JP5758871B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
前記樹脂微粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆するコート層とからなり、
前記コア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
前記コート層が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む、静電荷像現像用トナーに関する。
本出願の明細書及び特許請求の範囲では、トナーが外添剤を含むか否かによらず、「トナー母粒子」に相当する粒子を「トナー粒子」と記す。
前述の通り、コア−シェル型トナーは、トナーコア粒子と、トナーコア粒子を被覆するシェル層からなるコア−シェル構造のトナーである。コア−シェル型トナー中のシェル層は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む材料からなるコート層により被覆されている樹脂微粒子を用いて形成される。
トナーコア粒子は、結着樹脂を含む。トナーコア粒子は、必要に応じて、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。以下、トナーコア粒子の必須又は任意の成分である、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉と、について順に説明する。
トナーコア粒子に含まれる結着樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、トナーの用紙に対する定着性の面から、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。トナーコア粒子に含有させる着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーコア粒子に含有させることができる好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコア粒子は必要に応じて、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。本発明のトナーは、トナー粒子の表層が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子と、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含むコート層とから構成されている樹脂微粒子を用いて形成されているため、正帯電性トナーとして使用される。このため、電荷制御剤としては正帯電性の電荷制御剤が使用される。
トナーコア粒子は必要に応じて、磁性粉を含んでいてもよい。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
本発明のコア−シェル型トナーは、トナーコア粒子の表面が、トナー粒子の表層であるシェル層により被覆されている。シェル層は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、帯電性官能基を有さない特定の樹脂を含む材料からなるコート層により被覆されている樹脂微粒子を用いて形成される。以下、シェル層を形成する樹脂微粒子について、コア粒子と、コート層と、樹脂微粒子の製造方法とについて説明する。
(コア粒子)
コア粒子に含まれる4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する樹脂であれば特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂としては、耐熱保存性に優れるトナーを得やすいことから、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。以下、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂と、について順に説明する。
4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂を調製する方法は特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂の調製方法の例としては、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合する方法や、4級アンモニウム基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合した後、得られる樹脂中の4級アンモニウム基を、4級アンモニウム塩官能基に変換する方法や、3級アミノ基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合した後、3級アミノ基を4級アンモニウム塩官能基に変換する方法が挙げられる。
4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、さらにスチレン系モノマーを共重合する他は、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂と同様にして調製することができる。
コート層は、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む材料からなる。(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する単位を含まない他は、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂と同様である。
樹脂微粒子の製造方法は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子を、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される樹脂を含むコート層で、良好に被覆できる限り特に限定されない。樹脂微粒子の製造方法としては、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が分散された水性媒体中に、(メタ)アクリル系樹脂や、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂を形成するためのモノマー成分を添加し、その後、水性媒体中でモノマー成分を公知の方法で重合させ、コア粒子の表面にコート層を形成する方法が挙げられる。コア粒子が分散された水性媒体中に、(メタ)アクリル系樹脂や、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂を形成するためのモノマー成分を添加する際は、一時に添加してもよく、逐次的に添加することもできる。
コア−シェル型トナーの製造方法としては、トナーコア粒子を、水性媒体中に分散させた後、コア粒子の表面に樹脂微粒子を付着させ、次いで、コア粒子の表面の樹脂微粒子を熱で膜化させてシェルを形成する方法が挙げられる。トナーコア粒子の製造方法は特に限定されない。トナーコア粒子の好適な製造方法としては、結着樹脂や着色剤のようなトナーコア粒子の成分を混合した後に、混合物を溶融混練し、得られる溶融混練物を、所望する粒子径となるように粉砕・分級する「粉砕法」が挙げられる。また、トナーコア粒子の製造方法としては、結着樹脂や着色剤のようなトナーコア粒子の成分を含む微粒子を凝集させた後に、微粒子の凝集体を加熱して合一化させる「凝集法」も好ましい。これらの方法のなかでは、粒子径が均一なトナーを製造しやすいことや、粉砕法と比較して多量の離型剤を、トナーコア粒子に配合しやすいことから、「凝集法」がより好ましい。以下、凝集法を用いるトナーコア粒子の製造方法を含む、コア−シェル型トナーの製造方法について説明する。
(I):結着樹脂を含有する微粒子を含む水性媒体分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、結着樹脂を含有する微粒子を凝集させて、結着樹脂を含む微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を得る工程、
(II):微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を加熱し、微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)を得る工程、
(III):pHが5以下に調整された水性媒体分散液(1)と、樹脂微粒子を含む水性媒体分散液(2)とを混合して、トナーコア粒子と樹脂微粒子とを含む水性媒体分散液(3)を得る、混合工程、
(IV):水性媒体分散液(3)のpHを6以上10以下に調整した後、水性媒体分散液(3)を加熱して、トナーコア粒子の表面を、樹脂微粒子を用いて被覆する、被覆工程、及び
(V):樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子を加熱して、トナーコア粒子表面の樹脂微粒子の層を膜化させてシェル層を形成する、シェル層形成工程。
(VI):トナーを洗浄する、洗浄工程。
(VII):トナーを乾燥する、乾燥工程。
(VIII):トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる、外添工程。
工程(I)では、結着樹脂を含有する微粒子を含む水性媒体分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、結着樹脂を含有する微粒子を凝集させて、結着樹脂を含む微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を得る。
まず、結着樹脂、又は結着樹脂とトナーコア粒子が含んでいてもよい任意成分とを含む樹脂組成物を、粉砕装置を用いて粗粉砕する。粗粉砕物を、イオン交換水のような水性媒体に分散させた状態で、フローテスターで測定される結着樹脂の軟化点より10℃以上高い温度(最高でも200℃程度までの温度)に加熱する。加熱された結着樹脂の分散液に、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)のような高速剪断乳化装置を用いて強い剪断力を与えることで、結着樹脂を含む微粒子を含む水性媒体中の分散液が得られる。
界面活性剤を含む水性媒体中で、着色剤と、必要に応じて着色剤の分散剤とを、公知の分散機を用いて分散処理することで、着色剤の微粒子が得られる。分散剤としての界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン界面活性剤の何れも使用できる。界面活性剤の使用量は特に限定されないが、臨界ミセル濃度(CMC)以上であるのが好ましい。
離型剤を予め100μm以下程度に粗粉砕しておく。離型剤の粗粉砕品を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを調製する、次いで、得られるスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。加熱されたスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、離型剤の微粒子の分散液を調製する。
工程(II)では、微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を加熱し、微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)を得る。
工程(III)では、トナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)のpHを5以下に調整する。トナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)のpHを5以下とすることで、水性媒体分散液(1)と、後述する樹脂微粒子を含む水性媒体分散液(2)と、を混合する際、水性媒体分散液(2)に含まれる樹脂微粒子を、水性媒体中に良好に分散させやすい。
工程(IV)では、水性媒体分散液(3)のpHを6以上10以下に調整した後、水性媒体分散液(3)を加熱して、トナーコア粒子の表面を、樹脂微粒子を用いて被覆する。水性媒体分散液(3)のpHをこのような範囲内の値とすることで、続く工程(V)で、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子の層の膜化を良好に進行させることができる。
工程(V)では、樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子を加熱して、トナーコア粒子表面の樹脂微粒子の層を膜化させて、シェル層を形成する。樹脂微粒子の層を膜化する際に、水性媒体分散液(3)を加熱する温度は、膜化が良好に進行する限り特に限定されない。工程(V)で、水性媒体分散液(3)を加熱する温度は、Tg2+10℃以上結着樹脂の融点−10℃以下が好ましい。水性媒体分散液(3)をこのような範囲内の温度に加熱することで、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子の層の膜化を良好に進行させることができる。
工程(V)で得られるトナー粒子は、必要に応じて、工程(VI)で、水を用いて洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、トナー粒子の分散液から、固液分離でトナー粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子の分散液中のトナー粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
工程(V)で得られるトナー粒子は、必要に応じて、工程(VII)で乾燥される。トナー粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することで、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
本発明の方法を用いて製造された静電荷像現像用トナーは、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法を用いて、トナー粒子がトナー母粒子として回収される場合、工程(VI)で、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー表面に埋没しないように条件を調整して、トナー母粒子と、外添剤とを混合する方法が挙げられる。
本発明のトナーは、トナー粒子の表層と、トナー粒子の表層以外の箇所とが、ともに、前述の、それぞれ特定の材料からなるコア粒子とコート層とからなる樹脂微粒子を用いて形成されている非コア−シェル型トナーであってもよい。非コア−シェル型トナーでは、樹脂微粒子を結着樹脂として用いる。非コア−シェル型トナーは、結着樹脂中に、必要に応じて離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。
本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
〔樹脂微粒子分散液の調製〕
(樹脂微粒子分散液A〜C)
<(i)4級化反応工程>
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を備えた容量2リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。溶剤として表1に記載の量のイソブタノールを入れた反応容器に、表1に記載の量のジエチルアミノエチルメタクリレートと、p−トルエンスルホン酸メチルとを仕込んだ。反応容器をマントルヒーター上に置き、ガラス製窒素導入管から窒素ガスを反応容器内に導入して、反応容器内を不活性雰囲気とした。次いで、混合物を、速度200rpmで撹拌しながら反応容器の内温を80℃に昇温し、同温度で1時間撹拌を継続して4級化反応を行った。
4級化反応後、反応容器に、表1に記載の量のスチレンと、ブチルアクリレートと、過酸化物系開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製)12gと、を加えた。次いで、反応容器の内温を、95℃(重合温度)まで上げた後、反応容器の内容物を、速度200rpmで3時間撹拌した。その後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12gをさらに反応容器に加えた。反応容器の内容物を速度200rpmで3時間撹拌して、重合反応を完了させ、4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂微粒子の分散液を得た。得られた分散液を、減圧乾燥機を用いて、140℃、10kPaの条件で加熱減圧乾燥させて、4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂微粒子分散液から溶剤を除去して、4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂の乾燥物を得た。得られた乾燥物を、粉砕機(サンプルミル(SM−1C HSIANGTAI社製))を用いて粗粉砕し、平均粒子径が10μm程度の4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂の粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物100g、カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))1g、及び0.1N−水酸化ナトリウム水溶液(塩基性物質)25gに対して、イオン交換水を加えて全量400gのスラリーを調製した。得られたスラリーを、耐圧丸底ステンレス容器に投入し、高速剪断乳化装置クレアミックス(CLM−2.2S(エム・テクニック社製))を用いて、スラリーを140℃、圧力0.5MPaに加温加圧した状態で、ローター回転数20000rpmで30分間剪断分散を行った。その後、ローター回転数15000rpmで撹拌を続けながら、ステンレス容器内部の温度が50℃になるまで5℃/分の速度でスラリーを冷却して、コア粒子を含む水性媒体分散液を得た。
得られたコア粒子を含む水性媒体分散液を、撹拌機を備える反応容器、温度計を備えた容量2リットルの4つ口フラスコ)に仕込んだ。次いで、メチルメタクリレート25g、ブチルアクリレート25g、チオグリコール酸オクチル0.2g、及びカチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))1gと、イオン交換水とを混合した、総量100gの混合液を、反応容器の内容物を速度200rpmで撹拌しながら、反応容器内に30分かけて滴下した。次いで、反応容器の内温を、95℃(重合温度)まで上げた後、速度200rpmで2時間撹拌を続けて、コア粒子の表面にコート層を形成した。その後、反応容器内温を常温まで下げ、樹脂微粒子分散液を得た。得られた樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)と、樹脂微粒子を構成する4級アンモニウム塩官能基含有樹脂中の、ジエチルアミノエチルメタクリレートに由来する4級アンモニウム塩官能基含有単位のモル比率と、樹脂微粒子分散液の固形分濃度と、を表1に記す。樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)は、粒子径測定装置(LA−950(株式会社堀場製作所製))を用いて測定した。
<(ii)重合反応工程>
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を備えた容量2リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。溶剤として表1に記載の量のイソブタノールを入れた反応容器に、表1に記載の量のスチレンと、ブチルアクリレートと、過酸化物系開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製)12gと、を加えた。次いで、反応容器の内温を、95℃(重合温度)まで上げた後、反応容器の内容物を、速度200rpmで3時間撹拌した。その後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12gをさらに反応容器に加えた。次いで、反応容器の内容物を、速度200rpmで3時間撹拌し、重合反応を終えて、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の微粒子分散液を得た。得られたアクリル樹脂微粒子分散液を、減圧乾燥機を用いて、140℃、10kPaの条件で加熱減圧乾燥し、アクリル樹脂微粒子分散液から溶剤を除去して、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の乾燥物を得た。得られた乾燥物を、粉砕機(サンプルミル(SM−1C HSIANGTAI社製))を用いて粗粉砕し、平均粒子径が10μm程度のスチレン−(メタ)アクリル樹脂の粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物を、カチオン性界面活性剤に変えてアニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))を用いる他は、樹脂微粒子分散液Aと同様にして、コア粒子の分散工程を行った後、樹脂微粒子分散液Aと同様にしてコート層の形成工程を行って樹脂微粒子分散液Fを得た。得られた樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)、及び固形分濃度を表1に記す。
<(i)4級化反応工程>
表1に記載の量のジエチルアミノエチルメタクリレートと、p−トルエンスルホン酸メチルとを用いた他は、樹脂微粒子分散液Aと同様にして、4級化反応工程を行った。
表1に記載の量のスチレンと、ブチルアクリレートとを用いた他は、樹脂微粒子分散液Aと同様にして、重合反応工程を行った後、樹脂微粒子分散液Aと同様にしてコア粒子の分散工程を行って樹脂微粒子分散液Gを得た。得られた樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)と、樹脂微粒子を構成する4級アンモニウム塩官能基含有樹脂中の、ジエチルアミノエチルメタクリレートに由来する4級アンモニウム塩官能基含有単位のモル比率、及び固形分濃度を表1に記す。
〔着色剤微粒子分散液Aの調製〕
カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))60gを、イオン交換水600gに溶解させた。得られた水溶液に、シアン着色剤(銅フタロシアニン、CTBX121(DIC株式会社製))100gを徐々に添加した。次いで、シアン着色剤を含む水性分散液を、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて5分間、撹拌速度2,000rpmで撹拌して、乳化した。さらに、ゴーリンホモジナイザー(15M−8TA(APV社製))を用いて100℃、500kg/cm2の処理条件で、5回乳化処理を行った。その結果、固形分濃度が16.1質量%の着色剤微粒子分散液を得た。分散液中の着色剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.21μmであった。
カチオン性界面活性剤に変えて、アニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))21gを用いた他は、着色剤微粒子分散液Aと同様にして、着色剤微粒子分散液Bを得た。その結果、固形分濃度が15.9質量%の着色剤微粒子分散液を得た。分散液中の着色剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.22μmであった。
〔離型剤微粒子分散液Aの調製〕
離型剤(WEP−5、ペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の飽和脂肪酸とのエステル化合物、溶融温度73℃、(日本油脂株式会社製))200g、カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))3g、及びイオン交換水800gを混合し、100℃に加熱して離型剤を融解させた。次いで、水と離型剤との混合液を、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて撹拌し、5分間、撹拌速度2,000rpmで乳化を行った。さらに、ゴーリンホモジナイザー(15M−8TA(APV社製))を用いて100℃、500kg/cm2の処理条件で、5回乳化処理を行った。その結果、固形分濃度が20.2質量%の離型剤微粒子分散液を得た。分散液中の離型剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.15μmであった。
カチオン性界面活性剤に変えて、アニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))1gを用いた他は、離型剤微粒子分散液Aと同様にして、離型剤微粒子分散液Bを得た。その結果、固形分濃度が19.7質量%の離型剤微粒子分散液を得た。分散液中の離型剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.15μmであった。
〔シリカの調製〕
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)100g、及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)100gをトルエン200gに溶解させた後、10倍に希釈した。次いで、ヒュームドシリカアエロジル#90(日本アエロジル株式会社製)200gを撹拌しながら、ジメチルポリシロキサンと3−アミノプロピルトリメトキシランとの希釈溶液を徐々に滴下した後、30分間超音波照射・撹拌して混合した。得られた混合物を150℃の恒温槽で加熱した後、トルエンをロータリーエヴァポレーターで留去して固形物を得た。得られた固形物を、減圧乾燥機を用いて設定温度50℃で減量しなくなるまで乾燥したさらに、電気炉を用いて、窒素気流下、200℃で3時間、乾燥された固形物を処理して、シリカの粗粉体を得た。シリカの粗粉体を、ジェットミル(IDS型ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製))を用いて、解砕してバグフィルターで捕集し、シリカを得た。
<凝集工程>
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコに、表2〜4に記載の種類の樹脂微粒子分散液320gと、離型剤微粒子分散液A90gと、着色剤微粒子分散液A40gと、下記の界面活性剤水溶液A100gと、蒸留水500gとを入れた。次いで、フラスコの内容物を、25℃、撹拌羽根を用いて速度100rpmで撹拌した状態で、1N−水酸化ナトリウム水溶液1gをフラスコ内に加えて、フラスコの内容物のpHを8に調整した。pH調整されたフラスコの内容物を、25℃、速度100rpmで10分間撹拌した後、凝集剤(塩化マグネシウムと水との混合液、塩化マグネシウム含有量50質量%)39gを5分間かけて、フラスコ内に添加した。凝集剤添加後、フラスコの内容物を速度200rpmで撹拌しながら、フラスコの内温を0.2℃/分の昇温速度で上げた。粒度計(マルチサイザー3(ベックマンコールター株式会社製))を用いて、昇温中のフラスコの内容物に含まれる凝集粒子の体積平均粒子径を測定し、凝集粒子の体積平均粒子径が4.5μmになった時点で昇温を停止した。昇温を停止した温度は48℃付近であった。
界面活性剤水溶液A:カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))水溶液(10質量%濃度)
凝集工程後、速度を200rpmに上昇させ、撹拌羽根を用いてフラスコ内の凝集粒子の分散液を撹拌しながら、フラスコの内温を、0.2℃/分の昇温速度で55℃まで上げた。昇温後、同温度で、フラスコの内容物を60分間撹拌して、凝集粒子の合一化を行い、トナー母粒子を含む水性媒体分散液を得た。水性媒体中のトナー母粒子の平均円形度は0.955であった。なお、平均円形度はFPIA3000(シスメック株式会社製)を用いて測定した。
トナー母粒子を含む水性媒体分散液を吸引ろ過して、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。次いで、ウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。同様の操作を計5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した後、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))を用いて、熱風温度40℃、72時間、ブロアー風量2m3/分の乾燥条件で乾燥させて、トナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100gと、調製例5で得たシリカとを、ヘンシェルミキサー(三井三池工業株式会社製,容量5L)を用いて5分間混合し、その後、混合物を、篩(#300メッシュ、目開き48μm)を用いて篩別し、実施例1〜16、及び比較例1〜6のトナーを得た。
<凝集工程>
樹脂微粒子分散液を表3、及び4に記載の種類に変えること、離型剤微粒子分散液を離型剤微粒子分散液Bに変えること、着色剤微粒子分散液を着色剤微粒子分散液Bに変えること、及び界面活性剤水溶液を下記の界面活性剤水溶液B50gに変えることの他は、実施例1と同様にして、凝集工程を行った。凝集粒子の体積平均粒子径が4.5μmになった時点の温度は46℃付近であった。
界面活性剤水溶液B:アニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))水溶液(25質量%濃度)
凝集工程後、撹拌速度を200rpmに上昇させ、撹拌羽根を用いてフラスコ内の凝集粒子の分散液を撹拌しながら、フラスコの内温を、0.2℃/分の昇温速度で54℃まで上げた。次いで、フラスコの内温を55℃に上げた後、同温度で、フラスコの内容物を60分間撹拌して、凝集粒子の合一化を行い、トナーコア粒子を含む水性媒体分散液を得た。水性媒体中のトナーコア粒子の平均円形度は0.953であった。
合一化工程に引き続き、フラスコ内のトナーコア粒子を含む水性媒体分散液を、速度100rpmで撹拌羽根を用いて撹拌した状態で、2N−塩酸水溶液を用いて、トナーコア粒子を含む水性媒体分散液のpHを4.5に調整した。次いで、フラスコ内に、表2〜4に記載の種類の樹脂微粒子分散液160gを投入した。その後、フラスコ内の内容物を15分間撹拌して、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性媒体分散液を得た。
混合工程で得た、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性媒体分散液に1N−水酸化ナトリウム水溶液を加えて、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性媒体分散液のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内温を、0.2℃/分の昇温速度で55℃まで上げた。その後、フラスコの内温を60℃に上げ、同温度で、120分間、フラスコの内容物を撹拌して、トナーコア粒子を樹脂微粒子で被覆し、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子を膜化させて、トナーコア粒子の表面にシェル層を形成した。その後、フラスコの内容物を、10℃/分の速度で25℃まで冷却して、トナー母粒子を含む水性媒体分散液を得た。
その後、得られたトナー母粒子を含む水性媒体分散液に対し、実施例1と同様にして、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程を順次行い、実施例4〜7、及び比較例1、3、4のトナーを得た。
実施例1〜7、及び比較例1〜3で得られたトナーを用いて、以下の方法に従って、初期画像欠陥、帯電性、及び画像かぶりを評価した。初期画像欠陥、帯電性、及び画像かぶりの評価には、カラー複合機(TASKalfa 550ci(京セラミタ株式会社製))を用いた。被記録媒体には、普通紙を用いた。なお、初期画像欠陥、帯電性、及び画像かぶりの評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーの評価結果を、表2〜4に記す。
(キャリアの調製)
ポリアミドイミド樹脂30gを水2Lで希釈して希釈液を得た。得られた希釈液に、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gを分散させた後、さらに酸化ケイ素3gを分散させて被覆層形成液を得た。この被覆層形成液とノンコートフェライトキャリアEF−35B(パウダーテック株式会社製、平均粒子径35μm)10kgとを、流動床被覆装置に投入して被覆を行った。その後、250℃で1時間焼付けを行い、キャリアを得た。
得られた樹脂被覆フェライトキャリアと、実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーとを、2成分現像剤中のトナー濃度が10質量%となるように、500mlのポリボトルに秤量し、ターブラミキサー(T2F(株式会社シンマルエンタープライゼス製))を用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
調製したシアントナー、及びカラー複合機(TASKalfa 550ci(京セラミタ株式会社製))用のシアン以外の他の3色のトナーの計4色のトナーを用いて、カラー複合機を用いて、テストパターンの形成を行った。形成されたテストパターンを目視で観察し、色点及びかぶりの有無を観察した。初期画像欠陥を、下記の基準に従って評価した。
○:画像上に色点、及びかぶりが確認されなかった。
×:画像上に色点、又はかぶりが確認された。
調製したシアントナーを用いて、カラー複合機を用いて、20℃65%RHの環境下、印字率2%の条件で、5,000枚連続して文字パターンの形成を行った。5,000枚画像形成後、印字率50%の条件で、1,000枚連続してパッチパターンの形成を行った。5,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q1)と、1,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q2)とを、帯電量測定装置を用いて測定し、その帯電量の変化量(|Q2−Q1|)を求めた。帯電性の評価は、下記の基準に従って評価し、○、又は△の評価を合格とした。
○:|Q2−Q1|が、2μC/g未満。
△:|Q2−Q1|が、2μC/g以上、5μC/g未満。
×:|Q2−Q1|が、5μC/g以上。
調製したシアントナー、及びカラー複合機(TASKalfa 550ci(京セラミタ株式会社製))用のシアン以外の他の3色のトナーの計4色のトナーを用い、カラー複合機を用いて、20℃65%RHの環境下、印字率2%の条件で、5,000枚連続してカラーの文字パターンの形成を行った。5,000枚画像形成後、印字率50%の条件で、1,000枚連続してカラーのパッチパターンの形成を行った。パッチパターンの白紙部の画像濃度から画像出力前の白紙の画像濃度を差し引いた値をかぶり濃度とした。画像かぶりの評価は、下記の基準に従って評価し、○、又は△の評価を合格とした。
○:かぶり濃度が、0.004未満。
△:かぶり濃度が、0.004以上、0.010未満。
×:かぶり濃度が、0.010以上。
Claims (4)
- 樹脂微粒子を水性媒体中で凝集させて微粒子凝集体を形成し、前記微粒子凝集体を水性媒体中で加熱して、前記微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて形成される、表面にシェル層を備えない非コア−シェル型のトナー粒子を含み、
前記樹脂微粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆するコート層とからなり、
前記コア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
前記コート層が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む、静電荷像現像用トナー。 - 結着樹脂を含むトナーコア粒子と、前記トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるコア−シェル型のトナー粒子を含み、
前記シェル層が、前記トナーコア粒子の表面に樹脂微粒子を付着させた後に、前記トナーコア粒子の表面に付着した前記樹脂微粒子を加熱により膜化させて形成され、
前記樹脂微粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆するコート層とからなり、
前記コア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
前記コート層が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む、静電荷像現像用トナー。 - 前記トナーコア粒子が、前記結着樹脂を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて微粒子凝集体を形成し、前記微粒子凝集体を水性媒体中で加熱して、前記微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて形成される、請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全単位に対する、前記4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーに由来する単位のモル比率が5mol%以上35mol%以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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