JP2024076072A - 静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システム - Google Patents

静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れた転写性、低温定着性及び画像濃度を兼ね備えた静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。
【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーセットは、ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される静電荷像現像用トナーセットであって、前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーが、それぞれ着色剤及び結着樹脂を含有し、前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたとき、下記式(1)を満たし、
式(1): Rmax/Rmin≦1.0×1010
前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量Cが、12.0質量%以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システムに関する。より詳しくは、優れた転写性、低温定着性及び画像濃度を兼ね備えた静電荷像現像用トナーセット等に関する。
従来、電子写真画像形成装置(以下、単に「複写機」ともいう。)は、更なる高速化、省エネルギー化、高画質化等が要望されている。そして、これに用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に、「トナー」ともいう。)としては、低温定着性及び高画質性の両立が求められている。
ブラックトナーにおいては、コストが安く、単体で黒を表現できることから、着色剤としてカーボンブラックがよく用いられている。ただし、カーボンブラックは、抵抗値が低く、導電性が高い。そのため、カーボンブラックを用いたブラックトナーは、転写する際の電圧印加において、絶縁性を維持することが難しい。特に、高温高湿環境下では、絶縁性を維持することが難しく、転写性が低下しやすいという問題があった。
また、ブラックトナー以外の色のトナー(例えば、カラートナー)を併用して、例えば中間転写体から記録媒体へ転写する場合、複数の種類のトナーを、同一条件下、一括で転写することになる。そのため、各トナーの帯電特性は、同程度であることが好ましい。
このような観点から、特許文献1では、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を、所定の比率(質量比率)で含有するブラック現像剤に関する技術が開示されている。すなわち、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を混合して黒色を呈する着色剤とし、ブラック現像剤を製造する技術である。当該技術を用いることにより、転写性はいくらか向上したが、低温定着性及び画像濃度については、満足いくものではなかった。
特開2006-23492号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、優れた転写性、低温定着性及び画像濃度を兼ね備えた静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される静電荷像現像用トナーセットにおいて、ブラックトナー及びその他の色のトナーが、それぞれ着色剤及び結着樹脂を含有し、ブラックトナー及びその他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率を特定の範囲内とし、ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、ブラックトナーの全着色剤の含有量が、12.0質量%以上であることにより、優れた転写性、低温定着性及び画像濃度を兼ね備えた静電荷像現像用トナーセットを提供できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される静電荷像現像用トナーセットであって、
前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーが、それぞれ着色剤及び結着樹脂を含有し、
前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたとき、下記式(1)を満たし、
式(1): Rmax/Rmin≦1.0×1010
前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量Cが、12.0質量%以上である
ことを特徴とする静電荷像現像用トナーセット。
2.前記その他の色のトナーが、少なくともイエロー系、マゼンタ系又はシアン系の着色剤を含有するカラートナーであり、
前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、
前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(2)を満たす
式(2): RCLmax/RKmin≦1.0×1010
ことを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
3.前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、
前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(3)を満たす
式(3): RCLmax/RKmin≦1.0×10
ことを特徴とする第2項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
4.前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上である
ことを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
5.前記ブラックトナーの着色剤が、ピグメントイエロー、ピグメントレッド又はピグメントブルーに分類される着色剤以外の着色剤を含有する
ことを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
6.前記ブラックトナー又は前記その他の色のトナーの結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有する
ことを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
7.前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量をC[質量%]とし、前記各カラートナーの結着樹脂の全質量に対する、前記各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値をCCLmax[質量%]としたとき、下記式(4)を満たす
式(4): C/CCLmax≧1.2
ことを特徴とする第2項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
8.前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRKmax[Ω・cm]とし、
前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRCLmin[Ω・cm]としたとき、下記式(5)を満たす
式(5): RKmax/RCLmin≦1.0×1010
ことを特徴とする第2項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーセットと、キャリアとを含む
ことを特徴とする二成分現像剤セット。
10.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーセットを用いる画像形成方法であって、
像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写工程、及び
前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写工程、を有する
ことを特徴とする画像形成方法。
11.少なくとも、像保持体の帯電手段、静電荷像形成手段、静電荷像現像手段、トナー画像転写手段及びトナー画像定着手段を備える画像形成システムであって、
前記トナー画像転写手段が、前記像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写手段、及び
前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写手段、を更に有し、
第1項から第8項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーセットを用いる
ことを特徴とする画像形成システム。
本発明の上記手段により、優れた転写性、低温定着性及び画像濃度を兼ね備えた静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
なお、本発明に係る「静電荷像現像用トナーセット」のことを、単に、「トナーセット」ともいう。また、本発明に係る「トナー」は、「静電荷像現像用トナー」と同義である。本発明に係るトナーは、トナー母体粒子と、トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを備えるトナー粒子を含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、トナー粒子の集合体のことをいう。
前述のとおり、複数のトナーを併用して、例えば、中間転写体から記録媒体へ転写(二次転写)する場合、複数の種類のトナーを、同一条件下、一括で転写することになる。そのため、各トナーの帯電特性は、同程度であることが好ましい。
トナーに含まれるトナー粒子を構成する材料のうち、着色剤は、比較的占める割合が大きく、着色剤の電気抵抗がトナーの帯電特性に大きく影響すると考えられる。したがって、併用する複数のトナーの着色剤において、電気抵抗は同程度であることが好ましい。
カラートナーの着色剤としては、有機顔料又は染料がよく用いられる。一方、ブラックトナーの着色剤としては、有機顔料又は染料の他に、カーボンブラック等の無機顔料がよく用いられる。無機顔料、特にカーボンブラックは、有機顔料又は染料と比較して、比較的電気抵抗が低い。そのため、比較的電気抵抗が低い着色剤を用いたブラックトナーと、カラートナーを併用する場合、カラートナー基準の印加電圧で一括転写を行うと、ブラックトナーが十分に転写されないという問題が生じる。
つまり、複数のトナーの着色剤において、とり得る電気抵抗の値に大きな幅が生じると、十分な転写性が得られない。本発明では、その幅を特定の範囲内、具体的には、着色剤の体積抵抗率の比の値を1.0×1010以下とすることにより、複数の種類のトナーを、同一条件下、一括で転写しても、優れた転写性が得られると考えられる。
また、ブラックトナーにおいて、結着樹脂の全質量に対する着色剤の含有量が、12.0質量%以上であることにより、発色性に優れ、画像濃度に優れると考えられる。また、より少ないブラックトナーでも、画像濃度に優れるため、記録媒体上のブラックトナーの付着量を低減させることができる。これにより、定着時の熱エネルギーがトナーに奪われにくくブラックトナーの定着性が向上すると考えられる。
本発明において、トナーの製造方法、特にトナー母体粒子の作製方法は限定されない。ただし、トナー母体粒子を乳化凝集法で作製する場合、着色剤を結晶核として結着樹脂の結晶化(トナー母体粒子が、結晶性ポリエステル樹脂や離型剤を含有する場合は、それらも含めた結晶化)が進行すると考えられる。そのため、着色剤を特定量以上含有させることにより、結着樹脂の結晶化が効率よく(トナー母体粒子が、結晶性ポリエステル樹脂や離型剤を含有する場合は、それらの分散性が良好な状態で)進行すると考えられる。さらに、トナー母体粒子が、他の材料を含有する場合には、他の材料の分散性も向上する。他の材料として比較的電気抵抗が低いものを用いる場合、各材料が分散することにより、トナー母体粒子内部の導電経路が形成されにくくなる。そして、得られるトナーの電気抵抗が低くなりすぎるのを防げると考えられる。
特に、ブラックトナーは電気抵抗が低くなりやすいが、結着樹脂の全質量に対する着色剤の含有量が、12.0質量%以上であることにより、所望の電気抵抗値が得られると考えられる。
また、ブラックトナーは、画像における黒色を発色させる目的だけでなく、記録媒体とその他の色のトナーとの間に配置することにより、その他の色のトナーの発色性を向上させる目的で用いることもできる。この場合の転写時では、中間転写ベルト、その他の色のトナー、ブラックトナーの順でトナーが配置され、中間転写ベルト上においてブラックトナーは表層となる。
つまり、形成する画像や記録媒体にもよるが、中間転写ベルト上に形成されるトナー画像において、一般的に、ブラックトナーが表層となる場合が、比較的多い。表層に配置されると、印加電圧の影響をより受けやすくなり、トナー画像の転写性にも大きく影響する。このような観点からも、転写性に優れたブラックトナーとすることにより、トナーセット全体としての転写性に優れると考えられる。
本実施形態に関する画像形成装置100の一例を示す概略構成図
本発明の静電荷像現像用トナーセットは、ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される静電荷像現像用トナーセットであって、前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーが、それぞれ着色剤及び結着樹脂を含有し、前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたとき、下記式(1)を満たし、
式(1): Rmax/Rmin≦1.0×1010
前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量Cが、12.0質量%以上であることを特徴とする。
この特徴は、下記実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記その他の色のトナーが、少なくともイエロー系、マゼンタ系又はシアン系の着色剤を含有するカラートナーであり、前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(2)を満たすことが好ましい。
式(2): RCLmax/RKmin≦1.0×1010
本発明の実施形態としては、転写性及び低温定着性の観点から、前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(3)を満たすことが好ましい。
式(3): RCLmax/RKmin≦1.0×10
本発明の実施形態としては、転写性及び低温定着性の観点から、前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましい。
本発明の実施形態としては、画像濃度の観点から、前記ブラックトナーの着色剤が、ピグメントイエロー、ピグメントレッド又はピグメントブルーに分類される着色剤以外の着色剤を含有することが好ましい。
本発明の実施形態としては、転写性及び低温定着性の観点から、前記ブラックトナー又は前記その他の色のトナーの結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
本発明の実施形態としては、画像濃度の観点から、前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量をC[質量%]とし、前記各カラートナーの結着樹脂の全質量に対する、前記各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値をCCLmax[質量%]としたとき、下記式(4)を満たすことが好ましい。
式(4): C/CCLmax≧1.2
本発明の実施形態としては、転写性及び低温定着性の観点から、前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRKmax[Ω・cm]とし、前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRCLmin[Ω・cm]としたとき、下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5): RKmax/RCLmin≦1.0×1010
本発明の二成分現像剤セットは、本発明の静電荷像現像用トナーセットと、キャリアとを含むことを特徴とする。
本発明の画像形成方法は、本発明の静電荷像現像用トナーセットを用いる画像形成方法であって、像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写工程、及び前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写工程、を有することを特徴とする。
本発明の画像形成システムは、少なくとも、像保持体の帯電手段、静電荷像形成手段、静電荷像現像手段、トナー画像転写手段及びトナー画像定着手段を備える画像形成システムであって、前記トナー画像転写手段が、前記像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写手段、及び前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写手段、を更に有し、本発明の静電荷像現像用トナーセットを用いることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
1.静電荷像現像用トナーセットの概要
本発明の静電荷像現像用トナーセットは、ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される静電荷像現像用トナーセットであって、前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーが、それぞれ着色剤及び結着樹脂を含有し、前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたとき、下記式(1)を満たし、
式(1): Rmax/Rmin≦1.0×1010
前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量Cが、12.0質量%以上であることを特徴とする。
なお、本発明に係る「静電荷像現像用トナーセット」のことを、単に、「トナーセット」ともいう。また、本発明に係る「トナー」は、「静電荷像現像用トナー」と同義である。本発明に係るトナーは、トナー母体粒子と、トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを備えるトナー粒子を含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、トナー粒子の集合体のことをいう。
本発明のトナーセットは、ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される。
本発明において、「ブラックトナー」とは、黒色を呈するトナーのことをいう。具体的には、色調において、L値が5.0~15.0の範囲内であり、a値及びb値が-3.0~5.5の範囲内であるトナーのことをいう。なお、トナーの発色性及び画像濃度の観点から、L値は、3.0~13.5の範囲内であることが好ましく、3.0~11.0の範囲内であることがより好ましい。また、a値及びb値が、-3.0~5.0の範囲内であることが好ましい。
本発明において、「その他の色のトナー」とは、着色剤を含有し、黒色以外の色を呈するトナーのことをいう。その他の色のトナーとしては、カラートナー、グレートナー、ホワイトトナー、メタリックトナー、金色トナー、銀色トナー、蛍光トナー等が挙げられる。
カラートナーは、イエロー、マゼンタ、シアン、それぞれを単独で用いても、二種又は三種併用してもよい。
本発明の効果発現の観点から、その他の色のトナーは、カラートナーであることが好ましい。カラートナーに含有される着色剤を複数種組み合わせることにより、黒色を呈する着色剤を調製できる。これにより、ブラックトナー及びカラートナーを、同一又は類似の材料で作製でき、各トナーの帯電特性を同程度にできると考えられる。
なお、本発明は、一般的な、ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの4種のトナーのセットに適用することにより、高い効果が得られる。
2.トナーの構成
前述のとおり、トナーは、トナー粒子の集合体である。また、トナー粒子は、トナー母体粒子と外添剤から構成される。
以下、トナー母体粒子及び外添剤について、それぞれ説明する。
3.トナー母体粒子の構成材料
本発明に係るブラックトナー及びその他の色のトナーは、いずれにおいても、トナー母体粒子中に、着色剤及び結着樹脂を含有する。その他、必要に応じて、離型剤(ワックス)、荷電制御剤等の種々の添加剤を含有してもよい。
なお、ブラックトナー及びその他の色のトナーのいずれにおいても、着色剤以外のトナー母体粒子の構成材料は、共通のものを用いることができる。
(1)着色剤
本発明に係るトナーは、トナー母体粒子中に、着色剤を含有する。
トナーが、着色剤を含有することにより、所望の色を呈するトナーが得られる。
(1.1)体積抵抗率
本発明のトナーセットにおいて、ブラックトナー及びその他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたとき、下記式(1)を満たす。
式(1): Rmax/Rmin≦1.0×1010
前述のとおり、本発明のトナーセットは、各トナーの着色剤において、とり得る電気抵抗の値の幅を特定の範囲内とすることにより、各トナーの帯電特性を同程度とすることができる。
また、本発明においては、下記条件を満たすことが好ましい。
その他の色のトナーが、カラートナーであり、ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(2)を満たすことが好ましい。
式(2): RCLmax/RKmin≦1.0×1010
また、さらに、下記式(3)を満たすことが好ましい。
式(3): RCLmax/RKmin≦1.0×10
ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRKmax[Ω・cm]とし、カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRCLmin[Ω・cm]としたとき、下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5): RKmax/RCLmin≦1.0×1010
例として、ブラックトナーと、シアン・マゼンタ・イエローからなるカラートナーとで構成されるトナーセットの場合で、上記式(1)~(3)及び(5)について説明する。
この場合、トナーセットは、ブラックトナー(K)、イエロートナー(Y)、マゼンタトナー(M)及びシアントナー(C)で構成される。ここで、各トナーに含有される着色剤を、それぞれ、K-n、Y-n、M-n、C-nとする。なお、各トナーに含有される着色剤は、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。nは、用いる着色剤の種類数に対応する。
例えば、イエロートナー及びシアントナーは着色剤を一種のみ使用し、ブラックトナー及びマゼンタトナーは着色剤を二種使用する場合、着色剤は、K-1、K-2、Y-1、M-1、M-2及びC-1と表すことができる。
(上記式(1)について)
「ブラックトナー及びその他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率」とは、着色剤K-1、K-2、Y-1、M-1、M-2、C-1、それぞれの体積抵抗率のことをいう。そして、それぞれの体積抵抗率Rは、RK-1、RK-2、RY-1、RM-1、RM-2、RC-1と表すことができる。
以下、説明のため、各体積抵抗率(単位は、全て[Ω・cm])を、RK-1=3、RK-2=2、RY-1=6、RM-1=4、RM-2=5、RC-1=1と設定する。
「ブラックトナー及びその他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値」及び「最小値」とは、RK-1、RK-2、RY-1、RM-1、RM-2及びRC-1のうち、最大値及び最小値のことをいう。この場合、最大値がRY-1、最小値がRC-1となり、上記Rmax=RY-1、Rmin=RC-1となる。
(上記式(2)及び(3)について)
「ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値」とは、RK-1及びRK-2のうち、最小値のことをいう。この場合、最小値がRK-2となり、上記RKmin=RK-2となる。なお、ブラックトナーが着色剤を一種のみ含有する場合は、その着色剤の体積抵抗率が最小値となる。
「カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値」とは、RY-1、RM-1、RM-2及びRC-1のうち、最大値のことをいう。この場合、最大値がRY-1となり、上記RCLmax=RY-1となる。なお、カラートナーが一色のトナーのみで構成され、そのトナーが着色剤を一種のみ含有する場合は、その着色剤の体積抵抗率が最大値となる。
(上記式(5)について)
「ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値」とは、RK-1及びRK-2のうち、最大値のことをいう。この場合、最大値が、RK-1となり、上記RKmax=RK-1となる。なお、ブラックトナーが着色剤を一種のみ使用する場合は、その着色剤の体積抵抗率が最大値となる。
「カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値」とは、RY-1、RM-1、RM-2及びRC-1のうち、最小値のことをいう。この場合、最小値がRC-1となり、上記RCLmin=RC-1となる。なお、カラートナーが一色のトナーのみで構成され、そのトナーが着色剤を一種のみ使用する場合は、その着色剤の体積抵抗率が最小値となる。
ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましい。また、ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率が、いずれにおいても、1.0×10Ω・cm以上であることがより好ましい。
各着色剤の体積抵抗率は、下記の方法で測定できる。
着色剤0.5gを秤量し、140kg/cmの圧力で成形し、テフロン(登録商標)製ホルダで外部から完全に隔離したステンレス電極の間に、得られた試料を取り付ける。そして、ホイーストンブリッジ「TYPE2768」(横河電機株式会社製)を使用して当該試料に15Vの電圧を印加して抵抗値(Rv)[Ω]を測定する。測定後、試料の電極面積A[cm]と厚さt[cm]を測定し、下記式より体積抵抗率R[Ω・cm]を求める。
式: R[Ω・cm]=Rv/(A/t)
(1.2)含有量
本発明のトナーセットにおいて、ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、ブラックトナーの全着色剤の含有量Cが、12.0質量%以上である。
なお、ここでの「全着色剤の含有量」とは、ブラックトナーが着色剤を一種のみ含有する場合は、その着色剤の含有量のことをいう。また、ブラックトナーが着色剤を複数種含有する場合は、その複数種の着色剤の合計の含有量のことをいう。
また、本発明においては、各カラートナーの結着樹脂の全質量に対する、各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値をCCLmax[質量%]としたとき、下記式(4)を満たすことが好ましい。
式(4): C/CCLmax≧1.2
前述の体積抵抗率と同様に説明する。
なお、着色剤K-1、K-2、Y-1、M-1、M-2、C-1のそれぞれの含有量(結着樹脂の全質量に対する含有量)は、CK-1、CK-2、CY-1、CM-1、CM-2、CC-1と表すことができる。このとき、ブラックトナーの全着色剤の含有量は、CK-1とCK-2の合計となる。カラートナーについては、イエロートナーの全着色剤の含有量は、CY-1、マゼンタトナーの全着色剤の含有量は、CM-1とCM-2の合計、シアントナーの全着色剤の含有量は、CC-1となる。
「各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値」とは、トナー単位での全着色剤の含有量のうち、最大値のことをいう。すなわち、CY-1、CM-1とCM-2の合計、及びCC-1のうち、最大値のことをいう。例えば、CY-1=5質量%、CM-1=2質量%、CM-2=4質量%、CC-1=3質量%である場合、最大値は、CM-1とCM-2の合計=6質量%となる。
各トナーの全着色剤の含有量において、上記式(4)を満たす、すなわち、着色剤の体積抵抗率だけでなく、含有量の幅も特定の範囲内とすることにより、各トナーの帯電特性を同程度とすることができる。
以下、各トナーに含有される着色剤について説明する。
(1.3)ブラックトナー用着色剤
ブラックトナーに含有される着色剤は、併用するその他の色のトナーに含有される着色剤との関係において、上記式(1)を満たすものであれば、特に制限されない。
ブラックトナー用着色剤は、一種単独で黒色を呈するものであっても、複数種併用することで黒色を呈するものであってもよい。複数種併用する場合、画像濃度の観点から、ピグメントイエロー、ピグメントレッド又はピグメントブルーに分類される着色剤以外の着色剤を含有することが好ましい。
一種単独で黒色を呈するものとしては、磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルト、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等が挙げられる。また、その他、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
一種単独で黒色を呈する着色剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、12~50質量%の範囲内であることが好ましく、30~40質量%の範囲内であることがより好ましい。ただし、比重の観点から、アニリンブラックを用いる場合は、12~30質量%の範囲内であることが好ましい。
複数種併用することで黒色を呈するものとしては、可視光領域(400nm~700nm)を二分したときの短波長側領域(波長が400nmより大きく600nm未満となる領域)に吸収極大波長λmaxを有する顔料P1と、上記二分したときの長波長側領域(波長が600nm以上700nm以下となる領域)に吸収極大波長λmaxを有する顔料P2とを組み合わせることが好ましい。
さらに、顔料P1は、吸収極大波長λmaxが400nmより大きく460nm未満となる顔料P1-1、吸収極大波長λmaxが460nm以上530nm以下となる顔料P1-2、及び吸収極大波長λmaxが530nmより大きく600nm未満となる顔料P1-3のうち、少なくとも顔料P1-2を含むことが好ましい。
これらの顔料を適宜組み合わせることにより、可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波を十分に吸収する(黒色を呈する)観点から、顔料P1-1は、吸収極大波長λmaxが410nmより大きく450nm未満となる顔料であることがより好ましい。顔料P1-2は、吸収極大波長λmaxが480nm以上510nm以下となる顔料であることがより好ましい。顔料P1-3は、吸収極大波長λmaxが540nmより大きく590nm未満となる顔料であることがより好ましい。顔料P2は、吸収極大波長λmaxが620nm以上660nm以下となる顔料であることがより好ましい。
顔料P1-2は、顔料P1が吸収極大波長を有し得る波長領域(400nm~600nm)のうち中央の波長領域に吸収極大波長λmaxを有する顔料である。そのため、トナー母体粒子が顔料P1-2を含むと、形成される画像がより幅広い波長の電磁波を吸収し(黒色を呈し)やすくなる。また、顔料P1-2は、電気抵抗が低い顔料であることが多く、トナーの過剰帯電による帯電性の低下を生じさせにくい。
また、可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波を十分に吸収する(黒色を呈する)観点から、顔料P1-2は、吸収スペクトルの長波長側における半値波長が550nm以上であることが好ましい。
顔料P1-2としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Brown 22、C.I.Pigment Brown 23、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 41、C.I.Pigment Red 38等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
一方で、可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波をより十分に吸収する(発色性)観点から、トナー母体粒子は、顔料P1-1~顔料P1-3のうち、いずれか二種類以上を含むことが好ましく、全ての種類を含むことがより好ましい。特に、顔料P1-1~顔料P1-3のうち、より多くの種類の顔料をトナー母体粒子が含有することにより、帯電性がより安定し、記録媒体への定着性が高まる。
さらに、いずれかの顔料が退色しても他の顔料が当該退色した顔料の波長域をカバーできるため、形成された画像の耐光性が高まる。そして、本発明者らの知見によれば、顔料の種類が多いほど、おそらくは、結晶性樹脂(特には結晶性ポリエステル樹脂)の分散性が高まり、トナー定着性が高まると考えられる。
顔料P1-1としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、ベンズイミダゾリン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリノン顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 81、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 87、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 111、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 126、C.I.Pigment Yellow 127、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 173、C.I.Pigment Yellow 174、C.I.Pigment Yellow 175、C.I.Pigment Yellow 176、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 181、C.I.Pigment Yellow 185、C.I.Pigment Yellow 191、C.I.Pigment Yellow 194、C.I.Pigment Yellow 196、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Yellow 214、C.I.Pigment Yellow 217、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 254、C.I.Pigment Orange 43等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、顔料P1-1としては、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 181、C.I.Pigment Yellow 185、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、又はC.I.Pigment Green 254であることが好ましい。
顔料P1-3としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、チオインジゴ顔料、トリアリールカルボニウム顔料、ジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Orange 5、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 68、C.I.Pigment Orange 70、C.I.Pigment Orange 72、C.I.Pigment Orange 74、C.I.Pigment Red 2、C.I.Pigment Red 3、C.I.Pigment Red 4、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 9、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 14、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 48:2、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 48:4、C.I.Pigment Red 53:1、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 144、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 169、C.I.Pigment Red 170、C.I.Pigment Red 175、C.I.Pigment Red 176、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 181、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 187、C.I.Pigment Red 188、C.I.Pigment Red 207、C.I.Pigment Red 208、C.I.Pigment Red 209、C.I.Pigment Red 210、C.I.Pigment Red 214、C.I.Pigment Red 238、C.I.Pigment Red 242、C.I.Pigment Red 247、C.I.Pigment Red 253、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 256、C.I.Pigment Red 257、C.I.Pigment Red 262、C.I.Pigment Red 263、C.I.Pigment Red 266、C.I.Pigment Red 269、C.I.Pigment Red 274、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Pigment Violet 31、C.I.Pigment Violet 32、等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、顔料P1-3としては、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 68、C.I.Pigment Orange 70、C.I.Pigment Orange 72、C.I.Pigment Orange 74、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 48:4、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 238、C.I.Pigment Red 242、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 269、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Pigment Violet 31又はC.I.Pigment Violet 32であることが好ましい。
顔料P2としては、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:5、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 56、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 61、C.I.Pigment Blue 80等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、色相をより良好とし、導電性及び耐光性を高め、近赤外領域の電磁波の透過性を低下させにくい観点から、顔料P2は、フタロシアニン顔料であることが好ましい。フタロシアニン顔料である顔料P2の例としては、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:5、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16等が挙げられる。
ブラックトナー用着色剤の体積抵抗率は、それぞれ、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましい。また、ブラックトナー用着色剤の体積抵抗率が、いずれにおいても、1.0×10Ω・cm以上であることがより好ましい。つまり、顔料P1-1~P1-3及び顔料P2の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましい。体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上であることにより、その他の色のトナー用着色剤の体積抵抗率と同程度とすることができる。
ブラックトナー用着色剤の体積抵抗率は、1.0×10~1.0×1016Ω・cmの範囲内であることがより好ましく、1.0×1010~1.0×1016Ω・cmの範囲内であることが更に好ましい。
複数種併用することで黒色を呈する着色剤の合計の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、12~30質量%の範囲内であることが好ましい。12質量%以上であることにより、トナー母体粒子における他の材料(必要に応じて、離型剤、結晶性ポリエステル樹脂等)の分散性が向上する。また、30質量%以下であることにより、着色剤を樹脂に取りこみやすくなる。なお、着色剤の合計の含有量は、12~20質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、顔料P1-1の含有量は、2~8質量%の範囲内であることが好ましく、3~6質量%の範囲内であることがより好ましい。顔料P1-2の含有量は、2~8質量%の範囲内であることが好ましく、3~6質量%の範囲内であることがより好ましい。顔料P1-3の含有量は、2~10質量%の範囲内であることが好ましく、3~8質量%の範囲内であることがより好ましい。顔料P2の含有量は、5~10質量%の範囲内であることが好ましく、5~8質量%の範囲内であることがより好ましい。
(1.4)その他の色のトナー用着色剤
その他の色のトナーに含有される着色剤は、併用するブラックトナーに含有される着色剤との関係において、上記式(1)を満たすものであれば、特に制限されず、従来公知の着色剤が挙げられる。
(カラートナー用着色剤)
カラートナーに含有される着色剤は、特に制限されず、下記の従来公知のものを用いることができる。また、ブラックトナー用着色剤における顔料P1-1~P1-3及びP2を用いてもよい。
<イエロー系着色剤>
イエロートナーに用いられるオレンジ又はイエローの着色剤としては、特に制限されない。例えば、有機顔料として、C.I.Pigment Orange 31、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 15、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 185等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.Solvent Yellow 19、C.I.Solvent Yellow 44、C.I.Solvent Yellow 77、C.I.Solvent Yellow 79、C.I.Solvent Yellow 81、C.I.Solvent Yellow 82、C.I.Solvent Yellow 93、C.I.Solvent Yellow 98、C.I.Solvent Yellow 103、C.I.Solvent Yellow 104、C.I.Solvent Yellow 112、C.I.Solvent Yellow 162等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
<マゼンタ系着色剤>
マゼンタトナーに用いられるマゼンタ又はレッドの着色剤としては、特に制限されない。例えば、有機顔料として、C.I.Pigment Red 2、C.I.Pigment Red 3、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 6、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 15、C.I.Pigment Red 16、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 53:1、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 81:4、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 139、C.I.Pigment Red 144、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 166、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 178、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 222、C.I.Pigment Red 238、C.I.Pigment Red 269等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.Solvent Red 1、C.I.Solvent Red 11、C.I.Solvent Red 49、C.I.Solvent Red 52、C.I.Solvent Red 58、C.I.Solvent Red 68、C.I.Solvent Red 111、C.I.Solvent Red 122等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
<シアン系着色剤>
シアントナーに用いられるグリーン又はシアンの着色剤としては、特に制限されない。例えば、有機顔料としては、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 62、C.I.Pigment Blue 66、C.I.Pigment Blue 76、C.I.Pigment Blue 7等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.Solvent Blue 25、C.I.Solvent Blue 36、C.I.Solvent Blue 69、C.I.Solvent Blue 70、C.I.Solvent Blue 93、C.I.Solvent Blue 95等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
着色剤の粒子径は、特に制限されないが、体積基準のメジアン径が、10~1000nmの範囲内であることが好ましい。また、50~500nmの範囲内であることがより好ましく、80~300nmの範囲内であることが更に好ましい。上記範囲内であることにより、高い色再現性が得られる。また、高画質に必要な小径トナーの形成に適している。なお、着色剤(粒子)の体積基準のメジアン径は、例えば、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
(ホワイトトナー用着色剤)
ホワイトトナーに含有される着色剤としては、特に制限されず、無機顔料及び有機顔料のいずれを用いてもよい。ただし、体積抵抗率の観点から、有機顔料であることが好ましい。
無機顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン(二酸化チタン)、水酸化アルミニウム、チタンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、カオリン、焼成カオリン、デラミネートカオリン、アルミノ珪酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクサイト等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
有機顔料としては、例えば、ポリスチレン樹脂粒子、尿素ホリマリン樹脂粒子等が挙げられる。また、中空構造を有する白色顔料、例えば、中空樹脂粒子、中空シリカ等が挙げられる。中でも、帯電性及び隠蔽性の観点から、酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型等いずれの結晶構造も使用できる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
(グレートナー用着色剤)
グレートナーに含有される着色剤としては、例えば、前述のブラックトナー用着色剤が挙げられる。着色剤の含有量を抑えることで、グレートナーとすることができる。
(蛍光トナー用着色剤)
蛍光トナーに含有される着色剤としては、例えば、Solvent Yellow98、Solvent Orange63等が挙げられる。
その他、併用するブラックトナーに含有される着色剤との関係において、上記式(1)を満たす範囲内で、メタリックトナー用着色剤、金色トナー用着色剤、銀色トナー用着色剤等を用いてもよい。
その他の色のトナーに含有される着色剤の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましく、1.0×1010Ω・cm以上であることがより好ましい。
その他の色のトナーに含有される着色剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、2~50質量%の範囲内であることが好ましく、5~45質量%の範囲内であることが好ましく、10~40質量%の範囲内であることが好ましい。
着色剤の含有量が2質量%以上であることにより、十分な発色性が得られる。また、50質量%以下であることにより、着色剤がトナーから遊離してキャリアに付着することを抑制でき、帯電性が安定するため、高画質な画像が得られる。
(2)結着樹脂
本発明に係るトナーは、トナー母体粒子中に、結着樹脂を含有する。
本発明において、「結着樹脂」(「バインダー樹脂」ともいう。)とは、トナー粒子中に含有される内添剤(着色剤、離型剤、荷電制御剤等)及び外添剤(シリカ、酸化チタン等)を分散させるための媒体又はマトリクス(母体)のことをいう。
トナーが結着樹脂を含有することにより、トナー画像の定着処理の際に、記録媒体(例えば用紙)にトナー画像を接着することができる。
結着樹脂としては、特に制限されないが、上記観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましく、本技術分野における従来公知の結着樹脂を用いることができる。
結着樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン系樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、結着樹脂は、画像の保存性の観点から、非晶性樹脂を含有することが好ましく、トナーの低温定着性の観点から、結晶性樹脂を含有することが好ましい。本発明においては、結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を共に含有することが好ましい。
結着樹脂の含有量は、特に制限されない。ブラックトナーにおいては、トナー母体粒子の全質量に対して、50~88質量%の範囲内であることが好ましく、60~88質量%の範囲内であることがより好ましい。また、その他のトナーにおいては、トナー母体粒子の全質量に対して、50~98質量%の範囲内であることが好ましく、60~98質量%の範囲内であることがより好ましい。
(2.1)非晶性樹脂
本発明において、「非晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(「DSC」:Differential Scanning Calorimetry)において、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂のことをいう。
結着樹脂が非晶性樹脂を含有することにより、得られる画像の保存性が向上する。
なお、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定できる。
測定試料(樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、「ダイヤモンドDSC」のサンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。そして、下記の第1昇温過程、冷却過程、第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によってDSC曲線を得る。
第1昇温過程:昇温速度10℃/分で、0℃から200℃まで昇温。
冷却過程:冷却速度10℃/分で、200℃から0℃まで冷却。
第2昇温過程:昇温速度10℃/分で、0℃から200℃まで昇温。
得られたDSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度(Tg)とする。
DSC測定において1度目の昇温過程におけるガラス転移温度をTg1とし、2度目の昇温過程におけるガラス転移温度をTg2とする。低温定着性などの定着性と、耐熱保管性などの耐熱性を両立する観点から、非晶性樹脂のTg1は、35~80℃の範囲内であることが好ましく、45~65℃の範囲内であることがより好ましい。また、同様の観点から、非晶性樹脂のTg2は、20~70℃の範囲内であることが好ましく、30~55℃の範囲内であることが好ましい。
非晶性樹脂の含有量は、特に制限されないが、画像強度の観点から、トナー母体粒子の全質量に対して、30~99質量%の範囲内であることが好ましい。また、50~95質量%の範囲内であることがより好ましく、60~90質量%の範囲内であることが更に好ましい。非晶性樹脂として二種以上の樹脂を含む場合は、これらの合計量が、トナー母体粒子の全質量に対して、上記範囲内であることが好ましい。なお、離型剤を含有する非晶性樹脂を用いた場合、当該非晶性樹脂中の離型剤は、トナー母体粒子を構成する離型剤の含有量に含めるものとする。
非晶性樹脂としては、特に制限されず、本技術分野における従来公知の非晶性樹脂を用いることができる。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、ポリエステル樹脂又はビニル系樹脂であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ビニル樹脂は、それぞれ単独で用いても、併用してもよい。
(2.1.1)非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂は、二価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、二価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。
多価カルボン酸としては、特に制限されず、例えば、不飽和脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸、これらの誘導体等が挙げられる。また、非晶性の樹脂を合成できるのであれば、飽和脂肪族多価カルボン酸を併用してもよい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
多価アルコールとしては、帯電性やトナーの強度の観点から、例えば、不飽和脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、これらの誘導体等が挙げられる。また、非晶性の樹脂を合成できるのであれば、飽和脂肪族多価アルコールを併用してもよい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成方法は、特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成できる。なお、後述する結晶性ポリエステル樹脂の合成方法における反応触媒及び反応条件を、非晶性ポリエステルの合成方法にも適用できる。
(2.1.2)非晶性ビニル樹脂
非晶性ビニル樹脂は、ビニル基を有する単量体の重合反応によって得られる。
なお、非晶性ビニル樹脂は、非晶性ビニル樹脂そのものが結着樹脂に含有されていてもよいし、非晶性ビニル樹脂成分がハイブリッド化した複合樹脂として結着樹脂に含有されていてもよい。
ビニル基を有する単量体としては、特に制限されず、例えば、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11-ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13-トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,15-ペンタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,17-ヘプタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18-オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,19-ノナデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20-エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,21-ヘンエイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,22-ドコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,23-トリコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,24-トテラコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,25-ペンタコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,26-ヘキサコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,27-ヘプタコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,28-オクタコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,29-ノナコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,30-トリアコンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
また、ビニル基を有する単量体としては、上記の単量体の他に、スチレン単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N-ビニル化合物類、ビニル化合物類、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
非晶性ビニル樹脂の合成方法は、特に制限されない。上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法を用いることができる。また、分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、n-オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどが挙げられる。
非晶性ビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、25~70℃の範囲内であることが好ましく、35~65℃の範囲内であることがより好ましい。なお、ビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、上述した方法により測定できる。
(2.2)結晶性樹脂
本発明において、「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂のことをいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。なお、結晶性樹脂の融点は、上述した非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)と同様にして得られたDSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における結晶性樹脂に由来する吸熱ピーク(半値幅が15℃以内である吸熱ピーク)のピークトップの温度を融点(Tc)とする。
結着樹脂が結晶性樹脂を含有することにより、得られるトナーの低温定着性が向上する。
結晶性樹脂の含有量は、トナー母体粒子の全質量に対して、5~40質量%の範囲内であることが好ましい。また、5~35質量%の範囲内であることがより好ましく、5~30質量%の範囲内であることが更に好ましい。
結晶性樹脂としては、特に制限されないが、トナーの低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
(2.2.1)結晶性ポリエステル樹脂
トナーの低温定着性の観点から、結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂は、比較的体積抵抗率が低く、結着樹脂として用いると、トナーの体積抵抗率を低下させてしまうという側面がある。ただし、本発明に係るトナーは、前述のとおり、トナー母体粒子における他の材料の分散性が向上しているため、結晶性ポリエステル樹脂を用いても、体積抵抗率が低くなりすぎないと考えられる。そして、低温定着性と転写性とを両立できると考えられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、二価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、二価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。
多価カルボン酸としては、特に制限されず、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、ドデカン二酸(1,12-ドデカンジカルボン酸)、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、これらの無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
また、三価以上のカルボン酸としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等が挙げられる。また、これらの無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
さらに、多価カルボン酸の他に、二重結合を有するジカルボン酸を用いてもよい。二重結合を有するジカルボン酸としては、特に制限されず、例えば、マレイン酸、フマル酸、3-ヘキセンジオイック酸、3-オクテンジオイック酸等が挙げられる。また、これらの低級エステル、酸無水物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、脂肪族ジオールであることが好ましく、中でも、主鎖部分の炭素数が7~20の範囲内である直鎖型脂肪族ジオールであることがより好ましい。脂肪族ジオールが直鎖型であることにより、ポリエステル樹脂の結晶性が維持され、溶融温度の降下を抑えられる。これにより、トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性に優れる。また、炭素数が7~20の範囲内であることにより、多価カルボン酸と重縮合する際の融点を低く抑えられ、かつ低温定着性に優れる。そして、実用上、材料として入手しやすい。主鎖部分の炭素数は、7~14の範囲内であることがより好ましい。
脂肪族ジオールとしては、特に制限されず、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
これらのうち、入手容易性を考慮すると、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、又は1,10-デカンジオールであることが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成方法は、特に制限されず、ジブチル錫オキシド、又はテトラブトキシチタネート等の重合触媒存在下で、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成できる。
重縮合反応における反応温度は、180~230℃の範囲内であることが好ましい。必要に応じて反応系内を減圧にし、重縮合で発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。単量体が反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから、主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000~50,000の範囲内であることが好ましい。なお、本明細書において、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される値であり、例えば、以下の方法で測定できる。
GPC装置「HLC-8120GPC」(東ソー株式会社製)、カラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連」(東ソー株式会社製)を用いる。カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流す。測定試料(樹脂)は、樹脂の濃度が1mg/mLになるように、樹脂をテトラヒドロフランに溶解した溶液を使用する。当該溶液は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行い、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して得られる。この試料溶液10μLを、上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。そして、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出する。
(3)離型剤
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じて、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックス等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
離型剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、2~30質量%の範囲内であることが好ましく、5~20質量%の範囲内であることがより好ましい。
(4)荷電制御剤
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じて、荷電制御剤を含有することが好ましい。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散できる公知の種々の化合物を用いることができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第四級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、0.1~10質量%の範囲内であることが好ましく、0.5~5質量%の範囲内であることがより好ましい。
4.トナー母体粒子の構造
本発明に係るトナー母体粒子の構造は、上述したトナー母体粒子のみの単層構造であってもよい。また、上述したトナー母体粒子をコア粒子として、当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)などの公知の観察手段によって、確認できる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェル層でガラス転移点、融点、硬度などの特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー母体粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤などを含有し、ガラス転移点が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェル層を形成することができる。
また、本発明のトナーは、カブリの抑制などの観点から、離型剤が、トナー粒子表面に露出しない状態で、かつ、トナー粒子の表面近傍に存在していることが好ましい。
例えば、トナー母体粒子がビニル樹脂を含有し、かつ離型剤がエステルワックスを含む場合、離型剤はビニル樹脂近傍に存在することになる。そのため、ビニル樹脂もまた、トナー粒子の表面近傍に存在していることが好ましい。
すなわち、トナーに含まれるトナー粒子は、少なくとも二層(内側層及び外側層)以上の積層構造を有するトナー母体粒子を含むことが好ましい。そして、外側層(表面層)が、ビニル樹脂と、エステルワックスを含む離型剤とを含有することが好ましい。また、外側層は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂を更に含有していてもよい。本発明の効果を更に高める観点から、ビニル樹脂のドメインが、非晶性ポリエステル樹脂のマトリクス中に分散されていることが好ましい。
トナー母体粒子の平均円形度は、0.935~0.995の範囲内であることが好ましく、0.945~0.990の範囲内であることがより好ましく、0.955~0.980の範囲内であることが更に好ましい。上記範囲内であることにより、個々のトナー粒子が破砕しにくく、帯電量が安定し、高画質化できる。
なお、平均円形度は、例えば、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)を用いて測定できる。
具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行って分散させる。その後、フロー式粒子像分析装置「FPIA-2100」(シスメックス社製)を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行う。円形度は、下記式より算出する。
式: 円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、各粒子の円形度を合計し、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
5.外添剤
本発明に係るトナーは、帯電性能、流動性、クリーニング性等を向上させる観点から、トナー粒子表面に、公知の無機粒子や有機粒子などの粒子、滑剤等を外添剤として含有することが好ましい。外添剤は、種々のものを組み合わせて使用してもよい。
粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子及びチタニア粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子等が挙げられる。
また、滑剤としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これらは、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって表面処理を行ってもよい。
これらの外添剤は、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、シリカ粒子(球形シリカ)、アルミナ粒子、チタニア粒子等の無機酸化物粒子であることが好ましい。
外添剤の添加量(二種以上併用する場合は、その合計量)は、外添剤を含むトナー全体の質量に対して、0.05~5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1~3質量%の範囲内であることがより好ましい。
外添剤の粒子径は、特に制限されないが、無機粒子である場合、数平均一次粒子径が、2~800nmの範囲内であることが好ましい。また、有機粒子である場合、数平均一次粒子径が、10~2000nmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明において、「数平均一次粒子径」とは、外添剤粒子の走査電子顕微鏡写真を二値化処理し、1万個について水平フェレ径を算出し、その平均値のことをいう。
6.トナー粒子の粒子径
本発明に係るトナー粒子の体積基準のメジアン径は、3.0~5.0μmの範囲内であることが好ましく、3.5~4.5μmの範囲内であることが好ましい。メジアン径が3.0μm以上であることにより、クリーニング性が良好になりやすく、5.0μm以下であることにより、高画質化できる。
なお、体積基準のメジアン径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成などによって制御することができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、精密粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続して測定できる。
具体的には、試料(トナー粒子)0.02gを、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませる。その後、1分間の超音波分散処理を行い、トナー粒子の分散液を調製する。サンプルスタンド内の「ISOTON(登録商標)II」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまで、このトナー粒子の分散液をピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmにし、測定範囲である2~60μmの範囲を256分割して頻度値を算出する。そして、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径(D50)を体積基準のメジアン径として求める。
7.トナーの製造方法
本発明に係るトナーを製造する方法は、トナー母体粒子を製造する工程(以下、「トナー母体粒子製造工程」ともいう。)及び、当該トナー母体粒子の表面に外添剤を添加する工程(以下、「外添剤添加工程」ともいう。)を有する。
トナー母体粒子を製造する方法としては、特に制限されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法等の公知の方法が挙げられる。
着色剤の水系分散液を調製する際、着色剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤を添加してもよい。また、機会的エネルギーを用いて分散処理を行ってもよい。このような分散機としては、特に制限されず、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波ホモジナイザーなどの超音波分散機、高圧衝撃式分散機アルティマイザー等が挙げられる。
また、外添剤添加工程は、トナー母体粒子の乾燥工程の前に行うこともできるが、乾燥工程を経たトナー母体粒子に対して行うことが好ましい。例えば、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用して、トナー母体粒子と外添剤とを混合することにより、外添剤を添加できる。
得られるトナーについては、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤としてのトナーとして使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられる。中でも、二成分現像剤として使用することが好ましい。
8.二成分現像剤セット
本発明の二成分現像剤セットは、上記トナーセットとキャリアとを含むことを特徴とする。
二成分現像剤は、通常、キャリアとトナーで構成される。
トナーの含有量は、特に制限されないが、二成分現像剤の全質量に対して、8.0~10.0質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、所望の帯電量が得られ、初期においても、連続印字後においても、高画質な画像を出力することができる。
二成分現像剤は、キャリアとトナーを、混合装置を用いて混合することにより製造できる。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機等が挙げられる。
(1)キャリア
本発明において、「キャリア」とは、「キャリア粒子」の集合体のことをいう。
本発明に係るキャリア粒子は、芯材粒子と、当該芯材粒子の表面を被覆する被覆用樹脂で構成される。連続印字における画像濃度の安定性の観点から、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆されてなるものが好ましい。被覆用樹脂によって形成される層を、「被覆層」ともいう。
なお、「被覆」には、キャリア粒子を被覆用樹脂が一部被覆している状態も含む。
キャリア粒子表面における芯材粒子の露出面積比率(以下、単に「露出面積比率」ともいう。)は、特に制限されないが、芯材粒子の表面積に対して、10.0~18.0%の範囲内であることが好ましい。露出面積比率が10.0%以上であることにより、キャリア粒子の抵抗値が高くなりすぎず、初期においても、連続印字後においても、高画質な画像を出力することができる。また、露出面積比率が18.0%以下であることにより、キャリア粒子の静電潜像担持体(電子写真感光体)への付着を抑制でき、連続印字における画質の劣化を抑制できる。
露出面積比率は、下記の方法でのXPS測定(X線光電子分光測定)により、キャリア粒子の、芯材粒子に対する被覆層の被覆率を測定した後、算出できる。
XPS測定装置としては、「K-Alpha」(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用する。X線源としてAlモノクロマチックX線を用い、加速電圧を7kV、エミッション電流を6mVに設定し、被覆層を構成する主たる元素(通常は炭素)と、芯材粒子を構成する主たる元素(通常は鉄)とについて測定する。
以下、芯材粒子が、酸化鉄系である場合を前提に説明する。
ここで、炭素についてはC1sスペクトルを、鉄についてはFe2p3/2スペクトルを、酸素についてはO1sスペクトルを測定する。これらの各々の元素のスペクトルに基づいて、それぞれ、「A」、「AFe」及び「A」と表される単位面積におけるC、Fe及びOの含有量(atomic%)を求めることができる。芯材粒子単体と、芯材粒子を被覆層で被覆したキャリア粒子と、それぞれについて、その表面の単位面積におけるC、Fe及びOの含有量(atomic%)を求め、さらに、下記式より鉄元素含有率を算出する。続いて、下記式より被覆率を算出する。
式: 鉄元素含有率(atomic%)=AFe/(A+A+AFe
式: 被覆率(%)={1-(キャリア粒子の鉄元素含有率)/(芯材粒子単体の鉄元素含有率)}×100
そして、露出面積比率は、下記式より算出できる。
式: 露出面積比率(%)=100-被覆率(%)
なお、芯材粒子として、酸化鉄系以外の材料を用いる場合には、酸素の他に芯材粒子を構成する金属元素のスペクトルを測定し、上記式に準じて同様の計算を行うことにより被覆率が求められる。
キャリア粒子の体積平均粒径は、特に制限されないが、15.0~28.0μmの範囲内であることが好ましく、20.0~25.0μmの範囲内であることが好ましい。なお、キャリア粒子の体積平均粒径は、次の方法で測定できる。
キャリア粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置「HEROS KA」(日本レーザー株式会社製)を用いて、湿式法にて測定できる。
具体的には、まず、焦点位置200mmの光学系を選択し、測定時間を5秒に設定する。そして、測定用の磁性体粒子を0.2質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波洗浄機「US-1」(asone社製)を用いて3分間分散させて測定用試料分散液を調製する。これを、レーザー回折式粒度分布測定装置「HEROS KA」(日本レーザー株式会社製)に数滴供給し、試料濃度ゲージが測定可能領域に達した時点で測定を開始する。得られた粒度分布を、粒度範囲(チャンネル)に対して、小径側から累積分布を作成し、累積50%となる粒径(D50)を体積平均粒径とする。
以下、キャリア粒子を構成する芯材粒子及び被覆用樹脂について説明する。
(1.1)芯材粒子
芯材粒子としては、鉄、銅、ニッケル、コバルトなどの磁性金属、フェライトなどの磁性金属酸化物等が挙げられる。中でも、耐久性の観点から、フェライトであることが好ましい。
フェライトは、一般式:(MO)(Feで表される化合物であり、フェライトを構成するFeのモル比yは、30~95モル%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、所望の磁化が得られ、キャリア粒子同士の付着を抑制できる。
一般式中のMとしては、例えば、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、リチウム(Li)等の金属が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、残留磁化が低く好適な磁気特性が得られるという観点から、マンガン、マグネシウム、ストロンチウム、リチウム、銅又は亜鉛であることが好ましく、マンガン又はマグネシウムであることがより好ましい。
すなわち、芯材粒子は、マンガン及びマグネシウムの少なくとも一方を含有するフェライト粒子であることが好ましく、マンガン及びマグネシウムの双方を含有するフェライト粒子であることがより好ましい。この場合、芯材粒子の平均磁化を所望の範囲内に制御しやすい観点から、MnOの含有量が、フェライトに対して、20~40モル%の範囲内であることが好ましく、MgOの含有量が、7~30モル%の範囲内であることが好ましい。
芯材粒子は市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
(1.2)被覆用樹脂
被覆用樹脂としては、脂環式(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含む樹脂であることが好ましい。被覆用樹脂が脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の構成単位を含むことにより、キャリア粒子の水分吸着量及び帯電性の環境差を低減させることができる。
その結果、特に高温高湿環境下における帯電量の低下を抑制できる。また、脂環式(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含む樹脂は、適度な機械的強度を有している。そのため、被覆材として適度に摩耗されることにより、キャリア粒子表面をリフレッシュすることができる。
脂環式(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、上記効果を得やすい観点から、脂環式(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素原子数3~8個のシクロアルキル環を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。また、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチルであることがより好ましく、機械的強度及び帯電量の環境安定性の観点から、メタクリル酸シクロヘキシルであることが更に好ましい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
重合成分としては、脂環式(メタ)アクリル酸エステルの他に、脂環式(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体を用いてもよい。他の単量体の例としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、pn-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等のスチレン化合物;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル化合物;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル化合物;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン化合物;N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物;ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上併用してもよい。
中でも、機械的強度及び帯電量の環境安定性等の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの鎖式(メタ)アクリル酸エステル、又はスチレンであることが好ましく、鎖式(メタ)アクリル酸エステルを用いることがより好ましい。また、鎖式(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基の炭素数は、1~8の範囲内であることが好ましい。
被覆用樹脂が、脂環式(メタ)アクリル酸エステルと、鎖式(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であることにより、キャリア表面がリフレッシュされやすく、かつ現像機内でのストレス耐性に優れる。
被覆用樹脂に含まれる脂環式(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、被覆用樹脂の全質量に対して、50~90質量%の範囲内であることが好ましく、50質量%超、80質量%以下であることがより好ましい。上記範囲内であることにより、前述の脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の構成単位による効果を発揮できる。
被覆用樹脂の合成方法は、特に制限されず、従来公知の重合法を用いることができる。重合法としては、例えば、粉砕法、乳化分散法、懸濁重合法、溶液重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、その他の公知の方法等が挙げられる。中でも、粒子径の制御の観点から、乳化重合法であることが好ましい。
乳化重合法で用いる上記単量体以外の重合開始剤、界面活性剤、更に必要に応じて用いる連鎖移動剤等の種類、重合温度等の重合条件は、特に制限されない。従来公知の重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤等を用いることができ、重合温度等の重合条件も従来公知の重合条件を用いることができる。
被覆用樹脂(上記単量体を重合した重合体)の重量平均分子量は、特に制限されないが、20万~80万範囲内であることが好ましく、30万~70万の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量が20万以上であることにより、芯材粒子の表面に被覆用樹脂から形成される樹脂被覆層の減耗が促進され過ぎることがない。また、キャリア粒子同士の付着を引き起こしにくい。重量平均分子量が80万以下であることにより、トナー粒子からキャリア粒子表面への外添剤の移行による帯電量の低下を抑制できる。そして、良好な帯電量を長期間保持することができる。
被覆用樹脂の重量平均分子量は、前述のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いる方法で測定できる。
(1.3)キャリア粒子の製造方法
芯材粒子の表面を被覆用樹脂で被覆する方法としては、公知の湿式塗布法や乾式塗布法が挙げられ、いずれの方法でも被覆層を形成することができる。溶剤を用いず環境負荷が小さい、また、芯材粒子表面に均一に被覆用樹脂を被覆できる観点から、乾式塗布法であることが好ましい。
乾式塗布法において、露出面積比率は、加熱時の撹拌時間によって制御できる。乾式塗布法では、被覆用樹脂粒子を芯材粒子に付着させ、加熱下で攪拌混合することにより、樹脂を延展し成膜していく。そのため、撹拌時間を長くすることにより延展が進み、被覆用樹脂が薄膜化するため、露出面積比率は大きくなる。露出面積比率を10~18%の範囲内とする観点から、加熱時の撹拌時間は30~70分の範囲内であることが好ましく、40~60分の範囲内であることがより好ましい。
また、その他に、露出面積比率は、例えば、被覆用樹脂添加後の加熱下での混合時間、芯材粒子に対する被覆用樹脂の添加量等によって制御できる。被覆用樹脂添加後の加熱下での混合時間を長くすることにより、露出面積比率は大きくなる。また、被覆用樹脂の添加量を多くすることにより、露出面積比率は小さくなる。
被覆用樹脂と、芯材粒子との混合比は、特に制限されないが、芯材粒子の全質量に対して、1~10質量%の範囲内であることが好ましく、2~6質量%の範囲内であることがより好ましい。
9.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、上記静電荷像現像用トナーセットを用いる画像形成方法であって、像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写工程、及び前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写工程、を有することを特徴とする。
前述のとおり、本発明のトナーセットは、各トナーの帯電特性が同程度である。そのため、トナー画像を、中間転写体から記録媒体に、同一条件下、一括で転写しても、優れた転写性が得られると考えられる。
なお、画像形成方法の詳細については、画像形成装置と併せて後述する。
10.画像形成システム
本発明の画像形成システムは、少なくとも、像保持体の帯電手段、静電荷像形成手段、静電荷像現像手段、トナー画像転写手段及びトナー画像定着手段を備える画像形成システムであって、前記トナー画像転写手段が、前記像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写手段、及び前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写手段、を更に有し、上記静電荷像現像用トナーセットを用いることを特徴とする。
以下、本発明において、その他の色のトナーがカラートナーである場合に使用できる画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
なお、本発明のトナーセットを用いることにより、トナー画像を、中間転写体から記録媒体に、同一条件下、一括で転写しても、優れた転写性が得られると考えられる。そのため、画像形成装置は、中間転写体の表面に転写されるトナー画像を記録媒体に転写する二次転写手段を有することが好ましい。
(1)画像形成装置
画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの4種類のカラー現像装置と、1つの電子写真感光体と、により構成される4サイクル方式の画像形成装置であってもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの4種類のカラー現像装置と、それぞれの色ごとに設けられた4つの電子写真感光体と、により構成されるタンデム方式の画像形成装置であってもよい。
図1は、本実施形態に関する画像形成装置100の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置100は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50及び定着装置60を有する。
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41C及び41Kを有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42及び二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
本実施形態では、YMCKのトナーセットとして上記トナーセットを使用する。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、電子写真感光体(像担持体)413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415を有する。帯電装置414は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を電子写真感光体413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザー光を電子写真感光体413に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモータ)とを含む。電子写真感光体413は、光導電性を有する負帯電型の有機感光体である。電子写真感光体413は、帯電装置414により帯電される。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置である。現像装置412は、例えば、二成分現像剤を収容する現像容器と、現像容器の開口部に回転自在に配置されている現像ローラー(磁性ローラー)と、二成分現像剤が連通可能に現像容器内を仕切る隔壁と、現像容器における開口部側の二成分現像剤を現像ローラーに向けて搬送するための搬送ローラーと、現像容器内の二成分現像剤を撹拌するための撹拌ローラーと、を有する。現像容器には、例えば、二成分現像剤が収容されている。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト(中間転写体)421、中間転写ベルト421を電子写真感光体413に圧接させる一次転写ローラー422、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423、及びベルトクリーニング装置426を有する。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
ベルトクリーニング装置426は、弾性部材426aを有する。弾性部材426aは、二次転写した後の中間転写ベルト421に当接して、中間転写ベルト421の表面上の付着物を除去する。弾性部材426aは、弾性体で構成されており、クリーニングブレード、ブラシなどが含まれる。
二次転写ユニット43は、無端状の二次転写ベルト432、及び二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431を有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431A及び支持ローラー431によってループ状に張架される。
定着装置60は、例えば、定着ローラー62と、定着ローラー62の外周面を覆い、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解するための無端状の発熱ベルト10と、用紙Sを定着ローラー62及び発熱ベルト10に向けて押圧する加圧ローラー63と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
画像形成装置100は、さらに、画像読取部110、画像処理部30及び用紙搬送部50を有する。画像読取部110は、給紙装置111及びスキャナー112を有する。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する三つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
(2)画像形成方法
画像形成装置100による画像形成方法を説明する。
スキャナー112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサー112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
電子写真感光体413は一定の周速度で回転する。帯電装置414は、電子写真感光体413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411では、ポリゴンモータのポリゴンミラーが高速で回転し、各色成分の入力画像データに対応するレーザー光が、電子写真感光体413の軸方向に沿って展開し、当該軸方向に沿って電子写真感光体413の外周面に照射される。こうして電子写真感光体413の表面には、静電荷像が形成される。
現像装置412では、現像容器内の二成分現像剤の撹拌、搬送によってトナー粒子が帯電し、二成分現像剤は現像ローラーに搬送され、現像ローラーの表面で磁性ブラシを形成する。帯電したトナー粒子は、磁性ブラシから電子写真感光体413における静電荷像の部分に静電的に付着する。こうして、電子写真感光体413の表面の静電荷像が可視化され、電子写真感光体413の表面に、静電荷像に応じたトナー画像が形成される。なお、「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態をいう。
電子写真感光体413の表面のトナー画像は、中間転写ユニット42によって中間転写ベルト421に転写される。転写後に電子写真感光体413の表面に残存する転写残トナーは、電子写真感光体413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有するドラムクリーニング装置415によって除去される。
一次転写ローラー422によって中間転写ベルト421が電子写真感光体413に圧接することにより、電子写真感光体413と中間転写ベルト421とによって、一次転写ニップが電子写真感光体ごとに形成される。当該一次転写ニップにおいて、各色のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重なって転写される。
なお、一次転写においては、露光装置411、現像装置412、電子写真感光体413、帯電装置414及び一次転写ローラー422は、トナーごとに設置される。そのため、各トナーの帯電特性に対応した条件を設定できる。
一方、二次転写ローラー431Aは、中間転写ベルト421及び二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。それにより、中間転写ベルト421と二次転写ベルト432とによって、二次転写ニップが形成される。当該二次転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって二次転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正及び搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
二次転写ニップに用紙Sが搬送されると、二次転写ローラー431Aへ転写バイアス(電圧)が印加される。この転写バイアスの印加によって、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
二次転写においては、バックアップローラー423A、二次転写ローラー431A及び二次転写ベルト432は、全てのトナーに共通である。そして、トナー画像を形成する複数のトナーに対し、同一条件下、一括で電圧が印加される。つまり、この場合、トナーごとに印加電圧等の設定を変更することはできない。ただし、前述のとおり、本発明のトナーセットを用いることにより、中間転写体から記録媒体に、同一条件下、一括で転写しても、優れた転写性が得られると考えられる。
二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーなどの付着物は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるクリーニングブレードを有するベルトクリーニング装置426によって除去される。このとき、中間転写ベルトとして前述の中間転写体を使用するため、経時的に動摩擦力を低減させることができる。
定着装置60は、発熱ベルト10と加圧ローラー63とによって、定着ニップを形成し、搬送されてきた用紙Sを定着ニップ部で加熱、加圧する。こうしてトナー画像が用紙Sに定着する。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
なお、上記装置構成及び画像形成方法は、本発明を実施するための例示的な形態であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
また、下記実施例において、特記しない限り操作は室温(25℃)で行われた。
1.トナー母体粒子
(1)着色剤粒子分散液の調製
(1.1)イエロー着色剤粒子分散液(Y1)の調製
・Pigment Yellow 74 100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間予備分散した。その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行い、イエロー着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液に、更にイオン交換水を添加して、固形分濃度が15質量%となるように調整し、イエロー着色剤粒子分散液(Y1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
(1.2)マゼンタ着色剤粒子分散液(M1-1)の調製
・Pigment Red 269 100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間予備分散した。その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行い、マゼンタ着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液に、更にイオン交換水を添加して、固形分濃度が15質量%となるように調整し、マゼンタ着色剤粒子分散液(M1-1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、200nmであった。
(1.3)マゼンタ着色剤粒子分散液(M1-2)の調製
・Pigment Red 122 100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間予備分散した。その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行い、マゼンタ着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液に、更にイオン交換水を添加して、固形分濃度が15質量%となるように調整し、マゼンタ着色剤粒子分散液(M1-2)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、230nmであった。
(1.4)シアン着色剤粒子分散液(C1)の調製
・Pigment Blue 15:3 100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間予備分散した。その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液に、更にイオン交換水を添加して、固形分濃度が15質量%となるように調整し、シアン着色剤粒子分散液(C1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、130nmであった。
(1.5)シアン着色剤粒子分散液(C2)の調製
着色剤を、Pigment Blue 15:1に変更した以外は、シアン着色剤分散液(C1)と同様の手順で、シアン着色剤粒子分散液(C2)を調製した。
(1.6)ブラック着色剤粒子分散液(K1)の調製
・Pigment Brown 25 39質量部
・Pigment Green 7 25質量部
・Pigment Violet 31 11質量部
・Pigment Yellow 74 25質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間予備分散した。その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行い、ブラック着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液に、更にイオン交換水を添加して、固形分濃度が15質量%となるように調整し、ブラック着色剤粒子分散液(K1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、100nmであった。
(1.7)ブラック着色剤粒子分散液(K2~K4、K7)の調製
着色剤を、表I~表IIに記載の着色剤に変更した以外は、ブラック着色剤粒子分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤粒子分散液(K2)~(K4)及び(K7)を調製した。
(1.8)ブラック着色剤粒子分散液(K5)の調製
着色剤の種類及び含有量を、下記のとおりに変更した以外は、ブラック着色剤粒子分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤粒子分散液(K5)を調製した。
・ダイピロキサイドブラック
「For Saeginets paints DAIPYROXIDE(登録商標) Color ブラック#9580」(大日精化工業株式会社製)
100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
(1.9)ブラック着色剤粒子分散液(K6)の調製
着色剤の種類及び含有量を、下記のとおりに変更した以外は、ブラック着色剤粒子分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤粒子分散液(K6)を調製した。
・Pigment Red 269 30質量部
・Pigment Blue 15:3 27質量部
・Pigment Red 122 20質量部
・Pigment Yellow 74 23質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
(1.10)ブラック着色剤粒子分散液(K8)の調製
着色剤の種類及び含有量を、下記のとおりに変更した以外は、ブラック着色剤粒子分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤粒子分散液(K8)を調製した。
・カーボンブラック
「カーボンブラックMA7」(三菱化学社製)
100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
(1.11)ブラック着色剤粒子分散液(K9)の調製
着色剤の種類及び含有量を、下記のとおりに変更した以外は、ブラック着色剤粒子分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤粒子分散液(K9)を調製した。
・Pigment Brown 25 40質量部
・Pigment Blue 15:3 24質量部
・Pigment Violet 31 12質量部
・Pigment Yellow 74 24質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
(1.12)ブラック着色剤粒子分散液(K10)の調製
着色剤の種類及び含有量を、下記のとおりに変更した以外は、ブラック着色剤分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤分散液(K10)を調製した。
・Pigment Red 269 16質量部
・Pigment Blue 15:3 32質量部
・Pigment Red 122 16質量部
・Pigment Yellow 74 36質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
(1.13)ブラック着色剤粒子分散液(K11)の調製
着色剤の種類及び含有量を、下記のとおりに変更した以外は、ブラック着色剤粒子分散液(K1)と同様の手順で、ブラック着色剤粒子分散液(K11)を調製した。
・マグネタイト「MTS010」(戸田工業社製) 100質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)SC」(第一工業製薬株式会社製)
15質量部
・イオン交換水 400質量部
(2)結着樹脂粒子分散液の調製
(2.1)非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製
(2.1.1)非晶性ポリエステル樹脂(A1)の合成
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 60モル部
・テレフタル酸ジメチル 60モル部
・フマル酸ジメチル 15モル部
・ドデセニルコハク酸無水物 20モル部
・トリメリット酸無水物 5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記成分のうち、フマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物以外の成分と、上記成分の合計100質量部に対して0.25質量部のジオクチル酸スズを投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂(A1)は、重量平均分子量(Mw)が35,000、数平均分子量(Mn)が8,000、ガラス転移温度(Tg)が56℃であった。
・非晶性ポリエステル樹脂(A1) 200質量部
・メチルエチルケトン 100質量部
・イソプロピルアルコール 35質量部
・10質量%アンモニア水溶液 7質量部
上記成分をセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した。その後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を、送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後、減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液に、イオン交換水を加えて固形分濃度が25質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)にて測定したところ、156nmであった。
(2.2)非晶性スチレン・アクリル樹脂(ビニル樹脂)粒子分散液(b1)の調製
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)」(ダウ・ケミカル社製)
5質量部
・イオン交換水 2500質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、上記成分を仕込んだ。そして、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を75℃に昇温させた。
・過硫酸カリウム(KPS) 18質量部
・イオン交換水 342質量部
次いで、上記過硫酸カリウムをイオン交換水に溶解させた溶液を添加し、液温を75℃とした。
・スチレン(St) 903.0質量部
・n-ブチルアクリレート(BA) 282.0質量部
・アクリル酸(AA) 12.0質量部
・1,10-デカンジオールジアクリレート 3.0質量部
・ドデカンチオール 8.1質量部
さらに、上記成分の混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、75℃において2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合させ、非晶性スチレン・アクリル樹脂分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分濃度が25質量%となるように調整し、非晶性スチレン・アクリル樹脂(B1)粒子の分散液(b1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)にて測定したところ、160nmであった。
非晶性スチレン・アクリル樹脂(B1)は、重量平均分子量(Mw)が38,000、数平均分子量(Mn)が15,000、ガラス転移温度(Tg)が52℃であった。
(2.3)結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製
・ドデカン二酸 50モル部
・1,6-ヘキサンジオール 50モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記成分を入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次いで、上記成分の合計100質量部に対して0.25質量部のチタンテトラブトキサイド(Ti(O-n-Bu)4)を投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間撹拌し反応させた。その後、温度を更に210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌し反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(C1)は、重量平均分子量(Mw)が25,000、数平均分子量(Mn)が8,500、融点が71.8℃であった。
・結晶性ポリエステル樹脂(C1) 200質量部
・メチルエチルケトン 120質量部
・イソプロピルアルコール 30質量部
次に、上記成分をセパラブルフラスコに入れ、これを60℃で充分混合、溶解した。
・10質量%アンモニア水溶液 8質量部
その後、上記アンモニア水溶液を滴下した。加熱温度を67℃に下げ、攪拌しながら、イオン交換水送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下した。送液量が580質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分濃度が25質量%となるように調整し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、粒子径分布測定装置「マイクロトラック(登録商標)UPA-150」(日機装株式会社製)にて測定したところ、198nmであった。
(3)離型剤粒子分散液(W1)の調製
・パラフィン系ワックス「HNP(登録商標)0190」(日本精蝋製、融解温度85℃)
270質量部
・アニオン性界面活性剤「ネオゲン(登録商標)RK」(第一工業製薬株式会社製)
13.5質量部
(有効成分60質量%、離型剤に対して3質量%)
・イオン交換水 21.6質量部
上記成分を混合した。そして、圧力吐出型ホモジナイザー「ゴーリンホモジナイザー」(ゴーリン社製)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整し、これを離型剤粒子分散液(W1)とした。離型剤粒子分散液(W1)中の粒子の体積平均粒径は215nmであった。
(4)トナー母体粒子の作製
(4.1)トナー母体粒子(Y1)の作製
(凝集・融着工程及び熟成工程)
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 1280質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) 160質量部
・離型剤粒子分散液(W1) 200質量部
・イエロー着色剤粒子分散液(Y1) 94質量部
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)2A1」(ダウ・ケミカル社製、20質量%水溶液)
40質量部
・イオン交換水 1500質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた4リットルの反応容器に、上記成分を入れ、温度25℃にて、1.0%硝酸を添加してpH値を3.0に調整した。
・2質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液 100質量部
その後、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて3,000rpmで分散しながら、上記2質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
その後、反応容器に撹拌器及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温した。そして、10分ごとに、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製、アパーチャー径100μm)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が5.9μmになったところで温度を保持した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 160質量部
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)2A1」(ダウ・ケミカル社製、20質量%水溶液)
15質量部
そして、予め混合しておいた上記成分の混合液を、20分間かけて投入した。
・20質量%EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液 8質量部
次いで、50℃にて30分間保持した後、反応容器に、上記溶液を添加した。そして、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH値を9.0に制御した。その後、5℃ごとに、pH値を9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
(冷却工程)
その後、自動フロー式粒子画像イメージング分析装置「FPIA-3000」(シスメックス株式会社製)を用い、形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液を得た。
(濾過・洗浄工程及び乾燥工程)
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(Y1)を得た。トナー母体粒子(Y1)の、体積基準のメジアン径は6.0μm、平均円形度は0.972であった。
(4.2)トナー母体粒子(M1、C1、K1)の作製
トナー母体粒子(Y1)の作製において、着色剤の種類及び含有量を表I~表IIに記載のとおりに変更した以外は同様の手順で、トナー母体粒子(M1、C1、K1)を作製した。トナー母体粒子(K1)については、表I~表IIに記載の分散液(ブラック着色剤粒子分散液)を使用した。
なお、表I~表IIに記載の「着色剤の含有量」とは、固形分の結着樹脂(非晶性ポリエステル樹脂(APES1)、非晶性スチレン・アクリル樹脂(ビニル)及び結晶性ポリエステル樹脂(CPES1))の全質量に対する、固形分の着色剤の全質量の割合のことをいう。
(4.3)トナー母体粒子(Y2)の作製
(凝集・融着工程及び熟成工程)
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 1280質量部
・離型剤粒子分散液(W1) 200質量部
・イエロー着色剤粒子分散液(Y1) 84質量部
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)2A1」(ダウ・ケミカル社製、20質量%水溶液)
40質量部
・イオン交換水 1500質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記成分を入れ、温度25℃にて、1.0%硝酸を添加してpH値を3.0に調整した。
・2質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液 100質量部
その後、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて3,000rpmで分散しながら、上記2質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
その後、反応容器に撹拌器及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温した。そして、10分ごとに、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製、アパーチャー径100μm)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が5.9μmになったところで温度を保持した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 160質量部
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)2A1」(ダウ・ケミカル社製、20質量%水溶液)
15質量部
そして、予め混合しておいた上記成分の混合液を、20分間かけて投入した。
・20質量%EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液 8質量部
次いで、50℃にて30分間保持した後、反応容器に、上記溶液を添加した。そして、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH値を9.0に制御した。その後、5℃ごとに、pH値を9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
(冷却工程)
その後、自動フロー式粒子画像イメージング分析装置「FPIA-3000」(シスメックス株式会社製)を用い、形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液を得た。
(濾過・洗浄工程及び乾燥工程)
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(Y2)を得た。トナー母体粒子(Y2)の、体積基準のメジアン径は6.0μm、平均円形度は0.972であった。
(4.4)トナー母体粒子(M2、C2、K2)の作製
トナー母体粒子(Y2)の作製において、着色剤の種類及び含有量を表I~表IIに記載のとおりに変更した以外は同様の手順で、トナー母体粒子(M2、C2、K2)を作製した。トナー母体粒子(K2)については、表I~表IIに記載の分散液(ブラック着色剤粒子分散液)を使用した。
(4.5)トナー母体粒子(Y3)の作製
(凝集・融着工程及び熟成工程)
・スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(b1) 1120質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) 160質量部
・離型剤粒子分散液(W1) 200質量部
・イエロー着色剤粒子分散液(Y1) 84質量部
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)2A1」(ダウ・ケミカル社製、20質量%水溶液)
40質量部
・イオン交換水 1500質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた4リットルの反応容器に、上記成分を入れ、温度25℃にて、1.0%硝酸を添加してpH値を3.0に調整した。
・2質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液 100質量部
その後、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて3,000rpmで分散しながら、上記2質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
その後、反応容器に撹拌器及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温した。そして、10分ごとに、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製、アパーチャー径100μm)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が5.9μmになったところで温度を保持した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 160質量部
・アニオン性界面活性剤「ダウファックス(登録商標)2A1」(ダウ・ケミカル社製、20質量%水溶液)
15質量部
そして、予め混合しておいた上記成分の混合液を、20分間かけて投入した。
・20質量%EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液 8質量部
次いで、50℃にて30分間保持した後、反応容器に、上記溶液を添加した。そして、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH値を9.0に制御した。その後、5℃ごとに、pH値を9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
(冷却工程)
その後、自動フロー式粒子画像イメージング分析装置「FPIA-3000」(シスメックス株式会社製)を用い、形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液を得た。
(濾過・洗浄工程及び乾燥工程)
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(Y3)を得た。トナー母体粒子(Y3)の、体積基準のメジアン径は6.0μm、平均円形度は0.972であった。
(4.6)トナー母体粒子(M3、C3、K3)の作製
トナー母体粒子(Y3)の作製において、着色剤の種類及び含有量を表I~表IIに記載のとおりに変更した以外は同様の手順で、トナー母体粒子(M3、C3、K3)を作製した。トナー母体粒子(K3)については、表I~表IIに記載の分散液(ブラック着色剤粒子分散液)を使用した。
(4.7)トナー母体粒子(Y4、C4、M4、M5、K4~K14)の作製
トナー母体粒子(Y1)の作製において、着色剤の種類及び含有量を表I~表IIに記載のとおりに変更した以外は同様の手順で、トナー母体粒子(Y4、C4、M4、M5、K4~K14)を作製した。トナー母体粒子(K4~K14)については、表I~表IIに記載の分散液(ブラック着色剤粒子分散液)を使用した。
各トナーセットの構成を表I~表IIに示す。
表内に記載の用語については、下記のとおりである。
PY:C.I.Pigment Yellow
PR:C.I.Pigment Red
PB:C.I.Pigment Blue
PBr:C.I.Pigment Brown
PG:C.I.Pigment Green
PV:C.I.Pigment Violet
CB:カーボンブラック「カーボンブラックMA7」(三菱化学社製)
*1:「For Saeginets paints DAIPYROXIDE(登録商標) Color ブラック#9580」(大日精化工業株式会社製)
*2:マグネタイト「MTS010」(戸田工業社製)
CPES:結晶性ポリエステル樹脂
APES:非晶性ポリエステル樹脂
Figure 2024076072000001
Figure 2024076072000002
また、前述の方法で測定した各着色剤の体積抵抗率は、下記のとおりであった。
なお、単位は、[Ω・cm]である。
前述の方法での検出限界(検出下限)は、5.0×10-2[Ω・cm]であり、カーボンブラックの体積抵抗値は、検出限界以下であった。
C.I.Pigment Violet 31 :6.5×1015
C.I.Pigment Red 122 :3.0×1015
C.I.Pigment Violet 19 :1.0×1015
C.I.Pigment Yellow 155:3.0×1014
C.I.Pigment Yellow 74 :2.1×1014
C.I.Pigment Brown 25 :9.5×1013
C.I.Pigment Red 269 :8.0×1013
C.I.Pigment Brown 22 :9.0×1012
C.I.Pigment Green 07 :4.8×1012
C.I.Pigment Blue 15:3 :3.1×1012
C.I.Pigment Blue 15:1 :1.2×1011
C.I.Pigment Red 48:3 :1.0×1010
ダイピロキサイド :1.0×10
マグネタイト :5.0×10
カーボンブラック :5.0×10-2以下
2.キャリア
(1)芯材粒子1の作製
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%、及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式メディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を、粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、ロータリーキルンで仮焼成を行った後、直径0.3cmのステンレスビーズを用いて乾式ボールミルで1時間粉砕した。そして、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を固形分に対して0.8質量%添加し、更に水及び分散剤を添加し、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて30時間粉砕した。次いで、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1050℃、15時間保持し、本焼成を行った。
これを解砕し、更に分級して粒度調整し、その後、磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材粒子1を得た。芯材粒子1の体積平均粒径は30μmであった。
(2)被覆用樹脂1の作製
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを「質量比=70:30」(共重合比)で添加した。そして、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、被覆用樹脂1を作製した。被覆用樹脂1の重量平均分子量(Mw)は50万であった。
(3)キャリアの作製
・芯材粒子1 100質量部
・被覆用樹脂1 4.5質量部
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、上記成分を投入した。そして、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した。その後、120℃で50分混合し、機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆用樹脂を被覆させた後、室温まで冷却して、キャリア1を作製した。
3.現像剤
(1)現像剤(Y1)の作製
・トナー母体粒子(Y1) 100質量部
・シリカ(個数平均粒径20nm) 3.0質量部
上記トナー母体粒子(Y1)に、シリカを添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナーを作製した。
得られたトナー及びキャリアを、トナー濃度が9質量%となるようにして混合し、現像剤(Y1)を作製した。混合機は、V型混合機(株式会社徳寿工作所製)を用い、25℃で30分間混合した。
(2)現像剤(Y2~Y4、M1~M5、C1~C4、K1~K14)の作製
現像剤(Y1)の作製と同様の手順で、現像剤(Y2~Y4、M1~M5、C1~C4、K1~K14)を作製した。
4.評価
(1)定着性(低温定着性)
複写機「bizhub PRESS(登録商標) C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を用いた。なお、加熱ローラーの表面温度(定着温度)を120~180℃の範囲内で変更できるように定着装置を改造したもので評価を行った。
常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」(コニカミノルタ株式会社製)上での、YMCKトナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナー)の付着量が、各色5.0g/mとなるよう設定した。そして、4色を(YMCKの順で)重ね合わせた100mm×100mmサイズのベタ画像を定着させる定着実験を行った。定着実験では、定着温度を120℃から1℃刻みで増加させるように変更し、180℃まで繰り返し行った。
得られた各定着温度におけるプリント物を目視確認し、全てのトナーが定着器に付着せず紙に定着した最も低い温度を最低定着温度(℃)とした。最低定着温度について、下記評価基準に基づいて評価した。なお、A~AAAまでを合格とした。
AAA:最低定着温度が、150℃未満である。
AA:最低定着温度が、150℃以上、160℃未満である。
A:最低定着温度が、160℃以上、170℃未満である。
B:最低定着温度が、170℃以上である。
(2)転写性
複写機「bizhub PRESS(登録商標) C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を用いた。高温高湿(温度30℃、相対湿度80%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」(コニカミノルタ株式会社製)上に、YMCKトナーの各色のハーフトーン画像を形成した。そして、この画像の画像濃度を感光体の軸方向に、中央部、端部(両端からそれぞれ2cmの位置)、及び中央部と端部との中間点2点、の計5点測定し、画像濃度のばらつきを求めた。画像濃度は、マクベス画像濃度計「RD-918」(マクベス社製)を用いて測定した。画像濃度のバラツキは、5点の測定値のうち、最大の値と最小の値の差を算出し、5点の算術平均値に対する上記差の割合(%)として算出した。画像濃度のバラツキについて、下記評価基準に基づいて評価した。なお、A~AAAまでを合格とした。
AAA:画像濃度のバラツキが、10%未満である。
AA:画像濃度のバラツキが、10%以上、15%未満である。
A:画像濃度のバラツキが、15%以上、20%未満である。
B:画像濃度のバラツキが、20%以上である。
(3)画像濃度
定着性と同様に、A4サイズのOKトップコート+(127.9g/m)(王子製紙株式会社製)に、YMCKトナーの付着量を、各色5.0g/mとしたベタ画像(2cm×2cm)を形成した。そして、当該画像のベタ部の反射濃度を、反射濃度計「RD-918」(マクベス社製)を用いて測定した。反射濃度(画像濃度)について、下記評価基準に基づいて評価した。なお、A~AAAまでを合格とした。
AAA:画像濃度が、1.50以上である。
AA:画像濃度が、1.40以上、1.50未満である。
A:画像濃度が、1.30以上、1.40未満である。
B:画像濃度が、1.30未満である。
各現像剤セットにおける下記項目及び評価結果を表III及び表IVに示す。
・ブラックトナーの全着色剤の含有量C[質量%]
・各カラートナーの結着樹脂の全質量に対する、各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値CCLmax[質量%]
なお、カラートナーのうち、着色剤の合計含有量が最大であるのは、トナーセット1~14の全てにおいて、マゼンタトナーであり、その含有量CCLmaxは、7.5質量%(トナーセットNo.11のみ11.3質量%)であった。
・ブラックトナーの全着色剤の含有量をC[質量%]とし、各カラートナーの結着樹脂の全質量に対する、各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値をCCLmax[質量%]としたときの、C/CCLmax
・ブラックトナー及びカラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたときの、Rmax/Rmin
・ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたときの、RCLmax/RKmin
・ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRKmax[Ω・cm]とし、カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRCLmin[Ω・cm]としたときの、RKmax/RCLmin
Figure 2024076072000003
Figure 2024076072000004
実施例と比較例から、本発明のトナーセットは、転写性、低温定着性及び画像濃度に優れることがわかる。
実施例と比較例から、上記式(2)を満たすことにより、転写性、低温定着性及び画像濃度に優れることがわかる。
実施例7と、その他の実施例との比較から、上記式(3)を満たすことにより、転写性及び低温定着性に優れることがわかる。
実施例10と、その他の実施例との比較から、ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上であることにより、転写性及び低温定着性に優れることがわかる。
実施例8と、その他の実施例との比較から、ブラックトナーの着色剤が、ピグメントイエロー、ピグメントレッド又はピグメントブルーに分類される着色剤以外の着色剤を含有することにより、画像濃度に優れることがわかる。
実施例1と実施例2の比較から、ブラックトナー又はその他の色のトナーの結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することにより、低温定着性に優れることがわかる。
実施例11と、その他の実施例の比較から、上記式(4)を満たすことにより、画像濃度に優れることがわかる。
10 発熱ベルト
30 画像処理部
40 画像形成部
41Y、41M、41C、41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a、51b、51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラー
53 搬送経路部
53a レジストローラー対
60 定着装置
62 定着ローラー
63 加圧ローラー
100 画像形成装置
110 画像読取部
111 給紙装置
112 スキャナー
112a CCDセンサー
411 露光装置
412 現像装置
413 電子写真感光体
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
423、431 支持ローラー
423A バックアップローラー
426 ベルトクリーニング装置
426a 弾性部材
431A 二次転写ローラー
432 二次転写ベルト
D 原稿
S 用紙

Claims (11)

  1. ブラックトナー及びその他の色のトナーで構成される静電荷像現像用トナーセットであって、
    前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーが、それぞれ着色剤及び結着樹脂を含有し、
    前記ブラックトナー及び前記その他の色のトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRmax[Ω・cm]とし、最小値をRmin[Ω・cm]としたとき、下記式(1)を満たし、
    式(1): Rmax/Rmin≦1.0×1010
    前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量Cが、12.0質量%以上である
    ことを特徴とする静電荷像現像用トナーセット。
  2. 前記その他の色のトナーが、少なくともイエロー系、マゼンタ系又はシアン系の着色剤を含有するカラートナーであり、
    前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、
    前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(2)を満たす
    式(2): RCLmax/RKmin≦1.0×1010
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  3. 前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRKmin[Ω・cm]とし、
    前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRCLmax[Ω・cm]としたとき、下記式(3)を満たす
    式(3): RCLmax/RKmin≦1.0×10
    ことを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  4. 前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  5. 前記ブラックトナーの着色剤が、ピグメントイエロー、ピグメントレッド又はピグメントブルーに分類される着色剤以外の着色剤を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  6. 前記ブラックトナー又は前記その他の色のトナーの結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  7. 前記ブラックトナーの結着樹脂の全質量に対する、前記ブラックトナーの全着色剤の含有量をC[質量%]とし、前記各カラートナーの結着樹脂の全質量に対する、前記各カラートナーの全着色剤の含有量のうち、最大値をCCLmax[質量%]としたとき、下記式(4)を満たす
    式(4): C/CCLmax≧1.2
    ことを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  8. 前記ブラックトナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最大値をRKmax[Ω・cm]とし、
    前記カラートナーの各着色剤の体積抵抗率のうち、最小値をRCLmin[Ω・cm]としたとき、下記式(5)を満たす
    式(5): RKmax/RCLmin≦1.0×1010
    ことを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーセット。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーセットと、キャリアとを含む
    ことを特徴とする二成分現像剤セット。
  10. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーセットを用いる画像形成方法であって、
    像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写工程、及び
    前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写工程、を有する
    ことを特徴とする画像形成方法。
  11. 少なくとも、像保持体の帯電手段、静電荷像形成手段、静電荷像現像手段、トナー画像転写手段及びトナー画像定着手段を備える画像形成システムであって、
    前記トナー画像転写手段が、前記像保持体の表面に形成されるトナー画像を中間転写体の表面に転写する一次転写手段、及び
    前記中間転写体の表面に転写される前記トナー画像を記録媒体に転写する二次転写手段、を更に有し、
    請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーセットを用いる
    ことを特徴とする画像形成システム。
JP2022187441A 2022-11-24 静電荷像現像用トナーセット、二成分現像剤セット、画像形成方法及び画像形成システム Pending JP2024076072A (ja)

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