JP2013228680A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂と、離型剤と、顔料微粒子とを含むトナーを、トナーの構成成分の微粒子を含む微粒子を凝集させて微粒子凝集体を得た後に、微粒子凝集体を合一化させて静電潜像現像用トナーを製造する。顔料微粒子は、平均一次粒子径が50nm以下であり、Cv値が20%未満であり、平均円形度が0.900以上である。
【選択図】図2
Description
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)は、結着樹脂と、顔料と、離型剤とを必須に含み、必要に応じ、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。本発明のトナーは、必要に応じ、その表面に外添剤が付されたものであってもよい。本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、トナーの製造に用いる、必須、又は任意の材料である、結着樹脂、顔料、離型剤、電荷制御剤、磁性粉と、外添剤と、トナーを2成分現像剤として用いる場合に使用するキャリアとについて順に説明する。
結着樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂から適宜選択される。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂に含まれる、(メタ)アクリル系モノマーに由来する単位の含有量は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、少なくともスチレン系モノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。スチレン−(メタ)アクリル系樹脂に含まれる、スチレン系モノマーに由来する単位と(メタ)アクリル系モノマーとに由来する単位の含有量の合計は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコール成分と2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合や共縮重合させる方法を用いて得られるものを使用できる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
高化式フローテスター(CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂(トナー)の軟化点の測定を行う。トナー1.5gを試料として用い、高さが1.0mmで直径1.0mmのダイを使用し、昇温速度4℃/min、予熱時間300秒、荷重5kg、測定温度範囲60〜200℃の条件で測定を行う。フローテスターを用いる測定で得られる、温度(℃)とストローク(mm)とに関するS字カーブより、軟化点を読み取る。
結着樹脂のガラス転移点は、JIS K7121に準拠した測定方法に従って求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することで求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定して得られた結着樹脂の吸熱曲線より結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。
静電潜像現像用トナーに含まれる顔料は、トナー粒子の色に合わせて、公知ものを用いることができる。トナーに添加することができる好適な顔料の具体例としては以下の顔料が挙げられる。
静電潜像現像用トナーは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含む。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
静電潜像現像用トナーは、必要に応じ、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
静電潜像現像用トナーには、必要に応じて、磁性粉を配合することができる。好適な磁性粉の例としては、フェライト及びマグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
本発明の方法を用いて得られる静電潜像現像用トナーは、必要に応じてその表面が外添剤で処理されていてもよい。外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカやアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の方法を用いて得られる静電潜像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、静電潜像現像用トナーを構成する成分を含む微粒子を凝集させて微粒子凝集体を得た後に、前記微粒子凝集体を合一化させて得られる。本発明の静電潜像現像用トナーは、好ましくは、以下の工程(I)、及び(II)を少なくとも含む方法を用いて製造される。
(I)以下の(A)及び(B):
(A)体積平均粒子径1.0μm以下の少なくとも結着樹脂微粒子を含む結着樹脂分散液、及び体積平均粒子径1.0μm以下の少なくとも離型剤微粒子を含む離型剤分散液、若しくは、
体積平均粒子径1.0μm以下の少なくとも結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子を含む結着樹脂組成物分散液;
(B)顔料微粒子を含む顔料分散液、
を混合して、微粒子の水性媒体分散液を得た後に、微粒子を凝集させて、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含む微粒子凝集体の水性媒体分散液を得る凝集工程、及び
(II)微粒子凝集体の水性媒体分散液を加熱処理する形状制御工程。
円盤状の二枚のディスクであって、二枚のディスクの円形面の間に薄層が形成されるように配置される、固定ディスクA及び回転ディスクBと、薄層の端部より、薄層に第一の顔料原液を供給する第一原液供給部と、固定ディスクの円形面の中心を基準として、第一原液供給とは反対側に、固定ディスクの上面と下面とを連通して形成された、固定ディスクの上面側より薄層に第二の顔料原液を供給する、1以上の第二原液供給部と、を備えるマイクロリアクターを用いて、第一の顔料原液と、第二の顔料原液とを混合して顔料を析出させて顔料微粒子分散液を調製する方法が好ましい。
(III)形状制御されたトナーを洗浄する、洗浄工程。
(IV)形状制御されたトナーを乾燥する、乾燥工程。
(V)形状制御されたトナーの表面に外添剤を付着させる、外添工程。
(I)凝集工程では、まず、
体積平均粒子径1.0μm以下の少なくとも結着樹脂微粒子を含む結着樹脂分散液、及び体積平均粒子径1.0μm以下の少なくとも離型剤微粒子を含む離型剤分散液、若しくは、
体積平均粒子径1.0μm以下の少なくとも結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子を含む結着樹脂組成物分散液と、
平均一次粒子径、Cv値、及び平均円形度が所定の範囲の値である顔料微粒子を含む顔料分散液とを混合した後に、混合液に含まれる微粒子を凝集させる。微粒子を水性媒体中で凝集させる方法は、特に限定されない。以下、微粒子の調製、及び微粒子の凝集について順に説明する。
工程(I)で用いる、顔料分散液以外の分散液の調製方法は特に限定されない。通常、これらの成分を含む微粒子の分散液は、水性媒体中で、組成物が所望のサイズに微粒子化された、微粒子の水性媒体分散液として調製される。以下、微粒子に含まれる成分毎に、微粒子分散液の調製方法を説明する。
以下、結着樹脂と離型剤とを含有する微粒子を含む結着樹脂組成物分散液の調製方法について説明する。
まず、結着樹脂と、離型剤と、必要に応じ、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)のような混合装置を用いて混合する。次いで、得られる混合物を、二軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機のような混練装置を用いて溶融混練して、結着樹脂組成物を得る。得られる結着樹脂組成物を冷却した後、カッターミル、フェザーミル、又はジェットミルのような粉砕装置を用いて、結着樹脂組成物を粗粉砕する。粗粉砕時点での結着樹脂組成物の粒子径は30μm以下が好ましい。
R1−O−(CH2CH2O)p−SO3M・・・(1)
(式(1)中、R1はアルキル基であり、Mは1価のカチオンであり、pは1以上50以下の整数である。)
結着樹脂と離型剤とを含む微粒子を含む結着樹脂組成物分散液の調製方法について上記の通り説明したが、結着樹脂を含む微粒子(離型剤は含まない)の分散液も、結着樹脂に離型剤の成分を配合しないことの他は、上記の方法と同様にして調製することができる。結着樹脂が付加重合型の樹脂である場合、以下の方法を用いても、結着樹脂を含有する微粒子を含む結着樹脂組成物分散液を調製できる。具体的には、結着樹脂が(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン(メタ)アクリル系樹脂のような付加重合型の樹脂である場合、これらの樹脂を乳化重合法を用いて調製することで、結着樹脂を含む微粒子を、水性媒体分散液として調製することができる。
離型剤を予め100μm以下程度に粗粉砕しておく。離型剤の粗粉砕品を界面活性剤を含む水性媒体中に添加し、そのスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。加熱したスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、離型剤を含む微粒子の分散液を調製する。
顔料分散液に含まれる顔料微粒子は、平均一次粒子径50nm以下であり、Cv値が20%未満であり、平均円形度が0.900以上である。このような顔料微粒子を含む顔料分散液の製造方法は特に限定されないが、前述のマイクロリアクターを用いて調製する方法が好ましい。
図2は、顔料微粒子を含む顔料分散液の調製に用いられるマイクロリアクターの断面の模式図である。図2に示すように、マイクロリアクターは、円盤状の二枚のディスクである固定ディスクA及び回転ディスクBを有する。固定ディスクAと、回転ディスクBとは、その間に薄層が形成されるように配置される。薄層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましい。
マイクロリアクターを用いる顔料分散液の調製では、まず、図2に示すように、第一原液供給部xから第一の顔料原液を供給して、固定ディスクAと、回転ディスクBとの間に形成される空間を第一の顔料原液で満たし、薄膜流体を形成する。次いで、第一の顔料原液の薄膜流体に対し、図2に示す、第二原液供給部yから供給される第二の顔料原液を供給して、固定ディスクAと、回転ディスクBとの間に形成される薄層内で、第一の顔料原液と、第二の顔料原液とを混合し、顔料微粒子を析出させる。析出した顔料微粒子は顔料微粒子が水性媒体に分散した顔料分散液として、液排出部zで回収される。
上記方法を用いて調製された微粒子の分散液は、トナーに所定の成分が含まれるように、適宜組み合わせて、微粒子凝集体とされる。微粒子を凝集させる好適な方法としては、微粒子の水性媒体分散液に、凝集剤を添加する方法が挙げられる。
(II)形状制御工程では、(I)凝集工程を用いて得られる微粒子凝集体に含まれる成分を合一化し、得られるトナーの形状を制御する。
(II)形状制御工程で得られたトナー粒子は、必要に応じて、(III)洗浄工程で、水を用いて洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、例えば、トナー粒子の分散液から、固液分離を経てトナー粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子の分散液中のトナー粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
(II)形状制御工程で得られたトナー粒子は、必要に応じて、(IV)乾燥工程において乾燥される。トナー粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することで、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
本発明の方法を用いて製造される静電潜像現像用トナーは、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。外添剤をトナー粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー表面に埋没しないように条件を調整して混合する方法が挙げられる。
(結着樹脂分散液の調製)
以下の方法に従って、結着樹脂分散液を調製した。
結着樹脂として以下の非晶質ポリエステル樹脂を用いた。
単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=25/25/46/4(モル比率)
数平均分子量(Mn):2500
質量平均分子量(Mw):6500
分子量分布(Mw/Mn):2.6
軟化点:91℃
ガラス転移点(Tg):51℃
酸価:15.5mgKOH/g
(離型剤分散液の調製)
以下の方法に従って、離型剤分散液を調製した。
離型剤(WEP−5、ペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス、溶融温度84℃、(日本油脂株式会社製))200質量部、アニオン界面活性剤(エマールE27C(花王株式会社製))2質量部、及びイオン交換水800質量部を混合し、100℃に加熱し離型剤を融解させた後、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))で5分間乳化した。次いで、高圧式ホモジナイザー(ナノマイザーNV−200(吉田機械興業株式会社製))を用いて、120℃、吐出圧100MPaの条件で、2回乳化処理を行った。高圧式ホモジナイザーでは、圧力ヘッドのプランジャー径をφ10mmとし、ジェネレータとして120ミクロンの貫通型ノズルを使用した。このようにして、平均粒子径が250nm、融点が83℃、固形分濃度が20質量%の離型剤分散液(W−1)を得た。
(顔料分散液の調製)
マイクロリアクターとして、強制薄膜リアクター(ULREA SS−11(エム・テクニック株式会社製))を用いて、アシッドペースティング法を用いて、顔料分散液を調製した。
第二の顔料原液として、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))を濃硫酸(濃度98質量%)に溶解させて、濃度3質量%の銅フタロシアニン顔料の98%濃硫酸溶液を得た。
マイクロリアクターの装置条件を以下のように設定し、第一の顔料原液として水を用い、以下の条件で第一原液供給部xより第一の顔料原液を供給し、以下の条件で第二原液供給部yより第二の顔料原液を供給した。
<装置条件>
プロセス供給圧力:0.3MPa
背圧力:0.02MPa
ディスク回転速度:1700rpm
<第一原液供給部条件>
液温度:5℃
流量:400ml/分
<第二原液供給部条件>
流量:3ml/分
Cv値=100×標準偏差/体積平均粒子径
円形度=4πS/L2(S:面積、L:周囲長)
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコ容器に、結着樹脂分散液(R−1)425gと、離型剤微粒子分散液(W−1)50gと、顔料分散液(P−1)50gとを入れ、これらを25℃で混合した。次いで、フラスコの内容物を、撹拌羽根を用いて速度200rpmで撹拌した状態で、1N−水酸化ナトリウム水溶液1gをフラスコ内に加えた。その後、フラスコの内容物を25℃で10分間撹拌した後、凝集剤(濃度50.0質量%の塩化マグネシウム六水和物水溶液)30gを5分間かけて、フラスコ内に添加した。凝集剤添加後、フラスコ内温を、0.2℃/分の昇温速度で50℃まで上げ、同温度で、30分間、フラスコの内容物を撹拌して、微粒子を凝集させた。その後、濃度20質量%の塩化ナトリウム水容液50gを、フラスコ内に一度に添加して、微粒子の凝集を停止させて、微粒子凝集体の分散液を得た。
得られた微粒子凝集体の分散液に、5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液100gを添加し、微粒子凝集体の分散液を、50℃から0.2℃/分の昇温速度で65℃まで昇温し、同温度で、微粒子凝集体の分散液を1時間撹拌して、微粒子凝集体を合一化させて、トナーの形状を球状に制御した。その後、フラスコ内温を10℃/分の速度で低下させ、フラスコ内温を25℃とした。この時、フラスコ内のトナー分散液に含まれるトナー粒子の体積平均粒子径は5.5μmであり、球形化度は0.978であった。
トナー分散液を吸引ろ過して、トナーのウエットケーキをろ取した。ウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナーを洗浄した。同様の操作を繰り返し、トナーを5回洗浄したのちに回収したトナーのウエットケーキを、次工程で乾燥させた。
トナーのウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))を用いて乾燥させてトナーを得た。乾燥時には、トナーの質量に対して0.2質量%のシリカを含む、シリカのエタノール分散液を、トナーの分散液と共に噴霧して、トナーの表面に外添剤としてシリカを付着させた。コートマイザーを用いる乾燥の条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
乾燥工程で得られた、乾燥後の粉体100質量部と、疎水性シリカ(REA−90(日本アエロジル株式会社製))2質量部とを、ヘンシェルミキサー(三井三池工業株式会社製)を用いて5分間混合し、#300メッシュ(目開き48μm)で篩別して、実施例1のトナーを得た。
粒径分布の評価として、トナーのMV/MN値を下記基準に従って評価した。
○:MV/MN値が1.5以下。
×:MV/MN値が1.5より大きい。
(キャリアの調製)
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe2O3換算で49.6mol%、SrO換算で0.8mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間かけて粉砕・混合した。得られた混合物を乾燥した後、950℃で4時間保持した。次いで、混合物を湿式ボールミルで24時間かけて粉砕してスラリーを調製した。スラリーを造粒乾燥した後、造粒物を、酸素濃度2%の雰囲気中で1270℃で6時間保持した後、解砕、粒度調整を行い、マンガン系フェライト粒子(キャリア芯材)を得た。得られたマンガン系フェライト粒子は、平均粒子径が35μmであり、印加磁場が3000(103/4π・A/m)の時の飽和磁化が70Am2/kgであった。
得られた樹脂被覆フェライトキャリアと、実施例1のトナーとを、2成分現像剤中のトナー濃度が7質量%となるようにターブラミキサー(株式会社シンマルエンタープライゼス製)に投入し、5分間混合して、評価用の2成分現像剤を調製した。
○:y≦3.5×X
×:y>3.5×X
(顔料分散液の調製)
マイクロリアクターとして、強制薄膜リアクター(ULREA SS−11(エム・テクニック株式会社製))を用いて、アシッドペースティング法を用いて、顔料分散液を調製した。
第二の顔料原液としては、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)をジメチルスルホキシド/水酸化カリウム混合液に溶解させて、キナクリドンマゼンタ顔料2質量%と、ジメチルスルホキシド82質量%と、8N−水酸化カリウム水溶液16質量%とからなる混合混濁液を得た。
マイクロリアクターの装置条件を以下のように設定し、第一の顔料原液として水を用い、以下の条件で第一原液供給部xより第一の顔料原液を供給し、以下の条件で第二原液供給部yより第二の顔料原液を供給した。
<装置条件>
プロセス供給圧力:0.3MPa
背圧力:0.02MPa
ディスク回転速度:1500rpm
<第一原液供給部条件>
液温度:20℃
流量:400ml/分
<第二原液供給部条件>
流量:3ml/分
凝集工程、形状制御工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程では、顔料分散液(P−1)に変えて、顔料分散液(P−2)を用いたことの他は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
(顔料分散液の調製)
マイクロリアクターとして、強制薄膜リアクター(ULREA SS−11(エム・テクニック株式会社製))を用いて、装置条件を下記の条件に変更することの他は実施例1と同様にして、アシッドペースティング法を用いて、顔料分散液(P−3)を調製した。顔料分散液を調製する際には、実施例1と同様にNaOH水溶液を用いる親水基導入処理と、顔料微粒子の再分散処理とを行った。
<装置条件>
プロセス供給圧力:0.3MPa
背圧力:0.04MPa
ディスク回転速度:2500rpm
<第一原液供給部条件>
液温度:25℃
流量:400ml/分
<第二原液供給部条件>
流量:3ml/分
凝集工程、形状制御工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程では、顔料分散液(P−1)に変えて、顔料分散液(P−3)を用いたことの他は、実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
(顔料分散液の調製)
顔料としてシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))90質量部、アニオン界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)10質量部、及びイオン交換水400質量部を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006(株式会社スギノマシン製))を用いて、1時間乳化・分散して、顔料分散液(P−4)を得た。
凝集工程、形状制御工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程では、顔料分散液(P−1)に変えて、顔料分散液(P−4)を用いたことの他は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
顔料として、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いる他は、比較例1と同様にして比較例2に用いる顔料分散液(P−5)を得た。
凝集工程、形状制御工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程では、顔料分散液(P−1)に変えて、顔料分散液(P−5)を用いたことの他は、実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
アシッドペースティング法を用いて、顔料分散液を調製した。
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))10gを濃硫酸(濃度98質量%)90gに溶解させて得た、銅フタロシアニン顔料の98%濃硫酸溶液100gを、温度10℃の1Lの水に注入した。銅フタロシアニン顔料の溶液が注入された水を撹拌装置(スリーワンモーターType600G(新東科学株式会社製),撹拌翼:インペラー型)に翼周速度1m/秒で撹拌した。
凝集工程、形状制御工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程では、顔料分散液(P−1)に変えて、顔料分散液(P−6)を用いたことの他は、実施例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。
(顔料分散液の調製)
マイクロリアクターとして、強制薄膜リアクター(ULREA SS−11(エム・テクニック株式会社製))を用いて、装置条件を下記の条件に変更することの他は実施例1と同様にして、アシッドペースティング法を用いて、顔料分散液(P−7)を調製した。顔料分散液を調製する際には、実施例1と同様にNaOH水溶液を用いる親水基導入処理と、顔料微粒子の再分散処理とを行った。
<装置条件>
プロセス供給圧力:0.3MPa
背圧力:0.08MPa
ディスク回転速度:3500rpm
<第一原液供給部条件>
液温度:40℃
流量:400ml/分
<第二原液供給部条件>
流量:5ml/分
凝集工程、形状制御工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程では、顔料分散液(P−1)に変えて、顔料分散液(P−7)を用いたことの他は、実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。
Claims (5)
- 少なくとも、結着樹脂と、顔料微粒子と、離型剤とを含み、静電潜像現像用トナーを構成する成分を含む微粒子を凝集させて微粒子凝集体を得た後に、前記微粒子凝集体を合一化させて得られる静電潜像現像用トナーであって、前記顔料微粒子が、平均一次粒子径が50nm以下であり、Cv値が20%未満であり、平均円形度が0.900以上である、静電潜像現像用トナー。
- 前記顔料微粒子が、
円盤状の二枚のディスクであって、二枚のディスクの円形面の間に薄層が形成されるように配置される、固定ディスクA及び回転ディスクBと、
前記薄層の端部より、前記薄層に第一の顔料原液を供給する第一原液供給部と、
前記固定ディスクの円形面の中心を基準として、前記第一原液供給とは反対側に、前記固定ディスクの上面と下面とを連通して形成された、前記固定ディスクの上面側より前記薄層に第二の顔料原液を供給する、1以上の第二原液供給部と、
を備えるマイクロリアクターを用いて、前記第一の顔料原液と、前記第二の顔料原液とを混合して顔料を析出させて得られたものである、請求項1記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記円形面の間の薄層の厚さが1μm以上100μm以下である、請求項2記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第一の顔料原液が水又はアルカリ性水溶液であり、前記第二の顔料原液が顔料溶液である、請求項2又は3記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第二の顔料原液が顔料の酸性水溶液である、請求項4記載の静電潜像現像用トナー。
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