JP2011133675A - 正帯電性静電荷像現像用トナー、及び、当該トナーを用いたカラー画像形成方法 - Google Patents

正帯電性静電荷像現像用トナー、及び、当該トナーを用いたカラー画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正帯電性静電荷像現像用トナー、及び、当該トナーを用いたカラー画像形成方法を提供する。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する正帯電性静電荷像現像用トナーにおいて、前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記外添剤が、個数平均一次粒子径が45〜120nmで摩擦帯電量が+1000〜+5000μC/gである第1のシリカ微粒子を0.3〜3質量部、個数平均一次粒子径が25〜40nmで、摩擦帯電量が+1000〜+7000μC/gである第2のシリカ微粒子を0.1〜2質量部、及び、脂肪酸金属塩粒子を0.005〜0.1質量部含有することを特徴とする、正帯電性静電荷像現像用トナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、正帯電性静電荷像現像用トナー、及び、当該トナーを用いたカラー画像形成方法に関する。より詳細には、静電潜像などの静電的な特性を持つ潜像を感光体上に形成し、当該潜像を現像し、当該潜像を記録材へ転写するために用いられる正帯電性静電荷像現像用トナー、及び、当該トナーを用いた電子写真画像形成方法に関する。
トナー製造においてトナー表面にシリカ微粒子(以下、単に「シリカ」と称する場合がある)を付着させる工程は、通常、外添と呼ばれ、流動性の確保、高温下での保存安定性を付加する等の目的で一般的に行なわれている。近年はトナーの低温定着化が進み、トナーが融けやすい設計となってきているため、ますます高温下での保存安定性は課題となってきている。
一般に、外添に用いられるシリカ微粒子は粒子径により発現する効果が異なる。
一次粒径の小さいシリカ微粒子は表面積が大きく、トナーを大きく被覆するため、流動性向上への寄与が大きく、一次粒径の大きいシリカ微粒子はトナー間のスペーサーとして働くため、保存安定性とシリカ埋没抑制への寄与が大きい。そのため、これらを併用するのが一般的である。
このように、シリカ微粒子のトナーへの外添は大きな効果をもたらすが、いくつかの弊害もある。まず、トナー表面が覆われるため、トナーを実際にプリンターで印字した際の定着性に悪影響を与える。外添後のトナーは、外添前のトナーより高温でないと定着しない。また、特に正帯電性トナーにおいてはシリカ微粒子自体がもともと負帯電性を示すため、表面処理などで緩和はできるものの、トナーへのシリカの被覆が多くなると、トナーの帯電量を低下させるおそれがある。
さらに、画像形成時において、帯電のためにトナーを攪拌した際に、シリカがトナーに埋没し、トナー帯電量が低下する現象が起こることが知られている。このようなトナー帯電量の低下は、トナーへのシリカの被覆率が大きい程悪化する。そのため、より少ない被覆率でトナーの流動性改善効果、保存性改善効果をもたらすことが望ましい。
さらに、シリカの凝集性が高いなどの理由から、トナーへのシリカ付着が不均一である場合には、初期のトナー帯電量が不安定になる現象や、経時的にトナー帯電量が低下する現象が見られる。これらの現象も、プリンター内におけるトナーの不具合の原因となるおそれがあるため、好ましくない。
特許文献1では、外添剤として個数平均一次粒子径が30〜80nmであり、摩擦帯電量が、−50〜+300μC/gである球形コロイダルシリカ微粒子、及び個数平均一次粒子径が5〜25nmのフュームドシリカ微粒子を含有し、それぞれの含有量が着色樹脂粒子100重量部に対して0.3〜2重量部、及び0.1〜1重量部の静電荷現像用正帯電性トナーが開示されている。
特許文献2では、着色剤と結着樹脂とを含有する正帯電性着色粒子と外添剤とを含む静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、該外添剤が、仕事関数が4.3〜5.3eVであり、該仕事関数の測定において、励起エネルギー(単位=eV)を横軸とし、単位光量子当たりの光電子収率の0.5乗で表される規格化光電子収率を縦軸とするグラフに、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の測定値をプロットしたとき、励起エネルギーに対する規格化光電子収率の傾きが5.0〜30.0であり、抵抗率が10Ω・cm以上であり、かつ、負帯電極性を示す負帯電性外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーが開示されている。
国際公開第2009/044689号公報 特開2008−233567号公報
上記特許文献1及び2に開示された正帯電性静電荷像現像用トナーは、トナーの耐久性向上の観点から設計されたものではなく、したがって、上記特許文献1及び2には、正帯電性静電荷像現像用トナーの保存安定性を高めるための外添処方等は開示されていない。
本発明の目的は、高温下でのトナーの保存安定性の改善である。印字特性に優れ、外添剤による定着性悪化、帯電量低下のおそれが無く、流動性、プリンター内における保存安定性がいずれも高い正帯電性静電荷像現像用トナー、及び、当該トナーを用いたカラー画像形成方法を提供する。
本発明の正帯電性静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する正帯電性静電荷像現像用トナーにおいて、前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記外添剤が、個数平均一次粒子径が45〜120nmで、摩擦帯電量が+1000〜+5000μC/gである第1のシリカ微粒子を0.3〜3質量部、個数平均一次粒子径が25〜40nmで、摩擦帯電量が+1000〜+7000μC/gである第2のシリカ微粒子を0.1〜2質量部、及び、脂肪酸金属塩粒子を0.005〜0.1質量部含有することを特徴とする。
このような構成の正帯電性静電荷像現像用トナーは、個数平均一次粒子径が25nm以上の第1及び第2のシリカ微粒子を含有することで、シリカのトナー被覆率を低くし、定着性への悪影響を抑制することができる。また、このような構成の正帯電性静電荷像現像用トナーは、個数平均一次粒子径が45nm以上の第1のシリカ微粒子が、トナー中に埋没しにくいため、シリカの埋没による劣化が起きにくく、耐久性を向上させることができる。さらに、このような構成の正帯電性静電荷像現像用トナーは、2種類のシリカ微粒子としていずれも高帯電性のシリカを用いることで、シリカ同士の凝集を抑制し、トナーに均一にシリカ微粒子が被覆されることで、比較的少ないシリカ微粒子の添加量であっても、高い流動性を発揮できる。また、このような構成の正帯電性静電荷像現像用トナーは、当該トナーに均一にシリカ微粒子が被覆されることで、保存安定性が向上し、高温下でもトナー物性が変化することがない。さらに、このような構成の正帯電性静電荷像現像用トナーは、上記した保存安定性を有することにより、環境に左右されることなく、移送又は使用することができる。また、このような構成の正帯電性静電荷像現像用トナーは、前記脂肪酸金属塩粒子が適切な量配合されているため、高い印字耐久性を有する。
本発明の正帯電性静電荷像現像用トナーは、前記第1のシリカ微粒子及び前記第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の差が、15nm以上であることが好ましい。
本発明の正帯電性静電荷像現像用トナーは、前記着色樹脂粒子が、正帯電性帯電制御剤を含有し、体積平均粒径が4〜12μmであり、且つ平均円形度が0.96以上であることが好ましい。
本発明のカラー画像形成方法は、上記正帯電性静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。
このような構成のカラー画像形成方法は、特に、画像形成開始時の噴出しの問題、及び、高温放置後の画像形成時の噴出しを回避でき、美しいカラー画像形成が可能である。
本発明によれば、個数平均一次粒子径が25nm以上の2種類のシリカ微粒子を併用することで、シリカのトナー被覆率を低くし、定着性への悪影響を抑制することができる。また、本発明によれば、個数平均一次粒子径が45nm以上の第1のシリカ微粒子が、トナー中に埋没しにくいため、シリカの埋没による劣化が起きにくく、耐久性を向上させることができる。さらに、本発明によれば、2種類のシリカ微粒子としていずれも高帯電性のシリカを用いることで、シリカ同士の凝集を抑制し、トナーに均一にシリカ微粒子が被覆されることで、比較的少ないシリカ微粒子の添加量であっても、高い流動性が得られる。また、本発明によれば、当該トナーに均一にシリカ微粒子が被覆されることで、保存安定性が向上し、高温下でもトナー物性が変化することがなく、トナーの噴出し等が防止できる。ここで、トナーの噴出しとは、比較的凝集の進んだトナーが、印字プロセスにおいて、紙等の印字媒体に吹き付けられ、その結果当該印字媒体上に不要な斑点が生じる現象であり、トナーの噴出しにより、印字品質は大きく損なわれる。さらに、本発明によれば、上記した保存安定性を有することにより、環境に左右されることなく、移送又は使用することができる。
本発明のカラー画像形成方法に用いる画像形成装置の典型例を示した断面模式図である。
1.正帯電性静電荷像現像用トナー
本発明の正帯電性静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する正帯電性静電荷像現像用トナーにおいて、前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記外添剤が、個数平均一次粒子径が45〜120nmで、摩擦帯電量が+1000〜+5000μC/gである第1のシリカ微粒子を0.3〜3質量部、個数平均一次粒子径が25〜40nmで、摩擦帯電量が+1000〜+7000μC/gである第2のシリカ微粒子を0.1〜2質量部、及び、脂肪酸金属塩粒子を0.005〜0.1質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明の正帯電性静電荷像現像用トナーを、単に「正帯電性トナー」又は「トナー」と称することがある。
本発明のトナーは、結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに、外添剤として、特定の個数平均一次粒子径及び摩擦帯電量を有する2種類のシリカ微粒子を、所定量含有する。
以下、着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、及び、当該着色樹脂粒子の外添工程を経て得られた本発明のトナーについて、項を分けて説明する。
1−1.着色樹脂粒子の製造方法
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、分散重合法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、細線再現性などの印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーが得られ易いことから、乳化重合凝集法、分散重合法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本発明の着色樹脂粒子は、湿式法、又は乾式法を採用して製造することができる。湿式法の中でも好ましい(A)懸濁重合法を採用し、または乾式法の中でも代表的な(B)粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、及び帯電制御剤、さらに必要に応じて離型剤等のその他の添加物を、混合、溶解して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えばメディア式分散機を用いて行なう。
本発明において、重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を用いることが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記モノビニル単量体のうち、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが好適に用いられる。
重合性単量体の一部として、トナーの保存性(耐ブロッキング性)を改善するために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を有するモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等が挙げられる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性単量体の一部として、トナーの保存性と低温定着性とのバランスを向上させるために、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることが好ましい。マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有し、数平均分子量(Mn)が、通常1,000〜30,000の反応性のオリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーとして、重合性単量体を重合して得られる重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)よりも高いTgを有するオリゴマーまたはポリマーを用いることが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
本発明において、ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、それぞれの着色剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよく、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、トナーの定着ロールからの剥離性を向上させるために、離型剤を用いることが好ましい。
離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性を有する各種の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の正帯電性の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、本発明においては、正帯電性の帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性の帯電制御樹脂を用いることが好ましい。
正帯電性の帯電制御樹脂としては、例えば、種々の市販品を用いることができ、藤倉化成社製としては、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N、N’−ジメチル−N、N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N、N’−ジオクタデシル−N、N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
上記(A−1)重合性単量体組成物の調製工程を経て得られる重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明では液滴形成において、着色樹脂粒子の粒径コントロール、及び円形度を向上させるために、水系分散媒体中に分散安定化剤を含有させて用いることが好ましい。
水系分散媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤と併用して用いることもできる。
分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物、並びに、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物などの金属化合物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子化合物;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等の有機高分子化合物;等が挙げられる。
上記分散安定化剤の中でも、酸溶液に溶解する難水溶性の金属水酸化物(難水溶性無機化合物)のコロイドを含有する分散安定化剤が好ましく用いられる。上記分散安定化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましい。
重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、有機過酸化物が好ましく用いられる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散させた後、液滴形成前の段階で添加されてもよいが、重合性単量体組成物に直接添加されてもよい。
重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.3〜15質量部であることがより好ましく、1.0〜10質量部であることがさらに好ましい。
(A−3)重合工程
上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
本発明における重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜98℃であることがより好ましい。また、本発明における重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行ないながら重合反応を進行させてもよい。
本発明において、重合工程により得られる着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。
コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上記コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、メチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
本発明において用いるシェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
(A−4)洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程
上記(A−3)重合工程後に得られる着色樹脂粒子の水分散液は、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なわれることが好ましい。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液中に残存する分散安定化剤を除去するために、着色樹脂粒子の水分散液に、酸又はアルカリを添加し洗浄を行なう。
使用した分散安定化剤が、酸に可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、一方、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へアルカリを添加する。
分散安定化剤として、酸に可溶な無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、pHを6.5以下に調整することが好ましい。より好適にはpH6以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸等の有機酸を用いることができるが、分散安定化剤の除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
先ず、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
結着樹脂としては、他にも、従来からトナーに広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
1−2.着色樹脂粒子
前述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものと、そうでないものの両方を含む。
トナーを構成する着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは、画像再現性の観点から、4〜12μmであることが好ましく、5〜11μmであることがより好ましく、6〜10μmであることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲を超える場合には、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
また、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比である粒径分布(Dv/Dn)は、画像再現性の観点から、1.0〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.25であることがより好ましく、1.0〜1.2であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dn)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、及び個数平均粒径Dnは、粒径測定機を用いて測定される値である。
体積平均粒径Dvの測定方法、及び、粒径分布Dv/Dnの算出方法としては、以下に示す方法を例示できる。なお、Dvの測定方法、Dv/Dnの算出方法は、必ずしも以下の方法に限定されることはない。
まず、着色樹脂粒子を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加える。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出する。
また、上記着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96以上であることが好ましく、0.975以上であることがより好ましく、0.978以上であることが特に好ましく、0.982以上であることが最も好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が、上記範囲未満である場合には、印字の細線再現性が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において、「円形度」とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.6μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式1よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式2より平均円形度(Ca)を求める。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2011133675
上記計算式2において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
なお、円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、及び「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
平均円形度の算出方法としては、以下に示す方法を例示できる。なお、当該算出方法は、必ずしも以下の方法に限定されることはない。
まず、容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に着色樹脂粒子0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行う。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定する。測定値から平均円形度を求められる。
1−3.着色樹脂粒子の外添工程、及び、当該外添工程を経て得られた本発明の正帯電性静電荷像現像用トナー
前述の(A)重合法または(B)粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、第1及び第2のシリカ微粒子、並びに脂肪酸金属塩粒子と共に、混合攪拌することにより、当該2種類のシリカ微粒子と脂肪酸金属塩粒子とを着色樹脂粒子の表面に、均一かつ好適に付着添加(外添)させることができる。
第1及び第2のシリカ微粒子、並びに脂肪酸金属塩粒子を、着色樹脂粒子の表面に付着添加(外添)する方法は、特に限定されず、混合攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
混合攪拌が可能な装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、メカノミル(:商品名、岡田精工社製)、及びノビルタ(:商品名、ホソカワミクロン社製)等の高速攪拌機が代表的に挙げられる。
本発明のシリカ微粒子は、個数平均一次粒子径が互いに異なる、第1のシリカ微粒子及び第2のシリカ微粒子を含有する。
第1のシリカ微粒子は、個数平均一次粒子径が45nm〜120nmで、かつ摩擦帯電量が+1000μC/g〜+5000μC/gのシリカ微粒子である。仮に第1のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径が45nm未満であるとすると、シリカ微粒子がトナー中に埋没するおそれがあり、仮に個数平均一次粒子径が120nmを超える値であるとすると、外添時に、トナー流動性が悪化し、印字不具合が発生するおそれがある。また、仮に第1のシリカ微粒子の摩擦帯電量が+1000μC/g未満であるとすると、シリカ微粒子同士の凝集が起こるおそれがあり、仮に摩擦帯電量が+5000μC/gを超える値であるとすると、シリカ表面処理剤の影響により、シリカの親水性が高くなり、トナー外添時にカブリなどの印字不具合を発生させるおそれがある。
第1のシリカ微粒子の摩擦帯電量は、+2000μC/g〜+4000μC/gがより好ましく、+3000μC/g〜+4000μC/gがさらに好ましい。第1のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径は、45nm〜100nmがより好ましく、50nm〜80nmがさらに好ましい。第1のシリカ微粒子の添加量については、上述した着色樹脂粒子100質量部に対して0.3〜3.0質量部であり、より好ましくは0.5〜2.5質量部であり、さらに好ましくは1.0〜2.2質量部である。
第2のシリカ微粒子は、個数平均一次粒子径が25nm〜40nmで、かつ摩擦帯電量が+1000μC/g〜+7000μC/gのシリカ微粒子である。仮に第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径が25nm未満であるとすると、シリカ微粒子のトナー被覆率を不必要に高くするおそれがあり、仮に個数平均一次粒子径が40nmを超える値であるとすると、外添時に、トナー流動性が悪化し、印字不具合が発生するおそれがある。また、仮に第2のシリカ微粒子の摩擦帯電量が+1000μC/g未満であるとすると、シリカ微粒子同士の凝集が起こるおそれがあり、仮に摩擦帯電量が+7000μC/gを超える値であるとすると、シリカ表面処理剤の影響により、シリカの親水性が高くなり、トナー外添時にカブリなどの印字不具合を発生させるおそれがある。
第2のシリカ微粒子の摩擦帯電量は、+2000μC/g〜+6000μC/gがより好ましく、+3000μC/g〜+5000μC/gがさらに好ましい。第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径は、25nm〜35nmがより好ましく、25nm〜30nmがさらに好ましい。第2のシリカ微粒子の添加量については、上述した着色樹脂粒子100質量部に対して0.1〜2.0質量部であり、より好ましくは0.4〜1.7質量部であり、さらに好ましくは0.6〜1.4質量部である。
本発明に用いられる2種類のシリカ微粒子は、正帯電性の官能基を有する疎水化処理剤で表面処理されていることが好ましい。本発明に用いられる2種類のシリカ微粒子は、疎水性、及び/又は、正帯電性を調節するために、帯電性基を有しない一般的な疎水化処理剤を併用することもできる。本発明に用いられる2種類のシリカ微粒子は、好ましくは、ケイ素化合物で疎水化処理されており、より好ましくは、2種以上のケイ素化合物で疎水化処理されている。2種以上のケイ素化合物を用いて疎水化処理する場合、高い正帯電性を付与するためには、2種以上のケイ素化合物のうちの少なくとも1種は、アミノ基を含有するケイ素化合物であり、その他のケイ素化合物は、アミノ基を含有しないケイ素化合物であることが好ましい。
アミノ基を含有するケイ素化合物としては、特定のものに制約されることなく種々のものを使用できるが、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、アミノ変性シリコーンオイル、第四級アンモニウム塩型シランなどを用いることができる。それらの中でも、正帯電付与能力と流動性との観点から、アミノ基含有シランカップリング剤が特に好ましい。このアミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、それらの中でも、帯電性能の環境安定性の向上効果が優れていることから、好ましくはアミノアルキル基を有するカップリング剤が好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
アミノ基を含有しないケイ素化合物としては、アミノ基を含まず疎水性を発現するものであれば、特に制約を受けることなく種々のものを用いることができるが、帯電性能の環境安定性や流動性の観点から、例えば、アルコキシシラン、シランカップリング剤、シラザン、シリコーンオイル、シリコーンレジンなどが好ましく、特にアルコキシシラン、シリコーンオイル、シリコーンレジンが好ましい。上記アルコキシシランとしては、例えば、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのストレートシリコーンオイルやエポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイルなどが挙げられ、シリコーンレジンとしては、例えば、トリメチルシロキシケイ酸が挙げられる。
ケイ素化合物で疎水化処理を施すシリカ微粒子のうち、個数平均一次粒子径が70nm以下のシリカに関しては、ハロゲン化ケイ素化合物の火炎加水分解により生成された微粉末であって、窒素吸着法(BET法)によって測定された比表面積40〜100m/gのいわゆるフュームドシリカ等を用いる。また、個数平均一次粒子径が70nmより大きいものに関しては、ゾル/ゲル法によるコロイダルシリカを用いてもよい。第1及び第2のシリカ微粒子においては、いずれもフュームドシリカを用いるのが好ましい。
疎水化処理前のシリカのBET比表面積をS(m/g)とし、当該シリカに対するアミノ基を含有するケイ素化合物の添加量をA(質量%)(シリカ100質量部に対する、アミノ基を含有するケイ素化合物の質量部の割合)とし、アミノ基を含有しないケイ素化合物の添加量をB(質量%)(シリカ100質量部に対する、アミノ基を含有しないケイ素化合物の質量部の割合)とするとき、上記S、A、Bに関して、(A+B)/Sの数値が0.1≦(A+B)/S≦0.4であり、かつ、0.5≦A/B≦2.0の関係を満たすことが必要であり、特に0.1≦(A+B)/S≦0.25で、かつ、1≦A/B≦1.5であることが好ましい。
上記数値(A+B)/Sは、シリカ表面に対するケイ素化合物の被覆度合いである。仮に、(A+B)/S<0.1の場合には、ケイ素化合物の被覆度が不足し、帯電性能の環境安定性が悪くなる。また仮に、(A+B)/S>0.4の場合には、ケイ素化合物が被覆過剰となり、ケイ素化合物同士が結合して自己縮合物が生じやすくなるため、疎水化処理が不均一になりやすい。そのため、ケイ素化合物が被覆過剰の場合には、帯電性能の環境安定性が悪化したり、シリカの凝集力が強くなって流動性が低下したりする等の問題がある。
さらに、上記A、Bに関して、0.5≦A/B≦2.0の関係を満たすことが必要である。このA/Bは、シリカを被覆する、アミノ基を含有しないケイ素化合物に対する、アミノ基を含有するケイ素化合物の比を示す。仮に、A/B<0.5の場合は、アミノ基を含まないケイ素化合物の強い負帯電性がシリカ表面上で支配的になり、帯電量が少ない正帯電になるか、あるいは、逆に負帯電を示すことになるおそれがある。また仮に、A/B>2.0の場合は、正帯電シリカが得られるものの、湿度の影響を受けやすくなり、帯電性能の環境安定性が悪くなる。湿度の影響を受けやすくなる原因としては、アミノ基を含有するケイ素化合物のアミノ基がシリカ表面上で支配的になり、親水性が増加(疎水性が低下)することが推測できる。
(A+B)/S及びA/Bの値を、上記範囲内において高く設定することで、帯電量が高いシリカが得られる。
本発明では、第1及び第2のシリカ微粒子の、合計2種類のシリカを用いるが、通常、シリカ微粒子の粒子径はそれぞれ独自の分布を有する。したがって、第1のシリカ微粒子の粒子径と、第2のシリカ微粒子の粒子径は、互いに適度に差がなければ、当該2種類のシリカ微粒子は、各々の効果を発揮できないおそれがある。そのため、第1のシリカ微粒子及び第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の差は、15nm以上であるのが好ましく、20nm以上であるのが特に好ましく、30nm以上であるのが最も好ましい。
本発明で用いる脂肪酸金属塩粒子を構成する金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn等が挙げられ、好ましくは、2価の金属であり、より好ましくは、Mg、及びZnであり、さらに好ましくはZnである。
また、本発明で用いる脂肪酸金属塩粒子の脂肪酸部位(R−COO)に対応する脂肪酸(R−COOH)としては、高級脂肪酸を用いることが好ましく、脂肪酸部位中のRは、炭化水素基であってもよいし、炭化水素基の他に炭化水素基以外の有機基を含んでいてもよい。炭化水素基又は炭化水素基以外の有機基の炭素原子数は、5〜30が好ましく、10〜25が特に好ましい。脂肪酸としては、具体的には、例えば、ラウリン酸(CH(CH10COOH)、トリデカン酸(CH(CH11COOH)、ミリスチン酸(CH(CH12COOH)、ペンタデカン酸(CH(CH13COOH)、パルミチン酸(CH(CH14COOH)、ヘプタデカン酸(CH(CH15COOH)、ステアリン酸(CH(CH16COOH)、アラキジン酸(CH(CH18COOH)、ベヘン酸(CH(CH20COOH)、及びリグノセリン酸(CH(CH22COOH)等が挙げられる。
上記脂肪酸部位は、カルボナート部位(−COO)を1つのみ有するものに限定されず、カルボナート部位を2以上有するものであってもよい。
本発明で用いる脂肪酸金属塩粒子としては、上述した脂肪酸金属塩粒子を構成する金属、及び、脂肪酸金属塩粒子の脂肪酸部位に対応する脂肪酸の組み合わせであれば特に限定されないが、具体的には、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウムなどのラウリン酸金属塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸バリウムなどのミリスチン酸金属塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸バリウムなどのパルミチン酸金属塩;ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、及びステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸金属塩等が代表例として挙げられる。
本発明で用いる脂肪酸金属塩粒子の個数平均一次粒子径は、通常0.1〜5μmであり、0.2〜3μmであることが好ましく、0.3〜2μmであることがより好ましい。
上記脂肪酸金属塩粒子の個数平均一次粒子径が、上記範囲未満である場合には、トナーの帯電性が低下し、カブリが発生する場合がある。一方、上記脂肪酸金属塩粒子の個数平均一次粒子径が、上記範囲を超える場合には、印字画像に白抜けが発生する場合がある。
本発明のトナーにおける、脂肪酸金属塩粒子の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.005〜0.1質量部であり、0.01〜0.08であることが好ましい。
このように、本発明のトナーは、個数平均一次粒子径が25nm以上の第1及び第2のシリカ微粒子を含有することで、シリカのトナー被覆率を低くし、定着性への悪影響を抑制できる。また、本発明のトナーは、個数平均一次粒子径が45nm以上の第1のシリカ微粒子が、トナー中に埋没しにくいため、シリカの埋没による劣化が起きにくく、耐久性を向上させることができる。
さらに、本発明のトナーは、第1及び第2のシリカ微粒子としていずれも高帯電性のシリカを用いることで、シリカ同士の凝集を抑制し、トナーに均一にシリカ微粒子が被覆されることで、比較的少ないシリカ微粒子の添加量であっても、高い流動性を発揮できる。また、本発明のトナーは、当該トナーに均一にシリカ微粒子が被覆されることで、保存安定性が向上し、高温下でもトナー物性が変化することがない。
以上より、本発明のトナーは、上述した優れた保存安定性を有することにより、環境に左右されることなく、移送又は使用することができる。
2.カラー画像形成方法
本発明のカラー画像形成方法は、上記正帯電性静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。本発明のカラー画像形成方法は、特に、画像形成開始時の噴出しの問題、及び、高温放置後の画像形成時の噴出しを回避でき、美しいカラー画像を形成できる。
図1は、本発明のカラー画像形成方法に用いる画像形成装置の典型例を示した断面模式図である。なお、本発明のカラー画像形成方法の実施態様は、必ずしも図1に示す画像形成装置の典型例によって実現される方法のみには限定されない。
図1に示すように、本発明に用いられる画像形成装置の典型例には、感光体としての感光ドラム1が、矢印A方向に回転自在に装着されている。感光ドラム1は、導電性支持ドラム体の外周面に光導電層を設けたものである。光導電層は、たとえば、有機系感光体、セレン感光体、酸化亜鉛感光体、アモルファスシリコン感光体などで構成される。
感光ドラム1の周囲には、その周方向に沿って、帯電手段としての帯電ロール2、潜像形成手段としてのレーザー光照射装置3、現像手段としての現像ロール4、転写手段としての転写ロール5及びクリーニング装置6が配置されている。
帯電ロール2は感光ドラム1の表面をプラスまたはマイナスに一様に帯電するためのものであり、帯電ロール2に電圧を印加し且つ帯電ロール2を感光ドラム1に接触させることにより、感光ドラム1の表面を帯電させている。帯電ロール2はコロナ放電による帯電手段に置き換えることも可能である。
レーザー光照射装置3は、画像信号に対応した光を感光ドラム1の表面に照射し、一様に帯電された感光ドラム1の表面に所定のパターンで、光を照射して、光が照射された部分に静電潜像を形成する(反転現像の場合)、または光が照射されない部分に静電潜像を形成する(正規現像の場合)ためのものである。その他の潜像形成手段としては、LEDアレイと光学系とから構成されるものが挙げられる。
現像ロール4は感光ドラム1の静電潜像にトナー7を付着させるためのものであり、反転現像においては光照射部にのみトナー7を付着させ、正規現像においては、光非照射部にのみトナー7を付着させるように、現像ロール4と感光ドラム1との間にバイアス電圧が印加される。
トナー7が収容されるケーシング8内の、現像ロール4の隣に、供給ロール9が設けられている。現像ロール4は感光ドラム1に一部接触するように近接して配置され、感光ドラム1と反対方向Bに回転する。供給ロール9は現像ロール4に接触して現像ロール4と同じ方向Cに回転し、現像ロール4の外周にトナー7を供給する。
現像ロール4の周囲において、供給ロール9との接触点から感光ドラム1との接触点までの間の位置に、層厚規制手段としての現像ロール用ブレード10が配置してある。当該ブレード10は、導電性ゴムやステンレス鋼で構成されており、トナーへの電荷注入を行うため、|200V|〜|600V|の電圧が印加されている。そのために、当該ブレード10の電気抵抗率は10Ωcm以下であることが好ましい。
ケーシング8には、トナー7が収容されている。トナー7は前記着色樹脂粒子を含有するもので、シェル部がガラス転移温度の比較的高いマクロモノマーをモノマー単位と有するものが好ましいと考えられるものであるから、トナー7の表面の粘着性は低く、ケーシング8内に保存中にトナー7が凝集するおそれは少なくなっている。また、本発明のトナーは、粒径分布が比較的シャープであることが好ましいので、現像ロール4により層を形成したときに、層厚規制手段によって実質的に一層にすることができるようになり、画像の再現性に優れている。
転写ロール5は、現像ロール4により形成された感光ドラム1の表面のトナー像を転写材11に転写するためのものである。転写材11としては、紙、OHPシートのような樹脂が挙げられる。転写手段としては、転写ロール5以外にコロナ放電装置や、転写ベルトなどを挙げることができる。
転写材11に転写されたトナー像は、定着手段によって、転写材に固定される。定着手段は、通常、加熱手段と圧着手段とからなる。転写材に転写されたトナーを加熱手段により加熱しトナーを溶融させ、溶融したトナーを圧着手段により転写材の表面に押し付け固定する。本典型例の画像形成装置においては、本発明のトナーを用いるので、加熱手段による加熱温度が低くても、トナーが容易に溶融し、圧着手段で軽く押し付けると、トナーが平滑な状態になって転写材表面に固定されるので、高速での印刷または複写が可能である。また、OHP透過性に優れている。
クリーニング装置6は、感光ドラム1の表面に残留した転写残りトナーを清掃するためのものであり、例えば、清掃用ブレードなどで構成される。なお、このクリーニング装置6は、現像ロール4による現像と同時にクリーニングを行う方式を採用する場合には、必ずしも設置することを要しない。
以下に、本発明の具体的態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
1.外添材の製造
まず、トナーの外添材として用いられるシリカ微粒子を準備した。
(シリカ微粒子1)
BET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)100gをトルエン600gに分散し、7.3gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノ基を含有するケイ素化合物)を添加して15分間分散混合してシリカと接触させた後、次いで、5.2gのトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(アミノ基を含有しないケイ素化合物)を添加して15分間分散混合してシリカと接触させた。その分散液を減圧蒸留、乾燥、解砕して、疎水性正帯電性シリカ微粒子1を得た。この処理による(A+B)/Sは0.25であり、A/Bは1.4であった。得られたシリカ微粒子1は、個数平均一次粒子径が50nmであり、摩擦帯電量は+3300μC/gであった。
(シリカ微粒子2)
上述したシリカ微粒子1の製造方法において、シリカ微粒子をBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)からBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径40nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50OX、日本アエロジル社製)に変更した以外は、シリカ微粒子1の製造方法と同様の方法で行ない、個数平均一次粒子径が80nm、摩擦帯電量が+3000μC/gのシリカ微粒子2を得た。この処理による(A+B)/Sは0.25であり、A/Bは1.4であった。
(シリカ微粒子3)
上述したシリカ微粒子1の製造方法において、シリカ微粒子をBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)からBET比表面積130m/g、個数平均一次粒子径16nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 130、日本アエロジル社製)に変更し、3−アミノプロピルトリエトキシシランの添加量を7.3gから19gに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの添加量を5.2gから13.5gに変更した以外は、シリカ微粒子1の製造方法と同様の方法で行ない、個数平均一次粒子径が30nm、摩擦帯電量が+3500μC/gのシリカ微粒子3を得た。この処理による(A+B)/Sは0.25であり、A/Bは1.41であった。
(シリカ微粒子4)
まず、疎水化処理前のシリカ微粒子として、懸濁重合法により合成したシリカ微粒子を用意した。
攪拌機、滴下ロート、及び温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール623.7g、水41.4g、及び28%アンモニア水49.8gを加えて混合した。当該混合溶液の温度を、35℃となるように調整し、攪拌しながら、テトラメトキシシラン1205.0g及びテトラブトキシシラン100.6gとの混合物、及び5.4%アンモニア水418.1gを同時に添加し始め、テトラメトキシシラン及びテトラブトキシシランとの混合物は6時間かけて、5.4%アンモニア水は5時間かけて、それぞれを滴下した。当該滴下が終了した後も、さらに0.5時間攪拌を継続して加水分解を行なうことにより、親水性球形シリカ微粒子の懸濁液を得た。
次いで、上記3Lのガラス製反応器に、エステルアダプター及び冷却管を取り付け、得られた懸濁液の温度を、60〜70℃となるまで加熱し、メタノールを留去(蒸留除去)し、その後、水を添加した。その後、当該懸濁液の温度を、70〜90℃となるまで加熱し、メタノールを留去(蒸留除去)することにより、固形分濃度が20質量%の親水性球状シリカ微粒子の水性懸濁液を得た。
このシリカ微粒子の水性懸濁液500g(固形分として100g)に、1.4gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを添加して15分間分散混合してシリカと接触させた後、次いで、3.6gのトリフルオロプロピルトリメトキシシランを添加して15分間分散混合してシリカと接触させた。その分散液を減圧蒸留、乾燥、解砕して、疎水性正帯電シリカ微粉末4を得た。得られたシリカ微粒子4は、個数平均一次粒子径が100nmであり、摩擦帯電量は+800μC/gであった。
(シリカ微粒子5)
上述したシリカ微粒子1の製造方法において、シリカ微粒子をBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)からBET比表面積380m/g、個数平均一次粒子径7nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 380、日本アエロジル社製)に変更し、3−アミノプロピルトリエトキシシランの添加量を7.3gから55.4gに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの添加量を5.2gから39.6gに変更した以外は、シリカ微粒子1の製造方法と同様の方法で行ない、個数平均一次粒子径が10nm、摩擦帯電量が+5500μC/gのシリカ微粒子5を得た。この処理による(A+B)/Sは0.25であり、A/Bは1.4であった。
(シリカ微粒子6)
上述したシリカ微粒子1の製造方法において、シリカ微粒子をBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)からBET比表面積200m/g、個数平均一次粒子径12nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 200、日本アエロジル社製)に変更し、3−アミノプロピルトリエトキシシランの添加量を7.3gから29.2gに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの添加量を5.2gから20.8gに変更した以外は、シリカ微粒子1の製造方法と同様の方法で行ない、個数平均一次粒子径が20nm、摩擦帯電量が+3800μC/gのシリカ微粒子6を得た。この処理による(A+B)/Sは0.25であり、A/Bは1.4であった。
(シリカ微粒子7)
上述したシリカ微粒子1の製造方法において、シリカ微粒子をBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)からBET比表面積130m/g、個数平均一次粒子径16nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 130、日本アエロジル社製)に変更し、3−アミノプロピルトリエトキシシランの添加量を7.3gから18.6gに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの添加量を5.2gから46.4gに変更した以外は、シリカ微粒子1の製造方法と同様の方法で行ない、個数平均一次粒子径が25nm、帯電量が+700μC/gのシリカ微粒子7を得た。この処理による(A+B)/Sは0.5であり、A/Bは0.4であった。
(シリカ微粒子8)
上述したシリカ微粒子1の製造方法において、シリカ微粒子をBET比表面積50m/g、個数平均一次粒子径30nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 50、日本アエロジル社製)からBET比表面積130m/g、個数平均一次粒子径16nmのシリカ微粒子(商品名:Aerosil 130、日本アエロジル社製)に変更し、3−アミノプロピルトリエトキシシランの添加量を7.3gから71gに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの添加量を5.2gから59gに変更した以外は、シリカ微粒子1の製造方法と同様の方法で行ない、個数平均一次粒子径が35nm、帯電量が+3100μC/gのシリカ微粒子8を得た。この処理による(A+B)/Sは1であり、A/Bは1.2であった。
(シリカ微粒子9)
上述したシリカ微粒子4の製造方法中の、疎水化処理前のシリカ微粒子の製造において、テトラメトキシシラン及びテトラブトキシシランとの混合物は12時間かけて、5.4%アンモニア水は10時間かけて、それぞれを滴下した以外は、シリカ微粒子4の製造方法と同様に行い、個数平均一次粒子径200nm、帯電量+1500μC/gのシリカ微粒子9を得た。
2.外添材の評価
2−1.個数平均一次粒子径
外添剤の個数平均一次粒子径は、各外添剤粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置(ニレコ社製、商品名:ルーゼックスIID)により、フレーム面積に対する粒子の面積率:最大2%、トータル処理粒子数:100個の条件で粒子の投影面積に対応する円相当径を算出し、その算術平均の値を求めた。
2−2.摩擦帯電量
キャリア(パウダーテック社製、商品名「NZ−3」)9.95gと、試料(シリカ)0.05gを秤量し、容積100ccのガラス瓶に入れ、30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「TB−203」)を用い、窒素ガス4.5kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定した。
測定は、温度23℃、相対湿度50%で行った。
下記表1に、上記シリカ微粒子1乃至9(表中ではシリカと略す)の原料の配合割合、(A+B)/S及びA/Bの値、個数平均一次粒子径、並びに、ブローオフ帯電量の値をまとめたものを示す。
Figure 2011133675
3.トナーの製造
(実施例1)
重合性単量体としてスチレンとn−ブチルアクリレート(70部/20部)、第一級アミン化合物として1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン(三井ファイン社製、商品名:EDR−148)0.025部、イエロー顔料としてC.I.Pigment Yellow126部を、インライン型乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名:エバラマイルダー)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「アクリベース FCA−161P」)1部、離型剤として脂肪酸エステルワックス(日本油脂社製、商品名「WEP3」)5部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、架橋性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.6部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.2部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーブチルO)6部を添加した後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高速剪断攪拌して分散を行ない、重合性単量体組成物の液滴形成を行なった。
上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.3部を添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記着色樹脂粒子の水分散液を、室温下で、硫酸を攪拌しながら滴下し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行なった。次いで、濾過分離を行ない、得られた固形分にイオン交換水500部を加えて再スラリー化させて、水洗浄処理(洗浄・濾過・脱水)を数回繰り返し行なった。次いで、濾過分離を行ない、得られた固形分を乾燥機の容器内に入れ、45℃で48時間乾燥を行ない、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
なお、得られた着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は9.7μm、粒径分布(Dv/Dn)は1.14、平均円形度は0.987であった。
得られた着色樹脂粒子100部に対して、第1のシリカ微粒子として、上記シリカ微粒子1を1.5部、第2のシリカ微粒子として、上記シリカ微粒子3を1.1部、及びステアリン酸亜鉛(商品名:SPZ−100F、堺化学工業社製)を0.06部添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、6分間、周速30m/sで混合攪拌して外添処理を行ない、実施例1のトナーを作製した。
(実施例2)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子1を1.5部添加した替わりに、シリカ微粒子2を1.5部添加した。添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、実施例2のトナーを作製した。
なお、シリカ微粒子2は本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子に、シリカ微粒子3は本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子に、それぞれ該当する。
(実施例3)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子1を1.5部、シリカ微粒子3を1.1部、ステアリン酸亜鉛を0.06部それぞれ添加した替わりに、シリカ微粒子2を1.5部、シリカ微粒子8を1.1部、及び、ステアリン酸マグネシウム(堺化学工業社製、SPX−100F)を0.06部、それぞれ添加した。添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、実施例3のトナーを作製した。
なお、シリカ微粒子2は本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子に、シリカ微粒子8は本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子に、それぞれ該当する。
(比較例1)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子3を1.1部添加した替わりに、シリカ微粒子5を1.1部添加した。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例1のトナーを作製した。
なお、本比較例1で用いたシリカ微粒子1は、本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子に該当する。しかし、本比較例1で用いたシリカ微粒子5は、本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の条件を満たさないため、当該第2のシリカ微粒子には該当しない。
(比較例2)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子1を1.5部、シリカ微粒子3を1.1部、それぞれ添加した替わりに、シリカ微粒子2を1.5部、シリカ微粒子6を1.1部、それぞれ添加した。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例2のトナーを作製した。
なお、本比較例2で用いたシリカ微粒子2は、本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子に該当する。しかし、本比較例2で用いたシリカ微粒子6は、本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の条件を満たさないため、当該第2のシリカ微粒子には該当しない。
(比較例3)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子1を1.5部添加した替わりに、シリカ微粒子6を1.1部添加した。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例3のトナーを作製した。
なお、本比較例3で用いたシリカ微粒子6は、本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の条件を満たさないため、当該第1のシリカ微粒子には該当しない。また、本比較例3で用いたシリカ微粒子3は、当該第2のシリカ微粒子に該当する。
(比較例4)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子3を1.1部添加した替わりに、シリカ微粒子7を1.1部添加した。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例4のトナーを作製した。
なお、本比較例4で用いたシリカ微粒子1は、本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子に該当する。しかし、本比較例4で用いたシリカ微粒子7は、本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子の摩擦帯電量の条件を満たさないため、当該第2のシリカ微粒子には該当しない。
(比較例5)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子1を1.5部添加した替わりに、シリカ微粒子4を2部添加した。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例5のトナーを作製した。
なお、本比較例5で用いたシリカ微粒子3は、本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子に該当する。しかし、本比較例5で用いたシリカ微粒子4は、本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子の摩擦帯電量の条件を満たさないため、当該第1のシリカ微粒子には該当しない。
(比較例6)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、ステアリン酸亜鉛を添加したが、本比較例においては、脂肪酸金属塩を添加しなかった。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例6のトナーを作製した。
なお、シリカ微粒子1は本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子に、シリカ微粒子3は本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子に、それぞれ該当する。
(比較例7)
着色樹脂粒子の製造までは、上記実施例1と同様である。
着色樹脂粒子を用いたトナーの製造工程中、上記実施例1において、着色樹脂粒子100部に対し、シリカ微粒子1を1.5部添加した替わりに、シリカ微粒子9を2部添加した。その他の添加物及び添加量、並びに、添加後の混合攪拌は、実施例1と同様に行ない、比較例7のトナーを作製した。
なお、本比較例7で用いたシリカ微粒子3は、本発明のトナーに含有される第2のシリカ微粒子に該当する。しかし、本比較例7で用いたシリカ微粒子9は、本発明のトナーに含有される第1のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の条件を満たさないため、当該第1のシリカ微粒子には該当しない。
3.トナーの評価
上記実施例1乃至3、及び、比較例1乃至7のトナーについて、流動性評価、帯電量測定及び印字試験をそれぞれ行った。
3−1.流動性の評価
目開きが各々150μm、75μm、及び45μmの3種の篩いをこの順に上から重ねて、一番上の篩い上に、トナー試料4gを精秤して載せた。次いで、この重ねた3種の篩いを粉体測定機(細川ミクロン社製、商品名「パウダーテスター」)を用いて、振動強度目盛り4の条件で15秒間振動した後、各篩い上に残った現像剤の重量を測定した。各測定値を下記計算式3に代入して、a、b、及びcの値を求め、次に、当該a、b、及びcの値を計算式4に代入して、流動性の値を百分率で算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値をトナー試料の流動性の値とした。
計算式3:
a=〔(150μm篩に残った重合体重量(g))/4g〕×100
b=〔(75μm篩に残った重合体重量(g))/4g〕×100×0.6
c=〔(45μm篩に残った重合体重量(g))/4g〕×100×0.2
計算式4:
流動性(%)=100−(a+b+c)
3−2.帯電量の測定
キャリア(パウダーテック社製、商品名「NZ−3」)9.5gと、試料(トナー)0.5gを秤量し、容積100ccのガラス瓶に入れ、30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「TB−203」)を用い、窒素ガス4.5kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定した。
測定は、温度23℃、相対湿度50%で行った。
3−3.印字試験
3−3−1.印字耐久性(N/N環境下、H/H環境下)
印字耐久性試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、試験すべきトナーを充填した後、印字用紙をセットした。
プリンターを、常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で15,000枚まで連続印刷を行なった。
500枚毎に、黒ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。この値が小さいほど、カブリが少なく良好であることを示す。
上記試験を10,000枚まで繰り返し、印字濃度が1.3%以上で、且つカブリ値が3%以下の画質を維持できる連続印刷枚数を調べた。
また、同様の印字耐久性試験を、高温高湿(H/H)環境下(温度:35℃、湿度:80%)においても行なった。
なお、表1中、「10000<」とあるのは、10000枚の時点においても、印字濃度が1.3%以上で、且つカブリ値が3%以下の画質を維持できたことを示す。
3−3−2.初期噴出し
印字耐久性試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用いた。現像装置のトナーカートリッジに、試験すべきトナーを充填した後、連続印刷を行なった。連続印字は常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で行った。
印刷はハーフトーン印字濃度30%で行い、トナーカートリッジより印刷用紙に噴出したトナーによる0.3×0.3mm以上の斑点がハーフトーン上にいくつあるか数え、この数が0になるまで印刷を行なった。
評価は印刷物上に出てくる、斑点の数が0になるまでの印刷枚数で行い、この印刷枚数がより少ないほうが、画質に問題なく印刷できたことを示す。
3−3−3.高温放置後噴出し
印字耐久性試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−30 40CN)を用いた。現像装置のトナーカートリッジに、試験すべきトナーを充填した後、そのトナーカートリッジを50℃の乾燥機に120時間放置し、取り出したカートリッジと印字用紙をプリンターにセットして、連続印刷を行なった。連続印字は常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で行った。
印刷はハーフトーン印字濃度30%で行い、トナーカートリッジより印刷用紙に噴出したトナーによる0.3×0.3mm以上の斑点がハーフトーン上にいくつあるか数え、この数が0になるまで印刷を行なった。
評価は印刷物上に出てくる、斑点の数が0になるまでの印刷枚数で行い、この印刷枚数がより少ないほうが、画質に問題なく印刷できたことを示す。
下記表2に、上記実施例1乃至3、及び、比較例1乃至7のトナーの原料の物性及び配合割合、並びに、トナーの評価をまとめたものを示す。なお、「第1のシリカ微粒子」及び「第2のシリカ微粒子」の欄には、使用したシリカが第1又は第2のシリカ微粒子に該当する場合には○を、該当しない場合には×を、それぞれ記載した。また、「個数平均一次粒子径の差が15nm以上」の欄には、使用した2種類のシリカの個数平均一次粒子径の差が15nm以上であれば○を、当該差が15nm未満であれば×を、それぞれ記載した。
Figure 2011133675
(結果のまとめ)
まず、比較例1、比較例2及び比較例4のトナーについて検討する。比較例1及び比較例2のトナーに用いられた2種類のシリカの内の一方は、第1のシリカ微粒子に該当するが、他方は個数平均一次粒子径が小さすぎるため、第2のシリカ微粒子に該当しない。また、比較例4のトナーに用いられた2種類のシリカの内の一方は、第1のシリカ微粒子に該当するが、他方は摩擦帯電量が小さいため、第2のシリカ微粒子に該当しない。したがって、比較例1、比較例2及び比較例4のトナーは、初期噴出しの評価が0〜2枚、高温放置後噴出しの評価が20〜40枚となり、これらのトナーは、高温放置後に噴き出しが生じやすいトナーであった。
次に、比較例3、比較例5及び比較例7のトナーについて検討する。比較例3のトナーに用いられた2種類のシリカの内の一方は、第2のシリカ微粒子に該当するが、他方は個数平均一次粒子径が小さすぎるため、第1のシリカ微粒子に該当しない。比較例5のトナーに用いられた2種類のシリカの内の一方は、第2のシリカ微粒子に該当するが、他方は摩擦帯電量が小さすぎるため、第1のシリカ微粒子に該当しない。比較例7のトナーに用いられた2種類のシリカの内の一方は、第2のシリカ微粒子に該当するが、他方は個数平均一次粒子径が大きすぎるため、第1のシリカ微粒子に該当しない。したがって、比較例3、比較例5及び比較例7のトナーは、初期噴出しの評価が0〜10枚、高温放置後噴出しの評価が30〜50枚となり、これらのトナーは、高温放置後に噴き出しが生じやすいトナーであった。
続いて、比較例6のトナーについて検討する。比較例6のトナーに用いられた2種類のシリカは、いずれも第1又は第2のシリカ微粒子のいずれかに該当するが、脂肪酸金属塩粒子を含有していないため、印字耐久枚数は7000枚と少なく、したがって、印字耐久性が低いトナーであった。
実施例1乃至3のトナーについて検討する。実施例1乃至3のトナーに用いられた2種類のシリカは、いずれも第1又は第2のシリカ微粒子のいずれかに該当するトナーであった。したがって、実施例1乃至3のトナーは、初期、高温放置後どちらにおいても噴出しは確認されず、且つ、常温/常湿(N/N)環境下、高温/高湿(H/H)環境下のいずれにおいても印字耐久性に優れた、良好なトナーであった。
なお、脂肪酸金属塩粒子として、実施例1又は2ではステアリン酸亜鉛粒子を、実施例3ではステアリン酸マグネシウム粒子を、それぞれ添加したが、脂肪酸金属塩粒子の種類を問わず、いずれの場合も良好な印字耐久性を示した。
1 感光ドラム
2 帯電ロール
3 レーザー光照射装置
4 現像ロール
5 転写ロール
6 クリーニング装置
7 トナー
8 ケーシング
9 供給ロール
10 現像ロール用ブレード
11 転写材

Claims (4)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する正帯電性静電荷像現像用トナーにおいて、
    前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記外添剤が、
    個数平均一次粒子径が45〜120nmで、摩擦帯電量が+1000〜+5000μC/gである第1のシリカ微粒子を0.3〜3質量部、
    個数平均一次粒子径が25〜40nmで、摩擦帯電量が+1000〜+7000μC/gである第2のシリカ微粒子を0.1〜2質量部、及び、
    脂肪酸金属塩粒子を0.005〜0.1質量部含有することを特徴とする、正帯電性静電荷像現像用トナー。
  2. 前記第1のシリカ微粒子及び前記第2のシリカ微粒子の個数平均一次粒子径の差が、15nm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の正帯電性静電荷像現像用トナー。
  3. 前記着色樹脂粒子は、正帯電性帯電制御剤を含有し、体積平均粒径が4〜12μmであり、且つ平均円形度が0.96以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の正帯電性静電荷像現像用トナー。
  4. 前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の正帯電性静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする、カラー画像形成方法。
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