JP7006071B2 - 2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法に関する。
近年、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法において、長期にわたって安定した画質を確保することを目的として、小粒径トナーと、酸化チタン(チタニア)粒子により前処理したキャリアと、を用いた2成分現像剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007-219118号公報
しかしながら、特許文献1に記載のトナーとチタニア粒子により前処理したキャリアとを用いた現像剤の場合、長期保管後の帯電量低下が顕著となり、実使用において画質低下の問題が生じてしまう。これは、チタニアの帯電保持能力が低い事が要因と考えられる。
一方、本発明者らは、現像剤の帯電性を長期に渡って維持することを目的に、トナーと電荷保持能力が高いシリカ粒子により前処理したキャリアとを用いた現像剤を提案している(特願2017-120773号)。かかる発明によれば、帯電量を現像剤作製直後から長期に維持することができ、さらに使用後、長期に亘って安定して高画質を出力できるというものである。しかしながら、本発明者らは、当該発明に満足することなく、更に鋭意検討を重ねた結果、当該発明をもってしても、実使用において、現像器内の機械的ストレスによってキャリア表面が摩耗するため、キャリア表面のシリカは急激に減少し、近年の多数枚プリントの耐久性を求める市場要求に対して、安定した画像の出力が得られる(市場要求レベルには達している)ものの、より一層改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明の目的は、現像剤の帯電量を現像剤作製後から長期に維持しながら、実際の使用初期から長期に渡り安定して高画質を出力できる現像剤、およびその画像形成方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、キャリアにシリカ粒子を前処理したスターター現像剤と、キャリアにシリカ粒子が付着している補給現像剤とを用い、スターター現像剤のキャリアには、予め10~30nmのシリカ粒子が表面存在量(シリカ量)として1~10At.%存在し、補給現像剤のキャリアには、シリカ粒子が表面存在量として1~10At.%付着しているが、スターター現像剤のシリカ量と同等又はそれ以下とすることで、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る上記目的は、以下の手段により達成される。
1.スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤において、
前記スターター現像剤と補給現像剤とは、それぞれトナーとキャリアとを含み、
前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)は、表面に個数平均粒径が10~30nmのシリカ粒子が、下記式1-1の範囲で付着し、
前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)は、表面にシリカ粒子が、下記式1-2の範囲で付着し、かつ
前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と、前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子とが下記式2の関係式を満たすことを特徴とする2成分現像剤。
Figure 0007006071000001
(式中、S1、S2はXPSで測定されるSi元素濃度であり、S1はスターター現像剤のキャリア表面のシリカ量を表し、S2は補給現像剤のキャリア表面のシリカ量を表す。)。
2.前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子が、前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と同一であることを特徴とする上記1に記載の2成分現像剤。
3.前記キャリア(A)及び前記キャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子が表面処理剤により表面処理されており、当該シリカ粒子の表面処理剤がアルキル鎖長を有するシランカップリング剤であり、下記式3で表されることを特徴とする上記1または2に記載の2成分現像剤。
Figure 0007006071000002
(式中、Xは炭素数6~20のアルキル基、Rはそれぞれ独立してメチル基またはエチル基を示す。)。
4.前記トナーが少なくとも結着樹脂として非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、外添剤粒子として無機微粒子を含有することを特徴とする上記1~3の何れか1項に記載の2成分現像剤。
5.上記1~4の何れか1項に記載の2成分現像剤を用いた画像形成方法。
本発明の2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法によれば、スターター現像剤の帯電量を現像剤作製後から長期に維持することができ、さらに使用後、実際の使用初期から長期に渡り安定して高画質を出力できる。
シリカ粒子を、蒸気による気相法によって製造する製造設備の一例を示す概略図である。 現像剤中のキャリアの分離回収用装置の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
[I]2成分現像剤
本発明の第一実施形態は、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤において、
前記スターター現像剤と補給現像剤とは、それぞれトナーとキャリアとを含み、
前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)は表面に個数平均粒径が10~30nmのシリカ粒子が下記式1-1の範囲で付着し、
前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)は表面にシリカ粒子が下記式1-2の範囲で付着し、かつ
前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と、前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子とが下記式2の関係式を満たすことを特徴とするものである。本発明の現像剤が上記構成を有することにより、上記した発明の効果を有効に発現することができるものである。ここで、複写機に搭載する現像剤のことを「スターター現像剤」と呼び、現像剤の耐久を超えてサービスマンが新しいものに取り換えるものも含む。一方、近年は現像剤の耐久性向上を目的に補給用トナーにキャリアを混ぜて補給する方式があり、その場合の現像剤は補給用現像剤と呼ばれる。一般に、スターター現像剤はトナー濃度として5~10質量%程度であるが、補給用現像剤はトナー濃度が70~95質量%で少量のキャリアと多量のトナーで構成されているものになる。
Figure 0007006071000003
上記式中、S1、S2はXPSで測定されるSi元素濃度であり、S1はスターター現像剤のキャリア表面のシリカ量を表し、S2は補給現像剤のキャリア表面のシリカ量を表す。
なぜ、本発明の2成分現像剤により上記の効果が得られるのか、その発現機構や作用機構(メカニズム)については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
<スターター現像剤に関する内容(主に帯電量の放置変動を抑制)>
現像剤の長期に渡る帯電性の維持については、キャリア粒子表面のシリカ粒子との存在量(シリカ量)を調整することで、初期の帯電量を調整できるだけでなく、長期保管時の帯電性も維持できることを見出したものである。
これは、以下の様に考えている。2成分現像剤は、キャリア粒子とトナー粒子の接触摩擦混合により帯電する。キャリア表面に予め外添剤を付着させることで、疑似的にキャリアに外添剤が移行した状態を作り出し、キャリアの帯電量のレベルを調整することができる(スターター現像剤の作製)。
このスターター現像剤に、キャリア前処理としてチタニア粒子を用いた場合には、長期保管後の帯電量低下が大きくなってしまう。その要因としては、トナーと、チタニア粒子を予め処理したキャリアとを混合した場合では、トナー側にマイナスの電荷、キャリア側にプラスの電荷がそれぞれ発生し、一旦はそれぞれの電荷が保持されるが、チタニアの抵抗が低いために発生したトナー側のマイナス電荷とキャリア側のプラス電荷が再結合し、電荷を消失してしまうためと推察される(特許文献1:特開2007-219118号公報参照)。
そのため、現像剤を長期保管した場合、徐々に電荷を消失してしまいスターター現像剤としての帯電量が低下してしまう。抵抗の低いチタニア粒子がキャリアに付着している場合は、トナー側へチタニア粒子が移行するため、トナー自体の帯電性も下げてしまう。そのため、長期保管後に現像器に充填し撹拌しても、所望の帯電量に回復せず画像不良が出てしまう。
キャリアの前処理にチタニアよりも抵抗の高いシリカ粒子を用いることで、トナー側とキャリア側の電荷の再結合を抑制し、現像剤作製後から長期に渡って帯電量を維持することが可能となる。チタニアやアルミナと言ったトナーに使用される無機微粒子に対して、シリカは体積抵抗が高く、電荷保持能に優れているだけでなく、他の無機微粒子に比べて分散性が良いため、より均一にキャリア表面に分散でき、キャリアの帯電性を均一にできる。有機微粒子は、現像剤としての流動性を低下させるため好ましくない。
また、個数平均粒径10~30nmの比較的小粒径のシリカ(特に表面処理した疎水性シリカ)を用いることで、緻密にキャリア表面に分散することができ、湿度変化による影響も受け難くなるため、現像剤の長期保管性が更に優れるようになる。30nmより大きい粒子の場合、キャリア表面に付着させた粒子が、トナー側へ移行してしまい好ましくない。また、10nmよりも小さい粒子の場合は、前処理する際に粒子自体の解砕が進まず、かえって凝集体を形成してしまい、この場合も本来キャリア表面に付着させたい粒子がトナー側へ移行してしまい好ましくない。
スターター現像剤の初期のキャリアへの前処理量(外添剤量;予めキャリア表面に付着させるシリカ量)は、帯電レベルの調整および遊離シリカ粒子抑制の観点から、4At.%~8At.%が好ましい。
<補給現像剤に関する内容(主に帯電量の耐久変動を抑制)>
一方、使用初期からの帯電安定性に関しては補給現像剤が担う。長期保管時の帯電量低下を抑制するためにシリカを用いるが、初期からの使用においてスターター現像剤のキャリア表面のシリカは、現像機内での撹拌・画像出力によって、キャリア表面が摩耗するため急速に減っていき、補給現像剤の供給とともにあるキャリアの外添剤(シリカ粒子)の移行量に収束するものと推察される。画像出力の際に、現像器内に補給されるキャリア(補給現像剤)にも、シリカ粒子を付着させた状態としておくことで、帯電量分布の広がりを抑えることができるため、帯電量を安定にできると考えられる。長期に渡って帯電量を安定させるために、補給現像剤のキャリアの外添剤(シリカ粒子)量はスターター現像剤に比べて同等か、それより少ない方が良い。補給現像剤の現像器内でのスターター現像剤との混合性と、補給キャリアの帯電量レベルを高く持たせる観点から、1At.%~7At.%の範囲が好ましい。また、スターター現像剤と同一の外添剤(シリカ粒子)が付着することで、混合性が更に良化し、帯電量分布が狭まるため、より帯電量を安定して維持することができる。
以上のように、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤においては、スターター現像剤のキャリア表面及び補給現像剤のキャリア表面の各シリカ量とその大小関係、更にスターター現像剤のキャリア表面のシリカ粒子の粒径を調整することで、現像剤の帯電量を現像剤作製後から長期に維持しながら、実際の使用初期から長期に渡り安定して高画質を出力できる現像剤を提供できるため、上記の効果が得られるものである。
なお、上記の発現機構や作用機構(メカニズム)は推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の2成分現像剤を詳細に説明する。なお、本発明に係る2成分現像剤において、スターター現像剤と補給現像剤とは、それぞれトナーとキャリアとを含むものである。ここで、トナーは、「トナー母体粒子」を含有する。「トナー母体粒子」は、その表面に外添剤を外添(付着)することで、「トナー粒子」と称される。そして「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。以下、トナーと、キャリアとに分けて説明する。
まず、トナーに関しては、スターター現像剤、補給現像剤共に以下に説明するトナーから適宜選択して用いることができるが、スターター現像剤と補給現像剤とで同様のトナーを用いるのが好ましい。
≪トナー≫
本発明に係るトナーは、少なくとも結着樹脂として非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含み、外添剤粒子として無機微粒子を含有することが好ましい。これにより、トナー粒子を融けやすくし、定着時における省エネルギー化を達成することができる。
<トナー母体粒子>
トナー母体粒子とは、トナー粒子の母体を構成するものである。本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂として非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含み、必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他のトナー構成成分(内添剤)を含有してもよい。
本発明に係るトナー母体粒子の製造方法としては、特に限定されず、乾式でもよいが、水系媒体中で作製される湿式の製造方法(例えば、乳化凝集法など)がより好ましい。
〈結着樹脂(非晶性樹脂および結晶性樹脂)〉
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂(バインダー樹脂)として、非晶性樹脂および結晶性樹脂を含む。また、本発明の好ましい実施形態によれば、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを含む。結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性樹脂を用いることによって、そのシャープメルト性により、トナーの低温定着性を向上させることができ、トナー画像定着時の熱エネルギーを低減することができる。そうすることで、プリントスピードの高速化、紙種の拡大、環境負荷低減等の問題を解決することができる。
他方、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)とを混合して用いることにより、熱定着時に結晶性ポリエステル樹脂の融点を超えるときに結晶部分が融解し、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)とが相溶化することで低温定着化を図ることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は抵抗値が低いことからキャリア側の抵抗が低下すると、トナーの帯電量が低下し、カブリが生じて画質が低下してしまう場合がある。また感光体から転写媒体への転写率が低下し、あるいは、キャリア付着といった現象が生じるといった場合がある。これに対し、本発明によれば、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)とを混合して用いても、トナーの帯電量の低下を抑制し、カブリを防ぎ、画質の低下を抑制することができ、また感光体から転写媒体への転写率の低下を抑制し、あるいは、キャリア付着といった現象の発生を抑制することができる。このように、結晶性ポリエステル樹脂を使用したトナーではトナー側の抵抗値も低下し、帯電量を保持することが困難になるが、本発明によれば、帯電量の低下を抑制し、キャリア抵抗とトナー抵抗との両方が低くなることを防ぎ、耐久を通してキャリア抵抗値をコントロールすることができ、帯電量を保持することが可能となり、トナー画像定着時の熱エネルギーの低減と高品質の画像提供の両立が可能となる。
(結晶性樹脂)
結晶性樹脂とは、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂などが挙げられるが、帯電性や低温定着性の観点から、特に、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。よって、本発明の好ましい形態によれば、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂である。以下、結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
結晶性ポリエステル樹脂における『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10(℃)以内であることを意味する。一方、半値幅が10℃を超える樹脂や、階段状の吸熱量変化を示す、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂(無定形高分子)を意味する。
結晶性ポリエステル樹脂は、公知の触媒(例えば、オクチル酸スズ、チタンテトライソプロポキシド)を利用して、酸成分(例えば、下記の多価カルボン酸)と、アルコール成分(例えば、下記の多価アルコール)とを反応させる一般的なポリエステルの重合法によって製造され得る。
当該重合法の例には、直接重縮合およびエステル交換法が含まれ、当該重合法は、例えばモノマーの種類によって適宜に使い分けられる。
上記結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、180~250℃の重合温度で製造することができる。必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合で発生する水やアルコールを除去しながら上記モノマーを反応させる。モノマーが反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、例えば、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合すべき酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
また、その他の結着樹脂を含んでいてもよい。その他の結着樹脂を含む、結晶性ポリエステル樹脂としては、一部が変性された変性結晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。この「一部が変性された」とは、この結晶性ポリエステル樹脂を「結晶性ポリエステル重合セグメント」として「他の重合セグメント」を含み、当該「他の重合セグメント」として、ビニル重合セグメント、非晶性ポリエステル重合セグメントなどを含むことを言う。
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル重合セグメントと、他の重合セグメントとが化学結合している、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂である。かかる構成を有することによって、全体に占めるポリエステル重合セグメントの比率が減り、それによって水分吸着性を低減することができ、トナーの抵抗値低下を低減できる。なお、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂における他の重合セグメントは、5~30質量%の範囲内であることが好ましい。かかる範囲であることによって、水分吸着性の低減効果を効率よく発現させ、低温定着性を向上させることができる。
なお、本発明では、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、グラフト状のものだけでなく、ブロック状のものも含まれる。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、前記他の重合セグメントが、ビニル重合セグメントである。ビニル重合セグメントを有する樹脂成分は水分吸着性が小さいため、ビニル重合セグメントを有することによって、トナーの抵抗値低下を低減できる。
かような一部が変性された変性結晶性ポリエステル樹脂としては、例えばスチレン-(メタ)アクリル樹脂のセグメント(ビニル重合セグメント)を含む。
上記スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、ラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物のラジカル重合体の分子構造を有し、例えば、当該化合物のラジカル重合によって合成することが可能である。上記化合物は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、スチレンおよびその誘導体、ならびに、(メタ)アクリル酸およびその誘導体が含まれる。
上記スチレンおよびその誘導体の例には、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ラウリルスチレン、2,4-ジメチルスチレンおよび3,4-ジクロロスチレンが含まれる。
上記(メタ)アクリル酸およびその誘導体の例には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびメタクリル酸ジエチルアミノエチルが含まれる。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合重合生成物の分子構造を有し、例えば、これらの縮合重合によって合成することが可能である。
上記多価カルボン酸は一種でもそれ以上でもよい。当該多価カルボン酸の例には、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、二重結合を有するジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、これらの無水物、および、これらの低級アルキルエステルが含まれる。中でも、結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
上記脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)、1,14-テトラデカンジカルボン酸、および1,18-オクタデカンジカルボン酸が含まれる。
上記芳香族ジカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、およびメサコニン酸が含まれる。
上記二重結合を有するジカルボン酸の例には、マレイン酸、フマル酸、3-ヘキセンジオイック酸および3-オクテンジオイック酸が含まれる。中でも、コストの観点から、フマル酸またはマレイン酸が好ましい。
上記3価以上のカルボン酸の例には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、および、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、が含まれる。
上記多価アルコールは、一種でもそれ以上でもよい。当該多価アルコールの例には、脂肪族ジオールおよび3価以上のアルコールが含まれる。中でも、脂肪族ジオールが結晶性ポリエステル樹脂を得る観点から好ましく、特に、主鎖部分の炭素数が2~20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
当該脂肪族ジオールが、上記直鎖型脂肪族ジオールであると、ポリエステルの結晶性が維持され、当該ポリエステルの溶融温度の降下が抑えられる。このため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および低温定着性に優れる。また、実用上、材料を入手しやすい。これらの観点から、当該主鎖部分の炭素数は、5~14であることがより好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂の合成に好適に用いられる脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオールおよび1,14-エイコサンデカンジオールが含まれる。中でも、入手容易性の観点から、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオールまたは1,10-デカンジオールが好ましい。
上記3価以上のアルコールとの例には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが含まれる。
なお、上記スチレン-(メタ)アクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。以下も同様である。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2-ビス-(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス-(t-ブチルパーオキシ)トリアジン等が挙げられる。
結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)の割合は、トナーを構成する樹脂全量に対して5~20質量%であることが好ましい。結晶性樹脂の割合が5質量%以上であれば、低温定着性に優れたものが得られる。また、結晶性樹脂の割合が20質量%以下であれば、トナーが作製し易い点で優れている。
(非晶性樹脂)
非晶性樹脂は、特に限定されるものではないが、当該樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。なお、DSC測定において1度目の昇温過程におけるガラス転移温度をTg1とし、2度目の昇温過程におけるガラス転移温度をTg2としたとき、上記非晶性樹脂のTg1が、35~80℃であることが好ましく、特に45~65℃であることが好ましい。また、上記非晶性樹脂のTg2は20~70℃であることが好ましく、特に30~55℃であることが好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg1およびTg2)は、非晶性樹脂(特に非晶性ポリエステル樹脂)のTgは、ASTM D3418に準拠して、示差走査熱量測定装置を用いて得ることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/分で昇温し、200℃で5分間ホールドし、200℃から0℃まで液体窒素を用いて-10℃/分で降温し、0℃で5分間ホールドし、再度0℃から200℃まで10℃/分で昇温を行う。2度目の昇温時の吸熱曲線から解析をおこない、非晶性樹脂(特に非晶性ポリエステル樹脂)のオンセット温度をTgとする。
非晶性樹脂は、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂などであってもよい。さらに、非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂であってもよく、非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、下記の、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。
また、その他の結着樹脂を含んでいてもよい。その他の結着樹脂を含む、非晶性ポリエステル樹脂としては、一部が変性された変性非晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。この「一部が変性された」とは、この非晶性ポリエステル樹脂を「非晶性ポリエステル重合セグメント」として「他の重合セグメント」を含み、当該「他の重合セグメント」として、ビニル重合セグメント、結晶性ポリエステル重合セグメントなどを含むことを言う。
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記非晶性ポリエステル樹脂が、非晶性ポリエステル重合セグメントと、他の重合セグメントとが化学結合している、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂である。かかる構成を有することによって、全体に占めるポリエステル重合セグメントの比率が減り、それによって水分吸着性を低減することができ、トナーの抵抗値低下を低減できる。なお、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂における他の重合セグメントは、5~30質量%の範囲内であることが好ましい。かかる範囲であることによって、水分吸着性の低減効果を効率よく発現させ、低温定着性を向上することができる。
なお、本発明では、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂は、グラフト状のものだけでなく、ブロック状のものも含まれる。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、前記他の重合セグメントが、ビニル重合セグメントである。ビニル重合セグメントを有する樹脂成分は水分吸着性が小さいため、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、ビニル重合セグメントを有することによってトナーの抵抗値低下を低減できる。
かような一部が変性された変性非晶性ポリエステル樹脂としては、例えばスチレン-(メタ)アクリル樹脂のセグメント(ビニル重合セグメント)を含む。
上記スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、ラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物のラジカル重合体の分子構造を有し、例えば、当該化合物のラジカル重合によって合成することが可能である。上記化合物は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、スチレンおよびその誘導体、ならびに、(メタ)アクリル酸およびその誘導体が含まれる。
上記スチレンおよびその誘導体の例には、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ラウリルスチレン、2,4-ジメチルスチレンおよび3,4-ジクロロスチレンが含まれる。
上記(メタ)アクリル酸およびその誘導体の例には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびメタクリル酸ジエチルアミノエチルが含まれる。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸;これらの無水物やこれらの低級(炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を含むことが望ましい。
多価カルボン酸としては、定着性を確保するため、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用してもよい。これら多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオールが挙げられる。これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール、脂環式ジオールが望ましく、より望ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、定着性を確保するため、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。これら多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記結着樹脂を合成する際のモノマー成分には、得られる樹脂の分子量を調整するための連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤は、一種でもそれ以上でもよく、本実施形態の効果を奏する範囲内において、上記の目的を達成可能な量で用いられる。当該連鎖移動剤の例には、2-クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t-ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン、および、スチレンダイマー、が含まれる。
非晶性樹脂の含有量としては、特に制限されるものではないが、画像強度の観点から、トナー母体粒子全量に対して、20~99質量%であると好ましい。さらに非晶性樹脂の含有量は、トナー母体粒子全量に対して30~95質量%であるとより好ましく、40~90質量%であると特に好ましい。なお、非晶性樹脂として2種以上の樹脂を含む場合は、これらの合計量が、トナー母体粒子全量に対して、上記含有量の範囲内であると好ましい。なお、離型剤を含有する非晶性樹脂を用いた場合でも、離型剤を含有する非晶性樹脂中の離型剤は、トナーを構成する離型剤の含有量に含めるものとする。
<他の構成成分(内添剤)>
本発明で用いられるトナーは、結晶性樹脂および非晶性樹脂を含む結着樹脂の他に、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤等の内添剤を含んでいてもよい。
<着色剤>
本発明のトナーが含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。
イエロートナー用のイエロー着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等、また、顔料としてC.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185等が使用可能で、これらの混合物も使用可能である。
マゼンタトナー用のマゼンタ着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等、顔料としてC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222等が使用可能で、これらの混合物も使用可能である。
シアントナー用のシアン着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等、顔料としてC.I.ピグメントブルー1、同7、同15:3、同18:3、同60、同62、同66、同76等が使用可能である。
グリーン用のグリーン着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントグリーン3、同5、同28等、顔料としてC.I.ピグメントグリーン7等が使用可能である。
オレンジトナー用のオレンジ着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントオレンジ63、同68、同71、同72、同78等、顔料としてC.I.ピグメントオレンジ16、同36、同43、同51、同55、同59、同61、同71等が使用可能である。
ブラックトナー用の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラック等が使用可能であり、カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用可能である。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが使用可能である。
着色剤の含有割合は、トナー中0.5~20質量%であることが好ましく、より好ましくは2~10質量%である。このような範囲であると画像の色再現性を確保できる。
また、着色剤の大きさとしては、体積平均粒径(体積基準のメジアン径)で、10~1000nmが好ましく、50~500nmがより好ましく、さらには80~300nmが特に好ましい。当該体積平均粒径は、カタログ値であってもよく、また、例えば着色剤の体積平均粒径(体積基準のメジアン径)は、「UPA-150」(マイクロトラック・ベル株式会社製)によって測定することができる。
<離型剤>
本発明に係るトナーには、離型剤を添加することができる。離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
トナー中における離型剤の含有割合としては、トナー全質量に対して2~30質量%の範囲内が好ましく、5~20質量%の範囲内がより好ましい。
<荷電制御剤>
また、本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加(内添)することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第四級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体などが挙げられる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂全量に対して0.1~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量%とされる。
<トナーの形態>
本発明に係るトナーの形態は特に制限されず、例えば、いわゆる単層構造(コアシェル型ではない均質な構造)であっても、コアシェル構造であっても、3層以上の多層構造であってもよい。
〔トナー母体粒子の体積基準のメジアン径〕
本発明のトナーを構成するトナー母体粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で2~8μmであることが好ましく、3~6μmであることがより好ましい。トナー母体粒子の体積基準のメジアン径が2μm以上であれば、十分な流動性が保持することができる点で優れている。またトナー母体粒子の体積基準のメジアン径が8μm以下であれば、高画質を保持することができる点で優れている。またトナー母体粒子の体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
<トナー母体粒子の体積基準のメジアン径の測定方法>
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定、算出されるものである。具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2~60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
またトナー母体粒子の体積基準のメジアン径の値は、外添剤が処理(外添)されたトナー試料から外添剤の分離処理を行い、それを試料とすることでも計測可能である。その場合、以下の方法で外添剤を分離することとする。
具体的にはトナー4gをポリオキシエチルフェニルエーテルの0.2質量%水溶液40gに濡れさせ、超音波式ホモジナイザー(例えば、US-1200T、日本精機社製;仕様周波数15kHz)にて、超音波エネルギーを本体装置に付属の振動指示値を示す電流計の値が60μA(50W)を示すように調整し30分間印加した後、孔径1μmのメンブランフィルタにて外添剤を洗い流し、そのフィルタ上のトナー成分を計測対象とする。
<トナーの外添剤>
トナーの流動性や帯電性などを制御する観点から、トナーは、外添剤を更に含むことが好ましい。このような外添剤は、トナー母体粒子の表面に添加(外添)されるものであり、公知の無機粒子や有機粒子などの外添剤粒子、滑剤などが含まれる。これらの外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明では、外添剤粒子として、無機粒子を含有するものである。これは、外添剤粒子として無機粒子を含有することで、酸化チタン、アルミナなどのトナーに使用される無機粒子に対して、本発明でキャリアの前処理に用いているシリカは体積抵抗が高く電荷保持能に優れているだけでなく、他の無機粒子に比べて分散性が良いため、より均一にキャリア表面に分散できキャリアの帯電性を均一にできるものである。
このような外添剤粒子として必須に用いられる無機粒子の例としては、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子などが含まれる。
このような外添剤粒子の個数平均一次粒径は、例えば、分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
上記外添剤粒子(特に無機粒子、なかでもシリカ粒子)は、その表面が表面処理剤(疎水化剤)により表面処理(疎水化処理)されていることが好ましい。これは、無機粒子、なかでもシリカ粒子自体が表面処理されていることで、水分を吸着しにくくなり帯電量低下をより効果的に抑制できるためである。当該表面処理には、公知の表面処理剤が用いられる。当該表面処理剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸、シリコーンオイル等が含まれる。
前記無機粒子は、スターター現像剤のキャリア表面に付着されているものと同じ個数平均粒径(例えば、個数平均粒径10~30nm)のシリカ粒子が好ましく、更に下記式4の範囲で付着しているのがより好ましい。すなわち、トナー側の帯電性維持という観点から、トナーの外添剤粒子である無機粒子として、キャリア側と同じサイズのシリカ粒子を含むことが好ましい。
Figure 0007006071000004
上記式中、S3はXPSで測定されるSi元素濃度であり、トナー表面のシリカ量を表す。
トナー表面に付着するシリカ粒子の個数平均粒径やキャリア表面のシリカ量は、以下の現像剤からのトナーの分離方法により、トナーを分離回収した後、以下に説明する「XPSによるトナー表面のシリカ粒子(外添剤粒子)の量(At.%)の測定」や「トナー表面のシリカ粒子(外添剤粒子)の粒径測定」に記載の方法より求めることができる。
〔現像剤からのトナーの分離方法〕
本発明に係る現像剤中のトナーの分離回収は、図2に示す装置を用いて行う。まず、精密天秤で計量した現像剤1gを導電性スリーブ31の表面全体に均一になる様に乗せる。バイアス電源33からスリーブ31に3kVの電圧を供給すると共に、導電性スリーブ31内に設けられたマグネットロール32の回転数を2000rpmにする。この状態で60秒間放置して、トナーを円筒電極34に収集し回収することで、現像剤からトナーを分離し、トナーを得ることができる。なお、60秒後にスリーブ31に残ったキャリアを回収することで、現像剤からキャリアを分離し、キャリアを得ることができる。
〔XPSによるトナー表面のシリカ粒子(外添剤粒子)の量(At.%)〕
上記現像剤からのトナーの分離方法により得られたトナー表面のシリカ粒子(外添剤粒子)の量(シリカ量(At.%))S3は、トナー側の帯電性維持という観点から、10At.%~14At.%であり、11At.%~13At.%が好ましい。シリカ粒子のトナー中の表面存在量(S3:トナー表面のシリカ量)が、10At.%以上であれば、トナーの表面抵抗が下がりすぎるのを防止し、帯電量の有効に保持することができる。またトナー耐熱保管性の観点でも好ましい。一方、シリカ粒子のトナー中の表面存在量(S3:トナー表面のシリカ量)が、14At.%以下であれば、トナーの抵抗が高くなりすぎるのを防止し、電荷保持に優れ、かつ現像性が低下するのを効果的に防止することができる。
〔XPSによるトナー表面のシリカ粒子の量(At.%)S3の測定〕
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のXPS分析装置K-αを用い、測定条件:計測する元素C、Si、Ti、Al、O、Zn、Fe、Mn、Mgに設定し、下記条件のもと表面元素分析を行う。これにより、XPSで測定されるSi元素濃度(現像剤のトナー表面のシリカ量)を求めることができる。
スポット径:400μm
Scan回数:15回
PASS Energy:50eV
解析方法:Smart法。
〔トナー表面のシリカ粒子(外添剤粒子)の粒径〕
トナー表面に付着させるシリカ粒子の個数平均粒径は、特に制限されるものではないが、スターター現像剤のキャリア表面に付着させるシリカ粒子と同じ10~30nmが好ましい。これは、キャリア側と同じ粒径のシリカ粒子を用いることで、耐久中にシリカ粒子がキャリア-トナー間で移行したとしても、帯電量の変化を抑制することができるようになるためである。上記シリカ粒子の個数平均粒径が30nm以下であれば、トナー表面に付着させたシリカ粒子が、キャリア側へ移行するのを防止することができる。また、上記シリカ粒子の個数平均粒径が10nm以上であれば、外添処理する際にシリカ粒子自体の解砕が進まずかえって凝集体を形成してしまうのを防止することができ、この場合も本来トナー表面に付着させたいシリカ粒子がキャリア側へ移行するのを防止することができる。上記観点からトナー表面に付着させるシリカ粒子の個数平均粒径は、10~30nmの範囲の粒子が含まれていることが好ましい。
このようなシリカ粒子(外添剤粒子)の個数平均粒径は、例えば、分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
〔トナー表面のシリカ粒子(外添剤)の粒径測定〕
トナーに付着してなるシリカ粒子の個数平均粒径は、以下のように測定されるものである。走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のトナー表面のシリカ粒子について2値化処理し、トナー表面のシリカ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。
トナー表面に付着させるシリカ粒子は、公知のものを使用できるが、本発明のトナー表面に付着させるシリカ粒子は製造方法としては、気相法が好ましい。
気相法で作製されたシリカ粒子は、球形化度が低い形状であるため、トナーに外添処理してシリカ粒子を付着させる際に1点ではなく複数個所で接触できる。よって、トナーから脱離しづらくなり、キャリア側へ移行してしまうことを抑制できるので好ましい。
気相法による製造方法とは、シリカ粒子の原料を、蒸気状態または粉体状態において高温火炎中に導入し、これらを酸化させてシリカ粒子を製造する方法である。シリカ粒子の原料としては、四塩化ケイ素などのハロゲン化ケイ素、または有機ケイ素化合物などが挙げられる。
また、蒸気による気相法によってシリカ粒子を製造する具体的な方法等の説明については、後述するキャリア表面に付着させるシリカ粒子の説明と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
また、シリカ粒子の表面処理剤(疎水化処理)に関する詳細な説明についても、後述するキャリア表面に付着させるシリカ粒子の説明と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
[他の外添剤]
本発明のトナーは、上記したシリカ粒子に加え、外添剤として、公知の他の外添剤をさらに含んでもよい。かような外添剤としては、たとえば、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子や、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物粒子などが挙げられる。これら無機粒子は、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上等のために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理、疎水化処理等が行われていてもよい。
上記外添剤の粒径は特に制限されないが、個数平均粒径が10~150nmであると好ましい。
また、他の外添剤として、後述するキャリア表面に付着させるシリカ粒子で説明する式3で表される表面処理剤以外の表面処理剤で表面処理されたシリカ粒子をさらに含んでいてもよい。かような表面処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これら表面処理剤は、単独でも、または2種以上混合しても用いることができる。
なかでも、外添剤の流動性が向上するという観点から、他の外添剤(表面処理されたシリカ粒子)としては、ヘキサメチルジシラザンで表面処理(疎水化処理)したシリカ粒子を用いると好ましい。これらの表面処理されたシリカ粒子の粒径は特に制限されないが、個数平均粒径が10~30nmであると好ましい。なお、上記個数平均粒径は、キャリア表面のシリカ粒子の粒径測定での説明と同様にして測定することができる。また、これらの他の外添剤(表面処理されたシリカ粒子)の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して、好ましくは0.1~1.0質量部である。
さらに、他の外添剤として、有機粒子も用いられうる。有機粒子としては、個数平均粒径が10~2000nm程度の球形の有機粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機粒子を使用することができる。
外添剤として滑材も用いられうる。滑材は、クリーニング性や転写性をさらに向上させる目的で使用されるものであって、具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩などの高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら他の外添剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、トナー中の外添剤の添加量は、特に制限されないが、トナーの全質量100質量%に対して、好ましくは0.1~10.0質量%であり、より好ましくは1.0~3.0質量%である。
外添剤の添加(外添)方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
<トナーの製造方法>
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、乳化重合凝集法(乳化重合会合法)、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、トナーの小粒径化や円形度の制御性の観点から、粉砕法よりも乳化重合会合法などのビルドアップ型の製造方法や、懸濁重合法などが好ましく、なかでも乳化重合凝集法や乳化凝集法をより好適に採用できる。
本発明に係るトナーの製造方法に好ましく用いられる乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう。)分散液及びワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、更に結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
また、本発明に係るトナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のトナーにおいては、どちらの製造方法も適用可能である。
本発明のトナーの製造方法として、乳化重合凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤の粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤(離型剤、荷電制御剤等)を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)乳化重合により、結着樹脂粒子の分散液を調製する工程
(4)着色剤粒子の分散液と、結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子と結着樹脂粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程。
乳化重合凝集法によってトナーを製造する場合においては、乳化重合法によって得られる結着樹脂粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよく、このような構成の結着樹脂粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化重合凝集法によってはコアシェル構造を有するトナー粒子を得ることもでき、具体的にコアシェル構造を有するトナー粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂粒子と着色剤粒子を凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
また、本発明のトナーの製造方法として、粉砕法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)結着樹脂、着色剤および必要に応じて内添剤をヘンシェルミキサーなどにより混合する工程
(2)得られた混合物を押出混練機などにより加熱しながら混練する工程
(3)得られた混練物をハンマーミルなどにより粗粉砕処理した後、更にターボミル粉砕機などにより粉砕処理を行う工程
(4)得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理しトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程。
〔トナー粒子の粒径〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3~8μmであることが好ましく、3~6μmであることがより好ましい。トナー粒子の粒径が3μm以上であれば、十分な流動性が保持することができる点で優れている。またトナー粒子の粒径が8μm以下であれば、高画質を保持することができる点で優れている。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー粒子の分散液を調製し、このトナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5~10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1~30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径を体積基準のメジアン径とする。
≪キャリア≫
本発明では、キャリアに関しても、スターター現像剤、補給現像剤共に以下に説明するキャリアから適宜選択して用いることができるが、スターター現像剤と補給現像剤とで同様のキャリアを用いるのが好ましい。但し、本発明では、上記したようにスターター現像剤のキャリア(A)と補給現像剤のキャリア(B)では、その表面に付着するシリカ粒子の付着量(シリカ量)に関して、後述する式1-1、式1-2の範囲でそれぞれ付着し、かつ後述する式2の関係式を満たす点など相違するため、これら相違点については、後述する。
キャリアは、磁性体により構成される。当該キャリアの例には、当該磁性体からなるコア材(キャリア芯材、キャリアコア、磁性体粒子とも称されている)と、その表面を被覆する被覆材(コート樹脂)の層(コート層)とを有する被覆型キャリア及び樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリアが含まれる。上記キャリアは、感光体へのキャリアの付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリアであることが好ましい。
<コア材>
・コア材の組成(構成材料)
本発明で用いられるコア材としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子またはそれらを樹脂中に分散したものを挙げることができる。好ましくはマグネタイトや各種フェライト系粒子である。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属及び/または第2族金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
また、コア材として、Sr(ストロンチウム)を含有することが好ましい。Srを含有することで、コア材の表面の凹凸を大きくすることができ、樹脂をコートしても、表面が露出しやすくなり、キャリアの抵抗を調整しやすくなる。
・コア材の形状係数
コア材の形状係数(SF-1)としては、110~150が好ましい。上記Srの量でも変えることは可能であるが、後述の製造過程の焼結温度を変えることでも調整は可能である。
以下、コア材の形状係数(SF-1)の測定法を示す。
コア材の形状係数(SF-1)とは、下記式5により算出される数値である。
Figure 0007006071000005
まず、コア材のSF-1測定法について説明する。コア材のSF-1の測定にあたっては、キャリアを準備するが、キャリア単体でなく現像剤である場合には、前準備を行う。
ビーカーに、現像剤、少量の中性洗剤、純水を添加してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨てる。さらに、純水を添加し上澄み液を捨てることで、トナーおよび中性洗剤を除くことで、キャリアのみを分離する。40℃にて乾燥し、キャリア単体を得るようにしてもよい。
続いて、コート層(被覆樹脂層、樹脂被覆層、被覆層)を溶媒に溶かして除去する。
詳しくは、キャリア2gを20mlのガラス瓶に投入し、次に、ガラス瓶にメチルエチルケトン15ml投入し、ウェーブロータで10分間攪拌し、溶媒にてコート層を溶解させる。磁石を用いて溶媒を除去し、さらにメチルエチケトン10mlにてコア材を3回洗浄する。洗浄したコア材を乾燥し、コア材を得る。なお、本発明では、キャリア表面に存在するシリカ粒子がコート層に付着しているため、上記中性洗剤による操作で除去できない場合、コート層を溶媒に溶かすことで、コア材と共にシリカ粒子も残る。このような場合には、再度、少量の中性洗剤、純水を添加してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨て、さらに純水を添加し上澄み液を捨てる操作を行い、コア材のみを分離し、乾燥することで、コア材を得るようにしてもよい。本発明におけるコア材とは、こうした前処理を行った後の粒子を指すものとする。
コア材を、走査型電子顕微鏡により、150倍にてランダムに100個以上の粒子の写真を撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて測定した。個数平均粒径は水平方向フェレ径の平均値として算出し、形状係数は、上記式5によって算出される形状係数SF-1の平均値によって算出される値とする。
・コア材の粒径と磁化
コア材の粒径としては、体積平均粒径で好ましくは10~100μm、より好ましくは20~80μmである。更に磁性体自体が有する磁化特性としては、飽和磁化で2.5×10-5~15.0×10-5Wb・m/kgGが好ましい。
以下、コア材の粒径と飽和磁化の測定法を示す。
コア材の体積平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により測定される体積基準の平均粒径である。飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257-35」(横河電気株式会社製)により測定される。
・コア材の作製法
原材料を適量秤量した後、湿式メディアミル、ボールミルまたは振動ミル等で好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1~20時間粉砕混合する。このようにして得られた粉砕物を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、好ましくは700~1200℃の温度で、好ましくは0.5~5時間仮焼成する。
加圧成型機を使用せずに、粉砕した後、水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化してもよい。仮焼成後、さらにボールミルまたは振動ミル等で粉砕した後、水、および必要に応じ分散剤、ポリビニルアルコール(PVA)等のバインダー等を添加して粘度調整をして造粒して、本焼成が行われる。本焼成の温度は、好ましくは1000~1500℃の温度であり、本焼成の時間は、好ましくは1~24時間である。仮焼成後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕してもよい。
上記のボールミルや振動ミル等の粉砕機は特に限定されないが、原料を効果的かつ均一に分散させるために、使用するメディアに1cm以下の粒径を有する微細なビーズを使用することが好ましい。また、使用するビーズの径、組成、粉砕時間を調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。
このようにして得られた焼成物を、粉砕し、分級する。分級方法としては、既存の風力分級法、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300~700℃で熱処理を行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm~5μmであることが好ましい。酸化被膜の厚さを前記範囲とすることで、酸化被膜層の効果が得られ、高抵抗になりすぎず所望の特性を得やすく好ましい。必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行ってもよい。また、分級の後、さらに磁力選鉱により低磁力品を分別してもよい。
<コート層>
・コート樹脂(被覆用樹脂)
本発明のキャリアのコート層形成に好適なコート樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン樹脂;塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体やスチレン-アクリル酸共重合体等の共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性樹脂(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性樹脂);ポリテトラクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロルトリフルロルエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素-ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等である。なお、好ましいのは、ポリアクリレート樹脂で、中でも脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を重合させて得られるものである。かような構成単位を含むことで、コート樹脂(コート層)の疎水性が高くなり、特に高温高湿下においてキャリア粒子の水分吸着量が減少する。ゆえに、高温高湿下でのキャリアの帯電量の低下が抑制される。また、当該構成単位は剛直な環状骨格を有するため、コート樹脂(コート層)の膜強度が向上し、キャリアの耐久性が良好となる。また、脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物とメタクリル酸メチルの共重合体がさらに好ましい。メタクリル酸メチルを用いることで、膜強度がより一層高くなるためである。
上記脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物は、機械的強度、帯電量の環境安定性(帯電量の環境差が小さい)、重合容易性および入手容易性の観点から、炭素数5~8のシクロアルキル基を有することが好ましい。脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物は、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチルおよび(メタ)アクリル酸シクロオクチルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。中でも、機械的強度および帯電量の環境安定性の観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを含むことが好ましい。
上記コート層形成に用いられるコート樹脂中、脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の構成単位の含有量は、10~100質量%であることが好ましく、20~100質量%であることがより好ましい。かような範囲であれば、キャリアの帯電量の環境安定性および耐久性が一層向上する。
コア材100質量部に対するコート樹脂の添加部数としては、1質量部以上5質量部以下が好ましい。1.5質量部以上4質量部以下がさらに好ましい。コート樹脂の添加部数が1質量部以上であれば、帯電量を有効に保持することができる。また、コート樹脂の添加部数が5質量部以下であれば、抵抗が高くなりすぎるのを防止することができる。
・コート方法
本発明のキャリアのコート層の具体的な作製法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について述べるが、乾式コート法は本発明に適用するのに特に望ましい方法であり、特に詳細に記載する。
(湿式コート法)
湿式コート法としては、下記のものがある。
(1)流動層式スプレーコート法
コート樹脂を溶剤に溶解した塗布液を、流動層を用いてコア材の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥してコート層を作製する方法;
(2)浸漬式コート法
コート樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に、コア材を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥してコート層を作製する方法;
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に、コア材を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い、コート層を作製する方法;などを挙げることができる。
(乾式コート法)
被覆しようとするコア材の表面にコート樹脂粒子(被覆用樹脂粒子)を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとするコア材表面に被着したコート樹脂粒子を溶融或いは軟化させて固着しコート層を作製する方法である。コア材、コート樹脂及び低抵抗粒子等を非加熱下、もしくは加熱下で機械的衝撃力が付与できる高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、コア材の表面に溶解あるいは軟化させて固着したキャリアを作製するのである。コート条件として、加熱する場合には、80~130℃が好ましく、衝撃力を起こす風速としては、加熱中は10m/s以上が好ましく、冷却時にはキャリア粒子同士の凝集を抑制するため5m/s以下が好ましい。衝撃力を付与する時間としては、20~60分が好ましい。
前述した、コート樹脂のコート工程もしくはコート後の工程において、キャリアにストレスを加えることでコア材の凸部のコート樹脂を剥がし、コア材を露出させる手法について説明する。乾式コート法でのコート樹脂のコート工程においては、加熱温度を60℃以下に低温化しつつ、冷却時の風速を高速せん断にすることで樹脂剥がれを生じさせることが出来る。また、コート後の工程としては、強制攪拌できる装置であれば可能であり、例えば、タービュラー、ボールミル、振動ミルなどで攪拌混合することが挙げられる。
次に、前述した、コート樹脂に熱及び衝撃を加え、コア材の凸部表面にあるコート樹脂を凹部側に移動させることでコア材を露出させる手法としては、衝撃力を付与する時間を長くとることが有効となる。具体的には、1時間半以上にすることが好ましい。
<キャリア特性>
・キャリアの抵抗
キャリアの抵抗は1.0×10~1.0×1011Ω・cmであることが好ましく、1.0×10~5.0×1010Ω・cmであることがより好ましい。キャリアの抵抗が1.0×10Ω・cm以上であれば、現像剤としての帯電した電荷がリークしやすくなるのを防止することができる。また、キャリアの抵抗が1.0×1011Ω・cm以下であれば、現像器内での撹拌時に帯電の立ち上がりが悪くなるのを防止することができる。
本発明のキャリアの抵抗とは、初期のキャリアの抵抗を示し、後述する「現像剤からのキャリアの分離方法」により、使用開始時の現像剤からトナーを分離したキャリアの抵抗のことである。抵抗測定は、後述する抵抗測定方法により行う。本発明におけるキャリア抵抗とは、磁気ブラシによる現像条件下に動的に測定される抵抗である。感光体ドラムと同寸法のアルミ製電極ドラムを感光体ドラムに置き換え、現像スリーブ上にキャリア粒子を供給して磁気ブラシを形成させ、この磁気ブラシを電極ドラムと摺擦させ、このスリーブとドラムとの間に電圧(500V)を印加して両者間に流れる電流を測定することにより、キャリアの抵抗を下記式(6)により求めた。
Figure 0007006071000006
本発明においては、V=500V、N=1cm、L=6cm、Dsd=0.6mmにて測定を行うものとする。
・キャリアの粒子径
キャリアの体積平均粒径としては10~100μmであることが好ましく、更に好ましくは20~80μmである。キャリアの体積平均粒径は、上述のように現像剤から分離したキャリア粒子を用いて測定を行うことが可能である。代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。なお、キャリアのコア材(キャリア芯材粒子)の体積平均粒径も、上記キャリアの体積平均粒径と同じ範囲でよいことから、製造時には、当該キャリアのコア材により粒度調整を行ってもよい(実施例参照)。
<キャリア表面に付着したシリカ粒子>
本発明において、スターター現像剤に含まれるキャリア(A)は表面に個数平均粒径が10~30nmのシリカ粒子が下記式1-1の範囲で付着し、前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)も表面にシリカ粒子が下記式1-2の範囲で付着し、かつスターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と、前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子とが下記式2の関係式を満たすことを特徴とするものである。かかる構成を有することにより、上記した発現機構ないし作用機構により、上記した発明の効果を奏し得るものである。
Figure 0007006071000007
上記式中、S1、S2はXPSで測定されるSi元素濃度であり、S1はスターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ量を表し、S2は補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ量を表す。
キャリア表面に付着するシリカ粒子の個数平均粒径やキャリア表面のシリカ量は、以下の現像剤からのキャリアの分離方法により、キャリアを分離回収した後、以下に説明する「XPSによるキャリア表面のシリカ粒子の量(At.%)の測定」や「キャリア表面のシリカ粒子の粒径測定」に記載の方法により求めることができる。
〔現像剤からのキャリアの分離方法〕
本発明に係る現像剤中のキャリア(スターター現像剤中のキャリア(A)や補給現像剤中のキャリア(B))の分離回収は、図2に示す装置を用いて行う。まず、精密天秤で計量した現像剤1gを導電性スリーブ31の表面全体に均一になる様に乗せる。バイアス電源33からスリーブ31に3kVの電圧を供給すると共に、導電性スリーブ31内に設けられたマグネットロール32の回転数を2000rpmにする。この状態で60秒間放置して、トナーを円筒電極34に収集する。60秒後にスリーブ31に残ったキャリアを回収することで、現像剤からトナーを分離しキャリアを得ることができる。
〔XPSによるスターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ粒子の量S1(At.%)〕
上記現像剤からのキャリアの分離方法により得られた、スターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ粒子の量(シリカ量(At.%))S1は、本発明の効果を有効に発現させるために、上記式1-1の範囲である、1At.%~10At.%の範囲で付着している必要がある。これは、スターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ量S1が1At%未満だと、帯電レベルが所望の値よりも高くなり画質悪化を招くため好ましくなく、10At%を超えると、遊離シリカ量が増え、耐久時の帯電量変動が大きくなるため好ましくないためである。かかる帯電レベルの調整および遊離シリカ粒子抑制の点から、初期のキャリア(A)への前処理量である上記シリカ量S1は、好ましくは4At.%~8At.%の範囲であり、より好ましくは4At.%~7At.%の範囲である。
〔XPSによる補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ粒子の量S2(At.%)〕
本発明では、上記現像剤からのキャリアの分離方法により得られた、補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ粒子の量(シリカ量(At.%))S2は、本発明の効果を有効に発現させるために、上記式1-2の範囲である、1At.%~10At.%の範囲で付着している必要がある。これは、補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ量S2は、スターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ量S1と近い方が好ましく、1At%未満だとスターター現像剤に対してシリカ量が少ないキャリア(B)が、10At%を超える場合だとスターター現像剤に対してシリカ量が多いキャリア(B)が、新たに補給されることになるため、いずれの場合も帯電量分布が広がり、画質低下を招くため好ましくないためである。補給現像剤の現像器内でのスターター現像剤との混合性と、補給キャリアの帯電量レベルを高く持たせる観点から、補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ量S2は、好ましくは1At.%~7At.%の範囲であり、より好ましくは2At.%~7At.%の範囲である。
〔シリカ量S1とシリカ量S2との関係〕
本発明では、スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と、補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子とは、上記式2の関係式;S1≧S2を満たす必要がある。これは、上記した発現機構ないし作用機構により、上記した発明の効果を奏し得るためである。一方、S1<S2の場合、スターター現像剤よりもシリカ量の多いキャリア(B)が補給されると、帯電レベルが低下し、補給現像剤のキャリア(B)表面の減耗によりシリカ粒子の移行量が収束する間、徐々に帯電量が変動し続けるため好ましくない。さらに、上記した発明の効果をより顕著に奏するためには、S1とS2の差が小さい方がより好ましい。かかる観点から、S1とS2の差(S1-S2の値)は、0At.%~5At.%の範囲が好ましく、0At.%~4At.%の範囲がより好ましい。
〔XPSによるキャリア表面のシリカ粒子の量(At.%)の測定〕
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のXPS分析装置K-αを用い、測定条件:計測する元素C、Si、Ti、Al、O、Zn、Fe、Mn、Mgに設定し、下記条件のもと表面元素分析を行う。これにより、XPSで測定されるSi元素濃度(スターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ量S1、ないし補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ量S2)を求めることができる。
スポット径:400μm
Scan回数:15回
PASS Energy:50eV
解析方法:Smart法。
〔スターター現像剤のキャリア(A)表面のシリカ粒子の粒径〕
本発明において、スターター現像剤に含まれるキャリア(A)表面に付着されてなるシリカ粒子の個数平均粒径は10~30nmである。これは、個数平均粒径10~30nmの比較的小粒径の(疎水性)シリカ粒子を用いることで、緻密にキャリア(A)表面に分散することができ湿度変化の環境による影響も受けにくくなり2成分現像剤の長期保管性が優れるようになるためである。上記シリカ粒子の個数平均粒径が30nmより大きい粒子の場合、キャリア(A)表面に付着させたシリカ粒子が、トナー側へ移行してしまい好ましくない。また、上記シリカ粒子の個数平均粒径が10nmよりも小さい粒子の場合は、前処理(予めキャリア(A)表面にシリカ粒子を付着する処理)する際にシリカ粒子自体の解砕が進まずかえって凝集体を形成してしまい、この場合も本来キャリア(A)表面に付着させたいシリカ粒子がトナー側へ移行してしまい好ましくない。
〔補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ粒子の粒径〕
本発明において、補給現像剤に含まれるキャリア(B)表面に付着されてなるシリカ粒子の個数平均粒径は、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば特に制限されるものではないが、好ましくは10~30nmである。これは、個数平均粒径10~30nmの比較的小粒径の(疎水性)シリカ粒子を用いることで、緻密にキャリア表面に分散することができ湿度変化の環境による影響も受けにくくなり現像剤の長期保管性が優れるようになるためである。
〔キャリア表面のシリカ粒子(外添剤)の粒径測定〕
キャリアに付着させるシリカ粒子の個数平均粒径は、以下のように測定されるものである。走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のキャリア表面(キャリア(A)表面、ないしキャリア(B)表面)のシリカ粒子について2値化処理し、当該キャリア表面のシリカ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。
本発明では、補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子が、スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と同一であることが好ましい。かかる構成を有することにより、スターター現像剤と同一のシリカ粒子が補給現像剤に付着することで、混合性が更に良化し、帯電量分布が狭まるため、より帯電量を安定して維持することができる。ここで、キャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子とキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子が「同一」とは、粒子の大きさ(個数平均粒径)だけではなく、表面性状(疎水性)なども含めて同じ(市販品の場合、同じ商品)という意味である。
キャリア表面(スターター現像剤のキャリア(A)表面および補給現像剤のキャリア(B)表面)に付着させるシリカ粒子は、公知のものを使用できるが、本発明のキャリア表面に付着させるシリカ粒子の製造方法としては、気相法が好ましい。
気相法で作製されたシリカ粒子の形状は、球形化度が低いため、キャリアに前処理してシリカ粒子を付着させる際に1点ではなく複数個所で接触できる。よってキャリアから脱離しづらくなるためトナー側へ移行してしまうことを抑制できるので好ましい。
気相法による製造方法とは、シリカ粒子の原料を、蒸気状態または粉体状態において高温火炎中に導入し、これらを酸化させてシリカ粒子を製造する方法である。シリカ粒子の原料としては、四塩化ケイ素などのハロゲン化ケイ素、または有機ケイ素化合物などが挙げられる。
図1は、シリカ粒子を、蒸気による気相法によって製造する製造設備の一例を示す概略図である。なお、本発明に係る製造設備は、これに限定されるものではない。
この蒸気による気相法によってシリカ粒子を製造する場合は、具体的には、以下のようにして得ることができる。
(1)まず、原料を、原料投入口1から投入して蒸発器2中で加熱して気化させてケイ素に係る蒸気を得る。
(2)次いで、これらの蒸気を窒素などの不活性ガス(図示せず)と共に混合室3に導入し、これに、乾燥空気および/または酸素ガスと、水素ガスとを、所定比率で混合して混合ガスを得、この混合ガスを燃焼バーナー4から反応室5に形成された燃焼火炎(図示せず)中に導入する。
(3)そして燃焼火炎中において1000℃~3000℃の温度で燃焼処理を行うことにより、シリカ粒子を生成させる。
(4)生成した粒子を冷却器6において冷却した後、分離器7においてガス状の反応生成物を分離除去する。この際、場合によっては湿潤空気中で粒子表面に付着している塩化水素を除去する。さらに、処理室8において塩化水素の脱酸処理し、そして、フィルタで捕集してサイロ9にシリカ粒子が回収される。
以上のような製造方法においては、燃焼火炎中に導入するケイ素に係る蒸気の流量、燃焼時間、燃焼温度、燃焼雰囲気、およびその他の燃焼条件による影響が、シリカ粒子の粒度分布の制御手段となる。
〔シリカ粒子の表面処理〕
本発明に係るシリカ粒子は、その表面が表面処理剤(疎水化剤)により表面処理(疎水化処理)されているものが好ましく用いられる。これは、シリカ粒子自体が表面処理されていることで、水分を吸着しにくくなり帯電量低下をより効果的に抑制できるためである。なお、以下に説明する表面処理されてなるシリカ粒子には、スターター現像剤に含まれるキャリア(A)表面に付着させるシリカ粒子、および補給現像剤に含まれるキャリア(B)表面に付着させるシリカ粒子は含まれるものとする。好ましくは、トナーの外添剤の1種である無機粒子として用いられるシリカ粒子も含まれるものである。
シリカ粒子の表面処理方法としては、例えば、以下のような乾式法を挙げることができる。
すなわち、表面処理剤をテトラヒドロフラン(THF)、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、エタノールおよび塩化水素飽和エタノールなどの溶剤で希釈し、シリカ粒子をブレンダーなどで強制的に撹拌しつつ、表面処理剤の希釈液を滴下したりスプレーしたりして加え、充分に混合する。その際、ニーダーコーター、スプレードライヤー、カーマルプロセッサーおよび流動床などの装置を使用することができる。
次に、得られた混合物をバットなどに移してオーブンなどで加熱して乾燥させる。その後、再びミキサーやジェットミルなどによって充分に解砕する。得られた解砕物は、必要に応じて分級することが好ましい。上記のような方法において、表面処理剤を複数種類用いて表面処理する場合は、各々の表面処理剤を同時に用いて処理してもよく、また、別々に処理してもよい。
また、このような乾式法の他に、シリカ粒子をカップリング剤(表面処理剤;疎水化剤)の有機溶剤溶液に浸漬させた後、乾燥させる方法;複合酸化物粒子を水中に分散させてスラリー状にした後、表面処理剤の水溶液を滴下し、その後、シリカ粒子を沈降させて加熱乾燥して解砕する方法などの湿式法を用いて表面処理してもよい。
以上のような表面処理において、加熱時の温度は100℃以上とすることが好ましい。加熱時の温度が100℃未満である場合は、シリカ粒子と表面処理剤との縮合反応が完結しにくくなる。
表面処理に使用される表面処理剤としては、オクチルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどの通常の表面処理剤として使用されるものが挙げられる。さらに、フッ素系シランカップリング剤やフッ素系シリコーンオイル、アミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤、変性シリコーンオイルなども使用することができる。これらの表面処理剤は、エタノールなどの溶剤に溶解させた状態で使用することが好ましい。
本発明では、シリカ粒子が表面処理剤により表面処理されており、当該表面処理剤がアルキル鎖を有するシランカップリング剤であり、下記式3で表される化合物が特に好ましい。即ち、本発明では、シリカ粒子の表面処理剤がアルキル鎖を有するシランカップリング剤であり、下記式3で表される化合物であることが好ましい。シリカ粒子の表面処理剤については上記したように公知のものが利用できるが、好ましくはアルキル鎖を有するシランカップリング剤であり、下記式3で表される化合物である。これにより、疎水性の高いアルキル鎖長を有する表面処理剤を含有するシリカ粒子をキャリア(A)及び(B)表面、更にはトナー表面に含有させておくことで、現像剤としての疎水性を高めることができ、キャリア-トナー間の電荷保持能力を高められ多湿環境においても電荷リークを抑えられる。また、帯電量の長期保管性が向上することができる。特にキャリア(A)及び(B)表面のシリカ粒子を表面処理(疎水性を高める疎水化処理)することで、キャリア表面にシリカ粒子がより均一に分散された状態で付着し、遊離し難くなるため、帯電量を更に安定化させることができる。
Figure 0007006071000008
上記式中、Xは炭素数6~20のアルキル基、Rはそれぞれ独立してメチル基またはエチル基を示す。
上記式3において、Xは、炭素数6~20のアルキル基である。初期帯電量や帯電量の安定性を向上させる目的から、Xは、炭素数8~16のアルキル基であると好ましい。
上記式3において、Rは、比較的立体障害が小さいという観点から、メチル基またはエチル基である。Rの立体構造が小さいほど、シリカ粒子の表面処理が促進され、帯電性の向上効果がより得られやすくなる。立体障害が小さいという観点からは、Rは、水素原子であってもよいが、このとき、上記式3の「OR」が水酸基となる。そうすると、表面処理剤としてのアルコキシシラン化合物と水との化学的親和性が高くなり、高温高湿環境下における帯電量のリーク点となってしまう。したがって、このようなリークを抑制するため、上記Rは、メチル基またはエチル基である。シリカ粒子の表面処理が促進され、帯電性の向上効果に優れることから、エチル基が好ましい。
表面処理剤として用いられるアルコキシシラン化合物の例としては、例えば、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-ヘプチルトリメトキシシラン、n-ヘプチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-ノニルトリメトキシシラン、n-ノニルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、n-デシルトリエトキシシラン、n-ウンデシルトリメトキシシラン、n-ウンデシルトリエトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリエトキシシラン、n-トリデシルトリメトキシシラン、n-トリデシルトリエトキシシラン、n-テトラデシルトリメトキシシラン、n-テトラデシルトリエトキシシラン、n-ペンタデシルトリメトキシシラン、n-ペンタデシルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシランおよびn-ヘキサデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
キャリア表面(およびトナー表面)に付着させるシリカ粒子は、公知のものを使用できるが、上記したように表面処理剤で表面処理されているものが好ましい。こうしたシリカ粒子は、上記したような方法で作製、更には表面処理することができるほか、市販品を用いてもよい。シリカ粒子の市販品としての具体例としては、日本アエロジル株式会社製の市販品R-805、R-976、R-974、R-972、R-812、R-809、R202、RX200、RY200、NAX50など;クラリアント社製の市販品H1303VP、HVK2150、H2000、H2000T、H13TX、H30TM、H20TM、H13TMなど;キャボット社製の市販品TS-630、TG-6110等が挙げられる。
シリカ粒子の付着方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用してキャリア表面(およびトナー表面)に付着(外添)する方法が挙げられる。キャリア表面(ないしトナー表面)に付着させるシリカ粒子の量は、上記付着方法において、シリカ粒子付着前のキャリア(ないしトナー)量とシリカ粒子の量の配合量を調整すればよい。
≪2成分現像剤≫
本発明の2成分現像剤は、スターター現像剤と補給現像剤とを有する。このうち、上記キャリア(A)(ここでは、上記したシリカ粒子を付着したものをいう。)と、上記トナーとを所定の割合(配合比率)で組み合わされることでスターター現像剤となり、上記キャリア(B)(ここでは、上記したシリカ粒子を付着したものをいう。)と上記トナーとを所定の割合(配合比率)で組み合わされることで補給現像剤となる。
<スターター現像剤>
本発明によれば、上記キャリア(A)と、上記トナーとを含むスターター現像剤が提供される。
本発明のスターター現像剤は、上記キャリア(A)と、上記トナーとを所定の割合(配合比率)になるように、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機(Vブレンダー)などの種々の公知の混合装置に投入し、混合することにより得られる。Vブレンダーを用いる場合、回転数は、好ましくは10~35rpmで、より好ましくは15~30rpmである。また、混合時間は、好ましくは10~30分で、より好ましくは15~25分である。上記キャリア(A)と、上記トナーとを予め、上記のような条件で混合をすることによって、これらが十分攪拌されて現像器内で使用されることになり好ましい。なお、補給用現像剤のキャリア(B)とトナーとは、現像器内に補給された後に、現像器内で十分攪拌されうる。
スターター現像剤は、トナー濃度として5~10質量%が好ましい。スターター現像剤中のトナー濃度が5質量%以上であれば、帯電量が高くなり過ぎるのを抑制することができ、現像性が向上するため好ましい。一方、スターター現像剤中のトナー濃度が10質量%以下であれば、帯電量が低くなり過ぎるのを抑制することができ、トナー飛散が発生するのを効果的に防止することができるため好ましい。
<補給現像剤>
本発明によれば、上記キャリア(B)と、上記トナーとを含む補給現像剤が提供される。
本発明の補給現像剤は、上記キャリア(B)と、上記トナーとを所定の割合(配合比率)になるように、トナーボトルの中に封入し、10回程度上下に振ることによって作製することができる。
補給用現像剤は、トナー濃度として70~95質量%が好ましい。補給用現像剤中のトナー濃度が70質量%以上であれば、流動性が高くなり過ぎるのを抑制することができ、安定的な補給ができるため好ましい。一方、95質量%以下であれば、流動性が低くなり過ぎるのを抑制することができ、補給が間に合わないという問題もなく、適時適量を補給できるので、画像不良が発生するのを効果的に防止することができるため好ましい。
本発明は、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤である。かかる現像方式については、以下の2成分現像剤を用いた画像形成方法の項で説明する。
<2成分現像剤を用いた画像形成方法>
以下、本発明に係る2成分現像剤を用いた画像形成方法について、具体的に説明する。詳しくは、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式を用いた画像形成方法について、具体的に説明する。
本発明の2成分現像剤を用いた画像形成方法は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーとキャリアを所定の割合で含むスターター現像剤と補給現像剤と併用した2成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が(現像器内に)補給され余剰の現像剤が(現像器から)排出される現像方式を用いた画像形成方法である。本発明の2成分現像剤を用いた画像形成方法によれば、スターター現像剤の帯電量を現像剤作製後から長期に維持することができ、さらに使用後、実際の使用初期から長期に渡り安定して高画質を出力できる。
このような画像形成方法においては、現像器内に含まれるスターター現像剤のキャリア(A)表面の特定の粒径を有するシリカ粒子の存在量(シリカ量)S1と補給現像剤のキャリア(B)表面のシリカ粒子の存在量(シリカ量)S2が上記式1-1、式1-2及び式2を満足する2成分現像剤を用いれば、他は特に限定されず公知のものを用いることができる。
本発明に係る現像方式を採用した画像形成方法は、公知の画像形成装置を用いて行われてもよく、例えば、特開2014-240923号公報の図1の装置を用いて行ってもよい。同文献に開示される図1の画像形成装置は、画像読取部、操作表示部、画像処理部、画像形成部、用紙搬送部、定着部および制御部を備える。
当該画像形成装置は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー像形成装置である。画像形成装置には、YMCKの4色に対応する感光ドラムを中間転写ベルトの走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルトに一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。すなわち、画像形成装置は、感光ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルトに転写(一次転写)し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
即ち、本発明の画像形成方法は、上記した2成分現像剤を用いた画像形成方法であればよく、記録媒体上に、上記2成分現像剤のトナーを用いて画像形成層(トナー像)を形成するものである。これにより、スターター現像剤の帯電量を現像剤作製後から長期に維持することができ、さらに使用後、実際の使用初期から長期に渡り安定して高画質を出力できる。
本発明に係る画像形成方法は、ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナーおよびシアントナーの4種類のトナーを用いるフルカラーの画像形成方法に好適に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの静電潜像担持体(「電子写真感光体」または単に「感光体」とも称する)と、により構成される4サイクル方式の画像形成装置を用いる方法や、各色に係るカラー現像装置および静電潜像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成装置を用いる方法など、いずれのカラー画像形成方法も用いることができる。
カラー画像形成方法としては、圧力を付与すると共に加熱することができる熱圧力定着方式による定着工程を含む画像形成方法が好ましく挙げられる。
このカラー画像形成方法においては、具体的には、上記トナーを使用して、たとえば、感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を得て、このトナー像を画像支持体(記録媒体)に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を熱圧力定着方式の定着処理によって画像支持体に定着させることにより、可視画像が形成された印画物を得ることができる。
定着工程における圧力の付与および加熱は、同時であることが好ましく、また、まず圧力を付与し、その後、加熱してもよい。
また、本発明の画像形成方法は、熱圧力定着方式の画像形成方法において好適に用いられる。本発明の画像形成方法に用いられる熱圧力定着方式の定着装置としては、公知の種々のものを採用することができる。以下に、熱圧力定着装置として、熱ローラ方式の定着装置、およびベルト加熱方式の定着装置を説明する。
(i)熱ローラ方式の定着装置
熱ローラ方式の定着装置は、一般に、加熱ローラと、これに当接する加圧ローラとによるローラ対を有する。当該定着装置において、加熱ローラと加圧ローラとの間に付与された圧力によって加圧ローラが変形することにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成される。
加熱ローラは、一般に、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラからなる芯金の内部に、ハロゲンランプなどの熱源が配設されてなる。当該加熱ローラは、当該熱源によって芯金が加熱される。このとき、加熱ローラの外周面が所定の定着温度に維持されるように当該熱源ヘの通電が制御されて温度調節される。
定着装置が、4層のトナー層(イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック)からなるトナー像を十分に加熱溶融させて混色させる能力を要求されるフルカラー画像の形成を行う画像形成装置において用いられる場合は、以下の構成を有していると好ましい。すなわち、定着装置は、加熱ローラとして、高い熱容量を有する芯金を有し、当該芯金の外周面上に、トナー像を均質に溶融させるための弾性層が形成されたものを含んでいると好ましい。
また、加圧ローラは、例えばウレタンゴム、シリコンゴムなどの軟質ゴムからなる弾性層を有するものである。
加圧ローラとしては、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラからなる芯金を有し、当該芯金の外周面上に弾性層が形成されたものを用いてもよい。
さらに、加圧ローラが芯金を有する場合に、当該芯金の内部に、加熱ローラと同様、ハロゲンランプなどの熱源を配設してもよい。そして、当該熱源によって芯金を加熱し、加圧ローラの外周面が所定の定着温度に維持されるように当該熱源ヘの通電が制御されて温度調節される構成であってもよい。
これらの加熱ローラおよび/または加圧ローラとしては、その最外層として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層が形成されてなるものを用いることが好ましい。
このような熱ローラ方式の定着装置においては、ローラ対を回転させて定着ニップ部に可視画像を形成すべき画像支持体を挟持搬送させることによって、加熱ローラによる加熱と、定着ニップ部における圧力の付与とを行い、これにより、未定着のトナー像が画像支持体に定着される。
本発明の画像形成方法は、スターター現像剤の帯電量を現像剤作製直後から長期に維持することができ、さらに使用後、長期に亘って安定した画質を出力できるほか、低温定着性も良好となるという特徴を有している。よって、上記熱ローラ方式の定着装置において、加熱ローラの温度を比較的低くすることができ、具体的には、150℃以下とすることができる。さらに、加熱ローラの温度は、140℃以下であると好ましく、135℃以下であるとより好ましい。低温定着性に優れるという観点からは、加熱ローラの温度は低いほど好ましく、その下限値は特に制限されないが、実質的には90℃程度である。
(ii)ベルト加熱方式の定着装置
ベルト加熱方式の定着装置は、一般に、例えばセラミックヒータよりなる加熱体と、加圧ローラと、これらの加熱体と加圧ローラとの間に耐熱性ベルトよりなる定着ベルトが挟まれてなるものであり、加熱体と加圧ローラとの間に付与された圧力によって加圧ローラが変形されることにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成されてなるものである。
定着ベルトとしては、ポリイミドなどよりなる耐熱性のベルトおよびシートなどが用いられる。また、定着ベルトは、ポリイミドなどよりなる耐熱性のベルトおよびシートなどを基体とし、当該基体上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層が形成された構成を有していてもよく、さらに、基体と離型層との間に、ゴムなどよりなる弾性層が設けられた構成を有していてもよい。
このようなベルト加熱方式の定着装置においては、定着ニップ部を形成する定着ベルトと加圧ローラとの間に、未定着のトナー像が担持された画像支持体を前記定着ベルトと共に挟持搬送させる。これにより、定着ベルトを介した加熱体による加熱と、定着ニップ部における圧力の付与とを行い、未定着のトナー像が画像支持体に定着される。
このようなベルト加熱方式の定着装置によれば、加熱体を、画像形成時のみ当該加熱体に通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよい。したがって、画像形成装置の電源の投入から画像形成が実行可能な状態に至るまでの待ち時間を短くすることができる。また、画像形成装置のスタンバイ時の消費電力も極めて小さく、省電力化が図られるなどの利点がある。
上記のように、定着工程で定着部材として用いられる、加熱体、加圧ローラおよび定着ベルトは、複数の層構成を有するものが好ましい。
上記ベルト加熱方式の定着装置において、加熱体の温度を比較的低くすることができ、具体的には、150℃以下とすることができる。さらに、加熱体の温度は、140℃以下であると好ましく、135℃以下であるとより好ましい。低温定着性に優れるという観点からは、加熱体の温度は低いほど好ましく、その下限値は特に制限されないが、実質的には90℃程度である。
(記録媒体)
記録媒体(記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、あるいはそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例においては、特記しない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味し、各操作は、室温(25℃)で行われた。
≪1.トナーの製造方法≫
<1-1.結晶性ポリエステル樹脂の合成>
結晶性ポリエステル重合セグメントの多価カルボン酸化合物としてのテトラドデカン二酸281質量部、および多価アルコール化合物としての1,6-ヘキサンジオール283質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した反応容器に入れて160℃に加熱し、溶解させた。一方、予め混合したビニル重合セグメントの材料となる、スチレン23.5質量部、アクリル酸n-ブチル6.5質量部、ジクミルパーオキサイド2.5質量部および両反応性単量体としてアクリル酸2質量部の溶液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間撹拌を続け、スチレン、アクリル酸n-ブチルおよびアクリル酸を重合させた後、2-エチルヘキサン酸スズ(II)2.5質量部、没食子酸0.2質量部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに8.3kPaにて1時間反応を行い、ハイブリッド化された結晶性ポリエステル樹脂を得た。ハイブリッド部(スチレンアクリル重合セグメント)の導入量はおおよそ、5.0%であった。
<1-2.結晶性樹脂粒子分散液の作製>
上記で得られた結晶性ポリエステル樹脂 100質量部を酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、5.0%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、結晶性樹脂溶液を調製した。この結晶性樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入して撹拌しながら、0.26%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、結晶性樹脂粒子を均一に分散させた乳化液が調製された。次いで、上記乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V-700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、ポリエステル樹脂からなる結晶性樹脂粒子が分散されてなる結晶性樹脂粒子分散液を得た。
<1-3.非晶性樹脂粒子分散液の作製>
・第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させたものを添加し、液温75℃とし、
・スチレン 584質量部
・アクリル酸n-ブチル 160質量部
・メタクリル酸 56質量部
からなる単量体混合物を1時間かけて滴下した後、75℃にて2時間加熱、撹拌しながら重合を行うことにより、樹脂粒子〔b1〕の分散液を調製した。
・第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、内温を80℃に昇温させた。次いで、上記で得られた樹脂粒子〔b1〕の分散液42質量部(固形分換算)およびマイクロクリスタリンワックス「HNP-0190」(日本精蝋株式会社製)70質量部を、
・スチレン 239質量部
・アクリル酸n-ブチル 111質量部
・メタクリル酸 26質量部
・n-オクチルメルカプタン 3質量部
からなる単量体混合物に80℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)を用いて1時間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌して重合を行うことにより、樹脂粒子〔b2〕の分散液を調製した。
・第3段重合
上記で得られた樹脂粒子〔b2〕の分散液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
・スチレン 380質量部
・アクリル酸n-ブチル 132質量部
・メタクリル酸 39質量部
・n-オクチルメルカプタン 6質量部
からなる単量体混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、非晶性樹脂粒子分散液を調製した。
<1-4.着色剤粒子分散液〔Bk〕の作製>
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液〔Bk〕を調製した。
この着色剤粒子の分散液〔Bk〕における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS-800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
<1-5.トナーの作製>
〈凝集・融着工程〉
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、非晶性樹脂粒子分散液 300質量部(固形分換算)、結晶性樹脂粒子分散液 34質量部(固形分換算)、イオン交換水1100質量部、および着色剤粒子分散液〔Bk〕40質量部(固形分換算)を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま凝集し粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、これによりトナー母体粒子の分散液を調製した。
〈洗浄・乾燥工程〉
上記で調製したトナー母体粒子の分散液を、バスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40+M」(松本機械株式会社製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで前記バスケット型遠心分離機で40℃のイオン交換水を用いて洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(株式会社セイシン企業製)に移して水分量が0.5%となるまで乾燥することにより、トナー母体粒子を作製した。
〈外添剤添加工程〉
トナー母体粒子 100質量部に、疎水性シリカ(個数平均粒径=12nm)0.6質量部および疎水性シリカ(個数平均粒径=30nm)を0.9質量部、疎水性チタニア(個数平均粒径=20nm)0.6質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナーを作製した。なお、疎水性シリカ(個数平均粒径=12nm)には、下記表1の無機粒子1と同じものを用いた。疎水性シリカ(個数平均粒径=30nm)下記表1の無機粒子3と同じものを用いた。疎水性チタニア(個数平均粒径=20nm)は、下記表1の無機粒子5と同じものを用いた。
≪2.キャリアの製造方法≫
<2-1.キャリア粒子の作製>
(2-1-1.コア材の作製)
MnO換算で19.0モル%、MgO換算で2.8モル%、SrO換算で1.5モル%、Fe換算で75.0モル%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕、混合し、乾燥させ、950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行ったスラリーを造粒乾燥し、攪拌装置を内蔵した焼成炉内に容積の5割量を添加して、周速10m/s、1300℃にて4時間保持した後、解砕し、体積平均粒径33μmに粒度調整を行ないコア材を得た。コア材(キャリア芯材粒子)の体積平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパティック社製)により測定される体積基準の平均粒径である。
(2-1-2.キャリア粒子の作製)
上記で作製したコア材を100質量部と、メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸メチル(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を3.5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、125℃で45分間、風速10m/sで撹拌混合して機械的衝撃力の作用でコア材(キャリア芯材粒子)の表面にコート層(樹脂被覆層)を形成した後、風速2m/sに下げて冷却を行い、コート樹脂で被覆された「キャリア粒子」を作製した。
<2-2.キャリアの表面に付着させる無機粒子>
キャリアの表面に付着させる無機粒子として、下記表1に記載の市販の無機粒子1~7を用いた。
Figure 0007006071000009
≪3.2成分現像剤の製造方法≫
<3-1.現像剤1の製造>
<3-1-1.現像剤1のスターター現像剤及びキャリア(A)の製造>
上記で作製したキャリア粒子 1.0kgと、上記表1に記載の無機粒子1 0.46gとを計量し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器械株式会社製)にそれぞれ投入し、回転速度45rpmで30分間混合した。これにより、キャリア(粒子)表面に無機粒子1が付着したキャリア(A)を作製した。その後、上記で作製したトナーをトナー濃度が6.5質量%になるように添加し、更に30分間混合し現像剤1のスターター現像剤を作製した。上述した「現像剤からのキャリアの分離方法」により、得られた(使用開始時の)スターター現像剤からトナーを分離したキャリア(A)の抵抗は、2.2×1010Ω・cmであった。
<3-1-2.現像剤1の補給現像剤及びキャリア(B)の製造>
一方、上記で作製したキャリア粒子 1.0kgと、上記表1に記載の無機粒子1 0.11gとを計量し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器械株式会社製)にそれぞれ投入し、回転速度45rpmで30分間混合した。これにより、キャリア(粒子)表面に無機粒子1が付着したキャリア(B)を作製した。トナーボトルに、トナー濃度が90質量%になるように、上記で作製したトナーと上記無機粒子1を付着(外添)処理したキャリア(B)を投入し、数回軽く振って現像剤1の補給現像剤を作製した。上述した「現像剤からのキャリアの分離方法」により、得られた(使用開始時の)補給現像剤からトナーを分離したキャリア(B)の抵抗も、2.2×1010Ω・cmであった。
スターター現像剤及び補給現像剤の各キャリア表面の無機粒子1のシリカ量S1、S2は、現像剤から分離回収したキャリアの、XPSで測定されるSi元素濃度より求めた。得られた結果を下記表2に示す。
<3-2.~3-15.現像剤2~15の製造>
現像剤1の作製において、キャリア粒子と混合する無機粒子の種類を変え、無機粒子の添加量を下記表2に記載の表面シリカ量となるように変える以外は同様にして、下記表2に記載の組み合わせで現像剤2~15のスターター現像剤及び補給現像剤をそれぞれ作製した。
現像剤2~15のスターター現像剤及び補給現像剤の各キャリア(A)、(B)表面の無機粒子1のシリカ(又はチタニア又はアルミナ)量S1、S2は、各現像剤から分離回収したキャリアの、XPSで測定されるSi元素(又はTi元素又はAl元素)濃度より求めた。得られた結果を下記表2に示す。
Figure 0007006071000010
≪評価方法≫
〔評価1:帯電安定性(放置変動)〕
常温常湿(20℃,50%RH)環境条件で、(1)現像剤(スターター現像剤及び補給現像剤)を作製時(作製直後)および(2)現像剤(スターター現像剤及び補給現像剤)を作製し2週間放置後に、複写機「bizhub(登録商標) C368」(コニカミノルタ社製)で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を1枚(1p)ずつ行った。現像剤作製時と2週間放置後で、各印刷後のトナーの帯電量をそれぞれ測定し、下記評価基準に従って評価した。帯電量は現像器内の2成分現像剤をサンプリングし、ブローオフ帯電量測定装置「TB-200」(東芝ケミカル株式会社製)を用いて測定した。
-評価基準-
◎:現像剤作製時と2週間放置後で、トナーの帯電量の変動値Δが4μC/g未満;合格(優良)
○:現像剤作製時と2週間放置後で、トナーの帯電量の変動値Δが4C/g以上8μC/g未満;合格(可)
×:現像剤作製時と2週間放置後で、トナーの帯電量の変動値Δが8μC/g以上;不合格(不可)。
〔評価2:帯電安定性(耐久変動)〕
常温常湿(20℃,50%RH)環境条件で、現像剤(スターター現像剤及び補給現像剤)を作製し2週間放置した後に、複写機「bizhub(登録商標) C368」(コニカミノルタ社製)で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を50万枚(500kp)行った。印刷初期(1枚(1p)印刷後)と50万枚(500kp)印刷後のトナーの帯電量を測定し、下記評価基準に従って評価した。帯電量は現像器内の2成分現像剤をサンプリングし、ブローオフ帯電量測定装置「TB-200」(東芝ケミカル株式会社製)を用いて測定した。
-評価基準-
◎:印刷初期と50万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが4μC/g未満;合格(優良)
○:印刷初期と50万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが4C/g以上8μC/g未満;合格(可)
×:印刷初期と50万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが8μC/g以上;不合格(不可)。
〔評価3:画質(粒状性)〕
常温常湿(20℃,50%RH)環境条件で、現像剤を作製し2週間放置した後に、複写機「bizhub(登録商標) C368」(コニカミノルタ社製)で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率(CW)5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を50万枚行い、印刷初期(1枚(1p)印刷後)と50万枚(500kp)印刷後の階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンの粒状性について下記評価基準に従って評価した。粒状性の評価は、階調パターンのCCDによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度にあわせたGI値(Graininess Index)を測定し、最大GI値を求めた。GI値は小さいほど良い。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。
-評価基準-
◎:印刷初期と50万枚印刷後で、GI値が0.2以下でかつ変動値Δが0.02未満;合格(優良)
○:印刷初期と50万枚印刷後で、GI値が0.2以下でかつ変動値Δが0.02以上0.04未満;合格(可;○)
×:印刷初期と50万枚印刷後で、GI値が0.2以上または変動値Δが0.04以上);不合格(不可)。
Figure 0007006071000011
上記表2~3の結果より、本発明に係る構成を有する実施例の現像剤1~9では、帯電安定性(放置変動、耐久変動)と画質(GI値)とを両立できることがわかった。
一方、比較例の現像剤10~15では、従来と同様に、帯電安定性(放置変動、耐久変動)と画質(GI値)との両立が困難であることがわかった。
1 原料投入口、
2 蒸発器、
3 混合室、
4 燃焼バーナー、
5 反応室、
6 冷却器、
7 分離器、
8 処理室、
9 サイロ、
31 導電性スリーブ、
32 マグネットロール、
33 バイアス電源、
34 円筒電極。

Claims (5)

  1. スターター現像剤を現像器に充填し、耐刷に伴い補給現像剤が補給され余剰の現像剤が排出される現像方式に用いられる2成分現像剤において、
    前記スターター現像剤と補給現像剤とは、それぞれトナーとキャリアとを含み、
    前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)は、表面に個数平均粒径が10~30nmのシリカ粒子が、下記式1-1の範囲で付着し、
    前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)は、表面にシリカ粒子が、下記式1-2の範囲で付着し、かつ
    前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と、前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子とが下記式2の関係式を満たすことを特徴とする2成分現像剤。
    Figure 0007006071000012

    (式中、S1、S2はXPSで測定されるSi元素濃度であり、S1はスターター現像剤のキャリア表面のシリカ量を表し、S2は補給現像剤のキャリア表面のシリカ量を表す。)。
  2. 前記補給現像剤に含まれるキャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子が、前記スターター現像剤に含まれるキャリア(A)の表面に付着するシリカ粒子と同一であることを特徴とする請求項1に記載の2成分現像剤。
  3. 前記キャリア(A)及び前記キャリア(B)の表面に付着するシリカ粒子が表面処理剤により表面処理されており、当該シリカ粒子の表面処理剤がアルキル鎖を有するシランカップリング剤であり、下記式3で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の2成分現像剤。
    Figure 0007006071000013

    (式中、Xは炭素数6~20のアルキル基、Rはそれぞれ独立してメチル基またはエチル基を示す。)。
  4. 前記トナーが少なくとも結着樹脂として非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含み、外添剤粒子として無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の2成分現像剤。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の2成分現像剤を用いた画像形成方法。
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