JP6217623B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー Download PDF

Info

Publication number
JP6217623B2
JP6217623B2 JP2014263261A JP2014263261A JP6217623B2 JP 6217623 B2 JP6217623 B2 JP 6217623B2 JP 2014263261 A JP2014263261 A JP 2014263261A JP 2014263261 A JP2014263261 A JP 2014263261A JP 6217623 B2 JP6217623 B2 JP 6217623B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
shell layer
saturation
resin
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014263261A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016122146A (ja
Inventor
貴俊 野崎
貴俊 野崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2014263261A priority Critical patent/JP6217623B2/ja
Publication of JP2016122146A publication Critical patent/JP2016122146A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6217623B2 publication Critical patent/JP6217623B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
トナーに関して、省エネルギー化、及び装置の小型化の観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点又はガラス転移点の低い結着樹脂、及び低融点の離型剤が使用されることが多い。そのため、このようなトナーを高温で保存する場合、トナーに含まれるトナー粒子が凝集し易いという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子と比較して低下し易い。
そこで、低い温度域でも定着性に優れるトナーを得る目的、高温でのトナーの保存安定性を向上させる目的、及びトナーの耐ブロッキング性を向上させる目的で、コア−シェル構造を有するトナー粒子を含むトナーが提案されている。コア−シェル構造を有するトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアを被覆するシェル層を有する。トナーコアが、低融点の結着樹脂を含む。シェル層が、トナーコアに含まれる結着樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高いガラス転移点(Tg)を有する樹脂により形成される。
このようなコア−シェル構造を有するトナー粒子を含むトナーとして、例えば、薄膜被覆トナーが提案されている(特許文献1)。このトナーは、熱硬化性樹脂を含んでなる薄膜により、実質的に連続して表面が被覆されている。薄膜被覆前のトナーが粉体である。薄膜被覆前のトナーの軟化温度が40℃以上150℃以下である。
特開2004−138985号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーにおいては、トナーコアが熱硬化性樹脂のシェル層で被覆されている。そのため、トナーの定着時にシェル層が溶融しにくく、記録媒体へのトナーの結着性が弱くなるため、トナーの耐オフセット性が十分でないと考えられる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、低温定着性、耐低温オフセット性(記録媒体へのトナーの結着性)、及び耐熱保存性に優れ、トナーの記録媒体への載せ量が少ない場合であっても高い彩度を有する画像を得ることが可能な静電潜像現像用トナーを提供する。
本発明の静電潜像現像用トナーは、複数のトナー粒子を含む。前記複数のトナー粒子は、トナーコア、及び前記トナーコアを被覆するシェル層を有する。前記トナーコアは、結着樹脂、着色剤、及び電荷制御剤を含む。前記シェル層は、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂を含む。前記熱硬化性樹脂が、前記電荷制御剤と同極性の帯電性を有する。前記シェル層による前記トナーコアの被覆率が、10.0%以上30.0%以下である。
本発明によれば、低温定着性、耐低温オフセット性、及び耐熱保存性に優れ、トナーの記録媒体への載せ量が少ない場合であっても高い彩度を有する画像を得ることが可能な静電潜像現像用トナーを得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて、本発明を実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
本発明の実施形態は、静電潜像現像用トナー(以下、「トナー」と略記する場合がある)に関する。以下、本実施形態のトナーについて説明する。
本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、トナーコア、及びシェル層を有する。シェル層はトナーコアを被覆する。つまり、シェル層は、トナーコアを被覆するように形成されている(位置している)。トナーコアは、所定の被覆率でシェル層によって被覆されている。更に、本実施形態のトナーは、所定の彩度維持率を有することが好ましい。
本実施形態のトナーに含有されるトナー粒子は、必要に応じて、外添剤を含有してもよい。また、本実施形態のトナーは、キャリアと混合して、2成分現像剤として使用することもできる。
以下、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子が有する、トナーコア、及びシェル層について説明する。また、トナーに含まれてもよい外添剤、及びトナーを2成分現像剤において用いる場合のキャリアについて説明する。更に、シェル層によるトナーコアの被覆率、トナーの彩度維持率、及びトナーの製造方法について説明する。
<1.トナーコア>
トナーコアは、結着樹脂、着色剤、及び電荷制御剤を含む。トナーコアは必要に応じて、例えば、離型剤及び/又は磁性粉を含んでいてもよい。以下、結着樹脂、着色剤、及び電荷制御剤について説明する。また、必要に応じてトナーコアに含有されてもよい、離型剤、及び磁性粉について説明する。
<1−1.結着樹脂>
結着樹脂は、トナーの調製に用いられる結着樹脂である限り、特に限定されない。結着樹脂としては、トナーの記録媒体への定着性を向上させるという観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、及びポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。トナーコア中の着色剤の分散性、トナー粒子の帯電性、及び記録媒体(例えば、紙)に対するトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂が特に好ましい。以下、ポリエステル樹脂について説明する。
ポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、例えば、以下のアルコール及びカルボン酸が好ましい。
ポリエステル樹脂を合成する際に用いられるアルコールとしては、例えば、2価アルコール、及び3価以上のアルコールが挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成するために用いられる2価アルコールの具体例としては、ジオール類、及びビスフェノール類が挙げられる。ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、及びポリオキシプロピレン化ビスフェノールAが挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成するために用いられる3価以上のアルコールの具体例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成するために用いられるカルボン酸としては、例えば、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成するために用いられる2価カルボン酸の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、及びイソドデシルコハク酸)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、及びイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成するために用いられる3価以上のカルボン酸の具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
上述のアルコール、及びカルボン酸は、各々1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。更に、上述の2価又は3価以上のカルボン酸を、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体に誘導体化して使用してもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を意味する。
結着樹脂としてポリエステル樹脂が使用される場合、低粘度ポリエステル樹脂、中粘度ポリエステル樹脂、及び高粘度ポリエステル樹脂を組み合わせて使用することがより好ましい。異なる粘度のポリエステル樹脂を組み合わせることにより、トナーコアの成分の記録媒体への浸透性が制御される傾向にある。
結着樹脂としてポリエステル樹脂が使用される場合、結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
上述のように例示した熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に、架橋剤又は熱硬化性樹脂を添加してもよい。結着樹脂内に部分的に架橋構造を導入することにより、優れたトナーの定着性を確保しながら、トナーの保存安定性、形態保持性、及び耐久性を向上させることが可能になる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、又はシアネート系樹脂が好ましい。1種の熱硬化性樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上の熱硬化性樹脂を組み合わせて使用してもよい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、30℃以上60℃以下であることが好ましく、35℃以上55℃以下であることがより好ましい。結着樹脂のガラス転移点は、以下の方法に従って測定することができる。
[ガラス転移点測定方法]
示差走査熱量計(DSC)(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて結着樹脂の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線(詳しくは、結着樹脂の比熱の変化点)から結着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。例えば、結着樹脂(測定試料)10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分という条件で、結着樹脂の吸熱曲線を測定することができる。得られた結着樹脂の吸熱曲線に基づいて、結着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は、60℃以上150℃以下であることが好ましく、70℃以上140℃以下であることがより好ましい。また、異なる軟化点(Tm)を有する複数の樹脂を、結着樹脂の軟化点(Tm)が上述の範囲内の値となるように組み合わせて用いることもできる。結着樹脂の軟化点(Tm)は、以下の方法に従って測定できる。
[軟化点測定方法]
高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)を測定することができる。例えば、結着樹脂(測定試料)を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定することができる。高化式フローテスターの測定により、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブが得られる。得られたS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tm)を読み取ることができる。具体的には、得られたS字カーブに関して、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とする。この場合、ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度が、結着樹脂(測定試料)の軟化点(Tm)に相当する。
本実施形態のトナーにおいて、結着樹脂としては、非結晶性の結着樹脂(例えば、非結晶性ポリエステル樹脂)を使用することができる。トナーの低温定着性を向上させるために、結着樹脂として、非結晶性の結着樹脂に加えて、結晶性の結着樹脂(例えば、結晶性ポリエステル樹脂)が併用されてもよい。
<1−2.着色剤>
着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料又は染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。黒色着色剤としては後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
トナーがカラートナーである場合、トナーコアに含有される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の具体的としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、及びC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、及びC.I.アシッドブルーが挙げられる。
<1−3.電荷制御剤>
電荷制御剤は、帯電レベル、及び帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性及び安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標である。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用される。トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤は、後述のシェル層に含有される熱硬化性樹脂と同極性の帯電性を有する。例えば、シェル層に含有される熱硬化性樹脂として正極性の帯電性を有する(正帯電性の)熱硬化性樹脂が使用される場合、正極性の帯電性を有する(正帯電性の)電荷制御剤を使用することができる。シェル層に含有される熱硬化性樹脂として負極性の帯電性を有する(負帯電性の)熱硬化性樹脂が使用される場合、負極性の帯電性を有する(負帯電性の)電荷制御剤を使用することができる。
熱硬化性樹脂と同極性の帯電性を示す電荷制御剤がトナーコアに含有されることにより、同極性を示す熱硬化性樹脂とトナーコアとの間に、静電反発力が生じ易くなる。生じた静電反発力によって、シェル層によるトナーコアの被覆状態(被覆率)が制御されると考えられる。具体的には、生じた静電反発力によって、トナーコアを被覆するシェル層が不均一に形成される。例えば、シェル層中に、厚い部分、及び薄い部分が形成される。また、シェル層が形成されずにトナーコアが露出する部分が形成される。このようなシェル層に存在する薄い部分、及びトナーコアが露出する部分は、トナーの定着時にトナー粒子を圧潰する起点となる。その結果、トナーの低温定着性が向上される傾向にある。一方、シェル層に厚い部分が存在することにより、トナーに含有される成分が過度に記録媒体へ浸透することが抑制されると考えられる。その結果、トナーに含有される着色剤が、記録媒体の表面に留まり易くなり、形成される定着画像の彩度を向上できると考えられる。
電荷制御剤は、公知の電荷制御剤から適宜選択することができる。電荷制御剤としては、正極性の帯電性を有する(正帯電性の)電荷制御剤が好ましい。正帯電性の電荷制御剤としては、例えば、オリエント化学工業株式会社製「P−51」が挙げられる。
電荷制御剤の含有量は、トナーコアの質量に対して、0.5質量%以上3質量%以下であることが好ましい。コストメリットの観点から、0.5質量%以上3質量%以下の範囲で、より少ない含有量を選択することが好ましい。電荷制御剤の含有量が0.5質量%未満であると、特にトナーの載せ量を減少させて画像を形成した場合に、所望の彩度を有する画像を得ることが困難となる。一方、含有量が3.0質量%を超えると、シェル層によるトナーコアの被覆率が低下する傾向にあり、耐熱保存性が低下すると考えられる。
<1−4.離型剤>
トナーコアは、離型剤を含有することが好ましい。離型剤は、トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーが有するトナーコアは、離型剤としてはワックスを含むことが好ましい。ワックスとしては、例えば、エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、及びモンタンワックスが挙げられ、好ましくはエステルワックスが挙げられる。エステルワックスとしては、合成エステルワックス、及び天然エステルワックス(例えば、カルナウバワックス、及びライスワックス)が挙げられる。合成原料を適宜選択することで示差走査熱量計を用いて測定される離型剤の融点を後述する好適な範囲に調整し易い。そのため、エステルワックスとしては、合成エステルワックスが好ましい。これらの離型剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
合成エステルワックスを製造する方法は、化学合成法である限り特に限定されない。例えば、公知の方法(例えば、酸触媒の存在下でのアルコールとカルボン酸との反応、又はカルボン酸ハライドとアルコールとの反応)を用いて合成エステルワックスを製造することができる。なお、合成エステルワックスの原料は、例えば、天然油脂から製造される長鎖脂肪酸のような天然物に由来する原料でもよいし、合成品として市販される原料でもよい。
離型剤の融点は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。離型剤の融点は示差走査熱量計を用いて測定されるDSC曲線中の最大吸熱ピークの温度である。融点が50℃以上100℃以下である離型剤を用いたトナーは、低温定着性に優れ、更に高温でのオフセットの発生を抑制できる。
<1−5.磁性粉>
本実施形態のトナーが有するトナーコアは、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を含有してもよい。磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、又はマグネタイトのような鉄;コバルト、又はニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;及び二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させ易い。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合に、トナー全量100質量部に対して、35質量部以上60質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
<2.シェル層>
シェル層は、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂を含む。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されていてもよい。
本実施形態のトナーが有するシェル層は、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂とを含む。シェル層中で熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが混ざり合って、熱硬化性樹脂で形成される多数の部分と、熱可塑性樹脂で形成される多数の部分とが、シェル層中に混在していてもよい。また、シェル層は、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーと、熱可塑性樹脂のモノマー又はプレポリマーとを含有していてもよい。更に、シェル層は、熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーを含む)が有する置換基と熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂のモノマー又はプレポリマーを含む)が有する置換基とが化学的に結合している部分を含んでいてもよい。
トナーに含まれるトナー粒子のシェル層が熱硬化性樹脂のみから構成される場合、シェル層によるトナーコアの被覆率が低下する傾向にある。トナーコアの被覆率が低下すると、トナーを高温で保存する際にトナーコアの成分が染み出し易くなり、耐熱保存性が低下する傾向にある。
一方、トナーに含まれるトナー粒子のシェル層が熱可塑性樹脂のみから構成される場合、形成される画像の彩度が低下する傾向にある。熱可塑性樹脂のみから構成されるシェル層は、トナーの定着時に溶融し易い。その結果、トナーコアの成分が記録媒体に過度に浸透し、トナーが記録媒体の表面に留まりにくくなるためである。また、熱可塑性樹脂のみから構成されるシェル層は、トナーの保存時に溶融し易い。その結果、耐熱保存性が低下する傾向にある。
トナーに含まれるトナー粒子のシェル層が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とから構成される場合、シェル層が強度において複数の強弱のある箇所を有する傾向がある。つまり、熱可塑性樹脂に起因する適度な柔軟性と、熱硬化性樹脂の三次元架橋構造に起因する適度な機械的強度とを有するシェル層を備えるトナー粒子を得ることができると考えられる。このため、トナーの低温定着性が向上し、定着時にシェル層が破壊され易くなると考えられる。
更に、熱硬化性樹脂は正帯電し易いため、シェル層が熱硬化性樹脂のみからなる場合には、シェル層が強く正帯電してしまうことがある。熱硬化性樹脂に加えて熱可塑性樹脂をシェル層に含ませることで、トナーの帯電量を所望の範囲に調整し易くなる。
シェル層において、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂との混合比率は、シェル層を形成することができる限り、特に限定されない。混合比率は、例えば1/100以上1/0.1以下であり、好ましくは1/30以上1/0.5以下であり、より好ましくは1/10以上1/0.5以下である。熱硬化性樹脂の含有量に対して熱可塑性樹脂の含有量が過多であると、トナーを高温で保存する際にトナー粒子の凝集が生じ易く、トナーの耐熱保存性に劣る傾向にある。また、彩度維持特性が低下する傾向にある。熱硬化性樹脂の含有量に対して熱可塑性樹脂の含有量が過少であると、トナーを記録媒体へ定着させる際に熱が加えられても、シェル層が破壊されにくく、低温定着性に劣る傾向にある。また、このようなトナーは、耐低温オフセット性に劣る傾向にある。
以下、シェル層に含有される熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂について説明する。また、シェル層の物性についても説明する。
<2−1.熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂は、トナーコアに含有される電荷制御剤と同極性の帯電性を有する。例えば、正極性の帯電性を有する(正帯電性の)電荷制御剤が使用される場合、正極性の帯電性を有する(正帯電性の)熱硬化性樹脂を使用することができる。負極性の帯電性を有する(負帯電性の)電荷制御剤が使用される場合、負極性の帯電性を有する(負帯電性の)熱硬化性樹脂を使用することができる。
上述したように、熱硬化性樹脂と同極性の帯電性を示す電荷制御剤がトナーコアに含有されることにより、同極性を示す熱硬化性樹脂とトナーコアとの間に、静電反発力が生じ易くなる。生じた静電反発力によって、トナーコアを被覆するシェル層が不均一に形成される。シェル層に存在する薄い部分、及びトナーコアが露出する部分は、トナーの定着時にトナー粒子を圧潰する起点となる。その結果、トナーの低温定着性が向上される傾向にある。一方、シェル層に厚い部分が存在することにより、トナーに含有される成分が過度に記録媒体へ浸透することが抑制されると考えられる。その結果、トナーに含有される着色剤が、記録媒体の表面に留まり易くなり、形成される定着画像の彩度を向上できると考えられる。
熱硬化性樹脂としては、正極性の帯電性を有する(正帯電性を有する)熱硬化性樹脂が好ましい。正帯電性を有する熱硬化性樹脂としては、正帯電性を有するアミノアルデヒド樹脂が挙げられる。アミノアルデヒド樹脂は、アミノ基を含む化合物とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)との重縮合によって生成される樹脂である。
正帯電性を有する熱硬化性樹脂しては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、ポリイミド樹脂、及びこれらの樹脂の誘導体が挙げられる。なかでも好ましくは、メラミン樹脂である。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーは、メラミン、及びホルムアルデヒドである。尿素樹脂は尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは、尿素、及びホルムアルデヒドである。グリオキザール樹脂は、グリオキサールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキサール樹脂の形成に使用されるモノマーは、グリオキサールと尿素との反応生成物、及びホルムアルデヒドである。これらのモノマーは、公知の変性(例えば、メチロール化)を受けていてもよい。
グアナミン樹脂を形成するために用いることができるモノマーの例としては、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、及びスピログアナミンが挙げられる。
ポリイミド樹脂は、窒素元素を分子骨格に有する。このため、ポリイミド樹脂を含むシェル層は、強いカチオン性を有し易い。ポリイミド樹脂の例としては、マレイミド系重合体、及びビスマレイミド系重合体(より具体的には、アミノビスマレイミド重合体又はビスマレイミドトリアジン重合体)が挙げられる。
熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーに窒素元素を含ませることで、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーの架橋硬化機能を向上させることができる。熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーの反応性を高めるためには、メラミン樹脂のモノマー又はプレポリマーでは40質量%以上55質量%以下に、尿素樹脂のモノマー又はプレポリマーでは40質量%程度に、グリオキザール樹脂のモノマー又はプレポリマーでは15質量%程度に、窒素元素の含有量を調整することが好ましい。
また、窒素元素を含む熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーを用いて熱硬化性樹脂を形成する場合、このような熱硬化性樹脂をシェル層に含有するトナー粒子を含むトナーの正帯電性を向上させることができる。所望する帯電量にトナーを正帯電させるためには、シェル層中の窒素原子の含有量は10質量%以上であることが好ましい。
<2−2.熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、シリコーン−(メタ)アクリル系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びエチレンビニルアルコール共重合体が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体が好ましく、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体がより好ましい。
なお、アクリルとメタクリルとを包括して「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
熱可塑性樹脂を形成するために用いることができる(メタ)アクリル系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、又は(メタ)アクリル酸ブチル);(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル);(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル);(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド付加物;及び(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキシド付加物のアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、又はブチルエーテル)が挙げられる。なかでも、分散安定性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸ブチルが特に好ましい。
熱可塑性樹脂、又は熱可塑性樹脂のモノマー若しくはプレポリマーは、熱硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂のモノマー若しくはプレポリマーが有する官能基(例えば、メチロール基又はアミノ基)と反応し易い官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はグリシジル基)を有することが好ましい。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性樹脂、又は熱可塑性樹脂のモノマー若しくはプレポリマーに含まれてもよい。
<2−3.シェル層の物性>
シェル層は、破壊箇所(機械的強度の弱い部位)を有していてもよい。破壊箇所は、シェル層に局所的に欠陥等を生じさせることにより形成することができる。シェル層に破壊箇所を設けることで、シェル層が容易に破壊されるようになる。その結果、低い温度でトナーを記録媒体に定着させることが可能になる。破壊箇所の数は任意である。
シェル層の厚さは、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。シェル層が厚過ぎると、トナーを記録媒体へ定着させる際に圧力が加えられても、シェル層が破壊されにくい。この場合、トナーコアに含まれる結着樹脂(又は離型剤)の軟化又は溶融が速やかに進行せず、低温域でトナーを記録媒体上に定着させにくい。一方、薄過ぎるシェル層は強度が低く、輸送時のような状況での衝撃によってシェル層が破壊される場合がある。ここで、高温でトナーを保存する場合、シェル層の少なくとも一部が破壊されたトナー粒子は凝集し易い。なぜなら、高温下ではシェル層における破壊された箇所を通じて、離型剤のような成分がトナー粒子の表面に染み出し易いからである。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することによって計測できる。市販の画像解析ソフトウェアとしては、WinROOF(三谷商事株式会社製)のようなソフトウェアを用いることができる。具体的には、トナーの断面の略中心で直交する2本の直線を引き、これら2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定する。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとする。このようなシェル層の厚さの測定を、10個以上のトナー粒子に対して行い、測定対象の複数のトナー粒子それぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求める。求められる平均値を、トナー粒子が備えるシェル層の膜厚とする。
シェル層が薄過ぎる場合、TEM撮影像上でシェル層とトナーコアとの界面が不明瞭であるため、シェル層の厚さの測定が困難である場合がある。このような場合、TEM撮影と電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中に、シェル層に特徴的な元素(例えば、窒素)のマッピングを行い、シェル層とトナーコアとの界面を明確化して、シェル層の厚さを計測すればよい。
<3.外添剤>
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、表面に外添剤を有していてもよい。つまり、必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。以下、外添剤により処理される前のトナー粒子を、「トナー母粒子」と記載する場合がある。
外添剤としては、シリカ、又は金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)が好ましい。
外添剤の数平均粒子径は、1nm以上1μm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であることがより好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<4.キャリア>
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
好適なキャリアの例としては、キャリアコアが樹脂で被覆されたキャリアが挙げられる。キャリアコアの具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトの粒子;これらの材料と金属(例えば、マンガン、亜鉛、及び/又はアルミニウム)との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金の粒子;セラミックス(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、及び/又はニオブ酸リチウム)の粒子;及び、高誘電率物質(例えば、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、及び/又はロッシェル塩)の粒子が挙げられる。また、キャリアとして、樹脂中に上述の粒子(磁性粒子)を分散させた樹脂キャリアを用いてもよい。
キャリアコアを被覆する樹脂の例としては、アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
電子顕微鏡により測定されるキャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
トナーを2成分現像剤において用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
<5.被覆率>
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子において、シェル層によるトナーコアの被覆率は、10.0%以上30.0%以下である。被覆率が高過ぎると、記録媒体へのトナーの低温定着性が低下する傾向にある。更に、トナーを記録媒体へ定着する際に、トナーコアの成分が染み出しにくくなり、形成される画像の彩度が低下する傾向にある。一方、被覆率が低過ぎると、高温でトナーを保存する際に、トナーコアの成分が染み出し易くなり、耐熱保存性が低下する傾向にある。
シェル層によるトナーコアの被覆率は、以下のようにして測定することができる。トナー母粒子(外添剤を付着させる前のトナー粒子)を、四酸化ルテニウム溶液上に静置する。これにより、トナー母粒子をルテニウム蒸気雰囲気に暴露する。ルテニウムにより染色されたトナー母粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて、例えば、50000倍の倍率で観察する。これにより、トナー母粒子の反射電子像を得る。得られた反射電子像を構成する画素は、各々、0以上255以下の輝度値を示す。画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、反射電子像に対して輝度値144を基準とした2値化処理を行う。シェル層によりトナーコアの表面が被覆されている領域は、ルテニウムに染色され易く、144以上の輝度値を示し易いためである。また、シェル層によりトナーコアの表面が被覆されていない領域は、144未満の輝度値を示し易いためである。2値化処理により、トナー母粒子(外添剤を付着させる前のトナー粒子)の反射電子像全体の面積(A)(全画素数に相当)、及び反射電子像において輝度値が144以上である領域の面積(A144)(輝度値が144以上である画素数に相当)を算出する。算出された面積(A)、及び面積(A144)に基づき、下記式1に従って、シェル層によるトナーコアの被覆率を算出することができる。
(被覆率[%])=100×(輝度値が144以上である領域の面積(A144))/(全体の面積(A)) (式1)
つまり、シェル層によるトナーコアの被覆率は、トナー粒子の反射電子像の面積(A)に対する、トナー粒子の反射電子像における輝度値が144以上である領域の面積(A144)の百分率を意味する。
<6.彩度維持率>
本実施形態のトナーは、70.0%以上の彩度維持率を有することが好ましい。彩度維持率とは、トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2である場合にトナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C100%)に対する、トナーの記録媒体への載せ量が0.2mg/cm2である場合にトナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C50%)の百分率を意味する。彩度維持率は、トナーの記録媒体への載せ量が減少した場合であっても、形成される画像の彩度(C)を維持できるか否かの指標となる。ここで、彩度(C)は、CIE LCh色空間における彩度(C)を意味する。
彩度維持率は、以下のようにして測定することができる。彩度維持率を測定するための定着画像は、例えば、プリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5200DN」)を用いて形成することができる。トナーをキャリアと混合して2成分現像剤を得る。得られた2成分現像剤を、プリンターの現像装置に投入する。プリンターのバイアスを、トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2となるように調製する。所定の条件(例えば、線速200mm/秒)で記録媒体を搬送しながら、記録媒体に未定着のソリッド画像を形成する。続けて、未定着のソリッド画像を形成した記録媒体を定着器に通して、所定の条件(例えば、定着温度150℃)で未定着のソリッド画像を定着させる。得られた定着ソリッド画像について、マクベス反射濃度計(例えば、サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye」)を用いて、CIE 1976(L*、a*、b*)色空間におけるa*値及びb*値を測定する。測定されたa*値及びb*値に基づき、下記式2に従って、彩度(C)を算出する。算出された彩度(C)を、トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2である場合にトナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C100%)とする。
Figure 0006217623
次に、プリンターのバイアスを、トナーの載せ量が0.2mg/cm2になるように調節する。上述の画像形成と同様の方法で、定着ソリッド画像を得る。得られた定着ソリッド画像について、マクベス反射濃度計(例えば、サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye」)を用いて、CIE 1976(L*、a*、b*)色空間におけるa*値及びb*値を測定する。測定されたa*値及びb*値に基づき、式2に従って、彩度(C)を算出する。算出された彩度(C)を、トナーの記録媒体への載せ量が0.2mg/cm2である場合にトナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C50%)とする。
算出された彩度(C100%)及び彩度(C50%)に基づき、下記式3に従って、彩度維持率を算出することができる。
(彩度維持率[%])=100×(彩度(C50%))/(彩度(C100%)) (式3)
<7.トナーの製造方法>
以下、本実施形態のトナーがカプセルトナーである場合の好適な製造方法について説明する。詳しくは、トナーコアの製造方法と、シェル層の形成方法とについて説明する。
<7−1.トナーコアの製造方法>
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、及び任意成分(例えば、離型剤、及び/又は磁性粉)を良好に分散させることができる方法が好ましい。トナーコアの製造方法としては、例えば、凝集法又は粉砕法が好ましく、粉砕法がより好ましい。凝集法は、粉砕法よりも、球形度の高いトナーコアを製造し易い。凝集法は、均一な形状及び粒子径を有するトナーコアを製造し易い。粉砕法は、凝集法よりも簡単にトナーコアを製造できる。本実施形態のトナーでは、シェル層に熱硬化性樹脂が含有されるため、シェル層形成工程においてシェル層の材料が加熱されて硬化する際に、トナーコアが軟化しながら表面張力によって収縮する傾向がある。そして、トナーコアが収縮すると、トナーコアの球形度が高くなる。このため、熱硬化性樹脂を含むシェル層を有するトナー粒子を製造する場合には、粉砕法を用いてトナーコアを製造しても、シェル層形成工程においてトナーコアの球形度を高めることで、球形度の高いトナー粒子を製造することができると考えられる。
以下、粉砕法の一例について説明する。まず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び任意成分(例えば、離型剤、及び/又は磁性粉)を混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
以下、凝集法の一例について説明する。まず、結着樹脂の微粒子、着色剤の微粒子、電荷制御剤の微粒子、及び任意成分(例えば、離型剤、及び/又は磁性粉)の微粒子を、水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得る。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。その結果、トナーコアを含む水性分散液が得られる。その後、水性分散液から分散剤のような成分を除去することで、トナーコアが得られる。
<7−2.シェル層の形成方法>
シェル層の形成は、水のような水性媒体中で行われることが好ましい。シェル層の形成に用いる溶媒に対する結着樹脂の溶解を抑制するため、及びトナーコアに含まれる離型剤のような成分の溶出を抑制するためである。
シェル層の形成は、シェル層を形成するための材料を含む水性媒体の溶液(又は分散液)に、トナーコアを添加することにより行われる。水性媒体の溶液(又は分散液)中にトナーコアを良好に分散させるためには、分散液を強力に攪拌できる装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスミックス」)を用いてトナーコアを機械的に分散させることが好ましい。
水性媒体の溶液(又は分散液)のpHは、トナーコアを添加する前に、酸性物質を用いて4程度に調整されることが好ましい。分散液のpHを酸性側に調整することで、シェル層を形成するための材料の重縮合反応が促進される。
必要に応じて水性媒体の溶液(又は分散液)のpHを調整した後、水性媒体中で、シェル層を形成するための材料とトナーコアとを混合する。その後、例えば水性媒体の溶液(又は分散液)を加熱して、水性媒体中で、トナーコアの表面におけるシェル層を形成するための材料間の反応を進行させて、トナーコアの表面を被覆するようにシェル層を形成する。
トナーコアの表面でシェル層を形成する際の温度は、シェル層の形成が良好に進行するために、40℃以上95℃以下であることが好ましい。
シェル層を形成した後、シェル層で被覆されたトナーコアを含む水性媒体を常温まで冷却して、トナー母粒子の分散液を得る。その後、トナー母粒子の分散液を固液分離(例えば、濾過)し、得られたトナー母粒子を洗浄する工程(洗浄工程)と、洗浄されたトナー母粒子を乾燥する工程(乾燥工程)と、乾燥したトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる工程(外添工程)とを経て、トナーを製造することができる。
濾過液の導電率は、10μS/cm以下であることが好ましい。導電率の測定には、例えば、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計「Horiba COND METER ES−51」を用いることができる。
洗浄工程では、トナー母粒子を水を用いて洗浄する。洗浄方法の好適な例としては、トナー母粒子を含む分散液から、固液分離によりウエットケーキ状のトナー母粒子を回収し、得られたウエットケーキ状のトナー母粒子を、水を用いて洗浄する方法が挙げられる。洗浄方法の別の好適な例としては、分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
乾燥工程では、トナー母粒子を乾燥させる。トナー母粒子を乾燥させる方法の好適な例としては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するため、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、乾燥工程と後述の外添工程とを同時に行うことができる。具体的には、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
外添工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる方法の好適な例としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
なお、トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば、水性媒体にシェル層の材料を溶解又は分散させる工程よりも前に、水性媒体中にトナーコアを添加する工程を行うようにしてもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
以上、本実施形態の静電潜像現像用トナーについて説明した。本実施形態のトナーは低温定着性、耐低温オフセット性、及び耐熱保存性に優れ、トナーの記録媒体への載せ量が少ない場合であっても高い彩度を有する画像を得ることができる。このため、本実施形態の静電潜像現像用トナーは、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.トナー(A−1)の調製>
以下に示す方法によって、静電潜像現像用トナーであるトナー(A−1)を調製した。
<1−1.トナーコアの調製>
低粘度ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg):38℃、軟化点(Tm):65℃)65質量部、中粘度ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg):53℃、軟化点(Tm):84℃)9質量部、高粘度ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg):71℃、軟化点(Tm):120℃)12質量部、離形剤(カルナウバワックス、株式会社加藤洋行製「カルナウバ1号」)5質量部、着色剤(フタロシアニンブルー、DIC株式会社製「KET BLUE111」)8質量部、及び電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)1.0質量部(トナーコアの質量に対して1.0質量%)を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、2400rpmの速度で混合した。得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料投入速度5kg/時、軸回転数160rpm、及び設定温度範囲80℃以上130℃以下の条件で、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却した。冷却された溶融混錬物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。次いで、粗粉砕品をジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)で微粉砕した。得られた微粉砕品をエルボージェット(日鉄工業株式会社製「EJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、トナーコアが得られた。
<1−2.疎水性熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液の調製>
温度計、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水875mL、及びアニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、花王株式会社製「ラテムルWX」)75mLを加えた。続いて、ウォーターバスを用いてフラスコの内温を80℃に昇温した。その後、スチレン17mLとアクリル酸ブチル3mLとの混合液を、反応容器に5時間滴下した。また、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶解させた溶液を、上述の混合液の滴下と同時に且つ別々に、反応容器に5時間滴下した。フラスコの内温を80℃で更に2時間保持して、共重合反応を完結させた。これにより、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(疎水性熱可塑性樹脂)の微粒子懸濁液(A)を得た。
得られた微粒子懸濁液(A)中の粒子を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、粒子の体積中位径(D50)は32nmであった。また、微粒子懸濁液(A)中の粒子のガラス転移点(Tg)を、示差走査型熱量計を用いて測定したところ、71℃であった。
<1−3.シェル層の形成>
温度計、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを加え、ウォーターバスを用いてフラスコの内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pHを調整した後、メチロールメラミン水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)0.35mL、及びスチレン−アクリル酸ブチル共重合体(疎水性熱可塑性樹脂)の微粒子懸濁液(A)15.00mLを、シェル層の原料としてフラスコ内に加えた。メチロールメラミン水溶液と微粒子懸濁液(A)とを水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(B)を得た。水溶液(B)に、上述のようにして得られたトナーコア300gを添加した。フラスコの内容物を、200rpmの速度で1時間攪拌した。次いで、フラスコ内にイオン交換水300mLを加えた。その後、フラスコの内容物を100rpmの速度で攪拌しながら、フラスコの内温を1℃/分の速度で70℃まで上げた。昇温後、フラスコの内容物を、70℃、100rpmの速度で2時間攪拌し続けた。その後、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内容物を、常温まで冷却して、トナー母粒子(シェル層で被覆されたトナーコア)を含む分散液(C)を得た。
<1−4.洗浄工程>
得られたトナー母粒子を含む分散液(C)をブフナー漏斗で濾過し、トナー母粒子のウエットケーキを得た。次いで、トナー母粒子のウエットケーキをイオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による洗浄操作を、同様の方法で5回繰り返した。
<1−5.乾燥工程>
洗浄したトナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させることにより、トナー母粒子を含むスラリーを得た。得られたスラリーを、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給した。乾燥条件を、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分に設定した。これにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。
<1−6.外添工程>
乾燥させたトナー母粒子100質量部、及び乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1質量部を、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合した。これにより、外添剤をトナー母粒子の表面に付着させた。続いて、外添剤を付着させたトナー母粒子(トナー粒子)を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別し、トナー(A−1)を得た。
<2.シェル層によるトナーコアの被覆状態の評価>
得られたトナー(A−1)に含まれるトナー粒子ついて、以下のような方法でシェル層によるトナーコアの被覆状態を評価した。
乾燥工程で得られたトナー母粒子(外添剤を付着させる前のトナー粒子)を、0.5質量%の四酸化ルテニウム溶液2mL上に5分間静置した。これにより、トナー母粒子をルテニウム蒸気雰囲気に暴露した。その結果、ルテニウムにより染色されたトナー母粒子が得られた。得られたルテニウムにより染色されたトナー母粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて50000倍の倍率で観察し、反射電子像を得た。得られた反射電子像を構成する画素は、各々、0以上255以下の輝度値を有していた。画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、反射電子像に対して輝度値144を基準とした2値化処理を行った。2値化処理により、トナー母粒子(外添剤を付着させる前のトナー粒子)の反射電子像全体の面積(A)(全画素数に相当)、及び反射電子像において輝度値が144以上である領域の面積(A144)(輝度値が144以上である画素数に相当)を算出した。算出された面積(A)、及び面積(A144)に基づき、下記式1に従って、シェル層によるトナーコアの被覆率を算出した。
(被覆率[%])=100×(輝度値が144以上である領域の面積(A144))/(全体の面積(A)) (式1)
その結果、トナー(A−1)に含まれるトナー粒子について、シェル層によるトナーコアの被覆率は25.2%であった。
<3.低温定着性及び耐低温オフセット性の評価>
低温定着性、及び耐低温オフセット性は、以下の方法で評価した。まず、予備試験を行った。予備試験では、後述の画像形成方法によって定着ソリッド画像を得、得られた定着ソリッド画像に対して、目視観察、ルーペ観察、及び折り擦り試験を行った。次に、評価試験を行った。評価試験では、後述の画像形成方法によって定着ソリッド画像を得、得られた定着ソリッド画像に対して、ルーペ観察、及び折り擦り試験を行った。まず、画像形成方法、ルーペ観察、及び折り擦り試験を説明し、続いて、予備試験、及び評価試験を説明する。
(画像形成方法)
低温定着性、及び耐低温オフセット性を評価するための画像を、以下の方法で形成した。プリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5200DN」)を、定着温度、及びトナーの記録媒体への載せ量を調節できるように改造して、評価機として用いた。
得られたトナー(A−1)8質量部と、フェライトキャリア100質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を得た。得られた2成分現像剤を、シアン色用の現像装置に投入した。評価機のバイアスを、トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2となるように調整した。評価機により線速200mm/秒で記録媒体(90g/m2の記録紙)を搬送しながら、記録紙に未定着のソリッド画像(シアン単色)を形成した。続けて、未定着のソリッド画像を形成した記録紙を定着器に通して、未定着のソリッド画像を定着させ、定着ソリッド画像を得た。
(ルーペ観察)
得られた定着ソリッド画像の画像中央部及び画像の端4点について、拡大倍率10倍のルーペを用いて、微小な低温オフセットの有無を観察した。微小な低温オフセットの有無に基づき、下記基準に従って、トナーの耐低温オフセット性(微小な低温オフセットの発生の有無、つまりトナーの記録媒体への結着性)を一次評価した。
A:微小なオフセットが全く観察されない。
B:長辺が0.5mm未満のオフセットが観察される。
C:長辺が0.5mm以上のオフセットが観察される。
(折り擦り試験)
ソリッド画像を定着させた記録紙を、画像を形成した面が内側となるように半分に折り曲げた。布帛で覆った1kgの分銅を用いて、記録紙の折り目上を10往復摩擦した。次いで、記録紙を広げ、トナーの剥がれを観察した。観察された記録紙の折り曲げ部のトナーの剥がれが1mm以下である場合を合格と判定した。トナーの剥がれが1mmを超える場合を不合格と判定した。トナーの剥がれが合格と判定される最低の定着温度を、最低定着温度とした。得られた最低定着温度に基づき、下記基準に従って、トナーの低温定着性を評価した。
特に良好(◎):最低定着温度が130℃未満である。
良好(○):最低定着温度が130℃以上135℃以下である。
不良(×):最低定着温度が135℃超である。
(予備試験)
予備試験は以下のように行った。具体的には、上述の画像形成方法を用いて、定着温度を90℃以上200℃以下の範囲で5℃ずつ上昇させながら、各定着温度で定着ソリッド画像(評価対象)を得た。得られた定着ソリッド画像を目視で確認し、低温オフセットの発生の有無を確認した。目視で低温オフセットの発生が確認された定着ソリッド画像を、評価対象から除外した。
例えば、90℃以上115℃以下の定着温度で形成された各定着ソリッド画像では低温オフセットの発生が目視確認され、120℃以上200℃以下の定着温度で形成された各定着ソリッド画像では低温オフセットの発生が目視確認されなかったと仮定する。この場合、90℃以上115℃以下の定着温度で形成された各定着ソリッド画像を、評価対象から除外する。
次に、目視で低温オフセットの発生が確認されなかった定着ソリッド画像に対して、参考のために、上述のルーペ観察、及び上述の折り擦り試験を行った。折り擦り試験で得られた評価結果に基づき、後述の評価試験で設定する定着温度を決定した。具体的には、折り擦り試験で合格(トナーの剥がれが1mm以下)と判定された最低の定着温度を、予備試験での最低定着温度とした。そして、予備試験での最低定着温度よりも4℃低い温度、3℃低い温度、2℃低い温度、及び1℃低い温度を、後述の評価試験で設定する定着温度に決定した。
例えば、定着温度が120℃以上200℃以下で形成された各定着ソリッド画像に低温オフセットの発生が目視確認されず、これらの定着ソリッド画像に折り擦り試験を行うと仮定する。折り擦り試験の結果、定着温度が120℃以上125℃以下で形成された定着ソリッド画像では、トナーの剥がれが1mmを超えており、定着温度が130℃以上200℃以下で形成された定着ソリッド画像では、トナーの剥がれが1mm以下であったとする。この場合、折り擦り試験で合格(トナーの剥がれが1mm以下)と判定された最低の定着温度(予備試験での最低定着温度)は、130℃となる。そして、130℃より4℃低い温度(126℃)、3℃低い温度(127℃)、2℃低い温度(128℃)、及び1℃低い温度(129℃)を、後述の評価試験で設定する定着温度に決定する。
(評価試験)
上述の予備試験の評価結果に基づき決定された4つの定着温度に設定し、上述の画像形成方法を用いて、各定着温度で定着ソリッド画像(4つの定着画像)を得た。得られた各定着ソリッド画像について、上述のルーペ観察、及び上述の折り擦り試験を行った。
ルーペ観察で得られたトナーの耐低温オフセット性の一次評価(A〜C評価)に基づき、下記基準に従って、トナーの耐低温オフセット性(微小な低温オフセットの発生の有無、つまりトナーの記録媒体への結着性)を評価した。なお、評価基準における最低定着温度は、折り擦り試験で得られた最低定着温度である。
良好(○):4つの定着画像が何れもA評価であった。又は、4つの定着画像のうち最低定着温度以上の温度で定着された画像が何れもA評価であった。
普通(△):4つの定着画像のうち最低定着温度以上の温度で定着された画像にB評価が1つ以上あったが、C評価はなかった。
不良(×):4つの定着画像のうち最低定着温度以上の温度で定着された画像にC評価が1つ以上あった。
また、各定着温度の定着ソリッド画像(4つの定着画像)に対する折り擦り試験の結果から、トナー(A−1)の最低定着温度を求め、低温定着性を評価した。
その結果、トナー(A−1)を含む2成分現像剤を用いて形成された定着ソリッド画像では、耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。また、トナー(A−1)の最低定着温度は122℃であり、低温定着性の評価は特に良好(◎)であった。
<4.彩度維持特性の評価>
トナー(A−1)を用いて、低温定着性の評価と同様の方法で、2成分現像剤を得た。得られた2成分現像剤を用いて、定着温度を上昇させずに150℃に設定した以外は、低温定着性の評価と同様の方法(トナーの記録媒体への載せ量:0.4mg/cm2)で、定着ソリッド画像を得た。得られた定着ソリッド画像について、マクベス反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye」)を用いて、CIE 1976(L*、a*、b*)色空間におけるa*値及びb*値を測定した。測定されたa*値及びb*値に基づき、下記式2に従って、彩度(C)を算出した。算出された彩度(C)を、トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2である場合にトナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C100%)とした。
Figure 0006217623
次に、トナーの載せ量が0.2mg/cm2になるように調節したこと、及び定着温度を上昇させずに150℃に設定したこと以外は、低温定着性の評価と同様の方法で、定着ソリッド画像を得た。得られた定着ソリッド画像について、マクベス反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye」)を用いて、CIE 1976(L*、a*、b*)色空間におけるa*値及びb*値を測定した。測定されたa*値及びb*値に基づき、式2に従って、彩度(C)を算出した。算出された彩度(C)を、トナーの記録媒体への載せ量が0.2mg/cm2である場合にトナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C50%)とした。
算出された彩度(C100%)及び彩度(C50%)に基づき、下記式3に従って、彩度維持率を算出した。
(彩度維持率[%])=100×(彩度(C50%))/(彩度(C100%)) (式3)
次に、算出された彩度維持率に基づき、下記基準に従って、トナーの彩度維持特性を評価した。
特に良好(◎):彩度維持率が75%以上である。
良好(○):彩度維持率が70%以上75%未満である。
不良(×):彩度維持率が70%未満である。
その結果、トナー(A−1)を含む2成分現像剤を用いて形成された定着ソリッド画像では、彩度(C100%)が60.6であり、彩度(C50%)が48.1であり、彩度維持率が79.4%であった。
<5.耐熱保存性の評価>
トナー(A−1)について、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。トナー(A−1)2gを容量20mLのポリ容器に秤量した。ポリ容器を、温度を60℃に設定した恒温器内に3時間静置して、耐熱保存性評価用のトナーを得た。得られた耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、100メッシュ(目開き150μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量、及び篩別後に篩上に残留したトナーの質量に基づき、下記式4に従ってトナーの凝集度(質量%)を算出した。
(凝集度[質量%])=100×(篩別後に篩上に残留したトナーの質量)/(篩別前のトナーの質量) (式4)
算出された凝集度に基づき、下記基準に従ってトナーの耐熱保存性を評価した。
特に良好(◎):凝集度が40%未満である。
良好(○):凝集度が40%以上であり50%以下である。
不良(×):凝集度が50%超である。
その結果、トナー(A−1)の凝集度は26質量%であり、耐熱保存性の評価は特に良好(◎)であった。
<6.トナー(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−10)の調製と評価>
以下に示す方法によって、静電潜像現像用トナーであるトナー(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−10)を調製した。なお、これらのトナーの調製において、電荷制御剤の添加量を、トナー(A−1)の調製における添加量から変更した場合には、トナー(A−1)の調製における添加量との差(変化量)に相当する量だけポリエステル樹脂(低粘度、中粘度、及び高粘度ポリエステル樹脂)の添加量を増減させた。ポリエステル樹脂の添加量を増減させる場合には、低粘度ポリエステル樹脂の総ポリエステル樹脂に対する比率、中粘度ポリエステル樹脂の総ポリエステル樹脂に対する比率、及び高粘度ポリエステル樹脂の総ポリエステル樹脂に対する比率が、トナー(A−1)の調製における各比率と同じになるように留意した。
得られたトナー(A−2)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−10)について、トナー(A−1)の上述の評価方法と同様の方法で、シェル層によるトナーコアの被覆状態、低温定着性、彩度維持特性、及び耐熱保存性を評価した。
[トナー(A−2)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−2)を得た。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.10mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから10.00mLに変更した。得られたトナー(A−2)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は23.8%であった。最低定着温度は118℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.1、彩度(C50%)は42.9、彩度維持率は71.4%であった。凝集度は48質量%であった。
[トナー(A−3)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−3)を得た。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.60mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから30.00mLに変更した。得られたトナー(A−3)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は25.5%であった。最低定着温度は127℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.5、彩度(C50%)は47.7、彩度維持率は80.2%であった。凝集度は6質量%であった。
[トナー(A−4)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−4)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更した。得られたトナー(A−4)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は26.6%であった。最低定着温度は124℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.4、彩度(C50%)は47.1、彩度維持率は78.0%であった。凝集度は24質量%であった。
[トナー(A−5)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−5)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更した。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.10mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから10.00mLに変更した。得られたトナー(A−5)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は25.1%であった。最低定着温度は117℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.1、彩度(C50%)は42.9、彩度維持率は71.4%であった。凝集度は40質量%であった。
[トナー(A−6)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−6)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更した。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.60mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから30.00mLに変更した。得られたトナー(A−6)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は28.3%であった。最低定着温度は130℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.9、彩度(C50%)は46.5、彩度維持率は77.6%であった。凝集度は7質量%であった。
[トナー(A−7)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−7)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更した。得られたトナー(A−7)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は16.6%であった。最低定着温度は121℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.3、彩度(C50%)は47.9、彩度維持率は79.5%であった。凝集度は37質量%であった。
[トナー(A−8)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−8)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更した。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.10mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから10.00mLに変更した。得られたトナー(A−8)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は14.3%であった。最低定着温度は118℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.8、彩度(C50%)は43.1、彩度維持率は72.1%であった。凝集度は48質量%であった。
[トナー(A−9)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−9)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更した。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.60mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから30.00mLに変更した。得られたトナー(A−9)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は17.0%であった。最低定着温度は125℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.1、彩度(C50%)は47.6、彩度維持率は80.5%であった。凝集度は17質量%であった。
[トナー(B−1)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−1)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)を添加しなかった。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.10mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから10.00mLに変更した。得られたトナー(B−1)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は33.2%であった。最低定着温度は119℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.7、彩度(C50%)は40.1、彩度維持率は66.1%であった。凝集度は43質量%であった。
[トナー(B−2)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−2)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)を添加しなかった。得られたトナー(B−2)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は40.1%であった。最低定着温度は124℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.3、彩度(C50%)は41.1、彩度維持率は68.2%であった。凝集度は20質量%であった。
[トナー(B−3)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−3)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)を添加しなかった。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.60mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから30.00mLに変更した。得られたトナー(B−3)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は44.3%であった。最低定着温度は134℃であった。耐低温オフセット性の評価は普通(△)であった。彩度(C100%)は60.1、彩度(C50%)は41.3、彩度維持率は68.7%であった。凝集度は6質量%であった。
[トナー(B−4)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−4)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から5.0質量部(トナーコアの質量に対して5.0質量%)に変更した。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.10mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから10.00mLに変更した。得られたトナー(B−4)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は8.2%であった。最低定着温度は116℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.4、彩度(C50%)は48.1、彩度維持率は79.6%であった。凝集度は72質量%であった。
[トナー(B−5)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−5)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から5.0質量部(トナーコアの質量に対して5.0質量%)に変更した。得られたトナー(B−5)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は8.5%であった。最低定着温度は115℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.9、彩度(C50%)は46.7、彩度維持率は81.6%であった。凝集度は69質量%であった。
[トナー(B−6)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−6)を得た。トナーコアの調製において、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量を1.0質量部から5.0質量部(トナーコアの質量に対して5.0質量%)に変更した。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから0.60mLに変更した。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから30.00mLに変更した。得られたトナー(B−6)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は8.9%であった。最低定着温度は116℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.4、彩度(C50%)は48.7、彩度維持率は82.0%であった。凝集度は63質量%であった。
[トナー(B−7)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−7)を得た。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液を添加しなかった。得られたトナー(B−7)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は22.9%であった。最低定着温度は121℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.5、彩度(C50%)は41.7、彩度維持率は68.9%であった。凝集度は51質量%であった。
[トナー(B−8)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−8)を得た。シェル層の形成において、メチロールメラミン水溶液の添加量を0.35mLから1.20mLに変更した。得られたトナー(B−8)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は33.9%であった。最低定着温度は149℃であった。耐低温オフセット性の評価は不良(×)であった。彩度(C100%)は59.1、彩度(C50%)は46.7、彩度維持率は79.0%であった。凝集度は9質量%であった。
[トナー(B−9)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−9)を得た。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)の添加量を15.00mLから50.00mLに変更した。得られたトナー(B−9)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は32.8%であった。最低定着温度は144℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は59.4、彩度(C50%)は48.0、彩度維持率は80.8%であった。凝集度は8質量%であった。
[トナー(B−10)]
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(B−10)を得た。シェル層の形成において、熱可塑性樹脂の微粒子懸濁液(A)を添加しなかった。得られたトナー(B−10)の評価結果は以下の通りであった。シェル層によるトナーコアの被覆率は19.0%であった。最低定着温度は114℃であった。耐低温オフセット性の評価は良好(○)であった。彩度(C100%)は60.7、彩度(C50%)は46.9、彩度維持率は77.3%であった。凝集度は88質量%であった。
トナー(A−1)〜(A−9)及び(B−1)〜(B−10)について、メチロールメラミン水溶液の添加量、微粒子懸濁液(A)の添加量、電荷制御剤(オリエント化学工業株式会社製「P−51」)の添加量、及びシェル層によるトナーコアの被覆率を、表1にまとめて示す。また、これらのトナーについて、最低定着温度、低温定着性の評価、耐低温オフセット性の評価、彩度維持率、彩度維持特性の評価、凝集度、及び耐熱保存性の評価を、表2にまとめて示す。
Figure 0006217623
Figure 0006217623
表1及び表2に示すように、トナー(A−1)〜(A−9)は、低温定着性、耐低温オフセット性、及び耐熱保存性の何れにも優れていた。更にトナー(A−1)〜(A−9)は、彩度維持特性にも優れていた。そのため、これらのトナーは、トナーの記録媒体への載せ量が減少した場合であっても高い彩度を有する画像を形成することができると考えられる。
トナー(B−1)〜(B−3)では、トナーコアの調製において、電荷制御剤が含有されなかった。また、シェル層によるトナーコアの被覆率が30.0%を超えていた。そのため、トナー(B−1)〜(B−3)は、彩度維持特性に劣った。
トナー(B−4)〜(B−6)では、シェル層によるトナーコアの被覆率が10.0%未満であった。そのため、トナー(B−4)〜(B−6)は、耐熱保存性に劣った。
トナー(B−7)では、シェル層の形成においてメチロールメラミン水溶液が添加されなかった。そのため、シェル層に熱硬化性樹脂が含有されなかった。その結果、トナー(B−7)は、彩度維持特性、及び耐熱保存性に劣った。
トナー(B−8)及び(B−9)では、シェル層によるトナーコアの被覆率が30.0%を超えていた。そのため、(B−8)及び(B−9)は、低温定着性に劣った。
トナー(B−10)では、シェル層の形成において微粒子懸濁液(A)が添加されなかった。そのため、シェル層に熱可塑性樹脂が含有されなかった。その結果、トナー(B−10)は、耐熱保存性に劣った。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機又はプリンターのような画像形成装置において画像を形成するために用いることができる。

Claims (6)

  1. 複数のトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
    前記複数のトナー粒子は、トナーコア、及び前記トナーコアを被覆するシェル層を有し、
    前記トナーコアは、結着樹脂、着色剤、及び電荷制御剤を含み、
    前記シェル層は、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂を含み、
    前記熱硬化性樹脂が、前記電荷制御剤と同極性の帯電性を有し、
    前記シェル層による前記トナーコアの被覆率が、10.0%以上30.0%以下である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記電荷制御剤が、正極性の帯電性を有し、
    前記熱硬化性樹脂が、正極性の帯電性を有する、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記電荷制御剤が、正極性の帯電性を有し、
    前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記トナーコアが、ワックスを更に含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記静電潜像現像用トナーの彩度維持率が、70.0%以上であり、
    前記彩度維持率が、前記トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2である場合に前記トナーを前記記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C100%)に対する、前記トナーの記録媒体への載せ量が0.2mg/cm2である場合に前記トナーを前記記録媒体上に定着することにより得られる画像の彩度(C50%)の百分率である、請求項1〜4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記被覆率が、前記トナー粒子の反射電子像の面積(A)に対する、前記トナー粒子の前記反射電子像における輝度値が144以上である領域の面積(A144)の百分率であり、
    前記トナー粒子の前記反射電子像が、前記トナー粒子を四酸化ルテニウムを用いて染色し、染色された前記トナー粒子を走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより得られる、請求項1〜5の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
JP2014263261A 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー Expired - Fee Related JP6217623B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014263261A JP6217623B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014263261A JP6217623B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016122146A JP2016122146A (ja) 2016-07-07
JP6217623B2 true JP6217623B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=56328934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014263261A Expired - Fee Related JP6217623B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 静電潜像現像用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6217623B2 (ja)

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62150262A (ja) * 1985-12-24 1987-07-04 Fuji Photo Film Co Ltd カプセルトナ−
JPH05142847A (ja) * 1991-11-15 1993-06-11 Fuji Xerox Co Ltd マイクロカプセルおよびマイクロカプセルトナー並びにそ の製造法
JP2003241436A (ja) * 2002-02-20 2003-08-27 Sharp Corp 電子写真用イエロートナーおよびその製造方法
US7250238B2 (en) * 2003-12-23 2007-07-31 Xerox Corporation Toners and processes thereof
JP2005215501A (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Sharp Corp トナーおよびその製造方法、非磁性一成分現像剤、ならびに画像形成装置
JP5375405B2 (ja) * 2009-07-23 2013-12-25 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤および画像形成装置
JP5419217B2 (ja) * 2009-10-28 2014-02-19 花王株式会社 トナー
JP5879772B2 (ja) * 2011-06-28 2016-03-08 コニカミノルタ株式会社 静電荷現像剤用トナー及びその製造方法
JP5865683B2 (ja) * 2011-11-29 2016-02-17 シャープ株式会社 カプセルトナーの評価方法
JP5869450B2 (ja) * 2012-08-29 2016-02-24 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナーにおけるシェル層のトナーコア粒子からの剥がれにくさの評価方法
JP2014160142A (ja) * 2013-02-19 2014-09-04 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016122146A (ja) 2016-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6038108B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6447488B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP5972237B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6369567B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
US9632442B2 (en) Electrostatic latent image developing toner
JP6269459B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6390534B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6057928B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6547725B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2015049321A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6217623B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6068376B2 (ja) 静電荷像現像用カプセルトナーの製造方法
JP6100711B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6117732B2 (ja) トナー
JP6558335B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2015049250A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6323350B2 (ja) 静電潜像現像用正帯電トナー
JP6248879B2 (ja) トナー
JP6248866B2 (ja) トナー
JP6114211B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6192748B2 (ja) トナー
JP6237555B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2017116644A (ja) 正帯電性トナー
JP2017116793A (ja) 2成分現像剤
JP6046690B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6217623

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees