写され、画像濃度が高く、白地カブリのない高画質品位の画像を容易に形成できる。
(2)本発明では、有機溶媒、合成樹脂のモノマーなどを使用することがないので、これらがトナー粒子中に残存することがなく、また有機溶媒を除去する工程を要しないので、前述の合成樹脂粒子に分級、乾燥などの処理を施すことによって、最終的に得られるトナー粒子の形状が不均一になることもない。
(3)本発明では、有機溶媒を用いた乳化分散とは異なり、加熱により溶融する樹脂であれば特に制限なく使用でき、(有機溶媒に溶解しにくい樹脂でも、)異なる樹脂を組合せて使用することもできる。したがって、最終的に得られるトナー粒子の低温定着性、耐久性などを適宜制御することができる。
(4)本発明によれば、合成樹脂としてポリエステルを使用することができるので、透明性に優れており、得られるトナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性、二次色再現性などを付与することができる。このため、本発明のトナーは、カラートナーの結着樹脂に適している。
(5)本発明によれば、前記水溶性の高分子分散剤として、ポリカルボン酸化合物を用いることによって、樹脂の微粒子化が進行しやすく、結果として滑らかで、ひび割れ等がない均一な形状および大きさを有する合成樹脂粒子を特に効率よく得ることができる。
水溶性高分子分散剤の分子量としては、重量平均分子量で通常は5,000〜50,000程度、好ましくは5,000〜20,000程度が望ましい。
以下の実施例および比較例において、水溶性高分子分散剤の水溶液調製用、トナー粒子の洗浄用には、導電率0.5μS/cmの水を用いた。この洗浄水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロサイエンス(株)製)を用いて水道水から調製した。水の導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、(株)井内盛栄堂製)を用いて測定した。
合成樹脂粒子およびトナー粒子の粒径(体積平均粒子径、個数平均粒子径)および粒子径分布は、コールターマルチサイザーII(商品名、コールター社製)を用いて測定した。測定粒子数は50,000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(商品名:FPIA−2000、東亜医用電子(株)製)を用いて測定した。平均円形度は該測定装置において検出される粒子像において、(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)で定義され、1以下の値であることを要する。1に近いほど、トナー粒子の形状が真球に近いことを意味する。
[樹脂混練物の調製]
ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)82.5部、着色剤(カーボンブラック)40質量%含有ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)12.5部、ワックス(ポリエチレン 融点125℃)5部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散し、樹脂混練物を調製した。
ポリアクリル酸(重量平均分子量10,000)アンモニウム塩100部および水400部を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の20wt%水分散液を調製した。
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に、樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを投入し、150℃、5atomで加熱加圧しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
その後加熱を止め、この混合物を撹拌しながら20℃まで冷却した。
アクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物からなる帯電制御樹脂(軟化点110℃)5部を投入し、110℃で加熱しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
その後、導電率0.5μS/cmの水を該混合物に加えて洗浄を行った。洗浄は、該混合物と水(導電率0.5μS/cm)とを混合し、水の添加量によって固形分量が10%になるように調整した後、タービン型撹拌翼で30分間撹拌(300rpm)を行い、この混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで、同じ洗浄操作を繰り返し行った。その後、遠心分離によって混合物中の合成樹脂粒子を分取し、乾燥し、合成樹脂粒子を得た。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着しあって粗大化したような粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.2μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
合成樹脂粒子の造粒工程以外は、実施例1と同様に行った。
合成樹脂粒子の造粒工程は、実施例1と同様の方法で製造した芯粒子樹脂粒子100部に、アクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物から調製した帯電制御樹脂(軟化点110℃)5部およびポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)58℃、軟化点110℃)5部からなる混合物を投入し、110℃で加熱しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着し合うことにより粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.5μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
樹脂混練物の調製および芯粒子樹脂粒子の造粒工程以外は、実施例1と同様に行った。ポリエステル樹脂として(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)70部、およびポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)65℃、軟化点158℃)30部、着色剤(カーボンブラック)5部、ワックス(ポリエチレン 融点125℃)5部からなる混合物をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散して得た樹脂混練物を使用した。
芯粒子樹脂粒子の造粒工程は、圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に、上記樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを、160℃、5atomで加熱加圧しながら10分間撹拌混合した(12,000rpm)。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着しあって粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径7.9μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
水溶性高分子分散剤の水分散液の調製以外は、実施例1と同様に操作した。
水溶性高分子分散剤の水分散液はポリスチレンアクリル酸(重量平均分子量12,000)アンモニウム塩100部および水400部を混ぜ合わせて、20wt%水分散液に調製したものを用いた。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着し合うことにより粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.2μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
[樹脂混練物の調製]
ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点130℃)100部、着色剤(カーボンブラック)5部、ワックス(ポリエチレン 融点125℃)5部、およびアクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物から調製した帯電制御樹脂(軟化点110℃)5部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーディクスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散し、樹脂混練物を調製した。
ポリアクリル酸(重量平均分子量10,000)アンモニウム塩100部および水400部を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の20wt%水分散液を調製した。
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製容器に、樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを投入し、150℃、5atomで加熱加圧しながら10分間撹拌混合した(8,000rpm)。
その後加熱を止め、この混合物を撹拌しながら20℃まで冷却した。
その後、導電率0.5μS/cmの水を混合物に加えて洗浄を行った。洗浄は、混合物と水(導電率0.5μS/cm)とを混合し、水の添加量によって固形分量が10%になるように調整した後、タービン型撹拌翼で30分間撹拌(300rpm)を行い、この混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで、同じ洗浄操作を繰り返し行った。その後、遠心分離によって混合物中の合成樹脂粒子を分取して乾燥し、合成樹脂粒子を得た。
得られた合成樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、複数の微粒子化された粒子が付着し合うことにより粗大化した粒子は含まれておらず、表面が滑らかで球状の合成樹脂粒子が観察された。上記で得られた合成樹脂粒子を凍結乾燥し、体積平均粒径8.2μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
[樹脂混練物の調製]の工程においてアクリルアミドスルホン酸、スチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシルからなるモノマー混合物から調製した帯電制御樹脂を混合しない以外は比較例1と同様に行い、体積平均粒子径は7.5μm、円形度0.97のトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に、平均1次粒径20nmのシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ粒子0.7部を混合して、トナーを得た。
上述の実施例及び比較例のそれぞれにつき、得られたトナーを、平均粒子径60μmのフェライトキャリア97質量部に対し3質量部の割合で混合攪拌して2成分の現像剤を調整し、帯電特性の環境安定性を確認した。20℃,50%RHの常温常湿の環境条件下において帯電量測定を行い、帯電量の増加がなくなった摩擦時間の帯電量をもって飽和帯電量とした。
この現像剤の帯電量の経時変化を測定していったとき
○:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する時間が20min未満のもの
×:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する時間が20min以上のもの
と評価した。
この現像剤を使用し、レーザプリンタ(商品名:AR−C150、シャープ(株)製)を用いて、「フルカラー専用紙」品番:PP106A4C、A4サイズ、シャープ(株)製)上にトナー付着量が0.6mg/cm2になるように調整して印字させ、外部定着機を用いて、画像サンプルを作成した。
作成したそれぞれの画像サンプルを下記の評価に供した。その結果を表1に示す。
分光測色濃度計(商品名:X−Rite938、日本平版印刷機材(株)製)により測定し、光学濃度が1.4以上あれば、良好と判断した。
画像サンプルの白地カブリは、黒トナーの場合は、A4サイズの前記専用紙の白度を、予め「白度計」(日本電色工業(株)製)にて測定し、その値を第1測定値とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を用いて、3枚複写し、得られたコピーサンプルの白部を前記白度計にて測定し、この値を第2測定値とする。第1測定値から第2測定値を差し引いた値をカブリの値とし、その値が2.0以下であれば、良好と判断した。カラートナーの場合は、目視にて判断を行い、カブリの認められないものを○、カブリの認められるものを×と評価した。
下記の基準に従って評価した。
○:帯電安定性に関し、飽和帯電量の80%の帯電量に到達する時間が20min未満、光学濃度が1.4以上、カブリ濃度2.0以下であるもの
×:上記条件を満たさないもの
Claims (4)
- 少なくとも合成樹脂および着色剤を含む樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面に溶融状態を経て融着した帯電制御樹脂成分からなる外殻とから構成された静電荷現像用トナー。
- 以下の工程(A)及び工程(B)を含む静電荷現像用トナーの製造方法。
工程(A): 芯粒子となる、少なくとも合成樹脂および着色剤を含みかつ有機溶媒を含
まない樹脂粒子と、軟化点が該芯粒子の主樹脂の軟化点より低い帯電制御樹
脂成分とに、水溶性の高分子分散剤の水溶液を添加して、加熱下または加熱
加圧下で混合して、帯電制御樹脂成分を外殻とする着色剤を含有する合成樹
脂粒子を生成する工程
工程(B): 上記工程(A)で得られた該合成樹脂粒子を含んだ混合物を冷却し、着色
剤を含有する合成樹脂粒子のみを該混合物中から分離して乾燥する工程 - 芯粒子の主樹脂としての樹脂粒子がポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
- 工程(A)における水溶性の高分子分散剤がポリカルボン酸化合物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
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