JP6041764B2 - 正帯電性トナー - Google Patents

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Description

本発明は、正帯電性トナーに関する。
トナーに関して、省エネルギー化、及び装置の小型化のような観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点やガラス転移点の低い結着樹脂や、低融点の離型剤が使用されることが多い。そのため、このようなトナーを高温で保存する場合にトナーに含まれるトナー粒子が凝集しやすいという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子と比較して低下しやすい。
そこで、従来より低い温度域においても定着性に優れるトナーを得る目的、高温でのトナーの保存安定性の向上の目的、及びトナーの耐ブロッキング性の向上の目的で、低融点の結着樹脂を含むトナーコア粒子が、トナーコア粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高いTgを有する樹脂からなるシェル層により被覆されているコア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが使用されている。
このようなトナーに含まれるコア−シェル構造のトナー粒子として、非晶性ポリエステル樹脂、及び脂肪酸エステル系ワックスを含有するトナーコア粒子を、芳香族ビニル単量体とアクリル酸又はアクリル酸エステルとの共重合体を含有するシェル材料でカプセル化したトナー粒子を含むトナー(現像剤)が提案されている(特許文献1参照)。このようなトナー粒子では離型剤(ワックス)成分がトナー粒子表面にしみ出すことがないため、トナーがブロッキングを起こしにくい。このため、特許文献1に記載のトナーを用いて画像を形成する場合、保存時の温度や湿度の影響に起因するトナーの帯電量の変動が生じにくい。
特開2008−287256号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーを用いて、低印字率で長期間にわたり画像を形成する場合、現像器内でトナーが長期間にわたり撹拌されることで、トナーが過剰に帯電される場合がある。トナーが過剰に帯電されると、形成画像の画像濃度が所望する値より低くなる場合がある。
また、特許文献1に記載のトナーを用いて高印字率で画像を形成する場合、現像器内で撹拌されたトナーの帯電量が所望する帯電量に達する前にトナーが消費される場合がある。トナーが所望の帯電量に帯電されていない状態で画像が形成されると、形成画像にかぶりのような画像不良が発生する場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合でも、所望する画像濃度の画像を形成でき、高印字率で画像を形成する場合でも、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できる正帯電性トナーを提供することを目的とする。
本発明は、結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、正帯電性トナーであって、
前記シェル層が、内層と、外層とからなり、
前記内層が負帯電性の樹脂を含み、
前記外層が正帯電性の樹脂を含む、正帯電性トナーに関する。
本発明によれば、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合においても、所望する画像濃度の画像を形成でき、高印字率で画像を形成する場合においても、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できる正帯電性トナーを提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の正帯電性トナー(以下、単にトナーともいう)に含まれるトナー粒子は、少なくとも結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子を被覆するシェル層と、からなる。トナーコア粒子は、結着樹脂中に、必要に応じて着色剤、離型剤、電荷制御剤及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。シェル層は、内層と、外層とからなる。内層は、トナーコア粒子の表面を被覆する層である。外層は、内層のトナーコア粒子と接する表面とは反対の表面を被覆する層である。内層は負帯電性の樹脂を含み、外層は正帯電性の樹脂を含む。
トナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じて、その表面が外添剤を用いて処理されたものであってもよい。トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、トナー粒子を構成する必須、又は任意の成分である、結着樹脂、着色剤、離型剤、磁性粉、シェル層の内層、シェル層の外層、及び外添剤と、トナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリアと、トナーの製造方法とについて順に説明する。
[結着樹脂]
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、及びスチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、着色剤のトナー粒子中での分散性、トナー粒子の帯電性、及びトナー粒子の用紙に対する定着性の面から、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。以下、本実施形態で用いるスチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、及びp−エチルスチレンが挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)メタアクリル酸メチル、(メタ)メタアクリル酸エチル、(メタ)メタアクリル酸n−ブチル、及び(メタ)メタアクリル酸iso−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
結着樹脂としてポリエスエテル樹脂を用いる場合、幅広い温度範囲で良好に定着でき、発色性に優れるトナーを調製しやすい。ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコール成分と2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合や共縮重合することで得られるものを使用できる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、及びポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、及びイソドデセニルコハク酸のようなアルキル又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、及び低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合の、結着樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下が好ましい。酸価が低すぎる結着樹脂を用いて後述する凝集法でトナーを調製する場合、トナー粒子に含まれる成分を含有する微粒子を凝集させる際に、微粒子の凝集が良好に進行しにくい場合がある。酸価が高すぎる結着樹脂を含有するトナー粒子を含むトナーは、高湿条件下で、湿度の影響によってトナーの種々の性能が損なわれる場合がある。結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂の酸価は、ポリエステル樹脂の合成に使用されるアルコール成分が有する水酸基と、カルボン酸成分が有するカルボキシル基とのバランスを調整することで調整できる。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂を単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加したものを用いることも可能である。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することで、トナーの定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、及び耐久性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、30℃以上55℃以下が好ましい。結着樹脂のガラス転移点は、以下の方法に従って測定できる。
結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、結着樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置として示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC−6200)を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することで結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分、という条件で測定して得られた結着樹脂の吸熱曲線より結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は、70℃以上100℃以下が好ましい。また、異なるTmを有する複数の樹脂を、結着樹脂の軟化点が上記の範囲内の値となるように組み合わせて用いることもできる。結着樹脂の軟化点は、以下の方法に従って測定できる。
<軟化点測定方法>
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)の測定を行う。1.5gの測定試料を高架式フローテスターにセットし、高さ1.0mm、直径0.5mmのダイを使用し、プランジャー荷重10kg/cm、昇温速度1℃/分、測定温度範囲35〜200℃の条件で、試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定する。
結着樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,000以上4,000以下が好ましく、1,500以上3,000以下がより好ましい。また、結着樹脂の質量平均分子量(Mw)は3,000以上40,000以下が好ましく、6,000以上25,000以下がより好ましい。また、数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、2以上10以下が好ましい。結着樹脂の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
[着色剤]
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。黒色着色剤としては後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
トナーがカラートナーである場合に、トナーコア粒子に配合される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリルアミド化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、及びC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、及びC.I.アシッドブルーが挙げられる。
着色剤は、単独又は混合して用いることができる。着色剤の使用量はトナーコア粒子100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下が好ましい。
[離型剤]
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
好適な離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、及び鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、及びペトロラクタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、及びカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部、又は全部を脱酸化したワックスが挙げられる。
離型剤の使用量は、トナーコア粒子100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
[電荷制御剤]
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用できる。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコア粒子に電荷制御剤を配合しなくてもよいが、トナーコア粒子は、正帯電性の電荷制御剤を含んでいてもよい。
電荷制御剤としては、従来よりトナーに使用されている正帯電性の電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、アジン化合物からなる直接染料、ニグロシン化合物、ニグロシン化合物からなる酸性染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、及び4級アンモニウム塩が挙げられる。官能基として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。
正帯電性の電荷制御剤の使用量は、トナーコア粒子100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましい。
[磁性粉]
トナーコア粒子は、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉を含むトナーコア粒子を用いて製造されたトナー粒子を含有するトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いてトナーコア粒子を調製する場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナーコア粒子100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下が好ましく、30質量部以上50質量部以下がより好ましい。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナーコア粒子100質量部に対して、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
[シェル層の内層]
シェル層の内層の材質は、負帯電性の樹脂を含む限り、特に制限されないが、樹脂であるのが好ましい。負帯電性の樹脂としては、樹脂中に負帯電性の官能基を導入しやすいことから、樹脂に負帯電性を付与する帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーと、帯電性官能基を持たず不飽和結合を有するモノマーとの共重合体がこのましい。樹脂に負帯電性を付与する場合に使用される、帯電性官能基と不飽和結合を有するモノマーとしては、フッ素置換された炭化水素基、又はスルホ基と不飽和結合とを有するモノマーが好ましい。
不飽和結合を有するモノマーとしては、シェル層として十分な物理的性質を有する樹脂を合成可能であれば特に限定されない。不飽和結合を有するモノマーとしては、ビニル系単量体が好ましい。ビニル系単量体に含まれるビニル基は、α位をアルキル基により置換されていてもよい。また、ビニル系単量体に含まれるビニル基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ビニル基が有していてもよいアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。また、ビニル基が有してもいてもよいハロゲン原子は、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
ビニル系単量体のうち、含窒素極性官能基、フッ素置換された炭化水素基、及びスルホ基のような帯電性官能基を持たない単量体の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、及び3,4−ジクロロスチレンのようなスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、及びイソブチレンのようなエチレン性不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、及びフッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及び酪酸ビニルのようなビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、及びα−クロロアクリル酸メチルのような(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリルのような(メタ)アクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、及びビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、及びメチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;ビニルナフタリン類が挙げられる。これらの中でも、スチレン類が好ましく、スチレンがより好ましい。これらのモノマーは2種以上を組み合わせて使用できる。
負帯電性の樹脂のモノマーとして使用される、負帯電性官能基であるフッ素置換された炭化水素基を持つビニル系単量体の例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロアミルアクリレート、及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートのようなフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロクロルエチレン、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、トリフルオロプロピレン、及びヘキサフルオロプロペンが挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル(メタ)アクリレート類が好ましい。
負帯電性の樹脂のモノマーとして使用される、負帯電性官能基であるスルホ基を持つビニル系単量体の例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;スチレンスルホン酸ナトリウム;スルホエチルアクリル酸、スルホエチルメタクリル酸及びスルホエチルメタクリル酸ナトリウムのようなスルホアルキル(メタ)アクリル酸系単量体が挙げられる。これらの中でも、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。
不飽和結合を有するモノマーの付加重合方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等任意の方法を選択できる。
以上説明したビニル系単量体の重合に使用できる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化アセチル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーベンゾエート、ジシクロヘキシルパーオキサイド、及びジクミルパーオキサイドのような公知の重合開始剤を使用できる。これらの重合開始剤の使用量は、モノマーの総質量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましい。
負帯電性の樹脂が、樹脂に負帯電性を付与する帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーと、帯電性官能基を持たない不飽和結合を有するモノマーとの共重合体である場合、負帯電性の樹脂中の、帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーに由来する構成単位の、全構成単位に対するモル比率は、0.1モル%以上10モル%以下が好ましく、0.3モル%以上7モル%以下がより好ましい。
シェル層の内層中の、負帯電性の樹脂の含有量は、シェル層の内層の全質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。シェル層の内層が、負帯電性の樹脂と、帯電性官能基を持たない樹脂との混合物である場合、帯電性官能基を持たない樹脂としては、前述の帯電性官能基を持たないビニル系単量体から選択される1種以上の単量体の重合体を用いることができる。また、内層は、必要に応じて、前述の着色剤を含有する樹脂を用いて調製されてもよい。
負帯電性の樹脂と、帯電性官能基を持たない樹脂との混合物は、2種以上の樹脂を2軸押出機のような溶融混練装置により溶融混練する方法や、2種以上の樹脂を、有機溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液から、有機溶剤を除去する方法によって調製できる。
内層が樹脂である場合、内層を構成する樹脂のガラス転移点は、50℃以上65℃以下が好ましい。内層を構成する樹脂の軟化点は、80℃以上120℃以下が好ましい。
シェル層の内層の厚さは、80nm以上200nm以下が好ましい。このような範囲内の厚さの内層を含むシェル層を備えるトナー粒子を含有するトナーを用いて、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合、現像器内でトナー粒子が長期間にわたり撹拌されても、トナー粒子の帯電量を所望する範囲内に制御しやすい。このため、当該トナーを用いて長期にわたり低印字率で画像を形成する場合、形成される画像でのかぶりのような画像不良の発生を抑制しやすい。
シェル層の内層の厚さは、後述する凝集法でトナー粒子を製造する場合、被覆率Rと、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cの平均粒子径Diとから、以下の式に従って算出できる。
シェル層の内層の厚さ=Di×R/100
被覆率Rは、トナーコア粒子について、平均粒子径がDc、真比重がρc、及び質量がWcであり、微粒子cについて、平均粒子径がDi、真比重がρi、及び質量がWiであるとき、以下の式(1)に従って算出できる。
被覆率R[%]=(Wi×Dc×ρc)/(4×Wc×Di×ρi)×100000)・・・(1)
[シェル層の外層]
シェル層の外層の材質は、正帯電性の樹脂を含む限り、特に制限されないが、樹脂であるのが好ましい。正帯電性の樹脂としては、樹脂中に正帯電性の官能基を導入しやすいことから、樹脂に正帯電性を付与する帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーと、帯電性官能基を持たず不飽和結合を有するモノマーとの共重合体がこのましい。樹脂に正帯電性を付与する場合に使用される、帯電性官能基と不飽和結合を有するモノマーとしては、4級アンモニウム基のような含窒素極性官能基と不飽和結合とを有するモノマーが好ましい。不飽和結合を有するモノマーとしては、内層の材質と同様のものが挙げられる。
正帯電性の樹脂のモノマーとして使用される、正帯電性官能基である含窒素極性官能基を持つビニル系単量体の例としては、N−ビニル化合物や、アミノ(メタ)アクリル系単量体や、メタクリロニトリル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。N−ビニル化合物の例としては、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、及びN−ビニルピロリドンが挙げられる。また、アミノ(メタ)アクリル系単量体の好適な例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
CH=C(R)−(CO)−X−N(R)(R
(式中、Rは水素又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基を示す。Xは−O−、−O−Q−、−NH−又は−NH−Q−を示す。Qは炭素数1以上10以下のアルキレン基、フェニレン基、又はこれらの基の組合せを示す。)
上記式中、R及びRの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基(ステアリル基)、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
上記式中、Qの具体例としては、メチレン基、1,2−エタン−ジイル基、1,1−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、及びベンジル基に含まれるフェニル基の4位から水素を除いた二価基が挙げられる。
上記式で表されるアミノ(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2−(N,N−メチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(N,N−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジ−n−ブチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、(p−N,N−ジメチルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリレート、(p−N,N−ジエチルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリレート、(p−N,N−ジ−n−プロピルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリレート、(p−N,N−ジ−n−ブチルアミノフェニル)メチルベンジル(メタ)アクリレート、(p−N−ラウリルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリレート、(p−N−ステアリルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジ−n−プロピルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジ−n−ブチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、(p−N,N−ジメチルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリルアミド、(p−N,N−ジエチルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリルアミド、(p−N,N−ジ−n−プロピルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリルアミド、(p−N,N−ジ−n−ブチルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリルアミド、(p−N−ラウリルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリルアミド、及び(p−N−ステアリルアミノフェニル)メチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
正帯電性の樹脂が、樹脂に正帯電性を付与する帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーと、帯電性官能基を持たず不飽和結合を有するモノマーとの共重合体である場合、正帯電性の樹脂中の、帯電性官能基と不飽和結合とを有するモノマーに由来する構成単位の、全構成単位に対するモル比率は、0.1モル%以上10モル%以下が好ましく、0.3モル%以上7モル%以下がより好ましい。
シェル層の外層の中の、正帯電性の樹脂の含有量は、シェル層の外層の全質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。シェル層の外層が、正帯電性の樹脂と、帯電性官能基を持たない樹脂との混合物である場合、帯電性官能基を持たない樹脂としては、前述の、帯電性官能基を持たないビニル系単量体から選択される、1種以上の単量体の重合体を用いることができる。また、外層は、必要に応じて、前述の着色剤を含有する樹脂を用いて調製されてもよい。
正帯電性の樹脂と帯電性官能基を持たない樹脂との混合物は、上述する、負帯電性の樹脂と帯電性官能基を持たない樹脂との混合物と同様の方法で調製できる。
外層が樹脂で構成される場合、外層を構成する樹脂のガラス転移点は、55℃以上68℃以下が好ましい。また、外層を構成する樹脂の軟化点は、80℃以上120℃以下が好ましい。
シェル層の外層の厚さは、80nm以上200nm以下が好ましい。このような範囲内の厚さの外層を含むシェル層を備えるトナー粒子を含有するトナーを用いて高印字率で画像を形成する場合、現像器内でトナーが短期間で消費される条件であっても、トナー粒子が所望する範囲内の帯電量に帯電されやすい。このため、当該トナーを用いて、高印字率で画像を形成する場合、所望する画像濃度の画像を形成しやすい。
シェル層の外層の厚さは、後述する凝集法でトナーを製造する場合、被覆率Rと、シェル層の外層を構成する樹脂を含有する微粒子fの平均粒子径Doとから、以下の式に従って算出される。
シェル層の外層の厚さ=Do×R/100
被覆率Rは、トナーコア粒子について、平均粒子径がDc、真比重がρc、及び質量がWcであり、微粒子fについて、平均粒子径がDo、真比重がρo、及び質量がWoであるとき、以下の式(2)に従って算出できる。
被覆率R[%]=(Wo×Dc×ρc)/(4×Wc×Do×ρo)×100000)・・・(2)
[外添剤]
トナーに含まれるトナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
外添剤としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
[キャリア]
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂で被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、及びコバルトのような粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、及びアルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、及び鉄−コバルト合金のような粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、及びニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、及びロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、並びに樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂としては、具体的に、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、及びポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、及びアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下が好ましい。
[トナーの製造方法]
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコア粒子を特定の構造のシェル層で被覆して製造される。トナーコア粒子は、従来知られる方法を用いて製造することができる。トナーコア粒子の好ましい製造方法の具体例としては、トナーコア粒子に含まれる成分の混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕及び分級してトナーコア粒子を得る粉砕法と、トナーコア粒子に含まれる成分を含有する微粒子を凝集させて凝集粒子を形成した後、加熱により凝集粒子に含まれる成分を合一化させる凝集法とが挙げられる。トナーコア粒子の製造方法としては、形状の均一なトナーコア粒子を得やすいことから凝集法が好ましい。以下、凝集法を用いるトナー粒子の製造方法について説明する。
凝集法としては、従来から、トナーに含まれるトナー粒子の製造方法として採用されている種々の方法を適用できる。トナー粒子の好適な製造方法を、以下の工程(I)〜(V)の各工程に分けて、順に説明する。なお、凝集法を用いるトナーコア粒子の製造方法は、以下の工程(I)の方法に該当する。
工程(I):結着樹脂を含有する微粒子aを含む水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に微粒子aを凝集させてトナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る工程、
工程(II):水性分散液(B)と、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cを含む水性分散液(C)とを混合して、トナーコア粒子と、微粒子cとを含む水性分散液(D)を得る工程、
工程(III):水性分散液(D)を加熱して、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に形成及び膜化させ、その表面に内層を備えるトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る工程、
工程(IV):水性分散液(E)と、シェル層の外層を構成する樹脂を含有する微粒子fを含む水性分散液(F)とを混合して、表面に内層を備えるトナーコア粒子と、微粒子fとを含む水性分散液(G)を得る工程、
工程(V):水性分散液(G)を加熱して、トナーコア粒子の表面に内層と外層とからなるシェル層を形成する工程。
トナーの製造方法は、上記工程(I)〜(V)に加え、必要に応じ、以下の工程(VI)〜(VIII)を含んでいてもよい。
工程(VI):トナー粒子又はトナー母粒子を洗浄する、洗浄工程。
工程(VII):トナー粒子又はトナー母粒子を乾燥する、乾燥工程。
工程(VIII):トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる、外添工程。
以下、工程(I)〜(VIII)について順に説明する。
〔工程(I)〕
工程(I)では、結着樹脂を含有する微粒子aを含む水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下で、微粒子aを凝集させて、トナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る。以下、結着樹脂を含有する微粒子aを含む水性分散液(A)の調製方法と、微粒子の凝集方法とについて説明する。
<水性分散液(A)の調製方法>
微粒子aは、結着樹脂の微粒子、又は、結着樹脂と、着色剤、及び離型剤のような任意成分とを含有する結着樹脂組成物の微粒子の何れであってもよい。通常、結着樹脂を含有する微粒子aは、水性媒体中で、結着樹脂又は結着樹脂と着色剤、及び離型剤のような任意成分とを含有する組成物を所望のサイズに微粒子化することで、微粒子を含む水性分散液として調製される。
微粒子aを含む水性分散液(A)は、微粒子a以外の微粒子を含んでいてもよい。微粒子a以外の微粒子の例としては、離型剤の微粒子a、着色剤の微粒子aが挙げられる。以下、結着樹脂のみからなる微粒子を微粒子aと記す。
結着樹脂の微粒子aの調製方法、微粒子aの調製方法、微粒子aの調製方法、及び結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子abrの調製方法について順に説明する。なお、ここで説明する微粒子とは異なる成分を含む微粒子については、これらの微粒子の製造方法から適宜選択される方法を用いて調製できる。
(微粒子aを含む水性分散液の調製方法)
以下、結着樹脂の微粒子aを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。
まず、結着樹脂を、その融点以上の温度まで加熱して、結着樹脂の溶融液を得る。結着樹脂を溶融させる温度は、結着樹脂が均一に溶融できる限り特に限定されないが、結着樹脂の融点+10℃以上融点+30℃以下の温度が好ましい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂に含まれる酸基を中和するために、溶融状態の結着樹脂に塩基性物質を添加してもよい。塩基性物質は、ポリエステル樹脂に含まれる酸基を中和できるものであれば特に限定されない。好適な塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、モノメタノールアミン、モルホリン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、及びビニルピリジンのような含窒素有機塩基が挙げられる。これらの塩基性化合物は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性化合物の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
結着樹脂の溶融液には、界面活性剤を添加できる。結着樹脂の溶融液に、界面活性剤を添加することで、結着樹脂の微粒子を、水性媒体中で、安定して分散させることができる。
結着樹脂の溶融液に添加できる界面活性剤は特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤からなる群より適宜選択できる。アニオン系界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤、及び石鹸が挙げられる。カチオン系界面活性剤の例としては、アミン塩型界面活性剤、及び4級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物型界面活性剤、及びグリセリン、ソルビトール、ソルビタンのような多価アルコールの誘導体である多価アルコール型界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中では、アニオン系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の使用量は、結着樹脂の質量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましい。
このようにして調製される結着樹脂の溶融液に水を加えて、さらに撹拌・混合することで、結着樹脂の微粒子aを含む水性分散液を調製できる。結着樹脂の溶融液と水とを、撹拌する装置としては、結着樹脂を溶融状態に保持するため、内容物の温度を保持する機能を備える撹拌装置が好ましい。撹拌装置内の内容物の温度を保持する好適な方法としては、ジャケットを備える撹拌装置を用い、ジャケット内に、所定の温度の温水、水蒸気、又は熱媒体油を流通させる方法が挙げられる。好適な撹拌装置の具体例としては、加熱混錬装置(例えば、TK ハイビスディスパーミックス HM−3D−5(プライミクス株式会社製))が挙げられる。
得られる水性分散液に含まれる微粒子aの粒子径は、結着樹脂の溶融液と水とを混合する際の撹拌速度を調整することで調整できる。微粒子aの体積平均粒子径(D50)は1μm以下が好ましく、0.05μm以上0.5μm以下がより好ましい。微粒子aの体積平均粒子径がこのような範囲内であると、粒子径分布がシャープであり、形状が均一なトナーコア粒子を得やすい。このようなトナーコア粒子を用いて調製されるトナー粒子も粒子径分布がシャープであり形状が均一である。このため、上記の範囲内の体積平均粒子径である微粒子aを含む水性分散液を用いてトナーを調製することで、トナーの性能や生産性のばらつきを小さくできる。微粒子aの体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、LA−950(株式会社堀場製作所製))を用いて測定できる。
(微粒子aを含む水性分散液の調製)
以下、離型剤を含有する微粒子aを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。微粒子aを調製する方法は、以下に説明する方法に限定されない。
まず、離型剤を予め100μm以下程度に粉砕し、離型剤の粉体を得る。離型剤の粉体を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを調製する。次いで、得られるスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。加熱されたスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、微粒子aを含む水性分散液を調製する。
分散液に強い剪断力を与える装置としては、NANO3000(株式会社美粒製)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)、マイクロフルダイザー(MFI社製)、ゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)、及びクレアミックスWモーション(エム・テクニック株式会社製)が挙げられる。
水性分散液に含まれる微粒子aの体積平均粒子径(D50)は1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.7μm以下がより好ましい。このような範囲内の粒子径の微粒子aを用いると、結着樹脂中に離型剤が均一に分散したトナーコア粒子を得やすい。微粒子aの体積平均粒子径(D50)は、結着樹脂の体積平均粒子径(D50)と同様の方法で測定できる。
(微粒子aの水性分散液の調製)
以下、着色剤を含有する微粒子aを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。微粒子aを調製する方法は、以下に説明する方法に限定されない。
界面活性剤を含む水性媒体中で、着色剤と、必要に応じて着色剤の分散剤のような成分とを、公知の分散機を用いて分散処理して、微粒子aを含む水性分散液が得られる。界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤の何れも使用できる。界面活性剤の使用量は特に限定されないが、臨界ミセル濃度(CMC)以上であるのが好ましい。
分散処理に使用する分散機は特に限定されず、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、及び圧力式ホモジナイザーのような加圧式分散機や、サンドグラインダー、横型及び縦型ビーズミル、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社製)、ダイノーミル(WAB社製)、及びMSCミル(日本コークス工業株式会社製)のような媒体型分散機を使用できる。
微粒子aの体積平均粒子径(D50)は0.05μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
(微粒子abrを含む水性分散液の調製方法)
以下、結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子abrを含む水性分散液を調製する方法の好適な例について説明する。
微粒子abrの水性分散液は、前述の微粒子aを含む水性分散液の好適な調製方法に対して、結着樹脂の溶融液に離型剤を含有させることの他は、前述の微粒子aを含む水性分散液の好適な調製方法と同様の方法を用いて調製できる。
結着樹脂の溶融液に離型剤を含有させる好適な方法としては、(a)固体状態の結着樹脂と離型剤とを混合した後に、得られる混合物を溶融させる方法、(b)離型剤を加熱して溶融させた後に、溶融した離型剤に結着樹脂を加えて、両者を加熱して溶融させる方法、及び(c)結着樹脂を加熱して溶融させた後に、溶融した結着樹脂に離型剤を加えて、両者を加熱して溶融させる方法が挙げられる。
なお、結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子abrを含む水性分散液の調製方法について上記の通り説明したが、微粒子abrを含む水性分散液も、結着樹脂に配合する成分を変更することの他は、上記の方法と同様にして調製できる。
<微粒子aの凝集方法>
上記方法を用いて調製された微粒子aは、トナーコア粒子に所定の成分が含まれるように、適宜組み合わせて、凝集粒子であるトナーコア粒子とされる。微粒子を凝集させる好適な方法としては、微粒子aを含む水性分散液に、凝集剤を添加する方法が挙げられる。
好適な凝集剤としては、無機金属塩、無機アンモニウム塩、及び2価以上の金属錯体が挙げられる。無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムのような金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムのような無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムが挙げられる。また、4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、及びポリエチレンイミンのような含窒素化合物も凝集剤として使用できる。
凝集剤としては、2価の金属の塩、及び1価の金属の塩が好ましく用いられる。凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてよい。2種以上の凝集剤を組み合わせて用いる場合、2価の金属の塩と1価の金属の塩とを併用するのが好ましい。2価の金属の塩と1価の金属の塩とでは、微粒子を凝集させる速度が異なる。このため、これらを併用することで、得られる凝集粒子の粒子径の増大化を制御しつつ、凝集粒子の粒度分布をシャープなものとしやすい。
凝集剤の添加量は、微粒子aを含む水性分散液(A)の固形分に対して、0.1mmol/g以上10mmol/g以下が好ましい。また、凝集剤の添加量は、微粒子を含む水性分散液中に含まれる界面活性剤の種類、及び量に応じて、適宜調整するのが好ましい。
凝集剤の添加条件は、微粒子aの凝集が良好に進行する限り特に限定されない。凝集剤の添加は、微粒子aを含む水性分散液(A)のpHを調整した後で、結着樹脂のガラス転移点以下の温度で行うのが好ましい。結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む場合、微粒子aを含む水性分散液のpHをアルカリ側、好ましくはpH10以上に調整した後に、凝集剤を添加するのが好ましい。このような方法を用いると、均一な凝集を行うことができ、トナーコア粒子の粒子径分布をシャープにすることができる。凝集剤は一時に添加してもよく、逐次的に添加することもできる。
凝集粒子であるトナーコア粒子が所望の粒子径となるまで凝集が進行した後には、凝集停止剤を添加するのが好ましい。凝集停止剤の例としては、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。このようにしてトナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得ることができる。
〔工程(II)〕
工程(II)では、工程(I)で得られた水性分散液(B)と、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cを含む水性分散液(C)とを混合して、トナーコア粒子と、微粒子cとを含む水性分散液(D)を得る。以下、微粒子cを含む水性分散液(C)の好適な調製方法について説明する。
<微粒子cを含む水性分散液(C)の調製>
以下、シェル層の内層を構成する樹脂を含有する微粒子cを含む水性分散液(C)を調製する方法の好適な例について説明する。水性分散液(C)を調製する方法は、以下に説明する方法に限定されない。シェル層の内層を構成する樹脂を予め30〜50μm以下程度に粉砕し、シェル層の内層を構成する樹脂の粉体を得る。シェル層の内層を構成する樹脂の粉体を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを調製する。次いで、得られるスラリーをシェル層の内層を構成する樹脂の融点以上の温度に加熱する。加熱されたスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、水性分散液(C)を調製する。
シェル層の内層を構成する樹脂を2種類以上用いる場合には、上記粉砕品として、2種以上の異なる種類のシェル層の内層を構成する樹脂の粉砕品を混合したものを用いてもよいし、2種以上の異なる種類のシェル層の内層を構成する樹脂の溶融混錬物を粉砕して得られる粉砕品を用いてもよい。
微粒子cの体積平均粒子径は、0.03μm以上0.50μm以下が好ましく、0.05μm以上0.30μm以下がより好ましい。微粒子cの体積平均粒子径をこのような範囲内とすることで、シェル層の内層の厚さを、前述の好適な範囲内に調整できる。また、このような範囲内の体積平均粒子径の微粒子cを用いる場合、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に均一に形成させやすい。微粒子cの体積平均粒子径は、例えば、電気泳動光散乱光度計(LA−950V2(株式会社堀場製作所製))を用いて、測定できる。
〔工程(III)〕
工程(III)では、工程(II)で得られる水性分散液(D)を加熱して、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に形成及び膜化させ、その表面に内層を備えるトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る。工程(III)では、被覆層Iが加熱されることで膜化し、シェル層を構成する内層に変化する。水性分散液(D)を加熱する温度は、55℃以上70℃以下が好ましい。このような範囲内の温度で水性分散液(D)を加熱することで、微粒子cからなる被覆層Iをトナーコア粒子の表面に均一に形成させ、膜化できる。
〔工程(IV)〕
工程(IV)では、工程(III)で得られる水性分散液(E)と、シェル層の外層を構成する樹脂を含有する微粒子fを含む水性分散液(F)とを混合して、表面に内層を備えるトナーコア粒子と、微粒子fとを含む水性分散液(G)を得る。水性分散液(E)と、水性分散液(F)とを混合する方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。また、微粒子fを含む水性分散液(F)の調製方法としては、微粒子cを含む水性分散液(C)の好適な調製方法と同様の方法が挙げられる。
微粒子fの体積平均粒子径は、0.03μm以上0.50μm以下が好ましく、0.05μm以上0.30μm以下がより好ましい。微粒子fの体積平均粒子径をこのような範囲内とすることで、シェル層の外層の厚さを、前述の好適な範囲に調整できる。また、このような範囲内の体積平均粒子径の微粒子fを用いる場合、シェル層の外層を構成する樹脂の微粒子からなる被覆層IIを内層の外表面に均一に形成しやすい。シェル層の外層を構成する樹脂を含む微粒子の体積平均粒子径は、例えば、電気泳動光散乱光度計(LA−950V2(株式会社堀場製作所製))を用いて、測定できる。
〔工程(V)〕
工程(V)では、工程(IV)で得られる水性分散液(G)を加熱して、トナーコア粒子の表面に内層と外層とからなるシェル層を形成する。工程(V)では、被覆層IIが加熱されることで膜化し、シェル層を構成する外層に変化する。水性分散液(G)を加熱する温度は、65℃以上80℃以下が好ましい。このような範囲内の温度で水性分散液(G)を加熱することで、被覆層IIを良好に膜化できる。このようにして得られる、それぞれ所定の材質からなる内層と外層とを含む2層構造のシェル層で被覆されたトナーコア粒子は、そのままトナー粒子として、又はトナー母粒子として使用される。
〔工程(VI)〕
工程(V)で得られるトナー粒子又はトナー母粒子は、必要に応じて、(VI)洗浄工程において、水を用いて洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、トナー粒子又はトナー母粒子を含む水性分散液から、固液分離してトナー粒子又はトナー母粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子又はトナー母粒子を含む水性分散液中の粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子又はトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
〔工程(VII)〕
工程(V)で得られるトナー粒子又はトナー母粒子は、必要に応じて、(VII)乾燥工程を経て乾燥される。トナー粒子又はトナー母粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子又はトナー母粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。工程(VI)で回収される粒子をトナー母粒子とする場合、スプレードライヤーを用いて、トナー母粒子を含む水性分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液をトナー母粒子に対して噴霧することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
〔工程(VIII)〕
トナー粒子は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。工程(VIII)では、上記工程を経て回収される粒子をトナー母粒子として用い、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないように条件を調整してトナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
以上説明した本発明の正帯電性トナーは、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合でも、所望する画像濃度の画像を形成でき、高印字率で画像を形成する場合でも、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できる。このため、本発明の正帯電性トナーは、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[調製例1]
〔結着樹脂微粒子分散液の調製〕
結着樹脂として以下の物性のポリエステル樹脂を用いた。
数平均分子量(Mn):2400
質量平均分子量(Mw):11700
分子量分布(Mw/Mn):4.86
ガラス転移点(Tg):45℃
軟化点(Tm):90℃
酸価:20.5mgKOH/g
ポリエステル樹脂1000gを、粉砕装置を用いて粉砕して、平均粒子径30μm程度のポリエステル樹脂粉を得た。得られたポリエステル樹脂粉を、温度調整用のジャケットを備える加熱混錬装置(TK ハイビスディスパーミックス HM−3D−5(プライミクス株式会社製))に投入した。ポリエステル樹脂粉を、公転20rpm、自転48rpmで撹拌しながら、120℃まで加熱して溶融させた。その後、溶融液にトリエタノールアミン(塩基性化合物)80gと、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤、エマール 0(花王株式会社製))の濃度25質量%の水溶液80gとを添加した。次いで、公転40rpm、自転97rpmで、溶融液を15分撹拌した。その後、98℃のイオン交換水2870gを50g/分の速度で、溶融液に加え、樹脂の乳化液を得た。5℃/分の速度で50℃まで乳化液を冷却して、固形分濃度25質量%の結着樹脂微粒子分散液を得た。分散液中の結着樹脂微粒子の体積平均粒子径は約115nmであった。結着樹脂微粒子の粒子径は、粒子径測定装置(LA−950(株式会社堀場製作所製))を用いて測定した。
[調製例2]
(離型剤微粒子分散液の調製方法)
離型剤(エステルワックス、WEP−3(日油株式会社製)、融点73℃)200gと、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤、エマール 0(花王株式会社製))の濃度25質量%の水溶液20gと、イオン交換水780gとを混合し、90℃に加熱した。その後、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて、5分間、撹拌速度2,000rpmで混合液の乳化を行った。さらに、高圧式ホモジナイザー(NV−200(吉田機械興業株式会社製)、加熱システムを追加)を用いて、100℃、吐出圧力100MPaの処理条件で乳化処理を行い、固形分濃度10質量%の離型剤微粒子分散液を得た。離型剤微粒子分散液に含まれる離型剤の微粒子の体積平均粒子径は120nmであった。離型剤微粒子の粒子径は、結着樹脂微粒子の粒子径と同様の方法を用いて測定した。
[調製例3]
(顔料微粒子分散液の調製方法)
顔料(シアン顔料、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))100gと、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(エマール E27C(花王株式会社製))20gと、イオン交換水380gとを混合し、撹拌容器内にビーズ(ジルコニア製、φ0.1)400mlを投入したダイノーミル(ECM−AP2(ウィリー・エ・バッコーフェン社製))を用いて、ローター周速10m/秒、処理時間2時間の条件で分散処理を行い、顔料の濃度が20質量%であり、総固形分濃度が21質量%の顔料微粒子分散液を得た。顔料微粒子分散液に含まれる顔料微粒子の体積平均粒子径は113nmであった。顔料微粒子の粒子径は、結着樹脂微粒子の粒子径と同様の方法を用いて測定した。
[調製例4]
〔負帯電性のビニル系ポリマーAの調製〕
撹拌装置、コンデンサー、温度計、及び窒素導入装置を備えた容量2Lのフラスコに、メタノール300gと、メチルエチルケトン100gと、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸30g、スチレン510g、及びアクリル酸−2−エチルヘキシル60gからなるモノマー混合物とを仕込んだ。フラスコの内容物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら、フラスコ内の温度を70℃まで上昇させた。昇温後、70℃で7時間、重合反応を行った。次いで、フラスコの内容物に水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10質量%)60gを添加した後、70℃で1時間、撹拌を続けた。その後、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)60g添加した後、70℃で1時間撹拌して中和処理を行った。中和処理後、フラスコの内容物を減圧加熱炉に移し、脱溶剤して、負帯電性のビニル系ポリマーa(Tg:55℃)を得た。
[調製例5]
〔ビニル系ポリマーBの調製〕
モノマー混合物を、スチレン540g、及びアクリル酸−2−エチルヘキシル60gからなるモノマー混合物に変える他は調製例4と同様にしてビニル系ポリマー(Tg:55℃)を得た。
[調製例6]
〔正帯電性のビニル系ポリマーCの調製〕
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を備えた容量2Lの4つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、イソブタノール250gを加え、さらに、ジエチルアミノエチルメタクリレート45gと、パラトルエンスルホン酸メチル45gとを加えた。窒素雰囲気下、80℃、撹拌速度230rpmの条件(重合反応終了まで同速度で撹拌)で、フラスコ内容物を1時間撹拌し、4級化反応を行った。次いで、窒素雰囲気下で、スチレン156gと、ブチルアクリレート72gと、過酸化物系開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製)12gとを反応容器に加えた。反応容器の内温を95℃(重合温度)まで上げた後、反応容器の内容物を、同温度で3時間撹拌した。次いで、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12gをさらに反応容器内に加えた。その後、反応容器の内容物を95℃で3時間撹拌して、重合反応を終えた。反応容器の内容物を、繰り返し濾過及び洗浄して、正帯電性のビニル系ポリマーcを得た。
[調製例7]
〔ビニル系ポリマー微粒子分散液a〜g〕
表1に記載の種類のビニル系ポリマーを、ターボミルT250(ターボ工業株式会社製)を用いて粗粉砕して、粒子径が約30〜50μmの粗粉砕物を得た。得られたビニル系ポリマーの粗粉砕物200gと、表1に記載の量の界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、エマール 0(花王株式会社製))と、表1に記載の量のイオン交換水との混合物に対して、高圧式ホモジナイザー(NV−200(吉田機械興業株式会社製)、加熱システムを追加)を用いて、170℃、吐出圧力150MPaの処理条件で乳化処理を行った。乳化処理後、表1に記載の体積平均粒子径のビニル系ポリマー微粒子を含む、固形分濃度20質量%のビニル系ポリマー微粒子分散液a〜gを得た。ビニル系ポリマー微粒子の粒子径は、結着樹脂微粒子の粒子径と同様の方法を用いて測定した。
Figure 0006041764
[実施例1〜7、及び比較例2]
〔トナー母粒子調製工程〕
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコに、調製例1で得た結着樹脂微粒子分散液340gと、離型剤微粒子分散液100gと、顔料分散液25gと、イオン交換水500gとを投入し、これらを25℃で混合した。次いで、フラスコ内の混合物を、撹拌羽根を用いて、回転数200rpmで10分撹拌した。フラスコ内の混合物のpHを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて10に調整した後、混合物を10分撹拌した。その後、濃度50質量%の塩化マグネシウム六水和物水溶液(凝集剤)10gを5分かけてフラスコ内に滴下した。次いで、フラスコ内の混合物を、0.2℃/分の速度で昇温させて、微粒子の凝集を開始させた。40℃で昇温を停止した後、フラスコ内の混合物を、300rpmで撹拌しながら30分間40℃に保持し、微粒子の凝集を進行させた。その後、フラスコ内の混合物に濃度20質量%の塩化ナトリウム水溶液を50g添加して、微粒子の凝集の進行を停止させ、凝集粒子を含む凝集粒子分散液を得た。
フラスコ内の凝集粒子分散液に、濃度5質量%のラウリル硫酸ナトリウム(エマール 0(花王株式会社製))水溶液100gを添加した。次いで、凝集粒子を含む分散液を300rpmの撹拌速度で撹拌しながら、0.2℃/分の速度で52℃まで昇温させた。52℃まで昇温した後、同温度、1時間、300rpmの条件で凝集粒子分散液を撹拌して、凝集粒子に含まれるトナー成分を合一化させると共に、凝集粒子の形状を球状に制御した。その後、凝集粒子を含む分散液を、10℃/分の速度で、25℃まで冷却し、形状制御された凝集粒子をトナーコア粒子として含む、トナーコア粒子分散液を得た。分散液中のトナーコア粒子の体積平均粒子径は5.5μmであり、球形化度は0.955であった。トナーコア粒子の粒子径は、結着樹脂微粒子の粒子径と同様の方法を用いて測定した。トナーコア粒子の球形化度は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いて測定した。
次いで、シェル層の内層の材料である表1に記載の種類のビニル系ポリマーを含む、表2又は3に記載の種類及び量の分散液を、フラスコ内の分散液に添加した。次いで、フラスコの内容物を、300rpmの撹拌速度で撹拌しながら、0.2℃/分の速度で68℃まで昇温させた。68℃まで昇温した後、同温度で、2時間、300rpmの条件で撹拌することで、表面がビニル系ポリマー微粒子で被覆されたトナーコア粒子の分散液を得た。
次いで、シェル層の外層の材料である表1に記載の種類のビニル系ポリマーを含む、表2又は3に記載の種類及び量の分散液を、フラスコ内の分散液に添加した。次いで、フラスコの内容物を、300rpmの撹拌速度で撹拌しながら、0.2℃/分の速度で75℃まで昇温させた。75℃まで昇温した後、同温度で、2時間、300rpmの条件で撹拌した。その後、フラスコの内容物を、1℃/分の速度で、25℃まで冷却した後、トナーコア粒子の表面がシェル層で被覆されたトナー母粒子を含む、トナー母粒子分散液を得た。
〔洗浄工程〕
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナーを洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水を用いる同様の洗浄を6回繰り返した。
〔乾燥工程〕
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給して、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥の条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m/分であった。
得られたトナー母粒子は、体積平均粒径(MV)が5.6μmであり、体積平均粒子径(MV)と個数平均粒子径(MN)とから求められる粒子径分布の指標であるMV/MNが1.2であり、球形化度が約0.980であった。トナー母粒子の体積平均粒子径(MV)、及びMV/MNは、粒度分布測定装置(マルチサイザー3(ベックマンコールター社製))を用いて測定され、球形化度はフロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いて測定された。
〔外添工程〕
乾燥工程で得られたトナー母粒子に対して外添処理を行った。具体的には、トナー母粒子100質量部と、外添剤(シリカ、RA200H(日本アエロジル株式会社製))2.0質量部とを、ヘンシェルミキサー(10B(日本コークス株式会社製))を用いて、5分間、撹拌速度40m/秒の条件で混合して外添剤を付着させてトナーを得た。
[比較例1]
シェル層の内層の材料を用いないことの他は、実施例1と同様にして、単層のシェル層でトナーコア粒子が被覆されているトナー粒子を含む比較例1のトナーを得た。
≪評価及び測定≫
実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーを用いて、以下の方法に従って、初期、及び所定の条件で行った連続画像形成試験の後に、評価用画像を形成した。初期及び連続画像形成試験後の評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を測定した。初期、及び連続画像形成試験後のトナーの帯電量を測定した。これらの評価及び測定は、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のプリンター(FS−C5300DN)を用い、10℃20%RH環境下で行った。これらの評価及び測定は、以下の調製例8に従って調製された2成分現像剤を用いて行った。調製した2成分現像剤をプリンターの現像器内に投入し、トナーをプリンターのトナーコンテナに投入した。実施例1〜7、比較例1、及び比較例2のトナーの、画像濃度、及びかぶり画像の評価結果と、トナーの帯電量の測定結果とを、表2及び3に記す。
[調製例8]
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(FS−5300DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)用キャリア)と、キャリアの質量に対して8質量%のトナーとを、ロッキングミキサーを用いて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
<初期のトナーの評価及び測定>
プリンターを用いて、被記録媒体に画像評価パターンを形成して初期の評価用画像を得た。その後、プリンターの現像器内から2成分現像剤の一部を取り出し、以下の方法に従って、初期のトナーの帯電量を測定した。得られた評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を、以下の方法に従って評価した。
(画像濃度及びかぶり濃度の評価方法)
画像濃度は、反射濃度計(RD914(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。かぶり濃度は、評価用画像の白地部の画像濃度を測定してその最大値を求め、白紙部における画像濃度の最大値から、評価用画像を出力する前の白紙の画像濃度を差し引いた値をかぶり濃度とした。画像濃度及びかぶり濃度を、それぞれ以下の基準に従って評価した。◎及び○を合格と判定した。
・画像濃度の判定基準
◎:1.3以上。
○:1.1以上、1.3未満。
×:1.1未満。
・かぶり濃度の判定基準
◎:0.005以下。
○:0.005超、0.008以下。
×:0.008超。
(トナーの帯電量の測定方法)
帯電量の測定は、帯電量測定装置(Q/Mメーター、Model 210HS(TRek社製))を用いて行った。現像剤を約0.10g秤量して測定試料とし、帯電量測定装置の吸引部を用いて測定試料からトナーを吸引した。吸引したトナーの質量[g]と、帯電量測定装置で測定された電荷[C]とから、トナーの帯電量を算出した。
<1万枚連続画像形成試験後のトナーの評価及び測定>
プリンターを用いて、印字率0.2%で、1万枚連続で画像を形成した後に、プリンターの現像器内から2成分現像剤の一部を取り出し、初期のトナーと同様の方法で、1万枚連続で画像を形成した後のトナーの帯電量を測定した。その後、被記録媒体に画像評価パターンを形成して、印字率0.2%で1万枚連続して画像を形成した後の評価用画像を得た。得られた評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を、初期の評価用画像と同様の方法で評価した。
<1千枚連続画像形成試験後のトナーの評価及び測定>
プリンターを用いて、印字率50%で、1千枚連続で画像を形成した後に、プリンターの現像器内から2成分現像剤の一部を取り出し、初期のトナーと同様の方法で、1千枚連続で画像を形成した後のトナーの帯電量を測定した。その後、被記録媒体に画像評価パターンを形成して、印字率50%で1千枚連続して画像を形成した後の評価用画像を得た。得られた評価用画像の画像濃度、及びかぶり濃度を、初期の評価用画像と同様の方法で評価した。
Figure 0006041764
Figure 0006041764
実施例1〜7から、
・結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、トナーであって、
・シェル層が、内層と、外層とからなり、
・内層が負帯電性の樹脂を含み、
・外層が正帯電性の樹脂を含む、
トナーは、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成でき、高印字率で画像を形成する場合に、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できることが分かる。
比較例1及び2から、正帯電性の樹脂からなる単層のシェル層を備えるトナー粒子を含むトナーや、非帯電性の樹脂からなる内層と正帯電性の樹脂からなる外層とからなるシェル層を備えるトナー粒子を含むトナーを用いて、長期にわたり低印字率で画像を形成する場合、所望する画像濃度の画像を形成しにくいことが分かる。トナーコア粒子が、正帯電性の樹脂を含む外層と、負帯電性の樹脂を含む内層とからなるシェル層で被覆されたトナー粒子が、現像器内で長期にわたり撹拌される場合、内層の負帯電性の影響から、正帯電性のトナー粒子の表面の過度の正帯電が抑制されると思われる。比較例1及び2のトナーに含まれるトナー粒子では、負帯電性の樹脂を含む内層が奏するこのような作用が生じないため、長期にわたり画像を形成する場合のトナー粒子の過度の正帯電を抑制しにくいと思われる。

Claims (3)

  1. 結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
    前記トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、正帯電性トナーであって、
    前記シェル層が、内層と、外層とからなり、
    前記内層がアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸を含むモノマーから合成された負帯電性の樹脂を含み、
    前記外層がジエチルアミノエチルメタクリレートを含むモノマーから合成された正帯電性の樹脂を含む、正帯電性トナー。
  2. 前記内層の厚さが80nm以上200nm以下である、請求項1に記載の正帯電性トナー。
  3. 前記外層の厚さが80nm以上200nm以下である、請求項1又は2に記載の正帯電性トナー。
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