JP2014041339A - 静電潜像現像用トナー、及び静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子の全表面を被覆するシェル層と、からなるトナー粒子を含む。トナーコア粒子とシェル層との界面に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を存在する。
【選択図】なし
Description
少なくとも結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子を被覆するシェル層と、からなるトナー粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、
前記トナーコア粒子と前記シェル層との界面に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が存在し、
前記シェル層が(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む、静電潜像現像用トナーに関する。
以下の工程(I)〜(V):
(I):結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、前記微粒子を凝集させて、トナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る工程、
(II):前記水性分散液(B)と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む微粒子を含有する水性分散液(C)とを混合して、前記トナーコア粒子と、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子とを含む水性分散液(D)を得る工程、
(III):前記水性分散液(D)を加熱して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る工程、
(IV):前記水性分散液(E)と、(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂からなる樹脂微粒子を含有する水性分散液(F)とを混合して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子と、前記樹脂微粒子とを含む、水性分散液(G)を得る工程、
(V):前記水性分散液(G)を加熱して、前記トナーコア粒子の表面にシェル層を形成し、トナー粒子を得る工程、
を含む、第一の態様の静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。
本発明の第1実施形態は、静電潜像現像用トナー(以下、トナーともいう)に関する。第1実施形態に係る静電潜像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子の全表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む。トナーコア粒子とシェル層との界面には、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が存在する。なお、本発明のトナーは、トナー粒子のみによって構成されてもよく、トナー粒子と、トナー粒子の他の成分とから構成されてもよい。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコア粒子とトナーコア粒子を被覆するシェル層とから構成される。トナーコア粒子は、結着樹脂を必須に含む。トナーコア粒子は、必要に応じて、結着樹脂中に、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分を含んでいてもよい。以下、トナーコア粒子について、必須、又は任意の成分である、結着樹脂、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉について順に説明する。
トナーコア粒子に含まれる結着樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として使用されている樹脂から適宜選択し得る。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含むのが好ましい。ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナーコア粒子を用いてトナーを調製する場合、低温定着性及び発色性に優れるトナー粒子を含むトナーを調製しやすい。結着樹脂として使用されるポリエステル樹脂は、従来よりトナー用の結着樹脂として使用されているポリエステル樹脂から適宜選択できる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合ないし共縮重合して得られるものを使用することができる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下の2価又は3価以上のアルコール成分や2価又は3価以上のカルボン酸成分が挙げられる。
高架式フローテスター(CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点の測定を行う。具体的には、以下のようにして結着樹脂の軟化点を測定する。結着樹脂1.5gを試料として用いる。高さが1.0mmで直径1.0mmのダイを使用する。昇温速度4℃/min、予熱時間300秒、荷重5kg、測定温度範囲60℃以上200℃以下の条件で測定を行う。結着樹脂の試料をフローテスターで測定して得られる、温度(℃)とストローク(mm)とに関するS字カーブから、軟化点を読み取る。
トナーコア粒子は、必要に応じて離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、トナーの用紙に対する定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。適量の離型剤をトナーコア粒子に添加することによって、形成画像にオフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)が発生することを効率的に抑制できるトナーを得やすい。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
トナーコア粒子は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。トナーコア粒子に配合される着色剤は、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーコア粒子に配合することができる好適な着色剤の具体例としては以下のような着色剤が挙げられる。
トナーコア粒子は、必要に応じて、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナー粒子の帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナー粒子を帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナー粒子を含むトナーを得る目的で使用される。トナー粒子を正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナー粒子を負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
トナーコア粒子は、必要に応じて、磁性粉を含んでいてもよい。好適な磁性粉の例としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコア粒子の表面が、シェル層によって被覆されている。シェル層の材質は、(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む。これらの樹脂は、その構造中にカルボニル基を有する。このため、シェル層に含まれる(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂が有するカルボニル基と、トナーコア粒子とシェル層の間に存在するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基との間で、水素結合が形成される。このため、第1実施形態のトナーに含まれるトナー粒子では、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を介して、トナーコア粒子とシェル層とが強固に結合される。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。以下、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂について説明する。
シェル層を構成する樹脂として使用される(メタ)アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーを重合して得られる樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の調製に使用される(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びプロピル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジアリール(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
シェル層を構成する樹脂として使用されるスチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、少なくとも、スチレン系モノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、トナーコア粒子とシェル層との界面に存在する。保存安定性に優れ、長期間にわたって機械的ストレスを受けても破砕されにくいトナー粒子を含むトナーを得やすいことから、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の不飽和カルボン酸に由来する単位の含有量は、6質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。
第1実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じてその表面を外添剤によって処理されていてもよい。外添剤は、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。これらの外添剤は、アミノシランカップリング剤やシリコーンオイルのような疎水化剤を用いて疎水化されていてもよい。疎水化された外添剤を用いる場合、高温高湿下でのトナー粒子の帯電量の低下を抑制しやすく、また、流動性に優れるトナー粒子を含むトナーを得やすい。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
本発明の第2実施形態に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、
以下の工程(I)〜(V):
(I)結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、微粒子を凝集させて、トナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る工程、
(II)水性分散液(B)と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む微粒子を含有する水性分散液(C)とを混合して、前記トナーコア粒子と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子とを含む水性分散液(D)を得る工程、
(III)水性分散液(D)を加熱して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る工程、
(IV)水性分散液(E)と、(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂からなる樹脂微粒子を含有する水性分散液(F)とを混合して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性分散液(G)を得る工程、
(V)水性分散液(G)を加熱して、トナーコア粒子の表面にシェル層を形成し、トナー粒子を得る工程、
を含む。
(VI):トナー粒子を洗浄する、洗浄工程。
(VII):トナー粒子を乾燥する、乾燥工程。
(VIII):トナー粒子(トナー母粒子)の表面に外添剤を付着させる、外添工程。
工程(I)では、結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下で、微粒子を凝集させて、トナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る。以下、結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液(A)の調製方法と、微粒子の凝集方法とについて説明する。
結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液(A)の調製方法は特に限定されない。結着樹脂を含む微粒子は、結着樹脂の微粒子、又は、結着樹脂と、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような任意成分とを含む結着樹脂組成物の微粒子の何れであってもよい。通常、結着樹脂を含む微粒子は、水性媒体中で、結着樹脂又は結着樹脂と着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような任意成分とを含む組成物を所望のサイズに微粒子化することで、微粒子を含有する水性分散液として調製される。
まず、結着樹脂を、カッターミル、フェザーミル、及びジェットミルのような粉砕装置を用いて、好ましくは30μm以下に粗粉砕する。粗粉砕品を、イオン交換水のような水性媒体に分散させた分散液を、フローテスターで測定される結着樹脂の軟化点より10℃以上高い温度(最高でも200℃程度までの温度)に加熱する。加熱された結着樹脂を含む分散液に、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機によって強い剪断力を与えることで、結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液が得られる。
離型剤を予め100μm以下程度に粗粉砕しておく。離型剤の粗粉砕品を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを得る。得られるスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。離型剤を含む微粒子の調製には、結着樹脂を含む微粒子の調製に使用される界面活性剤と同様の界面活性剤を使用できる。加熱されたスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、離型剤を含む微粒子を含有する水性分散液を調製する。
界面活性剤を含む水性媒体中で、着色剤と、必要に応じて界面活性剤のような着色剤用の添加剤とを、公知の分散機を用いて分散処理することによって、着色剤を含む微粒子が得られる。界面活性剤として、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤の何れも使用できる。界面活性剤の使用量は、臨界ミセル濃度(CMC)以上が好ましい。
上記方法を用いて調製される微粒子を、トナーコア粒子に所定の成分が含まれるように適宜組み合わせて、凝集粒子であるトナーコア粒子を形成させる。微粒子を凝集させる好適な方法としては、微粒子を含有する水性分散液に、凝集剤を添加する方法が挙げられる。
工程(II)では、工程(I)で得られた水性分散液(B)と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子を含む水性分散液(C)とを混合して、トナーコア粒子と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子とを含む水性分散液(D)を得る。以下、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む微粒子を含有する水性分散液(C)の好適な調製方法について説明する。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む微粒子を含有する水性分散液(C)は、撹拌装置、温度計及びヒーターを備える密閉可能な反応容器中で、水性媒体と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の粉砕品と、中和剤と、有機溶剤とを、加熱下で撹拌・混合して得られる。
工程(III)では、工程(II)で得られた水性分散液(D)を加熱して、表面にエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る。水性分散液(D)を加熱する温度は、40℃以上90℃以下が好ましい。このような範囲の温度で水性分散液(D)を加熱することで、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子をトナーコア粒子の表面に均一に付着させることができる。
工程(IV)では、工程(III)で得られた水性分散液(E)と、シェル層を形成するための(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂からなる樹脂微粒子を含有する水性分散液(F)とを混合して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子と、樹脂微粒子と、を含む水性分散液(G)を得る。
工程(V)では、工程(IV)で得られる水性分散液(G)を加熱することで、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子の表面にシェル層を形成して、トナー母粒子の水性分散液を得る。トナーコア粒子の表面にシェル層を形成するために、まず、水性分散液(G)に、凝集剤を添加して、シェル層を形成するための樹脂微粒子層とトナーコア粒子との間に、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が存在するように、トナーコア粒子の表面に樹脂微粒子を凝集させて、樹脂微粒子層を形成させるのが好ましい。凝集材の例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムが挙げられる。そして、樹脂微粒子によるトナーコア粒子の表面の被覆が所望の程度進行した後、凝集停止剤を水性分散液(G)に添加するのが好ましい。凝集停止剤の例としては、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。以上の工程により、トナーコア粒子をシェル層で被覆したトナー母粒子を含む水性分散液(G)を得ることができる。
(VI)洗浄工程では、必要に応じて、工程(V)で得られる水性分散液(G)に含まれるトナー母粒子が水を用いて洗浄される。洗浄方法としては、トナー母粒子を含む水性分散液(G)を固液分離してトナー母粒子をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを水で洗浄する方法や、トナー母粒子を含む水性分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
工程(V)で得られた水性分散液(G)に含まれるトナー母粒子は、必要に応じて、(VII)乾燥工程を経て乾燥される。トナー母粒子を乾燥する好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子を含む水性分散液(G)と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
本発明の方法を用いて製造される静電潜像現像用トナーに含まれるトナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。工程(VIII)では、シェル層で被覆されたトナーコア粒子をトナー母粒子として用い、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないように条件を調整して、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
(着色樹脂微粒子含有水性分散液の調製)
以下の方法に従って、結着樹脂と着色剤とを含む着色樹脂微粒子を含有する水性分散液を調製した。
単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=25/25/46/4(モル比率)
数平均分子量(Mn):2500
質量平均分子量(Mw):6500
分子量分布(Mw/Mn):2.6
軟化点(Tm):91℃
ガラス転移点(Tg):51℃
酸価:15.5mgKOH/g
(離型剤微粒子含有水性分散液の調製)
以下の方法に従って、離型剤微粒子を含む水性分散液を調製した。
離型剤(WEP−5、ペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス、溶融温度84℃、(日本油脂株式会社製))200g、アニオン系界面活性剤(エマールE27C(花王株式会社製))2g、及びイオン交換水800gを混合した。得られた混合物を、100℃に加熱し離型剤を溶融させた。溶融した離型剤を含む混合物を、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて5分間乳化した。次いで、高圧式ホモジナイザー(ナノマイザーNV−200(吉田機械興業株式会社製))を用いて、100℃で、2度目の乳化処理を行った。このようにして、平均粒子径が150nmである離型剤微粒子を含む、固形分濃度が20質量%の水性分散液(W−1)を得た。
(エチレン−アクリル酸共重合体微粒子含有水性分散液a〜fの調製)
撹拌羽根を備える撹拌装置、温度計及びヒーターを備える、密閉可能な、容量1Lの耐圧ガラス製容器に、表1に示す銘柄のエチレン−アクリル酸共重合体(何れも三井・デュポンポリケミカル株式会社製)50g、n−プロパノール175g、トリエチルアミン17.6g、及び蒸留水257.4gを投入した。耐圧ガラス製容器を密閉した後、容器内の内容物を、回転速度400rpmで1時間、撹拌装置を用いて撹拌した。次いで、回転速度400rpmで撹拌したまま、容器内の内容物を170℃まで加熱した。加熱後、さらに60分間、同温度で容器の内容物を撹拌した。その後、回転速度400rpmで撹拌装置を用いて、容器の内容物を撹拌しながら、1時間かけて容器の内容物の温度を80℃まで冷却した。次いで、ガラス製容器の下半分を水に浸して容器の内容物を冷却し、容器内の温度が35℃に達した後、撹拌を停止した。ガラス容器内の内容物を、ステンレス製フィルター(460メッシュ)を用いて濾過して、固形分濃度が20質量%である、エチレン−アクリル酸共重合体微粒子を含む水性分散液を得た。水性分散液に含まれる微粒子の平均粒子径は150nmであった。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子含有水性分散液g、及びhの調製)
エチレン−アクリル酸共重合体に変えて、表2に示す銘柄のエチレン−酢酸ビニル共重合体(何れも三井・デュポンポリケミカル株式会社製)を用いる他は、調製例3と同様にして、微粒子の平均粒子径が150nmのエチレン−酢酸ビニル共重合体の微粒子を含む、固形分濃度20質量%の水性分散液を得た。エチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子分散液の調製に用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体の、メルトフローレート(MFR)と、軟化点と、融点とを表2に記す。なお、表2に記載のMFR、軟化点、及び融点は、エチレン−アクリル酸共重合体の場合と同様にして測定された値である。
(樹脂微粒子含有水性分散液の調製)
酢酸エチル100gに、帯電制御樹脂(FCA−207P(藤倉化成株式会社製)、スチレン−アクリル系樹脂、質量平均分子量26,800、ガラス転移点58℃)100gを、80℃で溶解させて、電荷制御樹脂の酢酸エチル溶液を得た。
次いで、温度計、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応容器(セパラブルフラスコ)に、イオン交換水1000gと、ノニオン系界面活性剤(ナロアクティー N200(三洋化成工業株式会社製))2.36gとを仕込んだ。反応容器をマントルヒーター上に置き、ガラス製窒素導入管より窒素ガスを反応容器内に導入して、反応容器内を不活性雰囲気とした。次いで、反応容器内の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を80℃に昇温した。その後、反応容器内の内容物を撹拌しながら、電荷制御樹脂の酢酸エチル溶液を反応容器内に加えた。反応容器内の内容物を、乳化分散機(クレアミックス(エムテクニック株式会社製))に投入して、速度20,000rpmで、30分間乳化処理を行い、平均粒子径が220nmの樹脂微粒子を含む水性分散液(S−1)を得た。なお、樹脂微粒子を含む水性分散液(S−1)のpHは、5N−水酸化ナトリウム水溶液を用いて8に調整された。
(疎水性シリカの調製)
BET比表面積50m2/g、個数平均粒子径30nmのシリカ微粒子(Aerosil 50(日本アエロジル株式会社製))100gをトルエン600gに分散させた。シリカ微粒子のトルエン中の分散液に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン7.3gを添加した後、撹拌装置(スリーワンモーター EP1800(新東科学株式会社製))を用いて、速度300rpmで、分散液を15分間撹拌・混合した。次いで、トリフルオロプロピルトリメトキシシランを分散液に添加した後、分散液を15分間撹拌・混合した。シランを用いる処理で疎水化されたシリカを含む分散液を、ロータリーエバポレーター(RE801(ヤマト科学株式会社製))を用いて、減圧下で加熱して、分散液から溶媒を留去して、減量しなくなるまで乾燥固化させた。その後、真空乾燥機(DP63P(ヤマト科学株式会社製))を用いて乾燥して、シリカの粗粉体を得た。シリカの粗粉体をワーリングブレンダー(7012S型(大阪ケミカル株式会社製))を用いて解砕してバグフィルターで捕集し、疎水性シリカを得た。
(工程(I):凝集工程)
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコ容器に、着色樹脂微粒子を含む水性分散液(P−1)450gと、離型剤微粒子を含む水性分散液(W−1)50gとを入れ、これらを25℃で混合した。次いで、フラスコの内容物を、撹拌羽根を用いて速度100rpmで撹拌した状態で、1N−水酸化ナトリウム水溶液をフラスコ内に加えて、混合液のpHを11に調整した。その後、フラスコの内容物を25℃で10分間撹拌した後、凝集剤(濃度50質量%の塩化マグネシウム水溶液)17gを5分間かけて、フラスコ内に添加した。凝集剤添加後、フラスコ内温を、0.2℃/分の昇温速度で40℃まで上げ、同温度で、30分間、フラスコの内容物を撹拌して、着色樹脂微粒子と離型剤微粒子とを凝集させた。その後、濃度20質量%の塩化ナトリウム水容液50gを、フラスコ内に一度に添加して、微粒子の凝集を停止させて、凝集粒子であるトナーコア粒子を含む水性分散液を得た。
工程(I)で得たトナーコア粒子を含む水性分散液を、速度100rpmで撹拌した状態で、表3に記載の種類のエチレン−アクリル酸共重合体微粒子を含む水性分散液、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子を含む水性分散液50gをフラスコ内に添加して、エチレン−アクリル酸共重合体微粒子、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子と、トナーコア粒子とを含む水性分散液を得た。
次いで、フラスコの内温を、75℃まで上げた後、同温度で、水性分散液を速度100rpmで撹拌した状態で、フラスコ内の内容物の温度を2時間同じ温度に保持して、表面にエチレン−アクリル酸共重合体微粒子、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子が付着しているトナーコア粒子を含む水性分散液を得た。
工程(III)で得た水性分散液を、固形分含有量が50.5gである調製例5で得た樹脂微粒子を含む水性分散液(S−1)を含むフラスコ内に添加して、表面にエチレン−アクリル酸共重合体微粒子、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子が付着したトナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む水性分散液を得た。
工程(IV)で得た、表面にエチレン−アクリル酸共重合体微粒子、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体微粒子が付着したトナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む水性分散液に、凝集剤として塩化マグネシウムを添加して溶解させた。次いで、水性分散液を、速度100rpmで撹拌した状態で、フラスコの内温を1℃/分の速度で60℃まで昇温させて、トナーコア粒子を樹脂微粒子で被覆した。その後、塩化ナトリウム71.5gをイオン交換水288gに溶解させた塩化ナトリウム水溶液をフラスコ内に添加した。次いで、フラスコの内温を、1℃/分の昇温速度で95℃まで上げた後、同温度で2時間、フラスコ内の水性分散液を撹拌して、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子層を膜化させてシェル層を形成した。シェル層形成後、フラスコの内温を、10℃/分の速度で25℃まで下げた。次いで、塩酸をフラスコ内に添加して、フラスコ内の水性分散液のpHを2に調整して、トナー母粒子を含む水性分散液を得た。微粒子(トナー母粒子)の平均粒子径は5.5μmであり、球形化度は0.978であった。
トナー母粒子を含む水性分散液を吸引ろ過して、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。次いで、ウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。同様の操作を計5回繰り返してトナー母粒子を洗浄した後、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))を用いて乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥の条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
得られたトナー母粒子100gと、調製例6で得た疎水性シリカ1gとを、ヘンシェルミキサー(三井三池工業株式会社製,容量5L)を用いて5分間混合した。得られた混合物を篩(#300メッシュ、目開き48μm)を用いて篩別し、篩を通過した粉体を回収して、実施例1〜6、及び比較例1〜3のトナー粒子(トナー)を得た。
実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られたトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜6、及び比較例1〜3のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表3に記す。
トナー10gを、60℃に設定された恒温器内に8時間静置した。その後、目開き45μmの篩に恒温器内に静置されたトナー10gを載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、振幅1mmの条件で篩に振動を60秒間与えてトナーの篩別を行った。篩別後、目開き45μmの篩に残ったトナーの質量(T(g))を秤量し、下記式に従ってトナーの凝集度を算出した。
トナーの凝集度(%)=(T/10)×100
耐熱保存性を、下記の基準に従って評価した。
◎:トナーの凝集度が10%未満。
○:トナーの凝集度が10%以上20%未満。
×:トナーの凝集度が20%以上。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたトナーについて、以下の方法に従って、低温定着性の評価、及び長期間にわたるストレスに起因するトナーの破砕が抑制されるか否かの指標となる耐ストレス性の評価を行った。低温定着性、及び耐ストレス性の評価には、定着温度を調節可能なようにに改造したカラープリンター(FS−C5400N(京セラミタ株式会社製)の定着器の定着温度を定着試験用の温度範囲で調節可能に改造したカラープリンター)を用いた。被記録媒体として普通紙を用いた。低温定着性、及び耐ストレス性の評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜6、及び比較例1〜3のトナーの評価結果を、表3に記す。
(キャリアの調製)
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe2O3換算で49.6mol%、SrO換算で0.8mol%になるように各原材料を配合し、原材料に水を加えた。次いで、湿式ボールミルを用いて、10時間かけて、水を含む原材料を粉砕・混合した。得られた混合物を乾燥した後、混合物の温度を950℃に昇温し同温度で4時間保持した。次いで、混合物を冷却後、湿式ボールミルで24時間かけて粉砕してスラリーを調製した。スラリーを造粒乾燥して造粒物を得た後、造粒物の温度を、酸素濃度2%の雰囲気中で1270℃にに昇温し同温度で6時間保持した後、冷却、解砕、粒度調整を行い、マンガン系フェライト粒子(キャリア芯材)を得た。得られたマンガン系フェライト粒子は、平均粒子径が35μmであり、印加磁場が3000(103/4π・A/m)の時の飽和磁化が70Am2/kgであった。
得られた樹脂被覆フェライトキャリアと、実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたそれぞれのトナーとを、2成分現像剤中のトナー濃度が10質量%となるように混合して、2成分現像剤を調製した。
カラープリンターの現像部に2成分現像剤をインストールし、トナーカートリッジにトナーを充填した後に、カラープリンターを用いて被記録媒体上にトナー載り量が0.5mg/cm2である未定着画像を形成した。次いで、定着温度を80℃以上180℃以下の範囲で変化させて定着を行ない、オフセットが発生しない最低定着温度を測定した。低温定着性を、下記の基準に従って評価した。◎、又は○の評価を合格とする。
◎:最低定着温度が110℃以下。
○:最低定着温度が110℃超、120℃未満。
×:最低定着温度が120℃以上。
カラープリンターを用いて、23℃50%RHの環境下で、1,000枚連続して白紙画像の形成を行った。その後、現像部からトナー粒子(トナー)を取り出して、反射型電子顕微鏡を用い、倍率1,000倍でトナーを観察した。反射型電子顕微鏡を用いて観察されるトナー粒子500個について、視野を変えて5回観察し、破砕されたトナー粒子の個数を測定した。耐ストレス性を、下記の基準に従って評価した。
◎:破砕されたトナー粒子が観察されなかった。
○:破砕されたトナー粒子が少量観察された。
×:破砕されたトナー粒子が多量に観察された。
低温定着性、耐ストレス性、及び耐熱保存性の判定結果から、実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたトナーの特性の総合評価を行った。低温定着性、耐ストレス性、及び耐熱保存性の判定が何れも◎又は○であるトナーの総合評価を○とした。低温定着性、耐ストレス性、及び耐熱保存性の判定の少なくとも1つが×であるトナーの総合評価を×とした。
Claims (4)
- 少なくとも結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子を被覆するシェル層と、からなるトナー粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、
前記トナーコア粒子と前記シェル層との界面に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が存在し、
前記シェル層が(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む、静電潜像現像用トナー。 - 前記不飽和カルボン酸が、(メタ)アクリル酸である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の、190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレートが100g/10分以上500g/10分以下である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 以下の工程(I)〜(V):
(I):結着樹脂を含む微粒子を含有する水性分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、前記微粒子を凝集させて、トナーコア粒子を含む水性分散液(B)を得る工程、
(II):前記水性分散液(B)と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む微粒子を含有する水性分散液(C)とを混合して、前記トナーコア粒子と、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子とを含む水性分散液(D)を得る工程、
(III):前記水性分散液(D)を加熱して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子を含む水性分散液(E)を得る工程、
(IV):前記水性分散液(E)と、(メタ)アクリル系樹脂、及び/又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂からなる樹脂微粒子を含有する水性分散液(F)とを混合して、表面に前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の微粒子が付着したトナーコア粒子と、前記樹脂微粒子とを含む、水性分散液(G)を得る工程、
(V):前記水性分散液(G)を加熱して、前記トナーコア粒子の表面にシェル層を形成する工程、
を含む静電潜像現像用トナーの製造方法。
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