JP2003066731A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

画像形成装置及び画像形成方法

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JP2003066731A
JP2003066731A JP2001253377A JP2001253377A JP2003066731A JP 2003066731 A JP2003066731 A JP 2003066731A JP 2001253377 A JP2001253377 A JP 2001253377A JP 2001253377 A JP2001253377 A JP 2001253377A JP 2003066731 A JP2003066731 A JP 2003066731A
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image forming
image
belt
forming apparatus
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JP2001253377A
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English (en)
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Makoto Morikoshi
誠 森越
Norihiro Otsu
紀宏 大津
Katsushi Yamaoka
克史 山岡
Tomoko Ishikawa
智子 石川
Kazuo Mitsuhashi
和夫 三ツ橋
Shunichiro Kurihara
俊一郎 栗原
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Yuka Denshi Co Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Yuka Denshi Co Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細線再現性及び階調性に優れた画像形成装置
及び画像形成方法を提供する。 【解決手段】 感光体1、露光装置3、転写ベルト5及
びトナーTを備えた画像形成装置。転写ベルトは、ベル
ト円周方向のJIS P−8115による耐屈曲性が5
000回を超え、かつ、ベルト円周方向での引張弾性率
が1500〜5000MPaのエンドレスベルトであ
り、露光装置は記録ドット密度600ドット/インチ以
上のデジタル像露光を行うものであり、トナーが湿式重
合法により製造されたものである画像形成装置。この画
像形成装置により画像を形成する画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成方法及び
画像形成装置に関する。詳しくは、プリンターや電子写
真複写機及びFAXなどに好適な画像形成方法及び装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真法を用いた複写機、FA
X及びプリンターの急速な普及に伴い、高精細画像への
要求が強くなってきている。
【0003】高精細画像の実現、特に階調性や解像力を
向上させるためには、像露光時のドット数を増やすこと
が考えられる。このためには、ビーム径を絞り、出力パ
ルス数を増やすことになるが、このような高密度記録に
なると、1ドットを露光するのに要する時間が短くな
る。このような場合、従来の感光体では感度が不十分
で、1ドットの再現性が劣化するため、階調性や解像力
を向上させることができない。また、これを解決する方
法として光エネルギー自体を大きくすることも考えられ
るが、この場合には、感光層に光疲労などの問題を生じ
る。
【0004】上述の課題を解決する方法として、例え
ば、特開平3−37678号公報には、CuKα特性X
線(波長1.541Å)に対するX線回折スペクトルの
ブラッグ角2θが27.2±0.2°においてX線強度
の強いピークを示す結晶型のオキシチタニルフタロシア
ニンを、感光層の光導電性物質として用いる方法が開示
されており、このオキシチタニルフタロシアニンを用い
ることによって、高感度、高γで十分な光応答性を示す
感光体を実現でき、この感光体を用いることにより、高
密度記録で各ドットの露光時間が短い場合でも、十分な
ドット再現性が実現できることが示されている。
【0005】同公報には、平均粒径が8μm以下の小粒
径のトナーを併用することが記載されているが、実際に
はトナーが小粒径というだけでは上述の課題は必ずしも
十分に解決されない。
【0006】電子写真法を用いた複写機、FAX及びプ
リンター等の画像形成装置には、様々な構成要素(部
品)があるが、中間転写ベルトを備えた画像形成装置に
あっては、トナーが、感光体から中間転写ベルトへ、更
には紙へと移動するので、トナーと中間転写ベルトとの
物性のバランスが、高精細、高解像度の画像を得るため
の重要な要素の一つとなり、また、搬送転写ベルトを備
えた画像形成装置においても、搬送転写ベルト上に一旦
吸着させた上で紙を搬送させながら感光体上のトナーを
紙へ静電的に転写させるので、トナーと搬送転写ベルト
との物性バランスが、高精細、高解像度の画像を得るた
めに重要である。つまり、たとえ、感光体上へトナー画
像がデジタル信号に忠実に再現されたとしても、このト
ナー画像が感光体から中間転写装置へ一旦転写され、更
には紙へと移る間、トナー画像をできるだけ元のままに
保持できなければ、高精細な画像が形成できないのであ
り、また、紙搬送転写装置においては、トナー画像が感
光体から紙へ転写される間に紙が転写ベルト上に正しく
保持されなければ画像ズレ等を発生させてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記課題を解決するためになされたものであっ
て、細線再現性や階調性に優れる画像を得ることができ
る画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の画像形成装置
は、感光体、露光装置、転写ベルト及びトナーを備えた
画像形成装置において、該転写ベルトが、ベルト円周方
向のJIS P−8115による耐屈曲性が5000回
を超え、かつ、ベルト円周方向の引張弾性率が1500
〜5000MPaのエンドレスベルトであり、該トナー
が湿式重合法により得られたものであることを特徴とす
る。
【0009】即ち、本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意
検討した結果、特定の中間転写ベルト又は搬送転写ベル
トとトナーとの組み合わせにより、上記課題が解決でき
ることを見出し、本発明に到達した。
【0010】本発明の転写ベルトは、好ましくは中間転
写ベルト又は搬送転写ベルトであり、表面電気抵抗率が
1×10〜1×1016Ωであるか、体積電気抵抗率
が1×10〜1×1016Ω・cmであるものであ
る。
【0011】また、トナーは、体積平均粒径(Dv)が
3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径
(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.30で
あり、バインダー樹脂及び着色剤を含み、下記式により
求められた円形度の50%における累積粒度分布値に相
当する50%円形度(以下、単に「50%円形度」と称
す。)が0.9〜1であることが好ましい。 円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影
像の周長
【0012】また、トナーの、フロー式粒子分析装置に
よる粒径0.6〜2.12μmの粒子の測定値(個数)
が、全粒子個数の15%以下であることが好ましい(以
下、この粒径0.6〜2.12μmの粒子の測定値(個
数)の全粒子個数に対する割合(%)を「微粒子率」と
称す。)。
【0013】また、本発明で用いる感光体は、オキシチ
タニウムフタロシアニンを電荷発生材料として用いた電
荷発生層と、電荷移動層とを積層した感光層を有するも
のが好ましく、露光装置は、記録ドット密度600ドッ
ト/インチ以上のデジタル像露光を行うものが好まし
い。
【0014】本発明の画像形成方法は、感光体、露光装
置、中間転写ベルト及びトナーを用い、露光装置によっ
て感光体に対し記録ドット密度が600ドット/インチ
以上のデジタル像露光を行い、この像露光で形成された
静電潜像をトナーを用いて現象し、得られた感光体上の
トナー画像を中間転写ベルトへ転写する画像形成方法に
おいて、前記トナーとして、湿式重合法により得られた
ものを用い、前記中間転写ベルトとして、ベルト円周方
向のJIS P−8115による耐屈曲性が5000回
を超え、かつ、ベルト円周方向の引張弾性率が1500
〜5000MPaのエンドレスベルトを用いることを特
徴とする。
【0015】本発明の別の画像形成方法は、感光体、露
光装置、搬送転写ベルト及びトナーを用い、露光装置に
よって感光体に対し記録ドット密度が600ドット/イ
ンチ以上のデジタル像露光を行い、この像露光で形成さ
れた静電潜像をトナーを用いて現象し、得られた感光体
上のトナー画像を搬送転写ベルト上の紙へ転写する画像
形成方法において、前記トナーとして、湿式重合法によ
り得られたものを用い、前記搬送転写ベルトとして、ベ
ルト円周方向のJIS P−8115による耐屈曲性が
5000回を超え、かつ、ベルト円周方向の引張弾性率
が1500〜5000MPaのエンドレスベルトを用い
ることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の画
像形成装置及び画像形成方法の実施の形態を詳細に説明
する。
【0017】まず、図1,2を参照して、本発明が適用
される画像形成装置の概要を説明するが、図1,2は本
発明が適用される画像形成装置の一例を示すものであっ
て、本発明は何ら図示のものに限定されるものではな
い。
【0018】図1は本発明に用いられる中間転写ベルト
方式の電子写真記録装置の一実施態様の要部構成の概略
図であり、感光体(感光ドラム)1、帯電装置2、露光
装置3、現像装置4、中間転写ベルト5、クリーニング
装置6、定着装置7、及び静電転写機8を有している。
【0019】感光体1は、例えばアルミニウムなどの導
電体により形成され、外周面に感光導電材料を塗布して
感光層を形成したものである。感光体1の外周面に沿っ
て帯電装置2、露光装置3、現像装置4、中間転写ベル
ト5及び、クリーニング装置6がそれぞれ配置されてい
る。
【0020】帯電装置2は、感光体1の表面を所定電位
に均一帯電させるものである。露光装置3は、感光体1
の感光面にLED、レーザー光などで露光を行って感光
体1の感光面に静電潜像を形成するものである。
【0021】現像装置4は、アジテータ42、供給ロー
ラー43、現像ローラー44、規制部材45からなり、
その内部にトナーTを貯留している。また、必要に応
じ、現像装置にはトナーを補給する補給装置(図示せ
ず)を付帯させてもよい。補給装置は、ボトル、カート
リッジなどの容器からトナーを補給することができるも
のである。
【0022】また、中間転写ベルト5は、感光体1上の
トナーを静電気力にて電気的に吸着させ、このベルト5
上にてカラー画像を形成した後記録紙Pへ静電気力にて
転写させ、除電により紙を中間転写ベルト5より離す役
割を担っている。従って、この中間転写ベルト5には、
トナーの帯電、除電のためにシーム有り、無しのエンド
レスベルトが用いられている。このエンドレスベルト
は、マシーン機種毎に異なった表面電気抵抗や厚み方向
電気抵抗(体積電気抵抗)に設定されている。
【0023】また、エンドレスベルト(中間転写ベルト
5)は、搬送ローラ5a、5b、5cに掛け渡されて、
矢印A方向に回転する感光ドラム1と同調して矢印B方
向に移動するようになっている。
【0024】次に、動作について説明する。まず矢印A
方向に回転する感光ドラム1の表面を帯電装置2により
一様に帯電させる。次に、露光装置3により図示しない
画像読み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像
を感光ドラム1上に形成する。静電潜像は現像装置4で
トナー像に現像される。このトナー像を、静電転写機8
により中間転写ベルト5へ静電転写し、次いで搬送ロー
ラ5cと押圧ローラ10の間で記録紙Pに転写し、定着
装置7(上側定着部材71、下側定着部材72、加熱部
材73)で定着させる。
【0025】次に、非磁性1成分系トナーをフルカラー
として使用するタンデム方式の電子写真記録装置の一例
について図2を参照して説明する。
【0026】図2はフルカラータンデム方式の紙搬送転
写方式電子写真記録装置の主要構成の概略図であり、感
光体(感光ドラム)1、帯電装置2、露光装置3、ブラ
ック現像装置4k、シアン現像装置4c、イエロー現像
装置4y、マゼンタ現像装置4m、搬送転写ベルト9、
及び定着装置7を有する。なお、図2においてクリーニ
ング装置は図示を省略した。
【0027】この電子写真記録装置においても、矢印A
方向に回転する各感光ドラム1の表面を各帯電装置2に
より一様に帯電させ、各露光装置3により図示しない画
像読み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像を
感光ドラム1上に形成し、この静電潜像を各現像装置4
m,4y,4c,4kで現像し、この画像を、矢印B方
向に移動する搬送転写ベルト9上の記録紙Pに転写し、
定着装置7で定着させる。カラー画像は、図2のように
各現像装置4m,4y,4c,4kでマゼンタ、イエロ
ー、シアン、及びブラックの各トナーを多層に重ねて所
望の色に調整することで得ることができる。
【0028】タンデム方式の場合、図2の如く、カラー
現像部(4m,4c,4y)がブラック現像部(4k)
より前(上流)に位置する方が、ブラックトナーの逆転
写などによる混色が少なくなること、及びブラック現像
部がカラー現像部より後ろ(下流)に位置する方がブラ
ックだけの単色で画像形成する場合にカラートナーの感
光体カブリによる混色が少なくなること、更にはカラー
現像部をショートパスして記録紙を搬送することでブラ
ック画像形成の速度を高めることができるなどの点で好
ましい。
【0029】本発明の画像形成方法をフルカラー画像形
成に適用する場合には、このようなシアン、マゼンタ、
イエローのカラー現像部が前の位置にあり、ブラック現
像部がカラー現像部より後に位置するタンデム方式が好
適である。なお、シアン、マゼンタ、イエローのカラー
現像部の位置する順番は適時自由に変更することができ
る。
【0030】次に、本発明に用いられる転写ベルトにつ
いて説明する。
【0031】本発明で用いられる転写ベルトは、ベルト
円周方向のJIS P−8115による耐屈曲性が50
00回を超え、かつ、ベルト円周方向の引張弾性率が1
500〜5000MPaのエンドレスベルトである。
【0032】本発明に用いるエンドレスベルトの耐屈曲
性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるの
で耐屈曲性の良好なエンドレスベルトが好ましい。
【0033】耐屈曲性の程度は、ベルト円周方向のJI
S P−8115の耐折回数の測定方法に従うことで定
量的に評価でき、耐折回数の大きいエンドレスベルトほ
どクラックが入りにくく、耐屈曲性に優れていると判断
することができる。
【0034】具体的な数値としては、5000回を超え
ていれば装置寿命の間、エンドレスベルトとして優れた
機能を発揮して使用することができるが、実用的には8
000回以上が好ましく、10000回以上であれば更
に好ましく、15000回以上であれば、特にクラック
が発生しにくくなり、クラック防止用補強テープ等の二
次加工を施さなくても十分な耐クラック性が得られるの
で特に好ましい。
【0035】エンドレスベルトの引張弾性率が低いと、
中間転写ベルトや搬送転写ベルトとして画像形成装置に
用いる場合に張力により伸びが発生してしまい、色ズレ
などの不具合を発生することがあるので、引張弾性率が
高い方が好ましい。具体的には1500MPa以上であ
ることが必要であり、好ましくは2000MPa以上で
あり、2500MPa以上であれば色ズレなどの不具合
を大幅に抑えることができるので特に好ましい。
【0036】この引張弾性率は、過度に高いと、ベルト
を駆動する際モータ負荷が過大になると共に、クラック
が入り易くなるため、5000MPa以下であることが
必要であり、4500MPa以下が好ましい。
【0037】電子写真式複写機等の転写ベルトは、高張
力で長時間駆動されるため、十分な耐久性が要求され
る。また、ベルト上でトナーによる画像を形成して紙へ
転写するため、駆動時にベルトが弛んだり、伸びたりす
ると、画像ズレの原因となる。また、トナーの転写を静
電気的に行うため、ある程度の導電性も必要である。
【0038】このような転写ベルトは、トナー画像の品
質を決定する重要部品であり、感光体、トナーとともに
3大重要部品の一つと考えられている。特に、図2に示
すような感光体を4つ並べたタンデム型画像形成装置
は、高速で印刷できる点で注目されており、このような
高速印刷のために特に転写ベルトの耐久性の向上と画像
ズレの防止が重要となっている。
【0039】上述の観点から、本発明に用いられる転写
ベルトは、非相溶性、相溶性いずれのアロイ化材料であ
っても共重合状態で作成されたものであることが機械的
物性に最も優れたエンドレスベルトが得られることが予
想され、好ましい。
【0040】一般に、ポリエステル系樹脂のアロイで
は、エステル交換反応と呼ばれるお互いの分子切断が行
われ相互に交換し合うことが知られている。また、この
エステル交換反応は、一般的に分子鎖分断を伴うので結
果として発泡したり脆くなったりして機械的物性を低下
させる原因となっているとも言われている。
【0041】しかし、本発明者等はこのエステル交換反
応には共重合的な反応も同時進行しているはずであると
考え、ある特定の条件を設定すれば、分子鎖切断等によ
る機械的物性低下を抑制しつつエステル交換反応を更に
共重合反応へと移行させることができるのではないかと
の推測のもとに、材料種、コンパウンド条件、成形条件
を検討した結果、同じ配合のエンプラを用いて、(1)海
島構造を有する構造のもの、(2)海島構造を有している
が界面が共重合化している構造のもの、(3)海島構造が
見受けられないもの、ができることを見出した。そし
て、各構造体の物性や特性を比較検討した結果、 耐屈曲性に代表される機械物性は(1)より(2)の構造
体が、また(2)より(3)の構造体が高くなっている。
【0042】 (2)或いは(3)の構造体では、導電性フ
ィラー等の第3成分を添加しても機械的な強度低下は殆
どない。
【0043】 導電性フィラーを添加してある特定の
電気抵抗に制御させた場合でも、上記(2)或いは(3)の構
造体であれば、導電性フィラーが共重合化された樹脂成
分に固定されているため、電気的にも安定であり経時的
にも変化が少なく、このような構造体であっても、導電
性フィラーの濃度コントロールや成形加工の条件変更等
による従来の技術を用いた電気抵抗制御にて任意に設定
できる。ことを見出した。
【0044】しかして、このような技術を用いること
で、引張弾性率、厚み、引張破断伸びをコントロールし
得るエンドレスベルトを実現することが可能となり、こ
れらの物性とエンドレスベルトの画像ズレ、耐久性の関
係を検証することが可能となった。
【0045】その結果、ある特定の引張弾性率、厚み、
引張破断伸び、耐屈曲性を有したベルトのみが長時間画
像ズレ、クラックを発生することなく使用し得るエンド
レスベルトになり得ることを見出した。
【0046】以下に本発明に好適なエンドレスベルトの
物性、エンドレスベルト材料、製造方法、化学特性につ
いてより詳細に説明する。
【0047】(1) エンドレスベルトの物性 (耐折回数)エンドレスベルトの耐屈曲性については、
前述の如く、ベルト円周方向のJIS P−8115に
よる耐折回数が5000回を超えるものである。
【0048】(引張弾性率)エンドレスベルトの引張弾
性率については、前述の如く、1500MPa以上50
00MPa以下である。
【0049】(表面抵抗率と体積抵抗率)本発明に用い
るエンドレスベルトは必要に応じて導電性フィラー等の
導電性を付与する物質を配合することにより導電性を得
ることができる。
【0050】抵抗領域は目的により異なるが、表面抵抗
率1×10〜1×1016Ω又は体積抵抗率1×10
〜1×1016Ω・cmの範囲から選定される。
【0051】更に好ましい範囲は、中間転写ベルトとし
て用いる場合には帯電−転写の容易にできる表面抵抗率
1×10〜1×1013Ω又は体積抵抗率1×10
〜1×1013Ω・cmが好ましく、搬送転写ベルトと
して用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにく
い1×1010〜1×1016Ω又は体積抵抗率1×1
10〜1×1016Ω・cmと高い領域が好ましい。
【0052】また、エンドレスベルト1本中の表面抵抗
率の分布は狭い方が好ましく、それぞれの好ましい表面
抵抗率領域において、1本中の最大値と最小値の差が2
桁以内であること(最大値が最小値の100倍以下であ
ること)が好ましい。
【0053】エンドレスベルトの表面抵抗率や体積抵抗
率は例えばダイヤインスツルメント(株)製ハイレスタ
(商品名),ロレスタ(商品名)やアドバンテスト
(株)製R8340A(機種名)などにより容易に測定
することができる。
【0054】(エンドレスベルトの厚み)エンドレスベ
ルトの厚みが過度に大きいと、ローラとの曲率が大きい
場合、ベルト外側と内側の変形差が大きく割れ易くな
る。また、外側部に転写されたトナーが変形、飛散し画
像が変形するようになる。一方、エンドレスベルトの厚
みが過度に小さいと、わずかなローラとベルト間に入り
込んだゴミ、或いは感光体等との接触による傷によりク
ラックが入り易くベルトが破損し易くなる。従って、エ
ンドレスベルトの厚みは70〜300μmであることが
必要であり、100〜200μmであれば特に好まし
い。
【0055】(2) エンドレスベルト材料 本発明においては、基本的に引張弾性率、引張破断伸
び、耐屈曲性、厚みがある範囲を満たしていれば良く、
材料の種類において制限はなく公知の熱可塑性、熱硬化
性樹脂を主成分とすることができる。ただし、材料のも
つ引張弾性率は1500MPa以上が好ましく、アロイ
化する場合でも、それぞれのベース材料の引張弾性率が
1500MPa以上が好ましい。
【0056】特に、本発明の機械物性を得るための好ま
しい材料は、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の
少なくとも1つを有する結晶性樹脂、水酸基、カルボン
酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有する非晶性
樹脂並びに重合触媒を含んでいる。
【0057】(結晶性樹脂)本発明のエンドレスベルト
に用いる結晶性樹脂は、水酸基、カルボン酸基及びエス
テル結合の少なくとも1つを有するものが好ましく、結
晶化度が10%以上100%以下であれば特に制限はな
く汎用の樹脂を用いることができる。
【0058】具体的には結晶性樹脂の中でもPAT(ポ
リアルキレンテレフタレート)が好ましく、なかでもP
BT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエ
チレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタ
レート)はより好ましく、PBTは結晶加速度が速いの
で成形条件による結晶化度の変化が少なく、一般に30
%前後と結晶化度で安定しているので特に好ましい。
【0059】また、本発明に用いる結晶性樹脂は、本発
明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入す
ることもできる。具体的な例としてエステル結合を主鎖
とし、ポリメチレングリコールなどエステル結合を導入
したものなどを挙げることができる。
【0060】本発明のエンドレスベルトに用いる結晶性
樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子
量10,000〜100,000など一般的な分子量の
樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性
の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。
具体的には20,000以上が好ましく、25,000
以上であれば更に好ましく、30,000以上であれば
特に好ましい。
【0061】(非晶性樹脂)本発明のエンドレスベルト
に用いる非晶性樹脂は、水酸基、カルボン酸基及びエス
テル結合の少なくとも1つを有するものが好ましく、結
晶化度が0%以上、10%未満であれば特に制限はなく
汎用の樹脂を用いることができる。
【0062】具体的にはPC(ポリカーボネート)やP
Ar(ポリアリレート)などのポリエステルやPMMA
(ポリメチルメタクリレート)などの側鎖にエステル結
合を有する樹脂が好適な例として挙げることができる。
なかでもポリエステルが好ましく、PCは特に好適に用
いることができる。
【0063】また、本発明のエンドレスベルトに用いる
非晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で
共重合成分を導入することができる。具体的な例として
エステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールなど
エステル結合を導入したものなどを挙げることができ
る。
【0064】本発明のエンドレスベルトに用いる非晶性
樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子
量10,000〜100,000など一般的な分子量の
樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性
の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。
具体的には20,000以上が好ましく、25,000
以上であれば更に好ましく、30,000以上であれば
特に好ましい。
【0065】(結晶性樹脂と非晶性樹脂の重量比)本発
明のエンドレスベルトに用いる結晶性樹脂と非晶性樹脂
の重量比に特に制限はない。ただし、一般に結晶性樹脂
は耐薬品性,耐屈曲性に優れ、非晶性樹脂は成形寸法安
定性に優れるので、使用目的に応じ、任意の比率を設定
することができるが、なかでも、結晶性樹脂/非晶性樹
脂の重量比が1/99〜99/1が好ましく、40/6
0〜97/3がより好ましく、60/40〜95/5が
更に好ましく、70/30〜90/10が特に好まし
い。
【0066】特に好ましい比率として結晶性樹脂の比率
を多く選択しているのは、非晶性樹脂は少しの配合で十
分に成形寸法安定性の改良効果が期待できること、非晶
性樹脂のわずかな配合過多で塗装時の溶剤などの耐薬品
性悪化の影響が顕著に出ることがあるなどの理由によ
る。
【0067】(結晶性樹脂と非晶性樹脂の粘度差)両樹
脂の粘度差が大きすぎると、製造条件を調整しても良好
な分散が得られず、均一分散に至ることができなくなる
ことがあるので、粘度差は小さい方が好ましい。
【0068】具体的には両樹脂を同一条件でMFR測定
し、値が1/20〜20/1程度の範囲に収まることが
好ましく、1/10〜10/1の範囲となれば更に好ま
しい。
【0069】測定方法としてはJIS K−7210に
準拠し、測定温度条件は樹脂の加工温度に近い条件を選
択することが好ましい。
【0070】例えばPBTとPCを選択した場合、加工
温度となる260℃を測定温度として設定し、両樹脂の
粘度差を比較することが好ましい。また、荷重としては
例えば2.16kgを選択することで好適に測定でき
る。
【0071】(重合触媒)本発明では、少なくとも2成
分以上の樹脂とを単に混合したもの、重合段階から2成
分以上の樹脂を混合したもの、2成分以上の樹脂を触媒
を反応させながら混合したもの等公知のアロイ化技術を
用いることができるが、重合触媒を用いて加熱混合した
ものがコストの観点から最も好ましい。
【0072】重合触媒は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を
重合する能力を有していれば特に制限はない。
【0073】重合触媒のなかでもTi系重合触媒は好ま
しく、アルキルチタネートなどが好適に用いることがで
きる。
【0074】アルキルチタネートの中でもテトラブチル
チタネート又はテトラキス(2−エチルヘキシル)オル
ソチタネートが好ましく、これらはTYZOR TOT
(DuPont製)やTYZOR TBT(DuPon
t製)として市販品を容易に入手することができる。
【0075】また、Ti系重合触媒は、アルカリ金属、
アルカリ土類金属含有化合物又は亜鉛含有化合物と組み
合わせることで、より有効に作用するので好ましく、な
かでもMg含有化合物を重合触媒として有することは特
に好ましい。
【0076】Mgを含む化合物として特に制限はないが
有機酸Mg塩が特に好ましく、酢酸Mgが特に好まし
い。
【0077】重合触媒の含有量としては、少なすぎると
有効に作用しないことがあるので、ある程度高い方が好
ましく、具体的には重合触媒中の金属分の質量が全樹脂
に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上であれ
ば更に好ましく、20ppm以上であれば特に好まし
い。一方、エステル系樹脂は重金属の多量存在下によ
り、解重合を起こすことがあると知られているので、あ
る程度は小さい方が好ましく、具体的には10000p
pm以下が好ましく、1000ppm以下であれば更に
好ましく、500ppm以下であれば特に好ましい。
【0078】(キレーター)本発明では重合触媒の活性
が高すぎると、樹脂の解重合を促進して分子量低下によ
る機械的物性低下,低分子量体発生に伴う発泡などが問
題になることがある。
【0079】本発明では、重合触媒中の金属にキレート
する能力を有するキレーターが存在すると、解重合を抑
制することができる。
【0080】キレーターの種類としては特に制限はな
く、公知のキレーターを用いることができる。
【0081】例としては、亜リン酸エステル、リン酸エ
ステル、リン酸塩、ヒドラジン類を挙げることができ、
これらは例えば、イルガホス168(日本チバガイギー
(株)製)、PEP36(旭電化工業(株)製)、PE
PQ(クラリアントジャパン(株)製)の亜リン酸エス
テル、IRGANOX MD1024(日本チバガイギ
ー(株)製)、CDA−6(旭電化工業(株)製)のヒ
ドラジン類などとして容易に市場から入手することがで
きる。
【0082】本発明では成形条件の適正化により解重合
及び低分子量体発生を抑制することもできるので、キレ
ーター無添加とすることもできるが、解重合の抑制が必
要な場合にはキレーターの添加量は、樹脂100重量部
に対して0.001重量部以上添加することが好まし
く、より効果を得るには0.1重量部以上添加すること
が好ましい。
【0083】キレーターの量が多すぎると重合触媒が活
性を失い良好な物性のエンドレスベルトを得られないこ
とがあるので添加過多にはならない方が好ましく、樹脂
100重量部に対し、10重量部以下が好ましく、5重
量部以下であると更に好ましい。
【0084】一般的にはキレーターの使い方としては樹
脂100重量部に対して0.1重量部以下の少量添加で
使うことが好ましいとされるが、本発明でキレーターを
使う場合には、特に好ましい使い方の例としては、重合
触媒の添加量を50〜500ppmと多く添加し、キレ
ーターも0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜1重量
部と常識より高い量を用いて、更にエンドレスベルトを
得るための成形条件(温度,滞留時間など)を適正化す
ると、結晶性樹脂と非晶性樹脂の化学結合生成及び分子
量増加を促進しつつ、解重合を抑制でき、従来に無い物
性の優れたエンドレスベルトを得ることができる。
【0085】(付加的配合材;任意成分)本発明のエン
ドレスベルトには、各種目的に応じて任意の配合成分を
配合することができる。
【0086】具体的には、イルガホス168,イルガノ
ックス1010,リン系酸化防止剤などの酸化防止剤、
熱安定剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和
剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ
剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の各
種添加剤を添加することができる。
【0087】更に、本発明の効果を著しく損なわない範
囲内で、第2,第3成分として各種熱可塑性樹脂、各種
エラストマー、熱硬化性樹脂、フィラー等の配合材を配
合することができる。
【0088】熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン、ポ
リエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密
度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合
体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピ
レン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレ
ン・ブタジエン・スチレンスチレンブロック共重合体又
は、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブ
チレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセター
ル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、
液晶性ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリエー
テルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、
ポリフッ素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニル、ポリク
ロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエ
チレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレンテトラフル
オロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合
体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミ
ド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれら
の混合物からなるものが使用できる。熱硬化性樹脂とし
ては、例えばエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の1種又はこれらの混
合物からなるものが使用できる。また、各種フィラーと
しては、例えば炭酸カルシウム(重質、軽質)、タル
ク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、
ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラス繊
維、ガラスビーズ、ベントナイト、アスベスト、中空ガ
ラス玉、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、炭素繊
維、アルミニウム繊維、スチレンスチール繊維、黄銅繊
維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、金属粉、導電性
金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等のフィラー
の他、添加剤として酸化防止剤(フェノール系、硫黄
系、リン酸エステル系など)、滑剤、有機・無機の各種
顔料、紫外線防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発
泡剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架橋剤、流れ性改
良剤等を挙げることができる。
【0089】(導電性物質)本発明においては、電気的
にトナーや紙等を吸着、転写させるため、表面抵抗値や
体積抵抗値を用途に合わせて調整する必要がある場合に
は、導電性物質を配合しても良い。
【0090】配合する導電性物質としては、用途に要求
される性能を満たすものであれば特に制限はなく、各種
のものを用いることができるが、具体的には、導電性フ
ィラーとして、カーボンブラックやカーボンファイバ
ー、グラファイトなどのカーボン系フィラー、金属系導
電性フィラー、金属酸化物系導電性フィラーなどが用い
られ、導電性フィラーの他には、イオン導電性物質、た
とえば四級アンモニウム塩等が例示される。
【0091】特に好ましい導電性物質は、分散性に優れ
ているカーボンブラックである。
【0092】カーボンブラックの種類としては、アセチ
レンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラッ
クなどが好適に使用でき、この中でも不純物としての官
能基が少なくカーボン凝集による外観不良を発生しにく
いアセチレンブラックが特に好適に使用できる。更に一
次粒子径が10〜100nm、比表面積10〜200m
/g,pH値3〜11のものがより好ましい。
【0093】また、使用するカーボンブラックは1種類
であっても2種類であっても良い。更には、カーボンブ
ラックには樹脂を被覆したカーボンブラックや、黒鉛化
処理したカーボンブラックや、酸性処理したカーボンブ
ラック等の公知の後処理工程を施したカーボンブラック
を用いても何ら問題はない。
【0094】また、導電性フィラーの分散性を向上させ
る目的でシラン系、アルミネート系、チタネート系、又
はジルコネート系等のカップリング剤で処理したカーボ
ンブラック等の導電性フィラーを用いても良い。
【0095】このようなカーボンブラックの配合量はベ
ルト中の含有量で3〜30重量%とすることが好ましく
上記範囲内で特に好ましい範囲は、10〜25重量%で
ある。上記範囲を超えると、製品の外観が悪くなり、ま
た、材料強度が低下して好ましくない。
【0096】(3) エンドレスベルトの製造方法 (加熱混練)本発明においては、結晶性樹脂、非晶性樹
脂、重合触媒、キレーター及び必要に応じて添加される
任意成分を加熱混練して樹脂組成物とした後にエンドレ
スベルトを成形することも、結晶性樹脂、非晶性樹脂、
重合触媒、キレーター及び必要に応じて添加される任意
成分を加熱混練してそのままエンドレスベルトを得るこ
ともできる。
【0097】この場合、樹脂組成物を得る段階での加熱
混練か樹脂組成物をエンドレスベルトに成形する段階で
の加熱混練いずれかで結晶性樹脂と非晶性樹脂の結合が
生成できるように条件を調節すれば良い。いずれの場合
でも、加熱温度は溶融状態でないと十分な分散ができな
いので、ある程度は高い方が好ましく、具体的には結晶
性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点以上と
することが好ましく、融点+10℃以上であると更に好
ましい。また、加熱温度が高すぎると熱分解を引き起こ
して物性劣化を招くことがあるのである程度は低い方が
好ましく、具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用い
て、結晶性樹脂の融点+80℃以下が好ましく、融点+
60℃以下であることが更に好ましい。
【0098】また、加熱混練前には原料の乾燥をするこ
とによりより良い物性のエンドレスベルトを得られるこ
とがあるので乾燥は施しておいた方が好ましい。
【0099】また、場合によっては、加熱混練して樹脂
組成物とした後に、融点以下で熱処理を施してエステル
結合を生成させた後、エンドレスベルトに成形すること
もできる。
【0100】本発明においては重合触媒が結晶性樹脂及
び非晶性樹脂の反応を促して物性の優れたエンドレスベ
ルトを得られると考えられる。促される反応は加熱混練
時の温度、圧力及び熱を受ける時間が重要となるので、
得られるエンドレスベルトの分散形態を把握しつつ、加
熱混練条件を設定することが必要になる。この反応時に
副生成物として低分子量体が発生し、系中から除去でき
ないとこれが分子量低下、成形品発泡を引き起こすので
注意が必要である。一方、これらの製品発泡などが起き
る直前が最も良好な反応状態であると考えられるので、
例えば、滞留時間を種々検討し、発泡の生じる滞留時間
を見極め、その時の時間より少し短くなるように滞留時
間を設定すると、より良好な加熱混練条件が得られるの
で好ましい。
【0101】加熱混練の手段であるが、これにも特に制
限はなく公知の技術を用いることができる。例えば、ま
ず結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練して樹
脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出
機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラ
ストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。ま
た、こうして得た樹脂組成物からエンドレスベルトを得
る場合でも公知の技術を用いることができる。例えば射
出成形機,押し出し成形機などである。
【0102】(成形方法)エンドレスベルトを得るに
は、結晶性樹脂、非晶性樹脂、及び重合触媒等を例えば
二軸混練押出機により混合し、ペレット化した後にエン
ドレスベルトとなるように成形する手法が特に好ましく
用いられる。
【0103】成形方法については、特に限定されるもの
ではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成
形法、或いはインフレーション成形法など公知の方法を
採用して得ることができるが、特に望ましいのは、連続
溶融押出成形法である。特に、環状ダイより押し出した
チューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内
部冷却マンドレル方式或いはバキュームサイジング方式
が好ましく、内部冷却マンドレル方式が、シームレスな
エンドレスベルトを簡単に得ることができるため画像形
成装置用としては最も好ましい。
【0104】また、インフレーション成形法により一旦
折り目有りのフィルムを作成したのち、後加工にて折り
目を見かけ上無くした状態でエンドレスベルトとして用
いても何ら問題はなく、帯状のシートを一旦加工した
後、つないでシーム有りのエンドレスベルトとしても良
い。
【0105】このような成形方法において、この成形時
の温度,滞留時間の適正化により、より良好な物性のエ
ンドレスベルトを得ることができるので各配合にあわせ
て条件を調整することが好ましい。
【0106】(熱処理)得られたエンドレスベルトを熱
処理することにより、より物性の向上した形成部材とす
ることが可能となる。特に、耐折回数や引張弾性率の向
上が見られる。
【0107】熱処理条件は用いる原料樹脂にもよるが、
通常60〜200℃の温度、好ましくは70〜120℃
の温度で5〜60分、好ましくは10〜30分程度であ
る。
【0108】(4) エンドレスベルトの化学特性 (結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結
合)本発明のエンドレスベルトにおいては、結晶性樹脂
の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間で、重合触媒の存在に
より反応を生起させ、化学結合を形成することにより、
両樹脂間の親和性の向上、形態の微分散化を促し、結晶
性樹脂の高耐屈曲性、非晶性樹脂の寸法安定性、(条件
によっては透明性)を併せ持つエンドレスベルトを得る
ことができる。
【0109】化学結合の存在比率としては特に制限は無
いが、基本的には多い方が好ましく、具体的には結晶性
樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合1mo
lあたりの、結晶性樹脂と非晶性樹脂合計質量が、1,
000,000g以下となることが好ましく、300,
000g以下となることが更に好ましく、100,00
0g以下となると特に好ましい。
【0110】化学結合の量の測定方法に特に制限はない
が、例えばH−NMRにより測定することができる。
【0111】結晶性樹脂としてPBT、非晶性樹脂とし
てPCを用いた場合の測定例を次に示す。
【0112】 測定機種 JEOLGSX400 溶媒 1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロイソプロパノール/ d−クロロホルム=3/7(VOL) 積算回数 128回 基準 TMS
【0113】この測定により、図3,4に示すチャート
を得た。なお、図4は図3のIV部分を拡大したものであ
る。
【0114】テレフタル酸(TPA)のベンゼン環水素
はカルボン酸がブタンジオールと結合している場合とビ
スフェノールA(BPA)とで化学シフトが異なる。
【0115】一般にPBT分子中のTPAベンゼン環水
素(d)は、化1の通り4個とも等価であり、化学シフ
ト8.07にシングレットピークを示す。
【0116】
【化1】
【0117】一方、化2の如くPCのBPAと結合した
PBTのTPA中のベンゼン環水素は、化学シフトが変
化し、水素(b)は8.25にダブレット,(c)は
8.13にダブレットピークを示す。
【0118】
【化2】
【0119】(d):{(b)+(c)}の面積比によ
り、PBT分子中のTPAと、PCと結合しているTP
Aの比を求めることができる。
【0120】本例では面積比は(d):{(b)+
(c)}=100:{0.4654+0.5635}≒
99.01:0.99となるので、PBT構成単位10
0molあたり、0.99molのTPA(PBT由
来)−BPA(PC由来)結合を有していることが解
る。また、本樹脂組成物中には同量のブタンジオール
(PBT由来)−炭素(PC)結合が存在することが容
易に推測できるので、合計でPBT構成単位100mo
lあたり1.98molのPBT−PC結合が存在する
ことが解る。
【0121】化3の通り、PBT構成単位(ブタンジオ
ール+TPA)の式量は220なので、PBT2200
0(220×100mol)gあたり、1.98mol
のPBT−PC結合が存在する。
【0122】PBT−PC結合1molあたりのPBT
の質量は約11000(22000/1.98)と計算
できる。
【0123】本例ではPBTとPCの重量比が7/3な
ので、PBT−PC結合1molあたりの樹脂分(PB
T質量+PC質量)は16000g(11000/0.
7)と求めることができる。
【0124】
【化3】
【0125】(分子量)本発明においては、結晶性樹
脂、非晶性樹脂、重合触媒、キレーター及び必要に応じ
て添加される任意成分を加熱混練し、結晶性樹脂の分子
鎖と、非晶性樹脂の分子鎖間に化学結合を生成し、か
つ、樹脂組成物としての総合の分子量を維持或いは増加
させることで、得られるエンドレスベルトの物性向上が
図れると考えられるので、分子量は高い方が好ましい。
【0126】分子量の測定方法であるが、本発明のよう
に共重合体が存在する場合には分子量の真値を求めるこ
とが難しい。
【0127】そこで本発明では全ての樹脂をGPCによ
り同一条件で測定し、PS換算重量平均分子量として得
た値を共通の代表値として用いることとした。
【0128】測定条件としては、試料20mgを0.5
mlの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−
プロパノールと0.2mlのクロロホルムで一晩溶解
し、更に移動相の溶媒25mlを加え、0.22μmの
フィルターにて濾過し、SEC測定溶液とした。移動相
を加えてから測定終了まで12時間以内に行った。
【0129】 SEC測定条件 溶媒 クロロホルム/酢酸:99.5:0.5(vol/vol) 流速 1.0ml/分 注入量 0.02ml カラム AD806M/S 2本(昭和電工社製) カラム温度 30℃ 検出器 UV 254nm
【0130】分子量500(A−500)から2,89
0,000(F−288)までの分子量の異なる単分散
標準ポリスチレン(東ソー社製)12試料用い、較正曲
線を作成し、ポリスチレン換算の分子量を計算した。
【0131】本手法でした、結晶性樹脂と、非晶性樹脂
と、重合触媒を加熱混練した後に得られる樹脂組成物の
PS換算重量平均分子量(Mwとする)の値として
は、具体的には、結晶性樹脂の配合比率をX重量部,ポ
リスチレン(PS)換算重量平均分子量をMw、非晶
性樹脂の配合比率をY重量部,PS換算重量平均分子量
をMwとして、
【0132】
【数1】 であることが好ましく、
【0133】
【数2】 であると更に好ましく、
【0134】
【数3】 であると、十分に高い物性を得られるので特に好まし
い。
【0135】また、本発明においてはMwが加熱混合
によりMwとMwの算術平均値よりも高くなってい
ることが重要で、初めから高いMwやMwの樹脂を
用いても、加熱混合時に分子量低下していては最終的な
Mwが高くても良好な物性は期待できないと考えられ
るので、Mwの絶対値に特に制限はないが、それでも
総合的観点からは高い方が好ましく、具体的にはPS換
算重量平均分子量で130,000以上が好ましく、1
40,000以上であると更に好ましく、150,00
0以上であると特に好ましい。
【0136】なお、重量平均分子量真値とPS換算重量
平均分子量の相関の例を挙げると、重量平均分子量4
0,000のPBTを上記手法で測定するとPS換算重
量平均分子量122,000の値が得られ、重量平均分
子量28,000のPCを上記手法で測定するとPS換
算重量平均分子量64,000の値が得られることがわ
かっている。
【0137】(分散形態)一般に2種類の熱可塑性樹脂
を溶融混合しても完全には混じり合わず、海島構造をと
ることが知られている。両熱可塑性樹脂の体積分率に大
きな差がある場合は体積分率の大きい方が海で体積分率
が小さい方が島の構造をとりやすく、体積分率の差が小
さい場合は溶融粘度差が海島構造に影響をあたえ、溶融
粘度の小さい方が海に、大きい方が島になりやすいと言
われている。
【0138】一般的な溶融混合では分散粒径が100n
m程度にまでしかならないが、本発明においては条件を
適正化することにより分散粒径を数nm以下にまで微細
化することが可能で、これにより事実上エンドレスベル
トを透明化することができる。
【0139】従って、一般に、PBTなどの結晶性樹脂
を含むエンドレスベルトは透明性を有さないことで知ら
れるが、本発明による手法を用いれば、透明なエンドレ
スベルトを得ることもできる。
【0140】なお、本発明において、分散形態の確認手
法に特に制限はなく、エンドレスベルトを所定の方向で
切断して、四酸化ルテニウム(RuO)等の染料で約
2分以上染色して、超薄切片を作成しTEM(透過電子
顕微鏡)で観察するなどの公知の方法を用いることがで
きる。
【0141】このようなエンドレスベルトは、寸法精
度,耐屈曲性,引張破断伸びなど要求物性の厳しい画像
形成装置の転写ベルトとして好適に用いることができ、
特に、シームレスベルト形状とした場合、割れ,伸びな
ど不具合が少ないので好適である。
【0142】このようなエンドレスベルトはそのままベ
ルトとして使用しても良いし、ドラム或いはロール等に
巻き付けて使用しても良い。
【0143】また、端面補強等の目的のために、このエ
ンドレスベルトの外側及び/又は内側に、必要に応じて
側縁に沿って補強テープを貼り合わせてもよい。補強テ
ープとしては、2軸延伸ポリエステルテープがコスト、
強度の点で好ましく、そのテープ幅は4〜20mmが装
置レイアウト上コンパクトになり好ましい。補強テープ
の厚みは、20〜200μmがフレキシブルを維持する
ため低テンションでエンドレスベルトが駆動できる点と
耐クラック発生防止の点で好ましい。
【0144】また、エンドレスベルトの蛇行防止目的
で、エンドレスベルトの側縁外面あるいは内面あるいは
外内両面に、ウレタンゴムやシリコンゴム等のゴム製の
シート(蛇行防止ガイド)を接着剤にて張り合わせても
よい。このとき、上記補強テープと組み合わせて、補強
テープをエンドレスベルトに張り合わせた上で蛇行防止
ガイドを張り合わせた方がベルト耐クラック発生防止効
果とベルト蛇行防止効果があるため好ましい。
【0145】次に本発明に用いられるトナーについて説
明する。
【0146】本発明に用いられるトナーは、懸濁重合法
や乳化重合法等の湿式重合法により製造される。特に、
本発明に好適な粒径、50%円形度及び微粒子率を持つ
トナーを作成すること、更には、粒度分布の制御の観点
から乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
【0147】湿式重合法により製造されるトナーは、少
なくともバインダー樹脂及び着色剤を含み、必要に応
じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤を含むこと
ができる。
【0148】トナーに用いられるバインダー樹脂は、従
来公知のものを含む広い範囲から選択できる。好ましく
は、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン
−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれらの樹脂の
アクリル酸共重合体等のスチレン系ポリマー、飽和もし
くは不飽和ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマ
ーを挙げることができる。また、上記バインダー樹脂は
単独で使用するに限らず2種以上を併用することもでき
る。
【0149】トナーに用いられる着色剤は、無機顔料ま
たは有機顔料、有機染料のいずれでも良く、またはこれ
らの組み合わせでも良い。具体的な例としては、カーボ
ンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン
系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジン
イエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、
モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知
の任意の染顔料を単独であるいは2種以上を混合して用
いることができる。フルカラートナーの場合にはイエロ
ーはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔
料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シア
ンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好まし
い。
【0150】これらの内、シアン着色剤としては、C.
I.ピグメントブルー15:3、イエロー着色剤として
は、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメ
ントイエロー93、マゼンタ着色剤としては、C.I.
ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド2
69、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピ
グメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド1
2:2が好ましく用いられる。
【0151】着色剤の添加量は、バインダー樹脂100
重量部に対して2〜25重量部の範囲が好ましい。
【0152】本発明に用いられるトナーには、帯電量、
帯電安定性付与のために、帯電制御剤を添加しても良
い。
【0153】帯電制御剤としては、公知の任意のものを
単独でないしは2種以上を併用して用いることができ、
例えば、4級アンモニウム塩、ヒドロキシカルボン酸の
金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ニグロシン染料、ナ
フトール系化合物及びそれらの金属塩、及びこれらの混
合物が挙げられる。
【0154】これらの帯電制御剤の使用量はトナーに所
望される帯電量により決定すればよいが、通常はバイン
ダー樹脂100重量部に対し0.01〜10重量部、更
に好ましくは0.1〜5重量部である。
【0155】本発明に用いられるトナーには、更に定着
ローラに対しての離型性付与のために、ワックスを添加
しても良い。
【0156】ワックスとしては、公知の任意のものを使
用することができるが、具体的には低分子量ポリエチレ
ン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等の
オレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸
ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリ
ル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添
ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジス
テアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;ア
ルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂
肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリ
セリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長
鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エ
ステル、または部分エステル;オレイン酸アミド、ステ
アリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエ
ステル等が例示される。
【0157】これらのワックスの中で定着性を改善する
ためには、融点が30℃以上のものが好ましく、40℃
以上のものが更に好ましく、特に50℃以上のものが好
ましい。また、ワックスの融点は100℃以下が好まし
く、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ま
しい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出
してべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での
定着性が劣る。
【0158】ワックスの化合物種としては、脂肪族カル
ボン酸と一価もしくは多価アルコールとから得られるエ
ステル系ワックスが好ましく、エステル系ワックスの中
でも炭素数が20〜100のものが更に好ましく、炭素
数が30〜60のものが特に好ましい。
【0159】一価アルコールと脂肪族カルボン酸とのエ
ステルのうち、特に好ましい化合物として、ベヘン酸ベ
ヘニルとステアリン酸ステアリルが挙げられる。また、
多価アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルのう
ち、特に好ましい化合物としては、ペンタエリスリトー
ルのステアリン酸エステル及びその部分エステル、グリ
セリンのモンタン酸エステル及びその部分エステルが挙
げられる。
【0160】上記ワックスは単独で用いても良く2種以
上を混合して用いても良い。また、トナーを定着する定
着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択するこ
とができる。
【0161】ワックスの添加量はトナー中通常0.1〜
40重量%の範囲であり、1〜40重量%が好ましく、
5〜35重量%が更に好ましく、7〜30重量%が特に
好ましい。湿式重合法を用いれば5〜40重量%の多量
添加が可能であるので、ワックスは必要に応じ多量に添
加しても良い。
【0162】乳化重合凝集法により静電荷像現像用トナ
ーを製造する場合、着色剤、帯電制御剤、ワックスは分
散液の状態で用いられる。各々の分散液は、例えば、そ
れぞれの物質をポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル等で代表されるノニオン系の界面活性剤、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩で代表されるアニオン系の界面
活性剤、4級アンモニウム塩で代表されるカチオン系の
界面活性剤等と共に水中に添加し、メディア等を入れた
機械的粉砕法を使用することにより容易に調製すること
ができる。また、必要に応じて水溶性の有機溶剤を添加
しても良い。このようにして得られる分散液中のそれぞ
れの物質の分散径は0.001〜5μm、好ましくは
0.01〜1μmの範囲である。
【0163】乳化重合凝集法では、ポリマー(バインダ
ー樹脂)乳化液に着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワ
ックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜
制御することによってこれらを凝集させてトナーを製造
する。
【0164】得られたトナーは、表面に界面活性剤等が
残存する。これを除去するため適宜酸洗浄、アルカリ洗
浄、水洗浄等を実施しても良い。
【0165】懸濁重合法では、重合性単量体に着色剤、
帯電制御剤、ワックス等を混合し、ディスパーザー等の
分散機を用いて分散処理を行い、この分散処理後の単量
体組成物を水混和性媒体の中で適当な攪拌機を用いてト
ナー粒径に造粒し、その後重合性単量体を重合させてト
ナーを製造する。
【0166】この懸濁重合法において懸濁安定剤を用い
る場合、懸濁安定剤としては、重合後に得られたトナー
を酸洗浄することにより容易に除去可能な、水中で中性
又はアルカリ性を示すものを選ぶことが好ましい。更
に、粒度分布の狭いトナーが得られるものを選ぶことが
好ましい。これらを満足する懸濁安定剤としては、リン
酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げら
れる。これらの懸濁安定剤はそれぞれ単独で、あるいは
2種以上組み合わせて使用することができる。これらの
懸濁安定剤は、ラジカル重合性単量体100重量部に対
して1〜10重量部使用することができる。
【0167】乳化重合凝集法及び懸濁重合法に用いられ
る重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2
種以上組み合わせて使用することができる。例えば、過
硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビスイソ(2,4−ジメチル)バレ
ロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、又はレドックス系開始剤などを使用する
ことができる。
【0168】これらのうち、乳化重合凝集法ではレドッ
クス系開始剤が好ましく、懸濁重合法ではアゾ系開始剤
が好ましい。
【0169】上記方法によりトナーを製造した後に、ポ
リマー乳化液、着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワッ
クス分散液等を添加してトナー表面を被覆することによ
り、カプセル構造を持つトナーとしても良い。
【0170】特に、トナーの円形度、粒度分布を好適な
範囲にするためには、トナーの製造法としては乳化重合
凝集法を採用することが好ましい。
【0171】更に、低温定着性、離型性を高めるために
は、上述のワックスを通常0.01〜3μm、好ましく
は0.1〜2μm、更に好ましくは0.3〜1.5μm
の体積平均粒径となるように、界面活性剤を用いてワッ
クス微粒子の分散液とし、これに該ワックス微粒子の分
散液の存在下に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル等のモノマー混合物を追加混合しつつ乳化重合を
行って(いわゆるワックスシード重合)、ワックスを含
有し、通常0.02〜3μm、好ましくは0.05〜3
μm、更に好ましくは0.1〜2μm、特に好ましくは
0.1〜1μmの体積平均粒径である重合体一次粒子を
作製し、該ワックスを含有する重合体一次粒子を電解質
を添加すること等によって凝集し、好ましくは、重合体
一次粒子のガラス転移温度以上に一定時間保持して重合
体一次粒子同士を融着して、体積平均粒径(Dv)が3
〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(D
n)との比Dv/Dnが1.0〜1.30のトナー粒子
とすることが望ましい。
【0172】本発明において、湿式重合法で製造される
トナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmであるこ
とが好ましく、また、体積平均粒径(Dv)と個数平均
粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.3
0のものであることが好ましい。
【0173】トナーの粒径は、ベックマン・コールター
株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウン
ター マルチサイザーIIを用いて測定することができ
る。このコールターカウンターで測定したトナーの体積
平均粒径(Dv)は特に4〜8μmのトナーであること
が好ましい。
【0174】また、トナーの粒度分布としてはシャープ
なもののほうが着色剤や帯電制御剤等が均一に分布して
帯電性が均一となりやすく好ましい。従って、体積平均
粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との関係が、1.
0≦Dv/Dn≦1.30を満たすものが好ましい。
【0175】本発明においては、シスメックス社製フロ
ー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測
定し、式(円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長
/粒子投影像の周長)より求められた値の50%におけ
る累積粒度値に相当する円形度を「50%円形度」と定
義し、トナーの形状を定量化する。
【0176】本発明におけるトナーの50%円形度は、
トナー粒子の凹凸の度合いを示し、トナーが完全な球形
の場合1となる。表面形状が複雑になるほど円形度の値
は小さくなる。本発明に用いられるトナーは、この円形
度が、0.9〜1であることが好ましく、0.95〜1
であることが更に好ましい。
【0177】また、本発明で用いるトナーは粒径0.6
〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が粒子の全粒子
個数の割合である微粒子率が15%以下であるトナーが
好ましく、10%以下であるトナーがより好ましい。こ
れは、微細な粒子が一定量より少ないことを意味してい
るが、微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性の
向上や、帯電性の均一性向上となりやすいためである。
なお、粒径0.6〜2.12μmの微細な粒子を測定す
るには、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FP
IA−2000を用いることができる。
【0178】本発明に用いられる静電潜像現像用トナー
には、流動性や現像性を制御するために公知の外添剤を
添加しても良い。外添剤としては、シリカ、アルミナ、
チタニア等の各種無機酸化粒子(必要に応じて疎水化処
理する)、ビニル系重合体粒子等が使用できる。外添剤
の添加量は、トナー粒子100重量部に対して0.05
〜5重量部の範囲が好ましい。
【0179】本発明のトナーは、2成分現像剤、マグネ
タイト含有トナー等の磁性1成分現像剤、非磁性1成分
現像剤に適用することができる。
【0180】本発明のトナーを2成分現像剤として用い
る場合、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアと
しては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系
キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コー
ティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いること
ができる。キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知ら
れているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアク
リル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系
樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定さ
れるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限は
ないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ま
しい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5
〜100重量部使用することが好ましい。
【0181】次に本発明で用いられる感光体について説
明する。
【0182】本発明に用いられる感光体は、好ましくは
導電性支持体上に、電荷発生層と電荷移動層とが積層さ
れた積層型感光体であり、少なくとも、導電性支持体と
電荷発生層、電荷移動層とを有する。
【0183】電荷発生層と電荷移動層は、通常は、電荷
発生層の上に電荷移動層が積層された構成をとるが、逆
の構成でも良い。
【0184】また、これらの他に、接着層、ブロッキン
グ層等の中間層や、保護層など、電気特性、機械特性の
改良のための層を設けても良い。
【0185】導電性支持体としては周知の電子写真感光
体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的
にはアルミニウム、ステンレス、銅等の金属ドラム、シ
ートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物が
挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ
化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダー
とともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、
ブラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、
金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質
を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラ
ムが挙げられる。また、酸化スズ、酸化インジウム等の
導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルム
やベルトが挙げられる。
【0186】小型、高速の電子写真装置に用いられる場
合には、導電性支持体はドラム状のものが好ましく、そ
の場合のドラム径としては通常10〜40mm、好まし
くは13〜35mm、更に好ましくは16〜30mmで
ある。また、小型の装置の場合は特に、ドラム径13〜
25mmのものが好ましい。カラー電子写真装置の場合
であって、図2に示す如く、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラックの4色のトナーに対し、それぞれ感光体を
用いる場合には、上記の小径ドラムが特に有利である。
【0187】導電性支持体と電荷発生層の間には、必要
に応じてブロッキング層が設けられるが、ブロッキング
層としては、アルマイト層または樹脂による下引き層
(中間層ともいう)あるいはこれらを併用したものが用
いられる。
【0188】アルマイト層を設ける場合は、導電性支持
体としてアルミニウム基体を用い、まず、これを酸、ア
ルカリ、有機溶剤、界面活性剤、エマルジョン、電解な
どの各種脱脂洗浄方法により脱脂処理することが好まし
い。次いで、例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ
酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、好ましくは硫酸浴
中で陽極酸化処理を施し、陽極酸化被膜(アルマイト
層)を形成する。陽極酸化被膜(アルマイト層)の平均
膜厚は、通常1〜20μm、好ましくは1〜7μmであ
る。次いで、このアルマイト層は、好ましくは封孔処理
し、その後洗浄、乾燥する。
【0189】また、ブロッキング層として、下引き層を
設ける場合、そのバインダー樹脂はポリアミド樹脂が好
ましい。
【0190】電荷発生層は、少なくともバインダーポリ
マー、及び電荷発生剤を含んでおり、本発明において
は、電荷発生剤としてオキシチタニウムフタロシアニン
が好適に用いられる。更に、必要に応じて有機光導電性
化合物、色素、電子吸引性化合物等を含んでいても良
い。
【0191】電荷発生層に用いられるバインダーポリマ
ーとしては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコ
ール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体
及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロ
ースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、
けい素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。オキシチタ
ニウムフタロシアニンとバインダーポリマーとの割合に
は、特に制限はないが、一般には、オキシチタニウムフ
タロシアニン100重量部に対し、5〜500重量部、
好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを
使用する。
【0192】本発明の好ましい実施態様では、電荷発生
剤として、オキシチタニウムフタロシアニンが用いられ
る。中でもCuKα線によるX線回折においてブラッグ
角(2θ±0.2)27.3゜に主たる明瞭な回折ピー
クを示すY型オキシチタニウムフタロシアニンを用いる
のが感度の点から更に好ましい。。
【0193】このような電荷発生層の膜厚は、0.05
〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0194】このような電荷発生層から電荷キャリアが
注入される電荷移動層は、キャリアの注入効率と移動効
率の高いキャリア移動媒体を含有する。
【0195】電荷移動層は、少なくともバインダー及び
電荷移動剤を含んでおり、これに、必要に応じ、酸化防
止剤、増感剤、可塑剤、流動性付与剤、架橋剤等の各種
添加剤が含まれていても良い。
【0196】電荷移動剤としては、ポリ−N−ビニルカ
ルバゾール、ポリスチリルアントラセンのような複素環
化合物や縮合多環芳香族化合物を側鎖に有する高分子化
合物、低分子化合物としては、ピラゾリン、イミダゾー
ル、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、
カルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタンの
ようなトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミ
ンのようなトリアリールアミン誘導体、フェニレンジア
ミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチル
ベン誘導体、ヒドラゾン化合物などが挙げられ、特に、
置換アミノ基やアルコキシ基のような電気供与性基、あ
るいはこれらの置換基を有する芳香族環基が置換した電
子供与性の大きい化合物が挙げられる。
【0197】これらのうち、分子内に下記式(I)、式
(II)、式(III)、式(IV)、又は式(V)で表され
る原子団を有する化合物が好ましい。
【0198】
【化4】
【0199】電荷移動層に用いられるバインダーとして
は、上記電荷移動剤との相溶性が良く、塗膜形成後にキ
ャリア移動媒体が結晶化したり、相分離することのない
ポリマーが好ましく、それらの例としては、スチレン、
酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、ブタジエン等のビニル化合物の重合体
及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキ
サイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロー
スエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹
脂等が挙げられる。
【0200】電荷移動剤が高分子化合物の場合は、特に
バインダーポリマーを用いなくても良いが、可撓性の改
良等のために混合することも行われる。低分子化合物の
場合は、成膜性のため、バインダーポリマーが用いら
れ、その使用量は、通常電荷移動剤100重量部に対し
50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量
部の範囲である。
【0201】電荷移動層にはこの他に、塗膜の機械的強
度や、耐久性向上のための種々の添加剤を用いることが
できる。このような添加剤としては、周知の可塑剤や、
種々の安定剤、流動性付与剤、架橋剤等が挙げられる。
【0202】次に、感光体に潜像を形成するために露光
を行う露光装置としては、デジタル露光を行う装置が用
いられるが、オキシチタニウムフタロシアニンの吸光度
を考慮すると、波長530〜850nmのレーザー光を
発する露光装置が好ましい。更に具体的には、635n
m付近、650nm付近、780nm付近のレーザー光
を発する露光装置が好ましく、本発明の画像形成方法で
は、このような露光装置を用いて記録ドット密度が60
0ドット/インチ以上、好ましくは1200〜2400
ドット/インチ以上のデジタル像露光を行い、この像露
光で形成された静電潜像を前述のトナーを用いて現像
し、得られた感光体上のトナー画像を前述のエンドレス
ベルトよりなる中間転写ベルトへ転写し、更に紙に転写
するか、或いは前述のエンドレスベルトよりなる搬送転
写ベルト上の紙へ転写して画像を形成する。
【0203】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明する。なお、以下において「部」は
「重量部」を表し、濃度の「%」は「重量%」を示す。
【0204】また、平均粒径、重量平均分子量、50%
円形度及び微粒子率は、それぞれ下記の方法により測定
した。
【0205】平均粒径:日機装社製マイクロトラックU
PA(Ultra Particle Analyzer)、コールター社製
コールターカウンターマルチサイザーII型(コールター
カウンターと略)により測定した。 重量平均分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)により測定した(装置:東ソー
社製GPC装置HLC−8020、カラム:Polym
er Laboratory社製PL−gel Mix
ed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1重
量%、検量線:標準ポリスチレン) 50%円形度:シスメックス社製フロー式粒子像分析装
置FPIA−2000にてトナーを測定し、下記式より
求められた値の50%における累積粒度値に相当する円
形度を用いた。 円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影
像の周長 微粒子率:シスメックス社製フロー式粒子像分析装置F
PIA−2000により測定した。
【0206】[トナーの製造] 製造例1(現像用トナー(TD1)の製造) ワックス分散液−1の調製 脱塩水68.33部、ペンタエリスリトールのステアリン酸
エステルを主体とするエステル混合物(ユニスターMH-4
76、日本油脂社製)30部、及びドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム(ネオゲンSC、第一工業製薬社製、有効
成分66%)1.67部を混合し、90℃にて高圧剪断をかけ
て乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。
【0207】 重合体一次粒子分散液−1の調製 攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤
仕込み装置を備えた反応器に上記ワックス分散液−1
28部、15%ネオゲンSC水溶液1.2部、及び脱塩水393部を
仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶
液1.6部、及び8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加し
た。
【0208】その後、下記配合のモノマー類・乳化剤水
溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、また、下記
配合の開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加
し、更に30分保持した。
【0209】[モノマー類] スチレン 79部 アクリル酸ブチル 21部 アクリル酸 3部 ブロモトリクロロメタン 0.45部 2-メルカプトエタノール 0.01部 ヘキサンジオールジアクリレート 0.9部
【0210】[乳化剤水溶液] 15%ネオゲンSC水溶液 1部 脱塩水 25部
【0211】[開始剤水溶液] 8%過酸化水素水溶液 9部 8%アスコルビン酸水溶液 9部
【0212】重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分
散液を得た。得られた重合体のTHF(テトラヒドロフラ
ン)可溶分の重量平均分子量は193,000、UPAで測定した
平均粒子径は163nmであった。
【0213】 樹脂微粒子分散液−1の調製 攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤
仕込み装置を備えた反応器に15%ネオゲンSC水溶液5部、
及び脱塩水376部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し
て、8%過酸化水素水溶液1.6部、及び8%アスコルビン酸
水溶液1.6部を添加した。
【0214】その後、下記配合のモノマー類・乳化剤水
溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、また、下記
配合の開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加
し、更に30分保持した。
【0215】[モノマー類] スチレン 88部 アクリル酸ブチル 12部 アクリル酸 3部 ブロモトリクロロメタン 0.5部 2-メルカプトエタノール 0.01部 ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
【0216】[乳化剤水溶液] 15%ネオゲンSC水溶液 2.5部 脱塩水 23部
【0217】[開始剤水溶液] 8%過酸化水素水溶液 9部 8%アスコルビン酸水溶液 9部
【0218】重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分
散液を得た。得られた重合体のTHF可溶分の重量平均分
子量は87,000、UPAで測定した平均粒子径は123nmであっ
た。
【0219】 着色剤微粒子分散液−1 ピグメントブルー15:3の水分散液(EP-700 Blue GA、大
日精化社製、固形分35%)を用いた。この着色剤微粒子
について、UPAで測定した平均粒径は150nmであった。
【0220】 現像用トナー(TD1)の調製 下記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造
した。 重合体一次粒子分散液−1 95部(固形分として) 樹脂微粒子分散液−1 5部(固形分として) 着色剤微粒子分散液−1 6.7部(固形分として) 15%ネオゲンSC水溶液 1.5部(固形分として)
【0221】反応器に重合体一次粒子分散液−1と15%
ネオゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤
微粒子分散液−1を添加し、均一に混合した。得られた
混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を滴
下した(固形分として0.6部)。その後、攪拌しながら1
時間25分かけて60℃に昇温して1時間保持し、更に6分か
けて66℃に昇温して30分保持した。次いで、樹脂微粒子
分散液−1、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.
07部)の順に添加して1時間保持し、30分かけて68℃に
昇温した。15%ネオゲンSC水溶液(固形分として3.5部)
を添加してから1時間42分かけて93℃に昇温して3時間保
持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することに
よりトナー(T1)を得た。
【0222】このトナー(T1)100部に対し、疎水性
の表面処理をしたシリカを2部混合攪拌し、現像用トナ
ー(TD1)を得た。
【0223】このトナー(TD1)のコールター・カウ
ンターによる体積平均粒径は7.4μm、体積平均粒径と個
数平均粒径の比Dv/Dnは1.19であった。50%円形度
は0.95であった。また、微粒子率は1.1%であった。
【0224】 製造例2(現像用トナー(TD2)の製造) 下記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造
した。 重合体一次粒子分散液−1 95部(固形分として) 樹脂微粒子分散液−1 5部(固形分として) 着色剤微粒子分散液−1 6.7部(固形分として) 15%ネオゲンSC水溶液 1.5部(固形分として)
【0225】反応器に重合体一次粒子分散液−1と15%ネ
オゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微
粒子分散液−1を添加し、均一に混合した。得られた混
合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を滴下
した(固形分として6部)。その後、攪拌しながら35分
かけて60℃に昇温して1時間保持し、更に1時間14分かけ
て67℃に昇温して15分保持した。次いで、樹脂微粒子分
散液−1、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.07
部)の順に添加して30分保持し、30分かけて69℃に昇温
した。15%ネオゲンSC水溶液(固形分として3.5部)を添
加してから24分かけて98℃に昇温して2時間保持した。
その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナ
ー(T2)を得た。
【0226】このトナー(T2)100部に対し、疎水性
の表面処理をしたシリカを2部混合攪拌し、現像用トナ
ー(TD2)を得た。
【0227】このトナー(TD2)のコールター・カウ
ンターによる体積平均粒径は7.8μm、体積平均粒径と個
数平均粒径の比Dv/Dnは1.18であった。50%円形度
は0.96であった。また、微粒子率は2.2%であった。
【0228】製造例1,2で得られたトナーのTD1,
TD2の物性を表1にまとめて示す。
【0229】
【表1】
【0230】[感光体の製造] 製造例3(感光体PC−A1の製造) (アルマイト層)表面を鏡面仕上げした直径30mm、
長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダー
を脱脂剤、NC−#30(キザイ(株)製)の30g/
L水溶液中で60℃、5分間脱脂洗浄を行った。続いて
水洗を行なった後、7%硝酸に25℃で1分浸漬した。
更に水洗後、180g/Lの硫酸電解液中(溶存アルミ
ニウム濃度7g/L)で1.2A/dmの電流密度で
陽極酸化を行ない、平均膜厚6μmの陽極酸化被膜を形
成した。次いで水洗後、酢酸ニッケルを主成分とする高
温封孔剤トップシールDX−500(奥野製薬工業
(株)製)の10g/L水溶液に95℃で30分間浸漬
し封孔処理を行った。続いて水洗を行った後、ポリエス
テル製スポンジを用いて被膜全面を3回、往復させてこ
すり洗浄を行った。次いで水流し乾燥した。
【0231】(下引き層)酸化チタンとして石原産業
(株)製、製品名TTO−55N(結晶型 ルチル、一
次粒径 0.03〜0.05μm)、混合アルコール
(メタノール/1−プロパノール=70/30)をボー
ルミルで16時間分散した。ここで得られた酸化チタン
分散液を下記式で表されるポリアミド樹脂(PA−1)
の混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=7
0/30)溶液に加えた。最終的に酸化チタン/アミド
樹脂比1/1(重量比)で固形分濃度16%の分散液を
調整し、これを下引き層用分散液とした。
【0232】
【化5】
【0233】上記ドラム(アルミニウム製シリンダー)
を、上記下引き層用分散液に浸漬塗布し、その乾燥膜厚
が0.75μmになるように下引き層を設けた。
【0234】(電荷発生層) ・β型オキシチタニウムフタロシアニン(β型TiOP
c)の製造 フタロジニトリル97.5gをα−クロロナフタレン7
50ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン2
2mlを滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200
〜220℃で3時間反応させた後、放冷し、100〜1
30℃で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナ
フタレン200mlで洗浄した。更に200mlのN−
メチルピロリドンで熱懸洗処理(100℃、1時間)を
3回行った。続いてメタノール300mlで室温にて懸
洗しさらにメタノール500mlで1時間熱懸洗を3回
行った。このようにして得られたオキシチタニウムフタ
ロシアニンのX線回折によれば、ブラッグ角(2θ±
0.2°)で4°から8°には実質的なピークはなく、
9.3°、10.6°、13.2°、15.1°、1
5.7°、16.1°、20.8°、23.3°、2
6.3°、27.1°に明瞭な回折ピークがあり、この
内、26.3°のピークが最も強い。
【0235】(Y型オキシチタニウムフタロシアニン
(Y型TiOPc)の製造)上述のようにして得られた
β型オキシチタニウムフタロシアニンをサンドグライン
ドミルにて20時間磨砕処理を行い、続いて水400m
l、オルトジクロロベンゼン40mlの懸濁液中に入
れ、60℃で1時間加熱処理を行った。このようにして
得られたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折
(ブラッグープレンターノの集中法)によれば、ブラッ
グ角(2θ±0.2°)で27.3°が最大であって、
鋭いピークを示した。
【0236】また、こうして得られたY型オキシチタニ
ウムフタロシアニンを、試料ホルダとしてキャピラリー
を用い、1.2085Åによる透過法X線回折を行った
ところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)21.3°(1
00)(但し、括弧内は21.3°のピーク強度を10
0としたときの相対強度)、18.9°(13)、1
4.1°(12)、11.8°(14)、11.1°
(11)、9.2°(11)、7.6°(36)、7.
4°(25)、5.8°(8)に回折ピークが観測され
た。
【0237】なお、測定装置は、多連装検出器粉末X線
回折装置で、装置の詳細は高エネルギー物理学研究所発
行の、「放射光粉末回折実験ステーション(BL−4
B)デザインレポート,(1995),KEK Rep
ort 94−11」に記載されている。
【0238】測定条件は、ステップ角0.005°、
4.5秒/ステップ、d値計算用波長=1.2085Å
である。
【0239】(電荷発生層用塗布液の作製及び塗布)上
記のようにして得られたY型TiOPc 10重量部
を、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 150
重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理
を行った。また、ポリビニルブチラール(電気化学工業
(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5
% 1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部及びフ
ェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKH
H)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100重量
部を混合してバインダー溶液を作製した。先に作製した
顔料分散液160重量部に、バインダー溶液100重量
部及び適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的
に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
【0240】このようにして得られた分散液を、上記下
引き層が塗布されたアルミニウムドラム上にさらに浸漬
塗布により塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成
した。
【0241】(電荷移動層)次いで、下記式の電荷移動
剤(TAPC)を45重量部、及び下記構造式で示され
るポリカーボネート樹脂(PCR1;m:n=51:4
9、粘度平均分子量30,000)を100重量部、4
−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール 16重
量部、及びシリコーンオイル(信越シリコーン社製、K
F−96)0.03重量部をジオキサン170重量部、
テトラヒドロフラン400重量部の混合溶媒に溶解させ
て塗布液を作製した。これを、上記下引き層及び電荷発
生層が塗布されたアルミニウムドラム上にさらに浸漬塗
布により、125℃で20分間、乾燥後の膜厚が20μ
mとなるように電荷移動層を設けた。
【0242】これを感光体「PC−A1」とする。
【0243】
【化6】
【0244】
【化7】
【0245】[エンドレスベルトの製造と評価](原
料)原料は下記のものを用い、配合割合は表2の通りと
した。 PBT;重量平均分子量40,000;PS換算重量平
均分子量122,000 PC ;重量平均分子量28,000;PS換算重量平
均分子量 64,000 重合触媒;チタニウム(IV)ブトキシド 酢酸マグネシウム 熱安定剤;リン酸化酸化防止剤PEPQ クラリアント
ジャパン(株)社製 (なお、PEPQの配合割合は、樹脂100重量部に対
する配合重量部である。) カーボンブラック;デンカブラック 電気化学(株)製
【0246】(加熱混練)各原料を、二軸混練押出機
(IKG(株)製 PMT32)を用いて表1に示す条
件で加熱混練して材料ペレット化した。
【0247】(エンドレスベルトの成形方法)この材料
ペレットを乾燥し、ダイスリップ径φ180mm、リッ
プギャップ1mmの環状ダイ付き40mmφの押出機に
より、環状ダイ下方に溶融チューブ状態で押し出し、押
し出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持
棒を介して装着した外径170mmの冷却マンドレルの
外表面に接しめて冷却固化させつつ、次に、シームレス
ベルトの中に設置されている中子と外側に設置されてい
るロールにより、シームレスベルトを円筒形に保持した
状態で引き取りつつ340mm長の長さで輪切りにし
て、表2記載の厚み、滞留時間となるよう押出量、引き
取り速度を調整し、表2に記載の直径の樹脂製シームレ
スベルトとした。
【0248】成形温度,滞留時間などの条件は各表2の
通りとした。
【0249】(評価)評価は必要に応じ、エンドレスベ
ルトを必要な大きさに切り開いて実施した。
【0250】・表面抵抗率 表面抵抗率は測定器により好適に測定できる領域が異な
るので以下のように使い分けた。
【0251】表面抵抗率が10〜1×1013Ωとな
るサンプル:ダイヤインスツルメント(株)製 ハイレ
スタ(商品名)(HA端子)を使用し、500V、10
秒の条件にて20mmピッチにてベルト円周方向を測定
した。
【0252】表面抵抗率が1013〜1×1016Ωと
なるサンプル:アドバンテスト(株) 微小電流測定器
R8340A(機種名)(JIS電極)を使用し、50
0V、10秒の条件にて100mmピッチにてベルト円
周方向を測定した。
【0253】・体積固有抵抗 高抵抗計ハイレスタHRSプローブ(ダイヤインスツル
メンツ(株)社製)を用い、測定電圧100V、測定時
間10秒でベルト円周方向に20mmピッチにて測定し
た。
【0254】・厚み 東京精密(株)製のマイクロメータを用いてエンドレス
ベルトの円周方向20mmピッチにて測定した。
【0255】・耐屈曲性(耐折回数) JISP−8115に準拠し、ベルト円周方向に測定し
た。試験片を幅15mm、長さ100mmの大きさに切
断し、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回
転角度135°左右、引張荷重1.5Kgfの条件にて
破壊回数を測定した。
【0256】・引張弾性率 ISO R1184−1970に準拠し、ベルト円周方
向に測定した。試験片を幅15mm、長さ150mmに
切断し、引張速度1mm/min、つかみ具間距離を1
00mmとした。
【0257】・エンドレスベルトとしての耐久性の評価 得られたエンドレスベルトを中間転写ベルト又は紙搬送
転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、連続で画像出
力をし、何枚出力した段階でエンドレスベルトにクラッ
クが発生するかを評価した。
【0258】・引張破断伸び JISZ1702−62に準拠し、試験片を幅15m
m、長さ150mmに切断し、引張速度50mm/mi
n、つかみ具間距離100mm、標線間隔50mmで測
定した。
【0259】製造例4(エンドレスベルトB−1の製
造) 表2に示す配合でPBT,PC,テトラブチルチタネー
ト,酢酸マグネシウム,熱安定剤,カーボンブラックを
事前に予備乾燥し、その後に加熱混練し、材料ペレット
を得た。その後、この材料ペレットを押出成形機にてエ
ンドレスベルトに成形した。このエンドレスベルトの評
価結果を表2に示す。
【0260】表2の通り、得られた成形品は耐折回数が
58,000回と著しく高く、引張弾性率も高く良好な
物性であった。
【0261】また、表面抵抗率及び体積抵抗率は表2に
示す通りであり中間転写ベルトとして画像形成装置に搭
載したところ良好に画像を得ることができた。また、こ
の状態で10万枚画像出力してもクラックが発生するこ
とは無かった。
【0262】本実施例では成形時の加熱混練で、適切な
滞留時間と成形温度を設定することで、良好な物性の成
形品を得ることができたと考えられる。更に、得られた
エンドレスベルトを80℃で20分間熱処理したとこ
ろ、引張り弾性率が8%向上した。
【0263】このエンドレスベルトを「B−1」とす
る。
【0264】製造例5(エンドレスベルトB−2の製
造)
【0265】表2に示す如く、PBTとPCの重量比を
変えた点、成形時に滞留時間を長くした点以外は製造例
4と同じ条件でエンドレスベルトを得た。このエンドレ
スベルトの評価結果を表2に示す。この製造例5によっ
ても、表2の通り製造例4と同様良好な物性を得た。
【0266】なお、この製造例5において、滞留時間を
長くしたのは、PBT/PC比率を変えたことで系の適
切な反応条件のポイントが変化したためと考えられる。
更に、得られたエンドレスベルトを80℃で10分間熱
処理したところ、引張弾性率が7%向上した。
【0267】このエンドレスベルトを「B−2」とす
る。
【0268】製造例6(エンドレスベルトB−3の製
造) 表2に示す如く、カーボン濃度を低くして表面抵抗率の
高いエンドレスベルトを得た。このエンドレスベルトの
評価結果を表2に示す。表2の通り、この製造例6でも
均一分散状態を得、物性が良好であった。このエンドレ
スベルトを搬送転写ベルトとして画像形成装置に搭載し
たところ、良好な画像を得ることができた。更に、得ら
れたエンドレスベルトを80℃で10分間熱処理したと
ころ、引張弾性率が5%向上した。
【0269】このエンドレスベルトを「B−3」とす
る。
【0270】製造例7(エンドレスベルトBC−1の製
造)表2に示す如く、重合触媒を削除した以外は製造例
5と同じ条件でエンドレスベルトを製造した。なお、P
BTは不純物としての樹脂中の金属分の影響を除去する
ために一度溶剤に溶解してカラムを用いて濾過し、しか
る後に溶剤を除去したものを用いた。このエンドレスベ
ルトの評価結果を表2に示す。
【0271】引張弾性率は製造例4とほぼ同等であった
が、耐折回数が低かった。また形態観察したところ、P
Cが島となる2層分離構造をとっていることが分かっ
た。中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したとこ
ろ良好に画像を得ることができたが、この状態で画像出
力を続けたところ、8000枚出力した時点でクラック
が発生した。
【0272】このエンドレスベルトを「BC−1」とす
る。
【0273】
【表2】
【0274】[画像の評価]評価項目は次の通りであ
る。
【0275】・階調性 画像濃度が網点の面積率で10段階の濃度を判別できる
ような画像モードを有したプリントローラを接続し、プ
リント画像が何段階まで判別できるかを評価した。
【0276】・解像度−1 プリント画像として、1mmあたり6本、9本、12本
の等間隔の縦線を描くように露光し、画像形成して、1
mmあたり何本の縦線まで判別できるかを目視により評
価した。本数が多いほど高精細であることを示す。
【0277】・解像度−2 プリント画像上に直径50μmの孤立ドットの再現性に
より、下記評価基準で評価した。
【0278】A:再現性極めて良好 B:良好 C:解像力不充分
【0279】・解像度−3 プリント画像として、べた画像内に、約55μm、約4
0μm、約33μmの細線(白抜き)を描くように露光
し、画像形成して評価した。より細い線まで画像形成可
能なほうが、高精細であることを示す。
【0280】実施例1〜6、比較例1,2 各トナーTD1〜TD3、及び各エンドレスベルトB−
1〜3、BC−1を図1の様な中間転写方式の装置に搭
載して評価し、結果を表3に示した。
【0281】なお、この装置で用いられている感光ドラ
ムは、アルミニウム製ドラム上にオキシチタニウムフタ
ロシアニンを含む電荷発生層と、電荷移動層とが積層さ
れた感光層が形成されたものであり、露光装置は記録ド
ット密度600ドット/インチのデジタル像露光を行う
ものである。
【0282】実施例7、比較例3,4 各トナーTD1〜TD3、及び各エンドレスベルトB−
3、BC−1を図2の様な紙搬送転写方式の装置に搭載
して評価し、結果を表3に示した。
【0283】なお、この装置で用いられている感光ドラ
ムは、アルミニウム製ドラム上にY型オキシチタニウム
フタロシアニンを含む電荷発生層と、トリアリールアミ
ン系化合物を含む電荷移動層とが積層された感光層が形
成されたものであり、露光装置は記録ドット密度600
ドット/インチのデジタル像露光を行うものである。
【0284】
【表3】
【0285】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば細線
再現性及び階調性に優れた画像形成装置及び画像形成方
法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる中間転写方式の画像形成装
置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に用いられる紙搬送転写方式の画像形成
装置の一例を示す概略図である。
【図3】PBTとPCとの混合反応物のNMRチャート
である。
【図4】図3のIV部分の拡大図である。
【符号の説明】
1 感光体(感光ドラム) 2 帯電装置 3 露光装置 4 現像槽 4k ブラック現像装置 4y イエロー現像装置 4c シアン現像装置 4m マゼンタ現像装置 5 中間転写ベルト 5a、5b、5c 搬送ローラ 6 クリーニング装置 7 定着装置 8 静電転写機 9 搬送転写ベルト 10 押圧ローラ 42 アジテータ 43 供給ローラ 44 現像ローラ 45 規制部材 71 上部定着部材 72 下部定着部材 73 加熱部材 T トナー P 記録紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/04 G03G 9/08 384 15/043 (72)発明者 大津 紀宏 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 山岡 克史 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 石川 智子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 (72)発明者 三ツ橋 和夫 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 (72)発明者 栗原 俊一郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA15 AA21 AB06 EA05 FC00 2H068 AA19 AA37 BA39 FB07 FB11 FC05 FC08 FC11 2H076 AB02 AB09 2H200 GA15 GA23 GA34 GA36 GA44 GA47 JB06 JB46 JB47 JC03 JC16 JC17 MB04 MB05 MC03 MC04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体、露光装置、転写ベルト及びトナ
    ーを備えた画像形成装置において、 該転写ベルトが、ベルト円周方向のJIS P−811
    5による耐屈曲性が5000回を超え、かつ、ベルト円
    周方向の引張弾性率が1500〜5000MPaのエン
    ドレスベルトであり、 該トナーが湿式重合法により得られたものであることを
    特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 転写ベルトが、中間転写ベルトである請
    求項1に記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 転写ベルトが、搬送転写ベルトである請
    求項1に記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 該トナーの体積平均粒径(Dv)が3〜
    8μmである請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形
    成装置。
  5. 【請求項5】 該トナーの体積平均粒径(Dv)と個数
    平均粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦
    1.30である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像
    形成装置。
  6. 【請求項6】 転写ベルトの表面電気抵抗率が1×10
    〜1×1016Ωである請求項1乃至5のいずれかに
    記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 転写ベルトの体積電気抵抗率が1×10
    〜1×1016Ω・cmである請求項1乃至6のいず
    れかに記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】 トナーが、バインダー樹脂及び着色剤を
    含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載
    の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 トナーの、下記式により求められた円形
    度の50%における累積粒度分布値に相当する50%円
    形度が0.9〜1である請求項1乃至8のいずれかに記
    載の画像形成装置。 円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影
    像の周長
  10. 【請求項10】 トナーの、フロー式粒子分析装置によ
    る粒径0.6〜2.12μmの粒子の測定値(個数)
    が、全粒子個数の15%以下であることを特徴とする請
    求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 感光体が、オキシチタニウムフタロシ
    アニンを電荷発生材料として用いた電荷発生層と、電荷
    移動層とを積層した感光層を有する請求項1乃至10の
    いずれかに記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 露光装置が、記録ドット密度600ド
    ット/インチ以上のデジタル像露光を行うものである請
    求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 【請求項13】 感光体、露光装置、中間転写ベルト及
    びトナーを用い、露光装置によって感光体に対し記録ド
    ット密度が600ドット/インチ以上のデジタル像露光
    を行い、この像露光で形成された静電潜像をトナーを用
    いて現象し、得られた感光体上のトナー画像を中間転写
    ベルトへ転写する画像形成方法において、 前記トナーとして、湿式重合法により得られたものを用
    い、 前記中間転写ベルトとして、ベルト円周方向のJIS
    P−8115による耐屈曲性が5000回を超え、か
    つ、ベルト円周方向の引張弾性率が1500〜5000
    MPaのエンドレスベルトを用いることを特徴とする画
    像形成方法。
  14. 【請求項14】 感光体、露光装置、搬送転写ベルト及
    びトナーを用い、露光装置によって感光体に対し記録ド
    ット密度が600ドット/インチ以上のデジタル像露光
    を行い、この像露光で形成された静電潜像をトナーを用
    いて現象し、得られた感光体上のトナー画像を搬送転写
    ベルト上の紙へ転写する画像形成方法において、 前記トナーとして、湿式重合法により得られたものを用
    い、 前記搬送転写ベルトとして、ベルト円周方向のJIS
    P−8115による耐屈曲性が5000回を超え、か
    つ、ベルト円周方向の引張弾性率が1500〜5000
    MPaのエンドレスベルトを用いることを特徴とする画
    像形成方法。
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