JPH10186716A - 熱定着用トナー組成物及び画像形成方法 - Google Patents

熱定着用トナー組成物及び画像形成方法

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Publication number
JPH10186716A
JPH10186716A JP34926196A JP34926196A JPH10186716A JP H10186716 A JPH10186716 A JP H10186716A JP 34926196 A JP34926196 A JP 34926196A JP 34926196 A JP34926196 A JP 34926196A JP H10186716 A JPH10186716 A JP H10186716A
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JP
Japan
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toner
fixing
resin
temperature
binder resin
Prior art date
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Pending
Application number
JP34926196A
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English (en)
Inventor
Izuru Matsui
出 松井
Kazufumi Tomita
和史 冨田
Tetsuya Fujita
徹也 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温で定着し、定着工程のエネルギー消費を
低減でき、また定着機にオフセットし難く、定着ラチチ
ュードの広いトナー組成物およびそれを用いた画像形成
方法を提供する。 【解決手段】 熱定着用トナー組成物は、結着樹脂と着
色剤とを含有するトナー粒子を含むものであって、結着
樹脂が、常温での硬さがデュロメーターD硬さ20以
上、融点が40℃〜120℃であり、溶融粘度102
a・s〜106 Pa・sの範囲にゴム状領域を有し、
0.1モル%〜5モル%のカルボキシル基またはその塩
よりなる基を含有する結晶性樹脂を主成分とする。この
熱定着用トナー組成物は、電子写真法による画像形成に
使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電潜像や磁気的
潜像の現像に用いられる熱定着用トナー組成物、および
この熱定着用トナー組成物を用いる画像形成方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】静電潜像や磁気的潜像をトナーを用い現
像した後、紙等の転写体に転写し定着することにより、
複写物やプリントを得る方法は種々知られている。トナ
ーは結着樹脂と着色剤を必須成分とする粉体であって、
必要な材料を混練し、冷却した後粉砕する、いわゆる混
練粉砕法や、着色剤等の存在下で結着樹脂を微粒子状に
重合する重合法等により作製され得るが、従来では混練
粉砕法が一般的なものである。トナー粒子に良好な帯電
性や流動性、転写性等を付与するために有機または無機
の微粒子よりなる、いわゆる外添剤を混合することがし
ばしば行われている。
【0003】静電潜像を現像する場合、トナーは一般に
現像機部材やキャリアとの間の帯電により電荷を得、そ
の電荷により潜像保持体上の潜像を現像する。磁気的潜
像の場合は、トナーの磁力を利用する。現像されたトナ
ー像は、紙等の転写体に転写され、さらに転写体に定着
される。定着法としては種々の方法が知られている。す
なわち、熱、光、圧力、溶剤等およびこれらの種々の組
み合わせを使用する定着技術である。このなかで、加熱
ロールおよび加圧ロールとからなる一対のロール間に、
トナー像を有する転写体を挿入し、定着する熱ロール定
着法が一般的なものである。また、同種の技術として、
ロールの一方または両方をベルトに変更することも知ら
れている。
【0004】これらの方法は、他の定着法に比べ、高速
で堅牢な定着像が得られ、エネルギー効率が高く、また
溶剤等の揮発による環境への害が少ない。しかしなが
ら、トナー像がロールやベルトに直接接触するために、
定着時にトナーの一部がロールやベルトに付着する、い
わゆるオフセットが発生しやすい。特に、定着機の温度
が高い場合、溶融トナーの凝集力が低下してオフセット
が発生しやすいという問題点を有している。
【0005】また、電源を入れてから定着機の温度が使
用温度にまで素早く高まり、待ち時間を短くするととも
に、エネルギー使用量を少なくするために、より低温で
定着することが望まれている。特に、近年では省エネル
ギーを徹底するために、使用時以外は定着機への通電を
停止することが望まれており、定着機温度は通電ととも
に瞬時に使用温度にまで高められる必要がある。そのた
めに、定着機の熱容量をできる限り小さくするのが望ま
しいが、その場合、定着機温度の振れ幅は従来以上に大
きくなる傾向にある。すなわち、通電開始後の温度のオ
ーバーシュートが大きくなり、他方、通紙による温度低
下も大きくなる。また、定着機幅より幅の小さい紙を連
続して通した場合の通紙部と非通紙部の温度差も大きな
ものとなる。特に高速の複写機やプリンターに用いる場
合、電源容量が不足しがちなこともあり、上記の傾向が
強い。したがって、低温で定着し、より高温領域までオ
フセットが発生しない、いわゆる定着ラチチュードの広
いトナーが望まれている。
【0006】定着温度を低くし、オフセット現象の発生
を防止するために、低分子量重合体と高分子量重合体を
ブレンドして、適当な分子量分布を持つ樹脂をトナーの
結着樹脂として用いることが知られており(特開昭50
−134652号公報)、また、架橋された樹脂を用い
ることも知られている(特開昭51−23354号公
報)。しかしながら、これらの方法では、近年の要求を
満たすだけ十分広い定着ラチチュードを得ることはでき
ない。高分子量重合体や架橋重合体を多量に用いること
により、オフセットは起こり難くなるが、定着温度が上
昇する。一方、定着温度を下げるために低分子量重合体
の分子量を下げたり、量を多くするとオフセットの発生
する温度が低下する。また、結着樹脂のガラス転移温度
を下げたり、或いは可塑剤を用いることによっても定着
温度を低下させることはできるが、トナーが保存時に或
いは現像機内で凝集固結する、いわゆるブロッキングと
いわれる現象が発生する。
【0007】定着温度を低くし、オフセット現象を防止
する他の方法として、結晶性重合体を使用することが知
られている(特公昭57−36586号公報、特開平2
−79049号公報)。結晶の融解温度以下ではトナー
の硬さが保持され、結晶の融解とともに粘度が急激に低
下することにより、低温定着がはかられる。また、高い
分子量とすることによってオフセットの発生も防止でき
る。しかしながら、結晶性重合体が軟質であるために、
ブロッキングが起こり易く、さらにトナーの一部が現像
機部材、キャリア或いは潜像保持体に付着する現象、す
なわちフィルミング現象が発生し易い。また、特に高速
で複写或いはプリントを行う場合、現像機部材やキャリ
アから受ける圧力或いは剪断力により、トナー粒子が次
第に変形し、或いは外添剤がトナー粒子表面に埋め込ま
れることによって安定した現像特性を得ることができな
い。また、トナーの粉体としての流動性が悪いために、
トナーとキャリアの混合が不十分になり、帯電不良にな
るという現象が発生する。特開昭63−116166号
公報には、融点に差のある結晶ブロックを有する結晶性
樹脂と離型剤を併用することにより、上記のいくつかの
問題が解決できることが記載されている。特に離型剤に
より、結晶性樹脂の軟質な性質を抑制できるとされてい
るが、問題を根本的に解決するまでには至っていない。
【0008】これらの問題を解決するものとして、結晶
性重合体を結着樹脂として単独で用いるのではなく、非
晶性重合体と併用する技術が数多く提案されている。ま
た、混練粉砕法でトナーを作製する場合、非晶性部分の
存在により、粉砕が容易となることも知られている。例
えば、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーを併用すること
が特開平2−79860号公報等に記載され、結晶性重
合体と非晶性重合体を化学的に結合した重合体に関し
て、特開平1−163756号公報、特開平1−163
757号公報、特開平4−81770号公報、特開平4
−155351号公報等に記載がある。
【0009】しかしながら、これらの方法は多少の効果
はあるものの、結晶性樹脂の低温定着性を維持したま
ま、結晶性樹脂が軟質であることに起因する問題を十分
改善するものではない。結晶性重合体が非晶性重合体よ
り多い場合は、基本的に結晶性重合体が結着樹脂中で連
続相をなし、非晶性重合体が分散相をなす。その場合、
低温定着性は達成できるものの、結晶性重合体がトナー
粒子表面に露出するために、軟質であることにより生じ
る問題は十分に改善されない。一方、非晶性重合体が結
晶性重合体より多い場合には、非晶性重合体が連続相に
なり、結晶性重合体が分散相となる。この場合、結晶性
重合体は非晶性重合体に覆われているので、結晶性重合
体による問題は現れないが、一方、トナー全体の溶融は
非晶性重合体の軟化温度に支配されるので、低温定着性
にはならない。
【0010】特開昭63−174061号公報、特開昭
63−174062号公報、特開昭63−174063
号公報には、イソシアネートを用いた樹脂、分子内に−
NHCO−の原子団を含む樹脂、アミドワックスの形
の、低分子量で凝集エネルギーの強い結晶性樹脂を用い
ることが記載されている。本発明者等の検討によると、
これらの場合、低温定着は達成されるものの、耐オフセ
ット性は必ずしも十分ではない。すなわち、溶融したト
ナーが紙に浸透することにより、オフセットの発生を防
止する効果はあるが、均一な高濃度の画像が得られない
という問題が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の上記
のような実情に鑑み、その問題点を解決することを目的
としてなされたものである。すなわち、本発明の目的
は、低温で定着し、定着工程のエネルギー消費を低減で
き、また定着機に対してオフセットが発生し難く、定着
ラチチュードの広い熱定着用トナー組成物を提供するこ
とにある。さらに本発明の目的は、保存中や現像機内で
使用中にブロッキングが発生し難く、流動性がよく、キ
ャリアとの混合がよく、帯電性に優れ、現像機部材、キ
ャリアおよび潜像保持体に対してフィルミング等の問題
を引き起こすことのない熱定着用トナー組成物を提供す
ることにある。さらに本発明の他の目的は、現像機やキ
ャリアから受ける圧力や剪断力により変形を受けず、外
添剤の埋まり込みによる特性変化がなく、安定した現像
特性を示す熱定着用トナー組成物を提供することにあ
る。さらに本発明の他の目的は、上記した特性を有する
熱定着用トナー組成物を用いて画像を形成する画像形成
方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、次
の構成を有する熱定着用トナー組成物を使用することに
よって達成される。すなわち、本発明の熱定着用トナー
組成物は、結着樹脂と着色剤とからなるものであって、
該結着樹脂が、常温での硬さがデュロメーターD硬さ2
0以上、融点が40℃〜120℃であり、溶融粘度10
2 Pa・s〜106 Pa・sの範囲にゴム状領域を有
し、0.1モル%〜5モル%のカルボキシル基またはそ
の塩よりなる基を含有する結晶性樹脂を主成分としてな
ることを特徴とする。さらに、トナー粒子が表面層を有
する場合には、さらに良好な効果を得られるので好まし
い。
【0013】また、本発明の画像形成方法は、潜像保持
体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像を現像剤
担持体上に担持された現像剤を用いて現像する工程と、
前記潜像保持体上に形成されたトナー像を転写体上に転
写する工程と、該転写体上にトナー像を熱定着する工程
とを有するものであって、現像剤として、結着樹脂と着
色剤とを含有するものであって、その結着樹脂が、常温
での硬さがデュロメーターD硬さ20以上、融点が40
℃〜120℃、溶融粘度が102 Pa・s〜106 Pa
・sの範囲にゴム状領域を有し、0.1モル%〜5モル
%のカルボキシル基またはその塩よりなる基を含有する
結晶性樹脂を主成分とする熱定着用トナー組成物を使用
することを特徴とする。その場合、トナーが表面層を有
するものである場合にさらに良好な効果を得られるので
好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、熱定着用トナー
組成物の構成成分である結着樹脂は、その主成分が0.
1モル%〜5モル%のカルボキシル基またはその塩より
なる基を含み、かつ上記特定の特性を有する結晶性樹脂
であることが必要である。結晶性樹脂が結着樹脂中の主
成分であるということは、トナーの溶融粘弾性特性が結
晶性樹脂の特性に支配されることを意味する。すなわ
ち、主成分とは、具体的には、表面層および離型剤を含
む全結着樹脂中で、本発明における上記結晶性樹脂が重
量において60%以上を占めることを意味する。全結着
性樹脂の中の結晶性樹脂が60重量%よりも少ない場合
は、結晶性樹脂が結着樹脂中で連続相を形成しないか、
或いは表面層成分が多すぎることにより、実質上十分に
低温定着を達成することができない。
【0015】本発明に用いる結晶性樹脂は常温で十分な
硬さを有している必要がある。具体的には、デュロメー
ターD硬さが20以上であることが必要であり、30以
上であることが望ましい。デュロメーターD硬さが20
未満の場合には、現像機内でキャリアと混合された際
に、キャリアから受ける圧力や剪断力によりトナー粒子
が変形し、安定な帯電現像特性を維持することができな
い。また、潜像保持体上のトナーがクリーニングされる
際に、クリーニングブレードから受ける剪断力によって
変形し、クリーニング不良が発生する。デュロメーター
D硬さが30以上である場合には、高速機で用いてもさ
らに特性が安定するので好ましい。なお、デュロメータ
ーD硬さはJIS K7215−1986に従い、21
℃〜25℃の範囲で測定した値である。本発明におい
て、上記結晶性樹脂以外にトナーに含まれる材料の硬さ
は、デュロメーターD硬さ20以下であってもかまわな
いが、トナー全体の硬さがデュロメーターD硬さ20以
上になるのが望ましい。
【0016】本発明に用いる上記結晶性樹脂の融点は、
40℃〜120℃の範囲であることが必要であり、好ま
しくは60℃〜90℃の範囲である。結晶性樹脂は融点
を境にして急激に粘度低下するために、それ以上の温度
で保存されるとブロッキングを起こしてしまう。したが
って、保存時や使用時にさらされる温度、すなわち40
℃以上の融点を有することが必要であり、60℃以上の
融点を有することが好ましい。また、一方、融点が12
0℃よりも高すぎると低温定着を達成することができな
い。融点の測定はJIS K−7121に示す入力補償
示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることが
できる。なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示
す場合があるが、最大のピークをもって融点とみなす。
【0017】本発明に用いる結晶性樹脂は、溶融粘度が
102 Pa・s〜106 Pa・sの範囲にゴム状領域を
有することが必要であり、望ましくは103 〜105
a・sの範囲にゴム状領域、すなわち粘度の温度依存が
ゆるやかになる領域が存在すればよい。それによりオフ
セットの発生を防ぐことができる。「粘度の温度依存が
ゆるやかになる」とは、結晶の融解に伴い温度とともに
低下する粘度が変極点を持ち、粘度の温度依存性がより
低くなることを意味する。図1は、結晶性樹脂の特性図
であり、温度と共にほぼ直線的に粘度が低下するゴム状
領域は、図中、a〜bに示す領域であり、溶融粘度が1
2 〜106 Pa・s、望ましくは103 〜105 Pa
・sの範囲にある。その傾き〔log粘度(Pa・s)
/温度(℃)〕は、図中、直線c〜直線dの傾きの範囲
内にあり、ゼロ(図中、cの傾き)より大きく、結晶融
解に伴う粘度の傾き(図中、直線dの傾き)より小さい
ことが必要である。より望ましくは、log粘度(Pa
・s)/温度(℃)で表して−0.05〜0の範囲にあ
るとき、広い粘度領域でオフセットが発生しないので、
好ましく用いることができる。
【0018】ゴム状領域は、結晶性樹脂が高分子量で分
子鎖の絡み合いを生じることにより発生する。分子鎖の
絡み合いが十分存在すると、結着樹脂全体に弾性力が生
じて凝集力が働き、トナーの一部がちぎれて定着機部材
に付着することがない。分子鎖の絡み合いが生じる分子
量は、樹脂の種類により異なるが、例えばポリスチレン
の場合は重量平均分子量で約3万である。樹脂の種類が
異なっても、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
で測定したポリスチレン換算分子量が、重量平均で5万
以上、望ましくは10万以上あれば、オフセットの発生
を防ぐことができる。なお、溶融粘度は、島津製作所
(株)フローテスターCFT−500を用いて測定する
ことができる。
【0019】本発明に用いられる結晶性樹脂は、カルボ
キシル基またはその塩よりなる基を含むものである。ト
ナー用結着樹脂として用いられるような融点範囲にある
結晶性樹脂は一般に軟質であるが、これは結晶性樹脂中
の低いガラス転移温度を有する非晶部分に起因する。非
晶部分が軟質なために、保存中や現像機内で使用中にブ
ロッキングが発生し、流動性が悪く、キャリアとの混合
が悪く、帯電性に劣り、現像機部材、キャリアおよび潜
像保持体に対してフィルミング等の問題を引き起こすこ
ととなる。さらに、外添剤の埋まり込みによる特性変化
が起こることになる。本発明では結晶性樹脂にカルボキ
シル基またはその塩よりなる基を含ませることにより、
非晶部分にカルボキシル基またはその塩よりなる基によ
る水素結合、イオン結合、或いはそれらのクラスターを
形成させ、非晶部分を硬質にするのである。そのために
は、カルボキシル基またはその塩よりなる基が、結晶性
樹脂中0.1モル%以上含まれる必要があり、0.5モ
ル%以上含まれるのが好ましい。また、5モル%を越え
て含まれると、トナー帯電性の湿度依存が大きくなり、
電子写真適性を失うので、5モル%以下であることが必
要であり、好ましくは3モル%以下である。
【0020】カルボキシル基またはその塩よりなる基を
含む結晶性樹脂としては、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−マレ
イン酸共重合体、及びそれらの金属塩などがあげられ
る。ポリエステルやポリアミドの末端にカルボキシル基
が残っている樹脂、及びそれらの金属塩であってもよ
い。本発明においては、上記のようにカルボキシル基ま
たはその塩よりなる基が結晶性樹脂中0.1モル%〜5
モル%存在することが必要であるが、単一の樹脂中に含
まれてもよいし、或いは、他の結晶性樹脂との混合物中
に上記所定の割合で含まれていてもよい。また、カルボ
キシル基またはその塩よりなる基が含まれる重合体が他
の結晶性重合体にグラフトまたはブロックされており、
その中にカルボキシル基またはその塩よりなる基が上記
所定の割合で含まれていてもよい。
【0021】カルボキシル基またはその塩よりなる基を
含む結晶性樹脂と混合して、またはグラフトあるいはブ
ロック共重合体を形成するものとして用いられる樹脂
は、結晶性樹脂全体で上述の条件を満たすものならば、
何如なる結晶性樹脂であってもよい。なかでも、ポリオ
レフィン系重合体および共重合体が好ましく使用でき
る。例えば、ポリブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテ
ン、ポリペンテン、ポリ−5−メチル−1−ヘキセン、
ポリテトラデセン、ポリペンタデセン、ポリヘキサデセ
ン、ポリヘプタデセン、ポリオクタデセン、ポリノナデ
セン、ポリエイコセン、ポリシクロヘプテン−alt−
エチレン等から選択される。また、それら重合体を構成
するモノマーの共重合体であってもよい。また、単独重
合体では融点が低すぎたり或いは高すぎるポリオレフィ
ン、例えばポリエチレンやポリプロピレンの場合には、
それらの単独重合体を形成するモノマーを、他のオレフ
ィン成分と共重合させ、或いはアクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル、ビニルアルコール、酢酸ビニル、
無水マレイン酸等と共重合させればよく、それによって
結晶性樹脂として本発明において使用可能になる。
【0022】また、本発明において結晶性樹脂として、
ポリジエン類およびジエン共重合体を用いることもでき
る。具体的には、例えば、トランス−1,4−ポリ−
1,3−ブタジエン、シス−2−t−ブチル−1,4−
ポリ−1,3−ブタジエン、トランス−1−メトキシ−
1,4−ポリ−1,3−ブタジエン、トランスクロロプ
レン、トランス−1,4−ポリイソプレン、アイソタク
チック−トランス−1,4−ポリ−1,3−ペンタジエ
ン、アイソタクチック−トランス−1,4−ポリ−1,
3−ヘプタジエン、アイソタクチック−トランス−6−
メチル−1,4−ポリ−1,3−ヘプタジエン、アイソ
タクチック−トランス−1,4−ポリ−1,3−ヘキサ
ジエン、アイソタクチック−トランス−5−メチル−
1,4−ポリ−1,3−ヘキサジエン、トランス−エリ
トロ−ジ−アイソタクチック−2,5−ポリ−2,4−
ヘキサジエン、アイソタクチック−トランス−1,4−
ポリ−1,3−オクタジエン等から選択することができ
る。
【0023】また、本発明に用いられる結晶性樹脂に
は、ポリエステル系樹脂をあげることができる。具体的
には、例えば、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレ
ンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリ
デカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサレー
ト、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサ
クシネート、ポリエイコサメチレンマロネート、ポリエ
チレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエ
チレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、
ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチ
レンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキ
サメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−
(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメ
チレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、
ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサ
クシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニ
レンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフ
ェニレンマロネート、トランス−ポリ−4,4−イソプ
ロピリデンジフェニレン−1−メチルシクロプロパンジ
カルボキシレート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリ
ノナメチレンテレフタレート、ポリオクタメチレンドデ
カンジエート、ポリペンタメチレンテレフタレート、ト
ランス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボ
キシレート、シス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパ
ンジカルボキシレート、ポリテトラメチレンカーボネー
ト、ポリテトラメチレン−p−フェニレンジアセテー
ト、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレン
ドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジ
オエート、ポリトリメチレンオキサレート、ポリトリメ
チレンウンデカンジオエート、ポリ−p−キシレンアジ
ペート、ポリ−p−キシレンアゼレート、ポリ−p−キ
シレンセバケート、ポリジエチレングリコールテレフタ
レート、シス−ポリ−1,4−(2−ブテン)セバケー
ト、ポリカプロラクトン等、およびそれらの共縮重合体
から選択できる。
【0024】本発明において、上記結晶性樹脂を用いる
と、十分に低温定着を達成できるので、特に低分子量の
成分を含ませる必要はないが、結晶性樹脂以外の樹脂を
結着樹脂の一部として少量含ませてもよい。ビニル芳香
族単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル単量体、
ビニルエーテル単量体等からなる重合体あるいは共重合
体が好ましく使用される。ビニル芳香族単量体として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m
−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルス
チレン、ジビニルベンゼンがあげられる。アクリル系単
量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸フェニル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸
−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチ
ル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、σ−ヒドロキ
シアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチ
ル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル等があ
げられる。ビニルエステル単量体としては、例えば、蟻
酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等があげら
れる。ビニルエーテル単量体としては、例えば、ビニル
−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニ
ルシクロヘキシルエーテル等があげられる。また、スチ
レン−ブタジエン共重合体、エポキシ樹脂、ポリエステ
ル、ゴム類、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、クマ
ロン−インデン共重合体、メチルビニルエーテル−無水
マレイン酸共重合体、アミノ樹脂、ポリウレタン、ポリ
ウレア、ポリ塩化ビニル等を用いることもできる。さら
に、石油樹脂またはロジン系樹脂を含有させてもよい。
石油樹脂としては、脂肪族系樹脂、芳香族系樹脂、共重
合系樹脂、脂環族系水添石油樹脂、アルキル・フェノー
ル樹脂、クマロン・インデン樹脂があげられる。ロジン
系樹脂としては、ロジン、変性ロジン、これらロジンの
グリセリンエステル、これらロジンのペンタエリスリト
ールエステルがあげられる。これらの樹脂を用いる場合
は、結着樹脂の40重量%以上であってはならない。
【0025】着色剤としては、公知のものを用いること
ができ、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ア
セチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラ
ック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファ
ストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、
キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン
等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニ
ン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、
ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナク
リドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環
系顔料があげられる。また分散染料、油溶性染料等を用
いることもできる。これら着色剤の配合量は、トナー粒
子に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましい。
【0026】着色剤として、またはトナーに磁力を付与
する目的で、磁性粉を含有させることができる。磁性粉
としては、マグネタイト、フェライト、又はコバルト、
鉄、ニッケル等の金属単体またはその合金を用いること
ができる。それらの磁性粉を、シランカップリング剤、
チタンカップリング剤、その他の有機物無機物で表面処
理して用いてもよい。これらの磁性粉量は、トナー粒子
に対して0.1〜80重量%の範囲が配合するのが好ま
しい。
【0027】また、本発明のトナー組成物には、潤滑剤
として、ワックスまたはシリコーンオイルを含有させる
こともできる。ワックス類としては、みつろう、鯨ろ
う、中国ろう、ラノリン等の動物系ワックス、キャンデ
リラワックス、カルナウバワックス、木ろう、ライスワ
ックス、さとうきびろう等の植物系ワックス、モンタン
ワックス、オゾケライト、セレシン、リグナイトワック
ス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロ
クリスタリンワックス等の石油系ワックス、モンタンワ
ックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロク
リスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、カスター
ワックス、オパールワックス等の水素化ワックス、低分
子量ポリエチレンおよびその誘導体、アクラワックス、
ジステアリルケトン等の合成ワックス、カプロン酸アミ
ド、カプリル酸アミド、ベラルゴン酸アミド、カプリン
酸アミド、ラウリン酸アミド、トリデシル酸アミド、ミ
リスチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミ
ド、エチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ア
ミド系ワックス、カプロレイン酸アミド、ミリストレイ
ン酸アミド、オレイン酸アミド、エライジン酸アミド、
リノール酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミ
ド、リノレン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド系ワック
ス等があげられる。
【0028】トナー粒子は、上記の結着樹脂中に、着色
剤、および所望により使用されるその他の材料を分散さ
せてトナー粒子を形成する工程および所望によってトナ
ー粒子表面に表面層を形成する工程によって製造され
る。具体的には、結晶性樹脂を主体とする結着樹脂、着
色剤、およびその他の材料からなるトナー材料を粉体化
する公知の方法が用いられる。
【0029】すなわち、トナー粒子を形成するには、混
練粉砕法、水系媒体において結着樹脂の単量体、着色
剤、およびその他の材料を分散させた粒子を重合する懸
濁重合法、結着樹脂の乳化粒子を、着色剤、およびその
他の材料とともに凝集固着する乳化凝集法であってもよ
い。乳化凝集法の場合、乳化粒子は、乳化重合法で作製
したものであってもよいし、結着樹脂を溶剤に溶解し、
水系媒体中で細かく分散させたものであってもよい。ま
た、結着樹脂、着色剤、その他の材料を溶剤中に溶解分
散させておき、水系媒体中で懸濁分散し、その後溶剤を
除去する方法を採用してもよい。また、結着樹脂、着色
剤、およびその他の材料を溶剤に溶解分散させておき、
スプレードライヤー等で気体中に分散し、同時に溶剤を
除去する方法を採用してもよい。さらに、溶剤中に溶解
している結着樹脂を温度を下げたり、または貧溶媒を加
えることにより析出させる方法を採用してもよい。ま
た、溶融している材料を媒体中で分散冷却する方法を採
用してもよい。また、分散重合やシード重合の技法を用
いてもよい。これらの方法のうちでも、結着樹脂、着色
剤、およびその他の材料を溶剤に溶解分散させておき、
水系媒体中で懸濁分散し、その後溶剤を除去する方法
は、適宜の溶剤を選択することにより樹脂の種類に関係
なく汎用的に粒子形成が可能であるので、本発明の製造
方法として好適である。上記のようにして形成されるト
ナー粒子は、その粒子径が1〜20μmの範囲にあるの
が好ましい。
【0030】本発明において、トナー粒子は、その表面
が表面層によって覆われていることが好ましい。表面層
を設けることにより、結着樹脂が軟質であることの欠点
を確実に回避することができる。表面層は、トナー全体
の力学特性、溶融粘弾性特性に大きな影響を与えないこ
とが望ましい。例えば、非溶融、或いは高融点の表面層
がトナーを厚く覆っていると、結晶性樹脂の低温定着性
が活かされにくい。したがって、表面層を構成する材料
として、3次元架橋した材料は望ましくない。一方、表
面層の膜厚は薄いことが望ましい。表面層の好ましい膜
厚は、0.001〜0.5μmの範囲である。
【0031】トナー粒子表面に表面層を形成する工程
は、公知の技術が利用できる。例えば、“微粒子設計”
(小石真純編、工業調査会、1987)や、”マイクロ
カプセル−その機能と応用”(近藤保編、日本規格協
会、1991)等に示されるような、界面重合法、in
situ重合法、液中硬化被覆法、コアセルベーショ
ン法、液中乾燥法、融解分散冷却法、噴霧乾燥法、乾式
混合法等が使用できる。上記した方法を利用して、トナ
ー粒子を形成した後、表面層を形成してもよいし、トナ
ー粒子の形成と同時に表面層を形成してもよい。
【0032】本発明の目的を達成できるように薄い表面
層を形成するためには、結着樹脂、着色剤、その他の材
料を含むトナー粒子の表面を化学処理によって酸化する
方法、または極性基を含む重合性モノマーをグラフト重
合により結合させる方法等が好ましく使用される。ま
た、表面層を構成する成分には、極性基が導入されてい
ることが好ましく、化学的に結合することにより、トナ
ーと紙等の転写体との接着力が増加する。極性基は、分
極性の官能基であれば如何なるものでもよいが、例え
ば、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、エー
テル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、シアノ
基、アミド基、イミド基、エステル基、スルホン基等が
あげられる。酸化処理するには、例えば過酸化物等の強
酸化物質、オゾン酸化、プラズマ酸化等による方法があ
げられる。また、グラフト重合させる極性基を含む重合
性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アク
リル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、アミノエチルメタクリレート等があげられ、そ
れらはスチレンその他のビニル系単量体と併用すること
もできる。それにより結晶性樹脂の分子鎖に共有結合で
極性基が強固に結合することになる。
【0033】本発明のトナー組成物においては、上記の
トナー粒子の表面に、さらに、帯電性の物質を化学的あ
るいは物理的に付着させてもよい。また、金属、金属酸
化物、金属塩、セラミック、樹脂、カーボンブラック等
の微粒子を、帯電性、導電性、粉体流動性、潤滑性等の
改善のために外添してもよい。
【0034】次に、本発明の上記トナー組成物を用いた
画像形成方法について説明する。画像形成方法は、像潜
像保持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像を
現像剤担持体上に担持された現像剤を用いて現像する工
程と、前記潜像保持体上に形成されたトナー像を紙等の
転写体上に転写する工程と、該転写体上にトナー画像を
熱定着する工程とを有するものであって、現像剤とし
て、上記したトナー組成物が使用される。本発明におけ
る上記の工程はいずれも画像形成方法において公知の工
程が利用できる。潜像保持体としては、電子写真感光体
および誘電記録体等が使用でき、例えば、電子写真感光
体の場合に、コロトロン帯電器、接触帯電器等によって
一様帯電した後、露光を行い、静電潜像を形成する。次
いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触ま
たは近接させて静電潜像にトナー粒子を付着させて、電
子写真感光体上にトナー像を形成する。形成されたトナ
ー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の転写体上
に転写し、定着器によって加熱定着してトナー画像を形
成する。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を述べるが、いうまで
もなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)結晶性樹脂として、エチレン−アクリル酸
共重合体(ダウケミカル日本社製、プリマコール598
0)0.248g、エチレン−エチルアクリレート共重
合体(三井デュポンポリケミカル社製、EVAFLEX
−EEAA707)21.752gを、ヘキサン218
gに60℃で溶解させた。得られた溶液とカーボンブラ
ック(キャボット社製、R330R)1.4gを混合
し、サンドミルによって40℃で4時間分散処理した
(この混合液をA液とする。)。一方、イオン交換水1
90gにヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化
学社製、メトローズ65SH50)7.6gを溶解さ
せ、5℃まで冷却した。(この溶液をB液とする。) B液に、撹拌機(特殊機化工業社製、オートホモミキサ
ー)によって撹拌しながら、A液120gをゆっくりと
投入し、混合物を懸濁させて懸濁液を得た。この懸濁液
は、油滴粒子の平均粒径が約20μmのO/Wエマルジ
ョンであった(この懸濁液をC液とする。)。
【0036】次に、2リットルのセパラブルフラスコに
C液を入れ、プロペラ型撹拌羽根を備えた撹拌機(新東
科学社製、スリーワンモーター)によって減圧下、50
℃で3時間撹拌してヘキサンを除去した。得られた液を
2リットルのイオン交換水と混合し、吸引ろ過してトナ
ー粒子を得た。この操作をあと7回繰り返してトナー粒
子を洗浄した。以上の粒子作製操作をさらに4回繰り返
して、得られたトナー粒子を混合し、トナー粒子のスラ
リーを得た。これをステンレス鋼のバットにあけ、乾燥
機(ヤマト科学社製)によって40℃で24時間乾燥し
た。得られたトナー100重量部に対して、疎水性シリ
カ(日本アエロジル社製、RA−200H)を1重量部
添加して十分に撹拌した。得られたトナー組成物におけ
るトナー粒子の平均粒子径は10.5μmであった。
【0037】上記の結晶性樹脂は、デュロメーターD硬
さが27、融点が84℃、溶融粘度が96℃で5.6×
103 Pa・sであり、log粘度(Pa・s)/温度
(℃)で表した傾きが−0.025のゴム状領域を示し
た。また、カルボキシル基またはその塩よりなる基の含
有量は0.1モル%であった。
【0038】トナーのブロッキング性について、トナー
組成物を50℃のオーブンに24時間入れることにより
評価をしたところ、何等の問題がないことが確認され
た。次いで、トナー組成物3重量部に対し、鉄粉をコア
とし、表面をスチレン−n−ブチルアクリレート共重合
体で樹脂コートしたキャリア100重量部を混合して現
像剤とした。この現像剤を、複写機(富士ゼロックス社
製、ヴィヴァーチェ500から定着機をはずした評価
機)に入れ、帯電量、感光体およびキャリアに対するフ
ィルミング、トナー粒子への外添剤の埋め込み、トナー
粒子の変形について評価を行った。複写操作は、低温低
湿(10℃、相対湿度30%)下1万枚、引き続き高温
高湿(28℃、相対湿度90%)下1万枚連続して行っ
た。帯電量はブローオフトライボにより行い、フィルミ
ングは目視および走査型電子顕微鏡での観察、帯電量の
変化のモニター、複写機のトラブルの観察により行い、
またトナー粒子の状態の変化は、走査型電子顕微鏡およ
び帯電量変化のモニターを通じて行った。
【0039】トナーの帯電量は、低温低湿下17.5マ
イクロクーロン/gから16マイクロクーロン/gへ、
引き続き高温高湿下14.5マイクロクーロン/gから
13マイクロクーロン/gへと変化したが、実用上の問
題はなかった。また、感光体およびキャリアに対するフ
ィルミングは観察されなかった。2万枚複写後のトナー
粒子を観察したところ、外添剤の埋め込みが認められ、
多少丸まる方向で変形していることがわかった。ただ
し、画質に変化はなかった。
【0040】定着性の評価については、富士ゼロックス
社製ヴィヴァーチェ500複写機の定着器を取り外した
ものを用いて行い、最低定着温度とオフセットの有無を
評価した。最低定着温度とは、文字画像の定着像を有す
る紙をしごいても像がほぼ剥がれず、文字が判別可能と
なるヒートロールの表面の最低温度をいう。評価の結
果、最低定着温度は135℃であり、240℃の高温で
あってもオフセットは発生しなかった。なお、ヴィヴァ
ーチェ500複写機用トナーの最低定着温度は、同一評
価条件で170℃であり、大幅な定着温度の低下が達成
されていることが分かった。結晶性樹脂の組成および物
性値および評価結果をまとめて表1および表2に示す。
【0041】(実施例2〜5、比較例1〜3)結晶性樹
脂として、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカ
ル日本社製、プリマコール5980)1.24gとエチ
レン−エチルアクリレート共重合体(三井デュポンポリ
ケミカル社製、EVAFLEX−EEAA707)2
0.76g(実施例2)、エチレン−アクリル酸共重合
体(ダウケミカル日本社製、プリマコール5980)
2.47gとエチレン−エチルアクリレート共重合体
(三井デュポンポリケミカル社製、EVAFLEX−E
EAA707)19.53g(実施例3)、エチレン−
アクリル酸共重合体(ダウケミカル日本社製、プリマコ
ール5980)7.42gとエチレン−エチルアクリレ
ート共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、EVA
FLEX−EEAA707)14.58g(実施例
4)、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル日
本社製、プリマコール5980)12.36gとエチレ
ン−エチルアクリレート共重合体(三井デュポンポリケ
ミカル社製、EVAFLEX−EEAA707)9.6
4g(実施例5)、エチレン−エチルアクリレート共重
合体(三井デュポンポリケミカル社製、EVAFLEX
−EEAA707)22gのみ(比較例1)、エチレン
−アクリル酸共重合体(ダウケミカル日本社製、プリマ
コール5980)0.24gとエチレン−エチルアクリ
レート共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、EV
AFLEX−EEAA707)21.76g(比較例
2)、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル日
本社製、プリマコール5980)12.54gとエチレ
ン−エチルアクリレート共重合体(三井デュポンポリケ
ミカル社製、EVAFLEX−EEAA707)9.4
6g(比較例3)を用いた以外は、実施例1と同様にし
てトナー組成物を作製し、実施例1と同じ評価条件下で
評価した。
【0042】上記実施例および比較例における結晶性樹
脂の組成および物性値を表1に、また、評価結果を表2
に示す。なお、実施例5では、低温低湿下での帯電量は
18マイクロクーロン/g、高温高湿下では13マイク
ロクーロン/gと多少の環境依存を示したが、実用上の
問題はなかった。また、連続複写をすることによる帯電
量の変化は特に観察されなかった。また、比較例3で
は、低温低湿下での帯電量は18.5マイクロクーロン
/g、高温高湿下では11マイクロクーロン/gと大き
な環境依存を示し、画質も大きく変わった。
【0043】(実施例6)エチレン−アクリル酸共重合
体(ダウケミカル日本社製、プリマコール5980)を
水酸化ナトリウムで中和して用いる以外は、実施例3と
同様にしてトナー組成物を作製し、実施例1と同じ評価
条件下で評価した。結晶性樹脂の組成および物性値およ
び評価結果を表1および表2に示す。
【0044】(実施例7)実施例3と同様に作製したト
ナー粒子に以下のようにして表面層を形成した。作製さ
れたトナー粒子のスラリーに、イオン交換水を加えて固
形分濃度を20%に調整し、プロペラ型撹拌羽根を備え
た撹拌機(新東科学社製、スリーワンモーター)で20
0回転/分で撹拌した。次いで、これに過硫酸カリウム
0.4g、アクリル酸n−ブチル0.26g、スチレン
1.25g、亜硫酸水素ナトリウム0.1gを順次添加
し、25℃で4時間反応させた。反応後、得られた液を
2リットルのイオン交換水と混合し、吸引ろ過した。こ
の操作をあと4回繰り返してポリマー粒子を洗浄した。
得られたポリマー粒子をステンレス鋼製のバットにあ
け、乾燥機(ヤマト科学社製)で40℃で24時間乾燥
した。得られたトナー100重量部に対して、疎水性シ
リカ(日本アエロジル社製、RA−200H)を1重量
部添加して十分に撹拌した。得られたトナー組成物につ
いての評価は、実施例1と同様に行った。結晶性樹脂の
組成および物性値および評価結果を表1および表2に示
す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】 なお、表中、○は問題のなかったことを意味し、△は多
少の変化が観察されたが実用上の問題がなかったことを
意味し、×は大きな変化が観察されたり、問題が発生し
たことを意味する。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のトナー組成
物は、上記の構成を有するから、高分子量の結晶性樹脂
の低温定着性と耐オフセット性を活かしつつ、複写機や
プリンター内の圧力や剪断力による変形をおさえ、一
方、結晶性樹脂に含まれるカルボキシル基あるいはその
塩により、結晶性樹脂の非晶部分に起因する欠点を解消
することができるので、低温定着で定着ラチチュードが
広く、保存中や現像機内で使用中にブロッキングしにく
く、流動性がよい。また、キャリアとの混合がよく帯電
性に優れ、現像機部材、キャリアおよび潜像保持体に対
してフィルミング等の問題を引き起こさず、安定した現
像特性を示すという優れた効果を奏する。したがって、
本発明の画像形成方法によれば、優れた画質の画像を安
定して形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 結晶性樹脂の硬さまたは溶融粘度と温度の関
係を示す特性図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒
    子を含む熱定着用トナー組成物において、該結着樹脂
    が、常温での硬さがデュロメーターD硬さ20以上、融
    点が40℃〜120℃であり、溶融粘度102 Pa・s
    〜106 Pa・sの範囲にゴム状領域を有し、0.1モ
    ル%〜5モル%のカルボキシル基またはその塩よりなる
    基を含有する結晶性樹脂を主成分としてなることを特徴
    とする熱定着用トナー組成物。
  2. 【請求項2】 トナー粒子が表面層を有することを特徴
    とする請求項1に記載の熱定着用トナー組成物。
  3. 【請求項3】 潜像保持体上に静電潜像を形成する工程
    と、該静電潜像を現像剤担持体上に担持された現像剤を
    用いて現像する工程と、前記潜像保持体上に形成された
    トナー像を転写体上に転写する工程と、該転写体上にト
    ナー像を熱定着する工程とを有する画像形成方法におい
    て、該現像剤として、結着樹脂と着色剤とを含有するト
    ナー粒子を含み、該結着樹脂が、常温での硬さがデュロ
    メーターD硬さ20以上、融点が40℃〜120℃であ
    り、溶融粘度102 Pa・s〜106 Pa・sの範囲に
    ゴム状領域を有し、0.1モル%〜5モル%のカルボキ
    シル基またはその塩よりなる基を含有する結晶性樹脂を
    主成分とする熱定着用トナー組成物を使用することを特
    徴とする画像形成方法。
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