JP5454046B2 - 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナーを少なくとも含む静電潜像現像剤である。
請求項5に係る発明は、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項3に記載の静電潜像現像剤を収容するプロセスカートリッジである。
請求項7に係る発明は、前記定着手段における定着ロールの直径が100mm以上500mm以下である請求項6に記載の画像形成装置である。
更に、本発明の請求項1に係る発明によれば、トナーの離型剤ドメイン中にAlが含まれない場合に比較して、画像の溶融ムラの発生をさらに抑制する。
本発明の請求項3に係る発明によれば、離型剤の吸熱ピークTmと発熱ピークTcの温度差、及び吸熱ピークTmのいずれかが特定の範囲から外れるトナーを含む現像剤を用いた場合に比較して、画像の溶融ムラの発生をさらに抑制する。
本発明の請求項5に係る発明によれば、離型剤の吸熱ピークTmと発熱ピークTcの温度差、及び吸熱ピークTmのいずれかが特定の範囲から外れるトナーを含む現像剤を用いた場合に比較して、画像の溶融ムラの発生をさらに抑制する。
本発明の請求項7に係る発明によれば、上記効果に加え、定着手段における定着ロールの直径が100mm以上500mm以下である定着ロールを用いない場合に比較して、定着ロールの熱履歴が残らず画像の溶融ムラの発生をさらに抑制する。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)は、結着樹脂と離型剤とを含み、示差走査熱量計(DSC)によりASTM法で昇温過程での離型剤の吸熱ピークTm(融解温度)と降温過程での離型剤の発熱ピークTcとを測定したときの、TmとTcとの差が10℃以上30℃未満であり、離型剤のTmが50℃以上65℃以下であり、前記離型剤ドメイン中にAlが含まれる。
一方、離型剤の融解温度を上記範囲とすると、離型剤の結晶成長が生じ、トナーにおける離型剤の内包性が悪化し易く、離型剤の画像上での染み出しが生じると考えられることから、溶融ムラが生じ易くなる。特に、表面が粗い(例えば、表面粗さRa=2.5μm)の薄紙(例えば、厚み60μm以上500μm以下)を用いた場合には、溶融ムラが顕著に生じ易くなる。
また、表面が粗い薄紙に対する溶融ムラは、定着温度(通紙温度)を下げればある程度抑制されるものの、コート紙のような厚紙(例えば、0.1mm以上0.7mm以下)を連続して定着した後に薄紙(例えば、厚み60μm以上500μm以下)を定着した場合、薄紙の定着温度よりも高温に設定しなければならない厚紙の定着直後に薄紙の定着を行なうと、定着部材の熱履歴により溶融ムラが顕著に生じ易くなる。
このように、上記範囲の融解温度をもつ離型剤を適用すると、溶融ムラが生じ易くなる傾向にある。
そこで、本実施形態に係るトナーでは、離型剤の融解温度を上記範囲とすると共に、上記TmとTcとの差を上記範囲とする。これにより、上記範囲の融解温度をもつ離型剤であっても、結晶成長が抑えられ、トナーにおける離型剤の内包性が悪化され、離型剤の画像上での染み出しが生じ難くなると考えられる。このため、溶融ムラが抑制されると考えられる、
特に、本実施形態に係るトナーでは、上記厚紙の定着直後に薄紙の定着を行なったときでも、溶融ムラが抑制されることから、低温定着性と用紙汎用性との両立も図れる。
56℃以上59℃以下とすることにより、更に低温定着性が優れ、離型剤の結晶成長を抑制できる。
離型剤の融解温度が50℃未満の場合、定着された画像上から離型剤が露出してしまい、画像が離型剤で曇ってしまう。離型剤の融解温度が65℃より高い場合は、離型剤の結晶成長により生じる溶融ムラは抑えられるが、低温定着域を獲得できない。また、通紙後の定着画像上での離型剤の再結晶化が徐々に進行するために定着画像のヒビが発生する原因ともなる。離型剤の融解温度を50℃以上65℃以下とした場合、低温定着は可能となるが、表面粗い薄紙を定着した場合、画像上の溶融ムラが目立ってしまい、定着用紙汎用性を損なう。
前記TmとTcとの差(Tm−Tc)が10℃未満であると、画像の定着の際に離型剤の結晶成長が進行してしまい、画像上の溶融ムラが生じてしまう。また、TmとTcとの差が30℃以上であると、離型剤のTcは20℃以上25℃以下となり、画像上に離型剤が飛び出してしまいブラーが生じてしまう。
Tmについては離型剤の融解温度付近に生じる吸熱曲線の示すピークトップ温度を離型剤のTmと判断した。
Tcについても離型剤の融解温度付近に生じる発熱曲線の示すピークトップ温度を離型剤のTcと判断した。
離型剤ドメイン中に含まれる金属元素としては、価数が高くイオン結合による離型剤の結晶化抑制に有効であるとの理由からAlであることが好ましい。
離型剤ドメイン中にAlの金属元素を含ませる方法については後述する。
まず、トナー粒子をビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばLEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。更に、この観察用サンプルを四酸化ルテニウム雰囲気下となっているデシケーター内に放置し、染色を行う。染色の判断は、同時に放置したテープの染色具合により判断される。この様にして染色された観察サンプルをTEMにより倍率5000倍前後で観察される。
なお、トナーサンプルは四酸化ルテニウムで染色されているため、結着樹脂や離型剤を、染色の濃淡の違いや形状から判別される。トナー内部の棒状、塊状に存在し、より白いコントラストの部分を離型剤ドメインと判断した。
次に、離型剤ドメイン中のAlの金属元素については、観察用サンプルを電子顕微鏡S4100に取り付けたエネルギー分散型X線分析装置EMAX model6923H(HORIBA社製)を用いて加速電圧20kVでマッピングし、離型剤ドメイン中に金属元素が含まれているか否かを判別した。
Alの含有量が0.005atom%未満では離型剤の結晶成長を抑制することができないことがあり、また、光沢むらを抑制できないことがある。一方で、0.10atom%よりも多いと、離型剤の結晶成長を抑制するが、離型剤の溶融を抑制するため被転写体と定着部材との剥離性に劣ることがある。特に低温定着の際や、プロセススピードが500mm/sの条件下では剥離性が特に悪化する場合がありし、トナーとして好ましくないときがある。離型剤ドメイン中のAlの含有量が上記範囲であると、離型剤の結晶成長を効果的に抑制し、定着後の溶融ムラの発生がさらに効果的に防止される。
なお、本実施形態において低温定着とは、トナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂と離型剤と必要に応じてその他の添加剤とを含んで構成される。
本実施形態に係るトナーは結着樹脂を含む。
本実施形態においては、結着樹脂の種類は特に限定されるものではなく、各種の天然又は合成高分子物質よりなる熱可塑性樹脂を用いてもよい。例えば、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等が単独又は混合して用いられる。これら結着樹脂の中でも、低エネルギーでの定着の点でポリエステル樹脂を含有していることが好ましい。
本実施形態においては、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
さらに、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
重合性単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
本実施形態においては、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂を用いることで、前記結晶性ポリエステル樹脂との相溶性が向上するため、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度における低粘度化に伴い、非晶性ポリエステル樹脂も低粘度化し、トナーとしてのシャープメルト性(鋭敏な溶融特性)が得られるために、低温定着性に有利である。また結晶性ポリエステル樹脂との濡れ性が良好なことから、結晶性ポリエステル樹脂のトナー内部への分散性が向上し、結晶性ポリエステル樹脂のトナー表面への露出を抑制するため、帯電性への悪影響が抑制される。またこの理由により、トナーの強度や定着画像の強度向上の観点でも望ましい。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いてもよい。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが望ましい。また、良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のTgは50℃以上65℃以下であることがより望ましい。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
以上、本実施形態における結晶性樹脂、非晶性樹脂について、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂により説明したが、前記のポリエステル樹脂の製造以外の内容は、本実施形態における他の結晶性樹脂、非晶性樹脂についても適用される。
本実施形態に係るトナーは離型剤を含む。
離型剤は、前記Tm−Tcとの差が10℃以上30℃未満で、Tm(融解温度)が50℃以上65℃以下を満たしていれば、とくに規定はなく、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;エステルワックス、モンタンワックス、オレフィンワックス等が挙げられる。
これらの中でも、白色度の観点から、オレフィンワックス、エステルワックス、パラフィンワックスの中から選択される1種以上が好ましい。
離型剤のトナー中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%以上であるとトナー定着時の画像剥離抑制の傾向となり、15質量%以下であるとワックス染み出しによる画像ブラー抑制の傾向となり好ましい。
本実施形態に係るトナーには、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
本実施形態に係るトナーの体積平均粒子径は4μm以上9μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは4.5μm以上8.5μm以下の範囲であり、さらに望ましくは5μm以上8μm以下の範囲である。
上記形状係数SF1は110以上130以下の範囲であることがより好ましい。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
有色トナーに用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
望ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用される。
本実施形態に係るトナーの製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。これらの方法の中でも、コアシェル構造のトナーを作成容易な乳化凝集法が好ましい。以下、乳化凝集法による本実施形態のトナーの製造方法について詳しく説明する。
例えば樹脂粒子分散液の作製は、水系媒体と樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行われる。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子は形成される。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。さらに、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製してもよい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
体積平均粒子径が100nm未満では、使用される結着樹脂の特性にも左右されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれにくくなる。また、500nmを超える場合には、トナー中の離型剤の分散状態が不充分となる場合がある。
前記凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るため好ましい。
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子としてもよい。
得られたトナー粒子は、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物を添加付着してもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させる。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
本実施形態に係る静電潜像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係るトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体に形成された静電潜像を本実施形態に係る静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、前記潜像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを有し、必要に応じて前記潜像保持体の転写残留成分をクリーニングするクリーニング手段等のその他の手段を有してもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、感光体ドラム等の潜像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置や、各色毎の現像器を備えた複数の潜像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等であってもよい。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置は、潜像保持体としての感光体が複数、即ち画像形成ユニット(画像形成手段)が複数設けられたタンデム型の構成に係るものである。
ここで、各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K、50Tは、収容されている現像剤中のトナーの色を除き同様の構成を有しているため、ここではイエロー画像を形成する画像形成ユニット50Yについて代表して説明する。尚、画像形成ユニット50Yと同様の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、透明(T)を付した参照符号を付すことにより、各画像形成ユニット50M、50C、50K、50Tの説明を省略する。本実施形態においては、画像形成ユニット50Tに収容されている現像剤中のトナー(透明トナー)として本実施形態に係るトナーが用いられる。
前記定着ベルトは、所定幅で所定周長のフレキシブルなエンドレスベルトであり、構成は、使用目的や使用条件等の装置設計条件に応じて、材質・厚さ・硬度等を選択する。
即ち、コート紙のような厚紙(例えば、0.1mm以上0.7mm以下)を連続枚数定着した後に薄紙(例えば、60μm以上500μm以下)を定着した場合、厚紙定着直後の定着ロールの熱履歴が残り易く、薄紙を低温(120℃以下)で定着すると、熱履歴のために溶融ムラを生じやすい。
本実施形態のトナーを用いることにより、定着ロール幅の直径が100mm以上500mm以下であっても、厚紙定着直後に前記薄紙を定着した場合の熱履歴のための溶融ムラを抑えられる。溶融ムラが抑えられることにより、低温定着性(例えば、120℃以下での定着性)に優れ、かつ、用紙の厚さに依存することがない用紙汎用性に優れた画像形成装置となる。
これらの上記低温定着性及び用紙汎用性の効果の両立は、融解温度Tmが50℃以上65℃以下であり、TmとTcとの差が10℃以上30℃未満である離型剤をトナーに内包させること、及び離型剤の結晶成長を制御することにより実現されるものと推測される。
275mm以上325mm以下であると、低温定着性及び用紙汎用性の効果がより顕著となる点で好ましい。
定着ロールの内部には、加熱手段としてハロゲンヒータが配設されている。このハロゲンヒータは、定着ロールの表面に接触するように配置されている。
例えば、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、ベルト形状を有する定着ベルト、及び、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、円筒状の定着ロールが挙げられる。
本実施形態に係る画像形成方法は、潜像保持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤保持体に保持された本実施形態に係る静電潜像現像剤を用いて前記潜像保持体に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成工程と、前記潜像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有し、定着された前記トナー画像の断面における離型剤ドメインの形状係数SF1が100以上140以下としたものである。
離型剤ドメインの形状係数SF1は、100以上135以下が好ましく、100以上130以下がさらに好ましい。
トナー画像を5mm四方に切断し、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋し、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばLEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を用いてー100℃の下、厚さ100nmに切片化し観察用サンプルを作製した。このときトナー画像の観察を行うため、トナー画像に対し垂直方向に切削用サンプルを切断する。これによりトナー画像の断面の観察が容易になる。つぎにトナー断面を走査型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察する。得られた顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み100個の離型剤ドメインの最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより形状係数SF1が得られる。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:10モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド1モル付加物:90モル%
・テレフタル酸:10モル%
・フマル酸:40モル%
・ドデセニルコハク酸(DSA):25モル%
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、精留塔を備えたフラスコに上記の成分を仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、ジステアリン酸スズ0.9質量%を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで昇温し、240℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、ガラス転移温度が60℃、酸価13.6mgKOH/g、重量平均分子量が16,000、数平均分子量6,000の非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:50モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド1モル付加物:50モル%
・テレフタル酸:16モル%
・ドデセニルコハク酸:20モル%
上記の成分を用いた以外は非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様にして、ガラス転移温度が59℃、酸価13.2mgKOH/g、重量平均分子量が19,000、数平均分子量6,300の非晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。
・デカンジカルボン酸:100モル%
・ノナンジオール:100モル%
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.25質量%
以上の成分を加熱乾燥した三口フラスコに入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間撹拌・還流を行った。
その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は24,000で、数平均分子量(Mn)は7,600の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
また、結晶性ポリエステル樹脂(1)の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確な吸熱ピークを示し、吸熱ピーク温度は72.3℃であった。
・パラフィンワックス、(融解温度:58℃、商品名パラフィンワックス−135、日本精鑞社製):50部
・イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製):1.0部
・イオン交換水:200部
・ポリ塩化アルミニウム(浅田化学:粉体):5部
以上を混合して95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックスT50)にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)で110℃に加温して分散処理を5時間行い、体積平均粒径200nm、固形分量が20質量%の離型剤分散液1を得た。
離型剤をパラフィンワックス、(融解温度:65℃、商品名パラフィンワックス−155、日本精鑞社製)に変更した以外は離型剤分散液1と同様に作製した。
離型剤をパラフィンワックス(融解温度:50℃、商品名パラフィンワックス−120、日本精鑞社製)に変更した以外は離型剤分散液1と同様に作製した。
ポリ塩化アルミニウム添加量を5部から50部に変更した以外は、離型剤分散液1と同様に作製した。
ポリ塩化アルミニウム添加量を5部から2.5部に変更した以外は、離型剤分散液1と同様に作製した。
離型剤をパラフィンワックス(融解温度:74℃、商品Hi−mic−1045、日本精鑞社製)に変更した以外は離型剤分散液1と同様に作製した。
離型剤をパラフィンワックス(融解温度:47℃、商品名パラフィンワックス−115、日本精鑞社製)に変更した以外は離型剤分散液1と同様に作製した。
ポリ塩化アルミニウム添加量を5部から0部に変更した(添加しない)以外は、離型剤分散液1と同様に作製した。
ポリ塩化アルミニウム添加量を5部から100部に変更した以外は、離型剤分散液1と同様に作製した。
トナー断面の離型剤部分をエネルギー分散形X線分析装置(日本電子社製:2300F)にて加速電圧、30kV、エミッション電流、20μA、10000倍の倍率の条件で観察し、測定される全元素中の金属元素の組成比(%)を測定し、離型剤中のAl含有量を求めた。
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1):100部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1):300部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(2):300部
・離型剤分散液(1):50部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に加え、イオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.0部加えた後に撹拌して混合・分散した。次いで、1Nの硝酸水溶液を滴下してpH3.5にした後、これにポリ塩化アルミニウム(PAC、浅田化学(株)製)を表1に記載の量を加え、ウルトラタラックスT50で分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で40分保持した後、ここに非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)100部と非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)100部の混合液を緩やかに追加した。
その後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加して系内のpHを7.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら徐々に90℃まで加熱し、90℃で3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに40℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで撹拌・洗浄した。
これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー1を得た。
トナー2及び
トナー1の作製において、離型剤分散液1を離型剤分散液2〜9にそれぞれ変更した以外は、トナー1と同様にしてトナー2〜9を得た。
・フェライト(商品名EFC−35B、パウダーテック社製、重量平均粒子径;35μm):100部
・トルエン:13.5部
・メチルメタクリレート/パーフルオロオクチルメタクリレート共重合体(質量比:90/10、重量平均分子量49,000):2.3部
・カーボンブラック(商品名:VXC72、キャボット社製):0.3部
・エポスターS(メラミン樹脂粒子、日本触媒社製):0.3部
フェライトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して樹脂被覆層形成用溶液を作製した。次にこの樹脂被覆層形成用溶液とフェライトとを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌してフェライト上に樹脂被覆層を形成し、キャリアを得た。
得られたキャリアとトナー1〜9とを、それぞれ100部:8部の割合でVブレンダーで混合し、静電潜像現像剤1〜9を作製した。
上記で得られたトナー1〜9を用い、表2に記載される定着ロール幅直径(mm)の条件で下記の評価を行なった。
(溶融ムラ評価)
トナーついては、富士ゼロックス社製Docu Centre Color500CP改造機を用いてMC256用紙を用いて100枚連続で定着し(定着温度160℃)、直後にST紙を定着した。
ST紙の定着画像の画質(ソリッド溶融ムラ)を、3cm×4cmのソリッド画像にて目視観察することによって評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:斑点状の濃度ムラが見当たらない
○:1〜5mm2程度の斑点状の濃度ムラが1〜3個
△:1〜5mm2程度の斑点状の濃度ムラが4〜10個
×:1〜5mm2程度の斑点状の濃度ムラが11個以上、または5mm2以上の大きな斑点が目視され明らかに部分光沢していたり画像あれが見える。
トナー1をプロセススピードが可変のDocucolor1250用 ベンチ定着機(FBNF、定着ロール径(厚み直径350mm)富士ゼロックス社製)改造機に充填し、プロセススピード150mm/secに固定した条件で、定着温度を80℃以上180℃以下の範囲で変えて定着テストを実施した。
トナー載り量は4.5g/m2に調整した。用紙は白紙のA4サイズ(富士ゼロックス社製、C2紙)を用いた。なお、トナーの良好な定着温度幅は、未定着のトナーソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、1.0kgの荷重を加えて定着画像部分を折り曲げ、定着画像が破壊されて生じた白抜けの線幅を測定し、0.5mm以下となる最低温度を最低定着温度(非定着発生温度)とした。また、定着部材にトナー成分が移行する(ホットオフセット)最低温度を最高定着温度(ホットオフセット発生温度)とした。
評価は、非定着発生温度は130℃以下で、かつ、ホットオフセット発生温度が180以上を許容範囲とする。
画像光沢性は、画像形成テスト前に、定着機の温度制御を外部電源コントロールにて行い定着温度を160℃に設定して一定の反射濃度(用紙MC256紙 X−Rite404濃度計で濃度1.5〜1.8)となるように画像を形成し、ミラートリグロス光沢度計(Gardner社製)による60度グロスを評価し、以下の基準で判定した。
<評価基準>
◎;極めて良好(用紙との光沢比:85%以上)。
○;良好(用紙との光沢比:70%以上85%未満)。
×;低い(用紙との光沢比:70%未満)。
トナー1をプロセススピードが可変のDocucolor1250用 ベンチ定着機(FBNF、定着ロール径(厚み直径350mm)富士ゼロックス社製)改造機に充填し、プロセススピード150mm/secに固定した条件で、定着温度を80℃以上180℃以下の範囲で変えて定着テストを実施した。
トナー載り量は4.5g/m2に調整した。用紙は白紙のA4サイズ(富士ゼロックス社製、C2紙)を用いた。
未定着のトナーソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、1.0kgの荷重を加えて定着画像部分を折り曲げ、定着画像が破壊されて生じた白抜けの線幅(クリース幅)を測定した。
画像ヒビを下記基準に基づいて評価した。得られた結果を表3に示す。
<評価基準>
◎:クリース幅が0.4mm未満であった。
○:クリース幅が0.4mm以上〜0.6mm未満であった。
△:クリース幅が0.6mm以上〜0.8mm未満であった。
×:クリース幅が0.8mm以上であった。
14 バイアスロール 15 クリーニング装置 16 ベルトクリーナ
17 一次転写ロール 18 帯電ロール 19 露光装置
20 現像装置 34 二次転写ロール 35 定着器
40 トナーカートリッジ 50 画像形成ユニット P 記録紙
Claims (7)
- 結着樹脂と離型剤とを含み、示差走査熱量計(DSC)によりASTM法で昇温過程での離型剤の吸熱ピークTmと降温過程での離型剤の発熱ピークTcとを測定したときの、TmとTcとの差が10℃以上30℃未満であり、離型剤のTmが50℃以上65℃以下であり、前記離型剤ドメイン中にAlが含まれる静電潜像現像用トナー。
- エネルギー分散形X線分析装置での測定による前記離型剤ドメイン中のAlの含有量が、0.005atom%以上0.1atom%以下である請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナーを少なくとも含む静電潜像現像剤。
- 画像形成装置に脱着されるように装着され、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容し、前記トナーが請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナーであるトナーカートリッジ。
- 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項3に記載の静電潜像現像剤を収容するプロセスカートリッジ。
- 潜像保持体と、前記潜像保持体に形成された静電潜像を請求項3に記載の静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、前記潜像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを有する画像形成装置。
- 前記定着手段における定着ロールの直径が100mm以上500mm以下である請求項6に記載の画像形成装置。
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