JP2003131428A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

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JP2003131428A
JP2003131428A JP2001327035A JP2001327035A JP2003131428A JP 2003131428 A JP2003131428 A JP 2003131428A JP 2001327035 A JP2001327035 A JP 2001327035A JP 2001327035 A JP2001327035 A JP 2001327035A JP 2003131428 A JP2003131428 A JP 2003131428A
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Fuminari Koyama
文成 小山
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真に於いて、トナー粒子中に顔料が均
一に分散していることにより、鮮明な画像を得ることの
でき、また異なる環境下に置かれても帯電性が変化しな
いトナーの製造方法を提供すること。特にカラートナー
に適用した場合、カラー画像の鮮明な色調の再現に必要
な透光性等の分光特性に優れ、印字濃度を高く、カブリ
が少なくすることができ、更に転写性にも優れたトナー
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 帯電制御樹脂100重量部、着色剤10
〜200重量部及び無機微粒子1〜60重量部を混合し
て帯電制御樹脂組成物を得、得られた帯電制御樹脂組成
物2〜20重量部と、重合性単量体100重量部とを含
有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で重合し
てトナーを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一成分方式、二成
分方式にかかわらずに、鮮明な色調と、安定した帯電
と、優れた転写性を有する電子写真用トナーの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は、光導電性感光体よりなる
静電潜像担持体に、帯電、露光により静電潜像を形成
し、次いで、着色剤を含有するトナーによってこの静電
潜像を現像し、得られたトナー像を紙などの転写材に転
写、定着して可視画像を得る方法である。静電潜像を現
像するトナーとしては、従来、ポリスチレンなどの結着
樹脂中に着色剤(カーボンブラック、染料、顔料等)を
分散させ、1〜10μm程度に粉砕した粒子をトナーと
して用いる粉砕トナーや、着色剤を重合性単量体に分
散、溶解させた後、水系分散媒体中で乳化あるいは懸濁
させ、重合し、必要に応じて会合させて得られる重合ト
ナー等が挙げられる。
【0003】電子写真法においても最近はカラー化が進
み、カラー画像形成装置に対応するカラートナーが求め
られている。カラー画像形成装置には、複数の画像形成
部を備え、各画像形成部でそれぞれ色の異なるトナー像
を形成し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなど
のカラートナー像を同一の記録媒体に順次重ね転写して
カラー印刷を行うことが知られている。粉砕トナーや重
合トナー等のいずれを使用するにしても、カラートナー
として使用されるには以下のようなことが要求される。
【0004】(1)多色重ねをするためにトナーは透明
性が高いこと。 (2)色を再現させるために分光反射特性が優れるこ
と。 (3)トナーの正または負の帯電を精密に制御するこ
と。 (4)低温定着が可能であること。 (5)カラートナーの製造が容易であること。
【0005】これらの要求に応えるために種々の検討が
行われている。例えば特開昭61−149969号公報
には、アミン含有単量体の均質重合体等の帯電強化用添
加剤と、顔料とを、クロロホルム等のハロゲン化炭化水
素中、ロールミルで混合して調製した帯電強化用添加剤
で処理された顔料を、樹脂粒子と溶融混合後、粉砕する
トナー組成物が開示されている。特開昭62−1195
49号公報には、結着樹脂を溶剤に溶解し、この溶液中
に着色剤、帯電制御剤を加え、攪拌混合後、凍結乾燥法
により溶剤を除去し、次いで得られたトナーを粉砕分級
するトナー製造方法が開示されている。特開平03−1
55568号公報には、結着樹脂と、染料及び顔料の少
なくとも1つと、有機溶剤とを混合、混練して、染料あ
るいは顔料のマスターバッチを製造し、このマスターバ
ッチをさらに結着樹脂、及び必要に応じてその他の添加
剤と混合、混練、粉砕した後、分級するトナーの製造方
法が開示されている。また、特開平4−242752号
公報には、結着樹脂中で顔料を加熱、加圧混練して得ら
れた樹脂分散型顔料を、結着樹脂と溶融・混練し、分散
するカラートナーの製造方法、及び結着樹脂中に存在す
る円形相当径で0.3μm以上の顔料粒子の個数割合が
0.1%以下で分散しているカラートナーが開示されて
いる。
【0006】しかしながらこれらの方法によっても、前
記カラートナーの種々の要求を同時に満足することは相
当に困難である。特に、安定した帯電性を有し、透明性
に優れ、かつ分光反射特性の良好なカラートナーを製造
することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電子
写真に於いて、鮮明な画像を得ることができ、異なる環
境下に置かれても帯電性が殆ど変化しないトナー、該ト
ナーの製造方法及び該トナーを用いた画像形成方法を提
供することにある。特にカラートナーに適用した場合、
カラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分光
特性に優れ、カブリが少なく、印字濃度を高くすること
ができ、更に耐久印字性にも優れたトナーの製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究した結果、帯電制御樹脂、着色
剤及び無機微粒子からなる帯電制御樹脂組成物を結着樹
脂中に包含させることによりトナーを製造することによ
って、前記目的を達成できることを見いだし、本発明を
完成するに到った。
【0009】かくして、本発明によれば、 (1)帯電制御樹脂100重量部、着色剤10〜200
重量部及び無機微粒子1〜60重量部からなる帯電制御
樹脂組成物を結着樹脂中に包含させるトナーの製造方法 (2)帯電制御樹脂組成物2〜20重量部と、重合性単
量体100重量部とを含有する重合性単量体組成物を、
水系分散媒体中で重合することにより、帯電制御樹脂組
成物を結着樹脂に包含させる(1)記載のトナーの製造
方法、が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明のトナーの製造方法では、帯電制御樹脂、着色剤
及び無機微粒子からなる帯電制御樹脂組成物を結着樹脂
中に包含させる。
【0011】本発明に用いる帯電制御樹脂は、トナー中
に存在して、トナー供給ロール、現像ロールまたは膜厚
規制ブレード等と接触し、摩擦することにより帯電する
樹脂のことである。この帯電制御樹脂は、その官能基の
種類により、負または正に帯電する。負帯電制御樹脂と
しては、具体的には、特開昭63−88564号公報、
特開平1−217466号公報、特開平4−36265
6号公報等に開示されているもの及びこれらの公報の記
載に準じて合成したものが挙げられる。そのような樹脂
として、重合体の側鎖に、カルボキシル基またはその
塩、フェノール基またはその塩、チオフェノール基
またはその塩及びスルホン酸基またはその塩から選ば
れる置換基を有する樹脂等が挙げられる。重合体の側鎖
に含有される置換基から形成される塩としては、亜鉛、
マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カルシウ
ム、クロム、鉄、マンガン、コバルト等の金属との塩お
よびアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダ
ゾリウムイオン等の有機塩基との塩が挙げられる。これ
らの中でも、重合体の側鎖にスルホン酸基及びその塩を
有するものが好ましく、ビニル単量体単位を有する重合
体鎖の側鎖にスルホン酸基及びその塩を有するものがよ
り好ましい。この樹脂は、例えば、スルホン酸基または
その塩を含有するモノビニル単量体とこれと共重合可能
な他のモノビニル単量体を共重合することによって得ら
れる。共重合可能な他のモノビニル単量体としては、
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、芳香族ビ
ニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体等が挙げ
られる。
【0012】スルホン酸基またはその塩を含有するモノ
ビニル単量体としては、スチレンスルホン酸、スチレン
スルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
ビニルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸アン
モニウム等が挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸
エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸−2−エチルヘキシル、等が挙げられる。芳香族
ビニル単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチ
レン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメ
チルスチレン等を挙げられる。エチレン性不飽和ニトリ
ル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリ
ル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α
−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。
【0013】スルホン酸基またはその塩を含有するモノ
ビニル単量体単位の量は、負帯電制御樹脂中に、通常
0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%であ
る。この量が少ないと、着色剤の分散を十分に行うこと
ができずに彩度、透明性が低下するようになり、逆に多
いと、高温高湿下での帯電量の低下が大きく、カブリが
発生することがある。
【0014】負帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常
2,000〜50,000、好ましくは4,000〜4
0,000、さらに好ましくは6,000〜30,00
0である。これよりも小さいと混練時の粘度が低くな
り、着色剤の分散を十分に行うことができずに彩度、透
明性が低下することがあり、逆に高いと粘度が高くなり
過ぎて、分散を十分に行うことができずに彩度、透明性
が低下することがある。また、ガラス転移温度は、通常
40〜80℃、好ましくは45〜75℃、さらに好まし
くは45〜70℃である。これよりも低いとトナーの保
存性が悪くなり、逆に高いと定着性が低下することがあ
る。
【0015】正帯電制御樹脂としては、具体的には、特
開昭61−172155号公報、特開昭63−6045
8号公報等に開示されているもの及びこれらの公報の記
載に準じて合成したものが挙げられる。そのような樹脂
として、具体的には、−NH、−NHCH、−N
(CH、−NHC、−N(C
、−NHCOH等のアミノ基を含有
する樹脂、及びそれらがアンモニウム塩化された官能基
を含有する樹脂が挙げられる。上記の樹脂は、アミノ
基を含有するモノビニル単量体とそれと共重合可能なモ
ノビニル単量体を共重合することによって、で得ら
れた共重合体をアンモニウム塩化することによって、
アンモニウム塩基を含有するモノビニル単量体とそれと
共重合可能なモノビニル単量体とを共重合すること等に
よって得ることができる。アミノ基を含有するモノビニ
ル単量体として、具体的には、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アク
リルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;(メ
タ)アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル等の
(メタ)アクリル酸系誘導体;アリルアミン;2−アミ
ノスチレン、4−アミノスチレン等のスチレン系誘導
体;等が挙げられる。アンモニウム塩化剤としては、通
常使用されている、沃化メチル、沃化エチル、臭化メチ
ル、臭化エチル等のハロゲン化アルキル;パラトルエン
スルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パ
ラトルエンスルホン酸プロピル等のパラトルエンスルホ
ン酸アルキルエステル;等を使用することができる。
【0016】アミノ基及びアンモニウム塩基等の官能基
を有するモノビニル単量体単位の量は、正帯電制御樹脂
中に、通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重
量%である。この量が少ないと、着色剤の分散を十分に
行うことができずに彩度、透明性が低下するようにな
り、逆に多いと、高温高湿下での帯電量の低下が大き
く、カブリが発生することがある。
【0017】正帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常
2,000〜30,000、好ましくは4,000〜2
5,000、さらに好ましくは6,000〜20,00
0である。これよりも小さいと混練時の粘度が低くな
り、着色剤の分散を十分に行うことができずに彩度、透
明性が低下することがあり、逆に高いと粘度が高くなり
過ぎて、分散を十分に行うことができずに彩度、透明性
が低下することがある。また、ガラス転移温度は、通常
40〜100℃、好ましくは45〜80℃、さらに好ま
しくは45〜70℃である。これよりも低いとトナーの
保存性が悪くなり、逆に高いと定着性が低下することが
ある。
【0018】これらの負及び/または正帯電制御樹脂
は、その合計で結着樹脂100重量部に対して、通常
0.01〜30重量部、好ましくは0.3〜25重量部
であり、多くの場合、1〜20重量部程度で良好な結果
を得ることができる。
【0019】着色剤としては、カーボンブラック、オイ
ルブラック、チタンブラック、チタンホワイトの他、あ
らゆる顔料および/または染料を用いることができる。
黒色のカーボンブラックは、一次粒径が20〜40nm
であるものが好適に用いられる。20nmより小さいと
カーボンブラックが凝集してトナー中に均一に分散せ
ず、かぶりの多いトナーになることがある。一方、40
nmより大きいと、カーボンブラック製造時に生成する
ベンズピレン等の多価芳香族炭化水素化合物の量がトナ
ー中に多く残留することにより、環境安全上の問題が起
こることがある。
【0020】フルカラートナーを得る場合、通常、イエ
ロー着色剤、マゼンタ着色剤およびシアン着色剤を使用
する。イエロー着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環
系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピ
グメントイエロー3、12、13、14、15、17、
62、65、73、83、90、93、97、120、
138、155、180および181等が挙げられ、中
でもピグメントイエロー180が好ましい。マゼンタ着
色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物
が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド4
8、57、58、60、63、64、68、81、8
3、87、88、89、90、112、114、12
2、123、144、146、149、163、17
0、184、185、187、202、206、20
7、209、251、C.I.ピグメントバイオレット
19等が挙げられ、中でもピグメントレッド122が好
ましい。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合
物およびその誘導体、アントラキノン化合物等が利用で
きる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、
6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、
16、17、および60等が挙げられ、中でもピグメン
トブルー15:4が好ましい。こうした着色剤の使用量
は、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部であ
る。
【0021】無機微粒子は、特に限定されないが、疎水
化処理された無機微粒子が好ましく、その中でも疎水化
処理されたシリカ微粒子、酸化チタン微粒子が好まし
い。無機微粒子は、その一次粒子の平均粒径が5〜10
0nm、好ましくは5〜50nmである。平均粒径が小
さいと着色剤の分散効果が小さくなり、印字濃度が低く
なることがあり、逆に大きいとカラートナーに適用した
場合に印字が濁ることがある。無機微粒子の量は、特に
限定されないが、帯電制御樹脂100重量部に対して、
通常1〜60重量部、好ましくは2〜50重量部、更に
好ましくは3〜40重量部である。この量が少ないと着
色剤の分散効果が小さくなり、印字濃度が低くなること
があり、逆に多いとカラートナーに適用した場合に印字
が濁ることがある。
【0022】本発明では、予め無機微粒子を添加した帯
電制御樹脂組成物を使用することが重要である。帯電制
御樹脂組成物は、着色剤を該樹脂中に均一に分散させ、
凝集を防止することができるものであり、着色剤を帯電
制御樹脂に混合して帯電制御樹脂組成物を製造する際に
無機微粒子が存在すると、着色剤と無機微粒子が衝突
し、着色剤を細かく粉砕することができ、帯電制御樹脂
に含有される官能基によって、帯電制御樹脂中に着色剤
を均一に分散することができる。また、無機微粒子が存
在することによって、着色剤の分散に要する時間を短縮
することができる。
【0023】本発明に使用する帯電制御樹脂組成物の製
造には、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤を用いない場合は、樹脂が柔らかくなる程度の
温度まで、加温して混合する必要があり、その際帯電制
御樹脂を変質させることがあるが、有機溶剤を用いる場
合は、有機溶剤を添加することにより、帯電制御樹脂を
溶解又は膨潤させることができるので、加温することな
く混合できるので好ましい。また、有機溶剤を用いる
時、特に有機溶剤の沸点が低い場合には、加温すると有
機溶剤が蒸発することがあるので、室温で、あるいは冷
却して行なう方が好ましい。尚、トナー中に有機溶剤が
残存していると臭気の問題が発生することがあるので、
有機溶剤は、帯電制御樹脂組成物を製造した後、トナー
に包含させる前又はトナーの製造時のいずれかで除去さ
れることが好ましい。有機溶剤の量は、帯電制御樹脂1
00重量部に対して0〜100重量部、好ましくは5〜
80重量部、さらに好ましくは10〜60重量部であ
り、この範囲にあると分散性と加工性のバランスが優れ
ている。また、この時、有機溶剤は、一度に全量を添加
しても、あるいは混合状態を確認しながら、何回かに分
割して添加しても良い。
【0024】有機溶剤を用いる場合は、その溶解度係数
(以下、SP値という。)が8〜15[cal/c
1/2であり、沸点が50〜150℃の範囲のも
のが好ましい。SP値が8[cal/cm1/2
り小さいと極性が小さくなって帯電制御樹脂を溶解させ
ることができないことがあり、また逆にSP値が15
[cal/cm1/2より大きいと極性が高くなっ
て帯電制御樹脂を溶解させることができないことがあ
る。一方、沸点が50℃より低いと混練により発生する
熱で有機溶剤が蒸発することがあり、逆に150℃より
高いと混練後、有機溶剤を除去することが困難になるこ
とがある。有機溶剤としては、具体的に(化合物名後の
括弧内の数字は、SP値/常圧での沸点を表す。)、メ
タノール(14.5/65℃)、エタノール(10.0
/78.3℃)、プロパノール(11.9/97.2
℃)、ジエチルケトン(8.8/102℃)、ジ−n−
プロピルケトン(8.0/144℃)、ジ−i−プロピ
ルケトン(8.0/124℃)、メチル−n−プロピル
ケトン(8.3/102℃)、メチル−i−プロピルケ
トン(8.5/95℃)、メチル−n−ブチルケトン
(8.5/127℃)、メチル−i−ブチルケトン
(8.4/117℃)、トルエン(8.9/110
℃)、テトラヒドロフラン(9.1/65℃)、メチル
エチルケトン(9.3/80℃)、アセトン(9.9/
56℃)、シクロヘキサノン(9.9/156℃)など
が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を混合
しても用いても良い。この中でも帯電制御樹脂の溶解
性、混練後の除去の容易さを考慮して、ジエチルケト
ン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチル
ケトン、トルエン/メチルエチルケトン混合溶媒、トル
エン/エタノール混合溶媒、トルエン/プロパノール混
合溶媒が好ましい。
【0025】本発明に使用する帯電制御樹脂組成物は、
帯電制御樹脂、着色剤及び無機微粒子を混合することに
より得られる。混合する方法は、特に限定されないが、
混合中にトルクをかけることで、着色剤が細かく粉砕す
ることができるので、混練することが好ましい。混練
は、ロール、プラスチコーダー(ブラベンダー社製)、
ラボプラストミル(東洋精機社製)、ニーダー、一軸押
出機、二軸押出機、バンバリー、ブス・コニーダー等を
用いて行うことができる。有機溶剤を用いる場合は、臭
気、毒性の問題が有るので、有機溶剤が漏れない密閉系
の混練機が好ましい。また、混練機にはトルクメーター
が設置されていると、トルクのレベルで分散性を管理す
ることができるので好ましい。
【0026】本発明に使用する帯電制御樹脂組成物は、
混合後に該組成物に有機溶剤を添加して、5%の樹脂組
成物溶液とした後、塗布、乾燥して得られる膜厚20μ
mのフィルムの単位面積100μm×100μm中に観
察される長径0.2μm以上の着色剤粒子数が、通常2
0個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは5
個以下となるようにする。この数が多いと透明性等の分
光特性が悪くなり、その結果、カラー画像の鮮明な色調
の再現ができなくなる、カブリが多くなる、印字濃度が
低くなることがある。また、帯電制御樹脂組成物の着色
濃度は、同じ膜厚20μmのフィルムを分光色差計で測
定して値を出す。
【0027】本発明のトナーの製造方法においては、帯
電制御樹脂組成物として、負帯電制御樹脂組成物または
正帯電制御樹脂組成物を単独で用いても良いが、負帯電
制御樹脂組成物と正帯電制御樹脂組成物を併用すると、
粒径分布がシャープで、流動性と保存性に優れ、低温低
湿下及び高温高湿下のいずれの環境においても帯電性が
あまり変化せず、さらには、連続印字を行っても画質の
低下やカブリの発生が抑制されるトナーを得ることがで
きるので好ましい。その際、帯電制御樹脂組成物には、
その他の帯電制御樹脂組成物、帯電制御樹脂または帯電
制御剤等を添加してもよい。
【0028】また、本発明のトナーの製造方法において
は、トナーを負帯電性トナーとするか、あるいは正帯電
性トナーにするかによって、負帯電制御樹脂組成物また
は正帯電制御樹脂組成物、及び必要により添加できる他
の帯電制御樹脂及びまたは帯電制御樹脂組成物の使用量
を制御する。負帯電性トナーを得る場合には、負帯電制
御樹脂組成物のみを使用するか、トナー中に含有される
負帯電制御樹脂に負帯電性をもたらす官能基(例えば、
スルホン酸基)のモル当量数の合計が、トナー中に含有
される正帯電制御樹脂に正帯電性をもたらす官能基(例
えば、第4級アンモニウム塩基)のモル当量数の合計よ
り多くなるようにする。逆に、正帯電性トナーを得る場
合には、正帯電制御樹脂組成物のみを使用するか、トナ
ー中に含有される正帯電制御樹脂に正帯電性をもたらす
官能基のモル当量数の合計が、トナー中に含有される負
帯電制御樹脂に負帯電性をもたらす官能基のモル当量数
の合計より多くなるようにする。
【0029】上述のように、負帯電制御樹脂と正帯電制
御樹脂が共存しているトナーを工業的な規模でトナーを
製造する場合には、負及び正帯電制御樹脂の間での官能
基比を調整する方法が簡単である。官能基比とは、上述
したトナー中に含有される負帯電制御樹脂に負帯電性を
もたらす官能基のモル当量数と正帯電制御樹脂に正帯電
性をもたらす官能基のモル当量数との比である。例え
ば、負帯電性をもたらす官能基のモル当量数は、負帯電
制御樹脂中の官能基を有する構造単位の重量%とトナー
中の該負帯電制御樹脂量との積からトナー中の官能基を
有する構造単位の量を求め、次に負帯電制御樹脂中の官
能基を有する構造単位の分子量で除することによって算
出することができる。この際、他の負帯電制御樹脂を使
用する場合は、それぞれを単独で算出し、それらを合計
することにより求める。正帯電性をもたらす官能基のモ
ル当量数も同様にして算出することができる。具体的に
は、{(負帯電制御樹脂中の官能基を有する構造単位の
重量%)×(トナー中の負帯電制御樹脂量)/(負帯電
制御樹脂中の官能基を有する構造単位の分子量)}の合
計=Aとし、{(正帯電制御樹脂中の官能基を有する構
造単位の重量%)×(トナー中の正帯電制御樹脂量)/
(正帯電制御樹脂中の官能基を有する構造単位の分子
量)}の合計=Bとすると、官能基比は、A:Bで算出
することができる。各帯電制御樹脂中の官能基を有する
構造単位の重量%は、帯電制御樹脂の製造に用いる官能
基を有する単量体の量から推定することができる。ま
た、トナー中の各帯電制御樹脂量は、トナー中の結着樹
脂(重合性単量体)100重量部に対する該帯電制御樹
脂の重量部から算出することができる。
【0030】負帯電制御樹脂と正帯電制御樹脂が共存し
た負帯電性トナーを得る場合には、官能基比(A:B)
が通常1:0.005〜1:0.9、好ましくは1:
0.01〜1:0.8、より好ましくは1:0.05〜
1:0.7となるように、各帯電制御樹脂の使用割合を
決定する。負帯電制御樹脂と正帯電制御樹脂が共存した
正帯電性トナーを得る場合には、官能基比(B:A)が
通常1:0.005〜1:0.9、好ましくは1:0.
01〜1:0.8、より好ましくは1:0.05〜1:
0.7となるように、各帯電制御樹脂の使用割合を決定
する。この官能基比において、一方の比率が小さすぎる
と、連続印字をした場合、帯電制御能力が不十分で、印
字耐久性や印字濃度が低下する、カブリが発生するなど
の不具合を生じることがある。一方の比率が大きすぎる
と、帯電性が不十分となり、カブリなどの問題を生じる
ことがある。
【0031】本発明においては、帯電樹脂組成物を結着
樹脂に包含させる。帯電制御樹脂組成物を結着樹脂中に
包含させる方法としては、結着樹脂に帯電制御樹脂組成
物及び必要に応じてその他の添加剤等を添加して溶融混
練して、冷却後所望の粒径分布となるように粉砕・分級
する粉砕法;水系分散媒体中で、結着樹脂の原料となる
重合性単量体、帯電制御樹脂組成物及び必要に応じてそ
の他の添加剤とを含む重合性単量体組成物を重合する重
合法等が挙げられる。これらの中でも、ドット再現性の
良好な画質を与えるトナーを得る観点から、重合法によ
ることが好ましい。重合法においては、重合性単量体組
成物の重合を、乳化重合、懸濁重合、析出重合、ソープ
フリー重合のいずれでも行なうことができるが、着色剤
を均一に含有させ、帯電性、転写性を向上させることが
できる点から、懸濁重合法が好ましい。
【0032】結着樹脂としては、従来トナーに広く用い
られている樹脂、例えば、ポリスチレン、ポリビニルト
ルエン等のスチレンおよびその置換体の重合体;スチレ
ン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸
エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合
体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン
−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル
酸ブチル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重
合体等のスチレン共重合体;ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビ
ニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、
フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳
香族系石油樹脂等が挙げられ、これらは単独あるいは混
合して使用できる。
【0033】また、本発明のトナーの製造方法では、離
型剤、磁性材料等を添加することができる。添加の時期
は、粉砕法においては溶融混練時に、重合法においては
重合性単量体組成物の調製時に添加することが好まし
い。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、
低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの
低分子量ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カ
ルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワ
ックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラ
クタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;
モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワック
ス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワック
ス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタ
エリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリト
ールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サミリステートなどの多官能エステル化合物などが挙げ
られる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0034】これらのうち、合成ワックス(特にフィッ
シャートロプシュワックス)、末端変性ポリオレフィン
ワックス類、石油系ワックス、多官能エステル化合物な
どが好ましい。多官能エステル化合物のなかでも示差走
査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時
の吸熱ピーク温度が30〜200℃、好ましくは40〜
160℃、更に好ましくは50〜120℃の範囲にある
ペンタエリスリトール多価エステルや、同吸熱ピーク温
度が50〜80℃の範囲にあるジペンタエリスリトール
多価エステルなどの多官能エステル化合物が、トナーと
しての定着−剥離性バランスの面で特に好ましく、その
中でも、分子量が1000以上であり、スチレン100
重量部に対し25℃で5重量部以上溶解し、酸価が10
mg/KOH以下のものは定着温度低下に顕著な効果を
示すので更に好ましい。吸熱ピーク温度は、ASTM
D3418−82によって測定された値である。上記離
型剤は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.5〜
50重量部、好ましくは1〜20重量部を用いる。
【0035】磁性材料としては、例えば、マグネタイ
ト、γ−酸化鉄、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバル
ト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアル
ミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜
鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、
カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステ
ン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物
等が挙げられる。
【0036】本発明の製造方法において、好ましい製造
方法である懸濁重合法によるトナーの製造方法につい
て、以下説明する。懸濁重合は、分散安定剤を含有する
水系分散媒体中で、重合性単量体、負帯電制御樹脂組成
物及び/または正帯電制御樹脂組成物、その他の添加剤
を含有する重合性単量体組成物を懸濁させ、重合開始剤
を用いて重合する。その他の添加剤としては、前述した
離型剤、磁性材料、分子量調整剤等が挙げられる。
【0037】結着樹脂を得るための重合性単量体とし
て、モノビニル単量体、架橋性単量体、マクロモノマー
等を挙げることができる。この重合性単量体が重合さ
れ、重合体粒子中の結着樹脂成分となる。モノビニル単
量体としては、具体的にはスチレン、ビニルトルエン、
α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)
アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア
クリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリ
ル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモ
ノオレフィン単量体;等が挙げられる。モノビニル単量
体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用
いても良い。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビ
ニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリ
ル酸の誘導体との併用などが好適に用いられる。
【0038】モノビニル単量体と共に、架橋性単量体及
び重合体を用いるとホットオフセット改善に有効であ
る。架橋性単量体は、重合可能な炭素−炭素不飽和二重
結合を2以上有する単量体である。具体的には、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン、およびこれらの誘導
体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメ
タクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート
等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−
ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のビニル基を2
個有する化合物、ペンタエリスリトールトリアリルエー
テルやトリメチロールプロパントリアクリレート等のビ
ニル基を3個以上有する化合物等を挙げることができ
る。架橋性重合体は、分子中に2個以上のビニル基を有
する重合体のことであり、具体的には、分子内に2個以
上の水酸基を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル及びポリエチレングリコール等の重合体と、
アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸単量体
とを縮合反応することにより得られるエステルを挙げる
ことができる。これらの架橋性単量体及び架橋性重合体
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用
いることができる。使用量は、モノビニル単量体100
重量部当たり、通常10重量部以下、好ましくは、0.
1〜2重量部である。
【0039】また、モノビニル単量体と共に、マクロモ
ノマーを用いると、保存性と低温定着性とのバランスが
良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の
末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分子
量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマーま
たはポリマーである。数平均分子量が小さいものを用い
ると、重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性が
低下するようになる。逆に数平均分子量が大きいものを
用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着性
および保存性が低下するようになる。マクロモノマー分
子鎖の末端に有るビニル重合性官能基としては、アクリ
ロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができ、
共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好まし
い。
【0040】マクロモノマーは、前記モノビニル単量体
を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高い
ガラス転移温度を有するものが好ましい。本発明に用い
るマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレ
ン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独で
または2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキ
サン骨格を有するマクロモノマーなどを挙げることがで
きるが、その中でも、親水性のもの、特にメタクリル酸
エステルまたはアクリル酸エステルを単独でまたはこれ
らを組み合わせて重合して得られる重合体が好ましい。
マクロモノマーを使用する場合、その量は、モノビニル
単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重
量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には
0.05〜1重量部である。マクロモノマーの量が少な
いと、保存性が向上しない。マクロモノマーの量が極端
に多くなると定着性が低下するようになる。
【0041】分散安定剤としては、例えば、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カ
ルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタ
ン等の金属酸化物;などの金属化合物や、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水
酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼ
ラチン等水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオ
ン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることがで
き、これらは、単独で用いても、2種類以上を組み合わ
せても良い。これらのうち、金属化合物、特に難水溶性
の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、重
合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、また分散安
定剤の洗浄後の残存性が少なく、画像を鮮明に再現でき
るので好ましい。
【0042】難水溶性金属水酸化物のコロイドは、個数
粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.
5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)
が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が
大きくなると重合の安定性が崩れ、またトナーの保存性
が低下する
【0043】分散安定剤は、重合性単量体100重量部
に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用す
る。この割合が0.1重量部より少ないと、充分な重合
安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成し易
くなる。逆に、20重量部を超えると、重合後のトナー
粒径が細かくなり過ぎ、実用的でない。
【0044】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチ
ル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロ
クロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジク
ミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイ
ルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−
イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチ
ルパーオキシイソフタレート、1,1,3,3−テトラ
メチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類な
どを例示することができる。また、これら重合開始剤と
還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げること
ができる。
【0045】こうした中でも特に、使用される重合性単
量体に可溶な油溶性の重合開始剤を選択することが好ま
しく、必要に応じて水溶性の重合開始剤をこれと併用す
ることもできる。上記重合開始剤は、重合性単量体10
0重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは
0.3〜15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量
部用いる。重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め
添加することができるが、懸濁重合の場合は造粒工程終
了後の懸濁液、乳化重合の場合は乳化工程終了後の乳化
液に、直接添加することもできる。
【0046】また、重合に際して、分子量調整剤を使用
することが好ましい。分子量調整剤としては、例えば、
t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、n−オクチルメルカプタン、2,2,4,6,6−
ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン
類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素
類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤
は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することがで
きる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対
して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1
〜5重量部の割合で用いられる。
【0047】本発明では、粒子の内部(コア層)と外部
(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得ら
れる、所謂コアシェル型(カプセル型ともいう)トナー
とすることが好ましい。コアシェル型トナーでは、内部
(コア層)の低軟化点物質をそれより高い軟化点を有す
る物質で内包化することにより、定着温度の低温化と保
存時の凝集防止とのバランスを取ることができるので好
ましい。コアシェル型トナーを製造する方法としては、
スプレイドライ法、界面反応法、in situ重合
法、相分離法などの方法が挙げられ、粉砕法、重合法、
会合法又は転相乳化法により得られたトナーをコア粒子
として、それに、シェル層を被覆することによりコアシ
ェル型トナーが得られる。この時、in situ重合
法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
【0048】in situ重合法によるコアシェル型
トナーの製造方法を以下に説明する。コア粒子が分散し
ている水系分散媒体中に、シェルを形成するための重合
性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加
し、重合することでコアシェル型トナーを得ることがで
きる。シェルを形成する具体的な方法としては、コア粒
子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用重合
性単量体を添加して継続的に重合する方法、または別の
反応系で得たコア粒子を仕込み、これにシェル用重合性
単量体を添加して段階的に重合する方法などを挙げるこ
とができる。シェル用重合性単量体は反応系中に一括し
て添加しても、またはプランジャポンプなどのポンプを
使用して連続的もしくは断続的に添加してもよい。
【0049】シェル用重合性単量体としては、スチレ
ン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのガ
ラス転移温度が80℃を超える重合体を形成する単量体
をそれぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用
することができる。
【0050】シェル用重合性単量体を添加する際に、水
溶性のラジカル開始剤を添加することがコアシェル型ト
ナーを得やすくなるので好ましい。シェル用重合性単量
体の添加の際に水溶性ラジカル開始剤を添加すると、シ
ェル用重合性単量体が移行したコア粒子の外表面近傍に
水溶性ラジカル開始剤が進入し、コア粒子表面に重合体
(シェル)を形成しやすくなると考えられる。
【0051】水溶性ラジカル開始剤としては、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス
(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,
2’−アゾビス−2−メチル−N−1,1’−ビス(ヒ
ドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミ
ド等のアゾ系開始剤;クメンパーオキシド等の油溶性開
始剤とレドックス触媒の組み合せ;などを挙げることが
できる。水溶性ラジカル開始剤の量は、シェル用単量体
100重量部に対して、通常、1〜50重量%、好まし
くは2〜20重量%である。
【0052】本発明の製造方法によって得られるトナー
は、加熱溶融して膜厚20μmにしたトナーの面積10
0μm×100μm中に観察される長径0.2μm以上
の着色剤粒子数が、50個以下、好ましくは30個以
下、さらに好ましくは20個以下である。この数が多い
とカラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明性等の分
光特性が悪くなり、カブリが多くなり、印字濃度が低く
なることがある。分光特性は、市販のプリンターで色別
にベタの印字を行い、その色調を分光色差計で測定す
る。
【0053】本発明の製造方法によって得られるトナー
の体積平均粒径(dv)は特に限定されないが、通常2
〜10μm、好ましくは2〜9μm、より好ましくは3
〜8μmである。また、体積平均粒径(dv)/個数平
均粒径(dp)も特に限定されないが、通常1.7以
下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下
である。
【0054】本発明の製造方法によって得られるトナー
は、その長径rlと短径rsとの比(rl/rs)が、
通常、1〜1.2、好ましくは1〜1.1のものであ
る。この比が大きくなると、感光体上のトナー画像を紙
等の転写材に転写する転写性が低下し、また、画像形成
装置のトナー収納部に該トナーを納めたときにトナー同
士の摩擦が大きくなるので外添剤が剥離したりして、耐
久性が低下する傾向になる。
【0055】本発明の製造方法によって得られるトナー
は、鉄粉に対するブローオフ帯電量が、負帯電性トナー
の場合、通常−40〜−120μc/gであり、好まし
くは−60〜−100μc/gである。これが−40μ
c/gより小さいとカブリが発生することがあり、逆に
−120μc/gより大きいと流動性が低下してカスレ
が発生することがある。また、正帯電性トナーの場合、
通常+20〜+100μc/gであり、好ましくは+4
0〜+80μc/gである。これが+20μc/gより
小さいとカブリが発生することがあり、逆に+100μ
c/gより大きいと流動性が低下してカスレが発生する
ことがある。
【0056】本発明の製造方法によって得られるトナー
は、誘電体損測定器による体積固有抵抗値(log(Ω
・cm))が、通常10〜13、好ましくは10.5〜
12.5である。体積固有抵抗値が小さいとカブリが発
生することがあり、逆に大きいとクリーニング不良が発
生することがある。また、本発明の製造方法によって得
られるトナーは、フローテスターによる軟化温度(以
下、Tsということがある。)が、通常、50〜80
℃、好ましくは60〜70℃であり、流動開始温度(以
下、Tfbということがある。)が、通常90〜150
℃、好ましくは100〜130℃である。軟化温度が低
いと保存性が低下することがあり、逆に高いと定着性が
低下することがある。流動開始温度が低いとホットオフ
セット耐性が低下することがあり、逆に高いと定着性が
低下することがある。示差走査熱量計(以下、DSCと
いうことがある。)によるガラス転移温度は、通常0〜
80℃、好ましくは40〜70℃である。ガラス転移温
度が低いと保存性が低下することがあり、逆に高いと定
着性が低下することがある。
【0057】コアシェル型トナーの場合、コア層を構成
する重合体のガラス転移温度は、通常0〜80℃、好ま
しくは40〜60℃である。ガラス転移温度が高すぎる
と定着温度が高くなることがあり、逆に低すぎると、保
存性が低下することがある。また、シェル層を構成する
重合体のガラス転移温度は、コア層を構成する重合体の
ガラス転移温度よりも高くなるように設定する必要があ
る。シェル層を構成する重合体のガラス転移温度は、重
合トナーの保存性を向上させるために、通常50〜13
0℃、好ましくは60〜120℃、より好ましくは80
〜110℃である。これより低いと保存性が低下するこ
とがあり、逆に高いと定着性が低下することがある。コ
ア層を構成する重合体のガラス転移温度とシェル層を構
成する重合体のガラス転移温度の差は、通常10℃以
上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上
である。この差より小さいと保存性と定着性のバランス
が低下することがある。
【0058】コアシェル型トナーのコア層とシェル層と
の重量比率は特に限定されないが、通常80/20〜9
9.9/0.1で使用ある。シェル層の割合が上記割合
より小さいと保存性が悪くなり、逆に、上記割合より大
きいと低温で定着し難くなることがある。
【0059】コアシェル型トナーのシェル層の平均厚み
は、通常0.001〜1μm、好ましくは0.003〜
0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μmで
ある。厚みが大きくなると定着性が低下し、小さくなる
と保存性が低下する恐れがある。なお、コアシェル型ト
ナーを形成するコア粒子は表面の全てがシェル層で覆わ
れている必要はい。コアシェル型トナーのコア粒子径お
よびシェル層の厚みは、電子顕微鏡により観察できる場
合は、その観察写真から無作為に選択した粒子の大きさ
およびシェル厚みを直接測ることにより測定することが
でき、電子顕微鏡でコア層とシェル層とを観察すること
が困難な場合は、コア粒子の粒径及び着色粒子製造時に
用いたシェル層を形成する単量体の量から算定すること
ができる。
【0060】本発明のトナーは、トナー粒子の表面に外
添剤が付着又は埋め込まれていることが好ましい。外添
剤としては、無機粒子、有機樹脂粒子、好ましくは無機
粒子と有機樹脂粒子の併用、無機粒子の中でも更に好ま
しくはシリカ粒子、酸化チタン粒子が挙げられ、更に好
ましくは前記無機粒子が疎水化処理されたものが挙げら
れる。外添剤の量は、特に限定されないが、トナー粒子
100重量部に対して、合計量で通常0.1〜6部であ
る。外添剤をトナー粒子に付着させるには、通常、外添
剤と前記重合体粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合
器に仕込み、撹拌して行う。
【0061】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の
みに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に
断りのない限り重量基準である。
【0062】実施例及び比較例における物性の測定方法
は、以下のとおりである。 (1)トナー粒径 重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布即ち体
積平均粒径と個数平均粒径(dp)との比(dv/d
p)はマルチサイザー(ベックマン・コールター社製)
により測定した。このマルチサイザーによる測定は、ア
パーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、測定粒
子個数:100,000個の条件で行った。 (2)トナー形状 トナーの形状は走査型電子顕微鏡で写真を撮り、その写
真をネクサス9000型の画像処理装置で読み込み、ト
ナーの長径を短径で割った値(rl/rs)を測定し
た。この時のトナーの測定個数は100個で行った。
【0063】(3)体積固有抵抗値 トナーの体積固有抵抗値は、トナー約3gを直径5cm
の錠剤成型器に入れ、約100kg/cmの荷重を1
分間かけて試験片を作製し、それを誘電体損測定器(T
RS−10型:安藤電気社製)を用い、温度30℃、周
波数1kHzの条件下で測定した。 (4)ブローオフ帯電量 100cmのボールミルポットにキャリアTEFV−
150/250、57gとトナー3gを投入して、30
分間攪拌、混合した後、ブローオフ帯電量測定装置TB
−200(東芝ケミカル製)を使用して、単位重量当た
りの帯電量を測定した。
【0064】(5)着色剤分散性1 負帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した後、負帯電制
御樹脂を溶解するトルエンを添加して、負帯電制御樹脂
組成物の5%溶液にした。ガラス板上にドクターブレー
ドで混合溶液を塗布、乾燥させ、20μmのシ−トを作
製した。このシートを光学顕微鏡にて観察し、100μ
m平方に存在する、長径が0.2μm以上の着色剤粒子
の個数を数えた。 (6)着色剤分散性2 スライドグラスに適量のトナーをのせ、その上からカバ
ーグラスを掛け、それをホットプレートにて170℃ま
で加熱してトナーを溶融させ、次に、カバーグラスで力
を加え、トナーを押し潰した。膜厚計(K−402B:
アンリツ社製)で測定したトナーの厚みが20μmの部
分を、光学顕微鏡にて観察し、100μm平方に存在す
る、長径が0.2μm以上の着色剤粒子の個数を数え
た。
【0065】(7)帯電制御樹脂組成物の濃度 着色剤分散性1の評価で使用したシート(厚さ20μ
m)を用い、日本電色社製の分光色差計(SE−200
0)で着色濃度を測定した。 (8)画質評価 非磁性1成分現像方式のプリンター(マイクロライン3
010C:沖データ社製)で色別にベタの印字を行い、
色調は分光色差計(SE2000:日本電色社製)で測
定した。色調は、この数字の絶対値が大きいほど彩度が
鮮やかになる。印字濃度はカラー反射型濃度計(404
A:X−ライト社製)で、ベタの印字をトナーの付着量
を0.5mg/cmとして測定した。
【0066】(実施例1) 1)負帯電制御樹脂組成物の製造 スチレン 82%、アクリル酸ブチル11%及び2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7 %を
重合してなる負帯電制御樹脂(重量平均分子量1万、ガ
ラス転移温度65℃)100部に、トルエン24部、
メチルエチルケトン6部を分散させ、冷却しながらロー
ルにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたと
ころで、 マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド1
22;クライアント社製)100重量部及び一次粒径4
0nmの疎水化処理されたシリカ微粒子(商品名:RX
−50、日本アエロジル社製、)40部を徐々に添加し
て、40分間混練を行い、負帯電制御樹脂組成物を製造
した。この時、ロール間隙は、初期1mmであり、その
後徐々に間隙を広げ、最後は3mmまで広げ、有機溶剤
(トルエン/メチルエチルケトン=4/1混合溶剤)
は、負帯電制御樹脂の混練状態に合わせ何回か追加し
た。負帯電制御樹脂組成物の一部を取り出した後、トル
エンを加えて溶解させ、負帯電制御樹脂組成物の5%ト
ルエン溶液にした。ガラス板上にドクターブレードでト
ルエン溶液を塗布、乾燥させ、20μmのシ−トを作製
した。このシートを光学顕微鏡にて観察したところ、1
00μm平方には、長径が0.2μm以上の着色剤粒子
は存在しなかった。
【0067】2)コロイド溶液の作製 イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価
金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水5
0部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.9
部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化
マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイ
ド)分散液を調製した。生成した前記コロイドの粒径分
布を液滴の 個数平均粒径 D50(個数粒径分布の50
%累積値)とD90(個数粒径分布の90%累積値)
は、粒径分布測定装置(SALD2000A型、島津製
作所株式会社製)により測定した。この粒径分布測定器
による測定においては、屈折率=1.55−0.20
i、超音波照射時間=5分間、液滴測定時の分散媒とし
て10%食塩水を使用する条件で行った。
【0068】3)コア用単量体組成物 スチレン90部及びアクリル酸ブチル10部からなるコ
ア用重合性単量体組成物と、負帯電制御樹脂組成物1
4.4部、TDM3部及びペンタエリスリトールテトラ
ステアレート10部とを攪拌、混合して、均一分散し、
コア用単量体組成物を得た。 4)シェル用単量体組成物 一方、メタクリル酸メチル2部と水100部を超音波乳
化機にて微分散化処理して、シェル用単量体の水分散液
を得た。シェル用単量体の液滴の粒径は、(SALD2
000A型、島津製作所株式会社製)で測定したとこ
ろ、D90が1.6μmであった。
【0069】5)カプセルトナーの重合 前記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液
に、前記コア用単量体組成物を投入し、液滴が安定する
まで攪拌し、そこに重合開始剤: t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチ
ルO」)6部を添加後、エバラマイルダーを用いて1
5,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、
単量体混合物の液滴を造粒した。この造粒したコア用単
量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入
れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ1
00%に達したときに、サンプリングし、コアの粒径を
測定したところ、7.4μmであった。前記シェル用重
合性単量体の水分散液、及び蒸留水65部に溶解した
2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキ
シエチル)−プロピオンアミド(和光純薬社製、商品名
「VA−086」)0.2部を反応器に入れた。8時間
重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のトナー
粒子の水分散液を得た。
【0070】前記により得たトナー粒子の水分散液を攪
拌しながら、硫酸により系のpHを5以下にして酸洗浄
(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した
後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化
し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回
繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて
45℃で2昼夜乾燥を行い、トナー粒子を得た。
【0071】乾燥したトナー粒子を取り出し、測定した
体積平均粒径(dv)は7.4μmであり、体積平均粒
径(dv)/個数平均粒径(dp)は1.23であっ
た。rl/rsは1.1、ガラス転移温度は55℃であ
った。また、単位面積中に存在する顔料粒子の数は、0
個であった。
【0072】前記により得られた重合体粒子100部
に、疎水化処理されたシリカ微粒子(商品名:RX−2
00、日本アエロジル社製)0.6部を添加し、ヘンシ
ェルミキサーを用いて混合して負帯電性トナーを調製し
た。このようにして得られたトナーの体積固有抵抗を測
定したところ、12.0(logΩ・cm)、ブローオ
フ帯電量は−75μc/g、フローテスターによる軟化温
度Tsは64℃で、流動開始温度Tfbは112℃であ
った。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に
示す。
【0073】(実施例2)ピグメントレッド122の代
りにイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー18
0;クラリアント社製)を用い、一次粒径40nmの疎
水化処理されたシリカ微粒子(商品名:RX−50、日
本アエロジル社製、)40部の代わりに一次粒径12n
mのシリカ微粒子(商品名:RX−200、日本アエロ
ジル社製)20部を用いた他は、実施例1と同様にして
トナーを得た。得られたトナーの特性及び画像等の評価
を表1に示す。
【0074】(実施例3)ピグメントレッド122の代
りにシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−4;
大日本インキ社製)を用い、一次粒径40nmの疎水化
処理されたシリカ微粒子(商品名:RX−50、日本ア
エロジル社製、)40部の代わりに一次粒径7nmのシ
リカ微粒子(商品名:RX−300、日本アエロジル社
製)6部を用いた他は、実施例1と同様にしてトナーを
得た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に
示す。
【0075】(比較例1)実施例1の負帯電制御樹脂組
成物の製造において、一次粒径40nmの疎水化処理さ
れたシリカ微粒子(商品名:RX−50、日本アエロジ
ル社製、)40部を添加しないで、重合性単量体組成物
の調製時に一次粒径40nmのシリカ微粒子(商品名:
RX−50、日本アエロジル社製)2.4部を添加した
他は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。得
られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。こ
のとき得られるトナーの組成は実施例1と同じになる。
【0076】(比較例2)実施例2の負帯電制御樹脂組
成物の製造において、一次粒径12nmの疎水化処理さ
れたシリカ微粒子(商品名:RX−200、日本アエロ
ジル社製、)20部を添加しないで、重合性単量体組成
物の調製時に一次粒径12nmのシリカ微粒子(商品
名:RX−200、日本アエロジル社製)1.2部を添
加した他は、実施例2と同様にしてイエロートナーを得
た。得られたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示
す。このとき得られるトナーの組成は実施例2と同じに
なる。
【0077】(比較例3)実施例3の負帯電制御樹脂組
成物の製造において、一次粒径7nmの疎水化処理され
たシリカ微粒子(商品名:RX−300、日本アエロジ
ル社製、)40部を添加しないで、重合性単量体組成物
の調製時に一次粒径7nmのシリカ微粒子(商品名:R
X−300、日本アエロジル社製)0.4部を添加した
他は、実施例3と同様にしてシアントナーを得た。得ら
れたトナーの特性及び画像等の評価を表1に示す。この
とき得られるトナーの組成は実施例3と同じになる。
【0078】
【表1】
【0079】表1より、同じ着色剤を使用した場合のト
ナーを比較すると以下のことがわかる。無機微粒子を含
有しない帯電制御樹脂組成物を用いて製造した比較例1
のマゼンタトナーは、透明性等の分光特性が悪く、印字
濃度も低いが、本発明の製造方法によって得られた実施
例1のマゼンタトナーは、カラー画像の鮮明な色調の再
現に必要な透明性等の分光特性に優れ、印字濃度を高く
できることが分かる。
【0080】同様に、無機微粒子を含有しない帯電制御
樹脂組成物を用いて製造した比較例2のイエロートナー
及び比較例3のシアントナーは、透明性等の分光特性が
悪く、印字濃度も低いが、本発明の製造方法によって得
られた実施例2のイエロートナー及び実施例3のシアン
トナーは、カラー画像の鮮明な色調の再現に必要な透明
性等の分光特性に優れ、印字濃度を高くできることが分
かる。
【0081】
【発明の効果】本発明によって、電子写真に於いて、ト
ナー粒子中に顔料が均一に分散していることにより、鮮
明な画像を得ることのでき、また異なる環境下に置かれ
ても帯電性が変化しないトナーの製造方法を提供するこ
とができる。特にカラートナーに適用した場合、カラー
画像の鮮明な色調の再現に必要な透光性等の分光特性に
優れ、印字濃度を高く、カブリが少なくすることがで
き、更に転写性にも優れたトナーの製造方法を提供する
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯電制御樹脂100重量部、着色剤10
    〜200重量部及び無機微粒子1〜60重量部からなる
    帯電制御樹脂組成物を結着樹脂中に包含させるトナーの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 帯電制御樹脂組成物2〜20重量部と、
    重合性単量体100重量部とを含有する重合性単量体組
    成物を、水系分散媒体中で重合することにより、帯電制
    御樹脂組成物を結着樹脂に包含させる請求項1記載のト
    ナーの製造方法。
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