JP2016176985A - トナー - Google Patents

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公亮 中村
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Satoru Uchino
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幸治 柴田
Koji Shibata
幸治 柴田
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Abstract

【課題】有機微粒子の外添剤を含むトナーであって、トナー粒子の劣化が防止されるとともに、良好な帯電性を有するトナーを提供する。【解決手段】本発明のトナーは、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含有するトナー母体粒子とその表面に付着する外添剤とを有する。当該外添剤は有機微粒子を含み、当該有機微粒子は、スチレン、メタクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンを含むモノマーの共重合体で構成されている。上記モノマーにおいて、スチレンの含有量は10質量%以上であり、メタクリル酸メチルの含有量は10質量%以上であり、ジビニルベンゼンの含有量は4質量%以上であり、エチルスチレンの含有量は1質量%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用のトナーに関する。
電子写真方式の画像形成技術では、デジタル印刷の普及に伴い、高画質化や高速化、高い安定性などの性能向上が益々要求されている。その結果、画像形成装置の高速化につれて、現像器内におけるトナーの撹拌強度が高まり、トナーが受ける撹拌によるストレスが大きくなることがある。その結果、トナー粒子の劣化が促進され、トナー粒子の破砕に伴う帯電量の低下や外添剤の埋没などが著しく発生することがある。
特に、低印字率で連続印刷を行ったときのトナー粒子の劣化による帯電性の悪化は、画質の低下を引き起こすことがある。また、グラフィックなどの高精細な出力の需要が高まり、高い画像濃度での印字の出力が増えているが、このような高精細な画像を高速で形成する場合では、トナー粒子の帯電が不十分となり、濃度ムラやかぶりなどにより画質が不十分となることがある。
トナー粒子の劣化を防ぐために、スペーサー効果の高い、比較的粒径の大きな外添剤が用いられている。このような大径な外添剤には、一般に、大径のシリカ粒子が用いられている。しかしながら、大径のシリカ粒子を外添剤に用いると、トナー粒子の帯電性が不十分となることがある。
さらには、上記外添剤には、有機微粒子も知られている。当該有機微粒子の例には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)製の粒子(例えば、特許文献1参照)や、体積平均粒径が80〜300nmであり、ゲル分率が60重量%以上であり、そして標準偏差がD50×0.20以下である負帯電性の樹脂粒子(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
特開2007−057659号公報 特開2004−163612号公報
特許文献1に記載の有機微粒子は、それを構成する樹脂中に架橋構造を実質的に有さない非架橋の粒子である。このため、当該有機微粒子を上記の大径の外添剤として用いると、有機微粒子の強度が不十分なため、上記のトナー粒子の劣化を抑制することが難しい。特許文献2に記載の有機微粒子は、それを構成する樹脂中に架橋構造を実質的に有する架橋粒子である。当該有機微粒子を上記の大径の外添剤に用いると、トナー粒子の劣化の防止には有効であるが、帯電性の付与特性は不十分である。
このように、上記大径の外添剤に用いられる有機微粒子には、トナー粒子の劣化を防止し、かつトナー粒子を十分に帯電させる観点から、検討の余地が残されている。
本発明の目的は、有機微粒子の外添剤を含むトナーであって、トナー粒子の劣化が防止されるとともに、良好な帯電性を有するトナーを提供することを課題とする。
本発明は、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含有するトナー母体粒子とその表面に付着する外添剤とを有する静電潜像現像用のトナーにおいて、前記外添剤は、スチレン、メタクリル酸メチル(「メチルメタクリレート」とも言う)、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンを含むモノマーの共重合体で構成された有機微粒子を含み、前記モノマーにおいて、スチレンの含有量は10質量%以上であり、メタクリル酸メチルの含有量は10質量%以上であり、ジビニルベンゼンの含有量は4質量%以上であり、エチルスチレンの含有量は1質量%以上であるトナー、を提供する。
本発明に係るトナーは、有機微粒子の外添剤を含むにも関わらず、トナー粒子の劣化が防止されるとともに、良好な帯電性を有する。当該トナーは、電子写真方式の画像形成方法において、印字率の高低に関わらず高画質な画像を安定して形成することができる。
本発明の実施の形態に係るトナーが使用される画像形成装置の一例の構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係るトナーは、静電潜像現像用のトナーであって、トナー母体粒子とその表面に付着する外添剤とを有する。当該トナーは、外添剤に後述する有機微粒子を含む以外は、公知のトナーと同様に構成され得る。なお、当該トナー母体粒子および当該外添剤を有する粉体をトナー粒子とも言う。当該トナーは、トナー粒子を含んでおり、トナー粒子そのままで一成分現像剤を構成し、当該トナー粒子およびそれと混合されるキャリア粒子とによって二成分現像剤を構成する。当該混合に用いられる混合装置の例には、ナウターミキサー、WコーンおよびV型混合機が含まれる。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、例えば2.0〜8.0質量%である。
上記トナー母体粒子は、結着樹脂を含有する。上記トナー母体粒子における上記結着樹脂の含有量は、例えば75〜100質量%である。
上記結着樹脂は、一種でもそれ以上でもよい。当該結着樹脂には、トナーの結着樹脂に用いられる通常の樹脂を用いることが可能である。上記結着樹脂の例には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび尿素樹脂が含まれる。
上記結着樹脂は、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含む。当該スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、スチレン系化合物および(メタ)アクリル酸系化合物を含有するモノマーの共重合体である。上記結着樹脂にスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体が含まれることにより、外添剤として用いる有機微粒子の帯電性と近しくなる。その結果、外添剤の脱離、埋没といった状態変化によるトナー粒子の帯電性の変化を抑えることが可能となる。上記結着樹脂における上記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の含有量は、上記の観点から、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい。
上記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体用のモノマーにおける上記スチレン系化合物の割合は、例えば20〜80質量%である。上記スチレン系化合物の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレンおよび3,4−ジクロロスチレンが含まれる。
上記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体用のモノマーにおける上記(メタ)アクリル酸系化合物の割合は、例えば20〜80質量%である。上記(メタ)アクリル酸系化合物の例には、アクリル酸系化合物およびメタクリル酸系化合物が含まれ、アクリル酸系化合物の例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、β−ヒドロキシアクリル酸エチルおよびγ−アミノアクリル酸プロピルが含まれ、メタクリル酸系化合物の例には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびメタクリル酸ジエチルアミノエチルが含まれる。
また、上記結着樹脂は、結晶性樹脂を含むことが、トナー母体粒子の加熱溶融をより迅速に行う(シャープメルト性を高める)観点から好ましい。結晶性樹脂は、結晶性を有する樹脂であり、例えば、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂である。ここで、明確な吸熱ピークとは、例えば、DSCにおいて、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
上記結晶性樹脂の例には、結晶性ポリエステルおよび結晶系ビニル系樹脂が含まれ、中でも結晶性ポリエステルが好ましく、脂肪族系の結晶性ポリエステルがより好ましい。上記結着樹脂における上記結晶性ポリエステルの含有量は、上記の観点から、3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
上記結晶性ポリエステルおよび上記ポリエステル系樹脂は、例えば、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との脱水縮合によって合成される。上記多価カルボン酸成分は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、これらの無水物、およびこれらの低級アルキルエステルが含まれる。なお、「低級アルキル」とは、例えば炭素数1〜5のアルキル基である。
上記脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸および1,18−オクタデカンジカルボン酸が含まれる。
上記芳香族ジカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸およびメサコニン酸が含まれる。
上記3価以上のカルボン酸の例には、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸および1,2,4−ナフタレントリカルボン酸が含まれる。
さらに、二重結合を持つジカルボン酸成分を上記多価カルボン酸成分と併用することが含有することは、当該二重結合のラジカル重合による架橋構造が構築されることから、定着時のホットオフセットを防止する観点からより好ましい。当該二重結合を持つジカルボン酸の例には、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸および3−オクテンジオイック酸、これらの無水物、およびこれらの低級アルキルエステルが含まれる。中でもコストの点で、フマル酸またはマレイン酸が好ましい。
上記多価アルコール成分は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、脂肪族ジオールおよび3価以上のアルコールが含まれる。中でも、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。上記多価アルコール成分が直鎖型脂肪族ジオールであることは、結晶性ポリエステルの溶融温度が比較的高くなり、耐トナーブロッキング性、画像保存性および低温定着性を高める観点から好ましい。また、当該炭素数が7〜20であることは、例えば芳香族ジカルボン酸と縮重合させるときの温度をより低くすることができ、また、低温定着性を高めることができ、さらに、実用上、材料を入手しやすく、これらの観点から好ましい。上記炭素数は、上記の観点から、7〜14であることがより好ましい。
上記脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールおよび1,14−エイコサンデカンジオールが含まれる。中でも、入手の容易性の観点から、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールまたは1,10−デカンジオールが好ましい。
上記3価以上のアルコールの例には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが含まれる。
結晶性ポリエステルは、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステルの合成法で製造される。当該合成法の例には、直接重縮合およびエステル交換法が含まれ、当該合成法は、例えばモノマーの種類によって使い分けられる。
結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180〜230℃で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合で発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよく、この場合では、重縮合反応において溶解補助溶剤を留去しながら結晶性ポリエステルの合成を行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させてから、当該モノマーをその他のモノマーとともに重縮合させるとよい。
上記トナー母体粒子は、本実施形態の効果を奏する範囲において、上記結着樹脂以外の他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分の例には、着色剤、離型剤および帯電制御剤が含まれる。当該他の成分は、一種でもそれ以上でもよい。
上記着色剤は、一種でもそれ以上でもよい。当該着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機または有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料および染料が含まれる。
上記カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックおよびランプブラックが含まれる。上記磁性体の例には、鉄やニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、および、フェライトやマグネタイトなどの強磁性金属の化合物、が含まれる。
上記顔料の例には、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、および、中心金属が亜鉛やチタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料、が含まれる。
上記染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93および同95が含まれる。
上記離型剤(ワックス)の例には、炭化水素系ワックスおよびエステルワックスが含まれる。当該炭化水素系ワックスの例には、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびパラフィンワックスが含まれる。また、上記エステルワックスの例には、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニルおよびクエン酸ベヘニルが含まれる。
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、および、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体、が含まれる。
上記トナー粒子の大きさおよび形状は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、適宜に決めることが可能である。たとえば、上記トナー粒子の個数平均粒子径は、トナー中でのトナー粒子の流動性および画質の観点から、4.0〜10.0μmであることが好ましく、4.5〜8.0μmであることがより好ましく、5.0〜7.5μmであることがさらに好ましい。
トナー粒子の上記個数平均粒径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。測定手順としては、例えば、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mLで馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子を分散させたトナー分散液を作製する。上記界面活性剤溶液は、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した溶液である。
このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、トナー粒子の濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmとする。測定範囲1〜30μmの範囲を256分割し、各区分での頻度数を算出する。メディアン径であれば、個数積算分率が大きい方から50%の粒子径を上記個数平均粒径(D50t)とする。
上記トナー粒子の上記個数平均粒径は、例えば、トナー粒子の製造における温度や攪拌の条件、トナー粒子の分級、トナー粒子の分級品の混合などによって調整することが可能である。
また、例えば上記トナー粒子の平均円形度は、各トナー粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。当該円形度は、下記式で計算される。
(式)円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
トナー粒子の円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−3000」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この方法は、再現性のある測定値を得る観点から好ましい。
トナー粒子の円形度または平均円形度は、例えば、トナー粒子の製造における樹脂粒子の熟成の程度や、トナー粒子の熱処理、異なる円形度のトナー粒子の混合、などによって調整することが可能である。
なお、トナー粒子の大きさおよび形状は、トナー母体粒子のそれらと同じか、わずかに異なる程度である。よって、トナー母体粒子の大きさおよび形状からトナー粒子の大きさおよび形状をそのままあるいは近似的に求めてもよいし、トナー粒子の大きさおよび形状からトナー母体粒子の大きさおよび形状をそのままあるいは近似的に求めてもよい。
上記トナー母体粒子の製造方法は、粉砕法でも重合法でもよい。上記トナー母体粒子の製造方法は、上記トナー粒子の大きさおよび形状の適切な制御の観点から、粉砕法よりも重合法が好ましい。当該重合法の例には、乳化会合凝集法および懸濁重合が含まれる。より好ましくは乳化会合凝集法である。
上記乳化会合凝集法は、ビルドアップ型のトナー製造方法の一種であり、例えば、水系媒体中に分散された結着樹脂の粒子と着色剤の粒子とを凝集・融合してトナー母体粒子を製造する方法である。当該乳化会合凝集法によるトナー母体粒子の製造方法は、例えば、以下に示す工程を含む。
(a)水系媒体中において、結着樹脂による結着樹脂粒子を形成して当該結着樹脂粒子が分散されてなる結着樹脂粒子分散液を調製する工程、
(b)水系媒体において、結着樹脂を凝集させてトナー母体粒子となる樹脂粒子を得る工程(凝集・融着工程)
(c)冷却工程
(d)濾過、洗浄、乾燥工程
上記製造方法は、特に、ミニエマルジョン重合法により多段重合した樹脂粒子を会合(凝集/融着)するトナー製法であることが好ましい。
上記外添剤は、有機微粒子を含有する。上記トナーにおける当該有機微粒子の含有量は、トナー劣化の抑制および帯電性付与の観点から、トナー母体粒子100質量部に対して0.1〜2.0質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましい。
上記有機微粒子は、共重合体で構成されており、当該共重合体のモノマーには、スチレン、メタクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンが含まれる。上記有機微粒子における上記共重合体の含有量は、トナー劣化の抑制およびトナー粒子への帯電性付与の観点から、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
上記モノマーにおけるスチレンの含有量は、少なすぎると、有機微粒子の強度が不十分となり、トナー劣化の抑制が不十分となることがある。このような観点から、上記含有量は、10質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量が多すぎると、他のモノマーによる特性の発現が不十分となることがある。このような観点から、上記含有量は、90質量%以下であることが好ましく、70質量%であることがより好ましい。
上記モノマーにおけるメタクリル酸メチルの含有量は、少なすぎると、トナーの帯電特性が不十分となり、カブリなどの画像不良が発生することがある。このような観点から、上記含有量は、10質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量が多すぎると、他のモノマーによる特性の発現が不十分となることがある。このような観点から、上記含有量は、90質量%以下であることが好ましく、70質量%であることがより好ましい。
上記モノマーにおけるジビニルベンゼンの含有量は、少なすぎると、トナーの強度が不十分となることがある。このような観点から、上記含有量は、4質量%以上であり、5質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量が多すぎると、他のモノマーによる特性の発現が不十分となることがある。このような観点から、上記含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%であることがより好ましい。
上記モノマーにおけるエチルスチレンの含有量は、少なすぎると、トナーの帯電特性が不十分となることがあり、高印字率の画像の不良を生じることがある。このような観点から、上記含有量は、1質量%以上であり、1.5質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量が多すぎると、他のモノマーによる特性の発現が不十分となることがある。このような観点から、上記含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%であることがより好ましい。
また、上記モノマーにおけるエチルスチレン(ESt)に対するジビニルベンゼン(DVB)の比(DVB/ESt)は、大きすぎるとトナーの帯電特性が不十分となることがあり、小さすぎるとトナーの強度が不十分となることがある。このような観点から、上記の比は、2/1〜10/1であることが好ましく、4/1〜8/1であることがより好ましい。
なお、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンは、いずれも、オルト位、メタ位、パラ位の混合物であってもよいが、メタ位またはパラ位の化合物であることが、立体障害が少ないため、前述のモノマーの重合反応が十分に進行するによる、上記有機微粒子の適切な強度の発現が得られる観点から好ましい。
上記モノマーは、本実施の形態の効果が得られる範囲において、スチレン、メタクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレン以外の他の化合物をさらに含有していてもよい。当該他の化合物の例には、スチレン系化合物、(メタ)アクリル酸系化合物、および、多価ラジカル重合性化合物、が含まれる。
上記スチレン系化合物は、例えば、上記結着樹脂で説明したスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体用の上記スチレン系化合物(ただしp−エチルスチレンを除く)である。上記(メタ)アクリル酸系化合物は、例えば、上記結着樹脂で説明したスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体用の上記(メタ)アクリル酸系化合物(ただしメタクリル酸メチルを除く)である。
上記多価ラジカル重合性化合物は、分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する。当該多価ラジカル重合性化合物の例には、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレンオキシドジアクリレート、エチレンオキシドジメタクリレート、テトラエチレンオキシドジアクリレート、テトラエチレンオキシドジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンアクリレート、テトラメチロールプロパンメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレートおよびテトラメチロールプロパンテトラメタクリレートが含まれる。
上記有機微粒子は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記共重合体以外の他の樹脂をさらに含有していてもよい。当該他の樹脂は一種でもそれ以上でもよく、その例には、スチレン系重合体樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、これらの架橋樹脂およびそれらの混合物が含まれる。
上記有機微粒子の大きさおよび形状は、本実施の形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。たとえば、上記有機微粒子の大きさは、小さすぎるとトナー粒子に対するスペーサー効果が不十分となり、トナー劣化の防止が不十分となることがあり、大きすぎると、トナー粒子への帯電付与性が不十分となって、高濃度の画像の形成において画像不良を生じることがある。このような観点から、上記有機微粒子の個数平均粒子径は、70〜150nmであることが好ましく、80〜140nmであることがより好ましい。
上記有機微粒子の個数平均粒子径は、トナー粒子のSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(株式会社ニレコ製、「LUZEX」は同社の登録商標)にて、当該SEM写真画像のビニル系樹脂粒子について2値化処理し、有機微粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を平均粒径とすることによって求めることが可能である。上記SEM写真は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子株式会社製)を用いた、30000〜50000倍に拡大した画像として得られる。上記有機微粒子が後述する他の外添剤と併用されている場合には、有機微粒子は、他の外添剤とはEDSにより区別することが可能である、また、当該個数平均粒子径は、例えば、有機微粒子の分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
また、上記有機微粒子の形状は、トナーの流動性を高める観点から球状であることが好ましい。このような観点から、上記有機微粒子の形状係数SF−1は、100〜120であることが好ましい。形状係数SF−1は、粒子の真球度を示す指数であり、真球の場合においては、形状係数SF−1は100となる。形状係数SF−1は、下記式により算出される数値である。
SF−1=〔{(粒子の最大長)/(粒子の投影面積)}×(π/4)〕×100
上記有機微粒子の形状係数SF−1は、例えば、ランダムに100個以上の有機微粒子の写真を走査型電子顕微鏡により30000〜50000倍に拡大して撮影し、得られた写真画像をスキャナーにより画像処理解析装置「LUZEX AP」(株式会社ニレコ製)に取り込み、解析し、各々の有機微粒子について、最大長および投影面積を求め、それらから上記式を用いて算出することができる。なお、上記有機微粒子の形状係数SF−1は、個々の粒子の算出された形状係数SF−1の算術平均値とすることができる。
上記有機微粒子は、懸濁重合法や乳化重合法などの、ラジカル重合反応を用いた公知の重合法により作製することが可能である。乳化重合法では、以下の反応因子を制御し、適宜に組み合わせることで、所望の大きさの有機粒子を作製することが可能であり、乳化重合法は、70〜150nmの個数平均粒子径の有機微粒子を作製するのにより好適である。
(1)水系媒体中の界面活性剤濃度を制御する
(2)重合開始剤の使用量を制御する
(3)重合温度を制御する
たとえば、水系媒体の界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上の条件下でなるべく低めに設定し、重合開始剤の添加量を少なめにして、重合温度を低くすることにより、個数平均粒子径の大きな有機微粒子を作製することが可能である。
上記外添剤は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記有機微粒子以外の他の外添剤をさらに含有していてもよい。当該他の外添剤は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、トナーの流動性や帯電性などを制御する目的で使用される従来公知の金属酸化物粒子が含まれ、具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子および酸化ホウ素粒子が含まれる。
上記他の外添剤は、カップリング剤などの公知の表面処理剤により表面の疎水化処理が施されていることが好ましい。当該表面処理剤の例には、シリコーンオイル、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびデシルトリメトキシシランが含まれる。
上記シリコーンオイルは、直鎖状、分岐鎖状および環状化合物のいずれであってもよく、その例には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンが含まれる。
また、上記シリコーンオイルは、変性基が導入された変性シリコーンオイルであってもよい。当該変性基は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリルおよびアミノが含まれる。シリコーンオイルにおける変性基が導入される位置は、側鎖、片末端、両末端、側鎖の片末端、および、側鎖の両末端、のいずれであってもよい。中でも、変性基の反応性を高める観点から、末端が好ましい。
上記の表面処理剤は、上記以外の他の表面処理剤と併用することが可能である。他の表面処理剤の例には、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物およびロジン酸が含まれる。
上記他の外添剤の大きさは、本実施の形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。たとえは、上記他の外添剤は、上記トナー粒子の流動性を高める観点で用いることが好ましく、この場合、上記有機微粒子よりも小さいことが好ましい。このような観点から、上記他の外添剤の個数平均粒子径は、10〜70nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましい。
また、上記他の外添剤の個数平均粒子径Dnoに対する上記有機微粒子の個数平均粒子径Dn1の比Dn1/Dnoは、トナー劣化の抑制、トナー粒子への帯電付与性の向上およびトナー粒子への流動性付与の向上、の観点から、2〜15であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。
上記他の外添剤の個数平均粒子径は、上記有機微粒子のそれと同様の方法によって求めることが可能である。また、上記他の外添剤の個数平均粒子径は、例えば上記他の外添剤の分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
上記トナーにおける上記他の外添剤の含有量は、トナーの流動性の向上などの当該他の外添剤による効果を十分に発現させる観点から、トナー母体粒子100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
また、上記外添剤における、上記他の外添剤(IP)に対する上記有機微粒子(OP)の質量比(OP/IP)は、上記有機微粒子による効果を十分に発現させる観点から、1/20〜1/1であることが好ましく、1/10〜3/4であることがより好ましい。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。上記キャリア粒子は、磁性体粒子(芯材粒子)そのものであってもよいし、当該芯材粒子の表面に樹脂(被覆材)が被覆されている樹脂被覆型のキャリア粒子であってもよいし、樹脂粒子中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子であってもよい。キャリア粒子は、良好な帯電性および現像性の観点から、樹脂被覆型のキャリア粒子であることが好ましい。
上記芯材粒子の例には、鉄粉などの金属粉、および、各種フェライト、が含まれ、中でもフェライトであることが好ましい。当該フェライトは、例えば、式:(MO)(Feで表される化合物であり、フェライトを構成するFeのモル比yが30〜95モル%であることが好ましい。組成比yが前記範囲の値となるフェライトは、所望の磁化を得やすいので、キャリア付着を起こしにくいキャリアを作製できるなどのメリットを有する。式中のMの例には、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)およびリチウム(Li)などの金属原子が含まれる。Mは、一種でもそれ以上でもよい。
上記芯材粒子の飽和磁化は、30〜80Am/kgであることが好ましく、上記芯材粒子の残留磁化は、5.0Am/kg以下であることが好ましい。上記芯材粒子がこのような磁気特性を有することは、キャリア粒子の部分的な凝集が防止されるので、現像剤搬送部材の表面に二成分現像剤が均一に分散されて、濃度むらがなく、均一で高精細のトナー画像を形成する観点から好ましい。上記磁気特性は、例えば、東英工業株式会社製「VSM−P7−15型」を、試料の量を25mg、20℃/65%の環境下で外部磁場を79.6kA/mとして測定に供することによって求めることが可能である。
上記被覆材は、脂環式メタクリレートを含むモノマーの重合体を含むことが、トナーの帯電特性における環境安定性を高める観点から好ましい。当該脂環式メタクリレートは、疎水性の高いので、その重合体により被覆材を構成することにより、キャリア粒子の水分吸着量がより低減される。その結果、トナーの帯電性の環境差が低減され、特に高温高湿環境下におけるトナーの帯電量の低下がより抑制される。また、脂環式メタクリレートを含むモノマーを重合させて得られる樹脂は、適度な機械的強度を有し、被覆材として適度に膜摩耗されることにより、キャリア粒子の表面がリフレッシュされ、例えばトナースペントを抑制する観点から好ましい。
上記脂環式メタクリレートの例には、炭素数5〜8のシクロアルキル基を有するメタクリレートが含まれ、より具体的には、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチルおよびメタクリル酸シクロオクチルが含まれる。中でも、機械的強度および帯電量の環境安定性の観点から、メタクリル酸シクロヘキシルが特に好ましい。また、上記の観点から、上記重合体のモノマーにおける脂環式メタクリレートの含有量は、20〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
上記被覆材の層の平均膜厚は、キャリア粒子の耐久性と低電気抵抗化との両立の観点から、0.05〜4.0μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがより好ましい。当該平均膜厚が上記範囲内であることは、帯電性と耐久性を好ましい範囲に設定する観点から好ましい。上記平均膜厚は、以下の方法により算出される。集束イオンビーム試料作製装置(SMI2050 株式会社日立ハイテクサイエンス製)にてキャリア薄片を作製し、その後、その薄片の断面を透過型電子顕微鏡(JEM−2010F 日本電子株式会社製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を上記被覆材の層の平均膜厚とする。
上記キャリア粒子は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。たとえば、キャリア粒子は、必要に応じて抵抗調整剤などの内添剤を含有していてもよい。
上記キャリア粒子の体積平均粒子径は、トナー粒子への帯電付与性を高める観点から、25〜75μmであることが好ましく、30〜70μmであることがより好ましい。
上記キャリア粒子の体積平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置「HEROS KA」(日本レーザー株式会社製)を用いて湿式にて測定することが可能である。具体的には、まず、焦点位置200mmの光学系を選択し、測定時間を5秒に設定する。そして、測定用のキャリア粒子を0.2%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波洗浄機「US−1」(アズワン株式会社製)を用いて3分間分散させて測定用試料分散液を作製し、これを「HEROS KA」に数滴供給し、試料濃度ゲージが測定可能領域に達した時点で測定を開始する。得られた粒度分布を粒度範囲(チャンネル)に対して、小径側から累積分布を作成し、累積50%となる粒径(メディアン径)を体積平均粒径とする。上記キャリア粒子の体積平均粒子径は、当該キャリア粒子の分級および分級品の混合によって調整することが可能である。
上記トナーは、スチレン、メタクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレン、を上記の量で含むモノマーの共重合体によって構成される有機微粒子を外添剤として含有する。上記有機微粒子は、上記の組成の共重合体で構成されることから、硬い粒子となる。よって、トナー劣化に強くなり、かつトナー粒子への帯電付与性が向上し、良好な画像の形成に供され得る。
詳細なメカニズムは不明だが、ジビニルベンゼンによる上記共重合体中の架橋構造が有機微粒子の強度を向上させ、エチルスチレンによるエチル基が、上記共重合体中で比較的自由に分子運動し、その結果、トナー粒子の帯電性を向上させる、と考えられる。上記エチルスチレンにおけるエチル基は、上記共重合体の側鎖となるが、上記側鎖が短いと帯電付与性の効果が得られにくくなる、と考えられる。そして、側鎖が長いと当該側鎖を有するモノマーの立体障害が大きくなり、ジビニルベンゼンによる架橋が生じにくくなり、トナー劣化を抑制する効果が得られにくくなる、と考えられる。
上記トナーは、通常の電子写真方式の画像形成方法に適用され得る。例えば、上記トナーは、二成分現像剤として図1に示される画像形成装置に収容され、記録媒体上でのトナー像の形成に供される。
図1に示す画像形成装置1は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50および定着装置60を有する。
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cおよび41Kを有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42および二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を有する。感光体ドラム413は、例えば負帯電型の有機感光体である。感光体ドラム413の表面は、光導電性を有する。帯電装置414は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を感光体ドラム413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザー光を感光体ドラム413に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモータ)とを含む。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置である。現像装置412は、例えば、二成分現像剤を収容する現像容器と、当該現像容器の開口部に回転自在に配置されている現像ローラー(磁性ローラー)と、二成分現像剤が連通可能に現像容器内を仕切る隔壁と、現像容器における開口部側の二成分現像剤を現像ローラーに向けて搬送するための搬送ローラーと、現像容器内の二成分現像剤を撹拌するための撹拌ローラーと、を有する。上記現像容器には、前述した本実施の形態に係るトナー(二成分現像剤)が収容されている。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、中間転写ベルト421を感光体ドラム413に圧接させる一次転写ローラー422、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423、およびベルトクリーニング装置426を有する。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
二次転写ユニット43は、無端状の二次転写ベルト432、および二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431を有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431Aおよび支持ローラー431によってループ状に張架される。
定着装置60は、例えば、定着ローラー62と、定着ローラー62の外周面を覆い、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解するための無端状の発熱ベルト63と、用紙Sを定着ローラー62および発熱ベルト63に向けて押圧する加圧ローラー64と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
画像形成装置1は、さらに、画像読取部110、画像処理部30および用紙搬送部50を有する。画像読取部110は、給紙装置111およびスキャナー112を有する。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する三つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
画像形成装置1による画像の形成を説明する。
スキャナー112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサー112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。帯電装置414は、感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411では、ポリゴンモータのポリゴンミラーが高速で回転し、各色成分の入力画像データに対応するレーザー光が、感光体ドラム413の軸方向に沿って展開し、当該軸方向に沿って感光体ドラム413の外周面に照射される。こうして感光体ドラム413の表面には、静電潜像が形成される。
現像装置412では、上記現像容器内の二成分現像剤の撹拌、搬送によってトナー粒子が帯電し、二成分現像剤は上記現像ローラーに搬送され、当該現像ローラーの表面で磁性ブラシを形成する。帯電したトナー粒子は、上記磁性ブラシから感光体ドラム413における静電潜像の部分に静電的に付着する。こうして、感光体ドラム413の表面の静電潜像が可視化され、感光体ドラム413の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。
上記二成分現像剤は、前述したように、外添剤に上記有機微粒子を含む。このため、当該有機微粒子がスペーサーとして作用することによるトナー劣化の防止効果が得られるとともに、トナー粒子が十分かつ良好に帯電する。よって、現像装置412において上記二成分現像剤は十分に流動し、トナー粒子が劣化することなく均一かつ十分に帯電し、その結果、当該トナー粒子によって上記静電潜像がその細部まで忠実に顕像化される。
感光体ドラム413の表面のトナー画像は、中間転写ユニット42によって中間転写ベルト421に転写される。転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、感光体ドラム413の表面に摺接するドラムクリーニングブレードを有するドラムクリーニング装置415によって除去される。
一次転写ローラー422によって中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接することにより、感光体ドラム413と中間転写ベルト421とによって、一次転写ニップが感光体ドラムごとに形成される。当該一次転写ニップにおいて、各色のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重なって転写される。
一方、二次転写ローラー431Aは、中間転写ベルト421および二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。それにより、中間転写ベルト421と二次転写ベルト432とによって、二次転写ニップが形成される。当該二次転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって二次転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正および搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
上記二次転写ニップに用紙Sが搬送されると、二次転写ローラー431Aへ転写バイアスが印加される。この転写バイアスの印加によって、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
定着装置60は、発熱ベルト63と加圧ローラー64とによって、定着ニップを形成し、搬送されてきた用紙Sを当該定着ニップ部で加熱、加圧する。こうしてトナー画像が用紙Sに定着する。上記トナー粒子は、比較的小さいことからより融けやすい。よって上記トナー画像の定着では、従来の大きさのトナー粒子のトナー画像を定着させる場合に比べて、定着に要する熱エネルギー(電気エネルギー)がより低減する。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。こうして、高画質の画像が形成される。
なお、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有するベルトクリーニング装置426によって除去される。
以上の説明から明らかなように、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含有するトナー母体粒子とその表面に付着する外添剤とを有する静電潜像現像用のトナーにおいて、上記外添剤が、スチレン、メタクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンを含むモノマーの共重合体で構成された有機微粒子を含み、上記モノマーにおいて、スチレンの含有量は10質量%以上であり、メタクリル酸メチルの含有量は10質量%以上であり、ジビニルベンゼンの含有量は4質量%以上であり、エチルスチレンの含有量は1質量%以上である。よって、有機微粒子の外添剤を含むトナーであって、トナー粒子の劣化が防止されるとともに、良好な帯電性を有するトナーを提供することができる。
上記有機微粒子の個数平均粒子径が70〜150nmであることは、トナー粒子への帯電付与性を高める観点から、より一層効果的である。
また、上記トナーにおける上記有機微粒子の含有量が、上記トナー母体粒子100質量部に対して0.1〜2質量部であることは、トナー劣化を抑制する効果およびトナー粒子への帯電性付与効果を高める観点から、より一層効果的である。
また、上記結着樹脂が結晶性ポリエステルをさらに含有することは、トナー母体粒子のシャープメルト性を高める観点から、より一層効果的である。
また、上記トナーは、キャリア粒子をさらに含有する二成分現像剤に適用することができる。
上記キャリア粒子が、芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する、いわゆる樹脂被覆型のキャリア粒子であることは、良好な帯電性および現像性の観点からより一層効果的である。
また、上記被覆材が、脂環式メタクリレートを含むモノマーの重合体を含むことは、トナーの帯電の環境安定性を高める観点からより一層効果的である。
また、上記キャリア粒子の体積平均粒子径が25〜75μmであることは、トナー粒子への帯電付与性を高める観点からより一層効果的である。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例などに限定されない。
[エチルスチレンの精製]
不純物としてエチルスチレンを含むジビニルベンゼン(東京化成工業株式会社製、純度50%)を8回蒸留し、純度95%のエチルスチレン(ESt)を得た。
[有機微粒子1の作製]
温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、攪拌器を装着したガラス製反応器に脱イオン水200質量部およびラウリル硫酸ナトリウム(SLS)2.8質量部を仕込み、窒素ガスを通気しながら80〜85℃に加温し、得られた水溶液に過硫酸アンモニウム1質量部を攪拌しながら添加した。
得られた水溶液に、さらに、スチレン(St、東京化成工業株式会社製、純度99%以上)50質量部、メチルメタクリレート(MMA、東京化成工業株式会社製、純度99.8%以上)40質量部、ジビニルベンゼン(m−、p−混合物、DVB、和光純薬工業株式会社製、純度93%以上)8質量部、および上記エチルスチレン2質量部からなるモノマー混合物を、1時間で滴下し、次いで、得られた混合液を1時間攪拌し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンをスプレードライにより乾燥し、個数平均粒子径Dn1が110nmの有機微粒子1を得た。
[有機微粒子2〜5の作製]
ラウリル硫酸ナトリウムの量を、4.0質量部、2.0質量部、5.0質量部および1.8質量部にそれぞれ変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子2〜5をそれぞれ作製した。有機微粒子2のDn1は70nmであり、有機微粒子3のDn1は150nmであり、有機微粒子4のDn1は60nmであり、有機微粒子5のDn1は160nmであった。
[有機微粒子6〜13の作製]
MMAの量を41質量部に、そしてEStの量を1質量部にそれぞれ変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子6を作製した。また、DVBの量を10質量部に変更し、そしてEStを添加しない以外は有機微粒子1の作製を同様にして、有機微粒子7を作製した。さらに、MMAの量を44質量部に、そして、DVBの量を4質量部にそれぞれ変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子8を作製した。
また、DVBを添加せず、そして、EStの量を10質量部に変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子9を作製した。さらに、Stの量を80質量部に、そしてMMAの量を10質量部にそれぞれ変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子10を作製した。
また、Stの量を90質量部に変更し、そしてMMAを添加しない以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子11を作製した。さらに、Stの量を10質量部に、そしてMMAの量を80質量部にそれぞれ変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子12を作製した。
また、Stを添加せず、MMAの量を90質量部に変更する以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子13を作製した。なお、有機微粒子6〜13のDn1は、それぞれ110nmであった。
[有機微粒子14、15の作製]
エチルスチレンの代わりにメチルスチレン(m−、p−混合物、MSt、和光純薬工業株式会社製、純度98%以上)を用いる以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子14を作製した。また、エチルスチレンの代わりに4−tert−ブチルスチレン(BSt、和光純薬工業株式会社製、純度94%以上)を用いる以外は有機微粒子1の作製と同様にして、有機微粒子15を作製した。有機微粒子14、15のDn1は、それぞれ110nmであった。有機微粒子1〜15におけるモノマーの組成およびDn1を表1に示す。
Figure 2016176985
[着色剤微粒子分散液の調製]
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌、溶解させた溶液を撹拌しながら、当該溶液中に銅フタロシアニン24.5質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックスWモーション CLM−0.8」(エム・テクニック株式会社製、「クレアミックス」は同社の登録商標)を用いて分散処理を行うことにより、当該溶液中における銅フタロシアニン粒子の体積基準のメディアン径が126nmである着色剤微粒子分散液(A1)を調製した。
なお、着色剤微粒子分散液(A1)の体積基準のメディアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて求めた。
[結晶性ポリエステルの作製]
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール300gと、ドデカン二酸250gと、触媒Ti(OBu)4 (カルボン酸モノマーに対し、0.014質量%)とを入れた混合液を調製し、その後、減圧操作により容器内の空気を減圧した。さらに、窒素ガスを上記三ツ口フラスコに導入して当該フラスコ内を不活性雰囲気とし、上記混合液を機械撹拌しながら180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー成分を除去し、220℃まで徐々に昇温を行って12時間撹拌を行った。粘稠な状態となったところで冷却することにより、結晶性ポリエステル(B1)を得た。得られた結晶性ポリエステル(B1)の重量平均分子量(Mw)は19,500であった。また、結晶性ポリエステル(B1)の融点は、75℃であった。
結晶性ポリエステル(B1)のMwは、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用いて、カラム温度を40℃に保持しながらキャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流し、試料溶液10μLを上記装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出することにより求められる。
上記試料用液は、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにTHFに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターでろ過して調製する。また、上記検量線は、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定して作成する。当該標準ポリスチレン試料には、Pressure Chemical社製の、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用いる。
また、結晶性ポリエステル(B1)の融点は、示差走査熱量測定装置「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて、試料3.0mgをアルミニウム製パンに封入してホルダーにセットし、リファレンスとして空のアルミニウム製パンをセットし、昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/minで200℃から0℃まで冷却する冷却過程、および、昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程、をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によって測定し、この測定によって得られるDSC曲線における、第1昇温過程における結晶性ポリエステル由来の吸熱ピークトップの温度、として求められる。
[樹脂粒子(C1)の分散液の調製(第1段重合)]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4gおよびイオン交換水3000gを仕込み、得られた混合液の窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該混合液の温度を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を上記混合液に添加し、当該混合液の液温75℃とし、下記組成の単量体混合液を1時間かけて上記混合液に滴下し、その後、当該混合液を75℃にて2時間加熱、撹拌することにより上記単量体の重合を行い、樹脂粒子(C1)の分散液を調製した。
スチレン 568g
アクリル酸n−ブチル 164g
メタクリル酸 68g
[樹脂粒子(C2)の分散液の調製(第2段重合)]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水3000gに溶解させた溶液を仕込み、得られた混合液を80℃に加熱した。
一方で、下記組成の単量体を80℃にて溶解させた溶液を調製した。その後、当該溶液を上記混合液に添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製)により、1時間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。次いで、過硫酸カリウム5gをイオン交換水100gに溶解させた開始剤溶液を調製し、上記分散液に添加し、得られた分散液を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌して上記単量体の重合を行い、樹脂粒子(C2)の分散液を調製した。
樹脂粒子(C1) 42g(固形分換算)
ワックス 70g
結晶性ポリエステル(B1) 70g
スチレン 195g
アクリル酸n−ブチル 91g
メタクリル酸 20g
n−オクチルメルカプタン 3g
なお、上記ワックスは、「HNP−0190」(日本精蝋株式会社製)である。
[コア用樹脂微粒子(C3)の分散液の調製(第3段重合)]
上記の樹脂粒子(C2)の分散液に、さらに、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し、得られた分散液を80℃に維持し、下記組成の単量体混合液を1時間かけて上記分散液に滴下した。滴下終了後、得られた分散液を2時間にわたって加熱撹拌することにより上記単量体の重合を行い、その後、上記分散液を28℃まで冷却し、コア用樹脂微粒子(C3)の分散液を調製した。
スチレン 298g
アクリル酸n−ブチル 137g
アクリル酸n−ステアリル 50g
メタクリル酸 64g
n−オクチルメルカプタン 6g
[シェル用樹脂微粒子(D1)の分散液の調製]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた反応容器に、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0gをイオン交換水3000gに溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該溶液の温度を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、下記組成の単量体混合液を上記溶液に3時間かけて滴下した。滴下後、得られた混合液を80℃にて1時間にわたって加熱、撹拌して上記単量体の重合を行い、シェル用樹脂微粒子(D1)の分散液を調製した。
スチレン 564g
アクリル酸n−ブチル 140g
メタクリル酸 96g
n−オクチルメルカプタン 12g
[コアシェル粒子の作製(凝集・融着工程)]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、コア用樹脂微粒子(C3)の分散液360g(固形分換算)と、イオン交換水1100gと、着色剤微粒子の分散液(A1)の50gとを仕込み、得られた分散液の温度を30℃に調整した後、当該分散液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えて当該分散液のpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて上記分散液に添加した。添加後、分散液を30℃に3分間保持した後に昇温を開始し、上記分散液を60分間かけて85℃まで昇温し、当該分散液の温度を85℃に保持したまま粒子成長反応を継続し、プレコア粒子(1)の分散液を調製した。
この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて、会合しているプレコア粒子(1)の粒径を測定し、プレコア粒子(1)の個数基準のメディアン径が5.9μmになった時点で、塩化ナトリウム40gをイオン交換水160gに溶解した水溶液を上記分散液に添加してプレコア粒子(1)の成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたって撹拌することによりプレコア粒子(1)間の融着を進行させ、これにより、コア粒子(1)を形成した。
次いで、シェル用樹脂微粒子(D1)の80g(固形分換算)を添加し、80℃にて1時間にわたって撹拌を継続し、コア粒子(1)の表面にシェル用樹脂微粒子(D1)を融着させてシェル層を形成させて樹脂粒子(1)を得た。ここで、得られた分散液に、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600gに溶解した水溶液を添加し、液温80℃にて熟成処理を行い、樹脂粒子(1)の平均円形度が0.965になった時点で30℃に冷却した。冷却後のコアシェル粒子(1)の個数基準のメディアン径が6.0μm、平均円形度が0.965であった。
なお、コアシェル粒子(1)の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」を用いて、前述の測定条件に準じて得られた円形度の平均値として求めた。また、コアシェル粒子(1)の個数基準のメディアン径は、コア粒子(1)のそれと同様にして、「コールターマルチサイザー3」を用いて測定した。
[トナー母体粒子の作製(洗浄・乾燥工程)]
凝集・融着工程にて生成したコアシェル粒子(1)の分散液を遠心分離機で固液分離し、コアシェル粒子のウェットケーキを形成した。当該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(株式会社セイシン企業製)に移し、水分量が0.8質量%となるまで乾燥して、トナー母体粒子1を作製した。
[トナー粒子1の作製(外添剤処理工程)]
100質量部のトナー母体粒子1に下記の粉体を下記の量で添加し、ヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業株式会社製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして撹拌翼の回転数を設定して15分間撹拌し、トナー粒子1を作製した。
有機微粒子1 1.0質量部
疎水性シリカ 2.5質量部
疎水性酸化チタン 0.5質量部
上記「ゾルゲルシリカ」は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理されており、その疎水化度は72%であり、その個数平均一次粒子径は130nmである。また、上記「疎水性シリカ」は、HMDS処理されており、その疎水化度は72%であり、その個数平均一次粒子径は40nmである。さらに、上記「疎水性酸化チタン」は、HMDS処理されており、その疎水化度は55%であり、その個数平均一次粒子径は20nmである。
上記粉体のトナー粒子1への外添混合時における混合粉体の温度は40℃±1℃となるように設定した。当該温度が41℃になった場合は、ヘンシェルミキサーの外浴に冷却水を5L/分の流量で冷却水を流し、39℃になった場合は、当該冷却水の流量が1L/分となるように冷却水を流すことで、ヘンシェルミキサー内部の温度を制御した。
なお、上記粉体の個数平均一次粒子径は、前述したように、トナー粒子のSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(株式会社ニレコ製、「LUZEX」は同社の登録商標)にて、当該SEM写真画像のビニル系樹脂粒子について2値化処理し、有機微粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値として求められる。上記SEM写真は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子株式会社製)を用いた、30000〜50000倍に拡大した画像である。
[トナー粒子2〜15の作製]
有機微粒子1に代えて有機微粒子2〜15のそれぞれを用いる以外はトナー粒子1の作製と同様にして、トナー粒子2〜15のそれぞれを作製した。
[トナー粒子16〜19の作製]
有機微粒子1の添加量を2.0質量部、1.5質量部、0.2質量部および0.1質量部にそれぞれ変更する以外はトナー粒子1の作製と同様にして、トナー粒子16〜19のそれぞれを作製した。
[トナー粒子20の作製]
有機微粒子1を添加しない以外はトナー粒子1の作製と同様にして、トナー粒子20を作製した。
トナー粒子1〜20における有機微粒子の種類および添加量を表2に示す。表2中、有機微粒子の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対する質量部数である。
Figure 2016176985
[キャリア芯材粒子1の作製]
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%およびSrO:0.5mol%になるようにこれらの粉体を秤量し、水と混合し、湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、仮焼成を行った。得られた粉体を、直径0.3cmのステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕し、次いで、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて4時間粉砕した。
得られた粉砕物に、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を固形分に対して0.8質量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、得られた粉体を電気炉にて、温度1350℃、5時間保持し、当該粉体の本焼成を行った。
その後、得られた焼成粉体を解砕し、分級して粒度調整し、磁力選鉱により低磁力品を分別し、キャリア芯材粒子1を得た。キャリア芯材粒子1の体積平均粒径を、レーザー回折式粒度分布測定装置「HEROS KA」(日本レーザー株式会社製)を用いてキャリア粒子について前述した条件で測定したところ、キャリア芯材粒子1の体積平均粒径Dv2は73.0μmであった。
[キャリア芯材粒子2〜6の作製]
分級を調整した以外はキャリア芯材粒子1の作製と同様にして、キャリア芯材粒子2〜6をそれぞれ作製した。キャリア芯材粒子2のDv2は58.5μmであった。キャリア芯材粒子3のDv2は34.0μmであった。キャリア芯材粒子4のDv2は24.0μmであった。キャリア芯材粒子5のDv2は19.0μmであった。キャリア芯材粒子6のDv2は78.0μmであった。
[芯材被覆用樹脂(被覆材1)の作製)]
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)およびメタクリル酸メチル(MMA)を1:1のモル比で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、得られた分散液中の樹脂粒子を当該分散液のスプレードライによって乾燥することで、芯材被覆用樹脂である被覆材1を作製した。得られた被覆材1における上記樹脂の重量平均分子量Mwは50万であった。被覆材1における上記樹脂のMwは、前述の結晶性ポリエステル(B1)と同様にして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。
[被覆材2の作製]
CHMAをStに変更する以外は被覆材1の作製と同様にして、被覆材2を作製した。被覆材2における樹脂のMwは60万であった。
[キャリア粒子1の作製]
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、キャリア芯材粒子1の100質量部と、被覆材1の4.5質量部とを投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した。その後、120℃で50分間混合して、機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で上記芯材粒子の表面に被覆材1を被覆させて、キャリア粒子1を作製した。キャリア粒子1の体積平均粒径Dv3を、キャリア芯材粒子1と同様の方法で測定したところ、キャリア粒子1のDv3は75μmであった。
[キャリア粒子2〜6の作製]
キャリア芯材粒子1をキャリア芯材粒子2〜6のそれぞれに変更する以外はキャリア粒子1と同様にして、キャリア粒子2〜6をそれぞれ作製した。キャリア粒子2のDv3は60.0μmであり、キャリア粒子3のDv3は35.0μmであり、キャリア粒子4のDv3は25.0μmであり、キャリア粒子5のDv3は20.0μmであり、キャリア粒子6のDv3は80.0μmであった。
[キャリア粒子7の作製]
キャリア芯材粒子1をキャリア芯材粒子2に、そして被覆材1を被覆材2にそれぞれ変更する以外はキャリア粒子1と同様にして、キャリア粒子7を作製した。キャリア芯材粒子7のDv2は58.5μmであり、Dv3は60.0μmであった。
キャリア粒子1〜7におけるキャリア芯材粒子の種類、Dv2、Dv3および被覆材の種類を表3に示す。
Figure 2016176985
[現像剤1の作製]
トナー粒子1およびキャリア粒子2を、トナー濃度が5質量%となるようにして、V型混合機を用いて30分間混合し、現像剤1を作製した。
[現像剤2〜20の作製]
トナー粒子1をトナー粒子2〜20のそれぞれに変更する以外はトナー粒子1の作製と同様にして、現像剤2〜20をそれぞれ作製した。
[現像剤21〜26の作製]
キャリア粒子2をキャリア粒子1および3〜7のそれぞれに変更する以外はトナー粒子1の作製と同様にして、現像剤21〜26をそれぞれ作製した。
[評価]
評価装置として、市販のデジタルフルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)を用いた。現像剤1〜26のそれぞれを装填し、常温常湿(20℃、50%RH)環境で、A4版の上質紙(65g/m2 )上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を10万枚形成する印刷(耐久印刷)を行った。
なお、「印字率」は、紙面の面積全体に対する画像の面積の割合(%)である。また、上記帯状ベタ画像は、上記上質紙の長手方向に沿って形成され、上記上質紙は、その短手方向に移動する。
そして、上記耐久印刷後、次いでA4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率1%の帯状ベタ画像を形成する印刷を5千枚形成する印刷(低カバレッジ試験)を行い、低カバレッジにおける下記濃度ムラおよびかぶりを評価した。
また、上記耐久印刷後、次いでA4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率25%の帯状ベタ画像を形成する印刷を5千枚形成する印刷(高カバレッジ試験)を行い、高カバレッジにおける下記濃度ムラおよびかぶりを評価した。
(1)濃度ムラ
A4サイズの記録用紙に全面40%平網画像を連続で100枚出力した。「全面40%平網画像」とは、濃淡のムラがない網点の印字面積が40%の画像である。そして、1枚目と100枚目の画像の反射濃度を、マクベス反射濃度計「RD907」(マクベス社製)によって測定し、その1枚目と100枚目の濃度差Δdにより、以下の基準で濃度ムラを評価した。本実施例においては、Δdが0.05以下であれば合格である。
◎:Δdが0.03以下
○:Δdが0.03超0.05以下
×:Δdが0.05超
(2)かぶり
上記低カバレッジ試験および上記高カバレッジ試験の初期と試験直後とのそれぞれで、A4版の白紙(印字率0%の画像)を形成し、当該白紙の20か所の画像濃度を、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて測定し、その平均値を白紙濃度dwとして求めた。そして、以下の基準でかぶりを評価した。本実施例では、dwが0.01以下であれば合格である。
◎:dwが0.004以下
○:dwが0.004超0.010以下
×:dwが0.010超
現像剤1〜26におけるトナー粒子およびキャリア粒子の組み合わせと、評価結果とを表4、表5に示す。
Figure 2016176985
Figure 2016176985
表4、5から明らかなように、現像剤1〜6、8、10、12、16〜19および21〜26は、カバレッジの高低(印字率の高低)に関わらず、濃度ムラおよびカブリの発生が十分に抑制された高画質の画像を形成することができる。
そして、例えば現像剤1〜3は、現像剤4、5に比べて、濃度ムラおよびカブリの発生を抑制する観点でより優れている。よって、有機微粒子のDn1が70〜150nmであることが、上記の観点からより好ましいことがわかる。
また、例えば現像剤6と現像剤7との対比から、有機微粒子のモノマー中のEStの含有量が1質量%以上であることにより、濃度ムラおよびカブリの発生を抑制可能であることがわかる。
また、例えば現像剤8と現像剤9との対比から、有機微粒子のモノマー中のDVBの含有量が4質量%以上であることにより、濃度ムラおよびカブリの発生を抑制可能であることがわかる。
また、例えば現像剤10と現像剤11との対比から、有機微粒子のモノマー中のMMAの含有量が10質量%以上であることにより、濃度ムラおよびカブリの発生を抑制可能であることがわかる。
また、例えば現像剤12と現像剤13との対比から、有機微粒子のモノマー中のStの含有量が10質量%以上であることにより、濃度ムラおよびカブリの発生を抑制可能であることがわかる。
また、例えば現像剤1および16〜19と現像剤20との対比から、現像剤中の有機微粒子の含有量がトナー母体粒子100質量部に対して少なくとも0.1〜2.0質量部の範囲において、濃度ムラおよびカブリの発生が抑制されることがわかる。
また、例えば現像剤1および21〜23は、現像剤24〜26に比べて、濃度ムラおよびカブリの発生を抑制する観点でより優れている。よって、現像剤中のキャリア粒子のDv2は少なくとも25〜75μmであることが、上記の観点からより好ましいことがわかる。
これに対して、現像剤7、9、11、13〜15および20は、いずれも、濃度ムラおよびカブリの少なくともいずれかの発生の抑制が不十分である。
現像剤7は、高カバレッジにおける濃度ムラおよびカブリの発生の抑制が不十分である。これは、有機微粒子のモノマーにEStが含まれていないため、ベンゼン環に結合するエチル基による帯電付与性の向上効果が得られず、トナー粒子の帯電が高カバレッジの画像を形成するには不十分となったため、と考えられる。
現像剤9は、低カバレッジにおける濃度ムラおよびカブリの発生の抑制が不十分である。これは、有機微粒子のモノマーにDVBが含まれていないため、有機微粒子によるスペーサー効果が十分に得られず、トナー母体粒子の損傷、劣化(トナー劣化)による帯電特性の変化が生じ、その結果、低カバレッジの画像の形成に際してトナー粒子の帯電の不均一さが画質に反映されたため、と考えられる。
現像剤11は、低カバレッジおよび高カバレッジにおけるカブリの発生の抑制が不十分である。これは、有機微粒子のモノマーにMMAが含まれていないため、MMAによるカブリ抑制効果が得られないため、と考えられる。
現像剤13は、低カバレッジにおける濃度ムラおよびカブリの発生の抑制が不十分である。これは、有機微粒子のモノマーにStが含まれていないため、有機微粒子の強度が不十分となり、DVBを含有しない場合と同様にトナー劣化によってトナー粒子の帯電性が不十分となり、低カバレッジの画像の形成に際してトナー粒子の帯電の不均一さが画質に反映されたため、と考えられる。
現像剤14は、高カバレッジにおけるカブリの発生の抑制が不十分である。これは、主鎖に結合するベンゼン環が有するアルキル基がメチル基であるため、当該アルキル基による帯電付与効果が不十分となり、トナー粒子に所期の帯電が施されず、このようなトナー粒子の帯電に係る変化が高カバレッジの画像の画質に反映されたため、と考えられる。
現像剤15は、低カバレッジにおけるカブリの発生の抑制が不十分である。これは、有機微粒子中において、t−ブチル基がDVBの架橋構造の構築を阻害し、有機微粒子によるスペーサー効果が不十分となり、DVBを含有しない場合と同様にトナー劣化によってトナー粒子の帯電性が不十分となり、低カバレッジの画像の形成に際してトナー粒子の帯電の不均一さが画質に反映されたため、と考えられる。
現像剤20は、低カバレッジにおける濃度ムラおよびカブリの発生の抑制が不十分である。これは、現像剤が有機微粒子を有していないため、外添剤によるスペーサー効果が不十分となり、トナー劣化によってトナー粒子の帯電性が不十分となり、低カバレッジの画像の形成に際してトナー粒子の帯電不足が画質に反映されたため、と考えられる。
本発明によれば、トナー劣化の防止とトナー粒子への十分な帯電の付与との両方が外添剤によってもたらされる。よって、本発明によれば、トナー粒子の改良による性能向上の可能性がさらに高まり、その結果、電子写真方式の画像形成装置におけるさらなる高速化および高性能化が期待され、当該画像形成装置のさらなる普及が期待される。
1 画像形成装置
30 画像処理部
40 画像形成部
41Y、41M、41C、41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a、51b、51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラー
53 搬送経路部
53a レジストローラー対
60 定着装置
62 定着ローラー
63 発熱ベルト
64 加圧ローラー
110 画像読取部
111 給紙装置
112 スキャナー
112a CCDセンサー
411 露光装置
412 現像装置
413 感光体ドラム
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
423、431 支持ローラー
423A バックアップローラー
426 ベルトクリーニング装置
431A 二次転写ローラー
432 二次転写ベルト
D 原稿
S 用紙

Claims (8)

  1. スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含有するトナー母体粒子とその表面に付着する外添剤とを有する静電潜像現像用のトナーにおいて、
    前記外添剤は、スチレン、メタクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンを含むモノマーの共重合体で構成された有機微粒子を含み、
    前記モノマーにおいて、スチレンの含有量は10質量%以上であり、メタクリル酸メチルの含有量は10質量%以上であり、ジビニルベンゼンの含有量は4質量%以上であり、エチルスチレンの含有量は1質量%以上である、
    トナー。
  2. 前記有機微粒子の個数平均粒子径は、70〜150nmである、請求項1のトナー。
  3. 前記トナーにおける前記有機微粒子の含有量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して0.1〜2質量部である、請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナー母体粒子は、結晶性ポリエステルをさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. キャリア粒子をさらに含有する二成分現像剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記キャリア粒子は、芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する、請求項5に記載のトナー。
  7. 前記被覆材は、脂環式メタクリレートを含むモノマーの重合体を含む、請求項6に記載のトナー。
  8. 前記キャリア粒子の体積平均粒子径は、25〜75μmである、請求項5〜7のいずれか一項に記載のトナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019191292A (ja) * 2018-04-20 2019-10-31 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 現像剤セット、画像形成装置、及び画像形成方法

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