JP5777598B2 - 静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
工程(I):液状の有機塩基と溶融状態の結着樹脂とを混合して結着樹脂を中和し、結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る工程、
工程(II):前記樹脂溶融液と、水とを混合し、前記結着樹脂を含む微粒子を油相として含有する水中油型エマルジョンを得る工程、
工程(III):前記水中油型エマルジョンと、着色剤微粒子を含む水性分散液、離型剤微粒子を含む水性分散液、又は着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液とを混合し、微粒子混合分散液を得る工程、
工程(IV):前記微粒子混合分散液に凝集剤を加えて、前記微粒子混合分散液中の微粒子を凝集させ、凝集粒子を形成させる工程、及び
工程(V):前記凝集粒子を、前記結着樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上高く、前記結着樹脂の軟化点(Tm)よりも低い温度に保持し、前記凝集粒子に含まれる成分を合一化させる工程、
を含み、
前記結着樹脂がポリエステル樹脂であり、
前記有機塩基の使用量が、前記結着樹脂100質量部に対して、6質量部以上であり、
前記工程(I)中の、溶融状態の前記結着樹脂の中和度が100%以上である、静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。
工程(I):液状の有機塩基と溶融状態の結着樹脂とを混合して結着樹脂を中和し、結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る工程、
工程(II):樹脂溶融液と、水とを混合し、結着樹脂を含む微粒子を油相として含有する水中油型エマルジョンを得る工程、
工程(III):水中油型エマルジョンと、着色剤微粒子を含む水性分散液、離型剤微粒子を含む水性分散液、又は着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液とを混合し、微粒子混合分散液を得る工程、
工程(IV):微粒子混合分散液に凝集剤を加えて、微粒子混合分散液中の微粒子を凝集させて凝集粒子を形成させる工程、及び
工程(V):凝集粒子を結着樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上高く結着樹脂の軟化点(Tm)よりも低い温度に保持し、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる工程。
本発明の静電潜像現像用トナー(以下トナーともいう)の製造方法を用いて得られるトナーは、結着樹脂を必須に含み、必要に応じ、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような成分を含んでいてもよい。また、本発明のトナーの製造方法を用いて得られるトナーは、必要に応じ、その表面に外添剤を付着させたものであってもよい。また、本発明のトナーの製造方法を用いて得られるトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、トナーの製造に用いる、必須、又は任意の材料である、結着樹脂、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤と、外添剤と、トナーを2成分現像剤として用いる場合に使用するキャリアとについて順に説明する。
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法では、結着樹脂としてポリエステル樹脂が用いられる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合や共縮重合で得られるものを使用できる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下の2価又は3価以上のアルコール成分や2価又は3価以上のカルボン酸成分が挙げられる。
高化式フローテスター(CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いてポリエステル樹脂の軟化点の測定を行う。具体的には、以下のようにしてポリエステル樹脂の軟化点を測定する。ポリエステル樹脂1.5gを試料として用い、高さが1.0mmで直径1.0mmのダイを使用する。そして、昇温速度4℃/min、予熱時間300秒、荷重5kg、測定温度範囲60℃以上200℃以下の条件で測定を行う。フローテスターを用いたポリエステル樹脂の測定から得られた、温度(℃)とストローク(mm)とに関するS字カーブを用いて、軟化点を読み取る。
本発明の静電潜像現像用トナーに含まれる着色剤は、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーに添加することができる好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含んでいてもよい。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
本発明の静電潜像現像用トナーは、必要に応じ、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
本発明の方法を用いて得られる静電潜像現像用トナーは、必要に応じてその表面が外添剤を用いて処理されていてもよい。外添剤の種類は、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。また、これらの外添剤は、アミノシランカップリング剤やシリコーンオイルのような疎水化剤を用いて疎水化して使用することもできる。疎水化された外添剤を用いる場合、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制しやすく、流動性に優れるトナーを得やすい。
本発明の方法を用いて得られる静電潜像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、以下の工程(I)〜(V)を少なくとも含む。
工程(I):液状の有機塩基と溶融状態の結着樹脂とを混合して結着樹脂を中和し、結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る工程、
工程(II):樹脂溶融液と、水とを混合し、結着樹脂を含む微粒子を油相として含有する水中油型エマルジョンを得る工程、
工程(III):水中油型エマルジョンと、着色剤微粒子を含む水性分散液、離型剤微粒子を含む水性分散液、又は着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液とを混合し、微粒子混合分散液を得る工程、
工程(IV):微粒子混合分散液に凝集剤を加えて、微粒子混合分散液中の微粒子を凝集させて凝集粒子を形成させる工程、及び
工程(V):凝集粒子を、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上高く結着樹脂の軟化点(Tm)よりも低い温度に保持し、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる工程。
工程(VI):工程(V)で得られる合一化された粒子を洗浄する、洗浄工程。
工程(VII):工程(V)で得られる合一化された粒子を乾燥する、乾燥工程。
工程(VIII):トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる、外添工程。
工程(I)では、液状の有機塩基と溶融状態の結着樹脂とを混合して結着樹脂を中和し、結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る。樹脂溶融液の調製方法としては、有機塩基と結着樹脂とを混合した後に、混合物を結着樹脂の融点より高い温度まで加熱して、樹脂溶融液を得る方法と、結着樹脂を結着樹脂の融点以上の温度まで加熱して溶融させ、溶融状態の結着樹脂を、有機塩基を用いて中和して樹脂溶融液を得る方法とが挙げられる。
工程(i):結着樹脂を軟化点(Tm)より高い温度に加熱して溶融させ、結着樹脂を含む溶融液を得る工程、及び
工程(ii):樹脂溶融液をTmより高い温度に保持しながら、溶融液と、有機塩基とを混合して、中和された結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る工程、
を含む方法が好ましい。
(工程(i))
工程(i)では、結着樹脂を軟化点(Tm)より高い温度に加熱して、結着樹脂を溶融させる。結着樹脂を溶融させる温度は、特に限定されないが、Tm+10℃以上Tm+30℃以下が好ましい。
工程(ii)では、樹脂溶融液をTmより高い温度に保持しながら、溶融液と、液状の有機塩基とを混合して、有機塩基で中和された結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る。溶融状態の結着樹脂と、液状の有機塩基とを混合するために用いられる混合装置は、例えば、混合・混錬装置(ハイビスディスパーミックス(プライミクス株式会社))、及びプラネタリーデスパ(浅田鉄工株式会社)のような混合・混錬装置が挙げられる。混合・混練装置としては、結着樹脂の溶融状態での保持が容易であることから、温度調整が可能なジャケットを備える装置が好ましい。
中和度(%)=100−(中和後の酸基のモル数/中和前の酸基のモル数)×100
工程(II)では、樹脂溶融液と、水とを混合して、結着樹脂を含む微粒子を油相として含有する水中油型エマルジョンを得る。樹脂溶融液と水とを混合する際、樹脂溶融液の急激な温度変化を避けるために、水の温度と樹脂溶融液の温度との差(水の温度−樹脂溶融液の温度)は、−20℃以上5℃以下が好ましい。
工程(III)では、水中油型エマルジョンと、着色剤微粒子を含む水性分散液、離型剤微粒子を含む水性分散液、又は着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液とを混合し、微粒子混合分散液を得る。以下、着色剤微粒子を含む水性分散液の調製方法と、離型剤微粒子を含む水性分散液とについて説明する。なお、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液は、着色剤微粒子を含む水性分散液と、離型剤微粒子を含む水性分散液とを所望する比率で混合し、必要に応じて固形分濃度を調整することで調製できる。
着色剤微粒子を含む水性分散液の調製方法は特に限定されないが、界面活性剤を含む水性媒体中で、着色剤と、必要に応じて着色剤の分散剤のような成分とを、公知の分散機を用いて分散処理することで、着色剤を含む微粒子が得られる。界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤の何れも使用できる。界面活性剤の使用量は特に限定されないが、臨界ミセル濃度(CMC)以上であるのが好ましい。
図2は、顔料微粒子を含む水性分散液の調製に用いられるマイクロリアクターの断面の模式図である。図2に示すように、マイクロリアクターは、円盤状の二枚のディスクである固定ディスクA及び回転ディスクBを有し、固定ディスクAと、回転ディスクBとは、その間に、高さ1μm以上100μm以下の空隙が形成されるように配置される。
マイクロリアクターを用いる顔料微粒子を含む水性分散液の調製では、まず、図2に示すように、第一原液供給部xから第一の顔料原液を供給して、固定ディスクAと、回転ディスクBとの間に形成される空隙を第一の顔料原液で満たし、薄膜流体を形成する。次いで、第一の顔料原液の薄膜流体に対し、図2に示す、第二原液供給部yから供給される第二の顔料原液を供給して、固定ディスクAと、回転ディスクBとの間に形成される空隙内で、第一の顔料原液と、第二の顔料原液とを混合し、顔料微粒子を析出させる。析出した顔料微粒子は、顔料微粒子を含む水性分散液として、液排出部zにて回収される。
離型剤を予め100μm以下程度に粗粉砕しておく。離型剤の粗粉砕品を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加し、そのスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。加熱したスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、離型剤微粒子を含む水性分散液を調製する。
工程(IV)では、微粒子混合分散液に凝集剤を加えて、微粒子混合分散液中の微粒子を凝集させ、凝集粒子を形成させる。以下、凝集剤、及び、凝集粒子の形成について説明する。
微粒子混合分散液に加えることができる凝集剤としては、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムのような金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムのような無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムが挙げられる。また、4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミンも凝集剤として使用できる。
微粒子混合分散液に凝集剤を加えた後は、微粒子混合分散液を、結着樹脂のガラス転移点(Tg)以上、Tgより15℃高い温度以下に保持するのが好ましい。この範囲の温度に微粒子混合分散液を保持することで、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のような成分を凝集粒子中に、均一に分散させることができ、得られる凝集粒子を所望の粒子形状に制御しやすい。
工程(V)では、凝集粒子を、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上高く、結着樹脂の軟化点(Tm)よりも低い温度に加熱する。凝集粒子をこのような範囲の温度に加熱することで、凝集粒子に含まれる成分の合一化を良好に進行させることができ、好適な球形化度のトナーを調製しやすい。
トナー粒子又はトナー母粒子である工程(V)で得られる合一化された粒子は、必要に応じて水を用いて洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、合一化された粒子の分散液から、固液分離することで合一化された粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、合一化された粒子の分散液中の合一化された粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後に合一化された粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
工程(V)で得られる合一化された粒子は、必要に応じて乾燥される。合一化された粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中の合一化された粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、合一化された粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することで、表面に外添剤を備えるトナー粒子を得ることができる。乾燥された合一化された粒子は、トナー粒子としてもよいし、工程(VIII)で外添処理されるトナー母粒子としてもよい。
工程(VIII)では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー母粒子の表面に埋没しないように条件を調整して混合する方法が挙げられる。
(顔料微粒子分散液の調製)
以下の方法に従い、着色剤として顔料を用い、顔料微粒子を含む水性分散液である顔料微粒子分散液を調製した。
マイクロリアクターとして、強制薄膜リアクター(ULREA SS−11(エム・テクニック株式会社製))を用いて、アシッドペースティング法で、顔料微粒子分散液を調製した。
第二の顔料原液として、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))を濃硫酸(98%)に溶解させて、3%銅フタロシアニン顔料/98%濃硫酸水溶液を得た。
マイクロリアクターの装置条件を以下のように設定し、第一の顔料原液として純水を用い、以下の条件で第一原液供給部xから第一の顔料原液を供給し、以下の条件で第二原液供給部yから第二の顔料原液を供給した。
<装置条件>
プロセス供給圧力:0.3MPa
背圧力:0.02MPa
ディスク回転速度:1700rpm
<第一原液供給部条件>
液温度:5℃
流量:400ml/分
<第二原液供給部条件>
流量:3ml/分
Cv値=100×標準偏差/体積平均粒子径
円形度=4πS/L2(S:面積、L:周囲長)
(離型剤微粒子分散液の調製)
以下の方法に従い、離型剤微粒子を含む水性分散液である離型剤微粒子分散液を調製した。
離型剤(パラフィンワックス、HNP−9PD(日本精蝋株式会社製))と、離型剤の固形分に対して20質量%となる量のアニオン性界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))と、離型剤微粒子分散液の固形分濃度が20質量%となる量のイオン交換水とを、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)に投入した。ナノマイザー中の混合物を、50MPa/90℃の条件で、15分間、剪断乳化し、離型剤微粒子分散液を得た。
以下の工程(I)〜(VIII)に従って、トナーを調製した。結着樹脂としては、以下のポリエステル樹脂A〜Dを用いた。
単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=25/25/46/4(モル比率)
数平均分子量(Mn):2,000
質量平均分子量(Mw):4,500
分子量分布(Mw/Mn):2.25
軟化点(Tm):80℃
ガラス転移点(Tg):41℃
酸価:20mgKOH/g
単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=25/25/45/5(モル比率)
数平均分子量(Mn):2,400
質量平均分子量(Mw):5,700
分子量分布(Mw/Mn):2.38
軟化点:100℃
ガラス転移点(Tg):59℃
酸価:21mgKOH/g
単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=25/24/45/6(モル比率)
数平均分子量(Mn):3,500
質量平均分子量(Mw):8,300
分子量分布(Mw/Mn):2.37
軟化点:122℃
ガラス転移点(Tg):65℃
酸価:22mgKOH/g
単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=20/20/50/10(モル比率)
数平均分子量(Mn):2,400
質量平均分子量(Mw):5,700
分子量分布(Mw/Mn):2.38
軟化点:100℃
ガラス転移点(Tg):59℃
酸価:40mgKOH/g
以下の方法に従って、結着樹脂を含む樹脂溶融液を調製した。
結着樹脂として表1及び表2に記載の種類のポリエステル樹脂を用い、以下の方法に従って、結着樹脂を溶融させた。結着樹脂を、混合・混錬装置(ハイビスディスパーミックス−3D−5型(プライミクス株式会社製))に投入し、プラネタリーミクサー:20rpm、ホモディスパー:1200rpmの条件で撹拌しながら、表1、及び表2に記載の温度まで加熱して溶融させた。
表1及び表2に記載の種類の塩基性化合物を用い、以下の手順に従って、溶融状態の結着樹脂を中和した。塩基性化合物としては、以下の塩基性化合物a〜eを用いた。
塩基性化合物a:トリエチルアミン
塩基性化合物b:トリエタノールアミン
塩基性化合物c:ピリジン
塩基性化合物d:モノエタノールアミン
塩基性化合物e:水酸化ナトリウム
工程(ii)の後、混合・混錬装置の撹拌条件を、プラネタリーミクサー:40rpm、ホモディスパー:1200rpmに変更し、混合・撹拌装置のプラネタリーミクサーに流れる電流が3.5A以上になるまで、樹脂溶融液の温度を下げた。このときの樹脂溶融液の温度を表1及び表2に記す。樹脂溶融液の温度を表1及び表2に記載の温度まで下げた後、同温度で、樹脂溶融液にアニオン性界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))を結着樹脂の固形分に対して5質量%となる量添加した。界面活性剤の添加後、樹脂溶融液を10分間撹拌し続けた。
工程(I)の後、混合・混錬装置の撹拌条件を、プラネタリーミクサー:70rpm、ホモディスパー:2000rpmとして、工程(I)で調製した樹脂溶融液に、95℃の水を、加水後の液中の結着樹脂の濃度が10質量%となるように加え、結着樹脂を含む微粒子を油相として含有する水中油型エマルジョンを調製した。なお、比較例1、及び3の工程(II)では、水の部分と、油相として含有される結着樹脂を含む微粒子とが分離されたことが確認され、水中油型エマルジョンは得られなかった。このため、比較例1及び3については、以降の操作は行わなかった。
ステンレス製の容量500mLの丸底フラスコ容器に、工程(II)で得た水中油型エマルジョン85gと、調製例1で得た顔料微粒子分散液2.5gと、調製例2で得た離型剤微粒子分散液10gとを入れ、これらを25℃で混合した。
フラスコ内を、撹拌羽根(マックスブレンド翼(試作品))を用いて速度200rpmで撹拌した状態で、凝集剤として、濃度50質量%の塩化マグネシウム六水和物水溶液3.5gを、5分間かけてフラスコ内に添加した。凝集剤添加後、0.2℃/分の昇温速度でフラスコの内温を65℃まで上げ、結着樹脂の使用量に対して10質量%のアニオン性界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))をフラスコ内に添加して、微粒子の凝集速度を抑制しつつ、適度な凝集速度で凝集粒子を形成させた。
得られた凝集粒子の分散液を、65℃で、速度200rpm、2時間撹拌することで、凝集粒子を合一化させると共に、凝集粒子の形状を球状に制御した。その後、フラスコ内温を10℃/分の速度で、25℃まで低下させて、形状制御された粒子をトナー母粒子として含む、トナー母粒子分散液を得た。フラスコ内のトナー母粒子分散液に含まれるトナー母粒子の体積平均粒子径、及び球形化度を、粒度分布測定装置(マイクロトラック UPA150(日機装株式会社製))を用いて測定した。トナー母粒子の体積平均粒子径、及び球形化度の測定結果を表1及び表2に記す。
トナー母粒子分散液から、吸引ろ過することで、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。その後、ウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー10gをイオン交換水100gに分散させた時の、分散液の電気伝導率が3.0μS/cm以下になるまで、トナー母粒子のイオン交換水を用いる同様の洗浄を繰り返した。分散液の電気伝導率が3.0μS/cm以下になった後、吸引ろ過することでトナー母粒子のウエットケーキを回収した。回収されたトナー母粒子のウエットケーキを、次工程で乾燥させた。なお、トナー母粒子を洗浄するために用いたイオン交換水の量は、トナー母粒子10gにつき250mLであった。また、分散液の電気伝導率の測定は、電気伝導率計(ES−51(株式会社堀場製作所製))を用いた。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを、連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))を用いて乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる場合の乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
トナー母粒子20質量部と、外添剤(90G(日本アエロジル株式会社製、一次粒子径20nm、シリコーンオイル及びアミノシランで表面処理したシリカ))0.4質量部とを、5Lヘンシェルミキサー(三井三池工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いてトナーを篩別した。
実施例1〜6、及び比較例2、4のトナーの製造方法で得られたトナーを、下記調製例3で調製した2成分現像剤として用い、画像形成を行った。画像形成装置として、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製プリンター(FS−C5100)を用い、2成分現像剤を現像器に充填し、また、トナーをプリンターのトナーコンテナに充填して、画像形成を行った。実施例1〜6で得られたトナーを用いた場合、所望の品質の画像が形成されることが確認できた。これに対し、比較例2、及び4で得られたトナーを用いた場合、所望の品質の画像が形成されなかった。これは、工程(II)で得られた結着樹脂の微粒子の粒子径が大き過ぎ、工程(IV)で凝集粒子を形成させる際に、結着樹脂中に離型剤の微粒子や、顔料の微粒子を良好に取込むことができなかったためと推察される。
フッ素化シリコーン樹脂でコートされたフェライトキャリア(平均粒子径35μm)と、フェライトキャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、混合装置(ポリビン混合機)にて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
Claims (2)
- 以下の工程(I)〜(V):
工程(I):液状の有機塩基と溶融状態の結着樹脂とを、前記有機塩基と前記結着樹脂とに対して水を加えることなく、且つ界面活性剤の存在しない状態において混合して前記結着樹脂を中和し、前記結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る工程、
工程(II):前記樹脂溶融液と、水とを混合し、前記結着樹脂を含む微粒子を油相として含有する水中油型エマルジョンを得る工程、
工程(III):前記水中油型エマルジョンと、着色剤微粒子を含む水性分散液、離型剤微粒子を含む水性分散液、又は着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液とを混合し、微粒子混合分散液を得る工程、
工程(IV):前記微粒子混合分散液に凝集剤を加えて、前記微粒子混合分散液中の微粒子を凝集させて凝集粒子を形成させる工程、及び
工程(V):前記凝集粒子を、前記結着樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上高く前記結着樹脂の軟化点(Tm)よりも低い温度に保持し、前記凝集粒子に含まれる成分を合一化させる工程、
を含み、
前記工程(I)が、以下の工程(i)及び(ii):
工程(i):前記結着樹脂を軟化点(Tm)より高い温度に加熱して溶融させ、前記結着樹脂を含む溶融液を得る工程、及び
工程(ii):前記樹脂溶融液をTmより高い温度に保持しながら、前記溶融液と、有機塩基とを混合して、中和された結着樹脂を含む樹脂溶融液を得る工程、
を含み、
前記結着樹脂がポリエステル樹脂であり、
前記有機塩基の使用量が、前記結着樹脂100質量部に対して6質量部以上であり、
前記工程(I)中の前記結着樹脂の中和度が100%以上である、静電潜像現像用トナーの製造方法。 - 前記有機塩基が、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、モノメタノールアミン、モルホリン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、及びビニルピリジンからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナーの
製造方法。
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