JP6330687B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
省エネルギー化、及び画像形成装置の小型化の観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能なトナーが望まれている。一般に、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点もしくはガラス転移点の低い結着樹脂又は低融点の離型剤が使用されることが多い。しかしながら、このようなトナーを高温で保存する場合にトナーに含まれるトナー粒子が凝集しやすいという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子と比較して低下しやすい。
特許文献1には、トナーコアをシェル層で被覆したトナー粒子を含むトナーが記載されている。特許文献1には、熱硬化性成分を含むシェル層でトナーコアの表面が被覆されており、トナーコアの軟化温度が40℃以上150℃以下であるトナー粒子を含むトナーが記載されている。
特開2004−138985号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーは、トナーコアが低温で軟化可能であるように設計されているものの、必ずしも、低温で良好に定着されるわけではない。また、特許文献1に記載のトナーを用いて画像を形成する場合、定着温度が高いと、溶融したトナー粒子が、加熱された定着ローラーへ融着することに起因して、オフセットが生じやすい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性及び低温定着性が優れるトナーを提供することを目的とする。
本発明に係るトナーは、複数のトナー粒子を含有する。前記トナー粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面に形成されるシェル層とを含有する。圧子が前記トナーに押圧荷重3.0N/cm2を加えた状態で、偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で前記圧子を回転させ、前記トナーを昇温速度2℃/分で昇温させたときに、前記圧子の回転トルクが5mNになる温度が57℃以上である。前記圧子が、前記トナーに押圧荷重5.0N/cm2を加えた状態で、偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で前記圧子を回転させ、前記トナーを昇温速度2℃/分で昇温させたときに、前記圧子の回転トルクが5mNになる温度が57℃以下である。
本発明によれば、耐熱保存性及び低温定着性が優れるトナーを提供できる。
本発明の実施形態に係るトナーのトナーブロッキング性を測定する測定機を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(単に、トナーとも言う。)は、静電潜像の現像に用いることができる。本実施形態のトナーは、多数の粒子(以下、トナー粒子と記載する)から構成される粉体である。本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)で用いることができる。
電子写真装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する。これにより、感光体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーが付着する。そして、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、さらに転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層とを有する。シェル層の表面に外添剤を付着させても良い。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)〜(3)を有する。
(1)トナー粒子が、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されるシェル層とを含有する。
(2)圧子がトナーに押圧荷重3.0N/cm2を加えた状態で、偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で圧子を回転させ、トナー粒子を昇温速度2℃/分で昇温させたときに、圧子の回転トルクが5mNになる温度が57℃以上である。
(3)圧子がトナーに押圧荷重5.0N/cm2を加えた状態で、偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で圧子を回転させ、トナー粒子を昇温速度2℃/分で昇温させたときに、圧子の回転トルクが5mNになる温度が57℃以下である。
構成(1)は、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るために有益である。詳しくは、トナーコアがシェル層で覆われることで、トナーの耐熱保存性が向上すると考えられる。トナーの耐熱保存性を向上させるためには、シェル層が熱硬化性樹脂を含むことが好ましく、シェル層が実質的に熱硬化性樹脂から構成されることがより好ましい。
トナーが構成(2)及び(3)を有することは、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るために有益である。詳しくは、構成(2)は、熱的ストレス及び機械的ストレスに対するトナー粒子の耐性(以下、トナーブロッキング性と記載する)に関係すると考えられる。トナーが構成(2)を有する場合には、トナーの耐熱保存性が良好となる。構成(3)は、定着工程におけるトナーの溶融性に関係すると考えられる。トナーが構成(3)を有する場合には、トナーの低温定着性が良好となる。なお、構成(2)及び(3)で規定される温度は、例えば、レオメーター(具体的には、Anton Paar社製「MCR−301」)を用いて測定される。
画像形成装置においてトナーを用いて画像を形成する場合には、トナーに力が加えられて、トナーに含まれるトナー粒子の各々に熱的ストレス及び機械的ストレスが加わる。トナーに加えられる力のうち、最も大きい力は、一般に、定着工程でのRoller−Roller間に加えられる押圧力であり、次に大きい力は、一般に、クリーニング工程における、ドラムユニット内のブレード又はローラーによる外力である。ただし、トナーに加えられる力の大きさは、画像形成装置の種類によって異なる。例えば、複写機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)では、定着工程での上記押圧力の大きさが約5N〜6Nであり、クリーニング工程における、ブレードによる上記外力が約0.5N〜1Nであり、ローラーによる上記外力が約2N〜3Nである。トナーを用いて画像を適切に形成するためには、定着工程及びクリーニング工程の各々においてトナーが上記のような力を受けた場合に、定着工程ではトナー粒子が圧壊し、定着工程以外の工程ではトナー粒子が圧壊しないことが望ましい。こうした特性をトナーが有するためには、トナーブロッキング性と、定着工程におけるトナーの溶融性とが、重要なパラメーターとなる。そして、構成(2)及び(3)を有するトナーは、トナーブロッキング性と、定着工程におけるトナーの溶融性との両方に優れると考えられる。
ここで、図1を参照して、構成(2)及び(3)の測定方法を説明する。図1は、構成(2)及び(3)で規定される温度を測定する測定機10を示す。測定機10は、アルミニウム製の圧子11と、ステンレス(SUS)製のプレート12と、加熱装置13とを備える。
圧子11の形状は、直径8mm、面積0.785cm2の底面Fを有する円柱である。プレート12は固定されており、圧子11はモーター等により駆動されて移動する。プレート12の上面に対して直交する方向(Z方向)に圧子11が変位することで、圧子11の底面Fとプレート12の上面との距離が変わる。圧子11の底面Fとプレート12の上面との間にトナー14を挟み、圧子11をプレート12に近づける(Z2側に変位させる)ことで、トナー14に所定の圧力を加えることができる。また、圧子11は、モーター等により駆動されてZ軸を回転軸として回転する。
トナーのブロッキング性の測定では、周波数1Hzで偏向角0.01°ずつ回転する圧子11によりトナー14に一定の押圧荷重をかけながらトナー14の温度を2℃/分で上昇させる。そしてトナー14に3.0N/cm2の押圧荷重を加えた場合に圧子11の回転トルクが5mNになる温度と、トナー14に5.0N/cm2の押圧荷重を加えた場合に圧子11の回転トルクが5mNになる温度とをそれぞれ測定する。
本実施形態に係るトナーにおいて、トナーコアがアニオン性を有し、シェル層の材料(以下、シェル材料と記載する)がカチオン性を有する場合には、シェル層の形成時にカチオン性のシェル材料をトナーコアの表面に引き付けることが可能になる。詳しくは、例えば水性媒体中で負に帯電するトナーコアに、水性媒体中で正に帯電するシェル材料が電気的に引き寄せられ、例えばin−situ重合によりトナーコアの表面にシェル層が形成されると考えられる。シェル材料がトナーコアに引き寄せられることで、分散剤を用いなくても、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成し易くなると考えられる。
以下、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。なお、トナーの用途に応じて、トナーの成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を割愛してもよい。
[トナーコア]
トナー粒子のトナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナー粒子のトナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含んでもよい。
(トナーコアの結着樹脂)
トナー粒子のトナーコアにおいては、一般的に、トナーコア成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基、アミン、又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(OHV値)及び酸価(AV値)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、それぞれ20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、メチル基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の官能基を有する樹脂が好ましく、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料(例えば、メチロールメラミン)と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、シェル材料の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたTgを有する結着樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくいと考えられる。
結着樹脂のTgは、例えば示差走査熱量計を用いて測定できる。より具体的には、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて試料(結着樹脂)の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から結着樹脂のTgを求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は103℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。結着樹脂のTmが103℃以下(より好ましくは95℃以下)であることで、高速定着時においてもトナーの定着性が低下しにくくなる。また、結着樹脂のTmが103℃以下(より好ましくは95℃以下)である場合には、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する際に、シェル層の硬化反応中にトナーコアが部分的に軟化し易くなるため、トナーコアが表面張力により丸みを帯び易くなる。なお、異なるTmを有する複数の樹脂を組み合わせることで、結着樹脂のTmを調整することができる。
結着樹脂のTmは、例えば高化式フローテスターを用いて測定できる。より具体的には、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(結着樹脂)をセットし、所定の条件で結着樹脂を溶融させ、流出させる。そして、結着樹脂のS字カーブを測定する。得られたS字カーブから結着樹脂のTmを読み取ることができる。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)が、測定試料(結着樹脂)のTmに相当する。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。結着樹脂として用いることのできる熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂)、ビニル系樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレンアクリル系樹脂、又はスチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。中でも、スチレンアクリル系樹脂及びポリエステル樹脂はそれぞれ、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性に優れる。
以下、結着樹脂として用いることのできるスチレンアクリル系樹脂について説明する。なお、スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体である。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
アクリル系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピルが挙げられる。なお、アクリル酸及びメタクリル酸を包括的に「(メタ)アクリル酸」と総称し、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを包括的に「(メタ)アクリレート」と総称する場合がある。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、水酸基を有するモノマー(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂に水酸基を導入できる。また、水酸基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸(モノマー)を用いることで、スチレンアクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、(メタ)アクリル酸の使用量を調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の酸価を調整することができる。
結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、スチレンアクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
以下、結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。なお、ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合することで得られる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価アルコールの例としては、ジオール類又はビスフェノール類が挙げられる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールAが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、又はアルキルコハク酸もしくはアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
ポリエステル樹脂を調製するために用いることができる3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上4000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は1以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(トナーコアの着色剤)
トナー粒子のトナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子のトナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー粒子のトナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリルアミド化合物が挙げられる。イエロー着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。シアン着色剤の好適な例としては、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(トナーコアの離型剤)
トナー粒子のトナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の好適な例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー粒子のトナーコアに添加してもよい。
(トナーコアの電荷制御剤)
トナー粒子のトナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
(トナーコアの磁性粉)
トナー粒子のトナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の例としては、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物(より具体的には、合金)、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するため、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコアとトナーコアとが固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコアとトナーコアとの固着を抑制することができる。
[シェル層]
本実施形態のトナーにおいて、シェル層は、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂とを含むことが好ましい。熱硬化性樹脂のみから構成されるシェル層は、薄膜であっても硬くなり易い。そのため、こうしたシェル層を有するトナーでは、シェル層が容易に破壊されず、定着性が十分でないことがある。しかし、シェル層が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むトナーでは、薄くて硬いシェル層が均一に形成された場合であっても、シェル層が強度において複数の強弱のある箇所を有する傾向がある。このため、トナーの定着性が向上し、定着時に瞬時にシェル層を破壊させることが可能になる。
熱硬化性樹脂は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂であることが好ましい。メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーはメラミンである。尿素樹脂は尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは尿素である。グリオキザール樹脂は、グリオキザールと尿素との反応生成物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂の形成に使用されるモノマーは、グリオキザールと尿素との反応生成物である。これらは、公知の変性を受けていてもよい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、又はスチレンアクリル系樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、入手容易性、分散安定性、及びコストメリットの観点から、スチレンアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂は、少なくともアクリル系モノマーを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。アクリル系樹脂に含まれる、アクリル系モノマーの含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
アクリル系樹脂の調製に使用されるアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、又はブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はN,N−ジアリール(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーと、アクリル系モノマー以外の他のモノマーを共重合した樹脂であってもよい。アクリル系モノマー以外の他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、又はオクテン−1のようなオレフィン類;酢酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、又は乳酸アリルのようなアリルエステル類;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、又はビニルナフチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジエチルアセテート、ビニルクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、又はナフトエ酸ビニルのようなビニルエステルが挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂は、少なくともスチレン系モノマーと、アクリル系モノマーとを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。スチレンアクリル系樹脂に含まれる、スチレン系モノマーと、アクリル系モノマーとの含有量の合計は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
スチレンアクリル系樹脂の調製に使用されるスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。スチレン系モノマーのなかでも好ましくは、スチレンである。
スチレンアクリル系樹脂の調製に使用されるアクリル系モノマーは、上述のアクリル系樹脂の調製に使用されるアクリル系モノマーと同様である。アクリル系モノマーのなかでも好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ブチルアクリレートである。
スチレンアクリル系樹脂は、カルボキシル基を酸性基として含むことが好ましい。この場合、スチレンアクリル系樹脂を調製する際にアクリル酸の使用量を増減させることによって、スチレンアクリル系樹脂の酸価を調整できる。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系モノマーと、アクリル系モノマーと、スチレン系モノマー及びアクリル系モノマー以外の他のモノマーとを共重合した樹脂であってもよい。スチレンアクリル系樹脂の調整に使用される他のモノマーの例としては、前述したアクリル系樹脂の調整に使用されるアクリル系モノマー以外の他のモノマーと同様である。
シェル層は、メラミン等に由来する窒素原子を含むことが好ましい。このようなシェル層を備えるトナーは、トナーを正帯電させて画像を形成する場合に、所望する帯電量に正帯電しやすい。所望する帯電量にトナーを正帯電させるためには、シェル層中の窒素原子の含有量は10質量%以上であることが好ましい。
シェル層の厚さは、7nm以下であることが好ましく、5nm以上7nm以下であることがより好ましい。シェル層が厚過ぎると、トナーを被記録媒体へ定着させる際に圧力が加えられても、シェル層が破壊されにくい。この場合、トナーコアに含まれる結着樹脂(又は離型剤)の軟化又は溶融が速やかに進行せず、低温域でトナーを被記録媒体上に定着させにくい。一方、薄過ぎるシェル層は強度が低く、輸送時のような状況での衝撃によってシェル層が破壊される場合がある。ここで、高温でトナーを保存する場合、シェル層の少なくとも一部が破壊されたトナー粒子は凝集しやすい。なぜなら、高温下ではシェル層における破壊された箇所を通じて、離型剤のような成分がトナー粒子の表面に染み出しやすいからである。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することによって計測できる。市販の画像解析ソフトウェアとしては、WinROOF(三谷商事株式会社製)のようなソフトウェアを用いることができる。具体的には、トナーの断面の略中心で直交する2本の直線を引き、これら2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定する。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとする。このようなシェル層の厚さの測定を、10個以上のトナー粒子に対して行い、測定対象の複数のトナー粒子それぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求める。求められる平均値を、トナー粒子が備えるシェル層の膜厚とする。
シェル層が薄過ぎる場合、TEM撮影像上でシェル層とトナーコアとの界面が不明瞭であるため、シェル層の厚さの測定が困難である場合がある。このような場合、TEM撮影と電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中に、シェル層の材料に特徴的な元素(例えば、窒素)のマッピングを行い、シェル層とトナーコアとの界面を明確化して、シェル層の厚さを計測する。
トナーブロッキング性を向上させるためには、アニオン界面活性剤溶液に浸漬後のトナー粒子の比表面積(以下、第1比表面積と記載する)は、アニオン界面活性剤溶液に浸漬前のトナー粒子の比表面積(以下、第2比表面積と記載する)の1.5倍未満であることが好ましい。第1比表面積が第2比表面積の1.5倍未満であれば、トナーコアに対しシェル層が均一に被覆されると考えられる。
第1比表面積と第2比表面積とは、BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「HM MODEL−1208」)を用いて、測定される。具体的には、まず、BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「HM MODEL−1208」)を用いて、トナー粒子の比表面積を測定する。次に、トナーを、pH10に調整されたアニオン界面活性剤溶液に分散させ、40℃以上60℃以下で8時間以上12時間以下浸漬させる。その後、BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「HM MODEL−1208」)を用いて、トナー粒子の比表面積を測定する。得られた第1比表面積及び第2比表面積から、第1比表面積に対する第2比表面積の変化率が算出される。第1比表面積に対する第2比表面積の変化率により、シェル層の貫通孔の有無のレベルを示すことが出来る。
[外添剤]
トナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。外添剤としては、金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)、又はシリカの粒子が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーを所望のキャリアと混合することで、2成分現像剤を調製できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
好適なキャリアの例としては、キャリアコアが樹脂で被覆されたキャリアが挙げられる。キャリアコアの具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトの粒子;これらの材料とマンガン、亜鉛、又はアルミニウムのような金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金の粒子;セラミックス(酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウム)の粒子;高誘電率物質(リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩)の粒子が挙げられる。樹脂中に上記粒子を分散させて樹脂キャリアを調製しても良い。
キャリアコアを被覆する樹脂の例としては、アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂の2種以上を組み合わせても良い。
電子顕微鏡により測定されるキャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
トナーとキャリアとを用いて2成分現像剤を調製する場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
本発明の実施例について説明する。以下、実施例1〜8及び比較例1〜2のトナーの製造方法、測定方法、測定結果、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、粉体(例えば、トナーコア又はトナー)に関する測定結果及び評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の平均である。
[トナーコアAの作製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、ポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、成分:銅フタロシアニン顔料)5質量部と、エステルワックス(日油株式会社製「WEP−3」、融点:73℃)5質量部とを混合した。なお、ポリエステル樹脂の水酸基価(OHV)は20mgKOH/gであり、酸価(AV)は40mgKOH/gであった。ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は100℃であり、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は48℃であった。
続けて、得られた混合物を、材料投入量5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲80℃以上110℃以下の条件で、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融させ、混練した。その後、得られた混練物を冷却した。
続けて、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて混練物を粗粉砕した。さらに、得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)を用いて、体積中位径5.6μmに微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級して、トナーコアAを得た。なお、得られたトナーコアAの体積中位径は6.0μmであり、数平均円形度は0.931であり、ガラス転移点(Tg)は50℃であり、軟化点(Tm)は98℃であり、標準キャリアN−01(日本画像学会から提供される負帯電極性トナー用標準キャリア)との摩擦帯電量は−20μC/gであった。また、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製「Delsa Nano HC」)により、pH4に調整された分散液中のトナーコアAのゼータ電位を測定したところ、トナーコアAのpH4におけるゼータ電位は−20mVであった。摩擦帯電量及びゼータ電位のデータから、トナーコアAがアニオン性を有することは明らかであった。なお、トナーコアAの数平均円形度については、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて測定した。
[トナーコアBの作製]
(樹脂微粒子分散液の調製)
ポリエステル樹脂Aを体積中位径30μm程度に粉砕した粗粉砕物200gと、1N−水酸化ナトリウム水溶液30gと、イオン交換水770gとを混合して、全量1000gのスラリーを調製した。
上記ポリエステル樹脂Aの組成及び物性は、以下の通りである。
・単量体組成:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン/フマル酸/トリメリット酸=25/25/46/4(mol比率)
・数平均分子量(Mn):2500
・質量平均分子量(Mw):6500
・分子量分布(Mw/Mn):2.6
・軟化点(Tm):95℃
・ガラス転移点(Tg):49℃
・酸価(AV値):15.5mgKOH/g
続けて、調製したスラリーを、コンデンサー(攪拌機)を装着した容量2Lの丸底ステンレス容器で、容器内の液温を95℃にして攪拌速度200rpmの条件で30分間攪拌した。続けて、容器内容物を室温まで急冷し、300メッシュのフィルターを用いて容器内容物のうち水相を分離除去(固液分離)した後、残った固相を水洗及び乾燥した。
続けて、得られた固相を、ジャケットを装備した混合装置(プライミクス株式会社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM−3D−5型」)の容器に投入し、120℃に加熱して溶融させた。続けて、容器内に、トリエタノールアミン80gと、25質量%のアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液80gとを添加し、プラネタリー回転速度50rpmの条件で容器内容物を15分間捏和した。続けて、容器内に、98℃のイオン交換水2870gを50g/分の速度で投入した。これにより、ポリエステル樹脂の乳化液が得られた。その後、ポリエステル樹脂の乳化液を5℃/分の速度で50℃まで冷却した。その結果、体積中位径が115nm、樹脂固形分濃度が25質量%である樹脂微粒子分散液が得られた。
(顔料微粒子分散液の調製)
銅フタロシアニン(大日精化工業株式会社製「C.I.ピグメントブルー15:3」)100gと、27質量%のポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(花王株式会社製「エマールE27C」)20gと、イオン交換水380gとを混合した。続けて、メディア型分散機(株式会社シンマルエンタープライゼス製「DYNO−MILL」)を用いて、混合物に対して湿式微分散処理を行った。これにより、顔料の体積中位径が113nm、顔料固形分濃度が20質量%、総固形分濃度が21質量%である顔料微粒子分散液が得られた。
(離型剤微粒子分散液の調製)
融点73℃のエステルワックス(日本油脂株式会社製「WEP−3」)200gと、ラウリル硫酸ナトリウム20gと、イオン交換水780gとを混合し、混合物を90℃に加熱してエステルワックスを融解させた。続けて、混合物をホモジナイザー(IKA社製「ウルトラタラックスT50」)で5分間乳化した。続けて、加熱システムを備えた高圧式ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製「ナノマイザーNV−200」)を用いて、温度100℃、吐出圧100MPaの条件で乳化処理を行った。これにより、平均粒子径が120nm、固形分濃度が10質量%である離型剤微粒子分散液が得られた。
(凝集工程)
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコ容器に、上記固形分濃度25質量%の樹脂微粒子分散液340gと、上記固形分濃度20質量%の顔料微粒子分散液25gと、上記固形分濃度10質量%の離型剤微粒子分散液50gと、イオン交換水500gとを入れ、フラスコ内容物を25℃で混合した。続けて、フラスコ内容物を攪拌羽根により攪拌速度200rpmの条件で攪拌しながら、フラスコ内にアルカリ(水酸化ナトリウム水溶液)を添加してpHを10に調整した。
続けて、フラスコ内容物を25℃で10分間攪拌した後、凝集剤(濃度50質量%の塩化マグネシウム六水和物水溶液)10gを5分間かけてフラスコ内に滴下した。続けて、フラスコ内の液温を0.2℃/分の速度で50℃まで上昇させ、50℃のまま30分間攪拌することで、液中の粒子を凝集成長させた。その後、粒子の凝集成長を抑制するために、濃度20質量%の塩化ナトリウム水溶液50gをフラスコ内に一度に添加した。
(合一化及び形状制御工程)
上記粒子の凝集に続けて、粒子の合一化及び形状制御を行った。詳しくは、フラスコ内に濃度5質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液100gを加えた。続けて、フラスコ内容物を0.2℃/分の速度で65℃まで昇温させ、65℃のまま1時間攪拌することで、粒子を合一化し、粒子の形状を球状に制御した。
続けて、フラスコ内の液温を−10℃/分の速度で低下させ、フラスコ内の液温が25℃になるまで冷却した。これにより、体積中位径が6.0μm、数平均円形度が0.941であるトナーコアBが得られた。
実施例1
[シェル層の形成工程]
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。そして、フラスコにイオン交換水300mLとヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)2mLとを加え、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保ち、塩酸にてフラスコ内容物のpHを4に調整した。得られた水溶液に前述の手順で作製した300gのトナーコアAを添加した。続けて、フラスコ内容物を室温で十分攪拌した。その結果、フラスコ内にトナーコアAの分散液が得られた。その後、フラスコにイオン交換水300mLをさらに加え、フラスコ内容物の温度を2℃/分の条件で70℃まで昇温した後、2時間保持した。その後、得られたトナー母粒子の分散液を25℃まで冷却した後、液のpHを7にした。
[トナー母粒子の洗浄工程]
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液をろ過(固液分離)して、トナー母粒子を得た。その後、得られたトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子の上記洗浄を6回繰り返した。
[トナー母粒子の乾燥工程]
洗浄されたウエットケーキ状のトナー母粒子を、50質量%エタノール水溶液に分散させた。得られた分散液を、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、乾燥させた。なお、乾燥時に、エタノールに分散させた乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA200」)がトナー粒子に対して0.2質量%となるように噴霧した。乾燥条件は、温度45℃、ブロアー風量は2m3/分であった。得られたトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.965であった。トナー母粒子の体積中位径は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定した。
[外添工程]
上記乾燥後、トナー母粒子に外添を行った。詳しくは、親水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)90G」)の表面をシリコーンオイル及びアミノシランで処理した。次に、トナー母粒子100質量部と、得られた表面処理シリカ0.4質量部とを、容量5LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて5分間混合した。その後、得られたトナー粒子を#300メッシュ(網目開き48μm)で篩分けて、実施例1のトナーを得た。
実施例2
シェル層の形成工程において、300gのトナーコアAの代わりに300gのトナーコアBを使用した以外は、実施例1のトナーと同様にして実施例2のトナーを得た。なお、実施例2のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.961であった。
実施例3
シェル層の形成工程において、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を2mLから1.5mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様にして実施例3のトナーを得た。なお、実施例3のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.959であった。
実施例4
シェル層の形成工程において、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を2mLから2.5mLに変更した以外は、実施例1のトナーと同様にして実施例4のトナーを得た。なお、実施例4のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.954であった。
実施例5
シェル層の形成工程において、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を2mLから1.5mLに変更した以外は、実施例2のトナーと同様にして実施例5のトナーを得た。なお、実施例5のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.958であった。
実施例6
シェル層の形成工程において、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を2mLから2.5mLに変更した以外は、実施例2のトナーと同様にして実施例6のトナーを得た。なお、実施例6のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.955であった。
実施例7
ポリエステル樹脂微粒子分散液の作製工程において、ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂Bを使用することに変更した以外は、実施例2と同様にして実施例7のトナーを得た。なお、ポリエステル樹脂Bの数平均分子量は2500であり、質量平均分子量は5500であり、分子量分布は2.2であり、軟化点は88℃であり、ガラス転移点は46℃であり、酸価は15.1mgKOH/gであった。なお、実施例7のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.1μmであり、数平均円形度は0.954であった。
実施例8
ポリエステル樹脂微粒子分散液の作製工程において、ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂Cを使用することに変更した以外は、実施例2と同様にして実施例8のトナーを得た。なお、ポリエステル樹脂Cの数平均分子量は3000であり、質量平均分子量は6500であり、分子量分布は2.2であり、軟化点は103℃であり、ガラス転移点は51℃であり、酸価は15.8mgKOH/gであった。なお、実施例8のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.950であった。
比較例1
ポリエステル樹脂微粒子分散液の作製工程において、ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂Cを使用することに変更し、シェル層の形成工程において、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を2.0mLから2.5mLに変更した以外は、実施例2のトナーと同様にして比較例1のトナーを得た。なお、比較例1のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.1μmであり、数平均円形度は0.952であった。
比較例2
ポリエステル樹脂微粒子分散液の作製工程において、ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂Bを使用することに変更し、シェル層の形成工程において、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液の添加量を2.0mLから1.5mLに変更した以外は、実施例2のトナーと同様にして比較例2のトナーを得た。なお、比較例2のトナー母粒子の体積平均粒子径(Mv)は、6.0μmであり、数平均円形度は0.955であった。
[測定方法]
各試料(実施例1〜8及び比較例1〜2のトナー)の測定方法は、以下の通りである。
<トナーブロッキング性>
レオメーター(Anton Paar社製「MCR−301」)を用いて、トナー1.0mgに押圧荷重3.0N/cm2又は5.0N/cm2を加えた状態で偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で圧子を往復回転させ、昇温速度2℃/分でトナーを昇温させた。トナーを昇温させながら、圧子の回転トルクが5mNになる温度を測定した。
<離型剤の含有量>
示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いてトナーコアの吸熱ピークを測定することにより、吸熱ピークからトナーコア中の離型剤含有量を求めた。なお、DSC(示差走査熱量分析)は、測定試料と基準物質との間の熱量差を測定する熱分析である。
<シェル層の均一性>
BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「HM MODEL−1208」)を用いて、トナー粒子の比表面積(第2比表面積)を測定した。次に、トナーを、pH10に調整されたアニオン界面活性剤溶液に分散させ、50℃で10時間浸漬させた。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてトナー粒子表面の状態を観察した。また、BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「HM MODEL−1208」)を用いてアニオン界面活性剤溶液に浸漬させた後のトナー粒子の比表面積(第1比表面積)を測定した。そして、次に示す式にしたがって、浸漬前後におけるトナー粒子の比表面積の変化率を算出した。
式:比表面積の変化率=第1比表面積/第2比表面積
シェル層の強度が不均一な場合は、シェル層の表面に複数の貫通孔が観測される。また、第2比表面積に対する第1比表面積の変化率により、シェル層の貫通孔の有無のレベルを示すことが出来る。
<シェル層の膜厚>
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し硬化物を得た。得られたエポキシ樹脂の硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。染色された硬化物を、ダイヤモンドナイフを有するミクロトーム(ライカ社製「EM UC6」)を用いて厚み200nmの薄片状の測定試料を切り出した。透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JSM−6700 F」)を用いて、得られた薄片状の測定試料の断面形態を観察した。
画像解析ソフトウェア(三谷商事社製「WinROOF」)を用いてこのTEM撮影像を解析することで、シェル層の膜厚を測定した。具体的には、トナー粒子の断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、この2本の直線上のシェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。シェル層の厚さの測定を10個のトナー粒子に対して行い、それぞれのトナー粒子が備えるシェル層の膜厚の平均値をシェル層の膜厚とした。
なお、シェル層の厚さが5nm未満である場合には、上述のTEMのみによる方法では厚さを測定することが難しい場合がある。このような場合はTEM撮影像とエネルギー分散X線分光分析(EDX)とを用い、窒素元素のマッピングとを組み合わせて行うことにより、シェル層の厚さを測定した。
[測定結果]
表1に、実施例1〜8及び比較例1〜2のトナーの各々についての測定結果を示す。
Figure 0006330687
[評価方法]
各試料(実施例1〜8及び比較例1〜2のトナー)の評価方法は、以下の通りである。
<耐熱保存性>
試料(トナー)3gを容量20gのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置し、温度25℃湿度65%RHの環境下に30分間静置することで、耐熱保存性評価用の試料を得た。その後、耐熱保存性評価用の試料の質量(以下、トナー全質量と記載する)を測定した。続けて、耐熱保存性評価用の試料を、目開き105μm、63μm、及び45μmの篩を重ねて耐熱保存性評価用の試料を載せた。パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)にて、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で振動させて、耐熱保存性評価用の試料を篩別した。篩別後に、篩上に残留した試料の質量を測定した。下記式1〜式4にしたがって、試料の凝集度(質量%)を算出した。算出された試料の凝集度から、下記基準にしたがって試料の耐熱保存性を評価した。
式1:割合A=(105μm篩上の質量)×100/(トナー全質量)
式2:割合B=(63μm篩上の質量)×100/(トナー全質量)
式3:割合C=(45μm篩上の質量)×100/(トナー全質量)
式4:凝集度=割合A+割合B×3/5+割合C×1/5[質量%]
○(良い) :試料の凝集度が15質量%未満である。
×(良くない) :試料の凝集度が15質量%以上である。
以下の方法にしたがって調整した2成分現像剤を用いて、各試料(トナー)の低温定着性を評価した。
(キャリアの調製)
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe23換算で49.6mol%、SrO換算で0.8mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加えた。得られた混合物を、湿式ボールミルで10時間かけて粉砕し、混合した。続けて、得られた混合物を乾燥した後、950℃で4時間保持した。
続けて、混合物を湿式ボールミルで24時間かけて粉砕してスラリーを調製した。続けて、スラリーを造粒及び乾燥し、酸素濃度2%の雰囲気中で1270℃にて6時間保持した後、造粒物を解砕した。その後、粒度調整を行うことで、3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化が70Am2/kgである体積中位径35μmのマンガン系フェライト粒子(キャリアコア)が得られた。
続けて、ポリアミドイミド樹脂(無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの共重合体)をメチルエチルケトンで希釈して樹脂溶液を調製した。続けて、フッ素樹脂としての4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)と、酸化ケイ素(樹脂全体量の2質量%)とを樹脂溶液に分散させて、固形分換算で150gとなる量のキャリアコート液を得た。なお、ポリアミドイミド樹脂とFEPとの質量比(ポリアミドイミド樹脂:FEP)は2:8であり、樹脂溶液の固形分比率は10質量%であった。
続けて、得られたキャリアコート液を用いて、流動層被覆装置(岡田精工株式会社製「スピラコータSP−25」)により上記マンガン系フェライト粒子(キャリアコア)10kgを被覆した。その後、樹脂で被覆されたマンガン系フェライト粒子を220℃で1時間焼成した。これにより、樹脂被覆量3質量%の樹脂被覆フェライトキャリアが得られた。
上述の通り作製したキャリアと、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルを用いて30分間混合し、評価用の2成分現像剤を調製した。
<低温定着性>
また、上記のようにして調製した2成分現像剤を用いて画像を形成して、トナーの低温定着性を評価した。評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着器(ニップ幅8mm)を有するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。上記のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、試料(トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
試料(トナー)の定着性を評価する場合には、上記評価機を用いて、温度25℃湿度50%RHの環境下で、線速300mm/秒、トナー載せ量15mg/cm2の条件で、90g/m2の紙(A4サイズの印刷用紙)に、面積25cm2、印字率100%のソリッド画像を形成した。続けて、画像が形成された紙を定着器に通した。定着温度の設定範囲は70℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着器の定着温度を70℃から徐々に上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)をそれぞれ測定した。定着器の加熱ロールの表面材質は、膜厚30μm±10μm、面粗度(Ra)5μmのPFAチューブであった。
最低定着温度の測定においてトナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、画像を形成した面が内側となるように紙を半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm未満となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。得られた最低定着温度から、下記基準にしたがって、試料の低温定着性を評価した。
○(良い) :試料の最低定着温度が100℃以下である。
×(悪い) :試料の最低定着温度が100℃超である。
[評価結果]
実施例1〜8及び比較例1〜2のトナーの各々についての評価結果は以下のとおりである。表2に、トナーの耐熱保存性、低温定着性の評価結果を示す。
Figure 0006330687
実施例1〜8のトナーは、上記構成(1)〜(3)の全てを有していた。実施例1〜8のトナーは、耐熱保存性及び低温定着性を両立していた。
本発明に係るトナーは、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。
10 測定機
11 圧子
12 プレート
13 加熱装置
14 トナー

Claims (3)

  1. 複数のトナー粒子を含有する静電潜像現像用トナーであって、
    前記トナー粒子が、トナーコアと、前記トナーコアの表面に形成されるシェル層とを含有し、
    圧子が前記トナーに押圧荷重3.0N/cm2を加えた状態で、偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で前記圧子を回転させ、前記トナーを昇温速度2℃/分で昇温させたときに、前記圧子の回転トルクが5mNになる温度が57℃以上であり、
    前記圧子が前記トナーに押圧荷重5.0N/cm2を加えた状態で、偏向角0.01°、周波数1Hzの条件で前記圧子を回転させ、前記トナーを昇温速度2℃/分で昇温させたときに、前記圧子の回転トルクが5mNになる温度が57℃以下であり、
    前記シェル層はメラミン樹脂から構成され、
    前記トナーコアの軟化点が、95℃以上103℃以下である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記シェル層の膜厚が、5nm以上7nm以下である、請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. アニオン界面活性剤溶液に浸漬後のトナー粒子の比表面積は、アニオン界面活性剤溶液に浸漬前のトナー粒子の比表面積の1.5倍未満である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
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