JP2008064837A - 静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネルギー化に対応するため、比較的低い温度でトナー画像を定着しても良好な画像が得られ、かつトナーを保管あるいは輸送するときに保冷や断熱梱包しなくても凝集することのない高い保存安定性を有し、さらにトナーからのワックス遊離による画像不良のないトナー、とそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】コア粒子を形成する樹脂の外側にシェル層を有するコア・シェル構造の静電潜像現像用トナーにおいて、該シェル層のうち少なくとも一層にワックスを10〜50質量%含有する層が存在し、かつ、コア粒子を形成する樹脂の溶解度パラメーター値(SPc)と、SPcとの差が最大となるシェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値(SPs)との差が、0.20以上0.70以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法に関するものである。
近年、電子写真複写機やプリンターは、オフィスでの使い勝手を良くし、製造コストやエネルギーコストを低減化するため、装置の小型化、省エネルギー化へと志向している。
その一方向として、シリコンオイルタンクや塗布装置が不要となるオイルレス定着で、且つ、より低温で定着できる静電潜像現像用トナーが望まれている。この要求に対して、トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)或いは溶融温度を下げる試みがなされてきたが、これらを下げるとトナーの保存安定性(耐ブロッキング性)が悪くなり、とくに夏場には50℃にも及ぶ過酷な条件下に曝されることもしばしばあるため、甚だしい場合にはトナーの形状を保てず、ブロック状の着色樹脂になってしまうことすらある。
省エネルギーを目指した低温定着性の静電潜現像用トナーは、概して保存安定性(耐ブロッキング性)に問題があり、トナー結着樹脂の物性によってこの目的を達成しようとする場合、低温定着性を付与すると保存安定性(耐ブロッキング性)が悪くなり、保存安定性(耐ブロッキング性)を付与すると低温定着性が悪化するという結果になっていた。
これを回避する対策としては、トナー中に多量のワックスを含有させる試み(特許文献1)、或いは、低Tgのコアに高Tgのシェルを被覆する試みやさらにシェル層にワックスを含有させる試み(特許文献2)、などが提案されている。しかし、低温定着性及び保存安定性はいまだ充分なレベルではなく、さらに、コア粒子のワックスの多量含有やシェル樹脂にワックスを含有させることは、定着前にワックスがトナーから遊離し、装置を汚し画像不良を引き起こすなどの不都合がある。
特開平8−50368号公報 特開2001−235894号公報
本発明は、省エネルギー化に対応するため、比較的低い温度でトナー画像を定着しても良好な画像が得られ、かつトナーを保管あるいは輸送するときに保冷や断熱梱包しなくても凝集することのない高い保存安定性を有し、さらにトナーからのワックス遊離による画像不良のないトナーと、それを用いた画像形成方法を提供することである。
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
〔1〕
コア粒子を形成する樹脂の外側にシェル層を有するコア・シェル構造の静電潜像現像用トナーにおいて、該シェル層のうち少なくとも一層にワックスを10〜50質量%含有する層が存在し、かつ、コア粒子を形成する樹脂の溶解度パラメーター値(SPc)と、SPcとの差が最大となるシェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値(SPs)との差が、0.20以上0.70以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
〔2〕
最外層を形成するシェル層にワックスを含有しないことを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
〔3〕
最外層を形成するシェル層の樹脂の溶解度パラメーター値が、コア粒子及び最外層を除く各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値より高い、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の静電潜像現像用トナー。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明により、省エネルギー化に対応するため、比較的低い温度でトナー画像を定着しても良好な画像が得られ、かつトナーを保管あるいは輸送するときに保冷や断熱梱包しなくても凝集することのない高い保存安定性を有し、さらにトナーからのワックス遊離による画像不良のないトナー、とそれを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
以下本発明を詳細に説明する。
《本発明のトナーの実現手段》
次に、本発明のトナーを実現させる手段について説明する。
本発明のトナーは、樹脂と着色剤等を含有するコア部の表面に、樹脂等を含有するシェル層を被覆してなるコア・シェル構造を有するもので、コア粒子の溶解度パラメーター値から最も離れた溶解度パラメーター値を有するシェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値との差が0.20以上0.70以下である静電潜像現像用のトナーである。
本発明のトナーでは、シェル層とコア部を形成する樹脂粒子の溶解度パラメーター値は、その差が0.20以上0.70以下である様に設定することにより、コア部とシェル部の間で層構成を形成しトナーの耐熱保管性が確保されるものである。
溶解度パラメーター値の差が、0.2よりも小さい場合、コア粒子とシェル層樹脂の混ざり合いが起き易い状況となり、その結果耐熱保存性が劣化し、実用上問題が生じることとなる。また、溶解度パラメーター差が0.7より大きい場合、シェル層とトナーコアの接着力が弱く、実機内で使用中にトナーが壊れ易く、画像欠陥を引き起こしてしまうのである。
尚、トナーのコア部を形成する樹脂のTgは5℃以上、40℃以下が好ましい。又、トナーのシェル部を形成する樹脂微粒子の作製については、最外層を形成する樹脂のTgは50℃以上、80℃以下が好ましい。これによって、良好な低温定着性が発現され、シェル層による機械的強度と耐熱保管性の確保と、良好な定着性の確保がなされる。
《離型剤》
本発明では、トナーに適度な離型性を付与し、オフセットの発生を防止するためにトナーのシェル層のうち少なくとも1層に樹脂に対して離型剤(以下、ワックスともいう)を10〜50質量%含有させる。さらに好ましい含有量は20〜40質量%である。尚、ワックスの含有量は、樹脂とワックスの全体量に対する質量%とする。
離型剤が10%よりも少ない場合、定着性への離型剤としての効果が損なわれ、また、50%より大きい場合、シェル層を形成したときに、その層がもろくなり、画像形成装置内にてトナーを使用中にシェル層の剥がれ現象が生じ、画像欠陥として現れてくる可能性もある。
前記離型剤は、その融点が40〜150℃のものが好ましく、50〜110℃のものがより好ましい。上記範囲内に融点を有することにより、定着温度を低温に設定しても良好な定着性が得られるとともに、良好な耐オフセット性や耐久性が得られることが確認されている。
尚、離型剤の融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。本発明のトナーの離型剤融点は、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。
測定手順としては、トナー4.5mg〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤しアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
離型剤融点は、離型剤吸熱ピークのピークトップの温度を離型剤融点として示す。
又、本発明においては、これら離型剤をシェル層のうち少なくとも1層中に10〜50質量%含ませるとともに、コア層にも離型剤を含有させても良い。
本発明に用いることができる離型剤としては、例えば、ポリオレフィンワックスとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン。製造法にちなんだ慣用名としては、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、メタロセンワックスが好ましい。そのほか、脂肪酸ワックス、およびそのエステル化合物、高級アルコールワックス、ラノリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、蜜蝋、カイガラムシワックス、モンタンワックスなどである。
脂肪酸系ワックスには、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の炭素数16〜30程度の飽和直鎖脂肪酸類;例えば、エライジン酸、エレオステアリン酸、バナリン酸、ブラシン酸等の炭素数18〜30程度の不飽和脂肪酸類;例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩などがあり、脂肪族アルコール系ワックスには、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなど炭素数16〜34程度の飽和脂肪族一価アルコール;例えばソルビトールなどの脂肪族多価アルコールなどがある。
又、本発明では、離型剤を後述する界面活性剤や分散剤を用いて水系媒体中で加熱撹拌してなる分散液を用いてトナーの形成を行うものであってもよい。この場合、例えば離型剤を乳化して作製されるワックスエマルジョンを作製し、樹脂粒子を凝集させる時に着色剤分散液とともに凝集させて添加することが可能である。
《溶解度パラメーター値》
トナーコア部及びシェル層の各樹脂の溶解度パラメーター値は、その構成する樹脂の組成より求めることができる。
各樹脂の溶解度パラメータ値は、樹脂を構成する各単量体(モノマー)の溶解度パラメータ値とモル比の積より算出されるものである。例えば、共重合体樹脂をX、Yの2種類の単量体より構成されるものと仮定した時、各単量体の質量組成比をx、y(質量%)、分子量をMx、My、溶解度パラメータ値をSPx、SPyとすると、各単量体比はx/Mx、y/Myとなる。ここで、共重合体樹脂のモル比をCとすると、C=x/Mx+y/Myと表され、この共重合体樹脂の溶解度パラメータ値SPは下記式(1)のようになる。
式(1)
SP={(x×SPx/Mx)+(y×SPy/My)}×1/C
単量体の溶解度パラメータ値(SP値)は、以下のようにして求める。
ある単量体Aの溶解度パラメータ値(SP値)を計算する場合、その単量体の分子構造中の原子または原子団に対して、Fedorsによって提案された「Polym.Eng.Sci.Voll14.p114(1974)」から蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)を求め、下記式(2)より算出する。
但し、重合時開裂する2重結合については、開裂した状態をその分子構造とする。
式(2)
σ=(ΣΔei/ΣΔvi1/2
下記の各単量体の溶解度パラメータ値は、上記計算法により求めた値を用いる。
スチレン 10.55
ブチルアクリレート 9.77
2−エチルヘキシルメタクリレート 9.04
2−エチルヘキシルアクリレート 9.22
メチルメタクリレート 9.93
メタクリル酸 12.54
アクリル酸 14.04
この値を用い、前記式(1)に従い、共重合体の溶解度パラメータ値を求める。
尚、上記式(2)の算出式にて単量体の溶解度パラメータの算出が不可能な場合には、具体的な値としてはポリマーハンドブック(ワイリー社刊)第4版等の文献または、独立行政法人「物質・材料研究機構」提供のデータベース PolyInfo(http://polymer.nims.go.jp)に記載の溶解度パラメータの項目(http://polymer.nims.go.jp/guide/guide/p5110.html)を参照するとよい。
本発明にかかわるトナーでは、トナーコア部の溶解度パラメーター値(SPc)とシェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値のうちコア粒子の溶解度パラメーター値から最も離れた溶解度パラメーター値を有するシェル層の溶解度パラメーター値(SPs)の差
ΔSP=|(SPc)−(SPs)|
が、0.20以上0.70以下のときに、各部位が適当な接着性を有しかつ安定した非相溶性が発現され、コア部に内包されたワッワックスが定着時以外はトナー表面に移動することがなく、高耐久性が実現される。
各樹脂の溶解度パラメーター値は、共重合体を形成する重合性単量体の種類とその比率を適宜選択することで、コントロール可能である。特に酸モノマーの含有量によって、溶解度パラメーター値をコントロールすることが好ましい。
又、最外層を形成するシェル層の樹脂の溶解度パラメーター値が、コア粒子及び最外層を除く各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値より高いことが好ましい。トナー作製時に、シェル層を形成する工程が良好に実施できるとともに、短時間でシェル層を形成することができ、所望の形状のトナーが得易いからである。
《本発明のトナーの構造》
図1は、本発明のトナーの構造を示す模式図である。
図1において、Tはトナー、Aはコア部、Bはシェル層、1は着色剤粒子、2はコア部を形成する樹脂、3はシェル部を形成する樹脂を示す。
本発明のトナーは、トナーTの製造工程で、樹脂と着色剤を含有するコア部Aの表面に、コア部とは溶解度パラメーター値が0.20以上、0.70以下異なる樹脂を用いて形成された樹脂粒子を塩析/凝集してシェル層を形成して得られたものである。
本発明のトナーは、シェル層の厚さが10〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。
シェル層は、必ずしもトナー表面を完全に被覆していなくても本発明の課題を解消する効果を有する程度まで被覆されていればよい。図1(a)に示すごとくトナー表面を面積率で70%以上、好ましくは80%以上を被覆することで、低温での定着性と保管時の耐熱保管性を両立することが可能である。又、図1(b)のようにシェル層の一部がコア部の内部に入り込んでいてもよく、図1(c)のようにコア部表面の全面をシェル層で覆ったものと同様な効果を発現する。
ここで、シェル層が形成されるとは、コア部の外表面を覆う(被覆ともいう)層が前記コア部の外表面の70表面積%以上である時にコア部表面にシェル層が形成されたと定義する。
本発明では、シェル層の表面被覆率(上記表面積%、これを表面被覆率という)や膜厚は、トナーのTEM(透過型電子顕微鏡)写真より、着色剤(カーボンブラックやイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料等)や離型剤等の存在領域(コア部)を目視観察により確認し、トナーの最表面から、コア部までの距離をランダムに十点測定し、その平均値からシェル層の膜厚を算出する。尚、TEM撮影を行うトナーの数は、最低でも50個以上とする。
また、最外層を形成するシェル層にワックスを含有させないことが好ましい。最外層にワックスの含有していない層を形成すると、ワックス遊離が抑えられ、実機耐久試験における画像欠陥が生じにくくなるためである。
本発明のトナーが、低温での定着性と保管時の耐熱保管性の二つの作用を両立できるようになった理由は明らかでないが、おそらく、コア部とシェル層は、分子レベルで非相溶であるため、トナー内部のコア部が低軟化温度、低ガラス転移温度の樹脂で構成されていても、シェル層を構成する樹脂はコア部を構成する樹脂の影響でガラス転移温度の低下や可塑化といった現象を発生させないものと推測される。その結果、本発明のトナーは、低温での定着性と耐熱保管性の二つの作用を両立できるようになったものと推測される。
〔トナーの構造の検知方法〕
本発明のトナーの構造は、トナーを80〜200nmの切片とし、透過型電子顕微鏡装置(TEM)で充分観察することができる。透過型電子顕微鏡装置(TEM)としては、例えば「H−9000NAR」(日立製作所社製)、「JEM−200FX」(日本電子社製)等が挙げられる。本発明では、10,000倍の倍率で50個以上のトナーの投影面からトナー内におけるコア部の大きさとシェル層の厚さを透過型電子顕微鏡写真の結果により算出することができる。尚、観察の倍率は、トナー1個の断面構造が判る範囲で調整可能である。
透過型電子顕微鏡による観察方法は、トナーを測定する際に行なわれる通常の方法で行なわれる。例えば、まず、観察用のトナー試料を作製する。常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを充分分散させた後、包埋し、硬化させてブロックを作製する。作製したブロックをダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、厚さ80〜200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製する。次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断面形態の写真撮影をする。当該写真からトナー中における樹脂層組成を目視で確認する。必要に応じて画像処理装置「ルーゼックスF」(ニコレ社製)で撮影された画像情報を演算処理して、トナー内におけるコア部の粒径とシェル層の層厚を測長することも可能である。
又、測定用試料は場合によっては四酸化ルテニウム、又は四三酸化オスミウム等で染色しても良い。
〔軟化温度〕
本発明のトナーの軟化温度(Tsp)は、70〜98℃であることが好ましい。この軟化温度のトナーを用いると、定着時の転写材表面の温度が100℃以下でも定着することが可能である。したがって、本発明のトナーは、水蒸気の発生による画像欠陥や転写材の変形(カール)の発生のない温度での定着を可能にしている。
トナーの軟化温度の測定方法は、例えば「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、試料をあらかじめ9.2メッシュパス(目開き2.0mm)、32メッシュオン(目開き0.5mm)の粒度に揃えた後、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより200N/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、降下量5mmに対する温度を軟化温度とするものが挙げられる。
〔分子量〕
本発明のトナーを作製する上で、トナー中のコア部とシェル層を形成する樹脂の分子量をそれぞれ特定範囲に設定することが好ましい。
具体的には、コア部を構成する樹脂の重量平均分子量を5,000〜30,000、シェル層を構成する樹脂の重量平均分子量を10,000〜80,000、さらにコア部を構成する樹脂の重量平均分子量を15,000〜28,000、シェル層を構成する樹脂の重量平均分子量を10,000〜50,000の範囲にそれぞれピーク分子量を設定することが好ましい。
次に、本発明で用いられる材料ついて説明する。
《樹脂》
コア部を形成する樹脂及びシェル層を形成する樹脂は、スチレン−アクリル系共重合樹脂が好ましい。
コア部を形成する樹脂を作製する単量体には、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き下げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
コア部を形成する共重合体樹脂における上記重合性単量体の共重合体比は、8〜80質量%であり、9〜70質量%が好ましい。
又、これらの重合性単量体は、上記の他に、酸、酸無水物、或いはビニルカルボン酸金属塩の形態を有するものであってもよい。
又、本発明では、スチレン系単量体を併用してコア部を形成する共重合体樹脂を形成しても良い。
シェル層を形成する樹脂を作製する単量体には、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
シェル層を形成する共重合体樹脂における上記重合性単量体の共重合体比は、8〜80質量%であり、9〜20質量%が好ましい。
又、これらの重合性単量体は、上記の他に、酸無水物、或いはビニルカルボン酸金属塩の形態を有するものであってもよい。
〔重合性単量体〕
本発明のトナーを構成する樹脂を得るための重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、特に酸性基を有するラジカル重合性単量体から選ばれた少なくとも1種類の単量体を使用することが好ましい。又、必要に応じて架橋剤を使用することもできる。かかるラジカル重合性単量体としては、例えば芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メト芳香キシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体及びその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等のカルボン酸基含有単量体、又はスチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等のスルホン酸基含有単量体が挙げられる。酸性基を有するラジカル重合性単量体の全部又は一部は、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩又はカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。使用する単量体(含、単量体混合物)に占める酸性基を有するラジカル重合性単量体の割合としては0.1〜25質量%であることが好ましい。
トナーの耐ストレス性等の特性を改良する為に、ラジカル重合性の架橋剤を添加して前記ラジカル重合性単量体と共重合させても良い。かかるラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有する化合物が挙げられる。使用する単量体(単量体混合物)に占めるラジカル重合性架橋剤の割合としては0.1〜10質量%であることが好ましい。
〔連鎖移動剤〕
樹脂の分子量を調整する為には、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。用いられる連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
〔ラジカル重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等のアゾ系化合物、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用してもよい。レドックス系開始剤を用いることで、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
〔界面活性剤〕
前記ラジカル重合性単量体を使用して乳化重合を行う際、使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤が好適に用いられる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができるが、必要に応じて前述したイオン性界面活性剤と併用して重合を行っても良い。
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は使用目的、例えば会合粒子の分散剤等の目的で使用してもよい。
《着色剤》
本発明に用いられる着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用可能で、具体的には、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
尚、含有量は、樹脂(結着樹脂)100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。
《荷電制御剤》
本発明のトナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばフッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられ、具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、アゾ系金属錯塩化合物のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。この中でも、アゾ系金属錯塩化合物が好ましく、例えば特開2002−351150号公報の段落0009〜0012に開示されるものが好ましく用いられる。
本発明において、荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。
本発明では、荷電制御剤をトナー表面近傍に含有させることが好ましい。即ち、トナー表面近傍に含有させることによりトナーに帯電性を効果的に付与するとともに、トナー表面に荷電制御剤を露出させない様に含有させてトナーの流動性を確保することが可能である。
具体的な含有方法としては、例えばトナーを構成する樹脂粒子への荷電制御剤の添加量を制御する方法が挙げられる。即ち、トナーの表面近傍を構成する樹脂粒子に多めに荷電制御剤を添加しておき、荷電制御剤を添加していない樹脂粒子でトナー表面を形成する様に樹脂粒子を凝集させる方法や、荷電制御剤を含有させた樹脂粒子を凝集させた後、凝集粒子表面に荷電制御剤を含有していない樹脂成分でカプセル化する方法が挙げられる。
樹脂粒子内へ含有させる方法としては、結着樹脂とともに混練し、その分散径を調節す、脱離したりする場合は水相側に添加し、凝集工程や乾燥工程時にトナーに組み込んでも構わない。
《外添剤》
外添剤として、無機微粒子を構成する材料としては、各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等があげられる。さらに、上記無機微粒子に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレン樹脂微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子等が好ましく用いられる。
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム等のリシノール酸金属塩等が挙げられる。
《トナー製造方法》
トナー製法としては、請求項の記載要件を満足するトナーが得られれば特に限定されるものではなく、例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融法、混練粉砕法等を挙げることができる。中でも、シェル層への添加剤の導入のしやすさ、層構成の制御のしやすさより、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法が好ましく用いられる。
本発明に係るトナーを製造する場合、各工程については後で詳述するが、何れにしろ下記工程を経て作製される。
先ず、樹脂粒子と着色剤粒子とを会合融着させてコアとなる粒子(以下コア粒子という)を作製する。次に、コア粒子分散液中に樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にこの樹脂粒子を凝集、融着させることによりコア粒子表面を被覆してコア・シェル構造を有する着色粒子を作製する。このように、本発明に係るトナーは、各種製法で作製されたコア粒子の分散液中に、樹脂粒子を添加してコア粒子に融着させてコア・シェル構造のトナーを作製するものである。
以下に、ミニエマルジョン重合凝集法を用いて説明する。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂微粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)コア粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子分散液中に、シェル用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造の着色粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の着色粒子の形状を調整する第2の熟成工程
(7)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程
また、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程
を有する場合もある。
以下、本発明に係わるトナーの各製造工程について説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体に離型剤化合物を溶解させて、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。かかる樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることで着色粒子とすることができる。
(3)凝集・融着工程
前記融着工程における凝集、融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着色又は非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに、離型剤微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
なお、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。
また、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
そして、本発明では、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集、融着させ、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させて着色粒子を形成する。
複数の層を有する場合、コア粒子に近い側の層を形成する樹脂を添加し、コア粒子に吸着させた後次いで次の層を形成する樹脂を添加し、順次シェル層を形成させていく。先に添加されたシェル用樹脂のコア粒子への融着状態にかかわらず吸着していれば、次のシェルを添加して差し支えない。最外層を融着させた段階で各層が融着していればよい。
また、シェル用樹脂粒子の製造法としては、粒子中に多量の離型剤が取り込みやすいため、ワックス分散粒子をシード粒子としたワックスシード重合法が好ましく用いられる。
(6)第2の熟成工程
シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが100〜300nmのシェルを形成する。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃った着色粒子が形成される。
本発明では、第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
(7)冷却工程・固液分離・洗浄工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥された着色粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
《現像剤》
本発明のトナーは、一成分現像剤、非磁性一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、何れにも使用することができる。又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の鉄含有磁性粒子に代表される従来から公知の材料を用いることができるが、特に好ましくはフェライト粒子もしくはマグネタイト粒子である。上記キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、20〜80μmのものがより好ましい。
キャリアの体積基準分布のメディアン径D50の測定は、レーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)を用いて測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているコーティングキャリア、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
又、キャリアとトナーの混合比は、質量比でキャリア:トナー=1:1〜50:1の範囲が好ましい。
《画像形成方法および画像形成装置》
本発明のトナーは、現像器によりトナー像が形成され転写材に転写され、定着装置を構成する加熱部材間を通過させて定着する接触型定着方式の画像形成装置に好適に使用される。
各色トナーを用いてフルカラーの画像形成を行うフルカラー画像形成装置の一例を図2に基づいて具体的に説明する。
また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
図2は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2に示すように、この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kと、ベルト状の中間転写体6と給紙手段と搬送手段とトナーカートリッジ5Y、5M、5C、5K、本発明である定着装置10、及び操作部91等から構成されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット9Yは、像担持体(以下、感光体と称す)1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y、転写手段7Y、クリーニング手段8Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット9Mは、感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M、転写手段7M、クリーニング手段8Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット9Cは、感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C、転写手段7C、クリーニング手段8Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成ユニット9Kは、感光体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K、転写手段7K、クリーニング手段8Kを有する。
中間転写体6は、複数のローラ6A、6B、6Cに巻回され、回動可能に支持されている。
画像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に転写手段7Y、7M、7C、7Kにより逐次1次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
給紙手段である給紙カセット20内に収容された用紙Pは、給紙ローラ21により一枚ずつ給紙され、レジストローラ22を経て、転写手段7Aに搬送され、用紙P上に前記カラー画像が2次転写される。
カラー画像が転写された前記用紙Pは、本発明の定着装置である定着装置10により定着処理され、搬送手段である搬送ローラ23、24を経て、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
図3は、本発明の定着装置を詳しく説明するための定着装置10の概略断面図である。
図3に示すように、本発明の定着装置10は、本発明に係る定着回転体である加熱定着ローラ101を有している。更に定着装置10は、本発明に係る清掃回転体である清掃ローラ103と、本発明に係る清掃部材である清掃ウェブ104を有しており、これらで加熱定着ローラ101に付着したワックスを取り除く。
加熱定着ローラ101は加圧回転体であり加熱定着ローラ101に圧接する加圧ローラ102とで定着ニッブ部Nを形成し、この定着ニップ部Nにトナーtを有した転写材Pを通過させ熱定着を行っている。このニップ部Nでの熱定着によって、トナーtは溶融し転写材P上に定着される。この際、トナーt中に分散含有されるワックスが溶融して加熱定着ローラ101と溶融したトナー樹脂の界面に所定量以上存在するようになるために、トナー樹脂と加熱定着ローラ101の接着力が下がり、オフセットや転写材の巻き付きが抑制されるとともに、ワックスの一部は加熱定着ローラ101に付着する。
加熱定着ローラ101は、加熱源であるハロゲンヒータ161を内包するアルミニウムA5056の円筒芯金105に熱伝導率0.50W/m・K、JIS−A硬度10°で厚さ1.5mmのシリコーンゴムの耐熱弾性層106を形成し、さらに1層ないし3層の接着層を介してその上の最表面に厚さ30μmのPFA樹脂のトナー離型層107を、ディスパージョン状態のPFA樹脂を塗布焼成することにより、形成させたものであり、図示しないモータにより回転駆動される。また、加熱定着ローラ101には、PFA樹脂のトナー離型層107として、チューブとして成型されたPFAチューブを耐熱弾性層106の上に接着層等を介して被覆してもよい。
トナー離型層107には、フッ素樹脂を含有する材料を用いることが好ましい。フッ素樹脂としてより好ましいのは、PFA、PTFE、FEPのいずれかを含有する材料であり、最も好ましくは、PFA、PTFE、FEPのいずれかである。これにより、トナー樹脂やトナー粒子に含まれるワックスに対する加熱定着ローラ101表面の離型性も向上し、定着時にトナーが加熱定着ローラ101表面につきにくくなるとともに、加熱定着ローラ101表面にワックスがつきにくくなり、加熱定着ローラ101表面にワックスが付着したとしてもより清掃ローラ103によるワックスの除去効果を向上させることができ、光沢メモリをより一層抑えることができる。
加熱定着ローラ101のトナー離型層107の厚さは20〜50μmであることが好ましい。20μm以上とすることで、均一なフッ素樹脂の層を形成しやすくなる。また、50μm以下とすることで、加熱定着ローラ101表面がトナー像tを担持する転写材Pの表面凹凸にならい易くすることができ、画像劣化を抑えることができる。また、50μm以下の領域では、加熱定着ローラ101表面が清掃ローラ103表面にならい易くなることにより清掃ローラ103によるワックスの除去効果を一層向上させることができる。
加圧ローラ102は、アルミニウム円筒芯金108に厚さ1.0mmのシリコーンゴムの耐熱弾性層109を形成し、さらに1層ないし3層の接着層を介してその上の最表面に厚さ30μmのPFA樹脂のトナー離型層110を形成させたものであり、加熱定着ローラ101とで、トナー像tを有する転写紙Pを圧着して、加圧しながら従動回転する。トナー離型層110は前述したトナー離型層107と同様な方法にて形成される。
清掃ローラ103は、アルミニウム円筒芯金に硬質陽極化処理を行ってアルミナ被膜を形成し、さらにテトラチオモリブデン酸アンモニウム溶液中で二次電解して被膜中の超微細ポアー内に二硫化モリブデンを析出させてから表面を研磨したものであり、表面粗さRzを1.6μm以下とし、ビッカース表面硬さが3430MPa以上である。また、この清掃ローラ103のアルミニウム円筒の内側にハロゲンヒータを設置して、外部加熱ローラとしての役目も兼ねることが可能である。
《転写材》
本発明で用いられる転写材とは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材或いは転写紙と通常呼ばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙(例えば光沢塗工紙)、市販されている和紙やハガキ用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)コア粒子またはシェル用樹脂粒子分散液(A−1)の作製
スチレン146g、n−ブチルアクリレート88g、メタクリル酸16g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート4.05gからなる単量体混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、そこにペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル100gを添加し、70℃に加温、溶解させて単量体混合液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1350gに溶解させた界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記単量体混合液を添加、混合した後、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)により30分間分散を行うことにより乳化分散液を調製した。
次いで、この分散液に過硫酸カリウム3gをイオン交換水150gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を78℃で1.5時間加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子に対し、さらに過硫酸カリウム7.38gをイオン交換水220gに溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン265g、n−ブチルアクリレート160g、メタクリル酸30g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート5.46gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合を進行させた後、28℃まで冷却して樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液を「コア粒子用樹脂粒子分散液(A−1)」とする。
得られた樹脂は、SP値10.48であり、Tgは30℃であった。
(2)着色剤粒子分散液1の作製
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600gに投入して撹拌溶解させた。この液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R キャボット社製)420gを徐々に添加し、次いで、機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。これを「着色剤粒子分散液1」とする。
「着色剤粒子分散液1」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(3)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B)の作製
(3−1)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製
撹拌装置、冷却管及び温度センサを装着した四頭コルベンに、平均粒径300nmのベヘン酸ベヘニル粒子を分散させてなるエマルジョンを34g(固形分換算)、イオン交換水536gを投入後、系内の温度を80℃に昇温させた。
続いて、過硫酸カリウム1.44gをイオン交換水64gに溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、ついで下記重合性単量体の混合液(m−1)とn−オクチルメルカプタン1.95gの混合物を80分かけて滴下して、重合反応を行った。混合物滴下後、60分間系内の温度を保持してそれから室温まで冷却し、濾過を行って樹脂微粒子を作製した。反応後の系内に重合残渣は見られず樹脂微粒子が安定して作製されたことを確認した。得られた樹脂微粒子分散液を「ワックスが含まれるシェル用樹脂微粒子分散液(B−1)」とする。この樹脂のsp値は10.61で、ガラス転移温度Tgは71.4℃であった。
重合単量体の混合液(m−1)
スチレン 93.6g
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0g
メタクリル酸 8.4g
(3−2)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の変わりに下記(m−2)を用いて、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)を作製した。この樹脂のsp値は10.53で、ガラス転移温度Tgは69.0℃であった。
重合単量体の混合液(m−2)
スチレン 97.2g
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0g
メタクリル酸 4.8g
(3−3)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに下記(m−3)を用いて、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−3)を作製した。この樹脂のsp値は9.77で、ガラス転移温度Tgは58.8℃であった。
重合単量体の混合液(m−3)
メチルメタクリレート 82.8g
2−エチルヘキシルメタクリレート 37.2g
(3−4)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−4)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに下記(m−4)を用いて、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−4)を作製した。この樹脂のsp値は10.74で、ガラス転移温度Tgは78.8℃であった。
重合単量体の混合液(m−4)
スチレン 89.4g
2−エチルヘキシルアクリレート 16.2g
メタクリル酸 14.4g
(3−5)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに下記(m−5)を用いて、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)を作製した。この樹脂のsp値は10.69で、ガラス転移温度Tgは62.7℃であった。
重合単量体の混合液(m−5)
スチレン 80.3g
2−エチルヘキシルアクリレート 25.3g
メタクリル酸 14.4g
(3−6)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−6)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに下記(m−6)を用いて、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−6)を作製した。この樹脂のsp値は9.81で、ガラス転移温度Tgは57.0℃であった。
重合単量体の混合液(m−6)
スチレン 3.6g
メチルメタクリレート 75.6g
2−エチルヘキシルメタクリレート 39.6g
メタクリル酸 1.2g
(3−7〜11)ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−7〜11)の作製
ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)の作製法において、ベヘン酸べへニルの添加量(固形分換算)を、(B−7)10.4g(ワックス含有量8%)、(B−8)16.4g(12%)、(B−9)73.5g(38%)、(B−10)106g(47%)、(B−11)135.3g(53%)に変更して、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−7〜B−11)を作製した。
(4)ワックスなしシェル用樹脂微粒子分散液(C)の作製
(4−1)シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製
撹拌装置、冷却管及び温度センサを装着した四頭コルベンに、イオン交換水416gとドデシル硫酸ナトリウム1g投入後、系内の温度を80℃に昇温させた。
続いて、過硫酸カリウム1.44gをイオン交換水64gに溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、ついで下記重合性単量体の混合液(m−1)とn−オクチルメルカプタン1.95gの混合物を80分かけて滴下して、重合反応を行った。混合物滴下後、60分間系内の温度を保持してそれから室温まで冷却し、濾過を行って樹脂微粒子を作製した。反応後の系内に重合残渣は見られず樹脂微粒子が安定して作製されたことを確認した。得られた樹脂微粒子分散液を「シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)」とする。
この樹脂のsp値は10.61で、ガラス転移温度Tgは71.4℃であった。
重合単量体の混合液(m−1)
スチレン 93.6g
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0g
メタクリル酸 8.4g
(4−2)シェル用樹脂微粒子分散液(C−2)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに前記(m−3)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(C−2)を作製した。この樹脂のsp値は9.77で、ガラス転移温度Tgは58.8℃であった。
(4−3)シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに前記(m−4)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(C−3)を作製した。この樹脂のsp値は10.74で、ガラス転移温度Tgは78.8℃であった。
(4−4)シェル用樹脂微粒子分散液(C−4)の作製
シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の作製法において、重合性単量体の混合液(m−1)の代わりに前記(m−5)を用いて、シェル用樹脂微粒子分散液(C−4)を作製した。この樹脂のsp値は10.69で、ガラス転移温度Tgは62.7℃であった。
(5)着色粒子の分散液作製
着色粒子分散液1の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂粒子A−1を固形分換算で392gと、イオン交換水1100gと、「着色剤分散液1」200gを仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/L(リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザーIII」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40gをイオン交換水160gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、「コア部1」を形成した。
次いで、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)を固形分換算で44g添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、「コア部1」の表面にワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の粒子を融着させシェル層を形成させた。次いで、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600gに溶解した水溶液を添加し熟成処理を行い、FPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液1」を作製した。
前記着色粒子の円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナーを界面活性剤入りの水溶液でなじませ、超音波分散処理を1分間行ってトナーを分散させた後、「FPIA−2100」を用いて測定を行う。測定条件は、HPF(高倍率撮像)モードに設定してHPF検出数を3000〜10000個の適正濃度にして測定するものである。
着色粒子分散液2の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂粒子A−1を固形分換算で348gと、イオン交換水1100gと、「着色剤分散液1」200gを仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザーIII」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40gをイオン交換水160gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、「コア部1」を形成した。
次いで、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)を固形分換算で44g添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、「コア部1」の表面にワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の粒子を融着させた。次いで、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)を固形分換算で44g添加し、80℃にて1時間にわたり撹拌を継続し、着色粒子の表面にシェル用樹脂微粒子を融着させ、シェル層を形成させた。ここで、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600gに溶解した水溶液を添加し熟成処理を行い、前述のFPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、着色粒子分散液2を作製した。
着色粒子分散液3の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わりに(B−3)を用いて、同様に着色粒子分散液3を作製した。
着色粒子分散液4の作製
着色粒子分散液1の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の代わりに(B−6)を用いて、同様に着色粒子分散液4を作製した。
着色粒子分散液5の作製
着色粒子分散液1の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−1)の代わりに(B−4)を用いて、同様に着色粒子分散液5を作製した。
着色粒子分散液6の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わりに(B−4)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりに(C−3)を用いて、同様に着色粒子分散液6を作製した。
着色粒子分散液7の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わりに(B−5)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりにワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−4)を用いて、同様に着色粒子分散液7を作製した。
着色粒子分散液8の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わりにコア粒子用樹脂粒子分散液(A−1)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりに(C−3)を用いて、同様に着色粒子分散液8を作製した。
着色粒子分散液9の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わり(B−4)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりに(C−2)を用いて、同様に着色粒子分散液9を作製した。
着色粒子分散液10の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わり(B−4)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりに(C−4)を用いて、同様に着色粒子分散液10を作製した。
着色粒子分散液11の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わり(B−5)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりに(C−3)を用いて、同様に着色粒子分散液11を作製した。
着色粒子分散液12の作製
着色粒子分散液2の作製方法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−2)の代わり(B−6)を用い、シェル用樹脂微粒子分散液(C−1)の代わりに(C−3)を用いて、同様に着色粒子分散液12を作製した。
着色粒子分散液13〜17の作製
着色粒子分散液11の作製法において、ワックス含有シェル用樹脂微粒子分散液(B−5)の代わりにそれぞれB−7〜B−11を用いて、着色粒子分散液13〜17を作製した。
Figure 2008064837
(6)トナー1〜17の作製
着色粒子分散液1〜17に対して以下の処理を行いそれぞれトナー1〜17を作製した。
着色粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械社製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー用母体粒子を得た。
次いで、得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナーを作製した。
(7)現像剤1〜17の作製
トナー1〜17を用いて、以下の手順にて現像剤1〜17を作製した。
トナー粒子の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。
(8)評価実験
上記現像剤1〜17を使用して、市販のデジタル複写機bizhub PRO 1050を評価機として使用し、装備されている定着装置を定着温度が変更できるように改造したものを用いた。(定着温度140℃)◎〜△が合格レベル、×が不合格とした。
〈低温定着性〉
上記評価機の定着器の加熱ローラー表面温度を、紙表面温度が80〜150℃の範囲で10℃刻みで変化するように変更し、各変更温度でトナー画像を定着して定着画像を作製した。尚、プリント画像の作製に当たっては、A4版サイズの上質紙(80g/m2)を使用した。
定着して得られたプリント画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法を用いて定着率により評価した。
具体的には、トナー付着量が0.6mg/cm2である2.54cm角のベタ黒プリント画像を作製した後、「スコッチメンディングテープ」(住友3M社製)で剥離する前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として求めた。
定着率が95%以上得られた「転写材(紙)表面温度」を最低定着温度とする。尚、転写材(紙)表面温度は非接触温度計で測定した。また、画像濃度は反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)で測定した。
評価基準
◎:最低定着温度95℃未満での定着が可能
○:最低定着温度95℃以上、105℃未満での定着が可能
△:最低定着温度105℃以上、120℃未満での定着が可能
×:最低定着温度120℃以上での定着が可能。
〈画像不良〉
上記で作製したトナーを順番に装填し、20℃、55%RHの環境で、以下の項目について行った。プリントは、画素率が10%の画像(文字画像が7%、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像(ソリッド画像)がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像)をA4版上質紙(64g/m2)に10000枚行い、10000枚目の画像により評価を行った。
評価基準
◎:ソリッド画像に、白点ぬけが全く無い
○:ソリッド画像に、1mm以上の白点ぬけが平均1〜3個有った
×:ソリッド画像に、1mm以上の白点ぬけが平均3個より多く有った
〈耐熱保管性〉
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業社製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
(トナー凝集率(%))=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が20質量%以下(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
結果を表2に示す。
Figure 2008064837
表2から明らかなように、本発明のトナーは、低温定着性、耐熱保管性に優れ、かつ画像不良のない良好な画像が得られる。
本発明のトナーの構造を示す模式図である。 フルカラー画像形成装置の一例の構成断面図。 本発明に係わる定着装置の一例の概略断面図。
符号の説明
1 着色剤粒子
2 コア部を形成する樹脂
3 シェル部を形成する樹脂
9Y、9M、9C、9K 画像形成ユニット
6 中間転写体
10 定着装置
20 給紙カセット
101 加熱定着ローラ
102 加圧ローラ
103 清掃ローラ
104 清掃ウェブ
121 ワックス均一化部材
121A 定着ベルト
122 上加圧ローラ
123 支持加熱ローラ
124 下加圧ローラ
161、162 ハロゲンヒータ
P 転写材
A コア部
B シェル層
P 転写材
T トナー

Claims (4)

  1. コア粒子を形成する樹脂の外側にシェル層を有するコア・シェル構造の静電潜像現像用トナーにおいて、該シェル層のうち少なくとも一層にワックスを10〜50質量%含有する層が存在し、かつ、コア粒子を形成する樹脂の溶解度パラメーター値(SPc)と、SPcとの差が最大となるシェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値(SPs)との差が、0.20以上0.70以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 最外層を形成するシェル層にワックスを含有しないことを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 最外層を形成するシェル層の樹脂の溶解度パラメーター値が、コア粒子及び最外層を除く各シェル層を形成する樹脂の溶解度パラメーター値より高い、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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