JP2019215478A - 静電荷像現像剤 - Google Patents
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Abstract
Description
帯電量を安定化する技術としては、外添剤、キャリアなど様々なアプローチがある。外添剤としては、酸化チタンを用いることで耐久性や、使用環境での帯電安定化を図る技術がある(例えば、特許文献1及び2参照。)。
酸化チタンは、シリカやアルミナなどの外添剤に対して、抵抗が低く、低温低湿度化における過剰帯電を抑制する狙いで広く使われている(帯電量の環境差低減)。
しかしながら、このキャリアは長期の耐久において、キャリアの膜厚が減った場合に帯電付与能力が低下することで、粒状性(GI値)の低下や、かぶりなどの画像不良を引き起こしてしまう。特に、結晶性樹脂を含有したトナーにおいては、結晶性樹脂の抵抗が低いために顕著となる。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.トナー粒子とキャリア粒子とを含有する静電荷像現像剤であって、
前記トナー粒子が、外添剤として少なくともシリカ粒子又はアルミナ粒子を含有し、
前記キャリア粒子が、芯材粒子と、当該芯材粒子表面を被覆する被覆用樹脂層とを有し、当該被覆用樹脂層が金属酸化物粒子を含有し、
前記キャリア粒子のXPS(光電子分光法)で測定される元素が、少なくともSi又はAlであり、かつ、前記キャリア粒子を構成する全元素に対して、少なくともSi又はAlが1〜6at%の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像剤。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
トナーの外添剤としては、流動性付与及び負帯電性付与の観点からシリカ粒子やアルミナ粒子が添加されている構成とし、キャリア粒子としては金属酸化物粒子(シリカ粒子、アルミナ粒子)を被覆用樹脂層に存在させることで、疑似的に外添剤がキャリア粒子表面に移行した状態を形成することができる。これにより、キャリアの帯電付与能力を抑制して酸化チタンがない場合でも過剰帯電を抑制できる。これは、トナー表面に存在するシリカ粒子やアルミナ粒子と、キャリア粒子表面に存在するシリカ粒子又はアルミナ粒子が同じ組成の材料のため、帯電序列差が小さく、摩擦帯電が抑制されるためと推定している。
また、シリカやアルミナは、従来技術の添加剤である酸化チタンやカーボンブラックよりも抵抗が大きいため、耐久末期においてはキャリアの膜厚が減耗した場合でも電荷のリークを抑制することができ、帯電量低下を抑制することが可能となる。
現像剤中のトナーの帯電量は、キャリアとの摩擦混合に大きく依存し、キャリア表面のSi又はAl存在量が1at%以上である場合は、Si又はAl存在量が十分となり摩擦帯電が過剰となることを防げる。また、キャリア表面のSi又はAl存在量が6at%以下である場合は、キャリア側の帯電性を下げることなく、耐久末期や高温高湿度下における帯電量の低下も防ぐことができる。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の静電荷像現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子とを含有する静電荷像現像剤であって、前記トナー粒子が、外添剤として少なくともシリカ粒子又はアルミナ粒子を含有し、前記キャリア粒子が、芯材粒子と、当該芯材粒子表面を被覆する被覆用樹脂層とを有し、当該被覆用樹脂層が金属酸化物粒子を含有し、前記キャリア粒子のXPS(光電子分光法)で測定される元素が、少なくともSi又はAlであり、かつ、前記キャリア粒子を構成する全元素に対して、少なくともSi又はAlが1〜6at%の範囲内であることを特徴とする。なお、本発明において「実質的に酸化チタン粒子を含まない」とは、本発明の要件を満たし本発明の効果を阻害しない範囲で、外添剤として酸化チタン粒子を含有してもよいが、環境に影響を与える量を含まないことをいう。
本発明の現像剤は、キャリア粒子のXPS(光電子分光法)で測定される元素が、少なくともSi又はAlであり、かつ、前記キャリア粒子を構成する全元素に対して、少なくともSi又はAlが1〜6at%の範囲内であり、より好ましくは、2.0〜4.0at%の範囲内である。
すなわち、本発明の現像剤は、キャリア粒子の表面である被覆用樹脂層の内部に、少なくともシリカ粒子又はアルミナ粒子が含有されており、前記XPSで測定される少なくともSi又はAl元素の量が前記1〜6at%の範囲内で含有されている。したがって、長期に渡り現像剤を使用している間に、キャリア粒子の表面にトナーの外添剤が付着した結果、XPSで測定されるSi又はAl元素の量が前記範囲内含有されていることになるものではなく、本願発明では、キャリア粒子を構成する被覆用樹脂層の内部に、あらかじめ少なくともシリカ粒子又はアルミナ粒子が、前記範囲内となるように含有されていることをいう。
一方、シリカ粒子とアルミナ粒子を併用する場合は、単独で用いる場合の範囲内で併用し、SiとAlの合計の元素量を1〜6at%の範囲内にすることで本発明の効果を発揮することができる。
本発明の現像剤中のキャリアの分離回収は、図1に示す装置を用いて行う。まず、精密天秤で計量した現像剤1gを導電性スリーブ31の表面全体に均一になるように乗せる。バイアス電源33からスリーブ31に3kVの電圧を供給するとともに、導電性スリーブ31内に設けられたマグネットロール32の回転数を2000rpmにする。この状態で60秒間放置して、トナーを円筒電極34に収集する。60秒後にスリーブ31に残ったキャリアを回収することで、現像剤からトナーを分離しキャリアを得ることができる。
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のXPS分析装置K−αを用い、測定条件:計測する元素C、Si、Ti、Al、O、Zn、Fe、Mn、Mgに設定し、下記条件のもと表面元素分析を行う。XPSの測定はサンプルを測定室に導入してから測定室の真空道が9.0×10−8mbarに到達してからX線を立ち上げて測定を実施する。これにより、XPSで測定されるSi、Al元素濃度(現像剤のキャリア粒子表面のSi、Alの量)を求めることができる。
スポット径:400μm
Scan回数:15回
PASS Energy:50eV
解析方法:Smart法
本発明に係るトナー粒子は、トナー母体粒子表面に外添剤を有し、外添剤としてシリカ粒子又はアルミナ粒子を含有する。
本発明に係る外添剤は、トナー母体粒子の表面に添加(外添)されるものであり、シリカ粒子又はアルミナ粒子を含有する。本発明では、シリカ粒子及びアルミナ粒子を併用することが好ましい。
当該表面処理剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸、シリコーンオイル等が含まれる。
トナー表面に添加し含有させるシリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径は、上述したキャリア表面に含有させるシリカ粒子又はアルミナ粒子と同じ10〜50nmの範囲内が好ましい。これは、キャリア側と同じ粒径のシリカ粒子又はアルミナ粒子を用いることで、耐久中にシリカ粒子又はアルミナ粒子がキャリア−トナー間で移行したとしても、帯電量の変化を抑制することができるようになるためである。
上記シリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径が50nm以下であれば、トナー表面に添加させたシリカ粒子又はアルミナ粒子が、キャリア側へ移行するのを防止することができる。また、前記個数平均粒径が10nm以上であれば、外添処理する際にシリカ粒子又はアルミナ粒子自体の解砕が進まずかえって凝集体を形成してしまうのを防止することができ、この場合も本来トナー表面に添加させたいシリカ粒子又はアルミナ粒子がキャリア側へ移行するのを防止することができる。上記観点からトナー表面に添加させるシリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径は、10〜50nmの範囲の粒子が含まれていることが好ましい。より好ましくは10〜20nmの範囲内である。
トナー表面のシリカ粒子の個数平均粒径は、以下のようにして測定される。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子株式会社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のトナー表面のシリカ粒子について2値化処理し、トナー表面のシリカ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。なお、アルミナ粒子についても、同様にして測定することができる。
外添剤の添加(外添)方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
本発明に係るトナー母体粒子は、後述するドメイン・マトリクス構造を有するものが好ましい。
また、本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂を含有し、その他必要に応じて、離型剤(ワックス)、着色剤及び荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
本発明に係る結着樹脂(バインダー樹脂)は、非晶性樹脂と結晶性樹脂を含有することが好ましい。そして、トナー母体粒子は、非晶性樹脂を含むマトリクス相中に結晶性樹脂を含むドメイン相が分散してなるドメイン・マトリクス構造を有することが好ましい。
ここで、「ドメイン・マトリクス構造」とは、連続したマトリクス相中に、閉じた界面(相と相との境界)を有するドメイン相が存在している構造のものをいう。本発明に係るトナー母体粒子においては、非晶性樹脂中に結晶性ポリエステルが非相溶に導入された部分がある状態を示す。ドメイン構相はラメラ状結晶構造を含有していてもよい。なお、この構造は、下記により観察することができる。また、ドメイン中に結晶性樹脂以外にワックス等が添加されていてもよい。
装置:電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)
試料:四酸化ルテニウム(RuO4)によって染色したトナー粒子の切片(切片の厚さ:60〜100nm)
加速電圧:30kV
倍率:50000倍
観察条件:透過電子検出器、明視野像
トナー1〜2mgを10mLサンプル瓶に広げるように入れ、下記に示すように四酸化ルテニウム(RuO4)を蒸気染色条件下で処理後、光硬化性樹脂「D−800」(日本電子社製)中に分散させ、光硬化させてブロックを形成した。次いで、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、上記のブロックから厚さ60〜100nmの超薄片状のサンプルを切り出した。その後、切り出したサンプルを再び下記処理条件にて処理し、染色した。
・四酸化ルテニウム処理条件
四酸化ルテニウム処理は、真空電子染色装置VSC1R1(フィルジェン(株)製)を用いて行う。装置手順にしたがい、染色装置本体に四酸化ルテニウムが入った昇華室を設置し、トナー又は超薄切片を染色チャンバー内に導入後、四酸化ルテニウムによる染色条件として、室温(24〜25℃)、濃度3(300Pa)、時間10分の条件下で処理を行う。
上記処理により得られた試料について以下のように観察を行った。
・観察
染色後、24時間以内に電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)にて観察した。
本発明に係る非晶性樹脂は、結晶性樹脂とともに結着樹脂を構成する。非晶性樹脂とは、当該樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。
なお、非晶性樹脂として2種以上の樹脂を含む場合は、これらの合計量が、トナー母体粒子全量に対して、上記含有量の範囲内であると好ましい。なお、離型剤を含有する非晶性樹脂を用いた場合でも、離型剤を含有する非晶性樹脂中の離型剤は、トナーを構成する離型剤の含有量に含めるものとする。
特に好ましいのは、熱定着時の可塑性の観点から、スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体やアクリル酸を用いて形成されるスチレン・アクリル共重合体樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。非晶性樹脂をスチレン・アクリル樹脂とすることで、トナーとしての負帯電性を維持しやすいためである。また、スチレン・アクリル樹脂を乳化凝集して、トナー化することにより負帯電性が高くなるため好ましい。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン及びこれらの誘導体など。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体など。
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど。
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど。
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど。
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど。
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体など。
本発明に係る結晶性樹脂についても特に制限はなく、本技術分野における従来公知の結晶性樹脂が用いられるが、中でも結晶性樹脂は、結晶性の高い構造をとりやすい点から、結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。なお、結晶性ポリエステル樹脂以外の結晶性樹脂についても、上記したように、DSCにおいて、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
関係式(2):Cacid>Calcohol
結晶性ポリエステル樹脂をビニル単量体、好ましくはスチレン・アクリル樹脂でハイブリッド化することで、ドメインとマトリクスとの界面が滑らかになり、結晶性樹脂の分散性が良好となる。
ハイブリッド樹脂を構成するビニル重合セグメント、好ましくはスチレン・アクリル重合セグメントは、ビニル単量体、好ましくはスチレン・アクリル単量体を重合して得られた樹脂から構成される。ここで、ビニル単量体としては、ビニル樹脂を構成する単量体として上述したもの(非晶性のビニル樹脂を形成するビニル単量体)が同様に用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、ハイブリッド樹脂中におけるビニル重合セグメントの含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂を構成する結晶性ポリエステル重合セグメントは、多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒の存在下で、重縮合反応を行うことにより製造された結晶性ポリエステル樹脂から構成される。ここで、多価カルボン酸及び多価アルコールの具体的な種類については、上述したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
「両反応性単量体」とは、結晶性ポリエステル重合セグメントとビニル重合セグメントとを結合する単量体で、分子内に、結晶性ポリエステル重合セグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される基と、ビニル重合セグメントを形成するエチレン性不飽和基との双方を有する単量体である。両反応性単量体は、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。さらに好ましくは、カルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。すなわち、ビニルカルボン酸であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
本発明のトナーが含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。
当該体積平均粒径は、カタログ値であってもよく、また、例えば着色剤の体積平均粒径(体積基準のメジアン径)は、「UPA−150」(マイクロトラック・ベル株式会社製)によって測定することができる。
本発明に係る離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加(内添)することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
本発明に係るトナー母体粒子の形態は特に制限されず、例えば、いわゆる単層構造(コア・シェル型ではない均質な構造)であっても、コア・シェル構造であっても、3層以上の多層構造であってもよい。
本発明に係るトナー母体粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で2〜8μmの範囲内であることが好ましく、3〜6μmの範囲内であることがより好ましい。トナー母体粒子の体積基準のメジアン径が2μm以上であれば、十分な流動性が保持することができる点で優れている。またトナー母体粒子の体積基準のメジアン径が8μm以下であれば、高画質を保持することができる点で優れている。また、トナー母体粒子の体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は「コールター・マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定、算出されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、乳化重合凝集法(乳化重合会合法)、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、トナーの小粒径化や円形度の制御性の観点から、粉砕法よりも乳化重合会合法などのビルドアップ型の製造方法や、懸濁重合法などが好ましく、中でも乳化重合凝集法や乳化凝集法をより好適に採用できる。
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤(離型剤、荷電制御剤等)を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)乳化重合により、結着樹脂粒子の分散液を調製する工程
(4)着色剤粒子の分散液と、結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子と結着樹脂粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加しトナー粒子を得る工程
得ることができる。
(2)得られた混合物を押出混練機などにより加熱しながら混練する工程
(3)得られた混練物をハンマーミルなどにより粗粉砕処理した後、さらにターボミル粉砕機などにより粉砕処理を行う工程
(4)得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理しトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子に外添剤を添加しトナー粒子を得る工程
本発明の現像剤は、前記トナー粒子とキャリア粒子とを混合することにより得ることができる。混合の際に用いられる混合装置としては特に制限されないが、例えば、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機等が挙げられる。
キャリア粒子は、キャリアを構成し、芯材粒子(コア材又は磁性体粒子ともいう。)と、当該芯材粒子表面を被覆する被覆用樹脂層(コート層ともいう。)と、を有する。
本発明のキャリア粒子を構成する芯材粒子としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子又はそれらを樹脂中に分散したものを挙げることができる。好ましくはマグネタイトや各種フェライト系粒子である。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属及び/又は第2族金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
芯材粒子の形状係数(SF−1)としては、110〜150の範囲内が好ましい。上記Srの量でも変えることは可能であるが、後述の製造過程の焼結温度を変えることでも調整は可能である。
芯材粒子の粒径としては、体積平均粒径で好ましくは10〜100μmの範囲内、より好ましくは20〜80μmの範囲内である。さらに、磁性体自体が有する磁化特性としては、飽和磁化で2.5×10−5〜15.0×10−5Wb・m/kgの範囲内が好ましい。
原材料を適量秤量した後、湿式メディアミル、ボールミル又は振動ミル等で好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1〜20時間粉砕混合する。このようにして得られた粉砕物を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、好ましくは700〜1200℃の温度で、好ましくは0.5〜5時間仮焼成する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300〜700℃で熱処理を行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmの範囲内であることが好ましい。酸化被膜の厚さを前記範囲とすることで、酸化被膜層の効果が得られ、高抵抗になりすぎず所望の特性を得やすく好ましい。必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行ってもよい。また、分級の後、さらに磁力選鉱により低磁力品を分別してもよい。
本発明に係る被覆用樹脂層は、金属酸化物粒子を含有することを特徴とする。また、金属酸化物粒子がシリカ粒子又はアルミナ粒子であることが好ましく、特にシリカ粒子であることが好ましい。
なお、好ましいのは、ポリアクリレート樹脂で、中でも脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を重合させて得られるものである。このような構成単位を含むことで、被覆用樹脂(被覆用樹脂層)の疎水性が高くなり、特に高温高湿下においてキャリア粒子の水分吸着量が減少する。その結果、高温高湿下でのキャリアの帯電量の低下が抑制される。また、当該構成単位は剛直な環状骨格を有するため、被覆用樹脂(被覆用樹脂層)の膜強度が向上し、キャリアの耐久性が良好となる。また、脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物とメタクリル酸メチルの共重合体がさらに好ましい。メタクリル酸メチルを用いることで、膜強度がより一層高くなるためである。
本発明に係る被覆用樹脂層の具体的な形成法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について述べるが、乾式コート法は本発明に適用するのに特に望ましい方法であり、特に詳細に記載する。
被覆用樹脂と金属酸化物粒子を溶剤に分散した塗布液を、流動層を用いて芯材粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被覆用樹脂層を作製する方法;
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂と金属酸化物粒子を溶剤に分散した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被覆用樹脂層を作製する方法;
(3)重合法
反応性化合物と金属酸化物粒子を溶剤に分散した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い、被覆用樹脂層を作製する方法;などを挙げることができる。
被覆しようとする芯材粒子の表面に被覆用樹脂粒子及び金属酸化物粒子を被着させ、その後、機械的衝撃力を加えて、被覆しようとする芯材粒子表面に被着した被覆用樹脂粒子及び金属酸化物粒子を溶融又は軟化させて固着し被覆用樹脂層を作製する方法である。芯材粒子、被覆用樹脂及び金属酸化物粒子等を非加熱下、又は加熱下で機械的衝撃力が付与できる高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、芯材粒子の表面に溶解又は軟化させて固着したキャリアを作製するのである。被覆条件として、加熱する場合には、80〜130℃が好ましく、衝撃力を起こす風速としては、加熱中は10m/s以上が好ましく、冷却時にはキャリア粒子同士の凝集を抑制するため5m/s以下が好ましい。衝撃力を付与する時間としては、20〜60分が好ましい。
乾式コート法での被覆用樹脂の被覆工程においては、加熱温度を60℃以下に低温化しつつ、冷却時の風速を高速せん断にすることで樹脂剥がれを生じさせることができる。また、被覆後の工程としては、強制撹拌できる装置であれば可能であり、例えば、タービュラー、ボールミル、振動ミルなどで撹拌混合することが挙げられる。
キャリア粒子表面に含有させるシリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径は10〜50nmの範囲内であることが好ましい。これは、個数平均粒径10〜50nmの比較的小粒径の粒子を用いることで、緻密にキャリア粒子表面に分散することができ、湿度変化の環境による影響も受けにくくなり現像剤の長期保管性が優れるようになるためである。
上記シリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径が50nmより大きい粒子の場合、キャリア粒子表面に含有させたシリカ粒子又はアルミナ粒子が、トナー側へ移行してしまい好ましくない。また、上記シリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径が10nmよりも小さい粒子の場合は、前処理する際に粒子自体の解砕が進まずかえって凝集体を形成してしまい、この場合も本来キャリア粒子表面に含有させたいシリカ粒子又はアルミナ粒子がトナー側へ移行してしまい好ましくない。上記観点から、キャリア粒子表面に含有させるシリカ粒子又はアルミナ粒子の個数平均粒径は、10〜50nmの範囲が好ましく、10〜20nmの範囲がより好ましい。
キャリアに含有させるシリカ粒子の個数平均粒径は、以下のように測定されるものである。走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子株式会社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のキャリア表面のシリカ粒子について2値化処理し、キャリア粒子表面のシリカ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。なお、アルミナ粒子についても、同様にして測定することができる。
本発明に係るキャリア粒子表面に含有されるシリカ粒子又はアルミナ粒子は、その表面が表面処理剤(疎水化剤)により表面処理(疎水化処理)されているものが好ましく用いられる。これは、シリカ粒子又はアルミナ粒子自体が表面処理されていることで、水分を吸着しにくくなり帯電量低下をより効果的に抑制できるためである。
なお、以下に説明する表面処理されてなるシリカ粒子又はアルミナ粒子には、キャリア表面に含有させるシリカ粒子又はアルミナ粒子のほか、トナーの外添剤の1種である無機粒子として用いられるシリカ粒子又はアルミナ粒子も含まれるものとする。
上記式中、Xは炭素数6〜20のアルキル基、Rはメチル基又はエチル基を示す。
シリカ粒子の市販品としての具体例としては、日本アエロジル株式会社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、R202、RX200、RY200、NAX50など;クラリアント社製の市販品H1303VP、HVK2150、H2000、H2000T、H13TX、H30TM、H20TM、H13TMなど;キャボット株式会社製の市販品TS−630、TG−6110等が挙げられる。
アルミナ粒子の市販品としての具体例としては、日本アエロジル株式会社製の市販品Alu C、AluC 65、Alu 130、 Alu C805等、キャボットジャパン株式会社製:TG−A90、住友化学株式会社製の市販品AKP−G07が挙げられる。
・キャリアの抵抗
キャリアの抵抗は1.0×109〜1.0×1011Ω・cmの範囲内であることが好ましく、1.0×109〜5.0×1010Ω・cmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの抵抗が1.0×109Ω・cm以上であれば、現像剤としての帯電した電荷がリークしやすくなるのを防止することができる。また、キャリアの抵抗が1.0×1011Ω・cm以下であれば、現像器内での撹拌時に帯電の立ち上がりが悪くなるのを防止することができる。
DVR:キャリア抵抗[Ωcm]
V:現像スリーブとドラム間の電圧[V]
N:現像ニップ幅[cm]
L:現像スリーブ長さ[cm]
DSD:現像スリーブとドラム間距離[cm]
キャリア粒子の体積平均粒径としては10〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは20〜80μmの範囲内である。キャリア粒子の体積平均粒径は、上述のように現像剤から分離したキャリア粒子を用いて測定を行うことが可能である。代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
本発明に用いられる画像形成方法は、上記した静電荷像現像剤を用いた画像形成方法であればよく、記録媒体上に、上記現像剤のトナーを用いて画像形成層を形成するものである。これにより、スターター現像剤の帯電量を現像剤作製直後からも長期に維持することができ、さらに使用後、長期にわたって安定した画質を出力できる。
フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの静電潜像担持体(「電子写真感光体」又は単に「感光体」とも称する)と、により構成される4サイクル方式の画像形成装置を用いる方法や、各色に係るカラー現像装置及び静電潜像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成装置を用いる方法など、いずれのカラー画像形成方法も用いることができる。
熱ローラー方式の定着装置は、一般に、加熱ローラーと、これに当接する加圧ローラーとによるローラー対を有する。当該定着装置において、加熱ローラーと加圧ローラーとの間に付与された圧力によって加圧ローラーが変形することにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成される。
ベルト加熱方式の定着装置は、一般に、例えばセラミックヒータよりなる加熱体と、加圧ローラーと、これらの加熱体と加圧ローラーとの間に耐熱性ベルトよりなる定着ベルトが挟まれてなるものであり、加熱体と加圧ローラーとの間に付与された圧力によって加圧ローラーが変形されることにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成されてなるものである。
記録媒体(記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、又は、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、又はそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製>
(結晶性ポリエステル樹脂1の合成)
ポリエステル重合セグメントの材料の多価カルボン酸化合物としてのテトラドデカン二酸281質量部、及び、多価アルコール化合物としての1,6−ヘキサンジオール283質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に入れて160℃に加熱し、溶解させた。
一方、あらかじめ混合したビニル系重合セグメントの材料となる、スチレン23.5質量部、アクリル酸n−ブチル6.5質量部、ジクミルパーオキサイド2.5質量部及び両反応性単量体としてアクリル酸2質量部の溶液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間撹拌を続け、スチレン、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸を重合させた後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)2.5質量部、没食子酸0.2質量部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに、8.3kPaにて1時間反応を行い、ハイブリッド化された結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
前記ハイブリッド化された結晶性ポリエステル樹脂1の全樹脂量100質量%のうちの、当該結晶性ポリエステルに重合されたスチレン・アクリル重合セグメント(ビニル系重合セグメント)が5質量%であった。
100質量部の結晶性ポリエステル樹脂1を、酢酸エチル400質量部に溶解させた。
次いで、5.0%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、結晶性樹脂溶液を調製した。この結晶性樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入して撹拌しながら、0.26%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、結晶性樹脂微粒子を均一に分散させた乳化液が調製された。
次いで、上記乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、ポリエステル樹脂からなる結晶性樹脂微粒子が分散されてなる結晶性樹脂粒子分散液1を得た。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させたものを添加し、液温75℃とし、
・スチレン 584質量部
・アクリル酸n−ブチル 160質量部
・メタクリル酸 56質量部
からなる単量体混合物を1時間かけて滴下した後、75℃にて2時間加熱、撹拌しながら重合を行うことにより、樹脂微粒子〔b1〕の分散液を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、内温を80℃に昇温させた。次いで、上記で得られた樹脂微粒子〔b1〕の分散液42質量部(固形分換算)及びマイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)70質量部を、
・スチレン 239質量部
・アクリル酸n−ブチル 111質量部
・メタクリル酸 26質量部
・n−オクチルメルカプタン 3質量部
からなる単量体混合物に80℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)を用いて1時間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌して重合を行うことにより、樹脂微粒子〔b2〕の分散液を調製した。
上記で得られた樹脂微粒子〔b2〕の分散液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200部に溶解させた溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
・スチレン 380質量部
・アクリル酸n−ブチル 132質量部
・メタクリル酸 39質量部
・n−オクチルメルカプタン 6質量部
からなる単量体混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、非晶性樹脂粒子分散液1を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600gに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420gを徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液〔Bk〕を調製した。
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、非晶性樹脂粒子分散液1を300質量部(固形分換算)、イオン交換水1100質量部、及び着色剤粒子分散液〔Bk〕40質量部(固形分換算)を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH(30℃)を10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま凝集し粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールター・マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、これによりトナー母体粒子1の分散液を調製した。
上記で調製したトナー母体粒子1の分散液を、バスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40+M」((株)松本機械製作所製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで前記バスケット型遠心分離機で40℃のイオン交換水を用いて洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製)に移して水分量が0.5%となるまで乾燥することにより、トナー母体粒子1を作製した。
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、非晶性樹脂粒子分散液1を300質量部(固形分換算)、結晶性樹脂粒子分散液1を34質量部(固形分換算)、イオン交換水1100質量部、及び着色剤粒子分散液〔Bk〕40質量部(固形分換算)を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH(30℃)を10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま凝集し粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールター・マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、これによりトナー母体粒子2の分散液を調製した。
上記で調製したトナー母体粒子2の分散液を、バスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40+M」((株)松本機械製作所製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで前記バスケット型遠心分離機で40℃のイオン交換水を用いて洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製)に移して水分量が0.5%となるまで乾燥することにより、トナー母体粒子2を作製した。
(外添剤添加工程)
100質量部のトナー母体粒子1に、疎水性シリカ(個数基準のメジアン径=12nm、表面処理剤オクチルシラン)0.6質量部及び疎水性シリカ(個数平均粒子径=30nm:表面処理剤ヘキサメチルシラザン)を0.9質量部、疎水性アルミナ(個数基準のメジアン径=13nm、表面処理剤:イソブチルシラン)0.4質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより20分間混合することにより、トナー粒子1を作製した。ドメイン・マトリクス構造の確認をしたところ、結晶性ポリエステル樹脂のドメイン(相)はなかった。
100質量部のトナー母体粒子2に、疎水性シリカ(個数基準のメジアン径=12nm、表面処理剤オクチルシラン)0.6質量部及び疎水性シリカ(個数平均粒子径=30nm:表面処理剤ヘキサメチルシラザン)を0.9質量部、疎水性アルミナ(個数基準のメジアン径=13nm、表面処理剤:イソブチルシラン)0.4質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより20分間混合することにより、トナー粒子2を作製した。ドメイン・マトリクス構造の確認をしたところ、結晶性ポリエステル樹脂のドメイン(相)は確認された。
MnO換算で19.0モル%、MgO換算で2.8モル%、SrO換算で1.5モル%、Fe2O3換算で75.0モル%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕、混合し、乾燥させた。950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行ったスラリーを造粒乾燥し、撹拌装置を内蔵した焼成炉内に容積の5割量を添加して、周速10m/s、1300℃にて4時間保持した後、解砕し、粒子径33μmに粒度調整を行い、芯材粒子を得た。
上記で作製した芯材粒子を100質量部と、メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸メチル(共重合比5/5)の共重合体樹脂微粒子を3.5質量部と、シリカ粒子(アエロジル社製R805 12nm)を0.5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、125℃で45分間、風速10M/Sで撹拌混合して機械的衝撃力の作用で芯材粒子の表面に被覆用樹脂層を形成した後、風速2M/Sに下げて冷却を行い、樹脂で被覆されたキャリア粒子1を作製した。XPSで測定されるSi元素は1.1at%であった。XPS測定は、前記した方法により行った。
キャリア粒子1の作製において、下記表IIの金属酸化物粒子の種類及び添加量に変更する以外は同様にしてキャリア粒子2〜14の作製を行った。
上記で作製したキャリア粒子1を1.0kgと、トナー粒子1を、トナー濃度が6.5質量%になるように添加し、30分間混合して現像剤1を作製した。
現像剤1の作製において、キャリア粒子と混合するトナー粒子の種類を変える以外は、同様にして下記表IIIに記載の組み合わせで現像剤2〜15を作製した。
市販の複合機「bizhub Pro C6501(コニカミノルタ社製)」を用いて下記評価を行った。
<評価1:初期帯電安定性(帯電変動)>
現像剤を現像器に充填し、常温常湿(20℃、50%RH)環境にて12時間放置した後に帯電量を計測し、さらに同じ環境条件でA4版の上質紙(65g/m2)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を1万枚と比較を行い評価した。帯電量は現像器内の2成分現像剤をサンプリングし、ブローオフ帯電量測定装置「TB−200」(東芝ケミカル株式会社製(現:京セラケミカル株式会社製))を用いて測定した。評価が○、◎を合格とした。
(評価基準)
◎:印刷初期と1万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが5μC/g未満
○:印刷初期と1万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが5C/g以上10μC/g未満
×:印刷初期と1万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが10μC/g以上
評価1と同様に現像剤を現像器に充填し、高温高湿(30℃、80%RH)環境にて12時間放置した後に帯電量を計測し、さらに同じ環境条件でA4版の上質紙(65g/m2)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を20万枚と比較を行い評価した。帯電量は現像器内の二成分現像剤をサンプリングし、ブローオフ帯電量測定装置「TB−200」(東芝ケミカル株式会社製)を用いて測定した。評価が○、◎を合格とした。
(評価基準)
◎:印刷初期と20万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが5μC/g未満
○:印刷初期と20万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが5C/g以上10μC/g未満
×:印刷初期と20万枚印刷後で、トナーの帯電量の変動値Δが10μC/g以上
評価2において、印刷初期と20万枚印刷後の階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンの粒状性について下記評価基準にしたがって評価した。粒状性の評価は、階調パターンのCCDによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度にあわせたGI値(Graininess Index)を測定し、最大GI値を求めた。GI値は小さいほど良い。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。評価が△、○、◎を合格とした。
(評価基準)
◎:印刷初期と20万枚印刷後で、GI値が0.18未満でかつGI値の変動値Δが0.02以下
○:印刷初期と20万枚印刷後で、GI値が0.20以下でかつGI値の変動値Δが0.02以下
△:印刷初期と20万枚印刷後で、GI値が0.22以下でかつGI値の変動値Δが0.02より大きく0.04以下
×:印刷初期と20万枚印刷後で、どちらかのGI値が0.22より大きい
2 蒸発器
3 混合室
4 燃焼バーナー
5 反応室
6 冷却器
7 分離器
8 処理室
9 サイロ
31 導電性スリーブ
32 マグネットロール
33 バイアス電源
34 円筒電極
Claims (3)
- トナー粒子とキャリア粒子とを含有する静電荷像現像剤であって、
前記トナー粒子が、外添剤として少なくともシリカ粒子又はアルミナ粒子を含有し、
前記キャリア粒子が、芯材粒子と、当該芯材粒子表面を被覆する被覆用樹脂層とを有し、当該被覆用樹脂層が金属酸化物粒子を含有し、
前記キャリア粒子のXPS(光電子分光法)で測定される元素が、少なくともSi又はAlであり、かつ、前記キャリア粒子を構成する全元素に対して、少なくともSi又はAlが1〜6at%の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像剤。 - 前記トナー粒子が、結晶性樹脂を含有していることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤。
- 前記金属酸化物粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像剤。
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