JP6296009B2 - 静電潜像現像用の現像剤及びその製造方法 - Google Patents
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(キャリアの基本構成)
キャリアは、10質量%以上25質量%以下の割合で、粒子径20μm未満のキャリア粒子(以下、小キャリア粒子と記載する)を含む。キャリアに含まれる全てのキャリア粒子の体積中位径(以下、全キャリア粒子径と記載する)は30μm以上42μm以下である。キャリアに含まれる全てのキャリア粒子とトナーとの摩擦帯電量(以下、全キャリア帯電量QAと記載する)と、キャリアに含まれる小キャリア粒子とトナーとの摩擦帯電量QB(以下、小キャリア帯電量QBと記載する)とが、関係式「0.5≦QB/QA≦0.8」を満足する。体積中位径(D50)及び摩擦帯電量(QA、QB)の各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
トナー粒子(特に、トナーコア及びシェル層)及びキャリア粒子(特に、キャリアコア)の各々を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を好適に使用できる。また、上記樹脂のいずれかの繰返し単位と同一のモノマーに由来する繰返し単位を1種以上含む共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)も、トナー粒子及びキャリア粒子の各々を構成する熱可塑性樹脂として好適に使用できる。
トナー粒子(特に、シェル層)及びキャリア粒子(特に、キャリアコア)の各々を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、マレイミド重合体又はビスマレイミド重合体等)、又はキシレン系樹脂を好適に使用できる。
トナー母粒子は、結着樹脂を含有する。また、トナー母粒子は、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含有してもよい。
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子の全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。非カプセルトナー粒子の耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子が、結着樹脂として、前述の好適な熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂の少なくとも一方を含有することが特に好ましい。
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の使用量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子は、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉としては、例えば、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト等)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムを好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
キャリアの耐久性又は流動度を向上させるためには、キャリアに含まれるキャリア粒子が、キャリアコアと、キャリアコアの表面に形成された樹脂層とを備えることが好ましく、その樹脂層が実質的にシリコーン樹脂(より具体的には、前述したメチルシリコーン樹脂等)から構成されることがより好ましい。また、関係式「0.5≦QB/QA≦0.8」を満足するように小キャリア帯電量QBを調整するためには、キャリアに含まれるキャリア粒子のうち、小キャリア粒子(粒子径20μm未満のキャリア粒子)のみが、樹脂層中にアミノシランカップリング剤(より具体的には、前述した3−アミノプロピルトリエトキシシラン等)を含有することが好ましい。
キャリアコアは、磁性材料を含むことが好ましい。キャリアコアに含まれる磁性材料としては、例えば、マグネタイト、バリウムフェライト、マグヘマイト、Mn−Zn含有フェライト、Ni−Zn含有フェライト、Mn−Mg含有フェライト、Ca−Mg含有フェライト、Li含有フェライト、又はCu−Zn含有フェライトのような金属酸化物が好ましく、マグネタイトが特に好ましい。個々のキャリアコアの材料として、1種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、2種以上の磁性材料を併用してもよい。また、互いに異なる材料からなる複数種のキャリアコアを混合してもよい。キャリアコアとしては、市販品を使用してもよい。また、磁性材料を粉砕及び焼成してキャリアコアを自作してもよい。
樹脂層は、キャリアコアを被覆するように、キャリアコアの表面に形成される。樹脂層の形成方法の例としては、樹脂を含む液にキャリアコアを浸漬する方法、又は、樹脂を含む液を流動層中のキャリアコアに噴霧する方法が挙げられる。
以下の方法で測定された試料の粒度分布から、試料の体積中位径を求めた。まず、試料(例えば、キャリア粒子)20mgと、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mLと、電解液(ベックマン・コールター株式会社製「ISOTON−2」)50mLとを混合した。続けて、得られた混合物に対して、超音波分散器(アズワン株式会社販売「VS−D100」)を用いて、周波数20kHzで3分間超音波照射を行って、評価用分散液を得た。続けて、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて、アパーチャ径100μm、測定粒子数50000の条件で、評価用分散液における試料の体積粒度分布を測定した。そして、測定された体積粒度分布から試料の体積中位径を求めた。
<摩擦帯電量の測定方法>
キャリア100質量部とトナー7質量部とを、混合機(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用いて、回転速度96rpmの条件で30分間混合した。続けて、得られた混合物におけるトナーの摩擦帯電量を、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて測定した。詳しくは、Q/mメーターの測定セルに混合物(キャリア及びトナー)0.10gを投入し、投入された混合物のうちトナーのみを篩(金網)を介して10秒間吸引した。そして、式「吸引されたトナーの総電気量(μC)/吸引されたトナーの質量(g)」に基づいて、トナーの帯電量(μC/g)を算出した。
混合機(日本コークス工業株式会社製「FMミキサー」)を用いて、結着樹脂100質量部と、着色剤4質量部と、電荷制御剤1質量部と、離型剤5質量部とを混合した。結着樹脂としては、酸価5.6mgKOH/g、融点100℃のポリエステル樹脂を用いた。着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)を用いた。電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)を用いた。離型剤としては、ワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)を用いた。
MnO(体積中位径0.9μm)換算で40質量部、MgO(体積中位径0.9μm)換算で9質量部、Fe2O3(体積中位径0.8μm)換算で50質量部になるように、各原材料(MnO、MgO及びFe2O3の各原材料)を混合した。続けて、得られた混合物を、湿式ボールミルを用いて、設定粒子径1μmで2時間粉砕処理した。その後、得られた粉砕物にポリビニルアルコールを添加し、スプレードライヤーを用いて粉砕物の造粒処理を行った。続けて、得られた造粒物を電気炉に入れて焼成した後、解砕工程及び分級工程(気流式の分級機による分級)を経て、表3に示すキャリアコアA〜Iを得た。キャリアコアの作製条件(より具体的には、スプレードライヤーによる造粒処理の条件、又は分級工程の条件等)を変えることで、全てのキャリアコアの体積中位径(キャリアコアの全粒子径)と、粒子径20μm未満のキャリアコアの割合(キャリアコアの小粒子の割合)とを、それぞれ表3に示される値に調整することができる。
表1に示されるキャリア(現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−8の各々に定められたキャリア)100質量部と、トナー(前述の手順で製造されたトナー)8質量部とを、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて30分間攪拌した。その結果、現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−8が得られた。
各試料(現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−8)の評価方法は、以下の通りである。試料(現像剤)を用いて画像を形成して、画像濃度(ID)、かぶり濃度(FD)、画像バサツキ、及びキャリア付着性を評価した。評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」を2成分現像システムに改造した評価機)を用いた。試料(現像剤)を評価機の現像器に投入し、試料(現像剤)に対応するトナー(補充用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
◎(非常に良い):画像濃度が1.4以上であった。
○(良い):画像濃度が1.3以上1.4未満であった。
△(普通):画像濃度が1.2以上1.3未満であった。
×(悪い):画像濃度が1.2未満であった。
◎(非常に良い):かぶり濃度(FD)が0.004未満であった。
○(良い):かぶり濃度(FD)が0.004以上0.006未満であった。
△(普通):かぶり濃度(FD)が0.006以上0.010未満であった。
×(悪い):かぶり濃度(FD)が0.010以上であった。
◎(非常に良い):画像バサツキが0.80以下であった。
○(良い):画像バサツキが0.80超0.95以下であった。
×(悪い):画像バサツキが0.95超であった。
◎(非常に良い):付着キャリア粒子の数が5個未満であった。
○(良い):付着キャリア粒子の数が5個以上10個未満であった。
×(悪い):付着キャリア粒子の数が10個以上であった。
表4及び表5に、現像剤DA−1〜DB−8の各々についての評価結果を示す。
Claims (5)
- 複数のキャリア粒子を含むキャリアと、複数のトナー粒子を含むトナーとを含み、
前記キャリアは、10質量%以上25質量%以下の割合で、粒子径20μm未満の前記キャリア粒子を含み、
前記キャリアに含まれる全ての前記キャリア粒子の体積中位径は30μm以上42μm以下であり、
前記キャリアに含まれる全ての前記キャリア粒子と前記トナーとの摩擦帯電量QAと、前記キャリアに含まれる前記粒子径20μm未満のキャリア粒子と前記トナーとの摩擦帯電量QBとが、関係式「0.5≦QB/QA≦0.8」を満足する、静電潜像現像用の現像剤。 - 前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面に形成された樹脂層とを備え、
前記キャリアに含まれる前記キャリア粒子のうち、前記粒子径20μm未満のキャリア粒子のみが、前記樹脂層中に、前記樹脂層を構成する樹脂とは逆極性の添加剤を含有する、請求項1に記載の静電潜像現像用の現像剤。 - 前記樹脂層を構成する前記樹脂はシリコーン樹脂であり、前記添加剤はアミノシランカップリング剤である、請求項2に記載の静電潜像現像用の現像剤。
- 前記トナー粒子は、結着樹脂としてポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂の少なくとも一方を含有する非カプセルトナー粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電潜像現像用の現像剤。
- 複数のトナー粒子を含むトナーを準備することと、
体積中位径が30μm以上42μm以下であり、かつ、10質量%以上25質量%以下の割合で粒子径20μm未満のキャリアコアを含むキャリアコアの粉体を準備することと、
前記キャリアコアの各々の表面に最大厚さ1μm以下の樹脂層を形成して、キャリア粒子を得ることと、
を含み、
前記樹脂層の形成では、全ての前記キャリア粒子と前記トナーとの摩擦帯電量QAと、粒子径20μm未満の前記キャリア粒子と前記トナーとの摩擦帯電量QBとが、関係式「0.5≦QB/QA≦0.8」を満足するように、前記樹脂層を構成する樹脂とは逆極性の添加剤を、選択的に前記粒子径20μm未満のキャリア粒子の前記樹脂層中に添加する、静電潜像現像用の現像剤の製造方法。
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