本発明の実施の一形態であるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、体積平均粒径が6μm以上、9μm以下であり、粒径15.0μm以上のトナー粒子を2.0体積%以下含有し、粒径5.00μm以下のトナー粒子を30個数%以上含有し、かつ粒径3.00μm以下のトナー粒子を10個数%以下含有する。
本実施の形態のトナーは、このような特定の粒径分布を有するので、非磁性一成分現像剤として用いられた場合の現像装置内での帯電安定性、現像ブレードへの耐融着性、ならびに現像ローラおよび感光体などの記録媒体上への耐フィルミング性に優れる。したがって、本実施の形態のトナーを非磁性一成分現像剤として用いることによって、ライフを通じてトナーの帯電性が維持されるとともに、トナーの現像ブレードへの融着、ならびに現像ローラおよび感光体などの記録媒体上へのフィルミングが抑えられる。
また本実施の形態のトナーは、少ないトナー量で、濃度が高く、均質で鮮明な画像を形成することができる。現像剤充填部を低容量化およびロングライフ化し、画像形成装置の小型化を実現するためには、一回の画像形成に使用するトナー量を少なくすることが好ましい。また形成画像の高画質化を実現するためには、形成画像のトナー層の厚みを薄くすることが好ましい。したがって、画像形成装置の小型化および形成画像の高画質化を実現するためには、現像によって記録媒体上に形成され、転写媒体上に転写される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量を、0.5mg/cm2以下にすることが望ましい。しかしながら、従来のトナーを用いて0.5mg/cm2以下という少ないトナー量で画像を形成すると、充分な発色および画像濃度を得ることができず、またトナーが転写媒体上の画像領域を充分に覆うことができず、彩度が低下する。これに対し、本実施の形態のトナーは、前述の特定の粒径分布を有するので、前記トナー付着量を0.5mg/cm2以下と少なくしても、濃度が高く、均質で鮮明な画像を形成することができる。
以下に、本実施の形態のトナーにおける設計上の各範囲限定理由について説明する。
トナー中における粒径3.00μm以下のトナー粒子の含有量が10個数%を超えると、非磁性一成分現像剤として用いられた場合に、現像ブレードへの融着、ならびに現像ローラおよび感光体などの記録媒体上へのフィルミングを発生する。また粒径3.00μm以下のトナー粒子は、現像ブレードまたは現像ローラで充分に帯電させることが困難であるので、トナー中における粒径3.00μm以下のトナー粒子の含有量が10個数%を超えると、帯電安定性が低下し、トナー飛散を引起こしやすくなり、飛散したトナーによる画像のかぶりが生じやすくなる。したがって、トナー中における粒径3.00μm以下のトナー粒子の含有量を、10個数%以下とした。
このように、トナー中における粒径3.00μm以下のトナー粒子の含有量を10個数%以下とするために、トナー製造時における微粉側カットを行なう分級を厳しく設定したり、単にトナーの平均粒径を大きくしたりすると、所望の画像濃度を達成するために多くのトナー量を要する、画像解像度が低下するなどの問題が生じる。したがって、トナー粒子の体積平均粒径を6μm以上、9μm以下とし、かつ粒径15.0μm以上のトナー粒子の含有量を2.0体積%以下とし、粒径5.00μm以下のトナー粒子の含有量を30個数%以上とした。
体積平均粒径が6μm未満であると、画像解像度は充分に得られるけれども、トナー製造時に前述の粒径分布を得るための条件が厳しく、収率が大幅に低下するので、製造原価が高くなる。一方、体積平均粒径が9μmを超えると、画像解像度が低下するとともに、転写媒体へのトナー付着量を前述のように0.5mg/cm2以下として少ないトナー量で画像を形成する場合に、転写媒体上の画像領域を充分に被覆することができず、画像濃度が不足する。また着色剤として有彩色の着色剤を用いたカラートナーの場合には、大幅な彩度の低下も生じる。したがって、体積平均粒径を、6μm以上、9μm以下とした。
また、トナー中における粒径15.0μm以上のトナー粒子の含有量が2.0体積%を超えると、体積平均粒径が9μmを超える場合と同様に、画像解像度が低下するとともに、画像ムラ等を引き起こす原因となり望ましくない。したがって、トナー中における粒径15.0μm以上のトナー粒子の含有量を、2.0体積%以下とした。
また、トナー中における粒径5.00μm以下のトナー粒子の含有量が30個数%未満であると、形成画像の解像度および濃度が低下する。またカラートナーの場合には、少ないトナー量で画像を形成した際に、形成画像の彩度が充分に得られないことがあり、中間調の再現が困難となる。したがって、トナー中における粒径5.00μm以下のトナー粒子の含有量を、30個数%以上とした。
結着樹脂には、公知の樹脂を含む広い範囲から選択される樹脂を用いることができ、たとえばポリスチレンおよびポリスチレン−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが用いられる。これらの樹脂は、合成段階から樹脂との相溶性の低い非相溶性物質たとえば結晶性ワックス類などが予め微分散されたものであってもよい。これらの樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が混合されて用いられてもよい。
前述の樹脂の中でも、カラートナーに用いる結着樹脂には、樹脂弾性などの熱的性質および分光透過特性に優れるポリエステル樹脂またはポリエーテルポリオール樹脂が好適に用いられる。また非磁性一成分現像剤として使用されるトナーに用いる結着樹脂には、トナーの透明性、溶融性、耐久性などの性能を満足するべく、重量平均分子量Mwが5000〜30000程度である低分子量成分と重量平均分子量Mwが30000〜100000程度である高分子量成分とを1:9〜9:1程度の割合で混合した樹脂組成物、または充分な溶融性を付与するために数%〜20%程度の結晶性樹脂を含有させた樹脂組成物などを用いることが特に望ましい。
着色剤には、顔料および染料のいずれを用いてもよく、また顔料と染料とを組合せて用いてもよい。しかしながら、顔料を用いることによって、耐候性に優れるトナーが得られ、高品質で品質の安定した画像を形成することができるので、着色剤には顔料を用いることが好ましい。
着色剤の色は、所望の色のトナーが実現されるように、適宜選択される。フルカラーの電子写真画像における各色の再現には、イエロー(Yellow;略称:Y)、マジェンタ
(Magenta;略称:M)およびシアン(Cyan;略称:C)の3色のトナーが用いられ、これらのカラートナーを重ね合わせることによって各色が表現される。ただし、前記3色の混色では黒色の再現が難しいので、黒色の表現には黒色(Black;略称:K)のトナーが用いられる。カラートナーには、各色に対応する有彩色着色剤が用いられ、黒色トナーには黒色着色剤が用いられる。
有彩色着色剤としては、有機顔料が好適に用いられ、具体例としては、カラーインデックス(Color Index;略称:C.I.)ナンバーで分類される以下の顔料を例示することができる。イエロートナーに用いられる着色用イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー17などのビスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー74および97などのモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー93および128などの縮合アゾ顔料、ならびにC.I.ピグメントイエロー180および194などのベンズイミダゾロン顔料などが挙げられる。マジェンタトナーに用いられる着色用マジェンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド122および202などのキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド57などのレーキアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド149、190および224などのペリレン顔料、ならびにC.I.ピグメントレッド184および185などのナフトール−ベンズイミダゾロン顔料などが挙げられる。シアントナーに用いられる着色用シアン顔料としては、公知のフタロシアニン顔料が挙げられ、特にC.I.ピグメントブルー15:3または15:4などの銅フタロシアニン顔料が好適に用いられる。
黒色着色剤としては、公知のものを用いることができ、製法によって分類される種々のカーボンブラックが好適に用いられる。具体例としては、たとえばファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックおよびランプブラックなどを挙げることができる。
トナー組成物中の着色剤の含有量は、5重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。特に、転写媒体へのトナー付着量を前述のように0.5mg/cm2以下として少ないトナー量で画像を形成する場合には、トナー組成物中の着色剤の含有量を前記範囲にすることが好ましい。着色剤の含有量を前記範囲にすることによって、着色力が高く、少ないトナー量で充分な発色を得ることができ、高濃度かつ鮮明な画像を形成することのできるトナーが実現される。また結果としてトナー組成物中の結着樹脂の含有量を充分なものとすることができるので、転写媒体への定着性に優れるトナーが実現される。またカラートナーの場合に、着色剤の含有量を前記範囲にすることによって、発色性に優れ、形成画像の彩度および明度が高く、各色のトナーの重ね合せによる二次色の再現域の広いカラートナーが実現される。
トナー組成物中の着色剤の含有量が5重量%未満であると、充分な画像濃度を得られないことがあり、10重量%を超えると、形成画像の彩度および明度の低下、二次色再現域の低下、溶融する樹脂成分の減少による転写媒体上への定着性の劣化などを引起こし、望ましくない。したがって、トナー組成物中の着色剤の含有量の好適な範囲を、5重量%以上、10重量%以下とした。
トナー組成物中の着色剤の含有量は、一回の画像形成に使用されるトナー量が少ないほど多くすることが望ましい。たとえば、前述の転写媒体へのトナー付着量が0.5mg/cm2の場合には少なくとも5重量%〜7重量%程度の着色剤が含有されることが好ましく、0.4mg/cm2の場合には少なくとも6重量%〜8重量%程度の着色剤が含有されることが好ましく、0.3mg/cm2の場合には少なくとも8重量%〜10重量%程度の着色剤が含有されることが望ましい。
前述のように、転写媒体上に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量は、画像形成装置の小型化および形成画像の高画質化を実現するために、0.5mg/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは0.4mg/cm2以下である。ただし、前記トナー付着量を0.3mg/cm2未満にすると、トナーの粒径および粒径分布、着色剤の含有量、ならびに顔料を用いる場合の顔料の分散状態などによっては、単色ソリッド部画像を形成させる場合に、充分な画像濃度を得られないことがあるので、前記トナー付着量は、0.3mg/cm2以上であることが好ましい。
前述の転写媒体へのトナー付着量は、現像ローラに供給するトナー量を制御することによって調整することができる。具体的には、現像ローラの感光体などの記録媒体と対峙する現像部位におけるトナー付着量を0.4mg/cm2〜0.7mg/cm2に制御することによって、転写媒体へのトナー付着量を前述のように0.5mg/cm2以下にすることができる。
本実施の形態のトナーは、オイルレス定着装置を備える画像形成装置に用いられる場合には、結着樹脂および着色剤に加え、さらに離型剤を含有することが好ましい。ここで、オイルレス定着装置とは、転写媒体上に転写されたトナー画像を、定着部材にオイルなどの離型剤を塗布することなく定着させる定着装置のことである。オイルレス定着装置としては、たとえば定着部材によって熱および圧力を加えてトナー画像の定着を行なうものが挙げられる。トナーに離型剤を含有させることによって、定着部材との離型効果を付与することができ、オイルレス定着装置を備える画像形成装置に用いられた場合のオフセット現象および転写媒体の定着部材への巻きつきを抑えることができる。またカラートナーに離型剤を含有させることによって、オイルレス定着装置を備える画像形成装置に用いられた場合であっても、発色性および光沢感に優れ、均質で鮮明なカラー画像を形成することのできるトナーが実現される。
トナー中に離型剤を含有させる場合、トナー組成物中の離型剤の含有量は、3重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。離型剤の含有量が3重量%未満であると、定着部材との離型効果が充分に得られず、オイルレス定着装置を備える画像形成装置に用いられた場合に、オフセット現象および転写媒体の定着部材への巻きつきなどを引起しやすい。また離型剤の含有量が10重量%を超えると、トナー組成物中で充分な分散状態を得ることができず、トナー製造時に離型剤単体で存在する遊離物が発生し、製造されたトナー粒子の表面に多数の離型剤が露出して存在することになるので、現像ブレードへの融着、ならびに現像ローラおよび感光体などの記録媒体上へのフィルミングを発生しやすく、また高温での保存安定性が低下するなどの不具合も生じる。したがって、トナー組成物中の離型剤の含有量の好適な範囲を、3重量%以上、10重量%以下とした。
離型剤には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの合成ワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、シリコーン系ワックス、高級脂肪酸ワックス、ポリオレフィン系ワックス、低分子重合体ワックスなどのワックス類が好適に用いられる。これらのワックス類は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて用いられてもよい。前述のワックス類の中でも、カラートナーには、充分な溶融特性を付与するために、融点が70℃〜100℃であるものを用いることが好ましい。
本実施の形態のトナーには、結着樹脂、着色剤および離型剤以外に他の添加剤、たとえば帯電制御剤または外添剤などを含んでもよい。帯電制御剤には、公知のものを用いることができるけれども、カラートナーに用いる帯電制御剤には、正帯電性であれば四級アンモニウム塩、負帯電性であればアルキルサリチル酸の金属塩などのように無色のものが用いられることが好ましい。また帯電制御剤には、これらの無機帯電制御剤に限定されることなく、スルホン酸基などのイオン性基を有する樹脂などの有機帯電制御剤を用いてもよい。
外添剤は、流動性調整、帯電調整または表面抵抗調整などを目的として添加される。外添剤は、トナー粒子の表面に付着するように添加されてもよく、その一部がトナー粒子に埋め込まれるように添加されてもよい。外添剤には、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体、チタン酸ストロンチウム微粉体などの無機微粉体が好適に用いられる。これらの無機微粉体は、疎水化または帯電性コントロールを目的として、シリコーンワニス、各種変成シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変成シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物のような処理剤で処理されていることが好ましい。また外添剤には、これらの無機微粉体に限定されることなく、有機微粉体を用いてもよい。有機微粉体としては、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、スチレンなどのビニル重合体樹脂もしくはビニル共重合体樹脂、またはメラニン樹脂などから成る樹脂粒子などが挙げられる。これらの外添剤は、目的に応じて、1種が単独で、または2種以上が混合されて用いられる。
また他の添加剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリンサン亜鉛、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンオイル粒子(約40%のシリカ含有)などの滑剤が好適に用いられる。また現像性向上剤として、トナー粒子と逆極性の白色微粒子を少量用いてもよい。
本実施の形態のトナーには、以上に述べた材料が含有されるけれども、本明細書において、トナー組成物とは、トナー粒子を構成する材料のことであり、トナー粒子として生成された後に添加されるもの、たとえば外添剤などは含まない。すなわち、トナー組成物は、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含み、結着樹脂および着色剤とともに混合されてトナー粒子の一部となる離型剤などの添加剤をも含む。
本実施の形態のトナーは、電子写真法などによる画像形成において、静電潜像などの電気的潜像の現像に好適に用いられる。潜像を現像する際には、本実施の形態のトナーを単独で一成分現像剤として用いてもよく、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。また本実施の形態のトナーは、電気的潜像の現像に限定されることなく、他の異なる画像形成方法における潜像の現像、たとえば磁気印写法における磁気的潜像の現像に用いられてもよい。本実施の形態のトナーを磁気印写法に用いる場合には、本実施の形態のトナーに磁性粉などを含有させることによって磁性を付与し、磁性トナーとする。
本実施の形態のトナーは、原料を混合して溶融混練分散処理を施した後に粉砕するいわゆる粉砕法、および水溶液中または溶剤中で粒子を生成させる懸濁法、乳化凝集法、液中乾燥法などのいわゆる重合法のいずれによっても製造することができる。これらの中でも、粉砕法を用いることが好ましく、粉砕法において、溶融混練時に低い温度で高い剪断応力を加えることが可能なオープンロール方式の混練分散処理装置を用いることが特に好ましい。オープンロール方式の混練分散処理装置を用いることによって、トナー中に着色剤またはワックスなどの離型剤を多量に含有させる場合であっても、これらの成分をトナー中に均一に高分散させることができる。
図1は、本発明の他の実施の形態であるトナーの製造方法に好適に用いられる混練分散処理装置1の構成を簡略化して示す斜視図である。混練分散処理装置1は、オープンロール方式の混練分散処理装置であり、加熱手段2を備え外周面には螺旋状に複数の溝3の形成される第1混練ロール4と、冷却手段5を備え外周面には螺旋状に複数の溝6の形成される第2混練ロール7とを備える。
第1および第2混練ロール4,7は、外形が略直方体で一面にのみ開口部を有する中空容器であるケーシング8の第1側壁9の内面側と第1側壁9に対向する第2側壁10の内面側とに、図示しない軸受によって回転自在に支持される。このとき、第1混練ロール4と第2混練ロール7とは、互いに相手ロールに臨む外周面同士によって間隙が形成されかつそれぞれの軸線が同一仮想平面内で平行になるように配置される。
第1および第2混練ロール4,7は、歯車等を介して電動機などの駆動手段にそれぞれ接続される。このことによって、第1混練ロール4と第2混練ロール7とは、矢符11と矢符12とで示すそれぞれ異なるすなわち逆の方向に軸線まわりに回転することができる。本実施の形態では、第1混練ロール4と第2混練ロール7とは、互いに逆方向に異なる周速度で軸線まわりに回転される。
第1混練ロール4に備わる加熱手段2は、第1混練ロール4を加熱する加熱媒体であるたとえば温水または温オイルなどを供給する第1供給源15と、加熱媒体を供給する第1送り配管路16aおよび第1戻り配管路16bと、第1送り配管路16aに設けられ加熱媒体の供給量を調整する第1流量調整弁17と、第1供給源15に設けられ前記加熱媒体を加熱するヒータ19と、第1混練ロール4の後述する混合物の供給側である一端部20の温度を検出する第1供給側温度センサ13aおよび混合物の排出側である他端部21の温度を検出する第1排出側温度センサ13bと、第1供給側温度センサ13aおよび第1排出側温度センサ13bの検出出力に応答し前記ヒータ19に対する通電のオン(on)−オフ(off)を制御する第1制御装置14とを含む。第1制御装置14には、図示しない商用電源が接続され、この商用電源から電力が供給される。
第1混練ロール4の内部に液密空間を形成し、さらに液密空間に対する供給口と排出口とを形成し、供給口に第1送り配管路16aを接続し、排出口に第1戻り配管路16bを接続することによって、前述の加熱手段2の構成によって第1混練ロール4を所望の温度に加熱することができる。前記第1供給側温度センサ13aおよび第1排出側温度センサ13bは、接触式または放射温度計のような非接触式のいずれであってもよく、この第1供給側温度センサ13aおよび第1排出側温度センサ13bの検出出力に応答する第1制御装置14の動作によって、第1混練ロール4の一端部20および他端部21の温度を所望の値に保持することが可能になる。
第2混練ロール7に備わる冷却手段5は、第2混練ロール7を冷却する冷却媒体であるたとえば水などを供給する第2供給源22と、冷却媒体を供給する第2送り配管路23aおよび第2戻り配管路23bと、第2送り配管路23aに設けられ冷却媒体の供給量を調整する第2流量調整弁24と、第2供給源22に設けられ前記冷却媒体を冷却するクーラント25と、第2混練ロール7の後述する混合物の供給側である一端部26の温度を検出する第2供給側温度センサ28aおよび混合物の排出側である他端部27の温度を検出する第2排出側温度センサ28bと、第2供給側温度センサ28aおよび第2排出側温度センサ28bの検出出力に応答し前記クーラント25の動作を制御する第2制御装置29とを含む。第2制御装置29には、図示しない商用電源が接続され、この商用電源から電力が供給される。
第1混練ロール4と同様に第2混練ロール7の内部に液密空間を形成し、さらに液密空間に対する供給口と排出口とを形成し、供給口に第2送り配管路23aを接続し、排出口に第2戻り配管路23bを接続することによって、前述の冷却手段5の構成によって第2混練ロール7を所望の温度に冷却することができる。前記第2供給側温度センサ28aおよび第2排出側温度センサ28bの検出出力に応答する第2制御装置29の動作によって、第2混練ロール7の一端部26および他端部27の温度を所望の値に保持することが可能になる。
第1および第2混練ロール4,7によって形成される間隙付近に、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む混合物が、たとえば投入装置18から供給される。互いに逆方向に異なる周速度で軸線まわりに回転する第1および第2混練ロール4,7は、外周面にそれぞれ形成される溝3,6によって、投入装置18から供給される前記混合物に高い剪断応力を加えながら混練を行なう。溶融混練分散処理された混合物は、矢符31に示す方向に第1および第2混練ロール4,7の間隙から排出される。
このように、混合物は、第1混練ロール4と第2混練ロール7とによって、矢符30に示す第1および第2混練ロール4,7の一端部である供給側から他端部である排出側に向う方向に搬送されながら順次圧縮、溶融、均質分散の過程を経る途上において、剪断作用を幾度も受けるので、着色剤などの成分が結着樹脂中に均一に高分散される。特に、本実施の形態のように、第1混練ロール4と第2混練ロール7とを互いに異なる周速度で回転させることによって、前記混合物にさらに高い剪断力を加えることができるので、着色剤などの成分を結着樹脂中に一層均一に高分散させることができる。したがって、粒径の大小に関わらず、トナー粒子中における着色剤などの成分の割合を等しくすることができるので、好適な粒径分布を有し、現像装置内での帯電安定性、現像ブレードへの耐融着性、ならびに現像ローラおよび感光体などの記録媒体上への耐フィルミング性に優れるとともに、少ないトナー量で、濃度が高く、均質で鮮明な画像を形成することのできる本実施の形態のトナーを容易に製造することができる。
混練時の第1混練ロール4の温度は、前記混合物の温度が、結着樹脂を構成する主たる成分樹脂のガラス転移温度Tgの2倍以下に保持されるように制御されることが好ましい。混練されるときの前記混合物の温度を、結着樹脂を構成する主たる樹脂のガラス転移温度Tgの2倍以下という低い温度に保持することによって、溶融状態にある結着樹脂の粘度が下がり過ぎることを防ぐことができる。このように、混練分散処理時の溶融状態にある結着樹脂の粘度が下がり過ぎないように温度管理し、前記混合物に高い剪断応力を加えながら溶融混練分散処理を行なうことによって、着色剤などの成分を結着樹脂中に効率良く均一に高分散させることができる。なお、混練されるときの前記混合物の温度は、着色剤などの成分の分散性を一層向上させるために、結着樹脂を構成する主たる成分樹脂の2分の1フロー軟化温度Tm−50℃以上であることが好ましい。ここで、2分の1フロー軟化温度Tmとは、高化式フローテスタ(株式会社島津製作所製:CFT−500)を用い、試料1gに対し、荷重20kg/cm2を与えながら、昇温速度毎分6℃で加熱したときに、ノズル(直径1mm、長さ1mm)から試料の半分が流出する温度のことである。
混練時の第2混練ロール7の温度は、溶融した混練物に加わる剪断応力により引き起こされる摩擦発熱による温度上昇、溶融粘度の低下を抑制するために冷却させることが望ましく、40℃以下、より望ましくは20℃以下に制御して使用するのがよい。
第1および第2混練ロール4,7の温度は、第1混練ロール4の両端部20,21および第2混練ロール7の両端部26,27の温度を調整することによって制御することができる。混練されるときの前記混合物の温度は、含まれる成分によって変化するので、第1混練ロール4の両端部20,21および第2混練ロール7の両端部26,27の温度制御は、前記混合物毎に設定する必要がある。したがって、予め、前記混合物の温度をたとえば赤外線非接触温度計によって測定しながら混練を行ない、前記混合物の温度が結着樹脂を構成する主たる成分樹脂のガラス転移温度Tgの2倍以下に保持されるときの第1混練ロール4の両端部20,21および第2混練ロール7の両端部26,27の温度を求め、この温度に制御して混練を行なう。
図1に示すようなオープンロール方式の混練分散処理装置としては、ニーディックス(三井鉱山株式会社製)などが好適に用いられる。
着色剤に顔料を用いる場合、顔料は、たとえばマスターバッチまたはフラッシングなどによって予め結着樹脂または結着樹脂とは異なる無色の樹脂中に分散する予備分散処理を施された後、結着樹脂と混合され前記溶融混練分散処理を施されてもよい。
また少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む混合物は、帯電制御剤、ワックス類などの離型剤および分散剤などの添加剤を混合機などで乾式混合するなどして予め分散された後、前記溶融混練分散処理を施されてもよい。乾式混合処理の混合機には、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(株式会社カワタ製)、メカノミル(岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプ、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(川崎重工業株式会社製)などを好適に用いることができる。
溶融混練分散処理の終了した混合物は、粉砕処理されてトナー粒子に生成される。粉砕処理には、ジェット気流を用いた衝突式気流粉砕機または機械式粉砕機などを用いることができる。粉砕後のトナー粒子は、たとえば風力等による分級を施して前述の所望の粒径分布になるように調整する。
図2は、本発明のさらに他の形態である画像形成装置100の構成を簡略化して示す正面配置図である。本実施の形態の画像形成装置100は、外部から伝達される画像データに応じて、所定の大きさの記録用紙上に、フルカラー、多色または単色の電子写真画像を形成することのできるカラープリンタであり、図示しない画像入力部と、画像形成部41と、用紙搬送機構42と、装置上部に設けられ、画像入力部、画像形成部41および用紙搬送機構42などの装置内の各部の動作を制御する制御部43とを含んで構成される。
画像入力部は、外部から伝送される画像データを受入れ、中間調処理などの予め定められる処理を施した後、画像形成部41に入力する。画像入力部に入力される画像データは、シアン色(C)、マジェンタ色(M)、イエロー色(Y)および黒色(K)の各色成分に分解されたCMYK信号であり、たとえば図示しないパーソナルコンピュータなどによって作成され、図示しないプリンタインタフェースを介して画像入力部に入力される。
画像形成部41は、制御部43の下方であって用紙搬送機構42の上方に配置され、画像形成ステーション44と、転写搬送ベルトユニット45と、定着ユニット46とを含む。
画像形成装置100は、黒色、シアン色、マジェンタ色およびイエロー色の各成分色画像を別々の感光体上にそれぞれ形成して記録用紙上に順次積層転写することによってフルカラーまたは多色の電子写真画像を形成するタンデム式のカラー画像形成装置である。したがって、画像形成ステーション44は、黒色、シアン色、マジェンタ色およびイエロー色の各色に対応する4種類の潜像を形成することができるように、4組が設けられる。各画像形成ステーション44は、現像に用いられるトナーの色が、黒色、シアン色、マジェンタ色、イエロー色に異なること、および画像形成部41に入力される画像データのうち、黒色成分像に対応する画素信号、シアン色成分像に対応する画素信号、マジェンタ色成分像に対応する画素信号、イエロー色成分像に対応する画素信号が、それぞれ入力されること以外は構成を同じくするので、黒色に対応する画像形成ステーション44を代表例として説明し、他については説明を省略する。なお、各色に対応する画像形成ステーション44を個々に示す場合には、アルファベットの添字:b(黒色)、c(シアン色)、m(マジェンタ色)、y(イエロー色)を付して表す。
図3は、黒色画像形成用の画像形成ステーション44bの構成を示す拡大図である。
画像形成ステーション44bは、後述する転写ベルト70の一方の表面に接触するように設けられる記録媒体である感光体51bを備える。感光体51bは、円筒状であって、軸線50bまわりに回転自在に装置本体に支持され、矢符F方向に回転駆動される。感光体51bの周囲には、帯電器52bと、露光ユニット53bと、現像器54bと、転写ローラ55bと、クリーニングユニット56bとが、矢符Fで示される感光体51bの回転方向上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。帯電器52bと露光ユニット53bとは、潜像形成手段を構成する。
帯電器52bは、感光体51bの表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電手段である。本実施の形態では、帯電器52bは、非接触式の帯電手段であり、たとえば放電によって感光体51bの表面を帯電させるチャージャー型の帯電器である。なお、帯電器52bは、ローラ型帯電器またはブラシ型帯電器などの接触式の帯電手段であってもよい。
露光ユニット53bは、帯電器52bによって帯電された感光体51bの表面を、画像入力部から入力される画像データに応じて露光し、感光体51bの表面に画像データに対応する静電潜像を形成する露光手段である。露光ユニット53bは、エレクトロルミネセント(Electro Luminescent;略称:EL)素子もしくは発光ダイオード(Light
Emitting Diode;略称:LED)素子などの発光素子をアレイ状に並べたELもしくはLED書込みヘッド、またはレーザビームを照射するレーザ照射部と照射されたレーザビームを感光体51b表面に結像させる反射ミラーとを備えるレーザスキャニングユニット(略称:LSU)などで構成することができる。
現像器54bは、露光ユニット53bによる露光によって感光体51bの表面に形成される静電潜像を現像して顕像化する現像手段である。本実施の形態では、現像器54bは、本発明のトナーから成る非磁性一成分現像剤を用いて現像を行なう非磁性一成分現像方式の現像装置であり、感光体51bと予め定められる間隔を有して対向配置される現像ローラ61bと、現像剤を撹拌するとともに、現像ローラ61bに現像剤であるトナーを供給する撹拌ローラ62b,63bと、現像ローラ61bおよび撹拌ローラ62b,63bを回転自在に支持するとともに、その内部空間に非磁性一成分現像剤として本発明のトナー60bを収容するケーシング64bと、現像ローラ61b上の現像剤層すなわちトナー層の厚みを調整するとともに、トナーに所定の帯電量を付与する現像ブレード65bとを備える。現像ローラ61bは、撹拌ローラ62b,63bによって搬送されてきた本発明のトナーから成る非磁性一成分現像剤を、感光体51b表面の静電潜像に供給する。
黒色画像形成用の画像形成ステーション44bでは、ケーシング64bには、黒色のトナー60bが収容されており、露光ユニット53bの動作によって感光体51bの表面に形成される静電潜像は、ケーシング64bに収容される黒色のトナー60bによって現像され、黒色成分像に対応する可視像であるトナー画像になる。なお、図2に示すケーシング64cにはシアン色のトナー60c、ケーシング64mにはマジェンタ色のトナー60m、ケーシング64yにはイエロー色のトナー60yがそれぞれ収容されており、露光ユニット53c,53m,53yの動作によって感光体51c,51m,51yの表面上にそれぞれ形成される静電潜像は、対応する各色のトナー60c,60m,60yによってそれぞれ現像され、各色成分像に対応するトナー画像となる。このようにして、画像入力部から入力された画像データが各色のトナー画像として再現される。
転写ローラ55bは、感光体51bの表面に形成されたトナー画像を、転写ベルト70上に吸着されて搬送される転写媒体である記録用紙上に転写する転写手段である。転写ローラ55bは、感光体51bに対向し、かつ転写ベルト70の他方の表面に接触するように、転写搬送ベルトユニット45の図示しないハウジングの転写ローラ取付部に回転自在に支持される。転写ローラ55bには、トナー画像を記録用紙上に転写させるために、トナーとは逆極性の高電圧の転写バイアスが印加されている。転写バイアスとしては、たとえばトナーの帯電極性がマイナス(−)の場合には、それと逆極性のプラス(+)のバイアス電圧が印加される。転写ローラ55bは、たとえば、ステンレス鋼などの金属材料から成る直径8〜10mmの軸をベースとし、その表面を、導電性を有する弾性材たとえばエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(ethylene-propylene-diene copolymer;略称:EPDM)または発泡ウレタンなどの弾性材に導電性粒子を分散させたもので覆うことによって形成される。転写ローラ55bの表面を導電性の弾性材で構成することによって、記録用紙に対して高電圧を均一に印加することができる。なお、本実施の形態では、記録用紙に転写バイアスを印加する転写電極として、転写ローラ55bを用いているけれども、これに限定されることなく、ブラシなどを用いてもよい。
クリーニングユニット56bは、転写ローラ55bによる転写動作後に感光体51bの表面に残留するトナーを該表面から除去し、回収する清掃手段である。除電ランプ57bは、クリーニングユニット56bによるクリーニング動作後の感光体51bの表面に光を照射することによって、感光体51bの表面を除電し、静電潜像を消失させる潜像除去手段である。
再び図2に戻って、画像形成ステーション44b、画像形成ステーション44c、画像形成ステーション44mおよび画像形成ステーション44yは、記録用紙の搬送方向上流側から下流側に向かってこの順序で並べて設けられる。
転写搬送ベルトユニット45は、感光体51の下方に配置され、転写ベルト70と、転写ベルト駆動ローラ71と、転写ベルトテンションローラ73と、転写ベルト従動ローラ72,74と、転写ベルトクリーニングユニット75とを備える。
転写ベルト70は、無端状であって、各感光体51に接触するように、転写ベルト駆動ローラ71、転写ローラ55、転写ベルトテンションローラ73および転写ベルト従動ローラ72,74によって張架される。転写ベルト70は、転写ベルト駆動ローラ71の回転駆動に伴って矢符B方向に回転し、記録用紙を静電吸着させて画像形成ステーション44bから画像形成ステーション44yへと順次搬送する。転写ベルト70は、たとえば厚み100μm〜150μm程度のフィルムによって形成される。
転写ベルト70には、感光体51との接触によってトナーが付着することがある。転写ベルト70に付着したトナーは、搬送される記録用紙の転写ベルト70に接触する面を汚す原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット75によって除去され、回収される。転写ベルトクリーニングユニット75は、たとえばクリーニング部材としてクリーニングブレードを備える。転写ベルト70は、転写ベルト従動ローラ74によって、他方の表面側から、感光体51に接触する一方の表面側がクリーニングブレードに押圧される。
トナー画像の転写が終了した後の記録用紙は、転写ベルト駆動ローラ71に形成された曲率によって、転写ベルト70から剥離されて定着ユニット46に搬送される。定着ユニット46は、記録用紙上に転写されたトナー画像を、定着部材にオイルなどの離型剤を塗布することなく、熱と圧力とによって定着させるオイルレス定着装置であり、定着部材であるヒートローラ81およびヒートローラ81に対向して設けられヒートローラ81に押圧されて当接部いわゆるニップ部を形成する加圧ローラ82と、ヒートローラ81および加圧ローラ82を、記録用紙を挟んだ状態で回転することができるように支持するハウジング80とを備える。ヒートローラ81は、図示しない加熱手段と温度検出器とを備え、温度検出器からの信号に基づいて、制御部43によって所定の定着温度になるように制御され、加圧ローラ82とともにニップ部を通過する記録用紙を熱圧着する。
用紙搬送機構42は、用紙搬送路Sと、給紙トレイ90と、上面排紙トレイ91と、側面排紙トレイ92とを含んで構成される。給紙トレイ90は、画像形成装置100の下部であって画像形成部41の下方に設けられ、画像形成に使用するシート状の記録用紙を載置して蓄える。上面排紙トレイ91は、画像形成装置100の上面に設けられ、画像の形成された記録用紙を、画像形成面を下にして、すなわちフェイスダウンで載置収容する。側面排紙トレイ92は、画像形成装置100の側面に突出して設けられ、画像の形成された記録用紙を、画像形成面を上にして、すなわちフェイスアップで載置収容する。
用紙搬送路Sは、S字形状に形成されており、記録用紙を給紙トレイ90から転写搬送ベルトユニット45および定着ユニット46を経由して上面排紙トレイ91または側面排紙トレイ92まで搬送する。用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ93、レジストローラ94、搬送方向切換えガイド95、搬送ローラ96、ランプ97およびラインセンサ98が配置される。
ピックアップローラ93は、給紙トレイ90の一端部に設けられ、給紙トレイ90内の記録用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。搬送ローラ96は、記録用紙の搬送を促進および補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sの各所に複数個設けられる。
レジストローラ94は、用紙搬送路Sを搬送される記録用紙の搬送を画像形成部41の手前で一旦停止し、感光体51上のトナー画像が記録用紙に良好に転写されるように、特にフルカラーまたは多色画像を形成する場合に各色のトナー画像の位置がずれることなく多重転写されるように、タイミングを調整して記録用紙を供給する機能を有する。
レジストローラ94よりも記録用紙の搬送方向下流側には、照明手段であるランプ97およびラインセンサ98が、レジストローラ94に近接して設けられる。ランプ97およびラインセンサ98は、互いに対向するように配置され、ラインセンサ98の上方に設けられるランプ97からラインセンサ98に向けて光を照射し、その光をラインセンサ98が検出する。レジストローラ94を介して記録用紙が送給されると、ランプ97からの光が遮られ、ラインセンサ98で検出されなくなるので、記録用紙の送給を検知することができる。
レジストローラ94は、図示しないレジスト前検知スイッチから出力された検知信号およびラインセンサ98から出力された検知信号に基づいて、各感光体51上のトナー画像の先端が、記録用紙における画像形成範囲の先端に合うように、記録用紙を搬送するように設定されている。レジストローラ94によって調整される給紙タイミングは、感光体51の周速度などを考慮して制御部43によって制御される。
搬送方向切換えガイド95は、装置本体の側面カバー47に回転自在に設けられ、実線で示す状態または破線で示す状態をとることによって、定着ユニット46による定着動作後の記録用紙の搬送方向を、上面排紙トレイ91に向かう方向と、側面排紙トレイ92に向かう方向との間で選択的に切換える。搬送方向切換えガイド95が実線で示す状態の場合には、記録用紙は、搬送方向切換えガイド95の上方に送給され、用紙搬送路Sの一部であって、定着ユニット46と側面カバー47と搬送切換えガイド95とよって形成される用紙搬送路S1を通り、用紙搬送路Sの一部である反転排紙経路S2に搬送され、反転された状態で、すなわち画像形成面を下側に向けて上面排紙トレイ91に排出される。搬送方向切換えガイド95が破線で示す状態の場合には、記録用紙は、用紙搬送路Sの途中から分離されて搬送方向切換えガイド95の下方に送給され、画像形成面を上側に向けて側面排紙トレイ92に排出される。
画像形成装置100による画像形成動作について説明する。外部から画像入力部に画像データが入力されると、画像形成部41の画像形成ステーション44bでは、制御部43からの指示に応じて、感光体51bが駆動手段によって矢符F方向に回転駆動され、帯電器52bによってその表面が均一に帯電される。次いで、制御部43からの指示に応じて、画像入力部から画像形成部41に画像データが入力され、この入力された画像データに基づいて、露光ユニット53bによって感光体51bの表面に露光が施され、静電潜像が形成される。また用紙搬送機構42では、感光体51bへの露光と同期して、給紙トレイ90から記録用紙が取出され、用紙搬送路Sに給送され、レジストローラ94に一旦保持される。
次いで、感光体51b表面に形成された静電潜像が現像器54によってトナー画像として現像され、この顕像化されたトナー画像が、レジストローラ94でタイミングを調整されて転写ベルト70上に供給されて搬送される記録用紙に、転写ローラ55bによって転写される。
記録用紙には、矢符Z方向に搬送される途上において、転写ベルト70に沿って配置された他の画像形成ステーション40c,40m,40yによって、各色のトナーが多重に転写される。4組の画像形成ステーション40b,40c,40m,40yによる転写が終了した後、記録用紙は、定着ユニット46に搬送され、ヒートローラ81と加圧ローラ82との間で挟圧されて適度な温度と圧力が与えられ、各色のトナーは溶融して記録用紙に定着され堅牢な画像が形成される。以上のようにして画像の形成された記録用紙は、用紙搬送機構42によって搬送され、制御部43からの指示に応じて、上面排紙トレイ91または側面排紙トレイ92に排出される。
本実施の形態である画像形成装置100は、現像手段として、非磁性一成分現像方式の現像装置である現像器54を備え、定着装置として、オイルレス定着装置である定着ユニット46を備える。現像器54は、構成が簡素であり、また現像剤充填部として、非磁性一成分現像剤である本発明のトナーを収容するケーシング64のみを有するので、二成分現像方式の現像装置に比べて小さい。また定着ユニット46は、定着部材に離型剤を塗布する機能を有する定着装置に必要な離型剤供給部、離型剤塗布ローラ、離型剤回収/循環装置などの複雑な機構が不要であるので、構成が簡素であり、小さい。したがって、特に小型の画像形成装置100が実現される。
また、本実施の形態である画像形成装置100では、その画像形成ステーション44に備わる現像器54において、本発明のトナーが、非磁性一成分現像剤として静電潜像の現像に用いられる。本発明のトナーは、前述の好適な粒径分布を有するので、非磁性一成分現像方式の現像装置である現像器54においても、ライフを通じて帯電性が維持され、現像ブレード65への融着、ならびに現像ローラ61および感光体51上へのフィルミングを発生しない。したがって、本実施の形態のように、現像手段として、非磁性一成分現像方式の現像器54を用い、小型の画像形成装置100を実現することができる。また本発明のトナーは、少ないトナー量で、濃度が高く、均質で鮮明な画像を安定して形成することができるので、トナーを収容するケーシング64を小さくし、画像形成装置100をさらに小型化することもできる。
特に、非磁性一成分現像剤として、好適な量の離型剤を含有する本発明のトナーを用いることによって、オイルレス定着装置である定着ユニット46におけるオフセット現象、記録用紙のヒートローラ81または加圧ローラ82への巻きつきが抑えられる。また発色性および光沢感に優れるカラー画像を形成することができる。
以上のように、本実施の形態である画像形成装置100は、感光体51に静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像器54に含まれる本発明のトナーで現像して可視像を形成する電子写真方式の画像形成装置であるけれども、本発明の画像形成装置は、これに限定されるものではなく、本発明のトナーを用いて潜像を現像することのできるものであれば、他の異なる構成であってもよい。たとえば、記録媒体として磁気記録媒体を設け、潜像形成手段として磁気記録ヘッドを設け、現像手段として磁性を付与した本発明のトナーを含む現像手段を設け、潜像除去手段として消磁ヘッドを設けることによって、磁気記録媒体に磁気潜像を形成し、磁性を付与した本発明のトナーで現像して可視像を形成する磁気印写方式の画像形成装置としてもよい。
(実施例1)
本実施例では、トナーを以下のようにして製造した。いずれのトナーも、結着樹脂には、ガラス転移温度Tg:60℃、2分の1フロー軟化温度Tm:120℃の特性を有するポリエステル樹脂組成物であって、重量平均分子量約1万の低分子量成分と重量平均分子量約10万の高分子量成分とが4:6の割合で混合されて成るポリエステル樹脂組成物を用いた。着色剤には、マジェンタトナーTM−1〜TM−9ではC.I.ピグメントレッド122を用い、シアントナーTC−1およびTC−2ではC.I.ピグメントブルー15:3を用い、イエロートナーTM−YではC.I.ピグメントイエロー74を用いた。なお、これらの顔料は、予め結着樹脂であるポリエステル樹脂組成物中の低分子量成分のみに40重量%の濃度で混練されて予備分散処理された混練物(以下、便宜上顔料混練物と呼ぶ)として各トナーの製造に供した。結着樹脂、顔料混練物、80℃の融点を有する低融点ポリエチレンワックスおよび帯電制御剤を表1に示す配合比でヘンシェルミキサに投入し、10分間混合して原材料混合物を得た。なお、顔料混練物の配合量は、トナー組成物中の着色剤含有量Cが後述する表3に示す値になるように、4重量部〜12重量部の範囲で調整した。
得られた混合物を、前述の図1に示す構成の混練分散処理装置(三井鉱山株式会社製:ニーディックスMOS140−800)で溶融混練分散処理した。溶融混練分散処理条件を表2に示す。なお、溶融混練分散処理時の混合物の温度を、赤外線非接触温度計によって複数のポイントで測定した結果、いずれのトナーも、すべての混練ポイントにおいて120℃以下であった。すなわち、溶融混練分散処理時の混合物の温度は、結着樹脂であるポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度Tg:60℃の2倍以下であった。
溶融混練分散処理によって得られた混練物を、冷却して粗砕した後、ジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製:IDS−2型)によって微粉砕した。微粉砕後、風力分級機(日本ニューマチック工業株式会社製:MP−250型)を用いて分級を行い、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター株式会社製)で粒径を確認しながら、所望の粒径分布を有するトナー粉末になるように調整した。
得られたトナー粉末100重量部と、トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤で表面処理された、1次粒子の平均径が約12nmの疎水性シリカ微粉体(BET比表面積約140m2/g)1.5重量部と、同様の表面処理が施された1次粒子の平均径が約40nmの疎水性シリカ微粉体(BET比表面積約50m2/g)1.0重量部とを混合し、負帯電性のトナーを作製した。
トナー作製に際し、粒径分布および着色剤含有量Cを変化させることによって、本発明の要件をすべて満足する実施例試料11〜18であるマジェンタトナーTM−1〜TM−6、シアントナーTC−1およびイエロートナーTY−1と、本発明の要件のいずれかを満足しない比較例試料11〜14であるマジェンタトナーTM−7〜TM−9およびシアントナーTC−2とを得た。
作製された各トナーについて、以下のようにして画質、耐融着性および耐フィルミング性を評価した。以下の評価において、画像形成装置には、非磁性一成分現像方式の現像装置を備えるフルカラー複合機AR−C260(シャープ株式会社製)を用い、記録用紙には、シャープ株式会社製フルカラー専用紙(品番:PP106A4C)を用いた。
<画質>
現像ローラへのトナー付着量を0.6mg/cm2〜0.7mg/cm2として記録用紙上に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量を0.5mg/cm2に調整して、30mm角の単色ソリッド部を含む画像チャートを記録用紙上に形成し、これを評価用画像とした。分光測色濃度計(X−Rite社製:X−Rite938)を用い、前記評価用画像について、画像濃度を示す光学濃度を測定するとともに、L*a*b*表色系(CIE:1976)におけるクロマチックネス指数a*,b*を測定し、下記式(1)で示される彩度を求めた。
(彩度)=[(a*)2+(b*)2]1/2 …(1)
また、前記評価用画像の非画像部における白地かぶりの有無を目視によって判断した。
画質の評価は、光学濃度、彩度および白地かぶりの有無を合わせた総合評価によって行なった。画質の評価基準は、以下のようである。
(a)マジェンタトナー(実施例試料11〜15,18および比較例試料11〜13)
○:良好。光学濃度1.35以上、かつ彩度65以上、かつ白地かぶりなし。
△:やや不良。光学濃度1.35以上、かつ彩度60以上65未満、かつ白地かぶりなし。
×:不良。光学濃度1.35未満、または彩度60未満、または白地かぶりあり。
(b)シアントナー(実施例試料16および比較例試料14)
○:良好。光学濃度1.35以上、かつ彩度50以上、かつ白地かぶりなし。
△:やや不良。光学濃度1.35以上、かつ彩度45以上50未満、かつ白地かぶりなし。
×:不良。光学濃度1.35未満、または彩度45未満、または白地かぶりあり。
(c)イエロートナー(実施例試料17)
○:良好。光学濃度1.30以上、かつ彩度85以上、かつ白地かぶりなし。
△:やや不良。光学濃度1.30以上、かつ彩度80以上85未満、かつ白地かぶりなし。
×:不良。光学濃度1.30未満、または彩度80未満、または白地かぶりあり。
<耐融着性および耐フィルミング性>
現像ローラへのトナー付着量を0.6mg/cm2〜0.7mg/cm2として記録用紙上に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量を0.5mg/cm2に調整して、各トナー単色で、画像ソリッド部および文字部を含む原稿濃度5%の評価チャートを記録用紙10000枚に形成する連続実写テストを行なった。10000枚の連続実写テスト後、現像ローラおよび感光体部材の長手方向の実使用する長さに相当するソリッド画像を出力させ、得られたソリッド画像を目視によって観察し、ソリッド画像への筋またはフィルミング痕の発生の有無を判断した。また現像器内の現像ブレードおよび感光体表面を電子顕微鏡によって観察し、ソリッド画像の目視による観察結果と合わせ、現像ブレードへのトナー組成物の融着の有無および感光体表面へのトナー組成物のフィルミングの有無を判断した
以上の評価結果を表3に示す。
本発明の要件を満足する、すなわち体積平均粒径が6μm以上、9μm以下であり、粒径15.0μm以上のトナー粒子を2.0体積%以下含有し、粒径5.00μm以下のトナー粒子を30個数%以上含有し、かつ粒径3.00μm以下のトナー粒子を10個数%以下含有する実施例試料11〜18のトナーでは、白地かぶりは発生せず、また充分な画像濃度および彩度が得られた。特に、トナー組成物中の着色剤含有量Cが5〜10重量%の範囲内にある実施例試料11〜17のトナーでは、着色剤含有量Cが前記範囲を大きい方に外れる実施例試料18のトナーよりも高い彩度が得られた。また実施例試料11〜18のトナーでは、10000枚の連続実写テストにおいて、現像ブレードへの融着および感光体表面へのフィルミングは発生しなかった。
これに対し、粒径3.00μm以下のトナー粒子の含有量が10個数%を超える比較例試料11、12および14のトナーでは、10000枚の連続実写テストにおいて、現像ブレードへの融着または感光体表面へのフィルミングが発生した。現像ブレードへの融着が発生した比較例試料11、12および14について、現像ブレード上の融着物を走査型電子顕微鏡(略称:SEM)で観察したところ、融着物はいずれも粒径3μm以下の微粉トナーが多数凝集したものであることが判った。また画質の評価では、比較例試料11および12のトナーにおいて、白地かぶりが発生した。また比較例試料14では、画像濃度が不足し、望ましくない画像であった。これは、比較例試料14のトナーでは、粒径15.0μm以上のトナー粒子の含有量が2.0体積%を超えるとともに、着色剤含有量Cが5重量%未満であるためであると考えられる。
また、粒径5.00μm以下のトナー粒子の含有量が30個数%未満である比較例試料13のトナーでは、充分な画像濃度は得られなかった。
(実施例2)
本実施例では、前述の実施例1で作製した実施例試料12のマジェンタトナーTM−2を以下の試験に供した。現像ローラへのトナー付着量を0.55mg/cm2として記録用紙上に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量を0.4mg/cm2に調整する、または現像ローラへのトナー付着量を0.4mg/cm2として記録用紙上に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量を0.3mg/cm2に調整する以外は、実施例1の画質の評価と同様にして評価用画像を形成し、画質を評価した。評価結果を表4に示す。なお、表4には、実施例1における実施例試料12の画質の評価結果も合わせて示す。
本発明の要件を満足する実施例試料12のトナーを用いて形成された評価用画像は、記録用紙へのトナー付着量が0.3〜0.5mg/cm2のいずれであっても、充分な光学濃度および彩度が得られることが判った。
以上のように、体積平均粒径を6μm以上、9μm以下とし、粒径15.0μm以上のトナー粒子の含有量を2.0体積%以下とし、粒径5.00μm以下のトナー粒子の含有量を30個数%以上とし、かつ粒径3.00μm以下のトナー粒子の含有量を10個数%以下とすることによって、非磁性一成分現像剤として用いられた場合に、トナーの帯電量不足による画像の白地かぶり、現像ブレードへの融着および感光体上へのフィルミングを発生せず、かつ少ないトナー量で、濃度が高く、均質で鮮明な画像を形成することのできるトナーが得られた。
(実施例3)
トナー組成物中のワックスの含有量を3.0重量%、10.0重量%、2.0重量%または12.0重量%とする以外は、前述の実施例1で作製した実施例試料12のマジェンタトナーTM−2と同様にして、マジェンタトナーTM−9〜TM−12を作製した。このようにして、ワックスの含有量が3〜10重量%の範囲内にある実施例試料31および32と、ワックスの含有量が3〜10重量%の範囲を外れる比較例試料31および32とを得た。なお、本実施例では、実施例試料31,32および比較例試料31,32と合わせて実施例1において作製した実施例試料12も以下の試験に供した。
実施例試料12,31,32および比較例試料31,32について、実施例1と同様にして、10000枚の連続実写テストを行ない、現像器内の現像ブレードへのトナー組成物の融着の有無および感光体表面へのトナー組成物のフィルミングの有無を確認した。また定着部材への耐オフセット性を以下のようにして評価した。
<耐オフセット性>
画像形成装置には非磁性一成分現像方式の現像装置を備えるフルカラー複合機AR−C260(シャープ株式会社製)から定着器を取除いて得られた試験用画像形成装置を用い、記録用紙にはシャープ株式会社製フルカラー専用紙(品番:SF−4AM3)を用い、記録用紙上に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量が0.5mg/cm2になるように調整して、通紙先端部に5mmのボイド部を残した縦10mm、横20mmの先端帯状ソリッド画像を記録用紙上に未定着の状態で形成させた。別体のオイルレス定着装置を用い、定着速度を117mm/secに調整して、形成された未定着画像の定着を行ない、評価用画像を形成した。別体のオイルレス定着装置には、前述のフルカラー複合機AR−C260(シャープ株式会社製)に搭載されていたものを外部駆動できるように、またヒートローラの表面温度を制御できるように改造したものを用いた。なお、このオイルレス定着装置では、ヒートローラの直径は40mmであり、ヒートローラと加圧ローラとのニップ幅は6mmである。前記評価用画像を目視観察し、ヒートローラの2周目以降が接触する部分である記録用紙の非画像部への汚染の有無、すなわちオフセット現象の発生の有無を判断した。
この操作を、ヒートローラの表面温度を160℃から200℃まで10℃ずつ上げて繰返し行なった。このとき、オフセット現象が発生しなかったものを耐オフセット性が良好と評価し、オフセット現象が発生したものを耐オフセット性が不良と評価した。
以上の評価結果を表5に示す。
トナー組成物中のワックスの含有量が3〜10重量%の範囲内にある実施例試料31、12および32のトナーでは、10000枚の連続実写テストにおいて、現像ブレードへの融着および感光体表面へのフィルミングは発生しなかった。また実施例試料31、12および32のトナーでは、耐オフセット性の評価において、ヒートローラの表面温度をいずれの温度に設定した場合にも、オフセット現象は見られなかった。
これに対し、トナー組成物中のワックスの含有量が2重量%であり、3〜10重量%の範囲を小さい方に外れる比較例試料31では、現像ブレードへの融着および感光体表面へのフィルミングは発生しなかったけれども、耐オフセット性の評価において、ヒートローラの表面温度を190℃以上に設定した場合に、オフセット現象が発生した。
また、トナー組成物中のワックスの含有量が12重量%であり、3〜10重量%の範囲を大きい方に外れる比較例試料32では、連続実写4000枚程度の時点で現像ブレードへの融着が発生し、感光体へのフィルミングも発生したので、評価を中断した。
以上のように、離型剤であるワックスの含有量を3重量%以上、10重量%以下にすることによって、オイルレス定着装置で定着される場合に、オフセット現象、ならびに離型剤に起因する現像ブレードへの融着および感光体上へのフィルミングを発生することのないトナーを得ることができた。