JP4182318B2 - 正帯電性トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一成分方式、二成分方式にかかわらずに、鮮明な色調と、安定した帯電と、優れた転写性を有する電子写真用正帯電性トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法は、光導電性感光体よりなる静電潜像担持体に、帯電、露光により静電潜像を形成し、次いで、着色剤を含有するトナーによってこの静電潜像を現像し、得られたトナー像を転写紙などの支持体に転写、定着して可視画像を得る方法である。
静電潜像を現像するトナーとしては、従来、ポリスチレンなどの結着樹脂中に着色剤(カーボンブラック,染料、顔料等)を分散させ、1〜10μm程度に粉砕した粒子をトナーとして用いる粉砕トナーや、着色剤を重合性単量体に分散、溶解させた後、水系分散媒体中で乳化あるいは懸濁させ、重合する重合トナー等が挙げられる。
【0003】
こうしたトナーにおいても最近はカラー化が進み、低速から高速まで幅広くカラー印刷を行うカラー画像形成装置に用いられてきている。カラー画像装置には、複数の画像形成部を備え、各画像形成部でそれぞれ色の異なるトナー像を形成し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどのカラートナー像を同一の記録媒体に順次重ね転写してカラー印刷を行うことが知られている。
粉砕トナーや重合トナー等のいずれを使用するにしても、正帯電性カラートナーとして使用されるには以下のようなことが要求される。
【0004】
(1)多色重ねをするためにトナーは透明性が高いこと。
(2)色を再現させるために分光反射特性が優れること。
(3)トナーには正の電荷を選択的に持たせること。
(4)低温定着が可能であること。
(5)カラートナーの製造が容易であること。
【0005】
従来、着色剤の分散性を改良するために種々の検討が行われている。例えば特開昭61−149969号公報には、アミン含有単量体の均質重合体等の帯電強化用添加剤と、顔料とを、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素中、ロールミルで混合して調製した帯電強化用添加剤で処理された顔料を、樹脂粒子と溶融混合後、粉砕するトナー組成物が開示されている。特開昭62−119549号公報には、結着樹脂を溶剤に溶解し、この溶液中に着色剤、帯電制御剤を加え、攪拌混合後、凍結乾燥法により溶剤を除去し、次いで得られたトナーを粉砕分級するトナー製造方法が開示されている。特開平03−155568号公報には、結着樹脂と、染料及び顔料の少なくとも1つと、有機溶剤とを混合混練し、染料あるいは顔料のマスターバッチを製造し、このマスターバッチをさらに結着樹脂、及び必要に応じてその他の添加剤とを混合、混練、粉砕分級するトナーの製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながらこれらの方法によっても、前記カラートナーの種々の条件を同時に満足することは相当に困難である。特に、透明性に優れ、かつ分光反射特性の良好な正帯電性カラートナーを製造することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子写真に於いて、鮮明な画像を得ることのできる正帯電性トナー及びその製造方法を提供すること、特にカラートナーに適用した場合、カラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分光特性に優れ、カブリが少なく、印字濃度を高くすることができ、更に転写性にも優れた正帯電性トナー及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、正帯電制御樹脂と、着色剤と、必要によって有機溶剤とを混合した正帯電制御樹脂組成物を用いることで、前記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0009】
かくして、本発明によれば、(1)正帯電制御樹脂100重量部と、着色剤10〜200重量部と、前記正帯電制御樹脂を溶解し得る有機溶剤0〜100重量部とを混合し、正帯電制御樹脂組成物を得る工程を有することを特徴とする正帯電性トナーの製造方法、(2)前記正帯電制御樹脂組成物2〜20重量部と、重合性単量体100重量部とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合することを特徴とする(1)記載の正帯電性トナーの製造方法、(3)請求項1の製造方法によって得られるトナーであって、温度170℃で溶融して膜厚20μmにしたトナーの面積100μm×100μm中に観察される長径0.2μm以上の着色剤粒子数が、50個以下である正帯電性トナー、(4)(3)記載の正帯電性トナーを用いる画像形成方法、が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明で使用する正帯電制御樹脂組成物は、正帯電制御樹脂100重量部と、着色剤10〜200重量部と、前記正帯電制御樹脂が溶解し得る有機溶剤0〜100重量部とを混合することにより得られる。
【0011】
正帯電制御樹脂は、特開昭61−172155号公報、特開昭63−60458号公報等に開示されているものを使用することができる。
そのような樹脂として、具体的には、−NH、−NHCH、−N(CH 、−NHC、−N( C 、−NHCOH等のアミノ基を含有する樹脂、及びそれらがアンモニウム塩化された官能基を含有する樹脂が挙げられる。
上記の樹脂は、i)アミノ基を含有する重合性単量体とそれと共重合可能な重合性単量体を共重合することのよって、ii)i)で得られた共重合体をアンモニウム塩化することによって、iii)アンモニウム塩基を含有する重合性単量体とそれと共重合可能な重合性単量体とを共重合すること等によって得ることができる。
アミノ基を含有する重合性単量体として、具体的には、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル等の(メタ)アクリル酸系誘導体;アリルアミン;2−アミノスチレン、4−アミノスチレン等のスチレン系誘導体;等が挙げられる。
アンモニウム化剤としては、通常使用されている、沃化メチル、沃化エチル、臭化メチル、臭化エチル等のハロゲン化アルキル;パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸プロピル等のパラトルエンスルホン酸アルキルエステル;等を使用することができる。
【0012】
アミノ基及びアンモニウム塩基等の官能基を有する単量体単位の量は、正帯電制御樹脂中に、通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。この量が少ないと、着色剤の分散を十分に行うことができずに色彩が暗く、透過性が低下するようになり、逆に多いと、高温高湿下での帯電量の低下が大きく、カブリが発生することがある。
【0013】
正帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常2000〜30000、好ましくは4000〜25000、さらに好ましくは6000〜20000である。これよりも小さいと混練時の粘度が低くなり、着色剤の分散を十分に行うことができずに色彩が暗く、透過性が低下するようになり、逆に高いと粘度が高くなり過ぎて、分散を十分に行うことができずに同様の不具合が起こる。
【0014】
正帯電制御樹脂のガラス転移温度は、通常40〜80℃、好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは45〜70℃である。これよりも低いとトナーの保存性が悪くなり、逆に高いと定着性が低下することがある。
【0015】
着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトの他、あらゆる顔料または染料を用いることができ、これらの着色剤は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
黒色のカーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものを用いる。20nmより小さいとカーボンブラックの分散が得られず、かぶりの多いトナーになる。一方、40nmより大きいと、多価芳香族炭化水素化合物の量が多くなって、臭気の問題が起こる。
【0016】
フルカラー用トナーを得る場合、通常、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を使用する。
イエロー着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー6、12、13、1417、83、95、180等の顔料とC.I.ソルベントイエロー2、6、14、15、16、19、21、25、61、77等の染料が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、 C.I.ピグメントレッド31、57、81、84、89、112、122、123、139、144、149、166、177、178、184、190等の顔料とC.I.ソルベントレッド3、16、19、24、49、52、83、125、179等の染料が挙げられる。
シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、3、9、14、15、15−3、16、25、60、66等の顔料とC.I.ソルベントブルー4、25、40、49、55、70、83、86等の染料が挙げられる。
これら着色剤は、後述するモノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0017】
本発明に使用する正帯電制御樹脂組成物の製造には、必要に応じて有機溶剤を用いる。有機溶剤を用いる場合は、正帯電制御樹脂を溶解又は膨潤させて混練することができるが、有機溶剤を用いない場合は、樹脂が柔らかくなる程度の温度まで、加温して混練する必要がある。また、有機溶剤を用いる時、有機溶剤の沸点との関係もあるが、加温すると有機溶剤が蒸発することがあるので、室温で、あるいは冷却して行なう方が好ましい。尚、トナー中に有機溶剤が残存していると臭気の問題が発生することがあるので、有機溶剤は、正帯電制御樹脂組成物の製造時又はトナーの製造時に何れかで除去されることが好ましい。
有機溶剤の量は、帯電制御樹脂100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜60重量部、この範囲にあると分散性と加工性のバランスが優れている。また、この時、有機溶剤は、一度に全量を添加しても、あるいは混練状態を確認しながら、何回かに分割して添加しても良い。
【0018】
有機溶剤を用いる場合は、その溶解度係数(以下、SP値という。)が8.0〜15[cal/cm1/2であり、沸点が50〜150℃の範囲のものが好ましい。SP値が8.0[cal/cm1/2より小さいと極性が小さく正帯電制御樹脂を溶解させることができないことがあり、また逆にSP値が15[cal/cm1/2より大きいと同様に極性が高くなって正帯電制御樹脂を溶解させることができないことがある。一方、沸点が50℃より低いと混練により発生する熱で蒸発することがあり、逆に150℃より高いと混練後、有機溶剤を除去するのに困難になることがある。
具体的には(SP値/沸点)、メタノール(14.5/65℃)、エタノール(10.0/78.3℃)、プロパノール(11.9/97.2℃)、ジエチルケトン(8.8/102℃)、ジ−n−プロピルケトン(8.0/144℃)、ジ−iso−プロピルケトン(8.0/124℃)、メチル−n−プロピルケトン(8.3/102℃)、メチル− iso−プロピルケトン(8.5/95℃)、メチル−n−ブチルケトン(8.5/127℃)、メチル− iso−ブチルケトン(8.4/117℃)、トルエン(8.9/110℃)、テトラヒドロフラン(9.1/65℃)、メチルエチルケトン(9.3/80℃)、アセトン(9.9/56℃)、シクロヘキサノン(9.9/156℃)などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を混合しても用いても良い。この中でも帯電制御樹脂への溶解性、混練後の除去を考慮して、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トルエン/プロパノール混合溶媒が好ましい。
【0019】
混練は、ロール、プラスチコーダー(ブラベンダー社製)、ラボプラストミル(東洋精機社製)、ニーダー、一軸押出機、二軸押出機、バンバリー、ブス・コニーダー等を用いて行うことができる。有機溶剤を用いる場合は、臭気、毒性の問題が有るので、有機溶剤が漏れない密閉系の混練機が好ましい。
また、混練機にはトルクメーターが設置されていることが、トルクのレベルで分散性を管理することができるので好ましい。
【0020】
本発明に使用する正帯電制御樹脂組成物は、該組成物に有機溶剤を添加して、5%の樹脂溶液とした後、塗布、乾燥して得られる膜厚30μmのフィルムの単位面積100μm×100μm中に観察される長径0.2μm以上の着色剤粒子数が、通常20個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下である。この数が多いとカラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分光特性に悪くなり、カブリが多くなり、印字濃度が低くなることがある。分光特性は、市販のプリンターで色別にベタの印字を行い、その色調を分光色差計で測定する。
【0021】
本発明の正帯電性トナーは、結着樹脂、正帯電制御樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤等のその他の添加剤を含有してなる。
【0022】
また、本発明の正帯電性トナーは、粒子の内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得られる構造、所謂コアシェル構造(カプセル構造ともいう)の粒子とすることができる。コアシェル構造粒子では、内部(コア層)の低軟化点物質をそれより高い軟化点を有する物質で内包化することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができるので好ましい。
【0023】
結着樹脂の具体例としては、従来正カラートナーに広く用いられている樹脂類、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンおよびその置換体の重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用できる。
【0024】
結着樹脂を得るための重合性単量体として、モノビニル系単量体、架橋性単量体及びマクロモノマー等を挙げることができる。この重合性単量体が重合され、重合体粒子中の結着樹脂成分となる。
モノビニル系単量体としては、具体的にはスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等が挙げられる。
モノビニル系単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いても良い。これらモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体単独、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の誘導体との併用などが好適に用いられる。
【0025】
モノビニル系単量体と共に、架橋性単量体及び重合体を用いるとホットオフセット改善に有効である。架橋性単量体は、重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を2以上有する単量体である。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、およびこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のビニル基を2個有する化合物、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルやトリメチロールプロパントリアクリレート等のビニル基を3個以上有する化合物等を挙げることができる。架橋性重合体は、重合体中に2個以上のビニル基を有する重合体のことであり、具体的には、分子内に2個以上の水酸基を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びポリエチレングリコール等の重合体と、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸単量体を縮合反応することにより得られるエステルを挙げることができる。これらの架橋性単量体及び架橋性重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。使用量は、モノビニル系単量体100重量部当たり、通常10重量部以下、好ましくは、0.1〜2重量部である。
【0026】
また、モノビニル系単量体と共に、マクロモノマーを用いると、保存性と低温定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。数平均分子量が小さいものを用いると、重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性が低下するようになる。逆に数平均分子量が大きいものを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着性および保存性が低下するようになる。
マクロモノマー分子鎖の末端に有るビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができ、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好ましい。
【0027】
マクロモノマーは、前記モノビニル系単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有するものが好ましい。
本発明に用いるマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマーなどを挙げることができるが、その中でも、親水性のもの、特にメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを単独でまたはこれらを組み合わせて重合して得られる重合体が好ましい。
マクロモノマーを使用する場合、その量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05〜1重量部である。マクロモノマーの量が少ないと、保存性が向上しない。マクロモノマーの量が極端に多くなると定着性が低下するようになる。
【0028】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、などの低分子量ポリオレフィンワックス類や分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端酸化低分子量ポリエチレンなどの末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどの多官能エステル化合物などが挙げれられる。
離型剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.1〜40重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で使用される。
【0029】
本発明においては、必ずしも必要では無いが、正帯電制御樹脂組成物に含有される正帯電制御樹脂以外の正帯電制御剤を、重合性単量体組成物に補助的に添加しても良い。使用する帯電制御剤は正帯電性で無色が好ましいが、淡く着色した帯電制御剤でも構わない。具体的には、正帯電性の4級アンモニウム塩である、オリエント社製のボントロンP−51、ボントロンAFP−B、クラリアント社製のコピーチャージPSY 、保土ヶ谷化学社製のTP−302、TP−415、藤倉化成社製のアクリルベースFCA−201−PS等が挙げられる。
正帯電制御剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して通常0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の割合で用いられる。
【0030】
本発明の正帯電性トナーの製造方法には、結着樹脂、正帯電制御樹脂組成物、及び必要に応じてその他の添加剤等を溶融混練し、冷却後所望の粒径分布となるように粉砕・分級する粉砕法;適当な水系媒体中で、結着樹脂の原料となる重合性単量体、正帯電制御樹脂組成物、及び必要に応じてその他の添加剤とを含む重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を重合する重合法等が挙げられるが、ドット再現性の良好な画質を与えるトナーを得る観点から重合法による方法が好ましい。
正帯電制御樹脂組成物の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常、2〜20重量部、好ましくは3〜15重量部である。これが少ないと、帯電制御が不充分で、カブリが生じることがあり、逆に多いと、高温高湿下で吸湿して、カブリが生じることがある。
【0031】
また、本発明においては、前記正帯電制御樹脂組成物2〜20重量部と、重合性単量体100重量部とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合して、正帯電性トナーを製造することが好ましい。
【0032】
重合方法は特に限定されず、乳化重合、懸濁重合、析出重合、ソープフリー重合のいずれでも良いが、着色剤を均一に含有させ、帯電性、転写性を向上させることができる点から、懸濁重合法が好ましく、具体的には、重合性単量体、正帯電制御樹脂組成物、分子量調整剤、離型剤、及び必要に応じて帯電制御剤等の添加剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で重合する。
【0033】
懸濁重合法によるカプセルトナーの製造法を以下に説明する。
分散安定化剤を含有する水系分散媒体中で、重合性単量体(コア用重合性単量体)、正帯電制御樹脂組成物、その他の添加剤を含有する重合性単量体組成物(コア用単量体組成物)を懸濁させ、重合開始剤を用いて重合することにより、コア粒子を製造し、更に、シェルを形成するための重合性単量体(シェル用単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでカプセルトナーを得ることができる。シェルを形成する具体的な方法としては、前記コア粒子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用単量体を添加して継続的に重合する方法、または別の反応系で得たコア粒子を仕込み、これにシェル用単量体を添加して段階的に重合する方法などを挙げることができる。
シェル成分用単量体は反応系中に一括して添加するか、またはプランジャポンプなどのポンプを使用して連続的もしくは断続的に添加することができる。
【0034】
コア用単量体としては、上述した重合性単量体と同じものを例示することができる。なかでも、ガラス転移温度が、通常60℃以下、好ましくは40〜60℃の重合体を形成しうるものがコア用単量体として好適である。ガラス転移温度が高すぎると定着温度が高くなり、逆に低すぎると、保存性が低下する。通常、コア用単量体は1種または2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0035】
シェル用単量体としては、コア粒子を構成する重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものであるのが望ましい。シェル用単量体を構成する単量体として、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのガラス転移温度が80℃を超える重合体を形成する単量体をそれぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
シェル用単量体により得られる重合体のガラス転移温度は、重合トナーの保存安定性を向上させるために、通常50〜130℃、好ましくは60〜120℃、より好ましくは80〜110℃である。これより低いと保存安定性が低下ことがあり、逆に高いと定着性が低下することがある。
コア粒子用単量体からなる重合体とシェル用単量体からなる重合体との間のガラス転移温度の差は、通常10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上である。この差より小さいと保存性が低下する。
【0036】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1’,3,3’−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。
【0037】
これらの中でも、コア用重合性単量体組成物には油溶性の重合開始剤を選択することが好ましく、シェル用重合性単量体組成物には水溶性の重合開始剤を選択することが好ましい。
コア用重合開始剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部用いる。重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、場合によっては、造粒工程終了後の懸濁液に添加することもできる。シェル用重合開始剤の量は、水系媒体基準で、通常、0.001〜1重量%である。これが少ないと重合が進まず、生産性が低下し、逆に多いと分子量が低下し、保存性が悪くなる。
【0038】
重合を安定に行うために、反応液に分散安定化剤を添加することができる。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;などの金属化合物や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
これらのうち、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、また分散剤の洗浄後の残存性が少なく、画像を鮮明に再現できるので好ましい。
【0039】
難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸物のコロイドを用いることが好ましい。
【0040】
難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると重合の安定性が崩れ、またトナーの保存性が低下する
【0041】
分散安定化剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用する。この割合が0.1重量部より少ないと、充分な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成し易くなる。逆に、20重量部を超えると、重合後のトナー粒径が細かくなり過ぎ、実用的でない。
【0042】
また、分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0043】
本発明の正帯電性トナーは、その重合体粒子の体積平均粒子径が、通常、1〜20μm、好ましくは2〜15μmで、粒径分布(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が、通常、1.7以下、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下のシャープな球形の微粒子である。
【0044】
本発明の正帯電性トナーは、そのテトラヒドロフラン不溶解分量(以下、ゲル量ということがある。)が、通常、80重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
トルエン不溶解分が多くなると定着性が低下する傾向になる。
【0045】
本発明の正帯電性トナーは、その長径rlと短径rsとの比(rl/rs)が、通常、1〜1.2、好ましくは1〜1.1のものである。この比が大きくなると、感光体上のトナー画像を紙等の転写材に転写する転写性が低下し、また、画像形成装置のトナー収納部に該トナーを納めたときにトナー同志の摩擦が大きくなるので外添剤が剥離したりして、耐久性が低下する傾向になる。
【0046】
本発明の正帯電性トナーは、温度170℃で溶融して膜厚20μmにしたトナーの面積100μm×100μm中に観察される長径0.2μm以上の着色剤粒子数が、50個以下、好ましくは30個以下、さらに好ましくは20個以下である。この数が多いとカラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分光特性に悪くなり、カブリが多くなり、印字濃度が低くなることがある。分光特性は、市販のプリンターで色別にベタの印字を行い、その色調を分光色差計で測定する。
【0047】
本発明の正帯電性トナーは、前記の重合体粒子の表面に外添剤が付着されていてもよい。外添剤としては、無機粒子、有機樹脂粒子、好ましくは無機粒子と有機樹脂粒子の併用、無機粒子の中でも更に好ましくはシリカ粒子、酸化チタン粒子が挙げられ、更に好ましくは前記無機粒子は疎水化処理されたものが挙げられる。外添剤を前記重合体粒子に付着させるには、通常、外添剤と前記重合体粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合器に仕込み、撹拌して行う。
【0048】
本発明の正帯電性トナーは、電子写真用プリンター等を用いて、紙やOHPフィルム等の転写材に画像を形成することができる。
【0049】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0050】
実施例及び比較例における物性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)トナーの粒径
重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布即ち体積平均粒径と個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)はマルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、測定粒子個数:100000個の条件で行った。
【0051】
(2)ゲル量
トナーを1g精秤し、円筒ろ紙(アドバンテック社製、86Rサイズ28×100mm)に入れ、それをソックスレー抽出器にかけ、テトラヒドロフラン溶媒を下部のフラスコにいれ、6時間抽出する。抽出後、抽出溶媒を回収し、抽出溶媒中に抽出された可溶性樹脂分をエバポレータにて分離後、精秤し、以下の計算から算出した。
ゲル量(%)=((T×P−S)/(T×P))×100
T:トナーサンプル量(g)
P:トナー中の顔料以外の比率
S:抽出固形分量(g)
(3)トナー形状
トナーの形状は走査型電子顕微鏡で写真を撮り、その写真をネクサス9000型の画像処理装置で読み込み、トナーの長径を短径で割った値( rl/rs)を測定した。
この時のトナーの測定個数は100個で行った。
【0052】
(4)体積固有抵抗値
トナーの体積固有抵抗値は、トナー約3gを直径5cmの錠剤成型器に入れ、約100kgの荷重を1分間かけて試験片を作製し、それを誘電体損測定器(商品名:TRS−10型、安藤電気社製)を用い、温度30℃、周波数1kHzの条件下で測定した。
(5)帯電量
L/L(温度10℃、湿度20%RH)、H/H(温度35℃、湿度80%RH)環境下における帯電量を測定し、その環境変動の状況を評価した。
トナーの帯電量は、前記環境下で、市販プリンター(12枚機)にトナーを入れ、1昼夜放置後、ハーフトーンの印字パターンを5枚印字し、その後、現像ローラ上のトナーを吸引式帯電量測定装置に吸引し、帯電量と吸引量から単位重量当たりの帯電量を測定した。
【0053】
(6)着色剤分散性1
正帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した後、正帯電制御樹脂を溶解する有機溶媒を添加して、正帯電制御樹脂組成物の5%溶液にした。ガラス板上に間隙が30μmのドクターブレードで混合溶液を塗布、乾燥させ、シ−トを作製した。このシートを光学顕微鏡にて観察し、100μm平方に存在する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子の個数を数えた。
(7)着色剤分散性2
スライドグラスに適量のトナーをのせ、その上からカバーグラスを掛け、それをホットプレートにて170℃まで加熱してトナーを溶融させ、次に、カバーグラスで力を加え、トナーを押し潰した。膜厚計(アンリツ社製、商品名:K−402B)で測定したトナーの厚みが20μmの部分を、光学顕微鏡にて観察し、100μm平方に存在する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子の個数を数えた。
【0054】
(8)画質の評価
市販のプリンターで色別にベタの印字を行い、色調は分光色差計(日本電色社製、商品名:SE2000)で測定した。印字濃度はカラー反射型濃度計(X−ライト社製、商品名:404A)でベタの印字を測定した。非画像部のカブリはミノルタカメラ社製、商品名:CM−1000)で測定した。
【0055】
(実施例1)
1)正帯電制御樹脂組成物の製造
スチレン82%、アクリル酸ブチル11%及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド7%を重合してなる正帯電制御樹脂(重量平均分子量1.2万、ガラス転移温度67℃)100部に、トルエン24部、メタノール6部を分散させ、冷却しながらロールにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド184;クライアント社製)100重量部を徐々に添加して、1時間混練を行い、正帯電制御樹脂組成物を製造した。この時、ロール間隙は、初期1mmであり、その後徐々に間隙を広げ、最後は3mmまで広げ、有機溶剤(トルエン/メタノール=4/1混合溶剤)は、正帯電制御樹脂の混練状態に合わせ何回か追加した。
正帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した後、トルエンを加えて溶解させ、トルエンの正帯電制御樹脂組成物の5%溶液にした。ガラス板上に間隙が30μmのドクターブレードで混合溶液を塗布、乾燥させ、シ−トを作製した。このシートを光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方に存在する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子は存在しなかった。
【0056】
2)コロイド溶液の作製
イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.9部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。生成した前記コロイドの粒径分布を液滴の個数平均粒径 D50(個数粒径分布の50%累積値)とD90(個数粒径分布の90%累積値)は、粒径分布測定装置(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)により測定した。この粒径分布測定器による測定においては、屈折率=1.55−0.20i、超音波照射時間=5分間、液滴測定時の分散媒として10%食塩水を使用するの条件で行った。
【0057】
3)コア用単量体組成物
スチレン80.5部及びアクリル酸ブチル19.5部からなるコア用重合性単量体組成物と、正帯電制御樹脂組成物12部、TDM3部及びペンタエリスリトール=テトラステアレート10部とを攪拌、混合して、均一分散し、コア用単量体組成物を得た。
4)シェル用単量体組成物
一方、メタクリル酸メチル(計算Tg=105℃)2部と水100部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用単量体の水分散液を得た。シェル用単量体の液滴の粒径は、(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)で測定したところ、D90が1.6μmであった。
【0058】
5)カプセルトナーの重合
前記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、前記コア用単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤: t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチルO」)6部を添加後、エバラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、単量体混合物の液滴を造粒した。この造粒したコア用単量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達したときに、サンプリングし、コアの粒径を測定した。この結果、7.4μmであった。前記シェル用重合性単量体の水分散液、及び蒸留水65部に溶解した2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド(和光純薬社製、商品名「VA−086」)0.2部を反応器に入れた。8時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のトナー粒子の水分散液を得た。
【0059】
前記により得たトナー粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを5以下にして酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で2昼夜乾燥を行い、トナー粒子を得た。
【0060】
乾燥したトナー粒子を取り出し、測定した体積平均粒径(dv)は7.4μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)は1.23であった。rl/rsは1.1、ゲル量は0%であった。また、単位面積中に存在する顔料粒子の数は、0個であった。
【0061】
前記により得られた重合体粒子100部に、疎水化処理されたコロイダルシリカ(商品名:RX−200、日本アエロジル社製)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して正帯電性トナーを調製した。このようにして得られたトナーの体積固有抵抗を測定したところ、12.0(logΩ・cm)であった。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0062】
(実施例2)
使用したピグメントレッド184の代りにシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3;クラリアント社製)に変えた他は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0063】
(実施例3)
使用したピグメントレッド184の代りにイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180;クラリアント社製)に変えた他は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0064】
(実施例4)
正帯電制御樹脂と顔料の混練に有機溶剤を使用せずに、加熱溶融によって製造した正帯電制御樹脂組成物を使用した他は実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0065】
(比較例1)
実施例1において、正帯電制御樹脂の代わりにスチレン84%、アクリル酸ブチル16%からなる結着樹脂(重量平均分子量1.3万、ガラス転移温度64℃)100部に変えた他は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0066】
(比較例2)
コア用単量体組成物を作製するまでを以下の様に変更する他は、実施例1に同様してマゼンタトナーを得た。
正帯電制御樹脂20部、有機溶剤としてスチレン80部及びマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド184;クライアント社製)20部を添加し混合した後、該混合液を、マゼンタ顔料オーバーフロー型の横置円筒式メディア型分散機を用いて、撹拌体の先端速度を約9m/s、滞留時間を0.1時間で、メディアとして直径1.5mm、密度7.4g/cmのスチール製ビーズを、充填量75容積%で充填し、メディア型分散機を通過する混合液の供給量を、分散機内のみかけ線速で、0.16m/分、分散機内温度約35℃の条件で、分散して粘度の高い正帯電制御樹脂組成物を得た。
【0067】
正帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した後、トルエンを加えて溶解させ、トルエンとスチレンの正帯電制御樹脂組成物の5%混合溶液にした。ガラス板上に間隙が30μmのドクターブレードで混合溶液を塗布、乾燥させ、シ−トを作製した。このシートを光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方に存在する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子の数は126個であった。
上記の単量体組成物を36部(正帯電制御樹脂6部+顔料6部+スチレン24部)とスチレン56.5部とアクリル酸ブチル19.5部、 TDM3部、ペンタエリスリトール=テトラステアレート10部を実施例1と同様に攪拌、混合してコア用単量体組成物を得た。
得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004182318
【0069】
表1より、以下のことがわかる。
正帯電制御樹脂を使用しないで通常の結着樹脂を用いて顔料を混練した比較例1のトナーは、透明性等の分光特性が悪く、カブリが多く、印字濃度も低い。
顔料を正帯電制御樹脂と混練しなかった比較例2のトナーは、透明性等の分光特性が悪く、カブリが多く、印字濃度も低い。
【0070】
これに対して、本発明の製造方法によって得られた正帯電性カラートナーは、カラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分光特性に優れ、カブリが少なく、印字濃度を高くできることが分かる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によって、電子写真に於いて、トナー粒子中に顔料が均一に分散していることにより、鮮明な画像を得ることのできる正帯電性トナー及びその製造方法を提供でき、特にカラートナーに適用した場合、カラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透光性等の分光特性に優れ、カブリが少なく、印字濃度を高くすることができ、更に転写性にも優れた正帯電性トナー及びその製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 正帯電制御樹脂100重量部と、着色剤10〜200重量部と、前記正帯電制御樹脂を溶解し得る有機溶剤0〜100重量部とを混合し、正帯電制御樹脂組成物を得る工程を有することを特徴とする正帯電性トナーの製造方法。
  2. さらに、前記正帯電制御樹脂組成物2〜20重量部と、重合性単量体100重量部とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合することを含む請求項1記載の正帯電性トナーの製造方法。
  3. 請求項1の製造方法によって得られるトナーであって、温度170℃で溶融して膜厚20μmにしたトナーの面積100μm×100μm中に観察される長径0.2μm以上の着色剤粒子数が、50個以下である正帯電性トナー。
  4. 請求項3記載の正帯電性トナーを用いる画像形成方法。
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