JP6380332B2 - 静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。
静電潜像現像用トナーの製造方法としては、溶融混練法が知られている。溶融混練法では、トナー粒子の材料(例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を混合した後、混練工程、粉砕工程、及び分級工程を経て、複数のトナー粒子を含むトナーを製造する。
また、静電潜像現像用トナーの製造方法としては、凝集法も知られている。特許文献1に記載のトナーの製造方法は、凝集工程と融合工程とを含む。凝集工程では、樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを少なくとも混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水性媒体中で凝集させる。これにより、凝集体が形成される。融合工程では、形成された凝集体を加熱し融合する。
国際公開第2008/102742号
しかしながら、溶融混練法及び特許文献1に記載のトナーの製造方法では、シャープな粒度分布を有し、耐熱保存性に優れるトナーを得ることは難しい。また、溶融混練法では、所望の粒度分布を有するトナーを得るために分級工程が行われ、操作が煩雑である。更に、特許文献1に記載のトナーの製造方法では、トナーの原料毎に分散液を調製するため、操作が煩雑である。特許文献1に記載のトナーの製造方法では、離型剤の脱離も生じ易い。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シャープな粒度分布を有し、耐熱保存性に優れる静電潜像現像用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、シェル層形成工程を含む。前記シェル層形成工程では、水性媒体の温度を上昇させながら前記水性媒体中でトナーコアとシェル層形成材料とを混合して、前記トナーコアの表面にシェル層を形成する。前記水性媒体の昇温速度は、0.5℃/分以下である。前記トナーコアは、ポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含有する。下記数式(1)で表される前記トナーコアのpH変化量(ΔpH)は2.5以上である。
ΔpH=pH(Tg-15)−pH(Tg+15)・・・(1)
数式(1)中、pH(Tg-15)及び、pH(Tg+15)は、各々、前記トナーコア10質量部とpH12の水90質量部との混合物の温度をTg−15℃からTg+15℃に変化させたときに、Tg−15℃で測定される前記混合物のpH、及びTg+15℃で測定される前記混合物のpHを示す。Tgは、前記ポリエステル樹脂のガラス転移点を示す。
本発明によれば、シャープな粒度分布を有し、耐熱保存性に優れる静電潜像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下、粉体(例えば、トナー母粒子、外添剤、又はトナー)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の粒子径は、何ら規定していなければ、電子顕微鏡により測定された一次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)である。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(以下、トナーと記載することがある)の製造方法は、シェル層形成工程を含む。
本実施形態に係るトナーの製造方法では、シェル層形成工程における水性媒体の昇温速度が0.5℃/分以下である。水性媒体の昇温速度が0.5℃/分を超えると、トナーコアの表面にシェル層が形成される前に、トナーコア同士の凝集が進行する傾向がある。そこで、水性媒体の昇温速度を0.5℃/分以下とすることにより、トナーコア同士の凝集を抑制することができる。これにより、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成することができ、耐熱保存性に優れるトナーを製造することができる。
また、本実施形態に係るトナーの製造方法では、後述するトナーコアのpH変化量(ΔpH)が2.5以上である。トナーコアのpH変化量(ΔpH)が2.5以上であると、シャープな粒度分布を有するトナーを形成することができる。シャープな粒度分布を有するトナーによって形成される画像は、画像品質に優れると考えられる。特に、トナーコアのpH変化量(ΔpH)が2.5以上であると、シェル層形成工程の前に液中粉砕工程が行われる場合に、トナーコアの原料を含有する混練物の微粉砕が好適に進行する傾向がある。
以上のことから、本実施形態のトナーの製造方法によれば、シャープな粒度分布を有し、耐熱保存性に優れるトナーを製造することができる。
本実施形態のトナーの製造方法では、必要に応じて、シェル層形成工程の前に、混練工程、液中粉砕工程、凝集工程、及び合一化工程が行われてもよい。これらの工程が行われることにより、粉砕法のように分級工程を行わない場合であっても、シャープな粒度分布を有するトナーを製造することができる。また、これらの工程が行われることにより、凝集法のようにトナーの原料毎に分散液を調製する必要がないため、効率的にトナーを製造することができる。更に、これらの工程とシェル層形成工程とを、水性媒体中で連続して行うことができるため、効率的にトナーを製造することができる。
以下、混練工程、液中粉砕工程、凝集工程、合一化工程、及びシェル層形成工程を説明する。
<1.混練工程>
混練工程では、少なくともポリエステル樹脂と離型剤とを溶融しながら混練して、混練物を形成する。混練工程では、ポリエステル樹脂と離型剤とに加えて、任意のトナー成分(例えば、着色剤、磁性粉、又は電荷制御剤)を混練してもよい。
混練工程で使用されるポリエステル樹脂の酸価は、25mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価がこのような範囲内であると、ポリエステル樹脂は親水性の酸基(例えば、カルボキシル基)を適度に有すると考えられる。そのため、後述する液中粉砕工程で、ポリエステル樹脂が含有される混練物を水性媒体中に分散させ易く、混練物を効率的に粉砕できると考えられる。その結果、シャープな粒度分布を有するトナーを製造することができる。トナーの耐熱保存性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の酸価は、25mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は、例えば、ポリエステル樹脂を製造する際の、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とを、適宜変更することによって調整される。また、ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価は低下する傾向がある。
ポリエステル樹脂の酸価は、例えば、JIS(日本工業規格)K0070−1992に準拠する方法で測定される。
離型剤の質量比率は、混練される材料全体の質量に対して、例えば、7質量%以上25質量%以下であってもよい。通常、凝集法では、トナーの原料毎に分散液が調製されるため、離型剤粒子の分散液が水性媒体中に残留し、離型剤粒子と離型剤以外の原料粒子とが凝集し難いことがある。しかし、混練工程において離型剤が他のトナー原料に練り込まれた後に液中粉砕工程及び凝集工程が行われる場合、製造過程における離型剤の脱離を抑制できると考えられる。そのため、混練される材料全体の質量に対して7質量%以上25質量%以下の離型剤を添加した場合であっても、製造されるトナー中に離型剤を保持できると考えられる。
ポリエステル樹脂と離型剤と任意のトナー成分との混合には、例えば、混合装置(具体的には、FMミキサー)が使用される。混合物の混練には、例えば、二軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機が使用される。
混練工程よりも後、且つ液中粉砕工程よりも前に、乾式粉砕工程が更に含まれてもよい。乾式粉砕工程では、混練物を乾式粉砕する。乾式粉砕工程において、粒子の体積中位径が50μm以上100μm以下になるまで粉砕し、液中粉砕工程において、粒子の体積中位径が100nm以上600nm以下になるまで粉砕することが好ましい。
以下、乾式粉砕工程の一例について説明する。まず、ドラムフレーカーのような冷却固化装置を用いて混練物を冷却することにより固化する。続けて、粉砕装置(例えば、ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて、得られた混練物の固化物を粗粉砕する。その後、得られた粗粉砕物を、粉砕装置(例えば、ミルスターダム)を用いて更に粉砕し、所望の粒子径を有する混練物の中粉砕品を得る。
<2.液中粉砕工程>
液中粉砕工程では、混練物を水性媒体中で粉砕して、複数の混練物粒子を含む分散液を調製する。水性媒体中で混練物を粉砕することで、乾式粉砕よりも少ないエネルギーで、混練物を微粒子化できると考えられる。また、水性媒体中で混練物を粉砕するため、低い融点を有する材料も使用できると考えられる。
以下、液中粉砕工程の一例について説明する。まず、分散装置に、混練物(例えば、乾式粉砕された中粉砕品)、塩基性物質、及び水性媒体を投入する。続けて、超音波等を用いて混練物(例えば、中粉砕品)を水性媒体中に分散する。続けて、水性媒体に硬質のビーズを添加し、分散装置を用いて、混練物(例えば、中粉砕品)を粉砕して微粒子化する。その結果、混練物粒子(混練物が粉砕された粒子)を含む分散液が得られる。
ここで、水性媒体とは、水を主成分とする媒体である。水性媒体は、溶媒として機能してもよく、分散媒として機能してもよい。水性媒体の具体例としては、水、又は水と極性溶媒との混合液が挙げられる。水性媒体中に含有される極性溶媒の例としては、メタノール又はエタノールが挙げられる。水性媒体における水の含有率は、水性媒体の質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが一層好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
液中粉砕工程の粉砕開始時において、水性媒体のpHは11.0以上であることが好ましく、12.0以上であることがより好ましい。液中粉砕工程の粉砕開始時において水性媒体のpHが11.0以上である場合には、混練物に含有されるポリエステル樹脂の酸基(例えば、カルボキシル基)が解離し易くなる。ポリエステル樹脂の酸基が解離することで、分散液中の混練物が水性媒体になじみ易く(水が混練物の粒子間に入り込み易く)なり、混練物(詳しくは、少なくともポリエステル樹脂及び離型剤を含む混練物)の微粒子化が促進されると考えられる。トナーを容易に(又は低コストで)製造するためには、液中粉砕工程の粉砕開始時において、水性媒体のpHが14.0以下であることが好ましい。
トナーの耐熱保存性を向上させるためには、液中粉砕工程の粉砕開始時において、水性媒体のpHは12.0以上12.8以下であることが一層好ましい。
混練物が微粒子化されると、混練物の比表面積が増大し、混練物の表面に露出する酸基が増加する。また、酸基が解離するため、微粒子化が進むほど水性媒体のpHが低下する傾向がある。液中粉砕工程において水性媒体のpHが大きく変動する場合には、液中粉砕工程の粉砕中は、水性媒体のpHが12.0以上になるように、水性媒体のpHを制御することが特に好ましい。
水性媒体のpHを11.0以上に調整する場合には、水性媒体中に塩基性物質を添加することが好ましい。pHを調整するために使用する塩基性物質としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム等)、アルカリ金属炭酸塩(より具体的には、炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩(より具体的には、炭酸水素ナトリウム、又は炭酸水素カリウム等)、又は含窒素塩基性有機化合物(より具体的には、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、モノメタノールアミン、モルホリン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、又はビニルピリジン等)が好ましい。
液中粉砕工程の粉砕開始時において、水性媒体の温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移点以上であることが好ましい。液中粉砕工程の粉砕開始時における水性媒体の温度をポリエステル樹脂のガラス転移点以上にすることで、ポリエステル樹脂の粒子の表面における酸基の解離が促進される傾向がある。その結果、混練物(例えば、中粉砕品)の微粒子化を良好に進行できるためである。
離型剤の脱離を抑制するためには、液中粉砕工程の粉砕開始時における水性媒体(分散液)の温度は、離型剤の融点よりも15℃以上低いことがより好ましい。離型剤の融点よりも15℃以上低い温度にすること(水性媒体の温度≦離型剤の融点−15℃)で、製造過程における離型剤の脱離が抑制される傾向がある。
離型剤の脱離は、特に液中粉砕工程での粉砕中に起き易い。液中粉砕工程において水性媒体の温度が大きく変動する場合には、液中粉砕工程の粉砕中は、水性媒体の温度がポリエステル樹脂のガラス転移点以上であり、且つ、離型剤の融点よりも15℃以上低くなるように、水性媒体の温度を制御することが特に好ましい。
水性媒体の温度は、例えば、分散装置の温度コントロール槽、又はウォーターバスを用いて調整される。
混練物を水性媒体中で粉砕する分散装置としては、例えば、メディア型分散装置(より具体的には、サンドミル、又はビーズミル)、又はメディアレス型分散装置(より具体的には、ホモディスパー、ホモミクサー、フィルミックス、クレアミックス(登録商標)、ゴーリン式ホモジナイザー、NANO3000、ナノマイザー、マイクロフルダイザー、T.K.フィルミックス、ロボミックス、又はキャビトロン)が挙げられる。
水性媒体中の粒子を安定して均一に分散させるために、水性媒体中に分散剤を添加してもよい。分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又はノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤、又は石鹸が好ましい。カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、又は4級アンモニウム塩型界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物型界面活性剤、又は多価アルコール型界面活性剤(グリセリン、ソルビトール、又はソルビタンのような多価アルコールの誘導体)が好ましい。1種の界面活性剤を単独で用いてもよいし、2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。
水性媒体中の粒子を安定して均一に分散させるためには、分散剤の使用量は、混練物(例えば、中粉砕品)100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<3.凝集工程>
凝集工程では、分散液中の混練物粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。凝集工程では、凝集粒子の個数中位径を、液中粉砕工程後における分散液中の混練物粒子の個数中位径の10倍以上にする(例えば、数百nmの個数中位径を有する粒子を、その個数中位径が数μmになるまで凝集させる)ことが好ましい。分散液に凝集剤を添加して分散液中の混練物粒子を凝集させてもよい。あるいは、分散液の温度を所定の温度に調整して分散液中の混練物粒子を凝集させてもよい。
凝集剤としては、例えば、無機金属塩又は無機アンモニウム塩が挙げられる。無機金属塩としては、例えば、金属塩(より具体的には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、又は硫酸アルミニウム等)、又は無機金属塩重合体(より具体的には、ポリ塩化アルミニウム又はポリ水酸化アルミニウム等)が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又は硝酸アンモニウムが挙げられる。また、4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、又は含窒素化合物(例えば、ポリエチレンイミン等)を、凝集剤として使用してもよい。凝集剤としては、2価の金属塩、又は1価の金属塩を用いることができる。1種の凝集剤を単独で用いてもよいし、2種以上の凝集剤を組み合わせて用いてもよい。2種以上の凝集剤を組み合わせて用いる場合には、2価の金属塩と1価の金属塩とを併用することが好ましい。2価の金属塩の微粒子の凝集速度と1価の金属塩の微粒子の凝集速度とが異なるため、2価の金属塩と1価の金属塩とを併用することで、得られる凝集粒子の粒子径を制御し、凝集粒子の粒度分布をシャープにすることが可能になる。
凝集工程において、凝集剤を添加する際の分散液のpHは8以上のアルカリ性に調整されることが好ましい。凝集剤は、一度に添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。粒子同士の凝集を良好に進行させるためには、凝集剤の添加量は、分散液の固形分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。また、凝集剤の添加量は、分散液中に含まれる分散剤の種類及び量に応じて適宜調整することが好ましい。
凝集粒子が所望の粒子径となるまで凝集粒子の凝集が進行した後に、凝集停止剤を添加してもよい。凝集停止剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は塩化マグネシウムが好ましい。
<4.合一化工程>
合一化工程では、凝集粒子を加熱することにより合一化して、トナーコアを形成する。凝集粒子に含まれる成分を合一化させる方法は任意である。例えば、凝集粒子を含む分散液を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてもよい。凝集粒子に含まれる成分を合一化させることで、トナーコアを含む分散液が得られる。
凝集粒子に含まれる成分の合一化を良好に進行させるためには、合一化工程において、凝集粒子を含む分散液の温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)+10℃以上ポリエステル樹脂の融点以下であることが好ましい。
<5.シェル層形成工程>
シェル層形成工程では、水性媒体の温度を上昇させながら、水性媒体中でトナーコアとシェル層形成材料とを混合して、トナーコアの表面にシェル層を形成する。
水性媒体の昇温速度は、0.5℃/分以下である。既に述べたように、水性媒体の昇温速度が0.5℃/分を超えると、トナーコアの表面にシェル層が形成される前に、トナーコア同士の凝集が進行する傾向がある。そこで、水性媒体の昇温速度を0.5℃/分以下に設定することにより、トナーコア同士の凝集を抑制することができる。これにより、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成することができ、耐熱保存性に優れるトナーを製造することができる。トナーの耐熱保存性を向上させるためには、水性媒体の昇温速度は、0.2℃/分以上0.5℃/分以下であることが好ましい。
トナーコアは、ポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含有する。下記数式(1)で表されるトナーコアのpH変化量(ΔpH)は2.5以上である。
ΔpH=pH(Tg-15)−pH(Tg+15)・・・(1)
数式(1)中のpH(Tg-15)及びpH(Tg+15)を説明する。以下、トナーコアに含有されるポリエステル樹脂のガラス転移点をTgと記載する。まず、トナーコア10質量部とpH12の水90質量部との混合物を調製する。調製された混合物の温度を、Tg−15℃(ガラス転移点よりも15℃低い温度)から、Tg+15℃(ガラス転移点よりも15℃高い温度)まで変化させる。このときに、Tg−15℃で測定される混合物のpHを、pH(Tg-15)とする。Tg+15℃で測定される混合物のpHを、pH(Tg+15)とする。pH(Tg-15)とpH(Tg+15)とは、数式「pH(Tg-15)>pH(Tg+15)」の関係を満たすため、pH変化量(ΔpH)は正の値となる。なお、トナーコアのpH変化量は、例えば、実施例で後述する方法で測定される。
トナーコアのpH変化量が2.5以上であると、シャープな粒度分布を有するトナーを形成することができる。シャープな粒度分布を有するトナーによって形成される画像は、画像品質に優れると考えられる。また、トナーコアのpH変化量が2.5以上であると、トナーの耐熱保存性が向上する傾向がある。シャープな粒度分布を有し耐熱保存性に優れるトナーを製造するためには、トナーコアのpH変化量は、3.0以上であることが好ましい。トナーを容易に製造するためには、トナーコアのpH変化量は、6.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。
合一化工程で得られたトナーコアを含む水性媒体の分散液を、そのまま、シェル層形成工程に使用してもよい。詳しくは、合一化工程で得られたトナーコアを含む水性媒体の分散液に、シェル層形成材料を添加してもよい。
トナーコアを含む分散液にシェル層形成材料を添加する前に、分散液のpHを、酸性物質を用いて4程度に調整することが好ましい。分散液のpHを酸性側に調整することで、シェル層形成材料の重縮合反応が促進され易くなる。
必要に応じて分散液のpHを調整した後、水性媒体中で、シェル層形成材料と、トナーコアとを混合する。これにより、トナーコアの表面においてシェル層形成材料の重合反応を進行させる。好適に重合反応を進行させるためには、重合反応の時間は、1時間以上3時間以下であることが好ましい。
シェル層を形成する際の水性媒体の温度は、40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。このような範囲内の温度でシェル層を形成すると、シェル層の形成を進行させ易い。
シェル層形成工程を経て、トナーコアの表面にシェル層が形成され、トナー粒子の水性媒体の分散液が得られる。以下、外添剤が外添される前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載することがある。シェル層形成工程で得られるトナー母粒子を含む水性媒体の分散液は、常温まで冷却される。その後、必要に応じて、後述するトナー母粒子の洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程から選択される1つ以上の工程が行われてもよい。
<6.洗浄工程>
洗浄工程では、例えば、水を用いてトナー母粒子を洗浄する。トナー母粒子の洗浄方法としては、例えば、トナー母粒子を含む分散液を固液分離して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を回収し、回収されたウェットケーキ状のトナー母粒子を水で洗浄する方法が挙げられる。また、トナー母粒子の別の洗浄方法としては、トナー母粒子を含む分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
<7.乾燥工程>
乾燥工程では、例えば、乾燥機(より具体的には、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機等)を用いてトナー母粒子を乾燥する。乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するためには、スプレードライヤーを用いてトナー母粒子を乾燥することが好ましい。スプレードライヤーを用いる場合には、例えば、外添剤(より具体的には、シリカ粒子等)が分散された分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と後述の外添工程とが同時に行われてもよい。
<8.外添工程>
外添工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。例えば、トナー母粒子と外添剤とを混合機を用いて混合することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。混合条件は、外添剤がトナー母粒子に埋め込まれないような条件に設定することが好ましい。
上記工程により、トナー粒子を多数有するトナーを製造することができる。なお、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。また、必要に応じて、上記工程及び手順は改変されてもよい。例えば、シェル層形成工程において、シェル層形成材料の水性媒体溶液に、トナーコアが添加されてもよい。更に、効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
<9.トナー>
本実施形態に係るトナーの製造方法は、以下の成分及び物性を有するトナー(例えば、正帯電性トナー)の製造に適している。
トナーは、複数のトナー粒子を含む粉体である。トナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する。現像工程では、帯電したトナーを静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、更に中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
トナー粒子は、トナーコアとシェル層とを備えるカプセルトナー粒子である。なお、本実施形態に係る製造方法で製造されるトナーは、実質的にカプセルトナー粒子を含むが、非カプセルトナー粒子が含有されてもよい。以下、トナー粒子が備えるトナーコアとシェル層とを説明する。
<9−1.トナーコア>
トナーコアは、ポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含有する。トナーコアは、必要に応じて、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の1種以上を含有してもよい。なお、トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、着色剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を割愛してもよい。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、結着樹脂としてトナーコアに含有される。トナーコアがポリエステル樹脂を含有することにより、トナー中での着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性が向上すると考えられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸との縮重合又は共縮重合によって得られるポリエステル樹脂を使用することができる。
ポリエステル樹脂の調製に用いることができる2価のアルコールとしては、ジオール類又はビスフェノール類が好ましい。
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
ポリエステル樹脂の調製に用いることができる3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが好ましい。
ポリエステル樹脂の調製に用いることができる2価のカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、アルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、又はマロン酸が好ましい。
ポリエステル樹脂の調製に用いることができる3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が好ましい。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素数1以上6以下のアルキル基を意味する。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有する。離型剤は、例えば、トナーの定着性を向上させる目的で使用される。
離型剤としては、例えば、脂肪族炭化水素ワックス(より具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(より具体的には、酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体)、植物由来のワックス(より具体的には、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックス)、動物由来のワックス(より具体的には、みつろう、ラノリン、又は鯨ろう)、鉱物ワックス(より具体的には、オゾケライト、セレシン、又はペトロラタム)、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類(より具体的には、モンタン酸エステルワックス、又はカスターワックス)、又は脂肪酸エステルの一部もしくは全部を脱酸化したワックス(より具体的には、脱酸カルナバワックス)が挙げられる。
(着色剤)
トナーコアは、必要に応じて着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて公知の顔料又は染料が用いられる。
トナーコアは、黒色着色剤を含有してもよい。黒色着色剤としては、例えば黒色顔料、又は黒色染料が挙げられる。黒色顔料の具体例としては、カーボンブラックが挙げられる。後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された黒色着色剤を使用してもよい。
トナーがカラートナーである場合に、トナーコアに配合される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤が挙げられる。
トナーコアは、カラー着色剤を含有してもよい。カラー着色剤の例としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤の例としては、イエロー顔料、又はイエロー染料が挙げられ、より具体的には、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリールアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、マゼンタ顔料、又はマゼンタ染料が挙げられ、より具体的には、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、シアン顔料、又はシアン染料が挙げられ、より具体的には、銅フタロシアニン、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の具体例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
トナー成分としては、ポリエステル樹脂及び着色剤を含むマスターバッチを用いてもよい。以下、マスターバッチの調製方法の一例について説明する。まず、ポリエステル樹脂及び着色剤を溶融しながら混練する。続けて、得られた混練物を冷却することにより固化する。続けて、得られた固化物を粉砕する。その結果、ポリエステル樹脂及び着色剤を含むマスターバッチが得られる。ポリエステル樹脂及び着色剤の混練には、例えば、混練機(具体的には、単軸押出機、二軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機)が使用される。
着色剤の使用量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(電荷制御剤)
本実施形態では、トナー粒子は正帯電性の電荷制御剤を含んでもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標になる。
(磁性粉)
トナー粒子は、必要に応じて磁性粉を含んでもよい。磁性粉としては、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)を施した強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
<9−2.シェル層>
シェル層は、トナーコアを被覆する。シェル層は、例えば、トナーコアの表面でシェル層形成材料を重合又は共重合させることにより形成される。シェル層形成材料は、カチオン性を有することが好ましい。カチオン性を有するシェル層形成材料は、アニオン性を有するトナーコアに電気的に引き寄せられ易い。そのため、例えばin−situ重合によりトナーコアの表面にシェル層が形成され易くなる。なお、シェル層形成材料がカチオン性を有するとは、シェル層形成材料がカチオン性の置換基(例えばアミノ基、具体的には−NH2基、−NH−基、又は=N−基)、又はカチオン性の原子(例えば、窒素原子)を含む分子骨格を有することを意味する。
シェル層形成材料は、カチオン性を有する熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーであることがより好ましい。このようなシェル層形成材料により形成されるシェル層によれば、トナーの耐熱保存性を向上させ易くなる。
カチオン性を有する熱硬化性樹脂の例としては、アミノ基(−NH2基、−NH−基、又は=N−基)を有する樹脂が挙げられる。アミノ基を有する樹脂は、いわゆるアミノ樹脂とも称される。
トナーコアの表面には、ポリエステル樹脂が有する官能基(例えば、エステル結合、又は水酸基)が露出している。そのため、トナーコアの表面にシェル層を形成する際に、アミノ基を有する樹脂のアミノ基(−NH2基、−NH−基、及び=N−基)と、トナーコアの表面に露出する官能基(例えば、エステル結合、又は水酸基)とが反応し易い。そのため、トナーコアとシェル層との間に、共有結合が形成され易く、シェル層とトナーコアとが強固に結合すると考えられる。
アミノ基を有する樹脂の例としては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、スルホンアミド樹脂、尿素樹脂、グリオキザール樹脂、又はアニリン樹脂が挙げられる。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)はメラミンである。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)は尿素である。グリオキザール樹脂は、グリオキサールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)は、グリオキサールと尿素との反応生成物である。グアナミン樹脂は、グアナミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。グアナミン樹脂の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)はグアナミンである。スルホンアミド樹脂は、スルホンアミドとホルムアルデヒドとの重縮合物である。スルホンアミド樹脂の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)はスルホンアミドである。アニリン樹脂は、アニリンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。アニリン樹脂の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)はアニリンである。
アミノ基を有する樹脂の形成に使用されるモノマー(例えば、メラミン、尿素、グリオキサールと反応させる尿素、グアナミン、スルホンアミド、又はアニリン)は誘導体化されてもよい。例えば、アミノ基を有する樹脂の形成に使用されるモノマーは、ホルムアルデヒドを用いてメチロール化されてもよい。具体的には、メラミンをメチロール化したメチロールメラミンをモノマーとして使用してもよい。また、グアナミンを誘導体化したベンゾグアナミン、アセトグアナミン、又はスピログアナミンをモノマーとして使用してもよい。
アミノ基を有する樹脂の形成に使用されるモノマー(例えば、メラミン、尿素、グリオキサールと尿素との反応生成物、グアナミン、スルホンアミド、又はアニリン)はプレポリマー(以下、初期重合体と記載する場合がある)の形態で使用されてもよい。ここで、プレポリマーとは、モノマーの重合反応、又は重縮合反応を、その重合度がポリマーの重合度に到達する前の段階で停止することにより得られる中間生成物を意味する。
カチオン性を有する熱硬化性樹脂の別の例としては、窒素原子を分子骨格に有する熱硬化性樹脂が挙げられる。窒素原子を分子骨格に有する熱硬化性樹脂の例としては、熱硬化性ポリイミド樹脂、又はマレイミド系重合体が挙げられる。マレイミド系重合体の形成に使用されるモノマー(シェル層形成材料)の例としては、マレイミド、ビスマレイミド、アミノビスマレイミド、又はビスマレイミドトリアジンが挙げられる。
<9−3.外添剤>
トナー粒子は、外添剤を含んでもよい。具体的には、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えば、トナーの流動性及び取扱性を向上させるために使用される。
外添剤としては、例えば、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が挙げられる。1種の外添剤を単独で用いてもよいし、2種以上の外添剤を組み合わせて用いてもよい。
外添剤は、疎水化剤を用いて疎水化されてもよい。疎水化剤の例としては、アミノシランカップリング剤又はシリコーンオイルが挙げられる。疎水化された外添剤をトナー母粒子の表面に付着させることで、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制できる傾向がある。また、疎水化された外添剤により、トナーの流動性を良好にするできる傾向がある。
トナーの流動性及び取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性及び取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
なお、トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。高画質の画像を形成するためには、現像剤用キャリアとしてフェライトキャリアを使用することが好ましい。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、8質量部以上15質量部以下であることが好ましく、8質量部以上12質量部以下であることがより好ましい。
以上、本実施形態に係るトナーの製造方法を説明した。本実施形態に係るトナーの製造方法によれば、シャープな粒度分布を有し、耐熱保存性に優れるトナーを製造することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、複数の粒子を含む粉体(例えば、トナー母粒子、外添剤、又はトナー)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。また、粉体の粒子径は、何ら規定していなければ、粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)である。
<1.測定方法>
まず、実施例及び比較例で採用した測定方法を説明する。軟化点(Tm)の測定値は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定される温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブにおいて、ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度である。また、融点(Mp)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定されるDSC曲線中の最大吸熱ピークの温度である。また、数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)の各々の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。また、酸価、ガラス転移点(Tg)、軟化点(Tm)、個数中位径、体積中位径(D50)、変動係数(CV)、及び個数平均円形度の測定方法はそれぞれ、何ら規定していなければ、次に示すとおりである。
(Tgの測定方法)
試料のガラス転移点(Tg)は以下の方法で測定した。示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、ポリエステル樹脂)の吸熱曲線を求めた。続けて、得られた吸熱曲線から試料のガラス転移点を読み取った。得られた吸熱曲線中の比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が、試料のガラス転移点に相当する。
(酸価の測定方法)
試料(例えば、ポリエステル樹脂)の酸価は、JIS(日本工業規格)K0070−1992に準拠する方法で測定した。
(pHの測定方法)
試料(例えば、液中粉砕工程における水性媒体)のpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製「D−51」)を用いて測定した。
(個数中位径、体積中位径、及び変動係数の測定方法)
以下の方法で測定された試料(例えば、凝集粒子、又はトナー母粒子)の粒度分布から、個数中位径、体積中位径(D50)、及び変動係数(CV)を求めた。まず、試料20mgと、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mLと、電解液(ベックマン・コールター株式会社製「ISOTON−2」)50mLとを混合した。続けて、得られた混合物に対して、超音波分散器(アズワン株式会社販売「VS−D100」)を用いて、周波数20kHzで3分間超音波照射を行った。その結果、評価用分散液が得られた。続けて、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて、アパーチャ径100μm、測定粒子数50000の条件で、評価用分散液における試料の個数粒度分布及び体積粒度分布を測定した。そして、測定された個数粒度分布及び体積粒度分布から、それぞれ、試料の個数中位径及び体積中位径を求めた。なお、個数中位径は、コールターカウンター法により測定された個数基準のメディアン径である。体積中位径は、コールターカウンター法により測定された体積基準のメディアン径である。更に、試料の変動係数は、体積粒度分布における標準偏差を体積中位径で除することにより算出した。
(個数平均円形度の測定方法)
試料(例えば、トナー母粒子)5mgに界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)1mLを添加して、混合物を得た。続けて、得られた混合物に対して超音波照射を行った。続けて、混合物をシース液(シスメックス株式会社製「パーティクルシース PSE−900A」)100mLで希釈して、希釈液を得た。その後、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、希釈液における試料の円形度(詳しくは、3000個の粒子の個数平均値)を測定した。
<2.トナーの製造方法>
実施例及び比較例に係るトナー1〜11を、以下の方法で製造した。
<2−1.ポリエステル樹脂の準備>
トナーコアに含有させるポリエステル樹脂として、以下の物性値を有するポリエステル樹脂A〜Eを準備した。Mn、Mw、Mw/Mn、Tm、及びTgは、各々、数平均分子量、質量平均分子量、分子量分布、軟化点、及びガラス転移点を示す。
ポリエステル樹脂A:Mn2082、Mw4861、Mw/Mn2.3、酸価49.7mgKOH/g、Tm94.7℃、Tg56.0℃、
ポリエステル樹脂B:Mn2027、Mw3978、Mw/Mn2.0、酸価36.2mgKOH/g、Tm88.4℃、Tg52.3℃、
ポリエステル樹脂C:Mn1887、Mw3219、Mw/Mn1.7、酸価25.7mgKOH/g、Tm92.7℃、Tg58.1℃、
ポリエステル樹脂D:Mn1965、Mw4221、Mw/Mn2.1、酸価18.4mgKOH/g、Tm93.7℃、Tg56.1℃、及び
ポリエステル樹脂E:Mn2359、Mw4865、Mw/Mn2.1、酸価10.7mgKOH/g、Tm95.5℃、Tg55.4℃。
<2−2.トナー1の製造方法>
(混練工程)
ポリエステル樹脂Aの3280gと、離型剤(酸価0.1mgKOH/g、Mp76℃)328gと、マスターバッチ着色剤(シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)とポリエステル樹脂Aとを質量比1:1で混合した混合物)392gとを、容量20LのFMミキサーを用いて3分間混合した。なお、トナー1の製造方法における離型剤の添加量328gは、トナーコアの質量4000g(=3280g+328g+392g)に対して8.2質量%(=100×328/4000)に相当する。
続けて、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、シリンダー温度130℃、軸回転速度160rpm、材料投入速度4kg/時の条件で溶融しながら混練し、混練物を得た。混練物をドラムフレーカーを用いて冷却して、混練チップを得た。続けて、混練チップを粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕し、混練物の粗粉砕品を得た。続いて、混練物の粗粉砕品を粉砕機(東京アトマイザー製造株式会社製「ミルスターダムMSD−LB型」)を用いて、先端周速度100m/秒、処理量7.2kg/時の条件で粉砕し、混練物の中粉砕品を得た。
(液中粉砕工程)
次に、容量2Lのアルミナセラミックス製容器を備える卓上サンドミル(株式会社林商店製)を準備した。続けて、得られた混練物の中粉砕品240gと、1N−水酸化ナトリウム水溶液192gと、濃度10質量%のアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0」、ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液24gと、イオン交換水144gとを、卓上サンドミルの容器に投入した。続けて、容器内容物の温度を60℃に保って、超音波洗浄装置(シャープ株式会社製「UT−106」、高周波出力:最大100W、発振周波数:37kHz)を用いて、容器内容物に5分間超音波照射を行った。その結果、液中に混練物の中粉砕品が分散して、混練物の中粉砕品の分散液が得られた。
続けて、卓上サンドミルの容器に、直径1mmのジルコニア製ビーズ2400gを投入した。そして、容器内容物のpH(粉砕開始時の水性媒体のpH)が12.9であり、容器内容物の温度(粉砕開始時の水性媒体の温度)が60℃である状態で、液中粉砕処理を開始した。詳しくは、水性媒体の温度を60℃に保って、アルミナセラミックス製ディスク3枚を2160rpmの速度(高速モード)で60分間回転させて、混練物の中粉砕品を含む容器内容物を液中で粉砕した。続けて、開口径0.5mmの篩を用いてジルコニア製ビーズを取り除いて、混練物の液中粉砕品(混練物粒子)の分散液を得た。その後、混練物の液中粉砕品(混練物粒子)の分散液を、その温度が25℃になるように冷却した。得られた分散液に含まれる混練物の液中粉砕品(混練物粒子)に関しては、体積中位径が412nm、個数中位径が252nmであった。なお、混練物の液中粉砕品の体積中位径及び個数中位径はそれぞれ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950V2」)を用いて測定した。
(凝集工程)
次に、攪拌羽根を備えた容量2Lのステンレス製丸底フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、得られた混練物の液中粉砕品(混練物粒子)の分散液を、フラスコ内に投入した。そして、フラスコ内容物を、回転速度100rpmで10分間攪拌した。続けて、フラスコ内に、固形分濃度50質量%の塩化マグネシウム六水和物(凝集剤)水溶液195gを5分間かけて滴下した。続いて、フラスコ内容物の温度を速度0.2℃/分で昇温した。昇温により、フラスコ内の混練物粒子が凝集し、凝集粒子が形成された。凝集粒子の個数中位径が4.5μmになるまで昇温を続けた。具体的には、65℃で昇温を停止した。
(合一化工程)
続けて、攪拌回転速度を200rpmに上げて、フラスコ内容物の温度を速度0.2℃/分で70℃まで昇温した。そして、フラスコ内容物の温度を70℃に保ち、フラスコ内容物を60分間攪拌して、フラスコ内の凝集粒子を合一化させた。その結果、トナーコアが得られた。トナーコアの個数平均円形度は0.972であった。
(シェル層形成工程)
続けて、トナーコアを含むフラスコ内容物を常温まで冷却した。フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体(イオン交換水)のpH(シェル層形成時のpH)を4に調整した。続けて、シェル層形成材料の水溶液(ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液、昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)1.6mLをフラスコ内に添加した。そして、フラスコ内容物を攪拌して、メラミンホルムアルデヒド初期縮合物を水性媒体に溶解させた。続けて、フラスコ内に88mLのイオン交換水を添加した。フラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内容物の温度を0.5℃/分の速度で70℃まで昇温した。つまり、シェル層形成工程における水性媒体の昇温速度は、0.5℃/分であった。そして、フラスコ内容物の温度を70℃に保ち、2時間攪拌した。その結果、トナーコアの表面にシェル層が形成された。フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて70℃のフラスコ内容物のpHを7に調整(中和処理)した後、更にフラスコ内容物を40℃まで冷却した。その結果、トナー母粒子(シェル層で被覆されたトナーコア)を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
続けて、ブフナーロートを用いてトナー母粒子の分散液を固液分離(吸引ろ過)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。続けて、ウェットケーキ状のトナー母粒子を再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。そして、イオン交換水による同様の洗浄(ろ過及び分散)を、洗浄液のろ液の導電率が3μS/cm未満になるまで繰り返した。洗浄後のろ液の導電率は、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計「HORIBA ES−51」を用いて測定した。
(乾燥工程)
続けて、洗浄されたウェットケーキ状のトナー母粒子を、角形真空定温乾燥器(ヤマト科学株式会社販売「DP63」)を用いて、真空度1kPa、且つ、温度40℃の条件で、72時間乾燥した。その結果、トナー母粒子が得られた。
(シリカの作製)
ジメチルポリシロキサン100gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)100gとを、トルエン200gに溶解させて、溶液を得た。続けて、得られた溶液を10倍に希釈した。続けて、得られた希釈溶液を、フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)90」)200gに徐々に滴下しながら、シリカを攪拌して、混合物を得た。更に、混合物を攪拌しながら混合物に30分間超音波照射した。
続けて、超音波照射された混合物を、恒温槽を用いて150℃に加熱した。続けて、ロータリーエバポレーターを用いて、混合物からトルエンを留去した。その結果、固形物が得られた。
続けて、得られた固形物を、減圧乾燥機を用いて、設定温度50℃の条件で、減量しなくなるまで乾燥した。続けて、乾燥した固形物を、電気炉を用いて、窒素気流中、設定温度200℃の条件で、3時間加熱した。続けて、加熱された固形物を、ジェットミルを用いて解砕して、バグフィルターで捕集することで、シリカ(粉体)を得た。
(外添工程)
作製されたシリカ3gと、トナー母粒子200gとを、容量5LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面にシリカ粒子を付着させた(外添した)。その後、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー1が得られた。
<2−3.トナー2〜11の製造方法>
以下の点を変更した以外は、トナー1の製造と同様の方法で、トナー2〜11を製造した。トナーコアに含有させるポリエステル樹脂の種類を、トナー1の製造におけるポリエステル樹脂Aから、表1に示す種類に変更した。液中粉砕工程の粉砕開始時における水性媒体のpHを、トナー1の製造における12.9から、表1に示す値に変更した。液中粉砕工程の粉砕開始時における水性媒体の温度を、トナー1の製造における60℃から、表1に示す値に変更した。シェル層形成工程における水性媒体の昇温速度を、トナー1の製造における0.5℃/分から、表1に示す値に変更した。また、トナー5の製造においては、トナー1の製造における1N−水酸化ナトリウム水溶液192gに代えて、トリエタノールアミン26.0gを使用した。また、トナー11の製造においては、トナー1の製造における1N−水酸化ナトリウム水溶液192gに代えて、トリエタノールアミン21.0gを使用した。また、トナー8の製造においては、シェル層形成工程を行わなかった。トナー8の製造においては、合一化工程で得られたトナーコアがトナー母粒子に相当し、トナー母粒子(トナーコア)に対して洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程を行った。
<3.評価>
トナー1〜11を、以下の方法で評価した。
<3−1.トナーコアのpH変化量>
トナー1〜11に含有されるトナーコアのpH変化量を、以下の方法で評価した。まず、試料(トナーコア)をpH12のイオン交換水に添加して、固形分濃度10質量%の混合物(スラリー)を得た。詳しくは、10質量部のトナーコアと、90質量部のpH12のイオン交換水とを混合して、混合物(スラリー)を調製した。続けて、得られた混合物50mLの温度を、Tg(トナーコアに含有されるポリエステル樹脂のガラス転移点)−30℃からTg+20℃まで、速度1℃/分で上昇させた。混合物の温度を上昇させながら、Tg−15℃における混合物のpHと、Tg+15℃における混合物のpHとを、pHメーター(株式会社堀場製作所製「D−51」)を用いて測定した。測定されたTg−15℃における混合物のpHを、pH(Tg-15)とした。測定されたTg+15℃における混合物のpHを、pH(Tg+15)とした。そして、混合物のpH変化量(ΔpH)を数式(1)「ΔpH=pH(Tg-15)−pH(Tg+15)」から算出した。算出したトナーコア含有混合物のpH変化量を表1に示す。
<3−2.トナー母粒子の体積中位径及び変動係数>
トナー1〜11に含有されるトナー母粒子(外添工程前のトナー母粒子)の体積中位径及び変動係数を、既に述べた方法で測定した。測定されたトナー母粒子の体積中位径及び変動係数を表1に示す。なお、トナー母粒子の変動係数が小さいほど、トナー母粒子の粒度分布がシャープであることを示す。
<3−3.トナーの凝集度>
トナー1〜11の凝集度を、以下の方法で測定し、トナーの耐熱保存性を評価した。詳しくは、試料(トナー)3gを、容量20mLのポリ容器に投入し、60℃に設定された恒温器(三洋電機株式会社製「CONVECTION OVEN」)内に3時間静置した。これにより、耐熱保存性評価用のトナーが得られた。次に、3種類の篩を重ねた。詳しくは、目開き105μmの篩の下に、目開き63μmの篩を設置した。目開き63μmの篩の下に、目開き45μmの篩を設置した。そして、目開き105μmの篩上に耐熱保存性評価用のトナーを投入した。耐熱保存性評価用のトナーが投入された後、目開き105μmの篩、目開き63μmの篩、及び目開き45μmの篩をパウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製「TYPE PT−E 84810」)に取り付けた。パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、耐熱保存性評価用のトナーを篩別した。篩別後に、目開き105μmの篩上に残留したトナーの質量(M105)、目開き63μmの篩上に残留したトナーの質量(M63)、及び目開き45μmの篩上に残留したトナーの質量(M45)を各々測定した。測定したトナーの質量(M105、M63、及びM45)から下記数式に従い、トナーの凝集度(質量%)を算出した。算出したトナーの凝集を表1に示す。なお、凝集度が20質量%未満であるトナーを、トナーの耐熱保存性が良好であると評価した。
凝集度(質量%)=a+b+c
a=(M105/3)×100
b=(M63/3)×100×(3/5)
c=(M45/3)×100×(1/5)
表1中、Tg、及びAVは、トナーコアに含有されるポリエステル樹脂のガラス転移点、及び酸価を示す。表1中、ΔpHは、混練物粒子と水と混合液のpHの変化量を示す。表1中、D50、及びCVは、各々、トナー母粒子の体積中位径及び変動係数を示す。なお、トナー11の製造では、液中粉砕工程の粉砕開始時において、水性媒体の温度がポリエステル樹脂のガラス転移点未満であったため、混練物の粉砕が進行しなかった。そのため、液中粉砕工程以降の工程(シェル層形成工程等)を行うことができなかった。そのため、トナー母粒子の体積中位径及び変動係数、並びにトナーの凝集度を測定することができなかった。
Figure 0006380332
トナー1〜5の製造方法は、それぞれ、水性媒体の温度を上昇させながら、水性媒体中でトナーコアとシェル層形成材料とを混合して、トナーコアの表面にシェル層を形成するシェル層形成工程を含んでいた。トナーコアは、ポリエステル樹脂と着色剤とを少なくとも含有していた。トナーコアのpH変化量(ΔpH)は2.5以上であるあった。水性媒体の昇温速度は、0.5℃/分以下であった。そのため、表1から明らかなように、トナー1〜5の製造方法では、シャープな粒度分布を有し耐熱保存性に優れるトナーを製造することができた。詳しくは、トナー1〜5の製造方法では、変動係数が26.9%以下であり、凝集度が16.0質量%以下であるトナーを製造することができた。
トナー6及び7の製造方法では、トナーコアのpH変化量(ΔpH)が2.5未満であった。トナー8の製造方法では、シェル層形成工程を行わなかった。トナー9及び10の製造方法では、シェル層形成工程における水性媒体の昇温速度が0.5℃/分を超えていた。トナー11の製造方法では、シェル層形成工程を行うことができなかった。そのため、表1から明らかなように、トナー6〜11の製造方法では、シャープな粒度分布を有し耐熱保存性に優れるトナーを製造することができなかった。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、画像形成装置において用いられる静電潜像現像用トナーの製造に適している。

Claims (7)

  1. 静電潜像現像用トナーの製造方法であって、
    少なくともポリエステル樹脂と離型剤とを溶融しながら混練して、混練物を形成する混練工程と、
    前記混練物を水性媒体中で粉砕して、複数の混練物粒子を含む分散液を調製する液中粉砕工程と、
    前記分散液中の前記混練物粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する凝集工程と、
    前記凝集粒子を加熱することにより合一化して、トナーコアを形成する合一化工程と、
    前記合一化工程にて得られた前記トナーコアを含む前記水性媒体の分散液のpHを調整し、前記分散液にシェル層形成材料を加え、前記水性媒体の温度を上昇させながら前記水性媒体中で前記トナーコアと前記シェル層形成材料とを混合して、前記トナーコアの表面にシェル層を形成するシェル層形成工程と、を含み、
    前記水性媒体の昇温速度は、0.5℃/分以下であり、
    前記トナーコアは、ポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含有し、
    下記数式(1)で表される前記トナーコアのpH変化量(ΔpH)は2.5以上である、静電潜像現像用トナーの製造方法。
    ΔpH=pH(Tg-15)−pH(Tg+15)・・・(1)
    (数式(1)中、pH(Tg-15)及び、pH(Tg+15)は、各々、前記トナーコア10質量部とpH12の水90質量部との混合物の温度をTg−15℃からTg+15℃に変化させたときに、Tg−15℃で測定される前記混合物のpH、及びTg+15℃で測定される前記混合物のpHを示し、Tgは、前記ポリエステル樹脂のガラス転移点を示す。)
  2. 前記液中粉砕工程の粉砕開始時において、前記水性媒体のpHは12.0以上である、請求項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記液中粉砕工程の粉砕開始時において、前記水性媒体の温度は、前記ポリエステル樹脂のガラス転移点以上である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記混練工程において混練される材料全体の質量に対する前記離型剤の質量比率は、7質量%以上25質量%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記ポリエステル樹脂の酸価は、25mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、請求項1〜の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記トナー中に含まれるトナー母粒子の体積粒度分布における変動係数は21〜27%である、請求項1〜5の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記合一化工程後、前記分散液の温度を室温まで冷却する、請求項1〜6の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
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