JP2002108011A - 正帯電性トナー及びその製造方法 - Google Patents

正帯電性トナー及びその製造方法

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JP2002108011A JP2000298425A JP2000298425A JP2002108011A JP 2002108011 A JP2002108011 A JP 2002108011A JP 2000298425 A JP2000298425 A JP 2000298425A JP 2000298425 A JP2000298425 A JP 2000298425A JP 2002108011 A JP2002108011 A JP 2002108011A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真に於いて、トナー粒子中に顔料が均
一に分散していることにより、鮮明な画像を得ることの
できる正帯電性トナー及びその製造方法を提供するこ
と、特にカラートナーに適用した場合、カラー画像の鮮
明な色調の再現に必要な透光性等の分光特性に優れ、カ
ブリが少なく、印字濃度を高くすることができ、更に転
写性にも優れた正帯電性トナー及びその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 正帯電制御樹脂100重量部と、着色剤
10〜200重量部と、それに前記正帯電制御樹脂が溶
解し得る有機溶剤0〜100重量部とを混合した正帯電
制御樹脂組成物を得、その正帯電制御樹脂組成物2〜2
0重量部と、重合性単量体100重量部とを含有する重
合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一成分方式、二成
分方式にかかわらずに、鮮明な色調と、安定した帯電
と、優れた転写性を有する電子写真用正帯電性トナー及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真法は、光導電性感光体よ
りなる静電潜像担持体に、帯電、露光により静電潜像を
形成し、次いで、着色剤を含有するトナーによってこの
静電潜像を現像し、得られたトナー像を転写紙などの支
持体に転写、定着して可視画像を得る方法である。静電
潜像を現像するトナーとしては、従来、ポリスチレンな
どの結着樹脂中に着色剤(カーボンブラック,染料、顔
料等)を分散させ、1〜10μm程度に粉砕した粒子を
トナーとして用いる粉砕トナーや、着色剤を重合性単量
体に分散、溶解させた後、水系分散媒体中で乳化あるい
は懸濁させ、重合する重合トナー等が挙げられる。
【0003】こうしたトナーにおいても最近はカラー化
が進み、低速から高速まで幅広くカラー印刷を行うカラ
ー画像形成装置に用いられてきている。カラー画像装置
には、複数の画像形成部を備え、各画像形成部でそれぞ
れ色の異なるトナー像を形成し、イエロー、マゼンタ、
シアン、ブラックなどのカラートナー像を同一の記録媒
体に順次重ね転写してカラー印刷を行うことが知られて
いる。粉砕トナーや重合トナー等のいずれを使用するに
しても、正帯電性カラートナーとして使用されるには以
下のようなことが要求される。
【0004】 (1)多色重ねをするためにトナーは透明性が高いこ
と。 (2)色を再現させるために分光反射特性が優れるこ
と。 (3)トナーには正の電荷を選択的に持たせること。 (4)低温定着が可能であること。 (5)カラートナーの製造が容易であること。
【0005】従来、着色剤の分散性を改良するために種
々の検討が行われている。例えば特開昭61−1499
69号公報には、アミン含有単量体の均質重合体等の帯
電強化用添加剤と、顔料とを、クロロホルム等のハロゲ
ン化炭化水素中、ロールミルで混合して調製した帯電強
化用添加剤で処理された顔料を、樹脂粒子と溶融混合
後、粉砕するトナー組成物が開示されている。特開昭6
2−119549号公報には、結着樹脂を溶剤に溶解
し、この溶液中に着色剤、帯電制御剤を加え、攪拌混合
後、凍結乾燥法により溶剤を除去し、次いで得られたト
ナーを粉砕分級するトナー製造方法が開示されている。
特開平03−155568号公報には、結着樹脂と、染
料及び顔料の少なくとも1つと、有機溶剤とを混合混練
し、染料あるいは顔料のマスターバッチを製造し、この
マスターバッチをさらに結着樹脂、及び必要に応じてそ
の他の添加剤とを混合、混練、粉砕分級するトナーの製
造方法が開示されている。
【0006】しかしながらこれらの方法によっても、前
記カラートナーの種々の条件を同時に満足することは相
当に困難である。特に、透明性に優れ、かつ分光反射特
性の良好な正帯電性カラートナーを製造することは困難
であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電子
写真に於いて、鮮明な画像を得ることのできる正帯電性
トナー及びその製造方法を提供すること、特にカラート
ナーに適用した場合、カラー画像の鮮明な色調の再現に
必要な透明性等の分光特性に優れ、カブリが少なく、印
字濃度を高くすることができ、更に転写性にも優れた正
帯電性トナー及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究した結果、正帯電制御樹脂
と、着色剤と、必要によって有機溶剤とを混合した正帯
電制御樹脂組成物を用いることで、前記目的を達成でき
ることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0009】かくして、本発明によれば、(1)正帯電
制御樹脂100重量部と、着色剤10〜200重量部
と、前記正帯電制御樹脂を溶解し得る有機溶剤0〜10
0重量部とを混合し、正帯電制御樹脂組成物を得る工程
を有することを特徴とする正帯電性トナーの製造方法、
(2)前記正帯電制御樹脂組成物2〜20重量部と、重
合性単量体100重量部とを含有する重合性単量体組成
物を、水系分散媒体中で重合することを特徴とする
(1)記載の正帯電性トナーの製造方法、(3)少なく
とも結着樹脂、正帯電制御樹脂及び着色剤を含有し、温
度170℃で溶融して膜厚20μmにしたトナーの面積
100μm×100μm中に観察される長径0.2μm
以上の着色剤粒子数が、50個以下である正帯電性トナ
ー、(4)(3)記載の正帯電性トナーを用いる画像形
成方法、が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明で使用する正帯電制御樹脂組成物は、正帯電制御
樹脂100重量部と、着色剤10〜200重量部と、前
記正帯電制御樹脂が溶解し得る有機溶剤0〜100重量
部とを混合することにより得られる。
【0011】正帯電制御樹脂は、特開昭61−1721
55号公報、特開昭63−60458号公報等に開示さ
れているものを使用することができる。そのような樹脂
として、具体的には、−NH、−NHCH、−N
(CH、−NHC、−N( C
、−NHCOH等のアミノ基を含有する樹
脂、及びそれらがアンモニウム塩化された官能基を含有
する樹脂が挙げられる。上記の樹脂は、i)アミノ基を
含有する重合性単量体とそれと共重合可能な重合性単量
体を共重合することのよって、ii)i)で得られた共
重合体をアンモニウム塩化することによって、iii)
アンモニウム塩基を含有する重合性単量体とそれと共重
合可能な重合性単量体とを共重合すること等によって得
ることができる。アミノ基を含有する重合性単量体とし
て、具体的には、(メタ)アクリルアミド、N−メチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸
3−(ジメチルアミノ)プロピル等の(メタ)アクリル
酸系誘導体;アリルアミン;2−アミノスチレン、4−
アミノスチレン等のスチレン系誘導体;等が挙げられ
る。アンモニウム化剤としては、通常使用されている、
沃化メチル、沃化エチル、臭化メチル、臭化エチル等の
ハロゲン化アルキル;パラトルエンスルホン酸メチル、
パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン
酸プロピル等のパラトルエンスルホン酸アルキルエステ
ル;等を使用することができる。
【0012】アミノ基及びアンモニウム塩基等の官能基
を有する単量体単位の量は、正帯電制御樹脂中に、通常
0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%であ
る。この量が少ないと、着色剤の分散を十分に行うこと
ができずに色彩が暗く、透過性が低下するようになり、
逆に多いと、高温高湿下での帯電量の低下が大きく、カ
ブリが発生することがある。
【0013】正帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常
2000〜30000、好ましくは4000〜2500
0、さらに好ましくは6000〜20000である。こ
れよりも小さいと混練時の粘度が低くなり、着色剤の分
散を十分に行うことができずに色彩が暗く、透過性が低
下するようになり、逆に高いと粘度が高くなり過ぎて、
分散を十分に行うことができずに同様の不具合が起こ
る。
【0014】正帯電制御樹脂のガラス転移温度は、通常
40〜80℃、好ましくは45〜75℃、さらに好まし
くは45〜70℃である。これよりも低いとトナーの保
存性が悪くなり、逆に高いと定着性が低下することがあ
る。
【0015】着色剤としては、カーボンブラック、チタ
ンホワイトの他、あらゆる顔料または染料を用いること
ができ、これらの着色剤は、単独で使用しても、2種類
以上を併用してもよい。黒色のカーボンブラックは、一
次粒径が20〜40nmであるものを用いる。20nm
より小さいとカーボンブラックの分散が得られず、かぶ
りの多いトナーになる。一方、40nmより大きいと、
多価芳香族炭化水素化合物の量が多くなって、臭気の問
題が起こる。
【0016】フルカラー用トナーを得る場合、通常、イ
エロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を使用
する。イエロー着色剤としては、C.I.ピグメントイ
エロー6、12、13、1417、83、95、180
等の顔料とC.I.ソルベントイエロー2、6、14、
15、16、19、21、25、61、77等の染料が
挙げられる。マゼンタ着色剤としては、 C.I.ピグ
メントレッド31、57、81、84、89、112、
122、123、139、144、149、166、1
77、178、184、190等の顔料とC.I.ソル
ベントレッド3、16、19、24、49、52、8
3、125、179等の染料が挙げられる。シアン着色
剤としては、C.I.ピグメントブルー2、3、9、1
4、15、15−3、16、25、60、66等の顔料
とC.I.ソルベントブルー4、25、40、49、5
5、70、83、86等の染料が挙げられる。これら着
色剤は、後述するモノビニル系単量体100重量部に対
して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜20
重量部の割合で用いられる。
【0017】本発明に使用する正帯電制御樹脂組成物の
製造には、必要に応じて有機溶剤を用いる。有機溶剤を
用いる場合は、正帯電制御樹脂を溶解又は膨潤させて混
練することができるが、有機溶剤を用いない場合は、樹
脂が柔らかくなる程度の温度まで、加温して混練する必
要がある。また、有機溶剤を用いる時、有機溶剤の沸点
との関係もあるが、加温すると有機溶剤が蒸発すること
があるので、室温で、あるいは冷却して行なう方が好ま
しい。尚、トナー中に有機溶剤が残存していると臭気の
問題が発生することがあるので、有機溶剤は、正帯電制
御樹脂組成物の製造時又はトナーの製造時に何れかで除
去されることが好ましい。有機溶剤の量は、帯電制御樹
脂100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは
5〜80重量部、さらに好ましくは10〜60重量部、
この範囲にあると分散性と加工性のバランスが優れてい
る。また、この時、有機溶剤は、一度に全量を添加して
も、あるいは混練状態を確認しながら、何回かに分割し
て添加しても良い。
【0018】有機溶剤を用いる場合は、その溶解度係数
(以下、SP値という。)が8.0〜15[cal/cm
1/2であり、沸点が50〜150℃の範囲のもの
が好ましい。SP値が8.0[cal/cm1/2
より小さいと極性が小さく正帯電制御樹脂を溶解させる
ことができないことがあり、また逆にSP値が15[c
al/cm1/2より大きいと同様に極性が高くな
って正帯電制御樹脂を溶解させることができないことが
ある。一方、沸点が50℃より低いと混練により発生す
る熱で蒸発することがあり、逆に150℃より高いと混
練後、有機溶剤を除去するのに困難になることがある。
具体的には(SP値/沸点)、メタノール(14.5/
65℃)、エタノール(10.0/78.3℃)、プロ
パノール(11.9/97.2℃)、ジエチルケトン
(8.8/102℃)、ジ−n−プロピルケトン(8.
0/144℃)、ジ−iso−プロピルケトン(8.0
/124℃)、メチル−n−プロピルケトン(8.3/
102℃)、メチル− iso−プロピルケトン(8.
5/95℃)、メチル−n−ブチルケトン(8.5/1
27℃)、メチル− iso−ブチルケトン(8.4/
117℃)、トルエン(8.9/110℃)、テトラヒ
ドロフラン(9.1/65℃)、メチルエチルケトン
(9.3/80℃)、アセトン(9.9/56℃)、シ
クロヘキサノン(9.9/156℃)などが挙げられ、
これらは単独で用いても、2種以上を混合しても用いて
も良い。この中でも帯電制御樹脂への溶解性、混練後の
除去を考慮して、ジエチルケトン、メチル−n−プロピ
ルケトン、メチル−n−ブチルケトン、トルエン/メタ
ノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トル
エン/プロパノール混合溶媒が好ましい。
【0019】混練は、ロール、プラスチコーダー(ブラ
ベンダー社製)、ラボプラストミル(東洋精機社製)、
ニーダー、一軸押出機、二軸押出機、バンバリー、ブス
・コニーダー等を用いて行うことができる。有機溶剤を
用いる場合は、臭気、毒性の問題が有るので、有機溶剤
が漏れない密閉系の混練機が好ましい。また、混練機に
はトルクメーターが設置されていることが、トルクのレ
ベルで分散性を管理することができるので好ましい。
【0020】本発明に使用する正帯電制御樹脂組成物
は、該組成物に有機溶剤を添加して、5%の樹脂溶液と
した後、塗布、乾燥して得られる膜厚30μmのフィル
ムの単位面積100μm×100μm中に観察される長
径0.2μm以上の着色剤粒子数が、通常20個以下、
好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下であ
る。この数が多いとカラー画像の鮮明な色調の再現に必
要な透明性等の分光特性に悪くなり、カブリが多くな
り、印字濃度が低くなることがある。分光特性は、市販
のプリンターで色別にベタの印字を行い、その色調を分
光色差計で測定する。
【0021】本発明の正帯電性トナーは、結着樹脂、正
帯電制御樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電
制御剤等のその他の添加剤を含有してなる。
【0022】また、本発明の正帯電性トナーは、粒子の
内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合
体を組み合わせて得られる構造、所謂コアシェル構造
(カプセル構造ともいう)の粒子とすることができる。
コアシェル構造粒子では、内部(コア層)の低軟化点物
質をそれより高い軟化点を有する物質で内包化すること
により、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバラ
ンスを取ることができるので好ましい。
【0023】結着樹脂の具体例としては、従来正カラー
トナーに広く用いられている樹脂類、例えば、ポリスチ
レン、ポリp−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等
のスチレンおよびその置換体の重合体;スチレン−p−
クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共
重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸
ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン
−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重
合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重
合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチ
レン共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキ
シ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、
ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、
脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、
塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、
これらは単独あるいは混合して使用できる。
【0024】結着樹脂を得るための重合性単量体とし
て、モノビニル系単量体、架橋性単量体及びマクロモノ
マー等を挙げることができる。この重合性単量体が重合
され、重合体粒子中の結着樹脂成分となる。モノビニル
系単量体としては、具体的にはスチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メ
タ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)
アクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン
等のモノオレフィン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、
ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチ
ルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケト
ン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビ
ニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等が挙げられ
る。モノビニル系単量体は、単独で用いても、複数の単
量体を組み合わせて用いても良い。これらモノビニル系
単量体のうち、スチレン系単量体単独、スチレン系単量
体と(メタ)アクリル酸の誘導体との併用などが好適に
用いられる。
【0025】モノビニル系単量体と共に、架橋性単量体
及び重合体を用いるとホットオフセット改善に有効であ
る。架橋性単量体は、重合可能な炭素−炭素不飽和二重
結合を2以上有する単量体である。具体的には、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン、およびこれらの誘導
体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメ
タクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート
等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−
ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のビニル基を2
個有する化合物、ペンタエリスリトールトリアリルエー
テルやトリメチロールプロパントリアクリレート等のビ
ニル基を3個以上有する化合物等を挙げることができ
る。架橋性重合体は、重合体中に2個以上のビニル基を
有する重合体のことであり、具体的には、分子内に2個
以上の水酸基を有するポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエステル及びポリエチレングリコール等の重合体
と、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸単
量体を縮合反応することにより得られるエステルを挙げ
ることができる。これらの架橋性単量体及び架橋性重合
体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて
用いることができる。使用量は、モノビニル系単量体1
00重量部当たり、通常10重量部以下、好ましくは、
0.1〜2重量部である。
【0026】また、モノビニル系単量体と共に、マクロ
モノマーを用いると、保存性と低温定着性とのバランス
が良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖
の末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分
子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマー
またはポリマーである。数平均分子量が小さいものを用
いると、重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性
が低下するようになる。逆に数平均分子量が大きいもの
を用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着
性および保存性が低下するようになる。マクロモノマー
分子鎖の末端に有るビニル重合性官能基としては、アク
リロイル基、メタクリロイル基などを挙げることがで
き、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好
ましい。
【0027】マクロモノマーは、前記モノビニル系単量
体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高
いガラス転移温度を有するものが好ましい。本発明に用
いるマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチ
レン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独で
または2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキ
サン骨格を有するマクロモノマーなどを挙げることがで
きるが、その中でも、親水性のもの、特にメタクリル酸
エステルまたはアクリル酸エステルを単独でまたはこれ
らを組み合わせて重合して得られる重合体が好ましい。
マクロモノマーを使用する場合、その量は、モノビニル
系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10
重量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には
0.05〜1重量部である。マクロモノマーの量が少な
いと、保存性が向上しない。マクロモノマーの量が極端
に多くなると定着性が低下するようになる。
【0028】離型剤としては、例えば、低分子量ポリエ
チレン、低分子量ポリプロピレン、などの低分子量ポリ
オレフィンワックス類や分子末端酸化低分子量ポリプロ
ピレン、分子末端酸化低分子量ポリエチレンなどの末端
変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナ
ウバ、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラ
フィン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびそ
の変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等
の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスな
どの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリス
テート、ペンタエリスリトールテトラステアレートなど
の多官能エステル化合物などが挙げれられる。離型剤
は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、
0.1〜40重量部、好ましくは1〜20重量部の割合
で使用される。
【0029】本発明においては、必ずしも必要では無い
が、正帯電制御樹脂組成物に含有される正帯電制御樹脂
以外の正帯電制御剤を、重合性単量体組成物に補助的に
添加しても良い。使用する帯電制御剤は正帯電性で無色
が好ましいが、淡く着色した帯電制御剤でも構わない。
具体的には、正帯電性の4級アンモニウム塩である、オ
リエント社製のボントロンP−51、ボントロンAFP
−B、クラリアント社製のコピーチャージPSY 、保
土ヶ谷化学社製のTP−302、TP−415、藤倉化
成社製のアクリルベースFCA−201−PS等が挙げ
られる。正帯電制御剤は、モノビニル系単量体100重
量部に対して通常0.01〜5重量部、好ましくは0.
1〜3重量部の割合で用いられる。
【0030】本発明の正帯電性トナーの製造方法には、
結着樹脂、正帯電制御樹脂組成物、及び必要に応じてそ
の他の添加剤等を溶融混練し、冷却後所望の粒径分布と
なるように粉砕・分級する粉砕法;適当な水系媒体中
で、結着樹脂の原料となる重合性単量体、正帯電制御樹
脂組成物、及び必要に応じてその他の添加剤とを含む重
合性単量体を含有する重合性単量体組成物を重合する重
合法等が挙げられるが、ドット再現性の良好な画質を与
えるトナーを得る観点から重合法による方法が好まし
い。正帯電制御樹脂組成物の量は、結着樹脂100重量
部に対して、通常、2〜20重量部、好ましくは3〜1
5重量部である。これが少ないと、帯電制御が不充分
で、カブリが生じることがあり、逆に多いと、高温高湿
下で吸湿して、カブリが生じることがある。
【0031】また、本発明においては、前記正帯電制御
樹脂組成物2〜20重量部と、重合性単量体100重量
部とを含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中
で重合して、正帯電性トナーを製造することが好まし
い。
【0032】重合方法は特に限定されず、乳化重合、懸
濁重合、析出重合、ソープフリー重合のいずれでも良い
が、着色剤を均一に含有させ、帯電性、転写性を向上さ
せることができる点から、懸濁重合法が好ましく、具体
的には、重合性単量体、正帯電制御樹脂組成物、分子量
調整剤、離型剤、及び必要に応じて帯電制御剤等の添加
剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で重合す
る。
【0033】懸濁重合法によるカプセルトナーの製造法
を以下に説明する。分散安定化剤を含有する水系分散媒
体中で、重合性単量体(コア用重合性単量体)、正帯電
制御樹脂組成物、その他の添加剤を含有する重合性単量
体組成物(コア用単量体組成物)を懸濁させ、重合開始
剤を用いて重合することにより、コア粒子を製造し、更
に、シェルを形成するための重合性単量体(シェル用単
量体)と重合開始剤を添加し、重合することでカプセル
トナーを得ることができる。シェルを形成する具体的な
方法としては、前記コア粒子を得るために行った重合反
応の反応系にシェル用単量体を添加して継続的に重合す
る方法、または別の反応系で得たコア粒子を仕込み、こ
れにシェル用単量体を添加して段階的に重合する方法な
どを挙げることができる。シェル成分用単量体は反応系
中に一括して添加するか、またはプランジャポンプなど
のポンプを使用して連続的もしくは断続的に添加するこ
とができる。
【0034】コア用単量体としては、上述した重合性単
量体と同じものを例示することができる。なかでも、ガ
ラス転移温度が、通常60℃以下、好ましくは40〜6
0℃の重合体を形成しうるものがコア用単量体として好
適である。ガラス転移温度が高すぎると定着温度が高く
なり、逆に低すぎると、保存性が低下する。通常、コア
用単量体は1種または2種以上を組み合わせて使用して
も良い。
【0035】シェル用単量体としては、コア粒子を構成
する重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度
を有する重合体を与えるものであるのが望ましい。シェ
ル用単量体を構成する単量体として、スチレン、アクリ
ロニトリル、メチルメタクリレートなどのガラス転移温
度が80℃を超える重合体を形成する単量体をそれぞれ
単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することが
できる。シェル用単量体により得られる重合体のガラス
転移温度は、重合トナーの保存安定性を向上させるため
に、通常50〜130℃、好ましくは60〜120℃、
より好ましくは80〜110℃である。これより低いと
保存安定性が低下ことがあり、逆に高いと定着性が低下
することがある。コア粒子用単量体からなる重合体とシ
ェル用単量体からなる重合体との間のガラス転移温度の
差は、通常10℃以上、好ましくは20℃以上、より好
ましくは30℃以上である。この差より小さいと保存性
が低下する。
【0036】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチ
ル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のア
ゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパー
オキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオ
キシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキ
シイソフタレート、1,1’,3,3’−テトラメチル
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブ
チルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類などを例
示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤
とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができ
る。
【0037】これらの中でも、コア用重合性単量体組成
物には油溶性の重合開始剤を選択することが好ましく、
シェル用重合性単量体組成物には水溶性の重合開始剤を
選択することが好ましい。コア用重合開始剤は、モノビ
ニル系単量体100重量部に対して、0.1〜20重量
部、好ましくは0.3〜15重量部、更に好ましくは
0.5〜10重量部用いる。重合開始剤は、重合性単量
体組成物中に予め添加することができるが、場合によっ
ては、造粒工程終了後の懸濁液に添加することもでき
る。シェル用重合開始剤の量は、水系媒体基準で、通
常、0.001〜1重量%である。これが少ないと重合
が進まず、生産性が低下し、逆に多いと分子量が低下
し、保存性が悪くなる。
【0038】重合を安定に行うために、反応液に分散安
定化剤を添加することができる。分散安定化剤として
は、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸
塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
などの炭酸塩;リン酸カルシウムなどのリン酸塩;酸化
アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;などの金属
化合物や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ゼラチン等水溶性高分子;アニ
オン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活
性剤等を挙げることができ、これらは、単独で用いて
も、2種類以上を併用しても良い。これらのうち、金属
化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有
する分散安定化剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くする
ことができ、また分散剤の洗浄後の残存性が少なく、画
像を鮮明に再現できるので好ましい。
【0039】難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有す
る分散剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価
金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによ
って得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に
水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相
中の反応により生成する難水溶性の金属水酸物のコロイ
ドを用いることが好ましい。
【0040】難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒
径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5
μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が
1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大
きくなると重合の安定性が崩れ、またトナーの保存性が
低下する
【0041】分散安定化剤は、モノビニル系単量体10
0重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で
使用する。この割合が0.1重量部より少ないと、充分
な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生
成し易くなる。逆に、20重量部を超えると、重合後の
トナー粒径が細かくなり過ぎ、実用的でない。
【0042】また、分子量調整剤としては、例えば、t
−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、
n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化
炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙
げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始
前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量
調整剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、
通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重
量部の割合で用いられる。
【0043】本発明の正帯電性トナーは、その重合体粒
子の体積平均粒子径が、通常、1〜20μm、好ましく
は2〜15μmで、粒径分布(体積平均粒子径/個数平
均粒子径)が、通常、1.7以下、好ましくは1.5以
下、さらに好ましくは1.3以下のシャープな球形の微
粒子である。
【0044】本発明の正帯電性トナーは、そのテトラヒ
ドロフラン不溶解分量(以下、ゲル量ということがあ
る。)が、通常、80重量%以下、好ましくは60重量
%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。トル
エン不溶解分が多くなると定着性が低下する傾向にな
る。
【0045】本発明の正帯電性トナーは、その長径rl
と短径rsとの比(rl/rs)が、通常、1〜1.
2、好ましくは1〜1.1のものである。この比が大き
くなると、感光体上のトナー画像を紙等の転写材に転写
する転写性が低下し、また、画像形成装置のトナー収納
部に該トナーを納めたときにトナー同志の摩擦が大きく
なるので外添剤が剥離したりして、耐久性が低下する傾
向になる。
【0046】本発明の正帯電性トナーは、温度170℃
で溶融して膜厚20μmにしたトナーの面積100μm
×100μm中に観察される長径0.2μm以上の着色
剤粒子数が、50個以下、好ましくは30個以下、さら
に好ましくは20個以下である。この数が多いとカラー
画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分光特性に
悪くなり、カブリが多くなり、印字濃度が低くなること
がある。分光特性は、市販のプリンターで色別にベタの
印字を行い、その色調を分光色差計で測定する。
【0047】本発明の正帯電性トナーは、前記の重合体
粒子の表面に外添剤が付着されていてもよい。外添剤と
しては、無機粒子、有機樹脂粒子、好ましくは無機粒子
と有機樹脂粒子の併用、無機粒子の中でも更に好ましく
はシリカ粒子、酸化チタン粒子が挙げられ、更に好まし
くは前記無機粒子は疎水化処理されたものが挙げられ
る。外添剤を前記重合体粒子に付着させるには、通常、
外添剤と前記重合体粒子とをヘンシェルミキサーなどの
混合器に仕込み、撹拌して行う。
【0048】本発明の正帯電性トナーは、電子写真用プ
リンター等を用いて、紙やOHPフィルム等の転写材に
画像を形成することができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の
みに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に
断りのない限り重量基準である。
【0050】実施例及び比較例における物性の測定方法
は、以下のとおりである。 (1)トナーの粒径 重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布即ち体
積平均粒径と個数平均粒径(dp)との比(dv/d
p)はマルチサイザー(ベックマン・コールター社製)
により測定した。このマルチサイザーによる測定は、ア
パーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、測定粒
子個数:100000個の条件で行った。
【0051】(2)ゲル量 トナーを1g精秤し、円筒ろ紙(アドバンテック社製、
86Rサイズ28×100mm)に入れ、それをソック
スレー抽出器にかけ、テトラヒドロフラン溶媒を下部の
フラスコにいれ、6時間抽出する。抽出後、抽出溶媒を
回収し、抽出溶媒中に抽出された可溶性樹脂分をエバポ
レータにて分離後、精秤し、以下の計算から算出した。 ゲル量(%)=((T×P−S)/(T×P))×10
0 T:トナーサンプル量(g) P:トナー中の顔料以外の比率 S:抽出固形分量(g) (3)トナー形状 トナーの形状は走査型電子顕微鏡で写真を撮り、その写
真をネクサス9000型の画像処理装置で読み込み、ト
ナーの長径を短径で割った値( rl/rs)を測定し
た。この時のトナーの測定個数は100個で行った。
【0052】(4)体積固有抵抗値 トナーの体積固有抵抗値は、トナー約3gを直径5cm
の錠剤成型器に入れ、約100kgの荷重を1分間かけ
て試験片を作製し、それを誘電体損測定器(商品名:T
RS−10型、安藤電気社製)を用い、温度30℃、周
波数1kHzの条件下で測定した。 (5)帯電量 L/L(温度10℃、湿度20%RH)、H/H(温度
35℃、湿度80%RH)環境下における帯電量を測定
し、その環境変動の状況を評価した。トナーの帯電量
は、前記環境下で、市販プリンター(12枚機)にトナ
ーを入れ、1昼夜放置後、ハーフトーンの印字パターン
を5枚印字し、その後、現像ローラ上のトナーを吸引式
帯電量測定装置に吸引し、帯電量と吸引量から単位重量
当たりの帯電量を測定した。
【0053】(6)着色剤分散性1 正帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した後、正帯電制
御樹脂を溶解する有機溶媒を添加して、正帯電制御樹脂
組成物の5%溶液にした。ガラス板上に間隙が30μm
のドクターブレードで混合溶液を塗布、乾燥させ、シ−
トを作製した。このシートを光学顕微鏡にて観察し、1
00μm平方に存在する、長径が0.2μm以上の着色
剤粒子の個数を数えた。 (7)着色剤分散性2 スライドグラスに適量のトナーをのせ、その上からカバ
ーグラスを掛け、それをホットプレートにて170℃ま
で加熱してトナーを溶融させ、次に、カバーグラスで力
を加え、トナーを押し潰した。膜厚計(アンリツ社製、
商品名:K−402B)で測定したトナーの厚みが20
μmの部分を、光学顕微鏡にて観察し、100μm平方
に存在する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子の個数
を数えた。
【0054】(8)画質の評価 市販のプリンターで色別にベタの印字を行い、色調は分
光色差計(日本電色社製、商品名:SE2000)で測
定した。印字濃度はカラー反射型濃度計(X−ライト社
製、商品名:404A)でベタの印字を測定した。非画
像部のカブリはミノルタカメラ社製、商品名:CM−1
000)で測定した。
【0055】(実施例1) 1)正帯電制御樹脂組成物の製造 スチレン82%、アクリル酸ブチル11%及びメタクリ
ル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド7%を重
合してなる正帯電制御樹脂(重量平均分子量1.2万、
ガラス転移温度67℃)100部に、トルエン24部、
メタノール6部を分散させ、冷却しながらロールにて混
練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、
マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド184;クラ
イアント社製)100重量部を徐々に添加して、1時間
混練を行い、正帯電制御樹脂組成物を製造した。この
時、ロール間隙は、初期1mmであり、その後徐々に間
隙を広げ、最後は3mmまで広げ、有機溶剤(トルエン
/メタノール=4/1混合溶剤)は、正帯電制御樹脂の
混練状態に合わせ何回か追加した。正帯電制御樹脂組成
物の一部を取り出した後、トルエンを加えて溶解させ、
トルエンの正帯電制御樹脂組成物の5%溶液にした。ガ
ラス板上に間隙が30μmのドクターブレードで混合溶
液を塗布、乾燥させ、シ−トを作製した。このシートを
光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方に存在
する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子は存在しなか
った。
【0056】2)コロイド溶液の作製 イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価
金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水5
0部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.9
部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化
マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイ
ド)分散液を調製した。生成した前記コロイドの粒径分
布を液滴の個数平均粒径 D50(個数粒径分布の50
%累積値)とD90(個数粒径分布の90%累積値)
は、粒径分布測定装置(SALD2000A型、島津製
作所株式会社製)により測定した。この粒径分布測定器
による測定においては、屈折率=1.55−0.20
i、超音波照射時間=5分間、液滴測定時の分散媒とし
て10%食塩水を使用するの条件で行った。
【0057】3)コア用単量体組成物 スチレン80.5部及びアクリル酸ブチル19.5部か
らなるコア用重合性単量体組成物と、正帯電制御樹脂組
成物12部、TDM3部及びペンタエリスリトール=テ
トラステアレート10部とを攪拌、混合して、均一分散
し、コア用単量体組成物を得た。 4)シェル用単量体組成物 一方、メタクリル酸メチル(計算Tg=105℃)2部
と水100部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シ
ェル用単量体の水分散液を得た。シェル用単量体の液滴
の粒径は、(SALD2000A型、島津製作所株式会
社製)で測定したところ、D90が1.6μmであっ
た。
【0058】5)カプセルトナーの重合 前記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液
に、前記コア用単量体組成物を投入し、液滴が安定する
まで攪拌し、そこに重合開始剤: t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチ
ルO」)6部を添加後、エバラマイルダーを用いて1
5,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、
単量体混合物の液滴を造粒した。この造粒したコア用単
量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入
れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ1
00%に達したときに、サンプリングし、コアの粒径を
測定した。この結果、7.4μmであった。前記シェル
用重合性単量体の水分散液、及び蒸留水65部に溶解し
た2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロ
キシエチル)−プロピオンアミド(和光純薬社製、商品
名「VA−086」)0.2部を反応器に入れた。8時
間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のトナ
ー粒子の水分散液を得た。
【0059】前記により得たトナー粒子の水分散液を攪
拌しながら、硫酸により系のpHを5以下にして酸洗浄
(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した
後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化
し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回
繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて
45℃で2昼夜乾燥を行い、トナー粒子を得た。
【0060】乾燥したトナー粒子を取り出し、測定した
体積平均粒径(dv)は7.4μmであり、体積平均粒
径(dv)/個数平均粒径(dp)は1.23であっ
た。rl/rsは1.1、ゲル量は0%であった。ま
た、単位面積中に存在する顔料粒子の数は、0個であっ
た。
【0061】前記により得られた重合体粒子100部
に、疎水化処理されたコロイダルシリカ(商品名:RX
−200、日本アエロジル社製)0.6部を添加し、ヘ
ンシェルミキサーを用いて混合して正帯電性トナーを調
製した。このようにして得られたトナーの体積固有抵抗
を測定したところ、12.0(logΩ・cm)であっ
た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示
す。
【0062】(実施例2)使用したピグメントレッド1
84の代りにシアン顔料(C.I.ピグメントブルー1
5−3;クラリアント社製)に変えた他は、実施例1と
同様にしてトナーを得た。得られたトナーの特性及び画
像等の評価を表1に示す。
【0063】(実施例3)使用したピグメントレッド1
84の代りにイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロ
ー180;クラリアント社製)に変えた他は、実施例1
と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの特性及び
画像等の評価を表1に示す。
【0064】(実施例4)正帯電制御樹脂と顔料の混練
に有機溶剤を使用せずに、加熱溶融によって製造した正
帯電制御樹脂組成物を使用した他は実施例1と同様にし
てトナーを得た。得られたトナーの特性及び画像等の評
価を表1に示す。
【0065】(比較例1)実施例1において、正帯電制
御樹脂の代わりにスチレン84%、アクリル酸ブチル1
6%からなる結着樹脂(重量平均分子量1.3万、ガラ
ス転移温度64℃)100部に変えた他は、実施例1と
同様にしてマゼンタトナーを得た。得られたトナーの特
性及び画像等の評価を表1に示す。
【0066】(比較例2)コア用単量体組成物を作製す
るまでを以下の様に変更する他は、実施例1に同様して
マゼンタトナーを得た。正帯電制御樹脂20部、有機溶
剤としてスチレン80部及びマゼンタ顔料(C.I.ピ
グメントレッド184;クライアント社製)20部を添
加し混合した後、該混合液を、マゼンタ顔料オーバーフ
ロー型の横置円筒式メディア型分散機を用いて、撹拌体
の先端速度を約9m/s、滞留時間を0.1時間で、メ
ディアとして直径1.5mm、密度7.4g/cm
スチール製ビーズを、充填量75容積%で充填し、メデ
ィア型分散機を通過する混合液の供給量を、分散機内の
みかけ線速で、0.16m/分、分散機内温度約35℃
の条件で、分散して粘度の高い正帯電制御樹脂組成物を
得た。
【0067】正帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した
後、トルエンを加えて溶解させ、トルエンとスチレンの
正帯電制御樹脂組成物の5%混合溶液にした。ガラス板
上に間隙が30μmのドクターブレードで混合溶液を塗
布、乾燥させ、シ−トを作製した。このシートを光学顕
微鏡にて観察したところ、100μm平方に存在する、
長径が0.2μm以上の着色剤粒子の数は126個であ
った。上記の単量体組成物を36部(正帯電制御樹脂6
部+顔料6部+スチレン24部)とスチレン56.5部
とアクリル酸ブチル19.5部、 TDM3部、ペンタ
エリスリトール=テトラステアレート10部を実施例1
と同様に攪拌、混合してコア用単量体組成物を得た。得
られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1より、以下のことがわかる。正帯電制
御樹脂を使用しないで通常の結着樹脂を用いて顔料を混
練した比較例1のトナーは、透明性等の分光特性が悪
く、カブリが多く、印字濃度も低い。顔料を正帯電制御
樹脂と混練しなかった比較例2のトナーは、透明性等の
分光特性が悪く、カブリが多く、印字濃度も低い。
【0070】これに対して、本発明の製造方法によって
得られた正帯電性カラートナーは、カラー画像の鮮明な
色調の再現に必要な透明性等の分光特性に優れ、カブリ
が少なく、印字濃度を高くできることが分かる。
【0071】
【発明の効果】本発明によって、電子写真に於いて、ト
ナー粒子中に顔料が均一に分散していることにより、鮮
明な画像を得ることのできる正帯電性トナー及びその製
造方法を提供でき、特にカラートナーに適用した場合、
カラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透光性等の分光
特性に優れ、カブリが少なく、印字濃度を高くすること
ができ、更に転写性にも優れた正帯電性トナー及びその
製造方法を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正帯電制御樹脂100重量部と、着色剤
    10〜200重量部と、前記正帯電制御樹脂を溶解し得
    る有機溶剤0〜100重量部とを混合し、正帯電制御樹
    脂組成物を得る工程を有することを特徴とする正帯電性
    トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、前記正帯電制御樹脂組成物2〜
    20重量部と、重合性単量体100重量部とを含有する
    重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合すること
    を含む請求項1記載の正帯電性トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも結着樹脂、正帯電制御樹脂及
    び着色剤を含有し、温度170℃で溶融して膜厚20μ
    mにしたトナーの面積100μm×100μm中に観察
    される長径0.2μm以上の着色剤粒子数が、50個以
    下である正帯電性トナー。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の正帯電性トナーを用いる
    画像形成方法。
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