JP5945530B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真用トナーに関し、特にカプセルトナーに関する。
カプセルトナーは、コアと、コアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とから構成される。特許文献1、2には、分散剤が溶解している水性媒体にコアを固体状態で分散した状態でコア表面にシェル層を被覆するトナーの製造方法が開示されている。
特許文献1又は2に記載の製造方法では、アニオン性の分散剤を用いているため、コアの表面にアニオン性の分散剤を付着させることができれば、コアの凝集を抑制することができると考えられる。しかし、分子量が小さい分散剤は、水性媒体に溶解し易いため、トナーコアの表面に付着しにくい一方、分散剤の分子量を大きくすると、分散剤が高分子凝集剤として機能し易くなり、コアの凝集が生じ易くなる。
そこで、コアにアニオン性の特性を持たせることで、従来から用いられていたアニオン性の分散剤等の電解質材料を用いることなく、カチオン系の膜形成材料をコアの表面に引き付け、in-situ重合によって重合固着させ緻密なカプセル材料を得る技術が提案されている。アニオン性の添加剤を用いず直接カプセル化材料をトナー表面に引き付け重合させることで、コアの主成分である結着樹脂のガラス転移点Tgがシェル層の材料の硬化温度を下回る場合においても、カプセル形成時にトナー粒子が凝集することなく、緻密なカプセルトナーが得られる。
特開2004−294468号公報 特開2004−294469号公報
しかしながら、耐熱保存特性を得るために緻密なカチオン性膜を形成すると、トナーがチャージアップ(トナー粒子が過剰に帯電すること)しやすく、印字を繰り返すうちにトナーの帯電量が上昇し、画像濃度が低下するおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、常に安定した画像濃度が得られる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意検討することによって、トナー表面にシェル層を形成するときに生じるナトリウムイオンを積極的にシェル層に取り込むことにより、トナーのチャージアップを抑制できることを見出した。このナトリウムイオンは、シェル層の重合反応が酸性条件下で行われるため、重合反応終了後の中和剤として投入する水酸化ナトリウム、また膜の形成材料の一部として用いられるビニルポリマーの金属塩に由来するナトリウムイオンを、トナーに存在するカルボキシル基、スルホン酸基に塩として取り込ませることにより、その存在量を制御できる。
即ち、本発明に係る電子写真用トナーは、pH4におけるゼータ電位が−5mV以下であるアニオン性のトナーコアの表面に、カチオン性のシェル層が形成されてなるカプセルトナー粒子を含有し、前記カプセルトナー粒子の表面に残存するナトリウム元素量が、誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)による測定で200ppm以上1000ppm以下であることを要旨とする。
このような構成によれば、常に安定した画像濃度が得られる電子写真用トナーを提供することができる。
以上のように、本発明によれば、アニオン系のトナーコア表面に、メラミン樹脂等からなる薄膜のシェル層を形成してなる薄膜カプセルトナー粒子を含むトナーにおいて、常に安定した画像濃度が得られる。
波長588.995nmにおけるNaの検量線を示すグラフ図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る電子写真用トナーは、静電潜像現像用のカプセルトナーである。本実施形態のトナーは、多数のトナー粒子から構成される。
トナー粒子は、アニオン性のトナーコア(単に「コア」と称することもある。)と、コアの表面に形成されたカチオン性のシェル層と、外添剤とから構成される。
コアは、バインダー(結着剤)と、内添剤(着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等)とから構成される。コアは、シェル層によって被覆されている。シェル層の表面には外添剤が付着している。ただし、トナー粒子の構成は上記に限られない。例えば必要がなければ内添剤又は外添剤を割愛してもよい。また、トナー粒子は、コアの表面に複数のシェル層を有していてもよい。トナー粒子が積層された複数のシェル層を有する場合は、複数のシェル層のうち最外のシェル層がカチオン性を有することが好ましい。
コアがアニオン性を有することで、シェル層の形成時にカチオン性のシェル層の材料をコア表面に引き付けることが可能になる。詳しくは、例えば水性媒体中で負に帯電するコアと、水性媒体中で正に帯電するシェル層の材料とが相互に電気的に引き寄せられ、コアの表面にシェル層が形成される。これにより、分散剤を用いて水性媒体中にコアを高度に分散させずとも、コアの表面に均一なシェル層を形成し易くなる。
コアにおいては、コア成分の大部分(例えば85%以上)をバインダーが占める。このため、バインダーの極性がコア全体の極性に大きな影響を与える。バインダーがエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、メチル基等を有している場合には、コアはアニオン性になる傾向が強くなり、バインダーがアミノ基、アミン、アミド基等を有している場合には、コアはカチオン性になる傾向が強くなる。
本実施形態においてコアがアニオン性であることの指標は、pHが4に調整された水性媒体中で測定されるコアのゼータ電位が負極性を示すことであり、良好なアニオン性を得るためには、pH4におけるゼータ電位は−5mV以下の値を示すことが必要であり、−10mV以下の値を示すことがより好ましい。
ゼータ電位の測定方法としては、電気泳動法、超音波法、ESA法等が挙げられる。
電気泳動法は、粒子分散液に電場を印加して分散液中の帯電粒子を電気泳動させ、電気泳動速度に基づきゼータ電位を算出する方法である。電気泳動法としては、レーザードップラー法(電気泳動している粒子にレーザー光を照射し、得られた散乱光のドップラーシフト量から電気泳動速度を求める方法)等が挙げられる。レーザードップラー法は、分散液中の粒子濃度を高濃度とする必要がなく、ゼータ電位の算出に必要なパラメーターの数が少なく、加えて電気泳動速度を感度よく検出できるという利点を有する。
超音波法は、粒子分散液に超音波を照射して分散液中の帯電粒子を振動させ、この振動によって生じる電位差に基づきゼータ電位を算出する方法である。
ESA法は、粒子分散液に高周波電圧を印加して分散液中の帯電粒子を振動させて超音波を発生させ、その超音波の大きさ(強さ)からゼータ電位を算出する方法である。
超音波法及びESA法は、粒子濃度が高い(例えば20質量%を超える)粒子分散液であっても、ゼータ電位を感度よく測定することができるという利点を有する。
コアがアニオン性であることの別の指標としては、標準キャリアとの摩擦帯電量が−10μC/g以下の値を示すことが挙げられる。摩擦帯電量は、コアが正負のうちの何れの極性に帯電されるか、及びコアの帯電され易さの指標となる。標準キャリアと摩擦させた場合のコアの摩擦帯電量は、例えばQMメーター(例えば、TREK社製、MODEL 210HS−2A)により測定することができる。
以下、トナー粒子を構成するコアの全体構成、バインダー、内添剤(着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉)、シェル層の全体構成、シェル層の成分(電荷制御剤)、及び外添剤について、順に説明する。
〔コア〕
本実施形態のトナー粒子を構成するコアは、バインダー及び内添剤(着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含む。ただし、コアが上記成分の全てを有していることは必須ではなく、トナーの用途等に応じて必要のない成分(着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等)を割愛してもよい。
〔バインダー(コア)〕
バインダーは、例えば官能基としてエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、メチル基、カルボキシル基、アミノ基を有する樹脂から構成されることが好ましい。バインダーを構成する樹脂としては、分子中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような官能基を持つ樹脂が好ましく、分子中に水酸基及び/又はカルボキシル基を持つ樹脂がより好ましい。このような官能基を有するコア(バインダー)は、シェル層の材料(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合し易くなる。こうした化学的な結合が生じると、コアとシェル層との結合が強固になる。
バインダーを構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられる。中でも、スチレンアクリル系樹脂及びポリエステル樹脂はそれぞれ、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び被記録媒体に対する定着性に優れる。
(スチレンアクリル系樹脂から構成されるバインダー)
バインダーを構成するスチレンアクリル系樹脂は、例えばスチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。
スチレン系単量体の好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。
アクリル系単量体の好適な例としては、(メタ)アクリル酸、特に(メタ)アクリル酸アルキルエステル又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピルが好ましい。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、水酸基を有する単量体(p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂に水酸基を導入できる。例えば水酸基を有する単量体の使用量を適宜調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の水酸基価を調整することができる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸を単量体として用いることで、スチレンアクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。例えば(メタ)アクリル酸の使用量を適宜調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の酸価を調整することができる。
コアの強度及び定着性を向上させるためには、バインダーを構成するスチレンアクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。バインダーのMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(ポリエステル樹脂から構成されるバインダー)
バインダーを構成するポリエステル樹脂は、例えば2価又は3価以上のアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合や共縮重合することで得られる。
2価又は3価以上のアルコール成分の好適な例としては、ジオール類、ビスフェノール類、3価以上のアルコール類等が挙げられる。
ジオール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAが好ましい。
3価以上のアルコール類としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが好ましい。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の好適な例としては、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸等が挙げられる。また、これらのカルボン酸成分は、エステル形成性の誘導体(酸ハライド、酸無水物、及び低級アルキルエステル等)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
2価カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルもしくはアルケニルコハク酸が好ましい。さらに、アルケニルコハク酸としては、例えばn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸が好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸が好ましい。
ポリエステル樹脂を製造する際に、2価又は3価以上のアルコール成分の使用量と、2価又は3価以上のカルボン酸成分の使用量とをそれぞれ適宜調整することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。また、ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
コアの強度及び定着性を向上させるためには、バインダーを構成するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1200以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比Mw/Mn)は9以上20以下であることが好ましい。バインダーのMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
バインダーが強いアニオン性を得るためには、バインダーの水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましい。
バインダーの溶解指数(SP値)は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。上記SP値が10以上であると、水のSP値(23)に近づくため水との親和性を改善でき、バインダーの水性媒体への濡れ性が向上する。そのため、分散剤を用いなくともバインダーの水性媒体への分散性が向上し、バインダー微粒子分散体が均一に水性媒体に分散し易くなる。
バインダーのガラス転移点(Tg)は、シェル層に含まれるカプセル化材料(熱硬化性樹脂)の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたバインダーを用いれば、高速定着システムにおいても十分な定着性が得られる。熱硬化性樹脂、例えばメラミン系樹脂の硬化開始温度は、一般的に55℃〜100℃程度である。そのため、バインダーのTgは、20℃以上55℃以下であることが好ましく、30℃以上50℃以下であることがより好ましい。バインダーのTgが20℃以上であると、シェル層の形成時にコアが凝集しにくくなる。
バインダーのTgは、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツルメンツ社製、DSC−6200)を用いてバインダーの吸熱曲線を測定することにより、吸熱曲線における比熱の変化点から求めることができる。詳細には、測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃かつ昇温速度10℃/分の条件でバインダーの吸熱曲線を求め、得られた吸熱曲線に基づいてバインダーのTgを求める方法が挙げられる。
バインダーの軟化点(Tm)は100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。バインダーのTmが100℃以下であることで、高速定着時においても十分な定着性を得ることが可能になる。また、異なるTmを有する複数のバインダー材料を組み合わせることで、バインダーのTmを調整することができる。
バインダーのTmは、例えば、測定試料を高化式フローテスター(例えば、島津製作所社製、CFT−500D)にセットし、所定の条件で試料を溶融流出させてS字カーブ(温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブ)を求め、得られたS字カーブからバインダーのTmを読み取ることにより測定できる。
〔着色剤(コア)〕
コアには着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えばトナー粒子の色に合わせて公知の顔料や染料を用いることができる。着色剤の使用量は、バインダー100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
(黒色着色剤)
本実施形態に係るトナー粒子のコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤は、例えばカーボンブラックから構成される。また、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤等の着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
(カラー着色剤)
本実施形態に係るトナー粒子のコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤等のカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤は、例えば縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物から構成されることが好ましい。イエロー着色剤としては、例えばC.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194等)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、C.I.バットイエローが好ましい。
マゼンタ着色剤は、例えば縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物から構成されることが好ましい。マゼンタ着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254等)が好ましい。
シアン着色剤は、例えば銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物から構成されることが好ましい。シアン着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、C.I.アシッドブルーが好ましい。
〔離型剤(コア)〕
コアには離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、バインダー100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
一例では、離型剤が、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスから構成されることが好ましい。別の一例では、離型剤が、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物から構成されることが好ましい。別の一例では、離型剤が、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックス等の植物系ワックスから構成されることが好ましい。別の一例では、離型剤が、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックスから構成されることが好ましい。別の一例では、離型剤が、オゾケライト、セレシン、ベトロラクタム等の鉱物系ワックスから構成されることが好ましい。別の一例では、離型剤が、モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類から構成されることが好ましい。別の一例では、離型剤が、脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したワックスから構成されることが好ましい。
〔電荷制御剤(コア)〕
コアには電荷制御剤を含んでいてもよい。本実施形態ではコアがアニオン性(負帯電性)を有するため、コアでは負帯電性の電荷制御剤が使用される。電荷制御剤は、帯電安定性や帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間でトナー粒子を帯電可能か否かの指標になる。
〔磁性粉(コア)〕
トナーを1成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量100質量部に対して35質量部以上60質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
磁性粉は、例えば鉄(フェライト、マグネタイト等)、強磁性金属(コバルト、ニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、熱処理等の強磁性化処理を施された強磁性合金、二酸化クロムから構成されることが好ましい。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。こうした範囲に磁性粉の粒子径がある場合は、バインダー中に磁性粉を均一に分散させ易くなる。
なお、本実施形態においては、トナーコア材に乾式シリカ等の強い負帯電性を示す微小な粒子を添加し、トナー表面に乾式シリカ等を付着させることで、コアのアニオン性を強めることができる。
〔シェル層(シェル膜)〕
シェル層(シェル膜)を形成するカプセル化材料(シェル化剤)としては、アニオン性のカプセルコア(芯材)にカチオン性のカプセル材をイオン的に引き付け表面に付着させ表面重合する、いわゆるin−situ重合を行うことができる材料であれば特に限定はないが、熱硬化性の材料が好ましく、カチオン系材料がより好ましい。このような材料としては、アミノ基(−NH)を有するアミノ樹脂と総称されるものが好ましい。アミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂又はその誘導体(メチロールメラミン等)、グアナミン樹脂又はその誘導体(ベンゾグアナミン等)、アセトグアナミン、スピログアナミン、スルホアミド樹脂、尿素(ユリア)樹脂又はその誘導体、グリオキザール樹脂、アニリン樹脂が挙げられる。
また、アミノ樹脂としては、窒素元素を分子骨格に有する材料も挙げられ、ポリイミド樹脂、マレイド系重合体、ビスマスイミド、アミノビスマスイミド、ビスマスイミドトリアジン等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
さらに、アミノ樹脂としては、アミノアルデヒド樹脂が挙げられる。アミノアルデヒド樹脂とは、メラミン、グアナミン等のアミノ化合物(トリアジン化合物等)を、ホルムアルデヒド等のアルデヒドとの反応により付加重合させ、メチロール化(一般的にアルキロール化)したものを縮重合させて得られる樹脂の総称であり、具体的には、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素アルデヒド樹脂が挙げられる。
カプセル化材料(シェル化剤)としては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等の窒素元素を含むアミノアルデヒド樹脂のモノマー又はプレポリマー材料が好ましいが、水系でのアニオン系の固体粒子表面に適度に吸着し、シェル化と共に、シェルの硬化反応が完了するまでトナー粒子同士が凝集しないように分散安定性を維持できるメラミンホルムアルデヒド初期縮合物がより好ましい。これは、水系でのアニオン系の固体粒子表面に適度に吸着し、トナー粒子表面でin-situ重合するためには、水及びトナー粒子表面との親和性のバランスが特に重要である。トナー粒子表面にカプセル材料が吸着し、トナー粒子表面の官能基(−OH基、−COOH基)とインタラクションを形成すると共に、カプセル材料の硬化反応が完了するまでトナー粒子同士が凝集しないように水中でのトナー粒子の分散安定性を維持する必要があるからである。即ち、水に対する親和性が高くても、低くても良くなく、適正な領域が存在する。また、このメラミンホルムアルデヒド初期縮合物に加え、カプセル膜に熱可塑性部位を導入することで、定着性の悪化を抑制することも可能である。この目的で用いられる材料としては、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物のメチロール基と反応して膜中に取り込まれやすいアルコール性OH基を有する材料、例えばメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のビニルモノマーと、スチレンスルホン酸ナトリウムとのブロック共重合体等を挙げることができる。
シェル層の厚さは、20nm以下であることが好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましい。シェル層が厚すぎると、十分な定着性が得られない。なお、シェル層の厚さは、シェル層を構成する樹脂(例えば、メラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂)単独の場合に換算した厚みを意味し、熱硬化性樹脂に改質剤等を添加して柔軟性を持たせた場合は上記範囲に限定されるものではない。
シェル層の厚さは、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、トナー粒子を、常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散し、40℃の雰囲気にて2日間硬化させて硬化物を得る。この硬化物を四酸化オスミウムにて染色した後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトーム(例えば、ライカ社製、EM UC6)にて切り出し、厚さ200nmの薄片試料を得る。そして、この試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)(例えば、日本電子社製、JSM−6700 F)にて撮影する。
画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事社製、WinROOF)でTEM撮影像を解析することで、シェル層の厚さを計測する。具体的には、トナー粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、この2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定する。そして、測定された4箇所の長さの平均値を測定対象である1個のトナー粒子のシェル層の厚さとする。トナーに含まれる10個以上のトナー粒子についてシェル層の厚さを測定し、得られた10個以上の測定値の平均値を評価値とする。
なお、シェル層の厚さが小さい場合は、TEM画像上でのコアとシェル層との界面が不明瞭になるため、シェル層の厚さの測定が困難な場合がある。このような場合は、TEM撮影と電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせてコアとシェル層との界面を明確にすることにより、シェル層の厚さを測定する。具体的には、TEM画像中で、EELSを用いてシェル層の材質に特徴的な元素(窒素元素)のマッピングを行ことでシェル層の厚さを特定する。
〔電荷制御剤(シェル層)〕
本実施形態ではシェル層がカチオン性(正帯電性)を有するため、シェル層では正帯電性の電荷制御剤が使用される。
〔外添剤〕
外添剤は、トナー粒子の流動性及び取扱性を向上させるために使用され、シェル層の表面に付着する。以下、外添剤により処理される前の粒子を「トナー母粒子」と記載する。流動性及び取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
外添剤は、例えばシリカ、またはアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、もしくはチタン酸バリウムのような金属酸化物から構成されることが好ましい。
流動性及び取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
次に、本実施形態に係るトナーをキャリアとを混合して2成分現像剤として使用する場合について説明する。所望する画像濃度を得、トナー飛散を抑制するためには、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
〔キャリア〕
例えば磁性キャリアを使用することが好ましい。磁性キャリアは、例えばキャリア芯材と、キャリア芯材を被覆する樹脂層とから構成される。キャリア芯材を被覆する樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。
一例では、キャリア芯材が、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、もしくはコバルト等の粒子、又はこれらの材料とマンガン、亜鉛、及びアルミニウム等の金属との合金の粒子から構成されることが好ましい。別の一例では、キャリア芯材が、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子から構成されることが好ましい。別の一例では、キャリア芯材が、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子から構成されることが好ましい。別の一例では、キャリア芯材が、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子から構成されることが好ましい。
キャリア芯材を被覆する樹脂層は、例えば(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂から構成されることが好ましい。
磁性及び流動性を向上させるためには、キャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。粒子径は電子顕微鏡等で観察することにより測定することができる。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
トナーの製造に際しては、まず、アニオン性のコアを形成(調製)し、コアの表面にカチオン性のシェル層を形成する。次に、水等を用いてトナー母粒子を洗浄し、乾燥機等によりトナー母粒子を乾燥する。その後、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。このようにして、アニオン性のコアと、コアの表面を被覆するカチオン性のシェル層とから構成されるトナー粒子が形成され、ひいてはこうしたトナー粒子を多数含むトナーが製造される。
以下、本実施形態に係るトナーの製造方法におけるコアの形成、シェル層の形成、洗浄、乾燥、及び外添について、順に説明する。
〔コアの形成〕
コアは、例えば粉砕分級法(溶融混練法)又は凝集法により形成される。これらの方法によれば、バインダー中に内添剤を良好に分散させることが可能になる。
(粉砕分級法によるコアの形成)
バインダーの材料と内添剤の材料とを混合し、混合物を溶融混練する。次に、溶融混練物を粉砕し、分級することにより、所望の粒子径を有するコアを得る。粉砕分級法によれば、凝集法よりも容易にコアを形成することが可能になる。
(凝集法によるコアの形成)
コア成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させる。詳しくは、バインダーの材料を水性媒体中で所望のサイズに微粒子化することで、バインダー微粒子を含む水性分散液(バインダー微粒子分散液)を得る。続けて、バインダー微粒子分散液中で微粒子を凝集させる。これにより、凝集粒子が形成される。
微粒子を凝集させる好適な方法としては、バインダー微粒子を含む水性分散液のpHを調整した後、水性分散液に凝集剤を添加し、水性分散液の温度を調整して微粒子を凝集させる方法等が挙げられる。また、凝集粒子が所望の粒子径となるまで凝集が進行した後に、凝集停止剤を添加してもよい。
凝集剤を添加する際の水性分散液のpHは8以上に調整されることが好ましい。また、凝集を良好に進行させるためには、微粒子を凝集させる際の水性分散液の温度は、バインダーのガラス転移点(Tg)以上で「バインダーのTg+10」℃未満の温度が好ましい。
凝集剤の添加量は、凝集を良好に進行させる観点から、水性分散液の固形分100質量部に対して1質量部以上50質量部以下が好ましい。凝集剤の添加量は、微粒子分散液中に含まれる分散剤の種類及び量に応じて適宜調整することができる。凝集剤は一時に添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。
凝集剤としては、例えば無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体が好ましい。また、4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、含窒素化合物(例えばポリエチレンイミン)等も、凝集剤として使用できる。無機金属塩としては、例えば金属塩(例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム)、無機金属塩重合体(例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム)が好ましい。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムが好ましい。
2種以上の凝集剤を用いる場合は、2価の金属の塩と1価の金属の塩とを併用することが好ましい。2価の金属の塩と1価の金属の塩とでは微粒子を凝集させる速度が異なるため、これらを併用することで、凝集粒子の粒子径を制御しつつ凝集粒子の粒度分布をシャープなものとしやすいからである。
凝集停止剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムが好ましい。
バインダー微粒子を含む分散液は界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤を用いると、バインダー微粒子が水性媒体中で安定して分散する。微粒子の分散性を向上させるためには、界面活性剤の使用量は、バインダー微粒子の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が好ましい。中でも、アニオン系界面活性剤が特に好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば硫酸エステル塩型活性剤、スルホン酸塩型活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤、石鹸が好ましい。カチオン系界面活性剤としては、例えばアミン塩型界面活性剤、4級アンモニウム塩型界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコール型界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤(例えばグリセリン、ソルビトール、ソルビタンの等の多価アルコールの誘導体)が好ましい。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
続けて、上記凝集工程により得た凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてコアを形成する。例えば凝集粒子を含む水性分散液を加熱することで、凝集粒子に含まれる成分を合一化することができる。合一化を良好に進行させるためには、例えば「バインダーのTg+10」℃以上かつバインダーの融点以下の温度で凝集粒子を含む水性分散液を加熱することが好ましい。これにより、コアを含む水性分散液が得られる。
続けて、コアを洗浄し、洗浄されたコアを乾燥する。これにより、コアを含む水性分散液からコアを回収することができる。
上記洗浄工程では、例えばコアを含む水性分散液から、固液分離を用いてコアをウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを水で洗浄する。ただしこれに限られず、洗浄方法は任意である。例えば、コアを含む水性分散液中のコアを沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にコアを水に再分散させるようにしてもよい。
上記乾燥工程では、乾燥機(スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機等)を用いてコアを乾燥する。ただしこれに限られず、乾燥方法は任意である。
以上説明したコアの形成方法は、コアの構成又は要求される特性等に応じて任意に変更することができる。例えば必要のない工程(例えば洗浄工程又は乾燥工程)は割愛してもよい。また、コア成分等に応じて各工程を最適化することが望ましい。以下、凝集法によりバインダーと内添剤としての着色剤及び離型剤とを含むコアを形成する場合の凝集工程について説明する。
コアがバインダー、着色剤、離型剤を含む場合には、例えばバインダー微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、離型剤微粒子分散液をそれぞれ調製し、調製された3種類の分散液を混合する。続けて、混合分散液中でこれらの微粒子を凝集させることで、バインダー微粒子、着色剤微粒子、離型剤微粒子から構成される凝集粒子を含む水性分散液が得られる。
(バインダー微粒子分散液の調製方法)
ターボミルのような粉砕装置を用いてバインダーの材料を粗粉砕し、得られた粗粉砕品をイオン交換水等の水性媒体に分散し、この分散状態で加熱する。加熱温度はバインダーのTmよりも10℃以上高い温度で200℃未満の温度が好ましい。そして、加熱完了後に高速剪断乳化装置(例えば、エム・テクニック社製のクレアミックス)等で強い剪断力を与えることによりバインダー微粒子分散液が得られる。
バインダー微粒子の体積平均粒子径(D50)は1μm以下であることが好ましく,0.05μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。体積平均粒子径(D50)がこうした範囲にあれば、粒度分布がシャープで形状が均一なコアを調製しやすい。なお、本実施形態では、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所社製、SALD−2200)を用いて体積平均粒子径(D50)を測定している。
バインダーの材料として酸性基を有する樹脂を用いる場合、樹脂をそのまま水性媒体中で微粒子化させると、バインダー微粒子の比表面積が増大してしまう。そのため、バインダー微粒子表面に露出した酸性基の影響で、水性媒体のpHが3〜4程度まで低下する可能性がある。水性媒体のpHが3〜4程度まで低下すると、バインダー微粒子が加水分解してしまうことや所望の粒子径のバインダー微粒子が得られなくなることが懸念される。
そこで、水性媒体中に塩基性物質を加えることが考えられる。塩基性物質の好適な例としては、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、含窒素有機塩基(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、モノメタノールアミン、モルホリン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、ビニルピリジン)が挙げられる。
(着色剤微粒子分散液の調製方法)
例えば分散機を用いて、界面活性剤を含む水性媒体中に着色剤の微粒子を分散させることにより調製する。
界面活性剤としては、例えばバインダー微粒子分散液の調製で用いた界面活性剤を用いることができる。微粒子の分散性を向上させるためには、界面活性剤の使用量は着色剤100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
分散機としては、例えば加圧式分散機又は媒体型分散機が好ましい。加圧式分散機の好適な例としては、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー、吉田機械興業社製の高圧式ホモジナイザーが挙げられる。媒体型分散機の好適な例としては、サンドグラインダー、横型及び縦型ビーズミル、寿工業株社製のウルトラアペックスミル、WAB社製のダイノーミル、日本コークス工業社製のMSCミルが挙げられる。
着色剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。着色剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は、バインダー微粒子の体積平均粒子径(D50)と同様の方法で測定できる。
(離型剤微粒子分散液の調製方法)
離型剤微粒子分散液の調製に際しては、まず、離型剤を予め100μm以下程度に粉砕し、離型剤の粉体を得る。続けて、得られた離型剤の粉体を界面活性剤を含有する水性媒体中に添加し、スラリーを調製する。微粒子の分散性を向上させるためには、界面活性剤の使用量は、離型剤の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
続けて、得られたスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。続けて、加熱されたスラリーにホモジナイザー(例えば、IKA社製、ウルトラタラックスT50)、圧力吐出型分散機等を用いて強い剪断力を付与する。これにより、離型剤微粒子分散液が調製される。
剪断力を与える装置としては、例えば美粒社製のNANO3000、吉田機械興業社製のナノマイザー、MFI社製のマイクロフルダイザー、マントンゴーリン社製のゴーリンホモジナイザー、エム・テクニック社製のクレアミックスWモーションが好ましい。
バインダー中に離型剤を均一に分散するためには、離型剤微粒子分散液に含まれる離型剤微粒子の体積平均粒子径(D50)が1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.7μm以下であることがより好ましく、0.28μm以上0.55μm以下であることがさらに好ましい。なお、離型剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は、バインダー微粒子の体積平均粒子径(D50)と同様の方法で測定できる。
〔シェル層の形成〕
シェル層の形成に際しては、まず、溶媒のpHを調整する。溶媒のpHは、例えば酸性物質により4程度に調整されるのが好ましい。分散液のpHを4程度の酸性側に調整することで、シェル層の形成に用いられる材料の重縮合反応が促進される。続けて、pHを調整した溶媒(水性媒体)にカチオン性のシェル層の材料を溶解させる。
シェル層の材料は、アミノアルデヒド樹脂又はその誘導体、モノマーもしくはプレポリマー(例えば初期縮合物)であることが特に好ましい。中でも、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物がより好ましい。メラミンホルムアルデヒド初期縮合物は、例えばメラミンをメタノール中でホルムアルデヒドと反応させてメチロール化した後、メチル化することによって合成することができる。
メラミンに付加するホルムアルデヒドの量、メチロール基と反応するメタノールの量等を変えることによって、メチロール基(−CH2OH)、メトキシ基(−OCH3)、メチレン基(−CH2−)、イミノ基(−NH−)の組成比が異なる種々の組成物を生成することができる。
イミノ基の量が少ないほど、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物の硬化温度は高くなる傾向にある。メチレン基の量は縮合度に対応し、メチレン基が少ないほど、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物を含む組成物を高濃度化して架橋密度の高いシェル層を形成できる。メチロール基が多いほど、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物を含む組成物の安定性が低下し、加工時にホルムアルデヒドが多く発生する傾向にあるため、メチロール基は少ない方が好ましい。
メラミンホルムアルデヒド初期縮合物は、溶媒(例えば水性媒体)中でアニオン性の固体粒子表面に適度に吸着し易いため、コア表面の官能基(例えば水酸基、カルボキシル基)とのin−situ重合反応(コアとの結合反応)が進み易い。また、シェル層の材料がメラミンホルムアルデヒド初期縮合物であれば、シェル層の硬化反応が完了するまでコアの分散性が高く維持され易い。
シェル層の形成時においてシェル層の材料の混和度は250〜1000質量%の範囲にあることが好ましい。こうした混和度であれば、シェル層の材料の溶媒(例えば水性媒体)に対する親和性が適正なレベルになり、シェル層の形成時においてコアの分散性を高く維持しながらコア表面にシェル層の材料(例えばメラミンホルムアルデヒド初期縮合物)を強く結合させることが可能になる。なお、混和度は、シェル層の材料(例えばメラミンホルムアルデヒド初期縮合物)に対する溶媒(例えば水性媒体)の溶解度である。混和度600質量%であれば、シェル層の材料の6倍(質量比)の溶媒がシェル層の材料に入り込むことができる。シェル層の材料の重合度が高いほど混和度が低くなる傾向にある。
(メラミンホルムアルデヒド初期縮合物の合成方法)
例えばpH12以上の高アルカリ性メタノール溶液中で、メラミンとホルムアルデヒドとを反応(メチロール化反応)させる。メタノールの少なくとも一部を留去し、得られた中間生成物にメタノールを添加して、酸性条件下で反応(メチル化反応)させる。これにより、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物のメタノール溶液が得られる。その後、常圧蒸留又は減圧蒸留により溶液を濃縮することが好ましい。なお、シェル層の形成は水性媒体中で行われることが好ましい。水性媒体中であれば、バインダーの溶解又は内添剤(特に離型剤)の溶出が生じにくい。
(第一の工程:メチロール化反応)
メチロール化反応は、例えばメタノール溶液中で行われる。メタノールは、メラミン1モルに対して1.5〜5モルの範囲で使用されることが好ましく、2〜3モルの範囲で使用されることがより好ましい。メタノールの量(モル)がメラミンの量(モル)に対して5倍より多くなると、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物のメチロール基が増加する傾向がみられる。一方、メタノールの量(モル)がメラミンの量(モル)に対して1.5倍より少なくなると、生成したメチロール化メラミンが反応中に析出し、流動性が悪化する傾向がみられる。
メチロール化反応は、pH12以上で行うことが好ましい。反応pHが12よりも低い場合には、反応中に生成物(メチロール化メラミン)が析出して流動性が悪化したり、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物中に含まれるメチロール基が増加する傾向がみられる。この際のpHの上限に特別な制約はないが、pH12程度が実用的である。pHの調整には、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネシウム等)等を用いることができる。また、これらの2種以上を併用してもよい。工業的には水酸化ナトリウムが好ましい。
ホルムアルデヒド源としては、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドを高濃度で含むメタノール溶液を使用することが好ましい。ホルムアルデヒドは、メラミン1モルに対して3〜6モルの範囲で使用されることが好ましく、3.5〜5モルの範囲で使用されることがより好ましい。
メチロール化反応は、50℃以上かつ還流温度以下で、0.5〜5時間行うことが好ましい。メチロール化反応の際又はメチロール化反応後に、溶媒であるメタノールの少なくとも一部を留去することが好ましい。留去されるメタノールは、系内にある一部であっても実質的に全量であってもよい。メタノールを留去することにより、反応液の濃度が上昇し、遊離ホルムアルデヒドが減少して、後のメチル化反応にとって好ましい中間生成物(例えばメチロール化メラミン)となる。メタノールの少なくとも一部を留去し、メチロール化反応が終了した時点で遊離ホルムアルデヒドの量がメラミン1モルに対して1.6モル以下となるようにすることが好ましく、1モル以下となるようにすることがより好ましい。
好適な一例では、メタノールを留去しながら還流温度付近でメチロール化反応を行う。ただしこれに限られず、メチロール化反応終了後にメタノールを留去してもよい。また、メタノールの一部を留去しながらメチロール化反応を行い、反応終了後に残存するメタノールの少なくとも一部をさらに留去して濃縮してもよい。
(第二の工程:メチル化反応)
メチル化反応は、例えば上記メチロール化反応により得たメチロール化メラミン(中間生成物)に、メタノール及び酸触媒を添加し、酸性条件下でメチロール化メラミンとメタノールとを反応させる。
メチル化反応では、メラミン1モルに対してメタノールを5〜30モルの範囲で存在させることが好ましく、10〜25モルの範囲で存在させることがより好ましい。メチロール化反応後にメタノールが中間生成物中に残っている場合には、その残存量を含めてメタノールの量が計算される。メタノールの量(モル)がメラミンの量(モル)に対して5倍よりも少なくなると、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物中のメチレン基が多くなる傾向にある。
メチル化反応は酸性条件下、即ちpH1〜6.5で行われることが好ましく、pH2〜5で行われることがより好ましい。pH調整のための酸触媒は、無機酸(塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等)であっても、有機酸(蟻酸、酢酸、しゅう酸、p−トルエンスルホン酸等)であってもよい。また、これらの2種以上を併用してもよい。
メチル化反応は、25℃以上かつ還流温度以下で、好ましくは25〜50℃の範囲内の温度で、0.5〜5時間行う。
なお、メチル化反応終了後に中和してpHを8以上にすることが好ましい。中和には、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネシウム等)を用いることができる。また、これらの2種以上を併用してもよい。生成する中和塩は、その後任意の段階で反応系から除くことができる。例えば中和直後に中和塩を除去してもよいし、反応生成物を濃縮してから中和塩を除去してもよい。このようにして、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物のメタノール溶液が得られるが、この後さらに濃縮するのが好ましい。濃縮は通常、常圧蒸留または減圧蒸留によって行われる。
この第二の工程では、反応温度と反応pHによりメチル化反応と同時に縮合反応も競争して起こるため、反応条件によって混和度を制御できる。
なお、本実施形態においては、シェル層の材料として、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物と、尿素ホルムアルデヒドプレポリマーとの混合物を使用することもできる。尿素ホルムアルデヒドプレポリマーは、例えば、トリエタノールアミンでpHを調整(好ましくは8.5)したホルムアルデヒド水溶液と、尿素とを混合し、所定条件(好ましくは70℃で1時間)で反応させることにより作製できる。ホルムアルデヒド又はそれを発生する化合物は、尿素1モルに対し、ホルムアルデヒドとして1.5〜3モルの範囲であることが好ましく、2〜3モルの範囲であることがより好ましい。
続けて、シェル層の材料を溶解させた溶媒中に前述の方法で作製したコアを添加し、分散させる。溶媒中にコアが均一に分散されると、均一なシェル層を得やすくなる。
コアを良好に分散させる方法としては、例えば分散液を強力に撹拌できる装置を用いて機械的に分散させる方法が好ましい。強力に撹拌できる装置としては、プライミックス社製のハイビスミックス等が挙げられる。ただしこれに限られず、コアを分散させる方法は任意である。
例えば分散剤を含有する水性媒体中でコアを分散させてもよい。ただし、分散剤の使用量が多過ぎると、コア表面に分散剤が付着した状態でシェル層の形成が行われる可能性がある。こうした状態でシェル層が形成されると、コアとシェル層との結合が弱くなるため、トナーに加わる機械的ストレス等により、コアからシェル層が剥がれ易くなる。そのため、分散剤の使用量は、コア100質量部に対して75質量部以下であることが好ましい。分散剤の使用量を75質量部以下にすることにより、コアからのシェル層の剥離を抑制することが可能になる。
分散剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
続けて、コアを添加した溶媒の温度を所望の温度にして、所定の時間その温度で維持(保温)する。そして、この温度にてシェル層の形成(例えば硬化反応)が進行する。この際、コアが表面張力によって収縮することで、軟化したコアが球形化することがある。
シェル層の形成を良好に進行させるためには、シェル層を形成する際の溶液の温度(反応温度)が40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。また、コアを構成するバインダーが水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂(例えばポリエステル樹脂)から構成され、シェル層がアミノアルデヒド樹脂又はその誘導体、モノマーもしくはプレポリマーから構成される場合において、シェル層を形成する際の温度が40℃以上95℃以下であれば、コア表面に露出する水酸基又はカルボキシル基と、シェル層を構成する樹脂のメチロール基とが反応して、コアを構成するバインダーとシェル層を構成する樹脂との間に共有結合が形成され易くなる。これにより、コア表面にシェル層を強固に付着させることが可能になる。
続けて、溶媒のpHを例えば7に調整し、フラスコの内容物を常温まで冷却する。この溶媒には、アニオン性のコアと、コアの表面を被覆するカチオン性のシェル層とから構成されるトナー母粒子が含まれる。
以上説明したシェル層の形成方法は、シェル層の構成又は要求される特性等に応じて任意に変更することができる。例えば溶媒にシェル層の材料を溶解させる工程よりも前に、溶媒中にコアを添加する工程を行うようにしてもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。
〔洗浄〕
トナー母粒子の形成後、トナー母粒子の洗浄を行う。例えばブフナーロートを用いて分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取し、トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄する。そして、イオン交換水による同様の洗浄を数回繰り返し、ろ液及び洗浄水は排水として回収する。ただしこれに限られず、トナー母粒子の洗浄方法は任意である。
ろ液の導電率は、トナー帯電量の環境変動が大きくなるのを抑制するため、10μS/cm以下であることが好ましい。ろ液の導電率は、例えば、堀場製作所社製のHoriba COND METER ES−51を用いて測定することができる。なお、ろ液の導電率は、洗浄水(イオン交換水)の流量や温度等を制御することにより調整が可能である。洗浄水量は20〜70Lの範囲であることが好ましく、洗浄水温度は25〜45℃の範囲であることが好ましい。
〔乾燥〕
例えばスプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機によりトナー母粒子を乾燥する。この際、スプレードライヤーを用いれば、乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制することが可能になる。ただしこれに限られず、トナー母粒子の乾燥方法は任意である。
〔外添〕
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる方法としては、例えば外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等の混合機によりトナー母粒子と外添剤とを混合する方法が好ましい。ただしこれに限られず、トナー母粒子に対する外添方法は任意である。例えば乾燥工程でスプレードライヤーを用いる場合には、トナー母粒子の分散液と共に、シリカ等の外添剤の分散液を噴霧できる。その結果、乾燥工程と外添工程を同時に行うことが可能になる。
以上説明した本実施形態に係るトナーの製造方法によれば、所望した画像濃度を有する画像を安定して得ることができ、定着性に優れたカプセルトナーが得られる。こうしたトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等が適用される画像形成装置において好適に使用できる。
本実施形態においては、前記カプセルトナー表面に残存するナトリウム元素量が、誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)による測定で200ppm以上1000ppm以下であることが必要であり、250ppm以上800ppm以下であることがより好ましい。ナトリウム元素量が低すぎると、耐久後の画像濃度が所望する値より低くなり、ナトリウム元素量が高すぎると、初期及び耐久後の画像濃度が所望する値より低くなる。
誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)は、石英ガラス製の放電管(トーチ)に巻きつけた誘導コイルに高周波電流を流すことで誘導電場を発生し、そこにアルゴンガスを導入してプラズマ状態とする。ネブライザ等で霧状にした溶液試料(通常は水溶液)をアルゴンプラズマ中に導入すると、溶液中に存在していた金属元素、半金属元素は、6000〜7000℃の熱で原子化されると共に励起される。その後、基底状態に戻るときに各元素固有の波長の光を放出する。この発光線を検出することより、波長から定性分析を、発光強度から定量分析を行なう分析装置である。特徴としては、検量線の直線範囲が広いことが挙げられる。即ち、ダイナミックレンジが非常に広く、主成分から極微量成分まで分析を行うことができる。また、化学的干渉やイオン化干渉が少なく、高マトリックス試料の分析も可能である。したがって、他の多くの分析法ではマトリクス組成の違いによる影響を受けるのに対して、誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)ではその影響がないことから多成分系の分析に適している。検出下限は大半の元素に対して10ppb以下であり、原子吸光法で困難なZr、Ta、希土類、P、B等も検出でき、安定性も高い。
誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)としては、例えば、ICP発光分光分析装置「SPS7800シリーズ、SPS3100シリーズ、SPS5100シリーズ」(セイコーインスツルメンツ社(エスアイアイ・ナノテクノロジー社)製)や、ICP発光分析装置「CIROS
MarkII」(リガク社製)等が挙げられる。
カプセルトナー表面に残存するナトリウム元素量の測定は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP)を用いて、例えば、以下の手順で定量することができる。
先ず、カプセルトナーに硫酸を添加して、マイクロウェーブを用いて炭化処理を行う。次に、炭化処理を行ったものに硝酸と過酸化水素を添加し、マイクロウェーブを用いて分解処理を行う。分解処理したものに蒸留水を加えて溶解し、溶解液をメスフラスコに正確に測りとる。メスフラスコ中の水溶液を、誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)で測定することにより、トナー中のナトリウム、2価あるいは3価の金属元素の含有量が定量される。
Naの定量は、例えば、発光スペクトルのうち波長588.995nmの強度を測定して検量線より計算で求めることができる。波長588.995nmのスペクトルは、励起ナトリウム原子の3p軌道に励起された価電子が、基底状態の3s軌道に落ちる時に放出する光のエネルギーの波長に相当する(一般にD2線と呼ばれている波長である)。励起ナトリウム原子では、価電子は3p軌道(軌道角運動量1)に励起されるため、価電子の電子スピンと、軌道角運動量の向きによって、両者の合成角運動量が3/2か1/2の二つの状態ができる。励起状態が二つあるため、この両者には僅かなエネルギー差があるため、基底状態に落ちる時に二つの波長の光が放出される(D1=589.592nm、D2=588.995nm)。
カプセルトナー表面に残存するナトリウム元素量は、中和時に添加する中和剤(例えば水酸化ナトリウム)の量、中和条件(中和剤を投入する温度、中和剤投入後のpH)、洗浄条件(ろ液の導電率、洗浄水量、洗浄水温度)等を制御することにより前記範囲に調整が可能である。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(低溶融トナーコアの作製)
ビスフェノールAを骨格にしてエチレンオキサイドを付加したアルコール(ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物)に、パラフタル酸を反応させてポリエステル樹脂を作製した。このポリエステル樹脂のOHV値は20mgKOH/g、AVは40mgKOH/g、Tmは100℃、Tgは48℃であった。このポリエステル樹脂100質量部に対し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン顔料)を5質量部、離型剤としてエステルワックス(日油社製、WEP−3)を10質量部配合し、混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて混合した後、2軸押出機(池貝社製、PCM−30)で混練したチップを、機械式粉砕機(ターボ工業社製、ターボミル)にて6ミクロンに粉砕した。その後、分級機(日鉄鉱業社製、エルボージェット)にて分級し、6ミクロンのトナーコアを得た。このトナーコアの形状指数は0.93、Tgは49℃、Tmは90℃であった。標準キャリアN−01を用いてこのトナーコアの摩擦帯電量(アニオン性)を測定すると−20μC/gであった。さらにpH4でのゼータ電位の測定値は−15mVであり、明らかなアニオン性を示した。なお、トナーコアの各測定は以下のようにして行った。
〔粒子径〕
ベックマンコールター社製のコールターカウンターマルチサイザー3を用いて、体積平均粒子径(D50)を測定した。
〔形状指数〕
フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA 3000)を用いて、形状指数としての円形度を測定した。詳しくは、各試料に関して3000個の粒子の円形度を測定し、その平均値を評価値とした。
〔トナーコアのTg〕
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、DSC−6200)を用いて吸熱曲線を測定することにより、吸熱曲線における比熱の変化点から求めた。
〔トナーコアのTm〕
試料を高化式フローテスター(島津製作所社製、CFT−500D)にセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分で、1cm3の試料を溶融流出させてS字カーブを求め、得られたS字カーブからトナーコアのTmを読み取った。
〔摩擦帯電量(アニオン性)〕
ターブラミキサーを用いて、標準キャリアN−01(日本画像学会から提供される負帯電極性トナー用標準キャリア)と、この標準キャリアに対して7質量%のトナーコアとを30分間混合した。そして、得られた混合物を測定試料として標準キャリアと摩擦させた場合のトナーコアの摩擦帯電量をQMメータ(TREK社製、MODEL 210HS−2A)を用いて測定した。
〔トナーコアのゼータ電位〕
トナーコア0.2g、イオン交換水80g、及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、日本触媒社製「K−85」)20gをマグネットスターラーで混合し、トナーコアを均一に分散させて分散液を得た。この分散液に希塩酸を加えて分散液のpHを4に調整した。そして、この分散液を測定試料として、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、Delsa Nano HC)により、pH4に調整された分散液中のトナーコアのゼータ電位を測定した。
(カプセル剤材料の作製)
温度計、還流冷却器及び攪拌棒を備えた四つ口フラスコに、メタノール160.2g(5.0モル)を仕込み、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整した。そこへパラホルムアルデヒド(92%CH2O)169.7g(5.2モル)を仕込み、60℃で20分間保温して、パラホルムアルデヒドをメタノールに溶解させた。次にメラミン126.1g(1.0モル)を仕込み、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整した。還流温度で、メタノールを系外に留去しながら1時間反応(メチロール化反応)させた。上記反応中間生成物(メチロール化メラミン)にメタノール640.8g(20.0モル)を仕込み、硫酸でpHを2.0に調整し、30℃で3.5時間反応(メチル化反応)させた後、水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整し中和処理をして反応を停止させた。次に生成した中和塩をろ過して除去し、ろ過液を0.008MPaで70℃になるまで減圧濃縮して、カプセル剤材料となるメラミンホルムアルデヒド初期縮合物を得た。このメラミンホルムアルデヒド初期縮合物の混和度は600質量%、有効成分濃度は80%であった。なお、混和度(メラミンホルムアルデヒド初期縮合物100に対する水の溶解度)は、測定温度60℃でメラミンホルムアルデヒド初期縮合物に水を少しずつ加えながら撹拌し、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物に対する水の溶解限界点(白濁するポイント)を目視で検出することにより測定した。
(カプセル化)
まず、温度計及び撹拌羽根を備えた容量3Lの3つ口フラスコを準備し、ウォーターバスを用いてフラスコ内温度を30℃に保持した。そして、フラスコ内にイオン交換水1Lを入れ、さらに塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを3.5に調整した。このフラスコ内に前記メラミンホルムアルデヒド初期縮合物(有効成分濃度80%)を2.85g添加し、フラスコの内容物を撹拌してメラミンホルムアルデヒド初期縮合物を水性媒体に溶解させた。次にフラスコ内(カプセル剤材料が溶解した酸性水溶液)に、上記で作製したトナーコア300gを添加し、40℃で分散処理をして十分攪拌した。その後、攪拌しながら0.5℃/分の速度で昇温し70℃で1時間キープした。その後冷却し、60℃(中和剤投入温度)の時点で水酸化ナトリウム水溶液(中和剤)を加えてpH8(中和剤投入後のpH)になるまで中和し、フラスコの内容物を40℃まで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。このようにしてトナーコア表面にカチオン性のシェル層が形成されてなるカプセルトナーを得た。
(洗浄)
トナー母粒子の形成後、トナー母粒子の洗浄を行った。ブフナーロートを用いて分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取し、トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。そして、イオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。ろ液及び洗浄水は排水として回収した。なお、洗浄水(イオン交換水)量は20L、洗浄水(イオン交換水)温度は25℃であった。ろ液の導電率を、堀場製作所社製のHoriba COND METER ES−51を用いて測定した結果、3.2μS/cmであった。
(乾燥)
上記洗浄後、乾燥を行った。分散液から回収したトナー母粒子を40℃雰囲気中に48時間放置して乾燥させた。
(外添)
上記乾燥後、外添を行った。前記カプセルトナーに、BET表面積が130m2/g、pHが8.5、メタノールに対する濡れ性が55%の疎水性シリカ微粉子(日本アエロジル社製、REA−200)をジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業社製、MDS−2型)を用いて粉砕圧4kg/cm2、フィード量60g/minの条件で解砕し、トナー母粒子に対して0.5質量%を添加し、FMミキサー(日本コークス工業社製、FM−10C)で混合することで、トナー母粒子とシリカ微粒子の混合物(トナー粒子)を得た。このトナー粒子を目開き87μmのふるいにかけカプセルトナーを作製した。
(キャリアの作製)
ポリエステル樹脂(花王社製、タフトンTTR−2)24質量%、磁性体(戸田工業社製、EPT−1000)74質量%、荷電制御剤(オリエント化学社製、ボントロンS−34)2質量%、ワックス(日本精蝋社製、LUVAX−1151)1質量%を十分混合した後、2軸押出機(池貝社製、PCM−30)で溶融、混練を行った。この混練物を冷却後粗粉砕機(朋来鉄工所社製、UG−210KGS)にて2mmφパスに粗粉砕し、これを中粉砕機(日本ニューマチック工業社製、ファインミルFM−300N)で中粉砕した後、微粉砕機(日本ニューマチック工業社製、セパレーターDS−5UR)を用いて分級を行い、重量平均粒径36μmのキャリアを作製した。
(現像剤の作製)
前記カプセルトナー(T)とキャリア(C)(京セラドキュメントソリューションズ製プリンタ(FS−C5400DN)用のキャリア)とを(T)/(C)=8質量%で混合し、現像剤を作製した。」
〔実施例2〜6〕
下記の表2に示すように、中和条件(中和剤投入後のpH、中和剤投入温度)、洗浄条件(ろ液の導電率、洗浄水量、洗浄水温度)を変更した以外は、実施例1と同様にして、現像剤を作製した。
〔実施例7〕
カプセル剤材料として、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物(有効成分濃度80%)2.85gに、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレンスルホン酸ナトリウムのブロック共重合体の水溶液(有効成分濃度5%)を10g添加したもの使用してカプセル化を行った。また、下記の表2に示すように、中和条件(中和剤投入後のpH、中和剤投入温度)、洗浄条件(ろ液の導電率、洗浄水量、洗浄水温度)を変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、現像剤を作製した。
〔実施例8〜13〕
下記の表2に示すように、中和条件(中和剤投入後のpH、中和剤投入温度)、洗浄条件(ろ液の導電率、洗浄水量、洗浄水温度)を変更した以外は、実施例7と同様にして、現像剤を作製した。
〔実施例14〕
カプセル剤材料として、尿素ホルムアルデヒドプレポリマー/メラミンホルムアルデヒド初期縮合物を使用してカプセル化を行った以外は、実施例1に準じて、現像剤を作製した。
(尿素ホルムアルデヒドプレポリマーの作製)
トリエタノールアミンでpH8.5に調整した37質量%ホルムアルデヒド水溶液146gと、尿素60gとを混合し、70℃で1時間反応させて尿素ホルムアルデヒドプレポリマーを作製した。
(カプセル化)
まず、温度計及び撹拌羽根を備えた容量3Lの3つ口フラスコを準備し、ウォーターバスを用いてフラスコ内温度を30℃に保持した。そして、フラスコ内にイオン交換水1Lを入れ、さらに塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを3.5に調整した。このフラスコ内に前記尿素ホルムアルデヒドプレポリマー(有効成分濃度38%)を6g添加し、さらにメラミンホルムアルデヒド初期縮合物(有効成分濃度80%)を1g添加し、フラスコの内容物を撹拌してメラミンホルムアルデヒド初期縮合物を水性媒体に溶解させた。次にフラスコ内(カプセル剤材料が溶解した酸性水溶液)に、上記で作製したトナーコア300gを添加し、40℃で分散処理をして十分攪拌した。その後、攪拌しながら0.5℃/分の速度で昇温し70℃で1時間キープした。その後冷却を開始し、60℃(中和剤投入温度)の時点で水酸化ナトリウム水溶液(中和剤)を加えてpH8(中和剤投入後のpH)になるまで中和し、フラスコの内容物を40℃まで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。以降は実施例1と同様にしてトナーコア表面にカチオン性のシェル層が形成されてなるカプセルトナーを得た。
〔比較例1〜4〕
下記の表2に示すように、中和条件(中和剤投入後のpH、中和剤投入温度)、洗浄条件(ろ液の導電率、洗浄水量、洗浄水温度)を変更した以外は、実施例1と同様にして、現像剤を作製した。
〔比較例5〜8〕
下記の表2に示すように、中和条件(中和剤投入後のpH、中和剤投入温度)、洗浄条件(ろ液の導電率、洗浄水量、洗浄水温度)を変更した以外は、実施例7と同様にして、現像剤を作製した。
≪評価≫
このようにして得た実施例及び比較例の現像剤を用いて、下記の基準に従い各特性の評価を行った。これらの結果を下記の表2に併せて示した。
〔シェル層の厚さ〕
シェル層の厚さは、上述の方法に従い測定した。即ち、トナー粒子を、常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散し、40℃の雰囲気にて2日間硬化させて硬化物を得た。この硬化物を四酸化オスミウムにて染色した後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトーム(ライカ社製、EM UC6)にて切り出し、厚さ200nmの薄片試料を得た。そして、この試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JSM−6700 F)にて撮影した。
〔ICP分光分析〕
誘導結合プラズマ分光分析装置(パーキンエルマージャパン社製、ICP−OES Optima8300)を用いて、Na元素量を定量した。測定サンプルは、0.01g又は0.05gを、極性溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)にて10mlに定容したものを用いた(1000倍希釈又は200倍希釈)。検量線を求めるための標準液は、水系単元素Na標準液1000ppmをNMPで1000倍以上希釈し調製した。また、市販の金属分析用イットリウム標準液[Y(NO in HNO2〜3質量%]1000mg/Lなる試薬を用い、Na標準液と同様に希釈し、すべての測定溶液に1ppmになるように追加添加した。なお、サンプルはNMPに完全に溶解せず、分散した状態であるため、測定前に撹拌して測定した。検出下限LODは、NMPブランク10回測定により得られる標準偏差の3倍値より算出した。測定条件を、下記の表1に示した
Figure 0005945530
〔Na元素量の定量〕
Naの定量には、発光スペクトルのうち波長588.995nmの強度を測定して、図1に示す検量線より計算で求めた。
〔画像濃度安定性〕
実施例または比較例で作成した現像剤をシアン色用の現像装置に投入し、実施例または比較例で作成したカプセルトナーをシアン色用のトナーコンテナに投入した京セラドキュメントソリューションズ製プリンタ(FS−C5400DN)を用いて、通常環境(20℃、65%)にて、連続3万枚プリント後にべた画像を含む画像評価パターン(紙面上のトナー載せ量を0.5mg/cmとなるよう現像バイアス調整する)を印字して画像とし、得られたベタ画像の画像濃度をマクベス反射濃度計(グレタグ・マクベス社製、RD914)により測定し、下記3段階で評価した。
○:画像濃度が1.20以上
△:画像濃度が1.10以上1.20未満
×:画像濃度が1.10未満
〔定着性〕
定着装置の定着温度を可変できるように改造した京セラドキュメントソリューションズ製プリンタ(FS−C5400DN)を用いて、以下の条件設定で定着下限温度(最低定着可能温度)及び定着上限温度(最高定着可能温度)を特定した。条件は200mm/secのスピードで8mmのニップ間を形成し温度を100℃から200℃まで5℃刻みで変化させ、定着下限温度(最低定着可能温度)及び定着上限温度(最高定着可能温度)を測定した。ニップ通過時間は40msecであった。90g/m2の用紙に1.0mg/cm2のトナーを現像し、温度を調整した定着器を通過させて、その定着性を評価した。
Figure 0005945530
上記表2の結果から、実施例1〜14は、ICP分光分析によるナトリウム元素量が、200ppm以上1000ppm以下であるため、初期及び耐久後の画像濃度が安定しており、定着性も良好であった。
これに対して、比較例1〜4は、ICP分光分析によるナトリウム元素量が、200ppm未満であるため、耐久後の画像濃度が劣っていた。また、洗浄工程に膨大な水が必要となる。
比較例5〜8は、ICP分光分析によるナトリウム元素量が、1000ppmを超えるため、初期及び耐久後の画像濃度が劣っていた。
本発明は、常に安定した画像濃度が得られる電子写真用トナーとして有用である。

Claims (2)

  1. pH4におけるゼータ電位が−5mV以下であるアニオン性のトナーコアの表面に、カチオン性のシェル層が形成されてなるカプセルトナー粒子を含有し、前記カプセルトナー粒子の表面に残存するナトリウム元素量が、誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP)による測定で200ppm以上1000ppm以下であり、前記シェル層の材料は、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物と、そのメチロール基と反応可能なアルコール性OH基を有するビニルモノマーとスチレンスルホン酸ナトリウムとのブロック共重合体と、から成ることを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 前記シェル層の材料は、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンスルホン酸ナトリウムとのブロック共重合体と、から成る請求項に記載の電子写真用トナー。
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