JP4985019B2 - 静電荷像現像用正帯電性トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用正帯電性トナー(以下、単に「正帯電性トナー」又は「トナー」と称することがある。)に関し、更に詳細には、トナー粒子の表面に対して、外添剤の凝集体の形成を抑え、初期印字性能に優れると共に、耐久印字性能にも優れる静電荷像現像用正帯電性トナーに関する。
電子写真装置、静電記録装置、及び静電印刷装置等の画像形成装置は、感光体上に形成される静電潜像を、静電荷像現像用トナーで現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施され、複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれら複合機等に適用されている。
例えば、電子写真法を用いた電子写真装置では、一般には光導電性物質からなる感光体の表面を種々の手段で一様に帯電させた後、当該感光体上に静電潜像を形成し、次いで当該静電潜像を、トナーを用いて現像し、必要に応じて用紙等の記録材にトナー画像を転写した後、加熱等により定着し印刷物を得るものである。
近年、現像に用いられるトナーは、オゾンの発生を抑制する、及び良好な帯電性が得られる観点から、正帯電方式に対応する正帯電性トナーが好ましく用いられている。また、トナーの帯電性、流動性、及び保存性を向上させる観点から、一般に着色樹脂粒子(トナー粒子)よりも粒径の小さい無機微粒子や有機微粒子等の外添剤が、トナー粒子の表面に外添(付着添加)されて用いられている。
外添剤は、トナー粒子の最表面に存在するため、トナー粒子に対する外添状態(付着状態)によっては、外添剤の性能(帯電性、流動性、及び保存性)を十分に発揮させることが難しくなる場合がある。具体的には、トナー粒子の表面に外添剤の凝集体が形成される場合や、トナー粒子の表面に外添剤が均一に付着されない場合が挙げられる。
上記トナー粒子の表面に対する外添状態(付着状態)の不具合によって、トナー粒子に安定した帯電性(帯電安定性)を付与できず、初期印刷時では、帯電立ち上がりが悪く、多枚数の連続印刷時では、カブリ、及び印字ムラ等による画質の劣化が起こり易くなり印字耐久性を低下させる等の印字性能に悪影響を及ぼすことが問題になっている。
このため、トナー粒子の表面に対して、外添剤の凝集体の形成を抑え、外添剤を均一に付着添加(外添)させて、トナー粒子の表面に均一に安定した帯電性(帯電安定性)を付与させることができ、多枚数の連続印刷を行なっても、経時的に安定した帯電性を保持でき画質の劣化が起こり難く、印字コスト低減に貢献し得るトナーの開発が求められている。
特許文献1では、外添剤として、平均一次粒子径が5nm以上20nm以下であり、シリコーンオイル又はシランカップリング剤で疎水化処理されたシリカ微粒子(A)、平均一次粒子径が20nm超過50nm以下であり、シランカップリング剤で疎水化処理されたシリカ微粒子(B)、及びアミノシラン化合物で疎水化処理された酸化チタン微粒子(C)を併用して用いることを特徴とする正帯電性トナーが開示されている。
特許文献2では、外添剤として、平均一次粒子径が5nm以上20nm以下であり、帯電量が1〜2000μC/gである正帯電性の無機微粒子、及び平均一次粒子径が20nm超過50nm以下である無機微粒子を併用して用いることを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているトナーでは、初期印字性能及び/又は耐久印字性能を改善する試みはなされているものの、多枚数の連続印刷を行なった際、トナー粒子に、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)を保持させることができず、カブリ、及び印字ムラ等による画質の劣化が生じる虞があり、耐久印字性能を向上させるためのさらなる検討が必要と考えられる。
特開2006−184638号公報 特開2006−235527号公報
本発明の目的は、トナー粒子の表面に対して、外添剤の凝集体の形成を抑え、外添剤を均一に付着添加(外添)でき、帯電立ち上がりが良好で、初期印字性能に優れると共に、多枚数の連続印刷を行なっても、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)を保持でき、カブリ、及び印字ムラ等による画質の劣化が起こり難く耐久印字性能にも優れる静電荷像現像用正帯電性トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、外添剤として、粒径が異なり、且つブローオフ帯電量が異なる、特定の特性を有する無機微粒子(A)及び(B)を併用して用いることにより、トナー粒子の表面に対して、当該外添剤の凝集体の形成を抑え、当該外添剤を均一に付着添加(外添)させて、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与でき、帯電立ち上がりが良好で、初期カブリ等が起り難く初期印字性能に優れると共に、多枚数の連続印刷を行なっても、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)を保持でき、カブリ、及び印字ムラ等による画質の劣化が起こり難く耐久印字性能にも優れることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、着色剤及び結着樹脂を含んでなる着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
上記外添剤として、
個数平均一次粒径が25〜70nmであり、ブローオフ帯電量が50〜200μC/gである無機微粒子(A)、及び
個数平均一次粒径が5〜20nmであり、ブローオフ帯電量が600〜1000μC/gである無機微粒子(B)を用いることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナーである。
本発明においては、前記着色樹脂粒子が、ガラス転移温度が60〜100℃の正帯電制御樹脂を含有することが好ましい。
本発明においては、前記無機微粒子(A)が、アミン系の疎水化処理剤で表面処理したシリカ微粒子であることが好ましい。
本発明においては、前記無機微粒子(A)、及び無機微粒子(B)の含有量が、着色樹脂粒子100重量部に対してそれぞれ0.5〜3.0重量部、及び0.4〜2.0重量部であることが好ましい。
本発明においては、前記着色樹脂粒子の体積平均粒径が6〜11μmであり、平均円形度が0.975〜0.995であることが好ましい。
本発明においては、前記トナー表面をSEM観察したときに、当該トナー表面に存在する長径500nm以上の外添剤の凝集体が、トナー1粒子あたり5個以下であることが好ましい。
上記の如き本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーによれば、トナー粒子の表面に対して、外添剤の凝集体の形成を抑え、外添剤を均一に付着添加(外添)できるため、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与でき、帯電立ち上がりが良好で、初期カブリ等が起り難く初期印字性能に優れると共に、多枚数の連続印刷を行なっても、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)を保持でき、カブリ、及び印字ムラ等による画質の劣化が起こり難く耐久印字性能にも優れる静電荷像現像用正帯電性トナーを提供することにある。
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、着色剤及び結着樹脂を含んでなる着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
上記外添剤として、
個数平均一次粒径が25〜70nmであり、ブローオフ帯電量が50〜200μC/gである無機微粒子(A)、及び
個数平均一次粒径が5〜20nmであり、ブローオフ帯電量が600〜1000μC/gである無機微粒子(B)を用いることを特徴とするものである。
以下、本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーについて説明する。
本発明のトナーは、着色剤及び結着樹脂を含んでなる着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有しており、上記着色樹脂粒子は、必要に応じて帯電制御剤、離型剤等のその他の添加物を含有していてもよい。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。
本発明において、着色樹脂粒子の製造方法は、(A)重合法や(B)粉砕法が挙げられ特に限定されない。これらの方法により得られたトナーを、それぞれ重合トナー、粉砕トナーという。本発明のトナーとしては、重合トナーがミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つことから好ましい。上記重合法としては、乳化重合凝集法、分散重合法、懸濁重合法などが挙げられ、懸濁重合法が好ましい。
重合法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
(A)重合法
(1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、さらに必要に応じて帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行なう。
本発明において重合性単量体とは、重合可能な化合物をいう。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
重合性単量体の一部として、ホットオフセット改善のために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の、芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の、ポリアルコールの不飽和カルボン酸ポリエステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、トナーの保存性と低温定着性とのバランスが良好になるため、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることが好ましい。マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有するもので、数平均分子量が、通常1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTg(ガラス転移温度)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
本発明において、ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、それぞれの着色剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いても良く、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、結着樹脂(又は重合性単量体)との相溶性が高く、安定した帯電性をトナー粒子に付与させることができるので、帯電制御樹脂を添加することが好ましい。帯電制御樹脂は、正帯電性の正帯電制御樹脂と負帯電性の負帯電制御樹脂とに大別されるが、本発明においては、正帯電性トナーを得る観点から、正帯電制御樹脂を添加することが好ましい。
正帯電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60〜100℃であることが好ましく、70〜95℃であることがより好ましく、75〜85℃であることがさらに好ましい。なお、Tgは、示差走査熱量計によって測定される値である。
正帯電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)が、上記範囲未満である場合には、トナーの保存性と定着性とのバランスをとることが難しくなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、正帯電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)が、上記範囲を超える場合には、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に十分に保持させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の帯電制御樹脂としては、上記特定のガラス転移温度(Tg)を有する正帯電制御樹脂であることが好ましく、種々の市販品を用いることができ、例えば、藤倉化成社製としては、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御樹脂を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステルやジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。中でもトナーの低温定着性を向上させ、印字耐久性を悪化させないことから、多価アルコールエステル化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N、N'−ジメチル−N、N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、N、N'−ジオクタデシル−N、N'−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
上記(1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明において、水系分散媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。
本発明において、水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。
上記分散安定化剤の中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、特に、高温高湿下の画像品質を悪化させないので好ましい。
上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに0.2〜10重量部であることがより好ましい。また、分散安定化剤の添加量は、水系分散媒体100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、さらに0.2〜5重量部であることがより好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系分散媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、さらに好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは1.0〜10重量部である。
(3)重合工程
上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
本発明における重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、本発明における重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行ないながら重合反応を進行させてもよい。
本発明において、重合工程により得られる着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。
コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上記コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、メチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
本発明において用いるシェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
コアシェル型のシェル層の厚さは、5〜40nmであることが好ましく、10〜20nmであることがより好ましく、12〜18nmであることがさらに好ましい。
なお、シェル層の厚さは、下記計算式1によって算出される値である。
シェル層の厚さが、上記範囲未満である場合には、画質の劣化が起こり易くなり、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シェル層の厚さが、上記範囲を超える場合には、トナーの定着性が低下する場合がある。
Figure 0004985019
(4)洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程
上記(3)重合工程後に得られる着色樹脂粒子の水分散液は、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なわれることが好ましい。
なお、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作の前に、着色樹脂粒子の水分散液について、着色樹脂粒子から揮発性物質(主にエーテル成分、及びスチレン)を除去する目的で、ストリッピング処理工程を設けてもよい。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液中に残存する分散安定化剤を除去するために、着色樹脂粒子の水分散液に、酸又はアルカリを添加し洗浄を行なう。
使用した分散安定化剤が、酸に可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、一方、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へアルカリを添加する。
分散安定化剤として、酸に可溶な無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、pHを6.5以下に調整することが好ましい。より好適にはpH6以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸等の有機酸を用いることができるが、分散安定化剤の除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
先ず、着色剤、結着樹脂、さらに必要に応じて帯電制御剤やその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる着色剤及び結着樹脂、並びに帯電制御剤やその他の添加物は、前述の(A)重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
(5)着色樹脂粒子
前述の(A)重合法又は(B)粉砕法により着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
本発明の着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは、画像再現性の観点から、6〜11μmであることが好ましく、6〜9μmであることがより好ましく、7〜8μmであることがさらに好ましい。
本発明の着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなる場合がある。一方、本発明の着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲を超える場合には、得られる画像の解像度が低下する場合がある。
また、本発明の着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比である粒径分布(Dv/Dp)は、画像再現性の観点から、1.5以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。
本発明の着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dp)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなる場合がある。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、及び個数平均粒径Dpは、例えば、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.975〜0.995であることが好ましく、0.980〜0.995であることがより好ましく、0.985〜0.995であることがさらに好ましい。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.6μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式2よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式3より平均円形度(Ca)を求める。
計算式2:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 0004985019
上記計算式3において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子の平均円形度が上記範囲未満の場合、印字の細線再現性が悪くなる虞がある。
(6)外添工程
本発明では、前述の(A)重合法または(B)粉砕法により得られる着色樹脂粒子を、特定の特性を有する外添剤と共に、攪拌機を用いて混合攪拌することによって外添処理を行ない、着色樹脂粒子の表面に、当該外添剤を均一に付着添加(外添)させることができる。
本発明では、外添剤として、下記特定の特性(粒径が大きく、ブローオフ帯電量が小さい)を有する無機微粒子(A)、及び下記特定の特性(粒径が小さく、ブローオフ帯電量が大きい)を有する無機微粒子(B)を併用して用いる。
本発明の外添処理に用いる攪拌機としては、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、メカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機が挙げられる。
本発明の外添処理の方法としては、着色樹脂粒子と外添剤とを、一度に全て攪拌機に入れ、混合攪拌して外添処理を行なってもよいが、先ず、着色樹脂粒子と粒径の大きい外添剤(無機微粒子(A))とを、攪拌機に入れ、混合攪拌して外添処理を行なった後に、より粒径の小さい外添剤(無機微粒子(B))を攪拌機に入れ、混合攪拌して外添処理を行なうこともできる。
無機微粒子(A)の個数平均一次粒径は、25〜70nmであり、30〜50nmであることが好ましく、35〜45nmであることがより好ましい。
無機微粒子(A)の個数平均一次粒径が、上記範囲未満である場合には、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に十分に保持させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、無機微粒子(A)の個数平均一次粒径が、上記範囲を超える場合には、流動性をトナー粒子に十分に付与させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
無機微粒子(B)の個数平均一次粒径は、5〜20nmであり、7〜15nmであることが好ましく、9〜12nmであることがより好ましい。
無機微粒子(B)の個数平均一次粒径が、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子の表面に、無機微粒子(B)が埋没してしまう等の不具合が生じ易くなり、外添剤としての機能が低下し、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、無機微粒子(B)の個数平均一次粒径が、上記範囲を超える場合には、流動性をトナー粒子に十分に付与させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
無機微粒子(A)のブローオフ帯電量は、50〜200μC/gであり、75〜150μC/gであることが好ましく、90〜120μC/gであることがより好ましい。なお、ブローオフ帯電量は、ブローオフ法によってブローオフ帯電量測定装置を用いて測定される値である。
無機微粒子(A)のブローオフ帯電量が、上記範囲未満である場合には、安定した帯電性(帯電安定性)を、トナー粒子に十分に保持させることができず、帯電立ち上がりが悪くなり、初期カブリ等が起り易くなり、初期印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、無機微粒子(A)のブローオフ帯電量が、上記範囲を超える場合には、トナー粒子の表面に形成される外添剤の凝集体が増加し易くなり、印字ムラが発生する場合がある。
無機微粒子(B)のブローオフ帯電量は、600〜1000μC/gであり、700〜900μC/gであることが好ましく、750〜850μC/gであることがより好ましい。
無機微粒子(B)のブローオフ帯電量が、上記範囲未満である場合には、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)を、トナー粒子に十分に保持させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、無機微粒子(B)のブローオフ帯電量が、上記範囲を超える場合には、トナー粒子の表面に形成される外添剤の凝集体が増加し易くなり、印字ムラが発生する場合がある。
本発明において、外添剤として用いる無機微粒子(A)及び(B)は、上記特定の個数平均一次粒径、及びブローオフ帯電量を有する無機微粒子であれば特に限定されず、種々の市販品をそのまま用いることができる。
一方、無機微粒子(A)及び/又は(B)が、上記特定の個数平均一次粒径を有しているが、上記特定のブローオフ帯電量を有していない場合であっても、種々の市販品を後述の疎水化処理剤を用いて表面処理することによって、本発明で特定するブローオフ帯電量に調節して用いることができる。
無機微粒子(A)として用いることができる種々の市販品として、例えば、日本アエロジル社製としては、AEROSIL 50(:商品名、気相法シリカ微粒子、個数平均一次粒径:30nm)、AEROSIL NA50H(:商品名、気相法シリカ微粒子、個数平均一次粒径:30nm、ブローオフ帯電量:150μC/g);クラリアント社製としては、HDK H05TA(:商品名、気相法シリカ微粒子、個数平均一次粒径:50nm、ブローオフ帯電量:50μC/g);等が挙げられる。
無機微粒子(B)として用いることができる種々の市販品として、例えば、キャボット社製としては、TG820F(:商品名、シリカ微粒子、個数平均一次粒径:12nm、ブローオフ帯電量:800μC/g);クラリアント社製としては、HDK H2150VP(:商品名、シリカ微粒子、個数平均一次粒径:12nm、ブローオフ帯電量:610μC/g);等が挙げられる。
本発明において、外添剤として用いる無機微粒子(A)及び(B)は、疎水化処理剤で表面処理した無機微粒子であることが好ましい。特に、無機微粒子(A)は、アミン系の疎水化処理剤で表面処理したシリカ微粒子であることが好ましい。
アミン系の疎水化処理剤として、具体的には、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物;ジメチル(アミノエチルアミノプロピル)メチルシロキサン、ジメチル(アミノエチルアミノプロピル)エチルシロキサン、ジアミノプロピルテトラメチルジシロキサン、ジメチル(アミノエチルアミノプロピル)メチルシクロシロキサン等のアミノ変性シリコーンオイル;等が挙げられ、1種あるいは2種以上含有してもよい。
アミン系の疎水化処理剤の添加量は、無機微粒子(A)100重量部に対して、10〜50重量部であることが好ましく、15〜35重量部であることがより好ましく、20〜30重量部であることがさらに好ましい。
本発明において、無機微粒子(A)及び/又は(B)は、正帯電性トナーが得られ易いことから、上述のアミン系の疎水化処理剤を用いて表面処理することが好ましいが、必要に応じてその他の疎水化処理剤と組み合わせて用いてもよい。
その他の疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等のシランカップリング剤;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイル;等が挙げられ、1種あるいは2種以上含有してもよい。
本発明の疎水化処理剤を用いて表面処理する方法としては、例えば、外添剤を撹拌しながら、疎水化処理剤を滴下または噴霧して表面処理を行なう方法、疎水化処理剤を有機溶媒に溶解して当該有機溶媒を攪拌しながら、外添剤を加えて表面処理を行なう方法が挙げられる。なお、前者の方法では、疎水化処理剤を有機溶媒等で希釈して用いてもよい。
無機微粒子(A)の疎水化度は、50〜99%であることが好ましく、70〜97%であることがより好ましく、85〜95%であることがさらに好ましい。
無機微粒子(A)の疎水化度が、上記範囲未満である場合には、特に高温高湿環境下において、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることが難しく、カブリが発生し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、無機微粒子(A)の疎水化度が、上記範囲を超える場合には、特に低温低湿環境下において、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることが難しく、印字濃度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
無機微粒子(B)の疎水化度は、50〜99%であることが好ましく、70〜97%であることがより好ましく、85〜95%であることがさらに好ましい。
無機微粒子(B)の疎水化度が、上記範囲未満である場合には、特に高温高湿環境下において、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることが難しく、カブリが発生し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
一方、無機微粒子(B)の疎水化度が、上記範囲を超える場合には、特に低温低湿環境下において、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることが難しく、印字濃度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
無機微粒子(A)の添加量は、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.5〜3.0重量部であることが好ましく、1.0〜2.5重量部であることが好ましく、1.2〜2.0重量部であることがさらに好ましい。
上記無機微粒子(A)の添加量が、上記範囲未満である場合には、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)を、トナー粒子に十分に保持させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記無機微粒子(A)の添加量が、上記範囲を超える場合には、トナー粒子の表面から、無機微粒子(A)が遊離してしまう等の不具合が生じ易くなる一方で、トナー粒子の表面では、外添剤の凝集体が形成し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
無機微粒子(B)の添加量は、着色樹脂粒子100重量部に対して、0.4〜2.0重量部であることが好ましく、0.5〜1.2重量部であることがより好ましく、0.7〜1.0重量部であることがさらに好ましい。
上記無機微粒子(B)の添加量が、上記範囲未満である場合には、流動性及び保存性をトナー粒子に十分に付与させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記無機微粒子(B)の添加量が、上記範囲を超える場合には、トナー粒子の表面から、無機微粒子(B)が遊離してしまう等の不具合が生じ易くなる一方で、トナー粒子の表面では、外添剤の凝集体が形成し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において用いる外添剤は、上記特定の特性を有する無機微粒子(A)及び(B)であるが、必要に応じてその他の外添剤を用いてもよい。
その他の外添剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等の無機微粒子;メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、メラミン樹脂、及びコアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子等の有機樹脂粒子;等が挙げられる。
(7)トナー
上記(6)の工程を経て得られるトナーは、外添剤として、上記特定の特性を有する無機微粒子(A)及び(B)を併用して用いることにより、トナー粒子(着色樹脂粒子)の表面に、当該外添剤の凝集体が形成する不具合を抑えることができる。
トナー粒子の表面をSEM観察したときに、当該トナー粒子の表面に存在する長径500nm以上の外添剤の凝集体の個数は、トナー1粒子あたり5個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
上記外添剤の凝集体の個数が、上記範囲を超える場合には、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に十分に保持させることができず、画質の劣化が起こり易くなり、耐久印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
また、上記(6)の工程を経て得られるトナーは、外添剤として、上記特定の特性を有する無機微粒子(A)及び(B)を併用して用いることにより、トナー粒子(着色樹脂粒子)の表面に、当該外添剤を均一に付着添加(外添)させて、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができ、帯電立ち上がりが良好で、初期カブリ等が起り難く初期印字性能に優れるトナーである。さらに、多枚数の連続印刷を行なっても、経時的に安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に保持させることができ、カブリ、印字ムラ等による画質の劣化が起こり難く耐久印字性能にも優れるトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)外添剤
(1−1)個数平均一次粒径
測定試料(無機微粒子(A)又は(B))の個数平均一次粒径は、各粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置(ニレコ社製、商品名:ルーゼックスIID)により、フレーム面積に対する粒子の面積率:最大2%、トータル処理粒子数:100個の条件で粒子の投影面積に対応する円相当径を算出し、その算術平均の値を求めた。
(1−2)ブローオフ帯電量
標準キャリアとしてフェライトキャリア(パウダーテック社製、商品名:EF−80B2)を用い、測定試料(無機微粒子(A)又は(B))の濃度が0.2重量%となるようにガラス容器に秤量した後、当該ガラス容器を30分間振盪して測定試料の混合物を作製した。
当該測定試料混合物の約0.2gを精秤し、ブローオフ帯電量測定装置(京セラケミカル社製、商品名:TB−200)を用いて、窒素ガス圧0.1MPaで60秒間ブローオフして、測定試料混合物の帯電量(μC)を測定した。
測定試料(無機微粒子(A)又は(B))の帯電量は、測定試料混合物の帯電量の測定値を、精秤した測定試料混合物の重量で除し、さらに測定試料の濃度で除して、下記計算式4により単位重量当たりの帯電量に換算して求めた。
Figure 0004985019
(1−3)凝集体の観察
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S−4800)を用いて、1個のトナー粒子の表面を観察し、当該トナー粒子の表面上に存在する、長径500nm以上の大きさを有する外添剤の凝集体の個数をカウントした。
上記トナー粒子の表面の観察を、20個のトナー粒子について行ない、トナー1粒子あたりに存在する、外添剤の凝集体の平均個数を算出した。
(2)着色樹脂粒子
(2−1)体積平均粒径Dv、及び粒径分布Dv/Dp
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、更に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用い、アパーチャー径:100μm、媒体:アイソトンII、測定粒子個数:100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dpを測定し、粒径分布Dv/Dpを算出した。
(2−2)平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.02mlを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)を約0.02g秤量して加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。
測定時の着色樹脂粒子の濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径のトナー粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−1000)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(3)トナーの帯電安定性
標準キャリアとしてフェライトキャリア(パウダーテック社製、商品名:EF−80B2)を用い、測定試料(トナー)の濃度が5重量%となるようにガラス容器に秤量した後、当該ガラス容器を所定時間振盪して現像剤を作製した。
当該現像剤の約0.2gを精秤し、ブローオフ帯電量測定器(京セラケミカル社製、製品名:TB−200)を用いて、窒素ガス圧0.1MPaで30秒間ブローオフして、現像剤の帯電量(μC)を測定した。
なお、現像剤の帯電量(μC)の測定は、上記ガラス容器を5分間振盪して作製した現像剤の帯電量と、10分間振盪して作製した現像剤の帯電量について測定した。
測定試料(トナー)の帯電量は、現像剤の帯電量の測定値を、精秤した現像剤の重量で除し、さらに測定試料の濃度で除して、下記計算式5により単位重量当たりの帯電量に換算して求めた。
Figure 0004985019
次に、上記換算して求めた測定試料の帯電量(5分間振盪)と測定試料の帯電量(10分間振盪)との差の絶対値を算出し、当該値をトナーの帯電安定性を判断する指標として用い、当該値が小さいほどトナーの帯電安定性が良好であるとした。
(4)印字試験
(4−1)初期印字試験
初期印字試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ22枚/1分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナー130gを充填した後、印字用紙をセットした。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で連続印字を行ない、10枚印刷時に初期カブリ値を測定した。
初期カブリ値を以下のように測定した。
10枚印刷時に、白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させ、印字用紙に貼り付けた。
次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示し、カブリ値が1.0以下であれば問題ない。
(4−2)耐久印字試験
耐久印字試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ22枚/1分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナー130gを充填した後、印字用紙をセットした。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で連続印字を行ない、1,000枚毎にカブリ値を測定した。
カブリ値が1以下の画質を維持できなくなったことが初めて認められたときの枚数(カブリ発生枚数)をカウントし、最大で15,000枚まで連続印字を行なった。
カブリ値は以下のように測定した。
1,000枚毎に白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
なお、表1中、カブリ発生枚数が、「15,000<」と記載されているものは、15,000枚の時点で、カブリ値が1以下の画質を維持できたことを示す。
(4−3)印字ムラ試験
印字ムラ試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ22枚/1分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナー130gを充填した後、印字用紙をセットした。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で連続印字を行ない、1,000枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)をして、黒ベタ画像に、目視で印字パターンに濃淡の差が初めて認められたときの枚数(印字ムラ発生枚数)をカウントし、最大で15,000枚まで連続印字を行なった。
なお、表1中、印字ムラ発生枚数が、「15,000<」と記載されているものは、15,000枚の時点で印字ムラが発生しなかったことを示す。
(1)無機微粒子(A)の製造方法
(1−1)無機微粒子(A)の製造例1
気相法シリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:AEROSIL 50、個数平均一次粒径:30nm)を、反応槽に入れて窒素雰囲気下で撹拌しながら、当該シリカ微粒子100gに対して、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBE903)2.5g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM603)2.5g、及びジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、商品名:KF96)15gの混合溶液をスプレーし、200℃で60分加熱撹拌した後に冷却して、製造例1の無機微粒子(A1)(個数平均一次粒径:30nm、ブローオフ帯電量:100μC/g)を製造した。
(1−2)無機微粒子(A)の製造例2
上記混合溶液のうち、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBE903)の添加量を、1.5gに変更したこと以外は、上記製造例1と同様にして製造例2の無機微粒子(A2)(個数平均一次粒径:30nm、ブローオフ帯電量:60μC/g)を製造した。
(実施例1)
コア用重合性単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.25部、シアン着色剤として銅フタロシアニン顔料(大日本インキ社製、商品名:CTBX121)5部、及び正帯電制御樹脂(スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成社製、商品名:FCA−161P、Tg=65℃)0.5部を、通常の攪拌翼を有する攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機により、均一に分散させた。ここに、離型剤として脂肪酸エステルワックス(日本油脂社製、商品名:WEP−7)5部を添加し、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。
他方、25℃の温度下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.6部を溶解した水溶液を攪拌しながら、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)5.8部を溶解した水溶液を、徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
なお、得られた水酸化マグネシウムコロイドの粒径分布を、粒径分布測定器(島津製作所社製、商品名:SALD)を用いて測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.26μm、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.80μmであった。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、25℃の温度下で、上記コア用重合性単量体組成物を投入し、通常の攪拌翼を有する攪拌装置により、生成する粗い液滴が安定するまで撹拌し、そこに重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーヘキシルO)4.5部、分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)1.0部、及び架橋性重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加し、高速剪断攪拌機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高速剪断攪拌して重合性単量体組成物の液滴形成を行なった。
他方、25℃の温度下で、イオン交換水39.6部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)1.51部を溶解した水溶液を攪拌しながら、イオン交換水7.93部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)0.92部を溶解した水溶液を、徐々に添加して、予備投入分の水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
次に、攪拌翼を有する攪拌装置を備えた反応器を用意し、当該反応器の上部から、上記予備投入分の水酸化マグネシウムコロイド分散液を、噴霧器を通して、当該反応器内の壁、及び底部等の全面にわたって散布した。
なお、予備投入分の水酸化マグネシウムコロイド分散液の散布量は、反応器内の底部に溜まる程度の量を散布した。
上記により得られた重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、上記反応器の上部から反応器内に投入し、反応器の外部に接して設けられたジャケットに温水を通じることにより、反応器を加温し、重合性単量体組成物分散液の液温が90℃になるまで加温することにより、重合反応を開始させた。
重合反応を継続し、重合転化率が95%に達したときに、重合性単量体組成物分散液の液温を70℃に維持しながら、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート2部と、イオン交換水20部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名:VA−086)0.2部を添加した。
さらに、液温を90℃まで昇温し、当該液温を維持しながら3時間重合反応を継続した後、反応器の外部に接して設けられたジャケットに冷却水を通じることにより、液温が常温(約25℃)になるまで冷却を行ない、重合反応を停止し、pH9.0のコアシェル構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、気体を吹き込む方法により、図1に示すストリッピング処理システムにおいて、以下のようにストリッピング処理を行なった。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液4をイオン交換水で固形分濃度20%に希釈した後、蒸発器1に供給し、非シリコーン系消泡剤(サンノプコ社製、商品名:SNデフォーマー180)1部を蒸発器1に加えた。蒸発器1内に窒素ガスを吹き込み、蒸発器内の気相部を窒素ガスで置換した。
次いで、着色樹脂粒子の水分散液4を、撹拌翼を備えた攪拌機3を用いて、20rpmの回転数で撹拌しながら、蒸発器1の外部に接して設けられたジャケット2に温水を通じることにより、蒸発器1を加温し、着色樹脂粒子の水分散液4の液温が80℃になるまで加温した後、ブロワー6を起動して、窒素ガスの流量を調整し、着色樹脂粒子の水分散液中にガス吹き込み口が直管形伏の気体吹き込み管5から窒素ガスを吹き込んで、着色樹脂粒子から揮発性物質の除去(ストリッピング処理)を行なった。
上記ストリッピング処理は、蒸発器1内の着色樹脂粒子の水分散液4の液温が80℃、圧力48kPa、及び窒素ガス流量0.1L/(hr・kg)になるように調整し、着色樹脂粒子の水分散液4の泡レベルを90〜95%に維持しながら、6時間行なった。
6時間のストリッピング処理後、蒸発器1の外部に接して設けられたジャケット2に冷却水を通じることにより、着色樹脂粒子の水分散液4の液温が25℃になるまで冷却を行なった。
冷却後の着色樹脂粒子の水分散液は攪拌しながら、硫酸を加えてpHが4.5になるまで酸洗浄を行ない、濾過により、湿潤状態の着色樹脂粒子を分離(濾別)した。その後、イオン交換水500部を加えて、湿潤状態の着色樹脂粒子を再スラリー化し、これを再度濾別した。このスラリー化と濾別を5回繰り返し行なうことにより、湿潤状態の着色樹脂粒子を水洗した。水洗後の湿潤状態の着色樹脂粒子を、真空乾燥機の容器内に入れ、温度50℃、圧力4kPaの条件下で24時間乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
なお、得られた着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは7.5μmであり、粒径分布Dv/Dpは1.20、平均円径度は0.986であった。また、シェル用重合性単量体とコア粒子(シェルを形成する前の着色樹脂粒子)の粒径から算定したシェル層の厚さは20nm、球形度Sc/Srは1.2であった。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、無機微粒子(A)として製造例1で製造した無機微粒子(A1)(個数平均一次粒径:30nm、ブローオフ帯電量:100μC/g)2部、及び無機微粒子(B)としてシリカ微粒子(キャボット社製、商品名:TG820F、個数平均一次粒径:12nm、ブローオフ帯電量:800μC/g)0.8部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、周速45m/sで15分間混合攪拌して外添処理を行ない、実施例1の非磁性一成分静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
(実施例2)
外添剤として用いる無機微粒子(A)の種類を、製造例2で製造した無機微粒子(A2)(個数平均一次粒径:30nm、ブローオフ帯電量:60μC/g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例1)
外添剤として用いる無機微粒子(A)の種類を、シリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:NA50Y、個数平均一次粒径:30nm、ブローオフ帯電量:450μC/g)に変更し、無機微粒子(A)の添加量を1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例2)
外添剤として用いる無機微粒子(A)の種類を、ジメチルポリシロキサンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:RY50、個数平均一次粒径:40nm、ブローオフ帯電量:−220μC/g)に変更し、無機微粒子(A)の添加量を0.5部に変更し、且つ、外添剤として用いる無機微粒子(B)の種類を、シリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:RA200H、個数平均一次粒径:12nm、ブローオフ帯電量:480μC/g)に変更し、無機微粒子(B)の添加量を1.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のトナーを作製し、試験に供した。
(結果)
各実施例及び比較例で作製したトナーの試験結果を、表1に示す。
Figure 0004985019
(結果のまとめ)
表1に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
比較例1のトナーは、外添剤として本発明で特定した無機微粒子(A)を用いなかったことに起因し、トナー粒子の表面に対して、外添剤の凝集体が形成する不具合を抑えることができず、画質劣化が起こり易くなり、初期印字性能、及び耐久印字性能に劣ったトナーであった。
また、比較例2のトナーは、外添剤として本発明で特定した無機微粒子(A)及び(B)を用いなかったことに起因し、トナー粒子の表面に対して、外添剤の凝集体が形成する不具合を抑えることができず、比較例1のトナーよりもさらに画質劣化が起こり易くなり、初期印字性能、及び耐久印字性能に劣ったトナーであった。
これに対して、実施例1及び2のトナーは、外添剤として本発明で特定した無機微粒子(A)及び(B)を併用して用いたことに起因し、トナー粒子の表面に対して、当該外添剤の凝集体が形成する不具合を抑えることができ、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与でき、初期印字性能に優れると共に、耐久印字性能にも優れるトナーであった。
本発明の実施例で採用している、ストリッピング処理に用いるシステムを示す図である。
符号の説明
1 :蒸発器
2 :ジャケット
3 :攪拌翼を備えた攪拌機
4 :着色樹脂粒子の水分散液
5 :気体吹き込み管
6 :ブロワー
7 :ガス循環ライン
8 :凝縮器
9 :凝縮タンク
10:ガス循環ライン
11:揮発性物質除去装置
12:ガス循環ライン
13:ガス循環ライン
14:非接触型泡レベル計

Claims (6)

  1. 着色剤及び結着樹脂を含んでなる着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
    上記外添剤として、
    個数平均一次粒径が25〜70nmであり、ブローオフ帯電量が50〜200μC/gである無機微粒子(A)、及び
    個数平均一次粒径が5〜20nmであり、ブローオフ帯電量が600〜1000μC/gである無機微粒子(B)を用いることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナー。
  2. 前記着色樹脂粒子が、ガラス転移温度が60〜100℃の正帯電制御樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  3. 前記無機微粒子(A)が、アミン系の疎水化処理剤で表面処理したシリカ微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  4. 前記無機微粒子(A)、及び無機微粒子(B)の含有量が、着色樹脂粒子100重量部に対してそれぞれ0.5〜3.0重量部、及び0.4〜2.0重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  5. 前記着色樹脂粒子の体積平均粒径が6〜11μmであり、平均円形度が0.975〜0.995であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  6. 前記トナー表面をSEM観察したときに、当該トナー表面に存在する長径500nm以上の外添剤の凝集体が、トナー1粒子あたり5個以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
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