JPWO2005093522A1 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速プリンターで使用してもオフセットバランス、保存性が良好であり、環境変動による画質低下の少なく、クリーニング性に優れる静電荷像現像用トナーを提供すること。【解決手段】 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含んでなる着色樹脂粒子と、外添剤とを含んでなる静電荷像現像用トナーであって、体積平均粒径(Dv)が4〜10μmであり、平均円形度が0.93〜0.995であり、表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.3μmであり、表面の十点平均粗さRzが0.5〜2.5μmであり、安息角が10〜35°であり、微小圧縮試験機で5秒間、1mN/mm2の圧力をかけた後の変形率が20%以下である、静電荷像現像用トナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関し、更に詳細には、高速プリンターで使用しても、オフセットと低温定着のバランス、及び保存性が良好であり、環境変動による画質低下が少なく、クリーニング性に優れる静電荷像現像用トナーに関する。
電子写真法とは、一般に、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電的潜像を形成し、次いで該静電潜像をトナーで現像して可視像とし、紙又はOHPシート等の転写材に、可視像となったトナーを転写した後、転写されたトナーを熱や圧力などにより転写材上に定着して印刷物を得る方法をいう。
近年においては、画像形成装置の高機能化、カラー化が進んでおり、静電潜像がレーザーで形成され、高解像度と同時に高速化することが要請されている。このため、トナーに対しては高解像度化に対応できるように小粒径化、粒径分布のシャープ化の他に、高速プリンターに対応できるように低温で定着できることが要求されている。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのカラートナーの場合、黒色トナーの着色剤として使用されるカーボンブラックと比較して、着色剤として使用される有機顔料自体の帯電性が通常、高いため、感光体の表面に残留した転写残トナーを除去するクリーニング工程が重要となる。さらに、トナーを高温多湿地域でも使用することがあり、高温多湿環境下でのトナーの流動性や長期の保存安定性、帯電安定性が求められている。
従来、トナーは、着色剤、離型剤及び帯電制御剤等を含有する熱可塑性樹脂を溶融混合してこれらを均一に分散した後、微粉砕装置により微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機によって分級して製造される、粉砕トナーが主として用いられてきた。
しかし、粉砕法によって製造された粉砕トナーは、粒径を制御することが困難であり、分級操作を省略できず、製造工程が複雑であった。また、粉砕して得られたトナーの表面には所望のトナーの粒径よりも細かな粒径の微粉が残留しているため、この微粉の影響による帯電量の変化によって得られる画像濃度の低下が発生するという問題があった。更に、低温での定着を可能とすべく低温で融解する離型剤成分を添加した場合、離型剤がトナー粒子表面に露出するため、クリーニング性、保存性の良好なものを得るのが困難であるという問題があった。
このような問題を解決するため、懸濁重合法をはじめとして、各種重合法による重合法トナーの製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法では、重合性単量体、着色剤及び重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、帯電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、重合反応を行わせ所望の粒径を有するトナー粒子を得ている。重合法では、粒度分布が比較的狭い着色樹脂粒子を得ることができ、着色樹脂粒子内部に離型剤、着色剤や帯電制御剤を内包できるため、高温高湿下でも安定な帯電量を有するトナーが得られ易い。
このような重合法トナーの例として、特許文献1には、0.7kgf/mm以上の10%変位引張り強度を有するトナーを用いた画像形成方法が開示されている。該特許文献に開示された実施例1のトナーは重合法で製造されているが、しかし、長期に保存した場合、保存性が低下するとともに、画質が低下する等の問題があった。
また、高速プリンターに対応し、低温での定着を可能とするトナーが求められている。この目的を達成するため、コア層の外側に、コア層を構成する重合体のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する重合体層を形成させた、いわゆるコアシェル型のトナーが提案されている。例えば、特許文献2には、このようなトナーとして、少なくとも熱可塑性樹脂及び着色剤を含有する熱溶融性芯剤と、その芯材の表面を被覆するように設けた外殻とにより構成され、熱可塑性樹脂のガラス転移点等を特定の範囲としたトナーが開示されている。該特許文献に開示されたトナーは、画像形成方法において高画質の画像が得られることが開示されている。しかし、高速プリンターで使用した場合のオフセットバランス、保存性及び環境変動に伴う画質の安定性向上がさらに求められている。
一方、カラートナーによる画像形成においては、感光体に転写残トナーが存在していると、混色が発生するという問題がある。混色防止するためのクリーニングについては、画像形成装置(画像形成方法)やそれに使用されるトナーの面から様々な検討が行われている。例えば、クリーニングブレードを用いることにより、感光体に存在する転写残トナーをクリーニングする手段が知られている。しかしながら、このクリーニング手段には、印字速度の高速化に伴い、特に、長時間、高温高湿下で使用した場合に、クリーニング性能が低下するという問題がある。
また、特許文献3には、体積平均粒径が5〜8μmであり、粒径分布が1.0〜1.3であり、且つ粒子の絶対最大長を直径とした円の面積を粒子の実質投影面積で割って得られる平均球形度が1.0〜1.3である着色粒子と、外添剤とからなり、安息角が40〜50°であり、ゆるみ見掛け比重が0.3〜0.4g/ccであるトナーが開示されている。該特許文献に開示されたトナーは、長期間にわたって耐久印刷を行っても、転写材への転写性が良好であり、クリーニング不良の発生がなく、印字濃度の低下やかぶりの発生もなく、かつ解像度の高い優れた画像を得ることができる。しかしながら、更に、トナーの流動性及び保存性を向上させる必要があり、長期間、高温高湿下で使用した場合の環境安定性を向上させることが求められている。
特開平6−102699号公報 特開平6−324526号公報 特開2003−295516号公報
本発明の目的は、高速プリンターで使用してもオフセットバランス、保存性が良好であり、環境変動による画質低下の少なく、クリーニング性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含んでなる着色樹脂粒子と、外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにおいて、着色樹脂粒子の体積平均粒径及び平均円形度を特定の範囲とし、表面の算術平均粗さRa、表面の十点平均粗さRz、安息角及び微小圧縮試験で圧力をかけた後の変形率を特定の範囲としたトナーによって上記目的を達成し得るという知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含んでなる着色樹脂粒子と、外添剤とを含んでなる静電荷像現像用トナーであって、体積平均粒径(Dv)が4〜10μmであり、平均円形度が0.93〜0.995であり、表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.3μmであり、表面の十点平均粗さRzが0.5〜2.5μmであり、安息角が10〜35°であり、微小圧縮試験機で5秒間、1mN/mmの圧力をかけた後の変形率が20%以下である、静電荷像現像用トナーを提供するものである。
本発明により、高速プリンターで使用してもオフセットバランス、保存性が良好であり、環境変動による画質低下が少なく、クリーニング性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーについて説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、着色樹脂粒子と外添剤とからなる。本発明では、通常、外添剤は着色樹脂粒子に付着しているか、部分的に埋め込まれている。また、外添剤は、その一部が着色樹脂粒子から脱落していても構わない。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含んでなる粒子であり、さらに、帯電制御剤を含有していることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。
黒色トナーを得る場合は、着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、磁性粉、及びオイルブラックの他、あらゆる黒色の着色剤および染料を用いることができる。カーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものが好適に用いられる。粒径がこの範囲にあることにより、カーボンブラックを静電荷像現像用トナー中に均一に分散でき、かぶりも少なくなるので好ましい。
フルカラートナーを得る場合は、通常、着色剤として、それぞれ、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤およびシアン着色剤を使用する。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185および186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、および60等が挙げられる。
着色剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
帯電制御剤としては、従来からトナーに用いられている帯電制御剤を何ら制限なく用いることができるが、帯電制御剤が帯電制御樹脂を含有していることが好ましい。その理由は、帯電制御樹脂は結着樹脂との相溶性が高く、無色であり、これを用いることにより高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定したトナーを得ることができるからである。帯電制御樹脂の具体例としては、正帯電制御樹脂としてUS4840863(A)、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報、及び特開平11−15192号公報などの記載に準じて製造される四級アンモニウム基含有共重合体及び四級アンモニウムの塩の基を含有する共重合体、負帯電制御樹脂としてUS4950575(A)、及び特開平3−15858号公報などの記載に準じて製造されるスルホン酸基含有共重合体、及びスルホン酸塩の基を含有する共重合体等を挙げることができる。結着樹脂として、スチレン−アクリル酸エステル共重合体を用いた場合、帯電制御剤としてスチレン共重合体である帯電制御樹脂を用いると相溶性が良好であるので好ましい。
これらの共重合体である帯電制御樹脂中の、四級アンモニウム基、四級アンモニウムの塩の基、スルホン酸基、又はスルホン酸塩の基等の官能基を有する、単量体単位の割合は、帯電制御樹脂の重量に対し、好ましくは1〜12重量%であり、更に好ましくは2〜8重量%である。含有量がこの範囲にあると、静電荷像現像用トナーの帯電量を制御し易く、かぶりの発生を少なくすることができる。
帯電制御樹脂は、重量平均分子量が2,000〜50,000であることが好ましく、4,000〜40,000が更に好ましく、6,000〜35,000が最も好ましい。帯電制御樹脂の重量平均分子量が上記範囲にあると、得られる静電荷像現像用トナーのオフセットの発生や、定着性の低下を抑制することができる。
帯電制御樹脂のガラス転移温度は、好ましくは40〜80℃であり、更に好ましくは45〜75℃であり、最も好ましくは45〜70℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあると、得られる静電荷像現像用トナーの保存性と定着性とをバランス良く向上させることができる。
上述した帯電制御剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.1〜10重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの多官能エステル化合物;などが挙げられる。
離型剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記離型剤の中でも、合成ワックス及び多官能エステル化合物が好ましい。多官能エステル化合物の中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が好ましくは30〜150℃、更に好ましくは40〜100℃、最も好ましくは50〜80℃の範囲にある多官能エステル化合物が、得られるトナーの定着時の定着−剥離性バランスに優れるので好ましい。多官能エステル化合物の中で、分子量が1,000以上であり、25℃でスチレン100重量部に対し5重量部以上溶解し、酸価が10mgKOH/g以下であるものがそれぞれ好ましい。このような多官能エステルは、得られるトナーの定着温度低下に顕著な効果を示すからである。このような特に好ましい多官能エステル化合物として、ペンタエリスリトール−テトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサプルミテート及びジペンタエリスリトールヘキサミリステートが挙げられる。吸熱ピーク温度とは、ASTM D3418−82によって測定される値を意味する。
離型剤の水酸基価は、好ましくは0.01〜3mgKOH/gであり、更に好ましくは0.01〜2mgKOH/gである。離型剤の水酸基価がこの範囲にあると、得られるトナーを用いて現像した際のかぶりの発生を抑制できる。上記酸価及び水酸基価は、それぞれ、日本油化学協会(JOCS)制定の基準油脂分析法である、JOCS.2.3.1−96及びJOCS.2.3.6.2−96に準拠し測定される値を意味する。
離型剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常、3〜20重量部であり、好ましくは5〜15重量部である。
また、結着樹脂100重量部に対する離型剤の割合をb(単位:重量部)とし、離型剤の水酸基価(単位:mgKOH/g)をaとしたとき、aとbとの積(a×b)は0.05より大きく40未満であることが好ましく、0.05より大きく20未満であることが更に好ましい。a×bがこの範囲にあると、得られるトナーを用いて現像した際のかぶりの発生を抑制できる。
着色樹脂粒子は、粒子の内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の粒子であることが好ましい。コアシェル型着色樹脂粒子では、内部(コア層)の低軟化点物質をそれより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、より低温で定着できることと保存時の凝集防止とのバランスを取ることができるからである。
コアシェル型粒子のコア層には前記結着樹脂、着色剤、離型剤、及び必要に応じて帯電制御剤が含有され、シェル層は結着樹脂のみで構成される。また、コア層を構成する結着樹脂のガラス転移温度は、シェル層を構成する結着樹脂のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。
コアシェル型粒子のコア層とシェル層との重量比率は特に限定されないが、通常80/20〜99.9/0.1である。
シェル層の割合を上記割合にすることにより、得られるトナーの保存性が優れ、同時により低温での定着が可能となる。
コアシェル型樹脂粒子のシェル層の平均厚みは、通常0.001〜0.1μm、好ましくは0.003〜0.08μm、より好ましくは0.005〜0.05μmである。シェル層の平均厚みがこの範囲にあると、定着性及び保存性が向上するので好ましい。なお、コアシェル型着色樹脂粒子は、コア層の全表面がシェル層で覆われている必要はなく、コア層の表面の一部がシェル層で覆われていればよい。
コア層の粒径およびシェル層の厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作為に選択した粒子の大きさおよびシェル層の厚みを直接測ることにより得ることができ、電子顕微鏡でコアとシェルとを観察することが困難な場合は、コア層の粒径およびシェル層を形成する単量体の量から算定することができる。
次に、本発明の静電荷像現像用トナーを構成する外添剤について説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する外添剤は、一次粒子の体積平均粒径(Dv)が5〜18nm、好ましくは7〜16nmのシリカ微粒子(A)を含有する。好ましい外添剤は、一次粒子の体積平均粒径が0.1〜1μm、好ましくは0.2〜0.8μmである有機微粒子(C−1)又は無機微粒子(C−2)を更に含有するものである。より好ましい外添剤は、一次粒子の体積平均粒径が20〜60nm、好ましくは25〜50nmのシリカ微粒子(B)を更に含有するものである。着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着または一部埋め込ませることによって、トナー粒子の帯電性、流動性、保存性等を調整することができる。
シリカ微粒子(A)及びシリカ微粒子(B)の体積平均粒径が、それぞれ上記範囲にあると、感光体のフィルミングの発生を抑制し、得られるトナーの流動性が低下することを抑制して、これを用いて得られる印刷物のかすれの発生を抑制することができる。
有機微粒子(C−1)及び無機微粒子(C−2)の体積平均粒径が上記範囲にあると、得られるトナーの研磨性の低下及び流動性の低下を抑制することができる。
また、シリカ微粒子(A)の窒素吸着によるBET比表面積は、好ましくは10〜80m/gであり、更に好ましくは20〜60m/gである。BET比表面積が上記範囲にあると、得られる印刷物のカスレの発生や、得られるトナーの耐久性の低下を抑制できるので好ましい。
シリカ微粒子(B)の窒素吸着によるBET比表面積は、好ましくは150〜300m/gであり、更に好ましくは170〜280m/gである。BET比表面積が上記範囲にあると、得られる静電荷像現像用トナーを用いてカスレのない印刷物を得ることができる。
なお、窒素吸着によるBET比表面積は、ASTM D3037−81に準じ、BET法で測定される値である。
上記シリカ微粒子(A)及びシリカ微粒子(B)は、特に限定されないが、疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理されたシリカ微粒子は市場で入手可能であるが、未処理のシリカ微粒子をシランカップリング剤やシリコーンオイル等で疎水化処理して得ることもできる。
疎水化処理の方法としては、未処理のシリカ微粒子を高速で攪拌しながら、ここに処理剤であるシリコーンオイル等を滴下又は噴霧する方法;処理剤を有機溶媒に溶解して、これを撹拌しながら、シリカ微粒子を添加し、両者を混合した後、熱乾燥する方法等が挙げられる。前者の場合、処理剤は有機溶媒等で希釈して用いてもよい。
疎水化の程度はメタノール法で測定される疎水化度が20〜90%であることが好ましく、40〜80%であることが更に好ましい。疎水化度がこの範囲にあると、得られるトナーが高温高湿下で吸湿し難く、十分な研磨性を有することができる。
有機微粒子(C−1)は特に限定されないが、トナー粒子同士のブロッキングを抑制することができることから、有機微粒子を構成する化合物のガラス転移温度又は融点が、通常80〜250℃、好ましくは90〜200℃である。好ましい有機微粒子を構成する化合物として、メタクリル酸メチル重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。また、有機微粒子(C−1)の球形度(Sc/Sr)(粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割った値)は、特に限定されないが、通常1〜1.3、好ましくは1〜1.2である。球形度がこの範囲にあると、得られるトナーの転写性の低下を抑制できる。
無機微粒子(C−2)としては、上述したシリカ微粒子(A)及び(B)以外のシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、及びそれらに錫やアンチモンを表面処理することによって導電性を付与したものなどが挙げられる。
シリカ微粒子(A)の添加量は特に限定されないが、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.1〜3重量部であり、好ましくは0.2〜2重量部である。シリカ微粒子(A)の添加量がこの範囲にあると、得られるトナーを用いて現像される印刷物のカスレの発生及びかぶりの発生を抑制できる。
シリカ微粒子(B)の添加量は特に限定されないが、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.1〜2重量部であり、好ましくは0.2〜1.5重量部である。シリカ微粒子(B)の添加量がこの範囲にあると、得られるトナーのフィルミングの発生及びこれを用いて現像される印刷物のカスレの発生を抑制できる。
有機微粒子(C−1)及び無機微粒子(C−2)の添加量は特に限定されないが、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.1〜2重量部であり、好ましくは0.2〜1重量部である。有機微粒子(C−1)又は無機微粒子(C−2)の添加量がこの範囲にあると、得られるトナーのフィルミングの発生及びこれを用いて現像される印刷物のカスレの発生を抑制できる。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、外添剤は、上述したシリカ微粒子(A)、シリカ微粒子(B)、有機微粒子(C−1)及び無機微粒子(C−2)以外に、静電荷像現像用トナーに通常に外添剤として用いられる他の粒子を含有してもよい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、体積平均粒径Dvが4〜10μmであり、好ましくは5〜8μmである。Dvが4μm未満であると静電荷像現像用トナーの流動性が小さくなり、これを用いて得られる印刷物にかぶりが発生する。一方、10μmを超えると、画像再現性及びドット再現性が低下する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比(Dv/Dp)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこの範囲にあると、印刷物のかぶりの発生を抑制することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、フロー式粒子像分析装置で測定される、その平均円形度が0.93〜0.995であり、更に好ましくは0.95〜0.995である。平均円形度がこの範囲未満であると、ドット再現性、クリーニング性が低下する。
転相乳化法、溶解懸濁法、又は重合法(懸濁重合法や乳化重合法)等を用いて静電荷像現像用トナーを製造することにより、この平均円形度を比較的容易に上記範囲とすることができる。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長と、粒子の投影像の周囲長との比として定義される。また、本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、トナーの凹凸の度合いを示す指標である。この円形度は、トナーが完全な球形の場合に1を示し、トナーの表面形状の凹凸が大きくなるほど小さな値となる。平均円形度(Ca)は、次式により求められた値である。
Figure 2005093522
上記式において、nは円形度Ciを求めた粒子の個数である。
上記式においてCiは0.6〜400μmの円相当径の粒子群の各粒子について測定された円周長を元に次式により算出された各粒子の円形度である。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
上記式において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
静電荷像現像用トナーの円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」又は「FPIA−2000」等を用いて求めることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.3μmであり、好ましくは0.1〜0.25μmである。算術平均粗さRaがこの範囲未満であると、オフセット発生温度が低下したり、クリーニング性が低下したりする。一方、この範囲を超えると、得られる印刷物のドット再現性が低下し、トナーの最低定着温度が高くなる。
なお、本発明において、算術平均粗さRaとは、JIS B 0601で規定され、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次式により求められる値をμm単位で表したものをいいい、後述の方法によって測定することができる。
Figure 2005093522
上記式において、Lは基準長さである。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー表面の十点平均粗さRzが0.5〜2.5μmであり、好ましくは0.5〜2μmである。十点平均粗さRzがこの範囲未満であると、保存性が低下したり、環境耐久性が低下したりする。一方、この範囲を超えると、ドット再現性が低下し、最低定着温度が高くなる。
なお、本発明において、十点平均粗さRzとは、JIS B 0601で規定され、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をμm単位で表したものをいい、後述の方法によって測定することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、安息角が10〜35°であり、好ましくは10〜30°である。この安息角はトナーの流動性を表す指標の一つであり、安息角が小さいほどトナーの流動性が高い(トナーの粘り気がなく、つかえずに軽く流れる度合いが高い)ことを示す。安息角が35°を超えると保存性が低下し、10°未満であるとクリーニング性が低下する。安息角は、例えば粉体計測機(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダテスタPT−R」)を使用して測定することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、微小圧縮試験機で5秒間、1mN/mmの圧力をかけた後の変形率が20%以下であり、好ましくは15%以下である。この範囲を超えると、保存性が低下する。
なお、上記変形率は、上部加圧圧子として材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子はSKS(合金工具鋼)平板を用い、温度25℃で、湿度50%の条件下で、トナー1粒子に対して加重を負荷させたときの圧縮変位を測定して求めることができる。
上記変化率は、例えば、島津製作所製、微小圧縮試験機「MCTM−200」、又は「MCTM−500」等を用いて測定することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後のゼータ電位の絶対値(E1)が0〜40mVであることが好ましく、0〜30mVであることが更に好ましい。E1がこの範囲にあると、得られる印刷物の、かぶりの発生を抑制でき、画像濃度が高くなる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーを温度50℃、湿度80%の環境下に2週間放置した後のゼータ電位の絶対値(E2)とE1との差は5mV未満であることが好ましく、3mV未満であることが更に好ましい。E2とE1との差がこの範囲にあると、得られる印刷物のかぶりの発生を抑制できる。
ゼータ電位は、例えばレーザードップラー法、別名電気泳動光散乱測定法により測定することができる。液体中に分散させた粒子が帯電している場合、その系に電場をかけると、粒子は電極に向かって移動するが、その移動速度は粒子の荷電に比例する。そのため、その粒子の移動速度を測定することによってゼータ電位を求めることができる。レーザードップラー法では、光や音波が動いている物体に当たって反射したり散乱すると、光や音波の周波数が物体の速度に比例して変化する、「ドップラー効果」を利用して粒子の泳動速度(移動速度)を求める。電気泳動している粒子にレーザー光を照射すると、ドップラー効果により粒子からの散乱光の周波数がシフトし、シフト量は粒子の泳動速度に比例することから、このシフト量を測定することにより粒子の泳動速度を求めることが可能である。
ここで得られた泳動速度(V)と電場(E)から下記式(1)により電気移動度(U)が求められる。
U=V/E (1)
ゼータ電位(ζ)は、電気移動度(U)から下記式(2)(Smoluchowskiの式)を用いて求めることができる。
ζ=4πηU/ε (2)
式(2)において、η及びεは下記の通りである。
η:溶媒の粘度
ε:溶媒の誘電率
本発明においては、ゼータ電位を求めるために、溶媒としてエタノールとイオン交換水との混合液(50/50:容量基準、25℃)を用いた。ηは0.993mPa、εは52.0である。
ゼータ電位の値は、上述したように溶媒の粘度と誘電率との関数であり、溶媒中に存在するイオンや溶媒のpHの影響を受けやすいので、pH6.5〜7.5の範囲で測定した。ゼータ電位を測定するために用いられるイオン交換水は導電率が10μS/cm以下のものが好ましく、1μS/cm以下のものが更に好ましい。静電荷像現像用トナーのゼータ電位を正確に測定するためには、静電荷像現像用トナーを溶媒と混合した際に表面に気泡が付着せず、静電荷像現像用トナーの表面を十分に濡らすことのできる溶媒を用いるべきである。静電荷像現像用トナーの表面に気泡が付着する場合は、溶媒との濡れ性を向上させるために静電荷像現像用トナーと溶媒を混合した後、超音波処理してもよい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、ガラス転移温度が好ましくは50℃以上70℃未満であり、更に好ましくは53℃以上65℃未満である。ガラス転移温度がこの範囲にあると、オフセット発生温度を高くし、定着温度を低くすることができるので好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子の製造方法は、前述した範囲の特性を有するものを製造できる方法であれば、特に制限はないが、重合法、特に懸濁重合法を用いて製造することが好ましい。
次に、重合法により、静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子及び静電荷像現像用トナーを製造する方法について説明する。
静電荷像現像用トナーを構成する着色樹脂粒子は、例えば、結着樹脂の原料である重合性単量体(モノビニル単量体を必須成分として含む)に、架橋性単量体(比較的分子量の大きいもの)、着色剤、帯電制御剤、離型剤、連鎖移動剤及びその他の添加剤を溶解あるいは分散させ(以上の混合物を重合性単量体組成物という)、分散安定化剤を含有する水系分散媒中で、ここに重合開始剤を添加して重合反応を行い、濾過、洗浄、脱水及び乾燥して製造することができる。静電荷像現像用トナーは、重合反応の際に、重合性単量体の種類及びその使用量比、架橋性単量体の種類及び量、連鎖移動剤の量、離型剤の水酸基価及び量、開始剤の種類及び量を制御する等して着色樹脂粒子を製造し、複数の粒子を併用した外添剤を添加することにより、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、安息角、変形率等の特性を本発明の規定の範囲にすることができる。
重合性単量体としては、モノビニル単量体を用い、その他に、架橋性単量体、マクロモノマー等を併用することができる。この重合性単量体が重合され、結着樹脂成分となる。
モノビニル単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル等の(メタ)アクリル系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる(ここで、(メタ)はメタクリル又はアクリルを意味する)。
モノビニル単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いても良い。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体を単独で、又は芳香族ビニル単量体とアクリル単量体若しくはメタクリル単量体を併用して用いることが好ましい。
モノビニル単量体と共に、架橋性単量体を用いると、得られるトナーのホットオフセットが有効に改善される。架橋性単量体は、2個以上のビニル基を有する単量体である。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルやトリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。架橋性単量体の量は、モノビニル単量体100重量部当たり、通常10重量部以下、好ましくは、0.1〜2重量部である。
また、モノビニル単量体に、マクロモノマーを併用して用いると、得られるトナーの保存性と、より低温で定着できるようになることとのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するオリゴマーまたはポリマーで、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000である。
マクロモノマーは、それを単独で重合することにより、用いるモノビニル単量体を単独で重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも、高いガラス転移温度を有する重合体となるものが好ましい。
マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類等が挙げられる。また、これらの重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。
重合開始剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、更に好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは0.5〜10重量部である。重合開始剤は、重合性単量体組成物中にあらかじめ添加しておいてその重合性単量体組成物を水系分散媒体に入れて液滴を形成してもよいが、場合によっては、重合性単量体組成物の液滴を形成した後の水性分散媒中に重合開始剤を添加してもよい。
重合に際しては、水性分散媒中に分散安定化剤を含有させることが好ましい。該分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の無機水酸化物等の無機化合物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの分散安定化剤は1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
懸濁重合法においては、上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の無機水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤が好ましい。得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布を狭くすることができ、洗浄後、着色樹脂粒子に残存する分散安定化剤の量が少なく、かつ得られるトナーが画像を鮮明に再現することができるからである。
上記分散安定化剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部である。分散安定化剤の量がこの範囲にあると、十分な重合安定性を得られ、重合凝集物の生成が抑制されるので好ましい。
また、重合に際しては、分子量調整剤を使用することが好ましい。該分子量調整剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類が挙げられる。上記のメルカプタン類の中でも、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが好ましい。上記分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。上記分子量調整剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
上述した、好ましいコアシェル型着色樹脂粒子を製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、スプレイドライ法、界面反応法、in situ重合法、相分離法などの方法が挙げられる。具体的には、粉砕法、重合法、会合法又は転相乳化法により得られた着色樹脂粒子をコア層として、それに、シェル層を被覆することによりコアシェル型着色樹脂粒子が得られる。この製造方法の中でも、in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型着色樹脂粒子の製造方法を以下に説明する。
コア粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル層を形成する具体的な方法としては、コア層の粒子を得るために行った重合反応の後の反応系にシェル用重合性単量体を添加して継続的に重合する方法、または別の反応系で得たコア層の粒子を反応器に入れ、これにシェル用重合性単量体を添加して重合する方法などを挙げることができる。
シェル用重合性単量体は反応系に一括して添加しても、またはプランジャポンプなどのポンプを使用して連続的もしくは断続的に添加してもよい。
シェル用重合性単量体としては、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレートなどのガラス転移温度が80℃を超える重合体を形成する単量体をそれぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、これらの単量体に、メタクリル酸変性シリコーンオイルを併用すると、得られるトナーの保存性及びクリーニング性が向上するので好ましい。メタクリル酸変性シリコーンオイルとは、ジメチルポリシロキサンの特長を生かし、そのメチル基の一部にメタクリル酸を結合させたものである。
シェル用重合性単量体を添加する際に、シェル用重合性単量体を重合する重合開始剤として、水溶性重合開始剤を添加することが好ましい。コアシェル型着色樹脂粒子を生産性良く製造できるからである。シェル用重合性単量体の添加の際に水溶性重合開始剤を添加すると、シェル用重合性単量体がコア層の外表面近傍に集まってきて、ここに水溶性重合開始剤が水系媒体から移動して重合反応が進むので、コア層表面に重合体(シェル)を形成しやすくなると考えられる。
水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等のアゾ系開始剤などを挙げることができる。水溶性重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
重合の際の温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜10時間である。重合終了後に、常法に従い、得られるコアシェル型樹脂粒子を濾過、洗浄、脱水および乾燥する操作を行なう。必要に応じて洗浄及び脱水を数回繰り返すことが好ましい。
水系分散媒に分散安定化剤として無機水酸化物等の無機化合物を使用した場合は、重合によって得られる着色樹脂粒子の水系分散媒への分散液に、酸又はアルカリを添加して、分散安定化剤を水に溶解して、除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性無機水酸化物のコロイドを使用した場合には、酸を添加して、水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸などの無機酸、並びに蟻酸及び酢酸などの有機酸を用いることができ、除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
上記の着色樹脂粒子の水系分散媒への分散液から着色樹脂粒子を濾過脱水する方法は特に制限されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることができる。これらのうち遠心濾過法が好適である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、着色樹脂粒子及び外添剤、また必要に応じてその他の微粒子をヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて混合することにより得ることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。なお、以下の実施例において、部および%は、特に断りのない限り重量部又は重量%を表す。
本実施例では、以下の方法で静電荷像現像用トナーの評価を行った。
(1)体積平均粒径及び粒径分布
静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)及び粒径分布、すなわち体積平均粒径と個数平均粒径(Dp)との比(Dv/Dp)は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した。マルチサイザーによる体積平均粒径及び粒径分布の測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、濃度:10%、測定粒子個数:100000個の条件により実施した。
(2)平均円形度
20mgの静電荷像現像用トナーに、分散媒として0.1%ドデシルスルホン酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)水溶液を100μl加えてなじませた後、イオン交換水10mlを加えて撹拌し、超音波分散機で60W、30分間分散処理を行った。測定時のトナー濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、円相当径1μm以上のトナー粒子1,000〜10,000個についてシスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」を用いて円形度を測定した。測定値から平均円形度を求めた。
(3)算術平均粗さRa及び十点平均粗さRz
静電荷像現像用トナーを試料用板上に載せ、余剰の静電荷像現像用トナーをブロワーで除去した。試料用板上の静電荷像現像用トナーから体積平均粒径に近い粒径を有するものを選び出して、バイオレットカラーレーザー顕微鏡(キーエンス社製、機種名「VK−9500」)を用いて、静電荷像現像用トナーの粒子表面4μmについて、粗さ曲線を測定した。測定は、レンズ倍率150倍、光学ズーム20倍、ピッチ0.05μm、曲率0.08mm以上カットオフの条件で行い、三次元表面形状解析ソフトウェア(三谷商事社製、商品名「SurftopEye」)を用いて、算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzを求めた。5個のトナー粒子について、それぞれRa及びRzを求め、その平均値をRa値及びRz値とした。
(4)安息角
粉体計測器(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダテスタPT−R」を用い、この計測器のスタンドに、サンプルロートを設置し、更に目開き60メッシュの標準篩を重ね、固定した後、サンプルロートを振動させ、サンプルロートを通じて、直径8cmの円形テーブル上に静電荷像現像用トナーを落下させ、静電荷像現像用トナーの山を形成させた。次いで、山の稜線と水平線との角度をレーザー光で測定し、安息角とした。なお、振動は静電荷像現像用トナーの山が崩れない程度に振動幅を調整して静電荷像現像用トナーの落下速度を調整した。
(5)微小圧縮変形率
静電荷像現像用トナーを試料用板上に載せ、余剰の静電荷像現像用トナーをブロワーで除去した。温度25℃、湿度50%の環境下で、微小圧縮試験器(島津製作所社製、機種名「MCTM−500」を用いて、粒径αμmのトナーに対して、1mN/mmの圧力を5秒間かけた後の押し込み深さを5回測定した。5回の測定のうち、数値が最小と最大となる2点を除外した残りの3点の平均値を、その静電荷像現像用トナー押し込み深さβμmとした。静電荷像現像用トナー粒子1個当たりの微小圧縮変形率は、下記式から算出した。
微小圧縮変形率(%)=β/α×100
同様の測定を、合計10個の静電荷像現像用トナー粒子について行い、その10個の平均値を微小圧縮変形率とした。
(6)ゼータ電位
温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後の静電荷像現像用トナー30gに、エタノール/イオン交換水(導電率:0.8μS/cm)=50/50(容量比)の溶媒を加えて100gとした後、超音波分散機で5分間分散させた。次いで、25℃の温度でゼータ電位測定機(マルバーン社製、商品名「ゼータサイザー3000HS」)を用いてゼータ電位の測定を行った。
静電荷像現像用トナーを上記溶媒に分散した直後のゼータ電位の測定値をE1とした。また静電荷像現像用トナーを温度50℃、湿度80%で2週間放置した後に、上記E1と同様にしてゼータ電位を測定し、この値をE2とした。
(7)ガラス転移温度
JIS K7121の方法に従い、示差走査熱量分析(セイコーインスツルメンツ社製、製品名「RDC-220」)を用いてガラス転移温度の測定を行った。静電荷像現像トナーを6〜8mg秤量し、試料用容器に入れ、窒素雰囲気下で−10℃から130℃まで10℃/分の割合で昇温して、DSC曲線を得た。このDSC曲線から、最も低いガラス転移温度を求め、静電荷像現像用トナーのガラス転移温度とした。
(8)定着温度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:28枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて、それぞれの温度での現像剤の定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めることにより行った。定着率は、改造プリンターで印刷した試験用紙におけるベタ領域(全面にトナーが載った領域)の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後とすると、定着率は、下記式から算出した。
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
なお、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製 スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧で付着させ、次いで、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作のことを意味する。また、画像濃度は、マクベス社製反射式画像濃度測定機を用いて測定した。定着試験において、定着率が80%以上になる定着ロールの最低温度をトナーの定着温度とした。この定着温度が低い方が、より高速での印刷に用いることができるのでトナーとして優れている。
(9)ホットオフセット発生温度
(8)の定着温度の測定と同様にして、定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて印字し、定着ロール上にトナーが残留して汚れが発生する最低温度をホットオフセット発生温度とした。このホットオフセット発生温度が高い方が、より高速での印刷に用いることができるのでトナーとして優れている。
(10)印字濃度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:28枚/分)に印字用紙をセットし、このプリンターの現像装置に静電荷像現像用トナーを入れ、現像ロール上に供給される静電荷像現像用トナー量を0.45mg/cm(一定)に設定して、温度23℃、湿度50%の(N/N)環境下で24時間放置した後、印刷スタートから5%印字濃度で連続印字を行い、10枚ごとにベタ印字(全領域にトナーが載った印字)を行い、マクベス式反射型画像濃度測定機を用いて、印字濃度を測定した。同様に、静電荷像現像用トナーを、温度50℃、湿度80%の環境下で2週間放置した後、静電荷像現像用トナーを現像装置に入れて、同様にして印字濃度を測定した。
(11)環境安定性
(10)で用いたプリンターを用いて、温度23℃、湿度50%の(N/N)環境、温度35℃、湿度80%の(H/H)環境の各環境下で24時間放置後、5%濃度で連続印字を行い、500枚毎に、ベタ印字及び白ベタ印字(全領域にトナーがない印字)を行った。
印字濃度は、(9)と同様にしてベタ印字したものについて測定した。
また、白ベタ印字後に、感光体上にある静電荷像現像用トナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させ、それを新しい印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の色調(B)を、分光色差計(日本電色社製、機種名「SE2000」)で測定した。同様にして、新しい粘着テープだけを貼り付けた印字用紙の色調(A)を測定し、それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、その2つの色調から色差ΔE*を算出して、かぶり値とした。このかぶり値が小さい方が、かぶりが少ないことを示す。
環境安定性の試験は、上記ベタ印字を行った際の印字濃度が1.3以上で、かつ白ベタ印字を行った際のかぶり値が1%以下である画質を維持できる最大連続印字枚数を10,000枚まで調べた。なお、表中に10,000枚とあるのは、10,000枚でも、上記基準を満たしたことを示す。
(12)保存性
静電荷像現像用トナー約20gを、精秤して密閉可能な容器に入れて密閉した後、温度50℃の環境下で2週間放置した後に取り出して、目開き500μmの篩の上に、できるだけ構造を破壊しないように、かつ注意深く移した。(4)で用いた粉体測定機を用い、振動幅を1.0mmに設定して、この篩を30秒間振動した後、その篩上に残った静電荷像現像用トナーの重量を測定し、これを凝集したトナーの重量とした。最初に容器に入れた静電荷像現像用トナーの重量に対する凝集トナーの重量の割合(重量%)を算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を保存性の指標とした。なお、トナーの保存性(重量%)は、数値が小さい方が優れたものである。
(13)クリーニング性
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:28枚/分)を改造し、クリーニングブレードを取り付け、これに転写材としてコピー用紙をセットして、このプリンターの現像装置に試験する静電荷像現像用トナーを入れ、温度23℃及び湿度50%の(N/N)環境下で24時間放置後、印刷スタートから5%濃度で連続印字を行い、500枚毎に感光体及び帯電ロールを観察して、クリーニング不良による筋の発生の有無を調べた。この試験を最大10,000枚まで調べた。なお、表中に10,000枚とあるのは、10,000枚印字しても、筋が発生しなかったことを示す。
製造例1
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、ジペンタエリスリトール(広栄化学社製、商品名「D-PE」)100部及びミリスチン酸567部を加え、窒素気流下、常圧で220℃で15時間反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させた。得られた粗生成物625部にトルエン187部、n-プロパノール31部及び8%水酸化カリウム水溶液100部を加え、70℃で30分間攪拌した。撹拌後、30分間静置して、分離した油層部及び水層部のうち、水層部を除去した。次いで、このようにして得られた粗生成物100部に対して、イオン交換水20部を添加して、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を除去する操作(水洗という)を行った。水層部のpHが中性になるまで、水洗を4回繰り返した。水洗の後、分離して得た油層部から、180℃、1kPaの減圧条件下で、トルエン及びn-プロパノールを留去した後、濾過を行い、粗製ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(水酸基価:2.9mgKOH/g)を得た。40℃でのトルエンへの溶解度は30重量%であった。
次いで、40℃に加熱したトルエンに、上記の粗製ジペンタエリスリトールヘキサミリステートを溶解して20重量%の溶液とした後、5℃まで冷却して、再結晶化させた。温度を5℃に保持したままで、再結晶成分を濾紙で濾過し、濾紙上の再結晶成分を50℃で24時間真空乾燥して、離型剤としてのエステル化合物(精製ジペンタエリスリトールヘキサミリステート)を得た。このエステル化合物の、40℃でのトルエンへの溶解度は20重量%で、40℃でのトルエンへの溶解度は30重量%で、水酸基価は0.6mgKOH/gであった。
実施例1
スチレン80.5部、n−ブチルアクリレート19.5部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.5部、ジビニルベンゼン0.6部、t-ドデシルメルカプタン1.2部、及びマゼンタ顔料(クライアント社製、商品名「C.I.ピグメンレッド122」)7部を、メディア型湿式粉砕器(浅田鉄工社製、商品名「ピコミル」)を用いて湿式粉砕を行い、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2%を重合してなる帯電制御樹脂(数平均分子量:7000、重量平均分子量:22000、Mw/Mn=3.1)6部、及び製造例1で得られた離型剤10部を添加し、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。

上記とは別に、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を攪拌しつつ徐々に添加し、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
一方、メチルメタクリレート1.0部、ライトアクリレートPTMG−250(共栄社化学社)0.5、メタクリル酸変性シリコーンオイル(信越化学工業社製、「X−22−2404」)0.5部及び水65部を混合して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
上述のようにして得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上述のようにして得られたコア用重合性単量体組成物を室温(25℃)で投入し、液滴が安定するまで攪拌を行った。液滴が安定した後、t-ブチルパーオキシ-イソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)6部を添加した後、エバラマイルダー(荏原製作所社製、型番「MDN303V型」)を用いて、15000rpmの回転数で30分間高剪断撹拌して、更に小さいコア用重合性単量体混合物の液滴を形成させた。
コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した水酸化マグネシウムコロイド分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、85℃まで昇温し、温度が一定となるように制御しながら重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA-086」=2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ハイドロキシエチル)-プロピオンアミド))0.3部を溶解した液を反応器に添加した。さらに4時間重合を継続した後、反応を停止し、コアシェル型の着色樹脂粒子の水分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子の水分散液を、室温(25℃)で攪拌しながら、硫酸により洗浄(25℃、10分間)して、系のpHを4.5以下にした。この水分散液を濾過、脱水した後、乾燥して、乾燥した着色樹脂粒子を得た。得られた着色樹脂粒子100部に、外添剤として体積平均粒径0.35μmのコア層がポリスチレンでシェル層がポリメタクリル酸メチルの有機微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて5分間、回転数1400rpm、混合機内温度55℃で攪拌し、さらに、攪拌機のジャケットを水冷しながら体積平均粒径が12nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−200」)0.8部、体積平均粒径が40nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−50」)1.0部を添加し、回転数1400rpmで10分間攪拌し、静電荷像現像用トナーを調製した。得られた静電荷像現像用トナーの特性及び画像等の評価を上述のようにして行った。その結果を表1に示す。
実施例2
ポリメタクリル酸エステルマクロモノマーの量を1.5部に変え、シェル用重合性単量体の組成を、ライトアクリレートPTMG−250(共栄社化学社)0.5部及びメタクリル酸変性シリコーンオイル(信越化学工業社製、「X−22−2404」)0.5部及び水65部に変えた以外は、実施例1と同様に操作を行い、静電荷像現像用トナーを得た。得られた静電荷像現像用トナーの特性及び画像等の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
比較例1
スチレン82%、アクリル酸ブチル11%及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7%を重合してなる帯電制御樹脂(重量平均分子量:20000、ガラス転移温度62℃)100部に、メチルエチルケトン24部、メタノール6部を分散させ、冷却しながらロールにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、マゼンタ顔料(クライアント社製、商品名「C.I.ピグメンレッド122」)100重量部を徐々に添加して、1時間混練を行い、帯電制御樹脂組成物を製造した。この時、ロール間隙は、初期1mmであり、その後徐々に間隙を広げ、最後は3mmまで広げ、有機溶剤(メチルエチルケトン/メタノール=4/1(重量比)の混合溶剤)を、帯電制御樹脂の混練状態に合わせ何回か追加した。帯電制御樹脂組成物の一部を取り出し、トルエンを加えて溶解させ、帯電制御樹脂組成物の5%トルエン溶液にした。ガラス板上に間隙が30μmのドクターブレードでこの溶液を塗布、乾燥し、シ−トを作製した。
スチレン80部、n−ブチルアクリレート20部、ジビニルベンゼン0.6部及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.25部からなるコア用重合性単量体、上記帯電制御樹脂組成物12部、t−ドデシルメルカプタン1部、及び製造例1で得られたエステル化合物10部を室温下、ビーズミルで分散させ、コア用重合性単量体組成物を得た。
上記とは別に、撹拌槽を備えた容器の中で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム16.0部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム9.7部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。
一方、メチルメタクリレート2部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
上述のようにして得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)5部を添加した。このようにして得られた分散液を、撹拌子が15000rpmで回転するエバラマイルダー(荏原製作所社製、商品名「MDN303V」)を1回あたりの総滞留時間3秒で通過させ、通過させた分散液を、インナーノズルを経て、元の撹拌槽内に噴出速度0.5m/sで戻して循環させ、コア用単量体組成物の液滴を形成させた。なお、インナーノズル先端が撹拌槽中の分散液の液面下50mmに位置するように調整し、循環回数10回で液滴を形成させた。エバラマイルダーの周囲には冷却用ジャケットが取り付けてあり、約15℃の冷却水を流通させた。
上記コア用単量体組成物が分散されて液滴が形成された水酸化マグネシウムコロイド分散液に、四ホウ酸ナトリウム十水和物を1部添加し、攪拌翼を装着した反応器に入れ、85℃まで昇温して重合反応を開始させ、85℃に保持して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA−086」=2,2’−アゾビス(2−メチル−N(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド))0.2部を溶解した液を反応器に添加した。さらに4時間重合を継続した後、反応を停止し、コアシェル型着色粒子の水分散液を得た。上記により得た着色粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により洗浄(25℃、10分間)して、系のpHを4以下にした。この水分散液を濾過脱水した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。
その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で2昼夜乾燥を行い、コアシェル型の重合体粒子を得た。
得られたコアシェル型重合体粒子100部に、外添剤として疎水化度65%で体積平均粒径7nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−300」)0.5部、疎水化度64%で体積平均粒径40nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−50」)2.0部及び体積平均粒径0.3μmのキューブ状の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名「CUBE−03BHS」)0.3部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて10分間、回転数1400rpmで混合し、静電荷像現像用トナーを得た。得られた静電荷像現像用トナーの特性及び画像等の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
比較例2
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物367.5部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物146.4部、テレフタル酸126.0部、ドデセニル無水コハク酸40.2部、無水トリメリット酸77.7部をガラス製反応器に入れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー、及び窒素導入管を取り付け、ヒーターで加熱しながら窒素気流下にて220℃にて反応した。ASTME28−67に準拠した軟化点により重合度の追跡を行い、軟化点が110℃に達したとき、反応を終了し、樹脂Aを得た。
スチレン65.0部、2−エチルヘキシルアクリレート35.0部、ジビニルベンゼン0.9部、マゼンタ顔料(クライアント社製、商品名「C.I.ピグメンレッド122」)7.0部、帯電制御剤「BONTRON E−84」(保土ヶ谷化学工業社製)1.0部に、上述のようにして得られた樹脂A20.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.5部を添加し、アトライター(三井三池化工機社製、商品名「MA−01SC型」、)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。離型剤は用いなかった。次いで、別のガラス製反応器に、予め調製したリン酸三カルシウム4%の水性コロイド溶液560部と、上述のようにして得られた重合性組成物240部を添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)を用いて、15℃にて回転数12000rpmで5分間乳化分散させた。
次に、このガラス製反応器に、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱ヒーターを設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、85℃まで昇温し、10時間反応せしめた。冷却後、1N塩酸水溶液約440部にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの、外殻が非晶質ポリエステルである着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、静電荷像現像用トナーを得た。得られた静電荷像現像用トナーの特性及び画像等の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005093522
表1に記載の静電荷像現像用トナーの評価結果から、以下のことがわかる。
安息角と表面の十点平均粗さが、本発明で規定する範囲外である、比較例1の静電荷像現像用トナー、及び安息角、十点平均粗さRz及び微小圧縮変化率が本発明で規定する範囲外である、比較例2の静電荷像現像用トナーは、ホットオフセット発生温度が低く、印字濃度が、特に温度50℃、湿度80%の環境下で2週間放置した後の印字濃度が低く、環境耐久性が低く、保存性が低下しており、クリーニング性が低下している。
これに対し、本発明の実施例1及び2の静電荷像現像用トナーは、ホットオフセット発生温度が高く、印字濃度が高く、環境耐久性、保存性及びクリーニング性が良好である。

Claims (18)

  1. 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含んでなる着色樹脂粒子と、外添剤とを含んでなる静電荷像現像用トナーであって、
    体積平均粒径(Dv)が4〜10μmであり、平均円形度が0.93〜0.995であり、
    表面の算術平均粗さRaが0.05〜0.3μmであり、
    表面の十点平均粗さRzが0.5〜2.5μmであり、
    安息角が10〜35°であり、
    微小圧縮試験機で5秒間、1mN/mmの圧力をかけた後の変形率が20%以下である、静電荷像現像用トナー。
  2. 温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後の該静電荷像現像用トナーのゼータ電位の絶対値(E1)が0〜40mVであり、
    温度50℃、湿度80%の環境下に2週間放置した後の静電荷像現像用トナーのゼータ電位の絶対値(E2)とE1との差が5mV未満である、
    請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 離型剤が水酸基価(a)が0.01〜3mgKOH/g以下の多官能エステル化合物であり、結着樹脂100重量部に対する離型剤の割合(b)(単位:重量部)と水酸基価(a)(単位:mgKOH/g)との積が0.05より大きく40未満である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. ガラス転移点が50℃以上70℃未満である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 離型剤が、10mgKOH/g以下の酸価を有する多官能エステル化合物である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 離型剤が、25℃でスチレン100重量部に対し5重量部以上溶解する多官能エステル化合物である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 着色樹脂粒子がさらに帯電制御剤を含む、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 帯電制御剤が、帯電制御樹脂を含む、請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 帯電制御樹脂のガラス転移温度が40〜80℃である、請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 体積平均粒径(Dv)が5〜8μmである、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 平均円形度が、0.95〜0.995である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比(Dv/Dp)が、1.0〜1.3である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 外添剤が、一次粒子の体積平均粒径が5〜18nmであるシリカ微粒子(A)を含有する、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  14. 外添剤が、一次粒子の体積平均粒径が0.1〜1μmである、有機微粒子又は無機微粒子を更に含有する、請求項13に記載の静電荷像現像用トナー。
  15. 外添剤が、一次粒子の体積平均粒径が20〜60nmのシリカ微粒子(B)を更に含有する、請求項14に記載の静電荷像現像用トナー。
  16. シリカ微粒子(A)の添加量が、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜3重量部である、請求項13に記載の静電荷像現像用トナー。
  17. シリカ微粒子(B)の添加量が、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜2重量部である、請求項15に記載の静電荷像現像用トナー。
  18. 着色樹脂粒子が重合法を用いて製造されたものである、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。


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