JP2016224436A - 静電潜像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナー及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温定着性及び耐熱保存性を両立させて、かつ、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することのできる静電潜像現像用トナー及びその製造方法を提供する。【解決手段】静電潜像現像用トナーは、トナーコアと、シェル層とを有するトナー粒子を、複数含む。シェル層は、複数の第1シェル粒子と複数の第2シェル粒子とを含む。第1シェル粒子は25%以上50%以下の被覆率でトナーコアを被覆し、第2シェル粒子は5%以上30%以下の被覆率でトナーコアを更に被覆する。SP値は、式「トナーコアのSP値>第1シェル粒子のSP値>第2シェル粒子のSP値」の関係を満たす。【選択図】図2

Description

本発明は、静電潜像現像用トナー及びその製造方法に関する。
特許文献1には、スチレン−アクリル酸系変性ポリエステル樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアを被覆するスチレン−アクリル酸系樹脂を主成分とするシェル粒子とを含むトナーが記載されている。このトナーでは、トナーコアのスチレン−アクリル酸系成分とシェル粒子のスチレン−アクリル酸系成分とを部分的に相溶化し、シェル粒子をトナーコアの表層に固定化させている。シェル粒子がトナーコアの表層に固定化させることで、トナー粒子の表面に凹凸が形成される。
特開2013−11644号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーでは、トナー粒子の表面に形成された凸部にストレスが集中し易いと考えられる。また、トナーコアを構成する樹脂とシェル粒子を構成する樹脂との相溶性が高い場合には、トナー粒子の表面において凸部が埋没し易くなると考えられる。このため、特許文献1に記載の技術だけでは、低温定着性及び耐熱保存性を両立させて、かつ、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することのできる静電潜像現像用トナーを提供することは困難である。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、低温定着性及び耐熱保存性を両立させて、かつ、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することのできる静電潜像現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを有するトナー粒子を、複数含む。前記シェル層は、複数の第1シェル粒子と複数の第2シェル粒子とを含む。前記第1シェル粒子は、前記トナーコアを被覆する。前記第2シェル粒子は、前記第1シェル粒子に被覆された前記トナーコアを更に被覆する。前記第1シェル粒子による被覆率(CF)は、以下に示す式(1)を満たす。前記第2シェル粒子による被覆率(CS)は、以下に示す式(2)を満たす。前記トナーコアの溶解度パラメーター(SPT)と、前記第1シェル粒子の溶解度パラメーター(SPF)と、前記第2シェル粒子の溶解度パラメーター(SPS)とは、以下に示す式(3)を満たす。
25%≦CF≦50% ・・・(1)
5%≦CS≦30% ・・・(2)
SPT>SPF>SPS ・・・(3)
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、上述の静電潜像現像用トナーの製造方法である。本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、前記トナーコアの表面にシェル層を形成することを含む。シェル層を形成することは、前記式(1)を満たすように、前記トナーコアの表面に前記第1シェル粒子を付着させることと、前記式(2)を満たすように、前記第1シェル粒子が付着した前記トナーコア及び前記第2シェル粒子を乾式で混合することにより、前記第1シェル粒子が付着した前記トナーコアの表面に前記第2シェル粒子を付着させることとを含む。
本発明によれば、低温定着性及び耐熱保存性を両立させて、かつ、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することのできる静電潜像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る静電潜像現像用トナーに含まれるトナー粒子(特に、トナー母粒子)の断面構造の一例を示す図である。 図1に示されるトナー母粒子の表面の一部を拡大して示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定しない。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(以下、「トナー」と記載することがある)は、多数のトナー粒子から構成される粉体である。本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層とを有する。シェル層の表面は、外添剤が付着してもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載することがある。また、シェル層を形成するための材料を、シェル材料と記載する。本実施形態に係るトナーは、例えば、電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
画像形成装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する。例えば、画像形成装置が中間転写方式を採用する場合、現像工程では、感光体に形成された静電潜像に、帯電したトナーを付着させ、トナー像を形成する。そして、続く転写工程では、トナー像を中間転写体(例えば、中間転写ベルト)に転写した後、更に中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナー像を加熱して、記録媒体にトナー像を定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーでは、トナー粒子は、トナーコアと、シェル層とを有する。以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(詳しくは、トナー母粒子)の構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。図1に示されるトナー母粒子10は、トナーコア11と、トナーコア11の表面を被覆するシェル層12とを有する。トナーコア11は、シェル層12により部分的に被覆され、トナーコア11の表面は一部露出している。
続けて、図2を参照して、シェル層12がトナーコア11を被覆する状態について説明する。図2は、図1に示されるトナー母粒子10の表面の一部を拡大して示す図である。シェル層12は、複数の第1シェル粒子12aと、複数の第2シェル粒子12bとを含む。第1シェル粒子12aは、トナーコア11を被覆する。第2シェル粒子12bは、第1シェル粒子12aに被覆されたトナーコア11を更に被覆する。第2シェル粒子12bは、第1シェル粒子12aに付着する。また、第2シェル粒子12bは、トナーコア11の表面に付着してもよい。
シェル層12においては、複数の第1シェル粒子12aと複数の第2シェル粒子12bとが各々2次元的に連なった形態を有すると考えられる。複数の第1シェル粒子12aと複数の第2シェル粒子12bとは、互いに接触してもよいし、離間してもよい。互いに接触する形態としては、例えば、物理的に接触している形態又は接触面が溶融して融着している形態が挙げられる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)を有する。
構成(1)第1シェル粒子は、トナーコアを被覆する。第2シェル粒子は、第1シェル粒子に被覆されたトナーコアを更に被覆する。第1シェル粒子による被覆率(CF)は、以下に示す式(1)を満たす。第2シェル粒子による被覆率(CS)は、以下に示す式(2)を満たす。トナーコアの溶解度パラメーター(SPT)と、第1シェル粒子の溶解度パラメーター(SPF)と、第2シェル粒子の溶解度パラメーター(SPS)とは、以下に示す式(3)を満たす。
25%≦CF≦50% ・・・(1)
5%≦CS≦30% ・・・(2)
SPT>SPF>SPS ・・・(3)
Fは、第1シェル粒子により被覆されたトナーコア全体の面積に対する、トナーコアを被覆した第1シェル粒子の面積の割合である。CSは、トナー粒子全体の面積に対する、トナー粒子の表面に存在する第2シェル粒子の面積の割合である。CF及びCSはそれぞれ、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社「JSM−7600F」)により得た反射電子像に基づいて求めることができる。CF及びCSの各々の測定方法の詳細は後述する。なお、CFは、トナー粒子に第2シェル粒子を付与した後にも測定できる。例えば、第2シェル粒子を有するトナー粒子を測定対象とし、第2シェル粒子の影響を除いて、第1シェル粒子だけの被覆率(CF)を求めてもよい。また、トナー粒子から第2シェル粒子を除去して、CFを測定してもよい。
溶解度パラメーター(SP値)は、相溶性の指標となる特性値である。SP値は、凝集エネルギー密度(CED:Cohesive Energy Density)の平方根で表される。なお、CEDとは、1mLの分子を蒸発させるのに要するエネルギー量である。以下、次に示す文献A及び文献Bに基づいて、SP値の算出方法について説明する。
文献A:R.F.Fedors,「Polymer Engineering and Science」,1974年,第14巻,第2号,p147−154
文献B:井本稔著、「接着の基礎理論」、高分子刊行会、1993年
SP値は、式「SP値=(E/V)1/2」(E:分子凝集エネルギー[単位:cal/mol]、V:分子容[単位:cm3/mol])で表される。式中のE(分子凝集エネルギー)は、式「E=Σ△ei」(△ei:原子団の蒸発エネルギー)で表される。式中のV(分子容)は、式「V=Σ△vi」(△vi:原子団のモル体積)で表される。SP値は、Fedorsの蒸発エネルギー値(文献A参照)と、文献Bに記載される△ei及び△viの各々のデータとを用いて算出できる。例えば、SPTを算出する場合には、△ei及び△viの各々に係る原子団は、トナーコアを構成する結着樹脂に含まれる原子団に相当する。
以下、SP値(詳しくは、SPT、SPF、又はSPS)の調整方法について説明する。樹脂(トナーコア、第1シェル粒子、又は第2シェル粒子を構成する樹脂)の疎水性が強くなるほど樹脂のSP値は低くなり、樹脂の親水性が強くなるほど樹脂のSP値は高くなる傾向がある。樹脂のSP値は、例えば、樹脂に対する置換基の導入若しくは架橋構造の導入、又は樹脂中の繰り返し単位の割合の変更により調整することができる。樹脂に置換基を導入する場合には、導入する置換基の種類又は導入する置換基の数により、樹脂のSP値を調整することができる。例えば、疎水性の置換基を樹脂に導入することで、樹脂のSP値を低くすることができる。疎水性の置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基が挙げられる。また、親水性の置換基を樹脂に導入することで、樹脂のSP値を高くすることができる。親水性の置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、又はアミノ基が挙げられる。
また、樹脂に架橋構造を導入することにより、樹脂のSP値を低くすることができる。架橋構造を導入するための架橋剤としては、例えば、架橋性モノマーが挙げられる。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン系架橋性モノマー、ジアリルフタレート系架橋性モノマー、又はジメタクリル酸エステル系架橋性モノマーが挙げられる。ジビニルベンゼン系架橋性モノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、又はp−ジビニルベンゼンが挙げられる。ジアリルフタレート系架橋性モノマーとしては、例えば、ジアリルイソフタレート又はジアリルオルソフタレートが挙げられる。ジメタクリル酸エステル系架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート又はトリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
また、樹脂が共重合体である場合、樹脂に含まれる2種以上の繰り返し単位の割合を変更することにより、樹脂のSP値を調整することができる。例えば、樹脂における疎水性の繰り返し単位の割合を増加させることで、樹脂のSP値を低くすることができる。また、樹脂における親水性の繰り返し単位の割合を増加させることで、樹脂のSP値を高くすることができる。例えば、樹脂がスチレン−アクリル酸系樹脂である場合、スチレン系モノマー由来の繰り返し単位の割合を増加させると、樹脂のSP値は低くなり、アクリル酸系モノマー由来の繰り返し単位の割合を増加させると、樹脂のSP値は高くなる。
構成(1)を有するトナーは、式(3)を満たす。「SPT>SPF>SPS」の関係を満たすことで、トナーコアに対する第1シェル粒子の付着力がトナーコアに対する第2シェル粒子の付着力よりも強くなり、第1シェル粒子に対する第2シェル粒子の付着力がトナーコアに対する第2シェル粒子の付着力よりも強くなると考えられる。このため、第2シェル粒子よりも第1シェル粒子のほうがトナーコアに付着し易くなると考えられる。また、第2シェル粒子は、トナーコアよりも第1シェル粒子のほうに付着し易くなると考えられる。
構成(1)は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の両立を図るために有益である。詳しくは、第1シェル粒子及び第2シェル粒子がそれぞれトナーコアを覆うことで、トナー粒子同士の凝集を抑制することが可能になり、トナーの耐熱保存性を向上させることが可能になると考えられる。しかし、シェル粒子の被覆率が高すぎると、十分なトナーの低温定着性が確保できなくなるおそれがある。構成(1)を有するトナーでは、CFが25%以上50%以下であり、Csが5%以上30%以下である。このようなCF及びCsを有するトナーは低温定着性及び耐熱保存性に優れることを、発明者が見出した。第1シェル粒子よりも外側の層として第2シェル粒子がトナーコアを覆うことで、第1シェル粒子の被覆率(CF)を小さくしても、十分なトナーの耐熱保存性を確保し易くなる。また、第1シェル粒子の被覆率(CF)を小さくすることで、十分なトナーの低温定着性を確保し易くなる。トナーコアに対する第2シェル粒子の付着力は、トナーコアに対する第1シェル粒子の付着力よりも弱い。このため、トナーを定着させる時には、第2シェル粒子が容易にトナー粒子から脱離するようになる。このため、定着工程では、ニップ部でトナーが溶け広がり易くなる。構成(1)によれば、単一のシェル層の膜厚を精密に調整して、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の両立を図るよりも容易にトナーの低温定着性及び耐熱保存性の両立を図ることが可能になる。トナーの低温定着性及び耐熱保存性の両立を更に図るためには、CFが30%以上45%以下であり、かつ、CSが10%以上25%以下であることが好ましい。
構成(1)を有するトナーを用いて画像を形成することで、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することが可能になる。構成(1)を有するトナーは式(3)を満たす。このため、トナーを用いて画像を形成する場合、定着工程までは、第1シェル粒子及び第2シェル粒子がそれぞれ、トナー粒子の表面から脱離しにくくなると考えられる。また、シェル粒子の脱離が抑制されることで、フィルミング(例えば、現像ローラー、感光体、又はキャリアに対するシェル粒子の付着)の発生に起因した画像濃度の低下が抑制されると考えられる。よって、構成(1)を有するトナーを用いることで、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することが可能になると考えられる。
また、シェル粒子(詳しくは、第1シェル粒子又は第2シェル粒子)を構成する樹脂に架橋構造を導入すると、シェル粒子の硬度が高くなる傾向がある。シェル粒子の硬度が高くなると、シェル粒子が外部ストレスを受けてトナー粒子から脱離した場合であっても、フィルミングが発生しにくくなる。
トナーコアに対する第1シェル粒子の付着力を向上させるためには、SPTとSPFとが、以下に示す式(4)を満たすことが好ましく、|SPT−SPF|は0.4以下であることがより好ましい。SPTとSPFとが式(4)を満たすと、第1シェル粒子はトナーコアの表面に固着し易くなり、トナー粒子から第1シェル粒子が脱離しにくくなる。更に、第1シェル粒子に対する第2シェル粒子の付着力を向上させるためには、SPFとSPSとは以下に示す式(5)を満たすことが好ましく、|SPF−SPS|は0.4以下であることがより好ましい。SPFとSPSとが式(5)を満たすと、第2シェル粒子は、トナーコアを被覆する第1シェル粒子に固着し易くなり、トナー粒子から第2シェル粒子が脱離しにくくなる。シェル粒子の脱離が抑制されることで、フィルミングを抑制することが可能になる。本明細書において、個数平均粒子径は、個数平均一次粒子径を意味する。
|SPT−SPF|≦1.0 ・・・(4)
|SPF−SPS|≦1.0 ・・・(5)
粒子間(詳しくは、トナーコア、第1シェル粒子、及び第2シェル粒子から選択される2種類の粒子間)の付着力は、それら粒子の粒子径(例えば、個数平均粒子径)によっても変化する。以下、各粒子の好適な個数平均粒子径について説明する。なお、個数平均粒子径は、相当数の粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。個数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてこれら粒子を撮影して測定することができる。
フィルミングを抑制するためには、第1シェル粒子の個数平均粒子径及び第2シェル粒子の個数平均粒子径が、各々トナーコアの個数平均粒子径に対して0.005倍以上0.04倍以下であることが好ましい。第1シェル粒子の個数平均粒子径は、第2シェル粒子の個数平均粒子径よりも小さいことが好ましい。第1シェル粒子の個数平均粒子径は、第2シェル粒子の個数平均粒子径よりも小さいと、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立し易い。
トナーの帯電安定性及び低温定着性を向上させるためには、第1シェル粒子の個数平均粒子径が、30nm以上90nm以下であることが好ましく、30nm以上80nm以下であることがより好ましく、30nm以上50nm以下であることが更に好ましい。第1シェル粒子の個数平均粒子径が30nm以上である場合には、第1シェル粒子の作製において界面活性剤の使用量を減らすことが可能になる。界面活性剤の使用量が減ることで、界面活性剤によるトナーの帯電安定性の低下を抑制することが可能になる。また、第1シェル粒子の個数平均粒子径が90nm以下(好ましくは80nm以下、より好ましくは50nm以下)である場合には、トナーの低温定着性が優れる傾向がある。この理由は、トナーを定着させる時に、トナーコアに熱が伝わり易くなるためであると推察される。
トナーの帯電安定性を向上させるためには、第2シェル粒子の個数平均粒子径が、70nm以上300nm以下であることが好ましく、70nm以上150nm以下であることがより好ましい。第2シェル粒子の個数平均粒子径が70nm以上であると、第2シェル粒子の硬度が高くなり易い。第2シェル粒子の硬度が高くなることで、第2シェル粒子とトナーコアとの付着力が強くなり過ぎることを抑制できる。また、第2シェル粒子の個数平均粒子径が300nm以下であると、第2シェル粒子はトナー粒子から脱離しにくくなる。
トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、トナーを所望のキャリアと混合して2成分現像剤を調製してもよい。
以下、トナーコア、シェル層、及び外添剤について説明する。なお、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
[トナーコア]
トナーコアは結着樹脂を含む。トナーコアは、結着樹脂に加え、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を含んでもよい。以下、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉について説明する。
(結着樹脂)
トナーコアにおいては、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基(より具体的には、カルボキシル基等)、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(測定方法:JIS(日本工業規格)K0070−1992)及び酸価(測定方法:JIS(日本工業規格)K0070−1992)が各々10mgKOH/g以上であることが好ましく、各々20mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、アニオン性の化合物(例えば、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する化合物)をトナーコアに加えることで、トナーコアにアニオン性を付与してもよい。また、カチオン性の化合物(例えば、アミノ基又はアミド基を有する化合物(より具体的には、アミン等))をトナーコアに加えることで、トナーコアにカチオン性を付与してもよい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基(より具体的には、カルボキシル基等)、及びメチル基からなる群より選択される1以上の官能基を有する樹脂が好ましく、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル層の材料と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
また、トナーコアとシェル層との密着性を向上させるためには、トナーコアの帯電極性と、シェル層の帯電極性とが逆極性となることが好ましい。逆極性の態様としては、例えば、トナーコアはアニオン性を有し、シェル層(より具体的には、第1シェル粒子又は第2シェル粒子)はカチオン性を有する態様が挙げられる。例えば、上述のアニオン性の官能基の導入又は上述のアニオン性の化合物の混合により、トナーコアへアニオン性を付与することができる。アニオン性及びカチオン性の大きさを示す指標としては、ゼータ電位を用いることができる。例えば、pHが4に調整された25℃の水性媒体中で測定される粒子(より具体的には、トナーコア等)のゼータ電位が0mV未満を示す場合には、その粒子はアニオン性を有する。例えば、pHが4に調整された25℃の水性媒体中で測定される粒子(より具体的には、第1シェル粒子等)のゼータ電位が0mVを超えた値(好ましくは、+5mV以上)を示す場合には、その粒子はカチオン性を有する。なお、本実施形態において、pH4は、シェル層を形成する時のトナーコア分散液(水性媒体)のpHに相当する。ゼータ電位は、例えば、電気泳動法、超音波法、又はESA(電気音響)法により好適に測定できる。
トナーの低温定着性及び耐熱保存性の両立を図るためには、結着樹脂のガラス転移点(Tg)が25℃以上45℃以下(より好ましくは、30℃以上40℃以下)であり、かつ、結着樹脂の軟化点(Tm)が70℃以上100℃以下であることが好ましい。Tg及びTmの測定方法は、各々後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
トナーコアの体積中位径(D50)は、5μm以上8μm以下であることが好ましい。トナーコアの体積中位径が5μm以上8μm以下であると、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立し易い。体積中位径(D50)は、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いて測定することができる。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。結着樹脂として用いることのできる熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、又はスチレン−ブタジエン系樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリエステル樹脂は、トナーコア中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性に優れる。
以下、結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。なお、ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価アルコールの例としては、ジオール類又はビスフェノール類が挙げられる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールA、又はポリオキシプロピレンビスフェノールAが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とを各々変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向にある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を両立させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えば、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリールアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の好適な例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物性ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の例としては、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト等)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物(より具体的には、合金等)、強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するため、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが付着すると、トナーコアと他のトナーコアとが固着しやすくなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコアと他のトナーコアとの固着を抑制することができる。
[シェル層]
既に述べたように、シェル層は、複数の第1シェル粒子と複数の第2シェル粒子とを含む。以下、第1シェル粒子、第2シェル粒子について説明する。
<第1シェル粒子>
第1シェル粒子は、樹脂を含む。樹脂の具体例としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、シリコーン−アクリル酸系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。第1シェル粒子に含まれる樹脂としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、又はシリコーン−アクリル酸系グラフト共重合体が好ましく、スチレン−アクリル酸系樹脂がより好ましい。以下、スチレン−アクリル酸系樹脂について説明する。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。アクリル酸系モノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、水酸基を有するモノマー(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等)を用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。アクリル酸系モノマーの使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル酸系樹脂の酸価を調整できる。また、水酸基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル酸系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
第1シェル粒子は、トナーコアがアニオン性を有する場合、カチオン性を有することが好ましい。
第1シェル粒子の個数平均粒子径が30nm以上90nm以下である場合、トナーの帯電安定性を向上させるためには、第1シェル粒子のTg(ガラス転移点)が60℃以上120℃以下であり、かつ、第1シェル粒子のTm(軟化点)が120℃以上210℃以下であることが好ましい。Tg及びTmの各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
第1シェル粒子の含有量は、トナーコア100質量部に対して1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。第1シェル粒子の含有量が上記数値範囲であると、式(1)を満たし易い。
<第2シェル粒子>
第2シェル粒子は、樹脂を含む。樹脂の具体例としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、シリコーン−アクリル酸系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、又はこれらの樹脂に架橋構造を導入した樹脂が挙げられる。第2シェル粒子に含まれる樹脂としては、架橋されたアクリル酸系樹脂、架橋されたスチレン−アクリル酸系樹脂、又は架橋されたシリコーン−アクリル酸系グラフト共重合体が好ましく、架橋されたスチレン−アクリル酸系樹脂がより好ましい。スチレン−アクリル酸系樹脂は、第1シェル粒子のスチレン−アクリル酸系樹脂と同義である。
樹脂に架橋構造を導入するための架橋剤としては、例えば、架橋性モノマーが挙げられる。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン系架橋性モノマー、ジアリルフタレート系架橋性モノマー、又はジメタクリル酸エステル系架橋性モノマーが挙げられる。ジビニルベンゼン系架橋性モノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン又はp−ジビニルベンゼンが挙げられる。ジアリルフタレート系架橋性モノマーとしては、例えば、ジアリルイソフタレート又はジアリルオルソフタレートが挙げられる。ジメタクリル酸エステル系架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート又はトリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
第2シェル粒子の含有量は、トナーコア100質量部に対して0.5質量部以上3質量部以下であることが好ましい。第2シェル粒子の含有量が上記数値範囲であると、式(2)を満たし易い。
[外添剤]
トナー粒子は、外添剤を更に有してもよい。外添剤としては、例えば、金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子、又はシリカの粒子が挙げられる。例えば、カップリング剤により外添剤の表面改質(より具体的には、疎水化処理又は正帯電処理等)をしてもよい。
外添剤の個数平均粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーを所望のキャリアと混合することで、2成分現像剤を調製できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
好適なキャリアの例としては、キャリアコアが樹脂で被覆されたキャリアが挙げられる。キャリアコアの具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトの粒子;これらの材料とマンガン、亜鉛、又はアルミニウムのような金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金の粒子;セラミックス(より具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウム等)の粒子;高誘電率物質(より具体的には、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩等)の粒子が挙げられる。樹脂中に上記粒子を分散させて樹脂キャリアを調製してもよい。
キャリアコアを被覆する樹脂の例としては、アクリル酸系重合体、スチレン系重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、オレフィン系重合体(より具体的には、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂の2種以上を組み合わせてもよい。
電子顕微鏡により測定されるキャリアの個数平均粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
トナーとキャリアとを用いて2成分現像剤を調製する場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
[トナーの製造方法]
以下、本実施形態に係るトナーを製造する方法について説明する。このトナーの製造方法は、例えば、トナーコアを作製することと、シェル層を形成することとを含み、必要に応じて、乾燥すること、洗浄すること、外添することを含んでもよい。シェル層を形成することでは、トナーコアの表面にシェル層を形成する。
(トナーコアを作製すること)
トナーコアを作製する方法としては、例えば、粉砕法又は凝集法が好ましい。
粉砕法では、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融し、混練する。続けて、得られた混練物を粉砕する。続けて、得られた粉砕物を分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。粉砕法によれば、比較的容易にトナーコアを調製できる。トナーコアは粉砕法で作製することが好ましい。
凝集法は、例えば、凝集すること及び合一することを含む。凝集することでは、トナーコアを構成する成分ごとに粒子化された複数種の粒子を水性媒体中で凝集させて、複数種のトナーコア成分を含む凝集粒子を形成する。合一することでは、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナーコアを得る。凝集法によれば、形状が均一であり、粒子径の揃ったトナーコアを得やすい。
(シェル層を形成すること)
シェル層を形成することでは、トナーコアの表面にシェル層を形成する。シェル層を形成することは、トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させることと、と第1シェル粒子が付着したトナーコア(以下、被覆トナーコアと記載することがある)の表面に第2シェル粒子を付着させることとを含む。
<トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させること>
式(1)を満たすように、トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させる。第1シェル粒子を付着させる方法としては、例えば、流動床法、スプレードライ法、乾式法(より具体的には、メカノケミカル法等)、造粒粉砕法、又は凝集法が挙げられる。
流動床法の一例では、第1シェル粒子を分散させた液を、流動層状態のトナーコアに吹き付ける。その後、トナーコアを乾燥することにより、トナーコアの表面に第1シェル粒子を固着させることができる。流動床法に使用される装置としては、例えば、粒子コーティング装置(株式会社パウレック製「GPCG−5(SPC)」)が挙げられる。
スプレードライ法の一例では、第1シェル粒子を分散させた液を、トナーコアの表面に噴霧する。その後、トナーコアを乾燥することにより、トナーコアの表面に第1シェル粒子を固着させることができる。スプレードライ法に使用される装置としては、例えば、粒子表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)が挙げられる。
乾式法の一例では、トナーコアと第1シェル粒子とを乾式混合する。こうした混合によりトナーコアと第1シェル粒子とを接合させて、トナーコアの表面に第1シェル粒子を固着させることができる。乾式法の中でも、機械的かつ熱的にエネルギーを加えて、トナーコアと第1シェル粒子とをメカノケミカル的に接合させるメカノケミカル法が特に好ましい。第1ステップのメカノケミカル法は、後述する第2ステップのメカノケミカル法と同じ方法であってもよいし、異なる方法であってもよい。
造粒粉砕法の一例では、トナーコアを攪拌しながら、攪拌により流動しているトナーコアに、第1シェル粒子を分散させた液を添加する。これにより、第1シェル粒子の分散液を介して複数のトナーコアが凝集し、トナーコアの凝集粒子が形成される。その結果、キャピラリー状態の混合物(トナーコア及び第1シェル粒子)が得られる。続けて、得られたキャピラリー状態の混合物を攪拌しながら加熱することで、混合物を粉砕し、トナーコアの表面に第1シェル粒子を固着させることができる。
凝集法の一例では、液中に第1シェル粒子とトナーコアとを分散させ、トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させる。その後、液を攪拌しながら加熱することで、トナーコアの表面に第1シェル粒子を固着させることができる。式(1)を満たし易い観点から、凝集法によりトナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させることが好ましい。
以下、凝集法の一例について詳述する。まず、水性媒体に、トナーコアを作製することで得られたトナーコアを分散し、トナーコア分散液を調製する。トナーコアの分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を添加してもよいし、水性媒体のpH調整をしてもよい。界面活性剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、又はノニオン界面活性剤が挙げられる。トナーコアの極性と同極性の界面活性剤を使用することが好ましい。例えば、アニオン性のトナーコアを分散する場合、アニオン界面活性剤を使用することが好ましい。水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性溶媒との混合液等)である。水性媒体は溶媒として機能してもよい。水性媒体中に溶質が溶けていてもよい。水性媒体は分散媒として機能してもよい。水性媒体中に分散質が分散していてもよい。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。水性媒体としては、結着樹脂の溶解又は離型剤の溶出を抑制する観点から、水が好ましい。水性媒体中にトナーコアを良好に分散させる方法としては、例えば、分散液を強力に攪拌できる装置を用いてトナーコアを水性媒体中に機械的に分散させる方法が挙げられる。
続けて、トナーコア分散液に第1シェル粒子を添加し、攪拌しながら、トナーコア分散液の温度を所定の温度まで上昇させて、その温度に所定の時間保つ。これにより、トナーコアの表面に第1シェル粒子が付着する。その結果、第1シェル粒子により被覆されたトナーコアの分散液が得られる。
第1シェル粒子を添加したトナーコア分散液のpHは、酸性物質を用いて4程度に調整されることが好ましい。
トナーコアの表面に第1シェル粒子の付着を良好に進行させるためには、トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させる際の温度は、40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。
トナーコアの表面に第1シェル粒子の付着を良好に進行させるため、ヘテロ凝集効果を利用することができる。例えば、トナーコアの帯電極性と第1シェル粒子の帯電極性とを逆極性にすることが好ましい。逆極性の態様としては、例えば、アニオン性を有するトナーコアと、カチオン性を有する第1シェル粒子との組み合わせが挙げられる。これにより、トナーコアと第1シェル粒子との間に静電引力が機能し、トナーコアの表面に第1シェル粒子が付着し易くなる。
トナーコアの表面に第1シェル粒子の付着を良好に進行させるため、トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させる時に、トナーコア分散液と第1シェル粒子との混合液に電解質を添加してもよい。電解質としては、例えば、無機塩(より具体的には、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、又は塩化アルミニウム等)が挙げられる。
(洗浄すること)
トナーの製造方法は、トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させた後、必要に応じて、被覆トナーコアを洗浄液で洗浄して、被覆トナーコアの分散液から被覆トナーコアを回収する。上記のようにしてトナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させた後、被覆トナーコアを含む分散液を常温(例えば、25℃)まで冷却する。その後、被覆トナーコアを洗浄液で洗浄する。洗浄液としては、例えば、上述の水性媒体を用いることができる。
(乾燥させること)
トナーの製造方法は、洗浄した後、必要に応じて、被覆トナーコアを乾燥させ、被覆トナーコアの分散液から被覆トナーコアを回収する。乾燥させることでは、被覆トナーコアを乾燥させる。被覆トナーコアを乾燥させる好適な方法としては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中の被覆トナーコアの凝集を抑制するため、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。
<第1シェル粒子が付着したトナーコアの表面に第2シェル粒子を付着させること>
被覆トナーコアの表面に第2シェル粒子を付着させることでは、式(2)を満たすように、被覆トナーコアと、第2シェル粒子とを乾式で混合する。被覆トナーコアの表面に第2シェル粒子を付着させることでは、例えば、メカノケミカル法を用いて第2シェル粒子を被覆トナーコアに固着させる。メカノケミカル法では、装置の構造及び原理に限定されず、例えば、せん断、圧縮、又は衝突のような応力を同時にかけることができる装置を用いることができる。メカノケミカル法を用いた装置としては、例えば、ボール型混練機(より具体的には、回転式のボールミル等)、ホイール型混練機(より具体的には、エッジランナー等)、表面改質装置(株式会社奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステムNHS−1」)、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン株式会社「ノビルタ(登録商標)NOB−130」、「循環型メカノフュージョン(登録商標)システムAMS」)、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)が挙げられる。
(外添すること)
外添することでは、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
なお、上記トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば、第1ステップでは、水性媒体に第1シェル粒子を分散させてから、水性媒体中にトナーコアを添加してもよい。また、水性媒体中にトナーコアを分散させてから、水性媒体に第1シェル粒子を分散させてもよい。また、トナーの用途に応じて、各種することを割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添することを割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
以下、実施例について説明する。表1及び表2に、実施例1〜30のトナー、及び比較例1〜17のトナー(各々静電潜像現像用トナー)を各々示す。なお、第1シェル粒子及び第2シェル粒子の含有量は、各々トナーコア100質量部に対する質量である。
Figure 2016224436
Figure 2016224436
(第1シェル粒子懸濁液B−1作製)
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この4つ口フラスコは、温度計、攪拌羽根、還流冷却装置、及びモノマー滴下口を備えた容量1Lの反応容器である。反応容器をウォーターバスにセットし、反応容器に、乳化用イオン交換水360質量部、及び反応乳化剤(株式会社ADEKA製「アデカリアソーブ(登録商標)SR−1025」、成分:エーテルサルフェート型アンモニウム塩、濃度:25質量%、溶媒:水)2.0質量部を投入した。続けて、ウォーターバスを用いて反応容器内の温度を80℃に昇温した。なお、乳化用イオン交換水は、あらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したイオン交換水である。
続けて、スチレン30質量部と、アクリル酸n−ブチル50質量部と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部と、反応乳化剤(株式会社ADEKA製「アデカリアソーブ(登録商標)SR−1025」、成分:エーテルサルフェート型アンモニウム塩、濃度:25質量%、溶媒:水)3.2質量部と、乳化用イオン交換水40質量部とを、高速剪断乳化装置(エム・テクニック株式会社製「クレアミックス(登録商標)CLM−2.2S」)を用いて、回転数10000rpm及び処理時間5分間の条件で乳化した。その結果、単量体懸濁液が得られた。
反応容器に過硫酸アンモニウム0.2質量部を投入した。続けて、反応容器に28.6質量部(使用量の20質量%)の単量体懸濁液を投入し、30分間、乳化重合を行った。その後、反応容器に114.5質量部(残部80質量%)の単量体懸濁液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間乳化重合を継続した。その後、反応容器に希釈用のイオン交換水5.9質量部を加え、反応容器内の温度が40℃以下になるまで冷却し、懸濁液を得た。続けて、反応容器にイオン交換水を追加して、容器内容物の固形分濃度及びpHを調整して、第1シェル粒子懸濁液B−1を得た。得られた懸濁液B−1に関して、固形分濃度は10質量%であり、25℃におけるpHは2.6であった。また、懸濁液B−1中の第1シェル粒子に関して、個数平均粒子径は45nm、SP値は10.0、Tgは77℃及びTmは164℃であった。第1シェル粒子懸濁液B−1は、貯蔵安定性が良好であった。
(第1シェル粒子懸濁液B−2〜B−7)
反応乳化剤の第2回目の投入量2.0質量部及び水の第1回目の投入量360質量部を、各々表3に記載の反応乳化剤の第2回目の投入量及び水の第1回目の投入量に変更した以外は、第1シェル粒子懸濁液B−1の作製と同様にして、第1シェル粒子懸濁液B−2〜B−7を作製した。懸濁液B−2〜B−7の第1シェル粒子のSP値はいずれも10.0であった。また、懸濁液B−2〜B−7の第1シェル粒子のTg及びTmを表3に示す。
Figure 2016224436
(第2シェル粒子懸濁液C−1作製)
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この4つ口フラスコは、温度計、攪拌羽根、還流冷却装置、及びモノマー滴下口を備えた容量1Lの反応容器である。反応容器をウォーターバスにセットし、反応容器に、乳化用イオン交換水200質量部、及びアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0(ラウリル硫酸ナトリウム)」)1.5質量部を投入した。続けて、ウォーターバスを用いて反応容器内の温度を80℃に昇温した。
続けて、メチルメタクリレート45質量部と、スチレン50質量部と、ジビニルベンゼン5質量部と、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール0(ラウリル硫酸ナトリウム)」)3質量部と、乳化用イオン交換水40質量部とを、高速剪断乳化装置(エム・テクニック株式会社製「クレアミックス(登録商標)CLM−2.2S」)を用いて、回転数10000rpm及び処理時間5分間の条件で乳化した。その結果、単量体懸濁液が得られた。
続けて、反応容器に過硫酸アンモニウム1.0質量部を投入した。続けて、反応容器に単量体懸濁液100質量部を3時間かけて滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後、更に1時間乳化重合を継続し、第2シェル粒子懸濁液C−1を得た。懸濁液C−1中の第2シェル粒子に関して、個数平均粒子径は80nm、SP値は9.5であった。
(第2シェル粒子懸濁液C−2〜C−8)
エマール0の第1回目の投入量1.5質量部を表4に記載のエマール0の第1回目の投入量に変更した以外は、第2シェル粒子懸濁液C−1の作製と同様にして、第2シェル粒子懸濁液C−2〜C−8を作製した。第2シェル粒子懸濁液C−2〜C−7中の第2シェル粒子のSP値は、いずれも9.5であった。
Figure 2016224436
(第2シェル粒子懸濁液C−9〜C−10)
エマール0の第1回目の投入量1.5質量部及びエマール0の第2回目の投入量3.0質量部を、各々表4に記載のセチルトリメチルアンモニウムクロライドの第1回目の投入量及びセチルトリメチルアンモニウムクロライドの第2回目の投入量に変更した以外は、第2シェル粒子懸濁液C−1の作製と同様にして、第2シェル粒子懸濁液C−9及びC−10を作製した。第2シェル粒子懸濁液C−9及びC−10中の第2シェル粒子のSP値は、いずれも9.5であった。
実施例1
(トナーコアの作製)
結着樹脂(ポリエステル樹脂、Tg=42℃、Tm=85℃、酸価18.5mgKOH/g)100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、成分:銅フタロシアニン顔料)4質量部と、エステルワックス(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」)5質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)1質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、溶融し、混練した。得られた混練物を冷却した後、混練物を粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)で粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物を粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)で微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)で分級して、トナーコアAを得た。得られたトナーコアAに関して、体積中位径(D50)は6.8μm、個数平均円形度は0.95、SP値は10.5であった。
(シェル層形成ステップ)
〔第1ステップ〕
3つ口フラスコを反応容器として用いた。この3つ口フラスコは、温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの反応容器である。反応容器をウォーターバスにセットした。そして、反応容器にイオン交換水261質量部及びアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマールE27C」)29質量部を投入し、濃度1質量%のアニオン界面活性剤水溶液を作製した。続けて、反応容器にトナーコア100質量部を投入した。ウォーターバスを用いて反応容器内の温度を35℃に保持した。高速剪断乳化装置(エム・テクニック株式会社製「クレアミックス(登録商標)CLM−2.2S」)を用いて、温度35℃及び回転速度10000rpmの条件で反応容器の内容物を攪拌し、トナーコア分散液を作製した。
10質量部の第1シェル粒子懸濁液B−3(固形分濃度10質量%)を反応容器に投入した。なお、投入した第1シェル粒子懸濁液B−3の固形分の質量は、トナーコアの質量の1%に相当した。トナーコアの表面に第1シェル粒子を付着させ、トナーコアの分散安定化を図るため、反応容器に塩酸を滴下しながら、反応容器の内容物のpHを3.5となるように調整した。そして、反応容器の内容物を温度35℃の条件で30分間攪拌した。その後、攪拌を継続しながら、反応容器内の温度を65℃に昇温し、温度65℃で30分間保持した。その後、反応容器内の温度を25℃まで急冷し、懸濁液を得た。
得られた懸濁液を、ブフナー漏斗を用いて固液分離し、固形分を得た。濾液の導電率が3μS/m以下になるまで、得られた固形分をイオン交換水で繰り返し洗浄した。その後、固形分を、その水分率が0.5質量%以下になるまで乾燥し、被覆トナーコアを得た。被覆トナーコアに関して、体積中位径(D50)は6.8μm、個数平均円形度は0.970、CFは34.1%であった。なお、個数平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、測定した。
〔第2ステップ〕
被覆トナーコア(第1シェル粒子で被覆されたトナーコア)101質量部と、第2シェル粒子懸濁液C−1から得られた第2シェル粒子1質量部とを、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン株式会社製「ノビルタ(登録商標)NOB−130」)を用いて、回転数5000rpmかつ処理時間1分間の条件で、複合化処理した。その結果、シェル層で被覆されたトナー母粒子が得られた。得られたトナー母粒子に関して、円形度は0.972、体積中位径(D50)は6.8μm、CSは17.0%であった。
(外添)
トナー母粒子100質量部と、乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」:正帯電性疎水化処理されたシリカ粒子)1.5質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて3分間混合し、トナー母粒子にシリカ粒子を付着させた。その後、得られたトナーを、300メッシュ(目開き48μm)の篩により篩別して、実施例1のトナーを得た。
実施例2〜30及び比較例1〜17
第1シェル粒子懸濁液(B−3)、第1シェル粒子懸濁液の割合1.0質量%、第2シェル粒子懸濁液(C−1)、及び第2シェル粒子懸濁液の割合1.0質量%をそれぞれ表1〜2に記載の第1シェル粒子懸濁液の種類、第1シェル粒子懸濁液の割合、第2シェル粒子懸濁液(C−1)の種類、及び第2シェル粒子懸濁液の割合に変更した以外は、実施例1のトナーの作製と同様にして、各々実施例2〜30のトナー、及び比較例1〜17のトナーを得た。
[評価方法]
各試料(実施例1〜30のトナー、及び比較例1〜17のトナー)の評価方法は、以下の通りである。
(第1シェル粒子による被覆率)
各試料(実施例1〜30のトナー、及び比較例1〜17のトナー)の被覆トナーコアについて、第1シェル粒子による被覆率を測定した。第1シェル粒子による被覆率は、以下のようにして求めた。試料(トナー)の被覆トナーコアを、0.5質量%の四酸化ルテニウム溶液2mL上に5分間静置して、被覆トナーコアをルテニウム蒸気雰囲気に暴露した。その結果、ルテニウムにより染色された被覆トナーコアが得られた。続けて、染色された被覆トナーコアを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて100000倍の倍率で観察し、被覆トナーコアの反射電子像を得た。得られた被覆トナーコアの反射電子像を構成する画素は、各々、0以上255以下の輝度値を有していた。画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、被覆トナーコアの反射電子像から、被覆トナーコアの輝度値の分布(輝度分布)を得た。この輝度分布は、横軸が輝度であり、縦軸が頻度である輝度分布であった。
被覆トナーコアの輝度分布におけるトナーコアの輝度分布及び第1シェル粒子の輝度分布に対して、それぞれガウシアン関数で示される分布(以下、ガウシアン輝度分布と記載することがある)をフィッティングした。ここで、トナーコアの輝度分布は、トナーコアのみの輝度値の分布である。第1シェル粒子の輝度分布は、第1シェル粒子のみの輝度値の分布である。フィッティングにより、被覆トナーコアの輝度分布を、トナーコアのガウシアン輝度分布及び第1シェル粒子のガウシアン輝度分布に波形分離した。フィッティング(波形分離)後のトナーコアのガウシアン輝度分布の面積及び第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積をそれぞれ求めた。トナーコアのガウシアン輝度分布の面積と第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積との和を求めた。得られた第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積、及びトナーコアのガウシアン輝度分布の面積と第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積との和から、以下の式(6)を用いて、CFを求めた。
F(%)=[第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積/トナーコアのガウシアン輝度分布の面積と第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積との和]×100・・・(6)
(第2シェル粒子による被覆率)
各試料(実施例1〜30のトナー、及び比較例1〜17のトナー)について、第2シェル粒子による被覆率を測定した。第2シェル粒子による被覆率は、以下のようにして求めた。測定対象を被覆トナーコアからトナー粒子に変更した以外は、第1シェル粒子の被覆率の測定方法と同様にして、トナー粒子の反射電子像を得た。画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、トナー粒子の反射電子像から、トナー粒子の輝度分布を得た。
トナー粒子の輝度分布におけるトナーコアの輝度分布、第1シェル粒子の輝度分布、及び第2シェル粒子の輝度分布に対して、それぞれガウシアン関数で示される分布を、フィッティングした。ここで、第2シェル粒子の輝度分布は、第2シェル粒子のみの輝度値の分布である。フィッティングにより、トナー粒子の輝度分布を、トナーコアのガウシアン輝度分布、第1シェル粒子のガウシアン輝度分布、及び第2シェル粒子のガウシアン輝度分布に波形分離した。フィッティング(波形分離)後のトナーコアのガウシアン輝度分布の面積、第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積、及び第2シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積をそれぞれ求めた。トナーコアのガウシアン輝度分布の面積と第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積と第2シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積との和を求めた。得られた第2シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積、及びトナーコアのガウシアン輝度分布の面積と第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積と第2シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積との和から、以下の式(7)を用いて、CSを求めた。
S(%)=[第2シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積/トナーコアのガウシアン輝度分布の面積と第1シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積と第2シェル粒子のガウシアン輝度分布の面積との和]×100・・・(7)
(ガラス転移点(Tg))
樹脂のガラス転移点(Tg)は、以下のように測定した。測定装置として、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いた。樹脂10mgをアルミパン中に入れた。リファレンスとして空のアルミパンを使用した。温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%RH)の条件で吸熱曲線を得た。得られた吸熱曲線において、チャートのベースラインとガラス転移点近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を、ガラス転移点とした。
(軟化点(Tm))
樹脂の軟化点(Tm)は、以下のように測定した。まず、樹脂を常温常湿(温度:23℃±1℃、相対湿度:50%RH±5%RH)環境下で12時間以上静置して、樹脂を調湿した。続けて、加圧成型器を用いて、調湿された樹脂1.1質量部を10MPaの圧力で加圧成型し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製した。続けて、成型サンプルを、常温常湿(温度:23℃±5℃、相対湿度:50%RH±10%RH)環境下において、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて、所定の条件で樹脂を溶融させて流出させた。ここで、所定の条件とは、使用ノズル1mmφ×10mm、荷重294N(30Kgf)、予熱時間5分、及び昇温速度3℃/分であった。このようにして樹脂のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を測定した。得られたS字カーブから樹脂のTmを読み取った。詳しくは、得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とした場合に、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)を、樹脂のTmとした。
(耐刷試験)
次に示す方法で作製した樹脂被覆フェライトキャリアと、試料(トナー)とを、ボールミルを用いて30分間混合し、トナー濃度10質量%の評価用現像剤を得た。
(キャリアの作製)
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe23換算で49.6mol%、及びSrO換算で0.8mol%になるように、各原材料(詳しくは、MnO、MgO、Fe23、及びSrO)を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルを用いて10時間かけて粉砕した後、混合した。続けて、得られた混合物を、乾燥した後、950℃で4時間保持した。
続けて、混合物を、湿式ボールミルを用いて24時間かけて粉砕し、スラリーを得た。続けて、スラリーを造粒した後、乾燥した。続けて、乾燥した造粒物を、酸素濃度2%の雰囲気中で1270℃で6時間保持した後、解砕した。その後、粒度調整を行うことで、マンガン系フェライト粒子(キャリアコア)が得られた。得られたキャリアコアに関して、個数平均粒子径は35μmであり、印加磁場が3000(103/4π・A/m)の時の飽和磁化は70Am2/kgであった。
続けて、ポリアミドイミド樹脂(無水トリメリット酸と4,4′─ジアミノジフェニルメタンとの共重合体)をメチルエチルケトンに溶解させて、樹脂溶液を調製した。続けて、フッ素樹脂としての4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)と、酸化ケイ素(樹脂全体量の2質量%)とを樹脂溶液に分散させて、固形分換算で150質量部となる量のキャリアコート液を得た。得られたキャリアコート液に関して、ポリアミドイミド樹脂とFEPとの質量比は2/8(=ポリアミドイミド樹脂/FEP)であり、樹脂溶液の固形分濃度は10質量%であった。
続けて、転動流動層コーティング装置(岡田精工株式会社製「スピラコータ(登録商標)SP−25」)を用いて、上記マンガン系フェライト粒子(キャリアコア)10000質量部を上記キャリアコート液で被覆した。その後、樹脂で被覆されたマンガン系フェライト粒子を、220℃で1時間焼成した。その後、得られた焼成物を、冷却した後、解砕して、樹脂被覆量3質量%の樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
評価機としてカラープリンタ(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5400DN」)を用いた。上述のようにして調製した評価用現像剤を評価機の現像装置に投入し、試料(トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。評価機を用いて、印字率5%で画像を10000枚形成する耐刷試験を行った。
(耐熱ブロッキング性)
トナーの耐熱ブロッキング性の評価では、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%RH)で上記耐刷試験を行い、耐刷試験中にクリーニングにより回収された試料(トナー)について、トナーの凝集度を測定した。詳しくは、クリーニングにより回収された試料10gを、58℃に調温された恒温槽中に8時間静置した。続けて、静置した試料を、目開き45μmの篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留した試料の質量を測定した。篩別前の試料の質量と、篩別後に篩上に残留した試料の質量とから、以下の式に従ってトナーの凝集度(質量%)を算出した。
凝集度(質量%)=(篩上に残留した試料の質量/篩別前の試料の質量)×100
算出された凝集度から、下記基準に従ってトナーの耐熱ブロッキング性を評価した。
○(良い):凝集度が50質量%未満であった。
×(悪い):凝集度が50質量%以上であった。
(低温定着性)
試料(トナー)の低温定着性の評価では、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%RH)で上記耐刷試験を行った後、上記評価機を用いて、線速200mm/秒(ニップ通過時間40m秒)、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、90g/m2の紙(A4サイズの評価用紙)に、大きさ25mm×25mm、印字率100%のソリッド画像を形成した。続けて、画像が形成された紙を定着装置に通した。定着温度の設定範囲は80℃以上180℃以下であった。詳しくは、定着装置の定着温度を80℃から徐々に上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を各々測定した。
最低定着温度の測定においてトナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、画像を形成した面が内側となるように紙を半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm未満となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。
得られた最低定着温度から、下記基準に従ってトナーの低温定着性を評価した。
○(良い):最低定着温度が120℃未満であった。
×(悪い):最低定着温度が120℃以上であった。
(耐刷性)
トナーの耐刷性の評価では、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%RH)で上記耐刷試験を行った。耐刷試験を行う前と後とで、上記評価機を用いてソリッド画像を形成し、形成された画像について、反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye(登録商標)LT」)を用いて画像濃度を測定した。ソリッド画像内の任意の10点の画像濃度を測定した。10点の画像濃度の平均値を、画像濃度の評価値とした。得られた耐刷試験前の画像濃度ID11と耐刷試験後の画像濃度ID12とから、以下の式に基づき、耐刷試験前後での画像濃度の差ΔID1を算出した。
ΔID1=|ID11−ID12
得られた画像濃度の差ΔID1から、下記基準に従ってトナーの耐刷性を評価した。
○(良い):画像濃度の差が0.3未満であった。
×(悪い):画像濃度の差が0.3以上であった。
(耐環境性)
トナーの耐環境性の評価では、低温低湿環境(L/L環境:温度20℃、相対湿度65%RH)と高温高湿環境(H/H環境:温度32℃、相対湿度80%RH)とで、別々に上記耐刷試験を行った。また、各耐刷試験の後で、上記評価機を用いてソリッド画像を形成し、形成された画像について、反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye(登録商標)LT」)を用いて画像濃度を測定した。ソリッド画像内の任意の10点の画像濃度を測定した。10点の画像濃度の平均値を、画像濃度の評価値とした。得られたL/L環境での耐刷試験後の画像濃度ID21と、H/H環境での耐刷試験後の画像濃度ID22とから、以下の式に基づき、環境変動による画像濃度の差ΔID2を算出した。
ΔID2=|ID21−ID22
得られた画像濃度の差ΔID2から、下記基準に従ってトナーの耐環境性を評価した。
◎(非常に良い):画像濃度の差が0.3未満であった。
○(良い) :画像濃度の差が0.3以上0.5未満であった。
×(悪い) :画像濃度の差が0.5以上であった。
[評価結果]
表5及び表6に、各試料(実施例1〜30のトナー及び比較例1〜17のトナー)の耐熱ブロッキング性及び低温定着性についての評価結果を示す。表7及び表8に、各試料(実施例1〜30のトナー及び比較例1〜17のトナー)の耐刷性及び耐環境性についての評価結果を示す。
Figure 2016224436
Figure 2016224436
Figure 2016224436
Figure 2016224436
実施例1〜30に係るトナーは、前述の構成(1)を有するトナーであった。詳しくは、実施例1〜30に係るトナーは、各々、CFが式(1)を満たしており、CSが式(2)を満たしており、SPTとSPFとSPSとが式(3)を満たしていた。
実施例1〜30に係るトナーは、耐熱ブロッキング性、低温定着性、及び画像濃度(耐刷試験)の評価がいずれも優れた結果を示していた。
従って、実施例1〜30に係るトナーは、比較例1〜17に係るトナーに比べ、各々、低温定着性及び耐熱保存性に優れており、かつ、長期に渡って適切な画像濃度の画像を形成することができた。
更に、実施例1及び3〜8に係るトナー、並びに実施例11〜30に係るトナーは、各々、第1シェル粒子の粒子径が30nm以上90nm以下であり、かつ第2シェル粒子の粒子径が70nm以上300nm以下であった。実施例1及び3〜8に係るトナー、並びに実施例11〜30に係るトナーは、更に画像濃度(耐環境性)の評価も優れた結果を示していた。実施例1及び3〜8に係るトナー、並びに実施例11〜30に係るトナーは、更に帯電安定性に優れていた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。
10 トナー母粒子
11 トナーコア
12 シェル層
12a 第1シェル粒子
12b 第2シェル粒子

Claims (9)

  1. トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを有するトナー粒子を、複数含む静電潜像現像用トナーであって、
    前記シェル層は、複数の第1シェル粒子と複数の第2シェル粒子とを含み、
    前記第1シェル粒子は、前記トナーコアを被覆し、
    前記第2シェル粒子は、前記第1シェル粒子に被覆された前記トナーコアを更に被覆し、
    前記第1シェル粒子による被覆率(CF)は、以下に示す式(1)を満たし、
    前記第2シェル粒子による被覆率(CS)は、以下に示す式(2)を満たし、
    前記トナーコアの溶解度パラメーター(SPT)と、前記第1シェル粒子の溶解度パラメーター(SPF)と、前記第2シェル粒子の溶解度パラメーター(SPS)とは、以下に示す式(3)を満たす、静電潜像現像用トナー。
    25%≦CF≦50% ・・・(1)
    5%≦CS≦30% ・・・(2)
    SPT>SPF>SPS ・・・(3)
  2. 前記第1シェル粒子の個数平均粒子径は、前記第2シェル粒子の個数平均粒子径よりも小さく、
    前記第1シェル粒子及び前記第2シェル粒子の個数平均粒子径は、前記トナーコアの個数平均粒子径の0.005倍以上0.04倍以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記第1シェル粒子の個数平均粒子径は、30nm以上90nm以下であり、
    前記第2シェル粒子の個数平均粒子径は、70nm以上300nm以下である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記SPTと、前記SPFと、前記SPSとは、以下に示す式(4)及び式(5)を満たす、請求項1〜3の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
    |SPT−SPF|≦1.0 ・・・(4)
    |SPF−SPS|≦1.0 ・・・(5)
  5. 前記トナーコアは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含み、
    前記第1シェル粒子は、スチレン−アクリル酸系樹脂を含み、
    前記第2シェル粒子は、架橋されたスチレン−アクリル酸系樹脂を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記トナーコアのガラス転移点は、25℃以上45℃以下であり、
    前記トナーコアは、アニオン性を有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 前記第1シェル粒子のガラス転移点は、60℃以上120℃以下であり、
    前記第1シェル粒子の軟化点は、120℃以上210℃以下であり、
    前記第1シェル粒子は、カチオン性を有する、請求項1〜6の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  8. 前記トナー粒子は、外添剤を更に有する、請求項1〜7の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  9. 静電潜像現像用トナーの製造方法であって、
    前記静電潜像現像用トナーは、請求項1〜8の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーであり、
    前記トナーコアの表面に前記シェル層を形成することを含み、
    前記シェル層をする形成することは、
    前記式(1)を満たすように、前記トナーコアの表面に前記第1シェル粒子を付着させることと、
    前記式(2)を満たすように、前記第1シェル粒子が付着した前記トナーコア及び前記第2シェル粒子を乾式で混合することにより、前記第1シェル粒子が付着した前記トナーコアの表面に前記第2シェル粒子を付着させることと
    を含む、静電潜像現像用トナーの製造方法。
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