JP2009109827A - 磁性トナー - Google Patents

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恵理子 柳瀬
Takashi Matsui
崇 松井
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智久 佐野
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Abstract

【課題】磁性体の分散状態が良好で、カブリのない良好な画像を得ると共に、粒度分布がシャープである磁性トナーを提供することにある。
【解決手段】少なくとも磁性体、結着樹脂、および離型剤を含有する磁性トナーであり、該磁性体は表面をシラン化合物で処理されており、該シラン化合物におけるSi元素に対するSiH結合の存在量が18%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット方式記録法の如き画像形成方法において形成される静電画像の現像に用いるトナーに関する。
電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(以下、「感光体」ともいう)上に静電潜像を形成する。次いで前記潜像をトナーにより現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱或いは圧力等により記録媒体上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。このような画像形成装置としては、複写機やプリンター等がある。
これらプリンターや複写機は近年アナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、更なる小型化が強く求められている。また、様々な環境で使用され、さらには多様なマテリアル対応も強く望まれている。
カートリッジの小型化に対しては、画像形成工程・現像部分を小さくする必要性がある。磁性ジャンピング現像方式は、磁性粒子をトナーに内包し磁力の作用により現像剤の担持搬送を行う方式であるが、キャリアが必要でないこと、および、カートリッジの部品数の削減により現像部分の小型化には有効である。
これらプリンターや複写機に用いられるトナーとしては、一般的に熱可塑性樹脂中に着色剤を溶融混合し、均一に分散した後に、微粉砕、分級し、所望の粒径を得るいわゆる粉砕法トナーが主流であった。この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、高速で微粉砕する場合に粒径範囲の広い粒子が形成されやすい、微粒子化しにくいといった問題があった。これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、重合性単量体(モノマー)を液滴状に分散させ、重合を行うことにより直接トナー粒子を得る重合トナーの製造方法が提案されている。
ここで、先述の磁性ジャンピング現像について考えると、トナーは磁性トナーであり、磁性トナーを重合法により得ようとすると、次の問題が生じる。即ち、磁性体は親水性であるため、重合法によって製造すると、磁性体がトナー粒子表面付近に偏在しやすく、トナーの粒度分布制御及び磁性体の分散性制御が困難となる。このような問題点の改善策として、磁性体の表面改質(疎水化処理)による磁性体の内包化が一般に知られている。ここで使用される表面改質剤としては、シランカップリング剤がよく使われる(例えば、特許文献1、2参照)。
また、均一に疎水化処理された磁性体を用いることで、粒度分布がシャープな磁性トナーが得られる。さらに、トナー表面が均一であり、また、磁性体がトナー内部に完全に内包化されるため、均一帯電性を示し、高精彩な画像が得られることが報告されている(例えば、特許文献3参照)。
このように、均一に疎水化処理された磁性体を用い、重合法により製造された磁性トナーは優れた性能を示すが、多様な環境・マテリアル対応に関しては改善の余地がある。即ち、低温低湿環境において、厚紙に両面印字した場合、カブリが悪いという問題が生じた。
カブリに対しては、磁性体の分散状態をより均一にすることでカブリの改善が見込めることが知られている。上述の磁性トナーの製造においては、磁性体を単量体溶液中に微分散させる時の分散時間を延長することで磁性体分散が良化すると考えられる。しかし、離型剤の融点以下の温度で磁性体を分散させた場合、離型剤表面に磁性体が再凝集してしまい、分散時間を延ばしても磁性体の分散性はなかなか向上しない。このため、離型剤が溶融する温度以上に加熱しながら、磁性体の分散時間を延長する必要がある。
しかし、上記の工程(溶解工程)を延長することで、単量体が一部重合してしまい、単量体溶液の粘度が上昇してしまうことが判明した。このような状態では、得られる磁性トナーの粒度分布がブロード化する問題が生じてしまう。
このように、磁性体の分散性とトナーの粒度分布にはトレードオフの関係があり、これら二つを両立させるためには、依然と改良の余地が残っている。
特開昭59−224102 特開昭63−250660 特開2001−235899
本発明の目的は、磁性体の分散状態を良好にすると、粒度分布がブロード化してしまう問題を解決することにある。
また、本発明の目的は、カブリ等の画像欠陥の無い高精細な画像を形成することの出来る磁性トナーを提供することにある。
本発明は、少なくとも磁性体、結着樹脂、および離型剤を含有する磁性トナーであり、該磁性体は表面をシラン化合物で処理されており、該シラン化合物におけるSi元素に対するSiH結合の存在量が18%以下であることを特徴とする磁性トナーに関する。
磁性体の分散状態が良好で、カブリのない良好な画像を得ると共に、粒度分布がシャープである磁性トナーを得ることが出来る。
本発明者らが鋭意検討した結果、磁性体表面に存在するSiH結合が18%以下の磁性体を用いて磁性トナーを製造すると、磁性体の分散状態が向上すると共に、シャープな粒度分布を有する磁性トナーを安定して製造することが可能となり、本発明に至った。
まず、先述の溶解工程中にモノマーが重合してしまうという現象に注目すると、磁性体表面に存在するSiHが重合を引き起こしていることが分かった。SiHは反応性であることが知られているため、溶解時の熱を受けてモノマーと反応し、さらに、溶解時間が長いために重合反応が進み、ポリマー化してしまう。このように、ポリマーが生成するため、溶解工程時の液の粘度が上昇し、得られる磁性トナーの粒度分布がブロード化してしまう。
このため、シャープな粒度分布を得るためには、磁性体表面のSiH量が少ないと良く、SiH量が18%以下であるとポリマーの生成が抑制できる。若しくは、ポリマーがわずかしか生成しないため、粒度分布がシャープな磁性トナーを得ることが可能である。また、15%以下であると、上述した高分子量体がほとんど生成しないため、より好ましい。
一方、使用する磁性体表面のSiH量が18%より多いと、上述した高分子量体が溶解工程時に多く生成してしまうため、均一混合溶液の粘度が上昇してしまい、得られる磁性トナーの粒度分布がブロード化してしまう。このように、磁性体表面のSiH量を抑えることで、溶解工程時の溶液の粘度と磁性体の分散性のバランスをとることが出来るが、SiHの存在、そして、量のコントロールについて考える必要がある。
まず、重合磁性トナーについて考えると、上述の如き、均一に疎水化処理した磁性体を用いる必要がある。このため、磁性体は乾式より水系媒体中で疎水化処理することが、より均一に処理できるため、好ましい。
ここで、シランカップリング剤の加水分解について考えると、加水分解されたシランカップリング剤は逐次重縮合反応を開始する。このため、シランカップリング剤を加水分解した場合、オリゴマーが生成しやすくなる。このようなオリゴマーが生成したシランカップリング剤の加水分解物を用いて磁性体表面の疎水化処理を行うと、均一な処理が達成されにくく、その結果、トナー化した時のトナーの粒度分布がブロード化してしまう傾向になる。一方、シランカップリング剤の加水分解を磁性体存在下で行うと、加水分解されたカップリング剤同士が重縮合することなく、選択的に磁性体表面に吸着させることができるため、非常に好ましい。
しかし、磁性体存在下でシランカップリング剤を加水分解した場合、サイドリアクションが起こり、反応性のSiH基が生成していることが分かった。
一般に、シランカップリング剤RASi(ORB3を加水分解すると、RASi(OH)3となり、副生成物としてRBOHが生成することが知られている。一方、磁性体存在下で上記のシランカップリング剤を加水分解すると、一部のシランカップリング剤にサイドリアクションが起こり、RAHSi(OH)2HとRBOHが生成してしまう。この理由について、詳細は不明であるが、磁性体表面が触媒の役割を担うことで、ケイ素のプロトン化に必要な活性化エネルギーが低下し、SiHが生成しやすくなってしまったため、と本発明者らは考えている。このため、加水分解しながら磁性体表面に吸着させるような状態においては、サイドリアクションの発生を抑制しきれない。
そこで、より温和な条件で加水分解が進行し、サイドリアクションが発生しない加水分解条件の検討を行った。
この結果、加水分解時のpHを中性領域に近づけること、および、反応の副生成物のR2OHを混入させることにより、加水分解反応の速度が低下し、サイドリアクションによるSiHの生成量を18%以下に制御できることを見出した。
ここで磁性体表面におけるSiH量であるが、磁性体表面に含まれるシラン化合物におけるSi元素に対するSiH結合の存在量と定義する。
SiHの存在量は以下の如く測定する。
1)疎水化処理された磁性体1gを重メタノール1mlに加え、一晩放置する。
2)上記の放置溶液から磁性体を除去する。
3)磁性体除去後の重メタノール溶液のNMRの測定を行い、Siに結合する炭化水素中の水素数n、炭化水素中の水素に由来するシグナル(1ppm以下)の積分値をPとする。次に、炭化水素中の水素1個当りの積分値Qを(4ppm以上5.2ppm以下)以下の如く計算する。
Q=P/n
4)SiH結合に由来するNMRの積分値をRとし、SiHの存在量を以下の如く計算する。
SiH量(%)=R/Q×100
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものであることが好ましく、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素などの元素を含んでもよい。また、複数種の磁性体を2種以上併用して用いても良い。
磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。
また磁性体としては、窒素吸着法によるBET比表面積が2m2/g以上30m2/g以下が好ましく、特に3m2/g以上28m2/g以下がより好ましい。また、モース硬度が5以上7以下のものが好ましい。
磁性体の体積平均粒径としては0.05μm以上0.40μm以下が好ましい。体積平均粒径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、黒トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、磁性体が凝集しやすくなる。一方、体積平均粒径が0.40μmを超えてしまうと着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に均一に磁性体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しやすくなり好ましくない。
なお、磁性体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、まず、メタノール200mlに磁性体10gを加え超音波分散器で30分間分散したのち、磁石にて磁性体を回収し、乾燥させたものをエポキシ樹脂中へ十分に分散させる。そして、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物をミクロトームにより薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径をもとに、体積平均粒径の算出を行った。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
本発明では、磁性体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下を用いることが好ましい。さらに好ましくは20質量部以上180質量部以下を用いることが良い。10質量部未満では定着性は良好になるもののトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、定着性の悪化と共にトナー担持体の磁力による保持力が強まり、現像性が低下してしまい好ましくない。
なお、磁性トナー中の磁性体の含有量の測定は、例えば、TA Instruments社製熱分析装置、Hi−ResTGA 2950 Thermogravimetric Analyzerを用いて近似的に測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、トナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存重量を近似的に磁性体量とし、両者の割合から算出する。
本発明の磁性トナーに用いる磁性体は、例えば下記方法で製造することが出来る。
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液をpH7以上(好ましくはpH8以上14以下)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6以上14以下に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpHを選択することにより、磁性体の形状をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。
酸化反応終了後、水系媒体中に磁性体を一次粒径になるように分散させたまま、疎水化処理を行う。磁性体の分散液のpHを酸性領域にし、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解させる。このとき、アルコールを添加すると、SiH基が生成しにくくなるため、非常に好ましい。具体的には、シランカップリング剤の加水分解時に発生するアルコールであることが好ましく、添加したシランカップリング剤の質量部に対して4倍以上15倍以下であることが好ましく、5倍以上13倍以下がさらに好ましい。シランカップリング剤の加水分解時に発生するアルコールを添加する理由であるが、シランカップリング剤の加水分解は平衡反応であるため、温和な条件で加水分解するために必要であると筆者らは考えている。このため、アルコール添加量が4倍より少ないと、サイドリアクションの発生を抑制できず、一方、15倍より多いと、加水分解速度が低下しすぎて実用的ではない。そして、シランカップリング剤の加水分解が終了した後、温度を上げる、あるいは、pHをアルカリ域にすることで疎水化処理を終結させる。その後、ろ過、洗浄、乾燥し、磁性体を得る。
ここで、第一鉄塩としては一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
また、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水にアルコールを添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5.0質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸等無機酸が挙げられる。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5mol/l以上2.0mol/l以下が用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多いほど、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
本発明に係わる磁性体の疎水化処理において使用できるシランカップリング剤は、下式で示されるものである。
mSiYn
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1以上3以下の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基の如き官能基を示し、nは1以上3以下の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
上式で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
この中で、高い疎水性を得るという観点では、下記式で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
p(2p+1)−Si−(OCq(2q+1)3
[式中、pは2以上20以下の整数を示し、qは1以上3以下の整数を示す。]
上記式におけるpが2より小さいと、疎水性を十分に付与することが困難であり、また、pが20より大きいと疎水性は十分になるが、磁性体同士の合一が多くなり好ましくない。さらに、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。また、式中のpが3以上15以下の整数を示し、qが1又は2の整数であることがより好ましい。
なお、上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、あるいは複数の種類を併用して処理することが可能であり、併用する場合、それぞれのカップリング剤を個別に処理する、あるいは同時に処理することが出来る。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性体100質量部に対して0.05質量部以上20.00質量部以下、好ましくは0.1質量部以上10.0質量部以下であり、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
本発明の磁性トナーは高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するため、磁性トナーの重量平均粒径(D4)は3μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上9μm以下である。また、トナー粒径が小さいものほど定着性は良好なものとなり、この観点からもトナー粒径は10μm以下であることが好ましい。
上記の理由から、重量平均粒径(D4)はある程度小さい方が好ましいが、重量平均粒径(D4)が3μm未満の場合、粉体としての流動性及び撹拌性が低下し、個々のトナーを均一に帯電させることが困難となることに加え、カブリの増大を招き好ましくない。
磁性トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下までに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、磁性トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いて磁性トナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。ここで、重量平均粒径(D4)と数平均粒径(D1)の比D4/D1は粒子の粒度分布の形状を示し、1.2以下であると粒度分布が非常にシャープであることを意味する。一方、1.4以上になると、粒度分布がブロードになりすぎてしまい、分級収率の面などから実用的ではない。
本発明の磁性トナーは平均円形度が0.960以上であることが好ましい。磁性トナーの平均円形度が0.960以上である場合、磁性トナーの流動性が向上し、均一帯電が可能となる。このため、厚紙カブリなどの画像がさらに良好になるため、より好ましい。同時に平均円形度が0.960以上である時、磁性トナーは現像部で均一で細い穂を形成し潜像に対し忠実な現像を行うことが可能となり、高精細な画像が得られるようになる。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定する。詳細は以下の通りである。
先ず、円形度を次式より算出する。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度は粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度をci、測定粒子数をmとすると、下記式(1)から算出される。
Figure 2009109827
また、円形度標準偏差SDは、平均円形度C、各粒子における円形度ci、測定粒子数をmとすると下記式(2)から算出される。
Figure 2009109827
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、分散させる。分散させる手段としては、発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26℃以上27℃以下になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が約5000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整して計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、磁性トナーの平均円形度を求める。尚、円相当径は、以下のようにして算出される値である。
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来トナーの形状を観察するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μm)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)させた装置であり、トナーの形状測定の精度が向上した装置である。
本発明の磁性トナーには帯電特性向上のために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。また、本発明の如き磁性トナーを懸濁重合にて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
荷電制御剤を磁性トナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法がある。懸濁重合を行う場合には、造粒前に重合性単量体組成物中に荷電制御剤を添加する方法が一般的である。また、水中で油液滴を形成し重合を行っている最中、または、重合後に荷電制御剤を溶解、懸濁させた重合性単量体を加えることによりシード重合を行い、トナー表面を均一に覆うことも可能である。また、トナー粒子に外添する場合には、荷電制御剤として有機金属化合物を用い、トナー粒子と該化合物とをシェアをかけ混合・撹拌することにより、トナー表面に導入することも可能である。
これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定される。このため、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し好ましくは0.005質量部以上1.000質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.30質量部以下である。
本発明の磁性トナーは、定着性の更なる向上の為、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下の離型剤を有することが好ましく、その吸熱ピークのピークトップが40℃以上80℃以下であることがより好ましい。また、添加する離型剤の添加量が、結着樹脂100質量部に対して1質量部未満では離型剤の添加効果が低くなる。一方、30質量部を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、トナー表面への染み出し等によりトナーの帯電均一性が劣るものとなり好ましくない。さらに、多量のワックスを内包するために、トナー形状がいびつになりやすくなる。
さらに添加する離型剤としては公知の離型剤を用いることができ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
このような離型剤の吸熱ピークのピークトップ温度の測定は、「ASTM D 3417−99」に準じて行う。
また、本発明の磁性トナーのガラス転移点(Tg)は、30℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは35℃以上70℃以下である。Tgが30℃よりも低いとトナーの保存性が低下し、80℃よりも高いと定着性に劣る。トナーのガラス転移点の測定には例えば、示差走査熱量計で測定を行い、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、磁性トナー約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。 この昇温過程で、温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度Tgとする。
本発明の磁性トナーは懸濁重合法でトナー粒子を製造することが好ましい。
懸濁重合法とは、まず、重合性単量体および磁性体、更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、離型剤、荷電制御剤、その他の添加剤(例えば、可塑剤、高分子重合体)等を混合する。そして、離型剤が溶融する温度に加熱しながら、例えばディスパ−翼などを用いて撹拌して均一に分散させ、重合性単量体組成物を調製する。その後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に滴下し、適当な造粒機を用いて造粒し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。尚、造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。この懸濁重合法で得られるトナーは、個々のトナー粒子の形状がほぼ球形に揃っているという特徴がある。このため、平均円形度が0.960以上という本発明に好適な物性要件を満たす磁性トナーが得られやすく、更にこういった磁性トナーは帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
上記の造粒機としては、ホモジナイザー、ホモミキサー、クレアミックス、超音波分散機等の造粒機を用いることができる。この中でも、ホモミキサー、クレアミックスを用いると、粒度分布がシャープになり好ましい。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用する事が磁性トナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明に係わる重合トナーの製造においては、重合性単量体組成物に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分を磁性トナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体を磁性トナー中に添加することにより、トナー表面にこれら高分子重合体が偏在するようになり耐ブロッキング性、現像性の良好な磁性トナーを得ることができる。
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体組成物中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えて添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
本発明の磁性トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時の温度で半減期0.5時間以上30.0時間以下であるものが好ましく、このような重合開始剤を、重合性単量体に対し0.5質量部以上20.0質量部以下の添加量で用いることが好ましい。このような条件で重合反応を行うと、分子量1万以上10万以下の間に極大を有する重合体が得られ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明の磁性トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上5.000質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
重合法によって磁性トナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は分散安定性に優れ、洗浄も容易で磁性トナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上20.0質量部以下使用することが望ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種併用してもよい。さらに、0.001質量部以上0.100質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒子が発生し難くなるので、より好都合である。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度で重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90℃以上150℃以下にまで上げることは可能である。
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によってろ過、洗浄、乾燥を行い、必要により外添剤を混合し表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも可能である。本発明においては、外添剤として、個数平均1次粒径4nm以上80nm以下、より好ましくは6nm以上40nm以下の無機微粉体が添加されていることが好ましい。無機微粉体は、磁性トナーの流動性向上及び帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体に対して疎水化などの処理を施すことによって磁性トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することもできる。
無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には良好な磁性トナーの流動性が得られにくい。一方、無機微粉体の個数平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まる。このため、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、像担持体或いは磁性トナー担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなり好ましくない。
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した磁性トナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされた磁性トナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数基準の平均1次粒径を求めることで測定出来る。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。
シリカとしては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。その中でも、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
個数平均1次粒径が4nm以上80nm以下の無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%を超えると定着性が悪くなる。また、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明において、無機微粉体は疎水化処理された物であることが環境安定性を向上させるという観点から好ましい。磁性トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、磁性トナーの帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易くトナー飛散が起こり易くなる。
疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましい。より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でも磁性トナーの帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
そのような無機微粉体の処理方法としては、例えば第一段反応として、シラン化合物でシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10mm2/s以上200,000mm2/s以下のものが、さらには3,000mm2/s以上80,000mm2/s以下のものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
無機微粉体をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、シラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。この中でも、無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は、無機微粉体100質量部に対し1質量部以上40質量部以下、好ましくは3質量部以上35質量部以下が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる傾向がある。
本発明で用いられる無機微粉体は、磁性トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20m2/g以上350m2/g以下のものが好ましく、より好ましくは25m2/g以上300m2/g以下のものである。
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置Micrometritics Gemini(島津社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
本発明の磁性トナーは、クリーニング性向上等の目的で、さらに一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
次に、本発明の磁性トナーを好適に用いることの出来る画像形成装置の一例を図1に沿って具体的に説明する。
図1において、100は像担持体である感光体で、その周囲に一次帯電ローラー117、現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナー116が設けられている。そして感光体100は、例えば交流電圧2.0kV(Vpp)、直流電圧−620V(Vdc)が印加された一次帯電ローラー117によって−600Vに帯電される。次に、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分磁性トナーで現像され、転写材を介して感光体に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残された磁性トナーはクリーニング手段116によりクリーニングされる。尚、符号124は、レジスタローラーである。
現像器140においては、図2に示すように感光体100に近接してアルミニウム、ステンレス等、非磁性金属で作られた円筒状の磁性トナー担持体102(以下現像スリーブと称す)が配設されている。例えば、感光体100と現像スリーブ102との間隙は、図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等によって、約280μmに維持される。現像スリーブ内にはマグネットローラー104が現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラー104には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1は磁性トナーコート量規制、S2は磁性トナーの取り込み/搬送、N2は磁性トナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制する部材として、弾性ブレード103が現像スリーブ102に当接されて配設されている。現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上磁性トナーは静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
以下、本発明を製造例および実施例により具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものえはない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<磁性体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0当量以上1.1当量以下の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対してケイ素元素換算で1.5質量%のケイ酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
水溶液をpH9.0に維持しながら、空気を吹き込み、80℃以上90℃以下で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9当量以上1.2当量以下となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH8.0に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーをろ過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、メタノールを磁性酸化鉄100質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)に対し25.0質量部添加した。そして再分散液の温度を40℃に、pHを4.3に調整し、十分撹拌した。その後、n−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを8.0にし縮合反応を行い、疎水化処理を行った。得られた疎水性磁性体を常法により洗浄、ろ過、乾燥し、解砕処理した。得られた磁性体は、体積平均粒径が0.20μm、SiH量は2%であった。得られた磁性体1の物性を表1に示す。
<磁性体2の製造>
磁性体1の製造において、メタノール添加量を25質量部から15質量部に変えて、磁性体1の製造と同様にして磁性体2を得た。得られた磁性体2の物性を表1に示す。
<磁性体3の製造>
磁性体1の製造において、メタノール添加量を25質量部から15質量部に、n−ヘキシルトリメトキシシラン添加前のpHを4.0に変えて、磁性体1の製造と同様にして磁性体3を得た。得られた磁性体3の物性を表1に示す。
<磁性体4の製造>
磁性体1の製造において、磁性酸化鉄のスラリー液をろ過・洗浄・乾燥し、凝集した粒子を解砕して磁性酸化鉄を得た。得られた磁性酸化鉄をミキサーに移し、200℃に加熱した後、撹拌、保温を継続して、スプレーノズルを使用してn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部を噴霧、混合した。このようにして表面を疎水化処理した磁性体4を得た。得られた磁性体4の物性を表1に示す。
<磁性体5の製造>
磁性体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランを事前に加水分解したものを、磁性酸化鉄を分散した水系媒体中に添加したこと以外は、磁性体1の製造と同様にして磁性体5を得た。得られた磁性体5の物性を表1に示す。
<磁性体6の製造>
磁性体1の製造において、メタノールを全く添加せず、n−ヘキシルトリメトキシシラン添加前のpHを3.8に変えて、磁性体1の製造と同様にして磁性体6を得た。得られた磁性体6の物性を表1に示す。
Figure 2009109827
<磁性トナーの製造>
イオン交換水720質量部に0.1モル/l−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0モル/l−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 74質量部
・n−ブチルアクリレート 26質量部
・ジビニルベンゼン 0.55質量部
・飽和ポリエステル樹脂 10質量部
(Mn=11000、Mw/Mn=2.6、酸価=12mgKOH/g、Tg=72℃)
・荷電制御剤(アゾ染料の鉄錯体:T−77(保土ヶ谷化学社製) 1質量部
・磁性体1 90質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。これを60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク62℃)5質量部を添加した。そして、窒素雰囲気下で60℃に保ちながらディスパー翼で3時間撹拌して混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて13500rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で10時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散安定剤を溶解し、ろ過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。
この磁性トナー粒子1の100質量部と、疎水性シリカ微粉体1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、重量平均粒径(D4)が7.0μmの磁性トナー1を得た。ここで使用した疎水性シリカ微粉体は、個数平均1次粒径12nmのシリカ母体をヘキサメチルジシラザンで処理した後にシリコーンオイルで処理しており、処理後のBET比表面積=120m2/gである。得られた磁性トナーの平均円形度は0.970、粒度分布のシャープの程度を示すD4/D1は1.13であった。
得られた磁性トナー1の物性を表2に示す。
<磁性トナー2、3の製造>
磁性トナー1の製造において、磁性体1の代わりに磁性体2、3を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー2、3を得た。磁性トナー2、3の物性を表2に示す。
<磁性トナー4の製造>
磁性トナー1の製造において、磁性体1の代わりに磁性体4を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー4を得た。磁性トナー4の物性を表2に示す。
<磁性トナー5の製造>
磁性トナー1の製造において、磁性体1の代わりに磁性体5を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー5を得た。磁性トナー5の物性を表2に示す。
<磁性トナー6の製造>
磁性トナー1の製造において、磁性体1の代わりに磁性体6を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー6を得た。その結果、得られたトナーのD4/D1は1.41であり、粒度分布はブロードであった。磁性トナー6の物性を表2に示す。
Figure 2009109827
[実施例1]
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−3000を改造して図1と同様のものを用いた。像担持体(感光体)100に、帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆したゴムローラ帯電器117を当接させ(当接圧58.8N/m(60g/cm))、直流電圧−620Vに交流電圧2.0kVppを重畳したバイアスを印加して、感光体上を一様に帯電する。帯電に次いで、レーザー光123で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する(暗部電位Vdは−600Vであり、明部電位VLは−120V)。
感光体100と現像スリーブ102との間隙は280μmとし、磁性トナー担持体として、表面をブラストした直径12mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)0.95μmの樹脂層を形成した現像スリーブ102を使用した。また、磁性トナー規制部材103として厚み1.0mm、自由長0.70mmのウレタン製ブレードを19.6N/m(20g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
次いで、現像バイアスとして直流電圧Vdcは−420V、重畳する交番電界として1.6kVpp、周波数2400Hzを用いた。
この条件において、磁性トナー1を使用し、低温低湿環境下(15℃、10%RH)において2000枚の画出し試験を行った。なお、記録媒体としてはA4の105g/m2の厚紙を使用した。その結果、耐久前後で非画像部へのカブリは無く、画像濃度が1.4以上であり、高精彩な画像を得ることが出来た。評価結果を表3に示す。
表3に示した各評価項目の評価方法・評価基準について以下に述べる。
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
<厚紙カブリ>
白画像を両面に出力し2面目の厚紙上カブリの測定を行い、以下の基準で判断した。なお、カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、厚紙カブリは下式より算出した。
厚紙カブリ(%)=標準紙の反射率(%)−白画像を出力したサンプルの反射率(%)
なお、厚紙カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
<画質>
画質の判断基準はハーフトーン画像の均一性、細線再現性を総合的に評価したものである。
A:細線再現性、画像の均一性に優れ鮮明な画像。
B:細線再現性、画像の均一性が若干劣るものの、良好な画像。
C:実用上問題ないレベルの画像。
D:細線再現性、画像の均一性に劣り、好ましくない画像。
[実施例2、3、4、5]
磁性トナー2、3、4、5を用い実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、いずれの磁性トナーも実施上問題ないレベル以上の画像が得られた。評価結果を表3に示す。
[比較例1]
磁性トナー6を用い磁性トナー1と同様に画出し試験を行った。
その結果、磁性トナー6を用いた比較例1では、実用上問題ない濃度の画像が得られたものの、厚紙カブリの面で大きく劣るものがあった。評価結果を表3に示す。
Figure 2009109827
本発明の実施例に用いた画像形成装置の一例を示す。 現像部の拡大図である。
符号の説明
100 感光体(像担持体、被帯電体)
102 現像スリーブ(磁性トナー担持体)
104 マグネット
114 転写ローラー(転写部材)
116 クリーナー
117 帯電ローラー(接触帯電部材)
121 レーザービームスキャナー(潜像形成手段、露光装置)
124 給紙ローラー
125 搬送部材
126 定着装置
140 現像装置
141 撹拌部材

Claims (4)

  1. 磁性体、結着樹脂、離型剤を少なくとも含有する磁性トナーであり、
    該磁性体は表面をシラン化合物で処理されており、該シラン化合物におけるSi元素に対するSiH結合の存在量が18%以下であり、該磁性トナーが水系媒体中で製造されることを特徴とする磁性トナー。
  2. 該磁性トナーの平均円形度が0.960以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 該シラン化合物におけるSi元素に対するSiH結合の存在量が15%以下である請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 該磁性体の表面をシラン化合物で処理する工程が、磁性体を分散した水系媒体中で、該シラン化合物を加水分解する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
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