JP3698503B2 - トナー及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンタやファクシミリに用いられるトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真装置はオフィスユースの目的からパーソナルユースへと移行しつつあり、小型化、メンテフリーなどを実現する技術が求められている。そのため廃トナーのリサイクルなどのメンテナンス性が良く、オゾン排気が少ないなどの条件が必要となる。
【0003】
電子写真方式の複写機、プリンターの印字プロセスを説明する。先ず、画像形成のために像担持体(以下感光体と称す)を帯電する。帯電方法としては、従来から用いられているコロナ帯電器を使用するもの、また、近年ではオゾン発生量の低減を狙って導電性ローラを感光体に直接押圧した接触型の帯電方法などによって感光体表面を均一に帯電する方法がある。感光体を帯電後、複写機であれば、複写原稿に光を照射して反射光をレンズ系を通じて感光体に照射する。或いは、プリンタであれば露光光源としての発光ダイオードやレーザーダイオードに画像信号を送り、光のON−OFFによって感光体に潜像を形成する。感光体に潜像(表面電位の高低)が形成されると感光体は予め帯電された着色粉体であるトナー(直径が5μm〜15μm程度)によって可視像化される。トナーは感光体の表面電位の高低に従って感光体表面に付着し複写用紙に電気的に転写される。すなわち、トナーは予め正または負に帯電しており複写用紙の背面からトナー極性と反対の極性の電荷を付与して電気的に吸引する。転写方法としては、従来から用いられているコロナ放電器を使用するもの、また、近年ではオゾン発生量の低減を狙って導電性ローラを感光体に直接押圧した転写方法が実用化されている。転写時には感光体上の全てのトナーが複写用紙に移るのではなく、一部は感光体上に残留する。この残留トナーはクリーニング部でクリーニングブレードなどで掻き落とされ廃トナーとなる。そして複写用紙に転写されたトナーは、定着の工程で、熱や圧力により、紙に固定される。
【0004】
定着方法としては、2本以上の金属ロール間を通過させる圧力定着方式と電熱ヒータによる加熱雰囲気中を通過させるオーブン定着方式および加熱ローラー間を通過させる熱ロール定着方式がある。熱ロール定着方式は加熱ローラの表面と複写用紙上のトナー面とが圧接触するためトナー画像を複写用紙に融着する際の熱効率が良好であり、迅速に定着を行うことが出来る。しかしながら熱ロール定着方式では加熱ローラ表面にトナーが加熱溶融状態で圧接触するためトナーの一部がローラ表面に付着して再び複写用紙上に付着し画像を汚すオフセット現象を起こしやすい欠点がある。そのオフセット防止する方法として、加熱ローラ表面を耐熱性でトナーに対する離型性に富む弗素樹脂やシリコンゴムで形成し、さらにその表面にシリコンオイルなどのオフセット防止用液体を供給して液体の薄膜でローラ表面を被覆する方法が取られている。この方法では、シリコンオイルなどの液体が加熱されることにより臭気を発生し、また、液体を供給するための余計な装置が必要となり、複写装置の機構が複雑になる。また、安定性よくオフセットを防止するためには、高い精度で液体の供給をコントロールする必要があり、複写装置が高価にならざるを得ない。そこでこのような液体を供給しなくてもオフセットが発生せず、良好な定着画像が得られるトナーが要求されている。
【0005】
周知のように電子写真方法に使用される静電荷現像用のトナ−は一般的に樹脂成分、顔料もしくは染料からなる着色成分および可塑剤、電荷制御剤、更に必要に応じて磁性体、離型剤などの添加成分によって構成されている。樹脂成分として天然または合成樹脂が単独あるいは適時混合して使用される。
【0006】
そして、上記添加剤を適当な割合で予備混合し、熱溶融によって加熱混練し、気流式衝突板方式により微粉砕し、微粉分級されてトナー母体が完成する。その後このトナー母体に外添剤を外添処理してトナーが完成する。
【0007】
一成分現像では、トナーのみで構成されるが、トナーと磁性粒子からなるキャリアと混合することによって2成分現像剤が得られる。
またカラー複写機では、感光体を、帯電チャージャーによるコロナ放電で帯電させ、その後各色の潜像を光信号として感光体に照射し、静電潜像を形成し、第1色、例えばイエロートナーで現像し、潜像を顕像化する。その後感光体に、イエロートナーの帯電と逆極性に帯電された転写材を当接し、感光体上に形成されたイエロートナー像を転写する。感光体は転写時に残留したトナーをクリーニングしたのち除電され、第1のカラートナーの現像、転写を終える。
【0008】
その後マゼンタ、シアンなどのトナーに対してもイエロートナーと同様な操作を繰り返し、各色のトナー像を転写材上で重ね合わせてカラー像を形成する方法が取られている。そしてこれらの重畳したトナー像はトナーと逆極性に帯電した転写紙に転写された後、定着され複写が終了する。
【0009】
このカラー像形成方法としては、単一の感光体上に順次各色のトナー像を形成し、転写ドラムに巻き付けた転写材を回転させて繰り返しこの感光体に対向させ、そこで順次形成される各色のトナー像を重ねて転写していく転写ドラム方式と、複数の像形成部を並べて配置し、ベルトで搬送される転写材にそれぞれの像形成部を通過させて順次各色のトナー像を転写し、カラー像を重ね合わす連続重ね方式が一般的である。
【0010】
前記の転写ドラム方式を用いたものに、特開平1−252982号公報に示されるカラー画像形成装置がある。図15はこの従来例の全体構成の概要を示すもので、以下その構成と動作を簡単に説明する。図15において、501は感光体で、これに対向して帯電器502と、現像部503と、転写ドラム504、クリーナ505が設けられている。現像部503は、イエロ色のトナー像をつくるためのY現像器506、マゼンタ色のM現像器507、シアン色のC現像器508、黒色のBk現像器509とで構成され、現像器群全体が回転して各々の現像器が順次感光体501に対向し現像可能の状態になる。転写ドラム504と感光体501は動作中は対向しながらそれぞれ矢印方向に一定速度で回転している。
【0011】
像形成動作が開始すると感光体501が矢印方向に回転するとともに、その表面が帯電器502によって一様に帯電される。その後感光体表面には、1色目のイエロの像を形成するための信号で変調されたレーザビーム510を照射されて、潜像が形成される。次にこの潜像は最初に感光体501に対向しているY現像器506により現像され、イエロのトナー像が形成される。感光体上に形成されたイエロのトナー像が転写ドラム504に対向する位置に移動するまでに、すでに転写ドラム504の外周には給紙部511から送られた転写材としての1枚の用紙が先端を爪部512でつかまれて巻き付けられており、その用紙の所定の位置に感光体上のイエロのトナー像が対向して出会うようにタイミングがとられている。
【0012】
感光体上のイエロのトナー像が転写帯電器513の作用により用紙に転写された後、感光体表面はクリーナ505により清掃されて、次色の像形成が準備される。続いてマゼンタ、シアン、黒のトナー像も同様に形成されるが、そのとき現像部503は色に応じて用いる各現像器506〜509を感光体に対向させて現像可能の状態にする。転写ドラム504の径は最長の用紙が巻き付けられかつ各色の像間で現像器の交換が間に合うように充分の大きさを持っている。
【0013】
各色の像形成のためのレーザビーム510の照射は、回転につれて感光体上の各色のトナー像と転写ドラム上の用紙に既に転写されたトナー像とが位置的に合致されて対向するようにタイミングがとられて実行される。このようにして4色のトナー像が転写ドラム504上で用紙に重ねて転写されて、用紙上にカラー像が形成される。全ての色のトナー像が転写された後、用紙は剥離爪514により転写ドラム504から剥されて、搬送部515を経て定着器516によりトナー像が定着され、装置外へ排出される。
【0014】
一方、連続転写方式を用いたカラー画像形成装置の例として、特開平1−250970号公報がある。この従来例では4色の像形成のためにそれぞれが感光体、光走査手段などを含んだ4つの像形成ステーションが並び、ベルトに搬送された用紙がそれぞれの感光体の下部を通過してカラートナー像が重ね合わされる。
【0015】
さらにまた、転写材上に異なる色のトナー像を重ねてカラー像を形成する他の方法として、感光体上に順次形成される各色トナー像を中間転写材上に一旦重ねて、最後にこの中間転写材上のトナー像を一括して転写紙に移す方法が特開平2−212867号公報で開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとしている課題】
昨今地球環境保護の点から、オゾン発生量の低減や、産業廃棄物の無制限な廃棄を規制するため従来再利用されずに廃棄されていた廃トナーを再利用することや、定着の消費電力を抑える低温定着方法などの必要性が叫ばれている。トナー材料もオゾン量の発生の少ないローラ転写方法への対応や、廃トナーリサイクルへの対応や、低温定着化への対応すべく改良が進んでいる。更にこれら単独ではなく同時に満足できる高性能なトナーは環境保護からは重要課題である。
【0017】
また複写機や、プリンタ、FAXにおいてプロセス速度の異なる機種毎に別々の種類のトナーを使用している。例えば低速機では耐オフセット性を向上させるため、粘弾性の高い、高軟化点の結着樹脂材料を使用する。高速機では定着に必要な熱量が得にくいため、定着性を高めるために軟化点を下げた特性の異なる別の結着樹脂を使用している。プロセス速度とは機械の時間当たりの複写処理能力に関係し、感光体の周速度を示している。感光体の周速度によって複写用紙の搬送速度が決まる。これらの別々のトナーを共有化できれば、生産効率が上がり、トナーコストも大きく下げることが可能になる。
【0018】
定着の工程では、紙へのトナーの付着力である定着強度と、ヒートローラへの付着を防止する耐オフセット性とが支配因子となる。
トナーは定着ローラからの熱または圧力により、紙の繊維に溶融浸透して、定着強度が得られる。この定着特性を向上するため、従来は、結着樹脂を改良したり、離型剤などを添加したりして、紙へ固着する定着強度を高め、定着ローラにトナーが付着するオフセット現象を防止している。
【0019】
特開昭59−148067号公報では、樹脂に低分子量と高分子量部分とを持ち、低分子量のピーク値とMw/Mnを規定した不飽和エチレン系重合体を使用し、軟化点を特定したポリオレフィンを含有するトナーが開示されている。これによって、定着性と耐オフセット性が確保されるとしている。また特開昭56−158340号公報では特定の低分子量重合体成分と高分子量重合体成分よりなる樹脂を主成分とするトナーが開示されている。低分子量成分により定着性を確保し、高分子量成分により耐オフセット性を確保する目的である。また特開昭58−223155号公報では1000〜1万と20万〜100万の分子量領域に極大値を持ち、Mw/Mnが10〜40の不飽和エチレン系重合体からなる樹脂と特定の軟化点を有するポリオレフィンを含有するトナーが開示されている。低分子量成分により定着性を確保し、高分子量成分とポリオレフィンにより耐オフセット性を確保する目的として使用されている。
【0020】
トナーの製造工程で、重要な位置を占める混練工程は、従来ロールミル、ニーダー、押出機などが用いられてきた。この中で広く使用されているのは二軸式の押出機である。これは連続生産が可能であるためである。
【0021】
混練軸が高速回転する噛み合い型浅溝の2軸押出機で、混練軸は、完全噛み合い型の同方向回転仕様と部分噛み合い型の異方向回転仕様が材料によって選択される。シリンダと混練軸は分割セグメント方式である。複数の分割されたセグメントでは、各セグメント毎に一定の混練温度が設定できるように加熱シリンダが具備され、また冷却用の水冷が流れる構成となっている。シリンダの中を通る混練軸は主に混練物を加熱溶融しながら先へ搬送する機能を持つ送り部と、主に混練する機能を有する練り部から構成される。送り部ではS螺旋状の構成をしており、せん断作用による混練強度は低い。練り部では強いせん断力により混練を行う。
【0022】
これらの混練工程での分散性を上げるため、特開平6−194878号公報では、混練機のシリンダの設定温度を、混練機より吐出される混練物の最低温度に対して、20℃以内に設定することが開示されている。これによって混練中のシリンダ内をトナー原材料の混練物が移動する最中に、樹脂が十分に溶融し、またこの溶融においても溶融しきれずによる粘度低下もなく、ある程度のストレスが付与された状態で吐出口より吐出されるとしている。
【0023】
また特開平6−161153号公報では、混練の設定温度を樹脂の溶融温度に対して20℃以内とし、かつ吐出温度を樹脂の溶融温度の35℃以下で行う構成が開示されている。これによって、ワックスが小粒径で均一に分散しており、ワックスの分離に原因する感光体へのフィルミングおよびそれに伴うブラックスポット、カブリなどが生じないとしている。
【0024】
また特開平6−266159号公報では混練機の前段部と後段部のバレル温度と、トナー軟化点と、吐出温度とをある一定の関係に設定することが開示されている。これによりバインダ樹脂中の添加剤分散をさらに向上させ、均一なものとし、帯電性が向上するとしている。
【0025】
しかし、高速機での定着強度を高めるために、結着樹脂の溶融粘度を下げたり低分子量化した樹脂を使用すると、長期使用中に2成分現像であればトナーがキャリアに固着するいわゆるスペントが発生し易くなる。一成分現像であれば、ドクターブレードや現像スリーブ上にトナーが固着しやすくなり、トナーの耐ストレス性が低下する。低速機に使用すると定着時ヒートローラにトナーが付着するオフセットが発生しやすくなる。また長期保存中にトナー同士が融着するブロッキングが発生する。
【0026】
高分子量成分と低分子量成分をブレンドする構成によっては、狭範囲のプロセス速度に対しては定着強度と、耐オフセット性を両立させることが可能ではあるが、広範囲のプロセス速度に対応することは難しい。広範囲のプロセス速度に対応するためにはより高い高分子量成分とより低い低分子量成分の構成にする必要がある。高速機では低分子量成分を多くすることにより定着強度を高めることができるが、耐オフセット性も悪化する。低速機では高分子量成分を多くすることにより耐オフセット性を高める効果が得られるが、高分子量成分を多くすると、トナーの粉砕性が低下し生産性が低下する弊害が生じる。そのため、高分子量成分と低分子量成分をブレンドした、あるいは共重合させた構成に対して、低軟化点離型剤の添加例えばポリプロピレンワックスの添加により、定着時ヒートローラからの離型性を良くして耐オフセット性を高める効果が得られる。さらにポリエチレンワックス添加により、それ自身摩擦低減効果を持つため定着時の熱でトナー表面に溶融析出することで、結着樹脂の定着性に寄与する低分子量成分が同量であっても、定着性向上には効果的である。つまりポリエチレンワックス添加による定着性向上作用は、複写用紙とトナーとの結合を強化するのではなく、外部からの力を逃がす効果によるものである。
【0027】
しかし上記材料は離型性が高い分だけ結着樹脂中での分散性を良好に保てないと、逆極性トナーが発生し易く、画質を悪化させる。またキャリア、感光体、現像スリーブをフィルミング汚染する課題がある。
【0028】
混練の工程で結着樹脂中に離型剤をミクロ分散させるが、この分散状態がトナーの定着性、オフセット性のみならず、帯電性にも影響を与える。分散性が悪化すると添加剤の樹脂中での偏在や遊離が生じて、逆帯電粒子の増加により地かぶりが増加する。また遊離により耐オフセット性が低下したり、感光体や現像スリーブを汚染する問題が生じる。特に低分子量成分と高分子量成分とから構成され、幅広い分子量分布を有する樹脂では、添加剤の分散不良がより生じやすい。低温で混練すると高分子量成分が十分に溶融されずに混練されるため、添加剤の分散不良が生じたり、樹脂に強ストレスが掛かるため高分子量成分の分子切断が生じ、分子量低下を招いてしまう。また高温で混練すると低分子量成分が低粘度となり混練のストレスが掛かりにくくなり、分散不良を生じ、温度と分散性とのバランスを取るのが厳しくなる。
【0029】
混練工程で分散性を上げ、定着性や帯電性を良好にする手法はすでに開示されているが、上記構成は混練軸がスクリュ部構成のみでその温度設定を限定するだけでは、混練性は向上しない。スクリュ部は主に送りの機能がメインで混練の作用は少ない機構であるからである。また混練軸におけるフィード部、およびミキシング部におけるシリンダの温度設定が混練時の分散性を向上させる重要なファクターとなるため、単に混練軸全体に対するニーディング部の構成の割合を規定するだけでは、良好な分散性は得られない。
【0030】
また、前記したように近年地球環境保護の観点から、転写後に感光体上に残留し、クリーニング手段によって回収された廃トナーを再度現像工程でリサイクルするのが好ましい。しかしながら、廃トナーをリサイクルするとき、廃トナーがクリーナ部、現像部、また廃トナーを現像部へ戻すときの輸送管内で受けるストレスなどにより離型剤の存在するトナーの軟質の部分にダメージが現れる。またクリーニング工程で感光体から掻き落とされた廃トナーを再度現像でリサイクルする際、分散不良となった廃トナーと現像器内の新しいトナーが混合すると帯電量分布が不均一になり、逆極性トナーが増加して、複写画像の品質が低下する。さらに感光体へのワックスのフィルミングが助長され、寿命低下の要因となる。また葉書などの長さの短い用紙では感光体ドラムとの摩擦力で搬送されるが、上記離型剤が感光体に付着するとその搬送力を低下させ葉書通紙不良となる。
【0031】
また、前記の導電性弾性ローラを用いた転写方式は、像担持体と導電性弾性ローラとの間に転写紙を挿通させ、前記導電性弾性ローラに転写バイアス電圧を付与することにより前記像担持体表面上にあるトナーを転写紙に転写するものであるが、かかる導電性弾性ローラを用いた転写方式では、転写紙に裏汚れが発生するといった問題がある。これは像担持体上のトナーを転写ローラを用いて転写紙に転写する場合、転写紙がない状態では転写ローラは像担持体に所定の圧力で当接しており、現像工程でカブリが多いと、かかるカブリによるトナーによって転写ローラが汚染し、このトナーによって汚染した転写ローラが送られて来た転写紙の裏面に当接するためである。
【0032】
また、後述するように、本発明に係るトナーを用いる電子写真方法では、中間転写体を用いる構成である。
転写ドラム方式では、異なる色のトナー像の位置を合わせて重ねるために転写ドラムを用い、この転写ドラムを感光体に対して同速度で回転させ、さらに像の先端のタイミングを合わせることによって、カラー像を形成する場合の各色トナー像の相互位置を合致させる。しかしながら上記のような構成では、転写ドラムに用紙を巻き付ける必要があるため、転写ドラムの径が一定の大きさ以上必要であり、またその構造が非常に複雑で高精度が要求されるため、装置が大がかりで高価なものとなっていた。また葉書や厚紙など腰の強い用紙は、転写ドラムに巻き付けることができないため使用できなかった。
【0033】
一方、連続転写方式は、色数に対応した像形成位置を有しており、そこに用紙を次々と通過させればよいため、このような転写ドラムは不要であるが、この方式では感光体上に潜像を形成するためのレーザ光学系などの潜像形成手段が色の数に対応して複数個必要であり、構造が非常に複雑で高価であった。さらにまた、像形成位置が複数箇所あるため、各色の像形成部の相対的な位置ずれ、回転軸の偏心、各部の平行度のずれなどが直接色ずれに影響し高画質を安定に得ることが困難であった。特に潜像形成手段による潜像の各色間の位置合わせを正確に行う必要があり、特開平1−250970号公報にも示されているように、潜像形成手段である像露光系に相当の工夫と複雑な構成が必要であるという問題点があった。
【0034】
さらに、中間転写材を用いる特開平2−212867号公報の例では、各色のトナー像を同一の感光体上に形成するために、複数の現像器を単一の感光体の周辺に配置しなければならず、必然的に感光体の形状が大きくなり、また感光体が取り扱いにくいベルト形状になっている。また、各現像器をメンテナンス時に交換すると感光体の特性とのマッチング調整が必要であったり、感光体の交換時には各現像器との間での位置調整が必要であったため、各色現像器や感光体のメンテナンスも困難であった。
【0035】
しかし中間転写方式は、複雑な光学系を必要としなく、また葉書や厚紙などの腰の強い用紙にも使用でき、また中間転写ベルトを使用するとフレキシブルなため、転写ドラム方式、連続転写方式に比べて、装置自体の小型化を可能に出来るメリットがある。
【0036】
また、トナーは転写時に全て転写されるのが理想であるが、一部転写残りが生じる。いわゆる転写効率は100%でなく、一般的には75〜90%程度である。この転写残りのトナーは感光体クリーニングの工程でクリーニングブレード等で掻き落とされて廃トナーとなる。
【0037】
しかし、中間転写体を使用する構成では、トナーは感光体から中間転写体へ、さらに中間転写体から受像紙へと、少なくとも2回以上の転写工程を経ることになり、通常の1回転写の複写機では、例えば85%の転写効率があっても、2回の転写により、転写効率は72%にまで低下する。さらに1回転写で75%の転写効率であるものは56%と約半分のトナーが廃トナーとなってしまい、トナーのコストアップや、廃トナーボックスの容積をより大きなものとせねばならず、これでは装置の小型化が出来ない。転写効率の低下は分散不良による逆極性の地かぶりや転写抜けが要因と考えられる。
【0038】
またカラー現像の場合は、中間転写体上で4色のトナー画像を重ねるためトナー層が厚くなり、トナー層がない、あるいは、薄いところとの圧力差が生じやすい。このため、トナーの凝集効果によって画像の一部が転写されずに穴となる”中抜け”現象が発生し易い。さらに、受像紙が詰まった場合のクリーニングを確実に行うために、中間転写体にトナーの離型効果の高い材料を用いると、中抜けは顕著に現れ、画像の品位を著しく低下させてしまう。さらに、文字やラインなどではエッジ現像となっており、トナーがより多くのり、加圧によるトナー同士の凝集を起こし、中抜けがより顕著になる。特に高湿高温の環境下でより顕著に現れる。
【0039】
本発明は上記問題点に鑑み、結着樹脂中に内添加剤の分散性を向上させ、均一な帯電分布を有するトナーを提供することを目的とする。
また、高機能な結着樹脂を使用しても、樹脂特性を劣化させることなく添加剤の分散性を向上させ安定した現像性を維持出来るトナーを提供することを目的とする。
【0040】
また、プロセス速度が広範囲に異なる機種においても、定着性と耐オフセット性を両立出来、かつ分散性に優れ帯電性が安定し高画質を可能とするトナーを提供することを目的とする。
【0041】
また、導電性弾性ローラや、中間転写体を用いた電子写真方法で転写時の中抜けや飛び散りを防止し、高転写効率が得られる現像剤を提供することを目的とする。
【0042】
また、長期使用においても、感光体、中間転写体のフィルミングを防止できる現像剤を提供することを目的とする。
また、廃トナーをリサイクルしても現像剤の帯電量、流動性の低下がなく、凝集物を生じず、長寿命化が図られ、リサイクル現像を可能とし、地球環境汚染防止と資源の再活用を可能にする現像剤を提供することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るトナーの構成は、少なくとも結着樹脂、着色剤及びポリエチレン系ワックスよりなるトナー組成物を予備混合処理、溶融混練処理、粉砕分級処理、外添処理によって製造されるトナーであって、前記ポリエチレン系ワックスのDSC法による融点が80〜140℃であり、かつ、前記溶融混練処理が、送り機能をその主要機能とする混練セグメントRと、練り機能をその主要機能とする混練セグメントNとからなり、各混練セグメント毎に加熱シリンダの温度を個別に設定できる複数の混練セグメントを有し、装置の一端側の混練セグメントに設けられた材料投入口から混練すべき材料が投入され、装置の他端側の混練セグメントに設けられた吐出口から混練溶融物が吐出されるよう構成された混練装置を用いて行われるものであり、前記トナー組成物が前記混練セグメントRにて溶融された直後に前記混練セグメントNにて混練されるように、前記混練セグメントRと前記混練セグメントNとを隣接配置させた混練ブロックが複数形成され、前記混練ブロックを材料投入口がある装置の一端側に近い方ら順に第1番目の混練ブロックB1、第2番目の混練ブロックB2、・・・第n番目の混練ブロックB(n)、第n+1番目の混練ブロックB(n+1)と設定し、少なくとも1組の前後する混練ブロックB(n)とB(n+1)を選択して、前記第n番目の混練ブロックB(n)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTb(n)℃、第n+1番目の混練ブロックB(n+1)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTb(n+1)℃、混練溶融物の吐出温度をTmt(℃)、前記ワックスのDSC法による融点をTwt(℃)とした場合、Tb(n)>Tb(n+1)+10℃ …(2)
(n:1〜5)
Tb(n)<Twt−5℃ …(3)
(n:1〜5)
Tmt<Twt+20℃ …(4)
の3つの(2)式、(3)式、(4)式を満足するように混練したものであることを特徴とする。
【0045】
さらに本発明は、第1および第2の構成において、結着樹脂の流出開始温度をTiとした場合
0<Twt−Ti<30 …(5)
の(5)式を満足するように混練したものであることを特徴とする。
【0046】
従来から、トナーの製造工程において、トナー特性を決定する上で重要な位置を占める混練工程では、ロールミル、ニーダー、押出機などの混練装置が使用される、この中で特に広く使用されているのは二軸式の押出機であり、これは連続生産が可能なためである。かかる二軸式の押出機は、一般に、混練軸が高速回転する噛み合い型浅溝の2軸押出機であり、混練すべき材料によって、混練軸が完全噛み合い型の同方向回転仕様のものと,混練軸が部分噛み合い型の異方向回転仕様のものとが選択して使用される。通常、かかる噛み合い型浅溝二軸押出機では、シリンダと混練軸が複数のセグメントに分割された分割セグメント方式であり、各セグメント毎に一定の混練温度が設定できるように加熱シリンダが具備され、また冷却用の水冷が流れるようになっている。また、シリンダの中を通る混練軸は、主に混練物を加熱溶融しながら先へ搬送する機能を持つ送り部と、主に混練する機能を有する練り部から構成されている。送り部はS螺旋状の形状で、せん断作用による混練強度は低く、逆に練り部は強いせん断力により高い混練強度が得られる。
【0047】
前記構成からなる本発明のトナーは、二軸押出機の混練軸における送り部および練り部におけるセグメントの温度設定が、トナー材料を混練する際の結着樹脂中での着色剤をはじめとする内添剤の分散性を向上させる重要なファクターになるが、単に混練軸全体に対する練り部の構成の割合を規定するだけでは、満足できるレベルまで内添剤を分散させることができず不良トナーを生成してしまうという知見を得、この知見に基づいて多くの実験を行い、セグメント毎に混練設定温度を設定できるようにした送り機能を主機能とする混練セグメントRと、練り機能を主機能とする混練セグメントNとを隣接配置させた混練ブロックを複数形成し、混練ブロック内の混練セグメントの設定最大温度と、混練溶融物の吐出温度、内添剤として添加するワックスのDSC吸熱温度を、特定の関係を満たすようにに設定すれば、内添剤が結着樹脂中に均一かつ一様に分散して、狭い帯電量分布を有し、かつ、定着性および耐オフセット性、耐感光体フィルミング性に優れたトナーを得ることを見出したものである。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明において、結着樹脂は、少なくともビニル系単量体を重合させて得られた重合体を含むものである。ビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン,P −クロルスチレンなどのスチレンの置換体、アクリル酸、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸オクチル,アクリル酸イソブチル,アクリル酸ヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸オクチル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸ヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合法を使用することができる。本発明では、かかるビニル系単量体を重合させて得られた重合体を結着樹脂の主要成分とするが、必要に応じてビニル系単量体を重合させて得られた重合体以外の重合体、例えばポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を結着樹脂に含有させることができる。
【0049】
本発明において、トナーを広範囲の現像プロセス速度(140mm/sec〜480mm/sec)に対応させるためには、前記混練時の添加剤の分散性を向上させることによるトナーの定着性および帯電性の向上だけでなく、結着樹脂の熱溶融による紙への浸透力を更に高めること,トナー定着像の表面の滑り性を上げること,および耐オフセット性を向上させるために適度な粘弾性を有するものにすることが必要である。紙への浸透力を高め、耐オフセット性を向上させるためには、結着樹脂の低分子量重合体成分と高分子量重合体成分のそれぞれにおける組成とガラス転移点と分子量を特定するのが好ましい。具体的には、低分子量重合体成分として、重量平均分子量が2500〜2万の範囲にあり,ガラス転移点が50℃以上のスチレン系重合体を含み、高分子量重合体成分として、重量平均分子量が10万以上で,ガラス転移点が50〜70℃の範囲、好ましくは重量平均分子量が12万以上でガラス転移点が55〜70℃の範囲、より好ましくは重量平均分子量が15万以上でガラス転移点が55〜65℃の範囲にあるスチレン−アクリル系共重合体を含んでなるものを使用するのが好ましい。これら低分子量重合体成分と高分子量重合体成分の配合比は9:1〜5:5の範囲にあるのが好ましい。結着樹脂の軟化点は110〜160℃の範囲、好ましくは110〜150℃の範囲、より好ましくは115〜140℃の範囲にあるのがよい。また結着樹脂のフローテスターによる流出開始温度は、80〜130℃の範囲、好ましくは85〜120℃の範囲、より好ましくは85〜110℃の範囲にあるのがよい。更に、定着性および製造段階での粉砕時における粉砕性を更に向上させるためには、結着樹脂はスチレン系成分を50〜95重量%含むものが好ましい。また結着樹脂のフローテスターによる流出開始温度は、80〜130℃の範囲、好ましくは85〜120℃の範囲、より好ましくは85〜110℃の範囲にあるのがよい。
【0050】
前記結着樹脂の重量平均分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって測定された値である。すなわち、温度25℃においてテトラヒドロフランを溶媒として毎分1mlの流速で流し、これに濃度0.5g/dlのテトラヒドロフラン試料溶液を、試料重量で10mg注入して測定した値である。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。また、結着樹脂の軟化点は、島津製作所のフローテスタ(CFT500)により、1cm3 の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより20kg/cm2 の荷重を与え、直径1mmのノズルを押し出して、このプランジャーの降下量と昇温温度特性との関係から、その特性線の1/2に対する温度を軟化点としたものである。
【0051】
前記の低分子量重合体成分と高分子量重合体成分のそれぞれにおける組成とガラス転移点と分子量を特定した結着樹脂を使用すると、テープ剥離テストで評価されるトナー定着画像の定着強度は向上するが、トナー定着画像表面を擦った場合には簡単にトナーが転写材から剥がれてしまう。本発明において、かかるトナー定着画像の耐擦過性を上げるために、トナー中に低動摩擦係数の樹脂微粒子を含有するのが好ましい。従来のトナー製造方法では、低動摩擦係数の樹脂微粒子をトナー中に添加すると、混練時における結着樹脂中での樹脂微粒子の凝集が強く、これを均一に分散性させることが困難で、地カブリ,トナー飛散,および線画における定着不良等の不具合を発生することになるが、本発明のトナー製造では、かかる低動摩擦係数の樹脂微粒子を結着樹脂中に均一かつ一様に分散でき、不良帯電トナーを生ずることなく,狭い帯電量分布を有するトナーを製造でき、地カブリ,トナー飛散などを発生せず、ベタ黒画像だけでなく線画においても高い定着強度の得られるトナーを得ることができる。
【0052】
本発明において、前記結着樹脂中にポリエチレンワックスを添加する。これは定着向上剤として作用し、画像表面での摩擦抵抗を減少させ、定着性を向上させる効果がある。好ましいのは熱分解法で作成されたポリエチレンワックスである。25℃のトルエンで1時間洗浄した場合の回収率が95%以上である。
【0053】
ポリエチレンワックスのDSC法による融点は80〜140℃、好ましくは80〜130℃、より好ましくは83〜110℃の範囲にあるのがよい。融点が140℃より高いと、定着時に離型剤が溶けず、定着ハードローラとトナーの界面に離型剤が溶出せず、高温オフセットを発生しやすくなり、また摩擦低減効果が少なくなり定着性向上効果が弱くなる。融点が80℃以下であるとトナーの耐熱性が低下して凝集や固化が起こりやすくなる。ワックスは結着樹脂100重量部当たり一般に0.1〜20重量部、好ましくは1.0〜15重量部添加される。
【0054】
また他に、離型剤として、低分子量ポリプロピレンなどの低分子量ポリアルキレン、エチレンビスアマイド、カルウナバワックス、モンタンワックス、パラフィン系ワックスを挙げることができ、これらの1種または2種以上が混合されて使用される。これらは結着樹脂に相溶せず、遊離性を有する形態が好ましい。
【0055】
また、本発明では結着樹脂中に低動摩擦係数の樹脂微粒子を添加することができる。低動摩擦係数の樹脂微粒子は0.3以下の動摩擦係数を有する樹脂微粒子であり、具体的には、ポリアルキレン微粒子、4フッ化または3フッ化樹脂微粒子、メラミン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリアセタール微粒子などを挙げることができる。このうち、ポリアルキレン微粒子は前記の離型剤としても使用できる。樹脂微粒子の平均粒径は0.1〜5μm、好ましくは0.2〜4μm、より好ましくは0.3〜3μmの範囲にあるのがよい。樹脂微粒子は結着樹脂100重量部当たり一般に0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1.0〜10重量部添加される。ここで樹脂微粒子の動摩擦係数は、JIS K 7125により測定したものである、すなわち、試験片に対する被摩擦材として、ポリカーボネート、ナイロン、ポリアセタール、アクリル、塩化ビニル樹脂,ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、4ふっ化樹脂を用いて、各被摩擦材との動摩擦係数の平均値をサンプルの動摩擦係数の基準として得られたものである。
【0056】
本発明ではトナーの着色および/または電荷制御の目的で結着樹脂に適当な顔料または染料が配合される。かかる顔料または染料としては、カーボンブラック、鉄黒、グラファイト、ニグロシン、アゾ染料の金属錯体、フタロシアニンブルー、デュポンオイルレッド、アニリンブルー、ベンジジンイエロー、ローズベンガルを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上が混合されて使用される。結着樹脂に着色および/または電荷制御に必要な量が添加される。
【0057】
本発明では結着樹脂に必要に応じて磁性粉を添加することができる。具体例としては、鉄、マンガン、ニッケル、コバルトなどの金属粉末や、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、亜鉛などのフェライトなどがある。粉体の平均粒径は一般に1μm以下、好ましくは0.6μm以下である。磁性粉はトナー全体当たり15〜70重量%添加される。添加量が15重量%以下ではトナー飛散が増加する傾向になり、70重量%以上ではトナーの帯電量が低下し、画質の劣化を引き起こす傾向になる。
【0058】
本発明ではトナー粒子に疎水性シリカを外添処理するのが好ましい。負帯電性のトナーの場合は、シリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカが好ましく、正帯電性のトナーの場合はオルガノポリシロキサンにより表面処理した疎水性シリカが好ましい。また、かかる疎水性シリカの窒素吸着によるBET比表面積は50〜350m2/gの範囲にあるのが好ましい。疎水性シリカは一般にトナー母体粒子100重量部に当たり0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部配合される。
【0059】
本発明の第1の構成では、前記したように、送り機能を主機能とする混練セグメントRと、練り機能を主機能とする混練セグメントNとからなり、各混練セグメント毎に混練設定温度を設定できるようにした複数の混練セグメントを具備し、トナー組成物が前記混練セグメントRにて溶融された直後に前記混練セグメントNにて混練されるように、前記混練セグメントRと前記混練セグメントNとを隣接配置させた混練ブロックが複数形成された分割セグメント方式の混練機を用い、前記混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTnt(℃)、前記ポリエチレン系ワックスのDSC法による融点をTwt(℃)とした場合、前記の(1)式を満足するように設定し、混練したものである。
【0060】
また、本発明の第2の構成では、前記したように、送り機能を主機能とする混練セグメントRと、練り機能を主機能とする混練セグメントNとからなり、各混練セグメント毎に混練設定温度を設定できるようにした複数の混練セグメントを具備し、トナー組成物が前記混練セグメントRにて溶融された直後に前記混練セグメントNにて混練されるように、前記混練セグメントRと前記混練セグメントNとを隣接配置させた混練ブロックが複数形成された分割セグメント方式の混練機を用い、第n番目の混練ブロックB(n)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTb(n)℃、第n+1番目の混練ブロックB(n+1)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTb(n+1)℃、混練溶融物の吐出温度をTmt(℃)、前記ワックスのDSC法による融点をTwt(℃)とした場合、前記の3つの(2)式、(3)式、(4)式を満足するように設定し、混練したものである。
【0061】
これにより、結着樹脂中での添加剤の凝集、特に定着性向上、オフセット防止用に添加するワックスの凝集を防止することができる。より詳細には、従来では極めて困難であった、幅広い分子量分布を持つ結着樹脂を用いた場合の低分子量成分または高分子量成分中での添加剤の偏在を防止することができる。
【0062】
結着樹脂と添加剤が十分に濡れていない状態で混練しても添加剤の分散性は向上せず、また、結着樹脂を軟化点以上に加熱して結着樹脂の粘度をかなり低下させた状態で混練しても混練によるストレスが有効に働かないため分散性は向上しない。またワックスの融点以上の設定温度で混練するとワックスがかなり溶融した状態で結着樹脂と混練されてもワックスを微細に分散することが出来なく、凝集した状態のままになる。
【0063】
分割セグメント方式の混練機において、樹脂は混練機からの加熱と自己発熱とによって溶融し,添加剤と結着樹脂との濡れ性を高めて練り部に送られる。本発明の構成では、混練ブロック内の混練セグメントNの設定最大混練温度を、ポリエチレンワックスの融点よりも5℃以下の温度に設定される。ワックスに不要な熱が加わらず、ワックスの溶融によるワックス同士の凝集が防止でき、均一かつ一様に分散した混練溶融物を得ることができる。より好ましくは混練ブロック内の混練セグメントNの設定最大混練温度は、ワックスの融点よりも15℃以下の温度、さらに好ましくは30℃以下の温度がよい。混練ブロックの混練セグメントNの設定最大混練温度がポリエチレンワックスの融点よりも5℃以下の温度に設定されないと、混練中に結着樹脂中でワックスの熱溶融凝集が始まり分散性が急激に悪化する。
【0064】
さらに、第n+1番目の混練ブロックB(n+1)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度を、一つ前の第n番目の混練ブロックB(n)の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度よりも10℃以上低い温度に設定する。同時に第n番目の混練ブロックB(n)の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度は、ワックスの融点よりも5℃以上低い温度に設定する。さらに、混練溶融物の吐出温度をワックスの融点よりも20℃以上上昇しないように設定し、結着樹脂に含まれる低分子量成分を中心に第n番目の混練ブロック中で適度に溶融させる。そして次の第n+1番目の混練ブロックに送られる際温度勾配を設けて混練物に加わる混練ストレスを強くし、分散性を向上させる。この構成によりワックスに不要な熱が加わらず、ワックスの溶融によるワックス同士の凝集が防止でき、均一かつ一様に分散した混練溶融物を得ることができる。また、同時に溶融混練物の吐出温度をワックスの融点よりも20℃以上温度が上昇しないように回転数、供給量、設定温度、軸構成と設定することで、混練時の混練物の自己発熱が抑制され、混練物に適度なストレスが掛かり内添剤の分散性が向上する。また、混練中に結着樹脂が適度に溶融して、結着樹脂とワックスが十分に濡れ,かつ,結着樹脂と添加剤の混合物が混練ストレスが有効に働く適度な粘度を有するものとなり、結着樹脂中に添加剤が凝集することなく、均一かつ一様に分散した混練溶融物を得ることができる。
【0065】
かかる溶融混練物の吐出温度は、好ましくはワックスの融点よりも20℃高い温度以下に設定するのがよく、より好ましく10℃、さらに好ましくは同じ温度以下に設定するのが好ましい。
【0066】
かかる第n番目混練ブロック内の混練セグメントNの設定最大混練温度は、ワックスの融点よりも5℃以下に設定することが好ましく、より好ましくは15℃、更に好ましくは30℃である。
【0067】
前記において、混練溶融物の吐出温度(Tmt)は、結着樹脂の特性,添加剤の特性と配合量,混練軸の周速度,材料供給量,混練設定温度などによって決定されるものであり、特に結着樹脂の特性(分子量、軟化点、粘弾性など)と混練設定温度の影響を強く受ける。
【0068】
さらに、本発明の構成では、結着樹脂のフローテスタによる流出開始温度をTiとすると、前記の(5)式のようにTiはTwtよりも同等〜30℃低い値が好ましい。この値に選定することで、混練中に結着樹脂よりも先にワックスが熱溶融することなく、先に樹脂が溶融して濡れ性が上がった状態でワックスと混練分散が開始されるため、ワックスの熱凝集が抑えられた状態で混練され、均一な分散状態が得られる。
【0069】
トナーの製造工程は、基本的に各種材料の予備混合処理、溶融混練処理、粉砕分級処理および外添処理をこの順に行うことからなる。
予備混合処理は、結着樹脂とこれに分散させるべき添加剤を撹拌羽根を具備したミキサなどにより均一分散する処理である。ミキサとしては、スーパーミキサ(川田製作所製)、ヘンシェルミキサ(三井三池工業製)、PSミキサ(神鋼パンテック製)、レーディゲミキサ等の公知のミキサを使用する。
【0070】
溶融混練処理は、せん断力により結着樹脂中に添加剤を分散させる処理であり、前記したように、シリンダと混練軸が複数のセグメントに分割された分割セグメント方式の混練機により前記した温度条件にて行われる。
【0071】
粉砕分級処理は、混練処理され冷却されて得られたトナー塊を、カッターミルなどで粗粉砕し、その後ジェットミル粉砕(例えばIDS粉砕機、日本ニューマティック工業)などで細かく粉砕し、さらに必要に応じて気流式分級機で微粉粒子をカットして、所望の粒度分布のトナー粒子(トナー母体粒子)を得るものである。機械式による粉砕,分級も可能であり、これには、例えば、固定したステータに対して回転するローラとの微小な空隙にトナーを投入して粉砕するクリプトロン粉砕機(川崎重工業)やターボミル(ターボ工業)などが使用される。この分級処理により一般に4〜15μmの範囲、好ましくは4〜9μmの範囲の体積平均粒子径を有するトナー粒子(トナー母体粒子)を所得する。
【0072】
外添処理は、前記分級により得られたトナー粒子(トナー母体粒子)にシリカなどの外添剤を混合する処理である。これにはヘンシェルミキサ、スーパーミキサなどの公知のミキサが使用される。
【0073】
以下本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明のトナーに使用される混練処理装置の一例の構成を概要的に示した断面図である。図1において、101は混合された原料を供給する供給機、102はモータ、103は混練軸、104は脱気のためのベント孔、105は送りのスクリュウ、106は練りのニィーディングディスク、107は練りを目的としたシールリング、108は練りを目的としたパイナップルリング、109は混練物吐出口である。ここで、スクリュウ103、ニィーディングディスク106、シールリング107、パイナップルリング108は混練軸103に嵌挿されている。混練物の吐出口109には熱電対(図示せず)が設置され、ここで吐出温度(Tmt)が測定される。
【0074】
混練機は3つの混練ブロックB(1)、B(2)、B(3)から構成されている。各ブロックは、送り機能がその主機能である混練セグメントRと、練り機能がその主機能である混練セグメントNとから構成されている。そして、これら混練セグメントは各セグメント毎に加熱ヒータが設けられ、それぞれにおいて混練設定温度が設定できるようになっている。
【0075】
混練ブロックB(1)は、混練セグメントRであるR11、R12、R13、R14と、混練セグメントNであるN11とからなる。混練ブロックB(2)は混練セグメントRであるR21と、混練セグメントNであるN21とからなる。混練セグメントN21にはその一部にシールリング107が設けられており、これにより、一時的に混練物を滞留させて混練性を上げることができるようになっている。混練ブロックB(3)は混練セグメントRであるR31と、混練セグメントNであるN31とからなる。混練セグメントN31にはその吐出口側にパイナップルリング108が設られており、これにより混練物の凝集を防いで吐出性を向上させるようにしている。
【0076】
図2は図1に示した混練処理装置の混練軸の主要部の構成を示した側面図、図3,図4は図1,図2に示した送りスクリュウの側面図と正面図、図5,図6は図1,図2に示した練りのニィーディングディスクの送りスクリュウの側面図と正面図、図7,図8は図1に示したパイナップルリングの側面図と正面図、図9,図10は図1に示したシールリングの側面図と正面図である。これらの図において、図1と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0077】
混練ブロックB(1)においてトナー材料が螺旋状をした送りスクリュウ105により溶融されながら送られて(混練セグメントR11、R12、R13、R14)、混練セグメントN11に到達し、練りのニィーディングディスク106によって練られる。さらに、混練ブロックB(2)においてトナー材料が螺旋状をした送りスクリュウ105によりトナー材料が再度溶融されながら送られて(混練セグメントR21)、混練セグメントN21に到達し、ニィーディングディスク106とシールリング107によって再度練られる。
【0078】
このときの混練軸103の回転により回転するニィーディングディスク106の最外部での周速度は225〜900mm/secの範囲、好ましくは250〜850mm/secの範囲、より好ましくは350〜800mm/secの範囲に設定されている。このニィーディングディスク106の最外部での周速度が225mm/secよりも小さいと、トナー材料に対して混練によるストレスが十分に掛からず、また処理量も低下してしまい、900mm/secより大きいとモータの負荷が増大し、消費電力が大幅に増大してしまう。
【0079】
本発明のトナーは、像担持体と導電性弾性ローラとの間に転写材を挿通させ、前記導電性弾性ローラに転写バイアス電圧を付与することにより前記像担持体上にあるトナー画像を静電気力で転写材に転写するトナー転写システムを具備する電子写真装置に好適に使用される。これは、かかるトナー転写システムは、接触転写であることから、電気力以外の機械力が転写に作用して、本来転写されるべきでない感光体表面に付着した逆極性トナーが転写されたり、通紙していない状態で感光体表面に付着したトナーが転写ローラ表面を汚染し、転写紙裏面を汚染させてしまうことがあるものであるが、本発明のトナーは、結着樹脂中に添加剤が均一かつ一様に分散したものになることから、かかるトナーを当該トナー転写システムを具備した画像形成装置に適用した場合には、トナーの流動性が良好に維持されて逆極性トナーを発生せず、また、感光体表面へのトナーやトナーから遊離した低軟化点ワックスのフィルミングが生じず、転写紙の不要トナー粒子による汚染を防止することができるためである。また、転写ローラ表面へのトナーや遊離した低軟化点ワックスのフィルミングも防止できるので、転写ローラ表面から感光体表面へトナーや遊離した低軟化点ワックスが再転写することにより生ずる画像欠陥も防止することができる。
【0080】
また、本発明のトナーは、転写プロセス後に像担持体上に残留したトナーを現像装置内に回収して再度現像プロセスに利用する廃トナーリサイクルシステムを具備する電子写真装置に好適に使用される。これは、本発明の製法により得られるトナーが、結着樹脂中に添加剤が均一かつ一様に分散してなるものであるにことにより、トナーがクリーニング器から現像器に回収されていく間のクリーニング器,クリーニング器と現像器をと繋ぐ輸送管および現像器の内部にて機械的衝撃を受けても添加剤の脱落が少なく、不良帯電トナー(粒子)の発生を軽減でき、廃トナーリサイクルにおけるトナーの流動性及び帯電量の低下、感光体上でのトナーフィルミングを防止できるためである。
【0081】
また、本発明のトナーは、像担持体の表面に形成されたトナー画像を、前記像担持体の表面に無端状の中間転写体の表面を当接させて当該表面に前記トナー画像を転写させる一次転写プロセスが複数回繰り返し実行され、この後、この一次転写プロセスの複数回の繰り返し実行により前記中間転写体の表面に形成された重複転写トナー画像を転写材に一括転写させる2次転写プロセスが実行されるよう構成された転写システムを具備する電子写真装置に好適に使用される。これは、本発明の製法により得られるトナーが結着樹脂中に添加剤が均一かつ一様に分散してなるものであることにより、低軟化点の離型剤がトナーから脱落して中間転写体へフィルミンングすることがなく、転写効率の低下が抑制されるためである。また、低動摩擦係数の樹脂微粒子の均一かつ一様な分散により、トナー粒子同士間の相互の付着力が小さくなって、トナーの凝集が緩和されるため、トナーの凝集効果によって画像の一部が転写されずに穴となる”中抜け”現象を減少できるためである。
【0082】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
表1は本実施例で結着樹脂として使用するスチレンアクリル酸ブチル共重合体の熱特性を示している。
【0083】
【表1】
Figure 0003698503
【0084】
表1において、Tgはガラス転移点、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量、Tm、Tiはフローテスターでの軟化点、流出開始温度である。
本実施例で使用するポリエチレンワックスにおいて、PE−1はLEL400P(三洋化成社製)で、平均分子量は4000である。またPE−2はNL500(三井石化社製)で、平均分子量は4300、DSC法による融点Twtは105℃である。
【0086】
表3は図1に示した混練装置(具体的には池貝社製PCM63)における各混練セグメントの設定温度と、吐出温度を示している。
【0087】
【表3】
Figure 0003698503
【0088】
表4は本実施例で製造したトナーサンプルのサンプル番号、使用した結着樹脂、ポリエチレンワックス、混練条件を示している。なお、トナーサンプルA1、A4及びA5は参考例である。
【0089】
【表4】
Figure 0003698503
【0090】
なお、混練での材料の供給量、混練軸の回転における周速度は条件G−1、2、3においては、それぞれ75kg/h、600mm/secであり、条件G−4、5、6においては、それぞれ65kg/h、550mm/secである。
(実施例1)
図11は本実施例で使用した現像方式が磁性一成分現像方式の電子写真装置の構成を示す断面図である。図11において、201は有機感光体で、アルミニウムの導電性支持体上にポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エレックBL−1)にτ型無金属フタロシアニン(東洋インキ製)の電荷発生物質を分散した電荷発生層と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学製Z−200)と、1,1−ビス(P−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(アナン社製T−405)を含む電荷輸送層を順次積層した構成のものである。202は感光体201と同軸で固定された磁石、203は感光体をマイナスに帯電するコロナ帯電器、204は感光体の帯電電位を制御するグリッド電極、205は信号光である。
【0091】
207は磁性一成分トナー、206は感光体201表面に磁性一成分トナー207を供給するトナーホッパー、208は感光体201とギャップを開けて設定した非磁性電極ローラ、209は電極ローラ208の内部に設置された磁石、210は電極ローラ208に電圧を印加する交流高圧電源、211は電極ローラ上のトナーをかきおとすポリエステルフィルム製のスクレーパ、212はトナーホッパー内でのトナーの流れをスムーズにし、またトナーが自重で押しつぶされ感光体と電極ローラとの間でのつまりが発生するのを防止するためのダンパーである。これらにより露光後の潜像を可視像化するための現像装置が構成される。ここで、電極ローラ208は非画像部の余分なトナーを回収するためのものである。
【0092】
213は感光体上のトナー像を紙に転写する転写ローラで、その表面が感光体201の表面に接触するように設定されている。転写ローラ213は導電性の金属からなる軸の周囲に導電性弾性部材を設けた弾性ローラである。感光体201への押圧力は転写ローラ213一本(約216mm)当たり0〜2000g、望ましくは500〜1000gである。これは転写ローラ213を感光体201に圧接するためのバネのバネ係数と縮み量の積から測定した。感光体201との接触幅は約0.5mm〜5mmである。転写ローラ213のゴム硬度はアスカーCの測定法(ローラ形状でなく、ブロック片を用いた測定)で80度以下で、望ましくは30〜40度である。弾性ローラ213は直径6mmのシャフトの周辺にLi20などのリチウム塩を内添することによりを抵抗値を107 Ω(軸と表面に電極を設け、両者に500V印加する)にした発泡性のウレタンエラストマーを用いた。転写ローラ213全体の外径は16.4mmで、硬度はアスカーCで40度であった。転写ローラ213を感光体201に転写ローラ213の軸を金属バネで押圧する事で接触させた。押圧力は約1000gであった。ローラの弾性体としては前記発泡性のウレタンのエラストマーの他にCRゴム、NBR、Siゴム、フッ素ゴムなどの他の材料からなる弾性体を使用することもできる。そして導電性を付与するための導電性付与剤としては前記リチウム塩の他にカーボンブラック等の他の導電性物質を使用することもできる。
【0093】
214は転写紙を転写ローラ213に導入する導電性部材からなる突入ガイド、215は導電性部材の表面を絶縁被覆した搬送ガイドである。突入ガイド214と搬送ガイド215は直接あるいは抵抗を介して接地している。216は転写紙、217は転写ローラ213に電圧印加する電圧発生電源である。
【0094】
218は転写残りのトナーをかき落とすクリーニングブレード、219は廃トナーを貯めるクリーニングボックス、224は廃トナーである。クリーニングブレードに弾性体ウレタンブレードを用いたが、バイアス印加したファーブラシや、導電性金属ローラでも同様の結果となる。
【0095】
感光体201表面での磁束密度は600Gsである。電極ローラ208内部の磁力の方を強くして搬送性を向上させた。また図中に示す磁石202の磁極角はθは15度に設定した。感光体201の直径は30mmで、周速260mm/sで図中の矢印の方向に回転させ用いた。電極ローラ208の直径は16mmで、周速40mm/sで感光体201の進行方向とは逆方向(図中の矢印方向)に回転させ用いた。感光体201と電極ローラ208とのギャップは300μmに設定した。感光体201をコロナ帯電器203(印加電圧−4.5kV、グリッド204の電圧−500V)で、ー500Vに帯電させた。この感光体201にレーザ光205を照射し静電潜像を形成した。このとき感光体201の露光電位はー90Vであった。この感光体201表面上に、トナー207をトナーホッパー206内で磁石により付着させた。次に感光体201を電極ローラ208の前を通過させた。感光体201の未帯電域の通過時には、電極ローラ208には交流高圧電源210により、0Vの直流電圧を重畳した750V0-p(ピーク・ツー・ピ ーク 1.5kV)の交流電圧(周波数1kHz)を印加した。その後、−500Vに帯電し静電潜像が書き込まれた感光体201の通過時には、電極ローラ208には交流高圧電源210により、−350Vの直流電圧を重畳した750V0-p(ピーク・ツー・ピーク 1.5kV)の交流電圧(周波数1kHz)を印 加した。すると感光体201の帯電部分に付着したトナーは電極ローラ208に回収され、感光体201上には画像部のみのネガポジ反転したトナー像が残った。
【0096】
矢印方向に回転する電極ローラ208に付着したトナーは、スクレーパ211によってかきとり、再びトナーホッパー206内に戻し次の像形成に用いた。こうして感光体201上に得られたトナー像を転写紙216に転写ローラ213によって転写した後、定着器(図示せず)により熱定着して複写画像が得られる。
【0097】
表5は本実施例1において使用するトナーの処方を示している。
【0098】
【表5】
Figure 0003698503
【0099】
表6はかかる電子写真装置により、トナーサンプルAを用いて画像出しを行った評価結果を示す。なお、トナーサンプルA1、A4及びA5は参考例である。
【0100】
【表6】
Figure 0003698503
【0101】
画像評価は画像形成の初期と1万枚後の耐久テスト後の画像濃度と地かぶりを評価した。地かぶりは明視にて判断し、実用上問題ないレベルであれば合格(○)とした。さらに、感光体上へのフィルミングが発生すると、葉書用紙の搬送力が低下し、さらに感光体上に黒点が発生し画像ノイズとなって現れる。またワックスの分散状態は混練後の塊を透過型電子顕微鏡にて観察した平均の粒径で評価した。
【0102】
トナーサンプルAではワックスの分散粒子径が小さく、分散が十分に施されている。かかる電子写真装置により、トナーサンプルAを用いて画像出しを行ったところ、横線の乱れやトナーの飛び散り、転写不良や紙の裏汚れがなく、文字の中抜けなどがなくベタ黒画像が均一で、濃度が1.4の16本/mmの画線をも再現した極めて高解像度高画質の画像を得ることができた。画像濃度1.4以上の高濃度の画像が得られた。非画像部での地かぶりも発生していなかった。更に、10000枚の長期複写テストを行ったところ、スクレーパへのトナーの固着はなく、また感光体表面へのトナー(ワックス)のフィルミングはなく、初期の画像に比べて遜色のない高濃度、低地カブリの複写画像が得られた。
【0103】
しかし混練条件を変えたサンプルBではワックスの分散粒子径が多く、分散が十分に施されておらず、カブリが多く、感光体へのフィルミングが発生した。
(実施例2)
図12は本実施例で使用した電子写真装置の構成を示す断面図である。本実施例装置は、FP−4080(松下電器社製)複写機を改造し、廃トナーリサイクル機構を付加した構成である。現像は二成分方式で、キャリアはシリコン樹脂コートしたCu−Zn−Fe23 を使用した。
【0104】
220は現像スリーブ、221はドクターブレード、222はキャリア保持のためのマグネットロール、223はキャリア、224は転写残りの廃トナー、225はクリーニングボックス219中の廃トナー224を現像工程に戻すための輸送管である。その他の符号は図11の電子写真装置と同様な部材である。転写残りのトナーをクリーニングブレード218でかき落とし、クリーニングボックス219に一時的に貯められた廃トナー224は、輸送管225によって現像工程に戻されるよう構成されている。
【0105】
表7は本実施例2において使用するトナーの処方を示している。顔料以外は同じ材料を使用し、混練条件も実施例1と同一で行った。
【0106】
【表7】
Figure 0003698503
【0107】
表8はかかる電子写真装置により、トナーサンプルAを用いて画像出しを行った評価結果を示す。なお、トナーサンプルA1、A4及びA5は参考例である。
【0108】
【表8】
Figure 0003698503
【0109】
画像評価は画像形成の初期と20万枚後の耐久テスト後の画像濃度と地かぶりに評価した。地かぶりは明視にて判断し、実用上問題ないレベルであれば合格(○)とした。さらに、感光体上へのフィルミングが発生すると、葉書用紙の搬送力が低下し、さらに感光体上に黒点が発生し画像ノイズとなって現れる。またワックスの分散状態は混練後の塊を透過型電子顕微鏡にて観察した平均の粒径で評価した。
【0110】
トナーサンプルAではワックスの分散粒子径が小さく、分散が十分に施されている。かかる電子写真装置により、トナーサンプルAを用いて画像出しを行ったところ、横線の乱れやトナーの飛び散り、転写不良や紙の裏汚れがなく、文字の中抜けなどがなくベタ黒画像が均一で、濃度が1.4の16本/mmの画線をも再現した極めて高解像度高画質の画像を得ることができた。画像濃度1.4以上の高濃度の画像が得られた。非画像部での地かぶりも発生していなかった。更に、20万枚の長期複写テストを行ったところ、スクレーパへのトナーの固着はなく、また感光体表面へのトナー(ワックス)のフィルミングはなく、初期の画像に比べて遜色のない高濃度、低地カブリの複写画像が得られた。
【0111】
しかし混練条件を変えたサンプルBではワックスの分散粒子径が多く、分散が十分に施されておらず、カブリが多く、感光体へのフィルミングが発生した。またリサイクル時のワックスの浮遊物と思われる材料が輸送管内に蓄積し、廃トナーの現像工程への輸送性が悪化した。
(実施例3)
表7のトナーサンプルAを用いて、FP−4080(松下電器社製)複写機を改造し、プロセス速度を140mm/sec(低速)での高温オフセット性と、450mm/sec(高速)での定着率の定着性評価を行った。
【0112】
プロセス速度とは機械の時間当たりの複写処理能力に関係し、感光体の周速度を示している。感光体の周速度によって複写用紙の搬送速度が決まる。従来は、たとえば低速機では耐オフセット性を向上させるため、粘弾性の高い高軟化点の結着樹脂材料を使用する。高速機では定着に必要な熱量が得にくいため、定着性を高めるために軟化点を下げた特性の異なる別の結着樹脂を使用し、プロセス速度の異なる機種毎に別々の種類のトナーを使用している。
【0113】
しかし本発明のトナーを使用することでプロセス速度が広範囲に異なる機種においても、定着性と耐オフセット性を両立出来、1種類のトナーで共通することが可能となる。
【0114】
現像は二成分方式で、キャリアはシリコン樹脂コートしたCu−Zn−Fe203を使用した。定着率は75%以上、オフセット性は180℃以上を合格レベルとした。
【0115】
定着率は画像濃度1.0±0.2のパッチを各列毎に、ベンコット(旭化成社製商標)を巻いた500g(φ36mm)の錘で10往復擦過し、擦過前後の画像濃度をマクベス反射濃度計にて測定し、その変化率で定義した。
【0116】
定着性評価を行った結果を(表9)に示す。
【0117】
【表9】
Figure 0003698503
【0118】
トナーサンプルAは低速度での高温オフセット性、高速度での定着率は良好な特性を示し、高速機と低速機とを1つのトナーで共有化することが出来ることが出来た。
(実施例4)
図13は本実施例で使用したフルカラー画像形成用の電子写真装置の構成を示す断面図である。図13において、1はカラー電子写真プリンタの外装筐で、図中の右端面側が前面である。1Aはプリンタ前面板であり、この前面板1Aはプリンタ外装筐1に対して下辺側のヒンジ軸1Bを中心に点線表示のように倒し開き操作、実線表示のように起こし閉じ操作自由である。プリンタ内に対する中間転写ベルトユニット2の着脱操作や紙詰まり時などのプリンタ内部点検保守等は前面板1Aを倒し開いてプリンタ内部を大きく解放することにより行われる。この中間転写ベルトユニット2の着脱動作は、感光体の回転軸母線方向に対し垂直方向になるように設計されている。
【0119】
中間転写ベルトユニット2の構成を図14に示す。中間転写ベルトユニット2はユニットハウジング2aに、中間転写ベルト3、導電性弾性体よりなる第1転写ローラ4、アルミローラよりなる第2転写ローラ5、中間転写ベルト3の張力を調整するテンションローラ6、中間転写ベルト3上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナローラ7、クリーナローラ7上に回収したトナーをかきおとすスクレーパ8、回収したトナーを溜おく廃トナー溜め9aおよび9b、中間転写ベルト3の位置を検出する位置検出器10を内包している。この中間転写ベルトユニット2は、図13に示されているように、プリンタ前面板1Aを点線のように倒し開いてプリンタ外装筐1内の所定の収納部に対して着脱自在である。
【0120】
中間転写ベルト3は、絶縁性樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(たとえば三菱ガス化学製,ユーピロンZ300)95重量部に、導電性カーボン(たとえばケッチェンブラック)5重量部を加えてフィルム化したものを用いた。また、表面に弗素樹脂をコートした。フィルムの厚みは約350μm、抵抗は約107〜108Ω・cmである。ここで、中間転写ベルト3としてポリカーボネート樹脂に導電性フィラーを混練し、これをフィルム化したものを用いているのは、中間転写ベルト3の長期使用による弛みや,電荷の蓄積を有効に防止できるようにするためであり、また、表面を弗素樹脂でコートしているのは、長期使用による中間転写ベルト表面へのトナーフィルミングを有効に防止できるようにするためである。
【0121】
この中間転写ベルト3を、厚さ100μmのエンドレスベルト状の半導電性のウレタンを基材としたフィルムよりなり、周囲に107 Ω・cmの抵抗を有するように低抵抗処理をしたウレタンフォームを成形した第1転写ローラ4、第2転写ローラ5およびテンションローラ6に巻回し、矢印方向に移動可能に構成する。ここで、中間転写ベルト3の周長は、最大用紙サイズであるA4用紙の長手方向の長さ(298mm)に、後述する感光体ドラム(直径30mm)の周長の半分より若干長い長さ(62mm)を足した360mmに設定している。
【0122】
中間転写ベルトユニット2がプリンタ本体に装着されたときには、第1転写ローラ4は、中間転写ベルト3を介して感光体11(図14に図示)に約1.0kgの力で圧接され、また、第2転写ローラ5は、中間転写ベルト3を介して上記の第1転写ローラ4と同様の構成の第3転写ローラ12(図14に図示)に圧接される。この第3転写ローラ12は中間転写ベルト3に従動回転可能に構成している。
【0123】
クリーナローラ7は、中間転写ベルト3を清掃するベルトクリーナ部のローラである。これは、金属性のローラにトナーを静電的に吸引する交流電圧を印加する構成である。なお、このクリーナローラ7はゴムブレードや電圧を印加した導電性ファーブラシであってもよい。
【0124】
図13において、プリンタ中央には黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色用の4組の扇型をした像形成ユニット17Bk、17Y、17M、17Cが像形成ユニット群18を構成し、図のように円環状に配置されている。各像形成ユニット17Bk、17Y、17M、17Cは、プリンタ上面板1Cをヒンジ軸1Dを中心に開いて像形成ユニット群18の所定の位置に着脱自在である。像形成ユニット17Bk、17Y、17M、17Cはプリンタ内に正規に装着されることにより、像形成ユニット側とプリンタ側の両者側の機械的駆動系統・電気回路系統が相互カップリング部材(不図示)を介して結合して機械的・電気的に一体化する。
【0125】
円環状に配置されている像形成ユニット17Bk、17C、17M、17Yは支持体(図示せず)に支持されており、全体として移動手段である移動モータ19に駆動され、固定されて回転しない円筒状の軸20の周りに回転移動可能に構成されている。各像形成ユニットは、回転移動によって順次前述の中間転写ベルト3を支持する第2転写ローラ4に対向した像形成位置21に位置することができる。像形成位置21は信号光22による露光位置でもある。
【0126】
各像形成ユニット17Bk、17C、17M、17Yは、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するため黒用の像形成ユニット17Bkについて説明し、他色用のユニットの説明については省略する。
【0127】
35はプリンタ外装筐1内の下側に配設したレーザビームスキャナ部であり、図示しない半導体レーザ、スキャナモータ35a、ポリゴンミラー35b、レンズ系35cなどから構成されている。このレーザビームスキャナ部35からの画像情報の時系列電気画素信号に対応した画素レーザ信号光22は、像形成ユニット17Bkと17Yの間に形成された光路窓口36を通って、軸20の一部に開けられた窓37を通して軸20内の固定されたミラー38に入射し、反射されて像形成位置21にある像形成ユニット17Bkの露光窓25から像形成ユニット17Bk内にほぼ水平に進入し、像形成ユニット内に上下に配設されている現像剤溜め26とクリーナ34との間の通路を通って感光体11の左側面の露光部に入射し母線方向に走査露光される。
【0128】
ここで光路窓口36からミラー38までの光路は両隣の像形成ユニット17Bkと17Yとのユニット間の隙間を利用しているため、像形成ユニット群18には無駄になる空間がほとんど無い。また、ミラー38は像形成ユニット群18の中央部に設けられているため、固定された単一のミラーで構成することができ、シンプルでかつ位置合わせなどが容易な構成である。
【0129】
12はプリンタ前面板1Aの内側で紙給送ローラ39の上方に配設した第3転写ローラであり、中間転写ベルト3と第3転写ローラ12との圧接されたニップ部には、プリンタ前面板1Aの下部に設けた紙給送ローラ39により用紙が送られてくるように用紙搬送路が形成されている。
【0130】
40はプリンタ前面板1Aの下辺側に外方に突出させて設けた給紙カセットであり、複数の紙Sを同時にセットできる。41aと41bとは紙搬送タイミングローラ、42a・42bはプリンタの内側上部に設けた定着ローラ対、43は第3転写ローラ12と定着ローラ対42a・42b間に設けた紙ガイド板、44a・44bは定着ローラ対42a・42bの紙出口側に配設した紙排出ローラ対、45は定着ローラ42aに供給するシリコンオイル46を溜める定着オイル溜め、47はシリコンオイル46を定着ローラ42aに塗布するオイル供給ローラである。
【0131】
各像形成ユニット17Bk、17C、17M、17Y、中間転写ベルトユニット2には、廃トナー溜めを設けている。
以下、動作について説明する。
【0132】
最初、像形成ユニット群18は、図13に示すように、黒の像形成ユニット17Bkが像形成位置21にある。このとき感光体11は中間転写ベルト3を介して第1転写ローラ4に対向接触している。
【0133】
像形成工程により、レーザビームスキャナ部35により黒の信号光が像形成ユニット17Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われる。このとき像形成ユニット17Bkの像形成の速度(感光体の周速に等しい60mm/s)と中間転写ベルト3の移動速度は同一になるように設定されており、像形成と同時に第1転写ローラ4の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト3に転写される。このとき第1転写ローラには+1kVの直流電圧を印加した。黒のトナー像がすべて転写し終わった直後に、像形成ユニット17Bk、17C、17M、17Yは像形成ユニット群18として全体が移動モータ19に駆動されて図中の矢印方向に回転移動し、ちょうど90度回転して像形成ユニット17Cが像形成位置21に達した位置で止まる。この間、像形成ユニットの感光体以外のトナーホッパ26やクリーナ34の部分は感光体11先端の回転円弧より内側に位置しているので、中間転写ベルト3が像形成ユニットに接触することはない。
【0134】
像形成ユニット17Cが像形成位置21に到着後、前と同様に今度はシアンの信号でレーザビームスキャナ部35が像形成ユニット17Cに信号光22を入力しシアンのトナー像の形成と転写が行われる。このときまでに中間転写ベルト3は一回転し、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するように、シアンの信号光の書き込みタイミングが制御される。この間、第3転写ローラ12とクリーナローラ7とは中間転写ベルト3から少し離れており、転写ベルト上のトナー像を乱さないように構成されている。
【0135】
以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット40から送られる用紙に、第3転写ローラ12の作用で一括転写される。このとき第2転写ローラ5は接地し、第3転写ローラ12には+1.5kVの直流電圧を印加した。用紙に転写されたトナー像は定着ローラ対42a・42bにより定着された。用紙はその後排出ローラ対44a・44bを経て装置外に排出された。中間転写ベルト3上に残った転写残りのトナーは、クリーナローラ7の作用で清掃され次の像形成に備えた。
【0136】
次に単色モード時の動作を説明する。単色モード時は、まず所定の色の像形成ユニットが像形成位置21に移動する。次に前と同様に所定の色の像形成と中間転写ベルト3への転写を行い、今度は転写後そのまま続けて、次の第3転写ローラ12により給紙カセット40から送られてくる用紙に転写をし、そのまま定着した。
【0137】
なお、本装置では、像形成ユニットの構造としては実施例1、2に記載の現像方法を用いた構造のものを使用しているが、他にコンベンショナルな現像法を用いた構造の像形成ユニットを用いることもできる。
【0138】
表10は本実施例3で使用したトナーサンプルの処方である。
【0139】
【表10】
Figure 0003698503
【0140】
ここでは結着樹脂として実施例1で使用したスチレンアクリル酸ブチル共重合体を用い、混練条件は実施例1と同様の条件で行い、イエロートナーのイエロー着色剤としてベンジジン系黄色顔料を5重量部、マゼンタトナーのマゼンタ着色剤としてナフロール系不溶性アゾ顔料6重量部、シアントナーのシアン着色剤として銅フタロシアニン顔料を5重量部用いた。また、電荷制御剤として酸価20のポリエステル樹脂を20重量部添加した。なお、電荷制御剤としてのポリエステル樹脂は酸価が5〜40の範囲のものを使用するのが好ましく、結着樹脂100重量部に対して5〜45重量部添加するのが好ましい。
【0141】
かかる電子写真装置により、前記のように製造したトナーサンプルを用いて画像出しを行ったところ、横線の乱れやトナーの飛び散り、文字の中抜けなどがなくベタ黒画像が均一で濃度が1.4の16本/mmの画線をも再現した極めて高解像度高画質の画像が得られ、画像濃度1.4以上の高濃度の画像が得られた。また、非画像部の地かぶりも発生していなかった。更に、5千枚の長期耐久テストにおいても、流動性、画像濃度とも変化が少なく安定した特性を示した。また転写においても中抜けは実用上問題ないレベルであり、転写効率は90%であった。また、感光体、中間転写ベルトへのトナー(離型剤)のフィルミングも実用上問題ないレベルであった。
【0142】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、送り機能を主機能とする混練セグメントRと、練り機能を主機能とする混練セグメントNとからなり、各セグメント毎に混練設定温度を設定できるようにした複数の混練セグメントを具備する分割セグメント方式の混練機を用い、特定の混練温度設定条件にて、特定の融点を有するポリエチレンワックスを含むトナー材料を混練することにより、結着樹脂中にワックスが極めて良好に分散し、優れた定着性、耐オフセット性、現像性および転写効率を有するトナーを再現性良く得ることができる。
【0143】
また、現像器の小型化、簡素化および低コスト化を可能にした現像方法に適用した場合に、高濃度、低地かぶりの高画質画像を得ることができるトナーを得ることができる。また、中間転写体、ローラ転写を用いた転写システムを具備する電子写真装置に適用した場合に、中抜けや飛び散りが防止され、高転写効率が得られるトナーを製造することができる。また、長期使用においても、感光体、中間転写体などへのフィルミングの発生を防止できるトナーを得ることができる。また、廃トナーリサイクルシステムを具備する電子写真装置に適用した場合に、帯電量の低下がなく、凝集物を生じず、長期に亘って、高画質画像を形成することができるトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーに使用される混練処理装置の一例の構成を概要的に示した断面図である。
【図2】図1に示した混練処理装置の混練軸の主要部の構成を示した側面図である。
【図3】図1,図2に示した送りスクリュウの側面図である。
【図4】図1,図2に示した送りスクリュウの正面図である。
【図5】図1,図2に示した練りのニィーディングディスクの送りスクリュウの側面図である。
【図6】図1,図2に示した練りのニィーディングディスクの送りスクリュウの正面図である。
【図7】図1,図2に示したシールリングの側面図である。
【図8】図1,図2に示したシールリングの正面図である。
【図9】図1に示したパイナップルリングの側面図である。
【図10】図1に示したパイナップルリングの正面図である。
【図11】本発明の実施例1で使用した現像方式が磁性一成分現像方式の電子写真装置の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2で使用した電子写真装置の構成を示す断面図である。
【図13】本発明の実施例3で使用したカラー電子写真装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】図13に示した中間転写ベルトユニットの構成を示す断面図である。
【図15】カラー電子写真装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2 中間転写ベルトユニット
3 中間転写ベルト
4 第1転写ローラ
5 第2転写ローラ
6 テンションローラ
11 感光体
12 第3転写ローラ
17Bk・17C・17M・17Y 像形成ユニット
18 像形成ユニット群
21 像形成位置
22 レーザ信号光
35 レーザビームスキャナ部
38 ミラー
103 混練軸
104 ベント孔
105 送りのスクリュウ
106 練りのニィーディングディスク
107 シールリング
108 パイナップルリング
109 吐出口
B(1)、B(2)、B(3) 混練ブロック
R11、R12、R13、R14、R21、R31 混練セグメントR
N11、N21、N31 混練セグメントN
201 感光体
202 感光体に内包された固定磁石
203 コロナ帯電器
204 グリッド電極
206 トナーホッパー
207 磁性一成分トナー(現像剤)
208 電極ローラ
209 電極ローラ内部に設置された磁石
211 スクレーパ
213 転写ローラ
214 突入ガイド
215 搬送ガイド
216 転写紙
218 クリーニングブレード
219 クリーニングボックス
220 現像スリーブ
221 ドクターブレード
222 マグネットロール
224 廃トナー
225 廃トナー輸送管

Claims (7)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びポリエチレン系ワックスよりなるトナー組成物を予備混合処理、溶融混練処理、粉砕分級処理、外添処理によって製造されるトナーであって、
    前記ワックスのDSC法による融点が80〜140℃であり、かつ、前記溶融混練処理が、送り機能をその主要機能とする混練セグメントRと、練り機能をその主要機能とする混練セグメントNとからなり、各混練セグメント毎に加熱シリンダの温度を個別に設定できる複数の混練セグメントを有し、装置の一端側の混練セグメントに設けられた材料投入口から混練すべき材料が投入され、装置の他端側の混練セグメントに設けられた吐出口から混練溶融物が吐出されるよう構成された混練装置を用いて行われるものであり、
    前記トナー組成物が前記混練セグメントRにて溶融された直後に前記混練セグメントNにて混練されるように、前記混練セグメントRと前記混練セグメントNとを隣接配置させた混練ブロックが複数形成され、前記混練ブロックを材料投入口がある装置の一端側に近い方から順に第1番目の混練ブロックB1、第2番目の混練ブロックB2、・・・第n番目の混練ブロックB(n)、第n+1番目の混練ブロックB(n+1)と設定し、少なくとも1組の前後する混練ブロックB(n)とB(n+1)を選択して、前記第n番目の混練ブロックB(n)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTb(n)℃、第n+1番目の混練ブロックB(n+1)内の混練セグメントNの設定混練温度の最大温度をTb(n+1)℃、混練溶融物の吐出温度をTmt(℃)、前記ワックスのDSC法による融点をTwt(℃)とした場合、
    Tb(n)>Tb(n+1)+10℃
    (n:1〜5)
    Tb(n)<Twt−5℃
    (n:1〜5)
    Tmt<Twt+20℃
    の3つの式を満足するように混練してなることを特徴とするトナー。
  2. 結着樹脂の流出開始温度をTiとすると、
    0<Twt−Ti<30℃
    の式を満足するように混練してなる請求項1記載のトナー。
  3. 請求項1,2いずれか記載のトナーにより像担持体上の静電潜像を可視像化し、前記像保持体と導電性弾性ローラとの間に転写材を挿通させ、前記導電性弾性ローラに転写バイアス電圧を付与し、前記像担持体上の静電潜像を可視像化したトナーを転写することを特徴とする画像形成装置。
  4. 転写プロセス後に像担持体上に残留したトナーを現像装置内に回収して再度現像プロセスに利用する廃トナーリサイクル手段を具備する画像形成装置に請求項1,2いずれか記載のトナーを使用することを特徴とする画像形成装置。
  5. 像担持体上に形成した静電潜像を顕像化されたトナー画像を、前記像担持体に無端状の中間転写体の表面を当接させて前記中間転写体の表面に前記トナー画像を転写させる一次転写プロセスが複数回繰り返し実行され、この後に、この一次転写プロセスの複数回の繰り返し実行により前記中間転写体の表面に形成された重複転写トナー画像を転写材に一括転写させる2次転写プロセスが実行されるよう構成された転写手段を具備する画像形成装置に請求項1,2のいずれか記載のトナーを使用することを特徴とする画像形成装置。
  6. 中間転写体がカーボンブラックを含有したポリカーボネートを基本成分とするものである請求項5記載の画像形成装置。
  7. 中間転写体が弗素樹脂により表面処理を施したものである請求項5記載の画像形成装置。
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